バトルオブフラワーズ⑬~無制限の自由がもたらすものは
●惑星全域同時放送
キマイラフューチャーの全域に渡って、その姿はモニタに映し出されていた。
「惑星に住む次世代人類の皆様、そして猟兵の皆様、はじめましてですわ」
言葉を発するのは、奇妙な仮面を被った女。
笑顔を浮かべた形の仮面は、見ようによっては可愛らしく見えたかもしれない。
にも関わらず、それが異様に感じられるのは、笑顔が斜め下に傾いているからなのか。
「このわたくしが、かつてシステム・フラワーズを作り上げたちょうてんさい、『ドン・フリーダム』でございますわ。ちょうてんさいは、「物凄くかしこい」と「物凄く迷惑」のダブルミーニングですの」
ドン・フリーダムは自らの名を、そして素性を語る。
格好もまた、名前の通り非常にフリーダムだった。フリーダムではない部分がほとんど無いほどだ。
「でも、迷惑なんて失礼しちゃいますわ。わたくしはただ、システム・フラワーズを『修理』しているだけなのですのに」
しかし、見た目とは裏腹に、語る言葉は別にふざけたものではなかった。
「そう、皆様がご利用中のコンコンコンは、完全なコンコンコンではないのです。本当のコンコンコンは、コンコンコンすれば望むものが何でもコンコンコンされる。コンコンコンとはそうあるべきではないですか?
不本意ながらドラゴンテイマーの手を借りてはいますが、修理はもうすぐ終わります。できれば完成を楽しみにお待ちいただきたいのですけど、いかがでございますか?」
仮面に隠された表情は見えず、フリーダムの真意がどこにあるかはわからない。
ただ、彼女はモニタから一方的に主張を語るのみ。
「我慢しなくていいのですよ。欲望は止めなくていいのです。オール・フォー・フリーダム! 自由こそが、この世の全てなのです!」
そして、放送は終わった。
●見た目も思想も自由な敵
グリモアベースに集まった猟兵たちに、白金・伶奈(プラチナの先導者・f05249)は軽く頭を下げてから語り始めた。
「猟兵の皆様の活躍により、システム・フラワーズの中枢部にいるドン・フリーダムへの道が開けました」
あとはフリーダムを倒すだけだが、もちろん首魁である彼女は幹部たちを上回る戦闘能力を持っている。
「具体的には、これまでに倒したエイプモンキー、ラビットバニー、ウインドゼファーのすべての能力を使用してきます」
力押しで挑む者には、ラビットバニーのように絶対無敵バリアをはって赤べこキャノンを撃ってくる。
スピードを頼りに挑めば、ウインドゼファーのように暴風を放って足場ごと破壊してくる。
知恵を頼りに戦おうとすれば、エイプモンキーのようにユーベルコードを見切って自由な想像力で生み出されたマシンで対応してくる。
「対応手段も、幹部たちと同様になります」
ラビットバニーと同じく、エモいものを見せれば絶対無敵バリアを破ることができる。
マニアックなマシンには、エイプモンキー同様マニアックな理論で対抗しなければ勝ち目がない。
そして、特殊な対抗手段を必要としないが、暴風が単純かつ強力であるのはウインドゼファーと同じだ。
「また、確実に先手を取られるのも幹部たちと同様です。敵のユーベルコードに対抗する方法を考えておかなければ、なにもできないまま倒されてしまうことでしょう」
そして先述の通り、戦闘能力は幹部たちをさらに上回る。ユーベルコードへの対処方法だけでなく、攻撃の方法もちゃんと考えておかなければ勝つのは難しいだろう。
花咲き乱れる空間で、彼女はシステム・フラワーズを修理しているという。もっとも、猟兵たちが近づけば修理を中断して対応してくるだろうが。
「また、一度ドン・フリーダムを倒しても、彼女は即座に骸の海から復活してきます。ただし、復活も無限ではありません」
短期間に能力を超える回数撃破すれば、彼女はもう蘇ることはできなくなる。
とはいえ、やるべきことは目の前に現れたドン・フリーダムを全力で倒すことだけだ。
「言葉通りに受けとれば、キマイラフューチャーではコンコンコンであらゆるものを手に入れることができるようになるのでしょう。しかし、無制限な自由がもたらすものは、けして幸福ではありません」
欲望には限りがなく、すべてを無限に満たし続ければ、待っているのは破滅しかありえない。
それを止められるのは猟兵たちだけなのだ。
青葉桂都
おはようございます、青葉桂都(あおば・けいと)です。
今回はキマイラフューチャーのオブリビオン・フォーミュラであるドン・フリーダムを撃破していただきます。
●シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
このシナリオの戦場は『⑬『ドン・フリーダム』』になります。
●先制攻撃について
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
加えて、ドン・フリーダムは使用する能力値別に違う対処が必要です。これらに対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
POW:絶対無敵バリアを展開します。エモいものを見せれば無効化できます(エモいの基準はラビットバニーと同じ)。
SPD:風で足場を崩してきます。
WIZ:猟兵のユーベルコードの弱点を見抜き、確実に反撃するマシンを作り出してきます。 その反撃マシンに反撃する方法を考えなければいけません。
これらの能力はそれぞれ「ラビットバニー」「ウインドゼファー」「エイプモンキー」と同じですが、ドン・フリーダムは彼ら以上の実力者です。
先制攻撃への対抗手段だけでなく、戦闘の方法もしっかり考えていないと苦戦などの結果となる可能性も十分にあるとお考えください。
●ドン・フリーダムの撃破について
青丸が規定以上たまれば、シナリオが成功になり、ドン・フリーダムを撃破できます。
ただし、この戦場の戦力が残っている限り、ドン・フリーダムは即座に戦場内の別の場所で復活して来ます。
それでは、ご参加いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『ドン・フリーダム』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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ビスマス・テルマール
●POW&エモ
目の前でパフォーマンスしながら料理して作ったハワイアンなめろうをパンズで挟み作ったバーガーを食べて貰いエモって貰う
パンズに合うなめろう
鮪とバナナの相性
エモに値する味に自信がありますから
○バリア解除後
先制攻撃でオーラ防御と属性攻撃(重力)と誘導弾を合わせて生成した盾受け用の重力弾を空中戦で浮かびつつ範囲攻撃で一斉発射でばら蒔き続け
足場の欠片等の地形の利用もしつつ第六感も活用し見切り、残像で撹乱しUC発動の時間稼ぎ
自身もオーラ防御と激痛耐性で備えつつ
隙を見て早業で蒼鉛皇の要塞を発動
赤ぺこキャノンを鎧無視攻撃・カウンター・誘導弾・スナイパーを込めフリーダムに反射を試みます
※アドリブ歓迎
●咲き乱れる花となめろう
システム・フラワーズの中枢部に裸の女性が立っていた。
悠然と立つ彼女はこの世界のオブリビオン・フォーミュラたるドン・フリーダム。
「お客さんがいらしたようですわね」
青いビスマス結晶で構成されたクリスタリアンが近づいてくるのを見ても、敵は身構えたりしなかった。
「……あなたになめろうの力を見てもらいに来ました」
ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は真剣な表情で告げる。
「では、お手並み拝見といきますの」
軽く持ち上げた敵の手に赤べこキャノンが現れた。
絶対無敵バリアも展開される。
「行きますよ!」
気合いを入れたビスマスは、キャノンを恐れる様子もなく新鮮なマグロを取り出した。
「攻撃ではない……?」
ドン・フリーダムはビスマスの動きを観察してしまった。あたかも、SNSで流れてきた動画を一瞬注視してしまうように。
リズミカルな動きでフォースソードを振るい、ビスマスはマグロを一気にさばく。
少しばかり無駄な大きい動きは、見るものを飽きさせないパフォーマンスを意識したもの。
故郷の宇宙南国でとれたバナナやアボカドを切って合わせ、そしてフォースソードの背で激しく叩きまくる。
出来上がったハワイアンなめろうをバンズに挟み、なめろうバーガーをビスマスはさしだした。
「どうぞ、食べてみてください」
バリアの向こうからマジックハンドを伸ばして受け取り、ドン・フリーダムは一口かぶりつく。
「これは……マグロの生臭さを醤油とフルーツが打ち消し、完璧に混ざりあっています。……いや、それだけではないですやな」
スマイルマークの目が、斜め下を向いたまま光った。
「このパンのほうもただごとではあらしませんな。おそらくただのパンじゃなく、料理に合わせるために作った特製でしょう。これは……素晴らしいですわ」
「そうでしょう。パンズに合うなめろう、鮪とバナナの相性。エモに値する味に自信があります……」
言葉を続けながら、ビスマスは感動でバリアが解除されたのを確かめていた。
「……から!」
鎧装の固定砲台をフリーダムへ向けようとする。
その時、すでに赤べこキャノンが火を吹いていた。
狙いは不完全だが、とっさにビスマスも引き金を引く。
もとより高重力の弾丸は敵の攻撃の威力を削るためのもの。キャノンの軌道がわずかにずれた。半身に砕けそうなほどの衝撃が走るが、なんとか耐える。
ずれた砲弾で花の足場が砕けていた。舞い上がった破片に飛び込み、残像を残しながらさらに移動。
ドン・フリーダムはバーガーを食べながら、その動きを正確に追ってきた。
「うまいものを食べさせてもらっておいて悪いですが、そろそろ死んでもらうですわ」
最後の一口が仮面の下に消えた。
ドン・フリーダムが汚れた手を軽く上下に振った。
その一瞬に、ビスマスはユーベルコードを発動させた。
『Lord Bismuth Fortress』
鎧装から機械音が響く。
「その身も心も、蒼鉛の如く無限の光也……蒼鉛皇の要塞起動っ!」
ドン・フリーダムは素早く赤べこキャノンを放った。
だが、それはビスマスの思惑通り。
遠距離攻撃を反射する蒼鉛の鎧装は赤べこキャノンすらも跳ね返す。
裸身を自らの砲弾が貫く……いや、寸前、敵は砲弾を自分の手で受け止めた。
「少し……甘く見ていたようですわね」
だが、無傷ではすんでいない。態勢を立て直すつもりか、ドン・フリーダムは動けないビスマスから素早く距離を取った。
成功
🔵🔵🔴
フレイ・ブラッドセイバー
まーた、エモいものですか…
私はメイドであることですかね…
まず自身のユーベルコードで分身をしましょう
出来れば多めに。分身を囮に先制攻撃を回避します
あとはそうですね。
ご奉仕してあげましょうか。
無表情系メイド部隊ってどうでしょう
無表情のメイドがずらっとならんでたり
無表情のメイドが身の回りのお世話してくれたり
……という事でかかりましたねお馬鹿さん
分身と連携して攻撃をします
2回攻撃をする技能も持っていますし捨て身の一撃です。
ここで仕留めましょう!
貴女の計画はこれまでです
戦闘中はクールなメイドさん
戦闘時、真剣な時の口調はステータスの通り
鼻歌
めーでー
この世を滅ぼす愛でめーばえたふんふんふんふんふんふーん
●メイドさんはいるだけでエモい
ドン・フリーダムが態勢を立て直そうとしたところに、他の猟兵たちも接近していった。
(「まーた、エモいものですか……。私はメイドであることですかね……」)
メイド服に身を包んだフレイ・ブラッドセイバー(瀟洒な血濡れのメイド・f00013)は、花の足場を移動しながら考えた。
衣装の力というのは侮れない。試してみる価値は十分にある。
ハイテンポで、しかしどこか寂寥感を鼻歌を歌いながら近づくフレイに、ドン・フリーダムの仮面が向けられた。
「メイドさんが鼻歌を……?」
仮面越しでも、敵がフレイの姿に見いっているのがわかる。
エモいの基準がラビットバニー同様ということは、つまりガバガバということだ。まずはオブリビオンの心に一撃加えることができたらしい。
無表情のまま、フレイはさらに接近しながらユーベルコードを発動した。
だが、メイドさんに見とれていても、ドン・フリーダムは即座にその動きに反応した。
「やらせませんわ」
分身を……分身たちを作り出すよりも早く、ドン・フリーダムは再び絶対無敵バリアを張った。
そして赤べこキャノンが火を吹く。
出現しかけていた分身をキャノンが撃ち抜く。
分身を囮に攻撃をかわそうと考えていたおかげで、フレイはなんとか一撃で倒されるのをまぬがれた。
そして、発動が中途半端でもとりあえずはかまわない。目的は、分身のメイドを敵に見せることなのだから。
「……残念ですね……メイド部隊でご奉仕して差し上げようかと考えていたのですが」
傷だらけで膝をつき、それでもフレイはドン・フリーダムへと告げた。
もっとも、フレイのユーベルコードで呼ぶ分身はあくまで攻撃の手段にすぎないので、並ばせるくらいならともかく奉仕までできたかどうかはわからない。
「メイド部隊で……ご奉仕ですて?」
だが、ちょうてんさいたるドン・フリーダムの頭脳は、即座にご奉仕するメイド部隊を頭の中で正確に想像したようだった。
もちろん、思わず想像してしまったのは目の前にフレイと分身がいたからこそだ。
そして、バリアが解けた。
「……少し想定とは違いますが、かかりましたねお馬鹿さん」
フレイはその隙を逃さず、改めてユーベルコードを発動した。
「曲芸――『我は戦神、叛逆の魔神なり』!」
分身が紅に染まる剣を振るい、ドン・フリーダムのいる場所を含めて一気に攻撃する。
敵は飛び退いてかわそうとしたようだったが、間に合わない。逃れようとしたその体に斬撃が刻まれる。
十一の騎士を構えて、フレイは分身の攻撃の中へと割って入った。
「ここで仕留めましょう! 貴女の計画はこれまでです」
分身の動きに合わせて新月の剣をドン・フリーダムの裸身に突き立てる。1本だけでなく次々に、戦神部隊の剣が次々に彼女を切り裂いていた。
「意気込みはええですわな。けど、こっちも簡単に引き下がるわけにはいかないのですわ」
言葉と共に、赤べこキャノンがフレイの眼前に突きつけられた。
捨て身の覚悟で攻撃したフレイに、それをかわす余力はない。
ドン・フリーダムの血まみれの胸が、大きく上下している。つけた傷は浅くないはずだ。それでも、まだ倒しきれるほどではないということだ。
キャノンが火を吹いた。
フレイの体が近距離からの衝撃で大きくのけぞり、そして花の足場から落とされる。
一時戦場から離脱させられるメイドを、ドン・フリーダムは名残惜しげに見下ろしていた。
成功
🔵🔵🔴
フォーネリアス・スカーレット
恐れない相手にこのUCは無力。だが、猿のUCも手を出さなければ無力だ。故に、言葉で殺す。
「超天才か。何でも作れるそうだな……では、作ってもらおうか。”誰でも貴様を殺せる武器”をな」
何かしらの武器を作ってきたらその通りに使ってみよう。
「どうした、出来ないのか? 全能者は何者にも持ち上げられない石を作れるか、という古典的な問いだ。貴様が天才ならば答えられる筈だ」
結果は『不可能』だろう。
「天才が聞いて呆れるな……貴様は様々な物を作ったようだが何一つとして完璧ではない。誰も貴様を求めない。故に、殺す!」
フックロープ、盾殴り、リニアブレード、炎剣からのチェーンブレードを叩き込んで終わりだ。
●恐れを知らぬもの
花の足場を踏みしめて、全身鎧を着こんだ女性がドン・フリーダムをにらみつける。
アーメットヘルムに開けられた細い隙間から覗くフォーネリアス・スカーレット(復讐の殺戮者・f03411)の瞳は、殺意に赤く輝いていた。
かの強敵が相手でも殺せるか、あるいは痛打を与えられるであろうユーベルコードを彼女は有していた。
だが……。
(「恐れない相手にこのUCは無力。だが、猿のUCも手を出さなければ無力だ。故に、言葉で殺す」)
そう決めて、フォーネリアスは言葉を発した。
「超天才か。何でも作れるそうだな……では、作ってもらおうか。”誰でも貴様を殺せる武器”をな」
ドン・フリーダムは指を顎に持っていき、1秒にも満たないわずかな時間、思案した。
「ちょっとあやふやすぎて想像しにくいですわ。まあ、思いついても作ってあげる理由はないですけど」
身構える様子もなく、ドン・フリーダムは答えた。
「コンコンコンをしっかり修理できたら、そういうもんも出てくると思いますわ。直るまで待っとってもらえます?」
くだらない言い訳だ。
フォーネリアスはドン・フリーダムの言葉を鼻で笑ってみせた。
「つまりは、出来ないのか? 全能者は何者にも持ち上げられない石を作れるか、という古典的な問いだ。貴様が天才ならば答えられる筈だがな」
フォーネリアスは敵へと一歩にじりよる。
「それは天才って言葉をかいかぶりすぎですわな。不本意ですけれど、わたくしは全能者なんてたいそうなもんじゃないですわ」
殺意のこもったフォーネリアスの動きに、果たして敵は気づいているのか。
ドン・フリーダムは警戒する様子を見せてはいない。
だからと言って、無警戒だと考えるほどフォーネリアスは甘くなかったが。
「もし全能やったら、ドラゴンテイマーさんの手を借りる必要もありませんでしたしなあ。そもそも、コンコンコンをこうして修理するはめにもならんですわ」
ドン・フリーダムが1歩後退した。
「天才が聞いて呆れるな……貴様は様々な物を作ったようだが何一つとして完璧ではない。誰も貴様を求めない。故に、殺す!」
召喚した巻き上げ機構付きのフックロープがドン・フリーダムへ飛ばそうとした。
だが、その寸前フォーネリアスの真下から黒い壁のようなものが出現した。
フックロープが、その後さらに攻撃しようとした武器が壁に阻まれる。
「まったく恐い恐い。あんまり恐いから、『わたくしを恐がらせた相手を見えんようにする壁』を作ってしまいましたわ。そちらの技は、どうやら恐怖させた相手になにかするものみたいでしたからね」
声は先ほどよりも近くで聞こえた。
言葉をどう操ろうと、相手が反撃するマシンを作ってくるという点は変わらない。
その対処をフォーネリアスは考えていなかった。
壁が倒れ込んできて、フォーネリアスを押し潰す。さらに攻撃をしてきたらしく、壁の上から衝撃が襲ってきた。
自分の肺から空気が無理やり押し出される音が聞こえた。
花の足場が背中で砕けて、フォーネリアスは一時戦場から排除される。
(「だが……奴が完全ではないことはわかった。だとすれば、殺せぬ相手ではない!」)
消えた壁の向こうに、もうドン・フリーダムの姿はなかった。
失敗
🔴🔴🔴
緋縅・善蔵
先ずは【オーラ防御】と【力溜め】で防御底上げて【盾受け】で初撃で受けるダメージを可能な限り減らす。
「惜しいとこだね。あれを倒さねばならんとは」
【空中戦】と【ダッシュ】を組み合わせて接近。レベル÷2分の〔支援機要請〕で死角からの攻撃にも対応。
ついでに〔ミサイルカーニバル〕の板○サーカスでエモさ醸成。回避は【第六感】にも頼る。
敵の前まで来たら花一輪差し出して、エモさをもう一押し。
バリアが消えたらフリーハグ。ハグに成功したらマジ殴り。
マジ殴り可能だったら〔回転撲殺拳〕
「ホントはオブリとは言え女性に手を出したくないんだけどねぇ……。そこも含めてフリーなんでしょ?」
念の為〔戦場の亡霊〕保険も掛けておく。
●戦場のフリーハグ
猟兵の攻撃でドン・フリーダムは傷ついていたが、それでもまだ倒れる様子はなかった。
「またお客さんですか」
振り向きながら、オブリビオンは裸身から暴風を放った。
猟兵の周囲に出現しようとしていた多数の全身鎧を本人ごと暴風が薙ぎ払う。
足場が砕けて、死角をフォローするために召喚した無人機が軒並み叩き落とされた。
本人も吹き飛ばされはしたものの、巨大な剣を盾のように構えて身を守り、残った足場に強く足を踏ん張ってどうにか残る。
「惜しいとこだね。あれを倒さねばならんとは」
緋縅・善蔵(首輪付き・f06737)はそれでもあわてる様子を見せずに、フリーダムを見て呟く。
空中に残ったわずかな足場を蹴って、彼は一気に加速する。
「大丈夫ですわ。わたくしを倒すことなんてできませんから」
ミサイルを放とうとした善蔵の動きに合わせて、ドン・フリーダムは絶対無敵バリアを展開した。
赤べこキャノンが善蔵に向かって放たれた。勘を頼りにかわそうとするが、しかしはるかに格上の強敵は勘で読んだその先をさらに読んできた。
竜の鱗を用いた鎧がキャノンに貫かれ、強靭な筋肉質の体に大きな傷が刻まれる。
しかし、ミサイル発射までは妨げられない。
複雑に絡み合う軌道でミサイルが飛び、花咲き乱れる空間にスモークが美しい幾何学模様を描き出す。
「これは……っ! こないに美しい軌道を計算したというのですか……?」
敵はミサイルが描く軌跡に一瞬見いったようだった。
バリアの寸前で爆発が起こる……が、その煙の間から、花が差し出される。
オブリビオン花を受けとると、2人の間を阻んでいたバリアが消え去った。
善蔵はその瞬間攻撃に――まだ、移らなかった。
ドン・フリーダムの裸身を静かに抱きすくめる。
そして、彼女もまた善蔵の背に静かに手を回した。
瞬間、至近距離から放った彼の拳がドン・フリーダムの腹部を強く打った。
「ホントはオブリとは言え女性に手を出したくないんだけどねぇ……。そこも含めてフリーなんでしょ?」
一撃を与えた勢いを駆ってさらなる連撃を、善蔵は放とうとした。
拳に固い感触。
「そうですわな。抱き締めて殴るのも、もちろん自由ですわ。けど、殴られないのも自由ですからな」
絶対無敵バリアが再び展開されたことに善蔵は気づいた。
善蔵のマジ殴りは効いたようでドン・フリーダムはお腹を押さえてうずくまっていたが、しかし赤べこキャノンだけはしっかり彼の方へ向けられていた。
猟兵とオブリビオンの戦いは、もちろん交互に1手ずつ放つ紳士的なものではない。
……が、一方が何度も技を放とうとすれば、相手にも少なくとも同じくらい動く余裕を得ることになる。
敵が格上の強敵ならなおさらだ。
(「かわせるか……っ!」)
頭の中で危険信号が鳴る。頭の毛包が占領されるほど鍛え上げた筋肉に力を込めて後方に跳ぼうとする。
それより早くキャノンは放たれた。
強烈な衝撃が全身を鎧ごと引き裂いていく。瀕死の傷を受けながら、善蔵は花の足場から落下していく。
まだお腹を押さえながら立ち上がったドン・フリーダムの背後で戦場の亡霊が立ち上がったのが視界に入る。
保険としてしかけておいたそれがうまく働いてくれれば、もう一撃は入れられる。
亡霊に気づかれないよう、視線を向けぬようにすることが、この場で彼にできる最後の行動だった。
苦戦
🔵🔴🔴
胡・翠蘭
ふふ、自由の御方…
今までの幹部の方達よりも手強いと肌で感じますわね…
ですが、策が無いわけではございません
一緒に、ひと時の逢瀬を楽しみましょう?
【SPD】
まずは暴風対策に防具改造と激痛耐性活性
第六感と野生の勘で風を見切り、直撃しないよう防御と回避を
また、反撃のために…ええ、最低限自分の姿勢を保てる程度に足場を確保するよう、足元にも注意致します
反撃は…わたくしのユーベルコード
人の足より、手より、音よりも疾い…光の速さ
そう、視ることの疾さ
わたくしの視界で敵を捉えたなら、マヒと呪詛、毒を込めた淫蕩の触手を呼び出し、敵へ向けて嗾けましょう
視界が花弁や土埃で遮られるなら…それ事、触手で蹴散らしましょうか
●快楽の泥沼は艶やかに
立ち上がったドン・フリーダムが素早く視線を巡らせる。
仮面に包まれた視線の先に、猫のような瞳を持った女性がいた。
「ふふ、自由の御方……。今までの幹部の方達よりも手強いと肌で感じますわね……」
金と緑、2色の瞳が艶やかな黒髪の下からドン・フリーダムの隙をうかがっている。
妓楼での仕事着でもある中華風の衣服は、彼女の形のいい胸を際立たす色使いをしていた。
「ですが、策が無いわけではございません。一緒に、ひと時の逢瀬を楽しみましょう?」
胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)の舌が一瞬だけ覗き、薄い桜色の唇を少し湿らせた。
「女性同士というのも自由ですなあ。でも、楽しい時間になるかどうかは保証できないですわよ」
ドン・フリーダムの仮面が翠蘭へと向けられた。
オブリビオンの滑らかな裸身にはすでに猟兵たちとの戦いによる傷が刻まれていたが、それでもなお輝くかのごとく美しい。
その姿が翠蘭の視界から消え去った。
いや、消えたわけではない。激しい暴風によって足場を形成する花が舞い上がり、ドン・フリーダムを覆い隠したのだ。
腕に絡みつく羽よりも軽い羽衣が風にあおられて激しく揺れ動き、銀製の簪についた宝珠が音を立てる。
勘を頼りに翠蘭は足場から飛んだ。
風は一気に強くなって、花でできた足場を容易に砕いたのだ。
翠蘭もまた避けようもなく風に巻き込まれる。見切って直撃は回避しようとしたが、範囲内を容赦なく薙ぎ払う風に腕が、脚が、体がねじあげられ、翻弄される。
それでも諦めず、最低限足場だけは確保するために翠蘭は足元に視線を送った。
風で砕けていく中で、まだ無事な場所へと向かって幾度か跳ぶ。
「……吹き飛ばすつもりでしたけど、よく耐えきりましたね」
残っている足場に膝をつく翠蘭に向かってドン・フリーダムが言う。
まともに立っていられない。膝をついた翠蘭は、オブリビオンの声が聞こえてきた方向へ2色の視線を向けた。
まだ砕けた足場が視界の中を舞っている。
けれども見える。手も足もまともには動かせないが、見ることはできる。
(「人の足より、手より、音よりも疾い……光の速さ。そう、視ることの疾さ」)
ドン・フリーダムは追撃のため翠蘭に近づこうとしたようだった。
「ふふ、……甘くて深い泥濘の沼に堕ちてしまいましょう?」
苦痛に歪んでいた唇が笑みを形づくる。
笑顔が敵に届くよりも早く、触手が翠蘭の体から飛び出した。
彼女の体内で蠢く触手は、翠蘭の得た快楽を喰らい、そして翠蘭の敵へと襲いかかる。
オブリビオンの裸身に触手の群れが絡みつく。
「これは……ん……ぅっ! こんなsnegな攻撃が……!」
快楽で侵す淫らな触手が甘く、しかし逃れることを許さぬ勢いでドン・フリーダムの作り物のような美しい肢体を刺激する。
花咲き乱れる空間に、翠蘭にとっては妓楼で聞きなれた嬌声が響く。
わずかな足場でなんとか体を支えながら、翠蘭はその光景を見つめていた。
声にならない声をあげて、ドン・フリーダムが大きく体をのけぞらせる。
「楽しんでいただけていますか、自由の御方?」
「あ、ああ……楽しんで……ますなあ……ですけど……。サービスシーンは、見せる側より見る側のほうがわたくしの好み……ですのでっ!」
触手をつかんで、体から引き剥がす。
距離をとろうとするドン・フリーダムを追う余力は、今の翠蘭にはなかった。
けれど、別方向から伸びてくる花の足場を伝い、まだ無事な猟兵たちが近づいて来ていた。
成功
🔵🔵🔴
七々鐘・茉莉也
私達はとっくに欲望のままに生きているの
やりたくない、我慢したい
それだって欲望なのよ、貴女の考えで皆の自由を奪わないで
私の欲望も見せてあげる。この世界を、私の望むように護るわ
攻撃は見切りと第六感で察知し、オーラ防御とメガブラストキャノンで武器受けし防御に徹するわ
その後、UCを使って変身よ。全ての罰を飲み干しなさい
バリアはこのUCの生まれた経緯を話して無効化を狙うわ
この戦争で倒したオブリビオンと心を通わせて覚醒させた新たな力…
牛美さんが届けてくれた想いを乗せて闘う私は、貴女には絶対に負けない!
全力魔法と一斉掃射の必殺技で決めるわよ《ブラスト・エクストラクション》
ミルキーウェイゼロクラッシャー!!!
●絆の白き一撃
露に濡れた花弁の上に立ちあがり、ドン・は再び花を模した台座の上に立った。
どうやら猟兵たちから距離をとろうとした様子だったが、傷を受け、体力を消耗した彼女をたやすく逃す猟兵たちではない。
赤と青、2色の瞳を持つ女性が大型のキャノンをドン・フリーダムへと向けた。
長い黒髪の猟兵は一見すると若い人間の女性に見えたが、まるで飾りのような小さい黒い角が、羅刹であることを示している。
「ドン・フリーダム……欲望のままに生きろと貴女は言ったわね」
七々鐘・茉莉也(羅刹の戦巫女・f11217)の言葉には答えず、ドン・フリーダムはまた絶対無敵バリアを展開した。
「私達はとっくに欲望のままに生きているの。やりたくない、我慢したい。それだって欲望なのよ、貴女の考えで皆の自由を奪わないで」
「……別に、我慢したいなら好きにすればええと思いますけどな。使いたくないもんを使えとまで言うたつもりはありませんわ」
「へりくつにつきあうつもりはないわ。私の欲望も見せてあげる。この世界を、私の望むように護るわ」
互いに向けるのは、大型の砲。
赤い牛の口から突き出されたキャノンに、茉莉也は白い大口径エネルギーランチャーで対抗する。
「なら、その欲望、見せてもらいましょうか」
先に火を吹いたのはドン・フリーダムの赤べこキャノンだった。
絶対無敵バリアをどうにかしなければ、茉莉也の攻撃は通じない。
だから茉莉也は武器でそれを受け止めようとした。
守りのためにオーラを込めると、茉莉也の体に刻まれた紋章が浮かび上がった。
とはいえ、多少ある技術を単に使った程度でオブリビオン・フォーミュラたるドン・フリーダムの攻撃を十分に防ぐことはできなかった。
赤べこキャノンの直撃を受けて、衝撃が茉莉也の体を走り抜ける。次いで、破片が彼女の体を切り裂いていく。
花を蹴散らして、茉莉也の体が後方まで吹き飛ばされた。
「終わりですかね?」
「いいえ……まだよ」
大砲で体を支えて茉莉也は身を起こす。
全身にきつい痛みが走った。
それでも、防御したおかげで一度……たった一度引き金を引くくらいの力はなんとか残っている。
「全ての罰を、飲み干しなさい。《ミルク・ブラスト》」
まとうのは純白の装束。砲撃を強化する重武装形態へと変化して、茉莉也は敵へ大砲を向ける。
「いくら強化しても、絶対無敵バリアは貫けないですよ?」
「そう思う? なら……聞かせてあげる。この技が生まれた理由。私と心を通わせた牛美さんのことを」
茉莉也は語り始めた。それを、ドン・フリーダムは赤べこキャノンを構えたまま聞いていた。きっと、天才であるがゆえに好奇心も強いのだろう。
このバトル・オブ・フラワーズで彼女が経験した戦いの記憶を茉莉也は語った。
長く続いた戦争の中で経験した1戦において、茉莉也は倒したオブリビオンと心を通わせて新たな力を得たのだ。
「牛美さんが届けてくれた想いを乗せて闘う私は、貴女には絶対に負けない!」
「倒した敵との友情……本当かどうかはわかりませんけど、ええ話ですなあ……」
スマイルマークの、斜めになった目元をぬぐった時、ドン・フリーダムのバリアが解けた。
「全力魔法と一斉掃射の必殺技で決めるわよ《ブラスト・エクストラクション》」
あわててドン・フリーダムが赤べこキャノンを構え直すが、さすがに茉莉也のほうが早い。
「ミルキーウェイゼロクラッシャー!!!」
純白の装束によって出力をあげた砲撃を、茉莉也は叫びと共に放った。
光がドン・フリーダムを飲み込む。
けれど、強化の代償に茉莉也は移動速度を失っている。遅れて放たれた赤べこキャノンもまた、茉莉也を飲み込んだ。
2門の大口径砲による相討ちの光が消えたあと、茉莉也は花の足場から叩き落とされていたが、まだドン・フリーダムは立っていた。
大きなダメージを負ったオブリビオンは、キャノンを支えに荒い息を吐いていた。
苦戦
🔵🔴🔴
ナミル・タグイール
【カタラPOW組】
身につけるのは金ぴかのみ…エモいにゃ!流石ドンですにゃ。
何でも出てくるコンコンも欲しいけど、それよりもその身につけてる金ピカのが欲しいにゃ!寄越せにゃ!
先制攻撃は銃口の向きから攻撃を予想しつつ【野生の勘】で避けるにゃ。
ちょっとくらいの被弾は覚悟にゃ!生き残ればいいにゃ!
仲間が致命傷負いそうな予感がしたら金ぴか斧でかばう(ミコの邪魔はしない
エモ要素はUCの輝き(目からビーム
隙ができたらUCを発動して金ぴか付きの部位を切断してやるにゃ!
【呪詛】と黄金の輝きに魅了されろデスにゃー!(両目を見開いてキラキラなビーム
完全にバリアが消えたら斧で【捨て身の一撃】突撃にゃ!金ぴか寄越せにゃ!
黒玻璃・ミコ
【カタラPOW組】で参加
※スライム形態
◆行動
【黒竜の接吻】を使用
ブラックタールである私にとって姿とは仮初めのもの
重要な内臓などの器官は体内での位置をずらして
ドンさんの先制攻撃で致命的ものは避けてましょう
攻撃をやり過ごせたら一歩前に出てドンさんに語り掛けましょう
そもそも、魅惑の曲線を誇るぼでぃーを
無粋な砲撃で傷付けるのは惜しいと思いませんか?
我慢しなくて良いのです
その指先でつるつるでぷるんぷるんを突っ突きたいでしょう
我慢することなくその指で突っつけば思う壺
鋼鉄をも溶かす腐食毒をぶちまけるついでに
熱ーい死の口付けで体内の芯から蕩かして差し上げますよー
◆補足
アドリブ歓迎
キギ・レインメーカー
■行動方針
エモさについは基本的にナミルちゃんとミコちゃんに任せるけど協力できることはなんでもしようか
無敵バリア解除前の赤べこキャノン対策は「逃げ足」で回避に徹するよ
バリア解除後は「証しの守り花」で赤べこキャノンを封じる試みを
指摘する弱点は「赤べこの構造上、胴と首の接続部が振り子状になっているから簡単な介入でも狙いを定めることが難しくなるはず」
実証は拳銃とかで赤べこキャノンの発射に合わせて赤べこ頭部分を射撃して明後日の方向にキャノンの攻撃を逸らさせてみようか
あとは「援護射撃」「挑発」等でみんなが動きやすいようにサポートを
【その他】
【カタラPOW組】で参加。アドリブ歓迎です。
●洞窟の仲間たち
さしものドン・フリーダムも消耗しており、近づいてくる猟兵たちから距離を取る余力はもうないようだった。
黒い影が2つと、白い影が1つ、タイミングを合わせてドン・フリーダムに接近する。
「身につけるのは金ぴかのみ……エモいにゃ! 流石ドンですにゃ」
目を輝かせて突き進むのは、黒毛の猫科キマイラ、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)だった。
「何でも出てくるコンコンも欲しいけど、それよりもその身につけてる金ピカのが欲しいにゃ! 寄越せにゃ!」
彼女と共に前進する2人は、彼女の呪いに満ちた財宝が眠る洞窟に集った仲間だ。
「財宝に目がありませんね、ナミルさんは」
丸っこい形をしたブラックタール、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)が言った。
「まあ、それでやる気が出るんならいいんじゃないかな?」
髪に紫の花を咲かせて、白い翼を背負ったオラトリオのキギ・レインメーカー(オラトリオの探索者・f02371)が適当な様子で頷く。
「さしあげても構いませんけどね。コンコンコンがちゃんとコンコンコンできるようになれば、こんなものいくらでも手に入りますから」
ドン・フリーダムは脚に力を入れて、襲ってくる3人の猟兵たちを見回した。
「……と、言うても修理の邪魔をやめる気はないんですやろなあ」
これで幾度目か、絶対無敵バリアが展開される。
赤べこキャノンは猟兵たちへと向けられ、素早く3連射された。
「多少に被弾は覚悟の上にゃ! 生き残ればいいにゃ!」
ナミルはとっさに前に突っ込んだ。
とはいえ、猫科のその瞳で、突っ込む前に砲口の向きは確かめている。
頭上を通り過ぎた砲弾が、ナミルの毛皮を削り取っていき、彼女の瞳に涙が浮かぶ。
「ミコ、キギ、大丈夫かにゃ?」
さらに敵へと接近しながら、彼女は仲間たちへと声をかけた。
特にブラックタールにはまともに大砲が当たっているように見えたからだ。
「ご心配ありません。ブラックタールである私にとって姿とは仮初めのもの。重要な内臓などの器官は体内での位置をずらして受けていますから」
応えたブラックタールも、ナミルと同様に敵へと接近を続ける。
「こっちも……なんとか……」
逃げ足を生かしてキギは砲弾から逃げ切ろうとしたようだったが、残念ながら逃げ切れなかったようだ。オラトリオの青年は花の足場にへたり込んでしまう。
とはいえ、接近してくるナミルとミコがいる以上、ドン・フリーダムも彼にとどめを刺している余裕はない。
「次はこっちの番にゃ、ドン・フリーダム! ナミルのエモい輝き、金ピカパワーをとくと見るがいいにゃー!」
高貴さを漂わせる紫と金の瞳が、その瞳と同じ色の輝きを放つ。
命中した敵を切断する光線が絶対無敵バリアに阻まれる――。
「まるで芸術品のような輝き……ああ、まずいです、バリアが解けてしまいますわ!」
けれど次の瞬間、絶対無敵バリアが消えて、黄金のブレスレットを身に着けたドン・フリーダムの腕を光線が深々と切り裂いた。
接近を阻もうと赤べこキャノンをドン・フリーダムは構えた。
けれど、バリアが解けた瞬間、普段からの仲間でなければ割り込めなかったであろうタイミングを狙ってキギも動いていた。
足場を構成する花を流れ出した血で濡らしながらも青年はなんとか半身を起こし、口元に人差し指を当てる。
「そのキャノンには……弱点があるよ。赤べこの構造上、胴と首の接続部が振り子状になっているから簡単な介入でも狙いを定めることが難しくなるはず」
声に力が入っていなかったが、それでもキギはドン・フリーダムのユーべるコードの弱点を指摘する。
「答え合わせと行こうか」
U-yake、UDC-your all kill equipmentの名を持つ銃火器の1丁を構えた。
痛みをこらえて素早く狙い、宣言した通り胴と首の接続部に向けて引き金を引く。
大きな傷を受けた青年は反動で火器を取り落とすが、その弾丸は過たず赤べこの狙った場所へと命中していた。
ナミルを狙ったキャノンが明後日の方向へと飛んでいく。
ドン・フリーダムの腕に、キギの髪に生えているのと同じトリレイテアの花が咲いた。
キャノンの引き金を引いても、小さな金属音がするばかり。
「それはしばらく使えないようですね。ですが、そもそも、魅惑の曲線を誇るぼでぃーを無粋な砲撃で傷付けるのは惜しいと思いませんか?」
敵のすぐそばまで近づいていたミコが問いかける。
「我慢しなくて良いのです。その指先でつるつるでぷるんぷるんを突っ突きたいでしょう」
「黒いツルツル……これもエモいですなあ……」
ドン・フリーダムは、欲望に忠実だった。もっとも、突きたいという欲望だけでなく、キャノンが使えないのでつかんで投げ飛ばそうという意図もあったようだが。
滑らかな五指がミコの体に食い込んだ瞬間、体内で生成していた腐食毒が漏れた。
指先を焼かれたドン・フリーダムの動きが止まる。
隙を逃さず、ミコはスライム状の体を花の足場から跳ねさせて、仮面の下にある唇に自分の唇を触れさせる。
「熱ーい死の口付けで体内の芯から蕩かして差し上げますよー。いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第肆の竜よ!」
触れ合う唇を通じて、腐食毒がオブリビオンの体内へと流れ込んでいく。
「ううっ……これはちょっとばかり、熱すぎますわ!」
改めてドン・フリーダムの指がミコの体に食い込んだ。
細い腕に似合わぬ力で今度こそ彼女はミコを投げ飛ばす。
飲み込まされた毒をオブリビオンは吐き出そうとしたようだった。
けれど、そんな暇もなく、すでにナミルが迫っていた。
「金ぴか寄越せにゃ!」
黄金に妖しく光る斧を構えて突進するナミルに、敵は反応することができなかった。
斧の一撃が、ドン・フリーダムの体へと食い込む。
さらにその場にいた、あるいは一度排除されてから追いついてきた他の猟兵たちによる攻撃も、オブリビオンの体を貫いていく。
ドン・フリーダムはまだ倒れはしなかったが、限界が近いのは明らかだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
スパイニア・ソーン
天才にして天災、オブリビオン・フォーミュラ、ドン・フリーダム。
食うに困らないコンコンシステムを開発したのは敬意を表そう。
しかし、お前の『修理』を私は受け入れない。
果て無き欲望の末に待ち受けているのは無秩序な混沌だ。
故に、私はお前を否定する。
SPD&先制対策
ゼファーの暴風には苦しめられたな。
だが、何度も同じ手は喰らわない。
行こう、コアトル。彼奴を骸の海に還すぞ(相棒の黒蛇をクロスボウモードにする)
暴風の薄い場所を【見切り】【野生の勘】で見つけ出し、花びらに埋まりながら【迷彩】で景色に紛れて、狙撃を試みる。
精霊の力宿る不可視の毒矢、剥き出しのお前の胸を射抜いてみせる。
クーナ・セラフィン
…まあそれもフリーダムっちゃそうだよね。
衣服にすら縛られないとかまあうん?
いやでも絶対碌な事にならないよねその主張の果ては。
だから止めさせて貰うよ。
他の猟兵と連携。
死角から反撃するとくれば背後か吹雪に紛れて、相殺するなら槍かそれを持つ手を狙ってくるかな?
どこからどこを狙ってくるか予想してれば対応はできるはず。
UC使用する準備をしつつ敵がマシン先に出現させたらカウンターに集中。
マシンが命中する前に先制攻撃、逆の手の剣で切り払う。
対応しきれぬ数の場合は足場間飛び移り空中戦で翻弄。
そして仲間とタイミング合わせUCを発動、吹雪と花弁の嵐でドン・フリーダムを凍えさせ幻を見せてやる。
※アドリブ絡み等お任せ
●ちょうてんさいが墜ちるとき
傷ついたドン・フリーダムに対して、猟兵たちは攻撃を続けていた。
「天才にして天災、オブリビオン・フォーミュラ、ドン・フリーダム。食うに困らないコンコンシステムを開発したのは敬意を表そう」
言ったのはスパイニア・ソーン(致命の一矢・f03958)だ。
体に巨大な黒蛇をまとわりつかせた、青い肌のキマイラ。
「不完全なもんを誉められても、嬉しくありませんわ」
「それも科学者としての生き様だろうな。それでも、お前の『修理』を私は受け入れない。果て無き欲望の末に待ち受けているのは無秩序な混沌だ。故に、私はお前を否定する」
「それも自由ですわな。……まあ、全部吹き飛ばさせてもらいますけど」
ドン・フリーダムの周囲で風が巻き起こる。
「ゼファーの暴風には苦しめられたな。だが、何度も同じ手は喰らわない」
スパイニアはすでに乗り越えた敵のことを思い出していた。
あの風よりも、おそらくドン・フリーダムの風は強力なのだろう。
「行こう、コアトル。彼奴を骸の海に還すぞ」
それでも越えると決めて、彼女は相棒の黒蛇、コアトルに呼びかける。
黒蛇は狙撃弩へと素早く姿を変えた。
オブリビオンの体から暴風が放たれる。
花びらが舞い上がる。風によって足場が砕かれていっているのだ。
コアトルが変化した弩をしっかりと握って、スパイニアはその風を見極める。
猟兵たちが足場から落とされ、あるいは動きが取れなくなる。そして、スパイニアの体も舞い上がる花に隠された。
「……まあそれもフリーダムっちゃそうだよね。衣服にすら縛られないとかまあうん?」
足場の欠片の上を飛び移りながら、小柄な歩く猫がドン・フリーダムのほうへと接近していった。
灰色の滑らかな毛並みを、騎士然とした男物の装束で包んだケットシー。
「いやでも絶対碌な事にならないよねその主張の果ては。だから止めさせて貰うよ」
クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は小柄な体でも扱える、白雪と白百合の銀槍をドン・フリーダムへ向ける。
「確かに、止められそうな状況になってきましたわね。まあこちらも精いっぱい抵抗はさせてもらいますわ」
肩をすくめて彼女は言うが、しかしその動きから諦めた様子は感じられない。
傾いた笑顔の仮面に隠された顔で、クーナの動きを確実にうかがっている。
「こっちに近づこうとする様子はありませんね。となるとその槍からなにか……おそらくは花吹雪を飛ばしてくるですやろ」
ドン・フリーダムはクーナがしかけようとしている攻撃を見極めたようだった。
「では答え合わせといこう。こんな趣向はどうだい?」
クーナが手にしたヴァン・フルールが花吹雪を放つ。
「それでしたら、こちらは花の熱を集めるマシンで対抗させてもらいますわ」
宣言した瞬間花の足場の陰からクーナの手元を狙って熱風が吹きつくけてくる。
「さすがはちょうてんさい、こちらの技などお見通しというわけだね。でも、その反撃を予想していれば、対応できるものだよ!」
槍を持っているのとは逆の手で、ルーンをあしらった剣を抜いた。
足場を飛び移りながら振るった剣でマシンを切り払う。
全身に高熱を浴びる――が、銀槍を落とされるのは阻止することができた。
火傷を負いながらも雪交じりの花吹雪をドン・フリーダムに向けて、そしてクーナは大きな声を発した。
「今だよお姉さん、タイミングを合わせて!」
「ああ、わかっている」
砕かれて舞い上がった足場の花に紛れて、スパイニアが弩でドン・フリーダムを狙っているのにクーナは気づいていた。
おそらくはドン・フリーダムも気づいてはいたのだろう。
けれど、今かのちょうてんさいは、クーナが放った花吹雪を浴びてその裸身が氷漬けになり、幻覚を見ている。
「精霊の力宿る不可視の毒矢、剥き出しのお前の胸を射抜いてみせる」
黒蛇の精霊が宿った弩から短い矢が飛んだ。
それはスパイニアが告げた通り、ドン・フリーダムの胸を貫く。
「……お見事、と、言っておくべきでしょうね。まったく……本当に、不本意な展開が続きますわ」
ドン・フリーダムが胸を押さえた。
そして、仮面の下から血を吐きだして、オブリビオンは骸の海へと還っていく。
これが最後かどうかはわからないが……猟兵たちは、キマイラフューチャーの災厄の根幹たる敵を、討ち果たしたのだ。
崩れ落ち、花の足場から落下していく彼女の姿を……スパイニアは最後まで敬意を込めて、見送った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴