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求めた先にあるものは

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 腕にはそれなりに自信があった。頼りになる仲間もいた。
 過信をしたつもりもない。慎重には慎重を期したはずだった。
 ただ、"焦り"はあったのかもしれない。
 迷宮内の災魔は強さを増し、迷宮は刻一刻と姿を変える。
 戦うためにいるはずの自分達学生が「転校生」に頼らざるを得ない状況。
 自分も何か力になりたいと日々募る焦燥感の中、もたらされるは甘い囁き。

 ──ある迷宮の奥底に、強大な"力"が隠されているという。

 勿論、完全に信じたわけではなかった。
 そんな物があるのなら、とっくに誰かが回収に向かっているだろうと。
 しかし、僅かでも可能性があるのなら……。
 一度浮かんだ好奇と欲望を抑えることは難しい。
 かくして少女──レアは、件の迷宮に挑んだ。

 ──そうして今、災魔に追われてかろうじて転がり込んだ迷宮の一室で、無数の書棚の陰にうずくまりながら少女は震えていた。
 身体が軋み、全身がじくじくと痛みを告げる。
 災魔と対峙した時か、逃げ惑っていた時か、或いは自らも気づかぬ内に負ったものか。
 その痛みが何時のものであるかはもはや区別はつかなかった。
 意識を手放さないようにするだけで精一杯であった。
 次に見つかれば、もはや逃げることもかなわないだろう。

 キィ、と部屋の扉が開く音がする。
 軽い足音は、重い鎧を纏った騎士のそれではない。
 ならば仲間か、あるいは──"私"か。
 しかし傷ついた少女にそれを確かめる術はなく。
「助けて……」
 ささやくように願いを捧げ、うずくまるのみであった。


「皆様は、強くなりたいと思いますか?」
 表情を変えることなく、ニニア・ウェン(欠片探し・f01860)はこてりと首を傾げながら集まった猟兵の面々に問うた。
「アルダワ魔法学園に、数多の書架で形成されたとある迷宮があります。
 そこに、強大な"力"が隠されているという噂があるのです。
 それが何であるかは全く定かではないうえ、確かめた人もいないといいますが」
 ──信憑性は、とても低いものですね。と、付け加えるニニアは、表情こそ変わらないものの、その声音はどこか残念そうだ。
「今回は皆様にこの迷宮を探索し、そこに住まう災魔を撃破していただきたいのです。
 ただ少し、問題がありまして──」
 曰く、猟兵たちより前に、この迷宮に4人の学生が潜ってしまったという。
 どうやら先の噂話を聞いて、"力"を求めて先走ったようだ。
「迷宮に入り込んだ学生の内、3人はまだ比較的浅い部分にいるようです。
 少々入り組んだ迷宮ではありますが、なんとかして見つけ出して保護してあげてください。
 場合によっては災魔と戦うこともあるかもしれませんが、この辺りのものは皆様の相手にはならないでしょう」
 あとの一人は──。
「具体的な場所までは予知できなかったのですが、どうやらかなり奥の方まで入り込んでしまったようです」
 それほどの深部となれば、助け出そうと思えば迷宮の主たる災魔との戦いは避けられないだろう。
「どうやら、この災魔は他者の姿や技を模倣するようです。
 皆様の力が強ければ強いほど、返ってくるそれも大きくなるかもしれません」
 重々、ご注意ください、とニニアは変わらぬ表情で頭を下げた。


桐白
 皆様はじめまして。桐白と申します。
 これから素敵な冒険を紡ぐお手伝いをできればと思います。
 手探りな部分が多いため、ご不便をおかけすることもあるかもしれませんが、何卒よろしくお願いいたします。

 今回はアルダワ魔法学園のとある迷宮の探索行兼救出依頼となります。
 迷宮は無数の書架と書物で形成されていますが、本にはおそらく意味のある事は書かれていないでしょう。

 まずはどのように学生達を探し、救出するか。
 プレイング、お待ちしております。
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第1章 冒険 『単純な生徒救出事案』

POW   :    オブリビオンを見つけ次第、張り倒して進みます。

SPD   :    回避できる戦闘は回避し、生徒を救出しにいきます。

WIZ   :    生徒が通った跡を見つけ、助け出して行きます。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

グロリア・グルッグ
「功を焦って力を欲しがるのはルーキーにありがちですよねぇ。でも失敗から学ぶことは多いですし、彼らを助けて再勉強する機会を与えましょうか」

エレクトロレギオンを散開させ、辺り一面を捜索させます。
同時に電脳魔術で他の猟兵とも共有できるマップを製作し、レギオンの位置情報やそれが消えることで敵の早期発見する等で協力します。
また技能の【世界情報】や【情報収集】を電脳魔術に応用し、迷宮で遭難した学生達が逃げ込みやすいと思われる地点を割り出してみましょう。
必要な情報はアルダワ魔法学園から取り寄せますが、情報に不足があればバレない程度に【ハッキング】してより精度の高い情報を貰いましょう。


ヘンペル・トリックボックス
はてさて、近道に飛びつきたくなる気持ちは分かりますが、突っ走る若者を諫めるのは大人の仕事。やんわりふんわり紳士的に言いくるめて、地上にお帰り願いましょう。

シルエットと手分けして迷宮をマッピングしながら、生徒の通った痕跡や傾向から【情報収集】しつつ捜索します。痕跡が見つかり辛いようであれば、不安定は承知で【第六感】を頼りに進むとしましょう。
オブリビオンが徘徊しているルートがある、危険なトラップを感知した、生徒が発見出来た等々、捜索に参加している方々全体に有益な情報は積極的に共有し、捜索の最適化を図っていこうと思います。



「はてさて、近道に飛びつきたくなる気持ちは分かりますが、
 突っ走る若者を諌めるのも大人の仕事でしょう」
 迷宮内にあってもその紳士然とした佇まいを崩さぬヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)は、ぐるりと自身をとりまく書架を見渡しながら呟いた。
「功を焦って力を欲しがるのはルーキーにありがちですよねぇ。
 でも失敗から学ぶことは多いですし、彼らを助けて再勉強する機会を与えましょうか」
 応えるグロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)は、桃色の髪を揺らしながら、電子の魔術を奔らせる。
 勝手知らぬ土地であれば、まず重要なのは情報収集。
 グロリアは、宙空に描いたスクリーンより大量の機械兵器を作り出す。
 一つ一つはそれなりでも、数は力だ。
 "軍団"の位置を把握し、迷宮の形を割り出す。
 本来は戦闘用の兵器ではあるが、応用すればこんな事もできるのだ。
 ──ただ、バグがでなければいいけれど、と密やかに思う。
 ぞろぞろと、四方に飛びゆく兵器を見て、感心したようにヘンペルは頷き。
 ならば、と手にした杖で軽く地を叩く。そうして指を鳴らせば、生まれ出るは奇矯な影。
 己と五感を共有し、影に溶け込む式の術。
 立ち並ぶ書架によって形作られたこの迷宮ならば、なるほど偵察には適任だろう。
『いってらっしゃい。あまり巫山戯すぎないように』
 命ぜられた影は大げさな程に一礼をし、迷宮の暗がりへと溶け込んでゆく。
 “数は多いが脆い兵器”と”単一ではあるが見つかりにくい影”
 偶然に行き合わせただけではあるが、2つがあわされば、単純な迷宮の構造程度、 暴くことも容易いだろう。
「それから──」
 さっと宙空に手を走らせれば、浮かび上がるは電子の地図。
 手に入れた情報を入力すれば、誰が見ても迷宮の構造は明らかだ。
 他の猟兵達と共有できるように、と魔術に乗せて地図<データ>を飛ばす。
「さて、私達も歩を進めるとしましょうか。こちらの方に向かってみましょう」
 一仕事終えた臨時の同行者に、ヘンペルは変わらぬ穏やかな笑みを向けつつ手にした杖で行き先を示してみせる。
 何か根拠が、とグロリアが問うてみれば、紳士は黙って先の床を指し示す。
 ──不自然に散逸した大量の本。
 なるほど誰かが通った後か、と頷けば、2人並んで迷宮の探索行を再開する。

 先に潜むは災魔かそれとも。
 学生なら、やんわりふんわり紳士的に言いくるめて、地上にお帰り願いましょう。と紳士は思う。
 その手品は笑顔の為。ならば、それが失われるのは、望ましいものではないのだから──。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

多々良・円
なんと、童が四人も!?
早く助けてやらねばなるまい。
避けられるものは避けていくとしよう。

なるべく魑魅魍魎どもから身を隠しながら進むのじゃ。
念動力1や衝撃波1で書架や書物をばら撒き、囮にするのもよいかのう。
錬成カミヤドリで傘を造り、広げた傘を目隠しや囮に先へ進むというのも良さそうじゃ。

童らを見つけたらすぐ連れて帰るぞ。
さ、もう大丈夫じゃ。(手をつなぐ1)
わしが護るからのう。


アルト・カントリック
「早く助け出さないと…!」
アルトは救出対象の姿を想像して、心配のあまり両腕の握り拳に力が入る。

「まだ、調節中で不安定だけど、このドローンを使うしかないよね…」

鳥型のドローンを平らな床に置き、スマホを取り出す。

このスマホはドローンのリモコンでもあるのだ。

アルトは順調にドローンの設定を弄る。『オート、迷彩、索敵・探索モード』に設定すると、ドローンは浮上し、段々、背景に同化していく。

「オブリビオンが見つかるか、救出対象の生徒が見つかるか、だね。」

万が一、オブリビオンを見つけ、戦闘が避けられないと確信した場合、先手を取るために狩猟用狙撃銃を持ち運び、構える。

僕達を模倣する災魔。不安でいっぱいになった。



立ち並ぶ書架の間をどんどんと進みながら。
「早く助け出さないと…!」
 アルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)は、迷宮に囚われた学生の姿を思い浮かべ、拳に力を込める。
 迷宮の一角で足を止め。気持ちは逸っても慎重さまで失ってはいけない。
 この先は、他の猟兵からの情報によると何かがいるようだ。
 ならば──。
「まだ、調節中で不安定だけど、このドローンを使うしかないよね…」
 鳥のような機械を床に置き、端末を操作すると宙に舞う。
 やがて"鳥"は迷宮の背景に溶け込むように姿を消す。
「オブリビオンが見つかるか、救出対象の生徒が見つかるか……」
 数瞬の後、もたらされた報せは不審なもの。
 様子を伺うようにちらりと覗き込めば、そこには鎧のようなものが闊歩する。
 事前に聞いていた学生の特徴とはまるで違う。
 それならばあれは災魔だろう。
 意を決し、手にした狙撃銃を構えると──。
「避けられるものは避けていくとしようではないか」
 不意に後ろからかけられた声に振り向けば、青藍の髪をゆるりと揺らし、多々良・円(龍眼・f09214)が人懐こい笑顔を浮かべる。
 どうすれば、と問うアルトに、「まあ、見ておれ」と請け合う円。
 離れた書架に向けて傘を一振り。ごう、と音を立てて見せれば、目に見えぬ衝撃がぶつかり、ばらばらと書物が舞い落ちる。
「それから、こうじゃ!」
 音を聞きつけた災魔が振り向いた先、さらにもう一つの傘を作り出し、見せつける。
 我が身は書棚の影に隠れ、災魔には傘を追わせる。
 これなら、余計な戦いをする必要はないじゃろう?と再び笑ってみせる円。
 そこにアルトにもたらされるは"鳥"よりの新たな報せ。
「この先に、生徒がいるみたい」
 ならばと災魔が戻ってくる前に2人は急ぐ。
 向かった通路の先にいたのは、隅で震える一人の少女。
 見た所、外傷は大きくないようだ。だが余程怖い思いをしたのか、猟兵たちを見ても少女は動こうとしなかった。
 或いは動けないのか──すい、と前に進み出た円が手を差し伸べる。
「さ、もう大丈夫じゃ」
 わしが護るからのう。と、笑みを向けてみせる。
 そこにあるのは、少年故のあたたかさと、百を超える長命故の安堵感。
 やがて少女はおずおずと差し出された手を握り、囁くような声で「ありがとう」と告げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水無月・篝
【WIZ】
力が欲しい、というのは、誰しも一度は思うことでしょう。
それが簡単に手に入るという欲求に抗えなかったのですね。
代価は高くついたようですが。

ただこのまま、高くついた、で終わらせなければいけません。
命を代価にしなければならないほど、
罪深い想いではないのですから。

生徒が通った跡を探しながら、助けていきたいと思いますが、
こういうのは訓練を受けていなくても、
何とかなるものなのでしょうか?
もしも無理でしたら、出来る方に協力を求めましょう。
私は、助けた生徒さんをシンフォニック・キュアで癒せるよう、
デバイスの確認をしつつ、喉の調子を整えたいと思います。
助けてからが、私の本番なのです。


デイヴィー・ファイアダンプ
彼女らは彼女らなりの万全をもって迷宮の踏破を試みたんだろう。
それならその踏破の軌跡を辿ってみようか。

具体的は作動し終えた罠や災魔との戦いの中でつけられた周囲の傷跡を。
そして戦いがあれば傷を負うこともある。
そ流れてしまった血や傷を癒やすために空になった薬瓶などもあるだろうか。
後はこれだけ書物があるんだ。場所によっては散りばり踏みにじられたそれに足跡が残っているかもしれないね。

こうやってそんな可能性を求めて彷徨う姿は、きっと彼女たちと変わらないものだろう。
だからその問いには肯定を返すよ。


芥辺・有
私は他所から手にいれる強さに興味はないけど。力を求めたい理由でもあったのかね。

生徒が辿ったであろう痕跡を探しつつ生徒たちを探すよ。
聞き耳で物音に注意を払ったり、第六感を働かせて人が通っていそうな気配を探ったり、どこら辺にいそうか特定できるよう注意を払ってみるか。単純に足跡なんかもあったりするなら見逃さないように。

また、事前にある程度生徒達の情報収集ができるようならしておきつつ、無明を使って追跡に使えそうなら追跡を。追跡が無理だったとしても目は多い方が助かるからね。その場合は周辺を捜索させる。



「彼女らは彼女らなりの万全をもって迷宮の踏破を試みたんだろう。
 それならその踏破の軌跡を辿ってみようか」
 青く冷たい灯火を放つ己<ランタン>を手に、デイヴィー・ファイアダンプ(灯火の惑い・f04833)は注意深く迷宮を進む。
 先に人が踏み込み、そして戻ってきていないというのなら、必ずその痕跡は残るはず。
 作動済みの罠、散乱した本、戦闘の傷跡、そして──
 血痕。
 青い炎が照らす微かな赤の色に、デイヴィーは己の推測が正しい事への確信を深める。
 それと同時に、別の通路へと目をやれば、人影が2つ。
 先に聞いていた学生の特徴とは異なるならば──。
「キミたちも猟兵かい?」
「ああ。お前もか」
 問いかけに、表情こそ変えないまでも、どこかけだるそうな声で答えた芥辺・有(ストレイキャット・f00133)はちらりと血の跡を見る。
 こちらに学生がいるであろうことは、既に他の猟兵から受け取った地図<データ>と、自身の黒の狼によっておおよそ把握できていた。
 何があったかまでは判らなかったが……痕跡を見る限り、一戦交えたのだろう。
 手遅れになる前に急いだほうがいい、と歩を進めながら有はふと思う。
「それにしても、力を求めたい理由でもあったのかね。
 私は他所から手にいれる強さに興味はないけど」
 厳しい環境で生きてきた有にとって、力とは求めるものではなく、自ら身につけなければならないものだ。
 そうでなければ、生を手放すしかない。かつての己のように。
「力が欲しい、というのは、誰しも一度は思うことでしょう。
 それが簡単に手に入るという欲求に抗えなかったのですね。
 代価は高くついたようですが」
 訓練等は受けていないながらも、自分なりに手がかりを探していた水無月・篝(万妖姫・f05974)は、ぴくりと耳を震わせながら告げる。
「ただこのまま、高くついた、で終わらせなければいけません」
 その想いは、欲求は、命を代価にしなければならないほどの罪ではないのだから。
 決意を赤き瞳に秘め、妖の姫は前を見据える。
 2人を横目に、デイヴィーは一人思う。
(可能性を求めて彷徨う姿は、彼女たちと変わるところのないものだろう)
 この青き炎に再び暖かさを。その手段を探し求めて彷徨う彼もまた、見方を変えれば力を求めるものなのかもしれなかった。
 それぞれの想いを抱えながら三者は有の狼による情報と痕跡をたどり、ある一角に辿り着く。
 行き止まりになったそこには一際多くのあかいろと、ばらばらと積み重なった本のあと。
 そしてその傍らの書架にうずくまるようにして寄り掛かる人影が一つ。
「大丈夫ですか!」
 見るやいなや、直ぐ様駆け出すは妖しの姫。
 人影に近づいてみれば、間違いなく件の学生である少年のよう。
 まだ息はある。ならばやることは一つ。助けてからが、自分の本番なのだ。

 ────♪

 辺りに響くは癒しの歌唱。
 音色がふわりと漂えば、たちどころに傷は癒えていく。
 完治とまではいかないが、少なくとも命を護ることはできたはずだ。
「立てるかい?」
 けだるげな姿勢は崩さずに、しかし見れば気遣いはわかるよう、有は学生に声をかける。
 ──なんとか、と答えた学生に、仕方ないな、と肩を貸す。
 自分が”命を拾う側"になるのもまあ、たまには悪くないだろうと。
「一旦、安全な所まで戻るとしよう」
 言ってデイヴィーは先に立って進む。
 火とは、灯りとは、時に導くために照らすもの。
 暖かな光ではないかもしれないけれど、今この時は、青き灯火でもその用を果たすだろうと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リオット・ノンスターク
戦いの中で己の力を磨いていくのは良いことだ。
もし、迷宮の奥に私を更に磨かせてくれる力を持つモノが居るのなら……
是非とも、この手で葬り去りたいモノだな?

それにしても……入ったは良いが出られなくなるとは、不運なモノも居たものだ……。
ひとまず、救助作業と行くか。
戦斧で邪魔な壁を破壊しつつ救助者を探そう……。
「誰か居るなら壁から離れろ! 襲い来るなら掛かって来いッ!」
敵が居るなら……無論、私を研磨する砥石代わりにでもしてやろう!


テン・オクトー
学生さん達の身の安全を確保したいですね。
まずは浅い所にいるらしい3人を探し出さなくてはいけないかな。3人は一緒なのかな?それともバラバラなのかな?何も情報がないのでボクは足を使って感を頼りに探してみます。浅い所なら災魔相手に少しばかり派手に動こうかな?とっても怖いけど。そうしたら音なり光なりで学生さんに気づいてもらえるかもしれないですし。



飛び交う本にすっと指をさせば、まばゆいばかりの光が降り注ぎ、魔のものは動きを止める。
 まずは学生の安全を確保しなければ、とテン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)は敢えて大立ち回りを演じてみせる。
 踏み込む者も限られた迷宮、それならば派手に光や音を出せば、誰かに気付いてもらえるかもしれないと。
 そうしている間にも、やってくるは宙を舞う書物の群れ。
 派手に動けばその分敵も多く引き付ける。
 書架と書物で構成された迷宮らしく、そこに住まう災魔の多くも本を模したもののようであった。
 一つ一つは大した事はないものの、数があれば手傷を負うことは避けられぬ。
 怖いと思う気持ちもある。それでもテンは立ち向かってみせる。
 強い大人になりたいのだ。ならば怯えている時間などどこにもない。
 ふ、と背後に気配を感じる。
 ──しまった、と思ったのも束の間、「誰か居るなら壁から離れろ!」と聞こえる声に、とっさに前に身を翻す。

 ────!!!

 鳴り響く轟音と共に災魔ごと書架が砕け、弾け飛ぶ。
「何だ、砥石代わりにもならんな」
 わずかに残る書架の残骸を乗り越えながら、リオット・ノンスターク(血染めの雪髪・f00570)は嘯いた。
 はなから迷宮の奥の強敵を求める白雪の少女にとって、数だけが多い浅層の災魔など物の数ではないということか。
「お前は学生……ではないな」
 眼の前の光景をやや呆然として見ていたテオに問うと、白灰の猫も違うよ、と首を振る。
「やれやれ……そろそろ見つかっても良さそうなのだが」
 ここまで随分と道を開いて<こわして>きたのだ。
 流石に、一人くらい聞きつけても良いと思うのだが──。

 ──助けて!

 どこからか聞こえる声。
 2人は顔を見合わせ頷くと、その方向に向けて走り出す。
 回り道など迂遠なことはしない。砲塔さえも斬り潰す大斧の前に壁などあってなきが如し。
 あたりを付けて書架を叩き切って乗り込めば、目に入るは地面に倒れ込む少女とそこに迫る鎧の騎士の群れ。
 「こっちは任せて!」
 とテンは少女の元へ駆ける。どうやら外傷は大した事がないようだ。
 意識もある。恐怖で足が竦んだか──。
 怖い気持ちは判るけれど、と災魔の方を見れば、白雪の少女がぶおん、と大斧を一薙ぎ、突出した災魔の身を抉り、そのまま壁に叩きつける。
 突然の闖入者に警戒を強めた災魔は距離を取って構えを取る。
 大斧を振り抜いたリオットはその手応えに微かに笑みを零す。
 なるほどこれなら、砥石代わりにはなりそうだ、そして──。
 迷宮の奥にいるものは、私を更に磨かせてくれるだろう、と。

「奥に、レアが……」
 助け起こされた少女が、震える声で呟く。
 言われて災魔の群れの向こうを見れば、書架で出来た道ではなく、どこぞへ続いていそうな通路が見える。
 あの奥に行こうと思うのなら、どうやら邪魔者を蹴散らし、道を切り開くしかないようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『首無しの熟練騎士』

POW   :    雷鳴刀
【迸る魔法刀の剣筋】が命中した対象を切断する。
SPD   :    疾風迅雷
【「炎」と「氷」を無効化する強化魔法】【脚力を上昇させる強化魔法】【物理的防御力を上昇させる強化魔法】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    怒髪天
【掌を天高く掲げて】から【全方位に向けて高威力・広範囲の雷】を放ち、【電気や雷に対策のないものは感電】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルト・カントリック
「どうやら敵のおでまし、だね」

僕は近づかず、狙撃銃を構えて、相手の戦力を削ぐことに集中する。
「【詠唱】」ユーベルコード【UC弾・圧の構え】使用

もし、狙撃後、接近してきた場合、レガリアスシューズで床を滑って、距離を取りながら、撃つ。

照準が大体、敵の方を向いていれば、AIが弾道修正をしてくれるはず。

僕が一部の敵を引き付けて、少しでも被害を減らせれば満足。

逃げて追い込まれた場合はドラゴンランスに持ち構えて、逆に道を切り開く。



「どうやら敵のおでまし、だね」
 ぞろりと蠢く鎧の騎士を青い瞳で見据えながら、アルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)冷静に距離を取る。
 数が多い。ならば自分が少しでも引きつければ被害を減らせるか、と大型の狙撃銃を構え、姿勢を取る。
 『目標よし、周囲よし、命中率よし。…発射!』
 “狩猟用"というには些か大仰過ぎる銃口から幾つもの光がひらめき、鎧の四肢を穿ち、力を封じる。
 距離を詰められなければ敵ではない。機械と生の、両の目でじっくりと状況を見据え、着実に敵を無力化していく。
 さりとて相手は多勢。無力化される鎧の合間から、脚に魔力を纏わせ物も言わずに駆け寄る鎧が1つ。紫電の剣が、その勢いのまま突き出される。
「そのくらい!」
 靴の圧縮した大気を瞬発力に、宙に身を翻す。
 そのまま空を蹴って距離を取り、狙撃銃を向け、放つ。
 道具を、AIを信頼していればこそ、正確に狙わずとも良いことをアルトは知っていた。
 果たして、放たれた弾は寸分違わず鎧を穿つ。魔力の輝きも、紫電の剣も霧散させ、鎧はばらりとその場に崩れる。
 愛するもの<ドラゴン>に比べればなんでもない相手だろう。
 もう少し、引き付けられるはず。アルトは次なる標的に向けて狙撃銃を構え直した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘンペル・トリックボックス
なるほど、これ程の災魔が跋扈しているのであれば、焦る気持ちも解らなくはない。とは言え───若い芽を此処で摘ませるわけにもいきません。全力でお相手するとしましょう

どの技も厄介極まりないですが、取分け全体麻痺のUCは脅威の一言につきます。敵が掌を掲げた瞬間を見計らい、ミレナリオ・リフレクションでの完全相殺を狙うとしましょう。永らく使っていなかった機能ですが、成功すれば大きな隙を作れるはず。万一敵が先制で撃ってくる場合は、【学習力】を活かして成功率を上昇させます。

大丈夫。貴女方が私達を頼ってくれるように、私達もまた、貴女方の声援に何よりも力を貰っているのですから。


テン・オクトー
レアという少女が奥にいるらしい。
無事を祈りつつ目の前のを片付けなければ。
数が多く大変そう。
ボクは力は強くないけど手数でなんとかする!

WIZ
範囲攻撃、気絶攻撃、衝撃波で数こなす。
少しだけ雷耐性有り。

可能ならリオットさんとこのまま一緒に蹴散らし、
レアまでの道のりを作る。



奥にいる子が無事だといいけれど──祈るような気持ちで、されど眼前の状況を忘れたわけでなく。テン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)は油断なく災魔の群れを伺う。
 数が多くて大変そう。だけど、道を切り開くためにも、まずはここを打開しなければならない。
 力に自信はなくとも、持ち前の素早さはそれを補って余りある。
「纏めて倒せれば……!」
 さっと腕を一振りすれば、目に見えぬ空気の刃が束となって災魔の群れを薙ぎ倒す。
 近くに迫る鎧には、茫洋とした霊体の戦士に迎え撃たせ。紫電の刃と槍が交錯する。それだけでは互角、とまではいかないものの、この隙にと衝撃波をひとつ、ふたつと畳み掛ければ、鎧は瞬く間にがらんと音を立てて床に転がる。
 次に、と目をやれば鎧の一つが天に向けて手をかざすのが目に入る。
 数瞬の後、紫電の閃光がその掌より縦横無尽に迸る。書架の本が舞い、崩れた鎧が弾き飛ばされる。
 咄嗟に身を翻したものの、掠めた雷光に毛をわずかに逆立てつつ、二撃目を撃たせまいと即座に反撃に転じる。
 手を天にかざすその隙に、霊体の戦士が槍を穿ち、体制を崩したところに追撃の衝撃波が襲いかかる。
 しかし、数は不利。一度に多くを倒せなければ、自然と反撃に転ずる個体も現れる。
 視界の端に、再び天に手をかざす鎧が見える。
 
 ──だが、放たれた雷光は、"まったく同じもの"にぶつかり、弾け、霧散する。
「なるほど、これ程の災魔が跋扈しているのであれば、焦る気持ちも解らなくはない」
 常の態度は崩さずに。それでもどこか摯実な様子を漂わせ、ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)はシルクハットを被り直しながら状況を観察する。
 敵の攻撃で厄介なものは、先程見せた雷光による周囲への攻撃。
 しかしそれも相殺してみせた。永らく使っていなかった──或いは、使う必要がなかったのか──いずれにせよ、『敵を視る』機能は衰えていないようだ。これも手品の練習のたまものか。種も仕掛けもないけれど──。
 訝しむように──最も、表情などないのだが──鎧の騎士は紳士をみやり、今一度と掌を天にかざす。
 放たれた雷光はしかし、紳士が帽子を脱ぎ、手品の如くに手をかざして開いてみせれば、同じ光が放たれ、衝突し、霧散する。
 ちらり、と後ろを見やれば霊体の戦士に守られながら、物陰から戦いを見守る学生の姿。応援しているのか、逃げられないのかは判らないが。
「若い芽を此処で摘ませるわけにもいきません。全力でお相手するとしましょう」
 やや語気を強めた紳士は、黒壇の杖を手に、改めて災魔の群れに対峙する──。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水無月・篝
まだ助けねばならない生徒がいるというのに、
邪魔が入るのですね。
相手の情報は、事前に判るのでしょうか?
判るならば、感電対策はせねばなりませんね。
とは言え、思いつくのは導電性の高い布などを自身から地へ垂らし、
簡易な接地とするくらいしか思いつきませんが。

自身に対するもの以外ですと、首無し騎士の周囲に鉄の棒のような導電性の高いものを立てて、
即席の避雷針とすることが考えられます。
実現できるかが不明ですが。

実際の戦闘においては、シンフォニック・キュアで癒しを担当します。
このようなところで、大きく消耗する訳にはいきませんから。


デイヴィー・ファイアダンプ
どうもこの手の敵は苦手なんだよね。自分の姿を見せつけられているようで胸が痛むから。
とはいえ彼らは敵であり目的への邪魔者だ。やるべきことに集中しないとね。

というわけで他の皆が動きやすくなるように、ユーベルコードの死霊を呼び出して足止めを。
彼らに騎士としての心があるならその心を苛み、
力を振るうだけの無機物であれば死霊を囮にしての撹乱を試みよう。

戦いの中で雷が見えたなら彼らの中心にいる騎士へ死霊の群れを飛ばし、その雷を誘ってみようか。
見たところ見境のない技のようだ。それなら同士討ちを狙うのも悪くないだろう。
……自身の力に溺れる姿なんて、見たくもないけれどね。


芥辺・有
壁際に追い込まれたり囲まれたりしないように動きながら攻撃しとくよ。

広範囲に雷をばらまく技はどうにも厄介だな。動きを封じられて隙ができちゃったら不味い。
隙を見つつ咎力封じで攻撃して封じていきたいところだね。
他の猟兵の攻撃の隙を狙ったり、自分で攻撃する際にフェイントを使ったり2回攻撃することで咎力封じをしっかり当てやすい工夫をしとく。

封じきれず怒髪天が発動されそうな場合には、掲げられる手に気を払いつつ見切りで避けられればいいんだけど。



(どうもこの手の敵は苦手なんだよね。自分の姿を見せつけられているようで胸が痛むから)
 デイヴィー・ファイアダンプ(灯火の惑い・f04833)は襲い来る鎧の騎士に己を重ねる。
 この災魔たちにも、自分のように求めるものがあるのだろうか。その真偽は或いは当の災魔にすらも判らないものかもしれないが、同類と戦うような状況は自然と心をざわつかせる。
「とはいえ彼らは敵であり目的への邪魔者だ。やるべきことに集中しないとね」
 さりとて、それは手を止めるに能うものでもなく。
『囁くは苦しみ。潰えし祈りを怨嗟の声にて唱えよう』
 冷たく青き灯火を掲げれば、どこからともなく死霊の群れが彷徨い出る。
 放たれた死霊は鎧の騎士に纏わりつき、その剣先を歪ませ、動きを鈍らせる。
 ──どうやら、心の類はなさそうか。その胸には少しばかりの安堵と無念が過ぎるだろうか。
「追い込まれないように注意しなよ」
 動きの鈍った鎧に、打撃音というよりは何かの声のような音を響かせながら痛烈な蹴撃が見舞われる。
 こんな相手じゃ手応えがあるのかどうか判らないな、と思いつつ芥辺・有(ストレイキャット・f00133)は状況を観察する。
 他の猟兵たちとの連携により、数は大分減らせてきたが、まだ油断のできる状況ではない。殊更に──。
「させないよ!」
 手を天にかざそうとした鎧に飛び込み、踵を一撃。続けざまに枷とロープで力を封じれば、木偶の坊が一つできあがり。
 危険な動きをするものは、先手を取って動きを止めるに限る。有の持ち前の素早さと、デイヴィーの死霊の足止めにより、状況は概ねうまく動いていた。
 とはいえ、多勢に無勢とはいったもので。
「チッ──!」
 封じきれなかった鎧が一つ。四方八方、縦横無尽に雷電を放つ。
 飛び来る稲妻をすんでのところで掠めるようにかわし、しかしその身には熱に侵された傷跡が残る。

────♪

 その刹那、響くは癒しの和音。
 その音色に耳を傾け、心を委ねれば、立ちどころに熱は引いていく。

「このようなところで、大きく消耗する訳にはいきませんから」
 歌を紡ぐ水無月・篝(万妖姫・f05974)は先を見据える。
 目の前に蠢く鎧はただの障害。自分達が助けなければならない相手は、更に奥にいるのだと。
 布を垂らし、電気を逃したものの、自身への傷は相応に。しかしそれでも、癒やす事が自分の役割ならば、膝をついている場合ではない。
 大神より賜りし祝福。その一端を旋律に込めて歌い上げていく。
 
 ────♪♪

 高らかに響き続ける歌声は、周囲の猟兵達を癒し続けると共に、災魔の目をも引き付ける。
 災い為す者にとって、癒しの声は不快に感じる──ものであったかどうかは判らないが。妖の姫に狙いを定めた鎧はしかし、死霊と拘束具に阻まれ地に伏せる。
 ならばと別の災魔が手を掲げれば、デイヴィーは死霊を敢えて敵の中心へと潜り込ませる。
 見境のない技であれば、雷光を誘導してやれば同士討ちを図れるか──。
 放たれた雷光は、猟兵たちを、そして同時に死霊を、そしてその先にいた鎧をも狙って迸る。
 雷に穿たれ、音を立てて幾つかの鎧が崩れ落ちる。猟兵たちもまた同時に傷を負ったが。
「私がもたせます。まだ助けねばならない生徒がいるのですから」
 妖の姫が歌を紡ぎ続ける。
 癒しの力の存否は、殊更連携に優れているわけでもない災魔に覆せるものではなく。
 もはや戦いの趨勢は明らかであった──。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『シェイプシフター』

POW   :    思考の簒奪
【自身を対象の姿へと変化させ思考を読み取り】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    血肉の簒奪
戦闘中に食べた【対象の血肉】の量と質に応じて【捕食した対象の姿と戦闘経験を簒奪し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    秘技の簒奪
対象のユーベルコードを防御すると、それを【強化し体内へ取り込み】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ひたり、ひたりと足音が迫る。
 扉が開かれてから、もはや無限の時が過ぎたかのように感じる。
 助けを求める願いも虚しく、感じる気配は災魔のそれ一つ。
 人間、危険な時には限界以上の力が出るとは言うけれど、もはやそんな気力も残ってはいない。
 力を求めたのが悪かったのか。強くなりたいと願うことはそんなにもいけないことだったのだろうか。

 ────!!!

 誰かの声が聞こえる。
 災魔の仲間だろうか、救助だろうか。もはやどちらともわからないが。

 扉の開かれる音がする。
 薄れゆく意識の中で、偽物の"私"と「転校生」らしき人間が対峙するのが見えた気がした。
水無月・篝
要救助者、最後の1名を発見です。
ですが、かなり衰弱して居る模様で、
一刻も早い治療が必要そうです。
まずは、シンフォニック・キュアで応急処置を。
目を離しても問題ない程度に回復したならば、
改めて災魔に向き直ります。
とは言っても、やる事は変わりませんが。
シンフォニック・キュアで仲間たちを癒します。
ここで私たちが重傷を負ってしまおうものなら、
折角救助した生徒さんの心に傷を残しかねませんから。
全員無事で戻る事。
それが救助の次に大事なのです。


グロリア・グルッグ
「騎兵隊のお出ましですよ! しごきがいのあるルーキーはどこかな~?」

現場に突入後、電脳ゴーグルのラプラスと【高速詠唱】で電脳魔術を展開。
【世界知識】【情報収集】【視力】で視認した対象が助けを求める弱気な要救助者かどうかをチェック。

「ダウト。鎧装騎兵として蹂躙します」

それが敵だと判断したら速攻を仕掛けます。
【ジャンプ】【ダッシュ】【スライディング】等と騎兵走法を合わせ、天地自在に駆け巡りながら【空中戦】で高速機動戦闘。
アームドフォートの【誘導弾】【鎧無視攻撃】徹甲弾で敵をぶち抜きながら、サイバーロッドを砲身に装着し雷の【属性攻撃】【全力魔法】【高速詠唱】で超電磁砲撃レールガンをぶっ放します。


芥辺・有
人の姿を真似るなんてぞっとしないね。

なるべく攻撃はくらいたくないね。一撃離脱するなり、見切りで攻撃を避けることを心がけながら戦うか。
ユーベルコードを使用する際はフェイントをかけたり背後を狙うことで死角から使うことを狙おう。
属性攻撃で強化した白蛇を召喚したら、毒牙や雷撃で動きを鈍らせたいところ。出来そうなら敵に体を絡み付かせて動きを封じさせたりすることも狙いたいね。
私も敵に傷があれば傷口をえぐるで深手を狙うよ。


戦闘が終わったら少女の容態を確認しようか。私に何かしてやれる力はないけど。生きてるならいい。……生きてこそなんだから。


アルト・カントリック
まず、“レア”という生徒をユーベルコード【旅は道連れ】で回収する。行動が被ったら、安全な方法を優先。

移動はレガリアスシューズで迅速に。

近付いたら危険なので、また、狙撃銃を構えてユーベルコード【UC弾・圧の構え】を放つ。

「【詠唱】」

その間、保険としてドローンに周囲を監視、観察して貰う。皆を信頼してるから心配してないけど、不測の事態に備えるよ。


ヘンペル・トリックボックス
どうやら思った以上に厄介な敵であるご様子。誰に化けるかも分からない敵ですから、常以上に【第六感】を働かせて事にあたるとしましょう。

ブラックボックスを予め複数召喚し、敵の周囲に浮遊させておきます。コピーされるかもしれませんが、開け方を知らなければ単なる謎の立方体ですので。

下準備が終わったら、敵の虚をついて【騙し討ち】気味に接近。霊符から【目潰し】を兼ねた閃光を発して敵を驚かせます。上手くいけば、解放されたブラックボックスが全方位から敵をズタズタにしてくれる事でしょう。

───種を見抜かないとその箱は使いこなせませんよ、物真似芸人さん。


デイヴィー・ファイアダンプ
このままではいられないという願いとその先に見つけた何者にでもなれる存在。
けれどもその存在が奪うことでしか何かを掴めないというなら止めさせなければならないね。

それならば他人から奪うことでしか自分を証明できないことへの否定を「呪詛」にその煩わしい声で相手を「おびき寄せ」、「死霊の腕」でその奪うための力を封じてみるよ。
とはいえこのユーベルコードは命を削る。
少しでも長く保つために真の姿として肉体を不明瞭な亡霊のものに変えつつ、
捕まえている間に皆に声をかけて攻撃を叩き込むように促そう。

技が奪われたのなら呪いを撒いた者の責任としてその死霊のおびき寄せを。
とはいえ命を削る技だ。災魔は使いこなせるだろうかね。




「騎兵隊のお出ましですよ! しごきがいのあるルーキーはどこかな~?」
 得意の電脳魔術を駆使し、最短距離で迷宮の最奥部に突入したグロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)は到着と同時に即座に電脳ゴーグル<ラプラス>を装着し、自身の得意とする世界を展開する。
 卓越した情報収集技術は、直ぐ様空間内の異物を検出する。1つは室内の奥の方。動かずにいる何者か。そしてもう1つは目の前に。
 何かを探すようにふらふらと彷徨していた少女は、グロリアの声に気付くとゆらりと振り向く。
「あなたが魔法学園の生徒さん?」
 油断なく問い掛けるグロリアに、生徒らしき少女はにこりと笑って「そうですよ」と答える。
 ──ダウト。これまで出会った生徒の情報、迷宮の組成、展開した電子空間より分析したデータ、そして眼前の状況。
 ハッカーにとって、それが”偽物”であると判断するのは容易いものだった。
「鎧装騎兵として蹂躙します」
 相手に反応する暇も与えず、空を蹴り、高速で蹴りを叩き込む。
 その反動で更に宙に身を翻し、身に付けた固定砲台より追撃の砲火が弾ける。
「奥に誰かが1人! 多分救助対象の人です!」
 空中機動を続けながら、後続の味方に情報を伝える。
「すぐに向かいます!」
「そっちは任せて」
 水無月・篝(万妖姫・f05974)とアルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)が立ち並ぶ書架の奥へと駆けていく。
 血の痕があったこともあり、部屋の奥の暗がりで書架の影に隠れるようにうずくまっていたその少女を見つけるのにそう時間はかからなかった。災魔との戦いはここからも見える。ならば、あと少し到着が遅ければ、少女の命は危うかっただろう。
「大丈夫ですか?」
 篝が声を掛けてみれば、呻くような返事が返ってくる。
 見えるだけでも腹部や肩口に痛ましいほどの傷。それ以外にも痛めている場所がありそうだ。
 一刻も早い処置が必要だろう、そう考えた妖の姫は歌を紡ぐ。
 癒しの歌唱が響けば、朦朧としていた様子だった少女の目に、僅かながらの生気が宿る。
「あなた達は……?」
「猟兵です。あなたを助けにきました」
 言われて少女は、「ありがとう」と言葉を紡ぐ。その音色には、どこか悔しさと申し訳無さが同居していた。
 ひとまず応急処置はできたはず、と篝が立ち上がれば、入れ違いにアルトが少女にスマートフォンを差し出す。
「これは……?」
 訝しげに問う少女に、安全な場所への入り口だよ、とアルトは返す。
「このままここに隠れていても、流れ弾が飛んでくるかもしれないからね」
 だから画面に触れてよ、と言われれば、少女はおずおずとスマートフォンの画面に指を触れ──そのまま画面の中、安全なゲストルームへと吸い込まれていった。
 少女の安全が確保されたならば、後はやるべき事は一つだけ。
 篝とアルトは顔を見合わせ頷くと、災魔との戦いに合流すべく駆け出した。


「人の姿を真似るなんてぞっとしないね」
 芥辺・有(ストレイキャット・f00133)は自身を目掛けて放たれる、黒い液体とも個体ともつかぬような触腕をかわしながら呟く。
 室内に突入した時に少女の姿であった”それ"は、腕の一部を黒い液状の物体に変化させ、猟兵達を喰らい、奪おうと暴威を振るう。
 迂闊にユーベルコードを用いれば奪われる可能性がある。
 隙を伺いながら、迫る触腕は銃で撃ち落とし、鋼糸で引き裂く。
「どうやら思った以上に厄介な敵であるようですね」
 目を離せば、隙を見せればこの場の誰かに変じ、不意打ちを受けるかもしれない。
 ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)は紳士然たる態度を崩さないながらも、その直感を働かせ、油断なく様子を伺い、敵の攻撃をかわしていく。
 同時に彼が仕掛けるのは手品の仕掛け<ブラックボックス>だ。何が起きるかはお楽しみ──されど、着々とショーの手筈を整えていく。
「このままではいられないという願いとその先に見つけた何者にでもなれる存在か」
 眼前の災魔は確かに何者にでもなれる、ある種の”力"なのかもしれない。
 けれど、それが奪うことでしか何かを掴むことができないものであるのなら、デイヴィー・ファイアダンプ(灯火の惑い・f04833)為さねばならぬ事は一つだ。
 
『我らが安らぎをここに、救いの手を差し伸べよう』

 詠唱と共に現るは死霊の腕。まるで仲間を求めるかのようにそれらは災魔の身に絡みつき、呪いのようにその身を縛る。
 黒き触腕がデイヴィーに迫るも、死霊の戒めよりは抜け出せず。
 やがてその力を封じられ、”少女だったもの"は不定形の黒い姿を表した。
「今だよ」
 デイヴィーは仲間の猟兵達に攻撃を促す。
 その姿は徐々に茫洋とした亡霊のようなものと化していく。
 灯火のヤドリガミたる彼の真の姿。強力だが己の身を削る術式を、一分一秒でも長く保たせるための策。
 青く冷たきその姿は、敵にとっては冥府への導火に、味方にとっては勝利の光明となる。
「それじゃあ、ぶっ放しますよ!」
 空中を飛び回っていたグロリアが砲火を放てば、災魔を目掛けて紫雷が迸る。
 精霊杖と詠唱により強化されたそれは閃光を放った瞬間に着弾し、災魔の腕を焦がし、溶かし、消し飛ばす。
「おっと、気をつけてくれよ」
 危うく巻き込まれるところだったよ、と言う有に、大丈夫ですよと返すグロリア。
『動くなよ』
 やり取りもそこそこに、呼び出されるは巨大な白蛇。
 有が攻撃を命じれば、白蛇は動けぬ災魔にその牙を突き立てる。
 その牙より滴るは毒。災魔であっても逃れることはできぬ理外の毒。
「こいつもオマケだ」
 侵され、爛れた傷口に杭を突き立て、更に抉る。
 削り、引き剥がし、切り裂き、黒いものが地面に散らばる。

 ────!!!!

 刹那、災魔が叫びをあげ、死霊の腕が振り解かれる。
 残っていた片腕を伸ばし、再び誰かを喰らわんと動き始める。
 半ば闇雲に振り回されたその触腕は、攻撃行動を取っていた猟兵達を薙ぎ払い、吹き飛ばし、叩きつける。
「くっ……!」
 特に至近距離にいた有はダメージも大きかった。すぐに態勢を立て直さなければ、と考えるも一瞬──災魔の腕はその隙を見逃さず、次の獲物<コピー>を求めて迫りくる。

『目標よし、周囲よし、命中率よし。…発射!』

 響くは3発の銃声。ほぼ同時とも思えるその音と共に、災魔の腕が弾け飛ぶ。
 手負いの獣は危険だ、しかしその瞬間を抑えてしまえば、後は追い詰めるだけ。
 狙撃手たるアルトは冷静に状況を読み、最適なタイミングで楔を打つ。

 ────♪♪

 更に奏でられるは、迷宮内でも幾度も人々を癒してきた歌声。
 篝の為す事は一貫している。癒やす事、それが自分の出来る事にして成すべき事。
 それは物理的な傷だけではない。
 ここで自分達が深手を負ってしまえば、もし生徒が助かっても心に大きな傷を負ってしまうかもしれない。
 だからこそ、全員無事で帰還する。決意を瞳に込め、想いを声に乗せ、妖の姫は歌い続ける。
 なおも抵抗せんとする災魔は、手近にあった黒い箱を飲み込もうとする。
 それが何であるかも解せずに。
 常のように、取り込んだ力を模倣し、再現しようとする災魔の動きが止まる。
 それは苛立ちか焦りか、あるいは理解できぬものへの恐怖か。
「───種を見抜かないとその箱は使いこなせませんよ、物真似芸人さん」
 狼狽した災魔に気配を殺したヘンペルが忍び寄り、声を掛ける。
 振り向けば、星辰を記す符より放たれる大光量の閃光。
 目を見開いた災魔に浮かんだものは驚愕の様子。そうであるならば──。
『それでは皆様お待ちかね!箱の中身を暴きましょう!ハイ3,2,1───!』
 披露される手品。黒い箱より飛び出るは大小様々、無数の紙飾り。
 楽しげな形状や色合いとは裏腹に、鋭利過ぎる殺傷力をもったそれに内と外より切り刻まれ、災魔はついに屍となった。


「あの子の容態は?」
「とりあえず大丈夫です。後は戻って、ちゃんと処置をすれば」
「そっか」
 尋ねる有に篝が答える。
 何もしてやれる事はないが、生きているならそれでいいと有は思う。
 生きていなければ何もできない。生きていればこそ次がある。次があれば『何でも』有るのだと、そう思うから。
「それじゃあ、僕達もそろそろ戻ろうか」
 呪いの反動により、暫し身体を休めていたデイヴィーが立ち上がる。
 青き灯火が揺らめき、冷たくも、明るく勝利の帰路を照らし出した──。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月01日


挿絵イラスト