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あなたの自慢はなんですか?

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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 近未来的な建物が立ち並び、サイバー的な光が意味もなく時折空へ向かって伸びては消えて。
 キマイラフューチャー。
 かつての人類は全て滅び、今では何故だか生き残ったキマイラ達が面白おかしく暮らす世界。
 そんな世界の片隅で、なにやらキマイラ達が集まってワイワイと騒いでいる。
「俺の自慢はこの怪力! 鉄の塊だって、ほらこの通りだ!」
 群衆の面前。
 一段高くなった檀上で、1人のキマイラ男性が300kg、400kgはあろうかという鉄塊を気合の一声で持ち上げる。
 それに湧くのは見物しているキマイラ達。
 やんややんやの大喝采。
 次は俺の自慢を、私の自慢は。と、壇上に1人あがっては自慢をし、また次の1人がと繰り返し、盛り上がりを見せている。
 それを見つめるブームの仕掛人にしてイベントの主催者――頭がクリスマスケーキなっている人影――は、その瞳に剣呑な光を宿し、それを見守っているのであった。

「――唐突ですけどぉ、皆さんってぇ、何か人に自慢出来ることとかってありますかぁ?」
 集まった猟兵達に挨拶と感謝を告げたハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)は、開口一番に各々の自慢について問う。
 突然の質問に疑問符を浮かべる者、自慢はあるぞ。と頷く者等々、反応は様々。
 そんな猟兵達の反応を一頻り見て、ハーバニーは続ける。
「えっとですねぇ、最近、キマイラフューチャーの一部地域でぇ、自慢大会が流行っているらしいんですよぉ~」
 ――それだけなら問題はないですけどぉ。
 だが、そのブームの影に怪人の存在があるのだと言う。
 調べた限りではあるが、自慢大会を開催することで自分に自信のあるキマイラを炙り出し、それを人知れずに始末しているらしい。
 そうすることで、自分に自信のないキマイラばかり残し、怪人達が台頭してきた際に支配を容易にする。という、遠大な計画だそうだ。
「なのでぇ、皆さんにはその自慢大会に出場してもらいたいんですぅ」
 猟兵達が自慢大会に出場し、優勝を狙う。
 それにより、影に隠れている怪人を誘き出し、計画を頓挫させることが目的となる。
 キマイラ達は基本的に楽しく、可笑しく過ごしているからか、どんな自慢だってやんややんやの大喝采。
 まして、それがヒーローとして大人気となっている猟兵達であれば、言わずもなが。
 優勝を目指すことは余程のことでもなければ、問題ないであろう。
「熱く自慢を語るも良いですしぃ、静かに自慢を語るでもいいですしぃ、勢いでなんとかしてしまうのもきっと大丈夫ですよぉ」
 盛り上がり、楽しめればキマイラ達にとってはそれでいいのだ。
「自慢大会もある程度進めばぁ、多分、怪人も痺れを切らして出てくると思うのでぇ、思いっきり懲らしめてやってくださいねぇ」
 ――ただぁ、用心棒とかいるみたいですのでぇ、その辺りは油断なくぅ。
 そうして話を括り、ハーバニーは今から送り出す猟兵達にエールを送るのであった。
「それでは、皆さんの自慢を楽しみにしていますね。案内人はハーバニー・キーテセラ。皆さん、良き旅路を」


ゆうそう
 ゆうそうと申します。
 よろしくお願い致します。

 この度はキマイラフューチャーでの自慢大会と怪人退治。
 アナタの自慢お待ちしています。
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第1章 冒険 『勝利の栄光を掴め!』

POW   :    情熱を燃やして優勝する

SPD   :    冷静な作戦で優勝する

WIZ   :    なんやかんやで優勝する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ライ・アインス
ライは軍に収容され、拷問の様な実験と殺し合いの上生物改造され、過去の記憶は無い。
正直な所、今も自我すら朧気である。

ただ、そんな生物兵器を愛してくれた人がいる。
今の主である。
その人は哀れなライを見て、軍に頼み込み、多くを犠牲にしてライの主になった。

魔法使いのその人は美しい森の館に住んでいて、ライに沢山の自然を見せてくれた。いつも美味しいご飯を作ってくれ、ろくに会話の出来ないライにいつも話しかけてくれる。沢山愛情を注いでくれる。『奴隷』では無く、『人』として。今は『一生のパートナー』として。
皆に優しくて、心配性で、愛に充ちた、そんな主をライも愛している。

喋れないライは拙い字で、主について書いた。



群衆の声が漣のように押し寄せる舞台。
 今もまた、1人のキマイラが自分の自慢を終え、送られる拍手と共に舞台袖へと降りていく。
 そして、次なる登壇者はライ・アインス(サイボーグの咎人殺し・f07320)。
 まさかの猟兵の登場に、どよめき立つ会場。
 そして、割れんばかりの歓声がライの身体を叩いては過ぎ去っていく。
 だが、登壇して暫く、ライはその光景を眺め、人々が落ち着くのを待った。
 基本的に無口であるその身。
 今回の自慢も、内容は紙に書いて持ってきているのだ。
 そして――。
 ――私は軍に収容され、過去の記憶は無い。
 観衆のキマイラ達が始まらないことに疑問を持ち始めた頃、1枚の紙を懐から取り出し、スクリーンへと映るように持ち上げる。
 当然、それを画面に映すべく、近寄ったカメラが映した始めがそれである。
 何が書いてあるのだろう。と、食い入るように見詰める観衆。
 ――正直な所、今も自我すら朧気である。
 書かれた身の上に、息を呑む者、詰まらせる者。
 ――ただ、そんな生物兵器を愛してくれた人がいる。
 ――今の主である。
 ――その人は哀れな私を見て、軍に頼み込み、多くを犠牲にして私の主になった。
 続く文章に、ホッと息を漏らす者。瞳に涙を溜め始める者。
 ――魔法使いのその人は美しい森の館に住んでいて、私に沢山の自然を見せてくれた。
 ――いつも美味しいご飯を作ってくれ、ろくに会話の出来ない私にいつも話しかけてくれる。
 ――愛情を注いでくれる。
 ――『奴隷』では無く、『人』として。今は『パートナー』として。
 ――皆に優しくて、心配性で、愛に充ちた、そんな主を私も愛している。
 決壊。
 会場全体が涙に濡れる。まるで映画のようなその物語に。
 良かった。良かったねぇ。と、すすり鳴く声もちらほらと。
 そんな会場をライは見渡し、その出会いこそが私の自慢。と、言わんばかりに、開かぬ口に代わって、黒の瞳は無表情の中でも雄弁にそれを語るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

逸見・出己
両親指👍を自分に向け「イエー!!It's me I☆TU☆MI!!I☆DU☆MI is me!!」という自己紹介とともに登場

「オレの自慢はね~[検閲済]に[検閲済]されてることだ!」とカッコつけながら自慢するが[検閲済]はピー音で聞こえる
「あ~やっぱりこうなるか~。でもすごくね?こんな風に検閲されてんのキマイラフューチャー広しっつっても[検閲済]だよ!あれ?これも検閲されんの!?でもこれわざとじゃないんだよ?すごくね?」
とりあえず質問されたことには答えるが[誰が検閲しているか]や[なぜ検閲させているか][検閲の詳細について逸見が知っていること][下ネタ][暴言]は[検閲済]になる



しんみりとしている会場。
 その空気を一変させる男が舞台袖から身を躍らせ、登場する。
 その男――逸見・出己(ザ・[検閲済]※改訂要求は却下されました。・f08765)はスポットライトを一身に浴び、群衆の視線を独り占め。
 そして、両の親指で自分を示し――。
「イエー!!It's me I☆TU☆MI!!I☆DU☆MI is me!!」
 底抜けの明るさと共に、己の名を高らかに宣言する!
 その大胆な登場、先ほどとの落差に茫然とするキマイラ。
 そして、出己が次になにをするのか。と、一気に湧き始める。
 観客のキマイラ達はしんみりでも、盛り上がりでも、とにかく楽しめればいいのだ。
 それを満足気に眺め、出己は熱よ伝われとばかりに自慢話を開始する。
 しかし――
「オレの自慢はね~[検閲済]に[検閲済]されてることだ!」
 ビシッ! という効果音すら聞こえてきそうな程のポージングと共に、声高らかと発言した内容には、何故か一部へ打ち消し音が。
 会場全体へ浮かぶ疑問符、疑問符、疑問符。
「あ~やっぱりこうなるか~。でもすごくね? こんな風に検閲されてんの、キマイラフューチャー広しっつっても[検閲済]だよ! あれ? これも検閲されんの!? でもこれわざとじゃないんだよ? すごくね?」
 出己のみは納得顔で続けるマシンガントーク。しかし、その言葉にも何故か打ち消し音が。
 ――え、なに、どうなってるの、あれ?
 歓声とはまた違うざわめきを見せ始める観客達。
 そして、その疑問に答えるべく口を開く出己だが――。
 [検閲済]
 その言葉は言葉とならず、再びの打ち消し音。
 だが、それが面白かったのか。
 一部のキマイラ達が出己へと次々に話しかけてくるではないか!
 ――それ、誰が検閲してるの!?
 ――なんで、なんで?
 ――何なら喋れるの?
 怒涛のような質問の嵐。
「OKOK。だが、質問は1人ずつだぜ、オーディエンス」
 鷹揚に応える出己ではあるが、そのほとんどの言葉は[検閲済]。
 しかし、キマイラ達の中で、その[検閲済]を引き出せたことに喜ぶ者、[検閲済]を引き出さずに喋って貰えたことに価値を見出す者。などなどと、自慢大会とは違った盛り上がりを見せ始める。
 大会の趣とは少し異なるが、そのキャラクター性は一部の者達へ熱烈に受け入れられたのだ。
 いや、むしろ、彼に関わり、目的を達成出来た者達がそれを自慢し始めるので、ある意味では自慢の生みの親となれたと言える……のかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

クラウン・メリー
自慢大会なんてあるの!?
変な怪人は怪しいけど、
俺も出場したいなぁ~。

POWで行動

俺の自慢はなんてったってピエロだからね、芸が得意だよ?

ジャグリングはもちろん、
火の輪っかだって潜っちゃうよ??

最後はfinale、命綱無しで裸足で12メートル高さの綱渡り!
どうだ!参ったか!!

周りの反応が楽しみだな!
皆、楽しそうだったら嬉しい!

全力で優勝取りに行くよ!



閑話休題。
 ある種の熱狂が舞台袖へと過ぎ去って、話は再び、自慢大会へと戻っていく。
 続いて登場したのは、クラウン・メリー(オラトリオのピエロ・f03642)。
 その名前の通り、まさしく道化師の様相で壇上へと姿を現す。
 さて、次は何を見せてくれるのだろうか。自慢してくれるのだろうか。
 猟兵でもあることが加わって、否が応でもその期待は高まっていく。
「俺の自慢はなんてったってピエロだからね。芸が得意だよ! 自慢の技をご覧あれ!」
 大仰な身振りで慇懃に一礼。
 顔を挙げたその手には、いつの間にやら大小様々、色とりどりな輪っかの数々。
 まずは観客の掴みから。
 1つ、2つ、3つ、4つ……と、手の動きに合わせて宙へ輪っかが舞い、動きで、彩りで人々の目を楽しませる。
 手元はせわしくなく、しかし、顔には常に笑顔。
 時にお道化て輪っかが頭にゴッツンと。敢えての失敗で笑いを誘う。
 その様子に、魅せる技に、観客達から歓声が次々と。
 掴みは良好。と、クラウンは笑みを深め、次の大技へと取り掛かる。
 壇上に用意されたは炎逆巻く大きな輪。
「さあ! 皆の歓声に嬉しくなったピエロは火の輪っかだって潜っちゃうよ!」
 燃え、揺らめくそれの熱気に、観客からは悲鳴にも似た心配の声。
 ――大丈夫、大丈夫♪
 ドラムロールが鳴る間、笑って、お道化て、手を振って、鳴りやむと同時に猛ダッシュ!
 観客が固唾を飲み――見事に火の輪を潜って見せる。
「皆の歓声があれば、例え火の中水の中。空の上だって渡れちゃう! 最後はfinale、命綱無しで裸足で12メートル高さの綱渡り!」
 最後の出し物、綱渡り。
 大型の舞台装置が用意され、クラウンはするすると宣言の通り、地上から12m上のその頂点へ。
 わあわあ! と盛り上がるキマイラ達。特に、その子供達は、頑張れー! と咽喉も枯れんばかりに声援を送っている。
 再びのドラムロールと共に、クラウンは中空に張られた綱へと1歩1歩と足を踏み出す。
 眼下では静まり返り、心配そうに見守るキマイラ達。
 それを視界に納めつつ、更に1歩1歩。
 風もないのに、身体が揺れる。
 上がる悲鳴。
 立て直し、お道化て大丈夫だよ。と、笑顔で手振り、また1歩1歩。
 クラウンはついに、中空に張られた綱を踏破する!
 割れんばかりの大歓声、大喝采!
 キマイラ達のその表情に、盛り上がりに、自慢の技の数々を魅せたクラウンは満足気な笑みを浮かべ、終わりの一礼を大仰に行うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

古高・花鳥
キマイラフューチャーの皆さん、はじめまして。
アコースティックギターを持って登場しますね。
わたしの自慢は、わたしの大切な家族。
今はもういないけど、不器用で真面目だった自慢のお父さん。今はずっと病室にいるのに、何時だってわたし達を気遣ってくれてる、優しい優しい自慢のお母さん。それから、しっかり者ですごく賢い自慢の弟と、いつも元気で天真爛漫な自慢の妹。
家族がいたから、わたしは猟兵として頑張ることができています。みんな、わたしの一番の自慢です。
そんな自慢と、家族への想いを込めて、最後に一曲だけ歌いたいと思います。まだまだ下手くそですが、弾き語り練習したんです。
この世界の皆さんに幸せが届きますように。



猟兵達の活躍に盛り上がりを見せる自慢大会。
 さて、お次は。と出てきたのは黒髪の少女、古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)。
 折り目正しくアイロンのかけられた形跡がある道衣に、深い藍色の外套がよく似合っている。
 だが、その手に抱えられているのはレトロな雰囲気のアコースティックギター。
 衣装との取り合わせはややアンバランスのようにも見えるが、それもまた何をしてくれるのだろう。という会場の雰囲気をより一層に高めていく。
「キマイラフューチャーの皆さん、はじめまして」
 その声は柔らかく、優しく。しかし、観衆を前に怖気ぬ凛とした芯を感じさせる。それはまるで花鳥の心根を現すかのよう。
「わたしの自慢は、わたしの大切な家族」
 ――家族が居たから、居るから、わたしは猟兵として頑張ることが出来ています。
 堂々として語りつつも、表情にははにかむような笑み。
 それはこれから行う自身の弾き語りを思ってか、はたまた、観衆の面前で家族の自慢をすることへの照れか。
 だが、飾らないその姿はキマイラ達へ好意的に受け止められていく。
「その自慢を、今、一曲の歌にしたいと思います。どうか、聞いて下さい」
 リズムをとるように幾度かアコースティックギターが軽く叩かれる。そして、始まる静かな旋律。
 ――今はもういないけど、不器用で真面目だった自慢のお父さん。
 ――今はずっと病室にいるのに、何時だってわたし達を気遣ってくれてる、優しい優しい自慢のお母さん。
 ――しっかり者ですごく賢い自慢の弟。
 ――いつも元気で天真爛漫な自慢の妹。
 かつて両親が共に健在だった頃を、そして、その時が過ぎ去り自身が家族を支える今を、その全てを脳裏に描きつつ、花鳥は歌う。
 確かに、その旋律は、奏でる歌はプロには遠く及ぶべくもないもの。
 だが、そこに込められた万感の想いは確かなもの。
 その真摯たる花鳥の姿に心打たれたキマイラ達の脳裏には、それぞれの家族の姿や思い出が過っては消えていく。
 気付けば、一滴の涙が頬を伝っている。
 それは花鳥だったのか、はたまたキマイラの誰かだったのか。それとも、会場全体が共有した想いだったのか。
 ――みんな、わたしの一番の自慢です。
 アコースティックギターの弦を弾き終え、その余韻と共に締めくくる花鳥。
 静寂。
 そして、誰か1人が手を叩き始め、2人、3人……と、その音は全体へと波のように広がっていく。
「この世界の皆さんに幸せが届きますように」 
 それを受けながら、花鳥は綺麗なお辞儀でその場を締めくくるのであった。
 拍手は、いつまでも鳴り響いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ラインペトル・グレイシルヴァニア
神々しい輝きと共に、カリスマを放つ余推参!

自慢か、それはもちろん余である!
と言いたいが、ここは余の民であった者達について語ろう。とくと静聴せよ。

彼等は勤勉で、闊達で、何より生きる事に貪欲であった。
勿論、怠惰な時もあり皆が皆清廉なる者ではなかった。然し弱さを受け入れ、明日へと向かい進み続ける強さがあったのだ。
彼等は良く務め、己を努めた。
余もまた、彼等の働きに相応の報酬と労いを持って返した。
彼等は言うであろうな、国民であり己でいる事が自慢だと。
うむ、とんでもない奴等であったのだ。

其方らはどうであろうな、なくても良い。
己れに恥じぬ行動をしておれば、自ずと見つかるであろう。
我が家臣も募集しておるぞ!



空に輝く神々しき光あり。
 あれはなんだ。星か。太陽か。いいや――。
「カリスマを放つ余、推参!」
 ラインペトル・グレイシルヴァニア(インペリウムの誉れ・f06975)だ!
 中空から現れ、地に降りる演出。
 それは会場の度肝を抜き、雰囲気を一瞬で塗り替えた。
 それに気をよくしたラインペトルはご満悦に大会の趣旨である自慢を始める。
「自慢か、それはもちろん余である!」
 肉体年齢こそ齢13歳のそれであるが、その身に秘めたるは遥か遠き彼方からの魂。
 経てきた時間の重みだろうか。その言葉には、否定しきれぬ何か――カリスマとも言えるべき観衆を納得させるものが確かにあった。
 だが――。
「と言いたいが、ここは余の民であった者達について語ろう。とくと静聴せよ」
 意外にも、前言を翻して語るは在りし日々の者達について。
 堂々たる雰囲気に対しての納得な空気が流れていた中でのそれはキマイラ達の興味を惹くには十分であった。
 誰もが何を語るのだろうか。と、耳をそばだてている。
「彼等は勤勉で、闊達で、何より生きる事に貪欲であった」
 始まる語り口は登場シーンからのインパクトや雰囲気から一転、どこまでも厳かに。
 それは王たる者の風格というものを滲ませたもの。
「勿論、怠惰な時もあり皆が皆清廉なる者ではなかった。然し弱さを受け入れ、明日へと向かい進み続ける強さがあったのだ。彼等は良く務め、己を努めた」
 瞳を閉じ、思い浮かぶのは幾百年かの過去。
 今は滅びし、ラインペトルが治めた国と民。
「余もまた、彼等の働きに相応の報酬と労いを持って返した。彼等は言うであろうな、国民であり己でいる事が自慢だと」
 瞳を閉じ、語るラインペトルを見つめるキマイラ達には、その姿が幾分か大きく、線の細い少年の姿とはまた違ったものに映る。
 そして、周りの風景もまるでここがキマイラフューチャーではないような。
 それは、もしかしたら在りし日々の――。
「うむ、とんでもない奴等であったのだ」
 銀の瞳を開き、まるで悪戯が成功したかのようにニカッと笑うラインペトル。キマイラ達の見るその姿や周囲の光景は、何事もなかったかのように元の光景へと。
 ――あれは幻だったのだろうか。
 だが、誰も彼もがまるで同じものを見ていたかのようでもあり、ざわめきが巻き起こる。
 そのざわめきなど、気にしていないかのようにラインペトルは続けるのだ。 
「其方らはどうであろうな、なくても良い。己れに恥じぬ行動をしておれば、自ずと見つかるであろう」
 まるで、教え導くかのような言葉。
 王としての言。
 それへ、歓声とはまた違う種類の声が上がっていくのであった。
 ただし――。
「とは言え、今の余は国も民も持たぬ身。余の話に感銘を受け、我こそはという者が居れば、家臣の募集もしておるぞ!」
 しっかり、オチを付けるのは忘れずに。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヒバゴン・シルバーバック
使用は【POW】アドリブ、アレンジ可

「ウホー!」
ヒバゴンは壇上に上がり先ずドラミングしてから吠えました。

「ウホッホ、ホッホッホウ!」
彼は自分の服装を自慢し始めました。自分がこれまでに経験した戦いについて語り、白衣、マント、帽子が戦利品であること。相手がいかに強敵だったか、自分がいかに勝利したかを語っています。相手が強く偉大だからこそ、その戦利品を身に付ける自分はもっと凄いと言いたいようです。

「ホッホッホー、ウホゥ!」
今は強敵よりも強い自分が着ているからもっと価値があると身振り手振りでで装備の自慢をしています。しかしウホウホとしか言っていませんが、果たして周りに言っている事が通じるのでしょうか?



「ウホー!」
 壇上に姿を現し、雄々しくその胸を叩いたのは1匹のゴリラ――もとい、ヒバゴン・シルバーバック(ウォーマシンのバーバリアン・f07349)。
 力強い野生の発露、大胆なパフォーマンス動作。
 その真に迫る動きは見るものを圧倒させる!
 ……真に迫る。そう、彼は真実、ゴリラではない。あくまでもゴリラ型のロボットなのだ!
 だが、その胸に宿る心はジャングルのヒーロー!
 そこにゴリラたる真贋など僅かな差異でしかないのかもしれない。
「ウホッホ、ホッホッホウ!」
 もしかしたら、人語もその体にプログラミングされているのかもしれないが、その口から漏れ出す言葉は全て野獣の如き言葉でしかなかった。
 その動作、口調はまるでヒバゴンの纏う衣装の数々を自慢するかのようにも見える。
 ――じ、自慢しているの?
 ――何言っているんだ?
 ――おい、誰かゴリラの要素が混じってる奴、言葉が分かったりしないのかよ!
 だが、無常にもその言葉を解するキマイラはこの場にはいなかった。
 恐らく自慢しているのだろうな。だけれど、何を言っているのだろう。と疑問符が会場を支配する。
 その時である。
 ――彼は自分の服装を自慢し始めました。自分がこれまでに経験した戦いについて、その相手がいかに強敵で……。
 突如とした降ってきた天の声。いや、ナレーション!
 ヒバゴンが行動する度、降ってくるそれ。
 それがヒバゴンの行動を、心情を語ってくれているとキマイラ達が気づくのに、そう時間は要らなかった。
 理解さえ出来れば、あとはノリの良いキマイラ達。
 ヒバゴンがドラミングをすれば、それに乗っかって自分達も負けじと。
 ヒバゴンが吠えたければ、応え、声援を送る様に吠え声を返す。
 そこにはゴリラを通して、謎の一体感が生まれていた!
 そして、意思の疎通が図れたヒバゴンは改めて語るのだ。
 それは、仇敵であるワニ――型ロボット――達との戦い。
 それは、ヤンチャをしていた頃の配管工との戦い。
 それは、様々なコースを制するライバルレーサー達との戦い。
 時に涙なしには、時に手に汗握り、キマイラ達はヒバゴンの物語(ナレーション)に耳を傾ける。
「ホッホッホー、ウホゥ!」
 そんな強敵達との激闘を経て、得た衣装や持ち物の数々。それらは強敵を制したヒバゴン自身が持つことで、より一層の価値を誇るのだ!
 どこまでも強く、野生の誇りも高らかに宣言し、自慢するヒバゴンの姿。
 その姿は紛うことなきジャングルの王者!
「ウホー!」
 ――ウホウホー!
 最後に、登場した時と同様のドラミングと吠え声で締めくくるヒバゴン。
 会場からはキマイラ達からの興奮した吠え声が返ってくるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『売れ残ったクリスマスのケーキ怪人』

POW   :    恨みのローソク
【ケーキの飾りのロウソク 】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ふかふかボディ
自身の肉体を【スポンジケーキ 】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    生クリームブラスト
【両掌 】から【生クリーム】を放ち、【ベトベト感】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


盛り上がりを見せる自慢大会の会場。
 そこへ猟兵達が参加することで、そのボルテージはより一層の上昇を見せている。
 そんな中、1つの影が檀上へと乱入する!
「なんだよ! 猟兵達が来るなんて、聞いてないぞ!?」
 頭に乗っかるクリスマスケーキ。涙目の瞳。ボディを飾るダンボールには半額の値引きシールが。
 なんだか哀愁を漂わせる姿――売れ残ったクリスマスのケーキ怪人だ!
「くそっ、計画は台無しにされるし、自慢は聞かされ続けるし、やってられるか! 俺なんて売れ残って自慢すらねぇってのに!」
 猟兵達の参戦に、半ば自暴自棄になったかのようなクリスマスケーキ怪人。
 やってられるか! とばかりに壇上を滅茶苦茶にしようと行動を開始し始めた!
 それにブーイングの嵐を向けるキマイラ達だが、その剣呑な瞳を向けられ、悲鳴をあげて逃げ始める。いや、中には勇敢にも立ち向かおうとする者もチラホラと。
「そんな自信がむかつくんだよ! 全部、ぶち壊してやる!」
 大会を台無しにしようとしていた怪人の意識がキマイラ達へと向く。
 大会を台無しにすることも、キマイラ達に被害を出させることも、防がねばならない。
 今こそ、ヒーローが姿を見せる時だ!
ヒバゴン・シルバーバック
使用は【WIZ】アドリブ・アレンジ可
「ウッホー!」
ヒバゴンは現れた怪人に向き直ると自身も本気を出しました。心なしかキラキラして見えます。そしてユーベルコード『二人プレイ』により分身し、口を大きく開けました!ケーキ怪人の放つ生クリームを食べる気です!意地汚い!ウォーマシンなのにご飯を食べるために消化器官を搭載した彼は、燃料以外でもエネルギーを補給できるのです。というかオイルを摂取するほうが稀!ジュースとかバナナのほうが大好き!ヒバゴンは撃って来いと言わんばかりにケーキ怪人にまとわり付きます!
「ホッホ!ホッホッホッホ!」
やる気です!ヒバゴンは怪人も食べる気です!どうなるケーキ怪人!



現れたクリスマスケーキ怪人。
 その嫉妬の焔が、ふかふかのスポンジボディが、両の掌から生じるナマクリームが、逃げ惑うキマイラ達へと襲い掛かる。
 その時――。
「ウッホー!」
 雄たけび一番。マントを靡かせ1匹のゴリラ――ヒバゴン・シルバーバック(ウォーマシンのバーバリアン・f07349)が怪人の前へと立ち塞がった!
 その目の輝きは本気と書いて真剣(マジ)。
 猟兵として、キマイラ達の憧れるヒーローとして、ヒバゴンは怪人と対峙するのだ!
 ……いや、その瞳の輝きはもしかしたら、違う意味合いも含んでいるのかもしれないが。
 その内心はともあれ、逃げ惑うキマイラ達にとってはその姿は間違いなくヒーロー。
 その出現に、不安や恐怖へ駆られていたキマイラ達から歓声が巻き起こる!
 それへ応えるように、ヒバゴンはキマイラ達へ背を向けたままサムズアップ。
 そして――。
「ふっふっふ、こんなときはふたプーだ」
 やはり喋れたのか! という衝撃はさておき、ヒバゴンの傍らへもう1人のヒバゴンが姿を現す。
 身体の色味やネクタイのカラーなど、細部は異なるが、それ以外は全く同じもう1人のヒバゴン。
 そんな2人は同時に、やれやれ。とでも言わんばかりに唇を突き出し、怪人を挑発し出す。
「畜生! ヒーロー気取りかよ、猟兵! 手前なんぞ、生クリームだらけにでもなってやがれ!」
 頭部のローソクへ灯る炎もより赤々と、怪人は怒りを剥き出しにし、両の掌をヒバゴン達へと向け、今必殺のナマクリームブラスト!
 だが、しかし――。
「ウッホホー♪」
 響く2匹の歓喜の声。
 それを待っていましたと言わんばかりに、ヒバゴンは、ヒバゴン達はそれを口で受け止める!
 口中に広がる甘い生クリームの味。売れ残りが故に少し硬く、ベタベタするような気がするのがやや減点か。
 ――はぁ!?
 驚きに眼を点にしたのは売れ残ったクリスマスケーキ怪人。
 生クリームを撃ち出した姿のまま、その身に纏う生クリームの如く、固まってしまっている。
「ホッホ! ホッホッホッホ!」
 ――ウォーマシンだけれど御飯を食べるための消化器官も搭載。燃料以外でもエネルギー補給が可能なのです。
 ――というか、オイルを摂取する方が稀! ジュースとかバナナとかの方が好きなのです!
 突如として振ってくる天の声(ナレーション)。
 だが、味の好みはそれとして、食べ残しは勿体ないのだ。
 ヒバゴン達は固まる怪人に纏わりつき、そして――。
「――ちょっ!? おまっ、馬鹿っ!? や、やめろー!?」
「ウッホホ、ウホホーッ!!」
 キマイラフューチャーの空高く、怪人の悲鳴が響き渡るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

古高・花鳥
戦うのを躊躇ってしまう境遇を持っていても、思い通りにはさせません。
憎悪でも信念ならば、わたしも強き信念を持って向かわないと、ですね。
今度は、ギターではなく刀と共に壇上へ。
戦闘では「月下抜刀流・花鳥一閃」で先手を狙います。技能「先制攻撃」「見切り」等も忘れませんよ。
相手は恐らく炎を放ってきます、炎が届くよりも先に、相手の下へ飛び込まなければなりませんね。
もしも敵がキマイラの皆さんを狙うようなことがあれば、技の突進による速度と技能「かばう」を使うことになるかもしれません。
今、わたし達はヒーローだと思われているのでしょうか。だったら、名乗りや技名なんかも言っちゃいましょうか!
なんだか照れちゃいますね



頭を一部齧られ、這う這うの体で猟兵から距離を取る売れ残ったクリスマスケーキ怪人。
 これが、とある世界線の菓子パンな国民的ヒーローであれば力の減少なり起こるところであるが、ここはキマイラフューチャーであり、彼(?)はヒーローではなく怪人であった。
 その姿を猟兵達の応援へ回っていたキマイラ達が指差し、より一層に猟兵達の活躍への応援を送る。
「このっ! 指なんて指すんじゃねぇ!」
 羞恥と怒りと嫉妬と、様々な悪感情がない交ぜになった怪人。その頭に残った蝋燭が再び激しく燃え上がる!
 恨み辛みのこもった焔。
 怪人が意識したかは定かではないが、その焔は蝋燭からキマイラ達へと向かって迸る。
 怒り狂う蛇のように伸びたそれ。
 内包する熱が全てを燃やし尽くさんと、キマイラ達を呑み込まんとし――。
「――月下抜刀、一の太刀!」
 炎の蛇がキマイラ達を呑み込む直前。1つの影がその眼前へ駆け、立ち塞がり、見事にその身を中央より断ち割った!
 気合一閃と共にそれを為した人影1つ。
 残された火の粉が花弁のように人影の周囲を彩り、空気の揺らめきに黒髪が、藍染の外套が舞い踊る。
 まるで、血払いでもするように名も無き刀を一振り。
 硬質な音を立てて再び刃は鞘へと舞い戻る。
 振るわれた技の名は、『月下抜刀流・花鳥一閃』。
 ならば、それを振るった人物は――!
「その境遇には同情もしましょう。ですが、思い通りにはさせません」
 ――古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)、ここに見参!
 残心の姿も風流に、花鳥は静かに登場の宣告を行う。
 それは、キマイラ達の希望とならんと意識して行われたもの。
 幾分、照れも混じりながらではあったが、その意図は違うことなく、キマイラ達の心のボルテージをあげていく!
 新たなるヒーローの登場、救われた命、それを為した技の冴え。
 ボルテージがあがらないことがあるだろうか。いや、ない!
 ――猟兵(イェーガー)! 猟兵(イェーガー)!
 数多の声が花鳥の背中を押す。
 ならば、その声に応えなければヒーロー失格というものだ。
「いざ、参ります!」
「参りますと言われて、素直に近付ける奴があるかよ!」
 怪人は再びに蝋燭の焔を迸らせる!
 花鳥の背にはキマイラ達。それを避けて通る訳にはいかない。
 だが、その技は既にみているのだ!
 閃く刃が1つ、2つ……炎の蛇はその身を伸ばしきるまでもなく、吹き千切れていく。
 そして――。
「まだ未熟ではありますが、わたしも信念で負ける訳にはいかないのです!」
 交差。
 再び、刃の仕舞われる音が辺りに響いた後、断ち切られた蝋燭が地に落ちる音が続いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クラウン・メリー
怪人のお出ましだね!
あのケーキ怪人食べれないのかな?売れ残りっていってるし食べてあげたいかも。

とりあえず被害がでないように
皆を【光のヴェール】で包もうかな?
そして、俺はユーベルコード
【鈴蘭の嵐】で、武器を変えちゃおう!

そしてこの【黒剣】でケーキ怪人をぶったぎって血じゃないけど生クリームを啜っちゃう?

攻撃されたら怖いからローソクもまたこの【黒剣】で切っちゃおっか。

最後は【拷問具】で、拘束して美味しく食べたいな!
なんてね、もちろん攻撃するよ?

攻撃しかけてきたら、
生クリームなら大歓迎!食べれるなら食べちゃうよ!怪人も食べてほしそうだし!



蝋燭の幾本かは半ばで断ち折れ、クリームも欠け、まさしく満身創痍といった出で立ちの怪人。
 暫しの忘我の時こそあったが、今はその目に再びの剣呑なる光を宿している。
 いや、むしろ、その光はより一層に強まっているとも言える。
 それは、キマイラ達の声援やそれを受ける猟兵達の雄姿を目にし、味わったからこそ。
 ――俺にはそういったものが一つもないのに。
 妬み嫉みを原動力に、怪人は再び立ち上がるのだ。
 そんな怪人の前、コロリとボールが1つ2つと転がってくる。
「怪人のお出ましだね! でも、そんな険しい顔しないでさ、もっと笑おうよ!」
 顔をあげた怪人の視界。そこにはピエロ衣装のクラウン・メリー(オラトリオのピエロ・f03642)。お道化た様子で黒剣をジャグリング。
「ほら、君もそれをこっちに投げて」
 怪人の手元に転がしたボールを投げてよこせと、怪人までも巻き込み、その険しい表情を笑顔にしようと、お道化てみせるのだ。
 しかし、投じられたのはボールではなく、怪人からの生クリーム。
 それはクラウンの纏う光のヴェールが、その優美さとは裏腹に、鉄壁の如くとクラウンと観客のキマイラごと守り抜く。
「残念! 一緒に楽しめればと思ったけれど、そうもいかないみたいだね!」
 残念とは口にしたものの、その表情はピエロ故、浮かんでいるのは常の笑顔のみ。
 零す涙はメイクで十分。怒り顔なんてもっての外。故に、浮かぶのは笑顔のみ。
 ならば。と、クラウンはジャグリングしている黒剣を1つ2つと、より一層に高々と。
 高く高く宙へ舞った黒剣はまるで花火の如く、その身を鈴蘭の花びらへと綻ばせ、宙を彩る。
「空舞う剣はあら不思議。いつの間にやら鈴蘭の雨。だけど、種も仕掛けもございません」
 舞い落ちてくる花びらの雨の中、クラウンはくるりくるりと舞い踊る。
 その口から零れる言葉は滑らかに、戯曲の台詞を語るが如く。
 それへ魅入られるはキマイラのみではなく、怪人もだ。
「だけれど、見惚れては危ないよ。花が綺麗に咲くには養分が必要だ! 見惚れていたら、いつの間にやら蔦が絡まり檻の中!」
 舞い散る鈴蘭の嵐の中、密やかに怪人の足元へ忍び寄っていたのは拷問具。
 クラウンの繰るそれはスルリと怪人の脚を絡めとり、降り積もった花の海へとその身を引き摺り倒すのだ。
 そして、その前に現れるクラウンの片手には鈍く輝く黒の剣。
「かくして、売れ残ったケーキは花が咲くための養分となったのでした」
 まるで、ケーキを切り分けるように――実際、ケーキ怪人なので間違いではないが――クラウンの剣はケーキ怪人をサクリと切り裂くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・那由他
自慢ってする方は楽しいわよね。前向きな自慢話だったら聞いている方も愉快だし……でも、光が強いと闇も濃くなるのよ。こんな明るいステージでは特に。ちょっとだけ同情するわ。

SPDで判定を。『付喪神奇譚』を使用。【全力魔法】で宙を舞う『付喪神の包丁』を幾つも呼び出し、【2回攻撃】も意識しながらけしかけます。
私が相手してあげるわと【誘惑】し、戦いやすいところに【おびき寄せ】て。

「それじゃ、ケーキカットしてあげる。食べたらお腹壊しそうだけど」

包丁を操って後ろからさくっと突き立てて【暗殺】しちゃおうかしら。

ルサンチマンは嫌われるわ。改心しないなら……可哀想だけれどここまでね。
 
※アドリブ歓迎です。



光強ければ、そこに伸びる影法師はより濃ゆく。
 ややもすれば己に自信なきケーキ怪人へ同情の目を向けるのは化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)。
 零れる黒髪より覗いた印象的な赤の瞳。それが這う這うの体たる怪人を見つめていた。
「自慢ってする方は楽しいわよね。前向きな自慢話だったら聞いている方も愉快だし」
 ――だけれど、いえ、だからこそ、光を持たない闇には眩しすぎるのかもね。
 新たに現れた黒髪の美女。
 語り口に合わせ、その手に持った重厚なる本も風はないのにぺらりぺらりと頁をめくる。
 それが猟兵だと怪人にはわかるのに、何故か目を離せない不思議な魅力がそこにはあった。
 そして、同情の眼差しと怪人の内面へ同調するような言葉は、ボロボロになった怪人の心深くへ染み入っていく。
「そうだよ。オレには自信がない。だから、オレはこの世界から自信をなくしてやろうと……!」
 俯き、身体を震わせるように零す怪人。
 那由他は衣擦れの音もなく、その立ち位置を静かにずらす。
 その後ろには、キマイラも、誰も背負ってはいない。
「だからと言って、ルサンチマンは嫌われるわ。アナタにも、ここまでの大会を生み出すだけのモノがあるのではないの?」
 怪人にも、怪人の自慢足り得るものがあるのではないのか。
 それを問いかけ、改心を促す那由他。
 だが、怪人はその頭部を持つからこそ、自信のなさを特徴としてより濃く持つからこそ『売れ残ったクリスマスのケーキ怪人』なのだ。
 故に、語られる言葉は真実であったとしても、改心には至らない。
 むしろ、――
「それが出来れば、こんな風になってねえよ!」
 コンプレックスを刺激され、撃発するのだ。
 喰われ、斬られ、刺され、ボロボロになったスポンジケーキ。
 今や見る影もない程の威力で持って、それを那由他へと差し向ける。
 ――年経た器物に叡智あり。古の御業、此処に示さん。
 開かれていた奇書に浮かび上がる文字。
「改心しないなら……可哀想だけれどここまでね」
 軽い音を立て、怪人の背中に何かが突き立った。
 続けて更に、2つ、3つ。
 一体誰が。という表情で刺された方向を振り向く怪人。その視界には、那由他により呼び出された無数の『付喪神の包丁』が浮かんでいた。
「それじゃ、ケーキカットしてあげる」
 ――食べたらお腹壊しそうだけど。
 包丁とケーキ。使い方など、そう多くはなく、那由他の言葉通りに威力は正しく発揮されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『餅巾着侍』

POW   :    御澱流・田楽刺し
【長巻を用いた鋭い刺突攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【煮え滾る味噌だれ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    御澱流・チカラモチ
自身の肉体を【つきたての餅めいた形質】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ちくわと鉄アレイ
【伝説的なニンジャマスター】の霊を召喚する。これは【食べると体力を回復出来るちくわ】や【当たるとダメージを受ける鉄アレイ】で攻撃する能力を持つ。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ハヤト・ヘミングです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


猟兵達の猛攻に倒れ伏すケーキ怪人。
 今、その命も頭に残る蝋燭の1本が如く、風前の灯火となっていた。
 だから、最後に悪あがきをするのだ。
「先生! お願いします! 先生ー!」
 振り絞って助けを求める声。
 ――一体誰に?
「おっと。それ以上、拙者の依頼主を傷つけないで頂こうか」
 どこに隠れていたのやら。
 ケーキ怪人の声に応じて現れたのは頭部に餅巾着を戴く侍。
 その名前もそのまま、餅巾着侍!
「義も何もありはしないが、これも依頼だ。これよりは拙者がお相手仕る」
 ドドドン! と、どこからか太鼓の音が鳴り響き、餅巾着侍は猟兵達へ見得を切る。
 新たな、そして、最後の戦いの開幕の時であった。

 なお、ケーキ怪人はそのまま静かにリタイアと相成っていたそうな。
化野・那由他
命まで取る必要はないかしら。少しは身にしみてくれると良いのだけれど。とにかく今は餅巾着侍を倒さないとね。

あら美味しそう。貴方が用心棒ね。その首、頂戴するとしましょう。
……でも実際のところアレって食べられるの……?。
付喪神奇譚を使用して、今度は付喪神の日本刀を召喚します。柄を握って刀を振るい、接近戦を。もし刀が弾かれて手から離れても、刀は宙を飛んで怪人を狙います。【気合い】を込めて【2回攻撃】。攻撃は【第六感】で避けましょう。

餅怪人が古風な言い回しで攻めてきたら、こっちもなにか時代がかった台詞を格好良く返したいわ。【礼儀作法】とか使って。……手には戦いながら空中でキャッチしたちくわを持ちながら。



 倒れ伏したケーキ怪人と見得を切ることに夢中な餅巾着侍。
 それを眺め見るのは化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)。
 ――命まで取る必要はないかしら。少しは身に染みてくれると良いのだけれど。
 視線をチラリ、今は動かぬケーキ怪人へ。1つ2つと心中にて想いを零し、改めて意識は餅巾着に。
 藍染の着流しに描かれるは頭のそれと同じもの。
 表情は餅巾着故に見えないが、所作からはどこかコミカルな、三枚目的な印象を受ける。
「さてもとりあえず、お相手仕るとは申したが多勢に無勢。これは退くがよろしいかな?」
 舞台の下には観客のキマイラ達。そして、それを背負うように猟兵達。
 餅巾着侍はまさしく四面楚歌。
 故に――
「しからばごめん!」
 いつの間にやら、餅巾着侍の傍には、青の忍者装束姿な人物が。頬っぺたに描かれたぐるぐるほっぺがなんとも印象的である。
 そして、まるで煙幕を張る様に、突然舞台へと降り注ぎ始める鉄アレイとちくわの数々。
 ちくわ……はともかくとして、鉄アレイは当たれば普通に痛いぞ!
 そんな雨霰と降る障害を壁として、餅巾着侍は場の離脱を図ろうとする。
 だが、そうは問屋が、否、那由他が許さない!
「お待ちになって、用心棒さん。せめて、その御首を置いていってくださいな」
 鉄アレイとちくわの雨を潜り抜け、手にした日本刀で餅巾着侍と切り結ばんと逃げ道を塞ぐ。
 ……実際のところ、潜り抜けるに当たり、2、3個の鉄アレイとぶつかって涙目にもなりそうであったが、そこは猟兵たる矜持。
 今はしっかりしなければ。と、ぐっと堪える那由他さん。健気である。
「そこを……退いてはくださらんか、ご婦人」
「いえ、なりません。此度の騒動、その仕置きをせねばならぬが故に」
 そして、相対する2人。
 餅巾着侍の古風な喋りに釣られたのか、那由他の言い回しもいつの間にやら時代掛かって。
 ごくり、見守るキマイラ達には、舞台が一瞬、檜舞台に見えたとかなんとか。
「では、致し方なし。斬り捨て、進ませてもらうとしよう」
 踏み込み1歩。と、見せかけて、ぐにょんと伸びたる餅巾着侍が腕。
 接近戦を考えていた那由他の一瞬の虚。
 那由他はかろうじて刃を受け止めたものの、その手に持っていた那由他の日本刀は弾かれ、宙へ。
 コミカルに見えても、腐っても侍と名乗るだけの腕はそこにあったようだ。正統な侍かどうかはさておき。
「ははっ、拙者の腕を見誤ったな!」
 嘲るような笑い。しかし――
「見誤ったのはどちらでしょう?」
 落ち着き払った那由他の言葉。餅巾着侍の脳裏に奔るはケーキ怪人にとどめを刺した攻撃。
 ――あの者の日本刀は何時から持っていた? ……まさか!?
 気付いた時には、宙を舞っていた『付喪神の日本刀』は目前に。
 1度攻撃を見られていたが故、直前で勘付かれ深手とまではいかなかった。
 だが、餅巾着侍の身体には一閃の太刀傷が確かに刻まれたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クラウン・メリー
おぉ!また美味しそうな敵のお出ましだね!

一気に倒しちゃうぞ!

SPDで勝負だ!
ユーベルコード【咎力封じ】で
押さえつけて【傷をえぐる】様に攻撃をしよう!

最後は【拷問具】でまた押さえつけて
無数の【黒剣】でドキドキの射的をしちゃおうかな?

攻撃を仕掛けようとしてきたら、
【光のヴェール】で、身を守って自慢の翼で逃げちゃうよ!それか【黒剣】で跳ね返す!

アレンジ大歓迎!



 身体に刻まれた傷口を抑え、よろめく餅巾着侍。
 それを好機と見たはクラウン・メリー(オラトリオのピエロ・f03642)。
「また美味しそうな敵のお出ましだね! でも、一気に倒しちゃうぞ!」
 手にしたロープが1本だらり。地に向けて垂れる。
 ロープをくるり回せば、あら不思議。1本が2本。2本が3本と。
 回転の勢いのまま、ぱっと手放せばまるで蛇の如くに餅巾着侍に襲い掛かる!
「なんと面妖な!?」
 驚き、態勢の崩れた形で振るわれた刃。
 それは手と顔に跳んだロープまでは切り裂けたものの、身体を縛るそれまでは防ぎきれない。
「さあ、お次はドキドキな射的の時間だよっ!」
 宣言。そして、クラウンが手に持つのは投げナイフの形状へと変化した黒剣。
 鈍い輝きを翳しつつ、その狙いは絡みつくロープに動きを妨げられた餅巾着侍。
 常のナイフ投げであれば、標的となる相手の頭にリンゴの1つでも置くところではあるが、これは舞台に非ず。しかして、クラウン・メリーが独壇場であった。
「見事当たれば、喝采を!」
 踊る様にクラウン。流れるように投じられる黒剣。
 宙を滑り進んだ黒剣は吸い込まれるように、見事、餅巾着侍の傷を抉る様に突き立つ!
 ――追撃を!
 もう1つ、2つと黒剣を投じようとしたしたクラウンの背筋が粟立つ。
 予感に従い、ばさり、その翼を広げ、その身を宙へ。
 クラウンが数瞬前まで居た場所へ遅れて奔った斬撃。
 宙より眺め見たクラウンが目にしたものは、先の猟兵戦で見せた伸びる腕。そして、その斬撃であった。
 身体は拘束されつつも、封じられていない腕を使ってのそれであった。
「面妖って言うなら、キミも十分に面妖だよね!」
 間一髪の局面ではあっても余裕は忘れない。
 驚かせ、笑わせるのが道化師の役目であって、驚かされるのはその役目ではないのだから。
 実際に躱せたのは間一髪。しかし、躱されたのは事実。
 餅巾着侍は舌打ち一つ。
「そっ首落としたと思ったが、そう簡単にはいかぬなぁ」
 そして、餅巾着侍の身体に刻まれた刀傷が、刺し傷が溶け崩れた餅のようにドロリ。
 それは傷口を覆うように溶け固まり、傷口を塞いでいく。
「わお! それはちょっと美味しそうじゃないよね!」
 全ての傷口を塞いだ餅巾着侍を見て、正直な感想をポロリ。
 物理攻撃は効果が薄いのか?
 否。
 よく見れば、塞がれた傷の周囲は冷え固まったお餅のようでもあり、その伸縮性を僅かではあるが阻害しているようであった。
 相手の損傷は確かに積み重なっているのだ。
 しかし、戦闘の時はまだ続きそうであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヒバゴン・シルバーバック
使用は【SPD】アドリブ、アレンジ可
ヒバゴンは口についたクリームを手の甲で拭うと、ケーキ怪人の後に現れた大ボスっぽい餅巾着侍をじっと睨みつけていた。他の猟兵たちが戦っている中で、彼は考えていた。
(こいつどこまで食えるんだろう)と。
しかし相手は餅。欲張れば喉に詰まってしまうかもしれない。ならば素直に殴るか、しかし相手は餅。パンチは通じにくいだろう。上手く打ってもコシが出てしまうかもしれない。ならば!
「ウッホッホ」
ヒバゴンは図工の時間に作ったような銃を二丁取り出し、再び二人プレイを発動!
『ウホー!』
そしてヒバゴンズは妙に硬い落花生が出る銃で、餅巾着侍を遠距離から撃ち始めた!ちくわは我慢だヒバゴン!



 幾度かの攻防を経た猟兵達と餅巾着侍。
 それを真摯な眼差しで眺めるゴリラ――否、ヒバゴン・シルバーバック(ゴリラ型ロボット・f07349)。
 口元に付いたクリームも拭き拭きと拭いつつ、ジャングルの王者は餅巾着怪人にその瞳をジッと向けるのだ。
 それはまるで餅巾着侍の動きを見切るがため、観察しているようにもあった。
 ――こいつ、どこまで食えるんだろう。
 ……本当に?
 何か、邪なノイズが入った気もするが、ヒバゴンは今、この時においてはヒーローなのだ。
 ヒバゴンは続けて、自身が目の前で展開されている戦闘へ割って入った際のシミュレーションを脳内で展開する。
 ――相手は餅。パンチは通じにくいだろう。
 相手が餅の特性を利用し、傷を塞いだ場面を見ての冷静な状況分析。 
 ――上手く打ってもコシが出てしまうかもしれない。いや、それはそれで食べやすくなるのでは?
 冷静? な状況分析は続く。 
 ――しかし、相手は餅。欲張れば喉に詰まってしまうかもしれない。ならば!
 今、ヒバゴンは纏わりつく食欲という誘惑を振り切り、自身の中で出した答えを行動に移す!
 やや食欲強めであったかもしれないが、その思案中の姿はそれがそうであると観客のキマイラ達には見えなかったのは不幸か幸いか。
 夢はここに守られたのだ。
 閑話休題。
 ヒバゴンがどこからともなく取り出したのは木をくり抜いたかのような円筒にトリガーと持ち手がくっついたもの。その名もPP銃!
 PPが何を示すのかは、きっとヒバゴンの心の中にだけあるのだろう。
 それをもう1人のヒバゴンに手渡し、彼らはついに戦場の舞台へ躍り出る!
「ウホー!」
 一瞬。そう、一瞬だけ、転がっているちくわに意識が行ったが、ヒバゴンは強い子。我慢の子。その誘惑を振り切り、銃口を餅巾着侍へと向ける。
 トリガーが引かれる。
 飛び出す弾――硬質な音が幾つか響く中、落花生は正しく餅巾着侍の身体を撃ち貫いた!
 餅巾着侍の周囲に飛散する蕩けたお餅。
 そして、硬質な音の正体――刃で防がれ立ち割られた、中身の零れ出ている落花生。
 ちくわが我慢できたんだ。落花生の拾い食いも今は我慢だヒバゴン!
 視線はチラチラと向かいつつも、引き続き、餅巾着侍への射撃を続け、その動きを縫い止めるヒバゴンであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

古高・花鳥
ケーキ怪人さん……もしも、次もケーキとして生まれてくるのなら、その時は美味しく食べていただけるよう祈っています

それでは、敵の真打ち登場でしょうか
同じく剣士……全力で挑みます
もちろん名乗りも忘れませんよ

「見切り」と「捨て身の一撃」を信条に「先制攻撃」を狙います
放つは【月下抜刀流・花鳥一閃】
煮え滾る味噌だれは浴びたくありませんし、美味しくいただきたいので、敵の攻撃は【居合域】も使いつつ避けるのに徹します
おそらく剣術の腕では敵わないかもしれません、ですが他の方への攻撃を抑えられるのならば、斬り結んで見せますので!

キマイラの方々に被害が及ばないよう「かばう」ことを視野に入れつつ戦いますね



 続く銃撃に動きを縫い留められている餅巾着侍。
 そこに流れた銀光奔る一閃。
 遅れて、黒の艶髪が風に揺れた。
 名も無き抜刀術。それを己が腕にて高めた古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)が抜刀術。
 その月下抜刀流の一の太刀。
 ――敵は真打ち。故に、油断なき一撃を。
 しかし、花鳥より奔った銀閃は餅巾着侍より奔った同種の銀閃に阻まれる。
 鋼と鋼のぶつかる、硬質な音が辺りに響いた。
 そして、交差した影が離れあい、距離を保つ。
「やはり、容易くはいきませんか」
 花鳥は抜いた刃を再びに鞘へと戻し、雅やかに餅巾着侍を眺め見る。
 ――まだ刃が到達するには足りず。ならば、その差を別のモノで埋めるだけです。
 先の一撃は確かに全力の一撃ではあった。
 だが、未熟と己の腕を認める花鳥は冷静に、何が足らなかったかを計算する。
 未熟であるということは、まだ先の伸びしろがあるということ。
 どうすれば。どうしたら。どうやって。
 その思案が、集中が、より一層に花鳥の刃を研ぎ澄ましていくのだ。
「おうとも。如何な猟兵とて、容易く首をくれてやるほどに拙者の頸は安くはない」
 時折、飛び交う銃弾を受け、払い、餅巾着侍は花鳥へと視線を向ける。
 コミカルに見えて、その動きは洗練されたもの。
 そこに同じ剣士としてのものを見た花鳥。
 剣士としての腕の差を認めつつ、故に、越えるべき壁なのだと、改めて認識する。
 ――研ぎ澄まし、研ぎ澄まし、研ぎ澄ます。
 ――刃を、心を、業を。
 極限まで高まりつつある集中が齎すものか、先には見えなかったモノが少しずつ見えるようになってきている。
 餅巾着侍の一挙手一投足。それに揺らめく空気のざわめき。
「名乗りが遅れました。月下抜刀流、古高花鳥――」
 心技体の歯車が噛み合う音がした。
「――参ります!」
 愚直とも思えるほどの直線的踏み込み。
 ――手がないと窮したか!?
 その愚直な、ひたすらに真っ直ぐな踏み込みに、餅巾着侍は驚きつつも刃を向ける。
 踏み込んだ花鳥を刺し貫かんとする刃――御澱流・田楽刺し。
 だが、それはまるで自分から刃がズレたかのように花鳥の真横――髪を数本だけ引き千切って通り抜けていく。
 極限まで集中力を高めた花鳥の、まさしく紙一重の回避。
 そして、突きを放ったが故に伸び切った餅巾着侍のその腕を――
「月下抜刀、一の太刀! やぁっ!」
 ――懐へ飛び込んだ花鳥の銀閃が斬り飛ばしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メルフローレ・カノン
自慢勝負は終わってしまったようですが、
先方が用心棒を呼んだのであれば、
ここは私が助太刀に入りましょう。
あ、私はメルフローレ・カノンと言います。よろしくお願いします(アイサツ)。

餅巾着怪人の攻撃は、[見切り][武器受け]でかわすとともに、
なんか飛んでくる色々なものは[なぎ払い]で払いのけましょう。
持ち堪える必要がある時は【無敵城塞】を活用します。
「ここは持ち堪えてみせます!」

攻撃に際しては、[力溜め]からの
[2回攻撃][気絶攻撃][鎧砕き]により、メイスで叩き潰すします。
ぜひあの頭の餅巾着を思い切り叩いて、
その結果を見てみたいですぇ……(←危ない目で)



 猟兵の銀閃が餅巾着侍の腕を斬り飛ばすのと同時、新たなる影が舞台上へと躍り出る。
「自慢勝負は終わってしまったようですが、まだ真剣勝負は終わっていないようですね」
 影から凛と響いた涼やかな声。
 斬り飛ばされた腕を抑え、自らの体積を減少させながら腕を再生しようとしている餅巾着侍の視線の先、まさしく幻想の世界より現れたかのような少女が1人。
 青と白の衣も清廉に、持ちたる十字の杖は信仰を表すのか、メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)がその称号に違わず、助太刀へと現れたのだ。
「あ、私はメルフローレ・カノンと言います。よろしくお願いします」
 腰を折り、礼儀正しく頭を下げるメルフローレ。
 動きに合わせて、さらりと艶やかな黒髪も揺れる。
 しかし、鉄火場とも言えるこの状況に置いてのそれに、思わず餅巾着侍も痛みを忘れ、呆けてしまう。
「こ、これは御丁寧に。拙者、名乗る名も無きではあるが、餅巾着侍と覚えて頂ければ」
 釣られて、ついつい挨拶を返す。
 そして、互いに顔を挙げ、微妙な沈黙。
 未だに降り注いでいた鉄アレイとちくわが地に落ちる音だけが2人の間で音を響かせる。
「では、参りますね」
 にこり。メルフローレの笑顔は清楚。
 しかし、よくよく見れば眼は笑っていない。
 ――あの頭の餅巾着、思い切り叩いたらどうなるでしょう。その結果、見てみたいですねぇ
 危険な光がちらりちらりと瞬いて。
 そして、その姿からは想像も付かない力強い音が踏み込んだ脚から響く。
 目指す先は餅巾着侍のその頭。
 降り注ぐ鉄アレイは――
「邪魔です!」
 なんと、その手にした十字を飾るメイスで纏めて薙ぎ払い、己が道を作り出す!
 清楚な後衛職に見えて、その実、殴り系というギャップ。
「な、なんとぉぉぉ!?」
 先ほどから、自身のリズムを崩されっぱなしの餅巾着侍は、目があれば丸くして驚いたであろうかのように驚愕の声をあげる。
 さして広い訳でもない舞台上。気付けば、メルフローネの姿はもう目前。
 杖の持ち手は握り込まれ、そこに脈々と解き放たれる時を待つ力があることが見えた。
 そこから動いた杖の先の風切り音が餅巾着侍に届く。
 そして、――重く鈍い音を響かせ、それが餅巾着侍の頭に突き刺さり、吹き飛ばした!
 残念ながらか、幸運にもか、餅巾着侍の頭にモザイクがかかるような事態とはならなかったが、吹き飛ばされた餅巾着侍の頭にはまるでピヨピヨとヒヨコが飛ぶのが見えるよう。
 やりきったような、残念そうにも見えるような、そんな視線でメルフローレは吹き飛ばした餅巾着侍を見つめるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キファ・リドレッタ
なんというか、随分と美味しそうな相手ね。
『毒』のこともあるから、あまり近寄ってほしくはないのだけど。
それでもなお手折るというなら、『金枝の罪』は負ってもらうわ。
罪の対価は頭に咲いた花の蔓を以て。
この子の蔓は『早業』よ。お前、避けられるかしら。

これでも長く旅をしているの。
『勘』と『逃げ足』には少し、自信があるのよ。
触れられる前に避けるとするわ。


古高・花鳥
決して臆せず、わたしは真正面からあなたに挑みます

「見切り」ながら再び「先制攻撃」
【居合域】で回避と防御の精度を上げます
あなたはわたしよりも、ずっと卓越した剣の達人です
だからこそ、ごくわずかな間を「捨て身の一撃」をする「勇気」と共に狙わねばなりません
「残像」を見せるほどに【月下抜刀流・花鳥一閃】を加速させ、一太刀に賭けます
必死にでも、食らいついてみせます……!

戦闘を終えることができたら、負傷した方々がいれば【居合咲】で治療を
もう、安全ですからね

……ケーキ怪人さんに餅巾着侍さん、信念は強く強く響きました
次は美味しいケーキと餅巾着として出会えること、胸で願っていますから



 倒れ、動きを止めた餅巾着侍。
 それを見定めるは2人分の瞳。
『なんというか、随分と美味しそうな相手ね』
 腰かける水鞠から零れた水は宙へ。そして、文字が形作られる。
 それを為した主――キファ・リドレッタ(最後の旅・f12853)ははパッと見、12歳の少女。
 しかし、その中身は――少女には秘密があるものである。
 だが、食すとなれば必然、近づかねばならないもの。
 秘めたるものの1つである『毒』を思い、いえ、しかし。と、キファは頭を振る。

 一方、古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)は今迄の戦いを脳裏に反芻し、より一層にその身を、心を高めていく。
 足らぬと分かった。そして、思案の末に1度は届いた。
「あなたは私よりも、ずっと卓越した剣の達人――」
 ならば、更にもう1歩を。
 死中に活。
 明鏡止水。
 極限に至る集中の、ほんの一瞬を捉えれば。
「――ですが、必死にでも、食らいついてみせます……!」
 花鳥は臆せず、正面からの1歩を再びに踏みしめる!

 餅巾着侍は朦朧とした意識の中、それでも猟兵達を近づけまいと残った腕を振るう。
 それは滅茶苦茶で、幾度かの傷の修復により固まった身体、減った圧力もあり、威力も初期に比べるべくもない。
 嵐のように空気をかき混ぜる餅巾着侍の伸びたる片手。
 それを広がった知覚で躱し、逸らし、花鳥は駆ける。
 まだ刃の届く距離ではない。
『花は手折るのではなく、愛でるものではないの?』
 嵐の中、するりと伸びた金枝の罪。
 動かぬ――動けぬキファより伸びたそれは餅巾着侍の腕に触れるや、コマ落としのように腕を絡めとる。
 それはまるでヤドリギのように、触れたそれを侵していく。
 そして、それだけに留まらず、餅巾着侍に奔る怖気。
 蝕むのは罪だけではない、触れた罰もまた流れ込む。
「ぐぅっ、あぁぁぁ!?」
 朦朧とした意識は痛みに覚醒し、生存本能に従い、残った唯一の腕を自身の意思で千切り飛ばす。
 千切り飛ばした方向がキファの居る方向だったのは、腐っても。と言った所か。
 自身では動けぬ様子のキファ。それ故の狙い。
 だが、――
『これでも長く旅をしているの。そういった心得には、少し自信があるのよ』
 察知していたのは野生の勘か。
 動けぬキファに代わって、座した水鞠がするりと動く。
 たったそれだけ。
 だが、直線的に飛ぶしかない攻撃への対処は充分すぎた。
『ほら、私にばかりかまけている場合?』
 絶好たる隙。
 極限まで集中を高めた花鳥が逃すだろうか。いや、逃すはずがないのだ。
 影すらを置き去りにする程の踏み込み。
 防がれたら、反撃されたら。といった雑念はない。
 ただ、この一刀に全てを込めて。
 今、必殺の――
「月下抜刀!」
 ―― 一の太刀!
 餅巾着侍の傍を抜け、残心。
「……ケーキ怪人さんに餅巾着侍さん、信念は強く強く響きました」
「見事。見事也」
 トサリ。と、倒れる音が花鳥の後ろで響く。
「次は美味しいケーキと餅巾着として出会えること、胸で願っていますから」
 そして、役割を終えた刃が、鞘に収まる音が終幕の時を報せるのであった。

 ――我らが自慢猟兵(イェーガー)、我らのヒーロー猟兵(イェーガー)
 観客のキマイラ達が巻き起こす拍手喝采の中、自慢大会の、黒幕との戦いの幕を下ろす。
 はて、肝心の自慢大会優勝者は……誰だっただろうか。
 その答えは、それぞれの胸の中に。
 だが、キマイラ達の顔を見れば、その答えは明白だったのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月20日


挿絵イラスト