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オールナイトタワーディフェンス

#アックス&ウィザーズ


 山と森に囲まれた小さな集落、ギクサ村。
 農業によって自給自足の暮らしをする彼らの暮らしが、ある日突然崩壊した。
 夜闇に紛れ、鎧の兵士たちが火矢を放ち、家々を焼き始めたのだ。
 突然のことに驚き、飛び出す村人たち。
 何事か分からぬまますがる村人の男を、兵士の槍が貫いていく。
 逃げる子供に矢が刺さり、かばう母の背を剣が切り裂いた。
「平和な村? 自給自足? 下らんな……」
 ぎらりと、血にぬれた剣が光った。
 他の兵士たちとは明らかに違う黒鎧。
 長い耳はエルフのものだが、ぎらぎらと光る目は常人のそれではなかった。
 血に飢えた獣。
 殺戮に覚えれた鬼。
 復讐魔、邪霊剣士。様々な名で呼ばれたが、今はこう呼ぼう。
 『村焼き』のジークベルト。

 剣と魔法と魔物の世界、アックス&ウィザーズ。
 天空をドラゴンが飛び、魔法使いが空を飛ぶ無限の大地。
 人々は冒険者となりギルドを組み、モンスターや盗賊たちと戦いと冒険の日々を送っている。
 それは君たちイェーガーも同じだ。
 この世界では同じ冒険者として、世界のあちこちへと飛び回る。
 そして今日の冒険は――。

「村へ襲いかかるエルフの軍団。この迎撃だ」
 所変わってグリモアベース。世界を超えイェーガーたちの集まる集合場所である。
 そんな中で、白いスーツの女ナンシー・アラタメは椅子の上で足を組み、軽く指を鳴らして見せた。
 するとどうだろう。背後の風景が大きく変化し、アックス&ウィザーズのギクサ村へと変わったではないか。
「これは未来の出来事だが……ギクサ村という小さな集落がオブリビオンの軍団に襲われ、虐殺が行なわれることになっている。
 理由なんてないさ。世界を滅ぼすことが骸の海から帰ったオブリビオンの本能だからな。
 だが強いて言えば……こいつは人間たちに強い憎しみを抱いていて、その発露として村を襲い、焼き、虐殺を行なおうとしているようだ」
 あくまで淡々と説明するナンシーだが、ここへきて表情を険しくした。
「だが、許せねえよな?
 オブリビオンの本能も、生前の憎しみも……今を生きる奴らを、村を、破壊していい理由になんてならねえ。
 幸いにも夜襲がある前に村へみんなを転送できる。村人を安全な建物や何かに集めて防御を固め、罠をしかけ塹壕を組み、この村焼きジークベルトの軍団を迎撃するんだ」
 夜襲に備えると言うことは、目の良い者や人に知らせる能力をもつ者が見張りを立てたり、能力を駆使して大規模な罠を作ったり、一箇所にあつめた村人たちに被害が及ばないように防御を固めたりといった作業が必要になるだろう。
 この作業が万全であればあるほど、この後の襲撃を有利に迎撃し、かつ村人たちへの被害を押さえられるはずだ。
「夜襲が始まればかなり危険な戦いになると思うが……なあに、心配はしてないさ。
 俺たちは冒険者であり、再来の勇者であり、猟兵(イェーガー)なんだからな!
 それじゃあ行くぞ。愛してるぜ皆! どかんとかましてやろうぜ!」


空白革命
 第一章は夜襲に備えて村の防御を固めましょう。
 イェーガーは冒険者として村に入ることである程度の信頼を得ることが出来、かつどんな姿をしていてもおかしいとは思われないので、村人を集めることは簡単にできるものとします。
 また村人を戦力にすることは(なにかしら特別な能力で保護されない限りは)避けた方がよいでしょう。

 ジークベルトは過去にも同じような事件を数回起こしており、PCがそのことを知っていても良いものとします。
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第1章 冒険 『夜襲に備える』

POW   :    体力に任せて寝ずの番をする

SPD   :    罠や警報器を仕掛ける

WIZ   :    地形などを利用して迎撃態勢を整える

👑11
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形代・九十九
SPD

錬成カミヤドリによって自分の眼球を多数複製し、村の周辺に配置することで監視、警報の役目を請け負う。

ついでに不自然に見えそうなものを周辺を掃除して片付けておく。

おれは多少無茶の利く身体をしている。だから、任せるといい。
おまえたちはしっかり休んでおけ。
いざという時、すぐにでも走って逃げられるようにな。

……気にすることはない。
おれは食事もいらないし、二徹くらいまでなら割と余裕だからな。
戦いは不得手で足を引っ張るかもしれない。だから、せめておれの出来ることを出来るなりにしてみようと思う。



他キャラさまとの絡み、アドリブ歓迎いたします。



「ふむ……夜襲、か」
 形代・九十九はどこかかたかたとした歩みで、しかし不思議と乱れの無い歩幅で村の外周をゆっくりと回っていた。
 後ろには村の若い男がついて歩いている。
「へい。寝ずの番をしようにも、あっしら数は少ねえもんですから」
「そういうことなら任せておけ」
 九十九は自らの本体。つまるところ人形の上半身部分を十体ほど複製すると、それぞれ高く組み上げた木製の見張り台の上に立たせていった。
「複製した人形とおれはつながっている。誰かが攻めてくればすぐにわかるだろう。食事も依頼ないし、暫くなら眠らなくても平気だからな」
「うへえ、でも冒険者さんは……」
「おれのことはいい。おまえたちは、今のうちにしっかり休んでおけ」
 手を翳し、村男の顔の前に翳した。
 すまねえこってす、と言って頭をさげる男。
「冒険者さん。よかったらお名前を教えてくだせえ」
 顔を上げた男に、九十九は腕組みをして遠くを眺めた。
 名前。
 名前。
 かつで鬼を斬ったという剣士の魔除け人形であった彼に、どのような名前がついたものだろうか。
 九十九はそれまで眠っていた年数を数え、そして男へと振り返った。
「九十九(つづら)……形代・九十九だ。今年で百になる」

成功 🔵​🔵​🔴​

ミルラ・フラン
村焼きねぇ……
焼かれた村なら聖句を唱えて祈りを捧げるとこだが、まだ焼かれてないなら守らないとね!

あァ?耳?アタシはエルフじゃなくてダンピールだっつーの!!
チップを挟もうとするな!!夜の女じゃなくてシスターだ!!覚えときな!
金はこの事件が終わるまでとっとけ!

ふーむ、安全な建物……やっぱり村の集会所なり宗教施設かね?
【存在感】と【誘惑】を使いつつ、石造りで頑丈な建物に村人を誘導。
身体の不自由な人や、年寄りや子供は背負ったり手を引いたりしてくよ。
ほーらお嬢ちゃん、ねーちゃんが一緒にいくから怖くないぞー



「村焼きねえ……聖句を唱えて祈りを捧げるとこだが……。
 まだ焼かれてないなら、守らないとね」
 木箱の上で足を組むミルラ・フラン。
 村を守るために集まったという冒険者のためにスコップや金槌をもって集まった村人たちに向けて、ぱちんと指を打ち鳴らした。
「そういうわけだ! 暫く手伝いはいいから、教会に全員集まりな」
「そうはいってもエルフさんよ」
「エルフじゃねえダンピールだ」
「あれ、チップはさむところねえぞ」
「夜の女じゃねえシスターだ」
 村人の頭に人類平等チョップを叩き込むと指をくるくるとやってから村の教会を指さした。
「さっさと行け。回れ右だ!」
 小さい集落にもよくある、こじんまりとした教会である。
 収容規模は大きくないが、村人自体がそれほど居ないということなのだろう。
 こういう場所は信仰というより精神衛生。かつ村の集会場的役割を持つことが多い。また建物自体がひときわ頑丈に作られるため避難所としても使えるようだった。
「とりあず村人たちはここに収容するとして……どう防御を固めたもんかねえ」
 子供たちの頭をぽんぽんとやって教会へ連れて行くミルラ。
 頭をひねり、考えを巡らせる。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、他PC絡み歓迎)
(心情)
…ジーク…だと?…奴が、この村に来る?
…それが本当なら、もしそうなら…そいつは間違いなく俺の。
……いや、落ち着け…まだそうと決まった訳じゃない。
…ともかく今は、次の夜襲に備えるべきだ…そうだろ?
(普段と異なって心がざわついた状態で、自問自答を繰り返す青年)

【POW】
……どうにも落ち着かんから、今日は寝ず晩を担当する。
…俺も精霊術師だ、敵が精霊術を使うなら俺はそれを感知できると思う。
…後は【風霊】や【土霊】に耳を傾けて、敵が来る時を察知する様に用意する。


リンカーベル・ウェルスタッド
ろくでもない話ですね。
神罰を教えて差し上げましょう。
何はともあれ必要なのは情報ですよ情報!
彼を知り己を知れば、百戦しても危なっかしくないと言います。
まずユーベルコードを使って情報収集。
ジークベルトとかいうアホが過去に執った戦術は特に重要ですね。
聞き込みもしたりして、戦術戦略に対して有効な罠の設置や避難経路の確保など、行えるものは行っておきます。
相手が騎兵を使うのであれば槍襖も欲しいですね。
来る方向をある程度固定するために、簡易的でもいいので背の高い柵を村周囲に設置したりしておきます。
後は夜襲ですから明かりの準備も必要ですね。
火災にならないよう、民家からやや遠い位置に篝火を用意しておきましょう。



 村の防御は主に外周に集中した。
 というのも、グリモア猟兵の予知した未来から、敵のリーダーである村焼きエルフ『ジークベルト』の戦術が分かっていたからである。
「情報は勝利の鍵、ですよ」
 リンカーベル・ウェルスタッドは手早くかき上げた村の簡易地図配置図をウッドテーブルに広げて見せた。
 集まっているのは今回村の防衛に参加したイェーガーたちである。
「いいですか? あのジークベルトというエルフがとった戦術は『火矢を射かけて建物を燃やす』『飛び出してきた村人を槍で刺す』『無防備になったところを剣で斬る』の三段階です。
 村に被害を出さないようにするには弓矢の射程が村へとどくよりも早く戦闘を開始することなんですが……」
「難しいのか?」
 上半身を覆うマントの下で腕組みをしていたルトルファス・ルーテルガイトが、地図からリンカーベルへと視線を移した。
 長い前髪の下で、黒い目が小さい動く。
「未来に襲ってくる方角はわかります。
 けど、その方角に防御を固めた場合斥候に気づかれて作戦を変えられてしまうでしょう。
 できれば戦術的なカウンターをうちたいんです」
「つまり……気づかれずに迎え撃ちたい、ということだな?」
「そうなりますね。別働隊によって村へ接近された時に備えてフェンスの構築を仲間に任せていますので、ごく少数をこの迎撃ポイントに潜伏させて、夜襲をかけようと移動中の兵士たちに奇襲をしかける作戦をとりたいのですが……」
 とん、と地図のマーカーポイントを指さし、リンカーベルはルトルファスの顔を見た。
 小さく頷くルトルファス。
「わかった。俺がやろう」

 夕日が強く茜色をしている頃、ルトルファスは最低限のマントと布袋、そして精霊の剣だけを携えて林の岩場へとやってきた。
 丁寧なことに、向こう側から見えないように岩がかまくら状に積み上げてあり、ルトルファスは難なくその場に腰を下ろし敵の接近を待つことが出来た。
 土に、そして風に意識を集中する。
 精霊のささやきに耳を傾けるように、ルトルファスは目を閉じた。
 まぶたの裏に、赤く燃える森の光景が写った。
 ハッとして目を開け、そして胸を押さえる。
「ジーク……本当に、奴が。骸の海から帰ったのか。なら、俺は……」
 ルトルファスは深く、深く、叫びだしそうな胸を押さえつけ、呼吸を整えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラプラス・ノーマ
へーぇ?
大量虐殺。
くだらねぇのはこっちのセリフ。
あたしの目の黒い…えーと、青と緑のうちはそんなことさせないよ

簡易見張り台みたいなの作れないかな
樹とか岩場とか使えたらいいな

そのあとは村への道を狭めようか
何処から攻め入ってくるか、選択肢は少ないほうがいいよね
道が狭くなってるところにわざと岩を落として道を塞いじゃおう
はーい、村へのルートはこちらですよん
こっちの道を通って下さーいね♪

さぁてと、あたしにできることはこれっくらいかな
樹の上に座って足をぷらんぷらんさせて、この後の行く末を見守ろう

ぎらぎら光る目は常人のそれじゃないってか
目つぶししたいね

ま、カミサマのあたしは人を救いたいのさ
ジークくん含めて、さ



 都合の良い岩場がそうそう都合良くあるというわけではない。
 それらは勿論仲間たち、つまりはラプラス・ノーマがせっせと岩を削り出しては運び込み、いくつかの道を細くしたり通りづらくしたりといった工夫を重ねて敵の進軍ルートをできるだけ限定させていた名残である。
「大量虐殺ねえ。くだらねぇのはそっちだってハナシ。あたしの目が黒いうちは……えーっと、青だっけ? 緑? とにかく生きてるうちは好きにはやらせないよ」
 あまり不自然でない程度に岩を転がし、手をはたくラプラス。
「さぁてと。あたしにできるのはこのくらいかな」
 ラプラスは手近な木によじ登ると、太い枝に腰を下ろして様子をうかがうことにした。
 ぬるい風が通り抜け、未来の惨劇を予感させる。
 放って置いたならおこったはずの未来を、思わせる。
 ありもしない鉄臭さや、焦げ臭さや、悲鳴や、人間の巻き散らかされる音が想像できた。
「あたしは人を救いたいのさ。村人だけじゃあない。ジークくんも……それと、彼も、さ」
 ラプラスは、彼女がこっそり作った岩のかまくらに身を潜め敵を待つ、黒髪の精霊剣士の姿を盗み見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
「向こうには村を襲う理由なんてないみたいっすけど、こっちも起きようとしている悲劇を防ぐのに、理由なんて必要ないっすからね~」
そんな感じであっけらかんとチャラいお面は夜襲の備えをするっす

まずは夜食でも【料理】するっすよ。見張り中でも食べられそうなものがいいっすよ?食べたいものがあればリクエストに応えるっす
作った料理は【戦場の料理人】の効果が込められているので、感覚が鋭く(夜目が効くように)なって、見張りや罠を仕掛けるのに役立つっすかね。
猟兵の手が足りない部分は村人の手を借りると思うっすから、戦闘前だけでは手があると助かりそうっす

あとは、戦闘の時に体を貸してくれそうな村人を【コミュ力】で探すっす


青葉・まどか
過去からの復讐者。
ミステリーなら兎も角、こいつは唯の八つ当たりだね。
こんな奴の為に村が犠牲になるなんて許せないよ。
村を守って、骸の海に叩き返してやる。

「幾つもの村を焼き討ちした危険人物の率いる軍勢がこの村を目指してるの」
村人に接触、夜襲について説明。以前に起こした事件をもとに注意喚起。

相手は火矢を使って焼き討ちしてくるから火災対策

村の建物の周囲に【レプリカクラフト】で作成した、目の細かい金網フェンスを設置するよ。
勿論、出入口扉も付いてるよ。

荷車や馬車、その他の可燃物には【レプリカクラフト】で不燃布を作成して覆っておくね。

【レプリカクラフト】で消火器も作れるかな?試してみる
桶に水を入れておくね。


テルプ・ステップアップ
【SPD】
アドリブ・他の方のからみ歓迎
闇夜に光り輝くチュチュを着て華麗に舞う!
テルプ参上!
むーはっきり言って胸くそ悪いー!ただ人が憎くてムカつくからって無抵抗の村を襲うなんて最低なの!その上二つ名が村焼き?恥ずかしくないの?ジークベルト?と言ってやろー
エレクトロレギオンを予め村周辺に地中に伏せておいて広範囲に散布
敵が襲ってきたら僕が挑発しつつ注意を引きつけて死角から機械兵器でアンブッシュだね!


シェラティシア・インフィノート
どんな憎しみがあったのか知りませんが、村焼きなんて許せませんね!

夜襲に備えるとしましょう
まぁ私はか弱いフェアリーですから力仕事は無理ですけど
でも、罠を作ってくれれば「物を隠す」の技能で隠蔽出来るかと!
というわけで罠づくり自体は他の…村人さんや猟兵さんにお願いしておきます

落とし穴とか塹壕とかであれば、エレメンタル・ファンタジアを使って、水で地面を掘る感じでいける気がします



「歌って踊れるデッサンモデル! ステップ、アップ、テルプ――参上!」
 テルプ・ステップアップが両手でつま先を持って片足立ちする独特のポーズで、木製の射撃台に立った。
 左右から小型戦闘機械がスポットライトを浴びせ、ファンファーレを鳴らした。
 村の周囲数カ所に立てた高さ二メートルほどの台で、この上から射撃を行なうことで射線が通りやすく逆光現象を利用することで逆に攻撃されにくいという、そんな一般的防衛設備である。
「え、いや~。なにやってんすか~」
 おにぎりを沢山のせたお盆を持って、リカルド・マスケラスが通りかかった。
 先程のポーズのまま振り返るテルプ。
「なにって、練習?」
「なる……ほど……?」
 テルプの戦闘機械の多くはこの射撃台に設置され、スポットライトとマシンガンタレット、警報装置の三つで構成されていた。
 はじめのうちは夜闇に紛れる形でライトを消し、黒布をかぶせて敵をおびき寄せ、やってきたところをタレットで包囲射撃しようという考えらしい。
 ちなみに今のは飛び出すときに目立っていると相手の注意を引き寄せ包囲射撃を成功しやすくするという、これまた奇襲の基本みたいな作戦手順の練習であった。
「にしても……向こうには村を襲う理由なんてないみたいっすけど。
 こっちも起きようとしている悲劇を防ぐのに、理由なんて必要ないっすからね~」
「だよねー。それも無抵抗の村をただただ襲うって胸くそ悪いよね! バイバイキングだってなんか意味あったじゃん」
「……ヴァイキング?」
「そうそれ」
「ま、腹が減ってはなんとやらっすから。おにぎり、食べといたほうがいいっすよ~」
 お盆を掲げるリカルド。テルプはそれをありがとーと言ってつまみ上げた。

 リカルドの料理には食べたものの感覚を研ぎ澄ます力がある。
 そうでなくても万全な食事は脳の働きを活発化させ、労働の効率をあげるという。
 美味しい料理は社会の加速装置なのだ。
 そんな料理を、おにぎりや竹水筒にしてあちこちに配って歩いていた。
「お疲れ様っす~。調子どうっすか~。おにぎりあるっすよ~」
「ありがと。もらうね」
 青葉・まどかは作業を一通り終えるとタオルで額の汗をぬぐった。
 彼女がやっていたのは鉄条網の設置であった。
 現代地球で説明すると、主に有刺鉄線で作られた壁であり柵である。
 元々牧場の防犯設備であったものを19世紀初頭南アフリカの戦争で使われたのが始まりで、21世紀現在でも現役で使われている。
 機関銃ばりばりの時代ですら通用するものが、火矢と槍の兵士に通用しないわけがない。仮に騎兵を用いたとしても、馬ごと転倒させることができるだろう。
 これをレプリカクラフトで作成しては、村の周囲を覆うように設定していった次第である。
 まどかはおにぎりを頬張って、スープをすすった。
「それにしても過去からの復讐者なんてね……実際的な仕返しならわかるけど、ただの八つ当たりなんて許せないよ。骸の海に叩き返してやる!」
「それなんっすけどね~……骸の海には返らないかもしれないっすよ~?」
 リカルドの言葉に、そばで鉄条網の隠蔽を行なっていたシェラティシア・インフィノートが振り返った。
 土と水の精霊に呼びかけることで砂や泥を作り鉄条網のつやを消していく。光をあてても夜の土にまぎれて見えづらくするというものである。
 割と後から言う話になはなるが、仲間が岩で進軍ルートを限定しようとした時や木製の射撃台を作ろうとした時など、シェラティシアの支援がかなり役に立った。
 要塞作りはスコップからなんて言われるように、今村が要塞化しているのは半分シェラティシアのおかげといってもいいくらいである。
「それはどういう話ですか? 骸の海に帰らないというのは」
「あくまで可能性っすけどね~。今回の仲間に情報収集が得意なコ、いたじゃないっすか。あの人に聞いたんすけど、どうやら因縁の相手が今回のメンバーの中にいるみたいなんすよ」
「そう……ですか」
 因縁の相手。
 『村焼き』ジークベルトの経歴や過去を考えて、シェラティシアは目を細めた。
「きっと、悲しいことがあったのでしょうね……だから、こんなに」
 沈み行く夕日を見やる。
 風の精霊が、悲しげに泣いているように聞こえた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『兵士』

POW   :    ハードスラッシュ
【剣による攻撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ペネトレイト
【槍】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    無慈悲の乱雨
【10秒間の集中】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【雨の如く降り注ぐ矢】で攻撃する。
👑11
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 運命の時間がやってきた。
 情報の通り予測されたルートから進軍を開始するエルフの軍勢。
 その様子に、足音に、迫る松明の列に誰よりも早く気づいたのは黒髪の精霊剣士であった。
 続いて人形の人形遣い。彼らの情報伝達によって戦闘態勢に入ったイェーガーたちは、村へ向かう兵士たちを一方的に発見した。
 まだ彼らは自分たちが『狙われる側』だと気づいていない。
 仕掛けるなら、今だ。
==============================
第二章ではエルフの軍勢を相手に戦います。
彼らの戦術は奇襲段階で既に崩壊するので、『剣、槍、弓』それぞれの兵隊を対応カテゴリーのユーベルコードで撃退してください。

仮に村への接近を許したとしてもバリケードがはられているので今から対応を考える必要はありません。
通常の戦闘を行なってください。

==============================
形代・九十九
SPD

敵の攻撃をギリギリまで引き付ける。刀はおれの手には重すぎる。
激しく剣戟をかわす余裕など、おれにはないのだ。
【激痛耐性】で耐え忍びつつ、相手の大技を受ける瞬間に作り物の身体を切り離して脱力、同時にユーベルコードを発動して敵のペネトレイトを受け流し、捨て身の一撃を放つ。

「力と欲に酔う者たちよ。……ここを通すつもりはないぞ」
「いかにその槍が鋭かろうと、その穂先がこの身を貫く事は敵わない」
「紡がれる営みの火を。繋がれ継がれていく生命の火を、絶やそうとする者をおれは決して許しはしない」
「過去が未来の行く手を阻むなど……ちゃんちゃらおかしい事だと、その身を以て教えてやろう」

アドリブ歓迎いたします。


青葉・まどか
奇襲、乱戦、大暴れの時間だよ。
こんばんは、兵士の皆さん。
早速ですが、お呼びでないのでお帰りくださいね。

襲撃して来た軍勢を打ちのめして村に平穏を取り戻してみせるよ。

狙いは『槍』の兵隊。
相手は至近距離でないと上手く攻撃出来ないみたい、常に動き回って距離を取りつつヒット&ウェイ。

相手の攻撃にはフック付きワイヤーを駆使して【敵を盾にする】事で同士討ちを狙うよ。

『神速軽妙』発動。
相手はガッツリ鎧を着こんでいるみたいだから【鎧無視攻撃】
おまけに【早業】の【2回攻撃】で決定力を高めるよ。

前座の方には早々に退場してもらいましょ。


リカルド・マスケラス
「自分の村を守りたいって者がいるなら、先着1名様で協力するっすよ」
村を守るのに力を貸してくれる村人がいれば、彼の身体を借りて戦場に出る。そうでなければ、猟兵の誰かと協力したい

「いよいよおいでなすった感じっすね~」
戦場に出たら【跳梁白狐】でスーツアーマーのような形になって装着者の全身を覆う。この形態になったら、リカルドは動けなくなり、装着者の意思で動いてもらうことになる。
この無敵の防御力で敵陣に飛び込んでもらい、槍とか適当な武器でも振り回してもらい、敵を引きつけたり、罠におびき寄せたりしてもらう。最悪罠に巻き込まれてもダメージはないし
「敵の総大将がいるんスよ。さっさと有象無象は散るっすよ~」


化野・那由他
戦は先に敵を発見出来た方が有利……気付かれていないのなら尚更ね。
私は夜陰に紛れて奇襲をしましょう。村を焼かせはしないわ。

妖奇譚『鎌鼬』を使用して風を纏い、高速移動しながら夜闇に乗じて敵集団に忍び寄ります。
【暗視】で地形を見極め、【地形の利用】で木々に隠れながら死角に回り込み【暗殺】します。
風の【属性攻撃】【範囲攻撃】にて首を刈り取り、また足を斬り飛ばしたりして【恐怖を与え】ましょう。
何処からともなく襲い来る不可視の斬撃で、敵兵を恐慌状態に陥らせます。槍だって届かなければ無用の長物でしょう。

精神集中している弓兵を攻撃出来るようならそちらも撃破を。
村からの射撃に合わせて効率的に敵を屠ります。



 夜の精霊が騒がしい。
 人が死ぬ気配を察し、恐れているのだろうか。
 春先の暖かい季節の筈なのに、虫も鳥も鳴くことなく、刺すような冷たい風が吹いていた。
 松明を掲げ、鎧の下で左右を見やるエルフの兵士。
「どうした」
「誰かに見られたような」
「気のせいだろう。村はもっと先だ」
「ああ。そうだったな。早く行って、滅ぼさなければ」
 兵士が鞘に収めた剣から手を離した――その時である。
 暗闇を切り裂いて、白い人影が飛び出した。
 狐面を全身に引き延ばしたようなスーツアーマー。顔には狐の面。恐らくは男性である。
 狐面の男は刀を両手でしっかりと握り、乱暴に振り込んだ。
 剣からはなした兵士の腕を、刀が強引に切り裂いていく。
 刃筋こそ通らなかったが、刀に宿った呪いの意志が兵士の腕を意志と無関係に激しくけいれんさせた。
「何だ! こいつ!」
 兵士である以上、そして装備が統一され訓練されている以上、連携統率された行動が可能である。
 彼らは狐面の男めがけて一斉に槍を構えると、複数の方向から同時に男を突き刺した。
 ぎこちなく動く男は槍を回避できず貫かれる――かと思いきや。
 槍は男の表皮。もといスーツアーマーの表面を滑るようによけた。まるでスーツ自身に意志があるかのような奇妙な回避術に、兵士たちは思わずつんのめった。
「な――」
 男が手のひらを翳す。と、槍の斬撃が呪いの幻影となって飛び出した。
 兵士の鎧をたやすく貫き、破壊する。
「力と欲に酔う者たちよ。……ここを通すつもりはない。
 紡がれる営みの火を。繋がれ継がれていく生命の火を、絶やそうとする者をおれは決して許しはしない」
 仮面に手をかけ、素顔を晒す男。
 否、形代・九十九。
「過去が未来の行く手を阻むなど……ちゃんちゃらおかしい事だと、その身を以て教えてやろう」
「そういうことッス。有象無象はさっさと散るっすよ~」
 脱いだ仮面がひとりでにしゃべり出した。
 ここまでのいきさつを知っている者ならば察していることだろう。
 自身の大部分を絡繰人形と念力で動作させている九十九と、自身全てをヒーロースーツに変化させたリカルド・マスケラスが合体したことで無敵の防御とカウンターを併せ持つ戦士となったのだ。趣味や性格は真逆と言ってもいいくらいだが、能力的な相性は飛び抜けて高いのだ。
 刀を再び、握り込む。
「さあ、覚悟しろ」
 直後、九十九の頭上を抜ける風。
 刺すような冷たい風がそのまま刃となり、兵士たちの鎧の下へと潜り込んでは肉体を直接切り裂いていく。
「またこいつの能力か!?」
「そんなわけが――っ!」
 次々と切り裂かれ、鎧の下からおびただしい出血を起こして倒れていく兵士たち。
 鎧を脱げば何をされるか分からず、かといって鎧の下はおぞましい傷だらけ。そんな絶望とも言えるような状況に、兵士たちは露骨に混乱した。
 鎧を脱ぎ捨てて走り出す者。わめき散らしながら槍を振り回す者。その槍にぶつかって転倒する者。そして誤って味方を殺す者。
「見えないものに殺されるのは、恐ろしいでしょう?」
 そんな光景を林の内側から覗き見る化野・那由他。
 開いた扇子で顔半分を覆い、黒い外套と黒髪で自らの全身を覆った彼女は殆ど闇に紛れていた。
 九十九たちへの注目で一度は統率をとった兵士たちであるなら尚のこと、那由他の存在には気づけない。
 那由他が扇子をゆるやかに振れば、彼女に宿ったかまいたちの妖力が風を操作し兵士たちの首や腕を鎧の内側で切り落としていく。
 更に、木々の上から次々と発射されたダガーが逃げ出す兵士の足や腕へと突き刺さっていった。
「こんばんは、兵士の皆さん。
 早速ですが、お呼びでないのでお帰りくださいね」
 太い木枝の上に立ち、青葉・まどかが細長いカードサイズのダガーを扇状に広げ、兵士たちへと次々に投擲する。
 混乱し、かつはるか高所をとられた兵士たちなど、まどかにとって良い的でしか無い。
 もはや一方的である。
 更に言えば。
「松明のひと、それ邪魔」
 まどかの放ったダガーが松明を持つ兵士の肩部分へ突き刺さった。
 鎧と鎧の接続部にあたる隙間をピンポイントに抜き、かつ筋肉を直接切断するようなコースで刃が肉体に達する。
 がくんと脱力した腕から、兵士の松明が転げ落ちた。
「弓兵! 弓兵を呼べ!」
 半狂乱になりながらも叫んだ兵士の声に気づき、まどかは素早く木枝から飛び退いた。
 ワイヤーフックを巻き付けた枝と背部にベルト固定したコードリールによって安全に着地したまどかは、そのまま林の中の夜闇へと姿を消すのだった。
「あとは頼むね、みんな」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ラプラス・ノーマ
さあ、開戦だね
閉じてた目を開いて、未来を見据えよう

黒髪の彼を陰ながらサポートできたらいいな
カミサマはね、頑張ってる人の背中をそっと押すのも役目なんだ

ま、基本は見守る~、とか、自分のやりたいよーにする~、とかなんだけど
今回はラプラスちゃん、カミサマやるよ

樹の上に仁王立ちして、伸ばした二本指で空間を切り裂き、魔のサーカス団を呼び出そう
あたしは静か静かに目立たぬように

まぁ、これは前哨戦
ここで手間取ってるわけにはいかないもんね

復讐は何も生まない
なーんて、当人にしたらきれーごとだよね
黒髪の彼が前見てじんせー歩めるように
あたしは手伝うさ


テルプ・ステップアップ
【対処 弓】
リハ終了ー!3、2、1、本番スタート!
「歌って踊れるデッサンモデル! ステップ、アップ、テルプ――参上!」
 テルプ・ステップアップが両手でつま先を持って片足立ちする独特のポーズで、木製の射撃台に立ってみる。
よし!つかみはOK!じゃなくて注意を惹きつける。
前回と同じでエレクトロレギオンを大量召喚!
鎧兵達を囲むように回り込んで攻撃だ!僕は囮になって避けまくるよ。へいへい!ピッチャーノーコン!欠伸が出る遅さだよー!悔しかったら当ててみろー!
踊りながら挑発するよ。他のみんなに被害が出ないようにね。
ダンス18、空中戦8、誘惑7、鼓舞5、オーラ防御3、時間稼ぎ2、逃げ足2は伊達じゃないよ。


リンカーベル・ウェルスタッド
主よ、いと気高き万軍の王よ、どうか私たちを喜びの歌と共に朝を迎えさせて下さい――。
と言う訳で! アーメン、ハレルヤ、デストロイです!
オブリビオンを完璧に主の御許へご案内できるチャンスなんて、そうそうありませんからねー。
敵をぶっ叩く力も、普段より増すってなものですよ!
まあそんなことを言いつつも、ジャッジメント・クルセイドで弓兵を地道に潰すのが私のお仕事です。
ランタンは腰のベルトに縛っておきますね。
狙ってくれって言っているような気がしないでもないのですけれど、見えなきゃ狙うこともできないので致し方なし。
盾で防御しながら動いて注意を引きつつ、間隙を縫って仕留めていきます。
近場の敵はメイスで撲殺で。



 声に応じて弓兵たちが矢をつがえる。狙う先は今し方兵士の落とした松明の明かりである。
 深く集中――した、そのさなか。
「歌って踊れるデッサンモデル! ステップ、アップ、テルプ――参上!」
 さんざん練習したばっちりの立ち位置と決めポーズで、テルプ・ステップアップが台の上で自己アピールを始めた。
 スポットライト四台によって過剰なまでに強調されたテルプの様子に注目がそれ、そして集中が乱れる。
 更に先程まで明るく感じていた松明の火が、相対的にひどく小さく見えてしまった。
「さあ皆、ゴーゴー!」
 ポーズを固定したまま呼びかけるテルプに応じて、周囲に設置されたマシンガンタレットとスポットライトが兵士たちに浴びせられる。
 逆光から放たれる射撃ほど人間を威嚇するものはない。
「ひるむな、反撃! 反撃!」
 弓兵たちは味方を盾にすると、ろくに集中もせぬまま弓を乱射しはじめた。
「さあて、出番かな」
 さらなるスポットライト強調。
 今度は斜め後ろ方向である。
 照らし出されたラプラス・ノーマは左右色の異なる目をぱっちりと見開き、まるで星を指さすように揃えた二本指を空に掲げていた。
「復讐は何も生まない……なーんて、当人にしたらきれーごとだよね。
 それが生きるための道しるべになることも、努力の炎になることもある。
 達成した後のむなしさだって、それを知ることで人は生きていけるものさ。
 いや……しなくちゃわからないことなんだ。なんだって」
 だから。
「手伝うさ。カミサマだからね」
 ラプラスは振り下ろした指で空間を切り裂き、魔のサーカス団を呼び出した。
 陰気な音楽と共に飛び出した死霊のナイフ使いが、玉乗りをする竜が、兵士たちへ悪夢のごとく襲いかかる。
 だがそれで終わらない。終わらせてはやらない。
 三度目のスポットライト強調によって、手を組み祈るリンカーベル・ウェルスタッドが照らし出された。
 丁度三人で兵士たちを取り囲むようにである。
「主よ、いと気高き万軍の王よ、どうか私たちを喜びの歌と共に朝を迎えさせて下さい――。
 と言う訳で! アーメン、ハレルヤ、デストロイです!」
 リンカーベルは叫ぶと、腰から下げたメイスを握って台から飛び、指鉄砲を兵士たちに突きつけた。
「オブリビオンを完璧に主の御許へご案内できるチャンスなんて、そうそうありませんからねー。腕が鳴ります!」
 星から降りそそぐ光が兵士たちを焼き、リンカーベルのメイスが兵士の顔面を破壊した。
 タレット射撃とサーカス団によって悪夢と化した兵士の中を、メイスを振り回しながらぐるぐると回るリンカーベル。
 スローに引き延ばされる風景。
 先程まで指鉄砲を向けていた相手が星の光によって打ち抜かれ、燃え上がっていく。反時計回りに炎をあげては暴れる兵士たちが増え。それをリンカーベルはチューブラーベルでも打ち鳴らすようにメイスを叩き付けていく。
 祈りの鐘が鳴るかの如く、鎧がぶつかり鈍くも高い音をたてた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、他PC絡み・連携歓迎)
(心情)
…エルフらしからぬ重装の武具、これがジークに共感した手の者らか。
…故郷を奪われたあの日の俺はまだ子供だった。…だから、無力で…何もできなかった。
…だが今は、もうあの時の…守られてばかりの子供じゃない。
…これ以上の暴挙は、許さん。
(握りしめる柄だけの剣、その思いは重く鋭く)

(WIZ:エレメンタルファンタジア)
…悠長に待つ機などない、素早くに弓兵を瓦解させる。
…起こす現象は【風の突風】、それを弓兵から逆風になる様に発生させる。
…風で乱されて集中が乱れた隙に、精霊剣による近接戦に持ち込む。
…そこから先は、弓の弱みに付け込んで乱戦に持ち込んでやるだけだ。


ミルラ・フラン
【WIZ】
ほーう、ようやく敵のおでましかい?
んじゃ!こっちも全力でいかせてもらおうじゃないかい!!

先手を取るように素早く動き、気付かれる前に敵を多数巻き込むようにジャッジメント・クルセイドを使用。
【2回攻撃】と【暗殺】もオマケだよ!!
ホラあんたら!さっさと天に召されな!
往生際の悪い奴は女にモテないよ?

こっちに飛んでくる矢へは【オーラ防御】で守備を固めるか、矢が多数ならジャッジメント・クルセイドを当てて相殺


シェラティシア・インフィノート
来ましたね、まずは兵士ですか
弓兵はこちらで相手をしましょう

雨の如く降り注ぐ矢、でしたか
雨で十分ですか?
属性攻撃と全力魔法を乗せて、エレメンタル・ファンタジアを使います
規定するは「空間」属性の「大瀑布」
空間の圧力で押しつぶしてあげます
圧力は大体どんな相手にも有効だって聞いたような、聞かなかったような
ついでにこれで矢も打ち上げられないはず

全力で撃ってはいますけど、うっかりバリケードを攻撃範囲に巻き込まないようには気を付けます
折角作ったものですので…!



「何をやってる。イェーガーの一握り射殺せないか」
 長い髪のエルフ、ジークフリードが皮のフードを脱いで馬を止めた。
 闇から切り抜いたような黒い鎧と細身の剣。彼は大地に剣を突き立てると、邪悪な霊を強制的に呼び出した。
 霊たちは弓兵へととりつき、ぼこぼこと無理矢理肉体を補強して立ち上がる。
 その有様に。
 おぞましい光景に。
 ルトルファス・ルーテルガイトが吠えた。
「ジーク……貴様!」
 細身の剣に雷のごとき精霊力を漲らせて抜刀。精霊の力が刀身となり、ばちばちとスパークを起こした。黒鎧の剣士へと走り出す。
 が、それを邪魔するように弓塀たちが一斉に矢を放ってきた。
 目を剥き走るルトルファスに、無数の矢が迫る。
 が、その全てが真っ赤な花弁状のオーラによって堰き止められた。
「走り過ぎだよ、アンタ……あの嫌みっぽいエルフと『何か』あるのかい」
「……っ」
 奥歯を強く噛むルトルファス。
 まるでナイフに刺されたかのように痛む胸をそのままに、外套を強く握りしめた。
 その一方で、黒鎧の剣士は顔を左右非対称に歪めて首を傾げた。
「なんだ……? 『生きてた頃』の知り合いか何かか? それとも戯れに焼いた森の住人か?「」忘れたなあ、お前など」
 頭を殴られるような挑発。
 しかし、応えるよりも早くミルラが間に割って入った。
「チンピラみたいな挑発をしてるんじゃあないよ。
 忘れたってんなら思い出させてやればいいのさ。
 だろう?」
 振り返り、手を翳すミルラ。
 天空から回転しながら降ってきた大鎌をキャッチし、その勢いのまま兵士たちへと投げつけた。
 天からバラ色の光が散るように降り注ぎ、兵士たちを次々に切り裂いていく。
「あたしも知らないことだし、丁度いいよ。
 で、そこの兵士どもはさっさと天に召されな!
 往生際の悪い奴は女にモテないよ?」
 夜の精霊が笑ったように見えた。
 いや、空気そのものが強い圧力をもって兵士たちにのしかかったのだ。
 シェラティシア・インフィノートが降り注ぐ光に混じって兵士たちの頭上を周回運動で飛び。呼びかけた精霊の力によって空気圧を急速に上げたのだ。
「ぐ、ぐお……!」
 兵士たちはたちまち膝をつき、手をつき、頭を地面に押しつけた。
 力を分散し落下衝撃すら逃がすという鎧はしかし、巨大な空気のプレスにまで耐えられるものではなかった。
 べきべきと鎧が歪み、着ていた者の肉体は想像できないほど酷い形に潰れていった。
「あなたもです。やってください、精霊の皆さん……!」
 シェラティシアが空中でターンし、黒鎧の剣士めがけて精霊の空圧を打ち込んだ。
 が、剣士はそれを剣によって切り裂いていく。
 左右に割れた空気の球が、周囲の木々を歪ませて破壊した。
「これは……邪霊の力」
「そうだ。奴は……」
 ルトルファスが走り出した。
 無作為で感情的な突撃、ではない。
 周囲から集まってきた新たな兵へ向け、風を纏って自らを突風へと変える。
 外套がうけた空気の圧力と意図的に作成した揚力を推進力として、ルトルファスは兵士たちの頭上を飛び越えていった。
 激しい回転をかけ、土を滑るように着地。
 バラバラに散って兵士たちを切り裂いた剣が再びルトルファスの剣へと戻り、長い刀身を形作る。
 ばたばたと倒れる兵士たち。
 ルトルファスは剣を相手に……ジークベルトへと突きつける。
 静かに、短い呼吸を置いて言った。
「お前を守るものは、もうない。……これ以上の暴挙は、許さん」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『邪霊剣士・『復讐魔』のジークベルト』

POW   :    ブラッディ・エンハンス
戦闘中に食べた【強者の血肉】の量と質に応じて【纏っている邪霊の霊力が増幅し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    バースト・オブ・ネメシス
【恨み・憎しみ】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ   :    邪霊剣(イービルスピリットソード)
自身の装備武器に【その地に棲む邪霊の加護】を搭載し、破壊力を増加する。
👑11
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 発射された精霊力の刃や空圧、オーラ、銃弾、その他様々な力の塊を、黒鎧の剣士は自らの剣だけで切り払ってしまった。
「許さない? 誰が許しを求めたって? 俺は壊すだけだ。生命を、強者を、世界を……俺は、『そういうもの(オブリビオン)』だ。そうだろう!?」
 真っ赤な目を見開き、黒鎧のエルフが斬りかかる。
 奴こそが邪霊剣士。復讐魔。いくつもの村を焼き、強者を囲んでなぶり殺しては喰らい続けた男。――ジークベルトである。

==============================
 ジークベルトは純粋に『強すぎる敵』です。
 一対一で完封するのは困難ですので、周りのメンバーと力を合わせて戦わなければなりません。

 使用するユーベルコードによってジークベルトの突破すべき障害が異なります。
・POWなら邪霊と剣術によって防御するジークベルトへいかにして攻撃を通すか。
・SPDならそれまでの姿を捨て巨大な醜い化け物へと変身したジークベルトへいかにしてダメージを与えるか。
・WIZなら邪霊と剣による強力な攻撃をいかにして防ぐか。
 これらをクリアするプレイングを平行しつつ。ジークベルトと戦ってください。
 また宿敵主であるルトルファス・ルーテルガイトさんが継続参加した状態でジークベルトを倒したなら、晴れてこの敵にトドメをさし、二度と復活できないようにすることができます。
 つまり、村焼きの惨劇を二度と繰り返させないことができるチャンスです。
==============================
形代・九十九
巨大化した凄まじい破壊力を【激痛耐性】により耐えつつ、身体を切り離しながら吹き飛び事で倒したと思わせてからの【騙し討ち】を仕掛け、不意をついて足を地面に縫い付けるべく妖刀で【串刺し】に。更に密着状態からのユーベルコードにより、回避不能の斬撃波の連射を叩き込み、少しでも戦力を削いでいく。

「おまえがそういうものならば、仕方がない」
「風が吹くように 火が燃えるように 水が凍りつくように」
「……おまえは壊し続けるのだろう」
「ならば、おれたちも『そういうもの(いぇーがー)』としておまえに立ち向かうまでだ」
「…………火は、消させない」

アドリブ歓迎いたします。


青葉・まどか
遂に現れた黒幕。
決着をつけるのはお任せしますけど、お手伝いはさせてくださいね。
もっとも相手は強敵、油断せず全力で戦うよ。
独りで戦う訳じゃないからね、仲間との連携・フォローを心掛けるよ。

相手は様々な自己強化を図るみたいだね。
なら『逆しまの毒』で攻撃。
どれほどの効果がある分からないけど、起死回生の一手になるかも?

「オブリビオン。ええ、知っているよ。色んなところに迷惑をかけて最後には私達、猟兵に滅ぼされるもの。そういうもの」
こんな感じに煽ってみます。

敵の攻撃は【視力】で【見切り】、回避していく。

敵が自己強化を施したら、【傷口をえぐる】攻撃で『逆しまの毒』を注入。
ダメならコツコツと刻んでいきましょう。


ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、連携・絡み歓迎)
【WIZ:精霊剣】
…邪霊を行使する剣か、ならば精霊で対抗する。
…【精霊剣】を行使し、同じ霊体である精霊を最大に付与。(属性攻撃+全力魔法)
…止めを刺す以外で無謀はしない、敵の邪霊を精霊の加護で打消し、そして剣の動きを止め、猟兵たちの好機を作るのが俺の役目。

(会話)
…俺の同郷の生き残りから、全て聞いた。
…森の守護を全うしたのに処刑された事を今も恨むのか?だが貴様は、守護と称して何人殺した?
…更に今、故郷どころか無関係な人まで巻き込み続けている。
…今の貴様は守護者でも復讐者でもない…殺戮者だ、故に殺戮は止めさせる。
…それが嘗て守護者だった貴様に憧れていた、俺の敬意だ!


リンカーベル・ウェルスタッド
私が直接神の御許へすっ飛ばすことは無理ですが、力の大半を占める邪霊を抑えることはできる、はず!(未定)
遠くから聖水入りのビニール袋を括り付けた矢で狙撃して、周囲に聖水を撒きます。
当てる必要はないので気楽です。
そうしてから【聖域】を使い戦場内の邪霊を祓います。
聖域が効果を正しく発揮してくれれば、私のみならず仲間も戦いやすくなるでしょう。
援護はしますので、トドメはお願いします!

相手に同情はしませんが、「そうなった」理由もあるのでしょう。
非道なオブリビオンであったとしても、死して尚貶めるは悪魔の所業。
主よ、この罪深き魂たちを憐れみ下さい。
そしてひとつの結末を得た彼の未来に、眩い光をお与え下さい――。


リカルド・マスケラス
連携希望

「なかなか一筋縄じゃいかなそうっすねー」
可能ならまた九十九と、そうでなければ他の猟兵の誰かに跳梁白狐を施して【かばい】、防御力を向上させる。それで攻撃をの方に集中してもらう作戦

もしそれでも突破力が足りないのであれば
「来るっすよ!アルタイル!」
集団戦で罠も潰れたし、宇宙バイクを遠隔【操縦】で呼び出して乗ってもらう。普通の宇宙バイクより最高速度は劣るが運搬力重視設計でパワーと頑丈さには自身がある
「そちらが『そういうもの』っていうのなら、猟兵も『こういう仕事』っすから、恨まないでいって欲しいっすよ!」
バイクの加速で攻撃してもらえば有効打でなくてもルトルファスの必殺の隙くらいは作れるっすかね?


ラプラス・ノーマ
邪霊と剣術で防御するジークくんに、ダガーをたくさん投げつけて防御を崩そう
圧倒的物量で防御を崩すんだ
あたしの攻撃が当たらないならそれはそれで
崩せたならそれだけであたしの仕事はおわりってトコあるかな

さぁ!黒髪の君!やっちゃえ!
君の敵だ!君が始末するんだ!
その刃に全ての思いを乗せて、一思いに

この先、君がどうなるのか、どうするのかしたいのか
ゆっくり決めるがいいさ

さて、と
ジークくん…
消えゆく前にその瞳をそっと閉じさせて
君も辛かったね、お疲れ様
骸の海を漂うことなく安らかに逝けよ

あたしはカミサマだからね
平等に動かないと、ソレは悪魔だ

それじゃあ、またね
どこか別の未来でまた会おうぜ
これにて、終幕


テルプ・ステップアップ
SPD対応
アドリブ・他の方とのからみ歓迎

やっほー元イケメンさん!大きくなったネー。
上から見下ろしてご満悦かもだけど上も注意したほうが良いよ♪
次の人生では覚えとこー!

真の姿に変身
スカイステッパーで空中に飛び上がる
得意の足技で目や耳鼻などの弱い部分を集中攻撃
できれば潰したい
攻撃は武器攻撃だけのようだからすばやく上昇し攻撃範囲から離脱
倒すことメインにせず支援を主体に叩く

戦い終了したらご飯いっぱい食べて昼寝するよー!
うん、超眠い💫ぐぅ


シェラティシア・インフィノート
これはなんとも、強力な精霊…いえ、邪霊術の使い手にして剣士なのですね…!
ですが私達だって退けません
あなたにはここで引導を渡してあげます!

敵の行動は見極め、空中戦で回避
使うのは、愚直ですがエレメンタル・ファンタジア
今回起こすのは「聖属性の津波」
あなたという熟達の剣士には、あるいは津波も斬れるのでしょう
ですが邪霊やその加護はそれほどではないはずです
聖属性を嫌って離れていくでしょう

ついでに周辺一帯を浄化したに等しいですから、今ある邪霊の加護を剥がすだけでなく、しばらくは邪霊の力を使えませんよ


ミルラ・フラン
【WIZ】
(髪と爪が伸びて紅に染まり)
オーケー、チーム戦ね。
この場にいる連中の支援に回るとするか!!
祈る人間がいる村を焼くったぁ、とんでもねえ営業妨害だ!

ストーム・オブ・スカーレットを防御に転用し、薔薇の嵐の風圧に【オーラ防御】を併用。
戦闘能力や破壊力の増しているジークベルトの攻撃に合わせて展開し、攻防一体の盾にする。
攻撃が入ったら【2回攻撃】で追撃。

攻撃の隙が無い場合は【オーラ防御】を展開しつつ、【誘惑】【存在感】で囮になれるか試す。
アタシはへばってもいい。皆が攻撃出来ればいいんだから!

色男!あのエルフにトドメを刺すチャンスだよ!



●decisive protocol――『精霊は未来に唄う』
 暴風が吹き抜ける。
 おびえる村の人々が教会に身を寄せ合い、暗雲が空を覆い始めた。
 長い髪を靡かせて、邪霊剣士ジークベルトはくつくつと笑っている。
「この程度で兵士を蹴散らしたつもりか? 代わりはいくらでもいるんだよ――来い、死に損ないども!」
 地面に黒い邪霊剣を突き立てると大地からわき上がった無数の邪霊が兵士に取り憑き、死体をぐねぐねと起き上がらせては血を流したまま槍や剣を手に取った。
 うなり声を上げて突撃してくる邪霊兵たち。
 形代・九十九は刀を再び握り込むと、繰り出される剣を強引に打ち払った。
「ジークベルト。おまえが『そういうもの(オブリビオン)』であるならば、おれたちも『そういうもの(イェーガー)』としてお前に立ちはだかるまでだ」
 剣や槍が九十九に突き刺さるが、痛みなど無いかのようにカタカタと動き、人体では不可能な関節動作で兵士たちを剣で薙ぎ払っていく。
「オブリビオン。ええ、知っているよ。色んなところに迷惑をかけて最後には私達、猟兵に滅ぼされるもの。そういうもの……!」
 飛来する無数の矢をジグザグに走って回避すると、ワイヤーフックを投擲。
 兵士の一人に巻き付けて引き倒すと、ホルダーから抜いたダガーを一度に数本まとめて投擲した。
 鎧の隙間を縫って突き刺さるダガー。
 直後、リカルド・マスケラスから伸びた鎖鎌が兵士の首に巻き付き、刃が喉へと突き刺さる。
 手首のスナップ一つで扇状にダガーナイフを出現させると、まどかとは逆の方向へと投擲。
 ばたばたと倒れていく兵士たちの中心で、狐の面を側面から正面へと移動させてしっかりとかぶり尚した。
「で、そちらが『そういうもの』っていうなら、自分らもこういう役目を全うするまでっすよ」
「そーゆーことっ」
 リカルドの肩を踏み台にして跳躍したラプラス・ノーマが空中で雑伎団のようにくるくると回転し、剣を構えて上向いた兵士の一人を蹴り倒した。
 反動で跳び、また別の兵士の顔面を、更に飛んでまた別の兵士の顔面を踏んで次々に跳ね回っていく。
 兵士が槍で突こうと割り込んだ所で、アイススケートのように地面から数センチ浮いて滑るテルプ・ステップアップのハイキックが兵士を蹴り倒した。
「たいしたことなさそう。時間稼ぎかな?」
 テルプはくるくると回転してみせると、別の兵士たちの間を駆け抜けては次々と蹴りつけていく。
「祈る人間がいる村を焼くったぁ、とんでもねえ営業妨害だ! お祈りの邪魔はするなってママに教わらなかったかい!?」
 ミルラ・フランは鎌を豪快に投擲すると、膝のホルダーから投げナイフを引き抜き更に投擲。
 剣で防御しようとした兵士だが、防御をすり抜け鎧すらも貫いて鎌とナイフが突き刺さった。
「それに邪霊の兵とは、随分とお粗末な兵隊ですね」
 リンカーベル・ウェルスタッドは矢に祈りを込めて天空へ引くと、聖句を告げて放った。
 矢が奇跡の光を放ち、聖別された雨が降り注ぐ。
 頭を押さえて苦しみ始める兵士たち。
 その隙に聖句の刻まれた銀製の刀で一体一体切りつけていく。
 炎をあげ膝から崩れていく兵士たち。
「仕上げです、フェアリーさん」
「強力な邪霊術の使い手のようですが……ここで引導を渡してあげます!」
 空に飛び上がったシェラティシア・インフィノートが精霊に呼びかけ、精霊が杖へと変化。杖を弓に見立てて架空の矢をつがえると、精霊たちが心に応えて真空の矢が生まれた。
「骸の海へ帰りなさい!」
 拡散発射される真空の矢が兵士たちを穿ち、死した肉体から邪霊が抜けていく。
 その中を、ルトルファス・ルーテルガイトは精霊剣を手に走った。
 精霊力が青い刀身となり、ジークベルトへ繰り出された。
 邪霊剣でそれを受け、鍔迫り合いを起こす二人。
 精霊と邪霊の力がぶつかり合い、火花のようにばちばちと黒と青のスパークを起こしていく。
「森の守護者でありながら処刑されたことを今も恨んでいるのか」
「恨み? ハハッ……俺は恨んでなんていないさ。絶望してるんだよ。人ってやつに、エルフってやつに、世界ってやつにな!」
 ジークベルトの剣がルトルファスを強く押した。
「その絶望で何人殺した! いくつの村を破壊した! 貴様のやっていることはただの殺戮だ!」
「殺戮で結構だ。言ったろう。俺は滅ぼすだけだ。この世界もろともを」
 顔を近づけ、ギラリと笑うジークベルト。
「お前もこんな強い守護者になりたかったんじゃあないのか?」
「……っ!」
 歯を食いしばるルトルファス。彼の喉に邪霊剣が迫った。
 そこへ、リンカーベルの矢が走った。
 素早く飛び退くジークベルト。
 リンカーベルはさらなる矢をつがえ、ジークベルトへ打ち込んでいく。
「何事にも理由はあるものです。あなたにもそうなるまでの経緯があったのでしょう。
 ですが、だからこそ祈らせて貰います」
 『主よ、この罪深き魂たちを憐れみ下さい。そしてひとつの結末を得た彼の未来に、眩い光をお与え下さい』
 祈りの言葉を込めて矢を放つと、矢が聖別された水へと変化した。
 が、それだけではない。
 矢にしがみついていたシェラティシアが精霊に呼びかけて雨を降らせ、矢に込められた祈りを雲に伝達させた。
 降り注ぐ膨大な聖水の雨が周囲の邪霊たちを鎮めていく。
「チッ……地霊を押さえられたか……」
 ジークベルトはこれまで倒れた兵士に邪霊を取り憑かせては再利用したり剣に纏わせて刃に変えたりといった攻撃方法をとっていた。
 シェラティシアたちはそこに着目し、力の元を絶つことにしたのだ。
「あなたの邪霊術はその地にある霊を操るもの。その力は利用させませんよ」
「知恵が回るらしいな。けど俺自身に蓄積された力はどうする?」
 ジークベルトはギラリと目を光らせると、身体の内から邪霊の力をほとばしらせた。
「体内に邪霊を蓄積している……? 正気の沙汰じゃない」
「そうだ。奴は強者の肉を食うことで霊体を取り込み自分の力に変えている」
 剣を握り直すが、しかし攻めあぐねるルトルファス。
「一筋縄じゃいかなそうな事態っすねー」
「コンビプレイ、しちゃう?」
 リカルドとラプラスが横並びに立つと、お互いの拳をこつんとぶつけ合った。
 するとリカルドの姿がたちまちヒーロースーツへ変化。ラプラスに装着されると、村から宇宙バイク『アルタイル』が飛んできた。
 ビーム機銃を連射しながらジークベルトへ突撃するバイクへ飛び乗ると、ラプラスは強化された身体能力でダガーを連続投擲した。
 ビーム機銃とダガーを剣で次々と打ち払うジークベルト……だが、バイクから飛び降りたラプラスのキックがジークベルトに直撃し、鎧を破壊して吹き飛ばした。
 ジークベルトの脳裏に何かがよみがえったのだろうか。
 憎しみに目を光らせ、体内の邪霊全てを暴走させ始めた。
「おっと、これはまずいっすねー」
「食あたりでも起こしたの?」
 肩をすくめてみせるテルプに、まどかが眼鏡のブリッジを押して応えた。
「尋常じゃない規模で霊体を取り込んだせいで力が暴走してるんだよ」
「過ぎたるは及ばざるがごとしってね。けどこいつは……取り返しもつかなくなってないかい」
 ミルラは髪と爪を伸ばして紅に染め上げると、高い木の上へと飛び乗った。
 力の暴走したジークベルトは肉体を激しく膨張させて巨大化していく。
 とりついた邪霊たちの憎しみや恨み、そして何より人類や世界に対するジークベルトの憎しみが連鎖した結果暴走を起こしたのだろう。原型をまるでとどめない巨大な怪物と化したジークベルトはミルラたちを巨大な邪霊の拳で殴りつけた。
 防御姿勢をとりながらも吹き飛ぶミルラたち。
「ったく……手のかかるエルフだね!」
 ミルラは大量の深紅の薔薇花弁を呼び出すと、ジークベルトめがけて発射した。
 まるで赤い竜巻と化した花弁がジークベルトを包み込む。
 だが削れるのは少しずつだ。
 うっとうしそうに腕を振り回すジークベルトに、九十九はしっかりと刀を構えた。
「…………火は、消させない」
 自らを妖刀の怨念で覆うと、凄まじい速度で跳躍。
 ジークベルトの巨大な腕を豪快に切断した。
「隙あり――!」
 テルプが天空を舞うように駆け上がり、彼女の両腕に抱えたまどかがガジェットドリルを起動。
 うなりを上げて傷口に打ち込まれたのは『逆しまの毒』である。
 反撃に繰り出された腕を、空中を蹴ることで回避するテルプたち。
 一方のジークベルトは毒の効果によって肉体が弱体化し、元のサイズにまで縮んでしまった。
「く……」
 頭を押さえ、邪霊剣を手に取るジークベルト。
 鎧も壊れ邪霊の力も散ってしまったが、それでもまだ剣の腕は残っている。
 ルトルファスはしっかりと精霊剣を握り垂直に構えると、深く呼吸を整えた。
「確かに俺は、かつて守護者に憧れていた。貴様に、憧れていた。だから敬意を込めて……貴様を沈める!」
 ルトルファスの肉体を精霊の力が覆い、まるで鼓動する心臓のように赤く脈打った光となった。
 突撃。
 同じく、ジークベルトの突撃。
 両者の剣は再びぶつかり鍔迫り合いを起こす――が、ルトルファスの儀礼短剣がジークベルトの壊れた鎧の隙間から突き刺さった。
 目を見開き、血を吐くジークベルト。
「……永久に眠れ、世界の果てで」
 短剣を抜き、精霊剣で壊れた鎧の上から切り裂くルトルファス。
 ぐらりと傾き、仰向けに倒れたジークベルト。ラプラスはそっとそばに寄り、その目を閉じさせた。
「骸の海を漂うことなく安らかに逝けよ。どこか別の未来でまた会おうぜ」
 空を埋めていた暗雲が晴れていく。
 差し込む朝日の光に振り返り、イェーガーたちは目を細めた。
 またひとつ、この世界からオブリビオンという存在が消えた。
 そしてまた今日も、どこかで骸の海からオブリビオンが蘇り世界の滅びを引き起こそうとしている。
「行こう」
 と、誰かが言った。
 絶えず時は運び、全てが土へと還るらしい。
 然うして今があるなら、僕らは死を踏み生きているとも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月25日
宿敵 『邪霊剣士・『復讐魔』のジークベルト』 を撃破!


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#アックス&ウィザーズ


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ルトルファス・ルーテルガイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト