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少女の涙に濡れる黒衣

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●教会の墓地
 辺りが薄闇に包まれる頃、町の外れの教会。教会の裏に広がる墓地の敷地内に、1人の少女の姿があった。年頃は14、5歳ほどの少女は、夜闇に溶け込むような黒衣に身を包み、ある女性の名前が刻まれた墓碑の前ですすり泣いていた。
 少女が身にまとう黒衣に編み込まれたゼラの自我が、少女の耳元でささやき続ける。
「可哀想なアルマ……お母さんはあなた1人を残して死んでしまった。とても悲しいわね」
 止めどなく涙を流す少女は黒衣の裾を握り締め、必死に孤独に耐えていた。そんな少女の精神を取り込もうとする女吸血鬼・ゼラは、少女を自らの領域に誘おうと甘い言葉をささやく。
「私はずっとあなたの友達よ、アルマ……私と1つになりましょう? あなたを悲しみも、孤独もない場所に連れていってあげるわ」
「もう、こんな思いをするのは嫌……こんな悲しみの世界にいるのは、もう嫌!!」
 母親を失った現実に絶望した少女は、ゼラに自ずとすべてを委ねた。
 少女の自我を侵食するゼラの力が高まることを示すように、墓地は亡者たちのうめき声で満たされ、垂れ込める暗雲が雷鳴を轟かせた。

●グリモアベースにて
「ご機嫌よう、御主人様」
 グリモアベースへと招かれた猟兵たちの前に現れたのは、1人の青年。グリモア猟兵である青年は微笑を浮かべ、恭しく会釈してみせると、
「ミレナリィドールのノア・ローズタレットと申します」
 1人の少女をオブリビオンから救うため、ノアは猟兵たちの協力を要請した。
「強力なオブリビオンの存在を察知しました。その場所は、とある町の外れにある教会です。オブリビオンの少女……いえ、オブリビオンである黒衣に憑りつかれた少女ですね」
 『ゼラの死髪黒衣』に取り憑かれた少女、アルマは、教会の裏にある墓地の最奥に座している。死体を使役するゼラによって、広い墓地には多くの亡者たちが徘徊している。
 15体の亡者たちは腐った体を隠すローブを身につけ、篝火を手にして墓地内を見回っている。亡者たちは墓地に踏み入る者を容赦なく攻撃しようとする。アルマの下まで向かうには、亡者たちを一掃する必要があるだろう。
「亡者の戦闘力はそれほど高くありませんが、主の命令に忠実に従うため、力尽きるまで戦い続けます」
 そう言い添えたノアは、グリモアを通して見た墓地の光景に触れる。
「取り憑かれたアルマ嬢はお母様を亡くし、心に傷を負われていました……その傷にゼラはつけ込んだのでしょう。アルマ嬢の意識はまだかろうじて残されているはずです」
 ゼラの黒衣を引き剥がし、破壊することで、アルマの意識を取り戻すことができるという。
「皆さんがアルマ嬢の意識に呼びかけ続けることで、戦意を鈍らせることも可能かもしれません」


夏雨
●『ダークセイヴァー』の世界に向かいます。
 この世界の人々は猟兵の存在を知りません。あなた達の戦いが、やがて世界に真の希望をもたらすでしょう。

●第1章 亡者15体を倒し、墓地の奥を目指せ
 少女アルマの下にたどり着くために、墓地を徘徊する亡者15体を倒しましょう。

●第2章 『ゼラの死髪黒衣』を破壊せよ
 アルマの意識はゼラに侵食されかけていますが、羽織っている黒衣を引き剥がして破壊することで、ゼラ諸共影響を打ち消すことができます。
 アルマの意識に呼びかけることで、その戦意を鈍らせることも不可能ではありません。

●第3章 墓地を再び綺麗な姿に
 日常パートです。墓地でできることに限られますが、あなたのやりたい目的を達成できれば成功となります。
 プレイングで指定していただければ、グリモア猟兵のノアも加わらせてもらいます。

 個性豊かな猟兵の皆さんの参加をお待ちしています。
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第1章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四軒屋・綴
死人は眠るもの、それを乱す権利は誰にもないだろう……

まぁしかしとんだゾンビパニックだなッ!早々に撮影は中止させてもらおうッ!

何はともあれユーベルコード、『蒸騎構築』を発動ッ!防御力重視の蒸気機関車系ヒーローになったら 突撃開始ッ!

問題は敵が15体いることだが……これについては【ダッシュ】での移動と【怪力】や【グラップリング】【吹き飛ばし】で敵の体制を崩しつつ適切な距離を保つことで対多数戦に挑むぞッ!千切っては投げッ!具体的にはラリアットとかエアプレーンスピンとかその辺の奴だッ!

「勇・蒸・連・結ッ!ジョウキングッ!!」

「安らかに憩うが良い…罪なき骸達よオラァッ!」


ミーナ・ヴァンスタイン
表向きは静かに、ただし心は激情のままに、ミーナは吐き捨てる。
「死者の体を、生者の心を、己が欲望のままに利用し弄ぶ外道が……天罰を与えてあげる」

亡者を発見次第、二丁拳銃による射撃の【2回攻撃】を行う。
「ごめんなさい。今すぐ楽にしてあげるわ」
【視力】でたいまつに狙いをつける。
「あれは厄介ね」

敵が墓地から新たなる亡者を呼び出したら【聞き耳】【見切り】【残像】を駆使して回避に専念。
「仕組みは分かったわ」
銃をしまって【断罪撃】を使用。両手足に浄化の光を纏い、【怪力】【2回攻撃】の連続打撃で敵を無力化して行きます。
「いま、あなた達を救済するわ」
敵に囲まれたら回し蹴りで【なぎ払い】ます。
「ごめんね」


ジェラルド・ボノムドネージュ
……母、か……。
孤独に耐えていた少女に甘い言葉でつけ込むとは許せん。
意識が消える前に助けねば。

まずは【目立たない】ように【ダッシュ】で駆け込み。
有象無象の亡者に戦鎚の【衝撃波】で吹き飛ばし、【鎧砕き】を狙う。
亡者の攻撃にはユーベルコードを使用し、回避を狙おう。
回避が無理ならば、【武器受け】で防ぎ、【2回攻撃】で反撃だ。

他の猟兵の攻撃で体勢が崩れた亡霊には【暗殺】で不意打ちを狙おう。
ーー餞別だ、受け取れ。


彼岸花・司狼
死人は、大人しく眠るべきだ
この世に亡者の居場所も安寧もないんだから。
何よりもし元が知り合いだったら、と思うとやりづらくて仕方ないし、な。

UCの刃を一体に全て集中させて、一体だけでも削れるように動く。
攻撃に技能の【生命力吸収】、【暗殺】を組み合わせて少しでも体力を削り取れるように気を払う。




「来たれマイボディッ!」
 雷鳴が轟く墓地に、四軒屋・綴の声が響き渡る。
「勇・蒸・連・結ッ! ジョウキングッ!!」
 ヒーローは決めポーズと共に名乗るというルーティーンを当然の如く披露する綴に、亡者たちの意識が一斉に向けられた。
 腐敗した体を引きずる亡者たちは、機関車のような蒸気機関を備えたヘルメット、ヒーロースーツ姿の綴に群がろうとする。
「とんだゾンビパニックだなッ! 早々に撮影は中止させてもらおうッ!」
 そう言い放つ綴は具現化したボディの性能を生かし、敵陣深く切り込んでいく。
 猛進する機関車のように、瞬く間に迫る綴のスピードは亡者たちを圧倒し、
「安らかに憩うが良い……罪なき骸達よオラァッ!」
 突き出した片腕の側面を、1人の亡者の喉元に叩きつけた。
 燃え盛る篝火を掲げて綴を囲もうとする亡者たちだが、火を灯したトーチからは火花が飛び散り、不意に銃撃を受けて怯む。
「ごめんなさい。今すぐ楽にしてあげるわ」
 ミーナ・ヴァーンスタインが構える2丁の精霊銃から放たれる光弾は、1人の亡者の体を撃ち抜いた。亡者たちが射手を見定める間にも、暴れ回る綴は止まらない。
 組み付く綴に抵抗しようとした亡者だが、亡者を担ぎ上げようとする弾みで綴のヘルメットはその腹部を強打する。すでにぐったりとした亡者はそのまま振り回され、地面へと体を叩きつけられた。
 複数の亡者が統制のない動きで隙をさらす中、ジェラルド・ボノムドネージュは混迷する戦局に乗じ、亡者たちの至近距離へ走り込んだ。その動きに亡者たちが気づく刹那、ジェラルドは魔力によって作られた氷の戦鎚を振り抜いた。亡者の目の前に振り下ろされた戦鎚は地面を大きく砕き、冷気を伴う衝撃波が亡者たちを押しやった。
 亡者の内の1人は態勢を崩しながらもトーチを杖のように突き、篝火の先端をジェラルドの方へ向けた。ジェラルドのユーベルコードは、定められた敵の動きをその意識下に伝える。わずか先に見えた未来は反射的にジェラルドの行動を促し、身を翻したジェラルドは墓石の向こうへと飛び込んだ。その直後に亡者のトーチからは火炎放射器のように炎が噴き出し、ジェラルドの盾となる墓石を煤だらけにした。
 次々と炎を放射する亡者たちは、形勢を傾けようと勢いを増していく。四方を炎に囲まれないように動きながら、
「あれは厄介ね」
 ミーナは冷静に敵の動きを分析し、精霊銃をホルスターに戻すと、四肢に魔力を集中させていく。浄化の力を集中させたミーナの四肢は光を帯び、炎の切れ間を見定めて亡者との距離を一気に詰めた。
 躊躇なく突撃するミーナにも、亡者の1人は篝火を向けた。勢いよく噴き出した炎だが、それはたちまち打ち消される。光を放つミーナの手刀は、亡者のトーチ諸共炎を弾き飛ばし、相殺し合う魔力が激しく火花を散らした。別方向からも篝火がミーナを狙ったが、ミーナは抜かりない反応で鋭い蹴りを放つ。トーチを蹴り落とされた亡者は、反撃する気力を削ぎ落そうとするミーナから更に回し蹴りを受けてなぎ倒された。
 ミーナの攻撃によって打ち払われた亡者たちには、次々と追撃の手が伸びる。
「――餞別だ、受け取れ」
 ジェラルドが戦鎚をその頭部に叩きつけると、亡者の1人はその場にくずおれた。ほぼ同時に、彼岸花・司狼は自身のユーべルコードを発動する。
 影の刃を操る司狼は、音もなく出現させた無数の刃でもう1人の全身を隈なく突き刺した。
「死人は、大人しく眠るべきだ」
 ――この世に亡者の居場所も安寧もないんだから。
 司狼がそうつぶやいた直後、全身に影の刃を突き立てられた亡者の篝火は、その生命力と共に消え去った。
 猟兵たちの猛攻に対し、怖気づいたようにじりじりと距離を取り始める亡者たち。
「死者の体を、生者の心を、己が欲望のままに利用し弄ぶ外道が――」
 ミーナは静かな口調の端々に怒りをにじませ、亡者たちの更に向こう側、墓地の奥を見据えてつぶやいた。
「……天罰を与えてあげる」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

綿津見神・禮
予言をもとに動く以上、仕方のないことではありますが。
「……間に合わないのですね。」
やるせない気持ちはあります。

死の悲しみに、ヒトの絶望に、吸血鬼が付け入る。
それもまた、この世界の日常なのでしょう。
その死を齎したのもまた、吸血鬼であるのでしょうに。
「死の悼みを弄んだ報いは受けてもらわねばなりませんね。」
我らの存在を、知らしめなければなりません。
人々に、明日の希望を。

トリニティ・エンハンスで【水の魔力】を纏い防御力を強化。
敵の攻撃手段が炎ならば、有効ではないでしょうか?

距離をつめ、その勢いで星の指揮刀で刺突、
「亡者が生者の道を阻むな!」
そのまま首を撥ねます。


ミアズマ・フォルテ
……過去は変えられない、現実からは誰も逃れられない。
でも未来を変えることはできる、私達猟兵がそれを成す。

SPD重視で行動

一体一体はそれほど強くなくても囲まれたら厄介だ
距離を取って遠距離から射撃に徹しよう
逆に前に出て戦う猟兵がいれば積極的に援護して
道を切り開いてもらう

……名も知らぬ亡者とはいえ彼らにも過去があっただろう、
眠りを妨げてしまって済まない。
戦闘が終わったら軽く黙祷を捧げ先を急ぐ。


蘭・七結
彷徨える魂たち、ね。
遊びたりなくて起きてしまったのかしら。
ナユ達が用があるのはあなた達じゃないの。
そこを退いてちょうだい。

ナユはサポートで敵を拘束するわ。
有刺鉄線の鎖や結び縄を使用して捕まえてしまうの。
しぶといようなら、足元を狙って転倒させてから縛りつけると捕まえたやすいかしら。
ーーいけない魂たちね。はやくお眠りなさいな。
もしも別の敵に攻撃されそうな時は、捕まえた敵を盾にするわ。悪く思わないでちょうだいね。


橘・焔
○心情
…何かに縋りたい気持ち、分かるよ
でもね、“ソイツ”に縋っても結果は絶望しかない
それじゃあ貴女を本当に想ってた家族の願いは報われないよ

【SPD】で勝負
初撃、わざと篝火の影を踏んで攻撃を仕掛け、亡者の動き方を視る
「…ふーん、これが『先読み』。厄介な能力だけど仕掛けが分かれば…」
二撃、篝火が造る影を当てようとする亡者の動きを上回るフットワークで背後に回り込み、咎力封じで亡者の腕や脚を絡め捕り、子どもとは思えない膂力で思いっきり引き擦り倒す
「子どもと思って油断した?…残~念。最近の子どもは色々と“規格外”なんだって」
「一度死んでるんだし、遠慮は要らないよね?」
手持ちの硬い鞄で眼前の亡者を叩き潰す




 すでに7体が動きを停め、残る亡者たちは防戦に徹する構えを見せる。地面に伸びる篝火の影に触れると、亡者は相手の動きを読んだように回避してしまう。その動きに気づいた橘・焔は、
「……ふーん、『先読み』ね。厄介な能力だけど、仕掛けが分かれば……」
 焔は自身の間合いに亡者を捉えようと、軽快な動きで対象へと迫る。篝火の影を当てようとする亡者の1人に対し、焔は亡者の動きを上回る機動力を見せつける。その背後へと回り込み、手枷やロープ、ありとあらゆる拘束具を瞬時に放って身動きを封じた。
「子どもと思って油断した?」
 焔は拘束した亡者を容赦なく引き倒すと、
「……残~念。最近の子どもは色々と“規格外”なんだって」
 焔はその右手に携えた工具入れのような硬い鞄を握り直し、
「一度死んでるんだし、遠慮は要らないよね?」
 地面にくぼみを作るほどに亡者の頭を強打し、とどめを刺した。
 焔に陣容を乱され、うろたえる亡者に向けて、綿津見神・禮は指揮刀を振り向ける。
 魚の下半身という人魚のような姿の禮は、空中を泳ぐようにして亡者へと突撃し、その体を刺し貫いた。
「亡者が生者の道を阻むな!」
 更にすばやく刃を切り返した禮は、亡者の首をはねて確実に息の根を止めた。
 1人の亡者が禮に向けて炎を放つが、禮がまとう水の魔力が炎とぶつかり合うことで現れる。禮の眼前で波打つ水面からは、打ち消される炎の煙がもうもうと立ち上った。
 ミアズマ・フォルテはトーチから炎を噴き出し続ける亡者に狙いを定め、ロングボウから放つ一撃で相手を仕留めた。積極的に援護に回るミアズマの弓の腕が後ろ盾となり、積極的に攻めかかる者たちは勢いを増していく。
 炎による攻撃を仕掛けようとすれば、亡者たちを捉えるのはミアズマの弓矢だけでなはい。
「――いけない魂たちね。はやくお眠りなさいな」
 拷問具を操る蘭・七結は、有刺鉄線の鎖、銀の枷など、数々の拘束具を放って亡者の体を縛り上げた。七結は身動きを封じた亡者のとどめを促し、次々とただの屍に戻る亡者たちに向けてつぶやいた。
「悪く思わないでちょうだいね」
 接近する者の行動をことごとく影から読み取る亡者もいたが、離れた距離からミアズマに狙われれば無力と化す。ミアズマの矢を受けて怯んだ隙を狙い、禮の刃は確実に亡者たちの息の根を止めた。
 厄介な炎にも臆することなく相手をする七結は、時に拘束した亡者を盾にし、相手の攻勢を突き崩していく。
 焔の動きは他の亡者の追随すら許さず、篝火を掲げ続ける亡者たちを翻弄し続けた。
 最後の1人となる亡者に対し、水の魔力を全身にまとう禮は尾ヒレを鋭く動かして猛進した。空中を自在に泳ぎ回る禮の動きを捉え切ることはできず、連続で噴き出される炎は空だけを燃やしていた。刹那に閃く禮の剣さばきが亡者の首を狩り、最後の篝火が遂に消え去った。

 ――名も知らぬ亡者とはいえ彼らにも過去があっただろう。
「眠りを妨げてしまって済まない」
 墓地の亡者たちを一掃し終えると、ミアズマは黙祷を捧げると共につぶやいた。ミアズマから墓地の最奥へと視線を移した禮は、元凶の存在を意識して言った。
「死の悼みを弄んだ報いは受けてもらわねばなりませんね」
 禮の言葉に呼応し、焔は言った。
「このままじゃ、彼女を本当に思っていた家族の願いは報われないしね」
 猟兵たちは速やかに墓地の奥を目指した。
 やがて黒衣を羽織った少女の後ろ姿を確認することができた。墓石の前に腰を降ろしたまま、振り返ろうともしない少女に対し、七結は意識を向けさせようと声をかけた。
「あなたが……あなたは、アルマかしら? それとも――」
 言い終える途中でアルマらしき少女は猟兵たちに向き直った。
「あなたたち、一体何なのかしら?」
 その一言を発した少女の表情、声色は、どこか不気味な威圧感を抱かせた。
 どちらの意識が表に出ているかは明白な状況で、猟兵たちは一様に身構えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ゼラの死髪黒衣』

POW   :    囚われの慟哭
【憑依された少女の悲痛な慟哭】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    小さな十字架(ベル・クロス)
【呪われた大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    眷族召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【眷族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四軒屋・綴
ふむ……とりあえずやることは一つだッ!『降魔化身法』で身体能力を強化ッ!【ダッシュ】で近づいて【手を繋ぐ】ッ!鎌の一撃は【グラップリング】と【怪力】で反らしつつ【スライディング】で潜り抜けるッ!動きを止めることに集中ッ!あとは味方を信じるッ!

「君は孤独じゃないし……」
「この世界はそんなに悲しくないッ!」
「俺達が寄って集って幸せにするからだッ!」


ミーナ・ヴァンスタイン
「聞こえてる、アルマ!その女の言葉に耳を貸しては駄目よ!」
「そいつはあなたを利用してるだけ、あなたは一人ぼっちのままになってしまうわ!」

敵の攻撃は【聞き耳】【視力】で【見切り】【残像】で回避。
「わたしはあなたのような子達と一緒に暮らしてるの。だから、あなたを決して見捨てない!」

【破魔】の光を纏う【断罪撃】でコードを相殺して近づき【怪力】で黒衣を掴んで引き剥がす。
「人の心と体を踏み躙るあなたを、わたしは許さない!」

眼鏡を外し吸血鬼に変化。
【破魔】の力を持つ聖別された二本の長剣を【怪力】で振るい【2回攻撃】その刃に触れた魔の者は【マヒ攻撃】を受けます。

敵が眷属を呼び出したら素早く【なぎ払い】ます。




「聞こえてる、アルマ! その女の言葉に耳を貸しては駄目よ!」
 ミーナ・ヴァーンスタインの一言に対し、黒衣をまとうアルマは敵意を向けて後ずさる。
「そいつはあなたを利用してるだけ、あなたは独りぼっちのままになってしまうわ!」
 そう続けるミーナだが、アルマの手中にわき出した煙はたちまち大鎌の形を見せ、実体化した武器を手に取った。
 アルマの姿を借りたゼラは、さもミーナが悪者であるかのように言った。
「私はアルマのもの、アルマは私のものよ。私からアルマを奪うだなんて、なんてひどい奴らなの! アルマと私は友達なのに……でしょう? アルマ。もう独りぼっちになるのは嫌でしょ?」
 ちらりとほくそ笑み、その本性を垣間見せるゼラ。大鎌を構えた少女は、猟兵たちを拒むように禍々しい気配を強めていく。
「やることは1つだッ! ――」
 躊躇することなく踏み出した四軒屋・綴は、ゼラの間合いへ走り込もうと凄まじいスピードを見せた。
「墓地で俺と握手だッ!」
 そう大声で発しながら迫る綴に、ゼラはわずかな差で反応し、刃を振り向けた。至近距離に迫った綴を大鎌の一撃が襲うが、綴は自らの手で大鎌を弾き、急所への直撃をそらした。
 身体への負荷と引き換えに戦闘能力を飛躍させていた綴は、ゼラの片腕に組み付くようにして攻撃を止めさせた。
「君は孤独じゃないし……この世界はそんなに悲しくないッ!」
 そう言い聞かせながら、綴は暴れるゼラを全力で食い止めていた。
「俺達が寄って集って幸せにするからだッ!」
 力の飛躍の代償がひそかに綴を蝕んでいたが、綴は黒衣をはがそうとする他の猟兵に応えようと、限界を定める気はなかった。
 伸び切るほどの力で黒衣の袖口を綴が引き寄せた瞬間、ミーナも加勢し、ゼラの黒衣を脱がせようとしがみつく。しかし、2人がかりの状況にゼラの表情が引きつったかと思うと、つんざくような少女の悲鳴が墓地中に響いた。ゼラから発された悲鳴は衝撃波となって2人を吹き飛ばし、近くの樹木に亀裂を生み、いくつもバラバラにするほどだった。
 ゼラの間合いから押し出されたミーナだが、四肢にまとった破魔の光で衝撃波を相殺してみせた。黒衣を脱ぐことを拒否するアルマの叫びと捉えたミーナは、再度アルマに向けて言い聞かせた。
「わたしはあなたのような子達と一緒に暮らしてるの。だから、あなたを決して見捨てない!」
 おもむろに眼鏡を外したミーナは、その瞳の奥に強い意志を覗かせると共に、
「吸血鬼ゼラ――人の心と体を踏み躙るあなたを、わたしは許さない!」
 自身も秘めた吸血鬼の力を引き出し、真紅の瞳へと変化させた。
「信じないで、アルマ! あいつらは綺麗事を言ってるだけ、あなたをだまして私を取り上げたいだけなのよ!」
 独り言のようにアルマと会話をするゼラは、黒衣の下から無数の黒い塊をあふれさせた。それは宙を飛ぶコウモリの姿で、ミーナへと一斉に襲いかかる。群れを成して向かってきたコウモリだったが、2本の長剣を抜いたミーナは数十を超える群れを一挙に切り裂いた。ミーナの周囲には息絶えたコウモリたちが散乱し、その中でミーナが射抜くように見据えるゼラは、表情を失っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

蘭・七結
今、その身体を支配してるのはゼラかしら。
アルマのココロを埋めるのは、あなたでは役不足よ。
さあ、アルマを返してちょうだい。

狙うのはアルマではなく、纏わり憑いたゼラ。
無駄にアルマの身体を傷つけてはいけないから、今回は有刺鉄線の鎖は使用せず、結び縄と銀枷で拘束するわ。
相手のユーベルコード封じよりも、拘束して動けない時間を増やす方を優先。味方の皆さんが攻撃に専念できる時間と、アルマに声をかける時間をね。
願うのは、全てが終わった後、ひとりになる彼女とトモダチになれるように。
『ーーアルマ。きこえるかしら。あなたの苦しみも悲しみも、ナユにはわからないけれど…。それでも、ソレには縋ってはいけないわ。』


彼岸花・司狼
身内の死を悲しめること自体は美しいと思うけれど
ソレで自分を殺してしまうのは本末転倒、
誰も救われない結末にしかならないよ。

UCで召喚した狼を使って黒衣を剥ぎ取りに。
【残像+フェイント+二回攻撃】で隙を窺いつつ、
剥げた黒衣に対しては【鎧砕き】で攻撃を仕掛ける。

良くも悪くも死人に口なし、
現状を見たらあの人がどう思うか、なんて死人が考える方が怖いだろうに
所詮死んだ人がどう思うかなんて、生きてる人間の想像でしかないさ
だからこそ、情けない姿は見せたくない、とも言えるけれど。


綿津見神・禮
それが望みなのですか?
吸血鬼となって、悲しみの世界を生み出し続けることが望みだと?
違うでしょう?アルマ。

あの大鎌、厄介ですね。
幸い間合いはかなり狭そうです早めに対処しておきましょう。
右手に持った星の指揮刀で【フェイント】で攻撃を誘い、一歩下がりながら【残像】で距離感を狂わせます。
そして左手で鎌に対し【波濤の幻想】を使用、その鎌に水龍の頭を噛みつかせ、動きを封じ、味方の攻撃に繋げます。
可能ならそのまま鎌を奪ってしまいたいですね。


ミアズマ・フォルテ
SPD重視

武器をしまってゆっくり歩み寄りながら(アルマに)呼びかける
攻撃を受けて例え死にかけようとも絶対に反撃しない
「世界を壊せば確かに君は悲しみからは解放される。でもそれは同時に
他の人すべてに君と同じ悲しみを押し付けることになるんだ」

目の前まで歩いたら手を差し伸べる
「私と友達になってくれないか?色んな場所へ行って色んなものを見て
おいしいものを食べて……沢山泣いた分、沢山笑おう。
君には幸せになる権利がある。それがお母さんが君に望む事だと思う。」
ゼラの引きはがしと破壊は他の人に任せる、後は頼んだ。


ジェラルド・ボノムドネージュ
己の欲望の為に死者の尊厳を弄り、生者の心をつけ込んだ
オブリビオン……貴様の犯した悪行を大きい
その報いを受けねばならない

大鎌が武器か……心做しか武器に振り回されているようにも見えるな。
……大鎌を狙えば、大きな隙を晒すかも知れないな。
鋭く尖った氷塊を【2回攻撃】で投擲し、【武器落とし】を狙おう。
「これで終いだ。得物も、貴様自身も」

他の猟兵に気を取られている、或いは戦意を鈍らせている状態ならば、
【地形の利用】をしながら、【目立たない】ように【忍び足】で移動し、
ピティエクトーを構え、死角から飛び出しユーベルコードを発動。
超高速かつ大威力の一撃を放ち、羽織っている黒衣を削ろう。
「自業自得だ……!」


橘・焔
○心情
アルマさんが纏っている黒衣、アレが「ゼラの死髪黒衣」
待ってて、今助け出すから…

【POWで勝負】
まずあの黒衣をアルマさん本体から引き剥がさないとアルマの命も危ない
彼女が“本当の家族の想い”にさえ気付いてくれれば…

「アルマさん、目を醒まして。貴女の家族は貴女の死なんて望んでない!」
子どもの幸せを願わない母親なんていない…、いないんだよ
不遇の運命で母を喪った自分にも言い聞かせるよう、“真の姿”を解放
※真の姿:黒髪は美しい銀色に、真紅の瞳は虹色の輝きを帯びる

アルマの慟哭を敢えてその身で受けつつ、同じ力で真っ向から撃ち合う
「貴女の悲劇を、此処で止める!『時よ止まれ、汝はいかにも美しい』!!」




 ゼラは猟兵たちの接近を許さず、悲痛な叫び声を伴う衝撃波が猟兵たちを襲い、眷属のコウモリたちもその進路を阻むために命を投げ出す。
 押し寄せる波動に耐えながら、橘・焔はアルマに声をかけ続けた。
「アルマさん、目を醒まして。あなたの家族はあなたの死なんて望んでない!」
 焔と同じように衝撃に耐えていたミアズマ・フォルテだったが、武器をしまう姿が焔の視界の端に映った。
 無防備な姿をさらして歩み寄ろうとするミアズマに気づき、ゼラは怪訝な表情を向けた。
「ゼラとひとつになって世界を壊せば、確かに君は悲しみからは解放される。でもそれは同時に――」
 説得に傾注するミアズマに対し、ゼラは容赦なく眷属を差し向ける。
「――他の人すべてに、君と同じ悲しみを押し付けることになるんだ」
 攻撃をする素振りを見せず、コウモリたちに無数の噛み傷を刻まれながらも説得を続けるミアズマ。その姿を見兼ねて、彼岸花・司狼はコウモリを追い払おうと行動を起こした。
 司狼によって封印を解かれた刀は狼の群れを生み出し、コウモリたちはミアズマの周囲から一掃されていく。同時に司狼は狼たちをゼラへ向かわせ、その牙で黒衣を引き裂いていく。
 ――所詮死んだ人がどう思うかなんて、生きてる人間の想像でしかないさ。
 達観した考えを持つ司狼は、どこか冷淡に目的を達成しようと動いていた。
 ゼラは牙を立てる狼と黒衣を引き合ったが、やがて大鎌のひと振りが群がる狼たちを振り払う。
 ジェラルド・ボノムドネージュは冷静な行動を心掛け、大鎌を振りさばくゼラの動きを見極めようとする。一方、ミアズマは心身を削ることを厭わず、アルマに直接手を差し伸べることをあきらめない。
 幾度となくゼラが放つ攻撃とぶつかってきたミアズマは、「近寄らないで!」というゼラの金切り声と共に発生した衝撃波を受け、体が悲鳴をあげ始めるのを感じていた。
 よろけながらも一歩も引かないミアズマを見たゼラの表情は、別人に変わったように見えた。
「どうして、そこまでするの?」
 アルマが表に現れているのか、少女らしい戸惑った表情でミアズマに問いかけた。
「君には幸せになる権利がある。それがお母さんが君に望む事だと思う。だから――」
 ひたすらアルマの心に寄り添おうとする姿勢を崩さないミアズマは続けた。
「私と友達になってくれないか?」
 そう言って差し出されたミアズマの手を、アルマは黙って見つめていた。
「色んな場所へ行って色んなものを見て、おいしいものを食べて……沢山泣いた分、沢山笑おう――」
 ミアズマが見たアルマの目に光った涙は、決して見間違いではなかったようだが、
「どうしてなの!?アルマ」
 再びゼラが表に現れ、表情を一変させながら怒鳴り散らした。
「私を裏切るの!? 今までずっとあなたのそばにいてあげたのに……こんな奴ら、あなたには全然相応しくないわ!!」
 主導権を握るゼラはミアズマに対し、苛立ちに任せて大鎌を振り下ろそうとした。
 ツララのように尖った氷塊を生み出したジェラルドは、その瞬間を狙ってゼラへと射出した。手元を狙われたゼラは「ぎゃっ!?」と悲鳴をあげ、ミアズマを狙った攻撃は大きくそれた。
 アルマの心を引き寄せられず焦るゼラに対し、ジェラルドは言い放った。
「自業自得だ……!」
 ――己の欲望の為に死者の尊厳を弄り、生者の心につけ込んだ報いを受けるがいい。
 ゼラは怒りの形相を向け、ジェラルドに一矢報いようと大鎌を構えたが、綿津見神・禮はゼラをけん制するために指揮刀を振り向けた。残像を見せるほどの禮のスピードに、迎え撃とうとしたゼラの目は思わず眩む。宙を自在に泳ぎ回る禮は、思わぬ瞬間に身を翻して後退し、目の前に水の塊をあふれさせた。禮が生み出した水は竜の頭を形作り、ゼラが反応する間もなくその上半身に大口を開けて噛みついた。水の竜に襲いかかられた瞬間、水中に没するのと変わらない状態でもがくゼラ。
 焔は水に覆われていない部分の裾を必死に引っ張り、黒衣を取り去ろうとしたが、危うくコウモリたちに囲まれそうになる。水の竜を食むコウモリたちにより、竜は水風船のように破裂して飛び散った。
 水中から脱したゼラは大きく息を吸い込み、その場に膝をつきながらも衝撃波を放った。猟兵たちを間合いから押し出し、ボロボロになった黒衣を握り締める少女の表情を見つめ、禮は言った。
「それが望みなのですか?」
 その表情に迷いを覗かせるアルマに対し、禮は畳み掛ける。
「吸血鬼となって、悲しみの世界を生み出し続けることが望みだと?」
 「違うでしょう?アルマ」と言いかけたところで、禮の目の前を黒い一群が覆い尽くした。
 押し寄せるコウモリたちを前にして、焔は真の姿を解放していく。髪の色は銀へと変化し、両目にも虹色の輝きが現れ始める。
 ――子どもの幸せを願わない母親なんていない……、いないんだよ。
 不遇の運命で母を失った自身にも言い聞かせるように、焔は心中でつぶやいた。
 焔たちがゼラの姿を視界から遮るコウモリの群れを振り払う中で、蘭・七結はゼラに向けて拘束具を放った。銀の枷と結び縄がゼラの四肢を捕らえ、七結は抵抗するゼラの動きを押さえ込んでつぶやいた。
「あなたの苦しみも悲しみも、ナユにはわからないけれど……。それでも、ソレには縋ってはいけないわ」
 拘束を解こうと身をよじるゼラの前に、短剣を構えたジェラルドは飛び出す。短剣をさばくジェラルドは、片方の袖だけを残してアルマから黒衣をはぎ取ってみせた。その直後にアルマは倒れ込み、気を失ったように反応しなくなる。
「ああ……! なんて使えない子なのかしら!」
 浮遊するばかりの黒衣だけの状態になっても、悪態をつくゼラ。その間にも、焔の頭上には無数の光の十字架が展開され、
「あなたの悲劇を、此処で止める! 『時よ止まれ、汝はいかにも美しい』!!」
 焔は黒衣に向けて十字架を降り注がせ、たちまちゼラの黒衣は原型を留めないほどに穴だらけとなった。
 アルマに残された袖の切れ端を含め、ゼラの黒衣は骸の海への排出を促され、崩壊を始めて散り散りになっていく。
「また、お前たちの……未来、を……奪いに――」
 未練がましい一言を残して、ゼラは猟兵たちの前から消滅した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『墓地を再び綺麗な姿に』

POW   :    墓石や獣除けの塀に使う材料を調達。力仕事を頑張ろう。

SPD   :    壊れたり汚れた墓地を綺麗な場所に整えよう。匠の技を示そう。

WIZ   :    死者が眠るに相応しい土地に霊的に改善しよう。見えざる力にその手を伸ばそう。

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 目立った外傷自体はないが、地面に横たわったままのアルマの顔色は、あまりいいとは言えない。その顔を覗き込めば、両目が薄く開かれる瞬間に気づくだろう――。
橘・焔
○心境
…今はまだ気持ちの整理がつかないかもしれないけど
貴女のペースで、一歩一歩歩み直せば良いと思う
今の貴女には、それが出来る“自由”があるんだから…

【SPD】で勝負
「…色々と騒がせちゃったから、ゴメンねの意味も込めて」
「…でもほら、私まだ子どもだし、墓石を動かすとかは流石に…ね?」
アレだけ派手に死霊とか叩き潰しておきながら今更、ではあるが…

目醒めたアルマが佇む近くの墓石の前に屈んで汚れを綺麗な布で丁寧に拭いつつ
「…このお墓一つ一つにもさ、人々の色んな思いが詰まってるんだよね」
感謝、安寧、困惑、後悔、怒り…
色んな想いを含んで、死者への鎮魂の場である墓所は静かな場所であって欲しいね
「R.I.P…」


ミーナ・ヴァンスタイン
横たわるアルマに近づき【生まれながらの光】を使用します。
「大丈夫、いま治療するわ」
少女の顔色が良くなっていくのを見て
「無事でよかったわ」

回復が終わり次第、荒れた墓地に対しても【生まれながらの光】を使用したり、片づけを行います。
「あとはあの人たちも癒してあげないといけないわね」
「死とは静寂でなければいけないの……誰もその眠りを妨げてはならないわ」

みんなと話をしているアルマの様子を見て、微笑み
「もう大丈夫みたいね」
ふと視線をそらして
「……あなたの心残りも少しは晴れたかしら?」

村を去る時に、静かに振り返り祈りを捧げます。
『主よ、永遠の安息を――せめて、これからは安らかに』


蘭・七結
無事にアルマを取り戻せてよかったわ。
アルマが眠っているうちに全て終わらせてしまいましょう。
アルマのお母様も、他の魂たちも、安らかに眠れますよう…そう祈りながら片付けをするわ。

全ての片付けを終えたあと。
なにか手向けの花を用意出来ればいいのだけど…。
せめてもの気持ち込め、【紅恋華】を使用。
血の滲まない〝純粋なアネモネ〟を降らせるわ。
『あかいアネモネの花言葉は〝あなたを愛す〟…おやすみなさい。良い夢を。』
地面につけば消えてしまう、一瞬のものだけど…。
あなたたちが安らかに眠れるよう、餞を。


ミアズマ・フォルテ
SPD重視

うまくいったとは言え我が事ながら結構無茶してしまった、
フォローしてくれた他の猟兵に頭を下げてしっかり感謝を伝えておこう。

アルマは無理に起こさず、まず墓地の手入れを先に済ませる
匠の技と言われてもなぁ……私にできるのは墓地の掃除と
旅団から持ってきた色とりどりの花を供えて祈りを捧げることぐらいだ。
素人が手を出して墓地を壊すわけにはいくまい
「どうか安らかに」

最後に、アルマが目を覚ましたら改めて手を差し出そう。
出来れば他のみんなと一緒に。
「私の名前はミアズマ・フォルテ。君の名前を教えてくれないか?」



 ――無事にアルマを取り戻せてよかったわ。
 アルマの無事を確かめた蘭・七結は、アルマが目を覚ます前に済ませようと、戦闘で荒れた場所を綺麗にするため、作業に取り掛かる。
「お陰様で助かったよ。我が事ながら、結構無茶をしてしまった」
 共に戦った猟兵たちに礼を伝えるミアズマ・フォルテは、旅団で育てた色とりどりの花を墓前に供えるために抱えていた。
 死者が眠る地で派手に暴れたことに申し訳ない気持ちを抱いていた橘・焔は、
「……色々と騒がせちゃったから、ゴメンねの意味も込めて」
 掃除を始める面々の中に加わる。
 感謝、安寧、困惑、後悔、怒り――この場所に訪れる人々の思いを想像しながら、焔は死者の安らぎを願って掃除に精を出した。
 ――色んな想いを含んで、死者への鎮魂の場である墓所は静かな場所であって欲しいね。
 経年劣化からできた墓石のヒビをじっと見つめていた焔は、「墓石は大体大丈夫かな」と安堵してつぶやいた。
「私まだ子どもだし、墓石を動かすとかは流石に……ね?」

「大丈夫、いま治療するわ」
 ミーナ・ヴァーンスタインは自らが発散させる聖なる光でアルマを照らし、癒しの力を送り込んでいく。回復を示すように、蒼白だったアルマの顔色は徐々に生気を取り戻していく。その様子を眺めるミーナは、「無事でよかったわ」と改めてつぶやいた。
「あとはあの人たちも癒してあげないといけないわね」
 そう言って多くの墓石が広がる方面に体を向けるミーナ。
 両手を組んで祈りを捧げる動作と共に、ミーナを中心にして墓地全体に広がる光は一瞬にして発散され、淀んでいた墓地の空気がどこか清々しいものに変わったようだった。
「死とは静寂でなければいけないの……誰もその眠りを妨げてはならないわ」
 きらめく輝きが墓地に降り注ぐ間にも、ミアズマは周囲の墓石の1つ1つに花を供え、「どうか安らかに」と祈りを込める。
(「あかいアネモネの花言葉は〝あなたを愛す〟……おやすみなさい。これからは良い夢を」)
 七結はそんな思いを込めて、自身のユーベルコードから赤いアネモネを生み出した。宙をふわりと漂う花々が墓地に降り注ぎ、徐々に半透明へと変わる花は、地面に着く頃には消えていく。
「綺麗……」
 不意に目を覚ましたアルマは上半身を起こし、宙を漂う赤いアネモネを見上げてつぶやいた。
「……このお墓一つ一つにもさ、人々の色んな思いが詰まってるんだよね」
 アルマは母親の墓石の汚れを拭う焔に気づき、その姿を顧みる。
 アルマの視線に気づいた焔は、出し抜けに言った。
「……何かに縋りたい気持ち、わかるよ」
 母親の墓を見て涙ぐむアルマに対し、焔は続ける。
「もうあなたは”自由”なんだから、一歩一歩歩み直せばいいと思うよ」

「私の名前はミアズマ・フォルテ――」
 アルマはミアズマの声に対し、はっとして振り返る。
「君の名前を教えてくれないか?」
「私は――」
 アルマはミアズマを真っ直ぐに見つめ、涙声にならないように堪えながら、
「悲しみで自分のやりたいことも見失っていた……けど、あなたたちのお陰で思い出すことができました」
 そして、名前を尋ねたアルマに笑顔で応えた。
「私の名前は――」
 ミアズマと話すアルマの姿を見守るミーナは、笑みを浮かべながらつぶやいた。
「もう大丈夫みたいね」
 2人から逸らされたミーナの視線は、アルマの母親の墓石に向けられる。
「……あなたの心残りも少しは晴れたかしら?」

「母が死んで、ひとりで生きていくことから逃げてしまいたかったけど――」
 少女は母の墓前に誓いを立てる。
「母の娘として生きていかなきゃ。私は母が生きていた証だから」
 その小さな背中にそっと手を置くミアズマは言った。
「――よく決意した、がんばったな」
 ミアズマのその一言で、アルマは抑えていた涙をあふれさせる。ミアズマの腕の中にくずおれたアルマは、涙を枯らす勢いで泣き続けた。
 少女のもとを去る猟兵たちは、少女が安らかな日々を送ることを心から願った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月13日


挿絵イラスト