バトルオブフラワーズ⑩〜心震わせる戦いを
キマイラフューチャーの中枢『システム・フラワーズ』。
世界をぱっかんと割る、という豪快なメンテナンスルートを通り、6つの『ザ・ステージ』を越えた灼滅者達は、ついにそこへと到達していた。
「第2の関門として立ちはだかるのは、カワイイ怪人『ラビットバニー』」
九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は猟兵達へにっと笑って見せる。
システム・フラワーズの内部の「咲き乱れる花々の足場」は、ラビットバニーに集中しているため、彼女を倒さないと先には進めない。
同時に1体しか存在しないが、オブリビオンゆえに倒してもまた別の場所に復活する。
とはいえ、短い期間に一定以上の数を倒せば、復活は不可能。
「まずは1体、確実に倒していこうか」
ラビットバニーが現れる地点までの案内は任せてくれと夏梅は口の端を上げた。
しかし、その表情を少しだけ曇らせて。
「ただ、ラビットバニーは『絶対無敵バリア』に覆われてる。
これがある限り、ありとあらゆる攻撃が一切効かないようでね」
どんな矛でも貫けない盾。
最強能力だが、それゆえに、使用には制限がある。
「ラビットバニーが『エモい』ものを目撃すると一時的に解除されるらしい。
……って聞いたんだが、『エモい』って何だい?」
首を傾げる夏梅に、猟兵達はどう説明したものかと顔を見合わせた。
定義が結構ゆるゆるの言葉だからなのですが。
それと同様に、ラビットバニーの『エモい』基準もかなりゆるく。
どんな方向性であれ、SNS映えするようなものは大抵が『エモい』ようだ。
対策は必須だけれども、さほど難しいものではない。
とはいえ、バリアがなくともラビットバニーは相当の実力者。
バリア解除だけで倒せる相手ではないのも確かだから。
「油断は禁物。気を引き締めて行っとくれ」
任せたよ、と夏梅は笑うと猟兵達へと道を示した。
佐和
こんにちは。サワです。
15年くらい前の「エモい」は「助平で気持ち悪い人」というような意味だったそうです。
日本語の変化ってすごいですね。
ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
それでは、エモい戦いを、どうぞ。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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赤星・緋色
へいへーい、何か出てきたねボスっぽい奴!
何か強いらしいし雑にがんばろっと
エモいのやればいいんでしょ?
SNS映えするのとかだったらやっぱりコレ!
『踊ってみた』系だね
スカイダンサーのパフォーマンスを見せてあげる
ワイヤーアクションみたいな吊りものじゃない、スカイステッパーを使った完全な空中パフォーマンスだよ
更にガジェットの魔導蒸気を使っての空中軌道修正も使ったオリジナル
他の人に出来ないものをやった方が刺さるんだって、私知ってる
バリアが解けたら空中からの落下攻撃を仕掛けるよ
相手は攻撃する時に目が光るっぽいし、目が光る瞬間に気を付けて見切り回避で空中に離脱しよ
カンフーじゃ空中の相手に攻撃できないしね
そこは『システム・フラワーズ』の名の通り、花々が咲き乱れていた。
綺麗な花が連なって作り上げた足場こそが先へ進む道であり。
ラビットバニーが待ち構える場所でもある。
「へいへーい、何か出てきたねボスっぽい奴!」
赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)の軽い口調に、キマイラフューチャーの街中で見たことがあるウサギのお面が振り返った。
やたらでっかい胸と、肩に担いだやたらでっかい赤べこも緋色に向けて。
様子を伺うように立ち尽くすその姿は、『絶対無敵バリア』に覆われている。
見えないけど。
ただ攻撃しても全てを無効化されてしまう、最強の盾。
そして、そのバリアを解くには。
(「エモいのやればいいんでしょ?」)
にっと笑った緋色は、地面を蹴って跳び上がった。
ふわりと浮かんだ身体が落ちるより早く、また蹴るのは、今度は空中。
そのまま宙を駆けあがるように蹴り上がりながら、縦に横にとくるくる回り踊る。
「ワイヤーアクション!?
……じゃない!? ワイヤーなしで浮いてるの!?」
驚くラビットバニーが見上げる前で、緋色が魅せるスカイダンス。
途中で、よいしょっとガジェットを取り出し、魔導蒸気で派手に軌道修正してみたり。
歯車パーツがついた帽子を、歯車で動いているかのように見せながら、回転した拍子に赤頭から落とすと、ラビットバニーの目前で空中キャッチしてみたり。
緋色だからこそ出来るオリジナル。
誰かの真似ではない、唯一無二が刺さるのだと、緋色は知っているから。
SNS映えを意識しながら、空中を縦横無尽に舞っていく。
「マジすごいんですけど……これエモくない?」
ラビットバニーは上を向いたまま、緋色に視線が釘付けで。
これならバリアは消えただろうと、緋色はガジェットで軌道を変えた。
落ちてくる緋色を、次は何を見せてくれるのかとラビットバニーは思わず見つめてしまうけれども、繰り出されたのはダンスではなく攻撃。
落下速度も威力に変え、魅せるためではなく倒す為に繰り出された蹴り足は、大きくラビットバニーを吹き飛ばした。
それでもさすがに倒れることはなく、踏みとどまったラビットバニーは、ウサギのお面の両目を光らせて緋色を睨みやり。
超スピードで繰り出される、うさちゃんカンフー。
鋭い一撃を喰らいつつも、その光から攻撃を読んでいた緋色は、追撃から逃れるべくすぐに花の足場を蹴って。
花弁と共にひらりとまた空中へ舞い上がる。
「カンフーじゃ、空中の相手に攻撃できないでしょ?」
今度は魅せるためではなく避けるために、緋色は空を舞い踊り、笑った。
成功
🔵🔵🔴
マユラ・エリアル
エモい…エモいって何だろうな…
分からない、全然分からないんだ…
●行動
そうだな…エモいというのはよく分からんが、私はこのドレスはお気に入りだ
だからこのドレスを自慢してみよう
くるりくるりとドレスの裾を広げる様にその場でターン
魅せ付けるように自慢するように軽く踊るぞ
●戦闘
左手に持つエレメンタルロッド『Shadow of the Earth』を雪の結晶で出来た花びらに変換
花には花で対抗だ
まずは自身の周りを舞わせてドレスのエモさ演出アップに使用
そして相手のバリアが解除されたら一気に雪の花びらで攻撃だ
ドレスも自慢だが、この雪華も私の自慢の1つだ
これも良い物だろう?
さあ、スタイリッシュにキメようじゃないか
「エモい……エモいって何だろうな……」
緋色が空けたその場所へ、マユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)は考え込むような仕草で歩み寄った。
正直、何のことだか全然分からない。
でもとりあえず、美しいものもエモいものだと聞いてはきたから。
マユラはラビットバニーの前で立ち止まる。
「自慢のドレスを見てもらえないか?」
くるりとその場でターンして見せるのは、身に纏ったお気に入りのドレス。
基調とする青に、紋章を描く金色の刺繍が映え。
ふわりと広がるロングスカートの裾や胸元に、細かな刺繍が施された大き目のフリルがあしらわれた、華やかなボリュームのあるデザインだが。
そのスカートの全面は大きく開かれ、細く美しいマユラの足を存分に見せていた。
赤い宝石を埋め込んだ青いシューズも。
細い足首に巻かれた青いリボンも。
白い太腿を強調する青ベルトと白いフリルのガーターも。
その美脚を含めてのドレスと言わんばかりの完成度と美しさを魅せる。
さらに、左手のShadow of the Earthを掲げると。
杖は無数の雪の結晶の花弁へと姿を変える。
マユラの瞳と同じ青色のドレスの周囲を舞う、雪の花。
くるりくるりと踊って見せれば、キラキラと光を乱反射する花弁と共に、マユラの銀髪も揺れる度に煌めいて。
「これアレっしょ? 雪の女王ってヤツ!」
ラビットバニーは食い入るように雪の舞いを見つめていた。
どこか冷たく見える無表情も、色を失ったような白い肌も、銀髪も青瞳も、マユラの全てがそのドレスをより綺麗に魅せる為にあるように思えて。
マユラだからこその美しさに、ラビットバニーは目を奪われていく。
最後にくるり、とスカートを広げてから、動きを止め一礼したマユラは。
「さあ、スタイリッシュにキメようじゃないか」
周囲を漂う雪の花にそっと手を添える。
「吹雪の刃よ、全てを切り刻め!」
演出を担っていた雪の結晶の花弁は、一転してラビットバニーへと襲い掛かった。
「ドレスも自慢だが、この雪華も私の自慢の1つだ」
どちらも良い物だろう? と微かな笑みを向けるマユラ。
「それなら、あーしも自慢してやるし!」
ラビットバニーも手を広げると、足場の花を操作して、マユラの動きを封じにかかる。
花には花を、というように、雪の花がそれを阻止すべく向けられると。
色とりどりの花弁と、白く輝く花弁が、互いに舞い散り空へと舞い上がって。
「美しい……これがエモいということなのだろうか?」
マユラは、花に囲まれながらそれを見上げ、呟いた。
成功
🔵🔵🔴
天星・零
シャオさん、ヘスティアさんと連携
『作戦ですか‥では料理などいかがでしょう?準備するので、あっヘスティアさんも手伝ってください』
ハート型のバンズに中身は甘さ控え目にした生クリームとイチゴ、キウイ、バナナ、パイナップルなど細かく切った新鮮なフルーツをミルフィーユ状に交互に重ね
ソースとしてラズベリーソースを加えて完成
(かける場所は中身の一番上
かけるときは格子状に
敵のwizは足元に武器グレイヴ・ロウを自身の足元から出現させて階段のように並べて墓石の上に立つことで回避
『舞台も舞台ですし楽しく戦いましょう』
万が一に備え【第六感】、指定UC戦況を把握しながら、敵の苦手な角度から【フェイント】も入れつつ攻撃力
ヘスティア・イクテュス
シャオ、零と連携
エモいが良く分からないから零、作戦は任せたわ
フルーツのハンバーガ、面白いわね
この位ならわたしでも手伝えるわ、じゃあ零作るわよ!
因みに時間稼ぎしてるシャオの応援(邪魔)に後ろから苺を適当に投げるわ
ほら、シャオ、餌よ。ガンバリナサイ
完成した料理はシャオにどんどん食べさせるわ
ほら、ラビットバニー貴方もどう?
さぁ、そんなことしてる間にバリアが解除されたわね
花の足場は飛んで回避、丸ごと丸焼きパーティといきましょうか!
焼いたウサギ肉、シャオ、食べる?
シャオ・フィルナート
零さん、ヘスティアさんと連携
零さんの準備中は時間稼ぎも兼ねて
水、氷の【属性、範囲攻撃】+★氷麗ノ剣で
遠距離から水の放出、足場を凍らせ足止め狙い
敵の攻撃は【暗殺】技術の素早さと反射神経で回避or武器受け
苺は器用に口キャッチ
…俺…犬じゃない……(むぅ)
完成した料理をじっと見つめ
…別に…欲しいなんて、言ってないし…
と口では言い無表情も崩さず
目線だけでおねだり
食べ物は両手で受け取り
瞳を子供のように輝かせながらちまちま食べる
餌付けされ中は素直
両手を差し出しても貰えなかったら一瞬思考
相手の腕に両手で掴まり
少し背伸びをし手から直接もぐもぐ
ん…美味しい…
…あれ……隙有り?【UC:氷の竜巻】
※苺好きだが少食
「エモいが良く分からないから、零、作戦は任せたわ」
「作戦ですか……では料理などいかがでしょう?」
ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)に一任された天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)が提案したのは、フルーツのハンバーガー作り。
可愛いハート型の小さ目バンズをベースにして。
真っ白い生クリームの上に並べていくのは、イチゴにキウイ、バナナ、パイナップルといった色とりどりの新鮮フルーツ。
ミルフィーユのように交互に重ねたら、一番上に鮮やかなラズベリーソースで格子模様を描き出し、最後のバンズは中身が見えるように、立てかけるように飾り置きすれば。
「面白いわね。この位ならわたしでも手伝えるわ。
じゃあ零、作るわよ!」
「はい、ヘスティアさん。お手伝いお願いします」
手際の良い料理男子がお姉さんに教えながら作る可愛いフルーツハンバーガー。
「美少年のクッキング教室とかエモいんですけど!」
作り出す写真映えするスイーツもですが、その制作過程にまでラビットバニーが悶えていたりします。
とはいえ、料理中は無防備なので。
「時間稼ぎ、する……」
ぽつりと告げたシャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は、空気中の水分から氷麗ノ剣を作り出し、振るった。
生み出されるのは水。それはすぐさま氷となり。
ラビットバニーの足元を、咲き誇る花ごと凍り付かせる。
足止めをかけておいてから、素早く近づき、斬りつけて。
応戦するラビットバニーの拳を避け、受けながらも切り結んでいく。
そこに、ぽんっと飛んでくる、半分に切ったイチゴ。
「ほら、シャオ、餌よ。ガンバリナサイ」
イチゴ好きでしょ? と適当に投げ込んだヘスティアの声に、シャオは反射的にぱくっと受け取って。
「口で受け止めたし!」
「……俺……犬じゃない……」
「むくれてるし!」
シャオは不機嫌ですが、どうやらエモい光景にはなったようです。
そうこうするうちに、零の前にとても綺麗な、ヘスティアの前に少し崩れたフルーツハンバーガーが並ぶ。
「シャオ、出来たわよ」
「……別に……欲しいなんて、言ってないし……」
ヘスティアの声掛けに、シャオは無表情のまま素っ気なく言うけれども。
その藍色の瞳はじっとハンバーガーへと向けられていて。
無言のおねだりに微笑んだ零は、飾り置きしていたバンズも重ねて、どうぞ、とシャオにハンバーガーを差し出した。
ためらうことなくシャオの繊手が受け取りました。
小さめのハンバーガーを小さな両手で持ち、小さな口で少しずつ食べ進めるシャオは相変わらず無表情だけれども、瞳は子供のように輝いています。
「これハムスターっしょ!」
「ラビットバニー。貴方もどう?」
勧められてラビットバニーもフルーツハンバーガーを受け取る。
甘さ控えめの生クリームに、細かいフルーツの食感が十色に重なり、ラズベリーソースの酸味がきゅっと味を引き締めていた。
その美味しさを知ってしまえば、ちまちま食べるシャオが更に可愛く見えます。
味に光景に、ラビットバニーが和んでいると。
「さぁ! 丸ごと丸焼きパーティといきましょうか!」
ヘスティアの声と共に、マイクロミサイルが放たれた。
「焼いたウサギ肉、シャオ、食べる?」
「俺、少食だから……」
軽口に、今はハンバーガーがいいと答えながら、シャオはじっと着弾点を見つめる。
炎と爆発の最中にラビットバニーの姿は一旦消えていたけれども。
その中から、爆炎を切り裂いて、数条のビームが放たれた。
それは、ヘスティアの足元に着弾し、外れたかに見えたけれども。
途端、足場にしていた花々が、花を茎を葉を伸ばしてヘスティアを捕えんとする。
間一髪、ヘスティアは、妖精の羽のように白いティターニアを広げ、宙へ舞った。
捕らえる相手を失った花は、そのまま近くにいた零にもその葉を伸ばす。
しかし、超記憶の叡智と飽くなき探求で油断なく戦況を把握していた零は、落ち着いて自身の足元からグレイヴ・ロウを出現させた。
「舞台も舞台ですし楽しく戦いましょう」
花々を突き破り、盛り上がった十字架の墓石は、零を持ち上げ守るけれども。
「それくらいで逃げられるわけなくない?」
今度はラビットバニー自身が爆炎を抜け出て、兎面の目を光らせながらグレイヴ・ロウを駆け上り、一瞬にして零の目前に迫る。
掌打の連撃からくるりと身を翻すと、その手にはいつの間にか杖が握られていて。
大きく回転しながら叩きつけられた杖に、零の身体が大きく吹き飛ばされた。
「……っ!?」
「零!」
ゴールドとワインレッドの瞳が苦痛に歪むのを見て、ヘスティアが慌てて援護に向かおうとティターニアを制御するが。
「空に居れば安全、なんてわけもなくない?」
兎面の下でラビットバニーがにやりと笑った気がした。
グレイヴ・ロウの一番高い場所へと駆け上り、飛ぶと。
立てて置いた状を足場にもう1段跳び上がる。
ヘスティアが気付いた時には、ラビットバニーの光る目が目前に迫っていて。
空中で鋭い蹴りを受けたヘスティアは、身体を大きく折り曲げ、悲鳴すら上げられぬままに墜落した。
「ふふん。こんなもんっしょ」
どこか自慢気に、花の足場へ着地するラビットバニー。
ふと、残っていたフルーツハンバーガーに気付いて手に取り、食べようとすると。
そこに、やっと先ほどの1つを食べ終わったらしいシャオが、両手を伸ばしてきた。
「…………」
無言のまま、無表情で、ラビットバニーを見つめるシャオ。
その繊手は、輝くように白く、壊れそうなほどにか細く。
藍色の瞳は、懇願するように潤んで煌めいていた。
「…………」
思わずラビットバニーも無言になり、硬直してしまう。
その様子にシャオは少し考えて。
伸ばしていた両手でラビットバニーの腕に掴まると、引き寄せながら背伸びをして、その手にあるハンバーガーに直接かじりついた。
「ん……美味しい……」
「餌付け体験!」
シャオに掴まれているのとは反対の手をぶんぶん振り回して、悶えるように喜ぶラビットバニー。
シャオは夢中でハンバーガーを食べ続けていたけれども。
ふと、気付く。
「……あれ………隙有り?」
こくんと首を傾げると、藍色の髪がさらりと揺れて。
「凍てつけ……」
巻き起こった氷の竜巻がラビットバニーを飲み込んでいく。
尚、食べかけのフルーツハンバーガーは、ちゃっかりとシャオの手に移っていました。
苦戦
🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
アイン・ローレンス
【WIZ】
エモ…?
取り敢えず楽しんでもらえば良いんですかね…
では水霊の舞をご覧頂きましょう!
「水霊の戯れ」で水霊と一緒に楽しく、美しく舞ってみせましょう
ついでに「おはなハッキング」対策に足場の花に水を含ませ出来るだけ重たくしておきます
水溜まりを自分の足元に1つ、周りに円になるように5つ配置
まずはくるくる跳ね回るように水の魚を操る
興味を引けたら噴水の様に水柱をあげ、自分の周りに渦を巻く
徐々に大きくしていき自分の体を覆い隠す
【全力魔法、属性攻撃、2回攻撃、範囲攻撃】
見えないところで特大の水流弾を練り上げ、バリアが解除されたら発射し【吹き飛ばす】
【第六感、見切り】で無事な足場に移動し畳み掛ける
氷の竜巻から逃れたラビットバニーが見たのは、舞い踊るアイン・ローレンス(気の向くままに・f01107)の姿だった。
(「取り敢えず楽しんでもらえば良いんですかね……」)
やはり『エモい』がよく分からないアインだったけれども、とりあえずそういうことだろうと解釈して。
生み出した水溜まりの上でくるりと回る。
長い銀の髪を煌めかせ、左目と同じ新緑を思わせるマントをふわりと広げ、瑞々しい枝をそのまま手にしたような生命の杖を振って。
動きに合わせて、冷たい水流弾が5つ、周囲へと飛ぶ。
それはアインを中心に、円となるように着弾し。
そこでも右目のように青く煌めく水溜まりを作り出すと、水の魚が跳ねた。
魚は数度跳ねてから、今度は空中を泳ぐようにその動きを変えて。
泳いで、跳ねて、アインの周囲をくるくると回る。
「これってアクアリウムっしょ?」
ラビットバニーの興味を引けたのを確認して。
アインはにっこりと微笑みながら、小さく膝を折ってふわりと礼を送ると。
大きく、杖を掲げた。
応えるように、5つの水溜まりから水柱が上がる。
噴水のように魅せる水の間を、水の魚達がこれまで以上のスピードで縫い泳ぎ。
ゆらりゆらりと揺らめく水柱の中に取り込まれていくと。
柱は徐々に渦となり、5つが1つとなり、アインの姿が隠されていく。
さあ次はどうなるのかと、食い入るように見つめるラビットバニーへ。
飛んできたのは特大の水流弾。
「ちょっ、待っ……」
驚く間もなく水に飲み込まれたラビットバニーだけれども。
咄嗟に指先からシステム・フラワーズ制御ビームを放ち、足元の花々でアインを捕えて追撃を防ごうとする。
しかし、花々は水を含まされて重くなっており。
コントロールに従いアインに向かおうとするけれども、その動きは鈍く、簡単に避けられると共にさらに水で抑えられてしまった。
念のためにと動いた花々から離れた場所へ移動したアインは、そこにも水溜まりを作り上げ、再び大きな大きな水流弾を練り上げると。
「さあ、冷たい水と踊りましょう」
周囲を泳ぐ水の魚達と共に躍るようにくるりと回り、湖と新緑の瞳を楽し気に細めて、ラビットバニーを押し流した。
成功
🔵🔵🔴
プリンセラ・プリンセス
SPD
【マリア・ルート】様と連携プレイング
うさちゃんカンフーにはオーラ防御、武器受け、戦闘知識、第六感、鏡像召喚で対応。
ある程度回避したところで人格の主導権が急にプリンセラに渡り攻撃を受けてしまう。
「なぜ……! 兄様!」
呼びかけど返答はない。どの兄姉を呼んでも返答はない。
人格を呼び出せない自分に戦闘能力はない。
だが、それでも目の前に敵がいる。
急に重くなった剣を両手で必死に持ち、型も何もなく重さに任せて振り下ろす。
反撃されても立ち上がる。今の自分にはそれしかないのだから。
「オブリビオン討伐や祖国復興が、本当に私のやりたい事ではなかったとしても、今は、今はそれでも!」
無力感に負けるわけにはいかない
マリア・ルート
【プリンセラ・プリンセス(f01272)】と連携。プリンセラの攻撃を援護射撃する方針だけど、プリンセラに異変が生じたら攻撃を止めて手を取ってあげる。プリンセラは気をつかって自分で頑張ろうとするでしょう。それが、私にはアイツが頑張りすぎる姿に思えて――
「ったく――仕方ないわね」
銃を捨て、【創造:生成志向】発動。自分用の、プリンセラの剣を複製。「私も姫だから、わかんなくもないのよね、あんたの思い。だからこそ、一人で抱えるもんじゃないわよ。――ま、私が言うセリフでもないけど」
「ワイルドハント【殲滅担当】マリア・ルート。あんたを討滅する二つの嵐の、片方よ」
プリンセラにこちらが合わせるように攻撃。
水流に流された先にいたのは、プリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)とマリア・ルート(黒き面影に囚われし根源姫・f15057)。
びしょ濡れのラビットバニーと邂逅するなり、戦闘が始まった。
プリンセラは、姫君らしく華奢で小柄な身体で、白磁の肌に金糸の髪を揺らし、純白のドレスをふわりとひるがえすと。
姫君らしからぬ大剣を力強く振るい、青い瞳に鋭い光を宿してラビットバニーに迫る。
兎面の目を光らせながら繰り出される掌打を、拳打を、蹴打を。
剣で受け、体捌きで交わし、動きを読んでカウンターを繰り出していった。
そんなプリンセラの剣と攻撃を重ねるように、時にはラビットバニーのうさちゃんカンフーの出鼻をくじくように、マリアはルートライフルの銃弾を撃ち込み。
静かに戦況を見極めながら、的確な援護射撃で戦友を助けていく。
息の合った2人の連携に、戦いは拮抗しているように思えたが。
ラビットバニーには『絶対無敵バリア』がある。
プリンセラの剣も、マリアの銃も、ラビットバニーにダメージを与えられず。
油断なくライフルの照準を合わせながら、マリアは奥歯を噛みしめる。
その時。
ラビットバニーが放った蹴りが、プリンセラを吹き飛ばした。
「プリンセラ!?」
それまでの動きであれば、剣を身体の前に掲げ、受け止めていただろう。
実際、プリンセラは途中までその動きを見せていた。
だが剣を持ち上げる動きが不意に止まり、むしろ剣を取り落としそうなほどの動揺を見せたプリンセラは、その隙をラビットバニーに見事に捕らえられてしまったのだ。
何があったのかと困惑しながらも、マリアは銃撃でラビットバニーを牽制し、プリンセラを守るように弾幕を張る。
そして。
その困惑は、プリンセラも同じだった。
「なぜ……! 兄様!」
震える細腕で倒れた身体を起こしながら、プリンセラは自身の内に問いかける。
……亡国の末姫の中には、その兄と姉達が存在する。
実際、先ほどまで主導権を握り、戦っていたのは兄だった。
プリンセラに戦う力を与えてきたその人格達は、だが今、愛する妹の声に一切答えず。
「兄様! 姉様!?」
泣き叫ぶような悲痛な声だけが、花咲く中に響き渡った。
戦いを知らぬ末姫から突如失われた、兄姉の助力。
でも、顔を上げれば、そこにまだラビットバニーが居て。
マリアが必死にライフル弾を撃ち込み続けている。
戦いは終わっていない。
揺れる青瞳でその光景を見つめたプリンセラは、剣を両手で握り直し、必死に持ち上げながら立ち上がった。
「オブリビオン討伐や祖国復興が、本当に私のやりたい事ではなかったとしても」
構えらしき構えを知らない、持ち上げるだけでやっとの状態で。
それでもプリンセラは剣をラビットバニーへと振り下ろす。
「今は……今はそれでも!」
重さに任せただけの攻撃は、あっさりとラビットバニーに躱され、反撃をされるまでもなくプリンセラはまた花の中へと倒れ込んだ。
それでも、プリンセラはまた立ち上がろうとする。
今の自分にはこれしかないのだから。
(「無力感に負けるわけにはいかない!」)
青い瞳に強い決意を灯して。
「ったく……仕方ないわね」
その姿に、マリアはルートライフルを手放して苦笑を見せた。
発動するユーベルコードは、創造:生成志向。
空いた手に現れたのは、プリンセラが持つのと全く同じ剣だった。
「私も姫だから、わかんなくもないのよね、あんたの思い」
世界は違えども、マリアも姫という立場を持つ。
姫っぽい立ち居振る舞いは性に合わず、王冠や錫杖よりもルートライフルを携えている方が似合うくらいだけれども。
「だからこそ、1人で抱えるもんじゃないわよ。
……ま、私が言うセリフでもないけど」
赤髪の下の青い瞳が、金髪の間の青い瞳を覗き込み。
国を飛び出した姫は、国を亡くした姫へと手を差し伸べた。
「1人で頑張りすぎなのよ、アンタ」
ぐいっと引き上げ、立ち上がるのを助けて。
その剣に、創り上げた剣を揃えるように構えて。
私もいるんだからと伝えるように笑って、ゆっくり頷いて見せる。
傷だらけのプリンセラは、じわりと視界を涙で歪ませて。
でもそれを拭い去ると、力強く頷いてから、ラビットバニーへと向き直った。
「プリンセラ・プリンセス、参ります」
重さに震える剣先で、兄姉の助けのない身体で、でも迷いなく名乗りを上げれば。
「窮地から手を取り合って立ち上がるお姫様達……これ、超エモいシチュじゃない?」
拍手でも送りそうなラビットバニー。
これならば、とマリアは確信を得て。
斬りかかるプリンセラの動きに合わせて、剣を振り下ろす。
「ワイルドハント【殲滅担当】マリア・ルート。
あんたを討滅する2つの嵐の、片方よ」
静かに告げた言葉と共に。
2振りの剣はバリアに防がれることなく、ラビットバニーを斬り伏せた。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
アヤネ・ラグランジェ
SNS映えか
そういうのは無理だから自分なりにやってみるネ
手紙を封筒から取り出し、読み上げる
Dearソヨゴ
君に告げていない言葉を綴るよ
「マハロヌイの夜」の世界で
僕が好きと口にした
あれは、誤解されたかもしれないけど
君をもっと知りたい
っていう意味だったんだ
紛らわしくてごめんネ
でももし今、同じ言葉を口にしたなら
それは違う意味かもしれないネ
読み終えた手紙を破り捨てる
言葉は届かなくていい
気持ちだけ、届け
UDC形式名称【ウロボロス】術式起動
敵のバリアが解け次第
ウロボロスの大鎌を取り出して攻撃する
おはなハッキングはUCと【気合い】で対抗
このウサギめ!
うれしそうにするな!
今のはさすがに自分でも恥ずかしかった!
傷を負ったラビットバニーが、ふらふらと花の上を歩く。
「Dearソヨゴ」
そこに響いた声に顔を上げると、アヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)が封筒から手紙を取り出し、広げたところだった。
「君に告げていない言葉を綴るよ
『マハロヌイの夜』の世界で
僕が好きと口にした
あれは、誤解されたかもしれないけど
君をもっと知りたい
っていう意味だったんだ
紛らわしくてごめんネ
でももし今、同じ言葉を口にしたなら
それは違う意味かもしれないネ」
静かに読み終えたアヤネは、ふぅ、と小さく息を吐くと。
手紙を元通り折りたたむことなく。
そのままビリビリと破っていく。
細かくなった手紙はアヤネの手から零れて。
ふわりと吹いたそよ風に乗って、花弁と共に飛んで行った。
「言葉は届かなくていい。
気持ちだけ、届け」
手紙を送り出すようにそっと手を伸ばしたアヤネは。
同じ風に長い黒髪を靡かせながら。
紙片と花弁とが見えなくなるまで、緑色の瞳でその行く先を見届けて。
振り返る。
「届かない恋文ってーの? まじエモいんですけど!」
膝を折ったラビットバニーが、花が広がる足場をばんばんと叩きながら悶えていた。
その様子に、アヤネの頬が見る間に紅潮していく。
「このウサギめ! うれしそうにするな!」
踏みしめた足元の影から伸びる、複数の蛇。
いや、それは蛇ではなかった。
影のように黒く、蛇のように鱗に覆われた、触手。
ラビットバニーを捕らえた触手はそのまま拘束し動きを封じると。
「今のはさすがに自分でも恥ずかしかった!」
ウロボロスの大鎌を手にしたアヤネが、照れ隠しのように襲い掛かり。
兎面の下ですごくニヤニヤしていそうなラビットバニーは。
振り下ろされた刃の先で、姿を消した。
成功
🔵🔵🔴