バトルオブフラワーズ④〜孤島炊爨遊戯
「現在、私達が挑み続けている『ザ・ステージ』も、皆の頑張りによって戦力が着実に逓減しているわねぇ」
キマイラフューチャーの中枢、全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』内部に至る道も見えてきたと、ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)は少しホッとしたように言う。
事実、猟兵の活躍は目覚ましく、この星が真っ二つに割れた時は絶望の色を隠せなかったニコリネも、決して希望の光を見失わない彼等の「未来を切り開く力」に支えられ、目を逸らさずに戦況を見守る事が出来ていた。
ニコリネは繊指をきゅ、と握り込めると、胸元で力強い拳を作り、
「さぁ、もう少し頑張りましょう。六つある『ザ・ステージ』の戦力を削り続ける事こそ、『システム・フラワーズ』内部で戦う為の条件になるんだもの!」
と、次に攻略すべきステージ、『ザ・フードステージ』における特殊戦闘ルール、『シュウカクフードバトル』について説明を始めた。
「これから私が皆を転送する先は、小さな孤島。其処では多数のオブリビオンが、海や岸辺、山や森林を駆け回って、キノタケという食材を集めている筈よ」
キノタケ。
どこかで聞いた事のあるような、ないような――いや、初めて耳にするその食材は、キノコとタケノコを合わせたようなものだと言う。
「キノタケの生態はあまりよく分かってなくて、怪人達も海に潜ったり山林に分け入ったり、躍起になって探し回っているわ」
手当たり次第に、或いはローラー作戦と言った所か。
それでも孤島に送り込まれたオブリビオンの数は多いので、此方が手を拱いていては、彼等に全て収穫されてしまう懸念もある。
ニコリネは更に言を足して、
「このステージ(戦場)では、食材を収穫中のオブリビオンは攻撃が無効になるという特殊能力があって、一定以上の収穫をされてしまうと、猟兵側の敗北になっちゃうの」
六つの『ザ・ステージ』は、それぞれに「特殊な戦闘ルール」を有し、たとえ敵を倒しても、敗北条件を満たすと謎の力で追い出され、強制敗北になってしまう。
この孤島では、キノタケを一定以上収穫されてしまうと敗北になる、というルールだ。
厄介な特殊能力に眉を顰める猟兵に対し、ニコリネは対抗策を切り出して、
「オブリビオンは、収穫されたキノタケを山のように積み上げようとするから、皆はそれを使って何か料理を作っちゃいましょう!」
猟兵が作った料理が美味しそうならば、食欲を刺激されたオブリビオンは作業を中断して、料理を食べに来る。
そして料理を食べてしまうと、収穫に従事する事は出来なくなる為、『攻撃無効の特殊効果が無くなる』――猟兵が彼等を撃破するタイミングはまさにここだ。
「自分で料理したもので怪人を誘き寄せ、食事に夢中になっている隙を攻撃しても良いし、料理班と戦闘班で役割を分担するのも良いかもしれない」
全てを一人でやっても、誰かを頼りにしても良い――。
ニコリネはそこまで言うと、花型のグリモアを召喚し、
「キマイラフューチャーにテレポートします。謎の食材、キノタケを取り尽くそうとする悪~い怪人をやっつけに行きましょう!」
準備はいい? と白磁の繊手を差し伸べた。
夕狩こあら
オープニングをご覧下さりありがとうございます。
はじめまして、または、こんにちは。
夕狩(ユーカリ)こあらと申します。
こちらは、『バトルオブフラワーズ』における第四の戦場、『ザ・フードステージ』の集団戦『シュウカクフードバトル』攻略シナリオ(第一章のみで完結)となります。
●戦場の情報
とある孤島。
自然溢れる野性味溢れる無人島です。
●敵の情報(集団戦)
『バケツ怪人』『釜怪人』『金魚鉢怪人』によって結成された、自称「包容力豊かな怪人」トリオ。
自身の頭部と同じ道具を使って採取・収穫に出掛けているようです。
●プレイングについて
食材探しにウロつき回っている怪人達を美味しい匂いで誘き寄せる為に、彼等が山と積み上げた食材『キノタケ』を用いて料理をしましょう。
料理を彼等に食べさせる事に成功したら、攻撃が出来ます。
謎の食材『キノタケ』は、料理次第で肉にも野菜にもなるでしょう。料理に詳しくない猟兵さんでも、きっとどうにかなる筈です。どうぞご自由に姿や味をお考え下さい。
●リプレイ描写について
フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
グループでのご参加は【グループ名】をご記載願います。
プレイングが届いた順にマスタリングを行い、リプレイが完成した方から随時お返し致しますので、全体として4~8名程度の採用を予定しております。
以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
第1章 集団戦
『包容力三人衆』
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POW : バケツ怪人・ウェポン
【バケツ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 釜怪人・ジェノサイド
【釜攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 金魚鉢怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【金魚鉢】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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ユーリ・ヴォルフ
私は料理の鉄人となろう!
鉄板を設置、下方へ炎霆を置き
『属性攻撃』炎で鉄板のみを熱くし『料理』で食材を熱する
所謂「鉄板焼き」で熱々の料理をお届けしよう!
鉄板にバターを引き熱くカットしたきのたけをウェルダンで焼きステーキに
細かく刻んで野菜代わりに沿えて
飴を溶かして絡ませ冷ますことでパリパリのスイーツにもなる
さあ素材を提供して下さった皆々様
一度手を休めて初夏の味覚を楽しまれては如何でしょうか?
レストランで客に挨拶して回る料理長が如く笑顔で一礼
美味そうに食べてくれているのに申し訳ないが…
隙が出来たら【メギドフレイム】
反撃は『オーラ防御』でガード
すまない…君達をも調理するのが、我が宿命であったのだ…!
「――私の記憶が慥かならば、炎に熱された鉄板の上で、食材の旨味を覚醒させる調理術は、古来より『鉄板焼き』と呼ばれていたように思う」
孤島に降り立ったユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)の聲は、いつになく厳粛だった。
彼は魔槍『炎霆』を置くと、その上に漆黒の鉄板を設え、上質なバターを引いて香り立つ芳醇を嗅ぐや、カッと緋瞳を見開いた。
「アレ・キュイジーヌ(料理始め)!」
清潔に洗われた手は驚くほど手際が良い。
歯応えを感じられる程好い厚みにカットしたキノタケは、ウェルダンで焼きステーキに。
別の俎板では、細かく刻んで野菜代わりに添えて。
最後は溶かした飴を絡ませ、成形して冷ませばパリパリの絶品スイーツに。
『……なんか芳しくね?』
『あそこ、鉄板を前に料理してるのって……アイアン・シェフかなぁ』
先ずは濃厚なバターの馨に。
次いで鉄人の華麗なパフォーマンスに釘付けられた怪人達は、まるで魔法を掛けられた様に美味を増すキノタケ料理をじっくりと見守る。
中には黙っていられない者も居たろう。
『おおっと、ここは火加減が最も難しいところ!』
『鉄人は高練度の炎を巧みに操っている様です』
集客力は抜群。
これが罠と知ろうか、怪人達の賑わいは更に怪人を呼び、極上のフレンチが出来る頃には、ユーリは垂涎に囲まれていた。
「さあ素材を提供して下さった皆々様。一度手を休めて、初夏の味覚を楽しまれては如何でしょうか?」
高級レストランで、客に挨拶して回る料理長が如く笑顔で一礼するユーリ。
この頃にはすっかり審査員の顔をした怪人達は、促される儘に皿を取り、美食家よろしく丁寧に咀嚼を始める。
モグ……モグ……じっくりと旨味を味わう彼等に、最早『攻撃無効の特殊効果』は適用されない。
『おいしゅうございますね』
『ああっと、ここでお決まりの科白が来た!! これは勝利まちがい無しかッ?』
『おおぉー』
皆が口々に感歎や嘆声を揃えた時、ユーリの玲瓏なるテノールが殺意を帯びる。
「美味そうに食べてくれているのに申し訳ないが……」
今や魔槍『炎霆』は彼の手に、竜の焔は裡より暴かれて剱となり、ここに集まった怪人らを灼熱の鋩に穿ち、焼き尽くす――!
「すまない……君達をも調理するのが、我が宿命であったのだ……!」
『ぎゃああ嗚呼嗚呼ァァアア!!』
炎剱【メギドフレイム】は全ての邪を屠り、最後の「料理」も滞りなく終えた――。
大成功
🔵🔵🔵
フィロメーラ・アステール
「キノコなのかタケノコなのか……!」
こういう時は両方に通じる調理法でいいんじゃないか?
例えばバター炒め!
炒めるだけなら難しい話じゃない!
あまり料理しないあたしにも簡単だぞ!
問題は味付け!
素材にあった味付けを見つけないと!
しょうゆ、にんにく、塩、コショウ、料理酒……。
後からマヨネーズや唐辛子とかを添えてみるのも手か?
ちょっと色々作って試行錯誤するぞ!
おっ、そこにいる怪人のみんな! 味見は頼んだぜ!
いま最高のキノタケのバター炒めを作るからさ!
そうしておいしい味付けが完成したら!
えっと、そうそう!
怪人を倒せばいいんだった!
というわけで、くらえ【スーパー流れ星キック】!
許せ……これも戦争の世の習い。
「キノコなのかタケノコなのか……!」
それが問題だ、と――。
ハムレットなら謎食材『キノタケ』を前に幾許も煩悶したろうが、深く考える事も悩む事もないフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は、至極ナチュラルに折衷案なる妙策を思い立つ。
「こういう時は両方に通じる調理法……例えばバター炒めがいいんじゃないか?」
炒めるだけなら難しくない。
普段あまり料理しないあたしにも簡単だぞ! と腕まくりしたフィロメーラは(但し袖はない)、大きなフライパンに芳醇なるバターを引く。
肉感を得るべく厚めに切ったキノタケを入れれば、じゅわ~と良い音をさせて香り立ち。
初めて嗅ぐ馨香に透徹の瞳を爛々とさせたフィロメーラは、くつくつと躍るキノタケに、幾つかの味を与えてやりたいと思った。
「問題は味付けだな! 素材にあった調味料を見つけないと!」
しょうゆ、にんにく、塩、コショウ、料理酒……、最も味が染み込む今に絡めるも佳し、後からマヨネーズや唐辛子を添えてみるのも手かもしれない。
幸いにして食材は山のように集められているのだ。
試行錯誤した後、色々な組み合わせから美味を見つけても良いだろうと、繊翅『星翼(プテリュクス)』を羽搏かせた彼女は、山林に佳声を投げた。
「そこにいる怪人のみんな!」
『あっ見てるのバレてた!』
「うん。いま最高のキノタケのバター炒めを作るからさ! 味見は頼んだぜ!」
『味見? 試食ってこと?』
「そう、それ」
既に心地よい音と香りに集まっていた怪人をチョイチョイと手招く。
フィロメーラは彼等の意見も積極的に取り入れながら、着実に美味を手繰り寄せていった。
『これ……この味……控え目に言って三ツ星じゃない?』
「!! おいしい味付け完成したぞー!」
やんややんや。
大団円を迎えた青空キッチンだったが、料理は「片付け」を終えるまで、とポンと手を叩いたフィロメーラは、ふと皆々を見渡す。
「えっと、そうそう! 怪人を倒せばいいんだった!」
『えっ』
「というわけで、くらえ――!」
『えええええっ!?』
躊躇う間も詰る間もなかろう。
超加速して光と熱を帯びた【スーパー流れ星キック】(スーパースター・ドロップキック)は、凄まじい重力に怪人らを圧し潰し、
「許せ……これも戦争の世の習い」
夜空に星を増やしたフィロメーラは、彼等の代わりに合掌した。
大成功
🔵🔵🔵
ノネ・ェメ
純粋に、どんな味だろう。 味見をかねて、ステーキとして食べてみるのはどうかな。っ食べるのはオブリビオンだけど。 焼くだけといえば焼くだけだし、ぶ厚~く切った方が肉厚で食欲もそそられるだろうしで、時間対効果は間違いなさそう。
ただ最適な下ごしらえとかがまだわからないから、いろんな食材の下ごしらえ方法を試しては焼き、データを取って、どんどん美味しすぎるステーキへと昇華させていくことで、めざせスピード解決。
もし邪魔が来てもUCで判るから、さっとスルーしつつ、手は休めずに。
データ収集が必要って、言ったはず。 キマフュが戦争なんだよ? 幸せなわけないってば。 ほっぺた落ちてなんて、いないってば。(
頬を撫でる汐風の心地良さに初夏を感じつつ、孤島に降り立ったノネ・ェメ(ο・f15208)は、怪人達が積み上げたらしい『キノタケ』の山を前に、透徹たる瞳を輝かせていた。
不意に丹花の唇を擦り抜ける聲は清澄と、
「――どんな味だろう」
彼女の純粋な好奇心に応えてくれる調理法があるとしたら、やはりそれは――素材の味を確りと感じさせてくれるステーキを置いて他なかろう。
「味見をかねて……、っ食べるのはオブリビオンだけど」
現下、収穫作業中の怪人に食べさせる為の料理である。
彼等の『攻撃無効の特殊効果』を破る為、また『一定以上の収穫』を阻む為の策戦とは自覚しつつ、ノネは手際よく野外キッチンの準備を整えていく。
「焼くだけといえば焼くだけだし、ぶ厚~く切った方が肉厚で食欲もそそられるだろうしで、時間対効果は間違いなさそう」
カットは厚めに。
焼き時間は素材の質感を確かめながら――と、彼女は幻の食材『キノタケ』に臆することなく、最良の調理法を探っていく。
「最適な下ごしらえとかがまだ分からないから、いろんな食材の下ごしらえ方法を試して、焼いて、それからデータを取って……」
素朴な素材を「美味しすぎるステーキ」へと昇華させていく事が、スピード解決に繋がるのだと――凛然を宿したノネは、然し料理に集中し過ぎている訳でもない。
彼女の優れた聴覚【〝音聴〟】(オープン・ヒア)は、あらゆる音を――例えば遥か遠くの心音さえ聴き分け、把握する。
僅かな鼓膜の振幅から怪人の跫、会話、呼吸さえ察知するノネだからこそ、目下、手を休めずに「究極のキノタケステーキ」を求める事が出来るのだ。
彼女は整った鼻梁を掠める薫香を具に数値化しながら、折に味見をして、
「キマフュが戦争なんだよ? 真っ二つに割れたんだよ? 幸せなわけないってば」
もぐ、もぐ。
全てはキマイラフューチャーの未来の為に、キノタケを攻略しなくてはならない――と、今度はよーく咀嚼する。
初めて味わう美味を嚥下したノネは、麗し双眸を縁取る長い睫をキリッと持ち上げ、
「ほっぺた落ちてなんて、いないってば」
其の言を確固たるものとすべく、白磁の繊指に緩む頬を支えた。
成功
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グァーネッツォ・リトゥルスムィス
世界を救うのも大事だし、食材を蔑ろにする過剰な収穫も止めなければ!
キノタケに切り目を入れつつ適度な大きさに切ったら
アルミホイルで包んで焼いていこう
調味料はバターや味噌、マヨネーズや醤油にトマトなど
焼き上がってから開けてみてのお楽しみ♪
「さあさあ、匂いを楽しみ、開けてびっくらほいのキノタケ包み焼きはいらんかね~♪」
一人でも食べてくれれば色んな味の包み焼きがあること、
みんなでどんな味が当たるか比べ合うのも面白いと提案して
口コミ効果も狙うぜ
怪人達が十分集まり攻撃可能になったら
反撃を食らわないようにUCで防御力を高めながら
なぎ払いで一気にぶっ飛ばすぜ
「おいしい一時はおしまいだ、骸の海に帰りな!」
世界を救うのは大事だ。
だがそれと同じく、食材を蔑ろにする過剰な収穫も止めなくてはならない。
「たくさん引っこ抜きやがって……」
これでは島からキノタケが消えてしまう、と柳葉の眉を顰めたグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は、既に身の丈に迫るほど積まれた食材の山を隣に、野外キッチンを始める。
「旨味や香りを閉じ込める包み焼きがいいな」
本日のメニューはキノタケの質感にヒントを得て。
俎板を前にしたグァーネッツォは手際よくキノタケに切り目を入れると、適度な大きさに切り分け、丁寧にアルミホイルに包み込んでいった。
「味は開けてみてのお楽しみ♪」
バターや味噌、マヨネーズや醤油にトマト――様々な調味料で味の変化をつければ、焼き上がりの楽しみも倍増。
彼女は食材を採取し終えて積みに来た怪人らに声を張り、
「さあさあ、匂いを楽しみ、開けてびっくらほいのキノタケ包み焼きはいらんかね~♪」
『んン? キノタケがホイルに包まれてクツクツと……』
『この時点で既に美味そうだなぁ』
「色んな味の包み焼きがあって、みんなでどんな味が当たるか比べ合っても良い」
『! それは面白そうだ』
聞いて直ぐに情報端末を取り出すあたり、怪人も慣れているのか。
自らが食べる写真をSNSに投稿すれば、ロケーションを共有していた他の怪人らにクチコミとして広がり、軈て行き渡った情報を元に沢山の怪人が集まってくる。
『なぁ、これで【包み焼き開けてみた動画】撮ろうぜ』
『開けるまで味が分かんないのがネタになるよなぁ』
炎によって広がる芳醇な香りでなく、クチコミで敵を呼ぶとは妙々。
十分な怪人が集まったと黄金色の炯眼を鋭くしたグァーネッツォは、ここで【商竜印の竜騎士装備】を発動――集めた怪人の数だけの反撃に耐えられるよう防禦力を強化した上で攻勢に転じ、
「おいしい一時はおしまいだ!」
『えっうん、なに――』
もぐもぐ。むしゃむしゃ。
あまりの美味に箸が止まらぬ怪人らは、攻撃無効の特殊能力を失い、全き無防備な所に『幽冥竜槍ファントムドラゴンランス』の不意打ちを食らう。
「骸の海に帰りな!」
『ぎゃああ嗚呼アアア!!』
胴に飛び込む斬撃に躯を折り曲げた怪人らは、その儘、島の外まで一気に吹っ飛ばされ、
「いっちょあがり!」
見事、グァーネッツォは「片付け」まで完璧にこなして、此度の料理作戦を終えた。
大成功
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荒谷・つかさ
キノタケ。
あの、謎に満ちた食材キノタケを食べられるなんて……!
え、今回は振舞う側?そんなー。
ともあれ、料理技能はそこそこ自信ある身として頑張らせてもらうわよ。
ここは母様直伝の家庭の味で勝負と行こうかしら。
カツオ出汁をふんだんに使った、キノタケのピリ辛煮込み
じっくりふっくら炊き上げた、キノタケの炊き込みご飯
塩と炭火でじっくり素材の味を引き立てた、キノタケの串焼き
キノタケそのもののお出汁を味わう、キノタケのすまし汁
サムライエンパイア流母の味、たんと召し上がれ。
デザートに【螺旋鬼神拳】もつけてあげるから遠慮なく喰らって行きなさい。
好き嫌いするのは、いけませんよ。
初夏の陽光が漣に煌めく浜辺に降り立った荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)は、怪人達によって堆く積まれた『キノタケの山』を見るや、じゅるり、垂涎を禁じ得ぬ桜脣を手の甲に隠した。
「あの、謎に満ちた食材キノタケが食べられるなんて……!」
琥珀の瞳が星光を湛え、一際の昂揚に満たされて幾許――漸あって我に返る。
「あっ、そうか」
食べるのは怪人の方で。
私は作る方で。
「…………料理の腕にはそこそこ自信ある身として、頑張らせてもらうわよ」
言うや巫女装束の袖より紐を取り出した彼女は、端を口に咥えて襷掛けに、玉臂に宿る「お料理上手」の遺伝子を活性化してキノタケを掴む。
その質感で直ぐにもメニューを決めた彼女は、早速料理に取り掛かった。
「母様直伝の家庭の味で、いざ勝負――!」
カツオ出汁をふんだんに使った、キノタケのピリ辛煮込み。
じっくりふっくら炊き上げた、キノタケの炊き込みご飯。
持ち込んだ道具が少なくても、立派に料理できるのが熟達者というもの。つかさは主に土鍋を活用し、芳醇香る白煙を蒼穹に立ち上らせていく。
『ムムーッ! 浜辺から煙が立っているのが見えるぞ!』
『美味しい匂いがする……実に不安だ、行ってみよう!』
風に運ばれて山林を抜けた薫香は、採取に専念していた怪人達の腹の虫を鳴かせ、彼等は続々と一点に――キノタケの集積場たる浜辺に集められる。
『こっ、これは――ッ!!』
『美味の宝箱やないけー!!』
見れば、キノタケそのもののお出汁を味わう、キノタケのすまし汁が。
嗅げば、塩と炭火でじっくり素材の味を引き立てた、キノタケの串焼きが。
そして、謎食材を斯くも劇的変身させた本人つかさが、襷を外して食卓に招いているではないか――!
「サムライエンパイア流母の味、たんと召し上がれ」
『うわぁぁぁああい!』
群がる怪人。
浜辺に広がる咀嚼の音、そして歓喜の声。
だが然し、件のお品書きの最強たる所以が締めのデザートにあるとは知るまい。
つかさは鼻緒を踏み込むや、脇を締めて引く拳に螺旋の力を溜め、一気炸裂――ッ、
「デザートに【螺旋鬼神拳】(スパイラル・オウガナックル)もつけてあげるから遠慮なく喰らって行きなさい」
『うわぁああ嗚呼嗚呼ッッ!!』
「好き嫌いするのは、いけませんよ」
『ンぎゃああぁぁアア!!!』
怪人達を「完食」に至らせ、此度の青空キッチンを大盛況に終えた――。
美味しいは罪、とは言ったろうか。
第四ステージ『シュウカクフードバトル』は、ユーベルコードを無効にする特殊能力を持った怪人が圧倒的優勢と思われたが、猟兵は百味飲食を以て対抗し、見事に彼等を駆逐した。
勝者、猟兵――。
揺るぎない勝利を得た彼等が去った後には、当初にあった『キノタケの山』はなく、代わりに倒した怪人達が山と積み上げられていたという――。
大成功
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