●廃村にて
ダークセイヴァー。日の明かりが照らさぬ人気を失った廃村。
誰もいないこの都市のどこかで、新鮮な死体を前にして微笑む者がいた。
森を挟んだ小さな村。そこで迂闊にも離れたものを使役したゾンビを用いて"素材"として持ち帰らせ、新たな手ごまとして準備をしていた。
目的があったがもう思い出せない。今はこの研究がただただ愉しいことだけは確かだ。
「ふふ、もう少しだ。もう少しで……」
その者は笑う。自分の力が世界を変えるのだと、ほくそ笑む。
だが、その目的は達成されることはない。
その者は気づいていないのだ。自分に迫る、"裁き"の時に。
●グリモワベース
「いやはや、お久しぶりー……ですかね?」
グリモワを片手に、猟兵達を呼び寄せたウインド・ノーワルドは新しい顔も、久しぶりの顔を見て小さく笑みを浮かべる。
「さて、とはいえ呼んだ以上お仕事になるわけですがー……今回はダークセイヴァーでのお仕事です。巷では忙しい案件も起きてるみたいですが、そこばかりと行かないのもあるのが悲しいところですねぇ」
現在起きている大きな事件の事もあるが、小さな事象であっても放置することはできない。
実際に、起きている事件は随分と危険のある状況であることは間違いないのだ。
「さて、事件が起きたのは小さな村。最初は村に起きていた墓荒らし程度の事件だったのですが、事態はどんどんと悪化しており今では村にも被害は出ていて死傷者も出ています」
犯人は村人の死体と用いて作られたアンデット。それらが墓荒らし以上に留まらず、今には村自体全てを破壊しようとしてきているという事だった。
「防衛すればいい、というわけにもいかず。この犯人を追い詰めるためにはこちらから打って出る必要があるでしょう」
ウインドの手の中でくるくるとグリモワが回る。
「犯人と思しき存在はどこかの廃村。村の近くの森……ええ、この森のどこかにもう人のいない廃村があるってことでしょう。曖昧な予知で申し訳ねーですが」
予知された情報は以上であるという。ゆえに、まずはその森に詳しい村人に話を聞くなり、実際に森の調査をするなりで廃村を見つける必要がある。
その後、全戦力を持って廃村を調査し、犯人を見つけ出すことになるだろう。
「……ですが」
作戦がひと段落したところで、ウインドはぼそりと呟いた。
「今回の事件。何故予知が完璧じゃないのか……それは、倒すべき存在が異なるのかもしれません」
不安げに、何が起きるかわからないとウインドは申し訳なさそうに猟兵達に向き直る。
「何が起きるかはわかりません。ですが、無事に終わらせてきてください。準備ができたら……出発しましょう」
ウインドの言葉に猟兵達は頷いた。
●現地にて
現地に転移した猟兵達。
小さな村から調査は始まる。
そんな君達の目の前を、一匹の黒猫が横切った。
トビカゼ
お久しぶりです、トビカゼです。今回はダークセイヴァーでの調査が中心のシナリオとなります。
出てくる敵、ボスについては現状不明であり、予定されていそうな展開から大きく異なる状況になる可能性が大いにあります。
少々特殊な展開となる可能性がございますが、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『彷徨える屍騎士を髑髏が笑う』
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POW : 村人の手伝いをして信頼を得る
SPD : 周囲を見回り、墓場で痕跡を探す
WIZ : 腐臭について確認する
👑11
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フォルク・リア
森の中を調査し、犯人の痕跡を探す。
「死体をアンデットとして村を襲わせるとは。
見過ごしには出来ないな。」
死霊術士の俺に言えた事ではないかも知れないが。
…いや、だからこそ。死者の冒涜は許す事は出来ない。
森の中で村から離れる方向に踏み固められた道や
何かを引きずった跡がないか。
地面や木などに人の衣服や皮膚、毛髪
人骨、肉片が付着していないかを注意深く観察。
他に血痕や木の枝が不自然に折れていたり
大きなものが通った跡、通常の物でない獣毛など
そういった何かの痕跡を発見したら
その付近を重点的に調査し、
怪しい箇所では
死臭や腐臭、血の臭い、薬品臭がしないかも気を付ける。
分ったことがあれば仲間と情報を共有する。
がさり、がさりと音を立て、草木をかき分けながらフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は森の調査を進めながら額を流れる汗をぬぐった。
「死体をアンデットとして村を襲わせるとは……」
死霊術師であるフォルクが強く言う事は出来ないが、とはいえだからこそ、その危険性もわかる。
「許されることは出来ない」
そう、だからこそ。死霊術師であるからこそ、死者の冒涜など許すことは出来なかった。
決意を新たにするように、フォルクは小さく呟くと注意深く首位を見渡しなおす。
「跡としては杜撰だな。こちらに気づいておらず、脅威も存在しないからかもしれないが」
森の調査をしてみれば、いたるところにアンデットのモノと思われる足跡が残されており、雑に入り乱れてはいるが調査に重点を置けば追っていくことは可能そうだった。
「だが……」
足跡以外にも、人の衣服や血痕。アンデットのモノと思われる腐り落ちた肉片。
いたるものが残されている。これらをまとめて報告すれば、調査はしっかり進むことは間違いないだろう。
「だが、これは……」
散らばるアンデットであったものの肉片の傍。木々に引っかかったように残される綺麗な金の髪が一本。
この地で戦闘があったのだろうが、妙にフォルクはそれが気にかかった。
アンデットのモノにしては、随分綺麗なものだと思わなくもない。
思案しても答えは出ない。一度仲間の場所に戻るフォルクの足跡だけが響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵
四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
森を挟んだ村と廃村、木々に紛れた死の吐息……
さて、下手人探しから始める必要があるわけだが……表向き派手に動けば相手も足が出るだろうッ!
という事で放浪者を装って村人に一夜の宿を借りようッ!その代わりに力仕事を引き受けるッ!柵など軽い修繕が必要な物もあるだろうッ!
力仕事をこなせるアピールとしてユーベルコードを発動ッ!敵は居ないだろうが一応防御力重視ッ!蒸気機関車系ヒーローのパワーを見せつけてやろうッ!
仕事が一段落付いて信頼を得たら村人に話を聞いてみるッ!老人か……或いは好奇心のある子供か、特に廃村について聞きたいな。
『軒先でもいいんだッ!一晩貸して欲しいッ!』
「軒先でもいいんだッ! 一晩貸して欲しいッ!」
寂れた村の一角に、大きな声が響く。
何事かと村人たちが集まってくると、そこには簡素なローブに身を包んだ四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)の姿があった。
突然現れた彼に警戒する人々は少なくはなかったが、次の一言で一気に警戒の色はなくなっていた。
「と、言う事で何か困っていることはないだろうかッ!」
突如村に現れたを見て、村人達は驚いた様子を見せていた。
これだけ疲弊し、アンデット騒動が起きたほどの村に突如として力を貸してくれる人物が現れたのだ。驚くなというのが無理がある。
旅人風の放浪者風に自身を扮し、すでに構築したボディに纏わせた彼は村人達に協力を申し出るためにやってきていた。
「ふむ、これだなッ!」
そんな彼に頼まれたのは、アンデットによって破壊された防柵の再設置だった。
柵自体はすでに組み上げられてはいるが、刺し直す為の人手が足りていないらしく。気合十分の綴は意気揚々と作業を開始した。
村自体の規模は大きくなく、作業自体は滞りなく完了していた。
「はっはっは、困ったときはお互い様だッ!」
気が付けばすっかり村人に信用されたようで、綴の周りには子供達が集まっていた。
「そうだ、この近くにある廃村についても聞いて良いだろうかッ!」
「あの森を抜けた言ったところに昔使ってた村があるんだって。古い印が残ってるっておじいちゃんが言ってたよ」
なるほど、と綴はうなずいた。森には村人達だけが使っていた印があるようで、それを調べて追っていくこともできるという。
重要な情報を手に入れた彼はさっそく情報を共有しようと移動し始めた時、子供が気になることをつぶやいた。
「あのおねーちゃん、だいじょうぶかなぁ……」
誰のことだろうか。聞くよりも前に大人達に連れていかれた子供達を見て、彼はその言葉の意味を考え出した。
大成功
🔵🔵🔵
スカル・ソロモン
【WIZで判定】
アンデッドの痕跡、金の髪、古い印……そして謎の女性。手掛かりは集まってきているようだ。
もうひと押しといったところかな?
さて、死体を集めたりアンデッドを使役しているなら腐臭は隠せないだろう。
風下に立ち、腐臭が臭ってくるであろう方向を探ろうか。
きっとその先に件の廃村があるはずだ。
村人に腐臭を感じることがある方角を聞いてみるのも良さそうだね。
警戒して口を割らないようなら【恐怖を与えて】話して貰うとしよう。
──何、話を聞きたいだけなんだ、私は。
加えて最近、外部から村に女性が来なかったかも訪ねてみよう。
その女性が金髪だったかどうかも、だ。
よそ者が来ていたなら、目立たないはずはないだろう。
「ふむ、なるほど」
村の一角で、スカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)は自分の顎を撫でながら集まった情報を整理していた。
アンデットの痕跡、古い印、金の髪。そして謎の女性。情報しっかりと集まってきた。あと一押し集まれば事態は進展していくだろう。
であればすることは一つだけ。情報を探す事だが、相手が集めているのは死体、使っているものも死体。
「やはり、臭うね」
村自体がその手の存在に襲われている以上、死体が残す強烈な腐臭というものは隠しきれるものではない。
これだけ村に腐臭が立ち込めているのであれば、森に少しでも立ち入る人々ならばこのにおいを感じ取るのは間違いないだろう。
そう思い立ったスカルは、そばを通りがかった木こりと思われる男性に声をかけた。
「やぁ、少しいいかな?」
「ひっ……な、なんだお前は……!」
びくりと背筋を伸ばし、声をかけられた男性はスカルの声を見て強い警戒心を見せた。
おや、と思い立つがこれもまた考えに合った一つ。自分の風貌の事もあり、仕方ないことではあるだろう。違和感を抱かれない猟兵だからと言ってアンデットに間違われる可能性はなくもない。
「何、聞きたいだけなんだ。森にはいった臭うだろう?」
「な、何が……」
たじろぐ男性。警戒はやはり消えない。
「腐った肉の臭いだ。どっちからか、君ならばわかるよね」
彼は一切遠慮はしない。ただ、話を聞きたいだけだがその体や立ち振る舞いから彼を威圧する恐怖心が、彼の重い口をついに開かせる。
「あ、ああ。それなら森に入って……あっちだ。道中には村の奴らが残した印がある方だから……」
怯えながら彼が説明を終えると同時に彼はふっと恐怖から解放された。胸をなでおろす彼の横を通ると同時にスカルはふと、気になっていたことを呟くように零した。
「ところで、外部から女性は来なかったかい?」
「……え、ああ。アンデットに襲われた時、森で助けられて……武器とフードを持ってた金髪の女性だったな……」
ほぉ、とスカルは呟いた。
意外な情報が手に入った、これも併せて情報を整理し、情報を追うとしようと考えてスカルはその場を後にした
大成功
🔵🔵🔵
スカル・ソロモン
恐らく情報は十分だろう。仲間に情報を共有して、腐臭と印を手掛かりに廃村の方向へ進むとしよう。
森は薄暗いだろうが、敵に気づかれると面倒だ。明かりは無しで行こう。
森の中で獣達に襲われたら【恐怖を与えて】追い払う。
もしアンデッドに出くわした場合は【魔王特権】で攻撃を無力化した後、スカルガイストで攻撃し、撃破する。
敵に気づかれない為にも、できるだけ物音を出さないように注意だ。
廃村にたどり着いたらすぐには入らず、外から村内部の様子を確認して安全な侵入ルートを見つけようか。
例の女性やアンデッドの痕跡が無いかも注意しておこう。
可能なら、敵が潜んでいる場所の目星も付けられると良いんだがね。
「ふむ」
集まった情報を見て、スカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)は自分が進む森の中に残された村人たちが残した古い印に目をやった。
森を迷わず抜けていくための指針としての印として残された印は存外しっかりと残されており、彼の鼻にはしっかりと腐臭が漂っている。
「動物の数もそれなりにある。この村にとって恵みの場所とでもいうべき場所か」
時折目にする野生動物。中には獰猛な種類も存在しており、危険性はあるがスカルの放つ恐怖に怖じて襲ってくる獣たちは存在していなかった。
アンデットとの遭遇も気にかけてはいたが、その事態には陥らず少々拍子抜けでもあったが容易に突破できるに越したことはない。 物音を最小限に、灯りも持たず最前線を行くスカルはさながら斥候とでもいうべきだろう。そのまま進んでいくと森を抜けた先が小高い丘になっていた。
「……たどり着けたね」
眼下にはボロボロになった村。目的の廃村に違いない。
「アンデットの巡回付きというところか、だが……」
すぐに村には乗り込まず、仲間たちの合流を待つスカルは村の何か箇所かに乗り込めそうな地点を確認した。
それら以外の場所には少数ではありながらもアンデット達の姿が見え、見つかれば目的の相手に感づかれる可能性がありそうだ。
「だが」
それ以上に気になる点があった。
村の入り口の一角。響く戦闘の音。その音はすぐに収まりを見せたが、スカルは其処で確かに見た。
「……あの女性は」
大剣を背負ったフードの女性。髪色も金髪。
彼女はそのまま村の中へと入り込み、闇の中へと姿を消した。
「そう簡単な討伐作戦にはなりそうにないようだね」
これから何が起きるか、それを考えながらも事態は次へと進んでいった。
大成功
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第2章 冒険
『ゴーストタウン』
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POW : 捜査の基本は足。手当たり次第に探す
SPD : 不意の遭遇とならないよう、周囲を警戒する
WIZ : 過去の資料と照らし合わせ、痕跡を探す
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ゴーストタウン。
森を抜けた先にあった人気のない村に蔓延るアンデット達。
この村のどこかに潜む術師を探す必要があるのだが、意外と広さのあるこの村から簡単に探し出せるとは思えない。
とはいえ、何もせずというわけにもいかない。つまるところ、アンデット達の目から逃れるか、即座に処理を行いながら情報を探すことになるだろう。
情報を集めていった結果、何かイレギュラーが存在していることも判明している。
油断はできない。猟兵達は注意して行動を開始した。
四軒屋・綴
ふーむ、お姉ちゃん、お姉ちゃんか……
まぁ、子供の笑顔がかかってるとなれば仕方ないだろうッ!探すしかあるまいッ!!
という訳で足を使って森へGO!遠慮なくなぎ倒し…ていくと森に悪いな、その辺りは控えめに探し回ろうッ!!
手がかりとしてはまず森と村と廃村、そして場違いなお嬢さん"フロイライン"……つまりアンデッドが歩き回るような場所に一人で行った女性がいるわけだ、身軽ではなくそれこそ戦の装いで。
【防具改造】と【メカニック】を発動し視覚と聴覚にコミットッ!ルミノール反応だったか?血痕反応と物音、特に金属音に気を付けつつ資料になりそうなものを探して崩れかけのハウスにお邪魔しますッ!!
「ふーむ、お姉ちゃん、お姉ちゃんか……」
普段の勢いはどこへやらといった感じだが、森を悪戯に傷つけることはせずに控えめに森を抜けた結果ともいえる。
「一体何故こんな所に……とはいうが、まぁ子供の笑顔がかかっているとなれば叱らないだろうッ!」
森を抜けてしまえば何の問題もない。いつも通りに廃村を駆け抜けた綴はアンデットを何体か視界に捉えた時点で身を潜める。
「コミットッ!」
掛け声と同時に、自身の資格と聴覚部分を担当する機能を調整すると周囲の情報を探り出した。
「……ムッ」
注意して周囲を探れば、いくつかの金属音。そして戦闘の音。
「こっちかッ!」
音を聞き、急ぎ駆けた綴の目の前には古びた一軒家が見えてきた。
部屋の手前には何者かの血痕、それもそれなりに血だまりとなって残されており、扉を開ける必要もないぐらいに開け放たれた扉。
そして崩れて肉塊と化したアンデットが残されていた。
「ここで何者かが戦い、血を流した……? だがアンデットが倒されている……ムムッ」
周囲を探れば、血の跡がちらほらと残されているのを発見できた。
これを追ってみればいいかもしれない。そう判断した綴は廃村を再び走り出した。
成功
🔵🔵🔴
ウルフシャ・オーゲツ
確かにひとつの手がかりがあればそれに基づき進めるが上策。
しかし、しかしじゃ。
うちのくノ一さんたちPOWじゃった。
というわけで、手がかりを追うは仲間に任せ、この廃村を広範囲で調べてみるとしようかのう。
アンデットが巡回しているようならばなにかを守っているのかもしれぬし、もしその謎の女性がなにかを探したりもとめてここに来ておるのなら、その手がかりがあるのやも知れぬしな!
おっと、荒事は起こさぬように慎重に隠密にすにーきんぐみっしょんじゃ!
うち?
管理職は現場には出てはいかんのじゃよ(実感のこもったとおいめ)
村から少し離れたところに潜みくノ一や仲間の集めた情報を整理、怪しいところをピックアップしてみるぞ!
廃村の一角。薄暗いこの世界に、忍び衣装を纏う人物、ウルフシャ・オーゲツ(しょしんしゃ・f00046)が居た。
彼女は廃村から離れた場所。森に近い場所に身をひそめながら思考していた。
「女性と倒されたアンデット。色々とありそうな気がするのじゃ」
他の猟兵の集めた情報。それに基づいて調査を進めることが上策。そう、呼び出してこの廃村に放ったくノ一たちの行動力が、思い切り足を使うという方針になるまではそうしようと思っていた。
「店の売り上げ分だけは情報集めてきてほしいのじゃー……じゃー……」
遠くを見つめながらウルフシャは虚空を見つめながら、くノ一の帰還を待った。
管理職である自分は表に出てはならない、過去の実感に再び遠くを見つめだすが、荒事を起こさずスマートに事を進めている事は確かに状況をよく進めているのは間違いないだろう。
しばらく待つ時間はあったものの、ふと気が付けば目の前にはくノ一たちが戻ってくる姿が見えた。
「おお、何かあったかの?」
ウルフシャの問いに、くノ一たちは頷く。
「廃村の各地で、つい先ほどまで使われていたと思われる研究施設と、討伐されたアンデット達の姿が確認できました」
「ほうほう。つい最近?」
「先ほどまで機能していたと思われます。何者かが破壊し、そこを防衛していたアンデットを撃破した。と推測できました」
ふむ、とウルフシャは唸った。
この地に存在する自分達猟兵以外のイレギュラーがいる。
情報からしても、それがこの村にやってきている謎の女性であることは間違いない。
そして、その人物の目的はこの地の研究施設の破壊なのだろうか。
「なんで壊しとるんじゃろうな……」
さすがにそれまではわからない。と、行った様子を見せてくノ一たちは再び調査に戻りだす。
「じゃが、研究施設を探していけばその女性にも死霊術師にも会えそうじゃな」
方針としてはこのまましらみつぶしで問題ないだろう。くノ一たちを見送りながら、再びウルフシャは思案に戻る。
「……そういえば、オブリビオンが誰、と確定した情報はなかったな」
ふと、そんな思考が彼女の頭を走ったが、完璧な答えはまだでなかった。
大成功
🔵🔵🔵
スカル・ソロモン
POWで判定
残された血痕と研究施設の襲撃……手掛かりはもう少し欲しいところだ。
気になるのはこんな村に研究施設が幾つもある事だね。
女性を探すついでに研究施設内部も調べてみようじゃないか。
まだ未調査の研究施設へ赴き、中へ入ろう。
すでに破壊されているのであれば、分かる範囲で研究内容の調査と、何が重点的に破壊されているのかを調べる。
さて、一体何が出てくるものか。
調査が終われば、施設内外に血痕がないかも探してみよう。
血痕を見つけたら触って乾き具合を確かめる。
手に付くようなら、この血痕の主はまだ近くにいるのだろう。
血痕を辿りつつ、さらに村の調査を進めていくとしよう。
無論、他の猟兵達へ情報提供も忘れずにね。
ヘルミナ・イェルソン
敵の情報収集は基本です。
が、なんだか不思議な状況になっているようですね?
とかく現状の正確な把握と元凶の特定を行いましょうか。
研究施設が荒らされているとのことで……電子端末で管理しているようだったらハッキングを行いましょう。
紙媒体でも私の分析力をもってすれば速読もたやすいのでレッツしらみつぶしです。
研究内容は相手の専門分野や意図を読み取ることに有用です。
がっつり読み込んでいきます。
べ、別に私の興味とかそんなわけないですよ?
でも敵や謎の女性がいるかもしれないんですよね。
誰かの気配を察知したら速攻で隠れ様子を見ます。
私のセンサーはそういう時のためにあるのです。いえ、それだけじゃないんですが。
他の猟兵が情報収集役として放ったくノ一から情報を仕入れたスカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)は再び情報の整理を開始した。
この村には幾つも気になる点が存在している。その一つが研究施設がいくつも存在する事だった。
通常であればこのように研究施設がいくつもあることなど、長い時間をかけて用意しなければありえないことだ。
これを調べる為にも、まずは施設内部の調査が必要、そう考えたスカルは手近な研究施設へと足を運ぶ。
「おや?」
だが、スカルが足を踏み入れた施設には既に先客があった。
「おっと?」
一足先に研究施設に入り込んでいたのはヘルミナ・イェルソン(夜を飛び越える・f02267)。先ほどたどり着いた猟兵の一人。
「失礼、驚かせたかね?」
「いえ、大丈夫です。そちらも施設が気になりました?」
既に荒らされた施設。内部にはいくつもの肉片が散っており、それらが全て腐肉であることはすぐに判断が出来た。
そんな施設の中で、ヘルミナは片っ端から紙媒体の資料を漁り、集めて速読を行っていた。
「電子端末があればハッキングできたのですが……」
「仕方ない。ダークセイヴァーのこの地には存在しない技術のようだからね」
スカルもまた、手早く速読を手伝う事にし、二人で資料を読み漁る。
「ふむ、これは……」
「どうでした、そちらは」
資料を読み終えた二人は顔を上げる。
「意見は同じだ。これを作り上げた人物は、まず第一にして死していない」
「そして出身はこの村。先ほどの村にいた人達がかつて使っていた場所……要は彼らとこの死霊術師は同じ村人だったということですね」
つまるところ、研究施設を作り、死者の冒涜を行っていた存在。
「――オブリビオンではない」
二人の言葉がリンクする。それと同時に、遠くで何かが倒れる音が、二人の耳に響く。
「ですが、しっかりと予知が行われた」
「それが指し示すことは唯一つ。この地にオブリビオンが存在する。そして――」
スカルは部屋の内部から、部屋の外へと視線を移す。彼の視線の先にはまだ濡れた血痕。
「すぐ先に居ますね。話にあった彼女……それこそが倒すべき相手でしょう」
ヘルミナのセンサーはしっかりと、この先の存在を捉えていた。
すぐ先にいるである、オブリビオンの存在を。
「急ぎます?」
「いや、しっかりと準備をしていこう。彼女の仕事はもう終わっているだろうからね」
断罪者。その存在を二人は確信し、猟兵たちの戦力を集めて現地へと向かう。
倒すべき相手は、ようやく見つかったのだ。
大成功
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第3章 ボス戦
『断罪の黒猫『キャット』』
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POW : 武骨な薙ぎ払い
【豪快な大剣による薙ぎ払い】が命中した対象を切断する。
SPD : 月華乱閃
【居合の構え】から【無数の斬撃】を放ち、【斬撃と衝撃波】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : アサルトコンバット
【短剣の投擲と格闘術】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
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「……騒がしくなったみたいだね」
猟兵たちが駆け付けた、廃村の広場。
そこには無数に砕け散ったアンデットの遺骸と、今できたばかりの死体が一つ。
文字通り、目の前の彼女が殺した今を生きる人間だったのだろう。だが、その実態は死者を冒涜する存在。
猟兵としても、断罪者としても見逃せない存在であったことに違いはない。
「邪魔をする、という事かな。それとも……いや、よそうか」
だが、ここからはそんなものは関係ない。
「君達は敵、私は君達の敵。それはどうにも、変わらないみたいだね」
彼女は剣に手をかけた。ただ本能が猟兵を打てと、断罪者の心を突き動かす。
「ああ、それとも……結局諦めた私を裁きに来たのかな?」
彼女は小さく、自嘲するように笑い、剣に手を伸ばす。
諦めた存在、だがそれでも意思は見える。
だが、それは終わらせるべき、崩さねばならぬ強固な意志。
彼女と猟兵たちの間を、一匹の黒猫が駆け抜けた。
ヘルミナ・イェルソン
真相は意外とシンプルでしたね。
さあ、頭を動かした後は思いっきり運動と行きましょうか。
さて、兵装改『霊機』で銃と弾丸を強化します。追尾属性と速射を実現しますよ。
実はこれ、友人に教わった死霊術の応用なんです。ちょっと皮肉ですかね?
相手も手数ならこちらも手数です。なるべく距離を保ちながら弾幕張りますよ。追尾させるので多少狙いが甘くても逆に油断を誘えますかね。
これは過去を追い続ける死霊の弾丸。相手がオブリビオンである限り逃れることは許しません。
相手の攻撃においては特に、衝撃波が目に見えないので攻撃範囲を予測して回避するよう心がけましょう。
ウルフシャ・オーゲツ
なるほど
予知では
『オブリビオン』が『一般人』を襲う様を見るが一般的
このような状況もあるじゃろう
この場合うちらはスクエナカッタ……と嘆くべきか
この一般人を止める手間が省けたと考えるべきは難しいところじゃのう。
そう、うちらは一般人の起こす普通の猟奇的事件は介入せぬからな。
「犯人を特定し、終わらせてくれて感謝するのじゃ」
正直なとここのオブリビオンと闘う必然性はない。人を守ってくれておるとも言うではないか。
猟兵の数が限られる中、そういうことが出来る相手は貴重じゃからな。
「だが、じゃあさようなら、とはいかぬからのう……」
悲しいが猟兵とオブリビオンが出会ったならば、やることは一つ
さて、たたかうとするかの
「なるほどのぅ」
オブリビオンと対峙した猟兵の中で、ウルフシャ・オーゲツ(しょしんしゃ・f00046)が納得するような言葉を向けた。
「確かに、予知では"オブリビオン"が"一般人"を襲うが様を見るが一般的。このような状況になる、という事もあるじゃろう」
グリモワ猟兵による予知、それはオブリビオンが起こす悲劇を垣間見て対処するべきもの。
予知自体にはグリモワ猟兵ごとに差があり、詳細な予知が行われることはないこともある。それで言えば今回は不確定な予知であった。
だが、共通して言えば"オブリビオン"がその世界に害なす事だけは確実に予知している。そういえば、今回の状況は猟兵の敗北ともいえる状況かもしれない。
「犯人を特定し、終わらせてくれて感謝するのじゃ」
スクエナカッタと嘆くべきか。そんな思考がウルフシャの頭をよぎるが、彼女は嘆くことはなく凛と彼女に向けてそう一言、謝礼の言葉を述べた。
「……不思議な子。殺しに来たわけじゃないと?」
「そうじゃの。お主がしたことは一般人の起こす事件を阻止したというだけ、闘う必然性はない」
だが、そうはいかない。ウルフシャは小さく溜息を吐く。
それと同時に銃声が響き渡り、彼女は咄嗟に大剣を引き抜いて構えると迫る銃弾を弾き落とす。
「意外と真相はシンプルでしたね」
片手に携えたアサルトライフルの銃口を向けたままヘルミナ・イェルソン(夜を飛び越える・f02267)のライフルと、展開を続けるガジェットに霊力が巡り、強化が施されていく。
「頭を動かした後は思いっきり運動と行きましょうか」
同時に一斉に弾丸が放たれる。斉射される無数の銃弾は目の前のオブリビオンを確実に捉えたうえで、強化された機構が確実な追尾性を生み、迫る。
対する彼女は一度は攻撃を避けるために、一足にその場から飛びのくが追尾する銃弾は躱しきれないと判断したのか大剣をその場に突き立て、一時的な遮蔽壁にしたかと思えば腰の刀に手を添え、僅かな剣閃の音と共に引き抜き銃弾を叩き落した。
「む……」
流石に被害をほぼ無しで防ぎきられてはヘルミナも不服というもの。なればこそ更なる強化を施すまでと言わんばかりに立て続けに銃を強化していく。
「見ての通り。じゃあさようなら、とはいかぬからのう……」
猟兵とオブリビオンがであったならばやることは一つ。ウルフシャは真っ直ぐと彼女に迫る。
備えている彼女に対してであれば愚直な直進であっただろうが、銃弾を抑えて刀を抜き放った彼女にとっては最悪と言わざるを得ない。
ウルフシャが今まで食べ、蓄えてきたもの。それらを全て、一気に燃焼させるように燃え上がり、爆発的に加速した贅力となった単純な拳の一撃が遮蔽とした大剣ごと彼女を襲い、その衝撃が彼女のいた地面と周囲を一撃のもとに吹き飛ばす。
「……っ!?」
あまりの威力に吹き飛ばされるが、大剣を構えて姿勢を立て直しウルフシャを睨み返す。
「それでいいよ。結局私たちはこういうモノだ」
「よそ見ばかりはしてもらっては困りますよ!」
先ほどよりも強く強化された無数の銃弾。狙いなど大きくつけなくともその弾丸は彼女を狙い、追い続ける。
「――早くなったか……!」
先ほどと同じように大剣を盾にしようとするも、多方面から追尾する銃弾が迫れば一方からの防壁など大した意味を成さない。
遅れて居合の構えに入りはするも、彼女が刀を引き抜くよりも早くその体を無数の銃弾が穿つ。
「これ、友人に教わった死霊術の応用なんです。ちょっと皮肉ですかね?」
弾丸に撃ち抜かれ、膝をついた彼女にヘルミナは告げる。
「死者を追い続ける死霊の弾丸、か。まったくもって……そうだね、夢も叶えられず、半ばで散って……戻ってきてまでこんなことをしてる私相手にはいい攻撃だよ」
その状態からも、彼女は一本の短剣を引き抜きヘルミナに向け。否、彼女のガジェットを狙い打ち抜いた。
「……っ! 予想外のことばかりしてくれますね」
「ああ、そうだよ。私はいつでも誰にも従わない……あんた達も殺して、やらなきゃいけない仕事が残っているんだ」
"敵"を見据えるその目はまだ、強い力を残していた。
大成功
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四軒屋・綴
村の子供達がな、貴様のことを心配していた。
……祝福を、そして感謝を。
貴女は人々を守ってくれた、昔も、そして今も。
手合わせ願おうッ!静謐の、安けき眠りの守り手よッ!!
先ずはユーベルコード発動ッ!!二両のアームズジョークとモックズブッパを変形連結させから長大な光刃を発振ッ!
……勝負ッ!
八双の構えから低い姿勢でブースト【ダッシュ】ッ!【オーラ防御】【防具改造】【念動力】、蒸気オーラを直線上に伸ばし動きを止めて【怪力】【グラップル】ッ!左手で相手の右手を押さえて後ろに回り込み体当たりと【衝撃波】で無理やり隙を作り光刃で【なぎ払う】ッ!
……俺も、いつかは貴様のようになるのかもしれないな。
それでも、だ。
「村の子供達がな、貴様のことを心配していた」
猟兵達を睨みつける彼女に対し、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)はここにたどり着くまでに村で彼女を心配する子供の言葉を伝えた。
対する彼女は揺れる様子もなく「そう」と小さく答えを返し、刀に手を添える。
感情がない、というわけではないのだろう。確かに彼女は心配している、だがその心は氷のように凍てつき、閉ざされているだけなのだろう。
「……祝福を」
「何……?」
綴は小さく、だが最大限に感謝を込めて呟く。
「そして感謝を。貴女は人々を守ってくれた、昔も、そして今も」
彼女はオブリビオンでありながら、過去の生き方をそのまま再現している。すなわち、人を守るために人を殺す。褒められた生き方ではないにしろ、これが彼女にとっての守り方なのだろう。
だからこそ、綴は強く一歩を踏み出す。
「――手合わせ願おうッ! 静謐の、安けき眠りの守り手よッ!!」
「……いいよ、相手になろう。正義の味方」
綴がユーベルコードを起動し、背部の蒸気機関型ユニットを分離、手にした大型ライフルモックズブッパと合わせて変形合体させて長大な光刃を発振、形成させる。
対する彼女は凛としたまま刀に手を添えているが、あれでいて隙が見えない。
「……勝負ッ!」
だが攻め込まぬわけにはいかない。綴にも想う事はあるからだ。
構えを整えると同時に低まった体勢のまま、背部のユニットから蒸気を噴き上げながらブースターをふかし、全面にオーラを展開しながら直進する。
彼女はそのまま刀を引き抜き、目にも止まらぬ無数の斬撃を見舞うが綴は止まらない。軽い一撃では抑えきれないと判断した彼女は刀を手放し、大剣へ手を伸ばす。
「おおおおおッ!!」
だが、武器を構えるよりも早く、雄たけびと共に彼女の動きが鈍る。
「……っ、考えたな……!」
蒸気オーラを念動力で伸ばし、動きを阻害させると同時に綴は勢いよく距離を詰め体当たり気味に彼女に肉薄するとその右腕を抑え込むと同時に後方へと回り込む。
流れる様に後方に回り込み、そのまま体当たりと同時に衝撃破を放ち、彼女を吹き飛ばして地に転がさせる。
『捨・礼・列・車ッ!』
同時に、勢いよく振りぬいた光刃が彼女に直撃し、その体を深く傷つけ、片腕を文字通り吹き飛ばす。
「……やるな」
強烈な一撃を叩きこんだにも拘らず、綴の動きがわずかに鈍る。
「悪いね、一番得意なのはこれなんだ」
腕を吹き飛ばされても至極冷静に。まともな人間な感性ではないと言わんばかりに彼女は立ち上がる。
綴の腕を僅かに電流がショートする。機能不全ではないが、組み付いたわずかなタイミングで的確に人でいう急所を狙い格闘術を見舞っていた。
追い込んでいるというのに、油断はできない。まだ腕が動くことを確認しながら彼女を見据える。
「……俺も、いつかは貴様のようになるかもしれないな」
ぽつりと、彼女を見て綴はそう呟いた。
「………」
小さく口が動く。彼女は何と言ったのだろうか。
大丈夫。そういったようにも思えなくはない。だが、それでもだ。
ここで、負けるわけにはいかないと、綴は彼女に立ち向かう。
大成功
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蛇塚・レモン
駆け付けた先で状況判断
(学習力+世界知識+戦闘知識+情報収集)
黒猫と対話を図る
(コミュ力+優しさ)
なるほど、大体判ったよ……
『事件の首謀者は人間で、オブリビオンのあなたが首謀者を断罪した』
あなたは、蘇ってもなお、守護者であり続けようとしたんだね……
その魂と志は、どうしようもなく正しくて、まぎれもない正義だと思うよ
だとしても……!
過去から蘇ったあなたの行いは、未来を喰らうと同義なんだよ
だから、あたいたちが出会ってしまったんだ……
(至極悲しそうに)
……と会話を囮に、実は黒猫の背後の空間に魔法陣を生成していたり
(だまし討ち+目立たない)
蛇神様、やっちゃって!
あたいの正義でぶった斬る!(蛇腹剣で攻撃)
「なるほど、大体判ったよ……」
遅れて駆け付けた蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)は手早く情報を集め、現在の状況を把握した。
事件の犯人はこの世界の住民であり、オブリビオンがその犯人を断罪した。というのが今回の事件の巻末だ。
「あなたは、蘇ってもなお、守護者であり続けようとしたんだね……」
そんな彼女を見て、レモンはそう言葉を口にした。優しい言葉で、彼女に届くように言葉を繋ぐ。
「その魂と志は、どうしようもなく正しくて、まぎれもない正義だと思うよ」
オブリビオンであっても生き方を変えぬ。それは紛れもなく正しいものだ。
だとしても、彼女はそれを否定する。
「過去から蘇ったあなたの行いは、未来を喰らうと同義なんだよ。だから、あたいたちが出会ってしまったんだ……」
オブリビオンと猟兵が出会う。それだけでオブリビオンが未来を喰らうという事、至極物悲しそうな言葉を彼女に向ける。
「………」
そんな言葉を紡ぎながらも、レモンは確実に用意を行っていた。
彼女の背後に用意した魔法陣、目立たせずに仕掛けを施してだまし討ちの準備は完了している。
「今! 蛇神様、やっちゃって!」
魔法陣を起動、それと同時に魔法陣から彼女の親友である白き蛇神が姿を現し、彼女へ迫った。
「……だよね」
そう小さく呟いた彼女は、攻撃を回避しようとはしなかった。
何度も経験したと言わんばかりに諦めと悲しみを秘めた小さな言葉を残し、彼女は巨大な蛇の一撃を受け、宙に舞う。
「あたいの正義でぶった斬る!」
それを好機と見たレモンは蛇腹剣を振るい、彼女の胴を全力で薙いだ。
これまでの戦いの疲弊か、彼女はそのままゆっくりと消えていく。無事に倒しきれたと確信したレモンは腕に痛みを感じる。
そこには一本のナイフ。レモンの正義を否定するとでも言わんばかりの反撃か、それとも何か意味があるのか。
小さな痛みを残しながらも、この戦いは無事に終わった。
ただ、それだけがこの空間を支配したが、猟兵達は無事に依頼を終え、帰還することになる。
成功
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