バトルオブフラワーズ④〜新じゃがの陣
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「やぁ、集まってくれてありがとう。早速だけど、本題に入る。聞き及んでいると思うけれど、キマイラフューチャーが割れた」
挨拶もそこそこに、ディフ・クライン(灰色の雪・f05200)は至極真面目にそう告げた。
先日の所謂テレビウム・ロック事件でテレビウムの顔に鍵が映ったのは、キマイラフューチャーの中枢『システム・フラワーズ』からの救援要請だったことが分かった。
猟兵たちの活躍により、システム・フラワーズへのメンテナンスルートを開放されたわけだが。
「まさか世界を丸ごと真っ二つとは、なんとも豪快だね…。とはいえ、オブリビオンがこの機会を逃すわけもない」
既に中枢はオブリビオン・フォーミュラの『ドン・フリーダム』に支配され、それに通じるルートも占拠されている。
『システム・フラワーズ』に至るためには、まず周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を取り戻さなくてはならない。
――戦争だ、と、彼は言った。
●というわけで。
「まずは初戦。皆にはザ・フードステージと呼ばれる場所にある、じゃがいも畑に向かってもらいたい。ただ、いつもの戦闘とは勝手が違うから、よく聞いて」
ディフが投影した映像には、あるじゃがいも畑で魚頭に鶏頭、たこさんウィンナー頭の怪人たちが、せっせとじゃがいもを収穫している様子が映し出されている。
シュールだ。
「ここではオブリビオンに一定数以上のじゃがいもを収穫されると、例え敵を倒したとしても強制的にオレたちの負けとなる。しかも厄介なことに、あのオブリビオンたちは『収穫中は攻撃を無効化する』能力を備えている。それをどうにかする鍵は…敵が収穫したじゃがいもだ」
収穫物を山高く積み上げられてはいけないのなら、その収穫物の山を減らせばよい。
更に収穫をしていると腹が減るのか、怪人たちはそこに美味しそうな料理があるのなら、作業を中断してそちらに引き付けることが可能だ。
収穫作業中でないのなら、オブリビオンは無敵ではない。猟兵の攻撃も通り、倒すことも可能となるだろう。
「これを一度にこなす一石三鳥の方法はひとつ。みなに、敵が収穫したじゃがいもを使って料理を作ってもらいたい。思わず怪人が飛びつきたくなるような、美味しそうな料理を頼むよ」
つまりはそう、飯テロだ。
このステージでは猟兵たちの飯テロによって、オブリビオンを倒すのである。
幸い収穫されたじゃがいもは、畑の傍の食堂近くに山積みされている。
調味料や調理器具なども一通り揃っているので、料理はそこで行うのが良いだろう。
季節は春。材料は積み上げられし新じゃがいも。
家庭料理から高級料理まで、幅広くこなせる高ポテンシャルの持ち主。
これをどう料理するかは、猟兵たち次第。
「キマイラフューチャーの未来の為。少々特殊な戦いだけど、成し遂げてくれると信じているよ」
いってらっしゃい。気を付けて。
ディフはそう告げると、雪の結晶に似た転送陣を展開した。
花雪海
閲覧頂きありがとうございます。花雪 海(はなゆき・うみ)と申します。
本作は少々特殊なルールとなっておりますので、ご参加の際はご注意下さい。
●このシナリオについて
本作は【バトルオブフラワーズの戦争シナリオ】となります。
●特殊ルール
このステージでは、食材を収穫中のオブリビオンは攻撃が無効になるという特殊能力があり、一定以上の収穫をされてしまうと、猟兵側の敗北になります。
本作では、敵が収穫したじゃがいもを使って料理を作り、敵の食欲を刺激しておびき寄せてから攻撃することで、撃破が可能となります。
なお、自分で料理をして食べさせ攻撃してもよいですし、料理・攻撃と役割分担をしても問題ありません。
●オブリビオンについて
基本的にはこちらが攻撃しなければ、収穫作業に勤しんでいます。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『タンパク質三人衆』
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POW : ニワトリ怪人・ウェポン
【ニワトリ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : サカナ怪人・ジェノサイド
【サカナ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : タコさんウィンナー怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【タコさんウィンナー】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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ツーユウ・ナン
(サムライエンパイア出身の為、謎の法則が支配するキマイラ世界の戦いに戸惑いつつ)
何か法力や呪術の類じゃろうか……ならば考えても仕方ない。グリモア猟兵の助言に頼る他あるまい。
田舎の寺育ちゆえ、大した料理はできんが久しぶりにやってみるか。
◎新じゃがの味噌炒め
・小ぶりな新じゃがをザルに山盛り取ってきて水洗い(機械の使い方に苦戦)
・大きな鉄鍋に油を敷き、洗った芋を入れて皮目を炒めたら、湯を浸る位注いで加熱
・箸を刺し火通りを確かめたら味噌と砂糖を加え、両手で豪快に大鍋を煽る
・水気を飛ばし甘辛味噌が全体に絡めば完成
わしには懐かしい味だが、連中に効くじゃろうか?
⇒食べ終えた所をサクッと突きや肘撃『UC』
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天気は晴天。場所はサイバーパンクな世界の一角にある、広大なじゃがいも畑。
そこでせっせとじゃがいもを、なぜか機械を使わず(怪)人力で収穫する、ニワトリ怪人・サカナ怪人・タコさんウィンナー怪人から成るタンパク質三人衆……が、いっぱい。
ステージに漂う何とも言えないごちゃまぜ感が、ある意味キマイラフューチャーらしさだろうか。
サムライエンパイア出身のツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)は、二度目の来訪ではあるものの、珍妙な世界に未だ慣れぬ様子で戸惑いを浮かべる。
このステージも何か法力や呪術の類かと考えてみるも、今それを考えても仕方がないと頭を振る。
だって、キマイラフューチャーだから。
「田舎の寺育ちゆえ、大した料理はできんが……久しぶりにやってみるか」
出発前にグリモア猟兵が告げた助言に頼る他ないと、ツーユウは行動を開始した。
山積みされた新じゃがいもから、小ぶりのものをザルに山盛りたっぷり拝借したら、まずはそれを水洗い。 見慣れぬ機械の使い方に四苦八苦しつつも、綺麗に泥を落とせば、薄い皮から白色が透けて淡い黄色が輝いて見えるよう。
次に大きな鉄鍋に油を敷いて、新じゃがの皮目を炒めたら、じゃがいもが浸るくらいにお湯を注いで茹で上げる。
箸がすっと通るくらいに柔らかくなったら、味噌と砂糖を加え、ここからがツーユウの腕の見せ所。
鍛え上げられた筋力を惜しみなく使い、両手で持った鉄鍋を豪快に煽る。水気がなくなり、甘辛味噌を満遍なく纏えば、『新じゃがの味噌炒め』の完成だ。
味噌と砂糖の香りが畑に漂ってゆき、汗水たらして収穫作業をしているオブリビオンたちがそれに気づいて思わず手を止めた。
そこに、大皿に豪快に料理を盛りつけたツーユウが、用意されていたテーブルにそれを置いてにっと笑う。
「ほれ。働いたあとの飯は格別じゃぞ。遠慮はいらん、食え」
じゃがいもから立ち上る湯気は出来立ての証。漂う甘辛味噌の香りは空腹にダイレクトにヒットし、辛抱堪らずオブリビオンは収穫を投げ出して料理にがっついた。
丁寧で、かつ大胆に仕上げられたその味噌炒めは、ツーユウにとっても懐かしい味。オブリビオン連中にとってはどうだろうかと様子を見ると――
「うめぇ!」「新じゃがと甘辛味噌のマリアージュや」「米が欲しい絶対米が進むこれ」
タンパク質三人衆が大絶賛でがっついていた。
やがて大皿の『新じゃがいものみそ炒め』をぺろりと平らげ、「ごっそさーん」と三人衆が席を立つ。
「お粗末様。口には合ったかい?それじゃ、お勘定の時間だ」
言い終わると同時に、ツーユウの回転伸縮が乗った突きが、三人衆を纏めてぶっ飛ばした。
成功
🔵🔵🔴
黒暗九老・有麓落羅区
新じゃがはどんな料理にしても美味いからのう。ポテトサラダを作ってみるのじゃ♪
ミーは料理に自信が無いし、料理の先生を呼んでみるかのう。
畑に転がっている小石を拾い、顔を描く。そしてそこにUC【ゴッド・クリエイション】で知性を与え、その小石に料理を教えてもらいながらポテトサラダを作る。
敵が料理に引き寄せられ食べ始めたら「目立たない」でそっと近寄り「なぎ払い」で攻撃。
大量の新じゃがに頭が食べ物のオブリビオン…なんだかミーもお腹空いてきたのう
(絡みアドリブ大歓迎です)
ジェン・ジェンガラ
キマイラフューチャーがなくなると、絵のモチーフが一つ減ってしまうからのう…退治せねばならぬな。
ジャガイモ料理か…やはり気を引くには香ばしい香りかのう。皮のついたまま適当に切って、高音の油で素揚げにしたあと塩をまぶしてと…ほい、フライドポテトの完成じゃ。
夢中に食べているところを、後ろから「グラフィティスプラッシュ」でまとめて退治してやろう。
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ぶっ飛ばされた三人衆が、綺麗な放物線を描いて畑に頭からめり込んだ頃。
二人の猟兵が収穫されたじゃがいもの山を見上げていた。
「新じゃがはどんな料理にしても美味いからのう。ミーはポテトサラダを作ってみるのじゃ♪」
「ジャガイモ料理か…やはり気を引くには香ばしい香りかのう」
せっせと籠にじゃがいもを山積みしているのは、黒暗九老・有麓落羅区(戦闘狂の神・f16406)とジェン・ジェンガラ(悠久なる遊興・f16501)。
呪いの武具を全身に装備し、若干不穏な見た目ではあるものの、有麓落羅区は山盛り新じゃがいもを前にウキウキだ。
とはいえ、浮かれてばかりでもいない。彼は自分に対する現状把握と対策が、既にできている。
「ミーは料理に自信がないし、料理の先生を呼んでみるかのう」
そういうと、有麓落羅区は畑に転がっている石を目に留め、それにペンで顔を描いた。そうすればそれは、もう彼の創造物。
ゴッド・クリエイションにより命を吹き込まれた小石くんは、知性の祝福を得て有麓落羅区の料理の先生という役割を得る。
調理場にて小石くんの指導の元、新じゃがの皮を剥き、人参と共に茹でておく。きゅうりには塩を振り、新玉ねぎは水にさらしてから、二つとも水気を絞る。卵を茹でて冷水に取り、殻を剥くのは何だか楽しい。
茹で卵を粗みじん切りにする際、うきうきと呪われた刀を使いかけて小石くんに慌てて止められるというハプニングもあったが、それはご愛敬。
じゃがいもを潰して全ての材料と調味料を混ぜ合わせれば、ほくほく美味しいポテトサラダの出来上がりだ。その会心の出来に、ころころ転がって花丸を描く小石くんを見て、有麓落羅区はクシシと笑った。
「キマイラフューチャーがなくなると、絵のモチーフが一つ減ってしまうからのう…退治せねばな」
新じゃがいもを一山持ちながら、ジェンは小さく肩を竦めた。今は絵を描くことに一番の楽しみを見出すジェンにとって、興味深く珍妙な題材となるキマイラフューチャーが消えてしまうのは一大事なのだろう。
ならばとジェンが作るのは、フライドポテト。新じゃがいもで作れば、外はカリカリ、中はほくほくの理想のフライドポテトを作ることが出来る
綺麗に泥を落としたら、皮つきのままざっくり刻む。高温の油で素揚げをして、油をきってから塩をまぶせば出来上がりだ。
じゃがいもを揚げる香ばしい香りにつられ、敵が腹を鳴らして次々とテーブルに駆け寄る。
その上には既に、盛り付けが終わった山盛りポテトサラダと、メガ盛りフライドポテトが並んでいる。
「ミーたちのお手製じゃ、食べるがよいぞ!」
「せっかくおぬしらの為に作ったのじゃ。残すでないぞ?」
神様二人のお手製とあっては、食べぬわけにはいかない! きっと何かのご利益があるに違いないと、集ったオブリビオンが喜んで料理を食べ始める。
だが、オブリビオンは知らなかったのだ。
有麓落羅区は戦いや呪いの神に見えるが、そもそもに彼は戦闘狂なだけで武神のような御利益はない。
ジェンは今は絵画を極めようとしている最中。
今彼ら二人が此処に居るのは、紛れもなくこのステージを取り戻すためだ。
「うめぇ」「いも最高」「マヨネーズはいい…じゃがいもとの相性が抜群だ」「塩味はいい……じゃがいもの甘味を相反する味で引き立たせる」
夢中でポテトサラダとフライドポテトを食べ進める三人衆に、有麓落羅区とジェンは顔を見合わせ頷き合う。
食事中とあらば、敵の注意は散漫となる。
右後方に有麓落羅区が気配を殺して近づき、左後方にジェンが陣取った。
「「せーのっ」」
合図と共に有麓落羅区が敵を薙ぎ払い、ジェンがグラフィティスプラッシュで塗り潰す。
狙い通り注意を怠っていたオブリビオンは、為す術なく消えていった。
「それにしても、大量の新じゃがに頭が食べ物のオブリビオン…なんだかミーもお腹空いてきたのう」
肩を竦める有麓落羅区に、ジェンが「ほれ」とフライドポテトを差し出す。貰って一つ口にすれば、塩味とじゃがいもの甘さが調和して、思わずもう一つと手が伸びる。
その傍らで、ジェンもポテトサラダをつまみ食い。
美味しいものは、シンプルに料理しても凝って料理しても美味しいものだ。
戦争の最中ではあるが、このくらいは許されるだろうと二人の神は悪戯に笑うのだった。
成功
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銀座・みよし
じゃがいも…しかも新じゃがだなんて、これは腕の振るい甲斐がございます!
もはや必然の運命にございますゆえ、やるより他ありません…
皆様お集まりくださいませー、キマフュ芋煮会の開催にございますー!
…そういうわけで、本来は里芋ですが今回はじゃがいもを使って芋煮を作ります
ご安心くださいませ、わたくしはこれでも料理は得意にございますゆえ!
贅沢に芋と具を一杯入れて…
山形風は牛肉に醤油味で、仙台風は豚肉に味噌味で整えております
お好きな方を選んでお召し上がりくださいませ!
攻撃…?
あっ、忘れるところでございました…
怪人さんたちが油断したところにUCを使用し、でっかいセトさんでぷちっといたしましょう
(アドリブ歓迎!
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猟兵たちがじゃがいもの山を崩し、じゃがいもの飯テロにつられたオブリビオンを順調に減らしていく。効果は確実に表れていて、少しずつ、オブリビオンたちの収穫ペースが落ちている。
そんな中、最初よりも高さが減ったじゃがいもの山の前で、銀座・みよし(おやしきのみならいメイド・f00360)は手をぱちりと叩いた。
「じゃがいも…しかも新じゃがだなんて、これは腕の振るい甲斐がございます! 」
これは必然の運命。神より下されし神託。キマフューがみよしに「ゆーやっちゃいなよ☆」と囁いている。
ならばやるより他ありませんね!!
青の瞳をきらっきらに輝かせ、持ち前の技能とメイドスキルを駆使して会場を設営する。そこで満を持して彼女が宣言するのは……!!
「皆様お集まりくださいませー、キマフュ芋煮会の開催にございますー! 」
Why 芋煮……?
いくら怪人とはいえ、思わず突っ込みをせずにいられなかった。
しかしみよしは動じない。
「ご安心くださいませ、わたくしはこれでも料理は得意にございますゆえ! 」
今、怪人たちの目の前には大型鍋が二つ。その蓋を開ければ、食欲をそそる香りがわっと立ち昇る。本来なら芋煮に使用するのは里芋だが、今回は新じゃがいもをふんだんに。他の具材も贅沢使い。
「右の山形風は牛肉に醤油味で、左の仙台風は豚肉に味噌味で整えております。お好きな方を選んでお召し上がりくださいませ!」
にこりと微笑むみよし。差し出されるお椀と箸。ならば、今は収穫の時ではない。
今はどうやら、芋煮会の時!!
きっちり半々に分かれたオブリビオンは、みよしによそってもらった芋煮を手に、どこか「これだよこれ」という表情を浮かべている。
みよしの言う通り、彼女の作った芋煮はどちらもとても美味しい。
「やっぱ豚肉に味噌が正義」「じゃがいもで作るとあっさりで、割と行ける」「牛肉に醤油こそジャスティス」「牛肉なんて正気か?」「正味豚汁じゃないのそれ」
などと言っていたら、今ここで芋煮戦争が開幕してしまいかねなくなっていた。
攻撃や戦争などというものは望むところではないと、ピンクの髪をあわあわ揺らしたみよしは、しかし戦争・攻撃という単語ではっとする。
新じゃがと芋煮に集中していたが、今はそういえば、戦争中――!!
「あっ、忘れるところでございました…」
改めて怪人たちを見やると、今は芋煮と芋煮戦争でみよしや収穫どころではない様子。こちらを警戒していない今ならば、目の前の連中を一網打尽にできそうである。
「ならばセトさん、お願いします!招かれざるお客様のお帰りにございますれば……!」
隙を逃さずにみよしは、『土豚を象りし暴風と雷鳴』を発動させた。
彼女によって召喚された巨大ツチブタが、みよしの目の前のオブリビオンたちを一気にぷちっと押し潰す。
セトさんが消えた後に残ったのは、オブリビオンたちが綺麗に食べ切った二つの鍋と、事を成し遂げ、満足そうに可愛いリボンを揺らすみよしだけであった。
成功
🔵🔵🔴
エダ・サルファー
じゃがいもって良いよねぇ。
炒めてよし、煮てよし、揚げてよし、蒸かしてよし。
焼いてバター乗っけるだけでもとんでもなく美味しいもんねぇ。
だからこそ腕のふるい甲斐もあるってもんだよ!
だがしかし、作るのは定番の肉じゃがだったりするのだ。
何故肉じゃがなのか?
それは男子が望む家庭料理の定番だからだ!
こういうところで美味しい肉じゃがなんかを作って女子力アピールをしとかないと、なんでも暴力で物事を解決するドワーフだと認識されかねないからなぁ。
こう見えてお年頃のレディですよ私は。
それはそれとして、釣られてくれたオブリビオンには最後にバックドロップをプレゼントするよ。
暴力で物事を解決するのが得意なのは事実なんで。
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当初から比べると、その数を半数以下に減らしたオブリビオン。当然収穫ペースも落ち、ルール把握をしっかりとして、対策を立ててきている猟兵たちはかなり有利に事を運んでいた。
「じゃがいもって良いよねぇ。炒めてよし、煮てよし、揚げてよし、蒸かしてよし。焼いてバター乗っけるだけでもとんでもなく美味しいもんねぇ」
腕組みをしながら、こくこくと頷くのはエダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)。ドワーフの聖職者にして戦士だ。彼女の言う通り、じゃがいもというものはどのように調理しても美味しく出来る、料理初心者から熟練者まで、皆が認める万能食材だ。だからこそ――
「だからこそ腕のふるい甲斐もあるってもんだよ!」
気合と共に腕まくり。どんな豪快な料理でも作れそうな様子のエダだったが、彼女が選んだメニューは家庭料理の定番中の定番、肉じゃがだった。
それは何故か。
「男子が望む家庭料理の定番だからだ!」
某国において、男子が彼女に求める技量の一つに、『美味しい肉じゃがを作れる』というものがあるらしい。所謂家庭料理をちゃんと美味しく作れる女子は、男子にとって大変魅力的にうつる、らしいのだ。
料理が必須な場面において、美味しい肉じゃがなんかを作って女子力をアピールしておけば、そりゃあ周囲からも「実は家庭的な女の子
……!?」なんて思われたりもするだろう。というかそういうことをしておかないと、なんでも暴力で物事を解決するドワーフだと認識されかねない、とは、本人の談。
それが事実かどうかはともかくとして、エダだってお年頃のレディ。そういうことを気にするお年頃だ。
エダが高い料理技能を使って作った肉じゃがは、蓋を開ければ瞬く間にその香りを畑全体に広げていく。酒と醤油とみりんが黄金比で混ざり合った香りは、何とも抗いがたい誘惑の香り。空腹というスパイスが更にそれを強化している。
ふらふらと肉じゃがに近寄ってくるオブリビオンに、炊き立てご飯と一緒に差し出しちゃたのなら。
オブリビオンは、学生の如くがっついて、肉じゃがとご飯をかきこむのを止められない。
「うめぇ、うめぇよ……」「くっ、急にお袋の飯が食いたくなってきやがった」「こんなおいしく肉じゃが作れるとか、すげぇ家庭的じゃん」
オブリビオンたちの言葉を適当に聞き流し、やがて用意された肉じゃがとご飯を、一粒残らずオブリビオンが食べ切ったその時。
今までそれを満足そうに見守っていたエダが、素早く動いた。
背後から片脇に頭を潜り込ませ、相手の腰を両腕で抱え、
「掴んだ!決める!」
高く跳躍し、祈りとPOWを込めて、思い切りバックドロップをお見舞いした――!!
オブジェよろしく、次々と脳天から畑に突き刺さるオブリビオン。
肉じゃがを食べていた全てのオブリビオンを突き刺し終え、一仕事終えたと手を払いながら、エダは事も無げに言う。
「私のプレゼントは気に入ってくれたかい。暴力で物事を解決するのが得意なのは、事実なんだ」
そんなエダの言葉に反応を返せるような敵は、残念ながらいなかった。
成功
🔵🔵🔴
無明・緤
■アドリブ歓迎
NECO'Sキッチン、今日の料理は
新じゃがのジャーマンポテト!
ケットシーの無明と
絡繰人形の法性でお送りするぜ
新じゃがを洗って芽を取り皮付きのまま乱切り
人形を電波で【操縦】し玉葱とベーコンの下拵えをさせて
並列処理で迅速調理
ベーコンを先に炒め油に旨味を移し
畑へ匂いを届けて食欲刺激
玉葱、芋をこんがり柔らかくなるまで炒めたら
塩胡椒で仕上げ。ベルで完成を報せよう
旦那、働いた後のコイツはどうです?と酒も勧める
一杯なら大丈夫ですって!と【鼓舞】し呑ませて動けなくしてやろう
新じゃがサイコー!乾杯!
※おれは未成年なのでジュースです
おかわりも勧め、満足させた所で
UC【エレクトロレギオン】で攻撃して〆
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料理につられ、美味しい食事に舌鼓をうっては、ぶっ飛ばされぷちっとされ頭から地面に突き刺さり、きらきらと消滅していくオブリビオン。収穫して山積みしたはずの新じゃがいもの山は、気づけば既に半分以下。タンパク質三人衆に至っては、気づけば残り一組という大惨事。これはまずいとオブリビオンたちは(怪)人力収穫を止め、巨大ハーヴェスターを出すしかないという結論に至る。
だが。追い詰められた怪人。最終兵器の巨大メカ。これ即ち――。
「NECO'Sキッチン、今日の料理は新じゃがのジャーマンポテト! ケットシーの無明と、絡繰人形の法性でお送りするぜ!」
唐突に料理番組がはじまった。
…否、別に放送しているとかではないのだが。
いや、せっかくだから中継しよう。だってキマフューだもの。
というわけで、キッチンにお邪魔します。
本日お料理をしてくれるのは、ケットシーの無明・緤(猫は猫でしかないのだから・f15942)と、その絡繰人形・法性。
メインとなる材料は、もちろん新じゃがいも!
新じゃがを綺麗に洗ったら、まずは芽を取り、皮付きのまま乱切りに。
その間も法性を操り、平行して玉葱とベーコンの下拵えをさせておく。
無駄な時間は一切なし。迅速な処理は、彼ならではの技法だ。
下拵えが終わったら、次はフライパンの出番。ベーコンを先に炒めて油に旨味を移し、空腹を誘う匂いを風に乗せてオブリビオンたちへと届ける。
その興味を引くことに成功したなら、玉葱・じゃがいもを投入。こんがりと材料を炒めたなら、塩胡椒のスパイシーな香りが畑を走り抜ける。
緤と法性が連携し、次々と手際よく料理をする様は、まるで踊っているよう。
そのダンスも、完成を告げるベルを鳴らしたら、おしまいだ。
作り終える頃には、彼らの周りにはハーヴェスターに乗ったオブリビオンたちが、惜しみない拍手を贈っていた。
「旦那、働いた後のコイツはどうです?」
と、法性を介して緤が酒を勧める。流石に戦争中、作戦中の身で飲酒は…と渋る怪人たちだが、緤の「一杯なら大丈夫ですって!」という言葉に流され、ついにそのビールジョッキを手に取った。
既にお気づきかと思うが、このオブリビオンたち、相当流されやすい。
「新じゃがサイコー!乾杯!」「かんぱーい!!」
と、ビールジョッキ(中身はジュースです、未成年だからね)を掲げる緤に、タンパク質三人衆はつられてジョッキを高々と掲げた。
出来立てジャーマンポテトと言えば、そのお供にはやはりビール。塩胡椒でピリリと引き締められた味が、ビールの苦みとよくマッチする。
余談だが、鶏肉も魚もウィンナーもビールに合いますよね。と、誰かが言った気がした。誰だろうなぁ。
「ぷはーー
!!!」「うめーーー
!!!」「やっぱ仕事上がりのビールは最高だなぁおい!!」
既に一仕事終えた気で、法性に注がれるままにおかわりを享受する三人衆。
それを見て、緤の猫の目が、キラリと煌いた。
敵は既に料理に満足し、ビールもおかわり三杯目。へろへろどころかべろんべろんだ。
「それでは、お勘定の時間でーす!」
緤が召喚せしは、百三十五体の戦闘用小型機械兵器。
酔いが回ったオブリビオンに、それをまともに相手どれるような者はいない。
過剰ともいえるくらいの数の機械兵器に成す術なく、残ったオブリビオンは全て撃破されたのだった。
広大なじゃがいも畑は、今はしんと静まり返り、畑を荒らすオブリビオンはもういない。
猟兵たちは、このじゃがいも畑のフードステージに無事勝利をもたらしたのだ。
戦争ははじまったばかり。
とはいえこの勝利は、確実な一歩になるはずだ。
そう確信した猟兵たちは、残った新じゃがいもを使って、少しの間じゃがパーティを開催するのだった。
だって、猟兵たちもお腹が空いたからね!
成功
🔵🔵🔴