闇に覆われたダークセイヴァーのとある村。村外れに屋敷があった。
領主が村に滞在するため、最近に建てられたものだ。
その屋敷の一室のベッドに領主が腰かけている。
領主は女の姿。領主が纏っているのは、足や腹、腕、体の大部分を露出した衣服。肌には紋様。領主は傍らの従者に問う。
「のう、村人の様子はどうじゃ?」
「はい……村人達は皆、領主さまのご威光に畏れ絶望しています」
「それは何より……村人達を虐げる邪悪な領主。物語なれば、それを阻止せんとする英雄が現れても良い頃じゃ」
くく、と領主は喉で笑う。
「英雄が来なければ、さらに邪悪な領主を演じるのも一興。英雄と呼ぶに相応しき者が現れた場合は――真の死闘を!」
領主にしてオブリビオンたるソレは、狂ったように哄笑する。
グリモアベースで。ベッキーウッドは、
「あるいは本当に狂っているのかもしれない……」
ぼそっと呟いてから、猟兵達に語り始める。
「ダークセイヴァーで事件を予知したよ」
ある地方を支配するオブリビオンの領主が、ある村の外れに別荘を建て、滞在しているのだという。
「村の人達は、オブリビオンの領主が傍にきたことで、怯え絶望して暮らしている。それだけじゃない。放置しておけば、領主は村の人々を苦しめるつもりでいるようなんだ。
それを阻止するためにも、別荘に侵入し、領主を倒し、村に平和をもたらしてほしい!」
幸い、領主は別荘にあまり多くの手下を連れてきてはいない。
故に倒すことは十分可能、とベッキーは言う。
「まず別荘に侵入すれば、手下のレッサーヴァンパイア達との交戦になる」
彼女らは、領主に絶対的な忠誠心を持っている。
領主の為なら、命を犠牲にすることも躊躇わない。
「皆なら勝てる相手だと思うけど……敵の士気は高い。ぜったい油断しちゃだめだよ!」
「領主が村に来たのは『村人達を脅かせば、助けにやって来る英雄と戦えるかもしれない』という考えから。
身勝手なオブリビオンからどうか村人達を解放してあげて! 皆ならきっとそれが出来る筈だから!」
ベッキーは皆を信頼した目で見つめ、転移の準備を始める。
支倉みかん
支倉みかんです。ご閲覧ありがとうございます。
今回の戦場はダークセイヴァー。
英雄との戦いを望む夢見がちな暴君に、どうか鉄槌を。
一章では、集団戦。二章では、ボス戦。
無事に村を解放できたなら、三章で村の復興にとりかかれます。
皆様の力と個性を最大限に発揮して、村を救ってください。
よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『レッサーヴァンパイア』
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POW : 血統暴走
【血に飢えて狂乱した姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ブラッドサッカー
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【レッサーヴァンパイア】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ : サモンブラッドバッド
レベル×5体の、小型の戦闘用【吸血蝙蝠】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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●
屋敷の周囲に大木が幾本も生えていたが、どれもが根元から折れ曲げられていた。屋敷に続く道の中央には、赤黒い液体で汚れた剣が刺さっており、その傍に髑髏が置かれている。
それらは村人達を脅かすための演出だろうか。
猟兵達は、それらを通過し屋敷の扉の前に。
扉は抵抗なく開いた。扉の向こう側は、赤いじゅうたんが敷かれた広間。
壁に設置された数多の蝋燭が広間を照らしている。
その広間に女達。透き通るほど白い髪、白い肌……だが、目だけが赤い。
その鮮血のように赤い女達の瞳が、一斉に猟兵達を一斉に見る。
女――吸血鬼達は一様に微笑んだ。
「いらっしゃいませ、お客様」
「お客様が、領主様が望まれた英雄ですか?」
「だとすれば嬉しいことです! ああ!」
「ご主人様は何よりそれを待っていらっしゃった!」
「試しましょう」
「ええ、試しましょう」
「お客様がご主人様が望んでいらっしゃる英雄か――」
「――それともここで死すべき紛い物か!」
牙を剥き出し、吸血鬼達は猟兵へ迫ってくる!
チェリカ・ロンド
『アドリブ絡み歓迎!』
まぁ……こういう手合いは初めてじゃないわ
いつだって傲慢で、どこでも自分勝手で、自分より弱いと分かってる相手を虐げて悦に浸るのよね、吸血鬼って
私の半分はヴァンパイアだけど、ホント、父親に似なくてよかったと思う
いいわ、相手になってあげる
英雄かどうか判断がつく前に消し飛んでも、恨まないでよ!
初手【全力魔法】の【チェリカ砲】よ!
使い魔のコウモリなんか知ったこっちゃないわ。まとめて私の光で薙ぎ払うまで!
近付いてきたら、【怪力】で光聖剣(でかい)を振って応戦よ! 当たれば死ぬほど痛いわ!
館が壊れても、文句言うんじゃないわよ…!
私たちを呼んだのは、あんたらのご主人様なんだからね!
●
チェリカ・ロンドは屋敷の奥を見た。恐らく敵の主がいるのだろう方向を。何か言いたげに揺れる唇。視線を目前の吸血鬼達に戻し、一歩前へ。
「いいわ、相手になってあげる。英雄かどうか判断がつく前に消し飛んでも、恨まないでよ!」
「可能ならば、ご存分に」
チェリカの前で、吸血鬼達は笑う。
吸血鬼とチェリカの間に蝙蝠が発生。蝙蝠、蝙蝠……視界を埋め尽くす大群。
チェリカは両掌を前へ突き出す。
「ご存分にですって? なら、そうさせて貰うわ! ――チェ、リ、カ、砲ぅぅぅぅッ!」
掌から放つは、聖なる一条の【チェリカ砲】。
チェリカの光が、蝙蝠の大群とその奥の吸血鬼に命中し、吹き飛ばす!
「お見事」「ですが、まだ――」
別の吸血鬼達が動く。蝙蝠を連れ、チェリカとの距離を詰めた。
「まだ足りないの? ならとことん応戦してあげる。」
光聖剣「バルムンク」を抜刀。
巨大な刀身をチェリカは軽々操る。姿勢を低くし一撃!
剣が蝙蝠と吸血鬼を薙ぎ払う。弾き飛ばされ、壁に激突する吸血鬼。
チェリカは剣と光を駆使、敵の技を上回る攻撃で、少なくない数の敵を倒した。
チェリカは剣先を残る敵に向け、宣言。
「まだやるの? 館が壊れても、文句言うんじゃないわよ……! 私たちを呼んだのは、あんたらのご主人様なんだからね!」
大成功
🔵🔵🔵
イデアール・モラクス
英雄?クク…アーハッハ!
私は英雄ではない、英雄と呼ばれる勇者すら震え上がる暴虐の魔女イデアールだ!
・行動
「クク…私を試すだと?笑止!」
いきなり『高速詠唱』で【広範囲に雷撃を放つ攻撃魔法】を撃ち、敵の小癪な蝙蝠を『なぎ払い』殲滅してからUC【鏖殺魔剣陣】を『全力魔法』で威力を増し、『範囲攻撃』で空を埋め尽くすほどの数に増やした上で『一斉射撃』。
「貴様らのご主人様とは趣味が合うようだ…ヤるのが楽しみだよ!アーハッハッハ!」
魔剣は命中したら敵を壁か地面に『串刺し』にして縫い止めた上で『属性攻撃』で刀身に雷撃を通して『傷口を抉り』ながら剣に血を『吸血』させ『生命力を奪い』嬲り尽くす。
※アドリブ歓迎
セシリア・サヴェージ
力ある者との戦いを求めるがために民を虐げるとは身勝手な……。領主の願いを叶えるのはいささか癪ですが、暴虐を止めるために戦いに参るとしましょう。
残念ながら私はあなたたちが望むような英雄ではありません。闇より生まれし邪悪な存在であるお前たちの相手は、輝ける英雄ではなく暗黒騎士たる私がつとめましょう。
オブリビオンが召喚する吸血蝙蝠をUC【死翔の黒剣】で召喚した剣で撃ち落とします。どれほど蝙蝠を生み出そうとも【高速詠唱】でそれを上回る速度で剣を召喚し圧倒してみせましょう。
頃合いを見計らって本体のオブリビオンを暗黒剣で両断します。複数体まとめて【なぎ払う】のもいいでしょう。
●
吸血鬼達が呼び寄せた蝙蝠は大量。屋敷内を埋め尽くさんばかりの蝙蝠が、猟兵を襲う。
イデアール・モラクスは己の唇をちろ……と舐めた。
「クク……私を試すだと? 笑止!」
自身の唾液で濡れた唇で詠唱。己が使いこなす《全魔術》の一つを行使。雷が空中を駆け巡る。蝙蝠は雷撃に射抜かれ、落下。床にぶつかり消滅。
蝙蝠たちは、電撃を逃れようと羽を動かす。
セシリア・サヴェージは銀の瞳で敵の動きを見ていた。蝙蝠が方向転換する際に生じる一瞬の隙を逃さない。
「無数の剣に貫かれ、無残な屍を晒すがいい」
行使するのは【死翔の黒剣】。
天井付近に幾本もの剣を召喚、蝙蝠へ降らせる。
剣の切っ先が蝙蝠の胴を貫き、存在を抹消!
吸血鬼達はさらに蝙蝠を召喚するが、セシリアが剣を召喚する方が速い。百八十を越える魔法の剣が、蝙蝠たちをことごとく撃ち落とす。
「これが英雄の力?」
吸血鬼の呟きにセシリアは答えた。
「私はあなたたちが望むような英雄ではありません。闇より生まれし邪悪な存在である」
静かな声で淡々と。
「身勝手な領主の願いを叶えるのはいささか癪ですが……お前たちの相手は、輝ける英雄ではなく暗黒騎士たる私がつとめましょう」
暗黒剣ダークスレイヤーを中段に構える。銀の瞳には、相手を否定する意志。
その隣でイデアールは、
「私もまた英雄ではない。勇者すら震えあがる暴虐の魔女イデアールだ!」
己の豊満な胸を親指でさし、愉快そうに。
「この暴虐の魔女と貴様らの御主人とは、趣味があうようだ……ヤるのが楽しみだよ! アーハッハッハ!」
屋敷中に響く程に哄笑。
セシリアとイデアールは異なる表情をそれぞれ見せつつ、共に敵へ一歩を踏み出した。
そしてイデアールは目を見開く。照明を受けてか、爛々と光る赤い瞳。
次の刹那。ぶすり。吸血鬼の足の甲に剣が刺さる。
イデアールが【鏖殺魔剣陣】にて召喚した剣が敵の足を串刺しにし、床と足とを縫い止めたのだ。
剣は敵の血を吸い、電撃を発する。二種の苦しみに吸血鬼は悲鳴すらあげられず、完全に沈黙。
「アーハッハ!」イデアールの声が響く中、さらに大量の剣が魔法陣から現れ、嬲る相手を探し宙を飛ぶ。
一方。セシリアは未だ残る吸血鬼の群れへ直進。暗黒剣の柄を両手で確りと握りながら。
イデアールの技に巻き込まれなかった吸血鬼達は態勢を立て直そうとしていたが、その余裕をセシリアは与えない。
セシリアは剣を水平に振る。暴風を思わせる荒々しい一閃。敵の胴を、両断!
イデアールとセシリア、二人の剣は確実に敵の命を終わらせていく。
だが、吸血鬼たちは仲間を殺されながらも、微笑したまま。平然と猟兵達に対峙し続ける。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
北条・優希斗
連携・声かけOK
…禍王、また現れるか
いや…また、と言うのは不自然か
…俺はアンタ達の領主様に用がある
そこを退け
先制攻撃+範囲攻撃+串刺し+フェイント+早業+傷口を抉る+二回攻撃+薙ぎ払いを重ね合わせてUC発動
余すことなくUCを叩きつける。
先手必勝でイニシアチブを取れたら
ダッシュを使用して敵に肉薄
双刀を引き抜き、先程と同じコンボで敵の殲滅を目指すよ
生まれ落ちた吸血蝙蝠達は上記組み合わせUCで葬る
回避は見切り+ダッシュ+残像+戦闘知識+情報収集+地形の利用で確実に
状況によっては避けやすい場所等を提示するために仲間達に呼び掛けるよ
それでも回避しきれなければオーラ防御
「お前達の相手をしている暇はないよ」
九条・救助
知るかよ。オレは英雄とかいう奴じゃない。
オレは……ただの人間だ!
正面から乗り込んでケンカふっかけてやる。陽動も兼ねて派手にいくぞ。注目集めりゃ他の人も動きやすいだろーからね。
蝙蝠?使い魔の類か。
いくら出したって無駄だよ。その能力はオレと相性が悪い。
何十体出てこようが、まとめて叩きのめしてやる。《凍神領域》……!半径20メートル。この領域は既にオレが掌握しているッ!蝙蝠どもにはこれで対応し氷矢で更に追撃。そして、吸血鬼の女たちは……クトネシリカでぶん殴る!
つまんねーわがままで人を苦しめてんじゃねー!オレは怒ってんだ!
そこに並べよ。女だからって加減しねー。1人残らず根性叩き直してやるッ!
紬雁・紅葉
まあまあ?死闘をご所望とは…
生き厭きているのでしょうか?
ともあれ、斬るに不足なし
御鎮めします
幽かに笑みつつ羅刹紋を顕わに
【空の魔力】を攻撃力と防御力に付与
九曜を抜き正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔空属性で急所を見切りスナイプし薙ぎ払う
敵の攻撃はUCとオーラ防御武器受け等で受ける
そしてカウンター破魔空属性で薙ぎ払う(蝙蝠には+範囲)
飽くまでゆるりと流れるように
敵の急所に当てて、刃をずらす
敵の攻撃に機を合わせて
受け、滑らせ、斬り祓う
窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
斬りて流して祓いて送り
下りませい
下りませい
いざいざ去り罷りませい
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
リーヴァルディ・カーライル
…ん。正々堂々とした闘いをお望みならば御愁傷様。
生憎だけど私はお前達が望むような英雄じゃないもの。
…お前達を狩るのに、手段を選ぶつもりは無いわ。
事前に防具を改造し、自身の横に存在感のある残像を展開して囮にし、
自身は気配を消す“忍び足の呪詛”と【見えざる鏡像】で不可視化しておきましょう。
あえて正面から突撃して攻撃を誘惑し、カウンターで仕留めるように行動するわ。
暗視と【吸血鬼狩りの業】を頼りに敵の行動を見切り、
第六感が殺気を感じたら武器で受け防御するように心掛ける。
敵が囮に釣られたら【乱舞の型】を発動。
怪力の踏み込みから生命力を吸収する魔力を溜めた双剣の2回攻撃で、敵陣を傷口を抉るようになぎ払うわ
●
「これだけの力、やはり領主さまが望まれた方なのでしょうか……?」
「そんなことオレが知るかよ!」
自問する吸血鬼に、九条・救助は眉をひく、不機嫌そうに動かしながら直進。
「なら試させて頂きましょう。わたくし共の蝙蝠でっ」
「使い魔の類か? だが――」
吸血鬼達は蝙蝠を飛ばしてくるが――蝙蝠の体が唐突に凍り付き、床にぼとぼと落ちる。
「《凍神領域》……! この領域はオレが掌握しているッ! 何十体出てこようが無駄だよ、まとめて叩きのめしてやる!!」
救助は周囲を永久凍土へ変換していた。近づく蝙蝠達を凍らせ、氷の矢で射抜く。
救助は吸血鬼に迫り、目を見開いて叫ぶ。
「聞け! つまんねーわがままで人を苦しめてんじゃねー!」
吸血鬼は口を開き、牙で救助を咬まんとする。
救助は氷の杖クトネシリカを握った。
杖を下から上へ。吸血鬼の顎を痛打。顎を砕かれ、のけ反る吸血鬼。
「オレは怒ってんだ! 女だからって加減しねー。一人残らず、根性叩き直してやるッ!!」
杖を振るい続ける救助。だが救助は気づく。
吸血鬼達は笑んでいる。未だ攻撃が当たってない者も、既に杖で骨を砕かれた者も、嬉しそうに――。
笑む吸血鬼達に北条・優希斗が話しかける
「……俺はアンタ達の領主に用がある。そこを退け」
「では、ぜひ力づくで私達を退けてくださいませ。それができないものをお通しするわけには」
「やはり話は無駄か。なら押し通るだけだ!」
優希斗は屋敷内を駆ける。優希斗に蝙蝠が迫るが、
「多元世界で生まれし刃よ、我が下に集いて踊れ」
優希斗の周囲に無数の刀剣が発生。大小さまざまな刃が、十を越える蝙蝠を一瞬で両断! 【神技・剣王乱舞】!
優希斗と吸血鬼の距離が縮まった。
「蝙蝠はやはり通じませんか。では、我が爪で――」
「遅いっ」
吸血鬼達は優希斗に腕を伸ばす。鋭い爪で肌を抉らんと。だが、優希斗の漆黒の瞳は敵の動きを見切っていた。足を小刻みに動かし、首をそらし、爪を次々かわす。
「お前達の相手をしている暇はないよ」
優希斗が反攻に転じた。蒼月の透き通る刃で前方にいた敵の胴を突く。また振り返って背後を取ろうとしていた吸血鬼を白銀の妖刀・月下美人で、斬る!
距離をとろうと下がる吸血鬼は【神技・剣王乱舞】で剣を飛ばし追撃。
優希斗の周囲に、吸血鬼達の血が流れた。
紬雁・紅葉は残る吸血鬼の前に。
残った敵は皆、傷だらけ。或いは血を流し、或いは折れた腕を揺らす。
「お強い。が、今しばしお付き合いを――AGAAAAAA――!」
ぶくっ……紅葉の前で吸血鬼達が咆哮。その腕や足の筋肉が隆起し、二倍以上に膨れ上がる。
「まあまあ? あなたもあなたの主も生き厭きているのでしょうか? ともあれ、斬るに不足なし。御鎮めします」
紅葉は幽かに笑み、するり体を動かす。晒すは、羅刹紋【ムラクモ】。鞘から抜くは、「九曜」のルーンの刻まれた刀身。
「GAAAA!」
紅葉の前方で敵は涎を垂らしながら、巨大化した腕を振り回す。腕は紅葉に命中。轟音。
攻撃の衝撃に紅葉の体が揺れた。が、紅葉は倒れない。
【トリニティ・エンハンス零式】の【空の魔力】がダメージを軽減したのだ。
敵は今度こそ紅葉を倒すべく腕を大きく振り上げた。
「斬りて流して祓いて送り……」
口ずさみつつ、紅葉は体を捻る。すっと敵の首に刃を当て、ずらす。鮮血。絶命する吸血鬼。
「下りませい、下りませい、いざいざ去り罷りませい……」
舞い散る血の中で紅葉はゆるり流れるように闘い続けた。今もまた、己を殴ろうとしてきた吸血鬼の腕を受け流し、胴を裂く。
リーヴァルディ・カーライルは戦場となった広間を見回す。
狂暴化した吸血鬼どもは、奮戦する紅葉を囲もうとしていた。あるいは、彼女の身のこなしでも多数を同時に相手にすれば、万一のこともあるかもしれない。
リーヴァルディは、傍に自分そっくりの残像を発生させる。
残像はリーヴァルディの意に応じ、敵へ突進。
残像の突進に吸血鬼が反応した。標的を紅葉から残像に変え、殴り掛かる。
リーヴァルディは敵が残像を攻撃した隙に、気配を消し移動。
吸血鬼は囮に気を取られ、リーヴァルディ本体の動きに気づかない。リーヴァルディは敵の背に回り、
「……その命脈を断つ」
【吸血鬼狩りの業・乱舞の型】を発動。
それぞれの手に剣を握り、リーヴァルディは大きく踏み込む。
敵の背に斬撃! 魔刃放つ二振りで敵の肌を裂き、肉を抉る!
「……ん。正々堂々とした闘いをお望みならばご愁傷様」
倒れた敵に小さく声をかける。
「生憎だけど私はお前達が望むような英雄じゃないもの……お前達を狩るのに手段を選ぶつもりは無いわ」
リーヴァルディは双剣を閃かす。己に気づき攻撃してきた別の吸血鬼の腕を、切断。花弁の如く血が舞った。
救助のクトネシリカの打撃が、優希斗の蒼月と月下美人による斬撃が、紅葉の流れるような剣捌きが、リーヴァルディの【吸血鬼狩りの業・乱舞の型】が、敵のことごとくを殲滅。
僅かに命のある吸血鬼が這いつくばりながら顔をあげた。
「あ、あ……貴方達こそ、英雄……どうぞ我らが屍を乗り越え、奥へ……ご主人様は……きっとお喜びになる……」
救助、紅葉、リーヴァルディは死につつある敵に声をかけた。
「先には進む。だが、オレは英雄とかいう奴じゃない。オレは……ただの人間だ!」
「あなたの御主人も、御鎮めしましょう」
「……私はヴァンパイアを狩る。ただそれだけ」
救助は言葉を叩きつけるように。紅葉は淑やかに。リーヴァルディは淡々と。
吸血鬼は三人の言葉をどう受け取ったか、満足げな顔で息絶える。
優希斗は敵の死亡を確認し、屋敷の奥に視線を向けた。
「禍王、か……皆、急ごう」
猟兵達は優希斗に頷き、走り出す。村人達を虐げる暴君を倒すため。
大成功
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第2章 ボス戦
『禍王オメガ・アポレイア』
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POW : 戦神斬
【黒いオーラを纏い、巨大化した刀の居合斬り】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 桜花の刀
敵を【黒い桜の花びらの粒子を出す刀の二刀流】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
WIZ : 戦神弾
レベル×5本の【氷】属性の【超高速かつ大威力の飛ぶ斬撃】を放つ。
👑11
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従者の吸血鬼達を倒した猟兵達は、屋敷の奥へと進んだ。
通路を駆け巡り――そして一つの部屋の扉を開ける。
「入口が騒がしい故、もしやと思っていたのじゃが」
部屋はだだっぴろく、その割に調度品はわずか。
部屋の奥にいた女――少女といっていい幼い風貌のそれは、猟兵達へ、にぃと笑う。
「我が従者を倒すほどの者がついに来るとは。待っておったぞ。待ちわびておったぞ。待ち焦がれておったぞ――英雄よ!」
その瞳には殺意と狂気と歓喜。
「さあ、死闘の果てに暴君たる妾を止めて見せよ。できねば多くの者に災いと死が降りかかる。
――妾は、禍王オメガ・アポレイア。戦神、叛逆の魔神なり!」
少女――オメガ・アポレイアは、悍ましい形をした長刀の切っ先を揺らした。
チェリカ・ロンド
☆アドリブ連携歓迎!
偉そうな割に、餌が運ばれるのを口開けて待ってるだけなのね
まぁいいや。魔神でもなんでも、ボコボコにするだけよ!
【超聖者】に覚醒、聖なる光を纏ってギリギリまで自分を強化するわ。
みんなと連携して光聖剣で接近戦、居合の間合いに入らないよう、大きな剣のリーチを活かして!
すきを見て怪力で刃を叩きつけてやるわ!
敵が距離を取るか味方が押すかしたら、一度後退。力を溜めに溜めて溜めまくる!
敵が弱るか、大きなすきを見せた時がチャンス!
真の姿で威力特大マシマシの【超チェリカ砲】!
魂の一片も残さず、消し飛びなさいッ!!
あでも、味方が傷ついたら【生まれながらの光】で治療するわ。
ほら、私聖女だし……
イデアール・モラクス
叛逆の魔神!相手にとって不足なし、暴虐の魔女がお相手しよう!
・行動
UC【魔導覚醒】を『高速詠唱』で行使。
本気モードになり、魔導防壁を纏いながら空を縦横無尽に飛翔し、両手から次々と『全力魔法』の力で威力を増した『属性攻撃』魔法【風の刃、聖なる光線、闇の球体、炎弾、氷の槍、足元から隆起する石の棘】を無詠唱連射、圧倒的弾幕の『範囲攻撃』と成して敵の飛ぶ斬撃ごと飽和攻撃で『なぎ払う』。
「我が魔力に屈せよ!アーハッハッハ!」
近接戦を挑んで来るなら魔剣ドミナンスを振るい、斬撃を斬り払い『武器受け』して返す刀で『串刺し』にして『吸血』して『生命力を吸収』する。
「私は魔剣使いでもあるのだよ!」
※アドリブ歓迎
●
チェリカ・ロンドは禍王オメガ・アポレイアの言葉を聞き、嫌悪感を露わに。
「待っていた? 偉そうな割に餌が運ばれるのを口開けて待ってるだけなのね」
「成程。なら今は此方から行くぞ、英雄よッ!」
ダンッ。禍王が床を蹴る。超高速でチェリカに接近。チェリカの胴を両断せんと凶刃を振る!
チェリカは光聖剣「バルムンク」を、咄嗟に敵の刃の軌道上へ。一撃を防ぐ。金属音。火花。腕を痺れさせる衝撃。
「侮れないわね……でも、どれだけ強くてもボコボコにするだけよ! 聞きなさい、私はアンタを倒すためにやってきた超聖者チェリカ・ロンドよっ!!」
チェリカは白金の光で身を包む。
【超聖者】としての身体能力を得たチェリカは、バルムンクをぶんと振る。命中っ!
「が……ッ! なんという破壊の力ッ!」
「聖なる力よっ! 私聖女だからっ!」
チェリカは流血した禍王へ、続けて斬撃。巨大な剣を羽のように操り、連撃!
が、禍王は巧みな足捌きでチェリカの攻撃の幾らかを回避、反撃せんと剣を振りかぶる。
「叛逆の魔神! 相手にとって不足なし、暴虐の魔女がお相手しよう!」
イデアール・モラクスは【魔道覚醒】を使用。敵がチェリカを攻撃するより早く、炎弾を発射。
炎弾は敵の顔の前で爆発、敵の動きを止めた。その隙をつきイデアールは宙を軽やかに飛翔。
「私の本気を見せてやる。光栄に思えよ? ――そして我が魔力に屈せよ! アーハッハッハ!」
敵側面から聖なる光を、後方から風の刃を、頭上から闇の球を、足元から石の棘を――室内を縦横無尽に移動しつつ、全方向からあらゆる魔術を連射!
石が禍王の腿を貫いた。が、禍王はなお大きく刀を振り上げる。
「よいぞ、暴虐の魔女よ!」
禍王は剣から巨大な力が迸らせた、
その力がイデアールへ飛ぶ。力はイデアールの風の刃を弾き、宙を動くイデアールに命中!
イデアールは結界でダメージを防ぐ。が、態勢を崩し床に落下。
禍王は走る。落ちたイデアールに迫った。首を刎ねんとする禍王の刀を、
「接近戦ならヤれると思ったか? 私は魔剣使いでもあるのだよ!」
イデアールは暴虐の魔剣《ドミナンス》の真紅の刀身で弾く。
イデアールは返す刀で、突きかかる。渾身の力を籠め。
禍王は後ろに跳び、突きを回避。が、その動きをイデアールは既に読んでいた。
「チェリカよ!」
「ええ。準備万端よ――禍王、威力特大マシマシの一撃よ、魂の一片も残さず、消し飛びなさいッ!!」
イデアールが奮闘する間、チェリカは力を溜めていた。その力を解き放つ。極大の光で禍王を吹き飛ばす!
イデアールとチェリカは確実に禍王を傷つけた。
が、禍王は床に着地し「楽しいのう、英雄ッ!」と大笑。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
北条・優希斗
連携・声掛けOK
……現われたか、戦神
ならばお前も『戦神』を名乗りしオブリビオンを滅ぼした呪われた刀、『月下美人』の錆になるが良い
月下美人と蒼月の二刀流
先制攻撃+ダッシュ+地形の利用+戦闘知識で一気に肉薄
月桂樹で騙し討ち+フェイント。
即座に傷口を抉るべく二回攻撃で早業+鎧砕き+串刺し+薙ぎ払い+串刺しを加えてUCを発動
黒桜の粒子による攻撃は見切り+残像+地形の利用+戦闘知識+情報収集で回避。
斬撃も躱しつつ早業+カウンター+敵を盾にするで太刀を打ち返して自分自身を斬らせる
「その刀……お前には不釣り合いな大きさだな」
何かあれば仲間と情報を共有して連携攻撃で一気に畳みかけるよ
リーヴァルディ・カーライル
…ん。なるほど、お前は異端の神の類なのね。
道理で話が通じないし、不条理な事ばかりしていると思った。
“忍び足の呪詛”を維持して気配を消し【黒炎覚醒】を発動。
他の猟兵と連携し、黒炎の残像を残しながら常に挟撃するよう立ち回る。
第六感が捉えた目立たない攻撃の意志や殺気の存在感を見切り、
魔力を溜めた両目に残像として可視化(暗視)して動作を先読みし、
機先を制した大鎌のカウンターで動きを妨害するよう心掛ける。
敵が隙を見せたら怪力の踏み込みから、
黒炎を宿した大鎌の刃を突き立てて生命力を吸収し、
傷口を抉るようになぎ払う2回攻撃を仕掛ける
…お前がどんな存在であれ、
今を生きる人々を害するならば私の敵よ。消えなさい。
●
リーヴァルディ・カーライルは哄笑する禍王に小さく声をかける。
「……ん。なるほど、お前は異端の神の類なのね。道理で話が通じないし、不条理なことばかりしていると思った」
「そう、話よりも条理よりも、戦を! 死闘を!」
その声を聴き、禍王がリーヴァルディへ突進。
腰に差していた刀を抜き、二刀で斬りかかって来る禍王。
リーヴァルディは紫の瞳の目を見開いた。勘と魔力とで、敵の攻撃の軌道を読み切る。首を数センチずらし、攻撃を回避!
「……今こそ我が身を喰らい顕現せよ、黒炎覚醒」
左目の封印を解除し、【代行者の羈束・黒炎覚醒】を発動。黒炎で体を包む。
黒炎で時間を焼却し、リーヴァルディは速度を爆発的に向上、残像を作る程の身のこなしで敵を翻弄。
しかし、禍王の二刀は執拗、リーヴァルディの体を狙い続けた。
北条・優希斗は室内を駆ける。仲間を害しようとする禍王との距離を詰めた。
振り上げる白銀の妖刀。
「この『月下美人』は『戦神』を名乗りしオブリビオンを滅ぼした、呪われた刀。お前もこの刀の錆になるといい」
「ほう、面白い。その刀でいかに――なっ?!」
刀に注意を惹きつけ、不意を打つように漆黒の短剣・月桂樹を顔へ投擲。
禍王は刀で月桂樹を払うが、
「隙だらけだっ――踊るよ、蒼き月の舞を」
優希斗は【夢月蒼覇斬】を発動。隙が出来た禍王の腹へ神速の突き。
禍王は二刀で一撃を弾く。が、優希斗は止まらない。『月下美人』で斬り、『蒼月』で再び突く。乱れ舞う如き連撃!
はたして『蒼月』の切っ先が禍王の腹を刺した。
「良きかな! 今、妾は死闘の中にいるっ」
禍王は声を弾ませ、
「さぁ――より斬り合おうぞ殺しあおうぞっ」
鮮血を体から噴きつつ、二刀を振り回す。
狂気の猛攻を前に、けれど優希斗は冷静。タイミングを計り、
「斬り合おうというが、その刀……お前には不釣り合いな大きさだな」
月下美人で攻撃を打ち返す! 刀の軌道がずれ、禍王自身の肌を裂いた。
リーヴァルディは敵を観察し続け、好機を待っていた。
禍王は優希斗と痛みに気を取られている。リーヴァルディは気配を消し背後に回り込んだ。
「……お前がどんな存在であれ、今を生きる人々を害するならば私の敵よ」
体を覆う黒炎を大鎌・過去を刻むものにも纏わせ、
「消えなさい」
強く踏むこむ。一撃! 刃の先端で肉を苛烈に抉りたてる!!
未だ愉快そうに刀を振るい続ける禍王。が、優希斗とリーヴァルディが与えた傷から、多量の出血。既に息絶えてもおかしくない程に。敵は確実に消耗している。
禍王を終わらせるべく、リーヴァルディと優希斗は鎌と二刀を構えなおす。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紬雁・紅葉
まあまあ?英雄…ですか?
我等猟兵は手並みこそ違えど、皆英雄ですが…
羅刹紋を顕わに戦笑み
天羽々斬を鞘祓い十握刃を顕現
正面からゆるゆると接敵
間合いに入り次第破魔水属性衝撃波UCを以て範囲を薙ぎ払う
敵の攻撃は躱せるかを見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければオーラ防御武器受け等で受ける
(UC効果も活用)
いずれもカウンター属性衝撃波を狙う
UCの強化効果が出たら範囲攻撃で仲間にも付与
敵の動きが止まったら力を溜めて渾身の一撃でとどめ
窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
戦神魔神とやら
剣神が汝を御召しです
疾く速く
去り罷りませい!
終えて神楽鈴一音
是にて終い、御然らば
一礼
※アドリブ、とっさの絡み、大歓迎です※
●
「まあまあ?」
紬雁・紅葉は血塗れの禍王を見、目を細めた。
「斯様に血を流し、なお意気盛ん……そこまで英雄との戦いをお望みなのでしょうか? 我等猟兵は手並みこそ違えど、皆英雄ですが……」
「ならばお主は如何なる手並みの英雄じゃ? 技を以て妾の身に教えよっ」
己へ剣を向ける禍王。紅葉は笑んだまま、するりと羅刹紋【ムラクモ】を露わに。天羽々斬を鞘祓い。十握刃を顕現。
ゆるりゆるり敵に近づく紅葉の前方で、禍王が剣から力を迸らせた。
「こちらから行くぞ、英雄。戦神弾ッ!!」
禍王の力は、紅葉の肌を裂く。ぽた、赤が落ちる。
禍王は次々に力を放つが、紅葉は止まらない。気でダメージを緩和し、前へ前へ。そして、己の間合いへ入った。
紅葉は十握刃を一振り、敵の顔へ破魔の衝撃波!
「があっ」
顔を打たれ禍王が怯んだ隙に、
「八雲立つ、出雲……!」
紅葉は【九曜陣・八雲】を実行。九本の剣で禍王の全身を突く。背を大きくそらす禍王
「戦神魔神とやら、剣神が汝を御召しです。疾く速く去り罷りませい!」
紅葉は片足を一歩前へ、九曜紋の力を借り渾身の斬撃!
肩を大きく切られ、禍王は笑う。
「楽しき死闘じゃのに、何故去る必要が? ひゃははっ!」
が、紅葉が与えた傷は深い。既に敵は瀕死。
紅葉は仲間に視線を向けた。勝利まで後少しと。
成功
🔵🔵🔴
セシリア・サヴェージ
この禍々しい邪気……禍王と言うだけはある。ですが無辜の民のためにも負けるわけにはいきません。
先ほどのヴァンパイアたちと違い、禍王相手には生半可な力では太刀打ちできないかもしれません。であればUC【闇の解放】で極限まで力を引き出して対抗するまで。
暗黒騎士は傷など恐れません。敵からの多少の攻撃は【気合い】と【激痛耐性】で無理矢理耐えながらこちらも暗黒剣の斬撃で対応します。
私の狙いは彼女が放つ必殺の一撃。それを【武器受け】で確実に防ぎ切った後に【二回攻撃】で一気に攻めたてます。
悪辣なる魔神よ!その欲望と共に闇に呑まれて果てるがいい!
九条・救助
黙れよ、お前
お前はただの誇大妄想狂で、俺はただの人間だ
勘違いするなよ。……お前は、“英雄”と死闘の果てに散るんじゃない
お前は……名乗る名前もないような、ありふれた人間に殺されるんだ
凍神覚醒。力を解放する
強いんだろうな。敵は
だけど……英雄でなくてもお前を殺せるってことを教えてやる
真っ向勝負だ。クトネシリカでの格闘戦を挑む
パワー負けするだろうし、技だって向こうのが強いだろうね
だから、騙し討ちだ
手持ちの武具で打ち合いつつ、敵の死角で氷矢レタルアイを形成し撃ち込む
また、武具での打ち合いに負けクトネシリカを手放したと思わせ……神水の剣で、その心臓を貫いてやる。
妄想垂れ流すのもいい加減にしやがれ。終わりだ
●
「傷だらけにもかかわらず、この禍々しい邪気……禍王というだけはある」
セシリア・サヴェージは瀕死の筈の敵が発する、圧倒的な殺気を感じていた。
「ですが、無辜の民のためにも負けるわけにはいきません……そのためならどんな力でも受け入れよう!」
セシリアは両の拳を強く握り、【闇の解放】を実行、己を闇の化身へ。
「ククッ、お主こそ恐ろしい気を放つではないかっ。戦神たる妾の相手に相応しいっ」
敵の愉快気な声に、九条・救助は眼光を一層鋭くさせた。
「お前が神? 黙れよ、お前。お前はただの妄想狂で、俺はただの人間だ」
吐き捨てるように告げる。
「勘違いするなよ。……お前は英雄との死闘に散るんじゃない。お前は……名乗る名前もないような、ありふれた人間に殺されるんだ――ぐッ、あ、アアアアアアアア、ッ!!」
救助は苦悶の声をあげ【凍神覚醒】! 神格を体に宿し突進。
「英雄でなくてもお前を殺せるってことを教えてやる」
氷の杖・クトネシリカを救助は荒く振る。杖を敵の刀にぶつける。一度、二度と火花を散らす。
正面からの攻撃が当たらないのは予想済み。狙いは別にあった。
救助は杖捌きで禍王の気を惹きつつ、敵頭上に氷の矢・レタルアイを生成。敵の肩を矢で刺す!
不意打ちの矢は深く刺さる。が、禍王は、
「人間を名乗る者よ。我を狂者と言う者よ――見事ッ! 故に死をくれてやるっ」
技を放ったばかりの救助へ、二刀を振り落とす。
「見事だから殺す? そんなこと、させるものか!」
救助を、セシリアが突き飛ばす。救助の代わりに二刀を体で受け止めた。血飛沫。
「先程のヴァンパイア達とは桁が違う威力。生半可な力は通じないか。……が、勝ち筋は見えた」
激痛をものともせず、セシリアは暗黒剣ダークスレイヤーを繰る。暗黒に染まった特大剣の刃が、空気を切り裂き、敵に迫る。
一撃は敵の刃に弾かれるが、セシリアは手を止めない。胴へ足へ頭部へ、暗黒剣を繰り出し続ける。
そして――ついにセシリアの一撃が相手の喉を捉え、深く傷つけた!
喉に致命傷を負った禍王、その紫の瞳が輝きを増す。
「見よ、これが戦神の武技ッ!」
そして禍王は刃がみえぬ程の速度の二撃を放つ。刃がセシリアの腹を裂き、救助のクトネシリカを弾き飛ばす。
救助の腕は敵の一撃の衝撃に痺れていた。その腕を無理やりに動かし、
「妄想を垂れ流すのもいい加減にしやがれ。終わりだ」
神水を凍らせ剣に。敵の左胸を貫く!
セシリアも傷を負いながらなお、
「悪辣なる魔神よ! その欲望と共に闇に呑まれて果てるがいい!」
暗黒剣を一閃、二閃。敵の腹に十字の傷を刻みつけた!
心臓と腹部に受けたダメージに、禍王はうつ伏せに倒れ――それきり立ち上がらない。猟兵の勝利だ!
戦闘が終わり、静まり返った室内で。
セシリアは敵の完全な死亡を確認。仲間に視線を移す。
「勝てましたか……さて、村の皆さんに伝えに行かないといけませんね」
救助は頷く。
「そうだね。グリモア猟兵の話によると、『怯え絶望して暮らしてる』ってことだったし。行こうか」
猟兵達は禍王の死を伝えるべく、屋敷を出、支配から解放された村へ向かう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『猟兵、舞台に立つ(ダークセイヴァー編)』
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POW : 書き割りの設置など、力仕事なら任せとけ。もちろん、出演もする!
SPD : 小道具や衣装の製作など、手先の器用さが求められる仕事なら任せとけ。もちろん、出演もする!
WIZ : 演出や脚本など、センスが必要な役割なら任せとけ。もちろん、出演もする!
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敵を倒した猟兵達は、支配されていた村へ辿り着く。
猟兵達が村人達に禍王の死を伝えると、村人達は猟兵達に「有難うございます」と感謝の言葉をかける。が、
「で、でも、ほ、本当に領主様が死んだんですか……祟りとかないでしょうか……」
「……ま、まだ、明日になれば、吸血鬼達が家を訪ねて酷いことをしに来るような……」
ある村人は禍王の死を聞いても怯えた顔のまま。別の村人は禍王の屋敷がある方向をみて、がくりと体を震わした。
村人達は禍王達に毎日毎日脅されていたため、恐怖が染みついているらしい。未だに禍王とその手下達を思い出し、怯え続けている。
猟兵達は相談しあった。
今の村人達に必要なのは、気晴らしだ。
何かを楽しむことができれば、不安や恐怖を少なからずやわらげることができるだろう。元気を取り戻すきっかけになるかもしれない。
なら、猟兵達が歌や踊りなどの芸を村人達に披露して、村人達に楽しんでもらうのはどうだろう?
こうして『村の広場に村人を集め、猟兵達が村人の前で芸を披露する』ことになった。
もちろん、披露する芸は何でも構わない。歌でも踊りでも劇でも手品でも話芸でも他の何かでも。
あるいは芸ではなく、『村人達の元気が出るよう言葉をかけたり、話したりする』のもいいだろう。
村人達の心の元気を取り戻そう。そのためにどんな芸を披露すればいいだろう。どんな話をすればいいだろう?
猟兵達は準備の為に動き出す。
祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ・共闘・共演・支援は積極的にお願い致します☆
闇の精霊と死霊を呼び出して「悪い精霊だぞ~♪」と出て来てもらって光と風(雷)の精霊が出て来て「もう!悪い事しちゃダメ!☆」とメっ!と叱ると「もうミンナの役に立つ精霊になるから許してくれよ~♪」と言うのでミンナで輪になって笑顔で唄って踊って“こんぺいとう”を配って回ってもらいます☆
猟兵にも村人にも出来る事は何でもお手伝い致します♪
歌唱って踊って聖霊と光の精霊を翔んでもらって、“勇気”と“優しさ”をお送り致します☆
「神様の愛は無限です♪ 女神さまの慈愛は永遠です♪ また、何か困ったら小さな事でもボク達をお気軽に呼んでください☆」
イデアール・モラクス
気晴らし、気晴らしか…酒色以外となるとそう思いつかんが…まぁよかろう。
私なりにやってやるさ。
・行動
「人はいつか死ぬ、世界は理不尽だ…だが諦めるな。
諦めを拒み、明日を渇望し、欲と幸福を求めよ…それが生きるという事だ」
広場に人を集め、その中央に『全力魔法・高速詠唱・属性攻撃』の力で【活力が漲る林檎がなる生命の樹】を生み出しUC【禁呪・生命創造】を用いて生命の樹に本当の命と高い繁殖力を与え、沢山の林檎がなる枯れない大樹を村の広場に生やしてやる。
「私からの贈り物さ…いつか我らがこの退廃に塗れた陰鬱な闇を破壊しこの世界を再生してやる。
その日まで、せいぜい頑張って生き延びるがいい」
※アドリブ歓迎
●
広場に集まった村人達はまだ不安そうな顔。
そこに祝聖嬢・ティファーナが飛んでくる。
ティファーナは、長い髪の先につけた杖を一揺らし。
途端、黒い精霊が現れ「悪い精霊だぞ~♪」と威嚇のポーズ。
「わあ?!」驚く村人に、ティファーナはウィンク、杖をもう一振り。
今度はきらきら雷の精が登場。
「悪いことしちゃダメっ☆」
「わかった~ミンナの役に立つ精霊になるから許してくれよ~♪」
雷の精に叱られ、闇の精はあっさり改心。愛らしい会話に、村人達はクスリ。
「じゃあ皆で唄って踊ろう」
と、ティファーナ。精霊達と踊り出す。足をばたばた。腕ぶんぶん。空を向いて、ららら♪
ティファーナ達の陽気さにつられ、村の子も手を動かす。ばたばた♪ 大人も歌を口ずさんだ。
光の精や聖霊も新たに加わり、踊りの輪は賑やかに。老人達が聖霊に思わず手を合わせた。
踊り歌いながら、精霊達は村人に七色こんぺいとうを配る。
甘さに顔を綻ばせる村人達を、
「神様の愛は無限です♪ 女神さまの慈愛は永遠です♪」
ティファーナは精霊と共に朗らかに励ます。
イデアール・モラクスは村人達の一人、少年に問う。
「そこの少年よ、先程金平糖を舐めていたな? 美味かっただろう? もっと欲しいと思ったか?」
少年はイデアールを見あげ、おずおず頷いた。イデアールは少年の肩をぽんっと叩く。
「それでいい。そう思った少年は生きている」
イデアールは視線を動かし、村人達一人一人の顔を見た。
「聞け! 人はいつか死ぬ。世界は理不尽だ。だが諦めるな。
諦めを拒み、明日を渇望し、欲で足を動かせ。幸福に手を伸ばせ……それが生きるということだ」
自分の演説が村人の注目を集めたのを感じ、イデアールは魔術を行使。広場中央に、大樹の形をしたものを生成。そして
「私の魔力に創れぬモノなどない!」
【禁呪・生命創造】で樹に生命を吹き込んだ。
「これは一体……?」
「これは生命の樹。秋には大量の林檎を実らせる。一つ食べれば活力が漲る、そんな林檎を腹いっぱい食えるだろう。私からの贈り物さ」
問う村人に、イデアールは軽く笑い答える。何人かが、林檎の味を想像し、ごくりと喉を鳴らす。
「いつか我らがこの退廃に塗れた陰鬱な闇を破壊し、この世界を再生してやる。その日までせいぜい、頑張って生き伸びるがいい」
「その時まで、何か困ったら小さなことでもボク達をお気軽に呼んでください☆」
イデアールは鋭い声で村人達を激励。ティファーナは精霊と村人達の周りを飛びつつ明るく語り掛ける。
村人達はティファーナの踊りや歌から楽しさと元気を、またイデアールの演説と林檎の樹から希望を、受け取った。村人達の目に、光が戻りつつあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セシリア・サヴェージ
このような時に何か披露できる芸を身に付けていればよかったのですが……申し訳ありません。
ですが何もせず彼らが怯えているのを見過ごすこともできません。喋りは得意ではないですが村人たちを【鼓舞】するために、【優しく】一人一人に声を掛けて回りましょう。
彼らがもう一度この世界の不条理に立ち向かう【勇気】を思い出してくれることを願います。
他の猟兵の方が何か芸をやるのなら、何も出来ない不器用な私でよろしければお手伝いさせていただきますのでなんなりとお声かけ下さい。村人たちの為ならば苦手なことでもこなしてみせましょう。
リーヴァルディ・カーライル
…ん。芸の類は心得が無いから、
気晴らしになるかは分からないけれど…。
私は私なりの方法で、彼らの慰めをしてみよう。
…村人達を集め“精霊石の宝石飾り”に常以上に魔力を溜め、
自身の生命力を捧げ(吸収し)て目立たない精霊の存在感を増幅、
村人達にも残像として可視化(暗視)できるようにする。
…闇の娘が炎の精霊に呼びかける。
恐怖と絶望の象徴を撃ち砕く星を此処に…。
精霊使いの礼儀作法に則り助力を乞い【血の教義】を二重発動(2回攻撃)。
上空に“炎の結晶”を形成した後“炎の隕石”として屋敷に墜とすわ。
その後、事前に【常夜の鍵】に入れておいた屋敷の品々や、
“大量の保存食”を取りだし、村の為に使って欲しいと手渡そう。
●
仲間や村人が踊っている様を見、セシリア・サヴェージは独りごちる。
「私も踊ってお手伝いすべきでしょうか? ……まずやってみましょう」
深呼吸一つし、踊り出すセシリア。
足運びや腕の所作は正確だ……が、顔は凛として真剣。楽しい筈の踊りを、修行か何かのようにこなすセシリアを、村人達はまじまじ見つめる。
「お粗末さまでした。私がもっと器用で、芸を習得していればよかったのですが……申し訳ありません」
踊り終わり大真面目に頭を下げるセシリア。村人達は彼女の態度に感銘を受けたらしい。パラパラとだが拍手。
拍手する一人の村人がふと呟く。
「今日は楽しい。けど、明日から大丈夫かな……?」
呟きに数人が不安げな顔に戻った。
セシリアは彼らに近づく。
「確かに、モラクスさんも仰ったように、この世界は不条理に満ちています。あなたが不安に思われるのも当然かもしれません」
相手の目を見、まず共感を示す。
「けれど、勇気をもって立ち向かうことに意味はある筈。立ち向かう先に、皆さんが本当に望むものがあるはずです」
相手の手をとり、「私達が世界の闇を払う時まで、どうか勇気を!」と訴える。懸命に。
リーヴァルディ・カーライルは村人の前で、
「……ん。私なりにできることをしよう。まずは……」
精霊石の宝石飾りを掲げた。宝石が虹色の光を強く放ち、周囲の精霊の存在感を濃くさせる。
「わ……え? こんなに沢山……?」
多数の精霊が村人の目に見えるように。その光景に、息を飲む村人達。
「……見て……」リーヴァルディは空を指し、【限定解放・血の教義】を発動。
「……闇の娘が炎の精霊に呼びかける。恐怖と絶望の撃ち砕く星を此処に……」
精霊たちは空に集い、巨大な炎の結晶を作り出した。結晶が隕石となり屋敷へ落下! 衝撃! 隕石が屋敷を破壊!
「おおおっ!?」村人達は驚愕。
「……ん。屋敷周辺は整理したから延焼はない。そこは大丈夫……ともあれ、もう禍王を名乗る存在もいない。屋敷も今、消えたわ」
村人達は固まっていた。が、徐々にリーヴァルディの言葉を理解する。
「……そ、そっかっ。本当に、終わったんだ……」
自分が解放されたと漸く実感できたようだ。何人かが歓声。
「……屋敷にあったものと保存食をそこに置いておいたわ。村の為に使って……」
「蔵か何処かに運ぶのならお手伝いますよ」
事前に『力』を使って運んでおいた調度品や大量の保存食を指さすリーヴァルディ。運搬の協力を申し出るセシリア。
村人達は、二人へのお礼の言葉を口々に述べだす。セシリアの誠実さに勇気を貰えたことを、リーヴァルディの魔術が禍王からの解放を実感させてくれたことを、精一杯に感謝する。
猟兵達の尽力の結果、村人達の目に生気が宿った。彼らはきっと明日から前向きに生きていけるだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵