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UDC未詳事件簿～ストレンジドライおじさん～

作者：JUNK.O

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●変死体は干からびて
　人里離れた邸宅。警察によるキープアウトが張られている。大きな邸宅。
　空の浴槽の中から見つかった、中年男性の奇妙な遺体。
「現状、容疑者の可能性があるのは第一発見者のハウスキーパー、裏の取れるアリバイ有り」
「容疑とは言うが争った形跡はないな……」
　警官が遺体を眺める。口を大開きにして眼球は反転。仰向けで手足は虚空へともがくようにして死後硬直。
　何より奇妙なのは、死体は腐ることなく、むしろ水分が枯れ果てたかのようにパサパサになっていた。
「にしても、事件性は感じるが外傷もなしにミイラが作れるものだろうか」
「あー、捜査は引き継ぎされるから我々は下がるようお達しが来ました」

●奇妙な干物おじさん事件
「イミフな事件なんぬ。UDCアースで変死事件が起きているぬ」
　ハンニバル・エルバッキー（キャプテン・ユニバース・f02423）は猟兵達へ難しい顔を向けた。
「変死した中年男性、坂上さんというんぬ。結構なお金持ちだから当初は強盗事件かと思われた、けれど……部屋は一切荒らされた形跡もなく金品もそのまま、奇妙なことに遺体はミイラのように水分が抜けきっている、とのことで今はUDC組織が現場の状況保存を行っているんぬ」
　坂上の邸宅は広く、ハウスキーパーが数名雇われていて容疑者として候補に上がっている。
　しかし、これといって争う動機もなければ、殺人の形跡もない。ただ、警官の所見によると“何かに怯え、そのまま死んだようだ”という。
「邸宅は中庭、茶の間、ダイニングキッチン、書斎、それから複数の客間があるようなんぬ。遺体が発見されたのは風呂の浴槽、中の水は抜けていたそうぬ」
　警官は引き払って状況証拠はそのまま、彼の身の回りの品からUDCへ関係がありそうなものを探って欲しい、とハンニバルは語る。
　容疑者のハウスキーパーたちも状況証拠の一部として邸宅に居るので、直接話を伺っても良い。
「顕現した邪神の仕業か、邪教の生贄か何かか。よくわかんぬ。それじゃあ、あとは流れでヨロシクぬ」
　ハンニバルは3度むせると毛玉状のグリモアを吐き出した。

第1章 冒険 『クローズド・サークル』

POW   :    宅内をしらみつぶしに調べまわる SPD   :    使用されたトリックを看破する WIZ   :    容疑者たちと話をする 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

●容疑者たちの証言
　まず坂上邸に立ち入ったのは白金・ジュン（魔法少女使い・f05521）だった。彼はユーベルコード【魔法少女のお供】により半透明の小さなマスコットキャラを呼び出した。
　ジュンは男性だが魔法少女を操ることが出来る。魔法少女にはマスコットが付き物だ。ユーベルコードにより呼び出したマスコットは極めて発見されにくい。容疑者から事情を伺い、その仕草に怪しい点がないかを探る。
「あー、すみませんね。繰り返しになっちゃうかもしれませんが、もう一度お話を聞かせてください」
　ハウスキーパーたちを茶の間に集めて、偽装した身分証を提示。
「坂上さんの様子に最近変化はありませんでしたか？何か嬉しそうにしていたとか、怯えていたとか。あと、大きな買い物をしたとか」
「ああ、はい。何かやたらと嬉しそうにしていたことはありました。理由は教えてくれないのですが」
「様子の変化といえば、奥さんを以前に亡くしているのですが、大事にしていたその奥さんの遺品を……急に整理しはじめたり。ここ半月くらいですかね」
「大きな買い物は特にはありませんでしたね。夜分は私達は帰るのでわかりませんが、交友が広がったということもないかと」
　入手出来た情報。失った妻への執着の喪失。嬉しそうだった、というフシから新しい女が出来た、という線もあり得る。
　ハウスキーパーの仕事の外で邪教の信者との交際を行った、そんな推測も成り立つ。
　ジュンの問いかけに対し、ハウスキーパー達は特に怪しい素振りは見せない。ただしマジカルマスコットが感じ取ったところ、終始何かに怯えているという様子は見受けられた。
　奇妙に感じ、そっと尋ねてみると「天井から人の声が聞こえてくる、関係者全員が聞いた。しかし誰として声の主への意見の一致がない」とのこと。
　子供の声と答える者もいれば、動物の鳴き声と答える者も。浴槽のミイラ、天井からの声。UDCそのものはもう顕現しているとでも言うのだろうか。

成功 🔵​🔵​🔴​

●風呂場のミイラは天井裏に何かを見たか
　操吊・蜘蛛（アラクネー・f16833）は名が表すとおりに蜘蛛の特徴を持つ強化人間。
　彼女は浴槽そのものを当たることにした。浴槽まで自力でやってきたか、運ばれたか。水回りには霊魂が集まりやすい、という霊能者の見解もある。
　浴槽を覗き込むと発見当時そのままに、干からびた中年男性の遺体。警察が司法解剖に回す前にUDC組織により調査を差し止められた。
　内心、引っかかる所がある。浴槽の中の水が「空だった」とするのが適切だろうが「抜けていた」というのだ。
　ところが理由はどうして簡単なもので、坂上氏は衣類を纏っていない状態にあった。つまるところ警察の見立てでは「入浴中に起きた事件である」という見解。
　蜘蛛が思案していると、背後で脱衣所の引き戸が開かれる音がした。状況が疑わしいだけに警戒する蜘蛛。
「あ、ごめん先客いたんだ」
「驚いたぁ」
　蜘蛛の後からやってきたのは数宮・多喜（激走サイキックライダー・f03004）だった。
「風呂ってさ、気密性が高いから、外に湿気を漏らさないし、外からの湿気も封じると思うんだ」
「うん、坂上さんも入浴中の出来事だったみたい。犯人に異常乾燥能力があるとすれば……」
　多喜は坂上氏が仰向けにもがいたような姿でいるのを見届けて、天井に視線を送る。或いは換気口に犯行の手口があるとしたら。
「ちょっとやってみる」
　ユーベルコード【超感覚探知】でサイキック能力によるテレパシーを送る。何かの意識が引っかかれば、そこに糸口が見つかるだろう。
「……ッ！？」
　多喜は急にその場にうずくまった。
「ええ、どしたの！？」
「なにもないところにテレパシーを送れば、なにも反応は来ない。それがテレパシーリンクなんだけど」
　多喜は冷や汗を流しながら話を続けた。
「換気口の向こうに何かが居る、だけどそいつは何も考えていない。無意識がこっちに返ってきた。気持ち悪いなぁ……」
「深追いして大丈夫かな」
「わからない、向こうさんも繋がったのを悟って逃げてるかも」
　猟兵達の調べによると、どうやらこの坂上邸。天井裏に何かがあるようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●こじ開けてでも見つけ出す
　氷刃を自称するクールな印象の羅刹、マユラ・エリアル（氷刃の行方・f01439）は、ここまでに得た情報をまとめた。妻への執着と天井の謎。
　坂上氏の女性関係に変化があったか否か。例えば新しく恋人が出来た、あるいはそれに準ずる形で邪教との関わりを得てしまったか。
　亡き妻への執着が薄れたとあれば、まず疑うのは新たな関係だ。ハニートラップまがいに邪教に誘われるケースも少なくない。
「失礼。処分された奥さんの遺品にどのような物があったかも教えて頂きたい」
　マユラがハウスキーパーに尋ねると、なんと部屋ひとつぶん丸ごと妻を亡くした際の状態に保たれていたという。それが今では空き部屋になっている。
　天井からの声。証言によると誰一人として一致を見せない。換気口からは気配があった、という猟兵の報告もある。
「とりあえず、やはり天井裏を調べるしかないか……」
　ハウスキーパーも天井裏に部屋らしい部屋があるかは知らないという。強引なやり方になるが、出入り口が見つからない以上は仕方ない。マユラは氷刃を天井に向けて放つ。丸く穿たれた天井の先には、意外と綺麗に保たれた通路。唯一の出入り口は書斎に繋がっている。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか…楽しみだな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

第2章 冒険 『隠された部屋を探して』

POW   :    館内の部屋を虱潰しに探る SPD   :    奇妙な仕掛けや怪しいスイッチを探す WIZ   :    関係者に聞きまわり推理する 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

●家屋の中の迷宮
　広い邸宅の天井裏はまるで迷路のようになっていた。
　通路は複数の部屋に通じ、何らかの仕掛けで部屋は施錠されている。
　出入り口となっていた書斎に何かしらのヒントがあるかもしれないし、ハウスキーパーも天井裏について思い当たる事が皆無というわけではないかもしれない。
　手段を尽くせば事件の謎に辿り着けるかもしれない。


●仕掛けのある屋敷といえば書斎に必ずスイッチがある
　天井裏迷宮の発見者、マユラ・エリアル。彼女は通路の入り口と通じていた書斎へ立ち入り、調査を開始する。
「施錠が簡単なら破壊しても良いのだがな……」
　書斎の机の棚を引き出し、徹底的に調べる。二重底か。違う。裏側に何かスイッチのようなものは。ない。叩いて変な音が……しない。
「……机は違うようだな！」
　棚をすべて戻し、あったら取ってくるように命じられた邸宅の見取り図を探すべく本棚へと手をかけた。
「うん？ここだけ妙に綺麗だが……」
　一冊の分厚い本。大したものではない、眉唾もののオカルト知識の本だった。他の本が放置されてしばらく経っているのがわかるように上に埃が乗っているのに対し、
　このオカルト知識の一冊のみが何度か引き出したように上面が綺麗である。
「……本棚の本を弄ってみたりしたら何かしら仕掛けが発動するのがお約束だな」
　ためしに引き出す。上階で何かが動いた音がした。
「ベタな仕掛けだが有り難い！」

大成功 🔵​🔵​🔵​

●天井裏から愛を込めて
　先程、天井裏に少なくとも何らかの気配があることを察知した数宮・多喜。
　天井裏に入ることが出来るようになったため、警戒しながらも内へと歩みを進める事にした。
　見取り図を他の猟兵に任せ、自分は先に
　ユーベルコード【影の追跡者の召喚】で呼び出したシャドウチェイサーを通路に潜ませ、迷路のような天井裏を歩く。
　ハウスキーパー達が聞いた声の主、感知した謎の気配。推測だが、犯人は近くに潜んでいる。
　見取り図の情報が共有される。書斎に送り込んだ猟兵は上手く見取り図を見つけたのだろう。
「この先は下の階では……奥さんの部屋と書斎の間か」
　コンコンと壁を叩く。キマイラフューチャーなら開くかもしれないがUDCアースなので向こう側から残響が鳴る程度だ。
　なんとか開かないかしているうちに、何か歯車のようなものが噛み合う音が壁向こうから聞こえた。
　どうやら他の猟兵が何らかの仕掛けを作動させたらしい。この先の様子が気になるところ。
「！？」
　しかし、シャドウチェイサーが空間から飛び出してくる何かの気配を捉えた。そｓれはとても早く、自分の脇を抜けて遠ざかっていく。多喜は一時、調査を中断して気配の追走にかかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

●アメイジング・スパイダーガール
「こんなものはとりあえず突っ込めばいいんだって、虎穴に入らなきゃ―欲しいものは手に入らない、そんなもんサ」
　操吊・蜘蛛は少しほど居心地の良さを感じている。暗くて狭くて天井で。蜘蛛のちからを持っているからだろうか。
　先に作動して開いた扉とは反対側、行き止まりに居る。壁を叩いて向こう側が空間になっていることを確認。両肩をコキコキと鳴らすと、拳の一撃で怪力任せに壁を破壊した。
「鍵がかかってるならさあ、ブッ壊せばいいって、ボクはそうおもうなー……。さて、妙なオブジェクト発見？」
　解錠と破壊した事で両側面から開放された空間、そこには幾何学模様からなる前衛的なオブジェクト。美術にダダイスムを取り入れた変な祭壇とでも形容すればよいか。
　見取り図によるとこの空間は屋敷の中心。向こう側には何者かが駆け出していった気配。破壊したのに驚いて何かが逃げていった、とも取れる。他の猟兵が何かを見つけて追いかけていったのもわかった。
「ボクは追うよりは……こうかなー」
　祭壇のある空間、邸宅の天井裏中心部より四方八方へ蜘蛛糸を張り巡らせる。ユーベルコード【蜘蛛の巣】だ。自身は巡らされた巣の上に寝転がり、余裕を持って待機。通信機材により邸宅中の猟兵に向け、蜘蛛糸を張り巡らせた事を通知。
　糸に触れられる・切られる等すれば感触でわかる。仮に仲間の猟兵が蜘蛛糸を切ったとしても、それは体型からの反響で察する事が出来る。なら、知らない体型のものが触れればその先に犯人が居る、はず。
「にしても、あーやだやだ。なんか見たくないモノ見そう。気が進まないなー」
　異様な祭壇のようなものについては使い方がわからない。この祭壇についての情報は残っていないものと思われる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●魔法少女の力、お借りします
　屋根裏を何かが這い回り、猟兵の足音が続く。白金・ジュンは天井の様子から次の犯行を警戒した。
　犠牲者を増やす目的があるとすれば、ハウスキーパーがまだ残っている。ハウスキーパーは当然、オブリビオンが関係する事件に立ち向かえるような能力はない。
　となれば、ハウスキーパーに被害が及ぶ前に犯人を探し出さねば。
「来い！希望の戦士ピュアホワイト！」
　ジュンは魔法少女のゴーストを呼び出し、命じる。
「屋敷中で人のいるところを中心にくまなく回るんだ、急ごう！」
　ユーベルコード【魔法少女の伝統】により、魔法少女としての信条を貫いた。
　困った人を見捨てず、夢を諦めず、みんなに笑顔を。その為に取る不利な行動であれば身体能力は増大する。
　高まった脚力で邸内を駆け抜け、ハウスキーパーたちに声をかけて回る。敵は天井裏を移動している。非戦闘員を集めるならば、天井のない中庭がベストだとジュンは判断した。
「皆さん、ここから動かないで！」
　ハウスキーパーを集める間にも天井の気配は感じ取れた。ジュンは跳躍すると屋根に降り立ち、ユーベルコードにより増強された身体能力、その拳を瓦に突き立てて天井に穴を穿った！
「かなり強引だけど――！」
　屋根は瓦礫となり吹き飛ぶが、一瞬膨らんだあとで収束していく。事前に猟兵が張り巡らしていたユーベルコードの糸で瓦礫同士に張力が生まれていたためだ。
　そして、瓦礫の隙間から顔を覗かせる異形の者。推定犯人の影！

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『かみさま』

POW   :    ここにいようよ 全身を【対象にとって最も傷つけたくないものの姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。 SPD   :    やくそくしよう 【指切りげんまん。絡める小指】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。 WIZ   :    きみがだいすきだ 【対象が望む『理想のかみさま』の姿と思想を】【己に投影する。対象が神に望むあらゆる感情】【を受信し、敵愾心を失わせる数多の言葉】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●あなたには何が見えますか
　天井に穿たれた穴は粘着質の蜘蛛糸により支えられて形状を維持、破壊から脱出した猟兵達とUDCが向き合い、屋根の上へと立っている形になる。
　吹き飛んだ屋根の隙間から飛び出した黒い影。“見た者にとって理想の姿を取るUDC”それが今回の犯人だ。
　おおよそ坂上氏が呼び出したこのUDCが亡き妻の形を取っていた、そんなところだろう。
　使用人達の耳にもバラバラの声として聞こえていたのは、観測する個人にとって最適化された音が聞こえる性質のせいだ。
　以下、便宜上このUDCを“かみさま”と呼ぶ。如何なる手段で人の心を惑わすか。
　恐ろしい相手だが猟兵達よ、惑わされずかみさまを討伐せよ！








●魔法少女登場！
　敵の姿を確認した白金・ジュンは真の姿を開放する。
「行くよ、マジピュア・ウェイクアップ！」
　隣に立つ魔法少女の霊と重なり、爪先から上へと白い魔法少女の衣装へと変身・一体化していく22歳男性、白金ジュン！
「希望の戦士ピュアホワイト、みんなの夢を守ります！」
　ポーズを決めて成人魔法少女男性・ピュアホワイト登場！その目に映るかみさまは、彼が幼い頃に亡くした母。
「誰もが心の中に持つ『大好き』をもてあそび、そのうえ人を傷つけさせるなんて、絶対に許せません！」
　指をさして啖呵を切る。ジュンの母親の姿は滲み、かみさまの姿は黒い影に戻っていった。

●フィールド形成、殴って確認
　ピュアホワイトが啖呵を切っている最中に操吊・蜘蛛が屋根の上に躍り出た。四方八方に糸を張り巡らせ、建材の足しに戦闘の経過によっても壊れないほどには補強として使っていく。
　また、中庭にはドーム状に巣を張り、使用人たちの安全を確保。ユーベルコードである【蜘蛛の巣】の上で戦えば蜘蛛に地の利があり、有利に戦いを運ぶ事も可能。
「さて……これで下地は整えたけど、どうするかなー」
「おそらくこいつは受け身の存在、テレパスで何も関知しなかったということは受動的に相手の理想の姿を映し出して攻撃をしてくる……と思う」
　事実、数宮・多喜の目には黒い塊ではなく、一人の人間の姿が見えている。だが目の前にいるのはUDC、オブリビオンだ。迷いを払って覚悟を決める。
　多喜は距離を取ってマヒ効果が期待できる電撃属性の攻撃を蜘蛛糸に伝わせ、かみさまへと攻撃を仕掛けた。命中した攻撃に動きが固まる。
「よし。とりあえず、殴ってから考えよう！」
　蜘蛛は実態のおぼろげなかみさまへと接近し、ボディブローを叩き込む。麻痺しているかみさまの姿がくの字に曲がる。物理攻撃有効！
「？　～～？」
　かみさまは反射行動で防御となるユーベルコードを放とうとは試みていた。しかし、相手の理想とする“かみさま”の姿を取るユーベルコード、蜘蛛の中の“かみさま”が見えない！
「よし！」
　物理攻撃が効くとわかった蜘蛛は追撃にアッパー、反撃が来ないうちに蜘蛛の巣を伝って距離を取る。

●電気と氷の二重奏
「理想像を象るUDCか、これならたしかに証言の辻褄が合う」
　マユラ・エリアルが蜘蛛糸で作られた戦場に立った。属性に全力の法力を込めたユーベルコード【氷刃展開】を発動する。
「氷刃の名は伊達じゃないという事だ。覚悟しろ」
　全方位を氷刃が囲む。いま立っている場所は蜘蛛の巣の上、いわば空中に足場を作っているようなものなので、360度文字通りの全方位だ。
　咄嗟にマユラの理想像を反射しようとするが――麻痺の影響が残っていた。霞がかって変形しようとしたそこに氷刃が突き刺さる！
「～～～～！」
「悪いが私には黒い影にしか見えないな。多喜！」
「ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン！」
　マユラの氷刃が命中している中、多喜はユーベルコードを放つための聖句を詠唱していた。【黄泉送る檻】は電撃と聖句で捉えた対象を増幅したサイキックブラストの檻で攻撃する！
「～～～～！？」
「おかわりだ、持っていけ」
　サイキックブラストの檻に囚われたかみさまに追撃の氷刃が一点集中、降り注いで穴を穿つ！

●絡めて封じて輝いて
　かみさまは行われた攻撃への反撃を試みる。多喜とマユラに対しその身を伸ばすが、細く張られていた蜘蛛の糸に阻まれた！
「っと、殴って効くなら糸も引っかかるよね？あとは任せるよ！」
　先行して阻害する罠を張っていた蜘蛛、アシスト成功！動きを封じられたかみさまに向かっていくピュアホワイト！
「あなたは絶対『カミサマ』なんかじゃない、信じることで人を悲しませるようなカミサマは居ません！あなたのすることは絶対に止めて見せます！……マジピュアリボン、ラッピングプレゼント！」
　構えたロッドから伸びる光のリボンを新体操のように回して振りかぶる。光のリボンに包まれたかみさまは輝くリボンに包まれて宙に囚われる。
　ラッピングされた光のリボンはハート型に形を変えて行き、虹色に輝く浄化のオーラを身にまとったピュアホワイトは戦場をスケートで滑っていくように滑らかに突撃していった！
「マジピュア・ハートフラーッシュ！」
「～～～～～～～～～！！！！！」
　魔法少女の浄化の一撃がUDCを打ち砕く！ハート型にラッピングされたかみさまは光の粒子となり、弾けて散って浄化された！

●未詳事件・ストレンジドライおじさん解決
　事の真相は簡単だった。
　オカルトに傾向した坂上氏は邸宅の中に隠し部屋を作り、亡き妻を蘇らせる方法を模索。
　しかし、呼び出されたのは理想の姿を映し出すUDC、坂上氏は妻を蘇らせたと思い遺品を整理。以降、かみさまは天井裏を徘徊。
　恐怖に引きつった坂上氏の顔からは、最後の瞬間、妻の姿ではないかみさまが見えていたことが伺える。
　よくあるUDC事件と数えてしまえるが、少し苦いものが残る。
「……こんなところかな？」
　UDC財団。そこでジュンは一瞬だけ見えた母親の姿を思い出す。頭を振って忘れようと努め、『坂上邸乾燥死体事件』とラベルの張られたファイルを棚へと仕舞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年04月30日 宿敵 『かみさま』 を撃破！