デイ・ウィズ・ノーヒーロー
●ヒーローズアース、イースタン
アメリカ東海岸の都市、イースタン。
暗黒街クライムキッチンを内包する、この巨大都市からある日ヒーローたちの姿が消えた。
どうやら何者かに襲撃を受けているらしい。
次々と犠牲になるヒーロー。
守り手を失った街からはやがて闇が漏れ出す。
クライムキッチンを中心に漏れ出した闇はヴィランと言う名を借りて、人々へと毒牙を向けた。
●グリモアベース
「大変だ! ヒーローが居なくなっちゃった!」
雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)は普段から大きい声を更に大きくして状況を説明した。
「場所はイースタンっていうアメリカの都市なんだけど、最近ヒーローの闇討ち事件が勃発して、次々とヒーローが病院送りになっているんだ。おかげでヴィランが活動を活発化させている」
深呼吸して落ち着いた少年が詳しい状況を説明すれば。
「みんなにはヒーローの代わりに治安維持に動いてもらいたいんだ」
グリモア猟兵は皆に視線を送る。
「本当は俺が行きたいけど、予知しちゃったから行けない。だから頼むんだ。街の人が大変な目に遭う前にヴィラン達を倒して黒幕を引きずり出し、ライトニングに事件を終わらせてほしい!」
少年が時計に手をかければゲートが開く。
「今からゲートを開くけど、もう複数のヴィランが襲ってる、まずはそれを対処してほしい。そして終わったら……みんなの話を聞かせてほしいな」
皆を見送るグリモア猟兵の緑の瞳には期待と信頼の光がたたえられてはいた。
みなさわ
デイ・ウィズ・ノーヒーロー、ヒーローのいない日です。
こんにちは、みなさわです。
今回はヒーロー不在の街でのヒーロー闇討ち事件の真相を追ってもらいます。
なお、みなさわのマスターページにアドリブ度などの便利な記号がございます。よろしければご参考下さい。
第1章 冒険
『五年熟成恨み節』
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POW : こっちを見な! 大立ち回りを演じて攻撃を引き受ける
SPD : 三下はすっこんでろ! 被害が出る前に制圧する
WIZ : 安心したまえよ! 周囲への被害を当然の様に防ぐ
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●リベンジ・オブ・ローグス
街に悲鳴がこだました。
逮捕されたはずのバイオモンスターヴィラン、オックスマンが暴れているからだ。
宝石店で警報機が鳴る。
犬の妖精を模したマスクを被った悪党コボルトが宝石店を襲撃していた。
街は恐怖と混乱に支配されつつあった。
だが、ヒーローは居ない……。
阿紫花・スミコ
「そこまでだ!」
颯爽と登場したのはアルダワ魔法学園の制服に身を包んだ無手の少女。
ガンハイダー(ガンベルト)の迷彩を解くと黄金に輝く精霊銃「アヴェンジングフレイム」が現れる。
拳銃を引き抜き、腰の高さに銃を構えると、引き金を引きながら劇鉄を弾く。
きっちり6回。
刹那に放たれた六発の銃弾は、六体のターゲットに向かって発射される。
「さあ、こっちへおいで!」
挑発をしながら、ワイヤーギアからフックを放ち、その巻き取りと蒸気の力で建物の上へと飛び上がる。
●バラッジ・オブ・ガジェットガール
ミスター・サブゼロ、ストリンガー、トルネード。彼ら三人を総称してブラックガーズと人は呼ぶ。
殺しはしないがそれ以外の悪事は大体する。
解放された彼らは自らの武器を持って銀行襲撃に成功すれば、当座の活動資金となる強奪金を片手にガラスのドアを開け、外へ出た。
「そこまでだ!」
そこに前に立ちふさがるのはアルダワ魔法学園の制服に身を包んだ無手の少女。名は阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)。
「おいおい、ガールスカウトが俺達の邪魔をするって言うのか?」
察しは良いが、万事に軽率なトルネードがスミコの姿を見て肩をすくめる。
「素手でやろってのかい? カラテでも使うのかい? お嬢ちゃん?」
ワイヤー使いのストリンガーが袖口からワイヤーを出せば。
「――!? 気を付けろ! あの女、銃を持っている!」
リーダー格のサブゼロが佇まいに気付いて仲間に警告した。
その声に残りの二人が意識を向けた時だった、光学迷彩によって隠蔽されたガンベルト、ガンハイダーがスミコの腰に現れれば、黄金の精霊銃『アヴェンジングフレイム』を抜き、腰だめの姿勢からトリガーを引けば、左の掌がハンマーを煽る。
――ファニング。
フロンティアが生み出した刹那を奪いとる高速連射術が少女の掌で炎となって体現され、ブラックガーズの持っていたドル札の詰まったトランクを撃ち落とす。
「最近のハイスクールはシェリフのカリキュラムでもやってるのか?」
唯一警戒を怠らなかったサブゼロが自慢の冷凍銃を抜けば、絶対零度の氷結弾が銃口から螺旋を穿つようにスミコへ襲う。
「遅い!」
少女が走れば、銃弾は彼女を捉えることはなく、郵便ポストを氷漬けにするが精々。
スミコが左手のワイヤーギアからフック付きのワイヤーが射出すれば、それはビルの屋上へと絡みつき。
「さあ、こっちへおいで!」
誘うように空を舞う。
恥をかかされたブラックガーズもそれを追う。ストリンガーのワイヤーが伸びればサブゼロを抱えて同じように空を舞い。
トルネードは足元に竜巻を発生させて空を飛ぶ。
悪党どもがビルの屋上へと上がれば、待っていたのは六発の銃弾。
振り向きざまに少女が放つ弾幕――バラージが悪党どもの手足を正確に撃ち抜いた。
――ヴィラン集団、ブラックガーズ捕獲。
成功
🔵🔵🔴
アレク・アドレーヌ
【選択:POW】
ヒーローがいないって? 安心したまえ。ここにいるぞ
(ただし容姿はどっちかっていうとヒーローとは言い難いが)
だから敢えてこう言おう『俺が来た』と。
だがしかし多勢に無勢すぎるからな。たった一人で制圧なんぞ出来んから俺はただ敵のヘイトを引き付けるのみだ…
とりあえずは【吹き飛ばし】で豪快にすっ飛ばすとしてヒーローだからな。誰かがピンチなら当然例えやばくても割って入る。
しっかしなんでヒーローが消えたかね…?
(アドリブ・共闘歓迎
ミハエラ・ジェシンスカ
◎
ヒーローどもがいなくなった途端にこれとは
この世界も穏やかじゃないな全く
フォースレーダーによる広域感知で【情報収集】し【念動加速】で現場に急行
可能な限り最短……直線距離でな
脆い壁ならそのままぶち抜き、それが難しければフォースセイバーで斬り開く
無論、民間人の存在や建物の倒壊、バックドラフトの類いには留意するが
途中で騒ぎに便乗するチンピラどもを軽く轢いたり
やたらと大物感を漂わせるサングラスの老爺と挨拶を交わしたりしたが些細な事だ
前者はわざとだが
現場に着き次第【念動加速】の勢いのまま攻撃を行う
殺しはせん
だが、本職のヒーローどものように優しくはできんぞ
ヒーロー不在の隙など狙った自分の迂闊さを呪うんだな
●バスターズ・カミング
ネイチャーマンは大自然を愛し、機械文明を憎むヴィランである。
解放された時、彼は武器も何もなかったが、彼を信奉し従う人々が居た。
過激な環境保護主義者に担がれたネイチャーマンがまず行ったことは道行く鉄の馬車を破壊し、人々が大地を歩く存在だと思い知らせることだった。
自慢の怪力でセダンを放り投げれば、その先には子供を連れて避難する母親が。
「嗚呼、鋼鉄の愚かなる文明によって人が死ぬ。悲しいことだ」
機械文明を憎むあまり大事な事を見失った男は、母子が車に潰されてミートパイになる瞬間を見守っていた。
その時、何かが大地を駆けた。
白い仮面にその正体を隠したミュータントが母子の前に立ち拳を振るえば、セダンは一撃でスクラップに変わる。
派手に吹き飛び、転がっていく鋼鉄の塊を横目に、仮面の男が母子へと視線を移せば。
「大丈夫か?」
一言、声をかける。
「おじちゃんはヒーローなの?」
母の腕に守られた子供が問いかければ、アレク・アドレーヌ(出来損ない・f17347)がその仮面に覆われた頭を傾げつつ。
「そうだな、ヒーローだ。だから、こんな時にはこう言っているんだ」
子供を撫でると背中を向け、ヴィランへと歩く。
――I came.
「――俺が来た」
「嗚呼、ミュータント。呪われし運命の子よ!」
ネイチャーマンが黒曜石の槍を構えれば。
「この槍を以って、その苦しみから救ってあげよう」
「結構だ。俺はこの人生を悪くないとは思っている」
飛び掛かる歪んだ自然児をアレクが避ければ、鋭いパンチを一発、二発を叩きこむ。
「その姿でか!? 呪われし異形となった姿が自然であるというのか!」
ミュータントヒーローの打撃に怯みつつも、ネイチャーマンが牽制の石斧を投げれば、アレクはそれを避け、一気に近寄る。
「それは俺が一番わかっているさ」
腹へ向かって渾身の一撃を見舞えば、ヴィランは白目を剥き、その場に崩れ落ちる。
「だが、洗面所で毎日鏡には向き合っている……お前の顔を移す泉の水が波紋で歪んでいるのと違ってね」
自嘲と自負を込めた言葉を呟き、周りを見回せば、ネイチャーマンを担ぎ上げた人々は散り散りと消えていった。
「しっかしなんでヒーローが消えたかね……?」
人の身勝手さに嘆息しつつ、アレクは消えたヒーロー達の事を呟いた。
――自然派ヴィラン、ネイチャーマン捕縛
●チェイス・オブ・ランペイジ
クイック・ロバーは裏通りを逃げていた。
バカな科学者の玩具にされた人生だったが、このスピードの世界だけはお気に入りだった。
これに着いてくるヒーローには何度も痛い目に遭わされたが、今はそいつらも居ない。ならばこの世界は俺のモノ。
「……だったはずなのによう!」
悪態を呟けば、背後の壁が吹き飛び、赤い光に覆われた2mを超える巨体が地を這うような高さで飛翔して追跡してきた。
「ヒーローどもがいなくなった途端にこれとは、この世界も穏やかじゃないな全く」
ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)が呟けば、逃げていくヴィランの姿を認め追跡を再開する。
逃げる素早いコソ泥は路地を上手く使って、ミハエラの巨体が通りにくいルートを選び、行動を制限させようと狙うが彼女にとってそれは問題なかった。
フォースレーダーで居場所を捕まえれば、後はもう一直線に行けばいいだけなのだから。壁? 障害物? そんなものは一緒に壊していけばいい。
途中で略奪を図るチンピラを吹き飛ばし、トレーラーに乗った老人が手を振ればそれに応え、クイックロバーを港まで追いつめる。
「もう逃がさんぞ」
「――くそったれ!」
腹をくくったのか、ヴィランが自慢の瞬足を活かしてミハエラの周りを走る。
ただ走っているのではない、超人的なスピードによって上昇気流を起こし竜巻を発生させ、ウォーマシンを空高く吹き飛ばそうとしているのだ!
「ざまーみろ!」
自らの起こした竜巻で追手を吹き飛ばし、青空に向かって唾を吐くクイックロバー。鮮血の如き赤い光を見たのはそれから間もなくだった。
天より落下するミハエラ・ジェシンスカ。
念動力を以って飛翔する彼女にとって、上昇気流など簡単に逃れられる。
「殺しはせん」
そのウェイトに最大時速270キロの飛翔速度を上乗せすれば、ヴィランを踏みつぶす事など容易な事。
BAGOOOOOON!!
激しい地鳴りが防波堤を揺らし、係留されているヨットが暴れる。
「だが、本職のヒーローどものように優しくはできん」
足元で伸びてるヴィランを一瞥すれば。
「ヒーロー不在の隙など狙った自分の迂闊さを呪うんだな」
悪を自認するウォーマシンはただ一言、言い放った。
――高速ヴィラン、クイックロバー捕縛。
成功
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アポロダスト・ディラマティウス
◎
街に闇が溢れるというのならワタシが光になりマース!!
(スポットライトの光を浴び颯爽と登場)
ワタシがいる限りヴィラン共の好きにはさせまセーン!!
レーッツダーンス!!!
【WIZ】
[レボリューション]から突如流れるBGMでヴィラン共の視線を集めマース!
そこで[サテライト]の光を颯爽と浴びて、ワタシが参上デース!
注目が集まれば集まるほど強くなる。
それが『大宇宙舞踊(アポロナイトフィーバー)』デース!!
ヒーローがいなくなって暴れられると思ったら大間違いデース!
そんなおバカなユーたちにはワタシのダンス神拳を食らわせてやりマース!
アルファ・ユニ
あー…荒れてる荒れてる、ヒーローがいないとやりたい放題だねあんたら
UC音を宝石店中に響かせる
そんなに欲しいなら、くれてやる
割られたガラスショーケースの破片や宝石群を操り敵へ飛ばし攻撃
時間が経てば入り乱れてくるかもしれない、増援の可能性も
襲われてるとはいえそこそこ防犯はしっかりしてるだろうから、あるシステムは活用させてもらおうかな
仕掛けられたセンサーに触れて鳴るけたたましい警報アラーム音は音銃に圧縮して高威力の弾丸に。
設置された防犯カメラの映像は全てpc[クローネ]に集約し、意思疎通した警官に通報・指示。無力化させた敵の確保は手伝ってもらおうかな?
誰一人取り逃がさないように。
●ゴッド・ウォー
コンキスタドールはゴリラの神である。
生物創造に携わり、ゴリラを導くものを自認する彼にとって、搾取され、見世物となった今のゴリラの現状は許されないものであった。
故に神の英知と優れた科学によってゴリラモンスターを創造し人類へ反旗を翻したが、ヒーローによって捕らえられた。
だが、今、彼は解放された。
土を練り、ゴリラ像を作ればそれに命を与え、ゴリラモンスターを創造する。
人類をはるかに上回る腕力を持ったゴリラモンスター達は、自らの王の為に街をゴリラの楽園へと変えようとその膂力を振るおうとしていた。
「それ以上のローゼキは許しまセーン!」
どこからともなくBGMが流れ、ゴリラが戸惑い周囲を見回す。
サテライトが空を飛び、トレーラーを照らせばコンテナが開き、アポロダスト・ディラマティウス(踊り踊らば踊りまSHOW!・f17392)が足でリズムを踏んでいた。
「街を闇に染めるというのならワタシが光になりマース!!」
「ダンスの神よ! 邪魔をするな。我はゴリラの神としてゴリラを叡智ある世界の賢者の道へと導かねばならないのだ!」
コンキスタドールが叫ぶ、神だからこそ……同じ神だからこそ人を守り、人の文化の女神であるアポロダストを許せないのだ。
「ヒーローが居ない間に暴れるのは神のすることではアリマセーン!」
トラックから降りて、ボックスを刻みながら、ダンスの女神はゴリラへ近づく。ゴリラモンスターが襲い掛かればその場でステップ、ターン!
他のゴリラも彼女へ注目する。
尚も襲うゴリラモンスター、アポロダストは東洋に伝わるダンス、パラパラでゴリラの拳を受け捌き、攻撃を流せば、ゴリラの神へと指を指す。
「なのでユーは大人しく檻の中に帰りなサーイ!」
「おのれ、ダンスの神よ! ゴリラモンスター!」
激高したコンキスタドールがゴリラモンスターへと命令すれば次々と襲い掛かるゴリラ。
だが、注目を集め、力を増したダンス神アポロダストがムーンウォークで下がればゴリラの拳は空を切り、始まるのは――そう!
Apollo night fever
――大宇宙舞踊!
「そんなおバカなユーたちにはワタシのダンス神拳を食らわせてやりマース!」
かつてゾンビを倒したというダンスの力が今、人々の為に光を放つ!
――ゴリラ神、コンキスタドール捕縛。
●サウンド・イズ・マイン
宝石店に激しい音が鳴った。
それは轟音と呼ぶには洗練されており、音楽としては蛮勇過ぎた。
「あー……荒れてる荒れてる、ヒーローがいないとやりたい放題だね、あんたら」
アルファ・ユニ(愛染のレコーディングエンジニア・f07535)がクラハライツを右手に、店内へと入れば、そこに立つのは妖精を模したマスクを被ったヴィラン、コボルトとその部下イビルチャイルド。
「やってくれたなぁ! いきなりユーベルコードとは荒っぽいぜお嬢ちゃん?」
耳を抑えて、苦しむイビルチャイルドを蹴飛ばしながらオーラフィールドで防御したコボルトは専用のドローンに騎乗し、宝石店内を飛び回る。
「宝石が欲しいんだろ? そんなに欲しいならくれてやる」
空を飛ぶ妖精へとユニが毒づけば、アルペジオいう名のユーベルコードによって少女の力を帯びたショーケースが意志を汲み、ガラスや宝石を武器として飛翔させる。
「危ないなあ、尖ったものは扱わないように教わらなかったのかい?」
からかう様にコボルトが何かを投げれば、それは指向性の振動波となって、宝石類を吹き飛ばし、ユニの身体をその場に縫い付ける。
「300dBの音波振動爆弾だ、聴覚に異常をきたし、動けない……そうだろう?」
警報機の鳴る中、コボルトのドローンから刃が出る。
「残念だったなお嬢ちゃん、このブレードで死にな!」
悪の妖精がドローンをコントロールして接近したときだった。
ユニの右腕が動き、クラハライツが新たな音を鳴らす。
「な……にぃ!?」
「この銃はね、音を吸収するの」
音波振動を吸収圧縮することで精製された弾丸がドローンを破壊し、コボルトを宙に舞わせば、スナップの効いた回し蹴りが悪党の側頭部を蹴りぬく。
「音のある世界はユニのステージ……舞台に上がるのはあんたじゃない」
応援に駆け付けた警察官がイビルチャイルド達を逮捕する中、音の魔術師は悪の妖精を見下ろして呟いた。
――天才科学ヴィラン、コボルト捕縛。
大成功
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●ウェア・イズ・ア・ロストヒーロー
ヒーローは消えたのか。
正確には消えていない。
何者かの襲撃を受けて、戦闘不能へと陥っているだけだ。
だが、ただ一人だけ姿を消したヒーローが居た。
名をディテクティブ・ザ・ハンド。
クライムキッチンの番人を務めるトレンチコートのヴィジランテの行方だけはヒーローもヴィランもつかめなかった。
――勿論、襲撃者も。
故に、彼はヴィラン達を解放した、おびき出すために。
矢来・夕立
◎挨拶?どうも。オリガミファイターです。ディテクティヴ・ハンドさんからはそう呼ばれました。
様式美ってヤツですかね…イイですけど、本当にネーミングセンスないですよね、あの人…
で、イースタン? …て、クライムキッチンがあるトコじゃないですか。
ハンドさん仕事してくださいよ。あ、いないのか。
しかし治安維持。治安維持…向いてないな。あまり目立つことはしたくない。
調子に乗ったヴィランに《忍び足》で近づいて、後ろから《暗殺》。…殺しませんけど。
で、縛って警察署ン中にでも置いとけばイイですか?
こういうノリで続けていけば数自体は減るんじゃないでしょうか。
草の根活動ってヤツですね。草。忍者だけに。
上野・修介
アドリブ、連携OK
「ホントにアクション映画だな」
呼吸を整え、無駄な力を抜き、敵を見据える。
先ずは観【視力+情報取集】る。
敵の総数と装備、またその配置、周囲の遮蔽物を把握。
目付は広く、戦場全体を見るように。
得物は素手格闘【グラップル】
UCは基本防御強化。
猟兵とはいえ、銃弾を受けるのは拙い。
故に迷わず、恐れず【勇気+激痛耐性】真正面から【覚悟】を決めて推して参る。
狙いを付けられない遮蔽物を利用【地形の利用】し【フェイント】をかけつつ常に動き回る。
相手の懐に【ダッシュ】で肉薄し一体ずつ確実に倒す。
囲まれそうになれば迷わず退き【逃げ足】仕切り直す。
極力殺さず、戦闘が終わったら縛り上げて警察に引き渡す。
胡蝶花・空木
◎
・心情
ヒーロー襲撃事件とは穏やかじゃないわね
とは言え、この有様を見て見ぬふりは出来ないわ
一人のヒーローとしても猟兵としても、援軍に行くしかないわね
・行動
【気合い、勇気、覚悟、追跡、かばう、カウンター、咄嗟の一撃】
ユーベルコードで自己強化して飛行
空からヴィランが暴れている地点を探すわ
基本的には人名優先
市民に被害が出る前に割り込んで、ヴィランの被害を減らす
可能なら私の武器『アイシクル・ウェポン』とユーベルコードの効果を合わせて、氷の壁で市民が逃げる方向へヴィランの攻撃が飛ばないようにガードするわ
●ゴッドハンドハンティング
ヴィランの中には己の趣味を満たす者も居る。
ロングボウもその一人だ。
彼は解放されてすぐに選んだのはハンティングだった、愛用の弓を片手に狙うのは市民を守り、ヴィランと戦う警察官。
次々と倒れるポリスの姿にハンターとしての自尊心が満たされた時、その矢を空中で掴む腕をその視界に認めた。
新たな獲物に対してロングボウは自慢の長弓に矢をつがえた。
「ホントにアクション映画だな」
彼方より飛ぶ矢をその手に掴み、上野・修介(元フリーター、今は猟兵・f13887)は呟いた。
呼吸を整え、無駄な力を抜き、敵を見据えれば、彼方の向こうから矢を射る男の姿を認める。
銃を持ったギャング集団を想定しこの地にやってきたが、相手は予想より手ごわい。
音もなく遠距離から正確に狙撃をしてくる時代遅れのスナイパー相手に距離と言う武器を握られていることが一番厄介であった。
どちらにしても修介は彼を倒すべきだと判断した、そうしないとポリスがやられてしまう。
「猟兵とはいえ、矢を受けるのは拙いな」
直後、自分の耳元を通り過ぎた矢がコンクリートの壁に刺さったのを見て、猟兵は覚悟を決める。
迷わず、恐れず、真正面から突き進む。
勿論、馬鹿正直に直進などという意味ではない。
遮蔽物に身を隠し、時にはフェイントをかけて、無駄な矢を撃たせ、一気に走り抜ける。
奇をてらわず、堅実に距離を詰めるのが修介のいう真正面――本道である。
ヴィランの動きが見える程近づいた辺りで、猟兵の後ろを一本の矢が通り過ぎる。
それは大地に突き刺されば、その周囲を炎の海へと変えた。
滑りこむ様に修介が遮蔽物に隠れ、頭を押さえれ、口を開けば爆風と爆音からその身を隠す。
「何でもありだな!」
次々と爆発する矢が降り注ぐ中、彼はロングボウが待つビルの中へと突入した。
屋上に上がれば、視界に入るのは矢に仕込まれた網が展開し、猟兵である自分をを捕獲しようとする光景。
「チィ!」
舌打ちと共に修介が転がれば、網はコンクリートの床に広がる。
「上手いじゃないか、軽業で食っていけるぜ」
弓矢を持ったヴィランが軽口を叩き、次の矢をつがえる。
「そっちこそ、ロビンフッドになれば良かったんじゃないか?」
「生憎と趣味じゃなくてね」
猟兵の軽口へ返事を返せば、つがえた矢を解放する。
眉間へめがけて飛ぶ一条の矢、修介は三mm手前の距離でそれを掴む。
――拳は手を以て放つに非ず。
ユーベルコードへと昇華した格闘術と実戦の経験が相手の呼吸とタイミング、矢の速度を読み、一矢を封じた。
「クソッ!」
ロングボウが慌てて次の矢をつがえる、その隙を逃すほど猟兵は甘くなかった。
「ホントにアクション映画だな」
顔面に拳を叩きこみ、ヴィランをKOした修介は手に持ったままの矢を捨てて、呟いだ。
――弓使い、ロングボウ捕縛。
●ウィンターサイレンス・カム・ザ・イースタン
ウィンターサイレンス。本名、胡蝶花・空木(f16597)は日本のヒーローである。
冬と北風の戦士が今、触れたものを凍りつかせる銀色のオーラに身を纏い、その気化熱から発生させる上昇気流と合わせて、イースタンの空を飛ぶ。
彼女の視界に入ったのは一体のバイオモンスター。
牛を思わせる頭をその巨体で暴れる男の名はオックスマンと呼ばれていた。
「そこまでよ!」
空からの一撃が巨体のヴィランを吹き飛ばす。
「おめえ、何者だ」
立ち上がったオックスマンが問いかければ。
「ウィンターサイレンス、これでいいかしら?」
「良くねえな、余所者は自分の街を守ってな、ここはもう俺達の物だ!」
「残念だけど、この有様を見て見ぬふりは出来ないわ――一人のヒーローとしても猟兵としても」
「ぬかせ!」
ヒーローの言葉を宣戦布告と判断したバイオモンスターが突進し体当たりを敢行。
「危ない!」
ウィンターサイレンスは素早くサイドにステップし、猛牛の体当たりをかわす。
「まだだ!」
次にオックスマンが転がっているバイクを片手で掴んで投げつける。
「――円盤投げは上手いようね」
その場で急上昇することで回避した空木は軽口で返すが、内心では突進力とパワーに舌を巻く。
何か手段を、と考えれば、ヴィランの投げたバイクが消火栓を破壊して、その場で噴水を作り出したのに気付く。
「――チャンス!」
ウィンターサイレンスが宙返りと共に水柱へと飛び込めば、両手に持つのは氷の檻。
アイシクルウェポンが作り出した、無駄に豪華な檻にオックスマンを封じ込めれば、叩きこむパンチのラッシュ!
「舐めるなぁ! 小娘!」
攻撃を耐え抜いたバイオモンスターが叫び、檻を破壊すれば、距離をとるヒーローへと突進する。
「良いのかしら――その靴、スパイクついてないでしょ?」
「――!?」
ウィンターサイレンスの忠告にオックスマンが気付いた時は遅かった、距離を取りつつアイシクルウェポンでアイスバーンを作り、ヴィランは怒りに我を忘れて突進し、転倒する。
――SMASH!!
そのまま自分の元へ滑り込んでくる、バイオモンスターを蹴りあげれば、その巨体は天を仰ぎ立ち上がることは無かった。
――怪力ヴィラン、オックスマン捕縛。
●オリガミファイター、リターン
「挨拶要ります? どうも。オリガミファイターです。ディテクティヴ・ハンドさんからはそう呼ばれました」
人気のない、チャイナタウン。
一人立つ、矢来・夕立(影・f14904)の言葉に謎の忍者集団アサシンズは警戒を強める。
「様式美ってヤツですかね……イイですけど、本当にネーミングセンスないですよね、あの人……」
襲い掛かる忍者の一人をハンドポケットで避ければ、その鼻っ面に蹴りを入れる。
「で、イースタン? ……て、クライムキッチンがあるトコじゃないですか」
尚も襲い掛かるアサシンズを式紙・四方で縫い付ければ、暗殺者の側頭部を脇差の柄で殴打する。
「ハンドさん仕事してくださいよ。あ、いないのか」
「どうやらハンドが居ないのは本当の様だな。解放されたチュウニン様に関係者である貴様を土産としてくれる!」
更に襲い掛かる忍者集団。
フレームレスの眼鏡を直して溜息を付けば。
「あ、ちょっと面白そうな話をしてますね、続きお願いします」
ゆっくりと彼らの元へと歩いて行った。
「えーと、ここで良いのかな?」
チャイナタウンのある屋敷。
アサシンズを叩きのめし、「親切丁寧」に話を聞いた結果、捕縛されていたチュウニンが何者かに開放されて、ここに居ると聞き、駆けつけたのだ。
ちなみに襲ってきたアサシンズ達は警察署の玄関に縛って置いてきた。
「ごめんくださーい、誰かいませんかー?」
屋敷の入り口で声をかけるが反応がない。
「無いなら、帰りますよ――ウソですけど」
言葉の途中で風が吹き、慣れた匂いが鼻腔を叩いた。
鉄の混じった粘り気のある臭いに草の根活動の様にヴィランを叩いて草と軽口を叩く予定が潰れたのを確信した。
警戒しつつ屋敷に入れば、そこにあるのは地獄絵図。
ほとんどのゲニンと呼ばれるアサシンズが殴り殺され、無残に転がる。
襲撃に備えつつ屋敷の奥へと進めば、半開きの扉が一つ。
「やあ、遅かったじゃないか」
扉の向こうにはトレンチコートのヴィジランテ。
「ハンドさん、クライムキッチン放って、どこ行ってたんですか? 仕事してくださいよ」
かつて依頼で一緒になったヒーロー、ディテクティブ・ザ・ハンドへ夕立が皮肉交じりに応える。
「ああ、すまない。別の事件を追っててね……で、それも関係して二つほど、知らせることがある」
背中を向けたまま、ハンドが応対すれば、肩越しに何かを投げる。
「何です、これ?」
夕立が受け取ったものへ視線を落とせば、それはUSBメモリ。
「ガバメント・オブ・ガーディアンという戦闘兵器の基地だよ。今のヴィラン騒動の間に一部の過激派に占拠された」
「あー、それは危険ですね。特に名前が」
「オリガミファイター君は察しが良くて助かるよ」
トレンチコートの背中が肩を竦めた。
「それで、もう一つは? まさか、ここのみんなを殺しちゃったとか」
「コートが汚れる仕事はしない主義なんだ」
ヴィジランテが苦笑し、言葉を続ける。
「もう一つはね――この事件にアーリントンに居る、私の旧友が関わっているようだ」
立ち上がり、振り向くハンド。
彼の背中の向こうには殴り殺されたサムライを思わせる男の姿。
『S.T.R.I.K.E.』
額には五文字の英単語が刻み込まれていた。
――謎の忍者集団、アサシンズ捕縛。
成功
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第2章 冒険
『拠点襲撃』
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POW : 武力行使で制圧する
SPD : 敵が準備を整える前に速攻で制圧する
WIZ : 綿密な作戦を立て詰め将棋のように制圧する
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●ガバメント・オブ・ガーディアン
『ガバメント・オブ・ガーディアン計画』
それは政府が考えたヒーロー及びヴィランの抑止策。
ユーベルコードに対抗するために、かつてウォーマシンと呼ばれた生命体や超人兵士計画のデータをもとに作られた、戦闘兵器。
まず、USBメモリに書かれていたのはガバメント・オブ・ガーディアン計画の内容だった。
次に書き込まれていたのはヒーロー襲撃事件と共にヴィランの活動が活発になったことで、ガーディアンの起動を行う働きかけがあったこと。
そして、それは政府に潜入したヴィラン組織の陰謀であったことが記されていた。
既にガーディアンの基地はヴィランに占拠され、起動準備に入っている。
――猟兵に選択の余地はなかった。
施設内に並ぶ、大量の人型兵器。
大きさは3mを超え、ビームからミサイルまで、各種武装が満載されている。
有人操縦の機体もあればAIによる自律稼動する機体もあり、バリエーションは様々だ。
あるものはこれをヒーローに変わる守護者と称え、あるものは圧制の象徴と罵った。
兵器の名はガバメント・オブ・ガーディアン、その意味は『政府』の守護者。
機体は今、鳴動する時を待っている。
阿紫花・スミコ
「機械ってのはさ、道具にすぎないんだよ。それ以上の役割を与えたって、うまくいくわけがない。」
普段はミーハーな彼女だが、機械屋としては、意外に古風な一面も見せる。
そういうと、新型ガジェット「アクアカーモ」を起動する。霧状の特殊溶液がスミコの身をつつむ。ユーベルコード「アクアカーモ」・・・特殊溶液が屈折率を変え、スミコの姿を隠蔽する。
猟兵たちが戦闘を始める前にちょっとだけ悪戯してやろう。
起動してないガーディアンの駆動系に細工をしたり、動力部を切断したり・・・少しでも頭数を減らせるといいなー。
バレたら即座に撤退。猟兵たちと合流しよう。
「さてさて、人間と機械との知恵比べか・・・まあ、負けないけどサ!」
矢来・夕立
◎有人機やオートでない兵器は動かす人間がいなくなれば問題ありませんね?
《忍び足》【紙技・化鎮】、《暗殺》。
姿を消したままヴィランを無力化していきます。
消耗が過ぎない程度に適当に解除して、そこからは《だまし討ち》。
誰もいないところから出てきたらさすがに驚きません?
ヒーローズアースではよくあることだったりしたら忍者として凹む。ウソですけど。
しかしココ、オートパイロットの兵装もあるんですよね。
…ハッキングやメカニックで無力化できる方がいらっしゃればイイんですが。いればそちらの猟兵さんを優先的に守りに行きます。
いなきゃ物理的に壊すしかないでしょうか。
コイツらより請求書の方がよほど怖いな。
●インヴィジブルプレパレイション
「機械ってのはさ、道具にすぎないんだよ。それ以上の役割を与えたって、うまくいくわけがない」
山間に隠された施設を見下ろしながら阿紫花・スミコは呟いた。
「そうですね。道具は道具ですから、それ以上の役割を求められても困ります」
千代紙を折りながら、矢来・夕立は含みを持たせた答えを返す。
機械屋としての矜持が少女に決意を促し、暗殺者としての領分が少年に仕事をさせる。
「それでは行きましょう。孫子曰く先手必勝です……ウソですけど」
ヒトガタに折った千代紙を片手に夕立が歩けば、スミコは腰に止めたタンクの容量と圧力計の数字を確かめて後に続いた。
――Clap.
戦闘機械の電装系のコードが切断された。
――Pom.
ガーディアンの駆動アクチュエーターが機能を停止した。
「ん?」
機械の異常に気付いた作業員が近づけば、彼の首が何かに圧迫されるようにうっ血し、男は白目を剥く。
意識を失った作業員が引きずられて闇に消える中、ガーディアンと呼ばれる戦闘機械からは引き続き異音が鳴る。
一人が霧状のガジェットとユーベルコードで姿を消し、兵器の無力化を試みれば。
もう一人のユーベルコードは人の認識に干渉し、自分が居ないと思わせて、兵士や点検に動く作業員を無力化する。
勿論、物音は消せないし、熱源センサーで見れば見つかるだろう。
故に二人は起動準備で熱が入っているガーディアンを中心に見えざる手を伸ばした。
「そろそろですか……」
夕立が呟けば、スミコも圧力計を確かめる。
「うん」
彼女の言葉を聞けば、少年は戦闘員へ向かって近づいた。
「やあ、こんにちは。それともドーモって言ったほうが良いのかな?」
隠蔽を解除し脇差を抜けば、夕立はその柄尻を兵士の喉に叩きこむ。
「Raging Evil Division……RED?」
倒れた戦闘員の腕章に書き込まれた文字を呟きながら少年は銃火より逃れ、たまたま鉢合わせした作業員の鼻に膝を入れる。
「誰もいないところから出てきたらさすがに驚きません?」
その場に崩れる男に問いかけるが反応はない。
「ヒーローズアースではよくあることだったりしたら忍者として凹む。ウソですけど」
軽口を叩きながら走れば、動き出す戦闘機械が視界に入る。
「しかしココ、オートパイロットの兵装もあるんですよね」
ハッキングやメカニックで無力化できる人間が居ることを祈りつつ、夕立はスミコのフォローへ回るべく、施設内を走った。
「間に合います?」
一般通用口でなく、ゲートの扉に備え付けられた機械を分解する少女へ滑り込むように少年が問いかければ。
「あと10秒」
配線を組みなおすスミコが答える。
「8秒持たせます、それ以上無理です」
「分かった!」
夕立の言葉に少女が一言答えれば、少年は施設の陰に消える。
「さてさて、人間と機械との知恵比べか……まあ、負けないけどサ!」
スミコが呟き、レバーを力いっぱい引けば――2mを超えるウォーマシンがゲートからエントリーしてきた。
「さあ、ここからは人間――猟兵の出番だ!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
「始まったか……彼らはアレをどうするのだろう? ところで――遅かったねキャプテン」
「邪魔をするかジェームス。人の気高さと言うまやかしを信じ、ミュータントもバイオモンスターも人も神も手を取り合えると謳った男がアレを壊さず、猟兵に任せるとは」
「私は猟兵を信じている。それに古馴染みの不始末くらいはこちらでさせてくれよ」
「目が曇ったな、俺はもうお前の知っている男ではない」
「知っているさ、だからアーリントンへ帰ってもらう」
上野・修介
アドリブ、連携OK
・POW
「雑魚退治の次はアジト強襲か」
何であれ、俺のやることは変わらない。
――調息――脱力――敵を砕く
【覚悟】を決め、腹を据えて【勇気+激痛耐性】推して参る。
初手奇襲。
相手が陣形、体勢、呼吸を整える前に仕掛け、崩す。
目付は広く【視力+情報収集】、戦場全体を見るように。
事前に他の猟兵への連絡手段を確保しておき戦闘前に味方全員に敵の位置を連絡。
得物は素手格闘【グラップル】
UCは攻撃力強化。
立ち回りは敵陣中央に飛び込み、同士討ちを誘う。
相手の懐に【ダッシュ】で肉薄し一体ずつ確実に始末。
囲まれそうになれば迷わず退き【逃げ足】仕切り直す。
防御は攻撃の軌道を【見切り】防ぐよりも受け流す。
ミハエラ・ジェシンスカ
◎
さしずめ異境の同族とでも言ったところか
確認しておくが連中まで「殺さず」に捕らえろなどとは言うまいな?
ガーディアンを何機かウォーマシンに【変形進化】させてこちらの味方に加える
ああ、悪いがハッキングを疑っているなら見当違いだぞ
ヒヨッ子どもに援護させつつ私は二刀流で切り込む
敵の攻撃は【武器受け】でいなすか【念動力】で最低限軌道を逸らし
距離を取ろうとする敵にはセイバードローンで即座に追撃を行う
現状はどうあれこいつらの設計理念はこの私よりもよほど真っ当だ
あるいはただの兵器ではなくまともな自我を持つ存在だったのなら
ヒーローにだってなれただろうに、なんとも惜しい
……いや
無駄な思考が過ぎたな。私らしくもない
胡蝶花・空木
また映画みたいな陰謀に巻き込まれたわね……
まあ、止める必要があるなら止めるわ
責任は乗っ取られた政治家に取ってもらいましょうか
◎行動
ユーベルコードで自己強化して、不意の攻撃に備えながら侵入、制圧を目指すわ
万一この兵器が外に出ないように、侵入した後は扉を凍らせて封じましょう
出撃用のハッチのような物があるならそれも同様ね
さて、あとはどれだけ素早く制圧出来るかよ
●エントリー・オブ・ジ・イエーガー
ヒーローがヴィランにヴィランがヒーローになるように、人の心は移ろいやすいもの。
それはただの人間でも変わりはない。
一つの意志を貫く者も勿論居るが、全てがそうではないのは誰もが知っている。
だからこそ、世界には悪へ傾く受け皿が存在していた。
『レイジング・イビル・ディヴィジョン』
通称『R.E.D』と呼ばれる組織はそうして生まれ。
今、政府の守護者を違う物へと変えようとしていた。
基地格納庫へ最初に飛び込んだのはミハエラ・ジェシンスカ。
その巨躯と装備、そして能力が彼女を一番槍となることを必要とした。
「さしずめ異境の同族とでも言ったところか」
『R.E.D』の兵士がライフルのトリガーを引けば、二本のフォールンセイバーが舞う様に煌めき、弾丸を叩き落とす。
「連中まで「殺さず」に捕らえろなどとは言うまいな?」
軽口を叩けば、視線にあるのは今にも起動しようとする戦闘兵器。
『Spawn!』
「悪いが徴用させて貰うぞ。さあ目覚めろ『ヒヨッ子ども』戦いの時間だ!」
ミハエラのサイキックエナジーがガーディアンへと伝導すれば戦闘兵器は異世界の戦争人形――ウォーマシンへと姿を変える。
「ああ、悪いがハッキングを疑っているなら見当違いだぞ」
新たな味方を確保しつつ、ミハエラはヴィラン達へ向かって言い放った。
「入口だ! 退路を確保するんだ!」
『R.E.D』の兵士が脱出路の確保を促す。
戦闘員たる自分達は戦わなくてはいけないが、技術者は脱出させなければならない、彼らには組織の為に兵器を開発してもらう必要があるのだから……。
だが、それは氷の壁によって阻まれる。
「また映画みたいな陰謀に巻き込まれたわね……」
凍った扉を背に佇む、ウィンターサイレンスの足元に転がるのは、空になったミネラルウォーターのボトル。
「まあ、止める必要があるなら止めるわ」
兵士の一人が銃を撃てば、弾丸はヒーローである空木の目の前で制止し、落下。氷に包まれた欠片となってコンクリートの床に砕ける。
「責任は乗っ取られた政治家に取ってもらいましょうか――Super・justice・Diamond・dust!」
触れるものを凍り付かせる銀色のオーラを身に纏い、ウィンターサイレンスが飛翔。
ヴィランとの間合いを詰め、その手でライフルを握れば、それは氷の塊へと変わってしまう。
悲鳴を上げて逃げようとした兵士に一撃を叩きこめば、次に複数の銃声が響く方へと視線を移す。
施設格納庫の上層、キャットウォークに『R.E.D』の構成員がライフルを構えて狙撃を試みているようだ。
上方からの攻撃の危険性を悟った空木は天井を這うように空を飛ぶと、兵士達へと躍りかかった。
「みんな! 後はどれだけ素早く制圧出来るかよ!」
キャットウォークから兵士を叩き落としながらウィンターサイレンスが叫べば、他の猟兵も同様に早期制圧へと動いた。
「雑魚退治の次はアジト強襲か」
呼吸を整え、脱力から膝の発条を発動させれば、上野・修介は空を舞う。
照明を背に飛び蹴りで兵士を一人、昏倒させれば、視線は全体へ――二目平視の域へは届いては居ないが、視線を定めない視野は広く敵の動きを視る。
奇襲によって、まだ態勢の整っていない敵陣中央へ飛び込めば、まずは一撃。
拳を顔に受け『R.E.D』の構成員が倒れる中、他の兵士が銃を構えるが、敵味方入り混じった状況が同士討ちの可能性を呼び込み、彼らに銃を捨てさせる。
ナイフを持った兵士の攻撃を修介が受け捌けば、その顎に掌底を入れ、背後から襲う男へ蹴りを叩きこむ。
「――散開しろ!」
誰かの声がして、ヴィラン達が散開すれば、『R.E.D』の一人がコンテナの上でライフルを構え、小銃弾をフルオートで撒き散らす。
空薬莢が跳ねて音を立てる中、逃げるように猟兵は施設の物陰に隠れれば、そこからコンテナに跳び上がり疾走、ライフルを持った男の背中を蹴る。
兵士が落下する横でウォーマシンの集団は戦闘兵器へ向かって疾走していった。
「現状はどうあれこいつらの設計理念はこの私よりもよほど真っ当だ」
戦闘人形へと進化させたガーディアンに援護をさせ、ミハエラは飛び込む。
「あるいはただの兵器ではなくまともな自我を持つ存在だったのなら、ヒーローにだってなれただろうに、なんとも惜しい」
フォールンセイバーの赤黒い刃が起動しようとした戦闘兵器を貫き、動力源への道を断つ。
「……いや」
システムに刻まれた悪心回路が嘲笑う。
「無駄な思考が過ぎたな。私らしくもない」
羨望を心の奥へとしまえば、騎士は自嘲し呟いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
「もうよせ、お前では勝てないディテクティブ・ザ・ハンド」
「いや、やめないね。これは私の戦いだ、アーリントンに眠る、純粋な男の名をこれ以上汚させないための」
「ここに居るのは死者ではない。オブリビオンだ」
「お前が魂の21gと言うのか!? 日記帳に書きこまれるインクの重さ以上の物なのか!?」
「相変わらずだなジェームス、だが終わりだ。他のヒーローと同じようにお前も俺の拳を受けろ」
アポロダスト・ディラマティウス
◎
オー…守るために作られたメカがヴィランの手に堕ちてしまうとは何とも悲しいものデース…!
せめてワタシの手で被害が出る前にぶっ潰してあげマース…!
悪く思わないで欲しいデース…!
【SPD】
いくら大きくてもこの星にある以上、重力の影響を受けていマース。
なので重力を少なくしてあげればきっと動きにくくなるはずデース。
そんなわけでユーベルコード『無重力舞踊(ゼログラビティダンス)』デース!
ダメージを与えながら無重力にしマース!
ワタシは「ダンス」で無重力空間を移動しながらヴィラン共をぶちのめしマース!
アレク・アドレーヌ
【選択:SPD】
そもそもがヴィランから守るための施設と兵器がヴィランに奪われてるって皮肉以外の何物でもねぇなオイ
ついでに予算勿体ねぇけどぶっ壊すしかねぇよな?
だがちんたらしてたら準備されるからUCを使いスピードに特化してからの
【ダッシュ】【先制攻撃】【早業】で敵の対応速度を超えて叩きのめしに行くか…
敵の攻撃は【早業】で避ける、そもそも【先制攻撃】で虚を突いて攻撃される前に潰すで対応。
後は徹底的に施設を破壊し続けるだけだ…悪用される前に更地にしてやる
(アドリブ・共闘歓迎)
●クラッシュ・オブ・ガーディアン
ガバメント・ガーディアンに対して、猟兵は様々な考えを口にし、行動した。
予め動けなくさせようとしたもの、ユーベルコードで自らの旗下に置き、戦力として運用したもの。ガーディアンでなく『R.E.D』の構成員を倒すことを狙ったもの。
そして、彼らは別の選択をした――壊す事。
「オー……守るために作られたメカがヴィランの手に堕ちてしまうとは何とも悲しいものデース……!」
起動し、猟兵へ襲い掛かろうとする戦闘兵器を見て、アポロダスト・ディラマティウスはテクノが流れる中、慈悲の言葉を述べる。
「せめてワタシの手で被害が出る前にぶっ潰してあげマース……!」
それは神ゆえの慈悲か、それとも機械に対する憐憫か?
「悪く思わないで欲しいデース……!」
我らにそれを知る術は無し、心は神のみぞ知る。だが、ダンスは神も人も知る。
ガーディアンの拳をかわし、人差し指を天高く掲げ大地を踏めば、衝撃が波紋となって周囲へ拡散し、重さと言う『概念』すら吹き飛ばす。
鋼鉄の足が大地より離れ、基地の中を浮遊するガーディアン。
操縦する兵士が必死に照準を合わせ、対人ガトリング砲を発射する。
「いくら大きくてもこの星にある以上、重力の影響を受けていマース」
腕を上げ、ゴーゴーで無重力の空間を舞えばアポロダストは人々を挽肉にする銃弾の嵐から逃れる。
「なので重力を少なくしてあげました。これでアナタ動けまセーン!」
ガーディアンへと飛び蹴りの様にその脚を叩きこめばダンスの神は連続してステップを踏み、無重力圏外へと戦闘機械を吹き飛ばす。
無重力の戒めを解かれた鋼鉄の塊は重力に引かれコンクリートの床に叩きつけられスクラップへと変わる。
「アナタのStep――過程は重すぎマース! もっとダンスを練習しなサーイ!」
砕けた戦闘機械から脱出する兵士が見上げたのは照明の中、空を踊る女神の姿だった。
「そもそもがヴィランから守るための施設と兵器がヴィランに奪われてるって皮肉以外の何物でもねぇなオイ」
スピード特化へとその能力を発現させたアレク・アドレーヌの拳がガーディアンを砕く。
「ついでに予算勿体ねぇけどぶっ壊すしかねぇよな?」
そこには明らかな破壊の意志があった。
戦闘機械が照準を定めれば、既にアレクのガントレットがセンサーを砕き、数十を超える打撃が装甲を粉砕し、内部機構へと異形の腕をねじ込み、配線を引きちぎる。
他のガーディアンがガトリング砲を回転させれば、彼は弾よりも速く走り、その銃身を叩き折る。
「後は徹底的に施設を破壊し続けるだけだ」
その破壊の意志は機械のみならず施設にも向けられた。
――何が彼をそこまで駆り立てるのだろう?
彼自身がミュータントだからだろうか?
彼が出来損ないと言われる何かが、彼の情動を動かしたのだろうか?
全ては仮面の奥の向こうにあるかもしれない。
ただ分かるのは――。
「……悪用される前に更地にしてやる」
ガバメント・オブ・ガーディアン計画という物に対しての怒りともいえる感情だけだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『キャプテンストライク』
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POW : ボクシング
技能名「【ボクシング】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD : S.T.R.I.K.E
【STRIKEと刻まれたメリケンサック】が命中した対象に対し、高威力高命中の【野望、主義、計画を語りながらの連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : グラップルガン
【グラップルガン】から【フック付きワイヤー】を放ち、【拘束】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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●ジャッジメント・タイム
基地の壁が粉砕され、トレンチコートの男が転がった。
「やあ、猟兵諸君。また会えたね。すまないがベッドを用意してくれないかシーツはブルーのチェックで」
自らのコートを血で汚し、荒い息遣いで立ち上がるディテクティブ・ザ・ハンド。その足取りは重い。
「もうよせ、お前は戦えない」
粉砕された壁より歩く者がいた。
顔の半分を覆い、スーツを纏った姿はヒーローであった。
だがレザージャケットを羽織り、血に染まった拳を握る姿はヴィランその者であった。
「ヒーローが居なくなれば、人はどうなるかと思えば」
赤いマスクの男はガーディアンの残骸を見上げ。
「やはり、弱い。機械をもって抑え込もうとし、そして間違った使い方をされた」
そして猟兵へ視線を向ける。
「お前達はどう思う? 人間の弱さという物を? 誰かが管理しないといけないと思わないか?」
答えを聞かず、男は構えた。
「俺はキャプテンストライク――人を信じ、裏切られ、そして裏切った」
「だが、最後はヒーローとしてジャスティス・ウォーを戦ったはずだ!」
それまでハンドが叫び、その場に膝を着く。
「今の俺はオブリビオン、猟兵に仇なす過去の残滓」
キャプテンストライクはかつての仲間の言葉を無視し、猟兵へ視線を向けた。
「さあ、来い。ヒーローを倒したのもヴィランを解放したのも俺だ――黒幕だよ。あとは簡単に行こうじゃないか?」
――審判の時が今、始まる。
●
(MSより)
プレイング受付を5月5日8時30分からとさせていただきます。
その前に来たプレイングに関しては書けるよう努力を計りますが、再送をお願いするかと思います。
お手間を取らせてしまい、誠に申し訳ありません。
阿紫花・スミコ
「この世界に来て思ったんだけど、ヒーローっていうのはみんなこんな風に偉そうなのかい?」
身の丈ほどあるスーツケースに手をかける。
「人々はみんな今日の日を生きようと必死なだけだ。」
スーツケースから現れたのは、巨大な棍棒を持ったからくり人形、その名を「ダグザ」。
「こい、お前の傲慢をボクがぶっとばしてやるよ!」
棍棒による攻撃。リーチを生かし、懐に入られないように。直接に攻撃されるとやっかいだからね。
他の猟兵と協力し隙を狙う。
「ここだ!」
からくり糸を引き上げるように強くひくと、腰部の歯車が軋みをあげて、人形が回転を始める!
スピニングスイーブ!
「管理も支配もいらない!人々は自分の足で歩いていける!」
アレク・アドレーヌ
…なるほど。信じたものを信じれなかったものか。
まぁヒーローもまた人間であるならそれもあり得る話だが…
理解はできる。だが共感は持てねぇ。
だからこそヒーローとして引導を渡してやる。それが責務とは言わんでも今この場でやってやれることだろう
まずはUCを使い文字通り『手数』を増やしてから【二回攻撃】で戦うとして武器が厄介だから【武器落とし】で武器を使わせず、そして増やした手数で【鎧無視攻撃】を的確に狙えるタイミングで打ち込むとして。
残りは気合だな…
(アドリブ歓迎・共闘歓迎
上野・修介
※◎
「こういう手合いは何を言っても時間の無駄だな」
UCは基本防御強化、攻撃時のみ攻撃強化。
武器は素手格闘【グラップル】
――調息、脱力、専心
先ずは観【視力+情報取集】る。
体格・得物・構え・視線等から呼吸と間合いを量【学習力+戦闘知識】る。
ダメージを恐れず【勇気+激痛耐性】、【覚悟】を決め相手の懐に【ダッシュ】で飛び込む。
両拳の連携を布石に、時折【フェイント】を混ぜ、急所を確実に狙って削る。
体幹と視線、殺気を【視力】と【第六感】で読み、軌道を【見切】ってスウェー、ダッキング、パリングでダメージ軽減。
守りから攻めへの切り替えの一瞬に僅かに隙を作り【だまし討ち】、大振りを誘い【カウンター】を叩き込む。
●イーチ・ブロウ
「こういう手合いは何を言っても時間の無駄だな」
上野・修介が呼吸を整え、ユーベルコードで自らの肉体を強化すれば、相手の実力を推し量らんと視線を向ける
「――!?」
修介が反射的に距離を取り、それから覚悟を決めるように再び拳を握って間合いを詰める。
「猟兵はわかりやすい、その目は殺すことのみに向けられているからな」
キャプテンストライクが軽妙なフットワークで近づけばジャブを一発。
「なっ……」
視野に入ったものを脳が認識する速度を超える一撃が猟兵の顔を貫けば、即座にサイドからレバーブロー。
修介がパリングでストライクの左拳を払いのければ、次の瞬間ヴィランの右フックが脳を揺らし、膝をつかせる。
『――相手の土俵に入ってはいけない』
視野が揺れる中、誰かの言葉が響いた。
どんなことにも言えるが相手の土俵で戦うのは不利なことである。
いくら身体強化をしてもユーベルコードまで練り上げた技量を持つ相手に同じ技術で立ち向かうというのは不利が必至であろう。
だが、これは一対一ではない。
すぐにアレク・アドレーヌのガントレットが唸れば、素早い一撃、二撃がストライクの拳を狙う。
「……なるほど。信じたものを信じれなかったものか」
拳を狙われることで距離を取るヴィランを追えば。
「まぁヒーローもまた人間であるならそれもあり得る話だが……」
カウンターのストレートで迎撃され、足が止まる。
「そうだ、ありうる話だ。俺もお前も変わらない!」
そこへメリケンサックの一撃が叩き込まれ、実験体の身体に『STRIKE』という文字が刻み込まれる。
「人間は揺れ動く、移ろうものだ! 全てのものが良心を持つわけではない」
次々と叩き込まれる、拳のラッシュ。
「ならば、何かで縛るべきだ。法ではない心を――恐怖で!」
耐え抜くアレクの意識を断とうと拳を振るえば、それを巨大な棍棒が受けとめた。
「この世界に来て思ったんだけど、ヒーローっていうのはみんなこんな風に偉そうなのかい?」
身の丈ほどあるスーツケースから伸びる腕。スーツケースから出る糸を繰るのは阿紫花・スミコ。
「人々はみんな今日の日を生きようと必死なだけだ」
糸を引けばケースが開き、現れるはからくり人形『ダグザ』
「こい、お前の傲慢をボクがぶっとばしてやるよ!」
「お前のような奴は嫌いじゃない。だが、生きようとして誰かを殺めるのも人だ!」
ヴィランが拳を構えなおせば、ダグザが棍棒を振り落とす。
「シィッ!」
鋭く息を吐く音が聞こえれば、からくり人形の棍棒が跳ね上がる。
「パンチで打ち返した?」
驚くスミコの視界に移ったのは拳を突き出したストライクの姿だった。
「強さを勘違いしていた」
修介が立ち上がり、口を開く。
「……どういうことだい?」
ダメージを案じてかフォローに回るアレクが問えば。
「おそらく、奴の強さはパンチが強いとかではなく――ボクシング、自分の土俵で戦い、相手のペースを握って倒していくパワーとテクニックだ」
「どうすればいいの?」
ヴィランに攻撃させまいと人形を繰って牽制するスミコが口を開けば。
「一対一だとペースを奪われる、同時に攻めてこっちの土俵へ持ち込もう」
修介が右に走れば。
「なるほど、わかりやすい」
アレクは左へ走った。
「ストライク、お前の言うことは理解はできる。だが共感は持てねぇ」
ミュータントの拳がストライクの右肩を狙って攻めていく。
「だからこそヒーローとして引導を渡してやる」
腕を狙うことで武器を使わせることを封じ。
「それが責務とは言わんでも今この場でやってやれることだろう」
防御の意識を右肩へと集中したところで。
修介が左側より、拳を振るう。
「チィッ!」
右腕でかばいつつ、牽制のジャブを一歩踏み込み放つヴィラン。
「――今だ!」
ダッキングで相手の拳の下へもぐりこめば、ショートレンジのフックが肝臓に衝撃を伝えストライクの動きを止める。
二人が離れたのは同時だった。
「ここだ!」
からくり糸を引き上げるように強くひくと、腰部の歯車が軋みをあげて、人形が回転を始める!
Spinning・Sweep! 高速回転する人形の勢いに耐え切れずヴィランの身体がガーディアンの残骸へと吹き飛んだ。
「管理も支配もいらない! 人々は自分の足で歩いていける!」
糸を繰る手を握り、叫ぶスミコ。
しかし――。
「俺もそう信じていた……だが、背後の『これ』が嘘だと言った!」
ストライクが残骸の中から這い出れば、残骸をその手で砕き、機械油に汚れた黒い拳を掲げた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ユーフィ・バウム
●◎
簡単に行く
いいですね、好きですよそういうの!
打ち合い、存分に体で
語り合いましょうか!
基本は【グラップル】での肉弾戦
相手の動きを【見切り】、避けきれないなら【オーラ防御】で
耐え凌ぎつつ攻撃を打ち込む
敵に畳み込まれそうになったら【空中戦】飛び上がり
《トランスクラッシュ》体を浴びせ【吹き飛ばし】て
体勢を立て直しますよ
消耗が激しくなったら、【勇気】を胸に【ダッシュ】。
賭けに出ます
敵の必殺の拳を、鍛えたボディとオーラで受け止め――【捨て身の一撃】。
隙を作りだし間合いに入りつつ【力溜め】
【怪力】を生かしての
《トランスバスター》を叩き込みます
人間は弱いのかもしれませんが、私は大好きですよ!
あなただって!
●ミッドウェイ・パーティザペーション
黒い拳を掲げたストライクへ壊れた外壁より侵入者が襲い掛かる。
「簡単に行く。いいですね、好きですよそういうの!」
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)が拳を振るえば、ヴィランはそれを掌で受け流す。
「打ち合い、存分に体で語り合いましょうか!」
「断る」
一言、ストライクが答え拳が消えれば、ユーフィの顎が打ちぬかれ、脳を揺らす。
「……防御フィールドか?」
拳の感触を確かめながらヴィランは呟き、距離を取る。
「ただのウォーモンガーなら、別の会場をあたってくれ、俺は今取り込む中なんだ」
肉体言語のコミュニケーションを戦闘好きと解釈したのかストライクの言葉は冷たい。
「違います!」
否定するように前に出れば襲い掛かるのはジャブの嵐、少女が足を狙って蹴りを振るえばヴィランは片足を上げて、威力を相殺し、肩をプッシュして動きを牽制、そこからまたラッシュで削っていく。
「――くっ!」
畳みこまれまいと跳躍し、闘気を纏ったボディアタックを浴びせていけば、ストライクもガードに集中せざるを得なくなり、バックステップで距離を取り、威力を削る。
「流れを変えようと派手な技に走るのはサーカス以外じゃ通用しないぞ」
起き上がろうとしたユーフィを見下ろし、ヴィランは再び構えた。
ユーフィが殴り合いを求めたのに対し、ストライクは相手を否定する事を目的として動く、目的が違えばすれ違いは事故を招く。
相手がボクシングを使うからと言って格闘技志向であるとは限らない。
簡単に行く――たった一言がこうまで違う故にそこにオブリビオンが立つのだ。
それでも少女は立ち上がる。
伝えたいメッセージがあるから。
勇気を持って走れば、拳の雨が降る。
委細構わず飛び込んだ少女が捨て身の一撃とばかりに拳を振るえば、圧力に負けヴィランが下がる。
そこへ力を溜めて、強力な膂力から振るわれるトランスバスター!
「人間は弱いのかもしれませんが、私は大好きですよ! あなただって!」
拳を腹に叩き込んでユーフィが叫べば。
「そうか、だが俺は嫌いなんだ……これはそういう話なんだ」
少女の後頭部をストライクが殴る。
捨て身の一撃からのユーベルコード故に体勢が崩れ、不幸にも完全な威力が発揮されなかったのだ。
コミュニケーションを拒絶する一撃がユーフィの意識を断った。
苦戦
🔵🔴🔴
アポロダスト・ディラマティウス
◎
ワタシこと女神の視点から見ると、確かに人間は弱いデース!
弱々すぎて笑えマース!
だけど、それよりもそんな人間たちを管理するなどと吠えているユーはもっと笑えちゃいマース!
ユーに何があったのかはちーっとも知りまセーン。
でも、裏切られたから裏切るだなんて子供みたいなことしてるヒーローに負ける気はしまセーン…!
このまま骸の海に還りなサーイ!
【POW】
どうやら相手は殴り合いが得意なようデース。
殴ることに置いて最も重要と言えるのは足の踏み込みデース!
つまり、踏み込ませなけらばいいってことデース!
さぁ踊りまShow!『無重力舞踊(ゼログラビティダンス)』!!
ワタシのダンス神拳に重力は関係ありまセーン!
矢来・夕立
過去に何があったんだか知りません。知らないので、ただのオブリビオンです。
興味もないし、…ていうか、悪が堂々と主義主張を語らないでください。
悪事は黙って働くものですよ。
オレはあなたみたいな手合いが嫌いなので殺します。
《忍び足》で行動するのはいつものことですね。
《暗殺》【神業・絶刀】。背後を取る。
ボクシングのレンジは前方180°ですから、真正面から行くべきじゃない。横もダメ。
抜けられたときのために式紙で《だまし討ち》の準備をしておきます。
回避は…上手く《見切》れれば御の字ですが。
…アレの格闘技術が、純粋な努力の結果なのは分かりますよ。
抜け出た魂の重さ分くらいは悼んでやってもイイです。21グラム。
ミハエラ・ジェシンスカ
◎
人間とは間違えるもの
その人間が作った機械が間違いを孕んでいるのもまた道理か
全く
私がただの機械だったのなら面倒などなかったものを
悪いが私に正義を語る事はできん
我が使命は悪
貴様が人の管理を望むというのなら私はその体制を破壊する叛逆者でしかない
体格差や間合いを考えれば懐に飛び込まれるのは危険だ
【武器受け】【見切り】で攻撃を捌きつつ接近を【念動力】で弾いて距離を保つ
それでもなお飛び込まれた瞬間こそ好機
【悪心回路】を起動
隠し腕を展開【だまし討ち】
間合いの内側に向けて私自身ごと斬り捨てるような【捨て身の一撃】を行う
恐怖による支配はより強大な意思に打ち倒されるのが道理だ
……かつて彼の帝国が滅びたように、な
ユーフィ・バウム
◎
まだ。【激痛耐性】体を叱咤して立ちます
(※立てるのが不自然等の場合スルーしてください)
悔しいけど、私だけでは貴方に心も、体も及ばない
けれど体が動く以上は猟兵として勝利に貢献します!
【グラップル】で勝負するのは変わらないが
仲間と共闘前提での交戦
培った【野生の勘】【戦闘知識】と、
何より先ほど受けた拳を経験にし
相手の動きを【見切り】、【オーラ防御】で耐え凌いで
連携を意識し【力溜め】つつ攻撃を打ち込む
知りえたことは仲間に周知
相手のディフェンスは隙を見て【鎧砕き】で
的確に打撃とユーべルコードを打つ。
仲間が必殺の一撃に打つ際は、その手助けを
キャプテンの打撃で仲間が倒れそうな際は【覚悟】を決め、
【かばう】
胡蝶花・空木
UCで身体強化、冷気を纏って格闘戦を挑むわ
遠距離から対応すべきなんでしょうけど、コイツ相手に引き下がるのは癪ね
幸い周りにマスコミは居ないわ
少しばかり本音を込めて、この拳をお見舞いしてあげる
●心情
デビューからこっち、好き勝手言われてきたし人間の弱さだの身勝手さだのは知ってるわよ
ま、自分はもう社会に生きるワケでもないのに口を出すアンタも似たようなもんだけど
そもそも恐怖で縛れば人を管理できる、なんてそれこそ理想論じゃない
支配への反発に善も悪も無いわ、今の私みたいに
自分が作った社会で生きる積りのない奴に社会を論ずる資格は無いわ
そんなモノは私が偉くなったあとで考えてあげる
※アドリブ、連携歓迎
●ユー・アー・ソー・ナイーヴ
「ふむ、立つのか?」
キャプテンストライクが距離を取り構えれば、ユーフィ・バウムが笑う膝を叱咤し俯いた顔を上げる。
「悔しいけど、私だけでは貴方に心も、体も及ばない」
後頭部への殴打――ラビットパンチで神経伝達を阻害されつつも、ダメージに対する免疫が心を奮い立たせ、一歩、また一歩と足に力を取り戻させる。
「けれど体が動く以上は猟兵として勝利に貢献します!」
「ならば――」
拳を握ったヴィランが一歩踏み込もうとし――そこで何かを感じ、横へ飛ぶ。
白刃が煌めき、そこに現れるのは詰襟の少年。
「過去に何があったんだか知りません。知らないので、ただのオブリビオンです」
矢来・夕立が空を切り裂いた脇差を構えれば、ストライクも向きなおる。
「させません!」
ユーフィが飛び込んで拳を振るえば、ヴィランはそれを迎撃し、夕立は影と消える。
「興味もないし、……ていうか、悪が堂々と主義主張を語らないでください」
再び、現れる影に赤い拳が放たれれば、白刃の軌道が崩される。
また影が消え、ガードを固めたバーバリアンの少女が飛び込んでクリンチからコンパクトな打撃で攻めていく。
「悪事は黙って働くものですよ」
延髄めがけて切先が光る。
「オレはあなたみたいな手合いが嫌いなので殺します」
「生憎と何度も死ぬ気はない」
ユーフィの腕をクラッチしたストライクが彼女を振り回し、背後から刺し殺そうとした夕立へ叩きつける。
二人が吹き飛ばされたタイミングを逃さず、ウォーマシンが疾走、ヴィランを襲う。
「悪いが私に正義を語る事はできん」
(人間とは間違えるもの)
ミハエラ・ジェシンスカの振るう二つの赤黒い光の刃をストライクは上半身を振って回避する。
「我が使命は悪」
(私がただの機械だったのなら面倒などなかったものを……)
体を捻って放たれるフックを念動力のシールドで防げば。
「貴様が人の管理を望むというのなら私はその体制を破壊する叛逆者――Rebeliunea luiでしかない」
カウンターで突き出されるフォールンセイバー。
「マスクは赤いが主義は赤くないんでね、ルーマニア語は分からないんだ」
理力剣の刺突を跳んでかわせば、ヴィランの拳がウォーマシンへ叩き込まれる。
金属の足が床との摩擦で火花を放てば、壁に激突する前に止まり、砕けた顔の装甲板が床に落ちる。
その時――重さが無くなった。
BGMとともに人差し指を掲げたアポロダスト・ディラマティウスが足踏みをすれば、周囲の重さは消え、空中を戦闘機械の残骸が舞う。その中を女神が一人浮き上がれば、見えない床でステップを踏み。
「ワタシこと女神の視点から見ると、確かに人間は弱いデース!」
ウェストサイドなストーリーを思わせる蹴りをストライクへ叩きこむ。
「くっ!」
無重力の中、吹き飛ばされるストライク。
「弱々すぎて笑えマース!」
追い打ちのサンバステップで浮遊する瓦礫へと叩き付ければ。
「だけど、それよりもそんな人間たちを管理するなどと吠えているユーはもっと笑えちゃいマース!」
ボックスステップによる連続踏み付けを腹へ見舞う。
「ならば、神よ! なぜ救わなかった!」
過去の妄執へ囚われたオブリビオンが怨嗟の声を上げ、グラップルガンの引鉄を引けば、ワイヤーが射出され、四方八方に絡み、蜘蛛糸の檻を作り出す。
「ユーに何があったのかはちーっとも知りまセーン」
ワイヤーを蹴って飛び掛かるストライクの一撃をパラパラで受け流せば。
「でも、裏切られたから裏切るだなんて子供みたいなことしてるヒーローに負ける気はしまセーン……!」
憐憫を含んだ盆踊りの振りから繰り出される掌底がかつてのヒーローの脇腹へ叩き込まれた。
殴ることに置いて最も重要と言えるのは足の踏み込み。
ならば、踏み込ませなければいい――。
『Zero Gravity dancing』
アポロダストの『無重力舞踊』が大地から重力を奪い、ストライクの戦闘力を減退させる。
「このまま骸の海に還りなサーイ!」
掌底で動きの止まったかつてのヒーローを掴めば、そのまま振り回して放り投げる。
ストライクの身体が戦闘機械に叩きつけられ止まった時だった。空中から二つの影が無重力圏内へと飛び込んだ。
「タイミング……合わせて!」
ユーフィを抱えた胡蝶花・空木が声をかければ。
「――はい!」
バーバリアンの少女が応える。
無重力圏内に入ったと同時にウィンターサイレンスが手を離せば、慣性の法則でヴィランめがけて一直線に飛ぶユーフィ。
その全力のトランスバスターがストライクの顔面に叩き込まれれば、余波で壊れるガーディアンの残骸。
吹き飛び、自由を失ったオブリビオンへ天頂から降ってくるのは空木。
「幸い周りにマスコミは居ないわ」
ウィンターサイレンスが拳を握れば。
「少しばかり本音を込めて、この拳をお見舞いしてあげる」
それをオブリビオンへ叩き込む。
「デビューからこっち、好き勝手言われてきたし人間の弱さだの身勝手さだのは知ってるわよ」
そこへ叩き込まれるのはヒーローの仮面の下に隠れる胡蝶花・空木の心。
「ま、自分はもう社会に生きるワケでもないのに口を出すアンタも似たようなもんだけど」
そして怒り。
「そもそも恐怖で縛れば人を管理できる、なんてそれこそ理想論じゃない。支配への反発に善も悪も無いわ、今の私みたいに」
凍れるオーラと燃えるハートが拳となって次々と叩き込まれれば。
「ならば!」
激情と共に大振りのフックを振るうストライク。
それをウィンターサイレンスがかいくぐり。
「自分が作った社会で生きる積りのない奴に社会を論ずる資格は無いわ。そんなモノは私が偉くなったあとで考えてあげる!」
大地へ叩きつける一撃を見舞う。
勢いと衝撃で床に叩きつけられるヴィラン。
「悪心回路、凍結の一時解除を承認――Ignition!」
堕ちたフォースナイトの一面を解放したミハエラが赤黒いフォールンセイバーを振り回せば。
「何度も……やられん!」
再度、グラップルガンからワイヤーを射出し、それを手繰って、ストライクが動きを取り戻す。
無重力圏内を念動力で動くウォーマシンとワイヤーをコントロールして空を舞うかつてのヒーロー、何度もお互いが交錯し、二人の身体が空中を走り、浮遊する残骸を抜けて反転、天井を蹴る。
ミハエラとストライク、二人が飛び出せば、お互いが一撃を見舞わんとフォールンセイバーとメリケンサックを握る手に力を込めた。
「だめですよ」
そこへ邪魔するように詰襟がオブリビオンの視界を塞ぐ。
「邪魔をするなぁ!」
ストライクがメリケンサックを叩き込めば、感触はなきに等しい。
そこにあったのは――蝙蝠の式紙によって飛ばされた偽装。
「――嘘ですよ」
呟くのはヴィランの後方で詰襟を脱ぎ、残骸に隠れていた夕立。
張られたワイヤー蹴れば永海・鉄観の一振りを握り、柄尻へ掌を添える。
「恐怖による支配はより強大な意思に打ち倒されるのが道理だ」
赤黒い光を放つ理力剣を捨てて、ミハエラがストライクの肩を掴み念動力で白刃へと押し込む。
「おのれぇ!」
抗うオブリビオンが拳を振るおうとしたところに刃が煌めく。
それはミハエラが展開する隠し腕が振るった二本のフォースセイバー。
刃を持った二つの腕がストライクの腕を切り落とし。
「……かつて彼の帝国が滅びたように、な」
刃を持たない二つの腕が夕立が構える脇差へとオブリビオンの身体を押し込んだ。
「抜け出た魂の重さ分くらいは悼んでやってもイイです。21グラム」
空中を舞う、三つの影。
そのうちの一つが呟き、柄を持つ手を捻った。
●デイ・ウィズ・ノーヒーロー
「終わったかい?」
壁にもたれかかったトレンチコートのヴィジランテが尋ねれば。
「ええ、立てるかしら」
北風のヒーローが手を伸ばす。
「前にこういう時、断ったらね――引っぱたかれた」
苦笑してディテクティブ・ザ・ハンドが助けを借りて立ち上がる。
「怪我は大丈夫?」
トランクケースを抱えた少女が問えば。
「負傷とは恋人関係なんだよ、別れたいんだけどね」
トレンチコートの男が軽口を叩き、肩をすくめる。
「オー、それはよかったデスネー! めでたしデス!」
「本音を言うとベッドが欲しいけどね」
無事を喜ぶダンス神の言葉にハンドは舌を出して、片眼を閉じた。
誰かが笑った。
「でも、オブリビオン倒せてよかったです!」
バーバリアンの少女の言葉にトレンチコートの男がそうだねと答えれば、いずこかへと歩き出す。
「どこへ行く?」
無手の男が尋ねれば。
「後始末さ。ここから先はヒーローと警察の仕事だろ?」
答えを返し、施設の奥へと足を進める。
「ハンドさん」
基地の中を歩くハンドに声をかける影。
「利用しましたね?」
「君達と私達の立場は違うからね、一人でこの件を対処できなかったのは確かだったけれど――でもスタンスは見たかった」
「お前の言うことは分かる。だが一人でオブリビオンへ挑むべきではなかっただろう?」
反逆の騎士が問えば。
「君達に国が作った機械を壊させた罪悪感というところでどうだろう?」
トレンチコートのヴィジランテが落としどころを提案する。
「で、答えは出たのか? ヒーローが居ない日に人は……」
白い仮面のミュータントの問いにただ一言。
「ああ、君達が証明してくれた」
ハンドは答え、そして施設の奥へと消えた。
A day with Nohero
A day without a hero
言葉は色々とあるけれど、もしヒーローが居ない日が来たとき。
誰かが代わりに立つだろう。
それはマスクを被った少年かもしれない。
それとも猟兵のように力あるものかもしれない。
どちらにしても、世界が悪へ傾くことだけはないだろう――今日のように。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年05月09日
宿敵
『キャプテンストライク』
を撃破!
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