●黄昏に沈む正義
「この街のヒーローの力、この程度か。」
黄昏に沈む街角、夕闇が濃くなる一角で一つの影が嘯く。その足元に倒れ伏しているのはヒーローと呼ばれた男。奇襲でもなく、騙し討ちでもなく、ただ真っ向から叩き伏せられたのだ。
「これで最後の一人、なんとも……物足りない。」
ヴィランの暗躍も多いこの街で戦ってきたヒーローたちは皆、弱かったわけではない。それでも、物足りないとその影は言う。
遠くから聞こえるパトカーのサイレン。またどこかでヴィランが事件を起こしたのか。だが、それを止めるヒーローは居ないのだ。
「まだこの街に正義が在るというのなら、力で以て示すがいい。それを成す者が居たのならば、私の闘争の相手として不足はない。」
陽が沈んでいく。長く伸びた影はやがて闇へと消えていった。
●グリモアベースにて
「皆さん、ヒーローズアースで起こるオブリビオンによる事件を予知しました。」
聖典のグリモアを閉じ、アルトリンデ・エーデルシュタインは周囲の猟兵たちに呼びかけた。
「ある街でヒーローを闇討ちする事件が続けて起きています。この事件の犯人がオブリビオンのようなのです。」
オブリビオンの名は決闘者『エア』。彼女はヒーローならば強くあるべし、弱き敗者など不要とばかりに街に居たヒーローをことごとく倒してしまったのだという。
「その結果、街でヴィランを止められる人が居なくなり犯罪も増えてしまっています。」
このままでは街はヴィランが支配する『悪徳の街(ヴィラン・シティ)』と化してしまう。そうなる前に元凶である決闘者『エア』を倒し、再びヒーローが活動できるようにしてほしい。
「決闘者『エア』はヒーローであれば倒すために姿を現します。ですので、まずは皆さんにヴィランの悪事を止めてもらいたいのです。」
別段ヒーローとして振舞わなくても、猟兵が事件を解決すれば力ある者と戦う為にエアは来る。もちろんヒーローらしく名乗りを上げるのもいいだろう。
一つ目の事件は『メトロの大暴走』。
ヴィランによって暴走している地下鉄を止めてほしい。市民も多数乗っている為、一度に破壊などすれば大惨事になりかねない。壊すならば手分けして少しずつ、徐々にスピードを落とすようにした方が良いだろう。車両のどこかに居るヴィランを捕まえて停止させる方法を聞きだしてもいい。或いは運転室などから止められないかを試してみるか。
二つ目の事件は『病院の占拠』。
ヴィランの一団が占拠した病院を開放してもらいたい。現場は警察が囲っているものの病人や医師などが人質に取られている為、手出しできない。ヴィランは人質を集めているホールに大半が居り、後は病院内の通路を巡回しているようだ。
「どちらの事件も放置しては市民が犠牲になってしまいます。ヒーロー不在の今は、猟兵の皆さんに頼るほかなく……」
警察ではヴィランに対抗できないため、猟兵たちの手で解決するしかない。そして事件を解決した猟兵と戦う為に現れるオブリビオン、決闘者『エア』を倒すのだ。
「再びこの街に正義を掲げる為に。皆さんの力を貸してください。」
そう言葉を括り、アルトリンデは猟兵たちを送るのだった。
こげとら
しばらくぶりとなります、こげとらです。
今回は二つの事件を解決し、元凶となるオブリビオンを倒すシナリオとなります。
一つ目の事件は暴走列車を止める事がメインとなります。列車さえ止められればヴィランは捕まえられます。先にヴィランを捕まえて、暴走させている原因を突き止めるなどもOKです。猟兵たちが転送される先は列車の中となります(車両間のドアから出るような感じで送られると思っていただければ)
二つ目の事件は病院内に居るヴィランとの戦闘がメインになるかと思います。病院は二階建ての建物で、一階のホールに人質は集められています。戦闘以外でも、人質の救助を優先するなども可能です。こちらの転送先は病院の建物の外となります。
どちらの事件も時刻は夜(陽が沈んですぐが一つ目の事件、その後に二つ目)となります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしております!
第1章 冒険
『メトロ大暴走!』
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POW : 車両の一部を物理的に破壊することで止める
SPD : 運転室に乗り込んで機械的に制御を試みる
WIZ : 暴走している理由を突き止めて対処する
👑11
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アレク・アドレーヌ
【選択:POW】
強さを追い求める戦闘狂のヴィランがオブリビオンでそいつをおびき寄せるために他の事件を解決して自らの強さを提示しろとそういう事か。
んでその解決してほしい事件が電車の暴走ね…ぶっ壊して構わんなら手っ取り早く被害最小限に抑えるために『敢えて』破壊するとしよう。
UCを使い【怪力】に加えて【力溜め】でさらに威力を高め【鎧無視攻撃】で装甲無視して真っ向からぶん殴って【吹き飛ばし】込みで物理的に破壊するが当然それだけでは威力が足りないので更に【ジャンプ】の脚力による速度も追加し万全を期しておく。
もっとやりようはあるだろうが一番手っ取り早く被害を最小限にするならこれが一番かな
(アドリブ歓迎
地下鉄が速度を上げながら暴走をしている。列車の揺れは普段よりも明らかに大きく、いつ事故を起こしてもおかしくない。時折、耳障りな音が響くたびに乗客たちに言いようもない恐怖が積もっていく。
「い、いつになったら警察は助けに来るんだ……!」
「ヴィランを止めるのはヒーローだろ。けど……」
連日報じられていたヒーローの闇討ち、そして増えていくヴィランの事件。もう、ヒーローも助けに来ないのでは、と諦観を抱く者もいるようだ。そんな列車にアレク・アドレーヌは降り立った。
「強さを追い求める戦闘狂のヴィランがオブリビオンで……」
聞いていた予知による情報と列車内から漏れ聞こえる話し声から状況を整理する。
「そいつをおびき寄せるために他の事件を解決して自らの強さを提示しろとそういう事か。」
事件の全容やオブリビオンを誘きだす方法はごく単純な物だ。ヒーローに比肩する、あるいはそれ以上の力を見せれば良いのだから。
「んでその解決してほしい事件が電車の暴走ね……」
改めて車内を観察する。時折、車体の軋みは聞こえるがすぐにバラバラになるような事はなさそうだ。このまま速度が上がり続ければその危険もあるだろうが。それにこの速度だとカーブなどでの脱線もありうる。もしそうなれば大惨事だ。悠長に調べて回る時間があるかは微妙な所か。ならば。
「ぶっ壊して構わんなら手っ取り早く被害最小限に抑えるために『敢えて』破壊するとしよう。」
無論、ただ正面から殴って止めるのでは足りない。横転などさせようものなら被害が増えてしまう。破壊すべき箇所を決め、車両の外へ出るアレクのヒーロースーツの形状が変わっていく。【スタイルチェンジ・パワーシフト】により、まるで筋肉を強大化したかのように思わせる形状のスーツ。その増した力をもって止めるべく、アレクは暴走する列車、その前へと身を躍らせる。
「電車を吹き飛ばすような攻撃はできないが、これなら!」
列車の進行方向の線路に降り立ったアレクは着地の衝撃をも力へ変え、列車へとジャンプした。自分の行動をする為の距離は稼いでいるとはいえ、列車のスピードは相当なものだ。一瞬たりとも止まるわけにはいかない。アレクが列車に衝突するまでのわずかな間、その間で腕を引き絞り力を溜める。その拳に自身の跳躍の力、向かってくる列車の速度をも乗せてアレクの拳が列車の車両に突き刺さった。
「力こそパワー!」
その言葉通り、鎧をも貫通するパワーシフトしたアレクの一撃は列車の車体程度では止められない。それどころか無駄な力の拡散すら許さず、車体をひしゃげる事無く狙った部分を吹き飛ばしていく。それは車体下部の車輪、そこへ動力を伝えている部分。先頭車両のその部分を奇麗に吹き飛ばし、その吹き飛ばされたパーツが後続の動力部分を破壊していく。
「もっとやりようはあるだろうが一番手っ取り早く被害を最小限にするならこれが一番かな。」
いかな手段で暴走させていようが、車輪が回転しなければ速度は上がらない。爆発させないようアレクが放った一手により、事故を起こすような異常加速は徐々に収まっていく。
「なんだ、今の衝撃は!?」
「で、でも、スピードが少し落ちてるみたいよ……」
「助けが、来たのか……?」
事態が動いた事により車内がざわざわとし始める。
(くそっ、ヒーローは居ないんじゃなかったのかよ……!)
俯きながらブツブツと呟く男は、周囲のざわめきを遠ざけるように座席に身を縮こまらせていた。
アレクにより速度が落ちたとはいえ、列車はまだ止まる事無く暴走を続けている。しかしアレクの行動により乗客は助けが来た事を知り、希望を見いだせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
式島・コガラス
「皆さん落ち着いてください。私は非番の操縦士です。これから列車を停止させますので」
と周囲にアピールしつつ、ゆっくり先頭車両に向かって歩いていきます。
ヴィランとしては、この列車の暴走を止められる恐れのある運転士はイレギュラー。
そして、そんなものがいれば力で排除しようと姿を表すはず。
ヴィランが姿を表したら【クイックドロウ】で速やかに銃を抜き、敵に突き付けます。
今後のことを考えると弾が勿体ないので撃ちませんが、十分な脅しになるでしょう。
「列車を止める方法を言ってください。さもないと、大怪我しますよ」
引き金に指をかけながらヴィランを脅し、暴走の理由を突き止めます。
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(共闘/アドリブ可)
「わわ、アクション映画みたいでワクワクするよ」
【行動】()内は技能
フィオ姉ちゃんとは別行動で車両を探索。ヴィランを探し出すんだ
「みんなお待たせ!ボク達が助けにきたよ」
颯爽と車両に現れて、みんなの注意をひきながら
ヴィランなんか大したことないからね、と(挑発)するよ。
こっちがヒーローと思って名乗り出たらしめたものだよ
元凶を見つけたら威力を絞ったクラロ・デ・ルーナで威嚇して
暴走原因をキリキリ説明してもらうんだ
「今度は首から先、無くなっちゃうかも」
すぐさまフィオ姉ちゃんにインカムで状況を伝えて対処するんだ
電車止まったらみんなを降ろして(救助活動)だね
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【SPD】(連携・アドリブ可)
■作戦
自身は運転室へ、フォルセティはヴィラン探しと役割を分担しながら
電車を止める方法を突き止める
■行動
「みなさん落ち着いてください。大丈夫ですから」
[コミュ力][礼儀作法]で乗客がパニックにならないように落ち着かせながら
運転室へ移動
まず運転手の状況を確認。話せれば手短に状況を確認する
「運転室へ着いたけど、そっちは何か分かった?」
弟にインカムで暴走原因を確認
「迷っている時間はないわね」
さらに計器やマスコン等をざっと見て[操縦][運転]技能を総動員
ブレーキ/減速の操作を理解して、ゆっくりと減速操作する。
障害があれば[ハッキング]で操作権を取り戻す
エメラ・アーヴェスピア
はぁ…決闘がしたいなら、相手と場所を選びなさいよ…
まぁ、オブリビオンに言っても無駄かしら
…忙しい仕事になりそうね、それじゃあ始めましょうか
…少し出遅れてしまったかしら?
この様子なら列車は既に止まっていそうよね…最終確認をしようかしら
まだなのならピンポイントに【メカニック】で直すか【破壊工作】の知識で破壊するわよ
それと『我が工房に帳は落ちず』を発動、これで多くの個所を同時に手を付けられるわ
止まっていたのならば乗客の安全を確保しつつ、ヴィランの確保に動きましょうか
戦闘力の低い工兵でもオブリビオンではないのならば何とかなるでしょう
出遅れたのだから最後の後始末位はやらせてもらうわよ
※アドリブ・絡み歓迎
四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
フハハハハッ!(頭部のみで頑張って浮遊並走)
すまない運転席の車掌さんッ!窓を開け……開かない?ならば少し退いてくれトォウッ!
すまないなッ!後で弁償するッ!俺達は電車を止める為にここに来たッ!
さて、本領発揮だなッ!『機械的に制御』……ならば【ハッキング】、【メカニック】そして【防具改造】に【念動力】ッ!そしてゴーグルの『電脳世界展開』ッ!
モーター回りに細工があるとみたが……そうなら【オーラ防御】で絶縁、そうでなければブレーキの強制作動と物理的な車輪の固定、あぁそうだなッ!放送も必要だッ!
『乗客諸君ッ!もう大丈夫ッ!我々が来たからには夕飯に間に合う事を約束しようッ!』
列車の中では乗客が不安を抑えるように助けを待っていた。助けが来ているのが分かったとは言え、本当に自分たちは無事助かるのか、いつまで続くのか。不安と緊張は僅かなきっかけでもパニックに繋がりかねない。その中を、式島・コガラスが落ち着かせるように声をかけながらゆっくりと進んでいた。
「皆さん落ち着いてください。私は非番の操縦士です。これから列車を停止させますので。」
実際に解決する方法を持っている人間が解決に動いている所を目にし、乗客にも安堵が広がったようだ。それでも慣れない緊張に長時間晒されているのも事実。ヴィランを見つけ、列車を止めなくては。コガラスは先頭車両へ向けゆっくりと歩いていく。
(非番の、操縦士だと……!? さっきのヤツといい、何だって……!)
車両の連結部分のドアを開け、コガラスは同じように声をかけて落ち着かせながら歩いてくる。その様子に男は己の不運を呪っていた。
(いっそ、あいつを殺しちまえば……いや、この場はやり過ごした方がいいのか……)
事態の急変に思考が纏まらない。もう、衝動に任せて殴りかかりたい。その時、コガラスが来たのと反対側のドアが勢い良く開いた。
「みんなお待たせ! ボク達が助けにきたよ。」
颯爽と現れたフォルセティ・ソルレスティアの、良く通る声が響いた。
(なっ……まさかヒーロー!?)
フォルセティの登場に面食らう男、だが、続く言葉はコガラスにより追い詰められていた彼を刺激するのに十分だった。
「大丈夫だよ! ヴィランなんか大したことないからね!」
その言葉が耳に届いた瞬間、男……ヴィラン・スピードトレインはやって来た操縦士を人質に取るべく襲い掛かっていた。
一方、先頭車両では、フィオリナ・ソルレスティアが運転室へと急いでいた。
「みなさん落ち着いてください。大丈夫ですから。」
声をかけ、落ち着かせながら移動する。礼儀正しくも親しみやすい言葉は乗客たちの心を落ち着かせ、その結果、パニックで行く手を塞がれる事を未然に防いでいた。運転室へ辿り着いたフィオリナは中を確認する。
「な、なんだいキミは!?」
中では運転士が列車を止めようと悪戦苦闘していた。フィオリナが運転士を落ち着かせ、状況を確認しようとした、その時。ドンドンドン、と扉を叩く音が聞こえる。不安にかられた乗客だろうか。振り返っても車両へ続く扉の向こうには誰も居ない。
「いったい、どこから……」
言って視線を巡らせた運転士の顔が引きつった。その視線の先には外へ通じる扉。何が、と目を向けたフィオリナが見たものは。
「フハハハハッ!」
マスクが高笑いを上げながら並走していた。多少スピードが落ちたと言え、通常の列車よりだいぶ速い暴走列車に頑張って浮遊並走していたのは四軒屋・綴(頭部のみ)。
「すまない運転席の車掌さんッ! 窓を開け……開かない?
ならば少し退いてくれトォウッ!」
状況の急変に呆然とする運転士に声をかけるも固まったように止まっている。ならば仕方ない。今は一刻を争う状況だ。窓を破って入った綴が運転士を見やる。
「すまないなッ! 後で弁償するッ!」
そして運転士を勇気づけるように力強く言葉を放った。
「俺達は電車を止める為にここに来たッ!」
その言葉に助けが来たのだと喜ぶ運転士を落ち着かせ、フィオリナは手短に状況を聞き、確認する。運転士が言うには、いつも通りに運転していたら突然ブレーキがきかなくなりスピードが上がっていったという。計器類を手早く確認しながらフィオリナは後方の車両へ向かったフォルセティの状況を確認すべくインカムで連絡を取る事にした。出立前に、「わわ、アクション映画みたいでワクワクするよ」とテンションが上がっていたフォルセティが思い返される。一見軽い調子でもやる事はしっかりやる弟だ、何か掴んでいるかもしれない。
そのフォルセティのいる車両では騒ぎが起きていた。
「ふざけやがって! ヒーローが今更来ても遅いんだよ!!」
ヴィラン・スピードトレインは頭に血を上らせて感情を爆発させながら、歩いてきていた非番の運転士を人質に取ろうと圧しかかった。だが、その人物……コガラスは向かってくるヴィランに向かって銃を抜き、その銃口を突き付ける。流れるような動きは無駄がなく、スピードトレインが銃を抜いたと認識した時にはもう、銃口がこちらへ向いているという早業。
「列車を止める方法を言ってください。さもないと、大怪我しますよ。」
目論見が早くも崩れ去ったスピードトレインが歯噛みする。どうするか……眼前の二人がこちらを捕まえるには少しの距離がある。ならば隣のおっさんでも盾にすれば……その考えが顔に出たか、口元が僅かに歪んだ瞬間、エネルギー波が彼を吹き飛ばした。威力を抑えたフォルセティの【クラロ・デ・ルーナ】が炸裂したのだ。盛大に吹っ飛んだスピードトレインだが、打ち身以外のダメージはほぼない。ヴィランは殺さず捕縛するというヒーローズアースでの鉄則に基づき、フォルセティが威力を絞って放ったからだ。だが、そんな事情はヴィランには分からない。
「今度は首から先、無くなっちゃうかも。」
それ故に、フォルセティの言葉に顔色が悪くなっていく。
「さあ、怪我をしないうちに大人しく話してください。」
近寄ったコガラスが改めて向ける銃の引き金に指がかかる。コガラス自身は今後の事を考えると弾が勿体ないので撃つつもりはないが、突きつけられた銃口は旗色の悪いヴィランを追い詰めるには十分だった。
「……小型ドローンを車両の下に張り付けてたんだよ。」
こうなっては大人しく話す以外助からないと判断したか、スピードトレインは渋々ながら話し始めた。ハッキング用の小型ドローンを操り、各車両の下の駆動部へ直接干渉。運転室からの制御を遮断しつつ暴走させていた。ドローンを外すよう促すコガラスの指示に従い、スピードトレインは列車の制御を手放す。
「けどな! 散々スピードを上げて酷使した電車が簡単に止まると思うな、ぼふぇっ!?」
悪あがきじみた台詞を吐くスピードワゴンを再び【クラロ・デ・ルーナ】で吹っ飛ばしたフォルセティのインカムに連絡が入る。
「運転室へ着いたけど、そっちは何か分かった?」
「うん、ヴィランは捕まえたんだけど列車を止めるのはこっちで何とかしないとダメみたい。」
暴走の原因を突き止め、これ以上暴走する事はない。だが、危険な速度で暴走を続けた車両を安全に止める事は出来るのか。
「迷っている時間はないわね。」
計器類やマスコン等を確認し、自分の持てる知識と技術を総動員して列車を止める為の操作を始める。だが、無理な加速の負荷によるパーツの劣化はいかんともしがたい。そこへ綴が様々な計器の並ぶ運転台に張り付いた。
「さて、本領発揮だなッ! 『機械的に制御』……ならばッ!!」
まさに電車の『顔』と言ってもいい、運行を司る運転台。そこに張り付いた綴は列車にハッキングをかけた。頭部のみの綴の被るシケンヤゴーグルが光る。展開された電脳世界でメカニックの知識で列車の状況を把握した綴が、念動力を用い脆弱な個所を補強していく。普段から蒸気メカの身体を操る綴にとって、列車の補強など防具を改造するような物。懸念していたモーター周りの細工はドローンが外れた事で解消されている。だが、車軸の劣化は自分の補強だけで補えるか。そこへフィオリナが列車の速度を落とすべくハンドルを握った。
「減速は私が。問題ない速度まで落ちたら止めてください。」
「承知したッ!」
通常のブレーキ操作だけでは足りないと判断したフィオリナが、まずは減速を試みる。車体に負荷をかけないよう慎重な操作で列車の速度を落としてゆく。列車がある程度まで減速した時を見計らい、綴がブレーキを強制作動、そして車輪を物理的に固定した。車体が壊れないようオーラと念動力を強めて補強し、さらに減速の助けとする。急激な揺れ、火花を散らしながらレールを滑る車輪。軋みながらも列車は無事、止められた。不安に揺れていた車内のざわめきに応えるように、綴が車内に向けて放送を流す。
『乗客諸君ッ! もう大丈夫ッ! 我々が来たからには夕飯に間に合う事を約束しようッ!』
助かったんだ、と湧く列車内の乗客。だが車体の限界が近いのも間違いない。フォルセティは乗客を降ろすべく誘導をする。
「もう大丈夫だから慌てないでね!」
その誘導に従い、避難する乗客たち。だが列車停止の際、どさくさに紛れてスピードトレインは逃げ出していた。スピードトレイン自身に戦闘力はないと判断したフォルセティたちは乗客の安全を優先したが、ヴィランを野放しにするわけにもいかない。
「はぁ……決闘がしたいなら、相手と場所を選びなさいよ……」
列車の状況を見ながらエメラ・アーヴェスピアは嘆息した。
「まぁ、オブリビオンに言っても無駄かしら。
……忙しい仕事になりそうね、それじゃあ始めましょうか。」
エメラが到着した頃には列車の減速が始まっていた。この様子なら列車は止まるだろうと判断したエメラは列車が止まった後を見据えての準備を進めていたのだ。減速する車体が破損しないように【我が工房に帳は落ちず(コンバットエンジニア)】により各所に魔導蒸気工兵を配置してメンテナンスをし、他の猟兵のバックアップ。そして列車が止まった後に備えていた。乗客全員がスムーズに避難できたのはエメラが各車両に配置していた魔導蒸気工兵の存在が大きい。そして全体を把握していたからこそ、逃げ出したヴィランを見逃す事無く追う事ができたのだ。
「出遅れたのだから最後の後始末位はやらせてもらうわよ。」
地下トンネルの端、ヴィランの逃げ場はすでに展開している魔導蒸気工兵により塞がれている。これまでの行動からスピードトレイン自身の戦闘力はないに等しいと分かっているため、工兵でも十分だろう。
「各員、速やかに作業を開始なさい。」
「な、なんだコイツらはぁー!!」
多勢に無勢というべきか、多数の魔導蒸気工兵によってたちまち縛り上げられるスピードトレイン。それを運ばせながらメトロの駅で他の猟兵たちと合流した。すでに乗客は駆け付けた警察によって地上へ誘導され始めている。その警察にヴィランを引き渡していると、駅に備え付けのテレビから臨時ニュースが流れてきた。
『緊急速報です。市内にある病院がヴィランの集団に占拠されたとの情報が……』
その報道を見て、エメラは息を零した。
「……本当に、忙しい仕事になりそうね。」
大成功
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第2章 冒険
『病院占拠→解決』
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POW : 正面から突っ込み囮になる!/手当たり次第に探索!
SPD : 密かに潜入し被害者を救出!/要所を抑えていく
WIZ : 犯人達と交渉するふりをして目を逸らさせる!/外部から内部情報を調べる
👑11
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夜の帳が降りた病院、遠巻きに包囲する警察。病院の前は開けた駐車場、その他は樹木が植えられている。その様子を警察ごと写しとるように報道陣が囲んでいた。
「病院に立てこもった一団は、職員や入院中の患者を人質に立てこもっているようです。」
カメラに向かってアナウンサーが情報を伝える。
「幸い、重篤な患者は居ないとの事で、今のところ危険はないとの事ですが……」
公開した情報を流す取材陣を横目に警察は溜息を吐いた。
「ヴィランからの要求は……現金と逃走用の車か。」
べたな要求、応じなければ人質の命は保証しないというのも。だが、額が大きすぎる。ヒーローが止めに来ないと高をくくって吹っ掛けてきているのだ。
「占拠している集団の素性は分かったのか?」
「向こうから名乗ってきました。『ペットサーカス』です。」
「ボスはジャンキーピエロか……」
この街を根城にするヴィラン集団だ。今回のような立て籠もりをし、金を巻き上げる犯罪を繰り返してきた。武装はナイフや拳銃でヴィランとしての戦闘力は高くないが、一般市民を人質に取る為力押しでの解決が難しい。無論、警察では力押しができたとしても力不足だ。
「だが、ボス自ら出張ってくるとは……ヒーローは来ないと見越してか。」
舐められたものだな、と吐き捨てるも警察ではどうしようもできない事態になっていた。
エメラ・アーヴェスピア
次は病院…コレも本命を引きずり出すためとはいえ、ね
そもそもどうやって確認しているのかしら…
兎も角、目の前の事件を解決しましょうか
この状況なら…久々にあれね
まずは病院を【ハッキング】で病院内部の状態…人質や相手の配置、行動範囲等を【情報収集】
並びに必要な地図データなどを【失せ物探し】で探しておくわ
そうしたら空間投影でやり易い様に私の周囲に色々と表示して、と
私は今回参加する同僚さん達への連絡、情報提供を行う事でオペレーターのようにサポートさせてもらうわ
所謂猟兵用の作戦本部ね
メインは同僚さん達に任せて、細かい所をUCによる兵を突入させてサポートもするわ
コレもれっきとした私の戦いよ
※アドリブ・絡み歓迎
アレク・アドレーヌ
【選択:SPD】
今度は立てこもり事件な…とはいえボス自らやってくるとはよほど自信家のようで。
強引に突入をと思ったが下手に荒げさせても事態が悪化するだけだからここは【変装】で一般人に擬態したうえで忍び込んで被害者を逃がすめどを作るためにボスと殴り合うのが一番だろう。
病院にどうやって入り込むかが問題になるが、まぁそこは警察に協力をしていただき時間を稼いで意識をそっちに向けてもらってる間に入り込むのが妥当か。それか現金を用意して渡す役に扮して近づくのも悪くないが…
何にせよ迅速に片づけるとしよう
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【SPD】(共闘前提/アドリブ可)
【行動】()内は技能
(目立たない/迷彩)で裏手の植え込みからこっそり侵入
何故か聖箒を点滴スタンドにしてブルーの患者衣姿に(変装)
「ボク、お医者さんじゃないの?フィオ姉ちゃんだけなんかずるいや」
フィオ姉ちゃんがヴィランをおびき寄せたら、扉や物陰に隠れて
(先制攻撃)で聖箒を敵の鳩尾に叩きつけて(気絶攻撃)するんだ!
物音で他のヴィランに気づかれたら、三毛猫のルナを放って注意を逸らすよ(動物使い)
ヴィランは猿轡してロープで縛って部屋の奥に転がしておくね
人質避難の経路確保が目的だけど、人質が危ない時はUCを放って
敵の武器をはじくよ(武器落とし)
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【SPD】(連携・アドリブ可)
■作戦
裏口から病院へ潜入し通路巡回中のヴィランを個別に無力化
人質の逃走経路を確保する
■行動
白衣のワンピース姿な看護師に[変装]
院内を[忍び足]で移動。巡回中のヴィランを見つけたら
【影の追跡者の召喚】で追跡させ周囲の状況を把握
ヴィランが単独行動・ホールから死角となる場所で
近くの個室(診察室やオペ室)に[誘惑&おびき寄せ]る
「足を挫いて動けないので助けて下さい」と小声で助けを求め
近づいて来たら死角から弟に攻撃させ気絶させる。自身も銀翼杖で攻撃
この作業を繰り返しホールから裏口までの経路の安全を確保する。
ホールで動きがあれば確保した経路で人質を逃がす
四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
あー風邪を引いてしまったァッ!これでは病院に行くしかないッ!!
えぇい貴様らッ!病人の行く手を阻む気かッ!
こういうのは無茶を言った方の勝ちだなッ!ユーベルコード発動ッ!防御力重視の蒸気機関車系ヒーローへと変身しつつ病院に入るッ!
同時にある程度は監視を潰さねばな、ゴーグルの機能を用い監視カメラを【ハッキング】ッ!停止させたら後は味方に任せるッ!
それはそうとして戦闘開始ッ!非力な病人に乱暴を振るう悪党共ッ!【念動力】で高速し人質の安全を確保した側から【グラップル】【生命力吸収】で大人しくしていてもらおうッ!そして大丈夫か患者さん達ッ!?薬など急ぐものはあるかッ!?
夜の帳が降りた街、その一角にある病院は多数の警察が取り囲んでいた。病院を占拠しているヴィランの一団『ペットサーカス』は病院内の人々を人質に取っている為に迂闊な事は出来ず、ただ時間が過ぎていっているのが現状だった。
「次は病院……コレも本命を引きずり出すためとはいえ、ね。」
その状況を眺めながらエメラ・アーヴェスピアは考えを巡らせる。そもそもオブリビオンはどうやって事件を解決している者を確認しているのか。過ぎる疑問を一度思考の隅にやり、エメラは改めて病院へ目を向ける。
「兎も角、目の前の事件を解決しましょうか。」
超高度コンピューター『エメラルドユニット』を駆使し、病院内のシステムにハッキングを仕掛ける。監視カメラの映像から内部の様子を探るのに並行して病院の地図データなどを集め、情報を統合。それらを一目で見て分かるように自分の周囲に空間投影し、エメラは集まった猟兵たちへと連絡を入れた。
「こっちの準備は整ったわよ。」
そして猟兵たちは動き始める。裏の植え込みから裏口の様子をうかがっていたアレク・アドレーヌは、隣で同様に侵入のタイミングを計っているフォルセティ・ソルレスティアとフィオリナ・ソルレスティアの姉弟を見やる。フォルセティは患者の、フィオリナは看護師の格好をしている。
「ボク、お医者さんじゃないの? フィオ姉ちゃんだけなんかずるいや。」
「医者と看護師より、看護師と患者の組み合わせの方が油断させやすいでしょ。」
相手に無用な警戒をさせない方が動きやすい。そういう意味でも弱い立場の者に変装した方がいいだろう。加えて付き添いの者が居れば、取れる手段も多い。
「そう大きくもない病院、それも夜となれば医者に成りすますのは面倒だぞ。」
「それはそうだけどさぁ……」
そういうアレクは一般人の格好に扮している。強引に突入する事も考えたが、下手に事を荒げるよりも良いだろうと密かに侵入する事にしたのだ。そこへエメラからの連絡が入る。
『今なら裏口付近にはヴィランは居ないわよ。』
「了解。行くとしようか。」
「ええ。フォルセティ、準備はいい?」
「大丈夫だよ、フィオ姉ちゃん。」
裏口から身を滑らせるように入るアレクにフィオリナとフォルセティも続く。ホールへと続く通路へと足を進めるアレクとは別の方向へフィオリナたち姉弟は向かう。
「エメラさん、ヴィランの位置は?」
『突き当りを右に曲がってまっすぐの所に一人。バラバラに巡回しているようね。』
それは好都合、とフィオリナは状況を詳しく把握し、確実を期すべく【影の追跡者の召喚】を放つ。向かってくるのは猛獣使いのような恰好をした大柄な男だ。その男は夜の病院の巡回には飽きているようで、あくびを噛み殺しながら歩いている。その男が角を曲がると。
「あぁ? なんでこんなところに看護師が居るんだ?」
見れば足をかばうように壁によりかかるフィオリナの姿が。
「足を挫いて動けないので助けて下さい。」
小声で助けを求める姿に男は思わず鼻の下を伸ばす。
「仕方ねぇなぁ……なら、そこの診察室で見てや、ぐへっ!?」
フィオリナを押し込むように部屋へ入った男を、扉の影から振るわれた箒が襲った。完全に油断していたこともあり、フォルセティの箒による一撃は奇麗に鳩尾に決まった。そこへフィオリナの杖が男の脳天に叩きつけられる。気を失って崩れ落ちる男を、フォルセティが猿轡を噛ませて縛って転がす。それをエメラの魔導蒸気兵がやってきて引きずっていった。エメラは猟兵たちのサポートの為、【出撃の時だ我が精兵達よ(メイクアサリー)】により蒸気兵を一緒に突入させており、細々した作業を担っていた。
「楽勝だったね!」
「気を抜かないの。この調子でいくわよ。」
二人は巡回中のヴィランを無力化すべく次の場所へと向かっていく。
その頃アレクは物陰からホールの様子をうかがっていた。
(今度は立てこもり事件な……とはいえボス自らやってくるとはよほど自信家のようで。)
ホールを睥睨するように威圧しているひときわ目立つピエロがボスの『ジャンキーピエロ』か。とはいえ、この状況で人質にこっそり混ざるには何か策が要りそうだ。
『もうすぐ彼が来るわ。私の魔導蒸気兵も攪乱に回すわね。』
「助かる。タイミングはそちらに合わせよう。」
小声で返すアレクの耳に、正面から問答をするような大声が聞こえてきた。
「あー風邪を引いてしまったァッ! これでは病院に行くしかないッ!!
えぇい貴様らッ! 病人の行く手を阻む気かッ!」
「なんだぁ!? テメェ、とりこみ中なんだよ!!」
騒ぎの中心は四軒屋・綴である。【蒸騎構築(ジョークアップ)】により強化された防御力に物を言わせ、抑えにくるヴィランを押しのけて強引に病院へと入っていく。さらにヴィラン同士の連絡、周囲の監視を断つべくハッキングを仕掛けたため、騒ぎは大きくなるが中のヴィランたちは状況が把握できなくなっていた。突然の事態に騒めくホール、人々の意識が入り口の方へ向かった隙にアレクは人質の中に紛れ込む。
『いいわ、そのまま続けて。』
「ああー風邪の熱で眩暈がーーッ!」
よろけると見せかけてそのまま体当たりで突撃する綴が行く手を塞ぐヴィランたちを吹き飛ばした。そこへ魔導蒸気兵が駆け付けて、倒れたヴィランを押さえ込んでいく。
ホールの中ではジャンキーピエロが苛立っていた。
「なんの騒ぎだ! 舐めやがって!!」
見せしめに人質の一人でも無残に殺せば主導権を取り返せるか。そう考えたジャンキーピエロは目についた一人にナイフを振う。閃くナイフの刃に悲鳴が上がり、騒然とするホール。だが。
「追い詰められた者の行動など、分かりやすいものだ。」
自分に振るわれたナイフを掴み止め、アレクはそのままジャンキーピエロを殴り飛ばす。反撃の隙を与える気はないが、周りには部下のヴィランもいる状況。いつ銃弾を浴びせられてもおかしくはない。だがそれでも、アレクはこの場で助けを待つ人々の為に戦う事を選んだ。【ジャスティス・ペイン】により増大した身体能力でジャンキーピエロをさらに殴りつける。
「ぐっ、お前ら、さっさとこいつを……!」
ジャンキーピエロの言葉にヴィランたちの銃が一斉にアレクを狙う。その時、入口へ続くホールのドアが吹き飛んだ。
「非力な病人に乱暴を振るう悪党共ッ!」
言葉と共に放たれた綴の念動力がヴィランを縛り、その動きを止めさせる。
「みんな、今のうちに! こっちだよ!」
「誘導します! 慌てないで続いてください!」
そして巡回していたヴィランを無力化し終えたフィオリナとフォルセティが人質となっていた人々を誘導し、避難を促す。
『アレクと綴はヴィランを抑えて。蒸気兵もそっちに回すわ。』
「任せてもらおうッ! そして大丈夫か患者さん達ッ!? 薬など急ぐものはあるかッ!?」
念動力で動きの鈍ったヴィランを叩き伏せ、起き上がる元気を拝借して大人しくさせながら綴は患者の容態を案じる。見た限りは重篤な患者は居ないようだが、体力の落ちている者もいるようだ。安全に避難をする為にも、今しばらくヴィランを抑える必要がありそうだ。綴はぐったりしたヴィランを魔導蒸気兵に投げ渡し、次の相手に突撃した。
「フィオ姉ちゃんは誘導に専念して! ヴィランはボクが相手をするよ!」
「ええ、頼んだわよ!」
フィオリナの避難誘導を手伝いながら、フォルセティは向かってくるヴィランに【クラロ・デ・ルーナ】を放って武器を弾いて無力化していく。とはいえ、混戦を極めたこの状況でヴィランは統制が取れていない。散発的な攻撃を防ぎながらの避難は難しくはなかった。
ホールの中央でジャンキーピエロは眼前に立つ男を睨みつけていた。
「お前らが、お前らが居なけりゃ、すべてうまくいっていたっ!!」
その視線を受け止めるアレクの表情は仮面に隠れて見えない。
「そうかい。残念だったな。」
破れかぶれに殴りかかってくるジャンキーピエロ、その拳が届くより早く、アレクの一撃がピエロの顔面に叩き込まれる。吹き飛んだピエロはそのまま気を失い、起き上がる事はなかった。
「ようやく終わったわね。」
拘束されたヴィランたちを警察が車に押し込めていく。その様子を見ながらエメラは一息ついた。後方からのバックアップ、猟兵たちのサポート。エメラなりの戦い方の貢献は大きかった。その成果を眺めていた視線の端、空間投影していたままの映像に記されたデータに眉を顰める。
「警察の通信の傍受……?」
どことも知れぬ空間、モニターの明かり以外は闇に鎖された部屋。流れてくる慌ただしいやり取りを聞きながら、人影は誰にともなく独り呟く。
「列車の件と言い、2度までも、か……」
警官の無線から聞こえる情報では、ヒーローが現れたわけではないようだ。
「猟兵……」
呟きを残し、人影は夜闇を裂くように駆けだした。その口の端に笑みを刻み。
大成功
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第3章 ボス戦
『決闘者『エア』』
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POW : 決闘:煉獄なる一撃
【焔剣マルドゥーク】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 決闘:氷獄たる連撃
自身に【氷剣ティアマトの吹雪】をまとい、高速移動と【氷塊】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 決闘:千たる刃
自身からレベルm半径内の無機物を【千の剣】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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ヴィランの移送も終わり、人質となっていた人々も病院内でケアを受けている。事後処理のために残っている警官が現場に入らないようにと報道記者を帰していた。
そして人気のなくなった駐車場。猟兵たちはこちらへ近づく強大な気配を感じていた。闘気を抑える事も無く現れたのは、炎と氷の剣を携えた女。
「どれほどの力か……見せてもらうぞ、猟兵。」
闘争を求めて猟兵たちの前に現れたオブリビオン、決闘者『エア』。この街のヒーローを駆り尽くした元凶との戦いの火蓋が、切って落とされた。
式島・コガラス
吹雪のせいで視界が悪く、高速移動のせいで狙いが付けづらい。……これは難敵ですね。
しかし、だからといって手段は選べない身。無理やりにでも、撃ちぬいてみせます。
焔剣を食らわない程度の近距離を保ち、吹雪に体と目を慣れさせます。
いかに高速移動が可能でも、氷塊を飛ばす瞬間は狙いをつけるために移動を止めるはず。
相手が氷塊を放射しようとした瞬間に【クイックドロウ】で先に銃を抜き、魔弾炸砲で撃ちます。
決闘者を名乗るオブリビオンが二度も同じ手を食うとは思えない。
であれば、その一回の隙で五発の弾丸全てを撃ち切ります。
人のカタチを取るのであれば、その急所も大差ない。五発あれば、撃ち殺すには十分です……!
四軒屋・綴
さてッ!人々は日常へッ!ヴィラン達はお縄に付いたッ!
後はエンディングッ!誰も知らない戦いの始まりというわけだッ!
まずはペースを作るッ!蒸気機関車型装備を両腕に装着ッ!そして推進装置起動ッ!【ダッシュ】で撹乱しつつ【一斉発射】で【援護射撃】ッ!
派手に暴れればそのうち焔剣で仕留めにくるだろう、或いは味方を【かばう】形で策を実行。
両腕の装備を【衝撃波】で強制排除、ユーベルコードで敵の一撃を防ぐ、右腕一本なら安いものだ。
そのまま【グラップル】【怪力】【念動力】【属性攻撃】、そして【生命力吸収】、相手の腕を左腕で掴み間接を極めつつ体力を削る。
「悪いが、貴様にはここで終わってもらう。」
エメラ・アーヴェスピア
警察の無線傍受…なるほどね
…さて、本命も出てきた所でお仕事再開よ
私が対処できそうなのは…氷剣かしら
…必要なのは相手の高速移動を捉える誘導、命中力
飛来する氷塊を壊す破壊力
戦闘継続の為の防御力と言った所かしら
…思いつく兵器が一つあるわね
参考の為にと保管してあったけど、まさかまた使う事になるとは
それでも真面目に一番対処できそうなのがコレだから仕方ないわ
『出撃の時だ我が精兵達よ』、一体集中(Lv39)の特殊パワードスーツ装備型
通称「スチームウルフ」…!
様々な武器で氷塊を破壊しつつミサイル等を当てるのよ
…私はヒーローではないけれど、私の知るヒーローの力を借りたこの兵器が、貴女を倒すわ
※アドリブ・絡み歓迎
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(共闘/アドリブ可)
「力を振りかざすだけなんて、ヒーローでもなんでもないよ」
フィオ姉ちゃんや他の猟兵さんと一緒に戦うよ
【行動】()内は技能
簡単な相手じゃないから最初は守備に徹するよ
千たる刃に絞ってグアルディアン・サトゥルノで[2回攻撃]にして
みんなを護るんだ
さらに牽制のためにウィザード・ミサイルでエアの顔を狙うんだ
焔剣の間合いには近づかないよ。
「やっとボク達の出番だね!」
フィオ姉ちゃんの合図が出たら反撃開始だよ
タイミングバッチリの(先制攻撃×全力魔法)でカラミダド・メテオーロを叩きつけるよ
反撃は(見切り)で回避
「早くこの街にヒーローが戻って来てくれるといいよね」
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携前提・アドリブ可)
「決闘者を名乗るだけあって強敵ね。油断は禁物よ」
■作戦
序盤は他の猟兵の支援に回りエアの動きを注視
好機を逃さず姉弟全力のUCを叩きつける
■行動
戦闘開始直後は後方に控え、フォーカスでエアの攻撃速度、間合いを
トレースしながら他の猟兵のサポートに徹する
氷塊に対して【アイギスの盾】を[高速詠唱×2回攻撃]で前面に展開
エアがダメージを負った機を逃さず、銀翼杖を構えなおして反撃開始。
「やられっ放しという訳にもいかないわ」
弟と阿吽の呼吸で[先制攻撃×全力魔法]で【バベルの光】を発動
トレースした行動パターンを元にエアを貫き通す
「強さだけが全てではないわ」
アレク・アドレーヌ
…やっと本題か。まぁ面倒な事件だったことで
並み居るヴィランやオブリビオンもそうだがこの手の戦闘狂というか強者狂いが一番厄介だが
まぁこっちは一対一で決闘してるわけじゃないからやり様はある。
とりあえずUCを使い…今回は防御に特化する。だがただ守るためではなく【見切り】【ジャンプ】【カウンター】の併用で避けるのではなくて敢えて敵に近づいて攻撃をやり返す。当然こっちも傷つくがそこは【オーラ防御】で軽減しつつ【生命力吸収】でカバーしていきます。
相手が寿命を削る戦法と取ってくるならどっちが先に倒れるか根競べするだけだ
(アドリブ歓迎
夜に沈む街、それは街を覆い尽くさんとする悪のようだった。その元凶たる者が青と赤の光を纏う剣を携え、猟兵たちの前に現れる。再び正義を掲げる為に、決闘者『エア』との戦いが始まった。
「警察の無線傍受……なるほどね。
……さて、本命も出てきた所でお仕事再開よ。」
エメラ・アーヴェスピアがエアを視界に収め、自らの取る手を精査する。これまでは後方支援を主にしてきたが、オブリビオンを相手取るなら戦力は多い方がいいか。
「……やっと本題か。まぁ面倒な事件だったことで。」
その前へ出ながらアレク・アドレーヌもどう戦うかを決めていた。
「並み居るヴィランやオブリビオンもそうだがこの手の戦闘狂というか強者狂いが一番厄介だが。」
だが、一対一で決闘してるわけじゃないからやり様はある。この場に集う猟兵、それぞれの力を合わせれば勝機はあるはずだ。
「力を振りかざすだけなんて、ヒーローでもなんでもないよ。」
フォルセティ・ソルレスティアがエアを見据える。かつては如何な存在であったかはすでに知る由もなく、思慮なく力を振りかざすエアを止めるには力で以て倒すほかない。だが力を拠り所とするだけあって相対しているだけでもエアから感じる圧は気圧されそうになるほど、強い。
「決闘者を名乗るだけあって強敵ね。油断は禁物よ。」
油断なく構えるフィオリナ・ソルレスティアの言葉に、傍らのフォルセティが頷く。相手の圧に呑まれれば負ける。だが闇雲に突っかかっていっても勝ち目は無いだろう。気持ちで負けず、自分たちの実力を出し切らなければ。
「さてッ! 人々は日常へッ! ヴィラン達はお縄に付いたッ!」
四軒屋・綴の力強い言葉が夜に響く。力強く言葉にする事、それは気を強く持つ事にも繋がる。相手のペースでなく自分たちのペースで戦いを進める上では有用な事だ。
「後はエンディングッ! 誰も知らない戦いの始まりというわけだッ!」
その言葉にエアの口の端が笑みに歪む。
「良い気概だ。私も全力を尽くして戦える。」
それが何よりの望みであると応え、エアは左に携える氷剣ティアマトの吹雪を纏って襲い掛かった。
「吹雪のせいで視界が悪く、高速移動のせいで狙いが付けづらい。」
式島・コガラスが吹き付ける吹雪に顔をしかめる。エアに近づくほどに強まる吹雪、そしてその風に乗るような高速移動も相まって正確に狙い撃つのは至難の業だ。
「……これは難敵ですね。」
だが、だからと言って諦めるような事は出来ない。コガラスは相手の視界に映りこみ、しかし剣の間合いに入らないような距離を保ちながら機会を伺う。『魔銃アプスー』に装填された弾丸は、五発。無駄撃ちする余裕はない。
「しかし、だからといって手段は選べない身。無理やりにでも、撃ちぬいてみせます。」
その為にも相手の動きと吹雪に体と目を慣らさなければ。エアの放つ氷塊を躱しながら、その動きを体で覚え込んでいく。
「逃げるだけか。それでは興ざめというものだ!」
エアとしてもコガラスが侮るべきではない相手なのは見抜いている。それ故に隙を見せる訳にいかず、意識の幾分かを割かねばならなかった。そこへ蒸気機関を唸らせ、綴が突進を仕掛ける。
「まずはペースを作るッ!」
腰背部に装着された『蒸噴轟進ジョークブースター』を吹かして加速した綴。コガラスの動きを援護するように両腕に装着した蒸気機関車型装備から一斉射撃をお見舞いする。エアは弾丸の雨の中を舞うように躱し、あるいは剣で斬り落しながら逆に綴を迎え撃った。吹雪を裂き、炎閃が綴の軌道を断つように奔る。
「何のこれしきッ!」
推進機をスリップするように振り、その一閃を急旋回で潜り抜ける。走り抜けた綴の胸部には一筋の斬撃の跡が薄く刻まれていた。
「取った、と思ったが……さすがは猟兵か。」
エアも無傷ではない。受けた傷にも感傷なく呟き、エアは追撃すべく剣を振う。その剣戟を押し込むようにアレクが割って入った。
「ここはこの方がよさげだな。」
【スタイルチェンジ・ディフェンスシフト】を発動し、身に着けたヒーロースーツを変化させながらアレクはカウンターを放つ。剣の間合いをずらしオーラで受け止めたにもかかわらず、氷剣の一撃はアレクに浅くない傷を与えた。だがアレクの拳もエアを捉えていた。打ち込んだ拳から吸い取る生命力がアレクの受けたダメージを癒す。だが、続けて振われるエアの攻撃に放ったカウンターが返す剣閃に阻まれ、通った一撃も初撃ほどの威力が出てない。
「打点をずらされているのか。こいつは……」
厄介だ。この相手、攻撃への適応力が高い。剣で斬りつけながらもカウンターを潰すように氷塊が放たれる。身構えるアレクの前に光輝く魔法の盾が広がった。
「今のうちに立て直してください!」
後方からフィオリナが展開した【アイギスの盾】が氷塊を防ぐ。二重に展開したにもかかわらず、一枚目は抜かれていた。
「後方支援をする者が居るならば、纏めて斬り伏せるまで。」
隙を伺うコガラス、突進と射撃で攪乱を行なう綴に合わせて応戦するアレク。三人に斬りかかりながらもエアはさらに刃を振う。駐車場の地面が、停めてある車が、ばらりと解けて無数の剣となっていく。
「させないよ!」
千たる刃が舞う中、フォルセティが【グアルディアン・サトゥルノ】により虹色に輝く魔法の盾を放って防ぐ。しかし数が多い。その上、乱舞する刃全てが襲ってくる訳でもなく攪乱と牽制もかねている。
「みんなを護るんだ!」
それでも守りに徹すれば見切れぬ事はない。牽制に【ウィザード・ミサイル】を放って正確な狙いを邪魔しながらフォルセティは無数の刃から仲間を護る。その中、エメラは解析したデータをフォルセティに回し、その剣戟を捌く助けをしながらエアの力を計算していた。
「……必要なのは相手の高速移動を捉える誘導、命中力。飛来する氷塊を壊す破壊力。
戦闘継続の為の防御力と言った所かしら。」
消極的な戦法ではいずれ潰される。機会を伺っている者が行動に移す為にも、エアに抗する存在が必要だ。
「……思いつく兵器が一つあるわね。」
参考の為にと保管してあったけど、まさかまた使う事になるとは。だが、エメラの持つ手段の中では一番対処ができるものだと彼女自身が感じている。ならば躊躇う事はない。【出撃の時だ我が精兵達よ(メイクアサリー)】により召喚された魔導蒸気兵が組み合わさっていく。群ではなく、強力な個。それはかつてエメラが見たヒーローを再現した存在。多様な火器を収めたバックパックを持つそのパワードスーツ装備型魔導蒸気兵、その名は。
「通称『スチームウルフ
』……!」
スチームウルフにグレネードランチャーと重機関銃を両手に装備させ、エメラはエアを見やる。
「……私はヒーローではないけれど、私の知るヒーローの力を借りたこの兵器が、貴女を倒すわ。」
轟然とブースターを吹かしながら吶喊するスチームウルフへ、エメラは今までのエアの戦闘データを反映していく。その銃撃に綴も派手に弾丸をばら撒きながら突き進む。降り注ぐ無数の弾丸の中、しかしエアは怯むことなく二つの剣を振って迎え撃った。浅くない傷を負いながらもその剣舞は止まらない。
「やられっ放しという訳にもいかないわ。」
フィオリナが銀翼杖を構えなおす。先ほどまでと違いフォーカスでのトレース、それによりエアの動きは掴んでいる。エアがダメージを負った今ならば、そして仲間と共にならば。
「やっとボク達の出番だね!」
フォルセティがフィオリナのオートフォーカスが捉えた照準をなぞるようにタイミングを合わせた。如何に決闘者『エア』と言えども攻撃にさらされていながら取れる行動は限られる。ならば、その瞬間の動きを予測する事は出来る。照準を察知したエアは流石と言えるだろうが、回避行動をとろうとするその動きを綴とスチームウルフの攻撃が阻む。
「貫け、バベルの光よ!」
「星柩満ちて此へ集うは漆黒の紅炎!」
フィオリナの【バベルの光(ルス・デ・バベル)】が天より突き立ち、間髪入れずにフォルセティの【カラミダド・メテオーロ】が光の軌跡をなぞる様に撃ち降ろされた。姉弟の全力の高出力レーザーと巨大隕石の直撃を受けながらもエアは千たる刃を操り、焔と氷の双剣を放つ。だが負ったダメージは大きく、その動きには翳りが見えていた。フォルセティが千たる刃を見切って後方を護り、放たれる氷塊をスチームウルフが撃ち砕く。
「やる、な……だが、この程度で終わりはしない!!」
さらに放たれたミサイルの爆炎の中、エアは近寄った気配を断つべく焔剣マルドゥークから煉獄なる一撃を放った。
「いいや。」
重い音を立てて蒸気機関車型装備が地面に落ちる。エアの必殺の焔剣に【銀弾白杭(ジョーカー)】を放ちながら綴はさらに間合いを詰めた。
「悪いが、貴様にはここで終わってもらう。」
綴の貫手が真っ向から焔剣とぶつかる。音を立てて溶断されていく右手には構わず、綴は左手でエアの焔剣を振う腕を掴んだ。そのまま推進機を噴射、自身の身体をエアの後ろに回り込ませながら関節を極める。怪力で掴まれた右腕は骨の軋む音を立てながら生命力を吸収されていく。
「まだ、だ
……!!」
氷剣を振い、綴を斬り裂かんとしたその一撃をアレクが身体で受け止める。一層強く輝くオーラが、両断する勢いの剣戟の威力を削いでいった。
「相手が寿命を削る戦法と取ってくるなら。」
それでもオーラで止めきれずヒーロースーツを斬り裂く剣。切先が己が身を凍らせて行くのも構わずに、両の拳でカウンターをエアの左腕に叩き込んだ。
「どっちが先に倒れるか根競べするだけだ。」
アレクとて相当の消耗を強いられている。氷剣で裂かれた身体を叩きつけた拳から吸い上げる生命力で無理やり立たせる。お互いに身を削り合う戦いに持ち込めれば、エアとてただではすむまい。
「決闘者を名乗るオブリビオンが二度も同じ手を食うとは思えない。」
ダメージを負い、両腕を抑えられてもなお、エアの闘気は衰えない。今は拮抗しているとはいえ、いつ破られるかも分からない。ならば、動きが止まったこの一瞬に賭けるのみ。
「人のカタチを取るのであれば、その急所も大差ない。五発あれば、撃ち殺すには十分です……!」
エアの前方が急速に冷え、氷塊が形作られていく。だがそれが放たれるより早く、コガラスは『魔銃アプスー』を引き抜いた。
「私にできるのは、これ一つです。」
銃声は一度。否、五度の発砲が一つの銃声となるほどの早撃ちで放たれた【魔弾炸砲(クイックマジックバレット)】がエアの身体を貫いた。この距離、動きを制限された相手の急所を外す事はない。
「……、………」
エアの唇が微かに動く。それが言葉になる事はなく。決闘者の身体は骸の海へと還っていった。
こうして決闘者『エア』は倒された。今はヴィラン蔓延る街ではあるが、悪に抗する正義もやがて戻るだろう。
「早くこの街にヒーローが戻って来てくれるといいよね。」
「そうね、でもきっと大丈夫よ。」
明けない夜がないように、悪が栄えたためしは無いのだから。役目を終えたスチームウルフを工房に戻してエメラは白む黎明の空を見上げた。
「……この街にも、自分たちの街を想う人がきっと居るでしょうしね。」
大成功
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