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蹂躙の足音

#アックス&ウィザーズ


●迫りくる脅威
 日暮れ時の騒乱は収まる気配がない。子供や女性の悲鳴が響く中、戦う力のある男たちは鍬や棒を手にして立ち向かおうとしている。
 しかしこの騒動の主は、壊し殺し奪うことに慣れていた。村に冒険者がいないことは確認ずみだ。武装し下卑た笑いを響かせて威嚇する賊を相手となると、及び腰の農夫たちでは歯が立たない。
「邪魔だ、死んどけえ!」
「ぎゃあああ!」
「棒っきれで勝負になると思ってんのかよ? おら、おらあ!」
 賊たちは真っ先に男たちを殺して回った。干し草の山や家に火を放ち、遊び半分に家畜を殺し、逃げまどう女を押さえつける。
「なんで、なんでこんなこと……」
 涙と恐怖で歪んだ女の顔を見下ろし、男が笑った。
「なんで? どうせおまえらの村はめちゃくちゃになるからだよ。なら、俺たちが先に頂くもんを頂いてからのほうが無駄がねえだろ?」
「どういう……」
 何の話かわからない女へ、男はほら、と指をさしてみせた。
 燃え盛る家々の向こう、街道から村へ続く道には何も変わったところはない。
 否。
 街道もその両脇の丘も、鮮やかに色づいていくのが見えた。花だ。もう朽ちたはずの野草が再び花をつけ、土の中からも芽吹き、どんどん成長して美しい花をつけていく。花は常ならぬ繁殖力で道も埋め尽くし、村へ迫りつつあった。
 と、突然咆哮が轟き渡った。
 血にまみれた剣を担いだ男が、女を押さえつける男に声をかける。
「おい、そろそろボスがお見えだぜ」
「もうかよ。チッ」
 鼻を鳴らした男は女の首から細工のいい首飾りを奪い取ると、彼女の背中に深く剣を突き入れた。血の海に沈みながら、女の目は村を呑み込もうとする花々を眺めていた。

●索敵殲滅
「今回は私の出身世界に向かうことになるんだよ。アックス&ウィザーズにね」
 テス・ヘンドリクス(人間のクレリック・f04950)は猟兵たちを振り返って告げた。
 ひとつの村が焼かれ、住人は殺され、物資は奪われて全ては花に埋もれてしまう。そんな結末を回避しなくてはならない。
「冒険者も旅人も来ないような村だと防衛手段なんてないからね。村人たちを守ってあげてもらえないかな。お願いだよ」
 そう言うと、テスは詳細を語り始めた。
 村は大きな街道から細い道へ入った先にある。住人も五十人にも満たず、冒険者など立ち寄ることもない。そもそも出来たばかりで、村を囲う柵すらも充分ではなかった。
「この村で防衛戦をするより、来る前に山賊たちを見つけ出して叩いたほうがいいと思うんだよ。幸いこいつらのボスの居所はわかりやすいからね」
 本来はおとなしいはずだった花の竜。グラスアボラスは花畑を縄張りとするドラゴンで、生命、特に花を成長させる能力がある。最近は何故か凶暴性が増して、縄張りに巻き込まれた集落をおそっているという。
 テスが予知で見たところ、山賊たちは村の西側、彼方に山のある丘から現れた。花もそちらから来たのだから、グラスアボラスも山賊たちも村の西方向にいるだろう。
「山賊たちはまあ、あの世界ではよくいるけれど大した敵じゃないよ。問題はグラスアボラスだなあ……お花にまみれて可愛いんだけど、結構強いから気をつけてね」
 手伝えたらいいんだけど、と困り顔でテスが呟く。
 いざ、剣と魔法の世界へ。グリモアが光輝いた。


六堂ぱるな
 はじめまして、もしくはこんにちは。
 六堂ぱるなと申します。
 拙文をご覧下さいましてありがとうございます。

●状況
 辺境かつ、出来たばかりの村のため、村からは街道へ向かう細い道しかありません。
 山賊がくると思われる山側へは道もなく、なだらかな丘が山岳地帯まで続いているという話です。村は主に牧畜を営んでいて、牛を囲う柵程度しかありません。

●敵
 グラスアボラスをボスとする山賊が十数人いるようです。
 まずは山賊たちの野営の後などの痕跡や、グラスアボラスの縄張りを見つけることが必要になります。
 村人たちに付近の地形を聞きこんだり、実際に周辺を索敵したりなど、できることは色々ありますのでお試しください。

 皆さまのご参戦をお待ちしております。
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第1章 冒険 『荒野の探索』

POW   :    荒野を虱潰しに強行軍で探索する

SPD   :    標的の痕跡を探して追跡する

WIZ   :    地形や気候、目撃情報から居場所を推理する

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ニナ・グラジオラス
ドラゴン…か。竜騎士としては聞き捨てならんな
競争でもないし、同じ目的の者がいれば情報共有も気兼ねなく行う

村で効き込みをしてから探索
牛を放牧の有無、その範囲や過去に牛の窃盗などが無いかも聞いておこう
窃盗があれば牛を運べる範囲に拠点はあるかもしれない
放牧有なら範囲内の拠点は可能性が低いので探索は最後に

敵も水場の確保は重要だろう
川や湖の位置も聞き、出来るだけ最初に探索する
この村が見える位置に監視場所を作ってるかもしれないので、
村から目星を着けておこうか
そうだ、花。村人に急に花が増えた場所も聞いておこう

聞いた情報と探索結果から大まかに地図を作りながら探そうか
私が見つけられずとも、皆の役には立つだろう


アレン・カーディス
心情
村が出来たばかりで山賊に襲われるとは災難だな

行動
まずは人形劇で人を集め終わったら聞き込み、その後探索
「さぁ、さぁ。ご立会い。人形劇を始めるよ。お代は見てのお帰り、まずはご覧あれ」
「そういえば、この村で最近変わったこと……例えば、丘の向こうから煙が上がってるのが見えたとかなかったかい?」
不審に思われたら、私は旅人で山賊が出たという噂を最近聞いて心配になったと誤魔化す
村周辺の地形も聞き情報を得たら礼を言って村を出、足元や周りに注意し、背の低さも利用して草陰や木の上等に隠れながらその方角へ向かい痕跡や人影を探す
道中山賊の話し声や足音、鎧の音等聞き逃さないように気を付け、仲間がいたら情報を共有する


ミニョン・エルシェ
「冒険者が村に居ない事」は、遠目から見ても察する事は難しい筈。
村のかなり近くまで斥候役が来ていたのでしょう。
「コミュ力」を利用して見知らぬ影や気配を感じた方がいないか聞いて回ってみます。
加えて、西の丘に身を隠しつつ村に近付ける様な岩場などがあれば賊たちにとっては更にグッドでしょう、こちらについても確認を取ります。

情報を整理したら西の丘方面に向けて探索開始です。
野草が朽ちているのであれば、足跡が直接地面に残されている可能性が高まりますし、それを追っていけば野営の跡も見つかるかもしれません。
本来の専門は城址の遺構探索なのですが、生きている対象の行動を痕跡から予測するというのも勉強になりますね。



●立ちはだかるは猟兵たち
 悲劇の予知の舞台となった村は、確かに街道から離れて引っ込んだ場所にあった。
 ついでに言うならば警戒心に乏しいというか人がいいというか、現れた猟兵たちに驚いた顔はしつつも普通に迎え入れた。盗賊なら正面から挨拶しながら来たりはしないだろう、とは村の入口にいた老婆の言である。
 村に入ってミニョン・エルシェ(城普請術師・f03471)がまず気になったのは、予知での山賊たちの認識についてだった。
『冒険者が村に居ない事』は、遠目から見ても察する事は難しい筈だ。城址好きの彼女の心を少しもくすぐらないこの新造の村は、見た限り外からの視線を遮るだけの柵がない。既に村のかなり近くまで、山賊たちの斥候役が来ていたのだろう。村人に聞き込みをしようと視線を巡らすと、ニナ・グラジオラス(花篝・f04392)と目があった。
(「ドラゴン……か。竜騎士としては聞き捨てならんな」)
 胸の裡で呟くニナが気になっていたのは、牛を放牧していたかどうかだ。
 山賊が付近に来ていたのなら牛の窃盗が無かったかも気になるところだ。盗まれていたのであれば、牛を運べる範囲に山賊の拠点があるかもしれない。しかし牛が放牧されているなら、その範囲内に拠点がある可能性は低くなる。
 村人を集めて聞き込みをしたいところだ。そういうことなら、ということで、アレン・カーディス(旅の人形遣い・f05232)が前へ出た。
「さぁ、さぁ。お立会い。人形劇を始めるよ。お代は見てのお帰り、まずはご覧あれ」
 三つ揃えのスーツにシルクハット、おしゃれなアレンが村人たちへ声をかける。
 鮮やかな手並みで人形を操れば、すぐさま子供たちが歓声をあげた。その母親たちも当然ついてきて、娯楽の少ない辺境の村のことだ。ほどなく村の全ての老若男女が人だかりを作って彼の人形劇を楽しんでいた。
 そろそろいいかと、牛を曳いていた老人にニナが聞き込みを始める。
「ここでは牛の放牧はしているのか?」
「いんや。丘を越えると岩が多くて、牛が足を痛めちまうかもしんねえからな」
「なるほど。他の村から離れているようだが、牛泥棒に遭ったことはないのか?」
 牛の鼻面を撫でていた老人がぎゅっと眉を逆立てた。
「ああ、あったねえ。三日ばかり前に一頭いなくなっちまって。盗人かもしれんってんで村じゅうの家も調べたけんど、なんもなかったよ。皆が苦しいってのに泥棒なんて……」
 当然ながらだいぶ憤慨しているが、本人が思っているよりこれは重要な情報だ。
「周りが岩だらけなのは大変ですね。西の丘の方にも岩場はあるのですか?」
 ミニョンが同情的な声をかけると、老人はうんうんと上半身全体で頷いてみせた。
「西は山に向かってっからね。山の裾から岩だらけだって聞いたよ。わしは行ったことないけんど」
 二人が聞き込みをしているのを視界の端に収め、アレンはまとわりつく子供たちに笑い返しながら安堵した。人形劇は効果的だったようだ――それにしても。
(「村が出来たばかりで山賊に襲われるとは、災難だな」)
 一手遅れればこの人々が全て死に絶えたのかと思うと胸が痛む。さて、自分も聞き込みをしなければ。
「そういえば、この村で最近変わったこと……例えば、丘の向こうから煙が上がってるのが見えたとかなかったかい?」
「煙? いいえ、この辺には他に村はないんですよ」
 赤ん坊を抱いた女性が朗らかに応える。すると、おずおずと小さな女の子が手をあげた。
「……あたし、見た……。三日まえの、夕方。遠くに煙が上がってた。夕焼けが消えるまで見てたから、覚えてるの……」
「それはどっちかな? 夕焼けのほう?」
 頷く女の子の頭を撫でて、アレンはミニョンやニナと目を見交わした。
 間違いない。山賊の斥候は西から村を調べにやってきて、ついでに牛を盗んで腹を満たしていたのだ。ミニョンはあくまで穏やかな口調で問いを重ねた。
「どなたか、知らない人を見たり、誰かいるような気配を感じたりはしていませんか?」
 村人たちが顔を見合わせる。窃盗が他にも起きていれば警戒していただろうが、まだ牛一頭だけの被害だっただけに彼らは無防備だった。それぞれ野良仕事や冬支度をしていて誰も何も見ていないようだ。
 捜索範囲はある程度絞られたが、地図と突き合わせる情報が欲しい。ニナが大人たちへ声をかける。
「すまないが、このあたりの川や湖の位置を教えてくれないか。あと、最近急に花が増えた場所を知っている人がいたら教えて欲しい」
 そういうことならと、村人が誰がいい彼がいいと話し合い始めた。花の場所も首を傾げつつ、知っている者はいないかと確認が始まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
「花を纏う龍ですか。美と恐怖は時に両立するもの。私のかつての悪夢がそうであったように…」

いえ、感慨に耽っている場合ではありませんね。では私は【SPD】を使い、相手の痕跡を調べましょう。

生命、特に花を成長させる龍。ならば、その周辺は植物の生成が他と比べて明白な異常性を見せているはずです。また、花に限らず、昆虫や小動物も活発に行動しているでしょう。
村人のみなさんにそういった状況の地域がないかお聞きし、さらに『情報収集』『第六感』の技能も駆使して追跡を行いましょう。

…私自身がある種の不快感を覚える方角に「生命の龍」がいる可能性もありますね。私は「生命」の摂理に背くもの、ダンピールなのですから…。


シラ・クロア
山の景観は悪くないし、花のドラゴンにも逢ってみたいのだけど……世界は、どうしてこうも蹂躙を好むのかしら。美しい花さえも、義の無い殺戮の上に咲くのだとしたら、ただの略奪者になってしまう。
花も、花の竜も、在るべき場所に。この村は、あなたの居場所ではないわ。
とりあえず、山賊に容赦の必要はなさそうね。
【ハヤテ】でハヤブサに乗って、上空から賊の痕跡を探し追うわ。フルートで付近の動物に呼びかけて、侵入者の気配や位置を教えてもらえるといいのだけど。
花の分布、自然を踏み荒らした跡や、ヒトが露営しやすそうな地形、風に流れてくる匂いにも注意。第六感に従って方向性を定めることも。皆と手分けして探索、追跡するわね。


イルナハ・エイワズ
POWで探索します

まずは村の人の周辺のことを教えて頂きます
特に山賊が来るという山岳地帯方面について
話を聞いたら出発です

技能は【視力、世界知識、地形の利用、目立たない】を利用します
強化した視力で地形を判断して、一番楽に山岳まで進めるルートを選びます
探索する場合には地形を利用できる場合には利用し
目立たないように進みましょう
探索する際は世界知識を利用し、この地域に生息しない植物が無いか確認します

山岳地帯など周囲を見渡せる高さのある場所についたら
村までの地形を確認します

日当たりがよく、水の確保も容易な地形があれば絶好ポイントでしょうね

盗賊に遭遇したらユーベルコードで防御力を強化して応戦しましょう


ファルネーゼ・アトラス
【WIZ】
ふふっ、さあエチカ
初めてのお仕事ですよ
何だかどきどきしちゃいますね
尊き命を守る為にも、ファルに力を貸して下さい

山賊様達は村の西側から現れるとの事
もしかすると、村の方々が何か知っているかも知れません
先ずは我々は冒険者だと話して<コミュ力>を用いてお話を聞いてみましょう!
叶うならば動物達とも<動物と話す>で会話を試みます
お話を聞かせて下さいましたら、地図をお借りしまして
<世界知識>でアジトにし易いであろう地点を推測
得られた情報から山賊様の住まわれるアジトを推理しましょう
ファルだけで推理するのは不可能です
皆様と得られた情報を合わせながら力を合わせて打倒・山賊様の為に張り切って参りましょう!


泉宮・瑠碧
花の竜、グラスアボラス…
僕は、彼らは好きなのだがな
…山賊も居るし見逃せはしないが…

僕は情報収集

山賊が先回り出来るって事は
竜が来る様な何かが近くにあるからかと思うのだが
村の西のどこかに
花の竜が来る様な好む花畑でもあったのか
山側の地形や状態を知っている者はいないだろうか

大人は勿論、子供にも訊いてみよう
子供の足でもある程度は行ける丘だろうし
或いは知っている者の心当たりも
子供には情報の有無に関わらず、礼に干し果物のクッキーを

居れば
花が良く咲いて居る所、花畑がある様な場所はあるか
最近にも、そういった場所を探していたりした者が居ないかも

後は
出来たばかりの村との事だが…
立地や広さなど、何故此処に村を?


コノハ・ライゼ
……遣り口がどうにも気に食わねぇネ
飯が不味くなる

【WIZ】
化物の噂聞いて手掛かりを探しているンです、と冒険者の体で聞き込み

野営するなら川の近く、比較的広い平坦な場所
そんな地形や人の痕跡、煙
獣の常とは違う行動ナンかも見てないカナ
野営地が分かればその奥の山側、村からは見通せないような場所に居そうだネ
他に畑はあるのかな
近隣に生える植物、特に花が多く咲く範囲も知りたい
縄張りの可能性が高そうだもの

話す時は胡散臭さをぐっとしまい込み出来るだけ柔らかな態度で
『コミュ力』を発揮したり『料理』の話題から引き出してみようか
それからもし不安を与えてしまったら
災いは届く前に消してみせるから、と安心させられるとイイけど


幻武・極
へぇ、花の竜がいるんだね。
本来は大人しいのにいったいどうしたんだろうね。
まずは、竜を見つけ出す所から始めないとね。

やはり、この竜の特長から探さないとね。
花が成長するらしいから、この季節に咲かない花が無いか探してみよう。


ソラスティベル・グラスラン
なんという惨劇……この世界では、これほどの非道が決して少なくないというのですか!
勇者である以前に、一人の人間として見過ごすわけにはいきません
村に手出しなどさせず、山賊たちと竜を討ちます!この大斧に誓って!

山賊は村の西側から来ると聞きました、丘の方角からと
周辺の地図を頂き、周囲の地形を村の方々から聞き終えれば早速出発です!
標的の痕跡を探る方々はすでにいるはず……ならばわたしは、その穴を埋めます!
西の方角に定め、他の方々が向かった場所とは別の場所を虱潰しです
これは民を救う為の勇気ある行軍、いざ行きますよ【プレリエルデ】!
不安ですか?なに、心配は不要です!わたしの勇気と第六感を信じてくださいっ!!



幸い人形劇で村人たちは一堂に会している。この機を逃さず、猟兵たちは手分けして聞き込みを始めていた。中でも予知の内容に衝撃を受けていたのがソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)だ。
「なんという惨劇……この世界では、これほどの非道が決して少なくないというのですか!
 彼女の激しい慨嘆はすぐさま溢れるやる気へと変換される。
「勇者である以前に、一人の人間として見過ごすわけにはいきません。村に手出しなどさせず、山賊たちと竜を討ちます! この大斧に誓って!」
 勇者かと思いきやバーバリアンだったりするが些細な問題だ。大事なのは諦めないこと。村人を守りたいという気持ちは同じファルネーゼ・アトラス(星謡・f06256)も、聖獣エチカを抱きしめて囁いた。
「ふふっ、さあエチカ、初めてのお仕事ですよ。何だかどきどきしちゃいますね……尊き命を守る為にも、ファルに力を貸して下さい」
 エチカもファルネーゼへ顔をすり寄せる。現れるという山賊たちについて村人たちが何か知っているかもしれないし、それと気づかずに何かを見ているかもしれない。
 最終的に村を呑み込む悲劇の源が花の竜、グラスアボラスだとは判明している。
「へぇ、花の竜がいるんだね。本来は大人しいのにいったいどうしたんだろうね」
 幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)が首を傾げるのも無理はない。何故そうなったのかは知りようもないが、対処は見つけ出すことでできるだろう。
「僕は、彼らは好きなのだがな。……山賊も居るし見逃せはしないが……」
 ついため息がもれる泉宮・瑠碧(月白・f04280)だったが、気を取り直して考えをまとめることにした。村の西のどこかに花の竜が好む花畑でもあったのだろうか。
「山側の地形や状態を知っている人はいないか? 詳しそうだな、という人でもいい」
 大人はもちろん、かがみこんで子供にも問いかけてみる。すると人形劇を最後尾で見ていた男が二人、皆に押し出されてきた。子供たちもあのひと、と指をさす。
「教えてくれてありがとう」
 瑠碧が子供たちに干し果物のクッキーを配ると、わっと歓声があがった。余裕のないこの村ではちょっとしたご褒美だったようだ。
 山の地形に詳しいという男たちは問われるままに説明してくれた。
「山ねえ。岩だらけで他と比べても花が多いってわけじゃないけど、こないだな」
「ああ、ちょっと前に鹿を追っかけた時、あの辺やたら花が咲いてたな」
 二人が猟で山へ赴いたのは十日ほど前だというが、その時は岩が見えないほどの花が咲き乱れていたという。今までそんなことはなかったそうだ。
「そりゃあもうきれいで、なんか薄気味悪くなってすぐに帰ってきたんだよ」
 季節はずれの時期に乱れ咲く花。彼らの気持ちは自身が経験しているからこそ、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)にはよく理解できた。
「美と恐怖は時に両立するもの。私のかつての悪夢がそうであったように……」
 否、感慨に耽っている場合ではない。敵は生命、特に花を成長させる竜。植物の生成が異常を示すばかりではないかもしれない。
「その辺りは昆虫や小動物も活発に行動していませんか?」
 浮世離れした魅夜の美貌に頬を染め、男たちは首を傾げて一生懸命考え込んだ。明らかに秋には見ない蝶や、あの付近では初めてウサギを見かけたという。
「この季節には咲かない花とかなかったかい?」
 話を聞いていた極が水を向けてみると、二人は揃って頷き合った。
「そういえば、出来たばかりの村との事だが……立地や広さなど、場所を決める条件はあったろう。何故此処に村を?」
 瑠碧の問いには、村で一番の年嵩だという老婆がしわしわの笑顔で応えた。
「まあ、近くの村ともめない場所を探したら、こんなとこになったんだよ」
 もっと街道に近い方が良かったが、他の村との兼ね合いの結果ということらしい。結果、何もないけれど村を作るには楽な平地のこの辺りを選んだのだという。
「畑も作りやすそうだったからね。西から川も流れてくるし」
 自分たちが朽ち果てる予知など知らぬ村人たちは、人形劇はもちろん猟兵たちとの話も楽しんでいるようだった。山賊たちの手口を考えると、コノハ・ライゼ(空々・f03130)は思わず表情が歪む。
「……遣り口がどうにも気に食わねぇネ」
 飯が不味くなるというやつだ。ともあれ、たった今川の話をした男に冒険者の体で聞き込みをすることにした。野営をするなら川の近く、比較的広い平坦な場所を選ぶはずだ。
「その川の辺りだけど、何人かで野営とかできる広さはあンのかな?」
 普段はへらりとした笑顔を浮かべているが、今日は胡散臭さをぐっとしまいこんでいる。優男めいた風貌に柔らかな口調で問いかけると、男でも愛想のいい返答を引き出せた。
「俺らも狩りが長丁場だと途中で飯食うところだからな、野営はできるよ」
 川は丘の間を曲がりくねって村の近くまで来ているという。コノハの予測のとおり、その場所は丘の陰でここからは見通せない。
「では西の山へ向かうルートや、途中の地形を詳しく教えて頂けませんか」
 地図を広げてイルナハ・エイワズ(挟界図書館の司書・f02906)が二人に頼みこんだ。
 さすがにこれだけの人数の冒険者が――実際には猟兵だがそれはともかく、集まってあれこれと聞きこまれた村人たちも気になったようだ。一番年嵩の老婆が寄ってきて、小声でそっと問いかける。
「……もしかして、近くでなんかあんのかね?」
「災いは届く前に消してみせるから、心配いらないよ」
 この笑顔で不安を拭い去れるといいが。コノハが請け合ってみせた。

 猟兵たちはそれぞれが得た情報を持ちより共有した。
 近隣の地形、山岳地帯の岩場までの情報。山からの川沿いにあるという野営ができる場所。そして西の山についても情報を仕入れた。
「痩せている土地だというのに、春や夏に咲くような花も狂い咲きのごとく咲いていたという話だ。花の竜が十日ほど前に西の山に現れたのは間違いないね」
 極がそう語ると、エチカを抱いたファルネーゼも聞き込みの結果を告げた。
「それに、村の牛さんが妙な格好の人を見ていましたよ!」
 村人は気がついていないようだったが、ファルネーゼが調べた結果、村の牛たちのほとんどが見慣れない格好の人間を複数、四日前に目撃していた。仲間が一頭連れ去られたとも言っている。
 村人から聞いた情報を書き込んだ地図を広げて、ニナが仲間に提案した。
「山賊たちの野営地と思しき場所は西の川沿いだが、村が見える位置に監視所を作っているかもしれない。目星をつけて警戒して行こう」
「山賊は村の西側から来ると聞きました、丘の方角からと。そちらを探る方々はいらっしゃるでしょうから、わたしはその穴を埋めます!」
 ソラスティベルが買って出たのは、山賊がいる可能性は低いが、確認せずにおくこともできない場所を虱潰しにすることだ。徒労に終わるのが最善と言う役回りだが、彼女は臆することもなかった。
「これは民を救う為の勇気ある行軍、いざ行きますよ【プレリエルデ】!」
 ソラスティベルの召喚に応じ、ゆうに彼女の倍の丈はある蒼空色の騎竜が現れる。一人に任せることに仲間も躊躇はしたのだが、彼女の意気込みがすごかった。
「不安ですか? なに、心配は不要です! わたしの勇気と第六感を信じてくださいっ!!」
「そうですね、皆様と力を合わせて打倒・山賊様の為に張り切って参りましょう!」
 打てば響くようにファルネーゼが輝く笑顔で頷いた。そうまで言われては止めようもなく、山賊の動きを警戒しつつ一行は二手に分かれることになった。

 猟兵たちは村を出ると西の川沿いへ向かった。聞き込んだ情報を総合し、ファルネーゼが山賊のアジトがあると推測する場所を割り出している。しかも村の周辺を探ったミニョンと魅夜が、重い何かを引きずったような痕跡を見つけていた。
「本来の専門は城址の遺構探索なのですが、生きている対象の行動を痕跡から予測するというのも勉強になりますね」
 痕跡は牛を連れ去った時のものだろう。
 山賊の側から気づかれないよう、イルナハは地図と視力と世界知識を総動員して最も危険の少ない進行ルートを導き出した。草陰や木を利用して隠れながら進むアレンと並び、イルナハ自身も先頭に立って話し声や足音、鎧の音などを聞き逃さないよう進む。
 地上を行く仲間たちの頭上、ハヤブサに乗ったシラ・クロア(夜を纏う黒羽のフェアリー・f05958)は彼方の山へ目をやった。
「山の景観は悪くないし、花のドラゴンにも逢ってみたいのだけど……世界は、どうしてこうも蹂躙を好むのかしら」
 強者がたやすく弱者を捩じ伏せる。美しい花さえも、義の無い殺戮の上に咲くのだとしたら、ただの略奪者になってしまう。空からの探索を担当する彼女の目には、山肌から麓までを覆い尽くす花の色まで見えていた。
「花も、花の竜も、在るべき場所に。この村は、あなたの居場所ではないわ」
 だが、まず山賊だ。とりあえず容赦の必要はなさそうでもある。
 他方を担当するソラスティベルと仲間の中継をこなしつつ、シラは時折地上に降りてフルートで動物に呼びかけると情報を集めた。花や草を踏み荒らしていく人間たちの姿は、動物たちも川沿いで見かけている。
「……私自身がある種の不快感を覚える方角に『生命の龍』がいる可能性もありますね。私は『生命』の摂理に背くもの、ダンピールなのですから……」
 誰にともなく魅夜がぽつりと呟いた。村で聞き込んだ情報だけでなく、彼女の第六感もまた、川沿いのこの先に敵がいる、と告げているような気がする。
 川の下流をさかのぼり、丘を二つ回り込んだ頃、イルナハが眉を寄せた。丘と丘の間に少し開けた場所がある。あれが村で聞いた野営場所だろう。
 そして間近にまで、もはや見間違いようもなく季節外れの花が咲き始めているのが見えた。明らかに季節が合わず、この辺りに咲く花でもない。
 と、空を舞っていたハヤブサが矢のように一行の頭上へ落ちてきた。地上ぎりぎりで減速すると、シラが顔を出して声をあげる。
「山賊を見つけたわ。この先の水辺の開けたところに十数人いて、村を襲撃する準備をしているみたい」
 読みどおりだ。音を立てないよう近づくと、殺気だった山賊たちが思い思いに刃物の手入れをしたり、尖った石を拾い集めているのが見える。人数が人数だから全員の不意を突くのは難しいが、今なら近くにいる半数ぐらいは初手を取れるだろう。
 ここで山賊を殲滅し、花の竜との戦いに備えなくてはならない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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アレン・カーディス
おやおや、山賊たちも殺気立っているね
小さく呟き、ちらりと仲間の動向を確認

戦闘
ヒット&アウェイを心掛け、仲間と声掛けや連携して戦うよ
私はただの人形遣いだからね
一人だと分が悪いのだよ

初手は山賊の死角から攻撃
後はからくり人形や魔法具『ククロセアトロ』から呼び出した3体の人形で攪乱しつつ死角から攻撃

「さぁ、ショーを始めよう」
同時に攻めたり、上空にあげたからくり人形で攻撃したり
山賊からこっそり石を盗んで攻撃の邪魔もしてみるよ

盗みが成功してたら
石を見せ
「探しているのはこれかい?」
「返すわけないよ」

山賊の攻撃
人形を盾にしたり、トンボを切ったり、武器で受け流したり

台詞
「それはフェイントだよ」
「アシストするよ」


ミニョン・エルシェ
『良い岩盤です。防塁は石垣で普請します。』
連携を取るのは大前提、私の戦術は共有しておきます。
敵の数はある程度確認して不意打ちに備えます。

敵の頭数を減らす為に、我城普請・相横矢の陣地構築で、強制的に敵集団を分断し、集中砲火を掛けます。
敵の石つぶては防塁か、岩場を盾にして凌ぎます。

ボスを逃しては元の木阿弥。
こういう血の味を覚えた輩は、他所でもやると思いますので。
戦術は手下を相手にした時と同様。
逃げを打とうとするようであれば手下が残っていてもボスを優先。
我城普請・相横矢の陣地構築で逃げ道を塞げないか試してみます。
『そこは私の陣地、私の城です。
命乞いは貴方方が聞き入れなかった様に、無駄と知りなさい。』


シラ・クロア
あんなふうに無防備なのは、自分達は襲撃者であって襲撃されることなどないと思っているからかしら。
――不思議ね。天秤はすぐに傾きを変えるのに。
花のドラゴンの威を借る山賊には、花を差し上げるわ。
まだこちらに気付いていないのなら好都合。できるだけ多くの人数を射程内に収めて、【嵐花】で桜吹雪の中に彼らを閉じ込めるように攻撃を。花弁を賊の武器にも纏い付かせて身動きを阻めたら良いのだけど。
なあに、雄叫び? 口を開けたら口の中にまで花の嵐が吹き込むわよ。そんなにダメージを受けたいのなら好きにしていいわ。窒息しても知らないわよ。
山賊が魔物化しておらずただのヒトなら命まではとらずに縛り上げておくのがいいかしら。


コノハ・ライゼ
いたいた、ココは上手いコト多くを巻き込みたいトコだネ
先手必勝、とはいえ仲間と動き合わせるのも怠らず

【WIZ】
『高速詠唱』にて【月焔】発動
届く半数程の賊の分、分散した炎を撃ち込み
『2回攻撃』で賊が逃げる或は広範囲に散るのを防ぐ為
川や自分らとは逆方向へ撃ち込み炎の壁を作る
仲間が接近戦仕掛けたらその相手取る賊とは別の賊にまた分散した炎で牽制
幾らか炎に巻いたら元気そうな2~3人に集中してい力高めた炎を、
と周りからじわじわ攻めてくヨ

迫った賊には武器抜かぬと見せかけ刻印「氷泪」を展開し喰らってやる
なあにテメェらの所業に比べりゃ温い温い
ふは、やっぱこーゆーのの方が向いてらぁ



●其の者ら罪ありき
 すぐそばに猟兵たちが迫っているなどとは夢にも思わず、盗賊たちはのんびり村を襲う準備を整えていた。
「行ってみたら冒険者がいた、なんてこたぁないだろうな」
「頼まれてもない冒険者が来るような場所じゃねえよ。カネもなさそうな貧乏村だぜ」
「楽しめるのは殺しだけってな具合さ」
 吐き捨てるような口調を聞いて、忍び寄ったアレンは顔をしかめた。自分たちが人々を虐殺する村に怒りすら抱いているように聞こえる。まともな精神状態ではないのだろう。
(「おやおや、山賊たちも殺気立っているね」)
 仲間は揃った頃合いだろうか。ちらりと仲間へ目をやると、ニナが目配せを返してきた。山賊たちを挟み撃ちにする手筈は整ったようだ。こっそりと山賊の傍を離れてアレンも移動を始める。
「いたいた、ココは上手いコト多くを巻き込みたいトコだネ」
 ちょうどそこへふらりとコノハが姿を現した。機を逃さず先手必勝、といきたいところだが、仲間との連携も重要だ。
 どこまでの初手を取れそうか、山賊たちの位置を見ながら考えるコノハの横で、シラがクロアゲハのように美しい黒翅ではばたきながら首を傾げた。
「あんなふうに無防備なのは、自分達は襲撃者であって襲撃されることなどないと思っているからかしら。――不思議ね。天秤はすぐに傾きを変えるのに」
 こちらに気づいていないのは好都合だ。初手はシラのユーベルコードで仕掛ける。
「花のドラゴンの威を借る山賊には、花を差し上げるわ――『いざや邪なるを封じ浄めん、花の嵐』」
「うわ、何だ?!」
「ぐえっ、しゅ、襲げ……げほお!」
 吹き荒れる桜の花びらが6人もの山賊を範囲に収めて襲いかかる。その美しさとは対極をなすほどに花は彼らを苛み、雄叫びを上げようとした数人が咽喉を掻き毟って倒れた。
「口を開けたら口の中にまで花の嵐が吹き込むわよ。そんなにダメージを受けたいのなら好きにしていいわ。窒息しても知らないわよ」
 クールに告げはしたが、倒れた山賊たちの生命まではとらないでおく。
 同時にコノハもシラの術の範囲外にいる山賊へ動いていた。
『暖めてあげようか』
 へらりと笑う彼の言葉が終わるより早く、【月焔】で意のままの炎を解き放つ。燃え上がる月のように白い炎に退路を断たれ、山賊たちは大混乱に陥った。
「さぁ、ショーを始めよう」
 アレンの【魔法具『ククロセアトロ』】から3体のからくり人形が現れると、賊の死角から襲いかかる。完全に不意を突かれた男たちが総崩れになる一方で、離れた場所にいた賊たちが色めきたった。
「冒険者か?!」
「畜生め、何が冒険者はいないだ!」
 悪態をつきながら剣を手にとる、その瞬間。火縄銃からの一斉砲火が山賊たちを呑み込んだ。射撃陣地を『普請』し死霊たちが射手となるミニョンの【我城普請・相横矢】は、集団を分断する上で有効な足止めの手段のひとつだろう。
「良い岩盤です。防塁は石垣で普請します」
 城郭マニアなればこそ、やけくそ気味のつぶても防塁で防ぎきる。突出した男たちの身をコノハの放った炎が焼き、辺りに絶叫が響き渡った。
「なめた真似を! 見てろ野郎ども、こんな奴俺が……!」
「なあに、テメェらの所業に比べりゃ温い温い」
 剣を手に迫りくる男の前に空手で立ったコノハの右目。そのうすいアオの刻印は瞬時に展開すると男を『喰らった』。声をあげる暇もなく貪られた仲間を目の当たりにし、山賊たちが息をのむ。
「ふは、やっぱこーゆーのの方が向いてらぁ」
 笑うコノハの呟きで戦意を失った賊が逃げ始めた。どうやら喰われた男が指揮を執る立場にいたようだが、逃走を座視するミニョンでもない。
「こういう血の味を覚えた輩は、他所でもやると思いますので」
「アシストするよ」
 アレンがスーツの胸に手をあてて会釈してみせた。再び死霊たちが山賊に十字砲火を浴びせる。彼らは肉薄してくるアレンの人形たちから逃げたくとも、弾の飛び交うミニョンの支配領域を突破できない。
「やめろ、このガキ……ぎゃああ!」
「助けてくれよお!」
「そこは私の陣地、私の城です。命乞いは貴方がたが聞き入れなかった様に、無駄と知りなさい」
 厳然たる言葉の後には人形劇。3体の人形が山賊の反撃を封じこめながら殲滅していく。つぶてが無いことに気づき立ち竦む男に、アレンが尖った石を掲げて見せた。
「探しているのはこれかい?」
「なんだ、お前ら何なんだ?!」
「私はただの人形遣いだからね。一人だと分が悪いのだよ」
 狂乱して振り回される剣をとんぼをきって避け、彼の代わりに人形がずいと前へ出る。
 行いは身に返る。そんな言葉を、モンスターに区別されるほどに知性も低下した山賊たちが思いだす由もなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泉宮・瑠碧
山賊にも事情はあれど
無辜の者を嬲って良い筈などないだろうに
…罪人のでも、命を奪うのは辛い事だぞ

幾らか知りたい事がある
僕は「賢者の影」で問いと、瞬間的でも足止めを行う

解除され次第、すぐ次の問いで放つ
解除されずに倒される問いがあれば、別の者へ続く問いを放つ
全て訊き終えたら、真実の無かった問いを新たに別の者へ

花の竜は何故か凶暴性が増したと聞いたが、君達の仕業か
是なら、その方法は何か
君達が竜の行き先の誘導を行ったのか
是なら、その方法は
竜が君達に略奪を命じたのか

あと
村の監視や偵察で今この場に居ない仲間はいるか
是なら、分かる範囲で此処からどの方角だ

自分へ攻撃が来るのなら
見切りと第六感を駆使して避けてみる


ファルネーゼ・アトラス
叶うならば無血で解決するに越した事はありません
然し、これは聞く耳持たぬ様子と見ました
ならば迷う事は許されません
守らなければ――倒さなければ村は守れない
ファルも、覚悟は出来ています
それに、許せない事もあるのです
牛さんのお友達を攫ったのは貴人方ですね!
おいたをする方々にはおしおきです!

各々の力は強くなくとも集団で襲われては大変
誰も倒れぬ事なきよう【シンフォニック・キュア】で皆様を癒しましょう!
紡ぐ歌は母親が我が子の為に歌う子守唄――優しい旋律
下卑た叫びすら掻き消せるよう『歌唱』の力で高らかに歌い続けます
村に暮らす人々が、変わりなく日々を過ごせる様に
――だからこそ、貴人方に倒される訳には参りません!


シエン・イロハ
【Art de vivre】の奴とは協力を

使用能力:SPD

野生の勘で石つぶて投げてくる方向等感知し逃げ足使って回避
ハッ、その程度の速度で俺が当たるかよ

速度が必要なら上着脱ぎつつ、敵の背後へ回り込む様にしてシーブズ・ギャンビット使用
ついでに盗み攻撃使用

奪う奴は奪われる覚悟もしとけって言うだろ?
おら、とっとと金目のもん渡しな

盗み攻撃の際、ドラゴンを自分達の都合よく行動させるための物を敵が所持していた場合優先的に盗む
盗めた場合はニナに渡しとくか
何に使えるか分からんが、無意味に敵対せずにすむよう研究にでも使えばいいんじゃね?

だから先輩はやめろっつったろうが


ニナ・グラジオラス
【Art de vivre】とは特に協力を

POW選択
奇襲前に逃走を警戒し、仲間達と盗賊を挟み打つように配置
1人たりとも逃さない

初手は奇襲し、確実にドラゴニック・エンドを当てる
狙いは逃走妨害以外は常に一番近くの負傷率が高いのを
串刺しで纏めて攻撃

攻撃は木など遮蔽物を使って出来るだけ回避
命中しそうならできるだけ武器で受け、切断は武器のみに留めたい

逃走時は足を狙って攻撃、回避されたら仲間に警告と援護を要請する
逃がせばグラスアボラスに細工をするかもしれない
それが何よりも許せないから

(物を受け取った場合)手癖が悪いとコイツらと変わらんが…
ありがたく受け取っておくよ、シエン先輩



山賊の殲滅が進む一方で、尋問を試みる者たちもいた。なにしろ敵味方の数は拮抗しているので、時間を無駄にすると山賊たちはあっという間に死に絶えてしまう。
「幾らか知りたい事がある」
 逃げ散ろうとする山賊たちの前に、瑠碧は【賢者の影】をもって立ちはだかった。
「どけこのアマ……ぐあ!」
 叫ぶ男の脚に影が絡みつき締めあげる。瑠碧は問いを放った。
『花の竜は何故か凶暴性が増したと聞いたが、君達の仕業か』
「うるせえ放しやがれ!この、あ、ぎゃああああ!」
 答えるどころか毒づこうとした男が悲鳴をあげる。【賢者の影】は質問に真実をもって答えなければダメージを与えるのだ。男はあっさりと音をあげた。
「ち、ちげえよ。あいつが村を潰すのを見て、それで」
『君達が竜の行き先の誘導を行ったのか』
「誘導? んなことどうすりゃでき……ぐああ! 違う、してない!!」
 身悶えして泣き叫ぶ仲間を見て、賊が瑠碧へ向き直った。まだ尋問は終わっていない。見切りで躱そうかと覚悟した時だった。
「おらよ!」
 賊のつぶてを回避しながら来たシエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)が割って入るや、ダガーで鮮やかな斬撃を食らわせた。血を撒いて倒れる賊の向こうでニナが山賊の剣を躱して距離をとる。
 疾る槍の穂先が男の腹を抉った。血の華が咲いた途端に眩い光が弾け、猛々しい咆哮をあげるドラゴンが召喚された。呆気にとられる男の胸をぶち破ると消えていく。あまりのことに凍りつく付近の山賊たちへ、ニナは最後通牒を行った。
「1人たりとも逃さない」
 誰かの咽喉にひっかかったような悲鳴が聞こえた。
 死に物狂いとは言うが、それは山賊も同じことだ。その点で瑠碧は同情的だったが、だからといって手を緩めることもしなかった。
「村の監視や偵察で今この場に居ない仲間はいるか」
「おまえら、やっぱりあの村から……ぎゃ、いる、全員いる! 偵察が戻って全員で仕掛けるところだったんだ!!」
 山賊のほうでは秘密を守ることに意義はなかったらしく、【賢者の影】であっさりと事情を全て吐き出した。嘘があればわかるのだから、これは全て事実ということになる。
「山賊にも事情はあれど、無辜の者を嬲って良い筈などないだろうに……罪人のでも、命を奪うのは辛い事だぞ」
 諭す口調の瑠碧が顔をしかめて言うと、男は疲れ切った顔で首を振った。
「はあ? 知らねえよ、俺らは何とも思わねえからな。こんなふうによ!」
 瑠碧をめがけてふるわれようとした剣はニナの槍が叩き落とす。岩を遮蔽に立ち回ってはいるが、さすがに相手の数もあり無傷とはいっていなかった。血を滴らせるニナの槍に貫かれ、男が顔を歪めて罵る。
「くそう、とんだ邪魔が入りやがったぜ……」
 呪いの言葉を吐き、改心どころか逃れようとあがく山賊の姿は、ファルネーゼのような聖者でも見逃し難い。
「叶うならば無血で解決するに越した事はありません。然し、これは聞く耳持たぬ様子と見ました。ならば迷う事は許されません」
 守らなければ――倒さなければ村は守れない。その覚悟はできていた。それに、彼女が許せないこともあったのだ。
「牛さんのお友達を攫ったのは貴人方ですね! おいたをする方々にはおしおきです!」
「牛さんだあ?」
 耳を疑う、という顔でつぶてを放つ男にはシエンが迫る。【シーブズ・ギャンビット】は身軽になればなるほど速さと鋭さを増し、既に数人の山賊を屠っていた。
「ハッ、その程度の速度で俺が当たるかよ」
 脚の速さだけで敵に肉薄すると死角からひと息に切り裂く。
「奪う奴は奪われる覚悟もしとけって言うだろ? おら、とっとと金目のもん渡しな」
「く、そ……」
 毒づいた男が懐から小さな袋を放りだしたが、猟兵から見れば稚拙な金細工や銀細工程度のものしか入っていなかった。彼に限らず、シエンが得た範囲では山賊の誰ひとりとして竜を操りそうな品は所持していなかった。
 山賊を取り逃がしてグラスアボラスに何か細工をされては許せない、というニナの懸念は、幸いにして今回は必要なかったらしい。それが確認できただけでも儲けものだ。
「助かったよ、シエン先輩」
「だから先輩はやめろっつったろうが」
 苦虫を噛み潰したような顔でシエンが唸る。
 傷ついたニナや他の仲間たちのため、ファルネーゼは子守唄を紡いだ。優しい旋律は村に暮らす人々が変わりなく、穏やかな日々を過ごせるようにと願いがこめられている。
 戦場のそこここであがる下卑た叫びを圧倒し、高らかな祈りが流れていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
……虱潰しが終わり合流しようとしたら、見つけました!賊たちよ!
皆さんはあそこに隠れていますか、流石ですね!
皆さんがあの場所ならば、わたしは別方向から奇襲をかけましょう…!

賊たちが集まる場所に飛び込んで範囲攻撃、一人で数体相手取ります
盾受けとオーラ防御、勇気を持ってただ前へ、前へ
そのような粗悪な武装で、わたしたち勇者の一撃を止められると思わぬことです!

気合(防御)を重視
ここに立てるは勇気ある誓い、勇気と気合と根性の許に勝利はあり!
これがわたしの【勇者理論】です!!
さあ皆さん、これはまだ前座です!悪しき企みを砕き、更なる脅威への準備運動としましょう!
最後に勝つのは、勇気ある者です!!(鼓舞)


ナイ・デス
ソラ(f05892)は、どこでしょう?
ふみ。別方向から奇襲、一人で複数相手
……ソラは強いです。まず大丈夫、でしょうけど
万が一はあり得るです
防御力無視の切断とか
万が一をなくしにいきましょう

【生まれながらの光】を常に自身へ、仮初の肉体再生速度高速化
抑え込まれるなど行動不能に繋がるものだけ第六感や見切りで避け
あとは気にしない。捨て身の一撃、突撃。勇気と激痛耐性で前へ、前へ
黒剣、短剣、拳を使ったカウンター、鎧無視攻撃で傷つけると同時に生命力吸収で絶命させて
切断してもすぐ再生、私のそんな姿に、恐怖を与える

……私が守る、です

撃破後は、生まれながらの光をひろげて猟兵全員高速治療、です
生命力はいっぱい、です


触叢・アン
怒涛の如く、宇宙原付で突き抜ける!
上から踏んだり轢いたり背中ドスンしたり。(踏みつけ1/騎乗5/操縦7/鎧無視攻撃5)
通り抜け様に(2回攻撃1)密集地にマシンガン(範囲攻撃4)
敵の攻撃より速く突き抜け戦場離脱…を繰り返すヒット&アウェイ。(逃げ足6/騎乗5/操縦7/ジャンプ2…&機体から伸びたワイヤー)
何があろうと決して止まらず
「わしゃ誰も止めれんでぇ」
「オラオラ~、轢~き逃げじゃ~っ!」

充分以上に片付いたら颯爽と逃げる。轢き逃げる。細けぇ事ぁ気にせず逃げる。
「ほんならのぅ!」

そんなバイクのネーチャン。
なんかもうただ轢き逃げしまくっただけの暴走バイクな気がするけどたぶんきっとおそらく気のせい。


幻武・極
キミ達が山賊だね。
悪いけど、ここから先には行かせないからね。

トリニティ・エンハンスで守りを強化し、山賊の刃物をいなして防ぎ、隙を突く形で攻撃するよ。

おじさん達の武術もなかなかだったけど、ボクの武術の方が上だったみたいだね。



残りの盗賊たちが次の行動を迷った一瞬、高々と轟く声があがる。
「見つけました! 賊たちよ!」
 ここへ至る道以外の虱潰しを請け負ったソラスティベルが挟撃位置から合流したのだ。駆け戻ってきた勢いそのまま、彼女は賊の前に立ち塞がった。
「そのような粗悪な武装で、わたしたち勇者の一撃を止められると思わぬことです!」
 破れかぶれの賊の斬撃を受け止めたと思うと、大柄な山賊へ果敢に斬りかかっていく。
「ここに立てるは勇気ある誓い、勇気と気合と根性の許に勝利はあり! これがわたしの【勇者理論】です!!」
「な、なんだコイツ……!」
 ソラスティベルのオレンジの髪が躍る。勇気と気合と根性で攻撃、防御、進軍を賄う彼女の理論はちょっぴり脳筋だったが、武装して弱いものを嬲ることしかしてこなかった山賊の心を折るには充分だった。
「さあ皆さん、これはまだ前座です!悪しき企みを砕き、更なる脅威への準備運動としましょう! 最後に勝つのは、勇気ある者です!!」
「く、くそっ! 前座で殺されてたまっか!」
 気圧された男を斬り伏せたソラスティベルが仲間を鼓舞する。その熱い口上に腰の引けた賊が逃げ始めた。しかし彼らもものの数歩で跳ね飛ばされる。
「オラオラ~、轢~き逃げじゃ~っ!」
 宇宙原付にまたがった触叢・アン(銀河疾風・f01011)が戦場を暴走していた。スタイル抜群の彼女を見れば山賊が黙っているはずもなかったが、そんな暇を与えず【ゴッドスピードライド】加速、戦場を駆け抜けては岩陰を回り、再突入しては山賊たちへマシンガンをぶっ放す。
「あの女、何に乗ってんだ?! 馬がねえなら止めちまえ!!」
「わしゃ誰も止めれんでぇ」
 呵々と笑いながら掴みかかってくる男を躱し、逃げようとしている賊をワイヤーでまとめてひっかけたついでに、原付でどっしりと乗りかかった。転がったぐらいで済んだ山賊が逃げ出そうとする目の前には、極がゆらりと立ち塞がる。
「悪いけど、ここから先には行かせないからね」
「クソガキがあ!」
 【トリニティ・エンハンス】を起動した極は炎と水と風の魔力をまとう。選んだのは自身を守る防御力。躊躇なく突きだされた山刀をいなし、がらあきの胴へ拳を叩きこむと男はくの字に折れ曲がって吹っ飛んだ。
「ソラは、どこでしょう?」
 きょときょとと戦場を見回したナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は、すぐに騒ぎの中心で健闘するソラスティベルに気がついた。
「ふみ。別方向から奇襲、一人で複数相手……ソラは強いです。まず大丈夫、でしょうけど。万が一はあり得るです」
 その万が一をなくすため。ナイは【生まれながらの光】を自身にかけて山賊たちのただ中へ踏み入った。見た目が子供でしかないナイへも容赦なく刃は振り下ろされる――が、傷の全ては見る間に塞がっていく。
「うわっ、なんだコイツ?!」
 捨て身で近づき痛みに耐え、黒剣をふるって賊を絶命させる。そうして敵に恐怖を与えるのは、ソラスティベルの為だった。
(「……私が守る、です」)
「こいつ、こいつ……!」
 いくら傷つけても前進をやめないナイの姿は山賊たちに混乱を撒き、結果ソラスティベルにたかる敵の数を減らした。
 浮足立った賊が逃げを打とうと動けば、既に極が回りこんでいる。小柄な身体で敵の懐に飛び込み不意を突くという戦法で、彼女は山賊たちを片っ端から地に沈めていった。
「おじさん達の武術もなかなかだったけど、ボクの武術の方が上だったみたいだね」
 さしたる使い手に巡り合えなかったことは不足だが、山賊をそこそこ仕留めたのは戦果としては悪くない。
「細けぇ事ぁ置いといて、こんなもんかね」
 仕事の終わりを確認すると、アンは宇宙原付のエンジンを噴かした。
「ほんならのぅ!」
 言うなり走り去っていく。世界が世界なら完全な轢き逃げ事案だが、ここはアックス&ウィザーズなんで大丈夫。ということでひと仕事終えた猟兵たちを、ナイの【生まれながらの光】が包んで傷を癒した。
「生命力はいっぱい、です」

 かくて、山賊たちの掃討は完了した。
 残るはこの先のどこかにいるであろう花の竜のみ。それも、今や猟兵たちの立つ岩場すら花に埋め尽くされようとしている今となっては、近づいていることは明らかだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
幻武・極
ついにドラゴン退治だね。

ドラゴンのブレスは厄介だけど、ボクの模倣武術にかかればそっくりそのままお返しが可能さ。
それにこのブレスは攻撃を外した後
いかに強化フィールドに入り込むかがポイントだよ。
ボクのような接近戦向きの技だね。

模倣武術でコピーしたフラワーフィールドはわざとグラスアボラスの近くに命中させ攻撃を外し、相手の側に強化フィールドを作るよ。
そして、すぐさまそこに入り込み接近戦にするよ。


アレン・カーディス
ふむ。本命のお出ましだね
気を抜かず頑張ろうではないか

戦闘
「君が花ならば、私も最高のもてなしをしよう」

仲間と連携しながら、一撃離脱を心がけ
竜の動きをよく見て攻撃を躱しつつも纏わりつき
魔法具『ククロセアトロ』から呼び出した妖精の人形3体(飛行可)と花人の人形2体(飛行不可)と時間差攻撃や上下攻撃等をしかける

「……ぐぅ」
攻撃受けてもんどりうっても素早く立ち上がり足を止めない

妖精人形は動く度にキラキラのエフェクト有
「おや、気に入ったかい?
子供たちにも人気があるのだよ」

戦後
竜に黙祷

お疲れさま
それにしても本来大人しい竜が暴れるとは……
発情期か巣立ちか、はたまた別の理由か……気になるね

竜の鱗や爪等を持ち帰る


泉宮・瑠碧
花の竜…
生まれだからなのか、花が好きなのか…
…僕は花が好きだから、好きであって欲しいとそう思ってしまうけれど
…すまない、止めなくてはいけない

僕は精霊祈眼で
属性攻撃と、場合によっては全力魔法も使って
主に氷と風の精霊へ

花の竜が、もう何も傷付ける事の無い様に
元は穏やかだったという竜が、花に囲まれて穏やかに眠れる様に…
氷嵐の檻へ閉じ込めて

なるべく吐息や竜胆の花びらも風に巻き込んで吹き飛ばせる様に出来れば
でも、出来る限りは地面の花々を傷付けない様にしたいな

もし、凶暴化させている原因が分かるのなら
そちらを優先に
…倒さなくてはいけないとしても、せめて安らかな眠りを
終えた後も、凶暴化は何故なのか探してはみるが


イデア・ファンタジア
「君の名は――ワールドキーパー!外敵から世界を守る守護者!」
『最果ての世界壁』をドラゴンをぐるりと囲むように出現させるよ。
これ以上花畑が広がらないようにね。君の世界はここでおしまい!


シラ・クロア
あれが花の竜、ね。
この先は、あなたのいるべき場所ではないのよ、グラスアボラス。美しい花も、咲くべき場所に咲いてこそ。平穏に生きる村人の生命を養分として咲かせるわけにはいかないわ。

花を狩るのは心苦しいけれど――仕方ないわね。【天上の鎮魂歌】で炎を放って、竜に力を与える花ごと竜を灼くわ。花々に次々延焼して燃え拡がると効果的なのだけど。やがて合体して大きくなった炎を竜にぶつけられたら。攻撃のタイミングは一緒に戦う皆の状況を見て合わせるわ。
これは浄化の焔。オブリビオンから離れ一度土に還ったそのあとに、今度はちゃんと季節とともに芽を出して花を咲かせてね。


コノハ・ライゼ
キレーで美味しそうなンに勿体ナイ
……ナンて言うてる場合じゃナイ?

【WIZ】
強いってんなら尚更
仲間と動き合わせていきたいトコ

攻め入るヒトの道開くように【月焔】を撃ち込む
敵の攻撃に対しても相殺や逸らしたり出来ねぇかな
『かばう』ように攻撃割り込ませ
花弁に対し分散した炎を当てていったり
花畑に延焼させ燃やしてみる
そうして場を整えたら『高速詠唱』と『2回攻撃』で
合体させた炎を敵本体へ撃ち込むのも忘れずに

接近されたら「柘榴」で『傷口をえぐる』ように切りつけ
『生命力吸収』するヨ
一度刃で捉えたらそのまま離れず
付けた傷口に月焔を撃ち込もうか

燃やしてしまうのは気が引けるケドね
では命をドウゾ、って訳にもいかんのよ


ナイ・デス
あ、ソラ(f05892)無事で、よかったです
……ごめんなさい。私が、ソラが傷つくのみるように、ソラも……
はい。今度は、ちゃんと一緒に戦う、です!

地形の利用。地縛鎖を大地に繋げ、魔力を吸い上げる。竜が咲かした花から、生命力吸収
力に変えて、疲労を気にせず常に【生まれながらの光】を、ソラへ、仲間へ
隙を見て、ソラの影から飛び出し短剣を竜へ投擲。暗殺、鎧無視攻撃
竜の頑丈さを無視して深々刃を。医術応用、思わず大きく怯むようなところを狙って

守るだけでは、倒せない、ですから
……私が、癒し、守ります!だから、全力で攻撃を!


ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)……無茶をし過ぎですっ
傷つく姿を見る私の身にも…!
……いえ、一人で飛び込むわたしには言えませんね、すみません
敵は強大、為すは竜殺し
ナイくん、一緒に戦いましょう、力を貸してください!

我が【勇者理論】の神髄、とくとご覧あれ!
勇者は常に矢面に立ち、仲間を守ること!
ナイくんの前に立ち、今重視するべきは防御!
斧を突き立て、盾受けを、オーラ防御を、怪力を
荒ぶる息吹の竜よ!なぜ気性穏やかな貴方が暴虐を成すのか、今は問いません
ですが我らの勇気に満ちたこの守り、易々と抜けられるとは思わぬことです…!

ナイくんの指示、しかと受け取りましたよ
貴方の癒しを友として信じます!
ここが勝機!突撃ッ!!



●荒らぶる竜
 岩の隙間から見る間に緑が溢れたと思うと、あっと言う間に花をつけていく。
それは波が打ち寄せるように鮮やかな色彩を伴って猟兵たちへと迫ってきた。その侵略を追ってきたように、重いはばたきの音が近づいてくる。
「ふむ。本命のお出ましだね。気を抜かず頑張ろうではないか」
 アレンが魔法具『ククロセアトロ』から呼び出した妖精の人形たちと見上げた空には、猟兵たちを睥睨する竜がいた。

 翡翠色の大きな体はもちろん、支える桃色の翼に大きなロードナイトにも見える爪、スピネルのように輝く角に至るまで、名に違わず花のように彩り鮮やかだ。
 本来は穏やかだというが、ならば今は明らかに常の彼(?)ではないと言えるだろう。鼻息荒く飛んできたと思うと、猟兵が密集している場所めがけて突っ込んできたのだ。当然猟兵たちは躱したが、大きな体が吐き出した息吹が猟兵たちに吹きつける。
 刹那、舞いあがった花びらは刃となった。
 大きな翼がはばたくと花びらが猟兵へ襲いかかる。【フラワリングブレス】の有効範囲は広く、ほとんどの猟兵が花の乱舞を受けることになった。
 小さなシラにも花刃は迫る――一瞬、コノハの放った月光の色をした炎が焼き払った。
「キレーで美味しそうなンに勿体ナイ……ナンて言うてる場合じゃナイ?」
「ついにドラゴン退治だね」
 極が不敵な笑みを浮かべる。初撃が息吹でなかったことは意外だが、ドラゴンのブレスなら彼女には秘策があるのだ。中でも【フラワーフィールド】は、攻撃を躱した後でいかに花の竜の強化フィールドへ入り込むかがポイントとなる。
まさに接近戦を得意とする極向きの戦いなのだ。まずは花の竜のブレス待ち、跳び退いて動向を見定める。
 びりびりと辺りを揺るがすような咆哮をあげる花の竜を、瑠碧はひととき言葉もなく見つめていた。あれほど猛り狂っていても、あの竜の周りでは花が美しく花を咲かせる。
「生まれだからなのか、花が好きなのか……僕は花が好きだから、好きであって欲しいとそう思ってしまうけれど……すまない、止めなくてはいけない」
 せめて、穏やかだったという竜をこんなに凶暴にしている原因がわからないだろうか。手がかりがあるならそれを優先したいという想いが、胸をよぎる。
 その頃、ナイは駆けてきたソラスティベルに気がついて微かな笑顔を浮かべた。
「あ、ソラ。無事で、よかったです」
「ナイくん……無茶をし過ぎですっ! 傷つく姿を見る私の身にも……!」
 彼の言葉を遮って、ソラスティベルは叫ばずにいられなかった。【生まれながらの光】は傷は癒しても痛みはそのままだ。激痛に耐性があろうと、ナイが痛みに耐えていることに違いはない。言葉に詰まってから、ソラスティベルが幾分小さな声で続ける。
「……いえ、一人で飛び込むわたしには言えませんね、すみません」
 その様子を見てナイはやっと、彼女が叫んだ理由がわかった。
「……ごめんなさい。私が、ソラが傷つくのみるように、ソラも……」
 彼女を傷つけまいとしたことが、結果彼女を傷つけるなどとは。声が小さくなるナイの手をとり、ソラスティベルがぱっと表情を切り替える。
「敵は強大、為すは竜殺し。ナイくん、一緒に戦いましょう、力を貸してください!」
「……はい。今度は、ちゃんと一緒に戦う、です!」
 二人で笑いあって、敵するものに向き直る。
 その二人を背に立つイデア・ファンタジア(理想も空想も描き出す・f04404)が、絵筆を手に花の竜を見据えていた。
「君の名は――ワールドキーパー! 外敵から世界を守る守護者!」
 絵筆が躍る。概念を塗り潰す黒い塗料が絵筆に導かれ、描きだされたのは花の竜をぐるりと囲むように展開された『最果ての世界壁』。領域を広げようとしていた花の波は、見えない堤防に堰き止められたように止まった。
「君の世界はここでおしまい!」
 低い唸りをあげる竜へ、イデアが決然と告げる。拡大を抑えたら次は攻撃だ。そうはわかっていても、シラは語りかけずにはいられなかった。
「この先は、あなたのいるべき場所ではないのよ、グラスアボラス。美しい花も、咲くべき場所に咲いてこそ」
 本当は、花を狩るのは心苦しいけれど。
「平穏に生きる村人の生命を養分として咲かせるわけにはいかないわ」
「君が花ならば、私も最高のもてなしをしよう」
 妖精の人形たちの他に、花人の人形も従えたアレンが前へ出た。花が気になるのか彼の動きを花の竜が追う。英雄の劇でも演じるように人形たちが舞うたびに、竜には細かな傷が刻まれていった。
「浄き焔に包まれ、自ずから魂安らぐ時は今」
 シラが操るは浄化の炎。仕方ないと己に言い聞かせながら、花の竜の隙をみつつ幾つもの炎弾を叩きつける。苛立ちまぎれの体当たりにはソラスティベルが立ちはだかった。
「我が【勇者理論】の神髄、とくとご覧あれ! 勇者は常に矢面に立ち、仲間を守ること!」
 言葉のとおり我が身で瑠碧を庇いきる。そして瑠碧の【精霊祈眼】は精霊のつくる氷嵐の檻を成し、花の竜を閉じ込めた。氷と風の精の暴威に花の竜が身悶えした。そのがら空きの急所へナイが短剣を擲つ。
(「守るだけでは、倒せない、ですから」)
 鱗の薄いところに短剣を突きたてられた竜は、苦悶の挙句に氷嵐の檻を打ち破った。

 ナイの地縛鎖がグラスアボラスが咲かせた花から生命力を吸い上げる。その魔力を変換し、ナイは仲間たちを癒す【生まれながらの光】を維持し続けた。暴れる花の竜が何度か猟兵をひっかけそうになったが、そのたびソラスティベルが防ぎきる。
「荒ぶる息吹の竜よ! なぜ気性穏やかな貴方が暴虐を成すのか、今は問いません。ですが我らの勇気に満ちたこの守り、易々と抜けられるとは思わぬことです……!」
 言葉が通じていないのか、返るのは苛立ったような咆哮ばかり。
 その視界をきらきらと輝く妖精人形が横断し、グラスアボラスの注意が逸れた。首をのべて喰らいつこうとしたが、人形はくるりと宙で躍るように躱す。
「おや、気に入ったかい? 子供たちにも人気があるのだよ」
 笑みを含んだ言葉の次には、アレンの人形たちが打ちかかった。翻弄される花の竜に次の瞬間、瑠碧が呼んだ山から降り注ぐような凍てつく風と氷が襲いかかる。瑠碧は精霊に元は穏やかだったという竜が花に囲まれて穏やかに眠れる様に、という願いをこめていた。せめて安らかに眠らせてやりたい。
 そうして気を引いている間に、シラの【天上の鎮魂歌】とコノハの【月焔】が少しずつ、萎れた花を焼き払っていった。自身を強化するはずの力がなくなれば、そのついでに身も焼かれていれば花の竜も異常に気がつく。
 花が好きだという竜は怒りの叫びをあげた。花を傷つけたくなかった瑠碧が複雑な表情になっているのに気づいて、コノハが苦笑する。
「燃やしてしまうのは気が引けるケドね、では命をドウゾ、って訳にもいかんのよ」
「わかっているよ」
 彼女の答えから察するに自然を愛するエルフゆえでもあろう。一方でコノハは視界の端で、極が接近戦を仕掛けにきているのを捉えていた。
 どんな硬い生物にも弱点はある。この一瞬に最も柔らかい場所を見切ったコノハの『柘榴』は、易々と鱗の奥深くへ沈みこんだ。生命力を奪ったついでに傷口へ【月焔】を撃ち込む。刺傷が焼ける痛みに気を取られたグラスアボラスは身を捩って咆哮し、極の接近に気付かない。
 幻武流『模倣武術』。メモリに刻まれた花の竜のユーベルコードは極の手で再現され、グラスアボラスの目の前の地面に命中した。跳ね退くコノハと入れ替わりで懐へ踏み込んだ極の拳が竜の胸元へ疾る。
 竜は躱そうともしなかったが、【フラワーフィールド】で強化された極の拳は常を遥かに超える打撃力を有していた。
 骨がひしゃげる音をたてて竜の体が浮き上がる。拳撃の勢いのままに巨体は右へ回転し、肩から地面に叩きつけられた。
「どうだい? ボクにかかればそっくりそのままお返しが可能さ」
 会心の笑みを浮かべた極が再び構えをとる。起きあがろうともがく花の竜の動きが鈍いと見て取り、ナイは回復に全力を注ぎながら叫んだ。
「……私が、癒し、守ります! だから、全力で攻撃を!」
「貴方の癒しを友として信じます! ここが勝機! 突撃ッ!!」
 仲間を守る盾として在り続けたソラスティベルが突出する。巨大な斧の斬撃は花の竜の鱗ごと、ざっくりと脇腹を深く切り裂いた。苦悶の叫びが響き渡る。
 グラスアボラスは剥き出しの敵意はそのまま、今度は慎重に猟兵へ向き直った。襲いかかって来た時に比べればいくらか落ちついたようだ。だが狂乱は収まっていない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ミニョン・エルシェ
『私が取る策は、焼き討ちです。
美しい花々を焼くのは気が引けますが。』
連携と取る戦術の共有は大前提です。

火天装填・火箭燎原で攻撃を加えると共に、花畑を焼いていきます。
私の能力では大きな火力は出せないかもしれませんが
戦闘力を高める花畑を焼き尽くす事で、味方の支援にはなるでしょう。
延焼範囲は味方の攻撃を阻害しない程度に留めます。
『花畑は私が処理します。皆さんは攻撃に集中を。…私も頑張りますので。』

相手のブレスは岩場に隠れてやり過ごしたり、
相手の頭の動きと攻撃動作に注意して回避行動を取ります。

戦闘後は村の防備に助言をしに行きたいです。
凶暴化の原因は気になりますが、私の城造りの知識を活かしてみたいので。


ニナ・グラジオラス
【Adv】とは協力
POW選択

大人しい子がナゼこんな事を?
村の人があの子を怒らせるとは思い辛いんだが…

竜語が通じるのなら、村への襲撃を防げないか交渉したい
村を滅ぼすなどの条件でなければ、あの子を争いへと掻きたてる物は全力で排除しよう
決裂ならば…竜騎士の一人として、人を守ろう

『見切り』で特に初撃を避け、
『第六感』でグラスアボラスが凶暴性している理由を探る

『2回攻撃』『属性攻撃』は気が進まないが、
あの子が止まらない以上、私もこの手は止められない

せめて痛みが長引かないように
(ドラゴニック・エンド使用時)カガリ…あの子を、頼む

万が一あの子が倒れてしまったのなら、せめてその身が花となるように埋葬と祈りを


ファルネーゼ・アトラス
本来は大人しかった子…何故、凶暴化してしまったのかは分からないけれど
罪なき人々の営みの為に――貴方を倒さなければなりません
命を背負う覚悟は出来ています
さあ、エチカ…共に参りましょう
結末を見届ける為にも

【生まれながらの光】で皆様の回復に専念
前線にて戦う方々から優先
深手を負った方が複数いらっしゃれば同時治療も厭わず
ファルには共に血を流す為の力も技もありません
傷を治す事しか出来ぬからこそ、この身の限界迄皆様を癒し続けましょう
ふふっ、ファルは大丈夫ですよ
こう見えても頑丈なのですから!

ドラゴン様の強化は厄介です
エチカに注意を引いてもらう事は可能でしょうか?
その隙に、可能ならば『掃除』も試してみましょう!


シエン・イロハ
【Adv】で協力
SPD選択

原因ねぇ…面倒だがこんなんが増えられる方が面倒だしな
探るっつーならその間攻撃受けねぇようにはしといてやるよ

野生の勘で敵の攻撃予測
会話を心見るニナが攻撃範囲に含まれている場合は抱えるなり突き飛ばすなりで射程外へ
逃げ足使えばギリギリになってもまぁ間に合うだろ

シーブズ・ギャンビットで竜胆の花びらは叩き落とす
話が通じないようであれば、翼や爪の付け根等、攻撃が当たれば動きに支障が出る部分を優先的に狙って攻撃

…感傷に浸るのは自由だがな、てめぇが怪我すりゃ騒ぐ奴らがいるのを忘れんなよ
俺は相手すんのはごめんだぞ、面倒くせぇ

敵が倒れた後余裕があれば妙な物が埋め込まれたりしてないか確認を



これほどに荒れ狂う花の竜を目の当たりにして、ニナは戸惑いを禁じ得ない。
 一番遠出する村の狩人が岩場に近づくのでせいぜいだったなら、それが花の竜の怒りを買ったとは考えにくい。少し落ち着いた今なら会話を試みられるのではないか。
「村の人があの子を怒らせるとは思い辛いんだが……竜語が通じるのなら交渉したい。手を貸してくれ」
 ニナの言葉にシエンはわかりやすく面倒そうな顔をした。もちろん何もするつもりがないならそんな顔をする必要はないわけで。
「事の原因ねぇ……面倒だがこんなんが増えられる方が面倒だしな。探るっつーならその間攻撃受けねぇようにはしといてやるよ」
 いざとなれば逃げ足で間に合うだろ、ぐらいは計算している。
 花の竜へ向き直ったニナは、竜言語(ドラゴンロア)で話しかけてみた。
『花の竜よ、怒りを招くものは全力で排除しよう。どうすれば気が済むのか教えてくれ』
 村を滅ぼすなどというような答えでなければ、最大限希望に沿うつもりでいた。しかし竜の答えは、言語ですらない咆哮だった。そればかりか弾けるような勢いで、大きな尾がニナめがけてしなる。
 だがそれはシエンが予測していた範囲のこと。ニナを横から掻っ攫うようにして抱えて逃れると、下ろした彼女を背に庇ってシエンは素早く構えを取り直した。
 轟く猛々しい咆哮は会話の断絶を知らしめる。もはや倒すしか止める術はない。ニナも覚悟を決めざるを得なかった。
「ならば……竜騎士の一人として、人を守ろう」
「花畑は私が処理します。皆さんは攻撃に集中を。……私も頑張りますので」
 この一面の花畑はグラスアボラスを強化する。ミニョンは仲間にそう告げると、【火天装填・火箭燎原】を展開した。死霊の足軽隊が隊伍を組み、彼女の指示のもと火矢を放つ。
「焼き討ちです。美しい花々を焼くのは気が引けますが」
 自身の周りが焼かれて煙がもうもうと立ち込めると、花の竜は再び怒りの叫びをあげた。花を育てる息吹は竜胆の花びらと化し、地を蝕みながら猟兵たちへ襲いかかる。
 しかし猟兵に幾度となく花畑を焼かれ、グラスアボラスはの息吹は威力を落としていた。
 迫る竜胆の花びらへ、シエンがダガーを閃かせる。【シーブズ・ギャンビット】でいくらかは叩き落とすと、あとは構わず翼を狙って疾った。見切りで竜胆を避けながらニナも遅れることなく駆ける。
「罪なき人々の営みの為に――貴方を倒さなければなりません」
 竜への言葉を、ファルネーゼは目を伏せて呟いた。命を背負う覚悟は出来ている。
「さあ、エチカ……共に参りましょう。結末を見届ける為にも」
 エチカが応えて鳴いた。竜胆に覆われかけているシエンをファルネーゼの【生まれながらの光】が照らし、傷を塞ぎ痛みを拭い去っていく。
 花畑を燃やしつくさんとする炎はミニョンの意に従い、シエンとニナの行く先だけでふつりと消えた。まっすぐに道は開かれる。
「これでも喰らえ!」
 一気に距離を詰めたシエンはグラスアボラスの翼めがけ、ダガーの斬撃を食らわせた。半ばまでも切り裂かれ身悶えする巨躯の眼前へ、ニナが焔竜・カガリを手に滑りこむ。
 この子が止まらない以上、私もこの手は止められない。仲間との戦いで傷ついたこの竜が耐えきれないことはわかっていたけれど。
 ドラゴンランスの一突きは、花の竜の胸に深々と突き立った。まったく同時、花の竜もカウンター気味に【フラワリングブレス】をニナに叩きつける。至近距離で放たれた無数の花びらの斬撃で、ニナは全身から血を噴いた。
「ニナ!」
 気色ばんだシエンがもう一方の翼にも思い切り斬りつける。昏倒も覚悟したニナだったが、しかし傷は驚くべき速度で塞がっていく。
 ファルネーゼだ。聖なる光でシエンと同時進行で癒しているのだろう。けれどそれは相当の疲労を伴うはずだ。
 振り返ると、彼女は健気に笑ってみせた。
「ふふっ、ファルは大丈夫ですよ。こう見えても頑丈なのですから!」
 自分には共に血を流す為の力も技もない。傷を治す事しか出来ぬからこそ、この身の限界まで仲間を癒し続けるのだ。彼女を聖者たらしめるのもこの心根。
 大きな火力はないとしても、もう一撃を仲間へ放たせないように。ミニョンが再び死霊の足軽たちに火矢を雨のごとく放たせる。もはや花の竜は炎の海の中にいるようだった。無論その炎は竜をも焼いて、苦痛の叫びをあげさせている。
「カガリ……あの子を、頼む」
 せめて痛みが長引かないように。渾身の刺突はニナの願いに応え、穂先が花の竜の背へと抜けた。放たれる竜の力が巨躯を揺るがし、グラスアボラスの絶叫が轟く。
 自由に動く尻尾だけがしばらくは苦しげにうねったが、やがてぐらりと傾くと横倒しに倒れた。そしてそれきり、花の竜が動くことはなかった。

 花の竜の体に何か妙なものでも埋め込まれていないかとシエンが調べたが何も見つからず、ニナは亡骸を岩場から山の斜面へ運び、埋葬することにした。
「せめてその身が花となるように」
「うん。一度土に還ったあとに、今度はちゃんと季節とともに芽を出して花を咲かせてね」
 手伝ったシラもそう祈りを込める。身なりを整え黙祷を捧げたアレンは、仲間を振り返り労いの声をかけた。
「お疲れさま。それにしても本来大人しい竜が暴れるとは……発情期か巣立ちか、はたまた別の理由か……気になるね」
 埋葬する前に念のため、竜の鱗や牙は確保しておいた。ファルネーゼも原因がわからないことは気がかりだが、まさに雲をつかむような話だ。ただ彼女にとっても、花の竜はとても興奮しているように見えた。
 辺りに原因がないか気になっていた瑠碧も一通り探ってはみたが、季節外れの花が咲き乱れているだけだった。それもほどなく枯れてゆくだろう。
 岩場の入り口で待っていたシエンのところまでニナが戻ると、彼がぼそりと呟いた。
「……感傷に浸るのは自由だがな、てめぇが怪我すりゃ騒ぐ奴らがいるのを忘れんなよ」
 会話を試みたグラスアボラスに攻撃されたことだろう。とはいえそれはシエンによって事なきを得たのだけれど。
「俺は相手すんのはごめんだぞ、面倒くせぇ」
 突き放した口調だが、彼が言いたいことは伝わっていた。花の竜を手にかけたことに胸を掻き乱されたまま、言葉が出てこないニナが頷く。
 ミニョンは滅びを免れた村に戻り、土塁や堀など村の防備について助言をすることにした。盗まれるものがないにしてもあまりにも無防備すぎる。
「気になっていたもので……やはり防備は必要ですから」
「私らはそういうことは詳しくないからねえ、助かるよ」
「そうそう。若いのにそんなことに詳しいなんて、学があるんだねえ」
 村の人々に尊敬の眼差しで眺められ、ミニョンは少しくすぐったい想いがした。城址探求者にして城郭マニアの知識が活かせるのは不思議な気分だ。だがこれで賊や獣への対策が練られるだろう。

 村と生命を踏み荒らさんとした、狂える花の竜は永久の眠りについた。
 狂乱の原因はわからないままだが、猟兵たちによって竜の進む先の人々が死を迎える結末は避けられたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日


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 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト