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テレビウム・ロック ~ここは俺に任せて先に行け!

#キマイラフューチャー #テレビウム・ロック! #テレビウム #システム・フラワーズ


●フルマラソン
「ぎえぇぇなんでぇぇぇっ!!」
 無数のキマイラやテレビウムたちが住み、そして日々の暮らしを謳歌している旧人類の遺産、電光都市。食べ物に困らず、自由に生きて様々な形のアートを思いのまま楽しめるこの世界は、まさしく楽園だ。
 だが、そんな楽園におよそ似つかわしくない叫び声が路地から響く。
「こっちくんなよぉぉぉぉっ!!」
 テレビウムだった。やや幼い声をしたテレビウムが真昼の路上を全力疾走する。なんだなんだと付近のキマイラが様子を見れば、その子の後方から無数の怪人が波となって追いかけているではないか。
「なんでぼくだけぇぇぇ!?」
 そう。怪人が追いかけるのはテレビウムだけだ。それ以外のキマイラたちには目もくれない。追いかけられる子供はたまらず周囲に助けを求めるが、その後を追う非常識な数の怪人にキマイラたちはすっかり気圧されてしまい、とても助けることなどできない。
「あっ、やばば!?」
 十字路に出たテレビウムの子供は対面から走ってくる怪人に気付き素早く方向展開。右折。
 そして曲がった先にも怪人の存在があると気付きすかさずUターン。
 やばい。やばいやばばい。
 テレビウムは着々と包囲されていることに気付いた。もはや通れる道はなく、縋る思いで公園に飛び込んだところですぐに後悔するだけだった。
 下手に見晴らしの良い場所に出たせいで、自分を捕まえようとする包囲網の規模がわかってしまったのだ。
「な、なんで…なんでぼくだけにこんなに…」
 自分を囲んで一切の隙間なく埋め尽くされた円陣。明らかに過剰な数。自分じゃあの中の一人にだって勝てやしないのに。
 すっかりと心の折れたテレビウムは膝をついた。体力はもう限界だった。
 どうにでもなれと俯いて、そして目の前にある水溜まりに気づく。
 水面に映る自分の画面には、奇妙な鍵が表示されていた。
「え、ここから東…?」
 そして鍵を自覚した瞬間、己を誘う言い知れぬ引力を感じたのだった。

●グリモアベースにて
「画面に鍵が浮かんだテレビウムの話を聞いたことがあるでしょうか」
 白い軍服に包んだ少女のグリモア猟兵。ヴィル・ロヒカルメ(ヴィーヴル・f00200)が鍵を摘まんで揺らしアピールする。
 ちなみに自分の寮の鍵である。これから話す事件との関係性は微塵もない。
「キマイラフューチャーで、先日からテレビウムの画面に鍵が表示が表示される奇妙な事件が起きています」
 もっとも、それだけなら猟兵の動くようなことではないのだが。問題はここからだ。
「そしてそのキマイラは、みんな怪人に追いかけられています」
 グリモア猟兵はそこで一旦言葉を区切る。もうお分かりですねと視線で投げかけていた。
「現在進行形で取り囲まれているテレビウムの子供がいます。大至急、助けてください」
 テレビウムを狙う怪人たちの目的はわからない。だが画面の鍵と無関係ではないのだろう。
「でも、ちょっと問題がありまして…」
 その問題とは怪人の数だ。包囲に動員されているのは、数名の猟兵で打倒できる量を大きく上回っている。怪人を全員倒して救出というわけにはいかず、包囲網に穴をあけてそこから逃がすような形になる。
「ただ、包囲に一瞬穴をあけてもすぐに塞がってしまうので…」
 一発穴をあけて、それで終わりというわけにはいかないのだ。継続して戦い、包囲の穴を維持する役が必要になる。
「難しい対応になりますが、どうかよろしくお願いします」
 最後にそう締めくくって、グリモア猟兵の少女は集まったものたちを送り出すのだった。


鍼々
 鍼々です。今回もよろしくお願いします。
 今回は期間限定シナリオ、テレビウム・ロック! を公開しました。
 テレビウムの子供の画面に突如鍵が浮かび上がり、そして怪人に追いかけられ包囲されています。猟兵が登場するのは包囲の中でも外でも自由に選択できます。
 第一章【集団戦】(包囲網の突破)
 第二章【集団戦】(追撃への対処)
 第三章【ボス戦】(迎撃)
 という流れになります。第一章と第二章の両方とも敵の数はあまりに多く『全滅させるのは不可能』です。
 テレビウムの子供はどこかへ行こうとするので、道を切り開きながら敵の足止めをするという雰囲気の展開になります。

 …つまり『ここは俺に任せて先に行け!』というやつですね!
 普段なかなかやれないシチュエーションですので、やってみたいという方がおりましたらどうぞ遠慮なく。足止めせずに大暴れする、という方向でも大丈夫です。
 普通に戦っても構いません、自由なプレイングでどうぞ。
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第1章 集団戦 『雀牌戦闘員』

POW   :    国士無双
予め【異なる顔の戦闘員が14人揃う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    三元牌
【3人同時攻撃】による素早い一撃を放つ。また、【鳴く】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    立直
【相手の行動を読み、作戦通りの攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【狙いすました一発】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
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アポロダスト・ディラマティウス
オーイエス♪
小さなか弱い子供を沢山の悪漢から守るだなんて
ワタシの猟兵デビューダンスとしては最高のスタートデース!

それじゃあとりあえず踊りまSHOWTIME!


【WIZ】

ワタシにとって数が多いのは良いことデース!
観客は多ければ多いほど「ダンス」のやり甲斐がありマース!

(どこからともなくミュージックが流れ始め、アポロにスポットライトが当たる)

(そう、『大宇宙舞踊(アポロナイトフィーバー)』のスタートである)


ヘイヘーイ!見てるだけじゃつまらないでしょう?一緒に踊りまショー!

(そう言いながら敵に向かっていきダンス神拳でボコボコにしていく)




「うわ、わわわ…!」
「さあ観念しろ」
 へたりこんだテレビウムに怪人の手が迫る。頭部の直方体に掛かれた撥の文字がいまは恐ろしい。
 鍵の浮かぶ画面を両手で覆い、肩を震わせた子供はしかし、いつまで経ってもやってこない怪人の手の感触に疑問を抱いた。やがて恐る恐る顔を上げる。
 ――あれ、世界が暗い…?
 それはいかなる現象か。ビルに囲まれた公園へすべての建物の影が重なり、真昼の公園に薄闇をもたらしている。それに。
 ――なんだろう、この曲…。
 どこからか陽気な歌が聞こえてくるではないか。
「こ、この軽快なサイバーパンクラテン系音楽は一体…!」
 そのときだ。突如ビルから強力な光が照射された。テレビウムと怪人はそして、すぐそばに立つ人影に気付く。
 続いて光が一本。さらに一本。
 スポットライトを浴びて浮かび上がるのは女性! 褐色の顔に大きなサングラスを乗せ、豊穣の女神もかくやというプロポーションを見せつけ、さらには大きなアフロヘアが周囲の視線を引きつけてやまない。天高く指を突き上げたその人物とは、…まさしく!
「ワタシデース!!」
「「誰!?!?」」
 アポロダスト・ディラマティウス(踊り踊らば踊りまSHOW!・f17392)だ!
「通りすがりのダンサーでもいいデスヨ?」
 驚きを軽い調子で流しながら肩をすくめる動作を取る。その様子に周りの怪人たちは一斉にに身構えた。
「お前…猟兵か!」
 猟兵。聞こえた単語にテレビウムが顔を上げる。それはキマイラフューチャーにおいて、怪人を追い払う無敵のヒーローのことだ。早速三人の怪人が飛び出して、それにダンサーの猟兵はパンプスを鳴らしながら踏み込む。
「それじゃあとりあえず踊りまSHOW――」
 曲のリズム。ぴたりとあうステップ。定型はなく作法もいらず、ただ自由に思い描くまま手足を体を動かした。飛び込む怪人が彼女のダンスと擦れ違った瞬間、足が払われ頭は凹み、為すすべなくその場に倒れた。
「TIME!」
 スポットライトの光がさらに増えて、決めポーズを照らす。大宇宙の星の光を凝縮したような姿に全ての怪人が息を呑んだ。
「すごい…」
 呟いたのはテレビウムである。眩いばかりの存在に息を呑み、そして彼女の視線が自分に向いてるのに気づいた。
「ヘイヘーイ!」
 サングラスから覗くダンサーの笑み。
「見てるだけじゃつまらないでしょう? 一緒に踊りまショー!」
「え…」
 踊れと言われても、ぼくダンスできないし。首を振りかけたテレビウムはしかし、猟兵の真意に気付く。この人は自分を逃がそうとしているのだ。
 震える足でゆっくり立ち上がる子供の姿にアポロダストは満足げに頷く。
「観客が多いのは良いことデース!」
 二人のダンサーが足に力を込める。そして駆けだした。
「観客は多ければ多いほどダンスのやり甲斐がありマース!」
 テレビウムと一緒にアポロダストは前へ。行く手を阻む怪人をリズムで躱し、ステップで叩き伏せる。子供の逃げ道を作って彼女は素早く反転した。追いかけようとする怪人を前に人差し指突きつけ、腰に手を当て決めポーズ。
「フィーバータイムデース!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

壬生山・群像
【SPD】アドリブなどお任せ
防衛が最優先でしたら、防人たる私の出番です。
名乗りに恥じない働きが出来るよう頑張りますよ。

包囲網の内側から参戦。
逃走中のテレビウムくんを笑顔で応援して見送った後、
その後に来る敵に対峙しましょう。
彼からは敵ではないと思われなければ上々ですね。
そのためのにっこり笑顔です。

ユーベルコードで研ぎ澄ました武器受け、盾受け技能を主に
多くの敵を迎撃しましょう。そういう戦い、好きですよ。

篭手の盾と内部の刺突刃で攻撃を凌ぎ、隙あらばカウンター。
もう片方の篭手にあるパイルバンカーは止めに使いたいですが……
精々1、2体ほど突き刺すくらいに留めて、後は防衛に専念しましょう。




 テレビウムが逃げまとうのはいまだ包囲網の中、牌の群れ。せめて敵の薄い方向へと足を向けるが、それにしたって焼け石に水だ。敵はあまりにも多く、厚い。
 だが、そのときだ。声がした。
「こっちですよ」
 笑みがあった。灰色の髪の男の、戦地にあっても穏やかな笑みだ。周囲には倒れた怪人の姿もある。
 味方だ、と瞬時に理解した。子供は迷わず駆けこむ。
「逃がすか!」
 怪人の蹴りが飛んだ。目標を転ばせようというのだろう。容赦のない攻撃だ。
「ひっ!?」
 走りながら身体を縮こませたテレビウムに聞こえた、だん、と地を踏む音。がきり、と硬いものの打ち合う音。一撃を壬生山・群像(隠者・f07138)が篭手で受け止めていた。彼がさらに踏み込めば、怪人の牌に得物が撃ち込まれ、間髪を入れず刃が飛び出し、直方体を穿ったではないか。
「なんだお前は!?」
 奥の怪人が叫ぶ。顔面に浮かぶ東の文字が驚愕を表す。群像を通り過ぎた子供が足を止めて振り返った。自身を助けてくれた男のことを知りたがったのだ。
「人間ですよ」
 群像は背後のテレビウムに首を向ける。細めた目の、安心させる笑みがあった。
「壬生山群像、人間の防人です」
 防衛の専門家です、さあ行きなさいと背中を押せば、子供は躊躇いがちに頷き、そして走り出した。
 怪人は追いかけられない。数々の仲間を倒してその中央に立つ猟兵が食い止める楔となっていた。
「それならお前を倒して進むまでだ!」
 怒声に2体の怪人が応じる。頭部に無地、撥、中の文字を刻んだ者たちが連携し、三方向から挟み込むように攻め込むのだ。
「ええ。こういう戦い好きですよ」
 細めた目が迎え撃つ。三方向から同時に迫る拳を力技で薙ぎ払い、体を捻りながら腰を落とす。その姿勢はまさに限界まで引き絞られた弓矢だ。
「ふッ!」
 呼気とともに3体並んだ怪人の右端を篭手で殴り、爆音を轟かせた。火薬の力がたちまち杭を打ち出し、研ぎ澄まされた、かつ暴力的な破壊を叩きつける。
「ぐおああッ!?」
 猟兵が殴り抜いた先には、牌を砕かれながらドミノ倒しに崩れる怪人たちがあった。
「さて」
 姿勢をゆっくり戻しながら手を開き、握る。
 名乗りに恥じない働きが出来るよう頑張らないといけない。
 戦いは始まったばかりだ。しかも、長期戦になる。
 群像は構えなおし、新たな怪人どもを迎えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

杜鬼・クロウ
アドリブ連携大歓迎
厨二全開

鍵が現れたヤツを追い掛けてるっつーコトは鍵が何かの合図?
怪人達が求めるなンかがあるのか
見境無く鍵は出現してるらしいし?
考えてもキリがねェか
まずはガキども逃がす
包囲網をどうにかするぜ
逆境こそ反撃の機会(燃える

場所お任せ
玄夜叉で空を切り存在感で敵の意識引く
外套が黒鴉の様に揺れ
背中で語る

ココは俺が死守する
振り向くな
行け!
テメェらの相手は俺だ(武器で行く手阻む

【煉獄の魂呼び】使用
禍鬼は棍棒で敵を蹴散らす
霆で援護

敵の攻撃は外套でカウンターか見切り
周囲の敵を華開く沈丁花の如き薙ぎ倒す
薫る前に敵は沈む
動きは最小限で最大限を
体力温存して戦う
属性攻撃・2回攻撃で荒々しく重い紅焔の連撃




 怪人は鍵の現れたテレビウムだけを追いかけている。すると鍵は何かの合図だろうか。
 一人の偉丈夫が腕を組みながら思案する。大路地の中央に立っていた。杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)だ。
 彼は包囲から逃れ出たばかりのテレビウムに背を向けている。小さな足音と大勢の足音が近づいてくるのを耳が拾った。
 クロウは顎に手を当てて思案する。小さい子供のテレビウムにまで鍵は現れた。見境なく。何故怪人がそれを求めるのか。
 やがてクロウの横をテレビウムが通り抜けたとき、彼は思考を打ち切りおもむろに剣を抜いた。刃渡り180cmもの巨大な黒剣が空を切り、追いすがる怪人の道を遮断機のように閉ざす。そして外套が翻った。闇色の烏が翼を広げるようだった。
 怪人は突如現れた大烏に視線を吸い寄せられる。一瞬、目的を忘れ一斉に立ち止まり身構えた。
「テメェらの相手は俺だ」
 クロウの眼光が敵を射抜く。
 いつの間にかテレビウムの子供も脚を止めていた。怪人へ向き対峙する猟兵の背を一目見ようと体を捻って。
「振り向くな」
 子供の肩が跳ねて動きは止まる。猟兵の言葉が自身に向けられているのだと気付いた。
「行け!」
 大きな声が足を動かす。子供はもう振り返らなかった。
「ココは俺が死守する」
 力強い言葉を胸に、子供は一気に駆ける。

「杜鬼クロウの名を以て命ずる。拓かれし黄泉の門から顕現せよ! 贖罪の呪器…混淆解放」
 ずしり。
 あたりに軋む音がし、地の底から腕が伸びた。やがて肩が首が現れ、ついに頭部が覗く。
 それは鬼だ。禍鬼という名の鬼だった。悪行の果てでカミに討たれた鬼はいまひとたび使役される存在としてここに顕現する。
「──血肉となりて我に応えろ!」
 濁流となって迫る怪人に、禍鬼は棍棒を振り下ろした。路面が粉々に砕け、敵はビルの壁面まで吹き飛ばされた。
 が、すべてではない。敵はまだまだ多い。禍鬼がすかさず霆を投げつければ、地が割れ紫電が荒れ狂い濁流に大穴を穿った。
 それすら乗り越えてきた怪人を迎え撃つのはクロウだ。
 3人の怪人が一斉に拳を振りかざしてきた。しかし遅い。身を捩ったクロウの外套が黒き翼となって彼らの視界を覆う。そして、たたらを踏んだ怪人を一筋の刃が走り抜けた。音もなく。知覚されることなく。
「ココは」
 硬直した者たちへクロウが口を開いた。
「通さねェよ」
 言葉が終わると同時、刃の描いた軌跡を紅焔がなぞる。そして怪人の体を焼き尽くした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『何も答えてくれないベルーガ』

POW   :    おまえを消す方法
【全て消すモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ベルーガに乗った中年
【ベルーガの調教師】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ベルーガがせめてきたぞ
戦闘用の、自身と同じ強さの【熱線銃装備の軍用ベルーガ】と【ガトリングガン装備の軍用ベルーガ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
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「あんぎゃあああ!!」
 走るテレビウムの身体のすぐ横を弾が掠めた。銃弾である。実弾ともいう。画面に映る鍵は変わらず東を指し示すが子供にとってはそれどころではない。
 ばたばたと足で蹴った地面へ次々に銃痕が刻まれてゆく。
「撃たれてる! 撃たれてる!?」
 それも実弾だけではない。眩しい光線がすぐそばを通り抜けたかと思うと、空気の焼け焦げる匂いがした。熱線銃だ。
 幸いどちらもまだ当たってないが、容赦のない銃撃だ。体を傷つけるのは時間の問題だろう。
 頭に直方体を付けた怪人に追いかけられたときはまだよかった。あちらは無手で、こちらを無傷で捕まえようという意図が見えた。
 だが今回は違う。
 よくわからないシロイルカの怪人軍団は銃器で武装しており、もうテレビ画面さえ無事ならいいやとでもいうような雑さでフランクに発砲してきている。
「いやあああだああああ!!」
 電光都市。ビルに挟まれた大通りでテレビウムの叫びが木霊した。

【補足】
 ビル街の大通りをテレビウムが走っています。その後ろを武装したイルカ怪人たちが銃撃しながら追いかけています。
 敵の追撃への対処するシーンになります。敵の数はあまりに多く『全滅させるのは不可能』です。
 猟兵が登場する場所はどこでも大丈夫なので、自由なプレイングをどうぞ。ビルの上でもいいです。
アポロダスト・ディラマティウス
【アドリブ歓迎】

子供相手に銃撃とはどうやらユーたちにはきっついきっついお仕置きが必要なようデース…!

撃っていいのは撃たれる覚悟のあるものだけ…。
その覚悟試させてもらいマース!!!

【WIZ】

ビルの上から[レボリューション]によるBGMを流しながら参上しマース!

ビルから落下しながら空中でダンスデース!!!

そしてユーベルコード『流星群舞踊(メテオダンス)』でイルカたちを狙い撃ちデース!!!

全部倒せなくても流星群の土煙で子供への狙いは多少遅れさせられマース!!
可愛い見た目で誤魔化せると思ったら大間違いデース…。
(その笑顔は笑顔でありながら鬼のようであった)




 ビルに挟まれた通りの丁字路を曲がり、足がもつれて転んだテレビウムのすぐ上に弾丸が足跡を刻む。
 ここまでか、とよぎって、ぎゅっと手を握る。画面に鍵に浮かんでいなければきっと悔し気な顔をしていただろう。
 だが、うつぶせの子供は目の前の影に気付いた。ビルの輪郭から生えている人影を。
「これは……?」
 ビルを見上げようとするも、逆光により人相はわからない。だが予感めいたものがあった。頭部に広がる特徴的な髪型が、そしてどこからともなく聞こえてくる音楽が確信へと変える。
「この軽快なサイバーパンクラテン系音楽は……!」
 いつのまにか銃撃は止んでいた。そう。敵もまた新たな人物に。
「ワタシデース!」
 アポロダスト・ディラマティウスに気付いたのである。
 ビルの屋上から影が跳ぶ。
 イルカ怪人たちの対応は早い。銃口は一斉に女神へと向き引き金が引かれる。耳をつんざくような音が通りを轟き、殺意の奔流が目標へ襲い掛かった。
 空中にあって回避するすべがないはずのアポロダストはしかし、口角を上げた。
 先頭の銃弾を上体を捻って回避する。否だ。それは回避ではない。アポロダストはただ曲のリズムに合わせて体を動かしているだけだ。
 だが、振った腕が、倒した頭が、回した腰のことごとくが敵の攻撃をやり過ごす。
 ダンスは、すべてを解決する。
 やがてパンプスが着地すると、アポロダストの頭上から雨のように光が流れてきた。
 天上から降り注ぐ熱と質量と岩石の塊はまさしく流星に他ならない。それはイルカ怪人を狙う軌道で路面を次々と耕しクレーターを穿ち、軍勢を擦り減らしてゆく。
 射撃武器で固めたイルカ怪人たちには堪らないだろう。破壊と熱が仲間を飲み込み、副次的に生み出される砂塵は視界を塞ぐ。何も狙えず、せめて同士討ちだけは避けて引き金からヒレを離した怪人たちを、静かな声が通り抜けた。
「子供相手に銃撃とは」
 一陣の風が吹く。塵を浚い、やがてアポロダストのアフロヘアをそしてサングラスを露わにしてゆく。
「どうやらユーたちにはきっついきっついお仕置きが必要なようデース」
 声色と口元は笑みの形を作っていた。
 だが、紡がれた言葉には鬼神の如き憤怒が宿っていた。
 塵が完全に晴れれば、怪人には再び走り出したテレビウムが見える。だが、追うことはできない。一柱の神が道を閉ざすからだ。怪人たちはすべての銃口を彼女に向けざるを得ない。
「撃っていいのは撃たれる覚悟のあるものだけ」
 その覚悟を試させてもらうとパンプスがリズムを刻み始める。
 やがて怪人が引き金をひく。女神が体を揺らす。
 爆発音。のちに白いイルカの体が吹き飛ばされていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

壬生山・群像
【POW】アドリブなどお任せ
さて、私に出来る事と言えば……

ビルの上でテレビウムくんとそれを追う敵集団を確認したら、敵集団へ弾丸の如く突撃しましょう。
その際、敵を「おびき寄せる」ためパイルバンカーでイルカの群体のうち1体を貫くよう狙います。出来れば凄惨に、残酷に。

テレビウムくんにはただ生き延びるよう伝え、私は残りの軍隊に立ち向かいます。
一対多数の不利な状況こそ防人というものは強く在れるのです。

守るためでなく逃がすための戦いを始めましょう。
篭手の盾と内部の刺突刃で攻撃を凌ぎ、隙あらばカウンターを狙います。
殺しはせず、一滴でも多くの血を流させ、思考を鈍らせる。
防人たる私への対価、払って頂きますよ。




 テレビウムの子供は走っていた。敵から逃げるまま、そして鍵に導かれるままにひたすら東へと。
 が、直進ばかりしていられない。背後から襲い来る弾丸が路面を壁面を穿ち、何度も遮蔽に隠れることを余儀なくされる。だがそれを繰り返していれば、やがて彼我の距離は縮まってゆくのだ。
 テレビウムが捕らえられるのは時間の問題だろう。
 しかし、それを許さぬ者がいた。
「……ん?」
 ひとりのイルカ怪人の顔に影が差し、天を仰ぐ。するとそこに太陽を遮る人影があった。
「な――っ!」
 篭手が迫り、やがて視界全体をそれが覆うと、轟音とともに怪人の顔面へと篭手が深々とめり込み、さらに爆音を纏い発射された杭が白い体を貫く!
 恐るべきエネルギーの余波は怪人一体の体を破壊するだけに留まらず、路面へ陥没と蜘蛛の巣状の罅割れを起こしていた。
 唖然。
 その場にいる誰もが突如ビルから飛び降りてきた人物に注目した。テレビウムは息を呑み、怪人は銃口を向けることも忘れ、無残に倒された仲間と見比べ状況の把握に努める。
 現れたのは子供にとって、見覚えのある人物だった。
「あの――」
「さあ、行ってください」
 壬生山・群像は振り返らず告げる。
「生き延びてください」
 そして彼は怪人の軍団へと構えた。
 たった一人で立ち向かうつもりだ、と気づいたテレビウムは同じ言葉を返そうとしたが、それよりは逃げるべきだと考えなおし、駆け出した。

 たった一人で戦うつもりか、と怪人が銃を構えた。最初の奇襲で群像が倒せた怪人は一体だけ、しかしこの場で銃を向ける敵は膨大な数だ。だが、引き金をひく者はまだない。先ほど無残に倒された仲間のイメージが頭にこびりついて、攻撃を躊躇わせている。
 故に、先に動いたのは群像のほうだ。
 片手で怪人の骸を持ちあげながら踏み込む。慌てて反撃してきた敵の弾丸を骸で受け止め、さらに放り投げた。敵の視界が塞がれるのを利用して、さらに深く踏み込んだ。足捌きと腰の捻りが描くのは円運動。一体の怪人の胴へ篭手の刺突刃を叩き込み、返す刀でさらに横の敵へと斬りかかる。そして背後から向けられる銃口を篭手で弾いて逸らし、杭を叩き込んだ。
 どれも浅い。だがそれで充分。狙いは撃破でなく遅滞戦闘なのである。
 敵が傷つき、鈍れば鈍るほどいい。
 武器の性質上、誤射を避けるために敵軍の後方は戦闘に参加できない。参加できるのは先頭集団のみであり、これを乱戦に持ち込めば一人でも立ち回れる。
 やがて篭手が裏拳の軌道でイルカの顔面へと叩きつけられた。
 崩れ落ちる仲間を見て怪人たちは思い知るだろう。
「対価、払って頂きますよ」
 防人とは守るものがいる限り、無限に強くなるのだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

富井・亮平
【心情】
おのれッ! 邪悪なイルカ怪人ッ!
人畜無害のテレビウムにこれ以上の悪行はゆるさんッ!
このイェーガーレッドが相手になろうッ!

【行動】
堂々と道路のど真ん中に姿を現して存在を誇示ッ!

「こいッ! エェレメンタルッ!! レェギオンッッ!!!」
精霊達を呼び出して応戦だッ!
こいつら数だけは多いからなッ!
時間を稼ぐには適任のはずッ!

さあテレビウムよ、今のうちに逃げたまえッ!
ここはイェーガーレッドが引き受けたッ!
なあに心配するな、すぐに追いつくッ!

私はルーンソードで斬撃を飛ばして戦うッ!
精霊達はヒット&アウェイな援護射撃ッ!
邪魔&無視できない立ち回りを意識ッ!
派手に目立つ事で多くの敵を釘付けにするッ!




 銃声。路面を穿つ音。そして悲鳴。
 テレビウムの子供は依然として怪人の集団に追いかけられている。これまで猟兵が足止めしてきたのだが未だに数は多い。だが、たとえ数が少なかったとしても、戦う力のないテレビウムに絶望しかないのは同じだろう。
 だから大通りを駆ける子供は、いつの間にか回り込み進路を塞ぐように立ちはだかった、イルカ怪人たちを見てついに膝をついた。
 無理だ。これ以上逃げられない。あの集団のなかの一人にだって勝てない自分では、突破なんてできるはずがない。
 胸の内を悲しみと申し訳なさが支配した。自分を助けてくれた人達の想いに応えられず、ここで捕まってしまうのが。
 そのときだ。
 両手をつき肩をわななかせる子供の頭に、そっと手が置かれた。
「え……?」
 驚きに顔を上げる子供に視界に跳び込んでくるのは、赤。そして、仮面。真っ直ぐこちらに向くマスクはもう大丈夫だというように頷いてきた。
 赤いコスチュームのヒーロー。ステレオタイプな姿は、窮地においてまさに救いの存在に映った。
 そしてヒーローは前方と後方を見て大きく息を吸う。
「邪悪なイルカ怪人ッ!」
 それは腹から出た大きな声だった。テレビウムがびくりとするが不思議と恐怖心は沸かない。
 ヒーローのグローブに包まれた人差し指がビシッと敵を指差す。
「人畜無害のテレビウムにこれ以上の悪行はゆるさんッ!」
 そして親指で自身を示した。
「このイェーガーレッドが相手になろうッ!」

 踏み込みと共に振り下ろされた刃が、遠間のイルカ怪人を斬り捨てる。続いて二度、三度。引き絞った体から描く力強い斬撃が瞬く間に前方のイルカ怪人を倒していった。そう、前方の怪人をだ。
 ヒーローマスクと富井・亮平(イェーガーレッド・f12712)がまず最初に行ったのはテレビウムの逃げ道を確保することである。それが完了するなり振り返り、後続の怪人たちへ刃を向けた。
 そして声を張り上げるのは、テレビウムへ向けた言葉だ。
「ここはイェーガーレッドが引き受けたッ! 今のうちに逃げたまえッ!」
 音量に再び子供の小さな体がびくりとした。戸惑いながらイェーガーレッドと怪人を交互に見る。
「なあに心配するなッ! ここは私に任せて先に行けッ!」
「……うん!」
 やがてテレビウムの足が動き出したのを見て、イェーガーレッドも走り出した。テレビウムは前方、逃げる方向へ。イェーガーレッドは後方、怪人へと突っ込むつもりだ。
「ウォォォォォォォッ!!」
 剣ひとつだけで切りこむには、火器で武装した怪人の集団はあまりにも多く、無謀だ。しかしイェーガーレッドに躊躇いも過信もない。胸には確かな勝算が渦巻いている。
「……こいッ!」
 ヒーローは剣のない手を突き出す。そして走りの勢いを止めず、突き出した手を真横に振りながら勝算の名を叫んだ。
「エェレメンタルッ!! レェギオンッッ!!」
 突如彼の背に精霊の軍勢が現れ追随する。
 炎が風が踊り、水が土が蠢いた。100を優に超える数の精霊たちが、銃撃を開始するイルカ怪人集団へと雪崩込む。
 かくして、キマイラフューチャーの一角に恐るべき軍団規模の衝突が起きた。
 赤いヒーローコスチュームの男は、常に最前線で剣を揮い続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『マルチプル・アースムーバー』

POW   :    タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を瓦礫の山に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。
👑7
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 やがてテレビウムの子供は袋小路へと跳び込んだ。後方以外を高層ビルに囲まれたそこは一目でわかる通り、逃走に向いていない場所だ。だが画面に映る鍵に導かれるまま向かった。
 子供はもう怪人から逃げることよりも、自身を誘因するものの正体を掴むことへの関心が重くなってきている。ずっと逃げ続けてきて恐怖心が麻痺しているのかもしれない。
 だから袋小路へと飛び込むのに何の躊躇いもなかったのだ。
「……ここでいいんだよね!」
 鍵の指し示す終着点がこの場所であることに間違いはない。
 導かれるままに奥へ奥へと進んだテレビウムは、やがてそこで全ての答えを見ることになった。
『15:00:00』
 画面の鍵が消え、時間が表示される。
 15分。という時間が何を意味するのかこの場の誰にも分らない。
 だが、カウントダウンを進めるあいだ、テレビウムは微動だにしない。意識を失い全くの無防備な状態になっていることだけはわかるだろう。怪人達の恰好の的だ。
『14:58:14』
 意識を失ったテレビウムが数える15分。
 怪人どもは抜け目なく袋小路を封鎖し始める。
 それは、追撃戦の終了と防衛戦の開始を意味していた。

 突如、怪人達が2つに割れた。道を開け通されるのはとりわけ巨大な怪人である。ボス格なのだろう、重機が人型をとったそれは、路面を踏み砕きながらゆっくり接近してくる。
『14:55:67』
 テレビウムを巡る戦いの最終局面が訪れていた。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

15分のタイムリミット付だぁ!?
でもってこんなとこにデカブツ持ち込むなっての!?
仕方ねぇ、アイツを痺れさせながらやるしかないか!
機械系の怪人なら高圧電流とかが『マヒ攻撃』になるだろ。
『範囲攻撃』になるくらい、サイキックの電撃を広げて放射する。
そうすりゃアタシが囮になって、
あの怪人を『おびき寄せ』られるだろ。
その間も電撃を間断なく放って、動きを鈍らせる。
頃合いを見て、すぐさま聖句を唱えて
【黄泉送る檻】を発動させる!
これで少なくとも動きは当分止められる……はず!
その間に畳みかけとくれ!




 人の身長を遥かに上回る体高の怪人が、巨大なトルクを唸らせる。全身が重機に置換された容貌はまさに暴力の化身だ。
 右腕のショベルを持ちあげ、大きく振れば轟音とともに周囲の街路樹がなぎ倒され、削りとられたビルの壁面は散弾となってテレビウムへ襲う。
「こんなところにデカブツ持ち込むなっての!」
 グローブに覆われた拳が飛礫を叩き落とした。悪態をつきながら両者の間に飛び込んだのは、黒のライダースーツに身を包んだ女性。数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)である。
 多喜は構えながら、重機怪人の各部位に素早く視線を巡らす。
 電撃。
 彼女が即座に弾きだした対抗手段がそれだ。
 機械系の怪人ならば高圧電流でショートするに違いない。
「仕方ねぇ、コイツでやるしかないか!」
 多喜が手を翳し、掌から電撃を放射する。
 対し、怪人は即座に猟兵の意図を察した。背部の無限軌道が勢いよく接地し唸りを上げる。生じた加速により電撃範囲から後退しさらに、助走をつけて多喜へと突っ込む。
 重機を折りたたみ突撃力を増した形状はまさにブルドーザー形態と言えよう。破壊の化身の突進は多喜の回避を受けても減速せずそのままビルへ大穴を開ける。
「……!」
 攻撃をやり過ごした多喜だが一息つく間などない。連続する地響きの後、新たにビルの壁面が破裂し飛び出した怪人が多喜へと攻撃を仕掛ける。連続攻撃だ。当たるまで続けるつもりなのだろう。例え袋小路を構成するビルが瓦礫の山と化しても。
「図体の割りにいやらしいことしてくるね!」
 地を蹴り身を捻り、回避を続ける多喜だがその表情は険しい。突撃の回避は困難ではない。だが問題はビルの破壊に伴う瓦礫だ。勢いよく飛び出す破片のひとつひとつが、人体を破壊しうる威力を持つ。
 だが、彼女とてやられ放題ではない。突撃を仕掛ける巨体へ、擦れ違いざまに電撃を放つ。攻撃を与えられる時間は短く、直撃こそ敵わないものの確実にダメージを蓄積させている実感がある。連続で突進し続ける怪人も最初と比べればいくらか精彩を欠いてきている。
 なにより、この状況こそが彼女の狙い通りだ。重機怪人は今や多喜だけを完全に狙っている。囮の働きぶりとしては百点満点だ。あとは、動けないテレビウムへ飛ぶ瓦礫だけ注意して蹴り飛ばせばいい。神経をすり減らす大変な作業だが、守るもののある戦いは多喜の力を普段以上に引き出している。
 やがて、怪人がしびれを切らした。無限軌道が甲高い音を立てて高速回転する。速度を一気に高めて仕留めに来ようとしていた。猟兵へと一直線を描きその身に湛えた破壊エネルギーを直撃させにくる。
 頃合いだ。そう判断した多喜も真正面から踏み込んだ。両腕に滾らせる紫電の威力はこれまでの比ではない。
「ashes to ashes,dust to dust...」
 灰は灰に。塵は塵に。口元が紡ぐ聖句はその結びと同時に雷の檻を形成する。幾重にも折り重なった雷は怪人の勢いを見る見るそぎ落としてゆく。
 最後に、動きを止めた重機と腕を大きく振りかぶった猟兵が残った。
「これでもくらいな!」
 全力ストレート。
 多喜の拳は衝撃音を生み装甲を凹ませ、さらに巨体を大きく後退させた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
「15分か、永いな。だが、持ちこたえる」
【携帯食料】を食みUCを重機に合わせ、【学習力】で対策を検討。

瓦礫の上に立つことで優位性を出して居るのなら…取り除けば良い。
しかも瓦礫は良い【投擲】武器だ。

【失せ物探し】で瓦礫が倒壊しそうな場所から瓦礫を掴んで【投擲】する。
頑丈なボディだが同じ場所を狙い続けるなら必ず貫くはず。
貫けなくても意識がこちらに向くだろう。
そうすればテレビウムに対する危険が低くなるよね。
バランスを崩したら操縦席に丸太状の瓦礫をお見舞いしよう。
瓦礫を使った高さと【残像】が残るほどの【ダッシュ】を乗せて!


アポロダスト・ディラマティウス
【アドリブ歓迎】

オーイエー!どうやら時間制限ありのラストバトルみたいデース!!
ハッハー!15分とは随分と優しいものデース!!
ワタシのダンスなら5分もあれば踊りきれマース!!

OK!ミュージックスタートデース!!


【WIZ】

随分とビッグなヴィランのご登場デスネー!
でもでもダンスに体重は関係ありまセーン!
丸々スクラップにしてあげちゃいマース!!
ダンスナンバー『無重力舞踊(ゼログラビティダンス)』カモーン!!
ワタシのステージにそんな毒々しいスモークは似合いまセーン!!
衝撃波で全部吹き飛ばしちゃいマース!
そして重力を無くせば重さは関係ありまセーン!
ワタシのダンス神拳のサンドバッグになってもらいマース!!




 装甲をへこまされた怪人が怒りに任せてドリルを揮う。
 甲高い音と共に高速回転する左腕の武器を、ビルの壁へと突き立て、怪人はそのまま力任せに振り抜く。
 鼓膜をびりびりと震わせる破壊音から一拍遅れて、瓦礫が路面へと降り注いだ。
 対峙していたのは一人の猟兵だ。仁科・恭介(観察する人・f14065)という。彼は白い顔を歪めながら両手を交差させ頭部を守った。
 瓦礫のひとつひとつは大きい。通常の人体であればひとたまりもなく、猟兵であっても運が悪ければ重傷だ。さらに、瓦礫に埋め尽くされた足場はあらゆるものの機動力を奪うだろう。だのに、無限軌道による移動方法を持つ重機怪人はまるで意に介さず踏み越えてくる。
 巨体。破壊力。機動力。そして有利な地形を作る力。眼前の重機怪人は、強敵だ。
「15分か」
 恭介は腕を降ろしながら呟く。ちらりと見やったテレビウムの画面は、まだカウントダウンが終わらないことを物語る。
 彼は強敵を相手に戦い続けなくてはいけない。
「……永いな」
 懐を探った。厚手の包装紙を破り、中身を齧りとった。干し肉だ。
「だが、持ちこたえる」
 噛みしめた肉から上品に整えられた香草の風味と野生的な味わいが滲む。それを活力に変換するのが恭介のユーベルコードだ。体の隅々まで力が行き渡るのを感じる。
 瓦礫が散乱するのはデメリットばかりではない。なぜなら投擲武器になるからだ。彼は深く息を吐きながら頭ほどもある瓦礫を拾い上げた。
 勢いを付けながら一気に踏み込む。
 投射された瓦礫が弾丸のように迸った。それは怪人の凹んだ装甲へと真っ直ぐ吸い込まれ、砕け散った。無論怪人もまた黙って攻撃を受け続けるわけではない。ドリルを用いて恭介を狙った。だが、瓦礫の山や折れた街路樹を足場に転々と跳ね回られてはとても命中させられない。
 一方的に攻撃を浴び、さらに装甲の傷んだ箇所を執拗に狙われては怪人といえど危機感を募らせる。
「ビ――ガガガッ!」
「む……っ!」
 ショベルが勢いよく瓦礫に突き立てられ、それを大量に掬い上げた。恭介の真似をしようというのだ。ただ違いがあるとすれば怪人の放つ飛礫は大量で、散弾となって敵へ襲い掛かることだろう。
 回避は困難。
 大きく振りかぶられるショベルに恭介は奥歯を噛みしめた。

「ハッハー!」
 そのときだ。新たな猟兵が戦いに介入した。風を切るアフロヘア。躍動する褐色の肉体。ビルから飛び出した女は地を蹴り、側転と後方転回を怒涛の勢いで繰り返し、瞬く間に瓦礫の山を登って怪人へと肉薄。腕の力で大きく跳び上がって勢いのまま瓦礫を放つ寸前のショベルを蹴り飛ばす。
「ミュージックスタートデース!」
 灰色の山頂に立ち腰に手を当て、ずれたサングラスを直しながら厚い唇を弧の形に歪めるのはアポロダスト・ディラマティウスであった。
 サングラス越しの瞳がテレビウムの画面を確認する。
「あと少し、ワタシがダンスで付き合ってあげマース」
 体勢を立て直す重機怪人へ攻撃が加えられる。恭介の瓦礫投擲だ。すかさずパンプスをリズミカルに鳴らして怪人の体を駆け登り、追撃の蹴撃を加える。
「ワタシのダンスのエスコートに付いてこいデース!」
 スクラップになるまで付き合ってもらいマース、と告げるアポロダストだが、怪人には同じステージへ登る意思はない。瓦礫では猟兵の機動力を奪えないと理解した敵は、戦い方を変える。すなわち、排気マフラーから黒煙を吹き出したのだ。
 もうもうと周囲を黒く染めてゆく煙は粘膜に強烈な刺激をもたらす。瓦礫の散弾以上に回避は不可能だろう。生命維持を呼吸に頼る生物にとっては致命的な攻撃である。
 だが、アポロダストは余裕の態度を崩さない。
「ここはもうワタシのステージデース」
 宣言と共に片足が持ちあがる。
「ワタシのステージにそんな毒々しいスモークは似合いまセーン!!」
 轟音。瓦礫の山が踏み砕かれ破片が跳ね上がり、怪人を驚愕で染め上げた。
「ガガ――ガガ!?」
 怪人が驚いたのはアポロダストの破壊力にではない。踏み込みの衝撃で黒煙が巻き上がったことでもない。
 破片が落ちてこないことだ。
 彼女単純なステップは衝撃と共に重力を掻き消し、破片は糸を失った風船のようにどこまでも飛び上がってゆく。
 そして、無重力の世界は怪人の身にまで影響を及ぼしていた。恐るべき破壊の化身の巨体が徐々に地面から離れようとしているではないか。
「もうすぐ15分だ」
 男の声がした。恭介だ。彼は丸太のように大きく細長い瓦礫を選び取り、地を蹴り木を蹴り壁を蹴り、稲妻めいた機動で跳び出す。跳躍を繰り返すたび加速は際限なく高まり、ついに怪人の元へとたどり着いたときには、振りかぶった瓦礫に巨大な破壊エネルギーを集中させていた。
「これで終わりだ!」
 怒声が響く。限界まで引き絞られた体から瓦礫が砲弾となって飛び出し、無重力の鎖に囚われ浮き上がった怪人を空へと打ち出した。
 高く高く、天に吸い込まれるように。
 悲鳴を残す間もなく巨体はやがて見えなくなった。

『00:00:00』

「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する」
「至急の救援を請う」
 戦いの終わりを待っていたかのように無機質な機械音声がテレビウムから発せられた。
 システム・フラワーズ。そして侵入者。聞きなれない単語と不穏な単語に猟兵達は顔を見合わせる。
 鍵の画面から解放され目を回すテレビウムの姿を視界に収めながら、猟兵達は新たなる戦いの始まりを予感するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月02日
宿敵 『マルチプル・アースムーバー』 を撃破!


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グァンデ・アォです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト