テレビウムとかわいいどうぶつおにごっこ
●テレビウム・ロック!
顔の違和感、なんて。
この世に生まれてから、初めて感じたかもしれない。
すべやかな顔を擦っても、何も解らず。
ぴかぴかのショーウィンドウを覗き込むと、自らの顔が照り返される。
テレビウムの頭は、テレビモニタの形をしている。
そのモニタの表示は、自らの意思で決定できる――はずなのだが。
「……?」
切り替えようとしても、一向に切り替わらぬ表情。
その顔には、白い鍵のようなモノがぼんやりと映し出されたまま。
「これは……」
ケビ・ピオシュ(テレビウムのUDCメカニック・f00041)がショーウィンドウに思わず手を触れた、その瞬間。
桃色の丸い物体が、ケビへと向かい――。
●
「皆さん、もうご存知かもしれませんが……」
猟兵達へと軽くお辞儀をしてから、口を開いたプルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)。
テレビウム達の顔――テレビモニタに突然、鍵のような映像が映し出され。
何処からともなく現れた怪人達が襲い掛かってくる事件が幾つも起こっている、と彼女は言う。
「早速ですが、皆さんにはケビさんを助けに行って頂きたいのです」
プルミエールの予知に見えたのは、ショッピングモールを歩いているケビが、大量の桃色のインコのような怪人に襲われるシーンであった。
「……どうしてこのような事になっているのかは、解りませんが……」
顎に拳を当てて、困ったように呟くプルミエール。
何にせよ、怪人達を撃退しない事には、原因を究明する事もできないであろう。
プルミエールのグリモアが輝き、猟兵達に彼女はもう一度頭を下げる。
「それでは、皆さんのご武運をお祈りしています」
頭を上げたその瞳には、猟兵達が必ず解決してくれるであろうという信頼の色が揺れていた。
絲上ゆいこ
こんにちは、絲上ゆいこ(しじょう・-)です。
こちらのシナリオは、キマイラフューチャーのテレビウム達の顔(テレビ画面)に、突如「鍵のような映像」が浮かび上がる事件のシナリオです。
タイムアタックばりにがんばって返却をする予定なので、よろしくお願い致します!
がんばります。
戦闘は強く当たって後は流れでお願い致します。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『アキクサさま』
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POW : ぽかぽかの風
【召喚したヒーターの熱風】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : どっちが本物?
【もう一羽のアキクサさま】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 究極の平和主義
全身を【スーパーもふもふモード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
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●ぴいぴいぴい
「おや、君たちに何かした覚えは無いけれ……」
ケビが言葉を言い終える前に、大量の桃色が放たれた弾のように鋭く殺到する。
とてもぽかぽかしているし、暖かくなりだした最近の気温的にはまあまあ最悪だ。
「言葉が通じる感じでは、無、待っ、あっ」
沢山の鳥に埋まるケビ。
とてもぽかぽかだ。
熱い。
このままではまずい。
物理で溶けてしまいそうだ。
鳥をはねのけて、勢いそのままショッピングモールの通路をゴロゴロと転がるケビ。
幸い今の所、自分以外を狙うつもりはないらしい。
ともかく敵を撃退できるような人の少ない所へと向かうべく、彼は駆け出す。
ぴいぴいぴい。
大量の桃色を引き連れて。
花狩・アシエト
もっふもふだな…かわいい
げふん!
とにかくケビくんを助けよう
アキクサさまごめんなー
攻撃は「界刀閃牙」で攻撃
武器は「右の」だ
一体ずつ確実に倒す
もっふもふしてぇ
ヒーターやってきたらコート脱ぐわ
ちくしょいちいちかわいいな!
アキクサさまの攻撃は「第六感」と「武器受け」で回避、ガード
「残像」も使うか
テレビウムが大変、な
なんでだろう、こないだみたいなでかい戦争が起こる前兆
いやいやまさか…まさかな…
ケビくーん!無事かー!
くそ、どこにいるんだ…!
アドリブ歓迎
黒瀬・ナナ
何が原因かは判らないけれども、顔に突然鍵を掛けられちゃうなんてびっくりよね。
どうにかして治せると良いのだけれども……まずは怪人を退治しなくちゃ!
急いで現場に向かって、桃色インコ達からケビさんを守るように間に割って入るわね。
大丈夫?ここはおねえさんに任せて!
ぽかぽかした風で眠くなりそうだけれど「気合い」で耐えて、羅刹旋風で熱風を一気に吹き飛ばす!
数が多そうだから「範囲攻撃」と「衝撃波」でなるべく大勢を巻き込めるように。
倒し損ねた相手は他の人達がトドメを刺し易いように「マヒ攻撃」で少しでも動きを止められるように出来たら良いかしら。
※他PC様との絡み、アドリブ等大歓迎です。
誘名・櫻宵
🌸 アドリブ等歓迎
あらやだわ
テレビウム達に鍵が?大変ね
何とかしてあげなきゃ
テレビウムじゃマスターキー(刀)は使えないもの
やーん!可愛い!ピンク色の鳥よ!
か弱いあたしやあたしの可愛い人魚のペットにもぴったりな可愛さね
抱っこしてるとこ想像したわ
妬くわ…
斬らなきゃ
どんな斬り心地なのかしら
柔らかい?硬い?それとも未知の感触?
斬ってみればわかるわよね!
ふわふわを満喫するべく力一杯、衝撃波込めてなぎ払い、鳥を転がして羽毛ごと伐採するわ!
呪詛を込めて動きも鈍らせましょ
広範囲に斬って2回攻撃、囲まれないよう見切りや空中戦で躱して
怪力のせて思い切り、絶華を放つ
何だか楽しくなって来ちゃった!
もふもふって最高ね!
ぴいぴいぴい。
テレビウムを追う大量の桃色インコ達。
一気に踏み込み、刃を構え――。
「アキクサさま、ごめんな!」
花狩・アシエト(アジ・ダハーカ・f16490)の右手に握り込まれた刃が、桃色のインコを一刀両断。
斬られた瞬間、ぞろりと砂のように溶け消えるアキクサさま。
「ケビくーん、無事かー?」
「すまない、恩に着る」
負われていたケビが振り返り、その顔に白い鍵のようなモノを映し出したまま、その場に立ち止まり――。
その瞬間、桃色が殺到してすっ転んだ。
「け、ケビくーん!」
慌ててアシエトがインコの山からケビを掘り出すと、二人を追い詰めるべく健気にもぽかぽか熱を発しるアキクサさまたち。
もっふもふだし、ぽっかぽかだ。
小脇にケビを抱えたアシエトは、思わずコートを脱ぎながら吠える。
ばさばさコートを振ると、ごろごろ床に転がるアキクサさま。
「ちっくしょ、何だ何だ、いちいちかわいいな!」
けほ、と頭を揺するケビを抱えたまま、後ろに跳ねてアシエトは距離を取る。
その瞬間、アキクサさまとの間に割りいる影一つ。
花嵐の名を持つ薙刀を構えた、黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)の姿だ!
「大丈夫? ここはおねえさんに任せて!」
ぽかぽか暖かい空気は少しばかり眠気を呼ぶけれど。
大きく引き絞った柄を、水平に薙げば円を描くように。
花弁を散らす嵐の如く、アキクサさま達がばらばらと弾き飛ばされる。
「あ、ありがとう」
鍵さえ映っていなければ、ぐるぐるした表情にもなっていただろうか。
ケビが抱えられたまま礼を一つ。
「おっと、ありがとなー」
ぽーんとボールのように跳ね返ってきた一匹のインコを、柄の底で叩き落とし。返す手で逆方向からカッ飛んできた桃色を切り崩したアシエトが笑みを深めた。
「それにしても、沢山いるのね」
「ああ、本当にかわい……、げほ、いや、厄介だな!」
敵はケビだけを狙っているようで。
ケビを左小脇に抱えたアシエトと、背中合わせで構えるナナ。
ピンク色の包囲網が、じわじわと狭まる。
二人は得物を握りしめたまま、低く構え――。
ショッピングモールの通路の、すこうし開けた踊り場。
一般キマイラ達が猟兵達の活躍を見ようと、遠巻きに見守りだした列をモーゼよろしく割いて現れる姿。
「やーん! 可愛い! ピンク色の鳥よ!」
誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)の艶やかに低い声音が響いた。
「ふふ、か弱いあたしやあたしの可愛い人魚のペットにもぴったりな可愛さだわ、――いや、抱っこした所想像しただけで妬くわ。ダメ!」
花あかりの淡墨を揺らし、身長177.9cmの男が一気に飛ぶ。
「斬るわ」
死ぬほど勝手な言い分。
桃色の包囲網へと跳ねとびこみ。
カチあげた刃で鳥達を薙ぎ払えば、ついでに拾い上げた一匹のインコに顔を埋めて敵を睨めつける櫻宵。
どんなにやわらかくたって、可愛くたって、あの子の横に居れば何でも妬いちゃうわ。
ぽーん、とインコを投げ捨てて、敵を睨めつけて彼は吠える。
「さあ、どんどんきなさいな。アタシ達が相手してあげるわ!」
オネエの襲来に混乱するインコ達を、アシエトとナナが同時に得物を振り上げ、トドメを――。
「ああ、ケビくんを守ろう!」
「大丈夫、おねえさんがぜーんぶやっつけてあげるから!」
まだ増え続ける桃色の包囲網に、猟兵達は再び構え直す。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リル・ルリ
■アドリブや絡み等歓迎
「!!
もふもふが、かわいいとりが、たくさんいる!!」
尾鰭がぱたぱた、ご機嫌に揺れ
こんなにたくさんいるなら、1羽くらい抱っこしても許されるはず
いつも抱っこする前に櫻が斬ってしまうんだもの
少し、持って帰っても……
ケビ、も困ってるから、はやく鳥を引き離してあげなきゃ
熱いのは困るよね
僕も、得意じゃない
可愛いけど心を鬼にして
どさくさに紛れてだっこを…
まずは動きをとめよう、と【歌唱】活かして歌うのは「魅惑の歌」
少しの間、聞き惚れていておくれ
熱いなら冷まそう、音色かえて「氷楔の歌」を響かせ凍らせて
皆と協力できたらいいな
お顔の鍵、どうしたの?
早く治るといい
君の表情が見れないのは寂しいから
「あたしの可愛い……」
人並みの中からで、ゆうらり揺れる秘色の髪。
耳慣れた声の言葉に、思わず呟いたリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)はふるふると首を振って。
小さく息を吐いてから、足元に転がってきた桃色インコを拾い上げたリルは瞳を細めた。
困ったように寄せた眉とは裏腹。
実際薄く薄く揺れる人魚の尾鰭は、ぱたぱたご機嫌。
少し持って帰りたいくらいだけれど、……――。
熱を発しながらバタバタと腕より抜け出そうとする鳥を手放し、リルは息を吸った。
熱いのは、僕も得意じゃない。
ケビも、困っている。
ならば。
すこうし、動きを止めようか。
響き渡る、リルの銀細工のように澄み切った旋律。
何を見ているの。
何処を見ているの。
何を聴いているの。
ぴ、と声を漏らして。桃色のインコたちがリルを一瞬見やり――。
青瞳と、桃色の視線が、重なった気がした。
「――そんな暇があるなら、僕をみて」
どんなにかわいくたって、これはオブリビオン。
倒すべき、敵だ。
さあ、僕の歌に。
少しの間、聞き惚れていておくれ。
成功
🔵🔵🔴
ポク・ョゥョゥ
もっふーもっふー
おたすけぱんださんじょー
あがめよー
あのねー、ぽくはテレビウムたんによく間違えられるけどー
ぱんだなのー
お顔は鍵にならないよー
お顔が鍵になると前は見えるのー?
あー。お話はあとだーもふもふやっつけてくるねー
ケビたん避難しててねー
アキクサたまいっぱいだー
もふもふばっちこーぃ、迎え撃つよー
ぎりぎりまで構えて〜めがとんぽくぱーんちー
ぽっこーんと倒しちゃうのー
ヒーターあったかいね〜でも春はあっついかなー?
ぱくー、ひえひえキラキラブレス出してほしーのー
ぽかひえ合戦だー
もふもふモードのアキクサたまはいっぱいもふるのー
あとはねー、ぱんちーときっくーでやっつけよー
かっこいーぱんだヒーローなれたかなー
もっふもふ。
「ひっさーつ」
動きが暫しとまった桃色のインコへと、横薙ぎに流星のごとく叩き込まれたぽくぽくしたまあるい拳にキラキラ散るお星さま。
のんびりころころ、一気に叩き込んだぱんちはインコごと床に大きな罅を生む。
砂のように溶けたインコごしにくうるり振り返った、もこもこパンダのようなテレビウム――。
否。
「おたすけぱんださんじょー、あがめよー」
あがめよーを挨拶だと思いこんでいる節があるパンダのようなブラックタール、ポク・ョゥョゥ(よろしくなの〜・f12425)。
アシエトに抱えられたままのケビに、のんびりマイペースに手を上げてふりふり。首を傾ぐポク。
「ねえ、ねえ、ケビたんー。お顔が鍵になると前は見えるのー?」
「ううむ、うむ、普通に見えているよ。何より普段より――」
「あー」
答えようとしたケビの後ろへと、ぴょいんと飛び出したポク。
「お話はあとだー。もふもふがくるよー」
「もふ、も!?」
「ケビたんが狙われてるみたいだし、下がってさがってー」
歌声に聞き惚れて、動きを止めていた小鳥達が壁のように。
一気に降り落ちてくる、ほかほかもふもふ桃色の大波。
ふわふわもこもこ、ポクの上に沢山こぼれ落ちてくるインコ達!
「アキクサたまいっぱーい、もふもふー」
でもすこし、ほかほか、春先にはあったすぎる熱。
「ぱくー、ひえひえキラキラブレスで、ぽかひえ合戦だー」
ぎゅうっと捻れるほどにギリギリまで構えたポクは、白竜のパクと共に桃色の大波へと飛び込んでゆく。
「ぽっこーんと、倒しちゃうよー」
大成功
🔵🔵🔵
キララ・キララ
え! まってまって、テレビウムのみんなの機能がロックされてるってこと!?
お顔がずっと変えられないなんて! 笑いたいときや怒りたいとき、どうしたらいいのかしら…たいへん!
あ! あの…あったかい…ひよこ?、テレビウムさんのこと追いかけてる!
機械ってあっためすぎるとたいへんなのよね?《ダッシュ》で《追跡》します!
射程内まで近づけたら《アート》【シルバーレイン】!
見た目にむし暑くなりそうね…機械にもよくなさそうだわ…
《おびき寄せ》られたらいちばん。でもとにかくいまは数をへらすか、注意をきららたちにむけられればいいわね。
同じことがたくさん起こってるみたいだし、原因がわかればいいんだけど…
コノハ・ライゼ
……絵面が襲われてるっつうよりは鬼ごっこ……ウウン
危ないコトには違いナイね
さくっと安全確保、この世界のミナサンに安心をお届といきましょか
ケビと敵との間に割り込み、敵集団に向け広く【彩雨】を降らす
先ずは勢いを削ぎ、続け『高速詠唱』からの『2回攻撃』で
手近な数体から順に集中攻撃
確実に数を減らす
にしてもこの手のはホント気が削がれるコト
ケド、凍ってしまえばもふもふも役に立たないデショ?
彩雨で倒しきれなければ「柘榴」で一刺しに
戦いながら出来るだけ人気が無く広い場所へ誘い込むように
ケビの方へ抜けるヤツがいないか注意
いたら色々覚悟で『捨て身の攻撃』し止めるヨ
沢山の桃色のインコが人々と戯れ転がり、ふかふかと毛を逆立てる。
なんとなくのどかな風景に、頬を小さく掻いてウウン、と眉を寄せるコノハ・ライゼ(空々・f03130)。
「絵面が襲われてるっつうよりは……」
「でもね、なんだか可愛い感じでも! お顔がずっと変えられないなんて、たいへん!」
笑いたいときや怒りたいとき、どうしたらいいのかしら?
キララ・キララ(リトル・シープ・ウィズ・ビッグビート・f14752)はころころと表情を転がしながら、アートスプレー缶をぎゅっと握りしめた。
「それにそれに、機械ってあっためすぎるとたいへんなのよね?」
「……マ、そうね。危ないコトには違いナイ」
見物する群衆を抜けて、同時に駆け出した二人は視線を軽く交わし。
目指すは桃色インコの海。
しゅうしゅう。キララが空中にスプレーを吹きかけると、雲が生まれ。
しゃあらりしゃらり。コノハが手を翳せば、万色の水晶針が指の間に握られた。
「晴れのち――、」「煌めくアメ、ってナ」
あまりに可愛い見た目の敵は、少しばかり気が削がれはするけれど。
「ケド、凍ってしまえばもふもふも役に立たないデショ?」
降り注ぐ、煌めく水晶に銀弾の豪雨。
突然の大雨に慌てふためくインコ達。
狙いをコチラに全て向ける事は出来はしないけれど。
「すこしでも数を減らそう! あ! でも、もしかして雨も機械はたいへん?」
首を傾ぐキララの横を、すりぬけたコノハは掌に握り込んだ鉱石ナイフで桃色を切り裂く。
手応えは軽く、砂のように溶け消えるソレをさらに駆け抜け。
上半身を捻って捻り、振り上げた前足でケビ達と桃色インコの群れの間に割り込みいる。
「サテサテ、さくっと安全確保、この世界とテレビウムのミナサンに安心をお届といきましょか」
遅れて。
跳び箱のように鳥の頭に両手を付いて、ピョコっと飛び込んできたキララも小鳥たちに向き直り。
「テレビウムのみんなのお顔は、きらちゃんたちがまもる!」
しゃきーん、とスプレー缶を構えてカッちょく決めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』
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POW : ポージング
自身の【逞しい肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : ポージング
自身の【躍動する肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : ポージング
自身の【洗練された肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
「これで、最後よ!」
最後の桃色を突きあげる薙刀、跳ね跳んだソレを横薙がれた鉱石ナイフが一閃する。
「こんなもんでしょかネ」
ふう、と得物を床に立てて、胸をなでおろしたナナの横。コノハがくうるりナイフを掌で弄んでからしまい込み。
一通り桃色のインコの退治を終えた一団は、遠巻きに眺める野次馬キマイラの円の間で一息。
地をおりたケビは、ハットを手に小さなお辞儀。
「……ううむうむ、済まないね、皆」
申し訳なさそうに未だ鍵の映る顔を上げると、リルがケビの顔をそっと撫でた。
「……お顔の鍵、どうしたの? 君の表情が見れないのは寂しい」
早く治ると良い、と。リルが長い睫毛を揺らし。
「そうね、テレビウムじゃマスターキーは使えないもの」
その横に立つ櫻宵は肩を竦め、マスターキー――全ての錠すら断ち切る太刀。
屠桜を鞘へと収めた。
「何が原因かは判らないけれども、顔に突然鍵を掛けられちゃうなんてびっくりよね、どうにかして治せるように、おねえさんも力になれれば良いのだけれど……」
どうしたものかしら、とナナが首を傾いだ瞬間。
ケビの顔のモニタがちかちかと輝き、鍵が矢印のように何処かを指し示しだした。
「……ケビたんー、お顔、かわってるのー」
「……うん?」
ポクがぽけっと首を傾げれば、ケビの少しばかり間の抜けた声音。
キララが目をまん丸くしてほんとだわ! と一度跳ねた。
「この矢印の先になにかあるの?」
「えっ、何だこれ……、もしかして、こないだみたいなでかい戦争が起こる前兆……?
いやいやまさか、……まさかな」
コノハが腰をおろして、ケビの顔を覗き込み。
顎に指先を当てて、うーん、とモニタとにらめっこ。
矢印の鍵は、変わらず何処かを示し続け――。
「……ともかく私もこのままでは困るのでね。皆さえ良ければ、一緒に来てくれないかい?」
「そうね、他に手がかりも――」
ケビの願いに、相槌を打ちかけた、その瞬間。
野次馬していたキマイラたちが、わあと声を上げた。
「わーーっ、あたらしい怪人!」
キマイラ達には目もくれず。
ケーキを切り分けるみたいに割れた人波の間を、鍵の顔を持つテレビウム――ケビへと向かって駆け込んでくる怪人。
――筋骨隆々。たくましい身体にふかふかの毛。
頭はとってもかわいい、量産怪人アルパカマッスルブラザーズ達だ!
「……すまない。皆、急ごう」
ぴゃっと肩を跳ねたケビが、ぽてぽてと彼なりの全速力で駆け出した。
目指すは、顔の鍵矢印が示す場所へ。
追いかけ来る敵は、すぐ目前。
再び始まる、テレビウムとかわいいどうぶつのおにごっこ。
ヴィクトル・サリヴァン
呼ばれて飛び出てー…帰っていい?
駄目だよねーケビくんが酷い事になるよねー。
よし、覚悟決めて戦うとしようか。
他の猟兵の位置確認しつつケビくんの進路を切り開くよう戦おう。
逞しい肉体?武器はそんな身体能力差を超える為のモノだよ多分。
そんなわけで銛を容赦なくぶち込もう。当然UC付きで。
れっつごー水鯱、獲物はそこでポージング決めてるなんかよく分からん怪人だ。
…アルパカのつぶらな瞳でこっち見て一緒にポーズキメない?的な雰囲気出すのやめようか。
流石にそんなナルシストっぽい趣味はないよ?
いや力勝負とかでもそんな負けるつもりはないけどさー。
だってそれ見せ筋でしょ?と煽ったり。
※ボケツッコミ、アドリブ絡み等お任せ
オブシダン・ソード
やあケビ、助けに来た…よ…?
…僕は君がかわいい動物に追われていると聞いていたんだけど
話が違うんじゃあないかな
まぁいいけど…
こういう時に走るのは、大きい族に任せておきなよ
いつだかみたいに肩に乗っけて運んであげる
あとは画面の矢印はたまに確認しておきたいね
追ってくる群れはある程度引き付けてウィザードミサイルの的になってもらおう
うわあ火に照らされて身体がてらてらしているね
止めときゃよかったかな…
追い散らし切れなくても普通に炎の属性攻撃で迎撃
あまり近づかれるようなら剣でなぎ払うよ
いかな鋼の肉体でも僕の刃は止められない
止められないよね? 頼むよちょっと
仲間とはうまい事連携を
場合によってはケビを投げ渡そう
黒瀬・ナナ
矢印の鍵が示す先には一体何があるのかしら。
とんでもない財宝?もしくは伝説の美味しいご飯とか?
兎も角、ケビさんの笑顔を取り戻す手掛かりだもの。皆で行ってみましょ……って、何かきたーっ!?
さっきみたいにふかふか可愛い生き物なら歓迎だけれども、これは、ちょっと暑苦しすぎるんじゃないかしら!
助けてーっ、風神様ーっ!
肉体を誇示するアルパカさん達を、風神様のお力を借りてぴょんと飛び越え。
魅惑の美脚でちらちら「誘惑」しながら、攻撃し易いように一ヶ所に集めて。
自慢の「怪力」で振るう薙刀で一気に「なぎ払い」
ケビさんの身の安全を最優先しつつ、皆と協力して手早く片付けるわ。
※他PC様との絡み、アドリブ等大歓迎です。
ポク・ョゥョゥ
わー、かわ…いい…?
…かわいいアルパカたんだー
ぽくはねー、ぱんだなのー
ポージングするのー?
ぽくもできるよー
まずねー、きおつけからのー両手を広げてー
お手手と脚を開いてー
にっこり笑顔でー
あーがーめーよー
どうかなー?決まったー?
そっかー、じゃあいっくよー
バウンドボディで跳ねるはねーる
あがめポージングの体当たりぽくあたーっく
ケビたんに近付くアルパカたんにどーんとぶつかるのー
ついでにめがとんぽくぱーんちー
どうだー。まいったかー
後はねー、槍のぱくでつんつんするよー
アルパカたん硬かったらぱくのキラキラドラゴンブレスで成敗だー
ケビたんのお顔くるくる変わるねー
どこに辿り着くのかなー
一緒にぽてぽて追いかけるよー
「な、何かきたーーーっ!?」
「わー、かわ……、かわいい……? ……かわいいアルパカたんー」
同じく、ぴゃっと肩を跳ねたナナ。
ぽんやりと手を上げて、振るポク。
「た、助けてーーっ、風神様ーーっ!」
「ぽくはねー、ぱんだなのー」
一人は慌てて、一人はのんびり。
猟兵達は敵と対峙する。
そこにマントを翻し、駆け込んでくるフード姿。
「やあ、ケビ。助けにきた
……、……よ?」
ケビなりの全力で駆けはじめた彼を拾い上げたオブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)は、ケビをいつかのように肩に乗せて。
頬を指先掻くと、えぇっと、と呟いた。
「……僕は君がかわいい動物に追われていると聞いていたんだけど、これは話が違うんじゃあないかな?」
「ううむ、うむ、私に言われても困るのだが。……すまないね」
「いいけどさ……」
ケビだって追われたくて追われている訳では無いが、彼の顔の矢印はまっすぐ先を示している。
「ま、こういう時に走るのは大きい族に任せておきなよ、さあ、飛ばすよ」
フードの下で、笑みを深めたオブシダン。ケビの図書館の備品として、存分に駆けてみせよう。
「呼ばれて、飛び出てー……」
そんな彼らを見下ろす、ショッピングモールの通路の二階。
階下のケビたちと敵の間に割居るように飛び降りてきたのは、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)だ。
大きな身体で円を描くように三又銛を構えてから敵を睨めつけ、――……瞳を眇めた。
もふもふ、かわいい、アルパカ頭。
きんこつ、りゅうりゅう、マッスルボディ。
「帰っていい?」
「だめだよー」
尋ねるヴィクトルに、ポクがぷるぷると首を振って。
何故かポージングでジリジリ近寄ってくるアルパカ達を二度見したヴィクトルが、肩を竦めた。
「……帰っていい?」
「だめだよー」
だめみたいです。
「……はー、よし。覚悟を決めて戦うとしようか」
ため息混じりやっとの事で敵を正視したヴィクトルの横、ナナが駆けた。
「さっきみたいにふかふか可愛い生き物なら歓迎だけれども、これは、ちょっと暑苦しすぎるんじゃないかしら!」
ひゅうるり吹く、神の風。
脚に風神の力を宿し。
半ば叫びながら空中を蹴って、ポージングをするアルパカ達を飛び越えたナナは薙刀を片手に。
ひいらり舞う赤い服裾より、引き締まった腿を魅せつけて彼らを誘い。
ぴくぴくと震えるアルパカたちの大胸筋。
あれっ、このアルパカ達追ってくるわりにはポージングばっかしてますね……。
「ぽくもねー、ぽーじんぐできるよー」
まずね、と気をつけのポーズを取るポク。
両手を広げて、手と脚を開いて――。
にっこり笑顔。
「あーがーめーよー」
歯をむき出して笑う敵。
「どうかなー? 決まったー?」
尋ねるポクに合わせて、バック・ダブル・バイセップスからフロント・ダブル・バイセップスに移行するアルパカ。
きらきら輝く瞳に、ヴィクトルはげんなりと尾を揺すって。
「つぶらな瞳でこっち見て一緒にポーズキメない? みたいな雰囲気やめてくれない?」
流石にそんなにナルシストな趣味は無い。
大きく腕を振るって、銛を投擲するヴィクトル。
ポージングをキメているだけの敵に当たらぬ事はなく、飛沫を上げてシャチを象った水がアルパカ達へと喰らいつく。
「ま、力勝負とかでもそんな負けるつもりはないけどさ。だってそれ見せ筋でしょ?」
「じゃあ、ぽくもいっくよー」
喰らいつくシャチに合わせて、ポクがぐうんとその身を縮こまらせて。
跳ねて勢いのついたボールのように、アルパカ達へと体当たり――からの。
「えーい」
星散るメガトンパンチ!
隊列の崩れたアルパカ達の背後より大きく構えた薙刀を振り抜いたナナの一撃は、アルパカたちを地面へと叩き込む。
「ええい、待ちなさいっ!」
何体か倒したとしても。
なおもケビ達を追いかけるアルパカの数は、まだまだ多く。
駆ける敵を追い、ナナも駆ける。
矢印の示すままに、駆ける駆けるオブシダンと、肩上のケビ。
「うわあ、足止めしてもらってるのに減らないもんだね」
「全く、私に何の恨みがあるというのだろうね」
オブシダンが指先でくうるりと宙をかき混ぜると、頭上に生まれる幾つもの炎矢。
火花が爆ぜて、敵群を貫く――も。
「……うわあ……、火に照らされて身体がてらてらしているね」
「想像したく無いから振り向くのは止めておこう」
「懸命な判断だね」
やめときゃよかったかな、なんて。
てらてらと光を照り返す肉体が、背へと伸びる。
振り向きもせず。気配だけで黒耀石の剣をすっと振ったオブシダンは、その腕を断ち切り。
「……いかな鋼の肉体でも、僕の刃は止められないよ」
刃を振るって、血を跳ね飛ばし。
オブシダンは更に速度をあげようと地を蹴る。
そこに断ち切られた方とは反対の腕を伸ばして、オブシダンのマントをひっつかんだアルパカ。
「えっ」
ぐん、と身体のバランスを崩す。
あれ?
「待って、あーーっ、頼むよちょっとー!」
すっ転ぶ直前に、オブシダンは仲間へとケビを投げ――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
リル・ルリ
■櫻宵(f02768
アドリブ歓迎
わぁすごい
あるぱかって、あんなムキムキだったっけ?
ケビが捕まったら砕かれてしまいそう
しっかり守らないとね、櫻
……きもい、は
失礼だとおもう
……もふもふは、少しだけ気になるけど
さ、触らないから!
やだよ!…撫でるのはあと
別に君をどうこうする為に増強してるわけじゃないと…
でも
僕の櫻が害されないように守るよ
【歌唱】にのせるのは【鼓舞】歌う「凱旋の歌」
何だかやたらやる気の櫻宵への僕からのエール
しっかり斬っておいでよ
ケビが連れていかれないように注意して守りながら戦うよ
はやく元に戻るといい
この先に何があるか
僕も楽しみなんだ
(ぽてぽて走るケビも可愛い
抱っこしてみたいというのは秘密
誘名・櫻宵
🌸リル(f10762
アドリブ等歓迎
ヤダーーー!キモーーイ!!
リィ!見ちゃいけないわ!
あたしの美意識を120%裏切ってるわあの生き物!斬りましょ!一刻も早く!
視界から消しましょ!
もふもふ?
あれに触るとかやめてよね
あれを撫でるくらいならあたしを撫でなさい!
ケビだって嫌よね?
抱きしめられた途端割れるわよ
刀に込める嫌悪の呪詛にもふもふさせる前に刈るという強い意志
何筋力増強してるのよ……か弱いあたしに見せつけてどうする気?!
衝撃波と共になぎ払い、目障りだと傷を抉る
リィに近づいたらぶん殴るわよ!
見切りで躱していくわ
ふかふかごと首を
怪力をのせて『壊華』で壊し斬り捨てる
変態怪人!
宝探しの邪魔をしないで頂戴!
「わ、ケビ、大丈夫?」
「やあ、キミ。こんな所からすまないね」
オブシダンから投げつけられたケビを受け止めたリルは、ケビを抱き寄せて。
「ねえ、櫻。あるぱかって、あんなムキムキだったっけ?」
ケビが捕まったら砕かれてしまいそうだね、とケビに声をかけてから顔を上げたリルに。
目を見開いたまま一瞬動きを止めていた櫻宵が、絹を裂くような声を上げた。
「ヤダーーーーーーーーーッッッ!!! キモーーーーーーイッッ!!!」
きゅっとリルを抱き寄せ彼を背に隠すことで、リルの視線を覆った櫻宵はふるふると首を振る。
「リィ、ダメよ。あんな物みちゃいけないわ!」
早く視界から消さなきゃ、と太刀を構える櫻宵に向かって、片足をそっと出してつま先立ちに。
大腿四頭筋のディフィニションをアピールしながらお尻を突き出して背を引き絞って、大きく腕を上げたアルパカは腹筋の絞り具合をありありと魅せつけて。アブドミナル・アンド・サイをキメる。
ケビがこちらに渡った知れば、ジリ、とポージングを変えて一歩歩み寄ってくるアルパカ。
「アーーーーッッ!! あたしの美意識を120%裏切っているもの、あの生き物!! 斬るわ、一刻も早く! 斬るわ!!」
「き、きもい、は、失礼だとおもう……、あんなにもふもふしてるし……」
思わずの言葉を櫻宵を嗜めながら、彼の背ごしにアルパカを改めて見やるリル。
「そうね、言葉が悪かっ――、えっ。もふもふ? あれに触りたいっていうの? ダメよ! ダメダメ!」
「も、もふもふは少しだけ気になるけど触らないから!」
身体を少し傾けて、両足を揃え直したアルパカはこちらにむけた足先をつま先立ちに。
ハムストリングを見せつけるように上半身を此方へと向けて、腕を捻って上腕三頭筋を魅せつけるように。
手首を背へとまわして腕を組み。上腕三頭筋を更に絞りあげながら、肘を固定して締め付けると下へと引いて。肩の筋を強調しながら広背筋へと押し上げる。
そして上腕三頭筋が最も魅力的に、キレを見せつけるようにポージング。――サイド・トライ・セップス!
「何よあなたたち、何筋力増強してるのよ! か弱いあたしにそんなモノ見せつけてどうする気?! リィ!? あれを撫でるくらいならあたしを撫でなさい!?」
「や、やだよ!」
ぼそ、と。……撫でるのはあとで、と呟いたリルの言葉は聞こえたのか、聞こえていなかったのか。
「ケビだって嫌よね!? 抱きしめられた瞬間割れるわよ!?」
「そりゃ嫌さ」
そりゃ嫌だよ。
リルの腕の中で頷いたケビが即答した。
「別に櫻をどうこうする為に筋力を増強してるわけじゃないと思うけれど……」
でも、僕の櫻が害されないように。
僕はキミを、守ろう。
響く歌声は震える硝子のように、銀細工のように。黄金の旋律は勝利を歌う。
その勝利を捧ぐは、愛しき櫻色が為に。
「――リィにもふもふさせる前に、全て刈るわ。変態怪人! 宝探しの邪魔をしないで頂戴!」
櫻宵は太刀を握りしめて、一瞬でポージングするアルパカ達へと自ら肉薄する。
思い切り密着する事で、相手の攻撃の初動を潰した彼は大きく振り上げた太刀へと嫌悪の呪詛を纏わせて、思い切り振り落とした。
単純で、だからこそ重いその一撃は、空間ごと絶ち切るほどの衝撃を伴ってアルパカの身体を壊し斬り。
「リィにそれ以上近づいたら、ぶん殴るわよ」
倒れ伏したアルパカを、櫻宵は冷たい視線で見下ろした。
もうぶん殴るどころか、叩き切られているのだけれども。
「キミの相棒はいつもあんな感じなのかい?」
腕の中のケビに尋ねられ、歌声を零しながら瞳を瞬かせたリル。
……ふ、と肩を竦めて。
桜の蕾を綻ばせるように笑ったリルは、小さく頷いた。
僕の櫻は、いつだって僕の為に一生懸命。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『怪人アルパカマッスル』
|
POW : ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ : つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
●フェェェー
ケビの鍵が先を示すままに。
アルパカ達をあしらいながら猟兵達は駆け行く。
「ケビたんのお顔くるくる変わるねー、どこに辿り着くのかなー」
ポクの言う通り。
方向をくるくると変えて、彼すら知らぬ何処かへと、一行を誘導するケビの顔のモニタ。
「……この先に何があるか、僕もちょっと楽しみなんだ」
はやく元に戻ると良いね、と腕の中のケビに声をかけるリル。
「矢印の鍵が示す先には一体何があるのかしら。とんでもない財宝? もしくは伝説の美味しいご飯とか?」
薙刀でアルパカ達の足を薙ぎながら、ナナが首を傾ぎ。
「案外なにも無かったりしてね」
「しっかし、あの生き物どこまでついてくるつもりなのかしら!」
駆けるヴィクトルより放たれた水鯱が、敵を食らう。うっとおしそうに櫻宵が袈裟斬りに叩き斬るも、次々にポージングをキメながら追い掛けてくるアルパカ達。
「……ん? ココ?」
ぴたり、と足をとめたオブシダン。
彼が覗き込んでいたケビの顔に浮かんだ白い鍵が、下を示した。
本当になにもない、ショッピングモール横の公園の広場。
ひどくのどかな風景の元、足を止める猟兵達。
「……地下、って訳じゃぁないよねえ?」
オブシダンが呟いた瞬間。彼の上に、影が落ちた。
勿論、突然夜になった訳では無い。
見上げれば、ひときわ大きな怪人が此方を見下ろしていた。
――鍛え上げられた上腕二頭筋。
鋼のようなハムストリング。
なだらかな山を幾つも描く腹筋。
ぱんぱんに張って見える胸は、おそろしくしなやかに柔らかい筋肉に仕上がっているのだろう。
――その身の丈は四メートルはあろうか。
巨大な怪人、アルパカマッスル。
あまりの光景に、櫻宵は言葉を失い。
「ボスがでてきちゃった感じかー」
はは、と乾いた笑いを漏らして、オブシダンは頬を掻いた。
そういう感じでーす。
「……わっ」
その瞬間。
リルの腕の中で、ケビがぴかぴかと光を放ち出し――。
ぴんと立った鍵の下に、プログレスバーが現れた。
まるで、何かを読み込んでいるかのように。
何かをダウンロードしているかのように。
『0%』から、ひどくゆっくりとそのバーはパーセンテージを増やし初め。
「なあにー、それー」
「分からぬが、……この場所で待ったほうが良い気がするのだ」
パクの問いかけに、ぴょんと地に降り立ったケビは短く答えた。
「申し訳ないが皆、もう少しだけ私を守って頂けるかな?」
「勿論よ、おねえさんがぜーんぶやっつけておいてあげる!」
ケビの問いかけに、問うまでもない、とナナは笑った。
振り返って対峙するは巨大なアルパカ怪人と、取り巻きの小さなアルパカ達。
「さあ、やっつけよう!」
その声かけは、再び戦端を開く声。
猟兵達は、敵達と向かい合い――。
コノハ・ライゼ
えぇ……全然もふっとしてないしかわいくない
最初のと違ってやり易そうなンはイイけど、出来れば直視したくねぇタイプよね
あんなんに迫られたらケビだって泣いちゃうデショ?
つう訳だから、と敵とケビの間に立って
【彩雨】展開し敵の進路阻むよう広く降らせるネ
そこから『高速詠唱』での『2回攻撃』で
デカいヤツか一番間近に迫った敵へ氷の雨を集中的に降らすヨ
暑苦しいンだからちょいと頭冷やしなさいな
ビーム攻撃には彩雨を氷の壁となるよう降り積もらせ軌道逸らし
ケビに届かないようにしようか
どんなに硬かろうがこれまでについた傷はある筈
デカいのに攻撃する時は『傷口をえぐる』よう針を撃ち込むネ
さあてケビは無事?
※アドリブ歓迎
ヴィクトル・サリヴァン
数でダメなら質ってことかなーわーい。
…現実逃避は駄目だよね、うん。
ここで何かがあるなら、お願いされた以上は頑張って守るよ。
…あったかい、暑苦しいと来てるから熱い事になりそうだけど。
可能なら他猟兵と連携。
基本は距離取りつつ妨害重視で立ち回る。
瞳からビーム出が速そうなので仲間の攻撃とかで隙を見せたタイミングで一気にUCで氷と津波合成して氷の津波で動きを縛ろう。
ポージングに自信あるみたいだし石像ならぬ氷像になってくれないかな。砕かれる前提で!
隙見せるまでは銛で速度重視で狙い澄まし投擲、追撃とか攻撃の妨害を。
ダウンロード?完了までは新手には常に警戒しておこう。まだ来るかもだし。
※アドリブ絡み等お任せ
紫雲色に落ちる影。
ふかふか、もふもふ、むちむち。
「えぇ……、全然もふっとしてないしかわいくない……」
光り輝くケビを背に。
移ろい色の鉱石の刃を構えたコノハは、眉を寄せてアルパカマッスルを見上げた。
ダブルバイセップス・フロントから、ぐぐっと腕を下げてラットスプレッド・フロントになるアルパカ。
別にそういうの求めてないから。
「最初のと違ってやり易そうなンはイイけど、……出来れば直視したくねぇタイプよね」
「数でダメなら質ってことかなー。ワーイ」
勿論数も健在ではあるが、やけくそ気味に遠い場所を見つめて呟くヴィクトル。
「質って筋肉って事かしら?」
「……深く考えたくないけれど、現実逃避も駄目だよねぇ」
じりじりとポージングをしながら近づくアルパカを睨めつけたまま、軽口を叩くコノハに、ヴィクトルはウン、と小さく首を揺すり。
「まあ、ここで何かがあるなら、お願いされた以上は頑張って守ろうか」
「ハイハイ、あんなんに迫られたらケビだって泣いちゃうからネ」
「あったかい、暑苦しいと来てるから――熱い事になりそうだけれどね」
瞬間。
フェェエ、と巨大なアルパカ頭が嘶いた。
その巨体から想像がつかぬほど機敏な動きで一気に跳ねた巨大アルパカマッスルの周りで、小さなアルパカマッスルブラザーズ達が一斉にポージングをする。
「ヒャッ、早いじゃないの」
飛び込んできた巨大アルパカマッスルに向かって飛び跳ねたコノハは、その肩に手を付いて馬跳びの要領で飛び超え。
「瞳、何か来るよ!」
力の流れが瞳に集まる感覚を『勘』で感じたヴィクトルが吠える。
彼の握りしめた銛に宿る冷気。
思い切り上半身を引き絞り、投擲体勢を取り――。
「瞳ィ?」
言われてしまったならば、仕方が無い。
飛び跳ねた背を蹴り上げて、アルパカの頭の上へとコノハは飛び移る。
氷の力を纏う指先で、空気をかき混ぜるように敵を指差す。
「ポージングに自信あるみたいだし石像ならぬ氷像になってくれないかな、――砕かれる前提で!」
「――煌めくアメを、ドウゾ」
暑苦しいのだから、少しばかり頭を冷やせ、という気持ちは二人共同じなのであろう。
凍る空気、冷える風。
ヴィクトルが半円を描いて投げ込んだ銛が、アルパカの眉間を狙って氷の津波を呼び。
風を飲み込み、氷がうねる。
太陽の光を飲み込む細針。
それは幾つも幾つも、降り注ぎ。
コノハの指示通りに、きらら光宿す水晶針は、鋭い鋭い氷の虹雨を降らす。
二人の狙いは一つ、アルパカの瞳への違和感だ。
「キュキュッ!!」
警戒の鳴き声と共に。攻撃を厭うように身を捩り、腕を凪いだアルパカ。
「キューーーッ!?」
そのつぶらで可愛い瞳から放たれそうになったビームは、身体が捩られた事によって有らぬ場所へと狙いを定められ、仲間であるアルパカブラザーズを焼く。
「ちょっ、ちょっ、危ないじゃないの!」
危うく氷の津波の直撃を受けそうになり。あわててアルパカの後頭部に身体を隠したコノハが、跳ね跳んで頭部より離脱しながらヴィクトルに苦言を漏らし。
「あ、ごめん」
手元に銛を引き寄せながら、いつもの調子でヴィクトルは謝るのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
誘名・櫻宵
🌸リル(f10762
アドリブ等歓迎
アルパカって結構好きだった
円な瞳にふわふわボディ
癒し系夢かわ乙女にはぴったりだって
一時期
あたしってアルパカみたいに愛らしいでしょ?って
でも
それってあたしが
アレっぽい
みたいな?
イヤ!ヤメテ!
許さないわ!あたしの夢を穢すなんて!
リィの可愛さに心も瞳も癒される
あたしの可愛い人魚
慰めてくれるのね
大丈夫
1秒でもはやくあなたの前からアレを消すわ
汚物は消毒よ
刀に宿らせる怒気と呪詛
怪力込めて思い切り放つ衝撃波で毟り抉ってなぎ払う
穢れた眼であたしのリィを見るな!
踏み込み力一杯放つ絶華
その首落してやるわ!
リィにぴっとりくっつき美を補充しつつ
ケビの様子を見る
一体何が始まるのかしら
リル・ルリ
■櫻宵(f02768
アドリブ歓迎
もう少しで
ケビも元に戻るはず
だから頑張ろ
(抱っこできて嬉しくて
ケビを撫でる
これはまた……可愛く、ない
櫻宵、大丈夫?気をたしかにもってくれ
ケビを守りながら
わなわなしている櫻を見やる
嗚呼、櫻
可哀想に(なでなで
大丈夫、櫻とあの筋肉あるぱかは違うよ
僕の櫻は綺麗だよ?
精一杯の鼓舞とケアで奮い立ってくれるといい
筋肉自慢はわかるけど
これ以上は櫻宵が怒るから
動き、止めさせてもらうね
【歌唱】活かして思い切り歌う「魅惑の歌」
大きいのも小さいのもまとめて魅惑して
ほら。櫻宵の番だ
思い切り、斬っておいで
おや
意外と円な瞳を――
ケビお顔治った?
一体何が始まるのだろう
櫻宵を慰めながらも見守ろう
在らぬ所にビームが着弾したとは言え、リルは光るケビを拾い上げて抱き寄せ退避準備。
尾鰭で空を蹴り上げると空を泳ぎ、距離を取る。
「もう少しで元に戻るはずだから、頑張ろ、ケビ」
「ああ、きっとそうに違いない。ありがとう、ルリ殿」
ケビがこっくりと頷き。
「あたし、……あたしね」
枝垂れ桜の翼が花揺れ。血桜の太刀を項垂れさせた櫻宵は、小さく背を震わせる。
「アルパカって、結構好きだったのよ」
円な瞳にふわふわボディ。癒し系夢かわ乙女にはぴったりだって。
あたしって、アルパカみたいに愛らしいでしょ? なんて、一時期嘯いてみたりなんかしちゃって。
「――でも、それって、……あたしがアレっぽい、……みたいな?」
「櫻、大丈夫? 気をたしかに……」
リルの言葉にも、ゆうるりゆるり。左右に振られる首。
睨めつける桃色の瞳に奥に揺れる憎悪に似た色。
NO! イヤ! ヤメテ!
「許さないわ!あたしの夢を穢すなんて!」
全身之刃也。
太刀を下段に構え反動をつけて地を蹴り、跳躍した櫻宵の身体は鋭利な刃のように。
「嗚呼、櫻……、可哀想に……。大丈夫、櫻とあの筋肉あるぱかは違うよ」
僕の櫻は綺麗だから、と精一杯彼を鼓舞するリル。
「ああ! あたしの可愛い人魚! 慰めてくれるのね!」
巨大なアルパカの視覚に回り込んだ櫻宵は、その言葉にだいぶ食い気味で吠えた。
「大丈夫、1秒でもはやくあなたの前からアレを消すわ!」
櫻宵の声音に混じる呪詛の音色。
リルがケビの頭を柔く撫でると、ケビはされるがまま。櫻宵がそう言うのならば、リルのできることは一つだ。
「筋肉自慢はわかるけど、これ以上は櫻が怒るから」
動きを、止めさせて貰おう。
高らかに響く、黄金の旋律。
とろけるほど、魂を引きつけるほど。
甘く、高く。
聴いて、聴いて、聴いて。
離して、あげないから。
ポージングを決める小さなアルパカ達に、瞳をらんと輝かせる巨大なアルパカ。
アルパカ達が耳を揺らして、リルを見やり――。
ほら、櫻宵の番だよ。
思い切り、斬っておいで。
ぞ、と櫻宵の背を貫く悪寒。
「ッッッ!! あなた、その穢れた眼で、あたしのリィを――」
巨大なアルパカが見つめる先。
魅入られたようにリルを眺めるつぶらな瞳より、ビームが放たれ。
「見るなッッッ
!!!!」
その首、落としてやるわ! 逆袈裟斬りに、喉へと叩き込む太刀!
ガードを上げる代わりにポージングを取り直したアルパカの首が捻られ、太刀が顎骨に食い込み。ぐうらり、揺れるアルパカの身体。
しかし、放たれたビームは止まる事無く駆ける。
「……ッッ!」
そのまま太刀を一度手放してアルパカの胸を蹴って勢いを付け、リルへと向ったビームをその身で庇い受ける櫻宵。
「櫻!」
身体を貫く衝撃、痛みと衝撃に足をぎゅっと踏ん張り奥歯を噛む。
「……大丈夫よ、リィ」
それでも愛しい人魚の声にひゅ、と吐息を零して。
「ちゃんと、汚物は消毒するわ」
手放したことで、落ちてきた太刀を空中で受け止め。
低く低く太刀を構え直した櫻宵は、リルを安心させるかのように笑みを深めた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雅楽代・真珠
危ないと聞いて来てみたけれど
元気そうだね?
来た以上働くけど
それにしても或れは可愛くない
ふわふわの毛が生えているところは可愛いかもしれないけど
硬そうなのはいただけないね
僕は後方に居よう
敵は硬そうだし力も強そうだから
怪我をする子が出るかも知れない
ケビも狙われて痛い想いをするかもしれないからね
『ケビを守る』って気持ちで癒やしの歌を歌おう
エンパイアの童歌、お前は知っている?
ひめねえさまの為以外に滅多に歌わないんだから感謝して
攻撃を避けるのは使用人人形に任せるよ
皆が頑張りすぎて暇だったら攻撃もしておくね
僕の本体を複製するカミヤドリ
飛ばし、フェイントを入れて攻撃させよう
てれびは叩くと治ると聞くけど、本当?
オブシダン・ソード
ひゅー。仕上がってるね、キレが違うよ
……ねぇやっぱ話が違うよケビ、どうなってんの?
まぁ、まぁ。僕は君の所の備品だからね、せっせと働いてあげようじゃないの
大丈夫、君の筋肉だってあいつには負けてないよ
とか仲間を鼓舞しながら戦うね
こちらも炎の魔法と斬撃を組み合わせて、敵の身体を削っていこう
キレの良さでは僕の刀身だって負けちゃいない。筋肉の量ではちょっとだけ劣るかもしれないけどね、うん。ちょっとだけ
…は? 鋼の肉体?
刃が、通らない?
そんな、この僕が…筋肉に、負ける…?
うおおそんなのは許されない!
ウィザード・ミサイルを目くらましに、隙を突いて斬り裂く!
こ、今度こそ…!
ケビが無事なら声を掛けて
さ、帰ろうよ
狼谷・賢太郎
ちょーっとばかし出遅れちったけど、アルパカ達を遮る感じでどかーっと乱入!
ヒーローは遅れてなんとやらだ!
ケビ助けに来たぜー!
――って、うわ、むさっ
なんかすげーのに襲われてんのな……
えーと、あいつらをなんとかすればいいんだよな?
杖になってるヴァナルガンド以外の三体の精霊を飛ばして、取り巻きを【おびき寄せ】てみっかな
精霊達の【属性攻撃】で気を引いて、一塊にまとめるんだ
上手くいったらみんなを融合させて、因果律の鎖で縛り上げ……これ、絵面やべーな
ま、いいや
後は【全力の魔法】で一気に燃やしてやる!
オレは消耗してるだろーし、でっけーのと討ち漏らしはみんなに任せた!
あ、援護くらいはできるぜ
鎖で足を掬ってやる!
セツナ・クラルス
随分遅くなってしまったね
救助の手は足りているかな
…?
私の知っているアルパカとは随分違うような気がするが
ふむ、ボス以外も似たような外見だったと
新種か突然変異か或いは…
ふふふ、興味は尽きないねえ
アルパカといえばふかふかの毛皮
少しだけ刈り取らせてくれないかい
ほら、ここにちょうど良く鎌があるんだ
でも今のままじゃ届かないよ
ねえ、少ししゃがんでくれないかい
…痛!?
無防備にボスにせがむ様子に背後からゼロの容赦ないツッコミ
だって新種を発見したらあれこれ確認したくなるのが常じゃないか
…わ、分かった、任務を果たそう
ゼロに狩られそうになってきたので慌てて戦闘態勢
氷の属性で足を狙い動きを鈍らせよう
ぴかぴか輝くケビ。
「ちょーっとばかし出遅れちったけど、ヒーローは遅れてなんとやらだ!」
転がらんばかりの勢いでその横へと駆け込んできた狼谷・賢太郎(イマチュアエレメントマスター・f09066)が、アルパカからケビを遮るように杖を構える。
「ケビ、助けに来……――ってうっわ、むっさっ!?」
「……危ないと聞いて来てみたけれど、元気そうだね?」
人形に抱きかかえられた雅楽代・真珠(水中花・f12752)が、ゆっくりと首を傾げ。
「なんかすげーのに襲われてんのな……」
うわあ、って顔をする賢太郎。
ウムウム、と頷くケビ。
ウムウム、と頷くしかできないケビ。
「……確かに、或れは可愛くないね」
「いやぁ、仕上がってるね。そこまで絞るには眠れない夜もあったでしょ、キレが違うよ」
使用人人形に抱き上げられた侭。
顎に指を当ててふぅん、と喉を鳴らす真珠の横で。オブシダンが雑な掛け声をアルパカに投げかける。
櫻宵に殴りかかられながらも口端を歪めたアルパカは、ダブルバイセップス・バックをキメ。
広背筋のキレで全てを物語る。
うーん、これは、これは。これは?
「……ねぇやっぱ話が違うよケビ、どうなってんの? かわいい動物って聞いて来たのだけれど」
「ん、ふわふわの毛が生えているところは可愛いかもしれないけど……、どうにも硬そうでいただけない」
オブシダンの訝しげな視線と、可愛い所探しをしてくれていた真珠。
可愛い所探しは難航している。
「……えーと、とにかく! あいつらをなんとかすればいいんだよな!」
可愛い所探しをしないエライ狼。
首飾りより呼び出された大地と水と風の精霊が、賢太郎の周りをぐうるり漂い。
火の杖をぎゅうと握りしめた賢太郎は、皆の顔を伺う。
「そうだね、まずはどうにかしよう。折角来たしね」
「――ま、僕は備品だからね、せっせと働いてあげようじゃないの」
小さく頷き合う、オブシダンと真珠。
「ああ、皆、恩に着るよ」
じわじわ進むプログレスバー。
光を放ち続けるケビは、無い髭に触れるようにモニタに触れてから頭を下げ――。
「おや、随分遅くなってしまったようだね。……救助の手は足りているかな?」
のんびりと歩いてきたセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)がいつもの調子でゆるーく手を上げた。
見上げるアルパカ。
ふかふか、もふもふ、むちむち。
「……? 私の知っているアルパカとは随分違うような気がするが……、アルパカといえばふかふかの毛皮。ここに鎌もあるからね、少しだけ刈り取ら、痛ッ
!?!?」
「さっさと敵に備えろっつーの」
足を擡げ、上げ伸ばしの反動だけでセツナの背を蹴り上げた、彼と同じ背丈、同じ髪色の男――ヤクザキックを綺麗に決めた、彼の別人格ゼロの容赦ないツッコミ。
「だって新種を発見したらあれこれ確認したくなるのが常……」
「あ?」
「わ、分かった……、任務を果たそう」
「分かったら良いんだよ、分かったら。――っつー訳で、オレ達も合わせられるぜ」
杖を構えたゼロ、鎌を持ったまま別人格に狩られそうな顔をしてるセツナ。
「ひゅー。さすがー、君たちの筋肉も仕上がってるね」
それを合図にオブシダンは小さく身体を傾けて、筋肉アルパカ達の間へと駆け込み。
「アンタは応援が得意そうな割りには褒めるのが下手くそだなぁ……」
それを追い駆けたゼロが、冷ややかに瞳を細めて呟いた。
「なかなかに厳しい評価だねぇ」
フードの裾を揺らすオブシダン、その奥に潜む瞳には魔力の火が揺れる。
合わせて杖と鎌に宿る、底冷えするような冷たい魔力。
「ゼロの評価は辛いからねえ」
「オマエの行動が辛い評価をせざる得なくするからなァ……」
燃える魔力が揺らめき。
一瞬で生み出された百幾本もの炎の矢が、一斉にアルパカ達へと降り注ぐ。
次いでゼロとセツナの武器が重なり、氷の魔力がアルパカ達の足を狙って炸裂した。
「上は大火事、下は冷害って所かな」
人形に抱かれたまま。冷ややかに笑った真珠は、ケビをちらりと見下ろして。
「――ねえ、お前、エンパイアの童歌は知っている?」
「ふむ?」
首を傾ぐケビに、真珠は口元を覆った侭瞳を眇める。
「知らないなら、大切に聴くと良い。――ひめねえさまの為以外には滅多に歌わないのだから」
一等好きな人の為以外にも、歌ってあげるのだから。
感謝して、と。びいどろ金魚は口を開く。
てんてんてまりに、わらべうた。
白桃髪と、真珠色の尾を旋律に揺らして。
インナーマッスルを軋ませて駆け込んでくるアルパカを避ける人形のステップに合わせて、くうるくる。
てんてん、てんてん、跳ねる、跳ねる、わらべうた。
その歌に籠もる思いは、テレビウムを護る心。
今日ここに集まった猟兵達が、皆持ち合わせているであろう優しい癒やしの加護。
身体の癒える感覚に、オブシダンは口元だけでにいと笑って。
「キレの良さでは、僕の刀身だって負けちゃいないよ」
そりゃあ、筋力ではすこーし、少しばかり劣るかもしれないけれど。
少しだけね。
うん、ほんのちょっとだけ。
炎の矢を直撃させ、その衝撃に後退したアルパカの腕を……腕を。
「……?
……??? は?」
刃が――通らない。
「そんな……、この僕の刃が……筋肉に、負ける……?」
剣として。
ただ一振りの剣として、それはありえてはいけない事だ。
「いーや、オブシダン! お前は備品としてまだやれるはずだ!」
精霊を駆けさせて。小さなアルパカ達を纏めていた賢太郎が備品たる彼を励ますように、その赤い瞳に信頼をこめて叫んだ。
「行くぞ、オブシダン!」
「えっ、わ、分かった!?」
分かったらしい。
取り巻き達をすっかり一塊に追いやったシープドックならぬアルパカウルフの賢太郎の精霊が、魔力を火花のように爆ぜ揺らして。
彼の手元へと魔力を膨れさせて集まり来る。
――太陽は暗く。
握られた杖には、火を。
――地は海に沈み。
地の大蛇が。
水の馬が。
――輝く星々は消えていく。
風の鷲木菟が。
――炎は燃ゆる。
いずれ、天そのものを焼き尽くすまで。
精霊達は融けるように大狼の気配を宿す杖へと、力を灯し。
「とっておきだ、――いくぜ!」
神殺しの炎は、過去より湧き出た歪みを飲み込み――、因果律の鎖は、じゃあらりと取り巻きのアルパカ達を繋ぎ止める。
「今だ、オブシダン!」
「おや、私も」「オレも」
杖と鎌を低く構え、駆け込んでくる黒い法衣の二人組。
『いる』「よ!」「ぜ!」
セツナが鎌を振り切ると、ゼロがアルパカ達の足元へと氷の魔力を叩き込み。
「今度こそ――ッ!」
大きく跳ね跳んだオブシダンは、太陽を背に。
幾つもの炎の矢を纏う姿は、逆光に照らされて眩く見える。
「叩き斬るッッ!」
鎖に纏められて尚ポージングを取る取り巻きのアルパカ達を、纏めて真っ二つに叩き斬った!
ざらり、と砂の様に溶け消えるアルパカ達の中。
なんとか剣としてのプライドを保ったオブシダンはとても格好良いポーズを取っていた。
「オブシダン、いえーい」
力を使い果たしてフラフラの賢太郎が片腕を上げ。
「……ん、いえーい」
肩を竦めて笑ったオブシダンは、賢太郎と拳をこつんと交わす
「所でケビ。てれびは叩くと治ると聞くけど、本当?」
「……多分、多分なのだけれども。故障じゃないとは思うのさ、多分」
「そんなに光っているのに?」
「どうして光っているのだろうねえ……」
いつの間にか真珠に拾い上げられていたケビは、使用人人形に抱えられたまま。
ぴかぴか光りながら、困った声を出していた。
進む、進む。彼の顔のプログレスバー。
大成功
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黒瀬・ナナ
かわいいどうぶつとのおにごっこは、最初だけだった気がするのはさておいて。
もしやあなたがケビさんのお顔に鍵を掛けた犯人?一体どうしてこんな事を?
……尋ねても答えてくれないのなら、その筋肉に直接聞くまで!
おねえさん、本気出しちゃうわよ!
「拠点防御」の技術を生かして、ケビさんをいつでも「かばう」位置取りを心掛け。
周りの皆とも、出来る限り協力を取り合うわね。
「聞き耳」と「第六感」で相手の行動を「見切り」、上手いこと捌きつつ「時間稼ぎ」してる間に。
自慢の「怪力」で振り回して力を溜めておいた薙刀で、分厚い筋肉の鎧を貫く!
……だ、だめだったら、誰かフォローお願いっ
※他PC様との絡み、アドリブ等大歓迎です。
ポク・ョゥョゥ
ケビたんなうろーでぃんぐ?
アルパカたんおっきぃのー
かわ…いい…?あるぱかは可愛いー
ぽく覚えたのー
見上げるの大変だけどあがめよー
ぽくはぱんだだよー
ぽーじんぐする?する?いいよー
あーがーめー略ー
んー。首が痛いのー
ぱくー、おっきくなってー
おっきぃぱくに乗ったら近づくかなー
後硬くて動かないアルパカたんはつんつんするのー
よーしぱくと勝負だー
ぱくだってつぶらな瞳なんだよー
ぽくもー…?あー、ビーム来るよー
ぱくーキラキラドラゴンブレスで対抗だー
がんばぇー。ふえ吹いて応援するよー
時々のびーるお腕でぽくぱんちの援護だー
とどめはじゃんぴーんぐ、ぽくきーっく
終わったらわくてかしながらケビたん見守ろー
何が起きるのかなー
「わー、アルパカたんおっきぃのー」
ポクがぴょーんと跳ねて、手をフリフリ。
「あるぱかは可愛いー……んー、だよねー?」
ぽく覚えたのー、ところころする横。
「かわいいどうぶつとのおにごっこは、最初だけだった気がするのはさておいて」
さておいたナナは、最後に残った一体。
――巨大な怪人アルパカマッスルに向かって薙刀を突きつける。
「あなたがケビさんの……テレビウムたちのお顔に鍵を掛けた犯人? 一体どうしてこんな事を?」
答えは、鋼のような筋肉を軋ませてのサイドチェスト。
胸筋の張り、上腕三頭筋の見事な彫りを浮き彫りにするポーズだ。
「――尋ねても答えてくれないのなら、その筋肉に直接聞くまで! おねえさん、本気出しちゃうわよ!」
「ぽくはぱんだだよー。ぽーじんぐー」
あーがーめーよー。
両手をぴし、と上げて。
対抗するかのようにアルパカを見上げて『あがめよ』ポージングするポク。
見上げるのは大変だし、首が痛いけれど。
スライドするように横立ちになり、サイドトライセップスで答えるアルパカ。
「あ、ビーム来るよー」
「えっ!?」
つぶらな瞳がらんと輝く瞬間を、見たポクが言うが早いか。
「わっ、わっ!」
ビームの合間を掻い潜り、ナナはバックステップで散る火花を避け跳ねる。
「んー、ぱくー、おっきくなってー」
ポクの声掛けに、二メートルほどの真っ白な竜が頭を擡げてポクを頭の上に乗せると……。
「あーがーめーよー」
ポクは、あがめよのポーズだ!
「いくよー、ぱくー、キラキラドラゴンブレスだー」
ぷっぷこぺー。
ドーナツみたいな笛から間抜けな音を漏らし、ポクはパクをその音色で鼓舞するかのよう。
「おねえさんだって、やられてばっかりじゃ無いわよ!」
パクの尾っぽに乗せて貰えば白竜が尾を振る勢いに乗せて。カタパルトで射出されるかのようにナナは跳ねる。
そして。
中空で尾を蹴り上げる事で姿勢を制御し。
腕を思い切り掲げる事で限界まで引き絞った薙刀を、――アルパカの頭蓋に叩き込んだ!
重ねて。
そのナナの薙刀を叩き込む勢いに合わせて、ポクもパクの頭にボール遊びをするアシカのように跳ね飛ばして貰い。
「ぽく、ぱーんち!」
勢いよく叩き込まれたポクは旋転しながら腕を振りかぶり。
遠心力に載せたきらきら星の散るパンチを叩き込む!
勢いよく跳ね跳んだ後。
背へと齧りついてその身が落ちきらぬように食い止めていたナナは、片手をアルパカの肩について弾み。
曲芸めいた動きで空中で薙刀を両手に握り直す。
ちょろちょろ跳ね回るナナを掴もうと、腕を振るうアルパカ。
その動きは最初に比べると、ずいぶんと機敏さが失われたように見える。
「そろそろあなたも、皆の攻撃で満身創痍でしょう?」
「んんー、そろそろ、とどめー?」
「そうよ、おねえさんに合わせてね」
「まかせてー、ぱくー」
大切なお友達の声に小さな鳴き声を響かせて応えた白竜が、落ちてきたポクを尾で再び叩き上げ。
「じゃんぴーんぐ、ぽくきーっく」
「いい加減、――倒れなさいっ!」
上空から落ちてくるナナは、重力と体重を全て薙刀に込めて。
下よりカッ飛んでくるポクは、その身体をパチンコ玉のように弾ませる。
脳天を貫く薙刀に、ポクの蹴りが打ち込まれ――。
「フェ、エエエ……」
小さな嘶き。
空気を送り込まれた砂のように。
傷口から風が膨れ風に攫われた砂山のように、巨大なアルパカは過去へと溶け消え行く。
「ふう、なんとか……かわ……かわいい……か、は微妙だったけれど動物達はどうにかなったわね」
「あーがーめーよー」
額を拭うナナの横で、パクはいつものポーズをピシッと決め。
「なんとかなったねえ」
こっくりと頷いたヴィクトルが、尾を揺らした。
はた、とポクが首を傾ぐ。
「……あれ、ケビたんー、ろーでぃんぐおわったー?」
「……うん?」
ナナが言われるがままにケビを見やる。
ちか、ちか。
いつのまにか彼を包む光が収まりだしていた。
そして、一瞬の暗転の後。突如切り替わるケビの顔。
それは何時もの顔。
何時もの髭に、何時もの瞳。
リルがおや、と首を傾ぎ。
「……あれ、ケビ、お顔収まった?」
「……一体何が始まるのかしら?」
ピッタリとリルにくっついて、美を補給する櫻宵も瞳をパチクリ。
その瞬間。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
どこからともなく、響き出す『言葉』。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
その声は、警告音のように、告知音のように、朗々と響く。
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
猟兵達が周りを見渡すも、声の主は見当たらず。
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
それだけ言い終えると、ぱつん、とその声は途切れてしまった。
「……今のは、何だい?」
「オレが知る訳もないけど。……テレビウム・ロックってのはさっきの鍵の絵の事か?」
首を傾ぐセツナに、ゼロが眉を寄せて言葉を重ねて。
コノハがケビを持ち上げると、その顔を覗き込んだ。
「さぁて、さて。よくわからない声も聞こえたケド……、ケビは無事かな?」
尋ねられたケビの顔には、鍵の跡形も無く。
「うむ、……うむ。特に身体の異常もなさそうだね」
試しに顔を切り替えてみれば、ちゃあんと眼を閉じることだってできる。
「そっかそっか、なら安心ね」
ふらふら、へら、と首を傾いだコノハは、くうるりケビと一度回ってから彼を降ろし。
ケビが無事だと把握した真珠は口元を袖で隠すと、悪戯げに瞳を細めて笑った。
「おや、叩かれて治ったの?」
「テレビウムはテレビに似ていてもテレビじゃないのさ、よく勘違いされるけれどね」
軽口には軽口を。
その証拠に電波だって受信ができないものでね、と肩を竦めるケビ。
そんなケビの顔を見て、燕尾服を軽く擡げてみて検品作業。
よし、と獣の耳を元気に立てた賢太郎。
「でも、まー! 色々あったけど、ケビが無事でよかったよな!」
「うん、うん。それが一番何よりだよ。――さ、ケビ」
ひょい、とオブシダンはまた、いつかのようにケビを肩に乗せて。
「帰ろうか」
小さく首を傾いだ。
結局、なぜテレビウムが追い掛けられていたのか。
あの声は何なのか。
今は解らない事ばかりだが、この場は少なくとも解決された様であった。
あの声が、何かの事件に繋がっているとしても。
猟兵達が一緒ならば、きっと。
オブシダンの肩の上で器用に立ち上がったケビは、猟兵達を見渡す。
小さなハットを胸元に降ろし、深々と彼はお辞儀を一つ。
「皆、今日は本当に世話になったね。……本当に、ありがとう」
こうやって、猟兵達はいつだって困難を乗り越えて行くのであろう。
白い鍵なんてひとつも浮かんでいないモニタで、ケビは四角い瞳を二度瞬きさせた。
大成功
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