●花の国
その場所は賑やかに遊ぶ人々の笑顔にあふれていた。
賑やかに笑い声を上げながら子供達が園内の広場へ駆けて行く。次はどんな乗り物に乗ろうか、それとも記念のお土産を探そうか、はたまたそこらに溢れるショーやパレードに繰り出そうか。
人々は手に手に七色の花を携えて、その場所で笑う小さな案内人に微笑みかける。
──ここは笑顔溢れる花の国。七人の妖精があなたと素敵な思い出を紡ぎます。
●春告げの七房
UDCアース。その場所では人々が平和に暮らす中に脅かす影が潜む世界だという。
その影の部分が今回の舞台となる遊園地『花の国・セブンス』に現れる。そう告げたプルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)は改めて猟兵達を望むと口を開いた。
「UDCアースにある『花の国・セブンス』という遊園地で、奇怪な事が起こるようです」
奇怪な事──早急に対応するものではないせいか詳細は不明だという。だが遊園地の施設のひとつで起こるという事はわかっており、現地に赴いて確認する必要があった。
UDCの特質として怪異に誘われるのは『その場で日常を満喫している者達』という事が分かっている以上、調査は猟兵が行う事になる。
「それはそれとして……ぜひ思いっきり楽しんで来て下さい。せっかくですもの」
他の民間人よりも遊園地を満喫し、UDCに連なる『怪異』を猟兵達自身に引き寄せる。だったらとことん楽しんだもん勝ちだ。悪戯っ子の微笑みを浮かべたプルミエールは、改めて遊園地には主に人気の施設が三つあるのだと告げた。
ひとつ目は絶叫マシーン・フラワーフリーホール、二つ目は園のテーマに合わせたスイーツ店が並ぶスイーツランド、そして三つ目は迷路式のホラーハウス、いわゆるお化け屋敷だ。
「どの施設も思いっきり楽しんでもらえればきっと糸口は見つかると思います。だってキラキラしたものは強い光を持っていますから」
それは春日の様に眩しいもの。その奥にある物を探す為にプルミエールは猟犬達を始まりの場所へと促した。
深水つぐら
初めまして、深水つぐらです。
第六猟兵での初シナリオとなります。のんびり執筆していきたいと思います。お好みに合いましたらどうぞよろしくお願いします。
●傾向
傾向は楽しい、冒険、カッコいいでしょうか。
戦闘はシリアスやカッコよくいきたい所です。
プレイングで変化しますのでご了承ください。
●流れ
一章【日常】
舞台は七人の妖精が宿るお花をテーマにした遊園地です。
施設は花のフリーフォール、スイーツショップ、ホラーハウス、などです。日常を思いっきり満喫して下さい。
二章【冒険】
とある施設の中で唐突に違和感のある出来事が発生します。その謎に挑戦して下さい。
三章【集団戦】
事件の奥底に潜んでいた
「???」が登場します。それを撃破して下さい。
●同行者
同行者がいらっしゃる場合は迷子防止の為に、相手の『お名前とID』又は『グループ名』をお忘れなく。
より詳細はオープニングにて確認をお願い致します。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
第1章 日常
『遊園地へ行こう!』
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POW : 王道の絶叫マシーンに挑戦!
SPD : ついつい買っちゃうショップ巡り
WIZ : パレードやショーを見に行く
👑5
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──ここは笑顔溢れる花の国。七人の妖精があなたと素敵な思い出を紡ぎます。
流れる音楽に耳を澄ませば何やら聞こえるのは不思議な旋律だ。オルゴールの奏でるその旋律は妖精達の囁きを表しているのだろう、時折、耳を洗う様なギターの靡きに胸の奥がほっこりと暖かくなる。
「さあ、いらっしゃい! 七人の妖精はあちらに、こちらに、あなたのそばに!」
「どうぞ、どうぞ、こちらのお花を手にしてくださいね!」
花の精に扮した遊園地の係員達が微笑みかけながら促すと、人々は楽し気に園内へと進んでいった。
その陰に何が見えるかはわからない。
さあ、どこへ向おうか──。
隣・人
【POW】
「遊園地ですよ遊園地。隣人ちゃんは遊園地が大好きなのでチューリップ型のぐるぐる回る遊具を選択します。ほら。中央のハンドルで速度調整出来るやつです。全力でぶん回しますよ!!!」
高速で回転するコーヒーカップはある種の絶叫マシン
「では。はい。隣人ちゃんは気分が悪くなって女としての大切なものを失くすまで乗り続けますよ。宜しくお願い致します。あー。これは酔っちゃいますね!!!」
アドリブ他大歓迎
誘名・櫻宵
🌸リル(f10762
アドリブ等歓迎
ここが遊園地!
花の国なんて綺麗でいいわね
あたしも遊園地は初めてなのよ
リィと同じ
楽しみね
はしゃぐリィが可愛くて愛しくて
手を引かれるまま遊園地を歩む
リィ
まずは何から乗りましょ
あら、満開の笑顔咲かせるリィのが遊園地に良く似合うわ?
えっ?!あのすごく速いのに?!
だ、大丈夫かしら……速すぎて首、とれたりしない?
怖々しながら座りそして
放心状態
速いとか景色とかそういう問題じゃないわ
腰が抜けたわ
心臓が口からでてきそう
しばしリィの膝枕でお休み
役得ね
悪くないどころか最高だわ
次はホラーハウス?!
やだわ怖いわ!
……でもあなたの笑顔がみれるなら何処へでも
ええ!めいっぱい楽しみましょ!
リル・ルリ
■櫻宵(f02768
アドリブ歓迎
さよ、櫻宵!ゆうえんち、だ
僕、ゆうえんち初めて
逸る気持ちを抑えきれずに尾鰭がパタパタ揺れて、櫻宵の手を握り先を急ぐ
何から乗ろう?何で遊ぼう?
大好きな君と!
花の国に桜の君は良く似合う
僕あれがいい!
ふらわーふりーほーる!
行くよ!大丈夫
僕が一緒だから
それにそんな簡単に首、とれないよっ
震えてる櫻宵に笑顔を向け
わくわくしながら座席に座る
動き出せば――今まで経験したことないスピードに、回転する世界に、悲鳴が!
嗚呼、ドキドキしたね
楽しかったぁ!
さよ?平気?
放心状態の櫻宵が、可愛くて撫でてみる
休める所で膝枕してやるよ
少し休んだら、次はほらーはうすに行くよ
今日は、たくさん遊ぶんだ
朝沼・狭霧
ベイメリア(f01781)と
【POW】絶叫マシーンに挑戦
遊園地とかひさしぶりですね
せっかくだから絶叫マシーンにのってみましょう
ベイメリア任せなさい。
私こう見えてジェットコースターは結構好きなんですよ
さあさ、とりあえず言ってみましょうか
・・・え?フリーフォール?
(フリーフォールは苦手なのでさっと顔が青あざめる)
ええい、女は度胸、もうイチかバチかですよ
そのまま、花のフリーフォールに搭乗
「ひーぎゃあぁあっぁぁぁあああああああ」(声にならない叫び声)
「と・・とっても楽しかった・・・ですよ」
息も絶え絶えながらも強がりの笑みを浮かべます
えっ?もう一度?あ、あっちも見て回りましょうか
さっと、話題を変えます
ベイメリア・ミハイロフ
狭霧さま(f03862)と
【POW】
お花の遊園地、とは
とても素敵でございますね
わたくし、心躍ります!
ぜっきょうましーん…ですか
わたくしは初めて経験いたします
ふふ、狭霧さま
とっても頼もしくていらっしゃいます…!
ええっと、こちらに座って
え え あ
ひゃわあああーーーー?!
こ、このような、スリルのあるものなのでございますね
わたくし、癖になってしまいそうなのでございますよ(興奮気味に拳をぐっと)
狭霧さま、いかがでしたか?
まあ、すがすがしい笑顔でいらっしゃいます
お流石なのでございますよ…!
狭霧さまいかがでしょう、もしまだお時間がありましたらもう一度…
と申し上げつつ、周りの様子には十分気をつけますね
●声の限りに
今日の良き日和。その日差しの柔らかさに微笑むと、朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)は息を吸った。久しぶりの遊園地だという事で、せっかくだからと誘ってみたがベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は案外気に入ってくれている様だった。
花の遊園地と言うものに興味津々なのかベイメリアはまじまじと周囲を見渡している。そんな彼女に飛び切りの体験をさせるならば、遊園地で人気のアトラクションは外せなかった。
「せっかくだから絶叫マシーンにのってみましょう」
「ぜっきょうましーん…ですか。わたくしは初めて経験いたします」
狭霧の提案にベイメリアは好奇心の瞳を向ける。そんな彼女の瞳に気を良くした狭霧は誇らしげに胸を張ると人差し指を立てて謳った。
「ベイメリア任せなさい。私こう見えてジェットコースターは結構好きなんですよ」
「ふふ、狭霧さま。とっても頼もしくていらっしゃいます……!」
またもやキラキラとした視線を向けられて意気揚々と狭霧がアトラクションの入り口をくぐった途端、その顔色がさあっと変わった。
「……え? フリーフォール?」
フリーフォール。何度か瞬きをしてみたが目の前に書かれた文字に間違いはない。
「ええっと、こちらに座って」
係員に導かれてベイメリアがいそいそと進もうとした時、立ち尽くした狭霧の背中に当たってしまう。
「狭霧さま?」
その声に狭霧は一瞬花の妖精と飛び掛けていた意識を取り戻し、現在見えている現実と向き合った。
前門にフリーフォール。後門に笑顔のベイメリア。
絶体絶命とはいかぬものの、それでも先ほどの言葉を飲み込む訳にはいかない。
(「ええい、女は度胸、もうイチかバチかですよっ!」)
観念しながら乗り込むとがしゃんと安全バーが下りてくる。その皮のひやりとした冷たさと圧迫感が狭霧の胸を緊張感で満たしていった。動き出したカートの中では妖精達の可愛い声のアナウンスが流れ、『怖い子は目をつぶってね』と注意が飛んでいた。
レール越しに見える風景はゆっくりと変化し、かたんと心地よい音がする度に二人を乗せたカートは高度を増していく。じりじりと高所へと押し上げられる恐怖感と期待が混じる中で、ようやく天辺まで来たと思った途端、大きな音と共にカートは前方へ投げ出される。
そこは遊園地の全景が見える特等席。何も見えぬ剥き出しの空にベイメリアの口が思わず声を上げた。
「え え あ」
途端、乙女の言葉を置き去りにカートは重力に引き摺られた。
「ひゃわあああーーーー?!」
(「ひーぎゃあぁあっぁぁぁあああああああ」)
それは狭霧の声にならない叫びだった。
髪が踊る、目が揺れる、耳の後ろを恐怖が駆ける。
落ちているという実感はこのままぺちゃんこになってしまうのではないかという不安を生み、そうならないという確証さえも忘れさせてしまう。ただ唯一この落下が疑似的なものだと教えてくれるのは、胸を締め付ける安全バーの重みだけ。
そのスリルにベイメリアは思わず頬を染めた。
落ちる、落ちる、落ちる。
まるで誰かの腕(かいな)からすり抜ける不安と寂しさ。そんなものを得る時間──それを味わっている。
それは、ひとつの快楽の様なもの。
「こ、このような、スリルのあるものなのでございますね。わたくし、癖になってしまいそうなのでございますよ」
最後の浮遊感が消え、髪の毛の重さを感じた時、ぐっと拳を握ったベイメリアは興奮した様にそう言葉を漏らしていた。その顔がとても生き生きとしているのは気のせいではないだろう。
だからなのかもしれない。
「と……とっても楽しかった……ですよ」
「まあ、すがすがしい笑顔でいらっしゃいます。お流石なのでございますよ…!」
狭霧は息も絶え絶えに強張った笑みを作っていた。最後まで彼女らしい強さを見せられた事は流石という他は無い。ベイメリアは楽しそうに笑うと出口へ向かうカートの中で恥ずかしそうに言葉を漏らす。
「狭霧さまいかがでしょう、もしまだお時間がありましたらもう一度……」
「えっ? もう一度? あ、あっちも見て回りましょうか」
思わぬ鬼がここにあり。慌てて話を変えた狭霧は早く出口に着く様に祈るように間を閉じて小さく息を吐いた。その後ろで新しいカートが動き出したらしく、ごととんと音が鳴り響く。
そこから新しい絶叫が聞こえるのはもうすぐ──ひと際大きな声が上がるのはここが様々な遊具の置かれたゾーンだからだ。そのひとつに足を向けた隣・人(六六六番外・f13161)はその中で揺蕩う髪を揺らしながらくすりとほくそ笑んでいた。
「んふふ、遊園地ですよ遊園地。隣人ちゃんは遊園地が大好きなのです」
身に纏う甘い衣服のスカートを春風に流して、人が向かうのは大きな花弁を持つチューリップの形を模した回転遊具だ。 俗にいうコーヒーカップと言われるその遊具は、中央に設えられた小さなテーブルを繰る事でその回転を調節出来る為に一種の絶叫マシーンになり得るのだという。
係員に導かれて黄色いチューリップに乗り込んだ人は、待ちきれないという様にテーブルに手を添えてとろりと言葉を零していく。
「ほぉら、全力でぶん回しますよ!!!」
告げた途端、音楽と共に周囲の風景が動き出した。震え、刻み、揺れて、回る。春風に花が揺れるもの、春風に髪が揺れるもの、その様変わりな見えぬ目にも回転する感覚は確実に伝わっていく。
「あは、あっははは! 隣人ちゃんは気分が悪くなって女としての大切なもぉのを失くすまで乗り続けまぁすよ!」
風の動きによって音伸びした声も誰もが絶叫を上げてはただただ流されていくばかり。
「ひゃふぅ~! あ~これは酔っちゃいますね!」
三半規管の曼陀羅に心地良くめり込むのは重力の痛みか。常人には理解しがたい恍惚に溺れながらも人の手はただひたすらにテーブルを回していく。
結局、手掛かりは無いままに回し続けたせいか、その日に遊園地史上最高の回転回数を叩き出したティーカップは『回転伝説のチューリップ』と呼ばれるようになったのだとか。
嘘のような誠のような、真のようなウソのような。曖昧なものも巻き込んで絶叫マシーンは動いていく。
そのひとつに挑戦したのは遊園地が初めてだというキマイラとドラゴニアン二人組だった。
目を輝かせながら足を止めたリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)は後ろの誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)に振り返ると興奮しながら口を開いた。
「さよ、櫻宵! ゆうえんち、だ。僕、ゆうえんち初めて!」
「あたしも遊園地は初めてなのよ。リィと同じ、楽しみね」
そう答えた櫻宵は桜の瞳を眩しそうに細めて花の国の様相を眺めていた。この辺りは人気の絶叫マシーンの中でもパーク内屈指のアトラクションが並んでいるおかげか人も多く、ともすれば迷子になってしまいそうだ。
ふとそんな心配がよぎり、改めて前へと顔を向けると目の前で尾を揺らすリルにの姿に思わず微笑みが漏れた。
「何から乗ろう? 何で遊ぼう?」
振り向いたリルの顔は好奇心と幸せが溢れている。その唇が大好きな君と一緒に、と謳って手を取られては櫻宵の胸に彼への可愛さと愛しさが満ちていく。
ここは花の国。誰もが笑顔になるというならば満面の笑顔を咲かせるあなた──桜の君がよく似合う。互いの心が同じ事を知らぬまま、櫻宵がどれを遊ぼうかと思案しているとぱっと明るいリルの声が咲いた。
「僕あれがいい! ふらわーふりーほーる!」
可愛い少年が指し示すのは目も眩むような高さのアトラクションだった。見れば搭乗者は首が痛くなる様な高さまで登った後ですさまじいスピードで落下するカートに乗っている。そんな様子に櫻宵は思わず声を上げた。
「だ、大丈夫かしら……速すぎて首、とれたりしない? 」
「大丈夫、僕が一緒だから。それにそんな簡単に首、とれないよっ 」
そんなやり取りをしながらアトラクションに辿り着いた二人はさっそく係員に促されて席に着く。わくわく顔のリルと恐々とその時を待つ櫻宵の姿は少し滑稽だった。けれどもその可笑しさもカートが動き始めてしまえば背中を伝う汗の感覚の方が勝ってしまう。
聞き慣れぬ機械音、細かに揺れるカート、これまで見えていた補助の鉄骨も、落下の場所までやってくるともう見えない。かわりに開放されたのは見目麗しく咲き誇る花の国・セブンスの姿だ。
「……綺麗」
思わず櫻宵が呟いたのは園の中心に鮮やかな薔薇を模した城が見えたから。
そうして、風が動く。
足が浮く。髪が踊る。重力の手が自分を掴む。
未経験の速度で動く世界はまさしく『回転』していた。気が付けば喉の奥から絞り出した声と潤む視界で頭の中が真っ白になっていく。空も地も自分が落ちているという感覚にもみくちゃにされて目を閉じる。
気が付けばがこんというひと際大きな音がしており、二人のカートは天井を仰ぐ形のまま出口へと動いていた。
「嗚呼、ドキドキしたね。楽しかったぁ!」
リルは元気いっぱいの声を櫻宵に掛けながら横を向いて、すぐにぱちくりと瞬きをする。そこにはもはや魂の抜けた様に呆けた顔の櫻宵がいたのだ。
「さよ? 平気?」
「速いとか景色とかそういう問題じゃないわ。腰が抜けたわ。心臓が口からでてきそう」
そう嘆いた相手をリルは優しく撫でて、次は休憩だねと笑った。膝枕でもしてあげると言えばちょっとだけ櫻宵の顔に微笑みが戻った。
「それで少し休んだら、次はほらーはうすに行くよ」
「ホラーハウス?! やだわ怖いわ!」
悲鳴のような言葉と共にまた血の気を引いた櫻宵だったが、たくさん遊ぶと宣言したリルを見てしまえばやっぱり頬を緩ませてしまう。
あなたの笑顔がみれるなら何処へでも。
その言葉を口にした時、ようやく出口へ辿り着いたカートが音を立てて止まった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木槻・莉奈
【Adv】で参加
依頼だって言わずに連れ出す必要があったからシノを誘っただけで、ニナと行きたくなかったわけじゃないからね?
あ、やっぱりシノも?UDCで遊園地で日常を満喫して誘き出してね!って…
いいや、気にしない
折角来たんだもの、誘き出さなきゃいけないなら楽しむのは義務よね!
スイーツランドいいわよね、花の見た目のお菓子も色々ありそう
私はやっぱりチョコかなぁ、可愛いし美味しいし…!
あ、ニナ、フルーツで作った花とかも色々あるわよ
シノは何にする?
ふふ、ニナ凄く楽しそう、楽し過ぎて迷子になっちゃわないでね?
ごめんごめん、つい懐かしくて
カガリは迷子じゃなくてかくれんぼ?
あら、迷子防止ならニナと繋ぐわよ
ニナ・グラジオラス
【Adv】で参加
先日リナとシノが2人で遊園地に行ったらしい
悔しいので誘ったんだが…どうした2人とも?何だか微妙な顔してるが
ドラゴンランスのカガリも一緒に。不都合があるなら、ヌイグルミの振りをしてもらっておく
絶叫マシーンやショップも気になるが、スイーツランドと言う甘美な響がとても気になる
リナはどれ食べたい?
なるほど、フルーツの花のタルトは可愛いな
リナ、よかったら半分にして両方食べないか?
はしゃいで迷子になんてならないぞ!?
まったく、2人していつの事を言っているんだ
年齢が一桁ならまだしも、私ももう16だ。昔みたいに迷子なんて…ってカガリ、どこ行った?
ああ、シノのフードの中か。驚かせないでくれ
シノ・グラジオラス
【Adv】で参加
俺がそう言う役回りなのは知ってた
あー…何かこんな感じの遊園地にとても既視感が(リナと顔を見合わせて苦笑する)
けどニナも楽しそうだし、ここは先の事は忘れて素直に楽しむとしようか
カガリはそのまま外に晒してたら人混みに浚われるぞ
俺のフードの中に入ってろ
OK、スイーツランドに行ってみるか
俺は一番甘くなさそうな、花びら入りのゼリーにしようかね
2人も勿論…寧ろ食べてくれていいぞ?嫌いじゃないが、量食べられないんでな
おいおい、はしゃぐなよニナ
昔みたいに迷子になって、俺とリナに探してもらわないとだぞ?
なんだ?リナも迷子防止に手でも繋ごうか?
そりゃ残念、それじゃあお嬢様達の人除けになるとしよう
ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
ヘンリエッタ/f07026と
遊園地。ここが遊園地なのか!
凄いなァ、皆、笑顔になるのだな!
行くぞ!満喫せねば勿体ない!
で、ルビーはどこに行きたい?
などと、訊くまでもないか。
スイーツショップ巡り、女性はこういうの好きだよなァ。
私は、スイーツと菓子の違いは何なのだろうかということばかり気になるぞ……。
せくしーときゅーと。うむ、分からん!
本命の前に、目的は写真だったな。
こういうのはルビーの本領だ。私は指示に従う。
おお?笑顔に出来るのは良いが、その言い方は軟派のようで少し……。
まァ良いか。というか私に持たせるなよ、撮り慣れてないんだから。
慣れてないにしてはうまく撮れた気がするんだが。駄目か、そうか……。
ヘンリエッタ・モリアーティ
ニル(f01811)と
遊園地にも現れるオブリビオンって野暮ったいわぁ
あら、にるぴってばこういうところ初めて?
私はねぇ、何回か連れてきてもらった事はあるからぁ……エスコートできるのぉ?
高い女だから中々満足しないわよ――ってちょっと話聞いてる!?
スイーツ、うん、好きだけど……
スイーツとお菓子の違いってセクシーとキュートの差って感じじゃない?
どーでもいいの!見栄えがよければ何でも映えるもんねー
あは!よく分かってるンだからぁ
SNSにイケメンとスイーツの画像なんてあげたら――遊園地より多く色んな女性が笑顔になるわよぉ
そーだ!2人で撮りましょうよ、ねっ!腕長いしにるぴカメラね
……ブレてる!ダメ。もっかい!
ファンゴ・ネラロッサ
お仕事の前に遊んで英気を養うぞー!ヒャハー!
いつもみたいにヒーロームーブに使う【からくり人形】の中に入って遊園地を適当に回りながら気になるショップがないかも見て回ろう
めっちゃファンシーだし、人形をファンシーにするときに着せる服とかアクセサリーとか小物とかないかなー
【人形ムーブ】
さて、僕の格好は貴族風のスチームパンクなんだけど、浮いてないかな?
異世界だといてもおかしくない姿に見えるんだったかな。それとも遊園地だと浮かれたコスプレ野郎として見られたり?
まあいいか。ファンシーなお店を見て回っていい感じの品物を買っていくよ
お店の人に愛想よく話し掛けて他のお店の情報も教えてもらおう
●買い物に寄って
そこはパーク内全てに伸ばされた『妖精の通り道』と称される花壇脇の歩道だった。この辺りはパンジーを中心に植えられており、綺麗に色分けされた花が春の日を受けて艶やかに咲き誇っていた。そんな道を進みながらニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)はきょろりと辺りを見回していた。
「遊園地。ここが遊園地なのか! 凄いなァ、皆、笑顔になるのだな!」
「あら、にるぴってばこういうところ初めて?」
ちらりと盗み見る様に見上げたヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)──正しくはその中に宿るルビーという人格──はニルズヘッグの新鮮な様子に小さく微笑みを向けた。
どうやら彼女は遊園地へ何度か来た事があるらしく、その経験を元に楽しそうに言葉を紡いでいく。
「私はねぇ、何回か連れてきてもらった事はあるからぁ……エスコートできるのぉ?」
高い女だから中々満足しないわよ――溶ける様な口振りに試す色を視線に乗せて男を見る。
「ってちょっと話聞いてる!?」
「行くぞ! 満喫せねば勿体ない!」
気にせず歩む青年の後を追いかけて『ルビー』が隣に並ぶと、ニルズヘッグはにかっと微笑みを返してくる。その様子に『ルビー』はどこに行くのかと尋ねられるかと思ったが、予想に反してニルズヘッグが進むのは奥に見えるスイーツランドの矢印だった。
他愛ない話を交わしながら二人がスイーツランドへやって来ると、そこは誰もが楽しそうにあちこちで遊園地の食べ物を満喫している。そんなバザール風の商店のひとつを覗きながらなんとな話にニルズヘッグの口から感想が零れた。
「スイーツショップ巡り、女性はこういうの好きだよなァ」
その言葉に『ルビー』はううんと少し考える仕草をする。
「うん、好きだけど……スイーツとお菓子の違いってセクシーとキュートの差って感じじゃない?」
セクシーとキュート。
唐突に現れたそんな物差しにニルズヘッグはふむと息を吐いた。彼には『スイーツと菓子の違い』が何なのかという点がばかり気になる程度で、彼女の言う方向性で考えるなど思いもよらなかった。
もちろん、考えたからと言って答えが出るものではなくて。
「せくしーときゅーと。うむ、分からん!」
「どーでもいいの! 見栄えがよければ何でも映えるもんねー」
その言葉にニルズヘッグは今回の目的が『写真』であったと思い出す。こういったものは相手の領分だと任せると、彼女は上機嫌に返事をして早速手持ちの端末を操作し始めた。
「SNSにイケメンとスイーツの画像なんてあげたら――遊園地より多く色んな女性が笑顔になるわよぉ」
「おお? 笑顔に出来るのは良いが、その言い方は軟派のようで少し……」
ささっと設定をし直したところで『ルビー』はふと手を止める。
「そーだ! 二人で撮りましょうよ、ねっ!」
腕長いしにるぴカメラね、なんてさらりと段取りを決めると渋る相手に端末を握らせる。バックにあるのはマカロンのタワー、花のマークの入った下に自分達の顔が入る様に位置を調整する。
さん、にい、いちと声を上げ、ぱしゃりと撮った写真の判定は。
「慣れてないにしてはうまく撮れた気がするんだが。」
「……ブレてる! ダメ。もっかい!」
「駄目か、そうか……」
しょんぼりと頭を下げたニルズヘッグにヘンリエッタはそっぽを向いたが、一度だけちらりと盗みをして小さく舌を出す。ちょっとのズレも面白がそれでも時には厳しく楽しく。その時間を過ごせるのはなかなかない事だから。
その横を純白に似た翅の蝶が飛んでいく。上下に揺れながら進むその蝶は咲き誇る花の上へと寄り、さらにその向こうへと飛んでいく。蝶が向かったその先にはきょろきょろと辺りを見渡すファンゴ・ネラロッサ(『正体不明』のヒーロー・f17584)の姿があった。
彼が探しているのはこれからヒーロー活動をしていく上で必須の変身お洒落アイテムだ。
「めっちゃファンシーだし、人形をファンシーにするときに着せる服とかアクセサリーとか小物とかないかなー」
流石は正体不明のヒーローである。お洒落も欠かさないヒーローらしいマメさを見せたファンゴは、スイーツランドの近くにあった売店へと顔を出していく。バザール風が遊園地内のショップテーマなのだろう。手に取りやすい品々が並べられたお店はどれも可愛らしい妖精と花達の意匠で溢れていた。
「いらっしゃいませ、花の国・セブンスへようこそ!」
「あ、はい、どうもー」
元気よく挨拶をした店員にファンゴはびっくりしたものの、自身の心配が無用だった事にほっと胸を撫で下ろす。そうとなれば気にせずにお店のアイテムを見て行くまでだ。
「いい感じのーものはないかなー」
目移りするのはセブンスという名前の通り、花と妖精が七種類あるからだ。チューリップ、桜、マーガレット、百合、パンジー、鈴蘭、そしてバラ。どの花も春を彩る顔になる花ばかりだ。帽子やスカーフといった身に着ける物についている花達はファンシーな物から一色のデザインとお洒落に追加するにはもってこいだ。
「ねえお姉さん。これって……」
目移りする種類に店員を呼ぶとファンゴは楽しそうに話しかけていく。他にもこういったものは無いかと続いていけば店員は笑って中央の方に本店の様な大きなお店がある事を教えてくれた。
「薔薇形をした建物の傍ですよ。迷子になるかもしれませんからこちらの地図を使って下さい」
「おっと、これはどーも」
手渡されたパンフレットには遊園地の中央に鎮座する大薔薇の城が描かれている。巡り巡っていくには少し遠いかもしれないが、行ってみるのも面白いかもしれない。そう思った途端、頭上でごおっと風が靡く音がした。
悲鳴が聞こえる。それは絶叫マシーンからだろうか。その声に導かれて羨まし気に上空のコースターレールを仰ぎ見ていたニナ・グラジオラス(花篝・f04392)は、ふと聞こえた声に振り返った。
「依頼だって言わずに連れ出す必要があったからシノを誘っただけで、ニナと行きたくなかったわけじゃないからね?」
誤解しないでね、と申し訳なさそうな木槻・莉奈(シュバルツ カッツェ・f04394)の様子に傍らに立つシノ・グラジオラス(火燼・f04537)は、やれやれという様に頭を掻くと小さく頷いた。
「うん、あー……何かこんな感じの遊園地にとても既視感が」
「あ、やっぱりシノも? UDCで遊園地で日常を満喫して誘き出してねって……」
自分の役回りを承知していたシノの言葉から二人は改めて周囲の遊園地へと視線を向けた。なんとなく覚えのある遊園地での調査に思わず苦笑してしまったが、ここは先の事は忘れて素直に楽しんだ方が良さそうだ。
「どうした二人とも? 何だか微妙な顔してるが」
二人の様子にニナは不思議そうに瞬きをすると、自分の足元に遊ぶドラゴンランスの相棒・カガリと一緒にこてりと小首をかしげた。その様子に莉奈は首を振って宣言する。
「いいや、気にしない。折角来たんだもの、誘き出さなきゃいけないなら楽しむのは義務よね!」
ぎゅっと握った手のままで進み始めた莉奈を先頭に三人は歩き始めると、園内に表示された看板を眺めながら声を上げる。
「絶叫マシーンやショップも気になるが、スイーツランドと言う甘美な響がとても気になる」
「うん、スイーツランドいいわよね、花の見た目のお菓子も色々ありそう」
そんなお嬢様達のご希望にシノは頷くと行ってみるかと足を向ける。そうして三人が辿り着いたスイーツランドは遊園地のテーマである花と妖精の花をモチーフにした商品を販売するバザールだった。
よく晴れた空の下、どこか異国の雰囲気を見せるその場所はキャラメルやチョコレートなど甘く蕩けそうないい香りが漂い、訪れた人々の顔を笑顔にしている。
その様子に胸を躍らせたニナはごくんと喉を鳴らす。そうしてぴょんと主人が動き出すと、ころんと転がって後ろを歩くシノの手に収まった。ちろりと燃える焔の翼もシノの指を害さぬ様にと小さく猛る姿に思わず苦笑する。
「俺のフードの中に入ってろ、な」
そのまま外に晒していては人混みの中で浚われてしまう。そんなひと幕を知らぬ少女達は跳ねる様に走り、ひとつの商品棚の前にやってくるとほんのりと頬を上気させた。
莉奈の視線の先には花色のナッツを頂いたチョコレートが並んでいる。その隣には輪切りにされたバナナプで花弁が表現されたフルーツのタルトがあった。
「あ、ニナ、フルーツで作った花とかも色々あるわよ」
「なるほど、フルーツの花のタルトは可愛いな。リナ、よかったら半分にして両方食べないか?」
そのひとつを指差してニナが朗らかに笑った。ふと、思い出した様に莉奈はシノにも何か尋ねると、一番甘くなさそうな花弁入りのゼリーを手に取った。
「二人も勿論……寧ろ食べてくれていいぞ? 嫌いじゃないが、量食べられないんでな」
その言葉にはあいと弾んだ返事が返ってくる。
あなたの好きと、私の好きと、分け合いながら巡るのはなんだか夢の様で心が弾んでしまう。そんな心地を味わっていると莉奈はくすりと笑っておかしそうに声を上げた。
「ふふ、ニナ凄く楽しそう、楽し過ぎて迷子になっちゃわないでね?」
「そうだ、はしゃぐなよニナ。昔みたいに迷子になって、俺とリナに探してもらわないとだぞ?」
「はしゃいで迷子になんてならないぞ!? まったく、二人していつの事を言っているんだ」
振り返ったニナがいつの話をしているんだとぼやいて愛らしい春色の唇を尖らせる。その様子に二人が謝るもむくれたニナは腕を組んだままそっぽを向いた。
「年齢が一桁ならまだしも、私ももう十六だ。昔みたいに迷子なんて……」
そうむくれたニナだったがふと足元の軽さに違和感を覚える。見目麗しいお菓子や賑やかな話に夢中になっていたが、大事な相棒の姿がない。
「カガリ、どこへ行った?」
途端、シノのフードの中から顔を出したカガリは不思議そうに主人を見つめている。
「ああ、驚かせないでくれ」
困った様なニナの声にカガリの目が瞬きする。その様子に莉奈もまた笑うとは改めてニナへと手を差し出した。
「なら、ニナは私と手を繋ぐ?」
また、子供じゃないぞと言われても、懐かしいという思い出の愛しさは消えない。新しい記憶の中でもそうあってほしい。
三人が再び店の中へと進み始めると、また胸躍る新しいお菓子の香りがふんわいりと漂ってきていた。
大成功
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イシャーラ・ジャミール
あらあら、遊園地とは素敵なところデスね
ワタシはひとり。ふらりと宙を泳ぎながら、パレードやショーを見に行きまショウ
他にもお仲間は遊びに来ているのカシラ?共に歩んでもひとりでも、まあワタシはどちらでも満喫するまでデスよ!
なんともなんとも華やかで素晴らしいデスね!
こんなところで怪異にであえるなんて、信じられまセン!
様々な飾り、踊りに目移りしながら、ひとつひとつその目に焼き付けて
美しい光を、強い光を、頭の中のページにしっかりと記録していくように
この世界は初めてだけれど、とても素敵なもので溢れていマスね……
人々の手で作られた楽園、遊園地
ワタシはしっかりと記憶しマシタ!素敵な記録が増えマシタね!
●パレード、パレード
人々の歓声が上がると新たな熱が生まれていく。そこにあるのは誰もが知らぬ驚きと、誰もが愛する花の普遍の美しさがある。春という日々を謳歌する。その季節を楽しむ様にイシャーラ・ジャミール(金戀・f12094)はひとり、ふらりと園内を進んでいた。
ふらふわと宙を泳ぎながらその目に映る者の目新しさに持ち前の好奇心を擽られ、何度も足を止めてしまった。その中で出会った七人の妖精が練り歩くパレードは、胸躍る音楽にわくわくとした気持ちにさせられる。
くるくると回る着ぐるみの妖精達は何とも愛嬌のある顔で、イシャーラに会釈するとその手を取って彼らの輪に誘った。
「なんともなんとも華やかで素晴らしいデスね! こんなところで怪異にであえるなんて、信じられまセン!」
伸びやかに咲く花々の飾りや心沸き立つ音楽と踊り。目移りしながらも巡ったイシャーラの目には、アルバムの様に出来事が焼き付けられていく。
心にとめる想いとはこうして出来上がっていくのだろうか。美しい光を、強い光を、頭の中のページにしっかりと記録していく宿り身の者は穏やかに口元を緩ませた。
「この世界は初めてだけれど、とても素敵なもので溢れていマスね……」
人々の手で作られた楽園、遊園地。
誰かの作り上げた物には誰かの想いが籠るという。それは宿るという事ならば、ここにも自分の様な命が吹き込まれることもあるのだろうか。それならば、なんだかくすぐったくも誇らしい気がする。
「ワタシはしっかりと記憶しマシタ! 素敵な記録が増えマシタね!」
ふわりと心に灯るのは思いもよらぬ程に温かな心地だった。刻む様に、慈しむ様に見付けた煌めきはまるで波間に漂う光の様──そんな波間の間に見えたもの。
ふと、イシャーラがその森深い新緑の瞳を瞬かせると、ふらりと人が吸い込まれて行く場所に気が付いた。それは路地裏から入る場所らしく覗いてみれば薔薇のような美しいフォルムの建物に続いている様だ。
「おや、あれは一体なんでショウ……」
物陰に隠れたイシャーラが眺めた先では数人の影が動いていくのが見えた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『洗脳された人達』
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POW : 洗脳された人達を気絶させる
SPD : 洗脳された人の前に回り込み生贄になりに行くのを阻止する
WIZ : 洗脳を解く
👑11
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緩やかに歩く人々の手には薔薇の意匠が付いたアイテムが在った。
それはゆっくりと、ひとりでに、気付かれる事も無く、静かに薔薇の城へと飲み込まれていく様だった。どうやらそこは開園当初に設えられたプラネタリウムの後らしい。機械の故障によって現在は閉鎖されている場所だとパンフレットには書かれているが、奇妙なものを付けた人々は不思議と仲間の間から抜けて進んでいく。
明らかな怪異を止めるには人々の身につけた物を奪ったり破壊したりする事が有効だろうか。だが、その他にも可能な手立ては考えられる。どうするかは猟兵達の決断にゆだねられる。
──ここは笑顔溢れる花の国。七人の妖精があなたと素敵な思い出を紡ぎます。
白々しく思える声は、薔薇の城には届いていない様だった。
朝沼・狭霧
ベイメリア(f01781)と【SPD】
あら?これは綺麗ですね
薔薇の城のプラネタリウム。とても私好みです
ちゃんと開園したらぜひここはもう一度来たいわ
そのためにもぜひ事件を解決しなくちゃですね。
7人の妖精に囲まれてさしずめ私たちは
白雪姫候補生かしら?
毒リンゴはかじらないようにしないとですね
ベイメリアに倣って
薔薇の意匠を奪って壊そうとします
奪うのに手間取る場合は
人々の行く手を抱き着いて遮り
ベイメリアの気絶攻撃をしやすくしたいです
ある程度人々の足止めができたら
薔薇の城へ
さーて白雪姫達の殴り込みよ
七人の妖精風情が大きな顔してるんじゃないわよ
腕まくりをして張り切って城へ
ベイメリア・ミハイロフ
狭霧さま(f03862)と
【SPD】
狭霧さま、プラネタリウムだそうでございますよ
ふふ、薔薇のお城でしたら、眠り姫という線もございますね
ぜひ七人の妖精さんに案内していただきたいものでございます
できることなら手荒な事はしたくはないのですが…
道行く人の前に立ちはだかり誘き寄せを
そして、失礼します、と
洗脳された方々から薔薇の意匠を盗みたく
洗脳が解ければ良し、無駄であれば破壊を
それでももし抵抗されるようであれば
最終手段として気絶攻撃を使用
気絶させてでも止めさせていただきます
もし洗脳を解く事ができた方がいらしたら
どこで意匠を手に入れたのか、等情報収集を
狭霧さま、これは…
いざ心して、お城の中へと参りましょう
●薔薇の城
二人が足を向けた場所は先ほどフリーフォールから見えた美しい薔薇型の建物だった。その場所は閉鎖されてはいるが遊園地のシンボル的な建物なのだろう。ここからはまだ距離はあるものの建物の事を謳う看板が見えている。
「狭霧さま、プラネタリウムだそうでございますよ」
「あら? これは綺麗ですね」
ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)の言葉に朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)は遠目に見えた薔薇の城を望んで感嘆を漏らした。
先程はわからなかったが花弁は一枚一枚が煌びやかなタイルで装飾されておりその美しさを眺めている人達もいる。その中に奇妙な歩みを見せるひとりの女性が目に付いた。あれがプルミエールの予知した怪異だろうか。ふらふらとした足取りから何かしらの異変を感じた狭霧は息を吐く。
「ちゃんと開園したらぜひここはもう一度来たいわ」
その為に事件を解決しなくては。
そうして二人は早速行動を開始する。奇妙な足取りの者の様子から怪しいと睨んだものに目を付けたベイメリアは彼女の立ち塞がると小さく詫びを口にした。
「失礼します」
女性の手にあった薔薇のブレスレット──ベイメリアの手がそこに触れるも、盗んで取り上げるには上手くいかずに相手の手を持ち上げてしまう。思いもよらず腕を惹引かれる形になった女性は、反動を受けて振り向くとベイメリアに向かって会釈した。
「すみません……行かなきゃ……」
そんな挨拶も早々に彼女は再び薔薇の建物へ歩き出していく。その姿に狭霧ははっと気が付いた。
「これは……」
どうやら意識は少し残っているようだ。口振りから怪異に招かれている様子が分かったが、止めるとなればもう少し強く出るべきだったかもしれない。もちろんUDCの存在は民間人に知られていない以上、こうした大通りで目立つ立ち回りは無用な関心を呼ぶ。どの世界でも猟兵の存在こそ理解はあるものの、その辺りは気を付けねばなるまい。
このままでは手間取りそうだ。
そう判断すると狭霧は改めて怪しいと睨んだ薔薇のブレスレットを望むと、今度は女性に抱き着いてベイメリアへ視線を送った。その行動にベイメリアはすぐさま近づくと、女性の首にとんっと手刀を打つ。とたん、膝を付いた彼女を介抱する様に座らせると狭霧は辺りを見回した。
「まだ足止めが必要のようですね。突入するにはまだ難しいでしょうか」
辺りを見るとちらほらだが不思議な足取りの者達がいる。この数の人々から怪しいものを盗む事は難しそうだ。思い切った行動の方が功を奏するかもしれない。
なんだか試されているような気がして狭霧は思わず口端を上げた。
「七人の妖精に囲まれてさしずめ私たちは白雪姫候補生かしら? 毒リンゴはかじらないようにしないとですね」
「ふふ、薔薇のお城でしたら、眠り姫という線もございますね、ぜひ七人の妖精さんに案内していただきたいものでございます」
「まあね。さーてある程度減らしたら白雪姫達の殴り込みよ。七人の妖精風情が大きな顔してるんじゃないわよ」
そう言って狭霧は腕まくりをするとベイメリアを促す。事件はまだ始まったばかりだ。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
クーナ・セラフィン
見るからに手の花が怪しいけど迂闊に壊すのは嫌な予感?
探り入れてみて他に手段がなければ、かにゃー。
…折角の楽しい遊園地、楽しく過ごして無事帰れるようしないとね。
妖精のふりしてふらふら移動していってる人に話しかけ。
猫妖精、うん嘘はついてないね。
もしもしそこのお兄さん(お嬢さん)、私は妖精の家来の一人。
キミの薔薇にかかった魔法が弱まっているんだ。
別の魔法の花に変えるから、お手の花を貸してくれないかな?と提案。
承諾されたら私が入園の時に渡されたのと入れ替え。
全員ではないって事は全部に洗脳効果はないはずで、今持ってるのを放せば正気に戻るかなと。
無理なら隙つきさっと盗んで手放させる。
※アドリブ絡み等お任せ
ふわりと歩む少女の前にまるでおとぎの国から飛び出した様な滑らかな毛並みの獣がひとり。騎士然とした羽根付き帽子を被ったその者は、洒落者の威厳を纏いながら恭しく一礼する。
「もしもしそこのお嬢さん」
そう声をかけた彼女こそ男装の麗人であるケットシーのクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)だった。ぴょこりと耳を尖らせたクーナは藍色の瞳を瞬かせて相手を見上げると穏やかに言葉をかけた。
「私は妖精の家来の一人。キミの薔薇にかかった魔法が弱まっているんだ。別の魔法の花に変えるから、お手の花を貸してくれないかな?」
もちろん、そんな事は方便だ。だが妖精繋がりである猫妖精(ケットシー)である以上は嘘はついていない気もしないではない訳で。
彼女の言葉に少女はぼうっとした表情のままだったが、確かに顔をクーナの方へと向けると不思議そうに瞬きをして自分の手に付けていた薔薇の意匠のブレスレットを握った。
「これ……?」
「ああ、それだ。私のブローチと交換しよう」
そうして差し出されたクーナの肉球の上に乗せられていたのは、彼女が入園した時に手にしたマーガレットのブローチだった。幸いにもクーナをすっかり信用したらしい少女はその掌に自分のブレスレットを乗せる。
「ありがとうお嬢さん」
そう言って会釈をするとクーナはしゃがんだ少女の服にブローチを付けてやる。その時、白く青ざめた顔だった少女の頬にうっすらと赤みが差した。次いでその瞳が俄かに瞬きを見せると先ほどとは全く違う生きた輝きが映った。
「あ……あれ、私どうしてここに……」
「迷子かな。インフォメーションがあっちにあるから行ってみるといい」
「うん……」
それから少女はクーナに礼を言って指示した方へと歩いていく。後に残されたケットシーは改めて手にした薔薇のブレスレットを見るとほっと息を吐いた。見るからに手の花が怪しいと思ったが故に迂闊に壊す事はしなかった。嫌な予感がしたからこそ探りを入れてみた行動だったが、相手に意識が少し残っているとわかれば話しかけてみるのも良さそうだ。
「……折角の楽しい遊園地、楽しく過ごして無事帰れるようにしないとね」
呟いた彼女は改めてそびえ立つ薔薇の城へと視線を向けた。
大成功
🔵🔵🔵
ファンゴ・ネラロッサ
いかにも怪しいし建物にどう見てもおかしいみなさん
これはどう考えてもヒーロー案件!
と言うことで出番だ【コンパーニョ】!
そしてオレはいつものように彼の中入る
【人形ムーブ】
一応声をかけてみる。完全に意識が奪われて別人のように操られているのか、たんに意識が曖昧になって何かに誘引されてるのか知りたい
確認したら【バウンドボディ】で伸ばした腕…体か。を巻き付けて引き寄せる
はいはい、ちょっと寝ててねーと【毒使い】で使ってるうちの睡眠薬でおねんねしてもらおう
それを見つけたのはヒーロー故の『運』があったからかもしれない。
ふらふらと進むひとりの青年を見つけたファンゴ・ネラロッサ(『正体不明』のヒーロー・f17584)はひゅういと口笛を吹くと楽しそうに口を開いた。
「いかにも怪しいし建物にどう見てもおかしいみなさん。これはどう考えてもヒーロー案件!」
ならば出動せねば、とばかりに飛び出すとファンゴは風の様に相手との間合いを詰めた。そのまま前に降り立つとできるだけ落ち着いて声をかけた。
「や、こんにちは」
心を開く挨拶はヒーローの基本だ。もちろん、完全に意識が奪われて別人の様に操られているのか、単純に意識が曖昧になって何かに誘引されているのかを知る為でもある。それによってファンゴの取る対応も変わってくる。
「どう、も……」
返事はそれだけだった。青年はファンゴに一瞥を向けてすぐにまた歩き出したのだ。
意識はある。それがわかった彼はブラックタール特有の液状化した肉体を、強い伸縮性のあるものへ変えると素早く相手を捕縛したのだ。
その捕縛は一度は上手くいったと思った。
しかし、唐突に体を縛られたからだろうか。青年は弱々しいが緩慢な動作でも拘束から逃れようともがいたのだ。声こそ出さないのは幸いだがそれも時間の問題だろう。だからこそファンゴは次の手段を披露する。
「はいはい、ちょっと寝ててねー」
手にした薬を青年の顔の前でひと振りした。途端、その体が弛緩していく。ファンゴはうまく行ったと胸を撫で下ろすもその香りがどうも強すぎる気がした。その変化に気が付いた時、ふいに近くでどさりと何かの倒れる音がする。
恐る恐る少し大きな道を覗いてみれば、風に流された香りに当てられたのかその場に人々が倒れていた。その内、何人かは同じ様に薔薇の意匠の付いたブレスレッドを付けており、彼らがこの青年と同じ状態だったのだと予測が付いた。
「ありゃあ、ちょっとやりすぎた?」
予想以上の効果に驚くファンゴを余所にその後もどさりと倒れる音がする。薬の効果はすぐ消えるとわかっているがこの場から離れた方がよさそうだ。
「ま、こんな事もあるかなー、でも結果オーライって事で」
ファンゴは最初に見かけた青年をそっと通路の脇に寝かせると素早くその場を後にした。
成功
🔵🔵🔴
ニナ・グラジオラス
【Adv】で参加
リナを子ども扱いするな、愚兄
だがその計画は悪くない。元を断たねば意味がないからな
こう言うのは2人の方が得意だからサポート程度に留めておこう
足止めは任せておけ
そうだ、リナ。動物の力を借りて気を散らせないか?カガリも一緒に頼む
単に『時間稼ぎ』も時間の無駄だ
『物を隠す』で炎を隠して、『催眠術』『医学』で洗脳が溶けるか試してみよう
正気に戻ったら『礼儀作法』で丁寧に対応を
でも、また薔薇のアイテムを渡したら意味がないな
もし拘るなら、失礼がない程度であなたにはこっちの方が似合うのでは?と
別の物を勧めた方がいいかもだな
で、薔薇のアイテムが売り物だった場合、どうする?
シノが買い占めるか?
木槻・莉奈
【Adv】で参加
シノったら…誰に聞いてるの?
大丈夫に決まってるでしょ、ねぇ、ニナ
中に入れちゃうと厄介そうだし…近場の人は足止めして原因を探るのには私も賛成
人海戦術なら任せてちょうだい。ま、人じゃないけれど
人目につかない場所で【Venez m'aider】で鳩や雀の遊園地にいてもおかしくない子達を呼び出し
薔薇の意匠がついたアイテムの出所を探してもらうわ
『コミュ力』『礼儀作法』『時間稼ぎ』でシノが見付けた人達に声をかけて足止め
薔薇の城への進路を妨害しつつ、ニナが洗脳とけるか試すのやシノのアイテム奪取のサポートを
…最悪どうしても洗脳溶けなくて話も聞けない状態なら気絶しておいてもらおうかな
シノ・グラジオラス
【Adv】で参加
穏やかじゃない雰囲気になってきたな
(大丈夫とは分かっているが2人の頭を撫で)2人は大丈夫か?
薔薇の城には招待状が必要なのか?
キーアイテムを壊したり奪えれば被害は止められるだろうが…
ここは元も探っておきたいトコだな
『視力』『野生の勘』『追跡』で怪異に引き込まれそうな人を探し、
2人に引きとめてもらってる間に『目立たない』『忍び足』を使用して
件のアイテムの奪取を試みる
奪って正気に戻るなら返す振りを、
正気に戻らないならそのままワザと『怪力』で壊して相手が正気に戻るかを確認
弁償したいからどこでこれを買ったのか、もしくは貰ったのかを聞き出す
いざと言う時は殺さないように手加減して『気絶攻撃』
貴婦人の様な佇まいをした薔薇の城は幾重にも重なる花弁を煌びやかなタイルで彩っていた。それが虚像ではなく現実の美しさなのだと見止めると、シノ・グラジオラス(火燼・f04537)は改めて連れの少女達を振り返った。
「穏やかじゃない雰囲気になってきたな」
彼の告げた通りに遊園地の中では僅かだが違和感を覚える様になっていた。もちろん一般的な来場客にはあまり気にならないかもしれないが、この場所で異変が起こる予知を知る猟兵にとってはその些細な異常が感知できていた。
それはふらりと仲間を離れて歩む人々の存在である。その怪異の糸は遊園地の中心であるあの薔薇の城へと続いている。それを知ったからにはもうお遊び気分でいる訳にはいかない。
「二人は大丈夫か?」
「シノったら……誰に聞いてるの? 大丈夫に決まってるでしょ、ねぇ、ニナ」
「リナを子ども扱いするな、愚兄」
頼もしい言葉を告げた木槻・莉奈(シュバルツ カッツェ・f04394)とニナ・グラジオラス(花篝・f04392)が揃って口を尖らせると、シノは思わず苦笑するも元気な二人の様子に安堵する。
この様子ならば安心して背中を任せられそうだ──シノは改めて薔薇の城へ視線を向けると建物へ進む人影を見つけて思わず眉根を寄せた。
「薔薇の城には招待状が必要なのか?」
ふと生まれた疑問にニナと莉奈は顔を見合わせたが、二人にはその判断材料はなかった。あの中に入っていくには何か必要なのだろうか、とは単純な疑問ではあったが、もしそうならば呼び寄せられる人々が持つキーアイテムを壊したり奪えれば被害は止められるだろうとも思えたのだ。
それならば、ここは元も探っておきたい。そんなシノの提案に二人はなるほどと頷く。
「そうね、中に入れちゃうと厄介そうだし」
「その計画は悪くない。元を断たねば意味がないからな」
行動を決めた三人は人目に付かない小道へと入ると周囲を見渡した。その場所から空を見上げると数羽の鳩が羽を休めているのが見える。それを見止めた莉奈は口元に笑みを浮かべると自身の胸に手を当てた。
「人海戦術なら任せてちょうだい。ま、人じゃないけれど」
お道化た言葉をひとつ零して莉奈はその目を閉じるとす、と息を吸った。
「みんな、力を貸してね」
告げた途端、淡い光が風と共に周囲へ渡る。広がった波動の後で不意に頭上から聞こえたのは複数の羽ばたき音──胸に守りの魔法を携えた鳩達を莉奈は手に呼び寄せると、そっと『薔薇の意匠がついたアイテムの出所を探して』と告げた。
捜索範囲は一キロ圏内ほどになるが、それでも十分に探索できるはず──そうして帰ってきた鳩達は莉奈の服を摘むとあちこちに向かって引っ張った。
「きゃ、なに? どうしたの?!」
「む、これはあれかな。どこでもあったって事か」
シノの言葉に鳩達はクルッポと鳴いた。鳩達はどの方向へも連れて行こうとしている以上そういう事なのだろう。薔薇の意匠の付いたアイテムのどれに操られるかは特定はできなかったが、どこにでも売っている薔薇のアイテムからランダムに発生しているのかもしれないと予測が付いた。となれば販売元を断つよりもおびき寄せられる者の元へ直接出向いた方がいいかもしれない。
莉奈の周りを回る鳩達を落ち着かせた三人は名残惜し気な彼らに礼を言って別れると、改めて薔薇の城に通じる道へと歩き出した。勘ではあるが城に近い道ならば怪異に引き込まれている人を見つけやすい気がしたのだ。
その予想は正しいもので。
「あれじゃないか」
角を曲がった所でニナが声を上げる。そこに見えたのはふらふらと歩く何人かの少年少女の姿だった。複数の人々を止めるチャンスだと、ニナと莉奈は視線を交わすとすぐに彼らの後を追った。
「えーと、あの」
後ろから声を掛けては見たものの、少年達は相変わらずふらふらと歩いていく。どうも反応が悪い様で改めて莉奈は彼らの前に回り込むと、今度は礼儀正しく礼をした。
「こんにちは、お話いいかしら」
その言葉に彼らはようやくニナ達に気が付いたらしく、足を止めるとぼうっとしたまま会釈した。とりあえずは意識が有ると確信すると今度はニナが目の前で手を翳して小さく『言葉』を口にする。
「私の指を見て……」
人は指先を向けられるとそこに意識を収集してしまうものだ。そのまま催眠術を掛ける様に言葉を紡ぐと完全に少年達の足が止まった。その足止めはシノが仕事をするには十分なものだった。
忍び足で近づいたシノはぱっと薔薇の意匠の付いたブレスレットを取り上げて──その直後にあれっという声がした。きょろきょろと辺りを見回す少年達にニナはにっこり微笑むと優しく声を掛ける。
「ブレスレットが落ちていたようだ。汚れているし君らには別の物の方が似合うのでは?」
告げたニナが指し示すのは先ほど鳩達が連れて行こうとしたおかげで知った売店の方向だ。だからこそブレスレットを持ったシノに微笑みかける。
「そこのお兄さんが代わりの物を買ってくれるだろうから」
「えっ?」
「薔薇のアイテムを買い占める案もあったのだが、それが免れるとなれば安いものだろう?」
そう笑うニナに莉奈もまたくつくつと笑った。その様子を不思議そうに見ていた子供らを余所に、二人の笑う姫君の保護者であるシノは息を吐く。観念して歩き始めたシノがちらりと薔薇の城を望むと、奇妙な動きをする人は少なくなっている気がした。
僅かな異変の糸は確かに束ねられ始めている。奇怪を抱く薔薇の城はその糸を嬉しそうに手繰り寄せている気がした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ヘンリエッタ・モリアーティ
【WIZ】
にるぴ(f01811)と
えー!プラネタリウム楽しめないの?
今はお仕事の時間よね、残念
洗脳されてるって事は……
洗脳されやすいって人たちだから、「こっちも洗脳をかけることができる」かも?
あん、にるぴに力づくで殴られるのは可哀想。効きそうだけど
話しかけてお話を聴くついでに、肩を叩いたりして「こっちに」意識を向けていくわ
ある程度聞いたらカウントダウンね、どうもありがとう
じゃあ私が三つ数えたら今日は満足してお家に帰ってね
3、2、1
盗みの技術は結構もってるの
【親愛なる右腕】で腰にモランを忍ばせてたんだけど
ちゃんと薔薇を盗めたかしら
薔薇のお城もロマンチック
けれどまだまだ、満足できないわぁ
ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
ヘンリエッタ/f07026と
ふむ、プラネタリウムか。
こんな状況でなければ楽しんでいたところだが。
行くぞルビー。援護を頼む。
薔薇の意匠を破壊するならば、足止めは必須か。
力づくというのは避けたいところだが、この足取りが洗脳のせいあれば、口八丁は通じるまい。
足止めと女性や子供の相手はルビーに任せるとしよう。
……私一人ならやむを得んが、女子供に力づくというのは、どうにも良くない。
ルビーの方に意識を取られている間に、奪い取って叩き壊す。
【恐怖を与える】ことが出来れば、私でも隙を作ることは出来るかな。
ルビーの手が届かん相手がいるなら、そちらにも対応しよう。
花弁を装うタイルのひとつが落ちる陽に映えていた。その輝きを眩しそうに見上げた後でニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)は小さく息を吐くと独り言の様に呟いた。
「ふむ、プラネタリウムか。こんな状況でなければ楽しんでいたところだが」
「えー! プラネタリウム楽しめないの?」
不満そうに声を上げたのはヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)――否、彼女の中に潜むもう一人の人格『ルビー』だ。艶やかな唇の先を尖らせた彼女をニルズヘッグは落ち着いてなだめ、薔薇の城へと続く道へと足を向けた。
「行くぞルビー。援護を頼む」
「はぁい、今はお仕事の時間よね、残念」
心の底からの『ルビー』の嘆きを余所に二人は歩みを進め、ひとつの角を曲がった所でひとりの少女が歩いているのが目に付いた。年の頃は十四、五だろうか、そんな年頃の少女がひとりでこんな人通りの少ない路地を歩いていたのである。彼女の足取りはふらついており薔薇の意匠が付いたブレスレットを身に付けていた。その様子から怪異に関係しているとすぐに予測が付く。
「ビンゴ、かな」
「ああ、あの様子だと何かしらに惑わされているか……」
そんなニルズヘッグの言葉に『ルビー』はぱっと表情を明るくすると、閃いたとばかりに口を開いた。
「洗脳されてるって事は……洗脳されやすいって人たちだから、『こっちも洗脳をかけることができる』かも?」
接触と同時に『洗脳』を試みるのは難しいが、相手からある程度の話を聞いてならば可能かもしれない。徒労に終わる可能性も確かにあるが試してみる価値はあるだろう。
「確かに力づくというのは避けたいところだが……」
「あん、にるぴに力づくで殴られるのは可哀想。効きそうだけど」
お道化た『ルビー』の言葉にニルズヘッグは苦笑して、改めて先を行く少女との間合いをそっと詰めていく。あの足取りが洗脳のせいであれば口八丁は通じまい。けれども薔薇の意匠を破壊するならば足止めは必須だろう。
「足止めと女性や子供の相手は……ルビー、君に任せるとしよう。私一人ならやむを得んが、女子供に力づくというのは、どうにも良くない」
「はいはい、じゃあ行きましょ」
言葉の後でさっと少女に追い付いた『ルビー』は、その肩をぽんと叩くと後ろから彼女の顔を覗き込んだ。
「ねえ、ちょっといいかしら?」
「……な、に……?」
肩を叩いたせいなのか、意外にも少女はあっさりと足を止めると呆けたままだがたどたどしく返事を返してきた。少しは意識があるらしく、『ルビー』の方を向くとうろんげだが顔を合わせてくる。その様子に『ルビー』は手ごたえを感じる。
このまま話している間に仕込んだものを動かせば良い。
『ルビー』の考えた仕込み、それはヘンリエッタ達の優秀な右腕になろうと日々努力しているという幼竜のモランの事であった。主の意思を受けて召喚された彼はだらりと伸びた少女の手からそっとブレスレットを抜き取り、すぐさま後ろを振り返る。
少女が違和感を感じるその前に、いつの間にか側にいたニルズヘッグが幼竜からブレスレットを受け取ってすぐさま薔薇の意匠部分を叩き割った。
それはぱきりと小気味良い音を立ててあっさりと割れる。
うまくいった──そう思った瞬間だった。
薔薇の意匠が薄らと輝き、赤い糸になって解けたのだ。それは瞬く間にニルズヘッグの指をすり抜けて七本から一本の糸へと縁り変わり、真っ直ぐに薔薇の城へと向かっていく。同時に少女の体が糸の切れた人形の様にへたり込んだ。その体を慌てて支えるとニルズヘッグは声を上げた。
「なんだ、今のは?」
「うふふ、成程ねぇ」
やがて消えた光の方向を望むと『ルビー』は少女を道端に座らせて、その銀の瞳にとろりと秘めた意思を浮かべた。
「来いって事なんでしょうね。ご招待なのよ」
割れた瞬間に香ったのはまるで女の持つ香水の様だった。ならば薔薇の城で待っているのはお姫様かもしれない。そんな想像をしながらも『ルビー』はニルズヘッグを促して輝きを見せる城を望んだ。
「薔薇のお城もロマンチック。けれどまだまだ、満足できないわぁ」
微笑みを浮かべた女の顔は貪欲を貪るに相応しくひどく楽しそうだった。
大成功
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第3章 集団戦
『七人ミサキ』
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POW : 七人ミサキの呪縛
【 彷徨い続ける苦しみと生者への妬み】を聞いて共感した対象全てを治療する。
SPD : 道連れの呪い
【肉体を操作し、対象自身の手で】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : 呪殺の魔眼
【憎悪の視線】を向けた対象に、【自身の死に様を再現する呪詛】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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●七房:『七人ミサキ』
赤い光が壁に描いていたのは一輪の薔薇の姿だった。
それは薔薇の城と呼ばれる建物の真後ろに浮かび上がり、立ち入り禁止の柵を潜れば簡単に辿り着く場所だった。元々、建物を囲む垣根の様に木々が植えられていたおかげで発見されにくかったのだ。
赤い光の導きからこの場所を探し当てた猟兵達は、その不審な壁を調べようとして手を置き──突然空間が水面の様に揺れてそのままとぷりと飲み込まれる。
その様子にこの薔薇の場所こそが入口だと理解すると、猟兵達は中へ飛び込んで見えた光景に絶句する。
そこはプラネタリウムらしいすり鉢状のステージになった場所だった。恐らく収容人数を増やす為なのだろう。背もたれの無い座席が並び、プラネタリウムの機器があったと思しき最下段の真ん中に広場があった。そこに倒れた人々の姿があったのだ。
皆一様に薔薇の意匠を施されたブレスレットを付けているが、その中で微かな違和感を覚える。男、女、子供、大人。どんな人も混じっている様だがある一定の年齢と性別の物が見当たらない。
それは少女だ。少女と呼ばれる年齢の姿が見当たらない。否、『少女』は倒れていないのだ。
『……だれ』
『だれなの』
『だぁれ……』
唐突にプラネタリウムの中を木霊に似た声が満たしていく。それは探していた者の声だった。広場のちょうど真ん中でぐにゃりと虚空が揺らぎ、一本の手が伸びた。次いで現れたのは鋭利な刃物を手にした少女――顔に生気を見せぬその者は閉じていた瞳を開くと誘う様な口振りで言葉を紡ぐ。
『あなたはだぁれ……新しい『私』?』
『七人目の『私』?』
『新しい『私』……はやく、はやくして』
それはひとりが話している訳ではない様だった。少女は追いかける様に言葉を生みながら辺りに暗い靄を従えてゆっくりと産み落とされる。そうしてずるりと生まれた彼女は取り巻く靄と共に立ち上がった。
それは一体何なのだろう。人の形にも見えるし単純な靄──闇にも見える。そのひとつがふわりと大きくなった瞬間、一閃が閃き、闇が割れた。
「違うわ、今度は私の番」
あなたじゃなくて、私が殺すの。
いつの間にか身に纏う衣服には糸のような紅が昇り、それが鮮血であったのだと気が付いた。
「私はミサキ……。あなたも私(ミサキ)になってくれる……?」
赤い瞳が猟兵達を睥睨すると、そこには明らかな憎しみの色が宿っていた。
ファンゴ・ネラロッサ
キャーおばけー。被害者に特定の年齢層がいないのは自分が成り代わるためとか?ヤダこっわ。しかも血生ぐさっ。
オレそう言う血みどろバトルするタイプじゃないんだよね
【コンパーニョ】に入ってるから本体は血を浴びないけど気分は良くないし、頑張って近付けないように倒すかー
【人形ムーブ】
【星の欠片】を【念動力】で操って【一斉掃射】【範囲攻撃】
呪いに抵抗できそうなら頑張るけど、駄目そうなら勘で分かるかな
そういう時は無駄に抵抗しないでやられたフリ
【オベラツィオン・マブカル】の発動で【だまし討ち】してあげよう
人形にやられたフリさせてる間に【忍び足】と【迷彩】で【目立たない】ように移動、死角に回り込んで【暗殺】!
クーナ・セラフィン
道連れ、心中。その辺りかなこの怪異の本質は。
花の国の妖精にしては少々、かなり物騒だ。
生憎キミ達の道連れになってあげられないんだ。
少女というにもちょっと厳しく、何より猫だしにゃー。
…最初っから眼中になかったらそれはそれでイラっとするけども!
まあここの人の無事の為、頑張ろうじゃないか。
可能なら他の猟兵と協力。
視線が怖いのでUCで花弁と吹雪を放ち視界を潰す。
特に直接目があったら強烈に呪い受けそうだしなるべくスライディング活用したりして動き回り攪乱。
もし相手に猟兵達がつけたのでない傷があるなら呪詛の傷も同じ位置に来ると予想、その部位を庇い被害抑制。
戦闘後一般人の無事を確認するよ。
※アドリブ絡み等お任せ
その場所では天球を示す光がすっかり消えていた。
それなのにはっきりと姿を見せる少女の亡霊は、その赤い瞳に暗い焔を宿したままで猟兵達をねめつけていた。冷たく射抜く様な視線のままで一歩を踏み出した相手にファンゴ・ネラロッサ(『正体不明』のヒーロー・f17584)はひゅういと口笛を鳴らした。
「キャーおばけー」
お道化た物言いを告げてひょいと手すりに飛び乗るとからからと笑ってやる。正体不明のヒーローが紡ぐのは眼前の少女が見せた動向の素直な感想だった。
「被害者に特定の年齢層がいないのは自分が成り代わるためとか? ヤダこっわ。しかも血生ぐさっ。オレそう言う血みどろバトルするタイプじゃないんだよね」
あれと戦うとなればそんな血で身が汚れるかもしれない。だとしてもヒーローならば放っておける訳はない。が、返り血を浴びるのは気分が良くない。ならば近づかない様に戦えば良い。
そう彼が決断する間に先に動いていた亡霊はその魔眼でファンゴを捕えていた。それは憎悪に染められた呪殺の魔眼──認識が一歩遅れた瞬間、ファンゴは自身の腹に燃える様な熱を覚えた。
熱い。千切れる。震える。
そんな感覚がブラックタールである彼の腹部へと現れ、鋭利な得物でそれを突き破りたいと思った。切り裂く得物は例えるならば目の前の少女が持つ刃で『切り裂きたい』。
ぞくりとした感覚が背を駆け、人形の中で腹が裂ける。ああ、これがこの少女の見た死──そうして膝を付いたファンゴの前にふわりと泳ぐ尻尾が見えた。己が得物を携えて相手との間合いを詰めたのはクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)だった。
(「道連れ、心中。その辺りかな、この怪異の本質は」)
靄の仲間を従えて心のままに生け贄を貪る者──相手の手に在るナイフはべったりと血に塗れ、これまでに被害者が存在していた事とを示している。花の国の妖精にしては少々、否、かなり物騒な事である。
だからこそ見逃す訳にはいかない。
「生憎キミ達の道連れになってあげられないんだ」
告げたクーナの手が白き雪と百合の装飾を持つ銀槍と飛ぶ。その切っ先は雪混じりの花を吹雪と生み、眼前の七人ミサキの足を瞬く間に氷で覆った。地面と張り付いた訳ではないがその氷痛は確実に七人ミサキの顔を苦痛に染めた。
『この……!』
でたらめに刃を振り回す敵の姿にクーナはフンスと鼻を鳴らして得意げな顔をすると倒れたままのファンゴに視線を送った。
「さあさあ、ここの人の無事の為、頑張ろうじゃないか!」
大立ち回りとして引き受けよう。そうして『気が付いた』クーナが改めて地を蹴った。間合いを詰める為だと思った亡霊が身構えた瞬間、ケットシーの体は後退する。
「えっ……」
亡霊が言葉を零したその後にその眼光が大きく開かれる。彼女が見たのはいつの間にか肉薄したファンゴの姿だったのだ。息を吐く暇も有らばこそ、星の欠片を携えたファンゴは素早く亡霊の身を一閃する。淡く揺蕩う亡霊の身に鮮血の花が咲いていた。
『おおおおおおおおおおおおお!!!』
咆哮が満ち憎悪が猛る。
その一閃にクーナは改めて得物を構えると眼前で髪を振り乱す亡霊の姿をねめつけた。ギラギラとした殺意をより一層滾らせた七人ミサキはその身から血潮を流しながらも猟兵達を睨み付けていた。
大成功
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木槻・莉奈
【Adv】で参加
WIZ選択
残念、私は私よ、あなたじゃないわ
同情で落とす命は生憎持ち合せがないの、大人しく眠ってちょうだい
ニナにもシノにも、触らないで
倒れている一般人は巻き込まないように注意し、巻き込みそうな位置にいる人は『救助活動』にて移動
『高速詠唱』『全力魔法』『先制攻撃』、風の『属性攻撃』も付与し【神様からの贈り物】
攻撃対象は敵全体
敵の攻撃に対しては『見切り』で回避
回避不可の場合『呪詛耐性』他耐性系技能で耐える
シノが操られた場合、黒剣に蹴り入れるなりユーベルコードぶつけるなりで軌道を逸らす
シノが起きる前に距離を詰めてくる敵にはユーベルコードで集中攻撃
戦闘後、一般人含め必要なら『医術』で治療
シノ・グラジオラス
【Adv】で参加
SPD選択
咄嗟に、でも不自然なく少女と同じ年代のリナとニナを背に『かばう』
7人の妖精…アンタらが先か後かは考えたくないもんだな
俺が操られたら2人が容赦なく止めてくれるだろ。頼りにしてる
一般人は巻き込みそうで余裕あれば『怪力』で持ち上げて物陰に追いやる
【襲咲き】を使って2人より行動を遅らせる
『聞き耳』『視力』で敵の様子を確認し、
ダメージが多い>自分に近い個体を『2回攻撃』で確実に狙う
呪いは『見切り』『野生の勘』『呪詛耐性』で操られないように抵抗するが、
不可なら2人に情けない姿は見せられないんで『激痛耐性』で堪える
戦闘後に余裕があれば黙祷でも捧げとこう
これ以上迷わずに眠れるように
ニナ・グラジオラス
【Adv】で参加
WIZ選択
どう言う理由でお前達が集まったのか私は知らない
だが生憎、七人目にはなってあげられんな。もちろんリナも貸してすらやれんぞ
『先制攻撃』『高速詠唱』『範囲攻撃』の【ウィザード・ミサイル】で敵を可能な限り万遍なく攻撃
ただし、有事の時用に魔法の矢を2・3本だけ残しておく
シノが操られたのなら、その腕に容赦なく残しておいた魔法の矢で打ち抜いて『武器落とし』する
『見切り』『第六感』で魔眼に気付けたら遮蔽物(主にシノ)の影に隠れるが、
ダメだったら『激痛耐性』で耐えるしかなさそうだ
一般人は巻き込まないように、リナに倣って『かばう』と『救助活動』で手伝う
戦闘後可能なら『医学』で怪我人を治療
続いた背中を望むと木槻・莉奈(シュバルツ カッツェ・f04394)は己の得物を構えて眼前に増えつつある異形へと視線を向けた。その新緑の瞳が捉えるのは先ほどまで一人であったミサキと名乗った者が実際には七人であったという事実だ。靄が形を取り、周囲の仲間達へと襲い来る中で、彼女達【Adv】にもその狂刃が近づいていた。
『だあれ……あなた、私……?』
「残念、私は私よ、あなたじゃないわ。同情で落とす命は生憎持ち合せがないの、大人しく眠ってちょうだい」
告げた莉奈は己が得物を構え、相手を見据えて静かにそう言い放った。その間にちらりと視線を周囲へ向ければ彼らがまだ息をしている事に内心安堵する。確かに犠牲者はいるのはわかった。だが、それが全員ではないならば自分達の行動はひとつだ。
倒れる人の合間を縫って駆けた莉奈の口元が引き締まる。
「ニナにもシノにも、触らないで」
肉薄した七人ミサキの眼前で莉奈の手にあった青紫の刃が白く輝いた。途端、それは多弁の白き花と散る。甘く香るその花はまだ見ぬ誰かを誘う夢香ではなく切り刻む為の刃と果てる。
「過ぎ去りし日は戻らぬ幻想。過去は過去へと、還りなさい」
告げた少女の頬を掠めて花は亡霊の肉を裂く。吼えるならば獣の悔恨ではなく末代までの祟りと震えるか。靄の体が徐々に現実を帯びて緋色の雫を散らす中で、別の異形と対峙していたニナはその手に竜騎士の槍を携えていた。
すでに槍となってしまえば先ほどまであったカガリの温もりはわからない。だが、その時に結んだ信頼は見えずともニナの中にしっかりと在る。その絆を胸にくるりと槍身を廻すとニナは瞬きをして言葉を口にした。
「どう言う理由でお前達が集まったのか私は知らない」
その経緯を、その理由を、その悲哀を。知るには些か時が無い。けれどもはっきりと言える事はある。懇願してくる者の手を振り払うのは心苦しいがそれでも譲れないのは理由があるからだ。
「生憎、七人目にはなってあげられんな」
その言葉にナイフを携えた靄が大口を開けた。見る間に七人ミサキとしての身を完成させると絶叫と共に間合いを詰めてくる。その顔にニナは至って冷静な視線を向けると己の指先を擦った。
瞬間、その周囲に百はあろうかという炎の矢が出現する。
その光景に七人ミサキの顔がこわばるがニナは静かに手を振り下ろした。そうして星無き天球室に生まれたのは絶叫を生む箒星に似た燃える矢の落星だった。
轟音と共にその攻撃が止むと今度は黒い影が躍り出る。それは己が血を纏わせた黒剣を振り上げたシノである。
「踊る覚悟は出来てるか?」
告げて振う刃は易々と七人ミサキの腕を斬り飛ばす。消失と痛みと。苦痛に歪む顔を望んだままシノはさらに前へと踏み込んだ。一閃の後に続くのは二の斬。そうして、女の首が飛んだ。
「七人の妖精……アンタらが先か後かは考えたくないもんだな」
溶けていく亡霊の体を望みシノは息を吐いて独り言つ。
さあ、まずは一体。次は──。
「シノ!」
「ったく!」
ニナの声がした途端、シノは舌打ちをして走り出す。それが早いかどうかはわからない。ただ、結果として飛び出した直後にその精神が揺さぶられていた。
目が熱い。腹が歪む。
歪な感覚が体を支配し、それが魔眼の効果なのだと引きちぎられそうな精神で理解する。哄笑が聞こえた方を見ればシノに標的を変えたらしき別の七人ミサキの姿があった。
(「二人に……情けない姿は見せられないわな
……!」)
腹を刃で切り裂きたい衝動に蝕まれながらも、シノは歯を食いしばり抗おうと自身の刃を制止する。燃える痛みは嘲笑う様に腹の上を這いずり、それが少女の感じた『死』なのだと伝えてきた。
分かちたい。
自分の身を裂き、中身を取り出してしまえばなんと甘き甘露だろうか。
ぎちぎちと鳴るシノの得物は血潮の歓喜を待ちわびる狂刃の様だ。抗いがたいと感じたその瞬間、再び飛来した炎の矢がその切っ先を弾き飛ばした。
「シノ、しっかり!」
その声に顔を上げれば眼前に立つ少女達が七人ミサキとの間に壁となっているのが見えた。燃える矢と眩しい程に輝く鋭利な花の刃が彼の目の前で亡霊を消していく。
「あと……どれぐらいだ……」
「わからない、でも他のみんなも倒してくれているはずよ」
互いの傷を確認し視界に入る仲間達の姿に唇を噛み締める。七人ミサキはあと半分はいるだろうか。莉奈達は自分達の回復を試みると再び戦場へと刃を向けた。
大成功
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ベイメリア・ミハイロフ
狭霧さま(f03862)と
他のお仲間さまとの連携・共闘歓迎いたします
果たして、この少女をお倒し申し上げれば
ここへ来た筈の少女達をお救いできるのでしょうか…
兎に角、一旦お止めしなければなりませんね
攻撃はジャッジメント・クルセイドにて
魔眼を封じられないかどうか、目を狙ってみます
お相手の攻撃は
呪詛耐性を生かしつつ
第六感で気配を察知するよう努め
回避又はオーラ防御にてダメージ軽減を狙います
呪いは可能ならば絶望の福音にて先見し
狭霧さまと手を繋いで
お互い、自身を攻撃せぬよう制止を
強く気を持ち頷き合います
まあ、七人ミサキ、とは
そのようなお話があるのでございますね
しかしなぜ、この場で…
お時間があれば調べてみたく
朝沼・狭霧
ベイメリア(f01781)と
他のお仲間との連携・共闘歓迎
あれは七人岬?
伝説によれば海で死んだ人の死霊とか
あー、あの子倒せば女の子は帰ってくるのかしら?
小さくため息を飲み込み気持ちを切り替えます
どちらにしろ倒さないとここにいる全員に被害が及ぶ
それは避けなくては
自分の頬を叩き気合を入れます
ベイメリアの手をつなぎ
もしベイメリアが自傷しそうになったら体当たりで
とめます
しっかりしなさい、大丈夫よ私がついてるもの
ベイメリアと視線を合わせうなずきます
サモニング・ガイストで
古代の霊を召喚し攻撃してもらいます
出てくる古代の霊は7人の小人たち
ハイホーハイホーいきますよっ
手数重視で相手の行動をなるべく阻害したいです
その瞳は赤く赤く。
血潮を滴らせてもなお辺りに蠢く者に朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)は眉根を寄せた。何故ならその後ろに生まれていた靄が形を作り始めていたからだ。それは彼らが異変を理解する前にいくつかの身に分裂し、やがて少女の姿へと生まれていく。
「あれは七人ミサキ?」
伝説によれば海で死んだ人の死霊とか──今回の敵が符合するものであるかはわからないが、眼前の亡霊はかつて聞いた者に似ている気がする。そう狭霧が口にするとベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は驚いたような顔をして声を上げた。
「まあ、七人ミサキ、とはそのようなお話があるのでございますね。しかしなぜ、この場で……」
眼前に立つ亡霊は赤い瞳で猟兵達を見つめている。その目に燃えるのは暗鬱な恨みだけだ。どうしてという答えがわからぬままに殺意を剥き出しにした相手にベイメリアは首を振ると願う様に告げた。
「果たして、この少女をお倒し申し上げれば、ここへ来た筈の少女達をお救いできるのでしょうか…」
「あー、あの子倒せば女の子は帰ってくるのかしら?」
狭霧もまた疑問を口にする。現状それはわからないがそのままにしておく訳にはいかない。
「兎に角、一旦お止めしなければなりませんね」
悲しそうな色を瞳に見せたベイメリアだったが、それでも希望を持って得物を構えると間合いを詰め始めた亡霊と改めて対峙する。そんな姿に狭霧も吐きかけた溜息を飲み込んで、己が得物を構えて前を向いた。
どちらにしろ倒さなければここにいる全員に被害が及ぶだろう。それは避けなければならない。気合を入れる様にぺちりと自分の頬を叩いて狭霧はベイメリアを振り返る。
「行きましょう」
告げた後にオラトリオは地を蹴った。次いで赤い聖職者が己が指先を亡霊へと向ける。
天よ、天よ、指し示す先に光を──ひゅう、と空気が動いた直後に疑似天球から光が下りる。それは天からもたらされた裁きの光だった。
『が、があああ!!』
まともにその輝きと熱を受け、ようやく実体化していた亡霊の身はみすぼらしく焼け焦げていた。怒り狂った七人ミサキは声を上げ、焼け爛れた顔に宿る憎悪の瞳が光を落としたベイメリアへと飛ばされる。
その悍ましさ、痛ましさは、ベイメリアの美しい新緑の瞳を射抜いていく。そうして伸びてきた苦痛は何も覚えておらぬ彼女の精神を食んだ。
熱い。熱い。熱い。熱い。
燃えているのだろうか。痛みも同時に腹を這いずりまわっていく。右から左にぱっくりと一直線に裂けた様な痛みが眼球に生理的な潤みを与え、ともすれば零れてしまいそうな涙を生んだ。彼女に痛みへの堪え性がなかったわけではないだろうが、それでも込み上げるのは体が痛みを信じてしまったからだ。
ただ思うのはこの手で腹を裂きたい──否、そんな事をしてはいけない。
ひゅうと息を吸い念じていた。そんな呪われしものにわが心は有りや。否、ならば侵食される場合では。
「しっかりしなさい」
沈みかけた意識をより強く掬い上げられたと思った。気が付けば手を握っていた狭霧の顔にはベイメリアを叱る様な表情が見える。その顔が在った事にベイメリアは心底ほっとした。
「さぎ、りさま……!」
「大丈夫よ私がついてるもの」
握り締めた手が痛くてそれでも心地よいと思った。見止めた視線に頷き合うと一時だが戦を忘れる。
それでも。
思い起こさせたのはその頭上に影を見たからだ。
吼えたのはいつの間にか近づいていた七人ミサキだった。その手が呪いを纏ったままに振るわれようとしたその時、狭霧の唇がはっきりと呪を紡ぐ。
「ハイホーハイホーいきますよっ」
出現したのは古代の霊と思わしき小人だ。それは手に手に槍を持って飛び出すと七人ミサキに襲い掛かる。その攻撃が致命傷だったのだろう、七人ミサキは射抜かれた心臓を驚いた表情で見た後で一言漏らして崩れていく。
『わ、た、しは、どこ……』
ざあっと崩れて居なくなった亡霊を一瞥し、狭霧は改めてベイメリアを立たせると大丈夫かと声を掛けた。覗き込んだ瞳にまだしっかりとした強い意志がある。
「行きましょう、終わらせなくては」
七人ミサキの残りは残り僅かになっている。それを確認した二人は互いの無事を確認して再び戦場へと駆けた。
大成功
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ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
全くもって悪趣味な。
貴様になるのは、御免被るよ。
はいはい、仰せのままにだ、プリンセスよ。
相手を縛りあげておいてもらえるならば都合が良い。
腕に竜気を纏わせて、【ドラゴニアン・チェイン】を叩き込んでやろう。
ふはは、これなら暴れられまい?
思い通りになるつもりはない。嘆きも苦しみも聞き飽きたのだ。
これ以上、そんなものに囚われる奴を増やしてたまるかよ。
お膳立ては済んだ。
任せろ。貴様の攻撃は確実に当てさせてやる。
やれ、ルビー。
ははは……こいつはプリンセスってより、クイーンだな……。
ヘンリエッタ・モリアーティ
【WIZ】ニル(f01811)と
あは!「あなた」に成るですって?
お断りだわぁ、お嬢さん。私は「わたし」で精いっぱいなのよ!
でもいいわ、相手をしてあげる
自分の実感がないなんて、可哀想だもの――よく、気持ちはわかるわぁ
出来る限りワトソンで拘束しましょ
にるぴ♡力業は男の人の特権じゃなァい?ほらほら、さっさと倒しちゃって!
ちゃんとやるわ、私もやるけどぉ……あんまり見ないでね?「可愛くなくなる」んだものぉ
おこぼれは【犯罪王の代理人】で喰らいつくしてあげる
死に様も生き方も私に「自由に」決めさせてちょうだい
あなたの想像力じゃ安っぽいの
殺した数が圧倒的に足らないわぁ「私たちに比べたら」!
――出直してきなッッ!
その唇は甘き者を見付けると可笑しそうに弓月へと吊り上がった。
「あは! 『あなた』に成るですって? お断りだわぁ、お嬢さん。私は『わたし』で精いっぱいなのよ!」
心底楽し気に言葉を紡ぐ女は誰か。四つ葉の様に分かたれた自我を握り寄せるだけで精一杯だと宣った女は、己が身に宿る狂犬を愛おしそうに引き出した。その首を擽り頬に寄せると彼女は楽しそうに告げる。
「でもいいわ、相手をしてあげる。自分の実感がないなんて、可哀想だもの――よく、気持ちはわかるわぁ」
にいと微笑む女の身からぞるりと捉え難い『ワトソン』が生まれる。それは彼女が飼い馴らすモノ。誰かの忠犬であったというその『獣』は今の主であるヘンリエッタの心のままに狂牙を見せる。
それが動き出す前に亡霊達はそれぞれに道連れの呪を放とうとしたが一足早く動いた影に掴まった。
どんっと地響きが鳴る程に壁に押し付けられた七人ミサキの一体が砂の様に崩れ去る。それでもまだ息のあるもう一体を己の得物で壁に叩き付けると女は囃す様に声を上げた。
「にるぴ♡力業は男の人の特権じゃなァい? ほらほら、さっさと倒しちゃって!」
「はいはい、仰せのままにだ、プリンセスよ」
そう告げたニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)は、自身の得物を構えて息を吐いた。がっちりと拘束された亡霊に向かい己が得物の切っ先を突きつける。
『わたし、私なのに、どぶぢで!!!』
「まったくもって悪趣味な。貴様になるのは、御免被るよ」
告げたニルズヘッグは腕に竜気を纏わせると亡霊へと解き放つ。その直後に女が飛び逃げ、次いで爆発が暴力の花と身を裂きその腹に深々と鎖を結ぶ楔が突き刺さしていた。
「ふはは、これなら暴れられまい?」
『わたし、わたし、わたしがほしい、だけ、わたしぃ!』
返ってきた言葉は悍ましく猛り狂っていた。欲しいものを叫び、その歪さを願い、吐き出しながらただひたすらに乞う。それはまるで愛の様ではないか。だがそれでも、ニルズヘッグは手を緩めるつもりは無かった。
「思い通りになるつもりはない。嘆きも苦しみも聞き飽きたのだ。これ以上、そんなものに囚われる奴を増やしてたまるかよ」
男の手がぎっちりと突き刺さる鎖を軽く引き、壁から七人ミサキの身を引き剥がすと静かに声をかける。
「お膳立ては済んだ。やれ、ルビー」
告げられた名前にふらりと立ち上がったヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)──否、これまでもそこに在た『ルビー』ははにかむ様に口を開いた。
「私もやるけどぉ……あんまり見ないでね? 『可愛くなくなる』んだものぉ」
しゃなりとしなをつくった『ルビー』はかつりと足音を立てながら亡霊との間合いを詰めていく。一歩と狭まる間にころころと宝石のように零れていくのは彼女の中に渦巻くモノだ。
「死に様も生き方も私に『自由に』決めさせてちょうだい。あなたの想像力じゃ安っぽいの」
飢えているから望むのよ。満たせど足りないと知っているのに。
欠け落ちて零れる物を見付けるにはお前ごときでは足りないの。
だって私(オマエ)は。
「殺した数が圧倒的に足らないわぁ、『私たちに比べたら』! ――出直してきなッッ!」
一喝した直後に『ルビー』の身から『それ』が溢れた。
往々に縁るお伽話においてどんな場合でも『獣』は現れるという。それは悪徳の象徴であり眠る前のひと時に妖精が悪戯で見せる物でもある。妖精は時として語り部の中に居座りその悪徳を示せと誑かすのだ。
その具現がこの漆黒の狼であるというのならば、そこに現れた獣はまさしく悪徳であろう。
「お腹が空いたの、私たち」
だから、お願い。
異形と化した『ルビー』の手が七人ミサキの身を切り裂くと金切り声が辺りに満ちた。それは、細く細く伸びてぱちりと音を立てて消えていく。
「ははは……こいつはプリンセスってより、クイーンだな……」
苦笑と共にニルズヘッグが口にした呟きは聞こえようが聞こえまいが、消えゆく亡霊には関係のない事だった。亡霊の体はどさりと音を立てて片膝を付き、後には握られていたナイフが残るのみだった。
「はぁい、終わり♡」
ぺろりと舌を出した『ルビー』がそう告げた途端、周囲を一瞬の風が吹き抜ける。猟兵達がその風に身を庇った後で恐る恐る顔を上げると、そこにはこれまで倒れていた人々の他に新たに現れた少女達が眠っていた。その様子に事件が終わったのだと知ると猟兵達の間に安堵の声が上がる。
七人ミサキによる遊園地の異変。それが今回の予知──こうしてUDCアースで発生した怪異は見事猟兵達によって解決されたのだった。
大成功
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