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妖怪が現れる古井戸

#サムライエンパイア


●古井戸での行方不明事件
 サムライエンパイア。
 その世界の某所、のどかな村の外れに、放棄された古井戸がある。
 村にはすでに新たな井戸が作られており、そちらが主として利用されている。
 古井戸からはつるべ落としや桶が取り外された上で中に水が流れ込まぬようにしており、枯れ井戸となっていた。
 それもあって子供達の遊び場ともなっていたのだが、最近、村の住民の間で不穏な噂が流れている。
 なんでも、この井戸に妖怪が出現するのだとか。
 その姿は、目撃者によって異なる。
 まず、妖怪を見たと主張する子供達は、古井戸からいくつもの丸い物体が出てくるのを確認したとのこと。
 また、古井戸の近くを通りがかった旅人の話では、着物姿で血に塗れた長刀を持った女性の姿だったとか。旅人は命からがら逃げてきたと主張している。
 最初は噂話でしかなかった古井戸の妖怪騒ぎだが、ある時から村の子供や旅人の剣士が行方不明になる事件が起こり始めてしまう。
 彼らは帰ってくることがなく、妖怪に食べられてしまったのではという憶測まで飛び交う始末。
 妖怪の存在に信憑性が増したことで、村では注意喚起の立て札を立て、古井戸周辺を立ち入り禁止とした。
 その上で、村長はお上へとその調査を託すことにしたのである。

●古井戸には何が……?
 その事件解決の依頼は、グリモアベースにもたらされることとなる。
「不気味な事件ね。古井戸に近づく人が行方不明になるなんて」
 サムライエンパイアから依頼を持ち帰ってきた、金髪エルフの少女、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)が主観を交えて依頼を斡旋する。
 事件に興味を示したケルベロスへ、セレインは見聞きした情報をメンバー達へと説明していく。

 場所は、現場となる村の外れ。
 使われなくなった古井戸の周辺で、子供や旅人の行方不明事件が起きている。
「この辺りには、妖怪が現れるという噂が前々からあったようね」
 事件が起こる直前から、その辺りに妖怪の出現情報があったようで、村人達もあまり近寄ることはなかったのだが……。
 子供達は止めれば止めるほど、興味津々に近寄ってしまうもの。
 元々、子供達の遊び場にもなっていただけに、彼らが古井戸に興味を示すのは想像に難くない。
 また、村を訪れる旅人の剣士もまた、何人か行方知れずになっているそうだ。
「村の大人達は事件を受けて、古井戸には近寄らなくなってしまったわ」
 ともあれ、行方不明になった子供や旅人剣士の安否を確認したいところ。
 また、村人達も安心して暮らすことができようにする為にも、妖怪の正体を暴き、全容解明に当たりたい。
「どうか、古井戸の調査に協力を。よろしくお願いするわね」
 最後にセレインは深々と頭を下げ、猟兵達へと依頼への参加を願うのだった。


なちゅい
 猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
 当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
 サムライエンパイアのとある古井戸で妖怪出現の噂が流れる中、行方不明事件がおきておりますのでその調査を願います。

 こちらのシナリオは、
 第1章は、今は使われていない古井戸の調査。
 第2章は、「蒐集者の手毬」との集団戦。
 第3章は、「血花の紅鬼姫『真千代』」とのボス戦の流れです。

 まず、古井戸の調査を願います。
 直接の調査の他、近隣住人などの聞き込み、周囲の地形調査などを行う形かと思います。他にも、有効なプレイングがありましたら、採用させていただきます。

 章間はプレイングの幅を広げる為の情報を加筆しますので(前章終了から半日以内を目途に)、そちらが確認できましてからプレイングを手掛けていただければ幸いです。
 最速のプレイングが届いてから、そちらが失効する前(3日以内)にリプレイを執筆いたします。

 シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
 それでは、行ってらっしゃいませ。
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第1章 冒険 『古井戸』

POW   :    井戸に入る

SPD   :    村人に聞き込み

WIZ   :    井戸が何処に繋がっているのか調べる

👑11
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神宮寺・絵里香
≪心情≫
・虎穴に入らずんば虎子を得ずと言うし、まあ入ってみるか。
・オレなら万が一水があっても平気だからな。
 水によって遮られてている場所があっても歩いて渡れるから
 まあ色々と探せるだろう
・まあ、妖物退治は専門だ。問題ない

≪調査≫
・属性攻撃・雷で短槍の先に雷光を宿して松明代わりにして
 内部調査だな。
・一応高速詠唱からのUCで水の上を歩く力を発動。
 万が一水が残っていても問題ないようにする。
 水を氷にして足場にもできるようにする。
・世界知識と妖怪に関する戦闘知識を基に古井戸の中にある痕跡から
 敵の種類などを情報収集する。
・危険な箇所や囚われた人が居そうなところに関しては第六感、
 巫女の勘で探る。



●古井戸の中には何が?
 事件の話を聞き、最初にこの地へと訪れた黒いショートヘアの巫女、神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)。
 早いタイミングで現場となる村を訪れた彼女は1人、調査を始めることとなる。
「虎穴に入らずんば虎子を得ずと言うし、まあ入ってみるか」
 情報によれば、古井戸はすでに枯れ井戸になっているという話である。
 ただ、仮に水があっても、水を操る力を持つ絵里香であれば問題はない。水によって遮られた場所であれ、彼女なら歩いて渡ることもできる。
「まあ、色々と探せるだろう」
 妖怪の噂があるというが、妖怪退治は専門の絵里香。
 これほど、うってつけの依頼はないと彼女も考えていたようだ。

 古井戸をのぞき込む絵里香は短槍の先に雷光を宿して松明代わりとし、中を照らす。
 目視で底が確認できる程度の高さで、だいたい5m程度といったところか。
「やはり、枯れ井戸というのは本当か」
 一応、ユーベルコードを使い、水の上を歩くことができる力を発動させていた彼女だが、その必要はなさそうだ。
 中へと入る絵里香は生み出した水を足場としつつ、慎重に降りていく。
 しばらくして、底へと降り立った絵里香はすぐ、横に穴が開いていることに気づいた。
 明らかに破壊されて作られた穴を、彼女はくぐろうとすると……。
「…………!」
 絵里香は直感で危機を察し、井戸の方へと戻る。
 その先にある空洞に、彼女は丸い物体がいることを感じて。
「『蒐集者の手毬』……か」
 それは、品物ならず、人間すらも集めるというオブリビオン。行方不明事件の一因がこいつによるものなのは間違いない。
 とはいえ、その数は多すぎた。
 正確な数はわからないが、さすがに1人で戦う数ではなさそうだ。
「もう少し情報が欲しいが……」
 さすがに今のままでは戦力が足りず、無策に飛び込むわけにもいかない。
 絵里香は後続に期待しつつ、この場は敵の観察を行うことにしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

逢坂・理彦
行方不明者がいるなら早くなんとかしないとだね。次の犠牲にも繋がりかねないし。

まずは、その古井戸の方を覗いてみようか。
底は見えないけど【聞き耳】で気になる音がないか耳をすましてみよう。
んー中に危険な何かがいるなら動物達にお願いするわけにもいかないし。
地道に人に聞いてみるか…。
子供の証言と旅人の証言が違うのも気になるところかな?

やぁ、そこのお兄さんちょっと聞いてもいいかな?【コミュ力】
あそこの井戸立ち入り禁止だけどなにか心当たりとかあるかな?よかったら教えて欲しいんだけど…(無自覚【誘惑】)

アドリブ連携歓迎。


アオイ・ブルームーン
【アドリブ、連携、バッチコイです。和風ホラー苦手系少女です】

【SPD】

妖怪なんてオカルトじゃない! ナンセンスよそそそんなのいるわけ無いじゃない! きっとオブリビオンの仕業に違いないわ。

……ってことで、そういう場所に繋がっていないかどうか、調査しようと思うわ。井戸が作られた時期、作った人物、そういったことは解るはずよ。‥この時代だと人に聞いた方が早いかもしれないわね、あるいは立場の高い人に聞く必要があるかも。グレイ、【礼儀作法】アシストお願い。


オリガ・スチェッキン
井戸に薙刀持った女? そういう妖怪か何かなのか。
それにしても、井戸の周りで子どもが遊ぶのはいいが落ちたら大変だぞ。

・POW
まあ入ってみるのが話は早いだろ。
壁をよじ登ったり降りたり、そういうのは得意なんだ。
入る前にちょっと石を落として深さがどのくらいか確かめる。

用意したロープを降ろしてラぺリングで降りるよ。
夜目が利くから照明の必要なし、
鼻も利くからなんか嫌な臭いがしないか気にしておく。

下にはなにがあるんだかね。


宮落・ライア
んー古井戸?
行方不明?
引きずり込まれてるんだろうけど、絵面が完全にホラーだね。
夜には見たくないな…。

さってっと。
じゃ井戸に向かってヤッホー!
反響音的にどこかに抜けてたりとかしない?
するなら降りる。
しないなら周辺に血とか争った後とかないか地面を調査かなー。

それで何も分からなかったらもう野生の感に頼るしかないな!
考えるよりも直感で動くのです。


雛菊・璃奈
WIZ

物理的、魔術(呪術)的、両方の観点で井戸が何処に繋がってるか調べるよ…。
先ずは井戸を作る際に引いた経路図や施工図をお役所の方で調べるかな…。
天下自在符を出せば拒まれる事は無いはず…。
メイドの6人にも手伝って貰って調査するよ…。
みんな手伝ってね…。
「りょうかい~」
「あいあい~」
「いぇっさー」
「頑張ります!」
「メイドは張り切ります!」
「ご主人様の為に!」
そこまで気合入れなくても…。


後は実際に井戸の方で魔術的な歪みや痕跡が無いか霊魔のレンズで痕跡を視覚化して、探知術式【破魔、呪詛、高速詠唱、全力魔法】で追跡・確認かな…。
子供達、まだ救出可能だと良いんだけど…。

※アドリブ等歓迎


バルディート・ラーガ
フーム。古井戸の周りで行方不明ともなりゃア、まずは井戸の中身を疑うのが定石でしょうぜ。ましてやヨーカイの目撃情報があると来りゃア、なおのこと怪しいですねエ。

UC【這いずる朽縄】で蛇を生じさせ、井戸の底まで潜らせて調査しやしょ。
蛇は暗がりでも熱を感じてモノを見ることができやす。暗アい暗い井戸の底であろうとも、なンかしらの痕跡を見つけてやりてエとこですが。

もしもあっしら自身が底まで降りる必要がありやしたら、そン時は「ロープワーク」の出番。ご近所からちょいとばかし縄を分けて頂いて、ちゃっちゃっと縄梯子でもこさえてやりやしょう。

(アドリブ・連携等歓迎)


喜羽・紗羅
アドリブ歓迎
POW

何で俺が出なきゃならねえんだよ
「あなたの方が得意でしょ、こういう世界は。それに何だか、暗いし!」
それは俺も一緒だっての。まあいい、やってやるさ

先ずは簡単に聞き込みだ。凄みが無ぇ分難儀しそうだが
こういうのは少しでも情報が欲しい所よ

終わったら井戸に入って調べものだ
ああおめえさん、縄ねえか?
なぁに、こん中調べてやろうってんだ
心配すんな、こちとら井戸掘りくらいやった事あらモゴゴゴ!
(少なくとも私はありません! 人の身体で勝手な事言わないで!)
今は俺の身体でもあるんだがなぁ

井戸に入ったら太刀を抜いて、妖怪の類に備えとこう
死体とか転がってねえだろうな
それでも、そういう匂いがする方へ進むぜ



●古井戸に現れる妖怪?
 しばらくして、古井戸周辺での行方不明事件を聞きつけた猟兵達が続々とこの地を訪れる。
「んー、古井戸? 行方不明?」
 ワイルドさを感じさせるキマイラの少女、宮落・ライア(ノゾム者・f05053)が銀のポニーテールを揺らしつつ首を傾げる。
「フーム。古井戸の周りで行方不明ともなりゃア、まずは井戸の中身を疑うのが定石でしょうぜ」
 そこで、胡散臭さを感じさせる竜派ドラゴニアン、バルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)が主観を語る。
「ましてや、ヨーカイの目撃情報があると来りゃア、なおのこと怪しいですねエ」
「井戸……ね」
 バルディートの言葉に、妖狐の魔剣を扱う巫女、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は物理的なモノだけでなく、魔術、呪術面の両方で井戸が何処に繋がっているか調査しようと考えていた。
「井戸に薙刀持った女? そういう妖怪か何かなのか」
 オリガの言葉に、ライアは妖怪が事件を引き起こす図を思い浮かべて。
「引きずり込まれてるんだろうけど、絵面が完全にホラーだね。夜には見たくないな……」
 何気なくライアが呟くと、露出高めな強化人間の少女、アオイ・ブルームーン(アイよりアオく・f16426)が恐怖でその身を震わせる。
「妖怪なんてオカルトじゃない! ナンセンスよ、そそそんなのいるわけ無いじゃない! きっと、オブリビオンの仕業に違いないわ」
 事件の雰囲気に恐怖を覚えるアオイは仲間に言いつつ、自身にも言い聞かせようとしていた。
「行方不明者がいるなら、早くなんとかしないとだね。次の犠牲にも繋がりかねないし」
 一服してから、妖狐の逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)がこちらへとやってきて、猟兵達へと告げる。
「あなたの方が得意でしょ、こういう世界は」
 そんな中、黒髪ポニーテールの剣豪にして戦巫女の喜羽・紗羅(伐折羅の鬼・f17665)が叫ぶ。
 多重人格者である紗羅は別人格である無頼漢のご先祖と語っていたのだが、そちらが『何で俺が出なきゃならねえんだよ』とこの依頼参加を渋っていたらしい。
「それに何だか、暗いし!」
 ――それは俺も一緒だっての。まあいい、やってやるさ。
 とはいえ、主人格の紗羅の言葉に、別人格のご先祖も仕方なくといった態度で了承していたようだった。

●それぞれの調査方法で
 さて、猟兵達は銘々の調査方針を持っており、一度その場から散開していく。
「先ずは、簡単に聞き込みだ」
 状況的に難儀しそうだと紗羅は予感するも、こういうのは少しでも情報が欲しいと語る。
 それに、アオイが同意して。
「そうね。そういう場所に繋がっていないかどうか、調査しようと思うわ」
「この井戸の施工図を確認したいかな……」
「ええ、井戸が作られた時期、作った人物、そういったことは解るはずよ」
 璃奈の一言に、アオイは井戸について直接調査をと、村を治める地主の元へと向かっていく。
「さってっと」
 ライアが井戸へと駆けていくのを見て、オリガはふと考える。
「それにしても、井戸の周りで子どもが遊ぶのはいいが、落ちたら大変だぞ」
 実際、井戸の高さを考えれば、オリガが言うように危険な場所。
 理彦は古井戸をのぞき込み、聞き耳を立てる。
「ん……、誰かいる?」
 何かの気配を感じた理彦は、この状態で動物達に調査をお願いし、危険にさらすわけにはいかないと考えていた。
「じゃ……、ヤッホー!」
 ライアは底に向かって大声で叫んでみる。
 帰ってくる反響音はやや弱い。ということは、どこかに音が抜けている可能性が高そうだ。
 ならばと、バルディートが地獄の炎となった片腕を切り離して黒炎の蛇とし、井戸の底まで潜らせていく。
「蛇は暗がりでも、熱を感じてモノを見ることができやす」
 暗い暗い井戸の底だろうが、何かしらの痕跡を見つけたいとバルディートは語る。
 そこで、何やら井戸の中から駆け上がってくる者の姿が。
 この場の猟兵達は全員、敵の出現を警戒して構えをとるが……。
「敵に気づかれる。少し静かにしていてくれ」
 井戸の中から現れたのは、先に中へと入った絵里香なのだった。

 一方、情報収集に当たるメンバー達。
 地道に村を周り、理彦は村の中心にある現在使われている井戸へと水を汲みに来た男性に声をかける。
「やぁ、そこのお兄さん、ちょっと聞いてもいいかな?」
 理彦は町外れの古井戸が立ち入り禁止になっていることについて、心当たりがないかと尋ねる。
 コミュ力を生かす理彦は、無自覚に相手を誘惑しつつ問いかけを行う。
 噂話の情報はほぼ事前情報と同じだが、どうやらこの男性は子供達から一歩踏み込んだ情報を聞いていたらしい。
「なんでも、ガキどもの話じゃ、鞠がガキを飲み込んだとか……んなバカな話があるかと思ったんだがねえ」
 最初は話半分だった男性も、行方不明者が出れば笑ってもいられないと告げ、桶に入った水を運んでいく。
 アオイもまた情報収集へと当たり、村人に村長と会いたい旨を伝えて面会を求めていた。
「グレイ、【礼儀作法】アシストお願い」
 自らが纏う品位ある外套『グレイ』に頼んで助けもらいつつ、アオイは礼儀正しく村長と話をし、井戸が作られた時期を聞く。
「井戸の底の壁がもろくなって壊れてしまってな。地下水の流れごと今の井戸へと移動させたのじゃよ」
 十数年前に大きな土木工事を行ったことで、今使っている新しい井戸に水が流れるようにしたとのこと。
 この為、古井戸には一切水は流れないらしい。
 また、瑠奈も地主へと面会を頼み、その施工図を確認させてもらう。
 ただでさえ、事件が起こっている状況とあり、地主もあまりいい顔はしなかったが、『天下自在符』を出すことでしぶしぶ応じていた様子。
「みんな手伝ってね……」
「りょうかい~」
「あいあい~」
「いぇっさー」
「頑張ります!」
「メイドは張り切ります!」
「ご主人様の為に!」
 6人いるメイド人形達は璃奈の指示を受け、張り切って資料の確認に当たっていく。
「そこまで、気合入れなくても……」
 その様子は、主の璃奈が戸惑いを見せる程だったようだ。
 ともあれ、彼女達も十分に井戸や地下の状況を確認する。
 この古井戸は数十年前に村や地主の意向に従って作られており、魔術、呪術要素はあまり見られない。
 そこで、井戸のそばに空洞があることを確認した璃奈。
 この場所は、以前水が通っていた場所が埋められずに残されているらしい。
 つまり、この空間は、村の外に通じる道があると、彼女は結論付ける。
 まずはこの場所を当たってみようと、璃奈は古井戸に戻ることにしたのだった。

●古井戸へと突入!
 さて、古井戸周辺の調査を行っていたメンバーは、先行していた絵里香と合流し、井戸の底にある横穴にある空洞にたくさんの丸い物体があったことを伝え聞く。
 ともあれ、そこにあるモノが疑わしいのは間違いないと見た猟兵達は絵里香の先導の下、降りていくことになる。
 水、氷を使いこなす絵里香はともかく、さすがにその上を他メンバーが飛び乗るには厳しい。
「ああ、おめえさんたち、縄ねえか?」
 戦闘を請け負う紗羅の別人格が、他猟兵達へと呼びかける。
「なぁに、こん中調べてやろうってんだ。心配すんな、こちとら井戸掘りくらいやった事あらモゴゴゴ!」
 そこで、主人格の紗羅が勝手に喋るなと、自らの口を両手で塞いでいたようだ。
「壁をよじ登ったり降りたり、そういうのは得意なんだ」
 すでに、底の深さは伝え聞いていた為、オリガはロープを垂らしてラぺリング……懸垂下降して降りていく。
 夜目も効くオリガは、一行の斥候も買って出る。
 それで降りるのがちと厳しいという人の為に、バルディートが村人から分けてもらった縄で手早く縄梯子をこさえており、仲間達が降りやすいようにしてくれていた。

 猟兵一行は井戸の底へと降り立ち、一気に井戸の壁を壊してその中へと突入していく。
 そこは、璃奈が調べてくれていた通り、大きな空洞になっていた。
 かすかに漂う血の臭いに気づいて、オリガが僅かに表情を歪める。
 近場に赤いモノが見られないが、奥は思った以上に広い。この場を以前は水が流れていたのだろう。
 ただ、悠長に調べている余裕はない。
 猟兵達の前に、ふわふわと『蒐集者の手毬』の集団が近づいてきたのだ。
 こいつらは、物品はおろか、人間すらも蒐集するといわれるオブリビオンだ。
 精神攻撃をも仕掛けることができるそれらは、ヤドリガミに近い存在なのかもしれない。
「子供達、まだ救出可能だと良いんだけど……」
 璃奈はそれらのどれかに、子供達が吸い込まれていることを察する。
 旅人剣士もその可能性が高いが、手毬の中には血がこびりついた個体も……。
「死体になってねえだろうな」
 紗羅の別人格は抜いた太刀を構えて、手毬どもを牽制する。
「どいつに子供達が捕われているか、直感に頼るしかないな!」
 仲間達へとそう叫びかけたライアは妖怪の正体に一安心しながらも、向かい来る手毬どもへと武器を手に対していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『蒐集者の手毬』

POW   :    あなたと共に在るために
【自身がよく知る死者】の霊を召喚する。これは【生前掛けてくれた優しい言葉】や【死後自分に言うであろう厳しい言葉】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    理想郷にはまだ遠い
【自身と同じ能力を持つ手毬】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    いつか来る未来のために
小さな【手毬】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【全ての望みを再現した理想郷】で、いつでも外に出られる。
👑11
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●モノを集めるオブリビオン
 『蒐集者の手毬』。
 ふわふわと浮かぶ毬の形をしたオブリビオン達。
 それらは、井戸の底のそばにある地下空洞に多数屯していた。
 この場へと駆け込んできた猟兵達は、すぐに敵の姿を捉えることとなる。
 地下ということもあってかなり暗い状況ではある為、必要に応じて明かりを点灯させるといいかもしれない。

 さて、敵はどうやらユーベルコードを使い、モノや人を吸い込んでしまうとのこと。
 それらのどれかに、行方不明になった子供達や旅人剣士が捕らえられている可能性は高い。
 また、いくつかの個体に、血がこびりついているのが気になるところ。
 それらをすぐ狙うべきか、後に回すべきか……。
 ともあれ、敵は猟兵達も獲物と見定めてくる。
 猟兵達は調査の手を一旦止め、この手毬の集団の殲滅に当たるのだった。
雛菊・璃奈
できる限り早急に倒して捕らわれた人達を解放するよ…。
基本、取り込まれるのを避ける為、メイド人形6人には【暗殺】で暗器による遠距離攻撃を指示…。

わたしは黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、早業、なぎ払い】で纏めて呪詛に絡め取って吹き飛ばし、自在な動きを封じたところで【呪詛】で強化した【狐九屠雛】で凍結して完全に身動きを封じてから、凍結した鞠を破壊して内部の人達を助け出すよ…。
内部がUC製の空間なら、手荒に破壊しても大丈夫だとは思うけど…念の為、中の人に留意して慎重に救出するよ…。

何が狙いかは知らないけど…攫った人達は返して貰うよ…


※アドリブ等歓迎


逢坂・理彦
血塗れの鞠もあるし早めに対処するに越したことはなさそうだ。
灯がわりにもなるしUC【狐火・椿】を使うよ。
さぁ、遠慮なく燃やしていこう。
井戸の底だしね。薙刀じゃなくて刀を使ったほうがいいかな。
蒼丸。よろしく頼むよ。
【早業】を使って一気に斬り込む。
【第六感】で【見切り】
【残像】を残して混乱させる。

あぁ…親父殿かい?親父殿が言うことはだいたいわかってるよ。
「理彦。強くあれそして優しくあれ」
うん、久しぶりに聞いた。
あの時の俺は強さが足りなかったけれど…今もまだ鍛錬を続けております。
…うん、それだけかな。
失くしたものはどうやっても戻らないからね。
俺は今を生きるよ。

アドリブ連携歓迎。


神宮寺・絵里香
≪心情≫
・さて、妖怪退治の時間だな。
 この手のユーべルコードは無抵抗の相手を吸い込む。
 血がついている奴は、抵抗できないようにしてから中に入れた
 んだろうな。重傷者が戦場に放り出されても面倒というか、
 守らないといけなくなるので、血のついている奴は後回しだ。

≪戦闘≫
・世界知識と戦闘知識を基にして効率的な戦闘を心がける
・薙刀に破魔の雷を付与。敵の群れを薙ぎ払い、一気に数を減らす。
・離れている敵はUCで絡めとり、動けなくしたところへ短槍を
 槍投げして対処。
・敵の攻撃は第六感で見切り、武器受けして受け流した後にカウンター
 の薙ぎ払い
・UCについては抵抗して吸い込まれないようにする。


喜羽・紗羅
アドリブ可
ヘッ、こうやって妖怪変化か何某かと丁々発止たぁ、
分かっちゃいたがゾクゾクしやがるな……

太刀を抜いて薙刀に変形させ斬ってやる。破魔の印を切って清めてな
血付きの奴は一旦様子見だ、嫌な感じがしやがる
距離を取って柔な所を一突き、囲まれたらなぎ払うぜ

生憎明かりが無えからな
仲間と協力して励もうか
それに行方不明になった奴も気になる。誤チェスト注意だ

って、何だいありゃ
おっ死んだ俺の仲間達だってのか。何か言ってやがる……

(ちょっと、何ぼーっとしてるのよ!)
精神攻撃を受けたら人格を切り替える
私はそんな経験……まだ無いから。平凡で悪かったわね!
あの中入るのは怖いわ……だけど、一個ずつ相手にするくらいなら!



●行方不明犯は手毬?
 井戸の底、裂け目から入った空間。
 そこは、元々、井戸に水を敷く為の水の流れがあった場所で、現在は空洞となっている。
「さて、妖怪退治の時間だな」
 おかっぱの黒髪の戦巫女、神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)が妖怪、かつ、行方不明事件の犯人の正体を暴く。
 そこにいたのは、無数の『蒐集者の手毬』。物を集めることができるという手毬である。
 自己表現こそしないものの意思は持つらしく、確実に物品を収集する為に人には精神攻撃を仕掛けてくることもあるというオブリビオンだ。
「ヘッ、こうやって妖怪変化か何某かと丁々発止たぁ、分かっちゃいたが、ゾクゾクしやがるな……」
 敵を前に、茶髪ポニーテールの少女、喜羽・紗羅(伐折羅の鬼・f17665)はすでに戦闘態勢をとっており、別人格である『無頼漢のご先祖』の人格が前に出ていた。
「この手のユーベルコードは無抵抗の相手を吸い込む」
「血塗れの鞠もあるし、早めに対処するに越したことはなさそうだ」
 絵里香の話を耳にした、つかみどころのない性格の妖狐、逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)は赤いものがべっとりとついた毬が混じっていることに気づく。
「血がついている奴は、抵抗できないようにしてから中に入れたんだろうな」
 重傷者が戦闘に放り出されても面倒なことになると、絵里香は話す。
 守る必要が出てしまう為、血のついた個体は後回しにしようと提案を持ち掛けていた。
「それなら、できる限り、早急に倒して捕らわれた人達を解放するよ……」
 ややぼんやりとした印象を受ける妖狐の剣士、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は、相手に取り込まれる危険を考える。
 そこで、璃奈はメイド人形6人に暗器を操らせ、手毬どもの暗殺を指示していく。
 ふわり、ふわりと浮かぶ手毬。
 オブリビオンであるそれらは猟兵が自分達を滅ぼす者と直感で察し、ユーベルコードを使って惑わせようとしてくるのだった。

●手毬達の目的は?
 オブリビオン『蒐集者の手毬』には蒐集癖の様なものがあるらしく、敵対する相手を取り込もうとする
 それらは自分と同じ能力の手毬を生み出し、襲い来る。
 直接、体当たりして攻撃することもあるが、手毬が得意とするのは精神攻撃。
 敵対する者を亡くした近しい者の霊を呼び寄せることで苦しめ、自身の内にある空間へと捕えてしまうのだ。
 ともあれ、絵里香は持ち前の知識を生かし、地下の暗い戦場を立ち回る。
 彼女は白蛇の意匠がついた長刀『叢雲』に破魔の雷を纏わせ、手毬の群れを薙ぎ払っていく。
 オブリビオンになったことで多少の耐久力はあれど、所詮は手毬だ。
 少しばかり攻撃を加えれば、手毬は刃に貫かれ、電撃に灼かれ、あるいは真っ二つになり、ぽとりと地面に落ちてしまう。
 同じく、紗羅は抜いた太刀を薙刀に変形させて、破魔の印を切って清めながら手毬を切っていく。
 元人格の紗羅は平凡ゆえか、別人格である『無頼漢のご先祖』の性格を表に出し、戦いに臨む。
「血付きの奴、嫌な感じがしやがる」
 紗羅も……彼女の先祖も自身の直感と仲間達の指摘もあり、一旦様子見することにしていた。
 璃奈はというと『呪槍・黒桜』の呪力を解放し、手毬どもを纏めて呪詛に絡めとって吹き飛ばしていく。
 それでも、次々に増える手毬。元となる個体が別の手毬をどんどん召喚してくるのが面倒だ。
「ぽとり、ぽとりと椿の様に」
 理彦は自身の手前に、30個余りの狐火を宙へと出現させて。
「さぁ、遠慮なく燃やしていこう」
 それらを一斉に敵陣へと放ち、手毬を燃え上がらせていく。
 大きく燃え上がるその炎は照明替わりとなり、猟兵達の視野を確保することとなる。
「おっ、助かるぜ」
 明かりを持たず、どうしたものかと考えていた紗羅にとっては渡りに船。
 囲まれていたことに気づいた彼女は手毬どもを薙ぎ払って牽制し、構造的に手毬の柔らかい部分一突きして無力化していった。

 ここまでは、一方的に猟兵達が攻め立てる展開。
 理彦はさらに直接切りかかるべく、獲物に打刀を選ぶ。
 薙刀にしなかったのは井戸の底から続く地下であり、小回りを気にしたからだろう。
「蒼丸。よろしく頼むよ」
 手にした『打刀・蒼丸』に一声かけた理彦は、早業を生かして残る手毬を個別に切りかかっていく。
 残像を生かし、彼はしばらく順調に切り込んでいたが、前方の敵が何やら霊を召喚していた。
「あぁ……、親父殿かい?」
 それは、理彦の亡くなった父親らしいが、どうやら生前はよく彼に言い聞かせていた一言があったらしい。
「理彦。強くあれ、そして、優しくあれ」
 その優しい言葉は理彦の精神を攻撃してはくるが、彼は久しぶりに聞いたと僅かに頬を緩ませる。
「あの時の俺は強さが足りなかったけれど……、今もまだ鍛錬を続けております」
 だが、それだけ。失ったものはどうやっても戻らないと、理彦は分かっている。
「俺は、今を生きるよ」
 そう一言、父の霊に声をかけた彼は霊を呼び出した手毬ごと切り裂いていった。

 そういえばと、紗羅は考える。
 おそらく、行方不明になった者達がどれかの手毬に閉じ込めているはずなのだが、戦う猟兵達はなかなか当たりを引かない。
 だからこそ、誤って紗羅は被害者を切り裂いてしまわないかと気掛ける。
 実際、目の前に見えてきたのは、彼の死んだ仲間達で……。
「何か言ってやがる……」
(ちょっと、何ぼーっとしてるのよ!)
 すると、戦う別人格が精神攻撃を受けたことで、紗羅は自らが表に出てくる。
 良くも悪くも、平凡なのが紗羅の個性。だからこそ、精神攻撃もさほど効果がないらしい。
 しかしながら、彼女の場合は戦闘経験のなさが問題だ。
「あの中入るのは怖いわ……だけど、一個ずつ相手にするくらいなら!」
 紗羅は別人格から戦闘を引き継ぎ、手毬を一つずつ相手取っていたようだ。

 変わらず敵から距離をとる絵里香は、相手が自身を取り込もうとしてくるのを直感で避け、離れた敵に向けて不死殺しの重力の鎖を放っていく。
「重力の鎖よ、不死者を許すな。番犬の如く喰らいつけ」
 それによって敵の体を縛り付けていき、動きを止めたところで絵里香は短槍『雷槍「因達羅」』を投げつけて敵を仕留め、霧散させていく。
 その時だ。
「「「わああああっ!!」」」
 いきなり、現れた数人の子供達。
「なんだよ、お腹一杯ご飯食べられてたのに」
「ねこさんどこいったのー?」
 どうやら、子供達は手毬のユーベルコード製の空間で理想の時間を過ごしていたらしい。
「ここは危険だ。早くこちらへ」
 子供達の危険を察し、絵里香は止む無く井戸の方へと誘導していく。

 そうして、残る手毬は血がこびりついた個体のみが残る。
 璃奈は【呪詛】で強化した絶対零度の炎【狐九屠雛】で血染めの手毬を凍結し、自在に動き回る手毬の動きを封じていく。
「内部がユーベルコード製の空間なら、手荒に破壊しても大丈夫だとは思うけど……」
 それでも、念の為、璃奈は中に閉じ込められた人に留意し、慎重に救出する。
「何が狙いかは知らないけど……攫った人達は返して貰うよ……」
 璃奈がメイド人形達にトドメを任せると、消え去る手毬の中からどさり、どさりと人が落ちてくる。
「う、ううっ……」
「ああっ、あああっ……!」
 それは、深手を負った数人の旅人剣士達の姿なのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『血花の紅鬼姫『真千代』』

POW   :    一槍羅刹
自身に【殺気】をまとい、高速移動と【長槍の刺突による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    血花の紅備え
戦闘用の、自身と同じ強さの【紅備えの徒武者】と【紅備えの騎馬武者】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ   :    血花の紅鬼姫
全身を【過去殺した者達の血】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●もう1人の犯人
 古井戸の底、脇にある空間。
 妖怪騒ぎ、そして、行方不明の犯人と思しき『蒐集者の手毬』と猟兵達は交戦。
 それらの手毬を撃破した結果、行方不明になっていた子供達4人と、旅人剣士3人を救出することとなる。
 旅人剣士はどうやら、深手を負っている。早く救出したいところではあるが……。
 そこで、猟兵の一人が考える。
 ――この傷はだれが?
 その傷はどう見ても切り傷だ。
 一方、手毬の攻撃は体当たりに精神攻撃だった。手毬が全ての事件の犯人であるなら、剣士を傷つけた者とのつじつまが合わない。
「ら、羅刹……だ」
 剣士の1人が声を漏らす。捕らわれていたユーベルコード製の理想郷で出血は止まっていたものの、外に出たことで傷が元通り開いてしまったのだろう。
 猟兵達が手当てに当たる中、殺気を感じる猟兵達。
 暗がりの中から、薙刀を持った女性が歩いてくる。
「手毬を全部倒してしまうなんてのう……」
 手にする薙刀の刃からは血が滴り落ちている。見れば、彼女の全身にもまた、血がこびりついていた。
 その羅刹の名は、血花の紅鬼姫『真千代』。
 オブリビオンに身を落とした真千代は宛てもなく強い者を求めて彷徨っていたが、ある時蒐集者の手毬と出会った彼女は内部へと取り込まれることとなる。
 そこは、中に入った者の理想をくれる素晴らしき空間だ。
 彼女はそこで終わることのない戦いを望み、戦い続ける。
 また、たまたま古井戸で子供達を捕えていた手毬を見て、真千代は強い剣士を求めると、手毬は彼女の希望に応じて強い旅人剣士を捕えてきてくれた。
「色々な強者と戦うことができる……こんな素晴らしいことはなかったのだが」
 一連の事件は手毬だけではない。旅人剣士絡みは真千代の意向も絡んでいたというわけだ。
 だが、手毬を倒されたことで、この血花の紅鬼姫は解き放たれてしまった。
 彼女はまた強者を求めて、手あたり次第に人を殺害していくことだろう。
「まずは、おぬし達から戦わせてもらうとするかの」
 彼女は自らの周囲に紅揃えの徒武者と、紅備えの騎馬武者を従える。
 それらをけしかけ、まずは様子見といったところか。
 猟兵達は古井戸の事件を完全解決させる為、この危険な羅刹のオブリビオンへと立ち向かうのである。
喜羽・紗羅
アドリブ可

武者だか何だか知らねえが
時代遅れの紅揃えがいきり立ってるんじゃねえぞバカヤロウ

(ちょっと……。本当にこんな事して大丈夫なの!?)
平気の平左だ馬鹿にすんじゃねえ。まあ大した相手だがな
最後は衝撃波を躱して懐で剣刃一閃だ――行けるか?
いや、行くぞ!

殺気を勇気で撥ね退けて
地形を利用しつつ衝撃波の放射間隔を情報収集する
衝撃波が止まる瞬間を把握したら
反撃する気を見せる為に偽装バッグで応射しつつ
それをフェイントにバッグをブン投げて飛び掛かる!
奴の手元が上がった所に抜き逆銅
返す刃で長巻ごと叩き落として少しでも動きを止めてやる!

テメェのブッコロ趣味に付き合わせてんじゃねえぞ
さっさと海へ還れコノヤロウ


雛菊・璃奈
貴女をこのまま解放するわけにはいかないね…ここで、止める…。

黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い】で徒武者と騎馬武者をなぎ払い、吹き飛ばし、凶太刀に持ち替え、呪力による超高速と【ダッシュ】で接近から【呪詛、早業】による居合で一撃加えるよ…。
敵の攻撃は【見切り、第六感】で回避し、隙をついて魔剣アンサラーの力で反射【呪詛、カウンター、オーラ防御、武器受け】…。
更に【呪詛、衝撃破】を纏ったバルムンクの剛剣の一撃【力溜め、鎧砕き、早業】で敵の長槍ごと破壊する様に叩き斬る…。
最後は【UnlimitedΩ】の一斉斉射で一気に仕留めるよ…。

神すら滅ぼす終焉の魔剣…受けると良い…

※アドリブ等歓迎


織銀・有士郎
たまたま通りかかったら修羅場でした、と。
しかも相手は相当の手練れ、面倒なことになるのは間違いなし。
……とはいえ放っておく訳にもいかないし、やるしかないか。

「ま、諸先輩方もいることだし、なんとかなるだろ」
戦闘は他の人と連携したいところ、自分一人では練度が違い過ぎるからな。
敵の特性からして、隙があるとするなら他の武者たちを召喚したときだろうか?
基本『野生の勘』『カウンター』で様子を見て、隙があれば早業からの【剣刃一閃】で斬り込んでみるか。
支援能力か遠距離攻撃があれば、もう少し楽できそうなんだがなぁ……。

強者との戦い続けても疲れるだけだろうに……来世ではもう少し楽しい人生歩めよ。


神宮寺・絵里香
≪心情≫
・人斬りが化けてでてきたのか。蘇ってまで人を斬りたいか。まったく気がしれん
・はぁ‥相手をしてやるから、さっさと骸の海へと帰るがいい
・神宮寺流戦巫女、絵里香!参る!

≪戦闘≫
・UCにより武器に因達羅神の御業を纏う。重視するのは攻撃回数
・破魔の雷を纏った武器での受け流しや斬撃で相手に電気を流しながら
 麻痺攻撃
・敵の攻撃については、同じ薙刀使いであることによる戦闘知識と
 敵の殺気を第六感を基に見切り、薙刀で受け流しつつ、格闘術や
 薙刀でのカウンターを狙っていく
・麻痺して動きが鈍った所に威力の高い薙刀の一撃を繰り出す
「強さなんぞ、何かを為す手段にすぎん。手段に拘泥するアホに負けてなぞやるものか」



●危険な女羅刹のオブリビオン
 井戸の底から脇にある空間で、行方不明事件の主犯となる『蒐集者の手毬』の集団を倒した猟兵達。
 その前に現れたのは、女羅刹のオブリビオンだった。
「手毬を全部倒してしまうなんてのう……」
 血を滴らせた薙刀を持つ血花の紅鬼姫『真千代』は殺気を漂わせ、この場の猟兵達へと近づいてくる。
 猟兵達は手毬から解放された子供や旅人剣士を逃がし、敵の行く手を……井戸への道を遮る。
 手毬が与えてくれた理想の空間がなくなったことで、この羅刹は再び井戸の外へと強者を求めるのは間違いない。
 放置しておけば、多数の被害者が出る危険な相手だ。
「まずは、おぬし達から戦わせてもらうとするかの」
 すると、真千代はユーベルコードを使い、この場へと紅揃えの徒武者と紅備えの騎馬武者を呼び寄せる。
「武者だか何だか知らねえが、時代遅れの紅揃えがいきり立ってるんじゃねえぞ。バカヤロウ」
 ポニーテールの喜羽・紗羅(伐折羅の鬼・f17665)が真紅の瞳でにらみを利かせて啖呵を切る。
(「ちょっと……。本当にこんな事して大丈夫なの!?」)
 ただ、それは、紗羅の別人格。主人格が心配そうに声をかける。
「平気の平左だ、馬鹿にすんじゃねえ。まあ大した相手だがな」
 軽口を叩く別人格だが、相手の力は対するだけでも肌で感じていたようだ。
「貴女をこのまま解放するわけにはいかないね……。ここで、止める……」
 銀髪の妖狐、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は『呪槍・黒桜』を手にし、構えをとる。
 ――最後は衝撃波を躱して、懐で剣刃一閃だ――行けるか?
 紗羅も呟くように人格間で会話し、立ち回りを決めて。
「……いや、行くぞ!」
「存分に力を見せつけるがよい!」
 手始めに真千代は武者を猟兵達へとけしかけ、その力量を直接見極めようとしてくるのだった。

●紅の武者をやりすごして
 オブリビオン「血花の紅鬼姫『真千代』」が呼び寄せ、攻め来る武者達。
 オオオォオォオオォ……。
 真っ赤な鎧を纏う歩兵に騎馬。それらは暗い井戸の底だと、一層不気味にも思える。
 璃奈は『呪槍・黒桜』の呪詛を解放し、前方に向かって衝撃波を広範囲に放ち、武者達を薙ぎ払う。
 ただ、それらも真千代と同等の力を持つ為、多少の攻撃では倒れはしない。
 一方で、紗羅は真千代本人が仕掛けてこないこともあり、『奇一文字改』で武者へと切りかかりつつ相手の出方を見る。
 ただ、2人では武者達を抑えるだけで手いっぱいで、なかなか真千代を攻めることができない。
「どうしたのじゃ、それらに勝てぬのでは話にならぬぞ」
 余裕すら見せる真千代。
 そこに、駆け付ける猟兵達の姿が。
「たまたま通りかかったら修羅場でした、と」
 スタイル抜群な織銀・有士郎(織りなす銀の一振り・f17872)。
 だが、男口調でいささかやる気なさげな態度が残念さを感じる女性である。
「しかも、相手は相当の手練れ。面倒なことになるのは間違いなし」
 ただ、相手から漂う剣呑な雰囲気を感じ取れば、有士郎もやる気を出さざるを得ない。
「……とはいえ、放っておく訳にもいかないし、やるしかないか」
 さらに、小柄な黒髪の巫女、神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)も馳せ参じて。
「人斬りが化けてでてきたのか。蘇ってまで人を斬りたいか。まったく気がしれん」
 絵里香は薙刀『叢雲』を構え、前方の羅刹へと言い放つ。
「は……、相手をしてやるから、さっさと骸の海へと帰るがいい」
「大きく出たのう」
 ゆらりと新手の2人に視線を向ける真千代。
 それを好機と感じた璃奈は武器を『妖刀・九尾乃凶太刀』に持ち替え、納刀したままダッシュして一気に距離を詰めていく。
 すり抜けようとした武者達は璃奈へと切りかかっていくが、彼女はそれらを直感で見切って避けて見せ、さらに呪詛によるカウンターを食らわせて牽制する。
 そして、璃奈は一気に早業で居合をし、呪いを纏った一撃を真千代へと浴びせかけた。
「…………っ」
 真千代本人が傷ついたことで、消えてしまう紅の武者達。
 ただ、それにも敵は楽しそうに笑って。
「よいぞよいぞ。もっとわらわを楽しませてみよ!」
 殺気を纏う真千代は素早く戦場を移動し、薙刀を刺突させて衝撃波を放ってくる。
 それに体を裂かれ、璃奈は血を迸らせてしまう。
 一方、紗羅は持ち前の勇気で殺気を撥ね退け、暗がりの地下の空間を利用して衝撃波を防ぎつつ、その放射間隔を探っていた。

●一気に攻め込め!
 一度、攻撃を受けた真千代は、とめどなく血を滴らせる薙刀を振るって攻撃してくる。
 その刺突の衝撃は脅威。まともに浴びるだけで致命傷だ。
「ま、諸先輩方もいることだし、なんとかなるだろ」
 まだ、自身の練度が足りないと感じる有士郎は、この場の猟兵達と連携をとりたいと考えると。
「ナウマク・サマンダ・ボダナン・インダラヤ・ソワカ! 神々の王の力よ、我が槍に宿り給え!」
 己の薙刀に魔を滅ぼす神の雷を宿し、絵里香が先に飛び出す。
「神宮寺流戦巫女、絵里香! 参る!」
 攻撃回数を重視した強化をしたことで、絵里香は真千代と刃を重ね、見切って受け流した直後にカウンターを叩きこむ。
 有士郎も錆びた名刀『涼鳴』を手に、相手が衝撃波を放つタイミングでカウンターを繰り出し、切りかかっていく。
「敵の特性からして、隙があるとするなら他の武者達を召喚したときだろうか?」
 戦いの最中、有士郎はそう考えるが、再び武者を呼ぶことなく真千代は刺突を続け、衝撃波を放ってくる。
「ほほほほほ……」
 彼女は自身の体が傷つくことを厭わず、その身が血に塗れることすらも愉悦の笑いを浮かべて切りかかってきた。
 しばらく打ち合いする間、絵里香は相手の体に電気を流し込み、真千代を麻痺させようと試みる。
 それによって、真千代は確かに傷ついてはいる。
「よいぞよいぞ……!」
 いや、真千代自身の傷から流れる血だけにしては、あまりに流れ過ぎていた。
 彼女は過去、手にかけた者達の血で全身を覆っていくことで自らの力を高め、相手の体力を奪い取る力を得てしまう。
 この為、長期戦はジリ損になる。
 璃奈は『魔剣バルムンク』の剛剣に力を込め、敵を薙刀ごと叩き切ろうとするが、真千代はかすり傷に留める程度に避けて見せた。
 そうして、敵は己の血によってさらに力を高めていく。
「もう少し、もう少しだ……」
 紗羅は相手の衝撃波の間隔をはかる紗羅は、もう少しでつかめそうだった。

 猟兵達は4人で、代わる代わる血花の紅鬼姫『真千代』へと攻撃を仕掛けていく。
 相手はこちらの体力を奪う術を持っている。
(「支援能力か遠距離攻撃があれば、もう少し楽できそうなんだがなぁ……」)
 有士郎はそう考えつつ、仲間達を見やる。
 早いところ仕掛けねば、倒れるメンバーが出てしまいかねない。
「そろそろ飽きてきたのう……」
 真千代は十分に己の傷から流す血によって力を高め、刺突による衝撃波を飛ばしてくる。
 息を切らす璃奈はオーラ防御で凌ぎつつ、カウンターを繰り出す。
 じっと力を高め、相手の薙刀を破壊するほどの威力を持った一撃を、彼女は『魔剣バルムンク』で叩き込んでいく。
 悠然と受け止めていたはずの真千代だったが、体に走る痺れによって僅かに対処が遅れて。
「なん……ぞ……!?」
 そこで、絵里香が飛び込んで。
「強さなんぞ、何かを為す手段にすぎん。手段に拘泥するアホに負けてなぞやるものか」
 水平に刃を薙ぎ払った絵里香は続けざまに、右の拳を打ち込む。
 格闘術までは想定していなかった敵が身を引こうとすると、有士郎が隙をついて『涼鳴』で切り込んでいく。
「まだ、終わらぬぞ……」
 だが、敵も冷静に有士郎の攻撃を捌いて見せ、さらに刺突と共に衝撃波を発してくる。
 それまで、敵の攻撃を注視していた紗羅が動きを見せる。
 偽装スクールバッグ『アームドオリーブ』に仕込んだ銃で応射していた彼女。
「テメェのブッコロ趣味に付き合わせてんじゃねえぞ」
 銃撃をフェイントにして、紗羅はバッグをブン投げて飛びかかっていく。
「小癪な真似を……!」
「さっさと海へ還れ、コノヤロウ」
 薙刀を振り上げたタイミングで紗羅は抜き逆胴を打ち込み、返す刃で長巻ごと叩き落とす。
「全ての呪われし剣達……わたしに、力を……立ち塞がる全ての敵に終焉を齎せ……!」
 ほぼ同時に、璃奈も仕掛けて。
「神すら滅ぼす終焉の魔剣……受けると良い……『unlimited curse blades』……!!」
 無数の魔剣、妖刀の現身が血花の紅鬼姫の体を貫き、刻む。
「ほほほほほ……」
 狂気の笑いを空洞内にこだまし、真千代は血に塗れたまま果てていった。
 その笑いが収まったところで、有士郎が倒れたオブリビオンへと告げる。
「強者との戦い続けても疲れるだけだろうに……」
 ――来世では、もう少し楽しい人生歩めよ。
 そう告げると、真千代の体は少しずつこの場から消えてなくなっていった。

 かくして、古井戸の行方不明事件は幕を下ろす。
 子供達は無事に家族の下へと戻り、村で手当てを受けた旅人剣士はまた旅へと戻っていく。
 それを確認した猟兵達は、村人達に感謝されながらも次なる戦いの地へと赴いていくのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月06日


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🔒
#サムライエンパイア


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はピオニー・アルムガルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト