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若葉はいずれ大樹となりて

#アルダワ魔法学園 #若葉たちの冒険


●若葉色の新入生
「いよいよ迷宮新歓コンパね」
 茶色の髪をツインテールに結い上げ、制服の上から魔法使いのローブをまとった少女が楽しそうに声を弾ませる。
「楽しそうだけど、期待してるのはパーティーの方? それとも迷宮探索?」
 少女に問いかけるのは黒髪の新入生。ドラゴンの翼を持つ彼は人型ドラゴニアンだ。
「どっちもだけど、迷宮が楽しみ! あたしのガジェットが唸りを上げるわ!」
 少女は蒸気を噴出する機械を誇らしげに掲げる。その言葉を聞いていた別の少年が面倒くさそうに手にした剣をもてあそびながら呟く。
「……パーティーとかどうでもいい。ただ災魔はぶっ潰す」
「『転校生』が付き添ってくれるって言うけど、どんな人たちなんだろう……」
 新入生たちは、様々な想いを抱え、迷宮新歓コンパの時を待っていた――。

●グリモアベースにて
「UDCアースやサムライエンパイアでは桜が咲いてお花見真っ盛りみたいね」
 グリモアベースに集う猟兵たちにそう微笑みかけながら、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、すっかり春ね、と呟いた。
「アルダワ魔法学園でも新入生がやってくる季節よ。そこで『転校生』……あなたたちに依頼が来たの」
 新入生といっても、学生たちは戦闘要員の一員でもある。入学時には歓迎パーティーを行い、その後地下迷宮の探索をするという「迷宮新歓コンパ」がならわしとして行われているのだ。
「まだ新入生だから、戦闘にも慣れていないし、彼らに付き添って無事迷宮新歓コンパを成功させてほしいの」
 最終的にはエリシャが予知した迷宮に巣くう災魔と戦うことになるが、猟兵たちなら問題なく倒せる相手だ。新入生たちへのサポートを行い、彼らがこの経験を通して成長することができれば、アルダワの未来も明るいものになるだろう。
「歓迎パーティーは、迷宮内でいちご狩りをするそうよ。迷宮いちごと呼ばれていて、そのいちごを使ったスイーツは学生にも大人気なんだって」
 せっかくだから、一緒に行く新入生と交流を深めるのもいいわね、とエリシャは微笑む。簡単な調理場もあるので、いちごを使ったスイーツ作りもできるという。
「そのあと、地下迷宮を探索して災魔と戦うけれど、猟兵のみんなには新入生のサポートをお願いするわね。彼らにとって初めての迷宮探索が成功すれば、それは自信に繋がるもの。彼らに達成感を味わってもらえれば最高ね」
 あなたたちならできるわよね、とエリシャは楽しそうに片目をつぶってみせる。
「転校生と呼ばれていても、みんなの方が先輩だから。知識や経験を活かして、フレッシュな新入生たちをサポートしてあげてね」


湊ゆうき
 こんにちは。湊ゆうきです。
 春ですね! 新入生たちを優しく頼もしくサポートしてください。

 第一章では迷宮内でいちご狩りをします。それぞれに楽しんでいただいても、新入生たちと交流をしてもらっても良いです。同行の方がいらっしゃる場合はその旨お書き添えください。日常パートですが、お誘いいただいてもエリシャは参加できませんのでご了承ください。
 日常だけでも、どのパートからでもご参加大歓迎です。

 OPに登場した新入生です。
 マイナ 人間・女 16歳。武器 ガジェット。
 魔法と蒸気機械の融合を更なる発展のため研究したいと思っているようです。

 リョウガ ドラゴニアン・男 17歳。武器 槍。
 物腰丁寧な優等生風ですが、本心を見せない野心家。成績優秀で能力は高い。

 レンリ 人間・男 14歳。武器 剣。
 無鉄砲で不愛想な少年。強くなりたいと願っているようです。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 日常 『迷宮イチゴ狩り』

POW   :    いちごを食べます

SPD   :    いちごをお土産などにして持って帰ります

WIZ   :    いちごでスイーツを作ったりします

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アレ・チカノ
いちおうWIZで行動。
イチゴを食べて良い、という所以外何も聞いていないアホの子です。
本能の赴くままにひたすらイチゴを食べ続けますが、思考しないだけで地の頭が悪い訳ではないので、実はちゃんと美味しそうな物から選んで食べたり食べながら既に次に食べる物の選定を始めているなどの地味な小技を効かせています。
「コレは今とても忙しいのです、邪魔しないでください」
邪魔するものあらば目潰しで攻撃する事も辞さぬ所存。ぶすっと。
お腹が一杯になったら相手が居ない暇そうな新入生の相手をします。このイチゴが美味しそうですよ、とか教えてあげましょう。相手が怒りだすようなら、ぶすっと。
一応最後に回復はさせておきます。


南雲・海莉
今年も新歓コンパの時期になったのね
一度は顔を出しとかないと

始めまして
『転校生』の海莉よ
普段からこの学園に所属してるから
ほんとに同じ学生でもあるわね

学園では迷宮を攻略するだけでなく積極的に利用もしてるわ
薬やガジェットの材料に……ここの苺といった一部の食品もね

カットした苺を硝子ポットに入れ
更に蒸らした後の熱い紅茶をその上から注ぐ
程よく香りが移ったところで、カップに注いで配るわ
勿論、中の苺も取り出せば食べられるわよ

フルーツティにはお好みでこの蜜を加えて
迷宮にいる「蜜ぷに」から採れたものよ

私の入学した時の理由?
目標になる人が居たの
彼の隣に立つ為に、力も心も強くなりたかった
それにはここが一番と考えたのよ


西条・朱莉
大丈夫! 私も実戦は初めてだから(自慢になっていない)!
取り敢えず次の戦いに備えて一杯いちご食べよう! うん、そうしよう(確信)
他の方との絡みOKです!
マイナさん達を誘って収穫したイチゴを食べられるだけ食べるよ!
次に待っている戦いのためにも、しっかりと備えておかないとね!
ついでに、マイナさん達が得意な戦い方(使用武器以外)も聞いておくね!
私は前に出て殴るのが一番得意だけれど!
多分、これを聞いておいた方がマイナさん達も実戦で戦いやすいよね!
あっ、勿論、他の猟兵の皆にも其々の得意分野を聞けそうなら聞いておくね
さ~て、たっくさん、食べるぞ~(鼻歌)♪


ラザロ・マリーノ
【POW】
腹が減っては戦ができねえからな。とりあえず食っておこう。

迷宮探索は、トラップだらけのうえに見通しが悪くて奇襲に警戒しないといけねえから、移動するだけで地味に疲れるんだよ。
だから食える時に食って、休める時に休んどかねえとな。
ってな話を新入生にしておこう。イチゴを食べながら。

言いたいことは山ほどあるが、今アレコレ言われてもピンと来ねえだろうし、これだけにしておくか。

しかし、見てるだけで不安になるメンツだな。
俺もルーキーの頃はこんな感じだったのかねぇ?

※アドリブ・連携歓迎


羽衣石・千香
新入生ね…まさにこれから青春を迎えようとしている感じ微笑ましくなっちゃうな!
交流を深めたほうがサポートもしやすいし、僕がイチゴ食べたいからね!はりきっていかせてもらおーかな。

【POW】
いやぁ、さすが旬のもの。
とても美味しい。これも具現化できた特権かなー
うんうん、とっても満足けど、もう一つ…新入生たちの恋バナきかないと気が済まないんだよねー!

ということで、お話しよ?リョウガくん
簡単に自己紹介をして、そんな話をしなさそうな優等生くんに話しかけてみる。
だって持ち主ちゃんがそういう子は意外にあるって言ってたし…

キミのお話が聞きたいかな。例えば恋バナとか?
うーん?この聞き方は引かれてしまったかな?



●転校生といちご狩り
 アルダワ魔法学園の地下に広がる、日ごと姿を変える迷宮。その中の一つに、いちごが自生する場所がある。迷宮いちごと呼ばれるそれは学生たちにも大人気だ。そんな迷宮いちご狩りが、今回の歓迎パーティーの催しのひとつに選ばれた。
「初めまして。『転校生』の海莉よ」
 漆黒の髪と瞳を持つ学生服に身を包んだ少女――南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)が、新入生たちに微笑みかける。幼い頃にアルダワ魔法学園の寮に預けられた海莉にとっては、新歓コンパも毎年の出来事、春の風物詩のようなもの。毎年一度は顔を出し、新入生たちに自分の経験からのアドバイスを伝えている。
「初めまして。今日はよろしくお願いします」
 ドラゴニアンのリョウガが、新入生を代表して猟兵たちに挨拶を述べる。他の生徒たちも、自分たちをサポートしてくれる転校生たちにぺこりと頭を下げる。ただ、黒髪の少年レンリだけは、むすっとしたまま立ち尽くしていた。
「普段からこの学園に所属してるから、ほんとに同じ学生でもあるわね」
 同じ学生と聞き、とっつきやすく感じたのか、新入生たちの表情が和らぐ。少しずつ会話を重ねながら、皆でいちご狩りに向かう。
「大丈夫! 私も実戦は初めてだから!」
 元気いっぱいの声で新入生たちに明るく語りかけるのは、西条・朱莉(天真爛漫お気楽ヒーロー・f16556)。自慢にならないけどね、と笑い飛ばす彼女に初陣の気負いも緊張もない。そんな明るい雰囲気に新入生たちの緊張もほぐれる。
「取り敢えず次の戦いに備えて一杯イチゴ食べよう! うん、そうしよう」
 いちごがなっている場所へ新入生たちを案内する朱莉。
「マイナさん、一緒にイチゴ食べよう!」
「え? う、うん!」
 声を掛けられ、一瞬驚いたマイナだったが、すぐに朱莉の横でいちごを摘み始める。
「へー、結構楽しいね」
 少女二人が楽しそうにいちご狩りをしている横で、アレ・チカノ(草食系ヴァンパイア・f16064)が無心でいちごを食べまくっていた。
 ダンピールである彼女がいちごを口いっぱいに頬張っている様は、吸血行為に見えなくもない。しかし彼女の吸血の衝動は長い年月の間に失われてしまったようだ。
 新入生たちは色白で銀髪のはかなげな少女がいちごを食べまくっている姿をやや遠巻きに見ていた。
「コレは今とても忙しいのです、邪魔しないでください」
 視界に他の参加者をみとめると、邪魔するなら攻撃も辞さないという無言の圧力をともなった視線を向ける。ただ無心で食べているようでその実、美味しそうなものを選んで食べているのだ。口に運びながら、次なる美味しいいちごの選定を始めていて、一刻も無駄にしていない。
「新入生……まさにこれから青春を迎えようとしている感じ。微笑ましくなっちゃうな!」
 香水瓶のヤドリガミ、羽衣石・千香(ヤドリガミの聖者・f16834)は初々しい様子の新入生の様子を見て微笑む。
「いやぁ、さすが旬のもの。とても美味しい……これも具現化できた特権かなー」
 人の姿を得たからにはいろいろなことをしてみたいと思うのは、恋する乙女たちの恋模様を眺め、喜びも悲しみも知っている香水瓶のヤドリガミだからこそ。
 近くにいる新入生に自己紹介をして交流を深める。もう少し打ち解けたら、恋バナも聞いてみようと心に決めて。
「あれ? レンリ君は食べないの?」
 皆から少し離れたところでいちごを摘んでは、籠に入れているレンリの姿を見て朱莉がすかさず声をかける。
「別に食べなくてもいいだろ。持って帰るんだ」
「持って帰ってから食べるの?」
 不思議そうに尋ねる朱莉に、観念したようにレンリはぼそぼそと呟く。
「……妹に、お土産」
 思わぬ一面を知って朱莉は嬉しくなる。これから一緒に過ごす新入生なのだから、いろいろなことを知っておきたい。
「みんなの得意な戦い方とかってどんなの? 私は前に出て殴るのが一番だけれど!」
 拳と斧を使い脳筋で力任せに殴りつけるのが朱莉のスタイルだ。
「あたしは魔法とガジェットの融合ね! 魔法は風の魔法が得意かな」 
「あんたたち『転校生』って強いの?」
 マイナは元気よく答え、レンリは逆に質問を返す。
「わ、私はまだ駆け出しだけど! 経験豊富な先輩がいっぱいだよ!」
 朱莉は近くにいた猟兵たちをずずいっと紹介する。
「お、なんだなんだ?」
 腹が減っては戦ができぬといちごを食していたラザロ・マリーノ(竜派ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)は、朱莉によって新入生の前に出される。竜派ドラゴニアンのバーバリアンであり、世界中を放浪しながら傭兵やボディガードをしているラザロには、体中に戦いによる傷跡が刻まれている。まさに歴戦の勇者といったところだ。
「迷宮探索は、トラップだらけのうえに見通しが悪くて奇襲に警戒しないといけねえから、移動するだけで地味に疲れるんだよ」
 実体験をともなった言葉に新入生たちは真剣に聞き入っている。
「だから食える時に食って、休める時に休んどかねえとな」
 ラザロがいちごを食べながら言っているのを見て、なるほど、と言いながら新入生たちもいちごを食べることを再開する。
 本当ならば言いたいことは山ほどあるが、今あれこれと言われてもピンと来ないだろうと、ラザロはそれだけに留める。
「あんたは強そうだ」
 ラザロに一目置いたらしいレンリは鋭い視線を向ける。けれどラザロのアドバイス通り、いちごを食べ始めたところは素直といえるだろう。
 見ているだけで不安になるメンツではあるが、そこに若さゆえの無鉄砲さを見て、ラザロは口元を緩める。
(「俺もルーキーの頃はこんな感じだったのかねぇ?」)

 いちご狩りもひと段落し、海莉が採集したいちごを使ったものを振舞ってくれる。準備する傍らも、新入生たちに学園や迷宮の話を。
「学園では迷宮を攻略するだけでなく積極的に利用もしてるわ。薬やガジェットの材料に……ここの苺といった一部の食品もね」
 採りたてのいちごをカットし、硝子ポットに入れ、蒸らし済みの熱い紅茶をその上から注ぐ。いちごの甘酸っぱい香りが辺りに広がり、皆の顔がほころぶ。
「フルーツティにはお好みでこの蜜を加えて」
 カップを配り終えると、瓶に入った蜜を示す。
「迷宮にいる「蜜ぷに」から採れたものよ」
 いちごをたくさん食べておなか一杯になったアレは、新入生に美味しいいちごの見極め方を教えている。
「海莉さんはどうしてアルダワへ?」
 海莉の話を真剣な表情で聞いていたリョウガがふと問いかける。
「目標になる人が居たの」
 一族郎党を、養父母と友人全てを失った。けれど、そんな彼女を救ってくれた光のような存在。
「彼の隣に立つ為に、力も心も強くなりたかった。それにはここが一番と考えたのよ」
 それは誓い。再び少年と巡り会った時、隣で戦うために強くなるのだと。
 海莉の話も聞いてみたいと思った恋バナ好きの千香だが、ここは新入生に話を聞きたい。
「僕ともお話しよ? リョウガくん」
 優等生らしく真面目に話を聞いていたリョウガに千香は話を振る。こういう真面目で恋バナとは縁のなさそうな子の方が、そういう話はあるのだと、千香の持ち主が言っていたのを覚えている。
「僕が学園に入った理由? 兄二人も入っていたし、親もそれを望んでいたから。僕自身も上を目指したいと思ったからかな」
「うんうん、その話もいいんだけど、他の話も聞きたいかな。例えば恋バナとか?」
「恋の話? 悪いけど、今は勉強に集中したいから」
 優等生のお手本のような答が返ってきた。
「千香先輩、リョウガに聞いても無駄だと思う。恋とか愛とかちょっと馬鹿にしてるでしょ?」
 マイナが胡乱気な目でリョウガを見ると、穏やかそうな優等生の顔に綻びが現れる。
「そんなことないよ。実家の猫は可愛がっているから」
 ばちばちと謎の火花を散らす二人を見て、恋バナは聞けなくても、なんだかおもしろい人間模様が見れて、千香は思わず内心にんまりしてしまうのだった。
「さー、そろそろ迷宮探索行ってみよっかー!」
「これからが本番だな」
 朱莉とラザロの言葉で、皆が準備を始める。
 いよいよ迷宮探索の始まりだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『氷上で舞え』

POW   :    障害物など気にせず、破壊しながら進む。

SPD   :    華麗に滑り、障害物を避けていく。

WIZ   :    魔法で滑りを調整したり、滑る向きを調べて障害物を避けながら進む。

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●待ち受けるは氷の試練
 災魔の居場所に向かう新入生と転校生の前に、氷の迷宮が立ちふさがっていた。
 壁も床も一面凍りつき、天井からはつららがぶらさがっている。災魔のもとに向かうにはここを通るしかないようだ。
「出口までは30メートルってとこかな?」
 リョウガが前方にある出口らしき場所を指し示す。
「うわ、これものすごく滑る!」
 試しに一歩踏み出してみたマイナが氷の滑り具合を共有する。
「なんか、障害物まであるんだけど」
 氷の床から逆さのつららのように出っ張っている箇所や、逆に穴ができてへこんでいる部分も。勢いに任せて滑るとどの方向に滑ってしまうかわからない。
 そして近くには誰が書いたのか立て看板が。
『飛んで超えようとすれば、強風が吹いて、スタートに戻されます』
 なんとか気力や知力などでここを突破しなければならないようだ。
「あたしはガジェットを使ってここを乗り越えたい」
「氷がどうしてこんなに滑るのか調べた方がいいのかな」
「……面倒くさい。障害物ごと破壊して突破する」
 三者三様に考えはあるようで。
 転校生たちなら様々な能力を使って突破することも容易いだろう。できることなら、答を提示するのではなく、新入生たちをサポートし、この迷宮を乗り越えることができたなら――彼らにとっても良い経験になるだろう。
アレ・チカノ
「よし、やってみて下さい、骨は拾って粉にして畑に撒きます」
とりあえずレンリの相手をしておきましょう。
骨粉を撒いた畑に何を植えるか考え始めたあたりでふとレンリの方を眺めてみます。
「壊すのでしょう?早くして下さい、お腹が空いてしまいます」
「剣の振り方の角度が悪いです、一定していません。もっときちんとした素振りをしておかなければ使い物になりませんよ」
アホの子ですが頭が悪い訳ではないので、アドバイスは意外と的確にこなしたりもします。
レンリが疲れたらUCで回復させて続行させつつ自分は寝転がって声援を送ります
「ほらまた角度がプレています」
自分で動きたくないので基本任せますが、いざとなれば衝撃波で手伝います


西条・朱莉
仲間との連携・声掛けOKです!
気力? 知力? 
私も面倒くさい! とにかく破壊して突っ切らせて貰うよ!
必殺! お姉さん探知(説明しよう! お姉さん探知とはトラップがあろうが無かろうが、そのトラップを力任せに踏みにじり強引に前に進むと言う究極にして、最強、そしてネタの宝庫となるトラップ解除である。一説では、漢探知と呼ばれるが……果たして朱莉がそれを知っているかどうか)
うぉぉぉぉぉ、これぞ必殺朱莉ちゃん探知(散々罠に引っかかり、力尽くに突破しただけです)!
と、いけない、いけないレンリ君達が罠に引っかかって怪我しない様に私が先行するから後は皆宜しくね(自分は激痛耐性持っているので大丈夫らしい)!


ラザロ・マリーノ
【POW】
俺が強そうねぇ…見た目なんて当てにならねえんだけどな。特に猟兵は。

なんか評価されてるみてえだから、レンリにアドバイスでもするか。

壊す前に、まず対象とその周辺にある物の素材や構造を調べておかないとな。
特に俺達みたいな壊したがりは、どの程度の力で何がどのくらい壊れるかを把握しておいた方がいい。
まあ迷宮ごと崩壊する事はそうそう無えが、障害物を壊した衝撃で頭の上につららが落ちてくる。なんてことはありうるからな。

それと全部丸ごとじゃなくて、ちょっとだけ壊すってのもありだぜ。

普通に凍った床なら、表面を適当に荒らして凹凸を作れば滑らなくなるんだが、これは黙っておいた方がいいか?

※アドリブ・連携歓迎


南雲・海莉
さて、私も障害物を破壊する方が得意ではあるのだけれど
(POW特化)
同じ手法のレンリくんのサポートに付いた方が良さげかしら?

こうして滑るとなかなか攻撃しにくくはあるわよね
……いい剣の筋ね
さて、私も負けられないわよ
体のバランスを崩さないように気を付けつつ、
刀で氷柱を断ち切っていくわ

自分の得意な方法で攻略していくのは
気力の温存って意味でも正解よ
後は経験を積んで、応用の仕方を覚えればいいわ

っと、あの凹んでる部分はどうする?
壊すにはちょっと難しいわよね?
答えが出るまでギリギリまで見守るわね
私ならこうするわ
刀を氷面に突き立てて軸にして、滑る方向を無理やり変えるのよ
力技だって一工夫で何でもできるわ(微笑)


羽衣石・千香
これが氷…すごいな。
上は強風…まさに、な迷宮だね。

【SPD】
あくまでサポートなわけだからね、僕は障害物には触れないようにしておこうかな。
それこそ各々のお手並み拝見!ってところも見てみたいわけだし。
まぁ、正直言うと氷みたいな硬いものが怖いとかそういうわけでは…。

こっそり【星々に焦がれた翼】を使って氷上の障害物の把握を。低空飛行なら強風も大丈夫だよね?
新入生のみんながうっかり、なんてことがあったら得た情報で全体のフォローするよ。

さて、みんな無事かな?
まだ先は長いよ。ここは効率よく、素早くこなせるといいよね。



●障害物を突破せよ
「これが氷……すごいな」
 アルダワの迷宮を見慣れていない羽衣石・千香(ヤドリガミの聖者・f16834)にとっては、いかにもな迷宮に思わず声が出てしまう。
 それは新入生たちも同じようで、これが迷宮なんだと初めての冒険に高揚感と緊張感の入り混じったざわつきが起こる。
「迷宮の数は数えきれないくらいあるわ。大体何かしらの仕掛けがあるのが普通ね」
 普段から迷宮に入り慣れている南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)の言葉に頷くのは他の猟兵たち。
「罠だらけだったり、迷路みたいになってたりな。俺も何回かヤバいやつに出くわしたことがあるな」
 過去の依頼を思い出し、ラザロ・マリーノ(竜派ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)が呟く。時に猟兵でも危険と隣り合わせなのだ。まだ駆け出しの学生ともなれば、簡単にはいかないだろう。
「とりあえず、やってみて下さい、骨は拾って粉にして畑に撒きます」
 新入生たちに向かってアレ・チカノ(草食系ヴァンパイア・f16064)が表情を変えずに呟く。何かあったときは骨は拾うと言われては、新入生たちの表情が固まる。
「え? 死ぬかもしれないくらいヤバいってこと!?」
 ガジェットでどう攻略しようか考えていたマイナが思わず聞き返す。
「まあ、可能性はゼロじゃないだろうけど……」
 リョウガが確率でいえば、なくはないだろうと冷静に呟くが、新歓コンパで大怪我をしたら、前途多難といえよう。
「えーっと、じゃあこうしよう! 私が先行して、怪しいトラップは解除しておくから。氷で滑るだけなら、命に別状はないよ。たぶん」
 見かねた西条・朱莉(天真爛漫お気楽ヒーロー・f16556)がそう提案する。実のところ、朱莉も気力だの知力だのを使って突破することが面倒くさいのだ。破壊して突破するのが性に合っている。
「でも、朱莉先輩も罠にはまったら怪我しない?」
 マイナの当然の心配に、朱莉は大丈夫! と大きく胸を張る。
「私は激痛耐性があるから!」
 もちろんそれが万能ではないが、新入生が怪我をすることに比べればなんてことはない。
「さぁ、いっておいで」
 そんなやり取りの間に、千香は新入生たちにばれないようこっそりと瑠璃色に輝くガラスの小鳥を召喚し、解き放つ。自身と五感を共有するそれは、上空から全体の様子を見守ってくれる。飛んでいることで強風が吹くトラップが作動しないように、少し低空飛行気味にして、何かあればアドバイスやサポートを行う。
「じゃあ、いっくよー! 必殺! お姉さん探知!」
 そう言って朱莉は勢いよく氷の上に足を踏み出した。黄金のオーラをまとったその姿に、新入生からおおと感嘆の声がもれる。
 説明しよう! お姉さん探知とはトラップがあろうが無かろうが、そのトラップを力任せに踏みにじり強引に前に進むと言う究極にして、最強、そしてネタの宝庫となるトラップ解除である。一説では、漢探知と呼ばれるが、朱莉自身がそれを知っているかは謎である。
 やはり氷は必要以上に滑り、朱莉がものすごいスピードで障害物にぶつかりながらぐるぐると氷上を周回している。
「うぉぉぉぉぉ、これぞ必殺朱莉ちゃん探知!」
 障害物にぶつかった反動か、もともとの罠なのか、天井からつららが落ちてきて氷の上に突き刺さり、新たな障害物となる。また、横の壁から水のような液体が流れ出し、より氷上を滑りやすくする。
「罠を解除してるのか、より状況をひどくしているのか微妙なところだけど……」
 リョウガの呟きはもちろん朱莉に届くはずもなく。当の本人はあちこちぶつけたはずなのに、実にいい笑顔で向こう側に立って親指を立てている。
「壊すのでしょう? 早くして下さい、お腹が空いてしまいます」
 じっと黙ってその様子を見ていたレンリをアレが促す。
「わかってる」
 あまりにも考えなしに氷に突っ込みかねない少年に向かって、ラザロはそっとアドバイスを送る。
「壊す前に、まず対象とその周辺にある物の素材や構造を調べておかないとな」
 自身が一目置いているラザロに助言され、レンリも氷に飛び込む前に一度対象をまじまじと見つめる。
「特に俺達みたいな壊したがりは、どの程度の力で何がどのくらい壊れるかを把握しておいた方がいい」
「迷宮の氷は天然のものより少し硬めにできていると思うわ」
 海莉も自身の経験からそうアドバイスを送る。
「まあ迷宮ごと崩壊する事はそうそう無えが、障害物を壊した衝撃で頭の上につららが落ちてくる……てことは朱莉で実証済みだからな」
 その言葉を受け、レンリは氷の上に足を踏み出した。頼りない足元に体がぐらつくが、なんとか剣も使って体勢を整える。
「私も障害物を破壊する方が得意よ」
 すっと海莉がサポートにつく。無言のままレンリは目の前に迫る障害物に剣を振るう。海莉のアドバイス通り、思っているより氷は硬いようだ。
「……いい剣の筋ね」
 海莉が目を細め、負けてられないとバランスを崩さないように気を付け、刀を振るう。光の加減で刃文に朱が差す野太刀は、鮮やかな切れ味で氷柱を断ち切っていく。
「剣の振り方の角度が悪いです、一定していません」
 海莉のように鮮やかに一閃とはいかず、硬い氷に苦労しているレンリに、アレはスタート地点で寝ころびながらも的確なアドバイスを送る。
「もっときちんとした素振りをしておかなければ使い物になりませんよ」
 厳しいながらも的を射た指摘に、レンリは奥歯を噛みしめながら剣を振るう。
 滑る氷に足元をすくわれながらも、障害物を破壊しながら進路を確保していく。
「……っと、あの凹んでる部分はどうする? 壊すにはちょっと難しいわよね?」
 目の前に現れた窪みにいち早く気づいた海莉が問いかける。
「その穴、見た目以上に深いから気を付けて!」
 上空からの視界を把握している千香には窪みの深さまでよくわかる。一度落ちてしまうと這い上がるのはなかなか難しいと思われる深さだった。
「このまま突っ込む」
 回避するより正面突破を選んだレンリ。答が出るまで見守っていた海莉は、すっと身体を翻す。
「私ならこうするわ」
 刀を氷面に突き立てて軸にして、滑る方向を強引に変えてしまう。ある程度の膂力が必要となるが、剣を振るう者ならできるだろう。
 とっさに同じように真似をしたレンリは、なんとか深い穴を回避することに成功した。
「力技だって一工夫で何でもできるわ」
 微笑む海莉のサポートのもと、無事レンリは朱莉の待つ出口付近にたどり着いた。
「思ったんだけど……転校生って力技で解決するタイプが多いの?」
 マイナの疑問に、千香が曖昧な表情で応える。
「僕はそうじゃないけど……今回はそういったタイプが多かったみたいだね」
 残った新入生たちもこの氷を越えねばと思う反面、正面突破は嫌だなあという空気が漂っていた。
「さっきより氷が滑らなくなってないかな」
 レンリたちが剣でつけた傷跡が氷上に残り、滑りにくくなっていることにリョウガが気づいた。
「お、いいところに気づいたな」
 ラザロが大きく頷く。
「じゃあ、あたしはガジェットで氷に細かく傷をつけていくわ。そうすれば滑り止めみたいになるわよね」
 マイナも賛同し、リョウガは槍で、他の新入生たちはそれぞれの武器で氷の表面を削っていく。
 時間はかかったが、それぞれの力で氷を渡ることができ、新入生たちは満足げだ。
「まだまだですね」
 一番疲労しているであろうレンリに、アレは聖なる光で治療を施す。聞こえないくらい小さな声で礼を告げるレンリ。
「俺が強そうって言ってたけど、見た目なんて当てにならねえだろ?」
 ラザロがレンリに語り掛ける。ぼんやりとしているアレが、剣の扱い方を的確に指導できたり、癒しの力で皆を治癒したりする。か細く見える少女でも、確かな技術や自分だけの特技を持っている。
「あんたは見た目も強そうだけど、それだけじゃない」
 無口だったレンリだが、ラザロを前にしっかりと口を開く。
「数々の修羅場をくぐり抜けてる、そんな強さがある。……俺にはわかるんだ」
「……そうかい」
 なんだかこそばゆくなって、ラザロはそれだけを言うに留めた。
「自分の得意な方法で攻略していくのは気力の温存って意味でも正解よ。後は経験を積んで、応用の仕方を覚えればいいわ」
 海莉が新入生たちの行動を称え、微笑む。
「力任せに殴り倒すスタイルなら私になんでも聞いてよね!」
 朱莉も元気そのもので、まだまだ体力は十分なようだ。
「さて、みんな無事かな? まだ先は長いよ。気を引き締めていこうね」
 千香が全員の無事を確認すると、災魔が巣くう次なる迷宮へと歩みを進めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『ひよこーん』

POW   :    ひよひよあたっく
【弾けたひよこーん】が命中した対象を燃やす。放たれた【不可視】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ひよー、ひよひよー!
【鳴き声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    ぱちぱちぽんぽん
【体内の熱】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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●迷宮の奥の災魔
 迷宮を進んでいくと、なぜだかだんだんと香ばしい匂いが漂ってくる。それに加え、ぱちんぱちんと何かが弾ける音。時折、ひよーひよーという謎の鳴き声のようなものまで。
「なんだかいい香りがするね」
「歓迎パーティーの続き……なわけないよね」
 リョウガとマイナが迷宮にあるまじき様子を感じ取り、不思議そうに首をひねる。
 そうして迷宮の奥にたどり着いた転校生と新入生が見たものは――。
「ひよこ?」
 やたらと大きなフライパンの上に、ひよこ状の何かが無数に跳ねている。熱されたフライパンの上で、つぎつぎとひよこが種から弾けて生まれている。まるでポップコーンのように。
「これが災魔?」
 拍子抜けをした新入生たちだが、可愛い外見であろうが、オブリビオンには違いない。
 猟兵たちにとっては、負けることのない相手でも新入生たちにとっては、ちょうどいい相手かもしれない。
「……ぶっ潰す」
 可愛い外見など意にも介せず、レンリは低く呟いた。
 新入生たちの初めての戦いを上手くサポートするため、転校生たちもそれぞれ武器を構えた。
アレ・チカノ
基本的に前には出ません。
少し冷ませば食べられるでしょうか?
既にどう戦うかではなくどう食べるかを考え始めています。
プレイパンの上から離れた個体を衝撃波で撃ち落として、フーフーと冷まして食べる準備です。一口サイズまでバラバラにすれば後は待つだけでしょうか?

わざわざ敵地で戦う必要はありせん、フライパンの上に……、上に……。
一瞬生まれた、フライパンで焼いて食べたら美味しいのだろうか、という疑問を流石にアカンと頭をブンブン振って振り払います。
フライパンの上に乗ったら熱いのは当たり前でしょう何故乗りました?
何かの弾みでフライパンに乗ってしまった人には容赦なくツッコミます。
怪我人は都度癒しておきましょう。


西条・朱莉
仲間との連携・声掛けOKです!
(目を瞑って)きゃ~! 可愛い~!
でも、これオブリビオンなんだよね?
ぶっ飛ば~す!
ひよこーんに服焦げさせられちゃうけれど、気にせずぶん殴りに行くよ~!
マイナちゃん、皆、援護宜しくね~!
因みにリョウガ君って槍投げできるの?
出来るんだったら、あれに向けて投げて注意引いて貰って良い?
リョウガ君やマイナちゃんの援護を貰いながら怪力付捨て身の一撃、グラップルで突撃!
熱いのは激痛耐性で気にしない!
存在感バリバリ出してとにかくこっちに突っ込んできて貰うね!
纏めて近付いてきたところでUC発動!
「必殺! スーパー・ブロークンナックル!」
 ひよこーん達を纏めて大地事ぶっ飛ばすよ!


ラザロ・マリーノ
負けることが無えとはいえ、今後のためにも作戦を考えさせた方がいいか?

数匹ずつおびき出して、数の優位を生かさせない。
熱と炎の対策を立てて、相手の長所を殺す。
あたりが出来れば十分かな。

この辺の戦術とアイデアは、リョウガとマイナの方が得意そうだ。
ちょっと話を振ってみるか。

戦闘が始まったら、【属性攻撃】で水を纏わせたハルバードを【怪力】【なぎ払い】で振るって援護するぜ。
今日の主役は俺達じゃねえとはいえ、少しくらいは働かねえとな。

※アドリブ・連携歓迎


南雲・海莉
災魔は倒す、例外無く……
(刀と剣を構え、自分に言い聞かせつつ)
そ、その、可愛いものを切るのがちょっと辛いとかそんな
(僅かに目を伏せる可愛いもの好き)

ちなみに食べられるとは聞いているけれど、
流石に一度倒して冷ましてからね?

戦闘が始まれば躊躇いは捨てていくわ
ひよこーんに直接触れないように切り捨てる

UCを使用して防御力を上げる
被弾しそうな新入生を庇うわ
剣で弾き返し、刀で切り付けつつ軌道を変えるわ

どう、『ひよこーん』の能力は大体分かった?
あの熱と炎、皆ならどう対応する?

フライパンを冷やしてしまうのが早そうかしら

討ち漏らしが無いように見ておくわ
可愛くても、人を害するなら
ちゃんと全部倒すのが仕事だものね


羽衣石・千香
おやおや、随分可愛らしい…
歓迎パーティーには打って付けかもね。

さて、さっきの氷の障害物でわかったけど前に行く人が多いのがよーくわかった。
怪我をしたら元も子もないよ。
【生まれながらの光】で回復に努める。もちろん新入生の子たち優先。
さて、マイナちゃん。これだけよく動く敵だ。効率よく倒そうと思ったら一つの場所に集めて一網打尽…なんていいんじゃない?
なんて案を出してみようかな。

無事に終わったらあの子たちの頭でも撫でてあげようかな。
みんなお疲れさま。



●若葉、芽吹くとき
「おやおや、随分可愛らしい……」
 ひよこーんがひよひよ言いながら弾けている様に、羽衣石・千香(ヤドリガミの聖者・f16834)は思わず呟いてしまう。ポップコーンじみた姿は歓迎パーティーにぴったりと言えよう。
「きゃ~! 可愛い~!」
 西条・朱莉(天真爛漫お気楽ヒーロー・f16556)はそのふわふわとして愛らしい外見に思わず目を瞑って叫んでしまう。
「災魔は倒す、例外無く……」
 ぶつぶつと自分に言い聞かせるように刀と剣を構えているのは 南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)。二人の反応は違って見えるが、可愛いと思う心は同じ。海莉も年頃の少女らしく可愛いものが好きなので、切るのはちょっと心が痛む。
「でも、これオブリビオンなんだよね? ぶっ飛ば~す!」
 驚異の切り替えの早さで朱莉は可愛いと言っていたひよこーんを容赦なくぶっ飛ばしにかかる。
「少し冷ませば食べられるでしょうか?」
「え? 食べるの!? 確かにいい匂いしてるけど……」
 アレ・チカノ(草食系ヴァンパイア・f16064)の言葉にマイナがぎょっとした顔をする。迷宮を進むうちにアレはすっかりおなかが減っていたのだ。もはやどう戦うか、というよりどう食べるかに考えがシフトしている。
「食べられるとは聞いているけれど、流石に一度倒して冷ましてからね?」
 さすがアルダワの迷宮に巣くう災魔に詳しい海莉がそう声をかけると、アレは冷ませばいいんですね、と真面目な顔で頷いた。
「ダンジョン飯ってやつだな。戦いが長引けばありといえばありか?」
 迷宮探索の折にはそんな事態もあるだろうとラザロ・マリーノ(竜派ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)も頷く。だが、今は新入生たちに戦い方を指南する方が先だ。
「熱いのは気にしなーい!」
 朱莉が熱さをものともせず、ひよこーんに殴り掛かる。対して海莉はひよこーんに直接触れず、刀で切り捨てていく。ひよこーんも反撃とばかりに弾け、ぶつかった相手を燃やしていく。
 先に戦う姿を見せ、ひよこーんの攻撃法などを見てもらい、新入生たちに戦い方を考えさせるのだ。
「さあ、どうやって戦う?」
 じっと見つめる新入生たちに問いかけるラザロ。
「とりあえず、あの炎の攻撃には要注意かな」
「どんどん生まれてくるから、まずは数を減らさないと」
 リョウガとマイナがそれぞれ意見を口にすると、ラザロは目の付け所がいいな、と頷く。
「熱と炎には対策が必要だ。相手の長所を殺すには……」
「氷とか水の魔法が有効かな?」
「そうだな。俺だったらこのハルバートに水の属性を纏わせる」
 勢いよく弾け飛んできたひよこーんを竜騎士の斧槍でなぎ払う。
「あとは、数が多いからいっぺんに相手にしないことだ。数匹ずつおびき出して確実に叩く方がいいだろうな」
 猟兵ならば連携をとって多数を一度に相手をすることもできるが、これが初戦の新入生ならば、確実な方法をとるのが安全だ。
「危険が迫れば私が守るわ。安心して戦いに集中して」
 ユーベルコートを使い、防御力を上げた海莉が安心させるように微笑む。時折新入生のそばにやってくる流れひよこーんを剣で弾き返している。
「万が一怪我をしてもすぐに回復するからね」
 千香とアレも回復の用意はできている。が、アレはひよこーんを食すため、今は忙しい。フライパンの上から離れた個体を衝撃波で狙い、撃ち落とすと、もこもこした部分を一口サイズまでバラバラにする。冷めたところで口に運ぶ。
「なかなかいけますね」
「料理の材料にもなるっていうし、私もあとで持って帰ろうかしら」
 新入生がひよこーんの炎で黒焦げにならないように守りながら、海莉も興味をそそられ呟く。
「災魔はぶっ潰す!」
 他の新入生が固まって動く中、レンリは一人剣を構えてひよこーんに突っ込んでいく。ラザロのアドバイス通り、剣を氷の魔法で凍らせるが、もはや剣で斬るというより殴るスタイルだ。
「威勢はいいけど、怪我しないようにね!」
 朱莉がフォローするように、レンリの近くで同じく敵陣に突っ込み、ひよこーんをぶん殴っていく。
「あたしが風の魔法で敵を分断するわ」
 マイナが魔法を操り、フライパンの上のひよこーんのいくつかを風で運び孤立させる。そこへ新入生たちが各々の武器で攻撃を仕掛ける。
「よし、いいぞ。その調子だ」
 自らもハルバートを振るいながらラザロが新入生たちに声をかける。
「どう、ひよこーんの能力は大体分かった?」
 海莉の問いかけに、新入生たちも自信をもって頷く。初めはぎこちなかった攻撃もやがて確かなものとなり、転校生たちのサポートのもと、各々の力を出し切って戦闘に当たっているようだ。 
「レンリ、ただ剣を振り回しているだけでは無駄が多いです。相手にあった戦い方を考えないとお腹が減るだけですよ」
 アレがもぐもぐとひよこーんを食しながらも、レンリに的確なアドバイスを送る。それを受け、レンリは素早く弾けて飛んでいくひよこーんの動きを見定め、落ちてきたところをなぎ払う。
 折を見て千香が聖なる光で治療していく。
「さて、マイナちゃん。これだけよく動く敵だ。効率よく倒そうと思ったら一つの場所に集めて一網打尽……なんていいんじゃない?」
 千香のアドバイスに、マイナはそっか! と頷くと、風の魔法を使い、今度は多くのひよこーんを迷宮の奥まった場所に集める。
「みんな、一斉攻撃よ!」
 マイナはガジェット砲で狙い撃ち、リョウガは槍で衝撃波を放ち、効率よくその数を減らしていく。
 ひよこーんたちもひよひよと鳴いて自身の戦闘能力を高めるも、攻撃の多くは転校生たちの攻撃で相殺されるばかり。 
「リョウガ君って槍投げできる?」
 相変わらず直接ぶん殴るスタイルでひよこーんをぶっ飛ばしていた朱莉がリョウガに問いかける。朱莉の戦闘の激しさを物語るように、服のあちこちは炎で焼け焦げている。
「正確に投げればいいのかな?」
「そ! じゃああれに向けて投げて注意引いて貰って良い?」
 指し示したひよこーんの集団に向かい、リョウガが槍を投げる。よそを向いていたひよこーんたちがこちらに気づき、攻撃しようと向かってくる。
 それを見て、朱莉が突撃。それほど身長は高くないが、存在感を出し、敵を引きつける。
「必殺! スーパー・ブロークンナックル!」
 大地を震わし破壊させるほどの一撃は、ひよこーんたちを大地ごとぶっ飛ばしていく。迫力ある大技に、新入生たちの口から感嘆の声がもれる。
 数もだいぶん減ったところで、海莉が最後のヒントを告げる。
「ひよこーんたちはフライパンの上からほとんど離れない。つまり……」
「フライパンの熱なしでは長くは活動できない」
 数が減った今ならば、熱を奪い、完全に活動を止めることができるだろう。リョウガが氷の魔法でフライパンを凍り付かせると、ようやく次々と種から生まれていたひよこーんの出現が止まった。
「災魔……俺たちはオブリビオンと呼んでいるが、やつらはまた蘇ることもある。また別の迷宮でひよこーんに出会うこともあるかもな」
 ラザロの言葉に新入生たちは頷き、そうしてやっとほっとした表情を見せる。
 千香とアレが怪我や疲労を聖なる光で癒し、ひよこーんの味に興味がある者にはもふもふした部分が配られる。
「千香先輩、アドバイスありがと!」
 マイナが煤で汚れた顔に笑顔を浮かべ、礼を述べる。
「マイナちゃんたちの頑張りの賜物だよ」
 頑張ったね、と頭をなでなで。
「千香先輩、いい匂い」
 緊張感から解放されたせいか、甘くかぐわしい香水の香りにようやく気付く。
「またいつかキミの恋バナ、聞かせてね」
「次に会う時までにね」
 いつかまた、再会できればいいなと思う。
 新入生たちはそれぞれ転校生たちに世話になった礼を述べる。
 初めての迷宮、災魔との戦いを優しくリードし、サポートしてくれた存在として彼らの中で忘れられない思い出になるだろう。
 若葉マークの新入生たちも新学期からより一層勉学に励み、やがては学園を担う大樹のように成長することだろう。
 そして困難に出会う度、この初めての冒険を思い出し、転校生がそうだったように、気力体力知力を使い、あきらめず一歩前に踏み出すことができるに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月17日


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#アルダワ魔法学園
#若葉たちの冒険


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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挿絵イラスト