3
哀と兵器とかしわもち

#UDCアース #呪詛型UDC


「古今東西何かをお祝いするというのは良いことだろうと思います一般的には」
 今日もどうにも脈絡の見当たらない第一声を発す、ちっさいグリモア猟兵テレビウム。
「誰かが生まれた日だったり何かが発売された日だったりヘイトを一身に集めていた期間限定レイドボスが完全撃破された日だったり」
 良い事言ったように聞こえても最後の方で台無し。
「そしてお祝いによってはその内容に相応しい料理や菓子を作る事もあるそうですね、限定イベント配布のアイテムになると回復効率が高くて大変助かっています」
 とりあえず一寸非現実世界から戻って来なさい其処のグリモア猟兵。
「というわけでお祝い菓子作り体験教室の募集チラシを差し上げています先着順で」
 おーい誰かその辺で迷子になってる脈絡さん誘導してきてー。

 グリモア猟兵テレビウム、カラビヤン・オダマキ(Little-Jane-Doe・f16643)曰く。
「UDCアースの日本では五月の初めに子供の健やかな成長を祝い願う日があり、そのお祝いにはこれ、という菓子があるそうで。そのひとつが、かしわもち」
 もしかしたらサムライエンパイアやヒーローズアースの方もご存じかもしれませんね、と続け。
「五月をかなり先取りしていますが、とある和菓子屋にて、かしわもちを作るという体験教室が人気を集めています。作った物は持ち帰ってもよし現地で食べてもよし、飛び込み参加も大歓迎だそうで」
 日時を選ばず手軽に美味しい柏餅を作れるとなれば確かに楽しい催しだ。
「ですが、この教室に参加した人達の一部が毎回必ず行方不明になるというんです」
 楽しくない方向に急旋回。
「行方不明者は年齢も性別も出身地もバラバラです。逆に無事だった方はといえば……その、突発的に連れ込まれたとかグループの数合わせポジションとか、そういう……」
 それUDCアースで話題の呪詛型なんたらって奴じゃない? と集まっていた猟兵から声が挙がる。
 日常を満喫している人をピックアップして怪異にご招待する呪詛型UDCの仕業であれば、なるほど乗り気でなかった人達が無事なのも頷ける。
 ……これで脈絡がようやく噛み合った。
「予知として形になったからには体験教室の背後に呪詛型UDCが関わっているのでしょう。ですので本日のクエスト、先程のチラシの和菓子屋でぶっちぎりの勢いでかしわもちしてきてください」
 楽しく美味しくかしわもちすれば怪異の側から寄って来る筈だ。
 その先に何があるかはグリモア猟兵たる彼女にも分からないとの事だが、起きた異変を調べれば今回の黒幕に辿り着けるだろう。
「ご助力願えます方はどうぞこちらへ。目的地まで迅速転送致します」
 いつものように何処かで見たようなワープポータル型グリモアを起動させ、宜しくお願いしますとカラビヤンはぺこりと頭を下げたのだった。


蔓這霜
 皆様おはようございます、蔓這霜と申します。
 グリモア猟兵の発言通り半月程先取りした端午の節句?なシナリオを。
 ……怖いお話にはならないと思います。多分。

 ◇第1章:柏餅、作りましょう。
 食べ物を粗末に扱う行為、(環境・精神共に)衛生を損なう行為は採用出来ません。
 この章に限り必要成功数が低い為リプレイ提出にお時間を頂く場合があります。

 ◇第2章:見事怪異にご招待されます。怪異の根源を探してください。

 ◇第3章:発見された怪異の根源、呪詛型UDCを撃破してください。

 なお各章開始時に状況補足等を行う為の序文が入ります。
 プレイングは序文掲載後に御投稿いただきますようお願い致します。

 それでは皆様とのご縁を頂けます事を祈りつつ。宜しくお願い致します。
7




第1章 日常 『柏餅を作ろう』

POW   :    基本に忠実に一つづつ作ってみる

SPD   :    違いを多く楽しむ為に手早く作ってみる

WIZ   :    用意された食材を使ってアレンジを考える

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「いらっしゃいまし、ようこそおいでくださいました」
猟兵達を出迎えたのは上品かつ可愛らしさのあるおばあ様。和菓子屋の女将だろうか。
柏餅の体験教室は此方でしょうかと尋ねると、あらあらまあまあと柔和に笑んで店の奥へと案内する。

一見何の変哲も無い街の和菓子屋。
店の一角に喫茶室が設けられており、その一部を体験教室に割いているようだ。
作った柏餅は此処で食べていく事も出来るし、思い出として持ち帰ることも出来るという。
お品書きに緑茶や抹茶、焙じ茶と並んで紅茶があるのは和菓子屋として一寸珍しいかもしれない。
季節の風景画や生けた花に並んで白黒の写真が飾られている。何処かの浜辺だろうか。

「お支度が調いました、どうぞお楽しみくださいまし」
女将が手押しの棚に載せてきた番重を目の前に並べていく。
ひとつには粒餡とこし餡、みそ餡に栗餡が盛られた皿と柏の葉の入った皿。
もうひとつには餡を包む餅。定番の白餅と、蓬を練りこんだ草餅。
猟兵達の目の前には小振りのお盆。作った柏餅はそれぞれ此処に並べていけばいいだろう。
何かございましたらお声がけくださいね、と銘々におしぼりや調理用手袋をを配りながら女将は微笑んだ。
片桐・公明
柏餅と桜餅。結構似ていて紛らわしいのよね。葉っぱまで食べられるのが柏餅だっけ?

【POW】
「♪~」
鼻歌交じりに柏餅を作っていく。手際よく、効率よく、されど丁寧に。
「生クリームやカスタードのような洋菓子が好みだけど、和菓子の甘さも大好きよ。」

(……さて。)
柏餅を作る片手間に他参加者を観察してみる。
表情、柏餅を作る手つき、情報になりそうなものは見逃さない。
(突発的に参加した人は無事。では計画的に参加している人はどういう人なのかしら。)
(一般的に共通項としてあげられるものはすべてバラバラ。逆に言えば共通項はただ一つ。『人間であること』)
(柏餅…端午の節句…)
(……もしかして子供が関係している。とか?)



 桃の節句の桜餅、端午の節句の柏餅。節句繫がりの上に系統の似た菓子は紛らわしい。
 そんな事を考えながら、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は柏の葉を一枚摘み上げる。
「葉っぱまで食べられる方がこちらでしたっけ?」
 ほのかな香りを漂わせる葉は柔らかいが幾分厚めで、食べられるかどうかは判別がつきにくい。
 通りがかった女将に尋ねると、一緒に召し上がられても障りはありませんが外すお客様の方が多いようです、とのこと。
 他方桜餅の葉も食べる派と外す派に分かれるので、後は個人の好みといったところか。

 手頃な大きさに餅を取り、楕円の形に広げ中央よりややずらして餡を置き、二つに折り包む。
 最後に柏の葉でくるりと包んで出来上がり。手軽な体験教室故に、蒸す工程は略してあるそうだ。
 目の前のお盆に出来立ての柏餅を置き、鼻歌交じりに公明はふたつ目作りに取り掛かる。
 手際よく、効率よく、されど丁寧に。
「生クリームやカスタードのような洋菓子が好みだけど、和菓子の甘さも大好きよ」
 お盆の上に、見目好く柏餅が並んでいく。

 柏餅が増えていく様を楽しみながらも、周囲を窺う事も忘れない。
 今日の参加者は親子に女子高生集団に老夫婦、老若男女が入り混じっている。
 はしゃぐ子供の声、穏やかな会話、スマホ片手に突発撮影会。……さて、怪異は何方を招く?
(「柏餅……端午の節句……もしかして子供が関係している、とか?」)
 思索は巡る。されど先ずは怪異を此方に向けねば無辜を巻き込む、と公明は再び餡の匙を手に取った。

成功 🔵​🔵​🔴​

秋津洲・瑞穂
WIZ

世襲巫女の娘としては、こゆの得意と言いたいところだけど、
近在から贈られるものを受け取る側だったのよねぇ。
他の修行が忙しくて、お台所は最低限だったし……。
柏餅自体、エンパイアでは見なかったかなぁ。

いい機会だから練習しよう。粒餡をこーろころ。
ちっちゃい頃を思い出すなー。そこ、今でも小さい言わない。

小豆餡と白餅とで紅白がいいよね。
白餅を丸くのばして(ぐにょー
真ん中に餡を乗せて(ぽん
二つ折りにして包む、と(ぐにぐに

……これって、ぎょうざ?(餡が多すぎた

……(無言で作業中

……ぎょうざを大量生産してしまった、ような、気が、する。
い、いいよね、美味しければっ。
とりあえず葉っぱで巻いて、出来上がりっ!



 神妙な面持ちをして、秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)が粒餡を丸めている。
 次代巫女として厳しい修行に明け暮れていたが、こと厨(くりや)周りは他より後回しであり祝いの品も近在から受け取る側だったから。
 郷里サムライエンパイアで出自を明かせばこの類も得手であろうという先入観が付いて回るは常なれば、それ故に良い機会と参加を決めたのだった。
 こんな風にころころと丸めていると幼い頃を思い出す。……今でも幼い外見だというのは禁句だろう。

 やはり祝いの菓子ならば紅白がいいと次に手にしたのは白い餅。
 ぐにょー、と餅を丸く伸ばし、ぽん、と中央に餡を置き、ぐにぐに、と二つ折りにして包む。
 包んで……手の中に出来上がった物をまじまじと眺める瑞穂。

「……これって、ぎょうざ?」

 餅に対して餡が些か多かったのか、お腹ぱんぱんの餡子餅。だがこれはこれで祝いに供すに豪華な品だ。
 気を取り直して次の餅を形作る。もう一つ。もう一つ。そして無言貫く彼女のお盆に増えていく餃子紛いの餡子餅。
「い、いいよね、美味しければっ」
 取り敢えず柏の葉で包んでしまえば柏餅で間違いない! と餡子餅に葉を巻き始めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ココロコ・ヨコロコ
私、怪異?ってやつあんまりわからないのよね。
でもここでかしわもち?ってやつ作れば良いのね、任せて!
【POW】

【料理】なら人並みには出来るし、教わりながらちゃんと作っていくわ。

えーと……餡を丸めて、生地で挟む。
大福みたいだけれど、きっちり丸くはしないのね。
最後に葉っぱでくるむ……うん、準備してあると簡単にできて良いわねぇ。
よし、次ね!

(丁寧に作り続ける)


よし、結構できたわね……。(キョロキョロ)
後は任せて、私はお茶にするとしましょう!
女将さーん!お茶くださーい!



 呪詛型UDCという存在、及びそれらが齎す怪異というものを聞き慣れない猟兵もまだ多いだろう。
 だが怪異のご招待を引き寄せるには日常の謳歌が重要なのだ、とこの手の案件を依頼するグリモア猟兵達は口を揃える。
 そして、今回も。
「ここでかしわもち? ってやつ作れば良いのね、任せて!」
 怪異云々は分からずとも料理なら人並みに熟せると自認する彼女、ココロコ・ヨコロコ(キマイラのフードファイター・f05518)が番重を覗き込む。
 何分初めての体験、作り方を教わろうと通り掛かった女将を呼び止めた。

 人好きのする緩やかな口調で説明しながら実演する女将、その向かいでココロコも餡を丸める。
 餅を手に取り伸ばし、丸めた餡を挟む。
 同じ餅菓子でも丸く伸ばして縁を寄せるように餡を包む大福とは違うのか、と興味は尽きない。
 最後に柏の葉っぱで包めば完成。柏餅は初めてだと仰いましたがとてもお上手ですよ、と女将からのお墨付き。
 初めてでも迷わずに作れるのは準備して頂いたからこそだと礼を返し、次の柏餅作りに取り掛かった。

 何時しか彼女のお盆の上には丁寧な作りの柏餅が幾つも並ぶ。
 いつ怪異が手招きするかは分からねど、そろそろ一休みしてもいい頃だろう。
「女将さーん! お茶くださーい!」
 元気に手を振るココロコに、すぐお持ち致しますねと女将がふわりと微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞー

WIZ

材料も一杯あることだし
色んな組み合わせにチャレンジしてみるかな
違う餡を混ぜたり、違う餅を半分ずつ使って見た目を変えてみたり、
違う材料を混ぜて使ってみるのも新たな発見があるかもだね

幸い僕には腕が7本あるから色々試すには丁度良いね
手早く出来るよ

今こそ僕はアレンジ柏餅たくさん作るマシーンと化す!



 彼のお盆に並ぶのは、目にも艶やかな細工施した変わり種の柏餅。

 草餅と白餅をそれぞれ手に取り、一つに軽く纏めてから楕円に伸ばす。
 そして粒餡を乗せて挟めば一個で二度味わえる二色餅の出来上がり。
 みそ餡を丸めて白餅で挟んだ後に、柏の葉を模して伸ばした草餅で巻けば丸ごと美味しく頂ける。
 ならば逆に草餅で挟んで白餅の葉で巻いた色違いも忘れずに。
 一見普通の柏餅に見える物も、二つに割ってみたらこし餡の中から栗餡がこんにちは。
 小さな白餅草餅を互い違いに四つ並べて伸ばせば小粋な市松模様に早変わり。

 ……という作業をほぼ同時進行かつ結構な速度で楽しみまくっている七本腕の御方。
 アレンジ柏餅たくさん作るマシーンと化した虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)、猟兵じゃなかったら一般人総吃驚の光景だ。
 あらあらまあまあ手際も見栄えもお見事です、職人さんになっていただきたい位ですわと女将も太鼓判。
 これは間違いなく怪異さんが手ぐすね引いてご招待あそばすだろうという満喫っぷりだが、彼の創意工夫はまだまだ底が知れず。
 さて今度は二色を軽く捏ねて大理石模様の餅でも作ってみようかと思い立ち、ひょいひょいと番重から手早く餅を摘み上げるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『海からの呼び声』

POW   :    海に入って調査する

SPD   :    海の周辺を調査する

WIZ   :    海の近くで魔力を探って調査する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

 体験教室も終わり、一般の来訪者達が次々と帰路につく。
 猟兵達は敢えて彼等を見送る為に暫し逗留を延ばす。ある者は自ら作った柏餅を折詰に包んでもらい、ある者は土産として和菓子を購う。
 そうして、事前の示し合わせ無くも皆で怪異を見定める為に、最後に和菓子屋の敷居を跨ぐ。
「本日はおいでいただきありがとうございました。またお越しくださいましね」
 深々と頭を下げる女将に見送られ、猟兵達は和菓子屋を後にした。

 ……後にした、筈だった。
 表の引き戸を完全に閉めたその瞬間、足下は一面の砂浜に。
 驚いて振り返ると、先程まであった筈の引き戸も和菓子屋も都市の景観も、なあんにもない。
 ただただ限りない砂浜と海があるばかり。

 目を凝らし、耳をそばだてる。
 あの和菓子屋で同じ一時を過ごした一般人誰一人の気配も痕跡もない。
 どうやら本日の怪異への招待状は全て猟兵がもぎ取ったと判断して良さそうだ。

 だが、気付いた者はいただろうか。
 ――あの喫茶室の白黒写真、あの浜辺の風景と此処が余りにも酷似している事に。



 ---------------------------------

 ※第2章の補足事項をお知らせ致します。

  ・この章からご参加の方も『実はこっそり体験教室に居たよ』の体で大丈夫です。
  ・猟兵の皆様の視界には無限の砂浜と海のみ。建物の類が一切存在しません。
  ・でも一寸した何かはあるかもしれません。建物以外の何かは。

  ・上記を踏まえ、探索方法と一緒に『探索結果』を全力でプレイングにぶつけて下さい。
   その結果、次章の方向性が哀だけでは済まず愉快だったり怒髪天だったりするかもしれません。

 ---------------------------------
秋津洲・瑞穂
和菓子屋のおばあ様、戦時中に旦那さんを亡くしたのかしらね?
建物はなくても飛行機の残骸はあるとか、そういう話なのかなぁ。

……戦巫女の業かしら、こんな風に考えてしまうのは。

ともあれ、水着もあることだし、海底を引き受けましょう。
(任務中はいつも水着を着け、下着は別に持ち歩いています)

フォックスファイアで灯りを確保。
ユベコでない、ただの水なら狐火も消えないはずだけど、
辛いのは辛いので一纏めに合体させてから連れて行く。

念のために海中で使いやすい『薙ぎ槍』を持って、海にin。
目指すは海の底。なるべく沖へ。
綺麗な海。海中散歩を気取っている場合でもないけどねー。

「――当たり前のように目の前にあるわね、沈没船」



 遠くへ、遠くへ。沖合の海の底へ。

 秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)が選んだのは海中探索。
 普段の太刀ではなく軽い薙刀を手に、猟兵任務中は用意欠かさぬ水着で海の中へ。

 傍に侍るお供は煌々と水底照らす狐火。
 水面透かす陽の光に負けじと主を導き海中を往く。ゆらり、ふわり、きらり。
 そして瑞穂の視界へと、ゆうらりと滲み浮かび上がる大きな影。

「――当たり前のように目の前にあるわね、沈没船」

 幾つもの光で煌めく海中、場違いの様に横たわり錆生す海藻の寝床。
 ……それは、UDCアースの日本でも、サムライエンパイアでもない外國の風情と意匠。
 良く言えば武骨、悪く言えば防御効率極振りの姿から、近現代に生まれて散ったような印象を与える。

「……戦巫女の業かしら」

 砂浜に降り立ち、波打ち際へと歩を進めながらずっと考えていた事がある。
 あの穏やかな和菓子屋の女将から察する年代からして、伴侶が居るならばやはり相応の歳であろう。
 だがあの一時の間に、彼と思しき存在の姿を見る事は無かった。
 ……白黒の写真が語るものはもしかしたら……朽ち果てつつあるこの船の存在は……。
 そんな風に、瑞穂は考えざるを得なかったのだ。



 《海中ニテ沈没船ヲ発見セリ》

 【かなしい おまじない が ひとつ】

成功 🔵​🔵​🔴​

片桐・公明
【SPD】
分「どこまで行っても海と砂浜。面白くないったらありゃしないな。」
本「同じ風景が永遠と続く、ここは一体どこかしら。」
分身と協力して周辺探索。適当に歩き回ってみる。

分「なんで唐突にこんなところにいるんだよ。」
本「簡単に言えば、私たちが標的となったということだろうけど。なんでかしらね。」
分「あたしらがしたことと言えば『最後に教室を出た』ことだよな。」
本「そうすると『突発的に連れ込まれたとかグループの数合わせポジション』が巻き込まれていないのが分からないわね。」
収集した情報は分身と共有
互いに空間と怪異について推理していく

分「こいつぁなんだ?」
本「飛行機の残骸?結構小型ね。戦闘機か何かしら。」



 ――何処まで行っても海と砂浜、面白くないったらありゃしないな。

 歩めど全く変わり映えのしない光景に毒づく人影が、ひとつ。

 ――同じ風景が永遠と続く、ここは一体何処かしら。

 見渡せど全く他の何かに出遭わず首を傾げる人影が、ひとつ。
 髪型も背格好も顔立ちも服装も眼鏡も同じ……ただひとつ決定的な差異を纏い孕んだ人影、ふたつ。

 片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)が選んだのは分身を呼び出しての周辺探索。
 離れては合流し、情報を突き合わせては又離れ。
 摩耗しきった映像記録媒体を無理矢理再生し続けているような風景の中、口火を切ったのは彼女の闇揺蕩う側たる写し身。
「なんで唐突にこんなところにいるんだよ」 
 事前予知の上とて不可解な現状。
「簡単に言えば、私たちが標的となったということだろうけど」
 なんでかしらね、と常の側に立つ身たる公明が、疑問に疑問を打ち返す。
「あたしらがしたことと言えば、『最後に教室を出た』こと」
「そうすると、『突発的に連れ込まれたとかグループの数合わせポジション』が巻き込まれていないのが分からないわね」
 あのグリモア猟兵の、あの微妙に歯切れの悪い表現。
 グリモアベースからの謎に暫し思索の海を泳ぐ公明の隣、溜め息を吐く写し身の側に、瞬きの間に過ったもの。
 ……除外者の態度や表情をあの子供が垣間見た可能性は? 戸惑い、居心地の悪さ、鬱積、隣の者と平等に遇されぬ様を?

 そして遂に、出来の悪い循環映像体験の中に見出した第三の事物。
「こいつぁなんだ?」
 墜落の衝撃か経年劣化か、散らばりつつも辛うじてその威容を留め風化に抗う絡繰り鳥。
「結構小型ね。戦闘機か何かしら」
 


 《浜辺ニテ戦闘機ノ残骸ヲ発見セリ》

 【なぞめいた おまじない が ひとつ】

成功 🔵​🔵​🔴​

ウイシア・ジンジャーエール
(2章から参加です)(実はこっそり体験教室に居たよ、です)
(種族特性を隠し和菓子屋へ、柏餅を作り、白黒写真に気付いていた体で)


あきらかな異変を感じ、〔早業〕でオラトリオの羽と花を顕現。
空中に飛行。周囲を警戒しながら状況を確認します。

砂浜と海しかないのなら、上から探索しましょう。
大きく羽を広げて、この海と砂浜どこまで続くか、まずは飛んでみます。
…きっと、キリがないのでしょうね。

「……、あの写真か」
私には、年代物に感じたわ。
加えて女将が高齢である事から、数十年は昔の写真と考える。
周辺にある物は、古い年代の物かしらね。
〔失せ物探し〕技能で、隅々まで探索。

お手玉、おはじき、竹とんぼ。

子供の遊び道具…?



 舞い上がれ。高く高く、遥かな空へ。

 足下の砂の感触を、豹変した風景を知覚した瞬間に地を蹴っていた。
 背には翼、波打つ髪には幾つも咲き零れる白の大輪。
 ……先程迄外國の佳人として柏餅作りに没頭していた彼女は、瞬く間に天降る御使いの姿を取り戻す。
 名を、ウイシア・ジンジャーエール(探索者・f09322)。

 眼下には砂浜、寄せる波。動く小さな影は共に招かれた猟兵達だろう。
 天を仰ぐ。抜けるような青空には雲も、鳥も、邪なるモノの気配すらも見当たらぬ。
 非現実でしかない此処は間違いなくUDCの仕業であるだろうに、尻尾すら掴ませぬとは。
 ……何かを見出す事が、彼等を見出す鍵なのか。まさか人恋しいなど……邪神の眷属とてあり得ぬ話かどうか。
 翼を広げ、砂浜を海を視界に収めたまま空を往く。何処までも、何処までも。限り無く。

「……、あの写真は」
 UDCアースの現代技術であれば、写真は極彩色にも無彩色にも褐色纏う様にも自由自在。
 だが和菓子屋のあの写真は、間違いなく『その当時の技術』に拠る、と。
 喫茶室に飾られていた白黒写真をウイシアはそう見立てた。
 そしてやはり、その当時にぴたりと合いそうな年代であろう女将の存在。
 一度砂浜へ舞い降りた際、耳に挟んだ他の猟兵の話。
 ……見出した物は、どれも年代を感じさせる代物であった、と。
 再びふわりと、青い空へ。高く低く、近く遠く、判で押された風景の中に紛れた違和感を、欠失を求め。

 波打ち際にきらりと微かな瞬き。
 湿った砂に散らばり、波に洗われ艶めく小さな硝子。
 砂に埋もれ掛けた端切れ包みは拾えばしゃらさらと鳴り、未だ原型留めた細工は天往く羽も青々と。

「おはじきに、お手玉、竹蜻蛉……?」

 白黒写真に似合いの手遊び、遠い昔の追憶の欠片。



 《砂浜ニテ幼子ノ玩具ヲ発見セリ》

 【なつかしい おまじない が ひとつ】

成功 🔵​🔵​🔴​

アルバート・クィリスハール
(二章から参加です。女性陣から離れたところで作業してたていで)

もう空は見に行ってる人がいるし、僕は普通に歩くかな。
海か……弟を連れてきたら喜ぶかな。
喜ぶな。確実に喜ぶ。ひどいことになりそうだ。

しっかしどこまで歩いても砂と水ばっかりだね……。
ダークセイヴァーにも、これだけ水があったらいいのに。
ああ、でも飲めないんだっけ。残念だね。

ところで、砂浜にやたら落ちてる透明なぶよぶよは何?
スマホで調べてみるか。……くらげ?
え、これくらげなの? 陸地だとこんななの?
五月でもいるんだ、くらげ……。

うわ、青いの綺麗……ってカツオノエボシだこれ!?
海水浴客を許さないという強い念を感じる。カップルに恨みでも……?



 寄せては返す波の音。偽りの平穏を紡ぐように。

 女将との歓談交じりで柏餅を作っていた一団からは距離を置いていたが、この見目麗しき青年もご招待ならば心躍る体験だったのは疑いようもない。土産携え家族へ振舞う様を想っていたのやもしれず。
 そんな彼、アルバート・クィリスハール(仮面の鷹・f14129)が見上げた先には翼広げ天翔ける猟兵の姿。
 既に空からの探索を選んだ者がいるのならば、と波打ち際へ。猛々しき印象を与える黒翼を、黒髪に揺らめく炎の華を潮風が撫ぜる。

 もしこれだけ広大な水源が嘗ての故郷に――恵みも安寧も乏しき夜闇の世界にあれば、と思わずにはいられない光景。
 でも塩水だから飲めないね、と呟く彼の眼差しが沖合へと向かう。
「……弟を連れてきたら喜ぶかな」
 アルバートの穏やかな声音。だが浮かべた笑みの中に何故か過るは苦難の幻視。
 そう、もし連れ来ようものなら、間違いなく喜び勇むが故に、数瞬後何を差し置いてもシャワールームを探す羽目になるのでは、と。そもそも着替えは一揃い分だけで足りるのか、水を含んだ着替えで重くなる荷物へ更に一体どれだけの良からぬ収穫を仕込んでくる事か……。
 ……例えば、今まさに彼の足元に絶賛打ち寄せられ中のぶよぶよっとした透き通る何か。
 UDCアース文明の利器、スマートフォンで検索したところによると……くらげ? 何故この季節に?
 しかもその中に、藍色硝子の細工と見紛う綺麗なものも、いたのだけれど。
「……ってカツオノエボシだこれ!?」
 触ったら猟兵でも危険でした。呪詛型UDCより先に殺る気満々なのは如何なものなの!?



 《波打チ際ニテ毒性生物ヲ発見セリ》

 【りあじゅうにじひなどやらぬ おまじない が ひとつ】

成功 🔵​🔵​🔴​

秋津洲・瑞穂
POW

いやー……(ほっぺポリポリ

何度も海に潜ってたら、まぁ、そのうちこうなるよねー。

「サメだーっっっ!」

どこの馬鹿映画のスタッフよ、こんな巨大サメ用意したの!
誰かメカサメ持ってきて! 竜巻は要らないから!

(浜に向かってダッシュ20で競泳
(そのまま砂浜に乗り上げる(ずざーっ

く、口に砂が入った……ぺ。ぺ。

これって、関係ないサメよね? このままどっか行くよね?
いくら何でも、B級映画みたいな展開にはならないはず――

――なんか変な動力音がする。背後から。
すっごい嫌な予感がするけど、知らない振りもできないし。
冷や汗かきながら振り向く。と。

「……沈没船が浮いている……(呆然」

C級でした。



 ……おっとろしい事はどうにも続くようで。

「ちょっと待って何処の破天荒映画リスペクトなのこれーっ!!?」
 海より響く切羽詰まった悲鳴。とうとう出やがったか黒幕、と探索続ける猟兵の視線が一点に収束する。
 収束点すなわち全力疾走ならぬ全力競泳で生存確約線を目指す人影の後ろで見事な追走をキメるでっかい尾鰭。
 ……海豚なら素敵な光景でしたね。まあ鯱でもギリギリ、鯨なら寧ろ凄いで済んだかも。
 仄暗い水底から迫る恐怖を、波蹴立て追い詰められる恐怖を存分に煽る気満々な重低音の幻聴を堂々引っ提げた末、見事な跳躍を披露する黒影。ざっぱーん。
 ……うん。多分、しゃーく、って呼ばれる奴。しかもどでっかい。ウォーマシンでも喰い千切れるなあの体長なら。
 鯖や鮪の邪神は確認されてるが奴も居たっけ? と臨戦態勢に入る猟兵達の足元、勢い余ってずざーっと砂浜に突っ込む生還者。
 うっわ危ねえ、目測誤ってたらカツオノエボシに頭からダイブする惨劇発生してたよ!?

「……ぺ。ぺ」
 口からしょっぱさ溢れる砂を吐き出し恐る恐る振り向く秋津洲・瑞穂さん。遥か沖合から本当にお疲れ様でした。
 そしてデッドチェイスを繰り広げたB級映画引っ張りだこな奴はといえば「じゃーのー」と言わんばかりに鰭を振って悠々と大海への帰路に。
 いや本当にさっきから前座の筈の空間の方が殺意高いだろ、ねえまさか空間に遊ばれてる……?
 危機も去り、よいしょと薙刀に縋りながら立ち上がった瑞穂。流石に長い間海中に居たので身体も冷えたし何より疲労困憊の極み、黒幕登場まで砂浜で一休みしたいな何か本当に重低音聞こえ――。

 つんつん。
 自分の肩をつつく指。見上げ、指の主が示す先を、先を……。

「……C級映画……?」

 甲板に一瞬、まあるいなにかが掠めた、気もしたけれど。



 《海中ヨリ沈没船ガ浮上セリ》

 【しんぞうにわるいいたずらの おまじない が ひとつ】

成功 🔵​🔵​🔴​

アルバート・クィリスハール
ええ……怖い……何この空間。考えた人は何か海にトラウマでも持ってたの?
あのお婆さんが作ったのかな……?
一体どんな体験が、こんな場所を形作らせたんだろうね……怖いなあ。
(全部お婆さんのせいにしていくスタイル)

うん?
空を飛んでる沈没船の、更に後ろ、何か……竜巻?
いや……あれは……!
うわっ竜巻がサメ巻き込んで、えっあれなんかサメ映画で見たことある光景が……っていうかこっち来てない!?
お婆さん本当どんな体験したの!?

(やりたい放題)(無理なら流してください)



 ほんの数分前までは(怪異ご招待先とはいえ)長閑な海と砂浜の筈だったのに。

「ええ……怖い……」

 何この空間。
 本当に何が起きてるのこの空間。
 纏う海水滴らせ、大海から蒼穹へと大航海の場を移そうとする錆付き朽ちかけた金属船に目が釘付け。
 正直カツオノエボシの時点で十分驚いたが、眼前の光景は更に想像の斜め上。
 ねえ待って、こんな状況すら生み出すような海に人間引っ張り込む呪詛の根源は一体何なんだ。
 一体どんな体験を堆積圧縮すればこんなふざ……恐怖の空間を創造するに足りるんだ。
 頭の中でぐるぐる回るUDCの基礎知識と現実と疑問とを攪拌した末、アルバート・クィリスハールの出した結論は……。

「……あのお婆さん……そんなに海にトラウマでも持ってたの?」

 和菓子屋の女将さん怒涛の波乱万丈説だった。
 え、幼少時は相応の子供だったのに従軍経験を経てシャークキラーな漁師になったとでもいうのかそれは!?
 そこから和菓子屋に転身した経緯を部外者ながらめっちゃ知りたいんだけど!?
 人によっては食い付きの激しかろう結論を一応導いてみた彼だが、直後、海藻ゆらゆらする元沈没船の後ろ、最早見てはいけないものを見てしまった。
 ……巻き上がってるなあ、海が。
 ぐるぐる渦巻いてるなあ、巻き上がる海水が。
 さっき悠々と視界から御退場あそばした筈の超巨大シャークさん、渦の中でぐるぐるしてるなあ。
 しかもどんどんでっかくなってくの此処で見ててもわかるなあ。
 ……言い方変えよう。迫ってきてるなあ、諸々。
「もうこれ映画のワンシーンだよね!? お婆さん本当どんな体験したの!?」


 ――それもう多分呪詛型UDCの方が小一時間問い詰めたいレベルだと思うよ!!!



 《巨大鮫ヲ大海ヲ大竜巻ガ蹂躙セリ》

 【かいいおそれぬ りょうへいたちの おまじない が じゅそ を むしばむ!!】

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『廻るパンドラ』

POW   :    終末理論
【激しい爆発】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    臨界点突破
【高速で接近し、爆発】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    革命前夜
【爆発音】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「なあぁぁぁあああぁぁんでお前等揃いも揃って正気なんだよおおぉぉおおおおおっ!!!??」

 降ってきた。
 大海流竜巻に巻き込まれ木っ端微塵の旧沈没船から射出されたまあるい何かが降ってきた。
 
 一見、柏餅と縁深い鯉のぼりの先っぽでぐるぐる回る矢車。
 だがでっかい。だが爆薬積んでる。だが人面ついてる。じゃあ怨嗟絶叫の主はこいつか。
「何で認識朦朧化も起こさねぇんだよ、何で恐怖対象の幻覚見て悲鳴上げて逃げ惑わねぇんだよ!?」
 んな事言われても知らんがな、多分黒幕の呪詛型UDC。
「お前等のせいで呪詛幻影の威力根こそぎ消えちまったじゃねえか! 見ろこの惨状を!!」
 ……惨状?
「す、砂で滑って転んじゃったよぉ……起き上がれないよぉ……」
「ああ、シュウト様、シュウト様。兵器にもなれない我等を許し給え……」
「良ければ紅茶など如何かな? 茶菓の持ち合わせが無いのは申し訳ないが」
「ねぇーねぇーあーそぼー、追いかけっこしよー? 泳いで競争でもいいよー?」
 ……横倒しでじったんばったんしたり、尽きぬ懺悔に暮れたり無駄に紳士だったり駆け回ったり。


 ――さて猟兵の皆様……呪詛が呪詛を放棄した今が、チャンスです。多分。



 ---------------------------------

 ※第3章の補足事項をお知らせ致します。

  ・この章からご参加の方は今までの行動をでっち上げてください。
  ・見つかった『何か』から生まれた【おまじない】で敵は絶賛弱体中です。
  ・他の【おまじない】を見つけても構いません。どうなるかは皆様次第。

  ・上記を踏まえ、遊んだり戦ったり柏餅食べたり慰めたりするといいと思います。
   誰にも相手されなかった個体は他の対応の余波で勝手に片付くでしょう。

 ---------------------------------
片桐・公明
【SPD】2挺拳銃で攻撃しつつ相手の動きを予測して、爆発の届かない一定の距離を保ち続ける。が……
「うわぁ。全然動きが予想できないんですけど。……」
「……吹き飛んだの、お仲間じゃないの?」
「ここってUDCアースよね。あれじゃキマフュの面白オブリビオンと大差ない気が。……目的と行動が一致している分、あっちのほうがましな気がするわ。」

「……面倒だからさっさと終わらせよ……」
UCで敵を焼き払う。

「それにしても、柏餅とか被害者の法則とか解らないことが多すぎるわね。その辺り聞き出せないかしら。」



 銃声。爆音。抉れる砂浜。漂う飛沫。
 重なる轍と足跡が崩れ易い筈の地を圧し固め、戦場として最適化されていく。
 発砲の度に握る両の銃把から伝わる異なる反動。
 迫られれば退き、間合いを取られれば詰め、保つは炎に煙に、衝撃に巻かれぬ風上。
 先んじて仕掛けられる距離を測る片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)の方が優勢の戦況、だが。
「全然動きが予想できないんですけど……」
 嘆息の理由は相手の無軌道さ。
 見た目の構造ならば直進位は普通に出来るだろうが、眼前のそいつ等は旋回、跳躍、水上走行何でもござれ。しかも推進方法的に不可能だろうバック走行や急ブレーキすらやらかす非常識。
 ……開発当時散々な戦果、もとい戦禍だった恨み辛みでもあるのだろうか。
 鬱憤晴らしの如く突進しては爆発を狙うパンドラ、速度からの予測で身を翻して避ける公明、そして避け切れず巻き添えを食う別のパンドラ。
「お仲間……吹き飛んでない?」
「兵器として生き兵器として散るなら奴等も本望だ! 激戦の象徴として残され朽ちゆく事すら許されんかったからなぁ!!」
 そういえば。
「どうして和菓子屋を使って被害者を選んで連れ去ったの? 柏餅関係あったの?」
「残念ボビンだの英国面だの散々嘲笑う奴に限って戦争を、あの極限を知らん! この国じゃ鯉幟の矢車の方が仕事してるとかぬかしやがる! 平和ボケしやがって!」
「……キマフュの面白オブリビオン達のほうがましな気がするわ」
 安穏を憎み、願いを蔑み、比較を恨む。騒乱の只中に生まれた兵器も元をただせば終結の為の手段。だが彼等が齎した平和に深く安堵する者すら条件に合致すれば命を奪う。目的と行動が歪に噛み合わぬ様も、無軌道で。
「……面倒だからさっさと終わらせよ……」
 両の銃身に、銃口に収束する紅蓮の奔流。同時に放たれた二筋の火焔が周囲諸共狂った兵器達を締め上げる。
「さよなら」
 過たず放たれた銃弾が怨嗟に塗れた眉間を貫く。断末魔、そして火柱の如き爆発が砂浜に踊った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウイシア・ジンジャーエール
………、…、状況が判らない。
このUDCは何がしたかったの?
まさか私達が先程見つけた数々が「恐怖対象の幻覚」だと?
これまでかなりの数のUDC依頼を熟してきたけれど…よく判らないわ。

しかし、あなた良く喋るのね。
興味が出たわ。お話しましょう。

オラトリオの羽を広げ、一定距離を保ったまま〔空中戦〕。
〔コミュ力〕〔言いくるめ〕で〔時間稼ぎ〕をしながら対話を試みる。
「面白い空間ね。何がしたかったのか聞いていい?」

攻撃をしてきた場合は〔逃げ足〕〔第六感〕で一気に距離を取り、
〔早業〕〔高速詠唱〕の〔全力魔法〕〔属性攻撃〕による【天罰】。
武器を向けるだけで高命中力を誇る光属性の攻撃よ。

〔呪詛耐性〕〔オーラ防御〕


秋津洲・瑞穂
悲鳴あげて逃げ惑った人がここにいますが。

って、あらあら。
転んだ子を起こしに行こう。世話焼きの血がー。
布に真水染み込ませて、ぬぐってあげたり。
ご機嫌が直るまで、お歌つきで撫でてあげたり。

……この子たちもミシンの糸巻き姿なのかしら。
まいっか。『俵のおむすび』食べる?
ぎょうざみたいな柏餅もあるよ。

ご機嫌直ったら【フォックスファイア】で狐火呼んで、
温度を思いきり下げてボール遊びでもしようかな。
今度はボール扱いされた狐火さんのご機嫌が悪くなりそう(

そして、一通り遊んだのちに。

残りの狐火(37匹)を、喚いてる黒幕さんにどーん。



「……あのUDC達は何がしたかったの?」
 零れ落ちる。目を伏せ理解追い付かぬと首を振る。
 UDCアースでの猟兵対応要請ならば数え切れぬ程熟し数多の邪神なり眷属なりと対峙してきたが、取っ掛かりとか脈絡とかそういう類の理解材料を何も寄越してくれない輩は初めてだ。
 ……見事な爆音を添えた火柱を遠くに眺め状況整理を試みる。
 認識朦朧化、恐怖対象の幻覚……一般人ならば陥っていた事態なのだろうか。五感が揺らぎ、煽られた不安が幻覚として顕現するという筋書き、だとしても、ならば何処で登場する心算だったのかあのUDC達。
 反して先程猟兵達で発見したあれやこれは、一部指向性殺意を疑う物はあれど恐怖とは程遠い代物。幼子の玩具など最たるもの。
「分からないわ。……でも」
 白の大輪が揺れる。視線の先には、又推進機構や物理法則を無視し集結する兵器達。飛び交う言の葉。

 ――本当にお喋りが流暢ね。それなら、少しお話しましょう?

 広がる翼。ウイシア・ジンジャーエール(探索者・f09322)が再び、蒼穹へと舞い上がった。


 一方、一寸何とも言えない光景の前で世話焼きの血に抗えぬ人影ひとつ。
 泣き言を繰りながら砂浜でじったんばったん横倒しという、ある意味史実に近そうな姿のパンドラに伸びる手。
 よっこらせと引き起こし、旅行李から水や布を取り出して砂塗れの顔や車輪を拭う。
「大丈夫? 怪我してない?」
 実のところ指向性殺意と恐怖を味わった側だった秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)だが、べそべそ泣くパンドラも元気に疾走するパンドラも向こうで爆発してるパンドラも全部ミシン用ボビン(超大型)にしか見えなくて。これ本当に実在兵器だったの?
「……まいっか。俵のおむすび食べる? ぎょうざみたいな柏餅もあるよ?」
 お腹が空いた時のお弁当や和菓子屋で包んでもらった餡子たっぷりの手作り柏餅を広げると相手は身体ごと頷いて。
 いつの間にか元気な奴等にもわらわら囲まれ急遽浜辺の午餐会。長閑だ。絵面を直視しなければ。


 他方、怨嗟に塗れたパンドラ達の側。
 こちらも風上を意識し、爆発爆風を避ける為に空を舞うウイシア。さて、仕掛ける前に。
「それにしても面白い空間を作ったのね。モデルはあの写真かしら?」
「そうさ、我等に縁深い浜辺の一幕! 兵器として生まれながら愚かな結果に終わった!」
「……そうね、そんな歴史だったわね。でも、その姿であのお店に細工は出来たのかしらね」
「神を降ろす欲望の為なら身内すら嬉々として売り払う奴も居るさ、宝に堂々と窓と鍵を仕込む奴がな!」
 一瞬あの写真と――喫茶室のお品書きが頭に浮かぶ。
「そう。……私の見つけた玩具は、恐怖を煽るものでは無かったのだけど?」
「人間共なぞ理由無き恐怖を与えれば瓦解する! それ故に理由見出す者等、呪詛さえ蝕むお前等猟兵は我等の仇だ!」
 幾つも重なり木霊す爆発音、車輪達の怨嗟が呪詛が色濃く凝る。……潮時か。
 神木の一枝が如き杖で指し示す。骸の海より来たりし邪なるモノ達へ。
「消えて」
 紡ぐは唯、一言。降臨せし光の柱が砕き、呑み、滅す。爆発すらその眩さで掻き消しながら。
 最もどす黒い怨嗟を纏ったパンドラひとつ、燻りながら持ち堪える、も。
「いやもうほんっとさっきからうるさいから!」
 やけに気合の入った動きで大挙した狐火達に八つ当たりアタックされて大爆発。合掌。
 ……実はあの狐火さん達、先程迄ぎりっぎり温度を下げられた上で瑞穂とパンドラ達によるビーチサッカーのボール役にされてました。そりゃああなるわ。
「私の側は終わったわ。そちらのUDC達の対処は?」
「そうだね、うん、そろそろ……あ!」

 見上げた空に次々と。全く異なる爆発音と共に。
 火車の如く炎纏い舞い上がった兵器達が煌めく光の花を咲かせて、散った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルバート・クィリスハール
うん、まあ、ほら、それなりに怖かったんじゃないかな。B…C級映画くらいには。
いやC級映画もバカにはできないよ? 世の中コアなファンってのは居るものだし……。
…………ああもう、めんどくさい倒そう!

【SPD】コードを使って空へ! 空中戦は得意でね!
ぎゃあぎゃあ騒いでるオブリの重力を操作、無重力を体験させたげるよ。菓子作り体験のお礼だ、遠慮せずどうぞ?
完全に浮いてる状態じゃ衝撃なんてないし、爆発できないだろ?
それなりに高い場所まで上がったら、重力を戻す。
他の個体めがけてフリーフォールと行こうか!



 アルバート・クィリスハール(仮面の鷹・f14129)は頑張った。なるたけ頑張った。

 アースの名を関する世界やキマイラフューチャー、多分スペースシップワールドにも映画の概念はあるだろう。毎年毎年際限無く生み出され封切られるそれらの分類分けの中に等級を用いる事もままある事で。人気の俳優を用いただとか話の筋が最高だとか原作再現度が凄まじいだとかいう類は大方等級も高いが、高い物があれば勿論低い物もある。
 とはいえ万人には受け入れ難くとも設定の斜め上っぷりや一つのテーマを只管突き詰める、スタッフ陣の熱意が間違った方向に秀逸……という、一部の方々を期待とお約束とで待ち焦がす類の作品なんかが敬意他色々込めてB級やC級の名を冠する事もあるけれど。
 ……例えば、爆音が砂浜に響き渡るまでの、目の前の海でぶち上げられた光景、だとか。
 だけども。だけどもな?
「…………ああもう、めんどくさい!」
 なるたけ、なるたけ良いとこ探しを頑張ってみたけど流石に限界だった倒そうオブリビオン!!

 翼羽ばたかせ急浮上、火花爆音散らしながらぴょんぴょんするパンドラ達を眼下に収める。
 奴等はといえば、降りてこーい、お前も空中戦か卑怯なりー、撃ち落としてやろうかー、等々ぎゃいのぎゃいのとシュプレヒコール。ああうざってぇ。
「はいはい。分かったよ同じ土俵ならいいんだよなだったら遠慮せずどうぞ?」
 腕を組み見下ろし溜め息一つ。たったそれだけ。
 ……瞬く間に重力の枷を外された兵器達が無様に浮かぶ。制動も保てず無様な回転を晒す奴、積んだ爆薬で肉薄しようにもあらぬ方向へすっ飛ぶ奴、どうやら恐怖でガタガタ震え声も出ない奴。
 勢いは口だけかと呆れながらも奴等とぐんぐん上昇、地に残された側の奴等が本物ボビンに見えた頃。
「さあお楽しみのフリーフォール、地上のお仲間がキャッチしてくれる事を祈っとけ!」
 奪い取った枷を強制返却。さて爆発兵器が爆発兵器目掛け墜落すれば……眼下に群れ咲くは大気揺らがす灼熱の華。

 ……そうして漸く、静かになった。



 穏やかな潮騒に混じる街の喧騒が耳に届いたと同時、猟兵達が立っていたのはあの和菓子屋の程近く。
 ……なお、帰還転送の合間に事の経緯を聞いたグリモア猟兵が困惑で画面に砂嵐を巻き起こしながらもUDC組織へ事後対処を依頼した為、早ければ翌日には再発阻止が見込まれるだろう。
 祝い願う想いも、甘く優しい宝も、無辜の命も、守る為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月05日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース
🔒
#呪詛型UDC


30




種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト