●蠢くもの
山の中腹に造られたその街は、かつて鉱山都市として栄えていたのだと言う。
斜面を切り崩して石やレンガを積み、あちこちで精錬の煙が濛々と立ち昇る様は、商人や職人だけでなく、観光客をもこの街に呼び寄せた。
しかし、その栄華は、今は最早見る影もない。
かつて商人たちが苦労しながら往来した坂道を往く者はだれもおらず、ただ山風が抜けていくだけ。
人の姿は、どこにもない。
その静寂を破るかのように、地鳴りがした。
地の底で何かが呻くかのような、低く重い音が鳴る。
パラパラと、建物の壁材が欠片となって零れ落ちた。
坂道を転がり落ちていくそれを見ていたのは、天頂で煙を吐く山岳だけ。
●行方を追って
「……もちろん、ただ寂れたとしても、人っ子一人いなくなるのは異常でしかありません」
グリモアベースの一角で、シャルロット・クリスティア(f00330)が資料を広げる。
その後ろでベースが映し出している景色は、ダークセイヴァー。
木々の無い岩山の中腹に広がる街並みは、昔は立派だったのであろうが今は寂れた雰囲気が先行せざるを得ない。
「今ご説明した通り、皆さんには住民がどうなってしまったのかを調査し、原因を排除してもらいたいのです」
当然、こうして予知に引っかかった以上は何かしらオブリビオンが関わっている、と言うことである。
そうなれば、現地の住民で対処できるレベルを超えている。
猟兵の出番、と言うわけだ。
「まずは麓の街まで転送しますので、そこで情報収集するなり実際に現場に乗り込んでみるなり……と言った形になりますかね」
現場に直接転移するのも可能と言えば可能なのだが、不測の事態によってグリモア猟兵が危険にさらされるのは避けなければならない。
少々手間だが、致し方の無いところであろう。また、『人に聞くこともできる』と言うのはある種メリットと言えるかもしれない。
現場との行き来は登山路を通ることになるが、元々交易路として使われていたところだ。そこまで移動に苦労することは無いだろう。
「一通り情報が集まったら、一度麓で体勢を立て直して、そこから再アタックです」
何せ情報があまりにも少ない。逸る気持ちはあるかもしれないが、慎重であるに越したことは無い。
「何が待っているかわかりません。どうかくれぐれもお気をつけて。無事のお帰りをお待ちしていますね」
シャルはそう言うと、猟兵達に向けてぴしっと敬礼をしてみせた。
ふねこ
ヒーローズアースが発見されましたがこっちはだいたいいつものノリ。ふねこです。
新世界の事件を解決するのもいいけど、こっちの対処も忘れずにネ!
例によって、更新タイミング等の大雑把な目安はマスター自己紹介にも随時書いていこうと思いますので、そちらもよろしければご確認くださいませ。
以下、補足情報になります。
第一章では、山間の鉱山都市から人が消えた原因を探ってもらいます。
転送地点は麓の街。現場と各地方とを結ぶ交易都市としていっとき栄えたようですが、今回の出来事のあおりを受けてこちらもだいぶ寂れてしまっているようです。
寂れているなりに人はおり、酒場や商店などは(流行っているかは別として)それなりに在ります。
移動はそこまで大変でもないので、現地入り希望の方は【現地に行く】とでも書いておいてくれればそれで十分です。
第二章、第三章の情報は現時点ではありません。
章開始時に冒頭文で多少補足しますので、そちらをご確認ください。
それでは、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 冒険
『ゴーストタウン』
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POW : 捜査の基本は足。手当たり次第に探す
SPD : 不意の遭遇とならないよう、周囲を警戒する
WIZ : 過去の資料と照らし合わせ、痕跡を探す
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ユーイ・コスモナッツ
捜査の基本は足!
手当たり次第に情報を集めて回りましょう
ただし闇雲に歩き回るのではなく、
ひとつ仮説をたてて、
それに基づいて情報収集を進めます
その仮説とは
『鉱山都市の住民は、オブリビオンによって拉致された』
というもの
オブリビオンが関わった失踪事件なら、
ありえる線かと思います
……「殺害された」ではなく「拉致された」としたのは、
シャルさんの情報から血の臭いを感じなかったことと、
私自身、そこに望みを繋ぎたいせいでしょう
鉱山都市の機能が失われることで、
周辺にどのような影響を及ぼすか?
大勢が監禁されているとして、
それが可能な場所はあるか?
事件の直前直後に現場を訪れた人の情報等も、
手に入れられたら理想的ですね
トリテレイア・ゼロナイン
鉱山都市でいったいなにが?
それを調べるためにもまずは麓の町で情報収集ですね
●礼儀作法で「遠方の領地から主に命じられて鉱山都市を訪れた騎士」として振舞い、商店や宿屋で鉱山都市の人々の姿が見られなくなったのはいつ頃か、またその前後になにか不審な出来事などがなかったか尋ねましょう
情報を伝えることに怯えるようなら●優しく接し、事態の調査、収拾を騎士としてお約束
情報提供に渋るようなら●手をつなぎ袖の下を握らせ口を軽くさせます
麓の町で鉱山都市の地図を入手したり、簡単な地理を把握出来たら機械馬に●騎乗し、都市に侵入
UCの妖精ロボで周囲を偵察しつつ、麓の町の人々の証言と照らし合わせましょう
「まずは麓の町で情報収集ですね」
「はい!捜査の基本は足です!」
意気揚々と、二人の騎士が麓の交易都市を歩いていた。
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)とユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)の二名である。
身長差約二倍弱――と言ってもウォーマシン故にトリテレイアが大きいだけでユーイが特別小柄と言うわけではないのだが――の二人組は、遠目に見てもよく目立つ。
それでも、世界に溶け込むことができると言う猟兵の特性と、見た目相応の彼らの騎士然とした振る舞いのおかげで、周囲に不信感を抱かせることは避けることができていた。
遠方から主命により参上した騎士(事実、異世界と言う遠方からグリモア猟兵の指示で来ているわけなのであながち嘘でもないのだが)を名乗った二人は、ヴァンパイアの手のものかと多少疑われたりもしたものの、世界のすべてがヴァンパイアの支配下に入っているわけでもないことを考えれば、警戒を解くのはそこまで難しいことでもない。
歩き回る体力も十二分にあったこともあり、順調と言えただろう。
「やはり、この件については皆さん不気味がっているようですね……」
やれやれと、トリテレイアが頭を振る。
街を行く人の中には、件の鉱山都市から降りてきた者も何人かいた。
今まで何もなかったはずの街。
事の始まりは3か月ほど前。始まりは密やかに、しかし時間が経つにつれて次々と消えていく住人達。次は自分の番かと怯える日々。
その恐怖は常人には耐えがたいことだろう。
「……やはり、『殺害』ではなく『拉致』と考えた方がよいでしょうか?」
「そう思います。破壊や騒ぎの痕跡が見受けられないのは逆に不審ですね」
問うたユーイは元々この一件を『鉱山都市の住民は、オブリビオンによって拉致された』と踏んでいた。
話に聞いた予知情報に血の気配が無かった、と言うこともある。
だが、何よりも強かったのは、ユーイ自身がそこに人々の無事を望みたかったからかもしれない。
そして、聞き込みをしているうちにそれは核心へと変わりつつある。
……だが、いずれにせよ。
二人の騎士にとって、やるべきことは変わらない。
「騎士として事態の収束をお約束した以上、その責務は果たさなければなりますまい」
「ですね……!」
聞いただけではわからないことは多い。
何のために住人を拉致(?)したのか?
仮に拉致だったとして、どこへ連れて行かれたのか?
幸い、鉱山都市の地図は譲り受けることができた。調べに行くことは決して悪手ではないだろう。
白銀の騎士たちは、不気味に煙を吐く山を目指す。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ペイン・フィン
……人がいなくなった街、か。
……でも、それ以外なら、どうかな?
まずは、現地に移動して、コードを使用。
小さなオコジョの姿になって、鉱山都市とその周囲を探索するよ。
使用技能は、情報収集、第六感、追跡、暗視、礼儀作法、言いくるめ、動物と話す、聞き耳。
何かヒントとなるものは無いか、自分で探しつつ、見つけた動物と交渉して、話を聞こう。謝礼は、べっこう飴ね。
人がいなくなっても、動物なら残っているかもしれないし、
動物すら居なくなっているなら、それはそれで、ヒントになる。
……何か、ヒントがあればいいんだけど。
レナ・ヴァレンタイン
――よし、早速現場乗り込みといこうか
私は聞き込みよりも現場漁りのほうが好きでね
一口に集団失踪といっても、だ
普通住人の10や20が消えたところで誰かしら気づいて然るべきだろう
だがそれが無いなら、よっぽど短時間で全員さらったか、洗脳や催眠等で意識を刈ってからゆっくり連れて行ったか
UC起動。
「罠使い」技能でなにかしらのトラップを警戒し、「地形の利用」技能で街の構造を把握しながら探索
…大勢を一気に運び出すには、普通なら馬車か?
穴掘って地下に吸い込んだとか、とんでもな方法の可能性も探っておこう
坑道が無数に走っていて、天井崩せば上にいた人間がスポンと落ちる、なんてのは在り得るだろうしな
さて、なにが出るやら
一方で、先んじて現場に乗り込んでいた猟兵も何人かいる。
「私は聞き込みよりも現場漁りのほうが好きでね」
そう自称したのは、レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)。
山風にコートをはためかせながら、人っ子一人いない通りを歩く。
そもそも、今回の失踪には不審な点が多い。
一口に集団失踪といっても、住人の10や20が消えたところで何のアクションも無い、なんてことはあり得ない。
当然、住人達もただ状況に任せていた、なんてことは無かっただろう。
だが、それすら何の痕跡も無く消してみせたとなると……?
「(……術式、仮想展開)」
瞑目し、魔力を走らせる。
手を伸ばすように、一帯に魔力のアンテナを張り巡らせる。
罠は無いか。痕跡は無いか。
手掛かりは、無いか。
「(……轍は山を下りる方角のみ。あそこは一本道だ、麓の街を通らねば隠れる場所などないし、そんな報告も無かった。……馬車、ではないな)」
となれば、そこまで遠くにはいっていない筈だ。
一度に大勢運ぶ場合はもちろんだが、そうでなくとも長距離の移動を人を拉致して、かつ見つからないようにを徒歩では厳しい。
そして、罠や破壊工作の類もわかる範囲では見受けられない。
……そして、代わりに漂う僅かな魔力の残り滓。
「……きな臭くなってきたな」
さて。あちらは何か見つけたかな。
ひとりごちたレナが見上げた視線の先に、白い小さな獣の姿が見えた。
「(……人がいなくなった街、か。……でも、それ以外なら
……?)」
ちょこちょこと屋根伝いに街を駆ける、一匹のオコジョ……に似た何か。
ユーベルコードで動物へと姿を変えたペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)であった。
ちょこちょこと隙間を潜ってみたり、屋根の上を走り回ってみたり。
そうして実際別の視点になって見てみても、前情報通り人の気配は一切感じられなかった。
だが、消えたのはどうやら『人』だけのようで。
家屋の片隅では鼠が食料を漁っていたし、屋根には鴉がちょこんと佇む、そんな姿は時折見かけることができた。
どうにも、住人は持ち物一切合切を持って消えているわけではなく、その身一つで消えてしまったようだ。
おかげでこうして動物たちは我が物顔で好き勝手している。
彼らが何処へ行ったかは……まぁ、家畜でもないのだから異種族の事など興味も無いのだろう。
あまり有益な情報は掴めそうにない。
「(……やはり、別の誰かの手によって……か)」
ありがとうと動物達のためにべっこう飴を置いていきつつ、ペインは一人、胸騒ぎを感じるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
狭筵・桜人
私は麓の街で聞き込みして【情報収集】しまーす。
商店では何か手軽なものをひとつお買い上げ。
果物なんかあればいいですね。すぐ食べられるので。
【コミュ力】で色々とお話をして貰えるように
愛想を振りまきます。
山間の鉱山都市に行ってきたんですけど
人っ子一人いなくって。
此処も大分人が出払ってしまってるみたいですねえ。
何かあったんですか?
酒場へ移動。
こんにちは!この街の人ですか?
鉱山都市への行き方を教えて貰いたいのですが。
何って観光ですよ、観光。
ところでこの辺で地鳴りのような
変な音を聞いたことあります?
入手した情報は他の猟兵と共有。
情報収集後は登山路への道を見張り
猟兵でない者が過ぎればUCで追跡。
ユナ・アンダーソン
確かに一時でも栄えていたのなら寂れていても人一人いなくなるのはおかしいわよね
麓の街の人たちに情報を聞いて探ってみよう
酒場や商店などで人を探す
出来れば商人とか身なりのいい人
酒場ならマスターさんなんかもいいかも
見つけたらコミュ力と言いくるめを用いて情報収集
口が硬い人には雰囲気を利用した誘惑と催眠術を用いて口を軽くしようとします
ねぇ、山間の鉱山都市が寂れた原因に心当たりはないかしら?
お酒なら奢るわよ
やりすぎて身の危険を感じたら申し訳ないけどこっそり無力化
集めた情報をオブリビオンロンダリングで呼び出した知性を強化した元オブリビオンと共有して意見を求めます
どう思うかしら?
アドリブで他の方との絡み歓迎
「こんにちは!」
狭筵・桜人(不実の標・f15055)の声は、街の酒場にはやや不釣り合いに明るいものだった。
酒場と言えば一般的には賑やかなもの。それも、仮にも『交易都市』であるのならば数々の情報がごった返すようなものであるが、今この場においては、そのような雰囲気は今一つ見受けられない。
客足はまばらで空席が目立ち、人の話し声よりも物音の方が目立って聞こえるほどだ。
カウンターからは「世間知らずが来たな」とでも言いたげな店主の視線が投げかけられている。
それでも、桜人は臆すことも無く店主に歩み寄って、ちょっと聞きたいことがあるんですけどと話を切り出していく。
「鉱山都市への行き方を教えて貰いたいのですが」
「鉱山都市ぃ?この山の上のかい?」
「そうそう。観光に行きたくって」
観光と言う言葉を聞いた店主は、はぁと一つ大きなため息をこぼす。
口にこそ出さないが、呑気な奴めとその顔は雄弁に語っていた。
「やめときな、坊主。今行ったってあそこには誰もいねぇよ」
「誰もいない?」
「あぁ、人っ子一人な」
「どういうことなの?」
そこへ割って入る少女の声。
年の頃は桜人と同じくらいの金髪の娘。
ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)、同じく調査に出向いていた猟兵の一人である。
話を伺うタイミングを計っていたところ、丁度桜人が喋りかける様子が目に入ってきたので、便乗する格好だ。
「山間の鉱山都市が寂れてる、って噂は聞いたけど……」
当然、そんな事を言うユナも桜人も、街の現状がどうなっているかは既にグリモア猟兵から聞いている。
しかし、中途半端に手札を見せて怪しまれるよりも、あえて何も知らない風を装えば何か教えてはくれまいか。そんな思惑もあり。
「まぁ、何人かはこの街に流れてきてるよ。そいつらが言うには、人が次々行方不明になっていくんだとさ」
「行方不明?」
消えた人物の特徴を聞いてみても、そんな人物はこの街の誰も見ていないのだと言う。
件の鉱山都市から伸びる道は、こことをつなぐ一本のみ。どこへ向かうにしろ、必ずこの街を通らねばならないのにもかかわらず、だ。
「最近妙な地鳴りも山から聞こえてきやがる。そいつらは山に呑まれちまった、なんて噂も出るくらいだ」
店主のその言葉に、二人は顔を見合わせる。
やはり、原因はあの山の中にある。
山の不気味な鳴動と、街の中で完結する人々の失踪。とうてい無関係とは思えなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ノワール・コルネイユ
【現地に行く】
居なくなった者がただ去ったのではないとして
それは攫われたのか、それとも喰われたか…
死んでいる方がマシ、まで覚悟すべきかもしれんな
ゴーストタウンの中で人の痕跡を探して回るとしよう
家屋の中を見る時は埃の積もり具合や
家財道具の状態を確認してみよう
住人が逃げ回るか、何かと争いでもしたなら
相応の痕跡も残っているだろう
そうでないなら、もっと厄介なものか
序で、変わった建造物や構築物がないか
それか書き残しでも探しておこう
災を招いたのが住人か、外敵か
判別が付くものが見つかるかもしれん
然し…唯々に不気味なものだ
死体でも転がっている方がまだ賑やかしにもなるだろうに
一体誰がこんな悪趣味を働いたやら、な
アリシア・マクリントック
【現地に行く】
私は……というよりもマリアは獣の能力を活かして調査をしましょう。
現地に行って住民の足取りを追うのです。残されている生活用品や衣服に残った匂いを手がかりにして追跡します。何軒かの住人に対して追跡をすれば最後の行動の傾向や、それが無いなら無いということがわかるはず……
手がかりを探すついでに家の中の様子も確認しましょうか。突然押し入った誰かに連れ去られたのか、自分で出て行ったのかくらいはわかるでしょう。あるいは「突然消えてしまった」とか。
連れ去られたわけじゃなかったのなら「帰らなかった」のか「帰れなかった」のかは重要になりそうですね。どこまでできるかはわかりませんが、頑張りましょう!
再び視点は鉱山都市に戻る。
先の二人とはまた別の地点、とある民家に二人の猟兵が……正確には、二人の猟兵と狼が一匹、上がり込んでいた。
「……唯々に不気味なものだ」
猟兵の一方、ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)は居間を見渡しながら呟く。
死体でも転がっている方がまだ賑やかしにもなるだろうに。
そう思っても、探せど探せど死体の一つも……争った形跡すらも見当たらない。
「そっちは?」
「こちらも同様です。突然押し入った誰かに連れ去られた……と言うわけではなさそうですね」
ノワールの問いに、狼を伴ったもう一人の猟兵……アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)が応じる。
一通り屋内を歩き回ってみたが、窓も扉も、強引に押し破られた形跡も無ければ、屋内で暴れたような跡も見当たらない。
だが、その一方で火の元や戸締りに関してはそれなりにしっかりとされてあったように思う。
この状態で家にいたとなれば、ずいぶんと神経質なものだと思うところだが……。
「……自発的に外へ出て行った?」
「おそらく、そう言うことだと思います」
二人で頷きあい、アリシアは傍らの狼を撫でる。
残された衣類や家財道具の匂いをくんくん嗅いでいた狼はその感触に顔を上げると、こちらもひとつ頷いて見せた。
獣は鼻が利く。その住人の匂いを辿れば、その行き先がわかるのではないか。
その個人でなくても、人の匂いを追うことが出来れば……。
床の、地面の匂いを嗅ぎながら、ゆっくりと歩きだす狼の後を追う。
外へ出て、通りを歩き、坂を上る。
街の中心部から離れていくが、登山路を下りて行く道とはまた違う。
向かっている先は……。
「……坑道、か?」
そう、かつてこの街が栄える礎となった、山の中へと分け入っていく一本道。
その先の洞窟に、狼が嗅ぎ取った匂いは続いていた。
外からその中の様子を窺い知ることは、出来ない。
だが、この奥に何かがあると言う予感はひしひしと感じとることができた。
この悪趣味な事件の元凶が、この奥にいるのだろうか……?
「……戻ろう」
「はい。一度皆さんと合流した方がよさそうですね」
一時撤退する猟兵の背中を見送る洞窟は、ただぽっかりと暗い口を開いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『火山神殿の異端の神』
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POW : 熱には気合で耐える、魔獣は力で排除して神殿を破壊するまで。
SPD : 相手に有利な環境だ、ここはスマートに各個撃破と熱対策をしないと。
WIZ : 魔法で熱を軽減、魔獣の生態を事前調査、神殿は火山を利用して破壊できないか。
👑11
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●紅蓮の園
一度麓の街で合流した猟兵達は、各々の知り得た情報を共有し合う。
住人たちはその場で殺されたわけではなく、どこかへと連れ去られたのであろうこと。
それはあくまで『人』に限った話であり、山を下りて行ったわけではないであろうこと。
そして、事件と連動するように響き始めた不気味な地鳴りと、住人が向かったであろう坑道。
猟兵達は、坑道へと足を運ぶ。
落盤でもあったのだろうか。トロッコが行き来したであろう線路が続く先は大岩に塞がれており、その奥がどうなっていたかを窺い知ることはできない。
その一方で、横に視線を向ければ崩れた壁面の奥に道が続き、その向こうでちらちらと赤い光が見え隠れし、同時にむわっとした熱が流れ込んできていた。
歩を進めた先に広がっていたのは、光の届かない洞窟内であるにもかかわらず煌々と赤い光に溢れた空間。
その光が何のものか。それは、眼下、亀裂の走る地面から覗くそのはるか下に地下水脈かのように広がる、マグマが発するものだった。
その奥には、いったいどれほど昔に造られたものであろうか、明らかに自然物ではない、石造りの神殿らしき建造物が見て取れる。
そして、そこを守るように、ゆらりゆらりと揺れ動く人影が、十重二十重。
そのどれもが、ボロボロの黒い外套を身に纏い、その中から覗く肉は水分がすっかり抜け落ちて干からび、瞳には不気味な赤い光を湛えて。
ぷしゅうと、地面の亀裂から間欠泉のように蒸気が噴き出る。
それを合図とするかのように、黒衣たちは一斉に猟兵へと飛びかかってきた。
あの奥に何かがあるのは間違いがないだろう……。
調べに向かうにしても、まずはこれを突破しなくては。
アリシア・マクリントック
高温の環境ですか。私は【セイバークロス】を装備すればある程度は耐えられるでしょうけど……マリアには厳しいかもしれませんね。【セイバーエッジ】に纏わせた冷気でできる限りの対策はしますけど、厳しそうなら熱の影響の無いところで待っていてもらいましょう。もちろん、マリアの意思が最優先ですが。
一応の対策があるとはいえ、この環境は厳しいです。難しいことを考えるよりも体を動かしましょう。剣を叩きつければ怪物だろうと神殿だろうと斬れるはずです!(ちょっと熱でやられている)
「早く終わらせてシャワーを浴びたいです……」
トリテレイア・ゼロナイン
坑道でなにか良くないものを掘り当て、「それ」が鉱山都市の人々に何らかの精神干渉を行い坑道内の神殿に連れ去った?
現状、仮説でしかありませんね。神殿に突入し内部を調査しなければ
坑道に入る前に●防具改造である程度、粉塵や高温への対処(関節部のカバー、冷却装置の運転増強)は済ませています
環境の悪影響は抑えられるかと
出てきた黒衣達は鉱山都市の人々の成れの果ての可能性がありますね。UCの隠し腕やワイヤーアンカーでの●ロープワークで活動を保ったまま捕縛し、どんな状態なのか確かめましょう。
もし助けられるのであれば止めは刺しませんが、それが不可能であれば●怪力による剣と大盾での●なぎ払いで排除、神殿への道を確保
「坑道でなにか良くないものを掘り当て、「それ」が鉱山都市の人々に何らかの精神干渉を行い坑道内の神殿に連れ去った……?」
奥に佇む神殿を見据えながら、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は思案する。
今通ってきた、この空間に繋がる道。これが『作ってしまった』のか『勝手に出来てしまった』のかは今は知る由もないが、外とのつながりが出来てしまったのなら、そして『そう言う事』ができる存在が奥にいたとしたら……?
現状、どれも仮設、推測でしかない。答え合わせをするには、乗り込むしかあるまい。
「しかし、一応の対策があるとはいえ、この環境は厳しいですね……」
その横で、アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)が流れる汗をぬぐう。
先ほどまで隣にいた相棒の狼は、今はその姿は無い。
やられたわけでも、喧嘩別れしたわけでもない。この高温の環境下は、温かい毛皮を持つ獣には厳しかろうと、待機を命じていた。
愛剣に纏わせた冷気で自身の身をある程度冷やしていてこれなのだ。
ある程度の環境差は物ともしないウォーマシンのトリテレイアでさえも冷却機能をフル回転させているほどだ、その判断は正解だったように思う。
早く終わらせてシャワーを浴びたいものだ、などとアリシアは頭の片隅で考える。
どうにも、熱気のせいで思考能力が鈍ってきている、気がする。あれこれ考えるよりも身体を動かしていたほうが良いと、剣を手に駆けだして。
「剣を叩きつければ怪物だろうと神殿だろうと斬れるはずです!」
「……。早く片付けるのには同意ですが」
溜息のような音を装甲の下から漏らし、剣を振りかぶる彼女をトリテレイアが制す。
前に身を躍らせて、向かってきた黒衣が持つ短剣の一撃を盾で打ち払い、本来は剣を握っているであろう左腕でその手首を掴み捻り上げ、その一瞬で仕込みワイヤーを射出。
決して傷をつけることも無く一人を拘束し、そのフードの下の顔を見やると。
「……やはり、ですか」
「やはり……とは?」
首をかしげるアリシアに応じ、彼は目の前の男のフードをパサリとはずす。
その下にあったのは、水分が抜けて皺まみれになってこそいるものの、確かに人であった。
言葉になっていない呻き声を漏らしながら、ただ虚ろな瞳で拘束を振り払おうとするその姿に、二人とも思わず声を失う。
この環境下だ。碌な対策も無しにこんな場所に居続ければ干からびるのも当然のことだろう。
恐らくこれはゾンビのように何らかの外的手段で動かされているだけ。とうてい生きているとは言えない。
「……失礼」
もし助けられるようであれば止めはさしたくなかった。だが、これを見てしまった以上その望みも無い。
その『元住人』の手を放すと、トリテレイアは腰の剣に手をかけて、抜き打ちで一思いに切り伏せた。
「……この奥に、こんなことにした原因が……」
「……行きましょう」
二人が見下ろしたそれからは、一滴の血も流れることは無かった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ユナ・アンダーソン
耐性があるとはいえ、ここは暑い……
石造りの神殿かー
いかにも怪しい
とと、敵襲だね
数が多いからこっちも人数を増やしましょう
オブリビオンロンダリングで硬度を強化したゴーレムみたいなオブリビオンを召喚して盾にします
時間稼ぎをお願いね
なんなら倒してしまってもいいのよ?
笑顔で言い放つ
自分は大鎌を振り回して敵を断頭しようとします
全滅させることが出来れば一番だけど出来るかわかんないし
可能ならあっちの相手をしてもらってる内に神殿を様子見しましょう
勘が正しければあの神殿の奥に今回の件の元凶がいるはずだしね
アドリブで他の方との絡み歓迎
狭筵・桜人
マグマ?落ちたら死ぬで有名なあのマグマです?
あー……私暑いの苦手なんですよねえ。
暑い!我慢!やっぱ暑いんですけど!
エレクトロレギオンを展開。
主に物理障壁として自身と味方の防衛に回します。
レギオンで防ぎきれない敵の攻撃は【見切り】で回避。
ところでこれって倒しちゃって大丈夫なやつです?
適宜確認しつつ砲撃で対処。
神殿の方はぶっ壊しちゃっても良さそうですね。
陽動と防衛にレギオンの半数を回し
射線を確保したら残機で神殿へ【一斉発射】。
ぜーはー……過酷な労働環境……
これだからダークセイヴァーへの出張は嫌なんです!
どなたか飲み水持ってません?ない?アッハイ。
「これってマグマ?落ちたら死ぬで有名なあのマグマです?」
それです。と誰かが頷いた。
「マジですかー……」
他に何があるかと言われたらそれまでだが、地面のあちこちに走る亀裂から漏れる赤々とした光を見やりながら、狭筵・桜人(不実の標・f15055)はげんなりとした顔で溜息をつく。
「火炎耐性があるとはいえ、確かに……」
流れでそのまま同行しているユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)の表情も同様に。
そもそも耐火性能が高いと言うだけで必ずしも涼しいとは限らない。暑いものは暑い。
我慢しなければと思っても実際我慢するにしても事実は変えれない。
「というか、これって倒しちゃって大丈夫なやつです?」
そんな環境であっても構わず襲い掛かってくる黒衣の一撃を、召喚した機械兵器で盾にしながら、桜人が問う。
視線の先にいたユナはというと。
「別に、倒してしまってもいいのよ?」
この調子。
躊躇することも無く、笑顔すら浮かべながら。
桜人と似たように、召喚したゴーレムを盾代わりにしつつ、自らの大鎌で黒衣の首を刎ねる。
元より自身は奪う者。救えぬ命であれば、奪いましょう。
それが採るべき選択肢であれば、躊躇する理由は何処にもない。
それにしてもキリがない。
次から次へと、大小さまざまな影が湧いてくる様は、都市の住民を手当たり次第に集めたのがありありと分かる。
「やっぱり、元凶をどうにかするしかなさそうね」
「んじゃ、ぶっ壊しちゃっても良さそうですね!」
身の守りをユナのゴーレムと一部のレギオンに任せ、桜人は残りの兵力の火線を奥の神殿へと向ける。
一斉に火を吹く銃砲。
だがそれも、射線に割って入ってきた黒衣の集団に阻まれ、崩すには至ることができない。
「やーっぱ、それほどまでに壊されたら困る物っぽいですね……」
「でも、おかげで道は出来たわ」
二人で頷きあい、同時に地面を蹴る。
左右や後方への防御を自身の兵力によって固め、砲火によってできた道をひた走る。
行く先の神殿は未だに不気味な沈黙を保ち、代わりに地の底から響くような唸りが上がっていた。
「……ところで飲み水持ってません?」
「お湯になってるのならあるけど」
「アッハイ」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
レナ・ヴァレンタイン
……いい加減、こっればっかり使ってると耳が痛くなって仕方ないのだがな
数押しに対して全力で対抗できるから楽なのがいかん
出し惜しみはしないがね?
ああ、私より前に出るなら多少位置取りに注意してくれたまえ
誤射は論外だが、流れ弾が当たらんとも限らん
そこを踏まえた者から突っ込んでいくといい
援護はこれ以上ないくらい豊富に行ってやろう
銃器複製
前方、ガトリングは一斉掃射で敵の前進を阻め
後方、マスケットは物陰から顔を出した奴から脳天を吹っ飛ばせ
近接、リボルバーは迂回して襲ってくる奴の足を重点的に狙って足止め
アームドフォートは動きを止めた奴から遠慮なく粉砕しろ
数でくるならもっとまとまってこい
その方が撃ちやすいからな
ユーイ・コスモナッツ
戦うにしても、
倒して倒しきれる数ではなさそうです
まずは大きく右に寄って、
黒衣の群れをそちらに引き付けます
群れが全体的に右方向に寄ったところで、
ユーベルコード【流星の運動方程式】を起動
反対方向に大きく速く切り返して、
空いた左方向を抉るようにして群れをかわします
黒衣達を置き去りにするようにして、
神殿を目指します
それでも全員をかわしきるのが理想ですが、
そううまくはいかないかもしれません
立ちはだかる者は飛び越えて、
飛び掛かってくる者は潜り抜けて、
掴みかかってくる者は振り解いて、
とにかく足を止めることのないようにします
技能では騎乗・ダッシュ・スライディング、
それと吹き飛ばしなども役立つでしょうか
ノワール・コルネイユ
坑道の奥にこんなものが隠されていたとはな
消え去った者は皆あれに呼び寄せられたとでも言うのか…
あそこに手がかりや原因があるのだとしたら
さっさと踏み込んで調べた方が良さそうだ
邪魔者は力尽くで排除して前に進む
背中の守りや搦め手は得意な者に任せて
私は前方を少しでも切り開く
この不気味な奴らは黒幕の手下といったところか
話が通じる相手じゃなさそうで助かるよ
UCは攻撃力重視で発動
襲い来る敵を長剣二刀の【範囲攻撃】で薙ぎ払いながら前へ進む
【殺気】をばら撒いて敵の注意を惹き
一度に少しでも多くの者を相手する
奥で待っているのが何なのかは知らんが
態々こんなところまで足を運ばせたんだ
街の件も含めて落とし前をつけさせてやる
ペイン・フィン
……これは……人、なのかな?
明らかに、様子がおかしいけど……。
ひとまず、動きを止めようか。
コードを使用。
拷問具を使い分けて、1人1人行動不能にしていこうか。
熱に関しては……。どうにか、耐える。
……一体ここで、何があったんだろうね……。
「……これは……人、なのかな?」
手近な黒衣を石抱き石で圧し潰しながら、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は呟く。
自身が扱う得物は、ずばり拷問具。殺傷能力よりも『苦痛』を与えることに特化したもの。
だと言うのに、恐怖の声を上げることも、苦痛に身を捩ることもない。
尋常の人間の反応とは、とうてい思えなかった。
「……話が通じる相手じゃなさそうなのは、ある意味助かるがな」
群がってくる相手を銀剣で薙ぎ払うノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)の表情にもどこか苛立たしさが感じ取れて。
確かに、次々と向かって来ては返り討ちに遭っていく彼らの姿は、間違いなく人のそれ――干からびてこそいるが――である。
だが、戦闘能力において猟兵と彼らの差は物量を差し引いても小さくは無い。
ほぼ一方的な戦いの中でも、彼らは臆することも無く次々とその身を躍らせてくる。
恐怖など……いや、むしろ何の感情も感じられないその様は、不気味ですらある。
「黒幕の手下……と言うよりは、操り人形だな、これは」
二人の周囲で、今しがた倒したはずの黒衣たちが、再びむくむくと起き上がり始める。
致命傷は与えたはずだった。斬って潰した手ごたえも確かにあった。その筈であったのに。
じりじりと、ペインとノワールを包囲していく黒衣達。
しかし、その一部が突如轟音とともに吹き飛ばされた。
「まったく。まとまっている分、撃ちやすいのは良いがな」
「倒して倒しきれるものではないですね……お二人とも、大丈夫ですか!?」
駆け寄ってきたのは、周囲にこれでもかと言うほどの銃火器を漂わせたレナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)と、反重力シールドをサーフボードのように駆るユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)の二名。
そして、彼らが見やる先の神殿に至る道には、未だ大量の黒衣の集団が虚ろな瞳をこちらに向けていて。
「力尽くで前に進むしかあるまいよ」
結局のところ、やるべきことはノワールが言うこの一言に尽きる。
あそこに手がかりや原因があるのだとしたら、さっさと踏み込んで調べるしかあるまい。
「でしたら、私が惹きつけます!」
そこへ、真っ先に名乗りを上げたのがユーイだ。
この中で最も機動力があり、盾受け、武器受けの心得もある彼女は確かに先陣にはうってつけであろう。
「多少位置取りに注意してくれたまえ。誤射は論外だが、流れ弾が当たらんとも限らん」
そこを踏まえて突っ込んでいくといい。
レナの言葉にお任せ下さいと力強く頷き、ユーイはシールドに備え付けられたスラスターを吹かす。
地面すれすれをホバリングして、地形の凹凸を物ともせず、敵陣に単身突っ込んでいくユーイ。
コース取りは右に大きく弧を描くように。
当然、直進ルートを通らないにしても無視されることはあり得ない。
わらわらとユーイの元へ黒衣の集団が押し寄せていく。
しかし、それこそが彼女の狙い通り。
「ブースト・オン!今です!」
「任された」
加速装置、起動。強化された推力と重力制御、自身の身体の発条をも総動員して、切り返したユーイが左方向へ跳ねる。
押し寄せる黒衣の人波に乗るかのように、反重力シールドが舞う。
黒衣達が反転攻勢に回る暇は、無い。
次の瞬間には、レナから放たれる銃弾の嵐が、これでもかと黒衣の集団に叩き込まれていく。
倒しても再び動き出すのならば、縫い付ければいい。単純な理屈だ。
単純ゆえにわかりやすく強力な物量が、敵集団の前進を阻み、その場へと釘付けにする。
「……いい加減、こっればっかり使ってると耳が痛くなって仕方ないのだがな」
そんなレナの愚痴は、周囲から響く轟音に掻き消されて。
「援護はこれ以上ないくらい豊富に行ってやろう。行け」
「行きましょう!とにかく足を止めることのないように!」
レナとユーイが作り出した突破口。
二人の言葉への返事の代わりに、ノワールとペインの二人も同時にその道を駆けだして。
「……一体ここで、何があったんだろうね……」
「奥で待っているのが何なのかは知らんがな」
過剰なほどの砲火を横目に、ノワールは神殿を見据えた。
――態々こんなところまで足を運ばせたんだ。街の件も含めて落とし前をつけさせてやる……!
大成功
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第3章 ボス戦
『導師・サッシナス』
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POW : 教団の御業・不惜身命の型
自身に【不可視化する呪詛】をまとい、高速移動と【呪詛を纏った両手の骨爪】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 暗殺者の外套
【装備者に同様の効果をもたらす影の外套】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ : 暗殺者教団
【敵の死角】から【教団の暗殺者】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
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●狂気の骸
「お見事です。ようこそいらっしゃいました」
神殿、と言うよりも祭壇と言った方が正しいか。
岩肌をくり抜いた空間に造られたそこは、意外にも中は簡単なものであった。
石造りで整えられた大きな空間。真っ直ぐ奥へと伸びる通路の両脇には、規則正しく石柱が並べられ、左右の壁には篝火が点々と焚かれている。
篝火の灯は小さいものであったが、太陽の届かぬ地の奥底とは思えない明るさ。
その理由は、部屋の最奥、壇の更に奥の大きな穴――崩れたようなものではなく、意図的にくり抜かれているように見える――からあふれ出る光。
ぐつぐつと煮えたぎる音。気泡のようなものが弾ける音。
入口からはその正体は見えないが、音と光で大体を察した者もいるであろう。
そしてその手前、一段上がったその場所に立っていたのは、一人の小柄な人であった。
……否、果たしてそれは人と呼べるようなものであっただろうか。
黒衣の下から覗くその姿にもはや肉と言えるようなものは無く、だらりと垂れ下がったいように大きな袖の下からは、凶悪な面構えの鉤爪が覗いている。
「街の者どもでは供物には不十分……然し、ここまで自力で辿り着くほどの猟兵の血肉であれば、我が主もお喜びになりましょう」
さぁ、その身をこの地に眠る我等が御神に捧げるのです。
彼――導師サッシナスはそう言うと、大仰にその両手を広げてみせた。
ペイン・フィン
……ああ……。
嫌な物が、来たよ。
嫌いで、嫌いで……、仕方が無い。
真の姿を解放。
何歳程度か、幼い姿になり、血霧のような物を纏う。
そして、続けてコードを使用。
生け贄にされた人々の、そして、その人々を案じていただろう人々の、
悲哀を、憤怒を、そして何より、怨念を、
吸収し、喰らい、取り入れる。
体は更に幼くなり、仮面は赤く、血霧は黒に染まる。
……情報を見るに、隠密が得意そうかな?
でも、無駄だよ。
情報収集、第六感、おびき寄せ、追跡、暗視、見切り、聞き耳……、敵追跡系の技能をフル活用。
探り当てた敵に、焼き鏝“ジョン・フット”で攻撃しよう。
……お前は、本当に……くだらない、ね。
ユーイ・コスモナッツ
消えた!?
なるほど、そういう手管に出ますか
ならば!と、反重力シールドに飛び乗ります
高速で骨爪を回避しようと……考えたように見せかけて、
壁際まで移動します
そうして骨爪が襲ってくる方向を絞り込み、
次の一撃を受けた瞬間、両腕で骨爪を掴みます
そのさい致命傷は受けないよう、
頭部などの急所は庇うように構えておきます
それでも結構なダメージを受けるでしょうが、
なんの、最後に勝利すれば良い
狙い通りに骨爪を掴えたら、
すかさず【彗星の重力加速度】!
そのまま高速で飛びまわり、
サッシナス本体を岩肌に叩きつけます
まずは天井!
急降下して、床にもう一発!
返す刀で舞い上がって、
石柱を何本か砕き折りながら、
神殿の壁に激突させます
「……ああ……」
嫌だ。嫌なものが出てきた。
ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)の脳裏に、次々とそんな感情が湧き上がってくる。嫌いで、嫌いで……、仕方が無い。
汗が止まらないほどの熱気にもかかわらずどこかこの場の空気に寒気を感じるのは、これまで生贄にされてきた人たちの怨念が漂っているからなのだろうか。
だとするならば、目の前のこのオブリビオンは、いったいどれほどの犠牲を強いてきたのだろうか。
それを、どのような気持ちで実行したのだろうか。
それを思うと……嫌いで嫌いで、仕方がない。
赤く染まった仮面の奥。表情に出ていたのだろうか、導師はカタカタと顎の骨を鳴らし、哂ったように見えた。
「心地よい怒りです。もっと怒り、憎むが良い」
その火を、我が主に捧げて頂きましょう――。
その言葉を最後に、導師の姿が前触れもなく、掻き消える。
「消えた!?」
「……後ろ!」
ペインの視界の端で、ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)が驚愕する姿が映った。
咄嗟に叫ぶペインに応じ、こちらも考えるより先に横に跳ぶユーイが一瞬前までいた場所を、姿を現した導師の鉤爪が薙いで行く。
実際に見えていたわけではない。
ただ、直感と経験則から『明らかに動揺を見せた相手』の『死角』から仕掛けると踏んだ。それだけだ。
「足掻きますか。なるほど、それも結構」
避けられてもなお余裕の態度を崩さない導師に対し、ペインの表情は硬い。
心情もある。その一方で、攻めあぐねてもいた。
透明になろうとも、ある程度の動きは察することは不可能ではない。
だが、それと『捉える』のとは別問題なのだ。
「……ならば、私にお任せください!」
その様子を察したらしきユーイがずいと前に出る。
対する導師は一瞬意外そうな様子を見せるものの、すぐにその態度を慇懃無礼なものに戻して。
「良いでしょう」
彼は一言だけ言うと再びその姿を消す。
ユーイは即座に愛用の半重力シールドに飛び乗り、推力を上げる。
死角から襲い来る凶刃も、高速かつ不規則に動き回る相手を捉えきるのは難しい。
二発、三発と導師の攻撃が空を切る。
それでも、『見えない動き回る相手』よりも『見える動き回る相手』を捉えることの方がよほど容易。
流れは確実に導師の側にあり、ただ逃げ回るしかできないユーイは次第に壁際へと追い込まれ、逃げ場を失くした彼女に、ついにその一撃が牙を剥く。
「……っ!」
避けるのは不可能。
ユーイは頭や首筋と言った急所を守る構えを見せるが、導師は悪辣なものであった。
わざと急所を外し、その爪が脇腹を抉り取っていく。
嬲り、苦しめ、着実に弱らせて殺す。その性根が垣間見えるようであった。
だが。
「つかまえ、た……っ!」
それは想定済みの事。万が一想定が外れて急所に一撃を喰らうよりは余程いい。
痛みに顔を歪ませながらも、待っていたとばかりに自身に向けられたその爪をユーイは自らの両腕で掴み取って。
「なにを……っ!?」
耳元で聞こえる導師の声には耳を貸さず、ユーイはそのまま反重力シールドの出力を最大まで引き上げた。
急加速。目指すは反対サイドの壁際まで。
進路上に石柱があるが、なんの構うものか。こっちには『導師』と言う名の盾がある。
次々と石柱を圧し折り、自身の血で尾を引きながら、猛進。
「やぁぁぁぁぁぁっ!!!」
轟音。
岩肌そのものの壁面に導師が叩きつけられ、濛々と土煙が上がる。
「今ですっ!」
「わかった……」
その土煙の中に、ペインは迷わず飛び込んで。
その手には、青々と冷たい炎を纏った拷問具。
苦しみ死んでいった者の怨念。今なお虐げられる者の憤怒。悲劇に対し無力な者の悲哀。
この場に遺された、総ての怨恨をその手に込め、叩きつける。
「……お前は、本当に……くだらない、ね」
そんな呟きは、きっと彼の耳に届くことは無いんだろうな、などと心の片隅で思いながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリシア・マクリントック
貴方が事件の黒幕ですね。貴方の主とやらが何者であろうと私には関係ありません。
罪なき人々に仇なす存在であるならば、斬り伏せるのみです!
しかし、どうしたものでしょうか。どこを狙うべきなのか見当もつきませんね……骨だけになっていても首を刎ねてしまえばいいのでしょうか?
一番効果が確実なのは脚でしょうか。ダメージが少なかったとしても動きを制限できるはず。
他の方に作戦があるならそれに乗るのもよさそうですね。
ここが祭壇であるのなら他にも邪教徒が潜んでいる可能性は高そうです。周囲の警戒は怠らないようにしましょう。
マリアをいつまでも待たせておくのもかわいそうですし、一気に決めたいところです。
狭筵・桜人
ははあ成程?
ここにも冷えた飲み水は無いようですねえ。
『名もなき異形』を放ち【捨て身の一撃】による【衝撃波】。
攻撃力重視で敵の体勢を崩させ隙を作る狙いです。
チョロチョロと動き回らないでくださいね。
これ以上カロリー消費したくありませんので!
【呪詛】を重ねて行動阻害。
不可視の呪詛。どうせ視えないなら目を閉じて視覚を切ります。
音と気配を頼りに【見切り】で回避。
人をグツグツ煮込んで神様に捧げるって?
邪教とすら呼べない駄教じゃないですか、ソレ。
あんたの神様ってどれです?
ま、いいや。ここ全部崩して埋めてしまいましょう。
今最高に機嫌が悪いんですよ、私。
ユナ・アンダーソン
成程ね
鉱山都市に住んでた人たちはこいつの信仰する何がしかの神の生贄にされてしまったということ
UDCアースの邪神関連の事件を想起し顔をしかめます
あっちと違って本当に存在するのかわからないけど
被害が他に及ぶ前に刈り取ってしまいましょう
大鎌を振り回して攻撃し敵を断頭しようとします
暗殺者教団による死角からの攻撃は第六感で察知して武器受けで防御
傷ついている味方がいたら優しさ12、激痛耐性8を用いて傷奪う星痕を使い傷を奪います
あなたの傷を私にちょうだい?
戦闘後
犠牲になった人たちの冥福を祈ります
―――彼らの魂に憐れみを
アドリブで他の方との絡み歓迎
「やれやれ。少々遊びが過ぎましたか」
土煙が晴れる。
その先に立っていた黒衣の導師は、しかし壁面にクレーターを作り肋骨に焦げ跡を付けてもなお立っていた。
骨だけのその顔からは、感情は窺い知れない。
本当に効いていないのか、それともただ表に出していないのか。
どちらにせよ、その声色はどことなく不機嫌そうに見えた。
「成程ね……」
その立ち居振る舞いを改めて見やり、ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)は顔を顰める。
この男の言い分から、鉱山都市に住んでた人たちは、こいつの信仰する何がしかの神の生贄にされてしまったということは明白だ。
邪教、異端の神、そしてそれに捧げる生贄。
それは何処か、UDCアースの邪神崇拝とも通じるものがある。
どこにでもこういう輩はいるものなのか。溜息をつかずにはいられない。
「あっちと違って本当に存在するのかわからないけど……」
「ですが、何者であろうと私には関係ありません」
罪なき人々に仇なす存在であるならば、斬り伏せるのみです。
そう、ユナの隣でアリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)が毅然と言い放つ。
そう。冥福を祈るのはまだ早い。
罪のない都市の人々を生贄と称して踏みにじった。それだけで、彼女たちにとっては裁く理由としては十分だ。
「マリアをいつまでも待たせておくのもかわいそうですし、一気に決めたいところです」
「そうですねぇ、ここにも冷えた飲み水は無いようですし……これ以上カロリー消費したくありませんので!」
継いだ言葉の中に不機嫌さを隠そうともせず、狭筵・桜人(不実の標・f15055)が先頭を駆け、二人が後に続いて導師へと迫る。
カタカタと、導師の顎骨が音を立てた。
「えぇ、えぇ。ならばお望みどおりに」
「……!ユナさん、上です!」
ふっと、三人の頭上に影が落ちたのと、アリシアが注意を促したのはほぼ同時。
次の瞬間、咄嗟に目の前に翳したユナの大鎌の柄と、禍々しく湾曲した短剣の刃がカチ合う、乾いた音が響く。
「……伏兵!?」
「さっきの連中ですか……!」
見れば、それは先ほどここに来るまでの道中で立ちふさがっていた黒衣の亡者達。
追いつかれたのか、それとも別の誰かなのかはパッと見ただけではわからない。
だが、それらは既に、気付けば周囲に既に何人も展開していた。
暗殺者と呼んで差し支えないほどの隠密と奇襲。
回避できたのは、アリシアが前もって警戒していたのと、その注意喚起からユナの第六感により即座に反応出来たから、と言うのが大きい。
どちらか一方でも欠けていたら確実に手痛い一撃を喰らっていたことだろう。
しかし、彼らに気を取られた隙に、当の導師は再びその姿を消していた。
歯噛みするアリシアとユナ。
だが、一方で桜人は冷静だった。
周囲の連中は、初撃が凌がれたからかすぐに仕掛けてくる様子はない。仮に動作に移っても、二人が反応する隙は十分にある。
なら、今この瞬間は奴に集中すればいい。
「……チョロチョロと動き回らないでくださいね」
放つのは、名状しがたき異形。いずこかで鹵獲してきた、名もなきUDCの一つ。
放たれたそれは、何もなかったはずの空間を強かに打ち、衝撃音と空気の震えを走らせた。
「……ならばっ!」
今の一撃で何かしらの綻びが生まれたのか、そこにふわりと浮かび上がる導師の姿。
狙うは足止め。その一瞬を逃さずに、意図を汲んだアリシアがその足元目掛けて厚刃剣を薙いでいく。
「な、何故……!」
「どうせ視えないなら視覚に頼らなきゃいいだけですよ」
淡々と、桜人は導師に告げる。
「人をグツグツ煮込んで神様に捧げるって、邪教とすら呼べない駄教じゃないですか、ソレ」
――ま、いいや。ここ全部崩して埋めてしまいましょう。今最高に機嫌が悪いんですよ、私。
よろめき、うずくまる導師にそう言い放った桜人の目は、その場の熱気に見合わぬ冷たさを湛えていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ノワール・コルネイユ
先ほどのアレは貴様がいう供物の成れの果てか。
貴様らオブリビオンは何故、簡単にそう…
…一体何様のつもりだと云うのだ。この阿呆め。
その姿が見えようと、見えまいと…知ったことか
貴様が発するその不愉快な感覚。ただ、それを斬り伏せるだけだ
【第六感】を頼りに、気配を追う、斬りつける
暗殺者には構わずただ導師を狙う
傷を受けようと、血を流そうと
獲るべき首を前に痛みは厭わない
サッシナスを捉えたらUCを発動
三条の鎖を以って奴を捕縛し
そのまま勢い付けて地面に叩きつけてその骨を砕いてやる
そんなに御神とやらが愛おしいのなら
すぐにでも傍へと送ってやる
直々に神とやらに仕えることが出来るんだ。
この上無く、喜ばしいことだろう?
レナ・ヴァレンタイン
姿は見えずとも、実体はそこに在る
せいぜい気張って不意打ちに来るがいい
弾丸が効くなら、狩りに支障はない
ユーベルコード起動
一時的に強化した技能を用い、むやみな抵抗に見せかけて乱射したアームドフォートとガトリングで周辺破壊
上手い具合に地形を崩して利用し、敵が私を攻撃するのに「最も効果的なルート」の選択肢を限定させる
攻撃方向さえ分かればあとは簡単
敵の攻撃の瞬間に合わせ、クイックドロウでリボルバーに装填された弾丸6発。全て脳天と心臓にぶち込む
多少の負傷は必要経費だ
……ああ、そういえば、こうゆう「決闘」の時はこう言うのだったな
「早撃ち勝負だ。先に抜くがいい、私は更にその先を往く」
トリテレイア・ゼロナイン
なるほど、この地に眠る異形の神への生贄として街の人々を使い、その上まだ不足と
……問答は不要
失われた多くの命に報いる為に討ち取らせてもらいます
対暗殺用の護衛機としての力、今こそ発揮する時ですね
移動時や爪の風切り音、地面を蹴る振動、物体が発する熱
それらの情報をセンサーで拾って隠れた敵の位置を●見切り、攻撃から仲間を●武器受け、●盾受けで●かばいます
位置に凡その当たりを付けたらUCのサーチレーザーと塗料散弾の連携で目印を付けつつ攻撃します
不可視化のアドバンテージを失った相手に向けてスラスターを点火し地面を滑るように●スライディングし急速接近
●怪力での大盾殴打で●鎧砕き、骨を粉砕して差し上げましょう
「……ふふ、ずいぶんと活きの良い……」
猟兵の一撃で片膝をついた導師が、再び立ち上がる。
口調こそ、変わらず。しかし、その声色にはもはや隠しようもない苛立ちと怒りが見えていた。
「これは是非にとも我が神に捧げさせて頂かないとですねぇ。苦労に見合う価値はあるでしょう、えぇ」
「……この地に眠る異形の神への生贄として街の人々を使い、その上まだ不足と」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の問いには、口では応えぬ代わりに肩を竦めてみせて。
その様は『何を分かり切ったことを』と問い返しているようにも見えた。
それが、無性に腹が立つ。
「……一体何様のつもりだと云うのだ。この阿呆め」
ノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)が吐き捨てる。
周りに蠢く黒衣の集団が、彼の言う『供物』の成れの果てと言うことであれば。
いったい、どれほどの人間が犠牲になったのだろうか。
人間をまるで道具……それも、消耗品の類としか思っちゃいない。
「貴様らオブリビオンは何故、簡単にそう……」
「おや、猟兵ともあろうお方がお分かりになりませんか」
「……ノワール様。これ以上の問答は不要です」
歯噛みするノワールをトリテレイアが止める。
今やるべきことは、ただ一つ。
失われた多くの命に報いる為、彼の者を討ち取ることのみ。
三度、導師の姿が消え、周囲を黒衣の集団が取り囲む。
身構える猟兵達。
その中で一人、普段通りの飄々とした、あるいは不遜な雰囲気を崩そうともしない人物がいた。
「なに、姿は見えずとも、実体はそこに在る。狩りに支障はないとも」
そう言って、ガトリングを手に、アームドフォートを背負い前に歩み出たのは、レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)であった。
当たるなよと一言、後ろの猟兵達に声をかけるだけかけて、レナはその砲門を一つ残らず展開する。
轟音。
四方八方に無暗矢鱈と撃ち放たれる無数の弾丸。
柱を降り、壁面を穿ち、地面を削り、天井を叩く。
避け損ねた黒衣の傀儡達が吹き飛ばされていく。
だが、その中で、見えないものを叩いた様子は、見受けられない。
碌に狙いも定めず出鱈目に撃ち出すだけの攻撃など、多少脚にダメージがあったところで難しいことでもないのだろう。
やけっぱちの抵抗、見ようによってはそう見えるかもしれない。
そんな中、トリテレイアが動いた。
次の瞬間。
「……何と!?」
鳴り響く金属音。
導師の爪が、トリテレイアの大盾に突き立った音だ。
「なに、少しばかり手の内を見せすぎたというだけだな」
「いくら優秀な隠密だろうと、機械の目には視えています。策に嵌りましたね」
自らの後方を庇うトリテレイアの背中越しにレナが笑い、トリテレイアの低い声が続く。
いくら不可視になろうとも、いくら光を物ともしなかろうと、そこに存在している以上、存在の痕跡を一つ残らず消すことは不可能だ。
床を踏めば音が鳴るし、物を蹴れば埃が立つ。
ましてや、無数の砲撃で抉られ、崩れ落ちた塵芥が積もったこの状況であれば、なおさらだ。
人の目には難しかろうと、『対暗殺用の要人警護機』であるトリテレイアの目にかかれば。
障害物が増えて進攻ルートが限られた中、その居場所を捉える事は不可能ではない。
「今ですよ」
「わかっている」
「多少の負傷は必要経費だと思ったが、存外に安く済んだな」
トリテレイアが言うと同時、至近距離から放たれる塗料交じりの特殊散弾。
それが、不完全ながらも導師の姿を露わにしたその場所へ、レナがリボルバーの銃弾を矢継ぎ早に叩き込み、そこへ目掛けてノワールが駆ける。
主を守らんと、残った黒衣達がノワールを狙うが、構うものか。
獲るべき首はただ一つ。
傷を受けようと、血を流そうと。獲るべき首を前に痛みを厭うことは無い。
真っ直ぐ、ただ真っ直ぐに、ノワールは自らの鎖を導師へと放つ。
ぎしり。がちり。
耳障りな音と共に、鎖が導師へと纏わりついて。
「ぬ、ぉ……ッ!」
「そんなに御神とやらが愛おしいのなら、すぐにでも傍へと送ってやる」
もがき苦しみ抵抗する導師へと、ノワールは告げる。
――直々に神とやらに仕えることが出来るんだ。この上無く、喜ばしいことだろう?
身体を捻り、渾身の力で鎖を振り抜き、投げる。
宙を舞った導師の行きつく先は、祭壇のその更に奥。
ぐつぐつと煮えたぎる音を放つ、その大穴の先。
「ぎアァァァァァァァァァァッ
!!!!」
悲鳴を残し、その姿は視界から消えた。
一瞬後、じゅうと何かが溶ける音が聞こえたような気がした。
それもすぐに聞こえなくなると、ボロボロに崩れた祭壇に残されたのは、パチパチと火が燃える音だけの静寂。
それまで動いていた黒衣達も、今となってはもう、糸の切れた人形同然にその場に倒れ伏しており、大地の蠢きももう無く。
一度消えたものを連れ戻すのは、不可能だ。
人の消えたこの街が、今後どうなっていくのかは、今はまだ分からない。
だが、それでも。
これで救えたものは、確かにあった筈だろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年04月13日
宿敵
『導師・サッシナス』
を撃破!
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