7
激闘、宿場町防衛戦線!~刀魂、過去より蘇りて~

#サムライエンパイア


 これはサムライエンパイアの、とある宿場町の話。
 街道の整備に伴って、徐々に周囲の村々は宿場町として栄え始めていた。
 この辺りは戦が絶えなかった場所らしく至る所に歴史名所がある。
 近くには首塚も多数あり、今夜は慰霊祭が行われるとのこと。
 という訳で、今日も割と観光客でごった返しているのだが……。
「おい、ありゃなんだ?」
 観光客の指差す方に人々は視線を向けてみれば、田畑や野原の中から湧いて出てくるように刀を持った青年たちが現れたではないか。
「慰霊祭の出し物かい? にしては物騒じゃないか」
「あの気配、ヤドリガミだな、きっと。しっかし、数が多いなオイ?」
「まさか、ここで合戦の再現でもするつもりかね?」
 観光客は刀を持ったヤドリガミたちを物珍しそうに眺めていた。
 すると、その中から数名の妖艶な女性が姿を見せると、にたり、と口元を緩めた。
「……さぁ、その刀身に血を浴びせよ」
 命令を下されたヤドリガミたちが爆ぜるように駆けだすと、唖然とする観光客を次々になで斬りにしてゆくのだった。

「……っていうサムライエンパイアで大量虐殺事件の予知をキャッチしちゃったんだよっ! 今回は人手はいくらあっても足りないから、手が空いている猟兵のみんなは協力してほしいんだよっ!!」
 いつになく血相を変えてまくし立てる蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)は、サムライエンパイアの地図を用意して集まった猟兵たちへ提示する。
「今回の事件の現場は古戦場近くの宿場町だよっ! その周囲からオブリビオンが一度に大量出現したんだよっ!」
 その宿場町の外れの田畑や雑木林から、刀のヤドリガミのオブリビオンが大量発生して観光客をはじめとする人々を惨殺する事件を食い止めてほしい。それが今回の依頼内容だ。
「猟兵たちは転送後に天下自在符を掲げれば一般人は一目散に避難するはずだから、みんなは目の前のオブリビオンたちに集中してねっ!」
 早速、レモンは準備が整った猟兵から転送してゆくと告げた。
「そうそう! 戦闘が終われば慰霊祭が予定通り行われるっぽいから、みんなも供養をしてきてあげてほしいな……」
 微笑んだ彼女の頭上で、グリモアが輝き始める……。


七転 十五起
 今回はオノマトPとのコラボシナリオをお届けします。
 七転十五起、なぎてんはねおきと申します。
 今回の舞台はとある古戦場近くの宿場町!
 徒党を組んで湧き出てくる刀ヤドリガミのオブリビオンの軍勢!
 猟兵の皆さんがカッコよく討ち払っちゃってください!
 集団戦の後は敵大将との戦いとなり、見事に勝利すれば慰霊祭へ参加できます。
 合戦での無念が刀たちをオブリビオンとして蘇らせてしまったのでしょうか……?
 是非、供養をしてあげてくださいませ。
 それでは、皆様の挑戦をお待ちしております!
208




第1章 集団戦 『模倣刀『偽村雨』』

POW   :    雹刃突
【呼び起こした寒気】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    怨呪流血斬
自身に【過去の被害者の怨念】をまとい、高速移動と【止血し難くなる呪い】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    氷輪布陣
【氷柱】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を凍らせて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
時雨・零士
いきなり襲ってくるとか、どういうワケか知らねぇが…罪も無い人達をやらせはしねぇ!

避難指示は他の猟兵に任せ、「変身」して即座に応戦

【フォームチェンジ】を駆使して戦闘。
攻撃は【見切り、残像】で回避。
雹刃突は【フォームチェンジ】ストームドラグーンの風の鎧と竜巻で吹き飛ばし、逆に雷光を放って攻撃。
氷柱はフェニックスブレイズの炎で溶かしたり、カオスインパクトで粉砕。その他の攻撃は【見切り、残像】で回避。
敵は炎や雷光等の【属性攻撃】を纏った【グラップル、怪力、2回攻撃】の格闘やブラスターで攻撃。隙をついて【捨て身、力溜め】によるロストプロミネンスやカオスエクストリームで仕留めるぜ!

※アドリブ等歓迎


水心子・静柄
ふむ、なるほどね…気配だけでヤドリガミか判るのね。それはサムライエンパイアの人達だけなのかしら?それとも全世界共通なのか気になるわね。これはより一層自分(本体)に気をつけないといけないわね。

さてと今回は刀のヤドリガミ…同類が相手なのね。同じ刀のヤドリガミとして嘆かわしいわ。相手の親(刀匠)の性格はわからないけど、私の親からしたら見過ごせないわね。全力で叩き壊してやるわ!

居合の構えで間合いを測りつつ待ちの構えとみせかけるど奇をてらって射合で居合の間合いの外の相手を一斉攻撃するわよ。大量に複製したら本体がバレバレですって?そんなの気にしないわ。


上泉・信久
POW アドリブも共演も歓迎
天下自在符を掲げて一般人が近づかぬようにする

同じヤドリガミではあるが、ただただ人斬りをするなら悪鬼と変わらぬな
相手は多数。居合では手数負けしてしまうな……ならば
無窮村正を抜き右手に持ち、姫脇差を左手に持つ
かの武蔵ほどではないが、二刀流もやってのけよう

【武器受け】と【見切り】を組み合わせつつ【剣刃一閃】で刀を折っていく
姫脇差で受け、無窮村正で斬るとやることは単純である
無理に受けず、避けれる攻撃は【残像】もあわせて回避する

ただただ進むのみ、寄った者から折ってやろう
囲まれる状態になったら
姫脇差を咥え、無窮村正を両手で持ち【なぎ払い】【範囲攻撃】の一掃

この地に刀は不要だ……



 宿場町に突如現れた模造刀のヤドリガミたちこと、模倣刀『偽村雨』たち。
 その規模はもはや軍勢といって差し支えないほどの規模だ。
 更に模造刀とはいえ、その剣技はまぎれもなく本物であることを猟兵たちは察知する。固まっていては不利だと猟兵たちは気付くと、数名ずつの即席の班を作って討伐に当たり始めた。

「いきなり襲ってくるとか、どういうワケか知らねぇが…罪も無い人達をやらせはしねぇ!」
 時雨・零士(仮面ライダーデオルム・f04112)が宿場町に居合わせた一般人たちの前にはだかるや否や叫んだ。
「早く逃げろ! 避難誘導は、誰かがやってくれるはずだからな!?」
「それなら、俺が引き受けよう」
 上泉・信久(一振一生・f14443)が袖の中から取り出したるは、幕府公認、天下御免の治外法権札たる天下自在符だ。これを掲げたのならば、この地は徳川幕府の管轄外――つまり治外法権になったことを意味する。
「ここは危険だ、旅籠屋か茶屋の中へ皆は逃げ込むとよかろう」
 上泉の言葉を聞いた一般人たちは、蜘蛛の子を散らしたが如く一斉にその場から駆け出してゆく!
「はは~っ!! 猟兵様方、あの化け物たちをどうか退治してくだせぇ!」
「あたしはまだ死にたくないからねっ! お言葉に甘えて旅籠屋へずらかるとしようかねっ!?」
「とんだ災難だな!? 俺ァ、茶屋の中で団子喰いながら、アンタらの武運長久を祈ってるぜ! 絶対に勝てよなっ!!」
 彼らの様々な反応が返ってくる様を上泉は飄々と見送っていた。
 と、逃げる市民の中の一人の男性に水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)が声を掛けた。
「急いでいるところ悪いけど、ちょっといいかしら?」
「なんでぇ? こちとら死にたくねぇんだ、構ってられっかよ!?」
「なによ、簡単な質問でも答えてくれないのかしら?」
 静柄は殺気混じりに男へ凄むと、男はたちまち竦み上がって足を止めてしまう。
「ヒィッ!? わかった、手短に頼む……!」
「話が分かる人でよかったわね。あなた、さっき、『あの気配、ヤドリガミだな、きっと』って言っていたわね? あなた、気配だけでヤドリガミか判るのね。それが判るのは『この世界(サムライエンパイア)』の人達だけなのかしら?」
 静柄もヤドリガミであるが故に、そのあたりは気になっているようだ。
 尋ねられた男はきょとんとしながら答えた。
「んなもん簡単だ。俺はよ、初対面の色んな奴と顔付き合わせてこの街道を旅してンだ、ヤドリガミの特徴くれぇ俺に掛かれば一目瞭然よぉ? 何らかの器物を形見は為さず持ってる奴は、大抵ヤドリガミだろうが?」
 それは、あまりにも雑な判別方法だった。
 男の話を聞いて、静柄は感じ取った違和感を口に出した。
「それってつまり……あなたの特技ってこと?」
「ま、そういうこった! まさか、日ノ本の全員がこんなこと出来るわけねぇだろ、娘さん!」
 快活に笑いながら男は旅籠屋の中へと逃げ込んでいった。
「どうやら、私の思い違いだったようね……」
 とはいうものの、より一層自分(本体)の管理に気をつけないといけないなと再確認した静柄は、袖の中から本体である納刀状態の脇差を取り出して居合の構えで敵の軍勢と対峙する。
「さてと今回は刀のヤドリガミ……同類が相手なのね。同じ刀のヤドリガミとして嘆かわしいわ。あなたたちを鍛えた親たる刀匠の性格は判らないけど、私の親からしたら見過ごせないわね。全力で叩き壊してやるわ!」
「まったくだな。同じヤドリガミではあるが、ただただ人斬りをするなら悪鬼と変わらぬ」
 上泉もまた刀のヤドリガミ。同類の非道な行いに静かな怒りを内に滾らせる。
 そして上泉は刀工村正が造ったうちの打刀『無窮村正』を右手に、左手には女性でも扱いやすいように拵えた『姫脇差』を握って二刀流の構えで相対する。
「相手は多数。居合では手数負けしてしまうな……ならば、かの武蔵ほどではないが、俺はこの局面、二刀流をやってのけよう」
「あら? 居合が手数負けするなんて事、ここで私が覆してあげるわ」
「ほう? ならば、お手並み拝見だな?」
「あなたこそ、剣豪の名を汚すような不格好な戦いなんてしないちょうだいね?」
 ふたりのヤドリガミは軽く互いを煽りながらも戦意を高め合う。
 その証拠に、ふたりの口元はニタリと不敵に緩ませていた。
「俺はひたすら肉弾戦だぜ! ドライバー・オン!」
 時雨はベルト型魔術装置『デオルム・ドライバー』を顕在させると、ポーズをとって力強く叫んだ。
「変身ッ!」
『デオルム! マテリライゼイション! ライダーッフォームッ!』
 戦場に響く謎の電子音声!
 時雨はたちまち、サイボーグ戦士デオルムへと変身した!
「どうやら役者は揃い踏みしたようだな。ならば、ただただ進むのみ、寄った者から折ってやろう」
 上泉の言葉を合図に、3人は目の前の偽村雨たちの軍勢との交戦を開始した。
 デオルムは魔力を拳に籠め、刀を振り上げる偽村雨の一体の顔面を殴り抜いた!
「カオスインパクトッ!」
 敵の仮初の肉体と共に模造刀が砕け散る!
 デオルムの果敢な肉弾戦によって、敵のヤドリガミたちは間合い感覚を狂わされて一方的に殴り倒されてゆく。
 上泉も姫脇差で敵の剣筋を受け止め、がら空きになった胴体へ無窮村正からユーベルコード『剣刃一閃』で一刀両断!
 両手が使えるおかげで包囲されていても対応しやすく、攻防一体の構えで次から次へと敵を斬り伏せてゆく。
 一方、静柄は膠着状態に陥っていた。
 周囲の偽村雨たちも動けば斬られると判断したのか仕掛けてこないのだ。
(焦っては駄目ね。ここは先に動いた方が負けだわ……!)
 静と動の戦場が混在する混迷期湧けた状況。
 偽村雨だってやられっぱなしのままではない。
 振るっていた模造刀に冷気を纏わせると、途端に素早い突き攻撃を繰り出してきたのだ!
 これが偽村雨たちの能力のひとつ、雹刃突!
「なるほどな! 攻撃回数をパワーアップして機動力を増したのか!」
 デオルムは寸でのところで間合いを見切って攻撃を回避。
 そのまま数歩だけ後ろに下がりながら、取り出したのは強化アイテム『クロスメモリ:ストームドラグーン』!
 ドライバーにセットし、カオスエナジーを装填!
 再びデオルムは変身ポーズをとった。
「超変身ッ!」
『アクション! クロスメモリ・フォーム!』
 デオルムの身体を風と雷が包み込み、周囲にいる偽村雨たちをミキサーめいて粉砕してゆく!
 やがて風と雷を取り込んだデオルムは、その姿をまたもや変貌させた。
『風雷の覇王ッ! デオルム・ストームドラグーン! リアラァーイズッ!!』
「行くぜ! てめぇら、俺の強さに痺れてみるか?」
 デオルムは魔力を迸らせて局地的な突風を呼び起こして敵へぶつける!
 すると風圧によって敵の攻撃速度がみるみるうちに低下してゆく。
 風の抵抗によって体が吹き飛ばされないように踏ん張ることに気が散ってしまい、雹刃突が不発に終わってしまう!
「今だ! 信久! 一気に決めるぜ!」
「承知した。では……!」
 上泉は姫脇差を口にくわえると、愛刀を両手で握り込んで前へ踏み込み、身体をぐるんっと捻り上げる!
 デオルムも高々と竜巻の上昇気流で点を舞い上がると、必殺技を発動!
「フィニッシュ・アーツ! ストームドラグーン!」
 竜巻と雷光纏う両足蹴りが模造刀のヤドリガミたちの軍勢の中へ突き刺さる!
「カオスエクストリィィィム!」
 迸る雷光と暴風で、何本もの模造刀が折られて戦場に破片が散らばってゆく!
 これに合わせて上泉は真一文字に横へなぎ払う回転斬り!
 全方位の偽村雨たちを本体の模造刀ごと仮初の身体を真っ二つに切断していった!
 だが、敵はまだまだ多勢。
 残心の最中のふたりの元へ、容赦なく偽村雨たちは襲い掛かる!
 万事休す!
 だが、そこへ放たれる鞘付きの脇差の一振りが敵の本体をへし折ってゆく!
 しかも1本ではない、26本もの鞘付き脇差が宙を舞い、偽村雨たちの本体を打ち砕いてゆくのだ!
「いつから居合と錯覚した? これは居合ではないの。射抜く居合、つまり、射合よ!」
 これぞ静柄のユーベルコード!
 錬成カミヤドリで複製した自分の本体たる鞘入りの脇差26本を放ち、自身から26m半径内の指定した全ての対象を攻撃するのだ!
「居合が手数で負けるなんてことはないのよ、このユーベルコードなら。……大量に複製したら、それらを操る本体の私の存在がバレバレだって思ったわよね? でも、私はそんなの気にしないわ。バレる前にあなたたちを砕けば済む話ですもの」
「静柄の言う通りだ。もはやこの地に刀は不要だ……」
 3人の激闘ぶりに一般人たちは安全圏から声援を送る。
 彼らの戦いは、まさに人々の希望なのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

緋翠・華乃音
この世界はあまり肌に合わないんだけどな……まあ、これもオーダーだから仕方無いか。
……だからと言って、戦闘までこの世界に合わせるつもりはないが。


ユーベルコード「瑠璃の瞳」の範囲内で、戦場を広く把握出来る場所(建物の上など可能な限り高所且つ遠距離)に目立たぬよう潜伏。
伏兵として最初は敵を観察しつつ様子見・情報収集をしつつ、敵の攻撃パターンや回避行動等の情報を収集・分析し、見切りを行う。
合わせて常に優れた視力・聴力・直感を生かして戦況を把握しておく。
敵の注意を極力引かぬよう、猟兵達への援護狙撃に徹する。
場合によっては貫徹弾や高速弾などの銃弾を使い分ける。
戦闘に有利になる技能は適宜使用する。


美国・翠華
【アドリブ・共闘歓迎】

血を流すのは、あそこの人たちには似合わない。
だから私達がなんとかするの。

SPDで攻めることにする。
できれば普通に戦って仕留めたいの。
ユーベルコードを使うのは自分が追いつめられた時。
そうなったらしょうがない…一気にとどめを刺すように攻撃する。
一体一体を確実に仕留めるようにするわ。
動ける間は動ける限り、多くの敵を倒す。


灰色・シズク
ここはもう戦場じゃないわ。
再び血の海にはさせない。
さあ眠りの海に沈みなさい。

攻撃を受けてもひるまず自分の間合いへと踏み込む。
ダメージを受けても余裕の笑みを崩さず前進して、
相手の気勢を削ぐ。
敵を押し戻すように立ち塞がり相対す。

隙を【見切り】刀身を白手袋で受けて敵の動きを止め、
すかさず 【カウンター】で拳を叩き込む。
もちろん連珠を握りしめて【グラップ】よ?
止血難の呪いを受けたら流れる自分の血を相手へ振り掛け、
目つぶしにして【カウンター】に使ってやるわ。
【生まれながらの光】は、危険な状態に陥った時や
戦闘終了後に使うつもりで。まあ、保険ね。
あくまでオブリビオンを倒すことを最優先にして集中するわ。



 戦闘が始まるや否や、緋翠・華乃音(Lost prelude.・f03169)は持ち前のスニーキング技能の目立たなさを駆使してオブリビオンの目から逃れると、宿場町に2本建っている火の見櫓に昇って身を潜めていた。
「この世界はあまり肌に合わないんだけどな……? まあ、これもオーダーだから仕方無いか」
 緋翠は分解された愛銃『to be alone.』の組み立て作業を急ぐ。状況に因らず必中を誇ると豪語する狙撃銃とはいえ、運搬の際には目立つ。
 ゆえに移動の際は分解したほうが隠密性が高い。
 彼はいわゆるイモータルスナイパーとして、戦場を俯瞰できる火の見櫓の地の利を得んがためにここまで来たのだ。
「……だからと言って、戦闘までこの世界に合わせるつもりはないが。さて、これから始まるのは俺たちにとっての喜劇。だが君たちにとっては惨劇だ。一切合切を撃ち抜いてしまおうか」
 緋翠は櫓の上から気付かれないように顔を覗かせると、ちょうど地上では戦闘が発生していた。

 地上では、美国・翠華(生かされる屍・f15133)と灰色・シズク(てのひらに光を・f15779)が偽村雨たちを必死に抑えていた。
「血を流すのは、あそこの人たちには似合わない。だから私達がなんとかするの」
 美国の後ろには避難した人たちが立て籠もる旅籠屋や茶屋がある。
 ここを突破されるという事は、彼らの命を危険にさらすという事だ。
 絶対に通すわけにはいかないと、美国は『斬り裂きジャック』と呼んでいるUDCが憑依した戦闘用ナイフを振るって応戦する。
「ユーベルコードは使いたくない。だから通常攻撃でなるべく仕留めなきゃ……!」
 その声は決意というよりも恐怖や哀願に近いそれ。
 何かに怯えるように、美国は異形の刃で偽村雨たちを屠ってゆく。
 その横では、灰色が純白のゴシック調のオレオルローブを振り乱しながら大連珠を握りしめた拳で模造刀を叩き折っていた。
「ここはもう戦場じゃないわ。再びこの場所を血の海にはさせない。さあ、暗く深い眠りの海に沈みなさい……」
 偽村雨が模造刀を振るう度に発射される氷柱をその身に敢えて受ける灰色。
 何故ならば、回避すれば地面が氷に覆われ、そこに立つ偽村雨の地の利になってしまうからだ。
 だからこそ、攻撃を一身に受けて地面を凍て付かせてしまわないように立ち回る。
「そう、つまり回避しなければいいのよ」
 ゴシック調デザインの女性用白手袋をはめた灰色は、飛び交う氷柱を次々と殴って砕いてゆく! 命中してもダメージを受けない方法は、確かに敵の攻撃を拳て相殺すればいいだけの話だ。
 こうして、どんなに被弾しても立ち止まらない灰色に、偽村雨たちは徐々に苛立ちを見せ始める。
 しかも、灰色はユーベルコード『生まれながらの光』による聖なる光によって自身の傷を癒す事が出来た。疲労感は蓄積されるが、いくら偽村雨たちが打ち倒そうが、完治した身体で何度も立ち上がる事が出来る灰色の戦闘スタイルは、まさにゾンビ戦術に等しい。
「ここから先は行かせないわ。近付いた者から圧し折るわよ」
 不敵な笑みを浮かべつつ、灰色が肉弾戦で奮起するたびに白手袋越しからでも右手の甲に刻まれた薔薇のような聖痕が黒く輝く。
 だが、無情にも、2人は敵の物量に次第に押され始めていた。

「……状況の悪化を察知。そろそろ仕事に取り掛かろうか」
 緋翠は愛用の狙撃銃を構えて火の見櫓から顔を出す。
 銃を組み立てている間も、緋翠は五感と第六感をフル活用して戦況の動きを注意深く情報として汲み上げていた。
「敵の行動は至って凡庸。目の前に生物がいれば殺す。アレは、だたそれだけのモノだな……つまり自動人形と何ら変わりはない。そして、仮初の身体に一定以上のダメージを与えると、本体の器物である模造刀が破壊されて二仮初の肉体も消滅すると……」
 だったら、行動の予測は極めて容易。
 地上で戦う2人の死角から襲い掛かる敵を援護射撃で殺せばいいだけの事。
「なんだ、簡単なオーダーだな」
 緋翠はボルトアクション(手動装填)を行うと、すかさず銃口を地上へ向けた。
「――それが神であろうと、俺の眼からは逃れられない」
 引鉄を引くと、短く乾いた発砲音と共に薬莢が銃身から飛び出す。
 弾は空気中で螺旋運動を行いながら高速で直進してゆき、美国の背後から斬りかからんとしていた偽村雨の頭を吹き飛ばした。同時に、模造刀の砕け散る甲高い音が戦場に響いた。
 緋翠の目は特別性である。
 彼は培養液の中で育まれたデザインされた調整体であり、その結果に得られた異能のひとつとして、瑠璃色の瞳がユーベルコードになっているのだ。
 それは正に心眼であり、今の緋翠ならば9km先の標的にだって狙撃銃の弾丸を命中させることが出来るのだという。
 更に早撃ちの技術も備えている緋翠は、手動にもかかわらず次弾をすかさず装填し終えて再び地上の敵をヘッドショット!
「そのまま、何が起きたのかすら分からないまま骸の海へ帰ってゆけ……」
 援護射撃を受けた猟兵2人は徐々に盛り返してゆく。

 とはいえ、依然苦しい戦いを強いられる美国と灰色。
 ここで美国が決断を下す。
「しょうがない……。ユーベルコードを……使うわ」
 自身の持つ異形のナイフを、いきなり美国は自身の腹に突き刺したではないか!
「これが私の……強くなる……代償……! 私に宿れ……さらなる……UDC……ガッ……!? ゴフッ…!!」
 ナイフはその刃渡りを急激伸ばして美国の身体を貫通!
 更に彼女のマフラーはいつの間にか異形の鎖となって首を締め上げ、いつの間にか全身には禍々しい呪紋が浮き出てきている……!
 美国のユーベルコード『名状しがたき加虐者たちの宴(デッドリオンカーニバル)』は、美国の身体に憑依しているUDC自身が呼び出した別のUDCを彼女の身体に憑依させることでパワーアップすることが出来る。ただし、呼び出されたUDCの群れは、宿主である美国の身体をボロボロになるまで傷付け嬲り殺す済んでまで傷め付けて、初めて力を貸すのだ。
 だからこそ、美国はユーベルコードの使用を躊躇していたのである。
「グッ……ガアアアァァァーッ!!」
 UDCの群れがようやく定着した美国は、血の涙を流しながら模造刀の軍団の中へ突撃を開始! 一体ずつ撃破なんて生易しいことなどせず、魔獣めいた俊敏性と凶暴性をもってして敵陣のど真ん中で死の刃の舞踏を繰り広げてゆく美国。
 その姿は正に鬼神。呪われ、貫かれた身体から血を流し、毒を受けても、一向に美国の身体が止まろうとする気配はない。
 敵から放たれる怨念ですら糧にして、美国はドス黒い感情に支配されながら荒ぶる力の奔流を敵軍勢にぶつけ続けた。
「これが、翠華さんのユーベルコード……!」
 共闘している灰色は、敵を殴り飛ばしながら息を飲む。
 その背後に銃声が聞こえ、また一人、模造刀が砕け散ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

城田・紗希
んーと……このオブリビオンは刀なのかな?
それとも後ろの人が本体で、刀は躯の海から拾ってきた?
よく切れる刀なら、1本か2本ぐらいもらってもバレないよね……?

攻撃はウィザードミサイル、あと全力魔法と範囲攻撃、誘導弾も乗せたフルコース!(意味はないけど杖を掲げる)
氷を投げてくるってことは、炎で溶かせば弱まるよね?(単純思考)
迎撃用に誘導弾(とカウンター)特化の矢を撃ち込んで、本体…術者?のほうには誘導弾(と全力魔法で火力底上げ)をぶつけるよ!

……外れても地面が凍るって事は、地面を炙ればすぐ弱体化する?(炎の矢が余ってれば地面を狙う、余ってなくても好奇心を乗せた眼差し)


琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】チーム
UC【クィニティ・エンハンス】

寒気だって。これはセオリー通りに炎の攻撃力を上げて【範囲攻撃】といこうか!
エウトティアの風で炎が煽られる。

西洋と和風の違いはあるけれど剣での決闘なら負けないよ。
氷への【属性攻撃】模倣の妖刀への【破魔】でアドバンテージを手に入れたなら負けるきがしない。

ところで、予知された妖艶な女性とやらが気になる。
ああ、美人ならばぜひお話してみたいなぁ。
おっと、目の前の敵に集中しないと。

「僕の隣にもこんなに可愛い少女がいるんだ。かっこ悪い所は見せられないね」

※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に


エウトティア・ナトゥア
【依頼掲示板前広場】で参加。

これはまた大層な数じゃわい。
レニー殿、囲まれぬように注意するのじゃぞ。

まずは自己強化しているレニー殿を【疾風の凱歌】で更に強化し、マニトゥは敏捷性を重点的に強化するかの。

準備完了後、マニトゥに【騎乗】してレニー殿と行動を共にし、レニー殿の死角を補うのじゃ。
マニトゥ、【駆けよ】!レニー殿の側背からやってくるヤドリガミを寄せ付けるでないぞ。お主の爪と牙が鋭い事を教えてやるのじゃ!

余裕があるようなら、風を纏わせた矢で周囲の味方へ騎射で【援護射撃】しておくかのう。

(女性を気にするレニー殿に)
レニー殿相変わらずじゃのう…集中を欠いて不覚を取るでないぞ



 一方、別の場所では城田・紗希(人間の探索者・f01927)が杖を掲げながらユーベルコード『ウィザード・ミサイル』の炎の矢を乱射していた。
 彼女は好奇の目を偽村雨たちへ向けて言い放つ。
「氷柱が外れた場所が凍って強くなるのなら、そこを炎の矢で焼き払えば氷は溶けるよね? そうすれば敵が弱体化する……?」
 城田の視界に入った敵軍へ向けて、135本の炎の矢を次々と放って氷を解かすどころか蒸発させてゆく。まさに無差別攻撃である。
「全力魔法と範囲攻撃、誘導弾も乗せたフルコース! 氷柱に誘導弾をぶつけて、がら空きになった術者を残りの矢で射抜くよっ! 私の全力魔法で焼き尽す!」
 そこへエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)が巨狼マニトゥに騎乗して駆け寄ってきた。
「サキよ、粗方、あちらは片付いたのじゃ。にしても、まだこれだけの敵がおるとはな? これはまた大層な数じゃわい。レニー殿、囲まれぬように注意するのじゃぞ?」
「ああ、抜かりはない、エウトティア。西洋と和風の違いはあるけれど剣での決闘なら負けないよ。こちらも氷属性を宿した魔法剣と妖刀に対しての破魔をもってすればアドバンテージを手に入れられる。負ける気がしない」
 強気な発言の琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)は相乗りしていたマニトゥから颯爽と降り立つ。視界には炎の矢で延焼する野原が映っていた。
「それにしてもよく燃えているね? これは剣に炎属性も加えて、攻撃力を上げておいた方がよさそうだ」
「あ、そっちは終わったんですね。あとは私が相手してるこの集団を倒せば殲滅完了ですよ!」
 城田が援軍の到着に顔を綻ばせる。だが、その表情は若干硬い。
「……正直、炎の矢が135本あっても足りないんデスヨネ、この戦況……!」
 目の前には一個大隊ほどの敵数がいるのだ、炎の矢の数が足りないのは明白だ。
「だったら、こういうのはどうかな? エウトティア、僕に風の精霊の加護を頼むよ」
「うむ、承知したのじゃ。風よ、勝利の歌を! ♪~」
 エウトティアがユーベルコード『疾風の凱歌』を歌い上げる。
 すると、琥珀川の身体の周りにつむじ風めいた魔力の奔流が発生する!
 それは歌い上げるエウトティアと城田も共感することで纏う事が出来た。
「これは凄いですね! 力が湧いてきます!」
「エウトティアの精霊術は頼りになるんだ。これで僕も一騎当千だ、いくぞ、オブリビオン。ダンスの時間だ!」
 琥珀川はユーベルコード『クィニティ・エンハンス』で攻撃力を強化、更に疾風の魔力が炎の魔力と氷の魔力を煽って吹雪と火炎竜巻を同時に身に纏う。
 男装の麗少女が細身の魔法剣を振るう度に、吹雪と火炎竜巻と共に斬撃が繰り出されて偽村雨たちを巻き込んで破砕してゆく!
 敵勢も歓喜を呼び出して自己強化を行うが、城田の炎の矢と火炎竜巻によって無効化されてしまい、あえなく玉砕してしまう。
 この光景に城田がもったいなさげに声を漏らす。
「んーと……このオブリビオンは刀なのかな? それとも後ろの人が本体で、刀は躯の海から拾ってきたのかな? よく切れる刀なら、1本か2本ぐらいもらってもバレないよね……?」
「いや、あれはヤドリガミのオブリビオンじゃないかな……? しかも刀は模造刀のようだけど」
 琥珀川が苦笑いしながら、目の前の敵の模造刀を叩き割ってみせた。
 すると、偽村雨はたちまち仮初の身体を失って消滅してしまった。
「ほら、この通りだ。本体を持って帰るのは危ないんじゃいかな?」
「うーん、鹵獲して鍛え直せば何とかなると思うんですよねー?」
 城田はそれでも諦めきれない様子。
 ふたりが戦線維持をしている間、エウトティアはマニトゥを駆って遊撃を行っていた。
「マニトゥ、駆けよ! レニー殿とサキ殿の側背からやってくるヤドリガミを寄せ付けるでないぞ。お主の爪と牙が鋭い事を教えてやるのじゃ!」
 エウトティアが犬笛を吹き、巨狼が疾風の如く戦場を駆け抜けるたびに、偽村雨たちが空へ吹き飛ばされて砕け散らばってゆく。
「これだけではないぞ! わしの矢を喰らうがよい!」
 更にエウトティアは騎乗しながら矢を手製の短弓に番えて敵へと放ってゆけば、遠距離攻撃の対策に乏しい偽村雨たちは為す術なく倒れてゆく。
 いつしか形勢は猟兵たちへ傾き、3人はこのまま偽村雨たちを殲滅してゆくのであった。

「これで、最後……!」
 城田が残りの炎の矢を全弾撃ち込んで、偽村雨たちを完全撃破させた。
 と、ここで琥珀川はふと、ブリーフィングで聞いた予知の内容を思い返していた。
「ところで、予知された妖艶な女性とやらが気になる。ああ、美人ならばぜひお話してみたいなぁ」
「レニー殿相変わらずじゃのう……。きっとそれはオブリビオンの首魁じゃろう。集中を欠いて、その妖艶な女性とやらに不覚を取るでないぞ?」
 エウトティアは琥珀川の王子様的発言に肩を竦めてしまう。
 これに琥珀川は余裕の表情。
「僕が後れを取るなんてことはないよ。僕の隣にもこんなに可愛い少女が2人もいるんだ。かっこ悪い所は見せられないね」
「え、私も含まれているのデスカ……?」
 城田は驚いて思わず口調がカタコトに。
「当然さ。おっと、僕の自己紹介がまだだったね?」
 そこへ琥珀川は城田の前に跪くと、王子様然として優しく告げた。
「僕のことは気さくにレニーと呼んでくれ、紗希」
「は、はい……!」
 琥珀川の言動にドギマギする城田を眺め、エウトティアはやれやれと溜息を吐くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『辻斬り『花簪のおりょう』』

POW   :    血染め狂い
【妖刀・血染め雲による斬撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    紅時雨
自身が装備する【自分の本体である妖刀】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    奥義・鬼血解放
自身に【妖刀が吸ってきた鬼の血の呪詛】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「やはり、一山幾らの模造刀では一般人はおろか猟兵たちも斬れないのだな」
 尊大な態度で突如現れた露出度の高い妖艶な女性。
 しかし、猟兵たちは彼女の右手に持つ太刀から異様な殺気を感じ取っていた。
「ふふふ、やはり隠し切れぬか。ならば名乗ろう。妾は妖刀・血染め雲のヤドリガミ、辻斬り『花簪のおりょう』である」
 この女性もヤドリガミのオブリビオン!
 しかも、先程の偽村雨たちに比べて強大な力を秘めているのを、猟兵たちに向けられる殺気と威圧感で察する事が出来るだろう。
「妾の本体は、鬼の血を啜ってきた妖刀。この刀身に血を浴びせる事こそ至上の命題である。まずは貴様等の血で我が本体を血で濡らすとしよう!」
 辻斬り『花簪のおりょう』が柄に手を掛ける。
 猟兵たちもすぐに武器を取り、この宿場町を守るべく戦いに身を投じるのだ!
水心子・静柄
あらあらヤドリガミが本体を隠さず明かすなんて狙って下さいと言っているものだけど良いのかしら?誰の作かわからないけど、名乗られたら名乗り返すのが礼儀ね。私は水心子作、銘は静柄よ。これから叩き折られるあなたに憶えてもらう意味はないけど、折られる瞬間まで憶えておいてね?私は誰の作かわからないなまくらに興味がないから憶えないけど。

さてと挑発で冷静さを欠いてくれれば良いけど、本体同士で斬り結ぶのは不利ね。ここは相手の斬撃を避けつつ、刀の峰や側面にグラウンドクラッシャーを叩きつけるわ。あら?私は刀のヤドリガミだけど使われなかったから剣士じゃないのよ?脇差が使われる状況って詰んだ状態よね。


三千院・操
ハハ!! すごいなぁ。すごい妖刀だ、ゾクゾクしちゃう!
きっとたくさん死なせられるんだろうなぁ、いいなぁ、いいなぁ……。
でもさぁ、きひひ! 欲しいのは血だけ? その先には何もないの?
ないんだったらその『生』要らないよね?
おれにくれよ、大事に使ってあげるからさァ!!

『不正なる管理人』でおりょうの肉体を拘束するべく戦うよ!
これはおまえのあらゆる経験を吸い取る悪魔の腕!
たくさん血を啜ってきたんでしょ? だったらきっといっぱい貰えるよね!

高速移動に対してはこっちも呪詛を張り巡らせて動きを鈍らせたいな!
おまえを恨んでるやつがこんなにいっぱい! 逃げられるなんて思わないでよ? きひひ!

※アドリブ絡み歓迎


城田・紗希
んーと、今回は模造刀じゃなくてちゃんと斬れる刀だよね?
模造刀じゃないって、自己紹介してたよね?
じゃぁ、安心して持って帰れるね!

ユーベルコードは絶望の福音、未来予知で回避しつつ、白刃取り……じゃなかった捕獲して他の刀を叩き割るよ!
ちゃんと刃こぼれしないよう、刀の横から刃で叩くよ!(刃と刃をぶつけないよう気をつける)

(借りパクした刀が念力で持っていかれたら)
「あぁっ!私の刀が!!」「返してよ、刀泥棒!」
……いいよもう、自前のを使うから!(プンプン怒りつつも愛刀を構えて未来予知)

……そういえば、呪詛を纏った血染め丸とか、来ないよね?
(来ても未来予知と見切りで避けるけど、って顔しつつ銘を間違える)


上泉・信久
POW アドリブ等歓迎
静柄殿の理論は面白い、してやられたな

さて、おなごと言えど、狂刀を振るうなら斬らねばな
どれ、ジジイと剣術勝負をしようではないか、血染め雲、花簪のおりょう

相手の動きを【見切り】ようにし【残像】や【第六感】で攻撃を回避する

まずはお前の皮の厚さでも……
【無窮ノ型 阿修羅斬】の命中重視で一閃する

次は速さを……
【無窮ノ型 阿修羅斬】の攻撃回数重視で七閃する

基本は居合いを繰り返す
【残像】で離れ、【見切り】でタイミングを計る

さて、仕舞いだ。折ってやろう。
【無窮ノ型 阿修羅斬】攻撃重視で妖刀もろとも一閃して壊しにかかる

同じヤドリガミで斬る道を進まなければ、茶でもして語らえたであろう……


灰色・シズク
美しく呪われた刀のヤドリガミ。姿を現したのね。不足ないわ。数珠で飛んで来る刀を叩き落としていなす。刀身に血を浴びせようとするなら刀を操ることに意識を集中させているはず。敵がUCを使った直後の隙を【見切り】で狙い、踏み込んで【灰燼拳】を放つ。刀そのものへの狙いはつけずらくとも相手の身体ならば、と胴を狙う。この一撃で倒れなければ【灰燼拳】は目くらましの光を放つので、それを利用してもう顔へ向かってアッパーの一撃を。踏み込んでからは連続しての攻撃を意識し、敵の注意を引き付ける。刀を血塗れにして、あなたは対価を受け取れたかしら。…どんなに傷つこうとも膝はつかないわ。絶対によ?


神楽威・紅葉
少し出遅れちゃったけど、問題のオブリビオンとの戦いには間に合いそうかな?

猟兵としての仕事も大事だけど、今回は神楽威家本来の役割を果たさないと…それじゃあ、『妖刀狩り』を始めるよ!

◆行動
妖刀・血染め雲から放たれる殺気と威圧感に対して、妖刀・夢幻を構えてUCに『殺気』を乗せて『恐怖を与え』対抗する。

狙うは本体を自称する妖刀・血染め雲の刀身そのもの。
扱う女性側には見向きもせずに、妖刀を壊す事にのみ集中する戦い方。
『激痛耐性』により自身へのダメージは考慮せず、いざという時は『捨て身の一撃』を放ってでも妖刀を破壊しようとする。

アドリブ歓迎・絡み歓迎


エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加するのじゃ。

(『花簪のおりょう』に聞こえるくらいの声で独り言)
ほうほう、あれがレニー殿お目当ての妖艶な美女とやらかの?
レニー殿にはちいとばかし薹が立っておらんかのう。
まあ、蓼食う虫も好き好きと言うでな、姥桜を愛でたい気分なのじゃろう。

【動物使い】使用
さて、マニトゥ。あのおばさんを骸の海へ帰してやるとするかの?
お主は他の猟兵と連携して死角から急襲するのじゃ。

【属性攻撃】【全力魔法】使用
マニトゥを送り出したら、わしは砲撃の準備じゃ。
後衛に陣取り、精霊を呼び出したその力を収束した砲撃で『花簪のおりょう』を撃ち抜いてやるのじゃ。


琥珀川・れに
エウトティアと

「危険な恋の香りがする。胸を貫かれるような神経の高ぶりを
…なんて言ってられないね」

かなりの使い手と見込んで純粋な剣の勝負を仕掛けたい。
女性相手で僕にしては意外かな?…いや、どうも社交できるような雰囲気ではなくてね。

「それに僕は既に可愛いレディをエスコートしているのだから
マニトゥにも怒られちゃうね」

僕のスキルは【カウンター12】【破魔7】【串刺し7】
さてこれらでどう対抗できるか。やってみないことには分からないな。

ただし、得体のしれない妖怪相手、卑怯な手に【見切り】で警戒しておこう。

僕の血は貴重品なんだ。仲間や弱気者を守る為に消費される。
君にあげることはできないよ

※アドリブご自由に!


緋翠・華乃音
さて……まあ、さっきと同じ様に狙撃に徹していれば問題はない、が――
身体が鈍るといけないから、少しは本気を出して運動する事にしようか。


基本的な戦術は先程の戦闘と同様。
直感と五感を生かして敵の行動を見切り、狙撃で確実にダメージを重ねていく。
――が、途中で戦法を変更。
狙撃手から暗殺者へ、意識と戦法を切り替える。
気配と音を消して素早く疾駆――移動の軌跡は稲妻のように疾くそして鋭く。
櫓から屋根、屋根から地、地から壁、壁から屋根――正しく縦横自在無尽。
武装"夜蝶牙"と"Gespenst."でヒット&アウェイ。一撃で致命へと導けずとも十重二十重の斬撃を。
そして敵の攻撃はユーベルコードで無条件に回避を行う。


美国・翠華
【アドリブ歓迎・真の姿発動】
(真の姿は全身にどす黒い触手状の文様が浮かび始める)
さっきの闘いで体内のUDCのおかげで何とかなっている状態だけど…
「…やっと出会えた…私は絶対…負けないから…」

でも体内のUDCが満足してくれたみたいね…
『礼ニ、カワリニヤッテヤルヨ』
といって強制憑依させてくるわ…
強制憑依後は意識はUDCのものになる…でもちゃんと行動してくれるわ。

敵の持つ刀が本体であるなら
私は…その本体の動きを見て攻撃を行う。

自身のユーベルコードを発動させて
無数の複製の刀は触手で防いで
本体に向けて毒液を放出。これで打撃を与えていく…気に入らないけどね


時雨・零士
テメェの本体が血を吸う機会なんてもうねぇよ。ここで俺達が叩き折ってやる!
戦い難くはあるが…罪も無い人達を傷つけさせはしないぜ!

敵の動きを【見切りと第六感】で捉えながら接近戦。
【グラップル、怪力、早業、2回攻撃】で近接連撃を仕掛けつつ、アームドのカオス・インパクトで刀を圧し折る様に戦闘。
敵の【血染め狂い】は受けない様、【見切り、第六感、残像】で回避。
紅時雨はブラスター【早業、ドロウ】のバースト連射で撃ち落とす。
敵の鬼血解放に合わせてこちらも【アクセルフォーム】へチェンジ。
【捨て身、力溜め、ジャンプ、ダッシュ、怪力】で超高速のアクセル【カオス・ストライク】で仕留めるぜ!

※アドリブ等歓迎



 遂に姿を現した辻斬り『花簪のおりょう』!
 全身から禍々しい殺気を放ち、特に左手で握る妖刀・血染め雲からは呪詛そのものが漏れ出ている気配すら感じる。
「さぁ、誰から妾に血を捧げてくれるのだ?」
「テメェの本体が血を吸う機会なんてもうねぇよ!」
 おりょうの言葉にすかさず怒りをぶつけるのは時雨・零士(仮面ライダーデオルム・f04112)。今は変身中なのでサイボーグ戦士デオルムである。
「てめぇは美人さんだから戦い難くはあるが……罪も無い人達を傷つけさせはしないぜ!」
「ふふふ、妾の美しさを理解できるとは、貴様は見る目があるな?」
 ご満悦のおりょうの言葉を水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)が遮った。
「あらあら、ヤドリガミが本体を隠さず明かすなんて狙って下さいと言っているものだけど良いのかしら?」
「なぬ……?」
 静柄の言葉に、おりょうが睨みを利かす。
「妾が本体を明かすのは絶対の自信の表れである。妾を狙うだと? 片腹痛いわ……!」
 嘲笑を返されても、静柄は冷静に事を構える。
「……誰の作かわからないけど、名乗られたら名乗り返すのが礼儀ね。私は水心子作、銘は静柄よ。これから叩き折られるあなたに憶えてもらう意味はないけど、折られる瞬間まで憶えておいてね? ……私は誰の作かわからない“なまくら”に興味がないから憶えないけど」
「……見え透いた挑発よの?」
 おりょうは平静を装っているが、苛立ちからか口元がひくひくと引き攣っている。
 そこへ、城田・紗希(人間の探索者・f01927)がエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)と琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)と共に、おりょうのもとへ駆け付けてきた。
「あれが大将の妖刀のヤドリガミかぁ。んーと、今回は模造刀じゃなくてちゃんと斬れる刀だよね? 模造刀じゃないって、自己紹介してたよね?」
「ああ、妖刀だと自己紹介していたようだね」
 琥珀川が首肯する。
 城田は途端に表情を明るくして言い放つ。
「じゃぁ、安心して持って帰れるね!」
「まだ持ち帰ることを諦めておらぬのか……」
 これにエウトティアが呆れ返っていた。
 また、城田の言葉におりょうも思わず冷笑を漏らす。
「妾を持ち帰るだと? ふふふ……、とんだ愚か者がおるようだな? 妾はもはや誰にも従属などせぬ。“妾”は、妾自身が所持するに相応しい。妾の使い方を一番知っておるのは、剣鬼に等しいこの妾に置いて他あるまい」
「ふっ、成程、お前の面の皮の厚さは鬼も舌を巻くだろうな?」
 上泉・信久(一振一生・f14443)がそれを鼻で笑った。
 再び歪む、おりょうの口元。
 そこへ、琥珀川とエウトティアの“追撃”が迫る。
「それにしても、なんて君はオリエンタルで妖艶なんだろう。ああ、危険な恋の香りがする。この胸を貫かれるような神経の高ぶりを……」
「ほうほう、あれがレニー殿お目当ての妖艶な美女とやらかの? レニー殿にはちいとばかし薹(とう)が立っておらんかのう。まあ、蓼食う虫も好き好きと言うでな、姥桜を愛でたい気分なのじゃろう」
 エウトティアは敢えて周囲に聞こえるような声量で言ってのけた。
 これにおりょうは流石に我慢できずに口を挟む。
「誰が年増の老桜だ……!」
「おっと、口説いてなんていられないね? 怒ったら山姥のようだ、どうにも社交できるような雰囲気にはないかな」
「貴様も好き勝手言いおって……!」
 琥珀川に袖にされたのが地味に堪えたようで、おりょうは両肩をわなわなと震えさせる。
「それに僕は既に可愛いレディをエスコートしているのだから。マニトゥと紗希にも怒られちゃうね」
「やっぱり私も含まれてるのデスカ!?」
 城田は思わず男装の麗少女へ振り向いてツッコミを入れた。
 対してエウトティアはやれやれと肩を竦める。
 琥珀川が主催する旅団『依頼掲示板前広場』ではお馴染みの光景なのだろう。
 一方、灰色・シズク(てのひらに光を・f15779)は大連珠を握り込んで身構える。
「美しく呪われた刀のヤドリガミ。姿を現したのね。不足ないわ。叩き折ってあげる」
「おなごと言えど、狂刀を振るうなら斬らねばな? どれ、ジジイと剣術勝負をしようではないか、血染め雲、花簪のおりょう」
 無窮村正を鞘から抜いて正眼に構える上泉もまた臨戦体制へ移行。
 そこへ、新たに駆け付けた猟兵たちが姿を見せる。
「よかった、少し出遅れちゃったけど、問題のオブリビオンとの戦いには間に合いそうかな?」
 神楽威・紅葉(妖刀夢幻の伝承者・f01131)はしかめっ面のまま、温厚な口調で『妖刀夢幻』の柄に手を掛ける。
「猟兵としての仕事も大事だけど、今回は神楽威家本来の役割を果たさないと……」
 おりょうを目のあたりにした彼女の頭の中で、四六時中囁く声が大きくなる。
『あれこそ害なる者なり、さぁ、殺せ、殺せ、殺せ……!』
「うるさいなぁ……。言われなくてもやるよ……。おほん、それじゃあ、『妖刀狩り』を始めるよ!」
 神楽威はクリスタルのような半透明の妖刀『夢幻』の鞘を抜き払う。刃渡りは身の丈程あるため、鞘は持っていても邪魔になるので地面に一旦捨て置く。
 その鞘をじっと見つめる猟兵がいた。
「ねねね? この妖刀、なんかすごい奴? きれいだね、触っていい?」
 無邪気に語り掛けるのは三千院・操(ネクロフォーミュラ・f12510)である。
 神楽威はしかめっ面のまま三千院に告げた。
「ま、まぁ、触るだけなら……」
「あ、やっぱやーめた! あっちの妖刀の方を触る!」
 三千院はまるで猫のような気まぐれを発揮しながら、おりょうの持つ妖刀をじっと見詰める。
「ハハ!! すごいなぁ。すごい妖刀だ、ゾクゾクしちゃう! 見ればわかるよ! きひひ! きっとたくさん死なせられるんだろうなぁ、いいなぁ、いいなぁ……」
 彼の視線は新しい玩具を強請る幼児のようで、それでいてある種の偏執に塗れており、つまり彼は壊れていた。
「でもさぁ、きひひ! 欲しいのは血だけ? その先には何もないの?」
「どういう意味なのだ、それは……? 妾はこの妖刀の刃に血を浴びせることこそが至上と告げたはずだが……?」
 おりょうが怪訝な表情を浮かべて尋ね返す。
 三千院はオブリビオンの言葉に満面の笑みを浮かべた。
「それって、それ以外、その先は何もないってことだよね? ないんだったらその『生』要らないよね? だったらさァ……、おれにくれよ、大事に使ってあげるからさァ!!」
 三千院が突如、腕を指揮者の如く高々と振るえば、太陽の反射光で一瞬だけ糸状の何かが目視で確認できた。
 おりょうは後ろに飛び退きながら、すかさず妖刀を振るう!
 すると目の前の空間に火花と金属音が散る!
「あれー? バレた?」
 三千院はUDCから作り出した鋼糸とそれを扱うためのグローブ『葬送曲』での不意打ちからの拘束を狙ったが、これはおりょうの反応速度が勝った。
「……油断も隙もあったもんではないな。だが小細工で妾をどうにかなると思わぬことだな?」
「きひひ! そう来なくっちゃ! だったら本気出しちゃうよ? おまえの技術! 経験! 記憶や魔力! それ、おれに頂戴?」
 三千院の狂笑が宿場町に響く。
 それが開戦の狼煙だと悟った猟兵たちが一斉におりょうへ踏み込もうとした次の瞬間、そいつはやってきた。
「っあああああーっ!?」
 苦悶の声を上げながら、全身にどす黒い触手状の文様が浮かび始める美国・翠華(生かされる屍・f15133)が突っ込んできた。
「……やっと出会えた……私は絶対……負けないから……」
「貴様、何を言ってるのだ?」
「■■■■■■■■■■■■■――!」
 おりょうの問いに対し、美国はこの世のものとは思えない冒涜的な人外言語を叫ぶ。
 美国は高速移動でおりょうの背後に回ると、体中から生えだした無数の触手の刃を振り回す!
 だが、おりょうは瞬時に60本もの妖刀の複製を作り出すと、触手の斬撃を峰で防ぎ切った!
 その内の数本が粉々に破砕!
 複製を犠牲にして、すかさず猟兵たちから距離を取るおりょう。
「本当に油断ならぬ……よもやこう容易く背後を取られるとはな……?」
 55本の複製妖刀を宙に漂わせ、妖刀の結界を生み出すおりょう。これで猟兵たちとの数の差はなくなった。
 初撃を防がれた美国は、自身の身体にかかる負担の大きさに思わず膝を付いてしまう。
(さっきの闘いから、体内のUDCのおかげで何とかなっている状態だけど……でも体内のUDCが満足してくれたみたいね……)
 美国の冒涜的な姿は、彼女の真の姿である。
 憑依したUDCに体内まで浸食され、異形と化した美国の自我は刻一刻と薄れてゆく。
 代わりに表へ浮上するのは、美国の身体を侵食するUDCのそれ。
「礼ガワリに、オレガ、カワリニ殺ッテヤルゼ」
 口調はカタコトになり、纏う気配は獣か、はたまた殺人鬼か。
「はえー! そっちも捨てがたいなー! ねねね、戦闘終わったらその中身ほしいー!」
 三千院がキラキラと輝く視線を美国に送ると、美国の中のUDCが思わず身震いした。
「ヤメロ! オマエハ、ナンカイヤダ!」
 三千院の存在は、UDCも恐怖させるレベルの狂気を放っていることが証明された。
「あれだけ浮いていれば、一本貰っても……」
 城田は未だに妖刀を我が物にしようと諦めきれない様子。
 なんだか戦況がカオスになってきたぞ??
 そんな中、一発の銃弾がおりょうの肩口を抉ってゆく!
 放たれたのは火の見櫓から。
 先程の戦闘から身を潜めて狙撃手に徹している緋翠・華乃音(Lost prelude.・f03169)が放った一撃は、初めておりょうの仮初の身体に傷を付けた。
「狙撃手がおるのか……!」
 おりょうはまだ、緋翠の居場所を特定できていない様子。
「さて……まあ、さっきと同じ様に狙撃に徹していれば問題はない、が――」
 緋翠は櫓から周囲を観察する。
「身体が鈍るといけないから、少しは本気を出して運動する事にしようか。あそこの酒蔵の屋根に飛び移れそうだ」
 次第に狙撃手は、その本質を変えてゆこうとしていた。

「なかなかやりおるようだが、この紅時雨の数には敵うまい!」
 宙に浮かぶ55本の複製妖刀。
 おりょうは物量で猟兵たちを押し潰してゆかんと、刀をそれぞれ操り全方位から斬り込んでゆく。
 それにいち早く反応したのが、敏捷性に長けた猟兵たち。
「だったら見切ってみせるよ!」
 城田がユーベルコード『絶望の福音』によって、まるで10秒先の未来を見てきたかのように飛来する複製妖刀の軌跡を予想、これを次々と回避してゆく。
「回避するだけじゃないよ! これを、こうだ!」
 なんと、その内の一振りを両手で真剣白刃取り!
 複製妖刀を奪い取らんと力を籠める。
 だが、おりょうは全ての複製妖刀を念力でバラバラに操作することが可能だ。
 当然、城田が白刃取りした刀も制御を奪られたわけではないため、そのまま城田の顔をへし切るべく負荷が掛かってゆく!
「タンマタンマ! これ手を放したら私が斬られるやつデスヨネ!?」
 身動きできない城田を集中狙いするべく複製妖刀が集まり始める。
 そうはさせんと他の猟兵が割り込もうとするが、刃の檻は近付くだけで猟兵たちの身を刻まんと仕掛けてくるため不用意に近付けない!
「愚かな小娘め、剣山にしてくれようぞ」
「だ、誰か助けてー!?」
 城田、絶体絶命!
 そこへ、本体へ向け駆け込んできた神楽威が『妖刀夢幻』を上段から勢いよく振り下ろした!
 おりょうはそれを本体の鞘で受け止める!
「ほう? 仲間よりも妾を先に斬りに来る者がおるとは驚いたぞ?」
 これによって、意識は目の前の神楽威へ向けられ、城田の延命が実現!
「……いいよもう、自前の刀を使うから!」
 この隙に城田は愛刀『紅時雨』――奇しくもおりょうのユーベルコードと同じ名前の刀を抜き払って宙に浮く複製妖刀を叩き落としてゆく。
 神楽威はおりょうの顔、ではなく左手に握られている妖刀へ向けて鬼気迫る気迫で語り掛ける。
「仮初の肉体には興味がないね。私が用があるのは、本体の妖刀・血染め雲の方だよ! へし斬ってやる!!」
 ぎちぎちと刃を受け止める鞘への荷重が増してゆく。
 神楽威の妖刀は、既に血染め雲の鞘の半分まで貫通していた。
 その顔が更に苦痛に歪んでゆく!
「ああ、本当に喧しい……。何時にも増して夢幻が鳴いてる……。『害なる者を殺せ』と。貴方にも聞こえる? この忌まわしい“声”が!!」
 神楽威の殺気が途端に、爆発したかのように全身から発揮された!
 ユーベルコード『夢幻の波動』の効果だ!
 おりょうは思わず一瞬、その凄みに飲まれて腰が引けてしまう。
 その瞬間、神楽威は裂帛の気合と共に刀を鞘へ押し込んでゆく!
「いやあああああぁぁぁぁぁーっ!!」
 コンッと小気味いい音と共に鞘が刎ね飛ばされる!
 同時に勢いを増した妖刀夢幻の切っ先が、おりょうの左肩にめり込んでゆく!
 そのまま腕ごと妖刀をへし折るつもりだ!
 撒き散らされる血飛沫、おりょうの苦痛の絶叫!
「ぐっ!? この、猪剣士が!」
 おりょうは神楽威の鳩尾を強かに蹴り飛ばして剣先を引っこ抜くと、操っていた刀の一部を神楽威へ向けて射出!
 しかし、神楽威は止まらない!
 そのまま前に出る!
 前に出て、貫かれるっ!!
 一本、二本、三本、まだ倒れず駆けだしてくる!
 四本、五本、六本、刃が貫通しているにもかかわらず、神楽威の目は爛々と執念の炎を湛えている!
「その妖刀は絶対に折る――!」
「こやつ、本当に人間か!?」
 強引に振るわれる剣閃を紙一重で回避したおりょうは体勢を立て直さんと後退し始める。
 そしてその場に膝を付く神楽威だったが、おりょうの立て直しなど許す猟兵ではなかった。
 ここで唐突な遠方からの発砲音!
 遅れて感じる脇腹の痛みと血の滴り!
 またしても緋翠の狙撃銃『to be alone.』による長距離射撃だ!
「先程と射線が違うだと……? 移動しておるのか!?」
 周囲を見渡すおりょうだが、緋翠の姿はどこにも見当たらない。
 しかし、おりょうに余所見などしている暇はなかった。
「■■■■■■■■■■■■■――!」
 今度は真の姿を曝け出して襲い掛かってくる美国の腐敗性の猛毒液噴射がおりょうを襲う!
「くっ!?」
 咄嗟に複製妖刀を盾にして猛毒液を遮ると、見る見るうちに刃が腐食してゆくではないか。しかも無数の宿の刃がおりょうの仮初の肉体を切り刻んでゆく!
「コロシテヤル! キザンデヤル!」
「貴様、怪異に身を預けおったか! これではまるで妾と同類……!」
 おりょうは妖刀・血染め雲の柄を握り込むと、意識を集中!
「もはや是非もなし。我が妖刀の錆にしてくれる!」
 残りの複製妖刀を美国に射出して猛毒液から本体をガード!
 その隙に寄ってくる触手群を血染め雲で一刀両断!
「■■■■■■■■■!?」
 冒涜的な断末魔が戦場に響き渡る!
 そのまま美国の胴へ妖刀の刃が走ろうとしたその矢先、右から上泉、左から灰色が縮地めいて飛び込んでくる!
「まずはお前の皮の厚さでも見てやろう……」
 上泉の無窮の居合斬りがおりょうを捉える!
「逃がさないわ……!」
 灰色の右拳からは光の薔薇が咲くようにまばゆい光が溢れる!
 おりょうの残心の体勢へ目掛けて、ふたりのインスタント挟撃は敵の仮初の身体を押し潰す!
「……この、愚昧めが!」
 それでも苦し紛れに妖刀を振るうおりょう。
 だが、これも飛来する銃弾によって攻撃妨害!
 右腕に銃弾が貫通!
「……遅い!」
 上泉の二度目の居合斬りが、おりょうの腹を深々と掻っ捌いた!
 噴き出す鮮血!
「吹き飛ばすわっ!」
 灰色の二発目の灰燼拳は、おりょうの顎へとクリーンヒット!
 高々と打ち上げられるおりょうの肉体へ、何者かが高速移動で接近!
 それは気配と音を消して素早く駆け寄る緋翠の姿だ。
 移動の軌跡は稲妻のように疾くそして鋭く、屋根から地、地から壁、壁から屋根へと三次元移動戦術によって敵を翻弄。
 着地する瞬間に黒剣『夜蝶牙』と黒艶の刀身を持つ近接戦闘用ナイフ『Gespenst.』をおりょうに突き立ててはその肉体を蹴り上げてまた宙に浮かして離脱し、再び刻んでゆく。
 まるで、おりょうの仮初の肉体が滞空したまま肢体をばたつかせる様は、夜に舞う蝶のようだと緋翠は心の中で呟く。
「まだ、まだ終わらぬ!」
 緋翠へ残りの複製妖刀を射出するが、これを彼はユーベルコード『lazuli eyes.(ラズリアイズ)』で完全回避してしまう。
 理不尽に、不条理に、そして一切無条件に攻撃を予測してしまうそれは、敵にとっては悪夢そのもの。
「――これが俺の武器だ」
 後退する間際、『schweigen verrat.』の銃口をおりょうへ向け発砲!
 弾丸が妖刀のヤドリガミの眉間を射抜いた!
「が――ッ!」
 遂におりょうの仮初の身体が揺らぎ始めた。
 この好機に、残りの猟兵たちが畳みかける!
「くらえッ! デオルム・ブラスター!」
 デオルムの熱線銃のバースト高速連射が、宙に浮く複製妖刀ごとおりょうを射抜いてゆく!
 怯んだおりょうの懐へデオルムは飛び込むと、拳にカオスエナジーを集中!
「カオス・インパクト!」
 魔力を纏ったワンツーパンチがおりょうの頭を容赦なく揺らした!
 危うく妖刀を手放しそうになるが、反撃の一撃をデオルムに叩き込まんと気力を振り絞って切っ先を突き上げる!
「あっぶねぇ!?」
 間一髪でデオルムは体を反らして回避!
 第六感がなければ致命傷であった!
 おりょうは更に後退すると、血まみれの身体を抱えながら肩で息を切る。
「おのれ、猟兵め……! ごちゃごちゃと喧しい……!」
「負け惜しみかな? だったら僕はユーベルコードを使わずに君に挑もう」
 琥珀川がフェンシングの構えでおりょうに挑まんと身構える。
 これにおりょうは顔を夜叉の如く釣り上げて激昂!
「妾を愚弄するのも大概にせよ! まだ奥の手が残っておるわ!」
 妖刀・血染め雲の刀身から、禍々しいオーラが湧きだしてくる……!
「奥義・鬼血解放! この妖刀が吸ってきた鬼の血の呪詛の力を解放する! 妾の寿命を縮めることになるが、ここで骸の海へ沈むよりかは随分とましな事よ!」
 おりょうは瞬きひとつ分の僅かな時間で琥珀川の目の前まで高速移動!
 すかさず妖刀を繰り出してきた!
「速い……っ!!」
 初撃をなんとか受け流した琥珀川、打ち払った動きを利用してカウンターの突き攻撃!
 だがおりょうも高速移動を実現して動きに対応、琥珀川へ衝撃波と共に斬撃を繰り出す!
「僕の血は貴重品なんだ。仲間や弱き者を守る為に消費される」
 琥珀川はサイドステップ回避からのカウンター刺突!
 おりょうの太ももへ剣先が貫通!
 そのままエウトティアへ目配せをする。
「だから君にあげることはできないよ。エウトティア!」
「マニトゥ! あのおばさんを骸の海へ帰してやるのじゃ!」
 エウトティアの犬笛を合図に、巨狼マニトゥが物陰から飛び出し、おりょうの死角から噛み付いた!
 首筋を噛み砕かれたおりょう、これは流石に効いたらしく、抵抗できずにマニトゥに振り回されている。
 乱戦の最中、他の猟兵が派手に動いてくれたおかげでマニトゥを米問屋の蔵の物陰に潜ませることに成功していたエウトティア。
 奇襲を実現させた彼女は、最大火力を以ってオブリビオンを滅さんと魔力を高めてゆく!
「天地に満ちる精霊よ。我が敵を討ち滅ぼせ! 集え、天穹貫く緋色の光条!」
 150本の紅く輝く破壊属性の精霊光が、エウトティアの両手に収束されて魔力砲を為してゆく!
 マニトゥがようやく顎を放して地面に打ち捨てると、今度は地面から無数の闇の魔手が出現し、おりょうと妖刀を雁字搦めに掴み取る!
「な、何事なのだ!? これは!?」
 狼狽えるおりょうに、今まで戦況をニヤニヤしながら観察していた三千院がようやく口を開く。
「これはおまえのあらゆる経験を吸い取る悪魔の腕! たくさん血を啜ってきたんでしょ? しかも鬼の血の呪詛とかサイコー! だったらきっといっぱい貰えるよね!」
 ずぶずぶと徐々におりょうと妖刀を影の沼へ引き摺り込んでゆく悪魔の手。
 これが三千院のユーベルコードがひとつ『不正なる管理人(マンモーン)』!
 正直、敵のユーベルコードとの相性は最悪であったが、他の猟兵の連携によって高速移動を潰されたおりょう相手なら発動は容易かった。
 更に、三千院はおりょうの周囲に幻影を具現化させてみせた。
「見て見て! おまえを恨んでるやつがこんなにいっぱい! 逃げられるなんて思わないでよ? きひひ!」
「こ、これは……!? 妾の力が、貴様に奪われているのか!?」
「だいっせーかいっ! クイズに正解したおりょうさんにはァ! おれから『死』をプレゼントォッ! 遠慮せずにうけとってね!」
 無数の悪魔の腕が、より一層強くおりょうの身体と本体の妖刀を握り潰してゆく!
 ゴキゴキと骨と鉄が砕ける音が辺りに轟く!
「あっがっ!? や、やめっ……!? こ、われ、る……!!」
 ようやく、おりょうは自分の置かれている状況を理解した。
 今から、猟兵たちに殺される現実の状況を!
「……正直、皆の殺気が凄すぎて、私のお株が取られていないかしら?」
 肩を竦める静柄は、自身の本体である納刀状態の脇差を担いで、ゆっくりと捕縛されたおりょうの前へ歩み出る。
「最初で最後に言っておくわ。私は刀のヤドリガミだけど使われなかったから剣士じゃないのよ?」
 鞘に収まったままの脇差を天高く掲げると、上段の構えから渾身の力を込めて振り下ろす!
「脇差が使われる状況って詰んだ状態よね!? グラウンドクラッシャー!」
 おりょうの脳天から上半身が圧力によって吹っ飛んだ!
 宙を舞う妖刀・血染め雲!
 そこへデオルムが動き出す!
「さぁ、振り切るぜ! ひとっ走り付き合えよ!」
 時雨のベルトにスピードメーター表示が現れたかと思うと、彼は一気にフルスロットル!
『Start UP! デオルム! トップギアァッ! アクセルフォームッ!』
 謎の電子音声とともに、デオルムの姿が豹変!
 高速の戦士、デオルム・アクセルフォームとなり、1000倍の加速で妖刀へ飛び蹴りを放つ!!
「絶望がおまえのゴールだ……!」
『デオルム! アクセル・サウザンド・キィック!!』
 一撃で千回のキックを妖刀に叩き込むと、遂に妖刀の刀身全体にヒビが入った!
 地面に投げ出される血染め雲。
「まだ、終わらぬぅ……!!」
 だがなんと、妖刀の柄から仮初の身体が骨や筋肉が生え出すが如く徐々に復元し始めている!
 骨と筋肉だけの人体模型めいたおりょうが立ち上がると、砕け掛けた妖刀を頭上へ振り上げて構えた。
 これが妖刀の執念なのか、あるいは怨念めいた妖刀の宿業か!?
「いやはや、何ともしぶとい。だが、そろそろ幕引きだな」
 上泉が三度、居合の構えを取る。
「さて、仕舞いだ。折ってやろう。無窮の居合剣術。明鏡止水の理を超え、刹那の閃を成す――!」
 上泉の奥義……ユーベルコード『無窮ノ型 阿修羅斬』がおりょうの本体ごとを逆袈裟斬りに両断!
 そこへ駆け寄るのは満身創痍の神楽威と暴走寸前の美国!
「「ああああああああああああああっ!!」」
 絶叫しながら両者は、残る妖刀の刃へ捨て身の一撃!
 甲高い金属音が響き、遂に妖刀は柄だけとなってしまう。
「さぁ、塵ひとつ残さずこの世界から消し去ってくれるのじゃ!」
 魔力を充填し終わったエウトティアは、150本もの真紅の精霊光を妖刀の柄に一斉発射!
 強大な“魔砲”は妖刀の柄を易々と飲み込んでゆき、宣言通り塵ひとつ残さずにサムライエンパイアから存在を消失させていった。

「あ~、妖刀、持ち帰りたかったのに……」
 ガッカリする城田。
 だが、足元に折れた妖刀の切っ先を見付けて拾い上げる。
「あら、まだ残っていたなんてね? 鍛え直せば小太刀くらいにはなりそうな長さだけど」
 静柄は城田の拾った刃をしげしげと観察する。
「……さっきみたいな異様な雰囲気は感じられないわ。紗希が持ち帰ってもいいんじゃないかしら? でも、加工するなら自費よ?」
「分かってますよ、静柄さん……」
 城田は未練たっぷりに折れた妖刀の刃先を眺める。

 一方、重傷の美国と神楽威はすぐさま医者で治療を受けていた。
 猟兵は回復速度が速いとはいえ、念のため二人は治療を受けることに。
 その甲斐あってか、傷はすぐに塞がってゆき、医者は猟兵のポテンシャルに目を丸くして驚いていた。

 そして、三千院はしきりに煎茶を茶屋で強請っていた。
「ごちそうさま! おかわりもう一杯ちょーだい! あの妖刀の“味”は結構しつこいねー。生肉食べてるみたいだった! 鬼の肉の味なのかなー?」
 ユーベルコード『不正なる管理人(マンモーン)』の効果により、奪った対象の技術・経験は三千院自身の感覚としてフィードバックされる。
 その際、情報の一部が味覚となって表れるのだが、今回は有象無象の生肉をひたすら斬りまくった妖刀の記憶の由縁か、口の中に広がる生肉の味に三千院は困惑するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『燈す日』

POW   :    少し大きめの骨組みで灯篭を作って燈す。

SPD   :    華やかな形をした灯篭を作って燈す。

WIZ   :    高く浮かびやすい灯篭を作って燈す。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 宿場町の危機は去った。
 猟兵たちは人々から感謝と労いの言葉を掛けられた。
 そして是非、慰霊祭に参加してほしいと懇願される。
 近くにある川へ灯篭を流すのだという。
 先程戦った刀のヤドリガミのオブリビオンたちも、もしかしたら、戦場での刀たちの無念が形になって過去から舞い戻ってきた存在だったのかもしれない……。
 ならば、二度とこのような悲劇が起きないためにも、参加してみるのもいいだろう。
 刻限は戌の刻(夜20時頃)、月明かりだけが宿場町を照らしていた。
上泉・信久
SPD アドリブ共演可

やれやれ……あのような戦い方をする者を見ると心配になるな
怪我を負った二人の猟兵を思い出す

刀のヤドリガミも数多あれど、それぞれ型が違う
俺は斬る刀だが、おりょうのようにならぬように気をつけねばな
百年を経ても求めるは剣の道
修羅の道を通らずどこまでいけるか……

子供達と一緒にやれそれと灯篭を作ろう
想いを込めるのも大事だが、やはり自分らしき作るべきだろう
黒い紙を切り絵のように切っていき、様々な動物や印を描いていく
これを灯篭に張り付ければ闇夜に浮かぶソレになる

時にはこういうのもよい
さて、次は何を斬ろうか
ゆらゆらと暗い道を歩いていく


エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加するのじゃ。

(静かに風景を眺めるレニー殿に静かに近づく)
幻想的な風景じゃのう。
異界でも鎮魂の儀式の雰囲気はあまり変わらぬようじゃ。

どれ、わしも祈るとしようかの。
敵とはいえ闘いに倒れた上は、大いなる意思の元へ還してやらんとのう。
【歌唱】【祈り】使用
(鎮魂の歌でヤドリガミを慰める)
野よ、空よ、海よ、風よ、太陽よ、そして我らの神、大いなる精霊よ、彼らがゆくべき道を示したまえ…

わしらの流儀じゃが慰めになるじゃろうか?


琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】エウトティアと

「へえ、異国情緒にあふれる幻想的な景色だ」
悲しい行事だけどロマンチックな光は生きている人々の心をも癒すだろう。

今日は目当てにしていた女性…おりょうにフラれてしまったし、
僕もセンチメンタルにたたずむよ。

(どこから取り出したドリンクを片手に)
エウトティアの瞳に映る景色にも乾杯

それから、1章から共にした紗希 (f01927)へ
今日はエスコートさせてくれてありがとう
美少女と行動を共にできてうれしかったよ
…また会えるかな?
(※彼女とはプレイング打ち合わせはしていないので、この部分は採用不可なら致し方ない)

※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に


美国・翠華
【アドリブ歓迎】
まだ所々が痛いママだけど、弔いの炎は必要ね。
華やかな形の灯籠を作ろうと思う。

…私もきっと、元々はこの中の炎の一つになっていたはずだった…
でも生かされてここにいる…なら私は精一杯生きる…

体内のUDCが
「ツマラネエナ、コンナ祭りハ。俺ハ悲鳴ガ流レル血祭りガイイ」
と自分にささやくけど

私はそれを毅然と跳ね返す。今はただ祈りたいだけだから


水心子・静柄
灯篭ねー…折角だから刀を乗せても沈まないくらい大きなものを作ろうかしらね。さっきの刀のヤドリガミ達もこれなら満足してくれるわよね?まぁ今回の件で滅んだわけじゃないからまた何処かに現れるかもしれないけど、次は他の猟兵に任せたいわね。

さてと作った灯篭を流した後は、他の人達が流した灯篭も見ながら一杯ね。これで桜の花びらも舞っていたら最高よね。。誰か奇跡(ユーベルコード的な)を起こしてくれないかしらね?



 月夜が照らす宿場町。
 街道沿いは篝火が設けられ、揺れる柿色の炎は黄泉へと続いていそうな闇へ猟兵を誘う。
 ふと、川の水音が聞こえて目を向ければ、上流からひとつまたひとつと灯篭が河口へと流れてゆく。気が付けば川幅狭しと灯篭が流れてゆく情景は幽玄であり、また儚さでつい物思いに耽ってしまう。
 上泉・信久(一振一生・f14443)も、そんな情景を前に先刻の戦いを振り返っていた。
「刀のヤドリガミも数多あれど、それぞれ型が違う。それを改めて思い知らされた戦いであった。よもや飛ばす刀や砕く刀にお目に掛かれるとはな」
「私の事がどうかしたのかしら?」
 突如、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)が暗闇から姿を現した。
 静柄を見遣るなり、静かに口元を緩ませる上泉。
「いやはや、これは失敬。暗がりのせいで気付くのが遅くなった」
「いいわよ、別に。刀のヤドリガミ同士、ここで出会ったのも何かの縁だし、今くらいは交流を持つのも悪くはないでしょうね」
 そう言うなり、静江は気持ち早めに先を行く。
 上泉は慌てて立ち並ぶと、そのまま静柄の隣で併せて歩き出した。
 これに静柄が横目で上泉を見遣る。
「……いや、何で付いてくるのかしら?」
「交流を持つのだろう? ならば、この先で子供たちが灯篭を作っているそうだ。このジジイも一緒に作ろうと思ってな? どうだ、静柄殿もひとつ、一緒に作ってみぬか?」
「そういう事ね。私も元より作るつもりよ。刀が乗るくらいの大きなやつをね?」
 静柄は先程の戦闘で拾ったのであろう模造刀を腰に差していた。
「さっきの刀のヤドリガミ達も、灯篭と一緒に流してあげれば満足してくれるわよね? まぁ、今回の件で滅んだわけじゃないから、また何処かに現れるかもしれないけど。次は他の猟兵に任せたいわね。オブリビオンとはいえ、同族を討つのはやっぱり気分はよくないもの」
「同感だな。それに今回の一件は他人事とは思えぬ。俺は斬る刀だが、模造刀たちやおりょうのようにならぬように気をつけねばな。それにしても、先程の静柄殿の理論は面白い、してやられたな」
「ああ、あの複製の脇差を飛ばすユーベルコードね? 脇差はどう足掻いても太刀と比べてリーチが短いから、ああでもしないと……」
「それもそうだが、“剣士ではない”というところは実に興味深い」
 上泉は悪戯めいて口角を吊り上げながら告げる。
「オブリビオンも、刀で殴られるなんて想定していなかったであろうな?」
「うるさいわね……。器物の時は鞘を抜いてもらえなかったんだから、戦闘時は鞘に納めたまま殴るしかないじゃない……」
 少し顔を赤らめたのは、篝火の熱に当てられたからか、それとも別の理由か。

 チーム【依頼掲示板前広場】のエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)と琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)の2人組は、川に浮かぶ灯篭の流れゆくさまをに心を打たれていた。
「へえ、異国情緒にあふれる幻想的な景色だ」
 琥珀川が感嘆の声を漏らす。
 慰霊祭という性質上、明るい祭事ではないのは重々承知している琥珀川。
 しかし、ロマンチックな光は生きている人々の心をも癒す。
 それは猟兵である琥珀川にも等しく癒しをもたらしてくれていた。
 隣のエウトティアはさり気なく琥珀川との距離を詰めると、彼女(男装をしているので忘れがちだが、琥珀川は女性である)の言葉に賛同する。
「そうじゃな、実に幻想的な風景じゃのう。異界でも鎮魂の儀式の雰囲気はあまり変わらぬようじゃ。……ところでレニー殿、心なしか元気が無いようじゃが?」
 エウトティアが首を傾げながら琥珀川の顔を覗き込む。
 すると、彼女は短い溜息を吐いた。
「……今日は目当てにしていた女性……おりょうさんにフラれてしまったからね。然しもの僕も、こればっかりはセンチメンタルに佇まざるを得ないよ。はぁ……斬り結ぶ以外で彼女と親睦を図りたかった……」
「レニー殿、本気であの姥桜を口説くつもりだったんじゃな……!?」
 琥珀川の王子様ムーヴには慣れていたはずのエウトティア、これには思わず灯篭が流れる川を眺めて心の衝撃を和らげるほかない。
「と、とにかくじゃ、わしも祈るとしようかの。敵とはいえ闘いに倒れた上は、大いなる意思の元へ還してやらんとのう」
「そうだね、エウトティア。じゃあ、僕も祈りを捧げよう」
 胸元から出したのは、行きつけのIZAKAYAで購入したと思しき小さなボトル。
「行儀が悪いけど、今日はこのままで失礼するよ。さぁ、異世界のぶどうジュースだ、口に合うといいのだけど」
 琥珀川はボトルのコルク栓を抜くと、ちょろちょろと赤い液体を川に少量流した。
 そして、彼女はエウトティアの双眸を見詰めて微笑んだ。
「エウトティアの瞳に映る景色にも乾杯」
「レニー殿はやはりブレないのじゃ……」
 苦笑いをしたあと、エウトティアは祈りを籠めながら鎮魂歌を川辺に響かせ始めた。

 美国・翠華(生かされる屍・f15133)は麻布の包帯で全身を覆いながら、川辺を散策していた。
 その手に持つのは、菊の華の形の灯篭。
「まだ所々が痛いままだけど、寝てばかりはいけない……。せっかくの慰霊祭、弔いの炎は必要ね……」
 美国は灯篭を流せる場所を探して川辺を歩き続けた。
 水草が生い茂った川の中流付近では、様々な形の灯篭に火が灯り、水の上を滑るように美国の視線の外へ通り過ぎてゆく。
「今でも、信じられない……」
 美国は自分の右手から肩までを月明かりに照らす。
 先程まで裂傷だらけだったそれは、今はもうすっかり元通りになっていた。
「これが、猟兵の力……私の中のUDCが、与えた力……」
 美国はふとフラッシュバックする。
 自分が猟兵、そしてUDC組織のエージェントとして覚醒するまでの記憶の一部始終を。
 ある日、地元の不良集団に連れ込まれ、美国は尊厳も希望も、そして事が済んだらゴミのように捨てられたことによって命すらも奪われた。
 しかし、そうはならなかった。
「……私もきっと、元々はこの中の炎のひとつになっていたはずだった……」
「これ、そこの娘? 身投げは感心せぬな」
 そこへ上泉が『動物の形をこしらえた黒い紙の切り絵を貼った灯篭』を携えて小走りで近寄ってきた。
「ん? 誰かと思えば、先刻の戦いで面妖な姿で暴れていた、ええと……」
「翠華。美国・翠華……、それが私の名前……」
「翠華殿か、良き名だ。しかし、やれやれだ……何やら不穏なことを口走っておったようだし、あのような戦い方をする者を見るとジジイは心配になるのでな。よもやと思ったが」
 眉尻を下げて顎の下に右手を添える上泉に対して、美国は思わず苦笑い。
「はは……、ご心配なく。私、死ねないんで……」
「それってどういう事かしら? ああ、私は水心子作、銘は静柄。脇差のヤドリガミよ。よかったら、詳しく聞かせてくれないかしら、翠華?」
 上泉に同伴していた静柄が尋ねた。
 すると、美国は流れゆく灯篭を眺めながら問いに答えた。
「……私は一度、死ぬはずだった。でも、偶然、その場を通りかかったUDCに身体を勝手に使われ融合された結果、私が再び死に瀕しても体内のUDCが身体の修復を無理矢理行うの……」
「なるほど、ならば斬るか?」
 上泉の手が愛刀の柄に添えられるのを見た美国が慌てて首を振る。
「大丈夫、平気よ!? ……状況はどうあれ、私は生かされて此処にいる……。なら、私は“生かされる”のではなく、これからは精一杯“生きる”わ……」
「体内にUDC、ね。似たような猟兵を知っているけど、うまく付き合ってゆくしかないのでしょうね?」
「上手ク付キ合ウ、ダト?」
 突然、美国の口調が荒々しいものへと変化した。
 体内のUDCが美国の自我を押しのけて表へ出てきたのだ。
「勘違イスルナヨ? このカラダハ、オレノモノダ! オレガイナケリャ、コイツハ今ゴロ死ンデオタゼ!? ツーカ、コンナ祭リ、クダラネー! オレハ悲鳴ガ流レル血祭リガ見タイゼ!」
「へぇ、血祭ね? 私と信久がそれを許さないと思うけど?」
 上段に構える鞘入りの脇差、グラウンドクラッシャーの構えだ!
 これにUDCは腰が引けて命乞いをする。
「オ、落チ着ケヨ、美人ノネーチャン……! ヤメテクレ、猟兵ニ殴ラレタラ、流石ニ俺ハ死ンジマウ……! ツマリ、翠華モ死ヌゼ!? コノ人デナシ! 鬼! アクマ!! イェーガー!!!」
「UDCのアンタに言われたくないわね。死にたくないなら翠華の中で大人しくしなさいよ、まったく……」
「静柄殿の仰る通り。猟兵の身体に取り入ったのが運の尽きだったな、くくく……」
 静柄は呆れ返り、上泉は愉悦と言わんばかりに笑いを堪えていた。
 UDCは一瞬、悔しそうな表情を浮かべた後、突然、美国は叫んだ。
「出てこないで……! この体と心は、私のものよ……!」
 毅然とした意志と態度で、UDCを抑え込んだ。
「……驚かせてごめんなさい。今はただ、静かに祈りたいの」
 美国が足早に立ち去ろうとしたとき、歌が、聞こえてきた。

 エウトティアの鎮魂歌は、いつしか宿場町の人々を集めて聞き入らせていた。
 その歌はサムライエンパイアにはない、異世界の戦慄と歌声であった。
「野よ、空よ、海よ、風よ、太陽よ、そして我らの神、大いなる精霊よ……! 彼らがゆくべき道を示したまえ……! そして、この地で斃れた英霊たちの魂を、どうか大いなる意思の元へ還し給え……!」
「あら、いい歌声ね」
 様子を見に来た静柄も目を閉じて聞き入っている。
「なんだか、心が軽くなってゆくわ」
 美国は自然とエウトティアの歌声に耳を澄ましていた。
「ほう、これは趣深い……」
 上泉も思わず唸るほどの美声である。
「……ふう、わしらの流儀じゃが慰めになるじゃろうか? って、なんで人が集まっておるのじゃ!?」
「素晴らしかったよ、エウトティア!」
 琥珀川が拍手をすれば、周囲もつられて拍手の花が咲く。
 エウトティアは恥ずかし気に一礼をしたのち、猟兵たちと合流を果たす。
 そして、5人は一斉に河辺から灯篭を浮かべて流した。
 5つの灯りは、まるでこの依頼で生まれた絆のような眩い光を放っていた。
「ねぇ、また会えるかな?」
 琥珀川の言葉に、他の4人は静かに頷く。
 いつか、再び巡り合って共闘できる日を願って、彼らは今一度、亡き者たちへの慰霊の祈りを捧げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月10日
宿敵 『辻斬り『花簪のおりょう』』 を撃破!


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア


30




種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はガイ・レックウです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト