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キセキの星の物語

#アックス&ウィザーズ #群竜大陸 #勇者 #勇者の伝説探索


 アックス&ウィザーズの辺境に、とある街がある。
 その街の名産品は、近くの鉱山から産出される水晶や鉱石、原石の加工品で、中には遠くからわざわざ買い付けにやって来る大商人もいるほどだ。
 さらに、その街では毎月、街を緩やかに流れる川に売り物にならなかった裸石を撒き、希望者が自ら川に降りて、裸石を掬い採るという催しがある‬。
 採った石を川の水と共に小瓶に詰め、願いを込めると――その願いが叶うらしい‬、という言い伝えがあり、毎月盛況らしい。
 石が撒かれた川はまるで虹色の星が降ったように七色に煌いて、その光景を見ているだけでもきっと飽きることはない。
 ――そして、この街は、勇者が生まれた街でもあると言われている。
 街の市場通りを歩けば、すぐに見つけられるだろう。水晶や色とりどりの天然石、宝石のアクセサリーや原石がずらりと並ぶ露店の他に、勇者の活躍を描いた絵画やタペストリーや、これも勇者のモチーフが散りばめられている衣類、おもちゃ、雑貨類、などなどが並んでいるのを。
 ――曰く、勇者が旅立つ時に身につけたルビーのお守り。それは、勇者の絶対絶命のピンチから救ってくれたのだとか。
 ――曰く、勇者がこの街を旅立つ時に使ったマント。それはあらゆる災厄から勇者を守ったものであるとか。
 街中には勿論、勇者様の像が建てられて、その眼差しはいつだって優しく人々の生活を見守っている。
 古の伝説にその名を刻んだ、数多の勇者のひとりが生まれたとされる街。
 豊かな森の恵みと輝石の守りに抱かれたその街の名は、ラフィーナという。

●キセキの星の物語
「勇者伝説に興味がある人、あつまれー!」
 グリモアベースの一角で、キトリ・フローエがいつものように小さな体から拡声器越しに声を響かせる。
「あのね、アックス&ウィザーズのラフィーナという街で、ちょっとした催しがあるの」
 曰く、“輝石の星掬い”――加工しても売り物にならない原石や鉱石の小さな欠片を川に流し、それを自分の手で掬って集める催しなのだとキトリはいう。
「それでね、その街は、本当か嘘かはともかくもどうやら勇者が生まれた街でもあるらしくて。皆には……せっかくだからこの星掬いを楽しみつつ、“勇者の伝説”を探してほしいんだけど、お願いできるかしら?」
 最近アックス&ウィザーズに向かう猟兵たちを賑わしている、“勇者の伝説”についてキトリは語る。
 帝竜ヴァルギリオスと共に蘇ったという、未だ所在の掴めない“群竜大陸”。もしも帝竜ヴァルギリオスがオブリビオン・フォーミュラだとするならば、大陸の発見は必須。
 そこで、かつて群竜大陸に渡ったという“勇者の一行”の痕跡を探すことが求められており、その手がかりのひとつが、猟兵たちがこれから向かうことになるラフィーナにあるかもしれないのだという。
 輝石の星掬いのお祭りで賑わう街中では、随所に出店が軒を連ねており、どれも勇者の好物と曰くのついた串焼きやソーセージ、氷菓子などを楽しめるだろう。丸い芋の実を皮ごと蒸してバターの欠片を乗せたものや、クセのある味が(人によっては)病み付きになるという薬草のスープ、琥珀の蜜をたっぷり垂らしたミルクも、もちろん勇者様の大好物だ。
 星掬いそのものに参加しなくとも、街を見て回るだけでもいろいろと楽しめるだろう。それこそ、どれも一点物のアクセサリーを探してみるのも悪くない。

 今は小さな一歩にしかすぎなくとも、皆の力で勇者たちが残した痕跡を辿っていけば。
 いつかは、未だ所在の掴めない『群竜大陸』に辿り着く日も、そう遠くはないかもしれない――。


小鳥遊彩羽
 ご覧くださいましてありがとうございます、小鳥遊彩羽です。
 今回は『アックス&ウィザーズ』でのシナリオをお届け致します。

●シナリオの流れと補足など
 第1章:『輝石の星掬い』(日常)
 第2章:『???』(冒険)
 第3章:『???』(集団戦)
 となっております。

 第1章及び第2章において、【POW】【SPD】【WIZ】の判定はあくまでも一礼です。
 特に気にせずやりたいことに対してプレイングを掛けて頂いて大丈夫です。

●第1章について
 時間帯は午前中。ラフィーナの街で開催されている輝石の星掬いのお祭りを楽しむことが出来ます。
 掬う宝石については、ご自由に指定していただいて大丈夫です。
 街の人々は皆気さくで、話し好き。宝石すくいの他にも、買い物したり、食べ歩きしたり(メニューはいっぱいありますので、お好みのものをどうぞ)、などなど、街での一時を思い思いに楽しんで頂けたら幸いです。
 伝説の調査は必須ではありません。お祭りを楽しむだけでも大丈夫です。勿論調査する旨のプレイングを掛けていただくのも問題ありません。
 なお、買い物などをしてもアイテムの自動発行はありません。
 また、日常パートですがキトリの同行はありませんので、併せてご了承下さい。

 ご一緒される方がいらっしゃる場合は【お相手の名前(ニックネーム可)とID】もしくは【グループ名】をご記載下さい。
 なるべく多くの方を描写できるよう頑張りますが、ご参加いただく人数によってはプレイングに問題がなくともお返しする可能性があります。
 シナリオの進行状況、及びプレイングの受付などにつきましては、個人ページにて随時ご案内させて頂きますので、ご確認頂ければ幸いです。

 以上となります。どうぞ宜しくお願い致します。
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第1章 日常 『輝石の星掬い』

POW   :    地道にザルを使って宝石を浚う

SPD   :    希望の宝石に狙いを定めて採る

WIZ   :    宝石のありそうな場所を予測して採る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
真幌・縫
お祭り話を聞いただけでワクワクだなー。
『輝石の星掬い』も素敵だし勇者の出身地ってのもとっても興味深い!
裸石っていっても宝石だもん綺麗なんだろうなぁ…。
アクセサリーはぬいのよりもサジ太に似合う物があったら買っちゃいそう。


ここが『輝石の星掬い』の会場かな?
よーし!頑張って拾うぞー!
サジ太は川に落ちたら大変だから川岸で誰かに預かってもらおうね。

綺麗なお星様みたいな石。キラキラして綺麗だなぁ。ぬいは何色の宝石でもいいんだ拾ったその石と縁があったってことだから大事にしたいな。

アドリブ絡み歓迎です♪



 お祭りの話を聞いただけでも、真幌・縫の胸はわくわくとときめいていた。
 輝石の星掬いも、名前から既に素敵だし、このラフィーナの街が伝説の勇者の出身地であるということも、とても興味深く。
(「裸石っていっても宝石だもん、きっと綺麗なんだろうなぁ……」)
 名産品だというアクセサリーを探してみるのも、きっと楽しいに違いないだろう。とは言えアクセサリーは自身のものよりも、いつも一緒にいる灰色の翼もつ猫のぬいぐるみ“サジ太”に似合うものがあったら買ってしまいそうだと、あれこれ楽しげに想像を巡らせながら歩いていた縫は、やがて喧騒の中にも緩やかに川が流れる音を耳にすることになる。
「ここが“輝石の星掬い”の会場かな? よーし! 頑張って拾うぞー!」
「おや、君も参戦かい? 水の流れは急ではないけど、足を滑らせないように気をつけて」
 縫の声に、傍らで輝石の星掬いを眺めていたらしい街の青年が声を掛けてくれた。
「うん、あっ、お兄さん! 川に落ちたら大変だから、サジ太を預かっててほしいんだ」
 お願いできるかな、と首を傾げれば、青年はなるほどわかったと二つ返事で頷いて。
「僕がしっかり見ているから、安心して行っておいで」
「ありがとう! 頑張ってくるねー!」

「……綺麗なお星様みたいな石。キラキラして綺麗だなぁ」
 かくして、サジ太と青年に見送られながら一人川に入った縫は、たくさんのきらきらした石の中からたった一つを掬い上げる。
「これは、……空の色?」
 縫の手の中には、空の青に緑を少し混ぜたような、アマゾナイトの石が一つ。
 自分の手で拾ったこの石こそ、縁があったもの。縫は柔らかく笑って、手の中の小さな天河石をそっと握り締めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バレーナ・クレールドリュンヌ
●アドリブ&絡みOKです

【WIZ】

「輝石……?」

水に尾鰭を揺らしながら、
小さな輝石を拾い上げて、表情は翠玉の瞳に映ります。

「きらきらしてる。あの人は気に入ってくれるかしら……?」

親愛なる人(フレンドのエリシャさん)を想いながら、ぎゅっと輝石を握りしめて、宝石のお店へ。

桜という淡い桃色の花の似合うあの人らしい宝石を探しましょう。
輝石の持つ意味を教えてもらうたびに、想うのはあの人のこと。
そして、私の想いがあの人の世界にひとつの差し色のようになれば、私にとってそれは何よりの贈り物になるわ。

「綺麗な輝石……こうして色を宿すのは素敵なことね」
ほのかに燈る、色彩への情景に、優しい歌を紡いで。



「輝石……?」
 澄んだ水の流れに真珠の色のような淡い色彩の尾鰭を揺らしながら、バレーナ・クレールドリュンヌは白い指先で拾い上げた小さな輝石を翠玉の瞳に映す。
(「とても、きらきらしてる。あの人は気に入ってくれるかしら……?」)
 瞼の裏に浮かぶ、親愛なるひと。拾った輝石をぎゅっと握り締め、バレーナは次に近くに軒を連ねる宝石店へ訪れる。
「いらっしゃいませ、美しい人魚の冒険者様。何か、お探しでしょうか?」
 店内に満ちる、川に降り積もった星よりも目映い煌めきに翠玉を煌めかせながら、バレーナは店主の女性に勧められるままふかふかのソファに腰を下ろし、早速要望を伝えるのだった。
「桜という、淡い桃色の花。それが似合う方に相応しい宝石を、探したいの」
「桜……」
 バレーナが告げた単語を、確かめるようになぞる店主。やはりこの世界には、桜は馴染みがない花であるらしい。けれども色が伝わっていれば情報としては十分だった。少しお待ち下さいね、と丁寧に礼をして、店主はショーケースの中からいくつかの石を見繕って持ってくる。
「淡い桃色というと、こういうお色ですか?」
 店主が持ってきたのはローズクォーツのネックレスと、似たような色合いながらより透明感があるピンクカルセドニーのブレスレット。それから、モルガナイトの指輪や耳飾りに、他にも、希望すれば様々な桜を思わせる石や、桜に似合う色合いのアクセサリーを見せてくれることだろう。
 それぞれの石が持つ意味を一つ一つ教えてもらう度に、バレーナが想うのは唯一人。
 この想いが“あの人”の、世界にひとつの差し色のようになれば――それはバレーナ自身にとっても、何よりの贈り物になる。
 それに、こうしてあの人を想いながら宝石を探すこの穏やかな時間さえも、愛おしい。
「どれもとても、綺麗な輝石……こうして色を宿すのは、とても素敵なことね」
 ほのかに燈る、色彩への情景に――バレーナは優しい歌を紡ぐ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロー・オーヴェル
ある意味『おこぼれ』なのかもしれないが
こういう『おこぼれ』なら大歓迎だぜ

それにソイツを川に撒く事によって
街の観光の一つにもしている

「加えて勇者の存在も、か。いやはや、商売人っつーのは……たくましいねェ、ホント」


俺は露店巡りして勇者について聞いてみよう
勇者の生い立ちや生家の場所
街に残っている勇者伝説について等

その際は相手の機嫌が悪くならぬ様留意し
財布と相談して物も買い食べたり飲んだりして聞き込み

まぁ一人で調査しても限界がある
後で他の奴らにも聞いて色々纏められたらいいが

それにしても『輝石の星掬い』とは
なかなかしゃれたネーミングだ

それじゃその星に願っておくか
無事に今回の仕事も終わりますようにってな



 それは、ある意味“おこぼれ”なのかもしれない。
 だが、こういう“おこぼれ”なら大歓迎だと、ロー・オーヴェルは橋の上からプリズムのように煌めく川を見つめて笑う。
 本来なら何にもなれなかったはずの“おこぼれ”を川に撒くことによって、街の観光の一つにもしているし、何より――。
「加えて勇者の存在も、か。いやはや、商売人っつーのは……たくましいねェ、ホント」
 けれどそれこそが、この辺境の街で生きる人々が生きるために培ってきた逞しい知恵の結晶のようなものだ。無論、この結晶は目に見えるものではないけれど、人々の心の中で確かな輝きを放っていることだろう。
 輝石の星掬いで賑わう川から離れたローは、すぐ側の露店や屋台が並ぶ通りに足を向ける。するとすぐに屋台の店主が気さくに声を掛けてきた。
「いらっしゃい、冒険者さん! 歩き疲れたろう? 今なら勇者様の妹君が好きだったペッシェっていう果物のジュースがあるよ!」
 何と勇者本人ではなく、妹の好物まで商売のネタになっている。
「そうだな、ちょうど喉も乾いたし、一つ貰おうか。……ところで、少し聞きたいことがあるんだが。あ、ついでにその串焼きも一つ」
 無論“タダ”で情報を得ようとするようなローではない。ペッシェのジュースは桃の風味がするので、そのまま桃のジュースなのだろう。タレの染み込んだ熱々の串焼きにはちょうどいい控えめな甘さと冷たさだ。
(「寧ろこれは酒が欲しくなるな……いや、」)
 浮かんだ誘惑を一先ず振り切り、ローは本題を切り出した。
「まあ、既に聞かれてるかもしれないが、この街に伝わる勇者の伝説について調べてるんだ。だから何か知っていることがあったら聞かせてほしい」
 例えば勇者の生い立ちや生家の場所。街に残っている伝説についてなど――。
 一頻りこちらの要望を伝えると、店主はなるほどなあと頷いてみせる。
「俺はこの街で商売を始めて長いほうじゃないから、詳しくはわからんが……勇者様の生まれた家は、ここからだと少し距離があるが、そのまま勇者様の家として一般に公開されてるらしいぞ」
「……なるほど、いい情報をありがとさん。これ美味いからもう一本」
 ローは礼の代わりに串焼きをもう一つ追加し、通りを離れる。
 宛てもなく歩き始めてから――肝心の“勇者の生まれた家”の場所そのものを聞いていないことに気づいたが――。
(「……ま、なんとかなるか」)
 特に困ることもない。街の地図などは探せばいくらでも見つかるだろうし、有名な場所ならば案内もあるだろう。
 けれど、一人で調査をするのはどうしても限界がある。
 幸い、現地には他に多くの猟兵たちが足を運んでいるはずだから、後で話を聞いて纏めてみるという手も悪くはないはずだ。

「それにしても“輝石の星掬い”とは、なかなかしゃれたネーミングだ」
 見上げる先には青い空。その向こうに隠れている星は、まだ見える時間ではないけれど。
 再び川へと視線を向ければ、早速“星”を掬っている街の人々や、冒険者――猟兵と思われる者たちの姿が目に入る。
 ローは楽しげな笑みを浮かべて踵を返し、雑踏へ紛れていった。
「――そうだな、折角だから星に願っておくか。無事に今回の仕事も終わりますようにってな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーチス・カーライル
アドリブ・絡みOK

わぁ、面白いお祭りね!
あたしはジンクスとかは信じない質だけれど…きれいな景色は好き!
きっとキラキラしててとっても綺麗だもの、楽しそうだわ!

うーん、氷菓とか出店も魅力的だけど、せっかくだから『星掬い』に参加してみようかな。
いっぱいとってもいいのかしら…でも、それはちょっと無粋かな。
小瓶に入るだけの宝石を少しだけいただこうかしら。出来れば色とりどりの、キラキラしてるやつが良いなぁ!狙いを定めていざ星掬い!

願いを込めることはないけれど、大切に持っていようと思うわ。
綺麗な景色を忘れないように、ね!



「わぁ、面白そうなお祭りね!」
 会場へと続く道すがら、目に入ってくる案内や誘惑の数々に、アーチス・カーライルの紫の瞳が輝く。
 ジンクスのようなものは元より信じていないアーチスだけれど、それがもたらす綺麗な景色があるというのなら、それは別腹だ。
(「きっとキラキラしててとっても綺麗だもの、楽しそうだわ!」)

 氷菓や出店も魅力的ではあるけれど、せっかくだからとアーチスが選んだのは輝石の星掬い。
「ところで、これ、いっぱいとってもいいのかしら……でも、それはちょっと無粋かな」
「好きなだけ取っておいでよ、お嬢さん、せっかく遠い所からはるばる来てくれたんだろう? この祭り、この先しばらく出来ないかもしれないからね」
 アーチスの独り言に、見物に来ていたらしい恰幅の良い主婦が答える。何気なく聞き流していたアーチスではあったが、不意にぱちりと目が瞬いた。
「……えっ!? じゃ、じゃあ、小瓶に入るだけの宝石を少しだけいただくわ……!」
 そうと決まればいざ星掬い。アーチスは色とりどりのキラキラした小さなさざれ石を選んで掬い上げ、手にした小瓶に川の水と一緒に詰め込んでいく。
 陽の光に透かせば、万華鏡のように混ざり合う煌めきに、アーチスは満足げに頷いた。
 願いを込めることはないけれど、大切に持っていよう。
 ――この綺麗な景色を、これから先も忘れることがないように。

(「でも……しばらく出来ないかもしれないって……?」)
 ふと思い出したようにその意図を訪ねようとさっきの主婦を探そうとしたアーチスだったが、ただでさえ大勢の人が集まっている会場では、再び探すことは難しかったようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と一緒に

わぁ、星掬いですか。とても素敵ですね……!
どんな星……宝石が採れるか、とても楽しみです
レインブーツに履き替え川に入って
ザルを使ってさくさくと浚っていきましょう
さまざまな色合いの宝石が採れたなら喜び
この透明な石は、ザッフィーロ君の瞳の色にそっくりで
こちらの藍色の小石は御髪のようだ

そうしていると、ひとつの小石が目に留まり
これは……綺麗な青紫色ですね
濃紫のようで青紫にも映る……素晴らしい星です
僕はこれにしましょう

ザッフィーロ君のそれは……えぇ、まぁ……
はい、たくさんお土産にしていきましょう
どんな小物に加工しようか、胸が躍りますね


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵(f02925)と共に
宝石…か
元が蒼玉の指輪故、宝石に触れるのはとても落ち着くな

ブーツを脱ぎズボンを捲りつつ川へ
未だ少し冷たいが…宝石への期待故、余り気にならないのが不思議だ
笊にすくい上げた宝石を見れば感嘆の声を
本当に色々な種類の宝石がとれるのだな
この黒く光る黒水晶は宵の髪の様だが…
笊の中に青紫ながらも太陽光に反応し赤みを帯びる石を見れば手で摘まみ上げる
変色性のある…俺と同族のサファイアだろうそれを見れば、俺はこれをアクセサリーにするかとそう声を
少し宵の瞳に似ているが…まあ、言わんで良かろう
宵の方も沢山取れた様で何よりだ
他の小石も土産に持って帰れるのだろう?…沢山取れると良いな



「わぁ、星掬いですか。とても素敵ですね……!」
 逢坂・宵は早速レインブーツに履き替えて、準備万端。“星”――もとい、宝石を探すべく、川の中へ。
「宝石……か」
 元がサファイアの指輪であるザッフィーロ・アドラツィオーネにとっては、宝石はそれ自体が心に安らぎを与えてくれるものだ。
 そしてザッフィーロもまた宵に続き、ブーツを脱ぎズボンを捲りつつ川へと。
 季節はだいぶ春めいて暖かくなっては来たけれど、川の水はまだ少し冷たい。
 けれど未知の輝きへの期待ゆえか、それすらもあまり気にならないのは、少々不思議な心地がする。
 傍らでは宵が楽しげに、笊を使ってざくざくと川底の小石を浚っていて、それを横目に見やりつつ、ザッフィーロも笊を水底に潜らせる。
 掬い上げた砂の山も、笊を揺らして細石を篩い落とせば、後に残るのは色づいた小さな石の数々。
「……本当に色々な種類の宝石が採れるのだな」
 思わず感嘆の声を零すザッフィーロに、宵が嬉しげな笑みを覗かせながら自らの笊を示した。
「見て下さい、ザッフィーロ君。この透明な石はザッフィーロ君の瞳の色にそっくりで、こちらの藍色の小石は御髪のようだ」
 宵が見つけた色は、確かに馴染みのあるもので。微かに瞳を細めて頷きながら、ザッフィーロも手元の笊が拾った色を見せる。
「この黒く光る黒水晶は宵の髪の様だが……どうだろうか」
 そうして、ふと手元に視線を落としたザッフィーロは、色とりどりの石の中に青紫ながらも太陽光に反応し赤みを帯びる石を見つけ、指先でそっと摘み上げる。
 変色性のある、おそらくは自身と縁の深いサファイアであろうその石を光に翳し、ザッフィーロは小さく頷くと、
「俺はこれをアクセサリーにするか」
 すると、石を見た宵が目を瞬かせ、
「ザッフィーロ君のそれは……えぇ、まぁ……」
 その反応を見て、言わなくとも良いだろうとザッフィーロは思う。
 手の中にあるサファイアが、少しだけ宵の瞳の色に似ているということを。
 心なしか慌てたように宵も笊へと視線を戻し、不意に目を瞬かせた。
「これは……綺麗な青紫色ですね。僕はこれにしましょう」
 濃紫のようで青紫にも映る、綺麗な青紫色の星。
「宵も気に入りの物が見つかった様で何よりだ。他の小石も土産に持って帰れるのだろう?」
「はい、たくさんお土産にしていきましょう。……ふふ、さあ、まだまだ見つけませんとね」
 形も色も様々な、たくさんの星。どんな小物やアクセサリーに加工するか、想像して胸を躍らせながら、宵は再び石を探し始め。
「そうだな、沢山採れると良い」
 ザッフィーロも瞳を細めて頷き、新たな色を見出すべく砂礫へと手を伸ばすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

英・明夜
明夜も星掬い、してみるね。
わあ、凄い!
本当に、星が降ったみたいだねえ。夜のお空みたいに、キラキラ!

言い伝え通りに、小瓶を用意して。
…うん、この出会いも、きっとご縁だから。
選ぶんじゃなくて、「こっち!」って、ピンと来た場所で、ザルを潜らせてみるね。
透き通った石も、蝋を溶かしたみたいな石も、どれも可愛くて綺麗。
えへへ、小さな星さん達、こんにちは。お願い事が叶うように、力を貸してね。
お願い事はね。家族の皆が…、…ううん。
みんなみんな、元気で、笑顔で居られますように!

勇者伝説とは関係ないかも知れないけど、気になるな。
この言い伝えと、勇者が生まれたのと、どっちが先なのかな。
勇者も、掬ったりしたのかなあ。



「――わあ、凄い!」
 夜のお空みたいにキラキラして、本当に、星が降ってきたみたい!
 英・明夜は言い伝え通りに曇りなくぴかぴかに磨かれた硝子の小瓶を用意して、借り受けた笊を手にいざ、川へ。
 頑張れー! と街の人々――特に大人たちからの声援がちいさな明夜に惜しみなく注がれる。その想いに勇気づけられながら、明夜はキラキラ煌めく水面を見渡した。
「……どの石も、きっと、とっても綺麗だけど」
 この“出逢い”も、きっと縁。だから、自らの手で選ぶのではなく――、
「――こっち!」
 明夜は自身の直感のみを頼りに、ぴんと来た場所に笊を潜らせた。
 色のない川底の砂礫に混ざってちらほらと顔を覗かせる様々な色に、明夜は目を細める。
 透き通った石も、蝋を溶かしたみたいな石も、葡萄の粒のような黄緑色の石も、明夜の瞳の色にどことなく似ている石も、どれも可愛くて綺麗で。
「えへへ、小さな星さん達、こんにちは。お願い事が叶うように、力を貸してね」
 澄んだ川の水と一緒に小瓶の中に収めてから、明夜はそっと、石たちに願いを込めた。
「……お願い事はね、家族の皆が……、……ううん」
 言い掛けて、小さく首を横に振り、それから、手の中で揺れる石たちだけに届くような小さな声で、そっと。
 ――みんなみんな、元気で、笑顔で居られますように!

 星掬いを無事に終え岸に戻った明夜を、見物していた街の大人たちが出迎える。
 ほら足をお拭きよと快活に笑うエプロン姿の女性からタオルを受け取り、ありがとう、と明夜は花咲くような笑みで応えて。
「お疲れ様、お嬢ちゃん。素敵な石に出逢えたかい?」
「うん、ありがとう、おばさん! ……あっ、」
「……ん、どうかしたのかい?」
 そういえば、と明夜は目を瞬かせ、気になった疑問をそのまま口にする。
「あのね、……この星掬いの言い伝えと、勇者が生まれたのと、どっちが先なのかな。勇者も、こんな風にお星様を掬ったりしたのかなあ」
「さあ、どうだろうねえ、……でも、勇者様はこの川で遊ぶのも大好きなくらいには、やんちゃでお転婆な子だったと聞いているよ」
 魚だって容易く素手で掴み取りするくらいにね、と、女性がぐっと拳を何かを掴むように握ってみせた。
「そっかあ……」
 話を聞いて、明夜はもう一度川を振り返る。
 例えば、たくさんの色鮮やかな煌めきの中で遊ぶ“誰か”の姿。あるいは、そこに輝石の色はなかったかもしれないけれど――。
 それが何気ない日常の風景として見られた日も、いつか、確かに在ったのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カナカナ・リッタリア
【SPD】大好きな赤の宝石をとりたいなぁ

すごいすごい、川がキラキラ輝いて、とっても綺麗!
街の人に声をかけて一緒にお話しながら宝石を拾おう

ね、僕と一緒に、赤い宝石探してくれる?

小首を傾げて【誘惑】、なんてね
赤い宝石と言えば、ルビーかなぁ?
噂で聞いた勇者のお守りもルビーだったよね
どんなエピソードがあるのかな、知ってたら教えて欲しいな
この川の中からも、同じルビーを見つける事ができるのかなぁ

そういえば、お祭りの出店は勇者の好物を売ってるって聞いたけれど
なんだか可愛らしい好物が多いね
どんな人柄だったんだろう?知ってるかな

話をしてたらお腹が空いちゃった
良ければ出店巡りも付き合ってくれるかな?



 ――欲しいのは、大好きな赤。

「すごいすごい、川がキラキラ輝いて、とっても綺麗!」
 カナカナ・リッタリアは色鮮やかな翅で空を飛びながら、楽しげに声を弾ませる。
 その、傍らで。
「赤い宝石を探せばいいんだな?」
 カナカナに確かめるように問いかけるのは、先程カナカナが誘惑――もとい、協力をお願いした街の青年だった。
「うん、赤い宝石と言えば、ルビーかなぁ? この街に伝わる勇者のお守りも、ルビーだったよね。どんなエピソードがあるのかな、知ってたら教えて欲しいな」
「お嬢さん、よく知ってるなあ。そう、勇者様がこの街を旅立つ時に身につけていったのが、ルビーなんだ。お母さんの形見のブローチだったかな、確か」
「お母さんの、形見……優しい子だったんだね」
 カナカナの口から零れた率直な感想に、青年はああ、と嬉しげに頷いてみせる。
「優しくて、強いひとだったらしいよ。何でも子供の頃から近所の子たちのリーダーだったらしいし。細い身体で身の丈くらいのウォーハンマーをぶんぶん振り回してたって話が強烈で……」
「何それ面白い。ねぇ、もっと聞かせて?」
 他愛ない言葉を交わしながら、カナカナは青年と二人、たくさんの煌めきの中から赤い色を探し拾い上げていく。
 これは赤いの、これは少しピンク、これは赤と緑が混ざったもの――見つかる石はその全てが形も色合いも違っていて、それはそれで面白くもあって。
「……この川の中からも、勇者が持っていたのと同じルビーを見つけることができるのかなぁ?」
 願うようにぽつりと溢れた呟きに、青年が少しだけ寂しげに眉を下げ、手元の赤い石に視線を落とす。
 この裸石もきっと磨けば美しい輝きを見せてくれることだろう。けれど、
「さすがに同じものは無理だろう。勇者様は最期まで、ブローチを身につけていたはずだから。ああ、でも、複製品なら勇者様の家に展示されているよ」
「……勇者様のお家、まだ残っているの?」
「ああ、建て直しはされてるけど、一般公開されてる。……そっちも気になるかい?」
 ――気にならないはずがない。こくこくこくとカナカナは頷いて。
「うん、すごく気になる。あと、勇者の好物も色々と食べてみたいな。なんだか可愛らしい好物が多いよね」
「そうだな、豪快なひとだったけど、やっぱり女の子だから。可愛いものはそれなりに好きだったんじゃないかな。よし、じゃあ勇者様の好物、食べに行こうか」
 ついでに家も案内するよと、何だかんだで青年は、カナカナの誘惑にやられていたのかもしれない。

 ――勇者は細身で身の丈くらいのウォーハンマーをぶんぶん振り回すような、優しくて強くて、可愛いものが好きな女の子。らしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
【いつもの】
ラッカさん(f15266)穂結さん(f15297)。
勇者伝説、ひいては群竜大陸に関する調査です。
観光ではありませんからね。

…星掬い、やりたいんですか?
確かにラッカさんの場合は旅の思い出になるでしょう。
天の川を引き降ろすとこんな具合でしょうか。

あとは市場や露店巡りですか? いつもの流れだと。
人が集まる場所は情報が集まる場所です。
『聞き耳』で有為な話題を拾う努力はしてみましょう。

穂結さん。今「加工紙」って言いました?
鉱石の街ならストーンペーパーのようなものでしょうか。
それならあるだけ買いますよ。あまり手元にないので。
この世界のものなら色や質感や種別にも期待できそ

…目的なんでしたっけ?


ラッカ・ラーク
【いつもの】
ユーダチ(f14904)とカグヤ(f15297)と!
綺麗なモンは見に行きたいだろそりゃあ。
旨そうな匂いと輝く宝石、目にも舌にも楽しいな!

たぶんカグヤは食べ歩きだよな?
オレは折角だし星掬いに参加したいね。
願うことは…今は無いことにしよう。
こういう平和な時間がありふれたものでありますように、なんてな。内心でだけ。

装飾の類も見に行こう。『野生の勘』がいいモノや情報探しに役立ってくれるさ。
買い物がてら、ここの勇者ってのはどんなヤツだったんだ? とか聞いてみようかね。本題だ。
勇者伝説も色んなところにあるが、ホント色んな勇者がいたんだな。聞いてて飽きないぜ。三人旅も楽しいしなあ。


穂結・神楽耶
【いつもの】
矢来様(f14904)とラーク様(f15266)と。つまりいつもの顔ぶれで勇者伝説の調査に参りました。…ええ、調査ですよ調査。調査のためにもまず街に馴染まなければいけませんからね。寄り道は心の栄養です。

宝飾品の類も目を惹かれますが、それより良い匂いに心が惹かれます。こちらのお店は…ほほう、薬草のスープ?是非頂きましょう。こちらは氷菓子ですか。うららかな陽気の中で頂くのはたまらなく美味ですね。
もちろん情報収集は欠かしませんよ。店の方に伺いました、矢来様のお好きそうな加工紙のお店はあちらです。ラーク様、星掬いならあの辺りでたくさん掬えるそうですよ。折角の機会です、楽しみませんとね。



「勇者伝説、ひいては群竜大陸に関する調査です。何度も言いますが観光ではありませんからね、ラッカさん」
 矢来・夕立は今度こそとばかりに前をゆくラッカ・ラークの背中に視線を注ぐ。
「……ええ、調査ですよ調査。調査のためにもまず街に馴染まなければいけませんからね。寄り道は心の栄養です」
 隣を歩く穂結・神楽耶がさらっとしれっと言ってくれるものだから、夕立の目的はやはりそう簡単に果たされそうにない。
 ラッカはと言えば賑やかな街の音に色に、ついでに美味しそうな匂いにと忙しなく耳を目を、そして鼻を動かしながら、ようやく二人を振り返った。
「綺麗なモンは見に行きたいだろそりゃあ。旨そうな匂いと輝く宝石、目にも舌にも楽しいな! ……たぶんカグヤは食べ歩きだよな?」
「穂結さんならあちらに」
 と、答えが神楽耶本人の口から返るより、答えは出ていた。
 宝飾品の類にも目を惹かれていたのだが、それよりも神楽耶の心を惹いたのは鼻孔を擽るいい匂い。
「こちらのお店は……ほほう、薬草のスープ? 是非頂きましょう。こちらは氷菓子ですか。うららかな陽気の中で頂くのはたまらなく美味ですね」
 夕立の声に向こうを見やれば、いつの間にか屋台の前で足を止めて店主と話し込んでいる神楽耶の姿が。
「オレは折角だし星掬いに参加したいね」
 ラッカが零した呟きに、夕立は目を瞬かせて目の前を流れる川――輝石の星掬いの会場の方へ目をやった。
「……星掬い、やりたいんですか? 確かにラッカさんの場合は旅の思い出になるでしょう。天の川を引き降ろすとあんな感じでしょうか」
 橋の上から見下ろす川は、陽の光を浴びてキラキラと煌めいて。特に今日は様々な色の石が星のように散らばっているものだから、例えるならば、そう、天の川のような星の川にさえ思えてくる。
「ってことで、ちょっと行ってくるわ。迷子になるなよ?」
 楽しげな笑み浮かべ、ひらひらと手を振りながら川へ降りていくラッカの背に、夕立は憮然と声を投げかける。
「なりませんよ。お二人が戻るまでここにいます」
 夕立はもう何度目になるだろう溜め息を零し、二人が戻ってくるのを橋の上で待つことになった。

「ああ、ここにいらしたのですね。お待たせしました、矢来様。ラーク様は……あら、既に星掬いに参加されているのですね」
 程なくして戻ってきた神楽耶は、どうぞ、と夕立に氷菓子を差し出した。すぐに溶けないように氷の魔法が掛けられているのだという。
「ありがとうございます。……いただきます」
 目を合わせることなく差し出した手で氷菓子を受け取り、夕立は星掬いに勤しむラッカの背を追い掛ける。
 そのラッカはと言うと、いくつかの裸石を拾い上げて小瓶に収め、満足そうに頷いていた。
 願うことは声には出さず、心の中でだけ。
(「こういう平和な時間がありふれたものでありますように、なんてな」)

「ラーク様も楽しんでいらしたようで何よりです」
 小瓶を手に戻ったラッカを、無表情の夕立とおっとり笑顔の神楽耶が氷菓子と共に出迎える。
「あとは市場や露店巡りですか? いつもの流れだと」
 最早投げやりな夕立に、神楽耶が控えめに、そっと。
「それで、ですね、もちろん情報収集はして参りましたよ。先程の店の方に伺いました、矢来様のお好きそうな加工紙のお店はあちらです」
「穂結さん。今“加工紙”って言いました?」
 おや……? 夕立の目の色が変わったような……?
「鉱石の街ならストーンペーパーのようなものでしょうか。それならあるだけ買いますよ。あまり手元にないので。この世界のものなら色や質感や種別にも期待できそ、」
 一気に捲し立てた所で、はたと我に返る。
 ……目的、なんでしたっけ?

「さっきカグヤが気にしてたみたいだし、装飾の類も見に行こうぜ」
「ええ、参りましょう。素敵な宝飾品に出会えるといいですね」
 そう言って野生の勘を頼りに歩き出すラッカを、のんびりと返事をした神楽耶と我に返った夕立が追って歩き出す。
「この街の勇者はどんなヤツなんだろうなあ」
 きっとこの街の勇者の物語も、聞いてて飽きないようなたくさんの夢や希望に満ち溢れたものであるのだろう。道中で見かけた像は、見るからに凛々しい女性の姿をしていたが――。
(「三人旅も楽しいしなあ」)
 何とはなしにそんなことを思うラッカを先頭に、一行は宝飾品店の扉を潜るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パルピ・ペルポル
綺麗な物はずっと眺めていても飽きないわよね、ふふ。

せっかくだし輝石の星掬いに参加するわ。
この掬った輝石はそのまま持ち帰ってもいいのかしら。
可能ならばフェアリー用のアクセサリーに加工してもらおうと思って。
そういうわけで、小さくとも綺麗な宝石の原石を狙うわよっ。
勇者にちなんでルビーがあれば持って帰りたいところね。
…川の深さにもよるけど、何か掬う物借りないとね。

勇者の人となりも尋ねてみるわ。…結構尾鰭ついてるようでわかりづらいし(ぼそり)
どういう活躍をした人だったのかしら。
勇者として旅立つ前には何をしていた人なのかしら。
生家はまだ残っているのなら見学してみたいわね。



(「綺麗な物は、ずっと眺めていても飽きないわよね」)
 ふふ、と小さく笑って、パルピ・ペルポルはよし、と気合いも新たに拳を握る。
「せっかくだし輝石の星掬いに参加するわ。ねえ、お兄さん! ここで掬った輝石はそのまま持ち帰ってもいいのかしら?」
 パルピに声を掛けられた青年が、フェアリーの彼女を迷わず見上げ笑顔で頷く。
「勿論。拾った石はあんたのものだ。そのまま店に持って行きゃ、アクセサリーにだって加工出来るぜ。ほら、フェアリー用の小さめの笊もあるから使うといい」
「あら、ありがたく使わせていただくわねっ」
 フェアリーが多種族の者と同様に生きているアックス&ウィザーズならば、小さいフェアリー用の道具だって準備万端。
 小さな手に馴染む小さな笊を受け取り、パルピはいざ、キラキラ光る水面へと飛んでいく。
 ――そういうわけで。
「よーし、小さくとも綺麗な宝石の原石を狙うわよっ」
 やってみせるわと袖を捲り、砂礫に混じって煌めく色を見定める。
「勇者にちなんでルビーがあれば持って帰りたいところだけれど……さすがにピンポイントに狙うのは難しいかしら?」
 だが、よくよく目を凝らしてみれば、赤い色もいくつか見える。まずはそれに狙いを定め、パルピは笊でひとすくい。
 フェアリー用の小さな笊では、やはりそんなに多くは掬えない。
 だが、狙った赤い石がそこにあるのを見て、パルピは小さくガッツポーズ。
 他にもいくつか赤い石を掬ったパルピは再び岸へ舞い戻り、先程の青年に笊を帰すついでにさりげなく問い掛けた。
「さっきはありがとう、お兄さん。ところで、ついでに聞いてもいい? ……この街の勇者ってどういう活躍をした人だったのかしら?」
「活躍? そうだな、勇者として最後の戦いに参加したらしいってのは聞いてる。他にも……どこかの火山の山頂に棲んでた巨大な竜を一人でぶちのめしたとか?」
「なるほど、……やっぱり結構尾鰭がついてるみたいね」
 ぼそり、と溢れた独り言は、幸いにも青年の耳に届くことはなく。
「ねえ、それじゃあ……勇者として旅立つ前には何をしていた人なのかしら。あと、生家がまだ残っているのなら見学してみたいわ」
「確か鍛冶屋の娘とかじゃなかったか? 身の丈くらいのウォーハンマーをぶんぶん振り回して戦ってたんだと。そんで、生まれた家は一般公開されてるから、行くなら案内してやるよ。ついでに、その石、アクセサリーにするんだろ?」
 そう言って、青年はパルピを案内すべくその場を離れようとし。
「うん、ありがとう! 色々見てみたいわ、是非!」
 パルピははっと、慌てたようにその背を追って翅を震わせる。

 ――身の丈くらいのウォーハンマーをぶんぶん振り回して戦っていた、鍛冶屋の娘。
 どこかの火山の山頂に棲んでた巨大な竜を一人で討伐したという話も、案外、嘘ではないのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

君が私を連れ回してくれるなんて珍しいね
いつもと立場が逆転しちゃったみたい
もちろん!断るわけないでしょ?

宝石掬い、楽しそう!
……えっ?取ってくれるの?
俺は結構です、って真っ先に言われると思ってたのに
どうしたんだろう
今日のヨハンはなんだか行動的だなぁ
そんな疑問は口には出さずに、黄色い宝石を掬ってもらおうかな

色んなお店があって目移りしちゃうね
……?ヨハンはあっちのお店に用があるみたい
待ちがてら、単独で見て回ろう
あっ、これいいかも!
買うなら今のうちかな

香りにつられて買った2本の串焼き
はい、ひとつは君の分だよ
付き合ってくれるよね?
たまにはおいしいものを共有したいんだ


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

輝石の星掬い、か
あまりこうした祭りの類は好きではないんですけどね
ちょっと思うところがありまして……
普段色々連れ回されてますし、
今回は俺に付き合ってくれてもいいでしょう

宝石掬い、してみますか?
俺は川に入りたくないのでやりませんけど
……と普段なら言うところなんですが
欲しい色があるなら、それを取りますよ
黄色、か。水面に光る色を探して、掬って

石を手に、街中を歩きましょうか
アクセサリーの加工をしてくれる店を探します
彼女と少し離れて、頼むだけ頼みに行きましょう。一人で

戻ってみればその手には串焼き二本
よく食べますね……って、俺の分ですか
まぁ、偶にはいいか。ありがたく頂戴しましょう



「君が私を連れ回してくれるなんて珍しいね。いつもと立場が逆転しちゃったみたい」
「あまりこうした祭りの類は好きではないんですけどね。ちょっと思うところがありまして……」
 楽しげに肩を揺らすオルハ・オランシュに、ヨハン・グレインはいつもと変わらず素っ気なく。
「普段色々連れ回されてますし、今回は俺に付き合ってくれてもいいでしょう?」
「もちろん! 断るわけないでしょ?」
 二つ返事を彩る、満面の笑み。

 出店の並ぶ通りを抜けて、二人の足は、輝石の星掬いで賑わう川辺へと。
「欲しい色があるなら、取りますよ」
「……えっ? 取ってくれるの?」
 またまた予想外の反応に、オルハは若葉の瞳を丸くする。
 きっと川に入るのは嫌だろうから、てっきりいつもの調子で『俺は結構です』などと言われると思っていたのに。
(「……どうしたんだろう。今日のヨハンはなんだか行動的だなぁ」)
 別人とまではいかないけれど、いつもと少し違うヨハンの様子に、オルハは内心戸惑いながらもそれを口にすることはなく。
「じゃあ、お言葉に甘えて……黄色い宝石を掬ってもらおうかな」
「黄色、か。わかりました。そこで待っていて下さい」
 ヨハンの藍に染まった瞳が、水底に煌めく黄色を映し出す。

「ふふ、ヨハンはすごいね! こんなきれいな石をあっという間に見つけちゃうなんて!」
「まあ、これくらい何ということはないです」
 素直に褒められれば、やはり悪い気はしない。
 そうして手に入れた石を手に、二人は街中へと戻っていた。
 連なる出店ではラフィーナ名物らしい“ハンマー焼き”――勇者が使っていたウォーハンマーの頭の部分を模って作られたらしい焼き菓子――も、元祖と本家が隣り合って客を呼び込んでいる。
「色んなお店があって目移りしちゃうね」
「そうですね、……俺は向こうの店に用がありますので、適当に待っていてもらえますか」
「……? うん、わかった!」
 言うなり石を手に一人で行ってしまったヨハンを見送って、それなら、とオルハは特に気にすることもなく辺りをぐるり。
 宛てもなく歩き出したその足が止まったのは、とても香ばしい匂いのする――。
「あっ、これいいかも!」

 一方、ヨハンが単独で足を運んだのは宝飾店。手に入れた石の加工を頼み、戻ってみれば――オルハの手には二本の串焼き。
「お待たせしました。……って、よく食べますね……」
 思わずそう零せば、その内の一本が目の前に差し出される。
「はい、ひとつは君の分だよ」
「……俺の分、ですか」
 つい受け取りはしたものの、持て余すように眺めていると、オルハの無邪気な笑みが覗く。
「だって、おいしそうだったんだもの。……付き合ってくれるよね?」
 たまにはおいしいものを共有したいんだ。純粋にそう言われてしまえば返す言葉もなく。
「……まぁ、偶にはいいか。ありがたく頂戴しましょう」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリア・アクア
まあ、こんな素敵な催しを、毎月?
なんて素敵な街なんでしょう!

星掬いに参加
煌めく川の情景をうっとり眺め
そっと近付き手を入れます
名前の通り、瓶の中に星空を閉じ込めたくて
小さなラピスラズリを掬い集めます
深い蒼色を夜空に見立て、煌めく星々はダイヤモンドで
水と一緒に小瓶に詰めれば、日にかざし煌めきに微笑んで
ふふ、本当にお星様みたいです!
これにお願い事をするんですよね
それでは、この先に素敵な出会いが多くあることを祈りましょう!

素敵な星空を手に入れたら街中へ
初めて訪れた世界のスイーツに目輝かせ
物怖じせずにお店の方に声掛け、どういうお菓子か聞いた上でお買い物

ああ、こんな街で生まれ育った勇者様、羨ましいです!



「まあ、こんな素敵な催しを、毎月? なんて素敵な街なんでしょう!」
 プリズムのような春色の瞳をきらきらと輝かせながら、アリア・アクアは煌めく川の情景にうっとりと見入る。
 星掬いで賑わう人々に紛れつつ、緩やかな流れにそっと近づき手を伸ばせば――少し冷たい水の感触も、初めて訪れる世界のものだからか何だか新鮮で。
 星掬いの名の通りに、瓶の中に星空を閉じ込めたくて。
 アリアはまず、小さなラピスラズリの欠片を掬い、小瓶に詰める。
 ラピスラズリの深い蒼色を夜空に見立て、そこにダイヤモンドの煌めく星々を散りばめて。
 小瓶に水を満たし、日に翳せば――キラキラと瞬く煌めきに、淡い笑みが綻んだ。
「ふふ、本当にお星様みたいです! これに、お願い事をするんですよね。……それでは、」
 アリアは小さな星空にそっと祈りを込める。
 これから先も、たくさんの素敵な出逢いがありますよう!

 素敵な星空を手に入れたアリアは、次に街中へと足を運ぶ。
「とってもいい香りがしますね、行ってみましょう!」
 友とする小鳥たちへにっこり笑って呼びかければ、愛らしい鳴き声が返る。
 甘い香りにつられるようにアリアがやって来たのは、スイーツ店が軒を連ねる一角だ。
 シンプルな焼き菓子も凝った作りのケーキやタルトも、どれもアルダワのそれと似ているようで違う新鮮さと面白さがあって、アリアの瞳はますます輝いた。
「すみません、こちらはどういったお菓子なんですか?」
 見れば同じような菓子があちこちに並んでいるように思えて。その内の一軒の店先で足を止めたアリアは、物怖じすることなく店主に声を。
「ああ、これはね、ラフィーナ名物の元祖“ハンマー焼き”さ。勇者様が武器として使っていた伝説のハンマーの、頭の部分の形をしてるんだよ」
 一つ一つは手のひらに乗るくらいの大きさで、聞けば中にクリームが詰まっているらしい。他にも勇者様が使っていた盾をモチーフにした“シールド焼き”なども売られている中、アリアはハンマー焼きを一つお買い上げ。
 焼き立てほかほかのハンマー焼きを手に、アリアはゆるりと散策を再開する。
 華やかで、賑やかで。たくさんの彩りに満ちた街。
(「ああ、こんな街で生まれ育った勇者様、羨ましいです!」)

 ――けれど、ふと。
 拾い上げた人々の声に、アリアは小さく首を傾げた。

 ……星掬い、今回は何とかなったけど、来月はどうなるかわからないんだろう?
 ああ、俺らの力じゃどうにも出来ないし、このままじゃ次は……

「……まあ、何かが、起きているのでしょうか?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鶴澤・白雪
勇者伝説…ね。そっちの伝承はあんまり興味がないからあたしは輝石を探してみようと思うわ

祭りの喧噪を流し聞きながら人の多い場所を避けて下流の方で宝石を探すわ
流れてくる色とりどりの小さな輝石たちを時々掬っては、「貴方達も掬ってもらえなかったのね」と寂しそうに呟いて川に戻す

あたしもクリスタリアンだからかしら
拾ってあげたい気持ちはあるけど全てを掬って持ち帰ることは無理だと分かってるわ

価値が高いものは求めていない、掬う宝石はラベンダー色のスピネル
あたしが探したいのは妹の瞳と同じ淡いパープルスピネルよ

数多の輝石の欠片が流れている中で妹の石を見つけられたら今度こそあの子のために頑張れると思うから



(「勇者伝説……ね」)
 街を賑わす英雄譚にはあまり興味が沸かなかったが、クリスタリアンである鶴澤・白雪の心を惹いたのは数々の輝石だった。
 小さな子を応援する大人たちの声。恋人のためにと頑張る青年に向けられるあたたかな声援。
 祭りの喧噪を遠く流し聞きながら、白雪は敢えて人の多い場所を避けて下流へと。
 上流から流れてくる色とりどりの小さな輝石たちを両手で時々掬い上げては、
「……貴方達も掬ってもらえなかったのね」
 そう、どこか寂しそうに呟いて川へと戻す――それを繰り返すこと、暫し。
 同じ輝石の身としては、拾ってあげたい気持ちはあるけれど。
 同時に、全てを掬って持ち帰ることは無理だとわかっている。
「ごめんね、……どこかで誰かに掬って……救ってもらえるといいわね」
 だから手放した輝石に願いを添えて別れを告げて、白雪はたくさんの色の中からただ一つ、ラベンダー色のスピネルを探そうと目を凝らす。
 白雪が探し、見つけたいのは、妹の瞳と同じ――淡く煌めくパープルスピネル。
 流れるのは数多の輝石、その欠片たち。
 その中で、妹の石を見つけることが出来たなら、今度こそ――“あの子”のために頑張れる。そんな気がするから。

 ――やがて。
「あっ……」
 砂礫に埋もれかけていたその色を、白雪はそっと指先で摘み上げる。
 陽の光に透かせば、煌めく淡い、パープルスピネル。決して忘れない、唯ひとつの色。
 その色を二度と失くさないよう、白雪はしっかりと目に焼き付けて――そして小さな輝石を両手でそっと、愛おしむように抱きしめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルミ・エアイン
ニケ(f02710)さんと

凄いにぎやかですね!
少し回りますか?

甘いかおりにつられ
ふらふら
おいもさんというらしいです。
一緒に食べませんか?

ほくほく
とても甘いです!
ふふ、ニケさんもですよ?

こっそり、ニケさんから離れて
アクセサリー屋さんへ
僕でも買える
小さなサファイアのペンダントを
買います。

ニケさんすみません。
迷子になってました。

そろそろ川に行きますか?
僕はラピスラズリを探します。

僕、川に入っちゃいます。
えへへ、ちょっと冷たいですが
心地良いです。
きらきら、まるで星空ですね。

ニケさん。
これ受け取ってもらえますか?
記念に買っちゃいました。
喜んでもらえると嬉しいです。

え、僕にもですか?
えへへ、では交換です。


ニケ・セアリチオ
ルミさん(f13418)と

ふふ、少し寄り道しちゃいましょう

あら、お芋を蒸してるの?
いったいどんな味かしら
どきどきしながら半分こ

まぁ、思ったより甘いのね!
あら、ルミさん
口の端についていますよ?
良ければどうぞとハンカチを
…え、あらっ?私も?

アクアマリンのアクセ
ルミさんの瞳みたい、なんて目移りしていれば
見失った水色の彼にきょろきょろと
無事に合流できればひと息


私が探すのはアクアマリン
透き通った水色は探し辛いかしら?
第六感と幸運に頼みね

まぁ、とってもきれい…!
頂いてもよろしいの?
…ふふ、ありがとうございます
でしたら、私からも
買った物ではないけれど
ルミさんみたい、と思っていたの
良かったら交換、しませんか?



「凄いにぎやかですね! 少し回りますか?」
 ルミ・エアインの提案に、ニケ・セアリチオはにっこり笑顔で頷いて。
「ふふ、少し寄り道しちゃいましょう」
 呼び込みの声が行き交うメインストリートは目にも華やかで。
 バターの甘い香りにつられてゆけば、勇者様の大好物なる“パターチェの蒸し焼き”の文字が。
「あら、お芋を蒸してるの? いったいどんな味かしら」
「お目が高いね、お嬢さん。昔から伝わる、勇者様も愛したおやつさ。とっても甘く仕上がってるよ」
 そう言うと、店主は二人の目の前で、紫の皮がついた芋を二つに割った。中の実は鮮やかな黄色をしていて、なるほど見た目はサツマイモにそっくりだ。バターを乗せればさながらスイートポテトといったところだろうか。
「おいもさんおいしそうです。ニケさん、一緒に食べませんか?」
「ええ、ええ! 是非! いただきましょう」
 蒸したての芋を一つお買い上げ、側のベンチに並んで座り、分かち合うのはかつて勇者も愛した懐かしい味。
「ほくほく、とても甘いです!」
「まぁ、思ったより甘いのね! あら、ルミさん、口の端についていますよ?」
 良ければどうぞとハンカチを取り出したニケに、ルミは楽しげに告げる。
「ふふ、ニケさんもですよ?」
「……え、あらっ? 私も?」

 おやつの時間を楽しんだ後、二人は別の通りへと足を運んでいた。
 ショーケースに並ぶ、色とりどりのアクセサリー。
(「……ルミさんの瞳みたい」)
 あちらこちらに目移りしていると、いつの間にやらルミの姿を見失っていることに気付いたニケはまあ、ときょろきょろ辺りを見回して。
「ニケさんすみません。迷子になってました」
「まあ、まあ! よかったです、迷子になっていたのはきっと私の方!」
 すると、どこからともなくひょっこり現れたルミの姿に、ニケはほっと一息。
 ――そうしていよいよ、輝石の星掬いで賑わう川辺へと。
「えへへ、きらきら、まるで星空ですね」
 水は少し冷たいけれど心地よく、ルミはラピスラズリを、そしてニケは透き通る水色のアクアマリンを色とりどりの煌めきの中に探す。
 第六感と金貨の鳩の幸運が示すまま目指す輝きに辿り着いたなら、ニケの顔は満面の笑みで彩られて。

 名物にアクセサリーに星掬いにと、ラフィーナの一日を満喫した二人は、氷菓子で疲れを癒しながら再びベンチに腰を下ろしていた。
 その時、不意に思い出したように、ルミが懐を探る。
「ニケさん、これ受け取ってもらえますか? 記念に買っちゃいました」
 それは先程はぐれた――とニケが思っていた間に、ルミがこっそりと買っていた小さなサファイアのペンダント。
「まぁ、とってもきれい……! 頂いてもよろしいの?」
「はい、喜んでもらえると嬉しいです」
「……ふふ、ありがとうございます。でしたら、私からも」
 買った物ではないけれど、ニケが差し出したのは先程掬ったアクアマリンが収められた小瓶。
「ルミさんみたい、と思っていたの。良かったら交換、しませんか?」
「え、僕にもですか? えへへ、では交換です」
 交わした二つの青に寄り添う思い出。それはきっとこの先もずっと、決して褪せることはなく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
川底に沈んだ屑石を見詰め
小さくとも触媒と成り得る上質な欠片を探そう
裸足で川へ浸り、流れに足を取られぬよう慎重に…
下手をすると私が沈む石の仲間になりかねん故
ぐぐ…蒐集癖のあるお前に言われると些か腹立たしいな

…悟られておらぬ心算だろうが
童の様に目を輝かせる従者を視界の端に
周囲の石へ我が魔力をほんの僅か注いだならば
特に感応性の良い物を拾い上げ、ジジの持つ瓶へ詰める
その最中…む、これはムーンストーンか?
喜べジジ、お前が好みそうな石だぞ
ひとつお前にくれてやる
私からの褒美だ、有難く受け取っておけ

星を小瓶に封じたならば川より上がり
ジジ、飯を食いに行くぞ
そろそろ小腹が減っているであろう?


ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と共に

…浸した尾の先が心地好い

いつになく真剣な様子の師
傍らに屈み込み、そこらの川底を時折浚うも
それより師が足を滑らせぬかが気に掛かり

師父よ、その辺りの石は滑るぞ
全く、魔術の道具となると目の色が変わる
ついでに伝説の欠片も、その目利きで見出してくれまいか

手にした瓶へと師の認めたものだけを受け取りながら
流れの中、師に悟られぬよう探すのは青と灰の欠片
密やかに別の小袋へと収め

師から手渡された、薄青に霞む石は確かに美しく
…折角の素材、俺が頂戴して構わんのか?
ああ、丁重に扱おう


承知した
うむ、働いた分は喰わねばな
勇者の好物とやらは加護がありそうだ
星から賜った星は大切に懐へ仕舞い、人の流れへ



 ――アルバ・アルフライラの青き星宿す瞳は、何時にも増して真剣であった。
 裸足で川へ浸り、流れに足を取られぬよう慎重に。
 川底に沈む数多の石屑の中から小さくとも魔術の触媒と成り得る上質な欠片を探すべく、散らばる煌めきをアルバは笊で掬うだけでなく、時に直接手で摘み上げたりなどして確かめる。
 傍目にも真剣なアルバの様子を、ジャハル・アルムリフはつられたように真剣な面持ちで見守っていた。
 流れに浸した尾の先は心地好く、アルバに倣ってそこらの川底を時折浚ったりもするものの、――何せそれよりも彼が不意に足を滑らせてしまわぬかが気掛かりで、つい、
「師父よ、その辺りの石は滑るぞ」
 やんわりと声を掛けてみれば、その場でぴたりと動きを止めたアルバがぐぐ、と喉の奥で小さく唸るのがわかった。
 下手をすれば、宝石の身体を持つ彼自身こそが、そこら中に沈む石の仲間になりかねないという自覚は――どうやら師にもあったらしい。
「全く、魔術の道具となると目の色が変わる。ついでに伝説の欠片も、その目利きで見出してくれまいか」
「……蒐集癖のあるお前に言われると些か腹立たしいな」
 小さな棘のぶつけ合いのような遣り取りも、然程深刻なものではない、何時ものことだ。
(「まあ、……悟られておらぬ心算だろうが」)
 童の様に目を輝かせる従者を視界の端に、思わず笑いを堪えそうになるのを澄ました顔で取り繕い、アルバは周囲の石へほんの僅かだが己の魔力を注ぐ。
 そして、特に感応性の良い、使えそうな物を選んで拾い上げ、ジャハルの持つ瓶へと詰めていく。
 一方のジャハルもまた、手にした瓶へと師の認めた石だけを受け取りながら、彼に悟られぬよう青と灰の欠片を流れの中から探し出し、密やかに別の小袋へと収めていた。
「……む、これはムーンストーンか?」
 ふと、楽しげに零れたアルバの声にジャハルは顔を上げる。
「喜べジジ、お前が好みそうな石だぞ。ひとつお前にくれてやる」
「……折角の素材、俺が頂戴して構わんのか?」
 師から手渡された薄青に霞む石は、確かに美しく好ましいもの――ではあったが。
 ジャハルの問う声に、アルバは鷹揚に笑って頷いた。
「私からの褒美だ、有難く受け取っておけ」
 ジャハルは束の間、星から賜った星を見つめ、それからそっと握り締めると、大切に懐に仕舞い込む。
「ああ、丁重に扱おう」

 やがて満足の行くまで星を小瓶に封じ、二人は川から上がる。
「ジジ、飯を食いに行くぞ。そろそろ小腹が減っているであろう?」
「承知した。うむ、働いた分は喰わねばな。勇者の好物とやらは加護がありそうだ」
 思えば川に来るまでの間にも、随分といい匂いが漂っていた。
 そうして二人はいつものように他愛ない言の葉を紡ぎながら、勇者の好物を求めて人の流れへ紛れてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泉宮・瑠碧
やはり、故郷の世界は何だか落ち着くな
森の気配も嬉しいし、輝石を見るのも楽しみだ

僕も星掬いに参加
川の中でも煌めきがあって…
本当に昼間の星の様だな

好きな石は色々あるが…
今回は、自分の元の名と石の名で音が同じな、るり…
もといラピスラズリと…
後は、水晶に緑のエメラルドの欠片を探そう

水の精霊にも訊き、目的の石の欠片達を集め
小さな小瓶に川の水と共に詰めよう
願いは…世が平穏でありますように、と

氷菓子も気になるので
星掬いを終えれば買いに行こう
同時に情報収集を

この街の勇者とはどんな人物だったのだろう
今では勇者と呼ばれる様に、街から出て行ったらしいが
何か旅立つ切欠でもあったのだろうか
伝説や物語等もあれば聞きたいな



 エルフである泉宮・瑠碧にとっては故郷であるアックス&ウィザーズ。
 慣れた森と水の気配に心が落ち着くのを感じながら、星掬いで賑わう川へと足を運べば――。
「……本当に、昼間の星の様だな」
 川の中に散らばる数多の煌めきに思わず感嘆の息と声。
 今回瑠碧が見つけたいのは自分の名と音が同じ、瑠璃――もといラピスラズリと、水晶、それからエメラルドの欠片だ。
 親しき水の精霊にも訊きながら目的の石を掬い集めて、瑠碧は澄んだ川の水と一緒に持参した小瓶に詰める。
 ラピスラズリの瑠璃色に、透明な水晶、そしてエメラルドの緑に託す願いは。
(「……世が、平穏でありますように」)

 星掬いを終えた瑠碧の次なる目的は氷菓子だ。
 いくつも並ぶ露店の中から気に入った一本を選ぶついでに、瑠碧は店主へと声を掛ける。
「お尋ねしたいのだが。この街の勇者とはどんな人物だったのだろう?」
「ラフィーナ様かい? どんな人物と一言で言うのは難しいが……大層強い方であったそうだよ」
 聞き覚えのある名に、瑠碧の目が瞬いた。“ラフィーナ”――確かに聞いた名だ。それも“此処”に来る前に。
(「そうか、ラフィーナ……勇者の名前がそのまま、街の名前になっているのか」)
「元は鍛冶屋の娘で、生まれた家は一般公開されてるよ。時間があるなら寄ってみるといい」
 なるほどと仕入れた情報を心に書き留めながら、瑠碧は氷菓子を一口。その冷たさと甘さに疲労が抜けていく心地を覚えつつもさらに質問を重ね。
「ラフィーナが勇者としてこの街を発つに至った、何か切っ掛けのようなものはあったのだろうか」
「それはね、輝石の“天啓”を受けたのさ」
「輝石の、天啓……?」
 鍛冶屋見習いとして師である父の教えを受けながら修行に明け暮れていた頃。
 鍛えたウォーハンマーに守り石を埋め込もうとしたその時、石から天啓を受けたのだという。
 そしてラフィーナは仕上げたウォーハンマーを自らの武器として、旅に出たのだそうだ。
「けれど当人はそれっきり、二度と街に戻ることはなかった。あたしらが伝え聞いているのは、全部昔の旅人や詩人が伝えてくれた話なんだ」
「なるほど、では……どこまでが真実かなどは、そもそもわかりようがないのか」
 瑠碧が思わず零した呟きに、店主はそうだねと同意する。
「でもね、信じてさえいれば。それがあたしらにとっての真実さ」
「……確かに、そうだ」

 伝説とは、語り継がれるもの。
 どのような脚色が施され、時を経て全くの嘘までもが織り込まれてしまったとしても。
 それは、伝え聞いた者たちにとっての――真実になる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
売り物にならなかったっつっても
特産としてそんなに有名ならきっと綺麗なんだろう

願いを込めることに興味はない
けれど美しいものは好きだから――
多分、掬わずとも、手に出来ずとも
瞳に彩を宿すだけで満足できるだろう

贈り物には花
ずっとそれしか知らなかったのは
主がそれしか教えてくれなかったからだ
そしてあの人が、嬉しそうに笑っていたから

輝石の装飾品を眺めながら
店主に誰かに贈り物かと尋ねられれば
――いや、まあ、そんなとこ
適当に返すもあの人に似合いそうなものを無意識に探してしまい
あの鳥籠に射し込むひとすじの秉燭にも似た
柘榴石のブローチを手にしていた

…渡すことなんて、できないのにな
花すらも、俺は捧げたことがないのに



 願いを込めることに興味はない。
 けれど、“美しい”ものは好きだから――。
 掬わなくとも、手に出来なくとも、浮世・綾華にとっては、緋色の双眸にその“彩”――そのものを宿すだけで、満足出来るだろうと思っていた。
 陽光浴びて煌めく無数の彩りは、売り物にならないと棄てられるはずのものだったとしても、確かな色を持っていて――ほんの少し、眩しい。

 ――贈り物には、花を。
 ずっとそうとしか知らなかったのは、綾華が主と呼んでいたひとがそれしか教えてくれなかったからで。
 そして、花を贈った時のあの人が、とても嬉しそうに、花が咲くように、笑っていたからだ。

 川沿いの喧騒から離れ、綾華は別の賑わいを見せる通りを宛てもなく散策していた。
 勇者様の守り石、勇者様が身に着けていたものと同じ耳飾りや首飾り、腕輪に指輪、武器飾り――ただ歩いているだけでも次から次へと勇者に縁のあるものが目に入る。
 それもどこまでが本当でどこまでが作り話かなんて、きっと誰にもわかりやしない。
 それでも想いを込めてつくられた装飾品の数々は、あの水底を揺蕩っていた小石たちよりもずっときらびやかで堂々どしているように見えた。
 そうして何気なく足を踏み入れた宝飾店で、いたる所に並べられている輝石の装飾品たちを何とはなしに眺めていたら、不意に掛かる声。
「どなたかへの贈り物でいらっしゃいますか?」
 はっとして瞬いた瞳が、店主らしき女性の姿を捉える。
「――いや、まあ、……そうだな、そんなとこ」
 適当に返すけれど、綾華の目は無意識に、“あの人”に似合いそうなものを探していた。
(「……嗚呼、」)
 綾華が手にした“それ”は、あの鳥籠に射し込むひとすじの秉燭にも似た――柘榴石のブローチだった。

(「……渡すことなんて、できないのにな」)
 それでもこうして手にしてしまったら、きっともう、手放すことなんて出来やしないのだろう。

 ――花すらも、俺は。捧げたことがないのに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリス・ステラ
イデア(f09399)と参加します

【WIZ】

旅館"花の涯"で見かけた彼と訪れたのは星の巡り合わせ
ひとりよりふたりです
幻想の欠片を探しに行きましょう

「イデアは勇者に興味があるのですか?」

勇者の伝説と輝石の物語、それは"浪漫"です
はぐれないように気を付けながら地縛鎖・星枢でダウジング
『第六感』を働かせて揺れ動く鎖を見つめる『失せ物探し』
目当てはラピスラズリかオニキスです
反応があれば、

「そのあたりを探してみてください」

イデアに告げます
見つかるなら彼に贈りましょう

「探していたのでしょう? 今日のお礼に受け取ってください」

そっと彼の手を包み込むようにして微笑みます
果てない願いは、願うことが最初の一歩です


イデア・アイオンハート
【マリス(f03202)】お姉さんと参加。

旅団『花の涯』にて声を掛けられ交流を兼ねてお祭りに。
元々は『騎士』に憧れを持つが『勇者』の肩書きに格好良さを感じ「『勇者』かぁ」と呟く。

「興味は、少しだけ。」

使用能力値:POW

マリスお姉さんと離れない様に気をつけつつ、『野生の勘』も交え地道に裸石を浚う。
お目当ての宝石は瑠璃(ラピスラズリ)と黒瑪瑙(オニキス)。
理由はどうしても目指したい事、『この身が保つまで多くの人を護る騎士の猟兵になりたい』から。今はまだ子供だけど、何時かきっと。

マリスお姉さんの手が包まれる、暖かい。
微笑む彼女に釣られ少し恥ずかし気。

伝説についての情報、時折周りの声を気にしてみる。



 桜の花弁に導かれた場所での縁を辿り、星の巡り合わせのままに勇者の生まれた街“ラフィーナ”の門を潜ったマリス・ステラとイデア・アイオンハート。
 ひとりよりも、ふたり。――いざ、幻想の街に幻想の欠片を探しに。
「……“勇者”かぁ」
「イデアは、勇者に興味があるのですか?」
 元々は騎士に憧れを持つイデアだが、声を乗せて口にしてみれば、勇者という肩書きにも格好良さを覚える年頃だ。
「興味は、少しだけ」

「勇者の伝説と輝石の物語、それは“浪漫”です」
 大勢の人で賑わう川の中、イデアとはぐれないように気をつけながら、マリスは星の力を宿した鎖でダウジングを。
 砂に埋れる様々な色の欠片に対し、第六感を働かせてマリスはしばし、揺れ動く鎖をじっと見つめていた。
 そうして不意に大きく鎖が揺れ始めるのを見て、マリスはすかさずイデアに告げる。
「イデア、そのあたりを探してみてください」
 マリスの声に、地道に裸石を浚っていたイデアは、言われるままにその場所からラピスラズリとオニキスの欠片を探し当てた。
「……すごい」
 ラピスラズリとオニキス――その二つは、イデアが探していたものだ。
 今はまだ子どもだが、イデアにはどうしても目指したいこと――いつか叶えたい願いがあった。
 ――“この身が保つまで、多くの人を護る騎士の猟兵になりたい。”という、確かな願い。
「それはあなたに差し上げましょう。探していたのでしょう? 今日のお礼に受け取ってください」
 そうして、マリスはイデアの小さな手を両手でそっと包み込み、微笑んだ。
「果てない願いは、願うことが最初の一歩です」
「……うん、ありがとう。マリスお姉さん」
 伝うぬくもりとマリスの微笑みにつられ、イデアは少しばかりの気恥ずかしさを覚えながらも、ぬくもりごと託された石を受け取った。

 ――今日は冒険者さんもいつもよりたくさん来ているようだから、誰かに頼んでみるのも手なんじゃないか?
 ――そうだな、後で酒場にでも行ってみるか……

 誰が言ったかはわからないが、イデアの白狼の耳がそんな会話を拾っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユニ・エクスマキナ
清史郎くん(f00502)と!

わぁーい、お祭りー!
勇者様の好物ってそんなにあるの!?
ん?ユニは…って、甘い物好きっ!
わぁ、どれも美味しそう!!
ユニもおススメ聞いちゃおうっと!
おぉっと冷たいお菓子と温かい飲み物をチョイスするとは…
がっつり満喫する気なのね!?

甘い物食べたら、アクセのお店も覗いてみるのね!
わぁぁ、可愛いのがいっぱい!
どれがいいかなぁ~
気になったネックレスを手に取り胸元に当てて
鏡を見ながら清史郎くんにも意見聞いてみるのね
ふむふむ、じゃぁ、こっちかなぁ?
(紅い花と石がついたネックレスに決定)
清史郎くんのイメージにぴったりの腕輪
似合いそう!
って、え?ユニのも?
どうもありがとう…っ(ぺこり


筧・清史郎
ユニ(f04544)と共に

とても賑わっているな
ユニは見たい店などあるか?
俺はこの世界の甘味を楽しめればと(甘党
…随分と勇者は色々なものが好物だったのだな
まずは氷菓子はどうだ?
味は、店お勧めのものを
蜜を垂らしたミルクも良いな、ホットでいただけるだろうか?
氷菓子やミルクの店の者や市場の露天商に、勇者の事も訊ねてみよう
勇者の像も通りかかれば見ておこう、伝説に詳しそうな人がいれば話を

甘味後はユニとアクセサリー選びを
どれも似合っているが、ユニは明るい暖色な印象があるな
俺は…青基調で桜の色と形をした石が一粒ついたこの腕輪にしようか
ユニの選んだ物と一緒に購入を
此処でも会計の際等に勇者伝説について訊いてみよう



「わぁーい、お祭りー!」
 今にも駆け出してしまいそうに心弾ませるユニ・エクスマキナであったが、わくわくと輝かせていたイチゴ色の瞳が驚きに染まる。
「……勇者様の好物ってあんなにあるの!?」
 目に見える範囲でも、虹追い蛇の尻尾焼きに、フィアラの花蜜たっぷりの蒸しケーキ、綿飴のようなふわふわの砂糖菓子や星空を閉じ込めたようなゼリー、それからそれから――全部が“勇者様が愛した味”なのだという。
「とても賑わっている。……それに、随分と勇者は色々なものが好物だったのだな」
 傍らでは甘味に目がない筧・清史郎が、あちらこちらの看板や暖簾に目をきらりと光らせていて。
「俺はこの世界の甘味を楽しめればと思っているが、ユニは見たい店などあるか?」
「ん? ユニは……って、さすが、甘い物好きの清史郎くんっ! そうね、清史郎くんの美味しいレーダーがぴぴぴっと反応した物が特に美味しそうな気がするのよーっ」
「美味しいレーダーか……では、まずは氷菓子はどうだ?」
 そう言うと、清史郎は早速氷菓子のワゴンへ。ユニも興味津々といった様子で後に続き。
「わぁ、どれも美味しそう!!」
「どれかお勧めはあるだろうか?」
「ユニもおススメが欲しいのねー!」
 いらっしゃい、と笑顔で応えてくれた店主は、二人を見てそうだなあ、と思案顔。
「こっちの雅な兄ちゃんにはそうだな、勇者様の弟君が好きだったベルベリーを。お嬢さんにはこれだ、ルビーみたいな真っ赤なフラウベリーなんてどうだ?」
「ほう、勇者には弟もいたのか。ユニはどうする? 俺はこのお勧めを頂こうと思う。あと……この蜜を垂らしたミルクもホットで頂けるだろうか」
「うん、ユニもおススメにするのねー……って、冷たいお菓子と温かい飲み物をチョイスするとは……がっつり満喫する気なのね!?」
 さすがなのね……と小さく息を呑むユニに、清史郎はやはり、雅に微笑んでみせた。

 無事に甘味を手にし、中央広場へ。
 街の入り口にも建っていた勇者の像は、当たり前のように広場にも建っていて。
 大きなウォーハンマーを携えた女性の像を囲むように設えられたベンチの一つに、二人は腰を落ち着けていた。
「勇者様、とっても強そうな女の人なのね」
「ああ、悪さをしていた湖の主をこの細腕で釣り上げたという逸話も興味深かった」
 無論、それが真実かどうかはわからない。けれど街の人々があまりにも楽しそうに語るから、本当にあったことのような気さえしてくる。
 時を越えてもなお息づく、誰も知らない“勇者様”の物語。
「さて、甘味も堪能したことだし、アクセサリーを見に行くか」
「うん! こっちもとっても楽しみなのねーっ!」

 甘い匂いの通りから、たくさんの煌めきに彩られた通りへ。
 今度は軒を連ねる宝飾店の一つに、二人の姿があった。
「わぁぁ、可愛いのがいっぱい! どれがいいかなぁ~」
 ユニは気になったネックレスを胸元に当てて、鏡とにらめっこ。
「清史郎くんはどれがいいと思う?」
「そうだな、どれも似合っているが、ユニはどちらかと言えば明るい暖色な印象があるな」
「ふむふむ、じゃぁ、こっちかなぁ?」
 清史郎の意見を元に、ユニが選んだのは紅い花と石がついたネックレス。その間に、清史郎も桜の色と形の石が一粒ついた青い腕輪に決めていて。
「清史郎くんのイメージにぴったりの腕輪。似合いそう!」
「そうか、良かった。ではこれを一緒に」
 と、ユニのネックレスと一緒に会計を済ませる様は実にスマートだった。
「って、え? ユニのも? どうもありがとう……っ」
 少しだけ慌てつつも、ユニはぺこりと頭を下げる。
「そうだ、店主殿。俺達はこの街の勇者について調査しているのだが……何か面白い話などはあるだろうか?」
「勇者様ですか? そうですね……では当店らしく、輝石にまつわるお話を一つ」
 そうして、店主が語り聞かせてくれたのは。
 ――勇者が輝石の天啓を受け旅立った後も、天啓のようなものを輝石に視る者が、この街では稀にいるのだという。
 原因はわかっていないが、おそらくこの土地に息づく力が石を通して伝わるのだろうと店主は言い、そうして、二人を改めてまじまじと見やり、こう告げた。
「貴方がたはどうやら、腕の立つ冒険者様でいらっしゃるご様子。もし、宜しければ……一つ、依頼を受けて頂けないでしょうか?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジナ・ラクスパー
メーリ様(f01264)と

沈む七色が鮮やかなのは冷たく澄んだ水のせい
それともメーリ様と一緒だからでしょうか
冷たい思いをした分、実りがあると思うのです
行きますよ、メーリ様…!
予想通りの冷たさがなんだか楽しい

泳ぐ虹色につい追ってしまうのは
名の示す花の青、懐かしい森の緑
透ける遊色にはついはしゃぐ
秘密を隠した石なのですね…!

教えてもらった願い事が擽ったくて
ちょっと照れながら打ち明け話
…あのですね、メーリ様
私も仲良くなれて嬉しいのです

小瓶の中の七色のひかり
メーリ様の空色輝石を見つけたら、何度でも今日を思い出しそう
はい、きっと叶えましょうね!
この願い事は届くはず
だってもう、叶えたくて仕方がないのです


メーリ・フルメヴァーラ
ジナ(f13458)と

宝石すくいが気になってたの
どうせならブーツじゃなくて裸足で
うん、ジナ行こう!
隣見てもう宝物が見つかった心地

わあ、すごーい!
きらきらがいっぱいだよ
光が弾けてとってもきれい!
虹が川で泳いでるみたい

自分の色に似てるからかな
青色や水色の石を探しがち
わ、これ透き通ってる!
おひさまに透かしたら遊色がきらめいて
ジナ見える?これきれいなの

小瓶に詰めながら願うのは
あのね
ジナともっといっぱい仲良くなりたいな
年の近い友達が出来たのがね
私はとっても嬉しいの!
内緒話みたいに耳打ちする

だから自分の小瓶にはジナの瞳みたいな
金色宿る輝石もそっと潜ませたい
きっと見る度に思い出す

叶うといいね
叶えようね



 沈む七色が鮮やかなのは、冷たく澄んだ水のせい?
 それとも、“彼女”と一緒にいるからだろうか。
 ジナ・ラクスパーがそっと傍らを窺えば、メーリ・フルメヴァーラの陽だまりのような笑みが輝く。
 ――答えは、きっと。
「行きますよ、メーリ様……!」
「うん、ジナ、――行こう!」
 折角ならばブーツではなく裸足で。いざ、宝石を掬いに。
 爪先を浸せばそれだけで全身に伝う川の水の冷たさは、予想通りのものだけれど。
 二人一緒ならば、それさえも忽ちの内に楽しい心地に変わる。
「わあ、すごーい! きらきらがいっぱいだよ」
 見渡す二人の目に映る、赤に青、黄色に緑、紫――数えきれない、たくさんの色。
 いくつもの光がきらきらと光を弾いて水面に揺れる様はまるで虹が川で泳いでいるようで、二人の胸は期待に喜びにとときめくばかり。
「素敵なきらきら、たくさん見つけましょう!」
 泳ぐ虹色にジナがつい追ってしまうのは、名の示す花の青と懐かしい森の緑。
 一方のメーリも、自分の色に似ているからか、青色や水色の石に意識が向きがちで。
「わ、これ透き通ってる!」
 すると、不意にメーリが声を上げた。
「……ジナ見える? これきれいなの」
 メーリが拾ったのは透き通った石。けれどそれは、陽光に透かせば遊色が煌めくもの。
「わあっ、素敵です! それは、秘密を隠した石なのですね……!」
 隠された色に、ジナもついはしゃいでしまう。
 そうしてふと顔を見合わせれば、重なる笑みの花。

 一つ、二つ、やがて手にしたいくつもの煌めく輝石の星を、澄んだ川の水と一緒に透明な小瓶に詰めながら、メーリは不意にあのね、と小さく零した。
「……ジナともっといっぱい仲良くなりたいな。年の近い友達が出来たのがね、私はとっても嬉しいの!」
 内緒話のように耳打ちされたメーリの“願い”に、ジナもくすぐったさと照れくささが入り交じるような表情を覗かせながら、そっと打ち明ける。
「……あのですね、メーリ様。私も、メーリ様とこうしてお逢いできて、仲良くなれてとても嬉しいのです」
 だから、願わくば――これから先もずっと、もっと。
 願いを閉じ込めた二人の小瓶の中には、七色の光。
 それから、控えめに揺れる金色と空色――二色の輝石の星。
 世界にひとつ、それぞれの星。
 きっと見る度に何度でも、今日の日を、込めた願いを思い出す。
「叶うといいね。……叶えようね」
 願うだけでない、誓うようなメーリの呟きに、ジナがはいと返す頷きはとても力強く。
「きっと叶えましょうね! この願い事は、絶対に届くはずです」
 だってもう、今すぐにでも叶えたくて仕方がないのだから。

 きっと、ずっと昔から。
 こんな風にたくさんの願いが紡がれて、小さな石に託されてきたのだろう。
 二人が得たのは冷たい思いをした分の、――否、それ以上の実りと幸せ。
 そして、隣にも。
 綻ぶ花のように綺麗で素敵な、かけがえのない笑顔と、宝物がある。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルカ・アンビエント
ザハール(f14896)と
虹色の星が降ったようにか

感心した様子で覗いた川は、予想以上に美しくて
思わず息を飲む
キラキラだ…
翼を広げて少し浮いたまま水面を見下ろし、足を降ろすのが勿体無いのは煌めく川があまりに美しいからか

折角だから何か探すとして…
美しい宝石たちに子供じみた気分で目移りしてしまう
勇者の好んだ石とかあったのか

川に足をつけて、言い伝えを思い出す
川の水と共に小瓶に詰めるだったか
あんたは何か願いとかあるのか?

…、ならこれも入れてといたらどうですか
ルビー。さっき見つけたんですよ
お守りにいーらしいですよ

光るものって…
鳥ってたの聞こえてたんですけどね
ったく、ん。折角だし貰っておきますよ


アレンジ歓迎


ザハール・ルゥナー
ルカ殿と(f14895)
思いによって紡がれ続けた川か。

ふむ、これは七色という言葉では追いつかぬ。
複雑な色味を帯びて、確かに美しい。

ルカ殿が翼を広げ目を輝かせている姿に。
光るモノに目がない……まるで鳥のようだな、と一人笑い。

一瞬、錆びるかもしれないと本体を確認しつつ、水に入って石を探す。
流れる水の冷たさ、脚に触れる石の感触……不思議な感覚だな。
緑の石にはルカ殿の瞳の色に似ている、とか、様々な石を真剣に見比べ。

願い、か……それは私を知る事だが。
様々な経験を積むことも大事かもしれないな。

ならば……このトパーズは貴殿が持つと良い。
水の輝きに似て、思わず拾った。
光る物が好きなのだろう?

アレンジ歓迎



「――虹色の星が降ったように、か」
 六枚の翼を広げ、少しだけ浮いたまま。感心した様子で覗き込んだ川の想像以上に美しさに、ルカ・アンビエントは思わず息を飲む。
「キラキラだ……」
 水面へ足を下ろすのを勿体無いと感じてしまったのは、様々な色を抱いて煌めく川があまりにも美しいからだろうか。
「ふむ、これは七色という言葉では追いつかぬ。複雑な色味を帯びて、確かに美しい」
 想いによって紡がれ続けた川――その有り様に率直な感想を零しながらも、ザハール・ルゥナーの瞳はルカの姿を何とはなしに追っていた。
「光るモノに目がない……ルカ殿はまるで鳥のようだな」
 つい一人で小さく笑みを零してしまったのは、川を彩る煌めきに負けないくらいにその目がきらきらと輝いているように見えたから。
 言われた当人は気づいていないのか、水底に煌めく美しい宝石たちにまるで子供のように目移りしていて。そんなルカの姿を横目にザハールも――“本体”であるナイフの刃が錆びてしまわないかと確かめたりなどしつつも、水に入って石を探し始める。
(「……不思議な感覚だな」)
 流れる水の冷たさも、脚に触れる石の感触も。ヒトの姿形を得ることがなければ、決して知ることがなかったものだ。
 ザハールは砂礫を掬い、様々な石を真剣に見比べる。緑の色を見つければ、瞳の色に似ているなどとルカをちらりと見やったりもして。
 一方、果たして勇者が好む石はあったのだろうかとルカは思いを巡らせていた。勇者がこの街を旅立つ時に身につけていたのはルビーのお守りだったらしい、けれど――。
「……あんたは何か願いとかあるのか?」
 川に散りばめられた輝石を掬って川の水と共に小瓶に詰め、願いを込めると――その願いは叶うらしい。
 言い伝えを思い出しながらようやく川の水に足をつけ、ルカは何気なくザハールへ問い掛ける。
「願い、か……」
 問われ、ザハールは暫し思案する。願いと言えば、今の己にあるものはやはり、一つしか浮かばなくて。
「願いは、私を知る事だが。……様々な経験を積むことも大事かもしれないな」
「……、ならこれも、瓶に入れといたらどうですか」
 言うや否やザハールの手のひらに落とされる小さな赤い輝石。ぱち、と瞳を瞬かせるザハールにルカは小さく肩を竦めて。
「ルビー。さっき見つけたんですよ。お守りにいーらしいですよ」
「そうか、……有難く頂戴しよう。ならば……このトパーズは貴殿が持つと良い。光る物が好きなのだろう?」
 代わりにルカへと渡したのは、水の輝きに似た透明感のある水色の輝石。添えられた言葉にルカは小さく眉を寄せ、
「光るものって……さっき鳥って言ったの聞こえてたんですけどね」
「おや、一体何のことだろうか」
 ザハールがとぼける素振りを見せれば、ルカの眉間の皺が少しだけ深くなったような気がしたが、それも束の間。
「……ったく、ん。折角だし貰っておきますよ」
 失くさぬようにと握り締めた小さな石。
 叶うかどうかはさておき、ささやかな願いを託してみるのは、きっと悪くはないだろうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『魂灯る鉱石』

POW   :    肉体労働で採掘、岩石をどける

SPD   :    採掘した石を美しく研磨する

WIZ   :    鉱脈を読み解き、大物を探す

👑11
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 ――勇者ラフィーナ・シャリエ。
 鍛冶屋の家の五人兄弟の長女として生まれ、父と同じ鍛冶屋としての道を歩むはずだった少女。
 父親譲りの豪快で面倒見の良い性格で、小さな頃から近所の子どもたちのリーダー格として駆け回っていた――らしい。

 その彼女が、小さな輝石から“天啓”を受けたのは齢十八の時。
 天啓がどのようなものであったかは伝えられてはいないけれど――ラフィーナは自らの手で鍛え上げた武器と共に旅立ち、そして二度と帰ることはなかった。
 けれど、彼女が伝説の勇者の一人として沈みゆく群竜大陸と運命を共にしたという話は人伝に街へ齎され、人々は彼女に敬意を表し、街の名を“ラフィーナ”と変えたのだった。

 街でのひとときを過ごした猟兵たちは、街を囲む森を抜けた先にある、鉱山に訪れていた。
 内部に魔物の気配が感じられるようになったのは、つい先日のこと。
 魔物のせいで新たな石の採掘が出来ず、このままでは輝石の星掬いだけでなく、街の経済にも深刻な影響が出てしまう。
 そこで、腕の立つ冒険者――もとい、猟兵たちに、魔物退治が依頼された。
 内部の鉱石は好きな物を持ち帰っても良いとのことで、必要があれば加工したり報奨金と引き換えるなどしてくれるそうだ。
 そして、猟兵たちは内部に巣食う魔物たちを倒すべく、奥へと進んでいく。

 ところどころに灯る仄かな光は人工のものではなく、鉱石自体が放っているのだという。
 この地に息づく魔力を蓄えた石たちが光っているのだと言われているが、詳しいことはわかっておらず、また掘り出して少し経てば光は消えてしまう。
 だが、街の人々が言うには――稀に、石に触れた時に何らかの記憶や情景を“視る”者が現れる時があるのだそうだ。
 それは、かつて勇者ラフィーナが視た天啓のようだとも言われている。

 ――例えば、未だ見ぬいつかの光景であったり。
 過去に置き忘れてきた何かであったり。
 大切な、誰かの姿であったりするかもしれない。

 けれど、それはあくまでも一瞬、目に視える幻に過ぎないと街の者は告げただろう。
 だからどうか、くれぐれも囚われることのないように――と。
真幌・縫
鉱山ってちょっぴり怖いね(言いながらぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる)
でも、鉱石が仄かに光ってるのはとても幻想的…。
天啓ってなんだろうね。それを受けて動かざる得なかった勇者さんもすごいね。
(そっと鉱石に触れると見知らぬ景色が)

これ、ぬいがいつか行くところなのかな?それなら少しワクワクするね。

鉱石が取れないと星掬いのお祭りも出来なくなっちゃうのかな?
とっても素敵なお祭りだったから。
ぬいはそれを無くさないために戦うね。

アドリブ連携歓迎です。


パルピ・ペルポル
楽しませてもらったし、報酬も出るなら受けない理由はないわね。

鉱山に行く前に魔物の情報を集めておくわ。
気配がするという話だから直接見た人はいないのかしら。
あ、一応灯りがあったほうがいいわよね。

鉱山内では奇襲とか受けないように警戒はしつつ、光る石の大物を探すとするわ。
マッピングもしておかないと鉱山内って複雑だったりするし。
光っているのは同じ種類の鉱石だけなのかしら。
私にも何か視えるかしら。むしろ"視せて"いるのかしらね。
どうせなら群竜大陸の位置でも視せてくれたら楽なのだけれど。
勇者の記憶ぐらいならいけるかしら。

もし幻に囚われている人がいたら、肩でも叩いてみるわ。
魔物がいるわけだし、危ないしね。


アーチス・カーライル
アドリブ・絡みOK

石が記憶や情景を視させる…へぇ、面白いわ!とっても興味深い!
この光る鉱石は、何か不思議な力を持っているのね。
幻惑か、夢か…勇者の天啓の伝説と合わせて、大事な研究対象になりそうだわ。

ということで、ちょっとだけ持って帰らせてね!
持ち帰れそうなやつをちょこっといただくわ。
それで、うん、磨いてみるのもいいかもしれないわね。綺麗になったらどんな色になるのかとか気になるし。

ねぇ、あたしにも、不思議な光景っていうものを視させてくれるのかしら?



「石が記憶や情景を視させる……面白いわ! とっても興味深い!」
 坑内に満ちている、光る鉱石。それらが持つ不思議な力に、アーチス・カーライルが抱いたのは純粋な興味だった。
「……でも、鉱山って、ちょっぴり怖いね」
 真幌・縫はそう言いながら、翼持つ猫のぬいぐるみ“サジ太”をぎゅうっと抱きしめる。
「ここの鉱石が取れないと星掬いのお祭りも出来なくなっちゃうのかな?」
「大丈夫よ! お祭りを守るために、あたしたちはここに来たんだもの! それに、一人じゃないわ」
 アーチスが明るく笑って言えば、縫もこくりと頷いて。
「とっても素敵なお祭りだったから、ぬいも、それを無くさないために戦うね」
 二人で内部を進んでいく。右を見ても、左を見ても、埋め込まれた鉱石の光は明るく柔らかく内部を照らしており、縫はこわいと思う気持ちがほんの少しだけ和らいだような気がした。
「この光る鉱石は、何か不思議な力を持っているのね。幻惑か、夢か……勇者の天啓の伝説と合わせて、大事な研究対象になりそうだわ」
 アーチスの独り言に、縫が目を瞬かせる。
「天啓ってなんだろうね。それを受けて動かざる得なかった勇者さんもすごいね」
 一人の街娘として、あの街で生涯を終えるはずだった少女ラフィーナを、外の世界へと導いた――否、引っ張り出した“天啓”とは。
 そんなことを考えながら、縫は光る鉱石へと手を触れさせる。
 すると、彼女の視界いっぱいに、彼女が未だ知らない場所、あるいは世界の景色が一瞬映って消えた。
「……これ、ぬいがいつか行くところなのかな? それなら少しワクワクするね」
 縫に倣って、アーチスもまた、光る石へと。
「ねぇ、あたしにも、不思議な光景っていうものを視させてくれるのかしら?」
 触れれば、誰かが優しく自分を呼ぶ声が、聞こえたような――気がした。
(「……今のは、誰だろう……?」)
「おーい、そこの君たち、大丈夫?」
 すると、後ろから掛かる声。肩をとん、と叩かれて振り返った縫は、思わず声の主を探してから、目の前を飛ぶパルピ・ペルポルの小さな姿に気がついた。
「いつ魔物が出てくるかわからないから、ぼーっとしてるのは危ないわよ」
「わあっ、フェアリーさん、こんにちは!」
「うんっ、妖精のおねえさん、ありがとう」
 お姉さんと呼ばれたパルピは、心なしかくすぐったそうだ。
「パルピよ、お姉さんって呼んでもらえるのは嬉しいけど。君たちは?」
「ぬいはぬいっていうの。それから、この子はサジ太。お姉さんは、石の記憶、みた?」
 縫はぺこりとお辞儀をする。縫の手の中のサジ太も一緒にだ。
「あたしはアーチス・カーライルよ、よろしくね!」
「縫にサジ太、それからアーチスね。あたしはまだ石には触れていなくて。ここまでマッピングしながら来たけど、大物にはまだ逢えてないのよね」
「じゃあパルピさん、ぬいも一緒に探すよ」
「勿論、あたしも一緒に行くわ! 皆で行けば怖くないわ!」

「ちょっとだけ持って帰らせてね!」
 と、アーチスは歩きながら、持ち帰れそうな原石を少し拝借。
 磨けばきっと綺麗な色を見せてくれることだろう。その期待も込めて。
 どうやらここには蝙蝠のような魔物が棲んでいるらしい――とは、パルピがここに来る前に得てきた情報だ。
 一応灯りは持参したが、鉱石の光で十分そうで。けれど、奥へ続くにつれて、やはり光は減ってきているようだった。
「魔物が食べちゃったのかな?」
「可能性としては、ないとは言い切れないわね……っと、あれは、」
 翅を震わせながら見つめる先には、大きな光。
「大きい! きっとすごいものが見られそうだよ」
 縫がはしゃぐように声を上げ、パルピを呼ぶ。光っているのは様々なものだとわかる。赤い光、青い光、緑の光――水晶の透明な光も煌々と・
(「私にも何か視えるかしら。むしろ“視せて”くれるのかしらね」)
 どうせならば群竜大陸の位置でも視せてくれたら楽なのだけれど――やはり、そう上手くはいかないもので。
「……!」
 パルピが石に触れた瞬間には、既に終わっていた。
 一瞬の邂逅。まだ幼い、赤い髪の少女が、大人たちに混じって楽しげに採掘している姿。
(「あら、カワイイじゃない」)
 視えた少女――ラフィーナの顔は、とても晴れやかな、楽しそうな――年相応の少女のものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリス・ステラ
イデア(f09399)と参加します

【WIZ】

「足もとには気を付けてください」

鉱石がほのかに灯す光景は幻想的です
けれど、鉱山を十分に照らすには心許なく、私は指先をそっと伸ばす
微かに煌めいた輝きが、片手に下げたランタンに宿り周囲を照らしだす

採掘を始めたイデアを再び星枢によるダウジングと『第六感』で導きます
ふと触れた石が、刹那、幻を映し出す
桜の大樹と満天の星々の輝き、それは瞼を閉じればすり抜けるように消える
傍にいたイデアも動きを止めていて、

「悲しいのですか?」

私は静かに問いかけると、そっと彼の手を包み込むように握る
哀しみを溶かすことはできなくても、ぬくもりを伝えることはできます
そうすればいつかきっと


イデア・アイオンハート
【マリス(f03202)】お姉さんと引き続き参加。

鉱山内部を離れない様に行動。
鉱石が光る訳は分からないけど、その景色は綺麗に映り。
「これが鉱山や鉱脈なのか」と興味津々。

能力値:POW

考えるより動く、ピッケル等道具があるなら利用して採掘。『野生の勘』も使用し鉱石が有りそうな所を掘る。
此処でも瑠璃や黒瑪瑙が採れたら加工してもらおうかな。

・もし【視る】事が有ったら

満月の下、草原の中仰向けで空を見。身体や周囲は自分の血で汚れ、傍らには自分でない者の名を呼ぶ少女の悲しい顔と涙。

現実味帯びた感覚からこの景色はおそらく自分の前世だろう、と何処か暗い気持ちに。

「大丈夫、何でもない」と少しだけ強がる。



 仄かに灯る鉱石が照らし出す光景は幻想的ではあるけれど。
 内部を十分に照らすには心許なく、マリス・ステラは片手に携えたランタンにそっと指を伸ばす。
 触れた指先からランタンへ伝うのは、微かに煌めいた輝き。その光で以て更に内部を照らしながら、マリスはゆっくりと内部を進んでいく。
「――足元には気を付けてください」
 振り返ればはぐれぬよう背を追ってきていたイデア・アイオンハートが、はい、と頷く。壁や天井に灯る鉱石たち。彼らが光る理由は分からないけど、その景色は綺麗なもの。
「これが、鉱山や鉱脈なのか……」
 イデアの口から零れる言葉も、興味津々といった風で。そうして光る壁を見上げていたイデアは、マリスへと振り返った。
「マリスお姉さん、俺、ここがいい」
「わかりました。イデア、貴方の望むままに。私もお手伝いをしましょう」
 ありがとうと頷き、イデアはピッケルなどの道具を使って、壁の採掘を始める。瑠璃や黒瑪瑙が採れるのならば、加工してもらうのもきっと良いだろうと考えながら。
 一方、マリスはランタンの光を絶やさぬよう気を配りつつ、星の力を宿した鎖を垂らして大地へと、イデアが望む石の在り処を問い掛けた。
 その時、ふと触れた石が、刹那、幻をマリスの視界に映し出す。
(「……そう、ですか」)
 それは、桜の大樹と満天の星々の輝き、美しい瞬間は、瞼を閉じればすり抜けるように消えていた。
 そうして傍らを見やれば、イデアが輪郭が見えていた光る鉱石へと手を伸ばしていた。
 次の、瞬間――。
「……!」
 イデアは一つの光景を“視た”。
 暗い空には満月。それを見上げている傷だらけの自分と、傍らで誰かの名を呼ぶ少女の声と涙に濡れた顔。
 あれはきっと、今ではない、いつかの自分なのだろう。現実味を帯びた感覚は、イデアにそう確信させるには十分だった。
「悲しいのですか?」
 マリスが静かに問う声に、イデアは首を横に振る。
「大丈夫、何でもない」
 けれど、その声が強がっているように聞こえたから。
 マリスはそっとイデアの手を包み込むように握り締めた。
 哀しみを溶かすことは出来なくとも、こうして手を重ねれば、ぬくもりを伝えることは出来る。
 ここにいると、伝えられる。
 そうすれば、いつかきっと――哀しみもぬくもりに、変わる日が来るかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

糸縒・ふうた
鉱山を調べられるなんて滅多にない
折角だから色んな所をみて回りたいな

【喚び聲】でかぞくを喚んで一緒に探検しよう

森とも街とも違う足場は
うっかりしてると転んじゃいそうだから気をつけて

かぞくとオレの【野生の勘】を併せて
気になる所を探してみようか

疎らに灯る仄光の中を歩いて
その中でもまろい光を放つそれ、に、手を伸ばして
――わぁ、

チカッとした中に誰か、いた気がするのに
眩しかったのは――視えたのは、一瞬で

残念
誰なのかも、何なのかもわかんなかったな

勇者と共に在った彼女は
その目で何を観て、何を想ったんだろう

かぞくに問いかけても首を傾げるばかりで
そうだよね、オレもわかんない
だからそれを、探しに、見つけに行きたいな



 たくさんの“かぞく”と共に、糸縒・ふうたは坑内を探検していた。
「転ばないように気をつけて」
 靴裏に当たるのは、森の地面とも街の石畳とも違う感触。人の足によって踏み固められてはいるものの、転がる岩や小さな石たちはともすれば躓いてもおかしくないそれで。
 ふわり、疎らに灯る仄かな光の中を、ふうたは宛てもなく辿っていく。
 時に道が分かれた時には、かぞくの皆にもどっちがいいか聞きながら。
 大きな部屋、小さな部屋、石を運び出すのに使っているらしい手押し車やつるはし、スコップなど、様々な道具が雑多に置かれた部屋もある。
 そうして歩いていたその時、不意に。
 ――誰かに、何かに呼ばれたような、気がして。
 己とかぞくの皆を囲む、優しく穏やかな光を放つ鉱石。そのひとつに、ふうたはそっと手を伸ばした。
 ぱちり、指先に伝う小さな衝撃。
「――わぁ、」
 同時に、眩い光が弾けて消える。
 ほんの一瞬。そこに、“視えた”のは――。

「……残念」
 ぼんやりとシルエットは視えたような気もするけれど、それが誰なのかも、何なのかもふうたにはわからなくて。
(「――彼女は、」)
 かつて勇者の一人として、たくさんの仲間たちと共に在った“彼女”は、長い旅路の中で何を観て、何を想ったのだろう。
 戦うことは怖くなかったのだろうか。
 死ぬことは、こわくなかったのだろうか。
「……そうだよね、オレもわかんない」
 かぞくに問いかけても、まるで想像がつかないとばかりに首を傾げるばかりで。
 だから、と、ふうたは思うのだ。
 それを探しに、見つけに行きたいと。

「……、――」
「どうしたの、何か、……、」
 ふと、風に乗って流れてくる臭いに、狼たちが鼻を動かす。
 同時に、ふうたもその先に“何か”があることを感じ取っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
ふふん、まあ私の弟子であれば
見慣れていて当然であろう

然しこれ程迄魔力を蓄積する石とは実に興味深い
いっそ鉱山自体を買い占めたい位だ…まあ待て冗談だ
疾く魔物の討伐を終えるのも重要だが
気が張ってばかりは疲れよう
お前も鉱石でも眺めてみては如何だ?
等と戯けつつ周囲の警戒は怠らぬ
…何より石に魅入られては厄介故な

透明度の高い鉱石を従者が眺める最中
石越しに重なり見えたのは己と瓜二つの姿
かつて奪われた灰色の片割れ
セ――名を呼びそうになり口を噤む
…全く、嫌な物を見せてくれる

気遣わしげな視線に苦笑を湛え
なに、石の秘める魔力に驚いただけだ
…そうさな
頭上を見上げながら
偶にはジジの提案に乗るとしよう


ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と共に

魔力灯る鉱脈
何故か見慣れているような、と振り返り

師父、この奥に魔物がいるという話だ
あまり気を散らすな
そして志が高いにも程があろう

…美しい石は嫌いではない故、異論は無いが…
くれぐれも良からぬ物に魅入られぬ様

溜め息など吐きつつも
砕けた岩石を力任せに除け
間にひかる欠片を掌へ
――一瞬、視界を奪った朝焼けの空
瞬きの間に消え去れど
石の向こうには同じ彩持つ師
過去も今も、出逢った時から褪せぬ色は、しかし
…師父?
その苦い表情に思わず声を

なら手土産にしてはどうだ
なにかを隠す素振りには気付けども
今は暴かれるべき時ではないのだろう

…下を向いていては危険だ
そら、頭上が星空のようだぞと手を引いて



 魔力灯る鉱脈を、何故か見慣れているようなとジャハル・アルムリフは師父――アルバ・アルフライラを振り返る。
「まあ私の弟子であれば、見慣れていて当然であろう」
 何を当たり前のことをとばかりにアルバはふふんと得意げに。
「然しこれ程迄魔力を蓄積する石とは実に興味深い。いっそ鉱山自体を買い占めたい位だ……」
 どうやら石に夢中な様子の師父に、ジャハルは細い釘を刺す。
「師父、この奥に魔物がいるという話だ。あまり気を散らすな。そして志が高いにも程があろう」
 ジャハルの言葉が何故だかざくざくと突き刺さる心地がするのは、おそらく気の所為ではないだろう。
「……まあ待て冗談だ。疾く魔物の討伐を終えるのも重要だが、気が張ってばかりは疲れよう。お前も鉱石でも眺めてみては如何だ?」
 などと戯けつつも、アルバは決して周囲の警戒を怠るようなことはしない。
「……美しい石は嫌いではない故、異論は無いが……くれぐれも良からぬ物に魅入られぬ様」
 何より“石”に魅入られては厄介だと、アルバもジャハルも良く知っている。

 溜め息など吐きつつも、ジャハルは砕けた岩石を力任せに除け、間にひかる欠片を掌へ。
「――っ、」
「セ――、」
 一瞬、二人の視界を奪ったのは、生命の始まりの輝きに満ちる朝焼けの空。
 空は瞬きの間に消え去れど、石の向こうには同じ彩持つ師の姿。
 過去も今も、出逢った時から褪せぬ色は、紛れもなくジャハルが知っているはずのものだ。しかし――。
「……全く、嫌な物を見せてくれる」
「……師父?」
 アルバの苦い表情に、ジャハルは思わず声を向け。
 弟子の気遣わしげな視線に、アルバは苦い笑みを交えて。
「なに、石の秘める魔力に驚いただけだ」
 ――ジャハルが“誰か”を視たと同時に、アルバが石越しに重ねて視たのは、己と瓜二つの姿。
 それは、アルバにとってかつて奪われた灰色の片割れ。
 アルバは名を呼びそうになって、口を噤んだ。ただ、それだけのことだ。
「なら、この石を手土産にしてはどうだ」
 何事もなかったかのように、ジャハルは言の葉を繋ぐ。
 師父の口から紡がれかけた音には気付いていたが、途切れたその続きは、今は暴かれるべき時ではないのだろうと――ジャハルはすぐに理解した。
 ゆえに、それ以上を口にすることなく、ただそっとアルバの手を引いて。
「……そうさな。偶にはジジの提案に乗るとしよう」
「それに、……下を向いていては危険だ。そら、頭上が星空のようだぞ」
 ジャハルに手を引かれ、アルバは天井へと目を向けながら歩いていく。
 空は遠いのに、天井は近くて。
 まるで、そこにある柔らかな光の星が、今にも降ってきそうなほどの輝きで、往くべき道を照らし出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザハール・ルゥナー
ルカ殿(f14895)と
天啓、道を示す画か。
先か、過去か。何が見えるのか、少し楽しみなのだが。

魔力を孕んだ輝き、これもまた美しい。
触れれば儚く消えてしまうのだったか。
興味本位にあれこれ触れぬよう気をつけつつ、ある輝きに思わず指を伸ばす。

ある部隊の最後の日を視る。
倒れていくものの中に、自身によく似た面影を確認したところで、幻は消え。

――心が軋む、というのはこういう事なのだろうか。
先程の小瓶を緩く握りつつ。
ルカ殿が幻視に捕らわれているようなら、揺さぶり引き戻す。

……私が見ていると都合が悪そうならば。
落ち着くまで、背を向けていよう。

この先、敵を前に背を任せるのだ。
気が晴れるまで、暫し。

アドリブ歓迎


ルカ・アンビエント
ザハール(f14896)と
天啓ねぇ…
役立つもんならまぁいいと思いますけど

魔力を帯びた石はこう光るのか
川にあったのとは少し違うんだな…
覗き込めばふいに手が触れていた

視えたのは最期の日
別れ際の部隊の皆の姿
そっちは駄目なんだと
追いかけようとすれば、音がした
呼び戻されるように足が止まり

幻が消え去れば見知った顔
ザハール…。…あんたが起こしてくれたんですか

その顔に思い出すのは部隊の上官のこと
名を呼びかけて口を噤む

なんで、俺は…(生き残ったんだ

ちりん、とひとつ小瓶の音に顔を上げる
さっきの、こいつの音だったのか
それと、律儀に背を向けてるあいつ、か

もう、大丈夫ですよ

緩く頭を振るって声をかけるよう


アドリブ歓迎



 天啓、道を示す何か。
 先か、過去か。――そこに何が見えるのか、ザハール・ルゥナーは少しだけ、楽しみにしていた。
「天啓ねぇ……役立つもんならまぁいいと思いますけど」
 例えば明日の賭博の結果。災いを避けて通れる道――明日を生き抜くために必要なと言うよりは、あると嬉しい何かでも。おいしい肉屋の割引情報とか。
(「いや、さすがにそーいうのは。空気読めって石に怒られそうだ」)
 考えて、ルカは想い直す。そうしてまじまじと、目の前で淡く光る石を覗き込む。
「魔力を帯びた石はこう光るのか。やはり川にあったのとは少し違うんだな……」
 そうしていると、不意に、手が触れていた。

 ほぼ同時に、
 魔力を孕んだ輝きは、これもまた美しく。
 触れれば、取り出せば、儚く消えてしまうのだったかと聞いてきた記憶を探りながら、ザハールは興味本位にあれこれ触れぬよう気をつけつつ見ていたけれど、、不意に、ある輝きに思わず指を伸ばしていた。
「……、っ、」
 ザハールは思わず息を飲む。
 視えたのは、“過去”――或る部隊の最期の日の、その一瞬。
 倒れていく者たちの中に、自身に良く似た面影を見出したところで、幻は消えてしまった。
「……嗚呼、」
 ――心が軋むとは、こういうことなのだろうか。
 先程川で掬ってきた輝石が眠る小瓶を緩く握りつつ、暫し胸裡に想いを揺らしていたら――傍らのルカの様子がおかしいことにザハールは目を瞠る。

 そう、ルカもまた、一瞬の幻を“視て”いたのだ。
 ――それは、“最期”の日。
 別れ際の部隊の皆の姿。
 そっちは駄目だと、行っては行けないと、届けたい想いは声にならず。
 追いかけようとしても、足は動かず、代わりに澄んだ何かが打ち鳴らされたような音がした。
 ――否、呼び戻されたのだ。
 幻が消えれば、ルカを覗き込むザハールと目が合った。
 そして同時に、己は揺さぶられていたのだとルカは気がついた。
「戻ったか、ルカ殿」
「……ザハール、あんたが起こしてくれたんですか」
 ルカの意識がしっかりと現実へ戻っていることを確かめてから、ザハールは、ルカを掴んでいた両手を離す。
 そうして、ゆっくりと背を向けた。
「……私が見ていると都合が悪いのならば。落ち着くまで、背を向けていよう」
 この先、敵を前に背を任せるのだから、ここで心を乱したまま戦いに臨むわけにはいかないから。
 気が晴れるまで、暫し、立ち止まるのも悪くはないだろう。
「……全く、あんたって人は」
 それでもその心遣いが嬉しくて、ルカは口を噤む。
 ザハールの顔を見ていたら、もうどこにもいない“彼”を思い出してしまいそうで。――名を、呼んでしまいそうで。
「なんで、俺は……」
(「――生き残ったんだ」)
 噤んだ唇はいつしか強く噛み締められて、何かを堪えるように。
 ――ちりん、
 その時、聞こえた音に、ルカは顔を上げる。それは先程も聞いた、澄んだ何かが揺れる音。
(「さっきの、こいつの音だったのか」)
 それと、まだ律儀に背を向けてるザハールの姿が、心なしか少しだけ小さく見えたのはきっと、気のせいだろう。
 ルカは緩く頭を振るい、それから、声を掛ける。
「もう、大丈夫ですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泉宮・瑠碧
好きな鉱石を持ち帰っても良いというのは、また…
それ以上に困ってはいるのだろうが
大盤振る舞い過ぎでは無いのだろうか

それにしても、鉱山内だというのに灯りに困らないな
光を蓄えた鉱石が綺麗で
そっと触れてみると

ふ、と
対照的な二人の娘が視えた気がした
凛々しく勝気そうな太陽の様な娘と
その影に隠れる内気そうな月の様な少女

…姉様
と、そう認識すれば太陽の娘は笑顔で消え
取り残された月の少女は泣きそうな顔をして消えた

太陽の娘の指に嵌まっていた玩具は
今は僕の…私の元にある

…自分の姿は殆ど見てこなかったから朧気でも
姉様の笑顔は昔から変わらない
いつも元気付けられて
…最期まで変わらなかった

その貴女を胸に私は…
僕は、先へ進もう



「好きな鉱石を持ち帰っても良いというのは、また……」
 それほどまでに、冒険者への信頼と期待が厚いものなのかはともかく。
 おそらくは余程困っていたのだろう。けれど、それにしても少々大盤振る舞い過ぎではないのだろうかと街の人々を案じつつ、泉宮・瑠碧は深い青の瞳に柔らかな光を映す。
 陽の光の届かない、鉱山の中。だというのに全く灯りに困らないほどに、魔力を蓄えた石たちが放つ光は優しくも綺麗で。
 そっと手を伸ばし、触れてみると――瑠碧の視界を一瞬、眩い光が覆った。
「……っ、」
 凛々しくて勝気そうな、太陽のような娘。
 その影に隠れる、内気そうな、月のような少女。
 対照的な二人の娘を、少女を、瑠碧は知っていた。
「……姉様」
 呼ぶ声にこちらを“視た”ような気がしたのさえ、幻だというのだろうか。
 太陽の娘は、大輪の花のような笑顔を浮かべながら姿を消し――。
 その場にひとり取り残された月の少女は、今にも泣きそうな悲しげな顔をして瑠碧の前から掻き消えた。
 もう一度瞬いた瑠碧の視界には、先程と変わらぬ鉱山の光景が戻っていて。
 瑠碧の指先が無意識に、服の上から“それ”の形をなぞる。
 太陽の娘の指に嵌まっていた、花の刻印のある玩具の指輪。
 彼女が生きた証でもあるそれは、今は瑠碧の元にある。
 幻の中でも己の姿はどこか朧気だったけれど、姉の笑顔は昔も今も変わらない。
 彼女の笑顔にはいつも元気を、勇気を与えてもらって。
 ――それは、最期まで変わらなかった。

 瑠碧はほんの束の間、祈るように目を伏せ、そうして、再び前を見る。
 今までも、これから先も。
(「貴女を胸に、私は……」)
 ――僕は、先へ進もう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
■櫻宵(f02768)
アドリブ歓迎

「櫻宵!櫻宵!みて、石がぴかぴかしている!」
今度は寝坊しなかった

鉱山は初めてで少し心配だったけれど
櫻宵がいてくれるから大丈夫
繋がれた手が嬉しくて
胸がどきどきする

触るとなにか見えるの?
「過去は、みたくないな。嗚呼、もし君の過去がみえたら」
僕の櫻を傷つけたあの女が
そしたら
僕は歌って、鉱山ごと水没させてしまうかもしれない
ええ?鉱山って斬れるものなの?櫻宵

笑いながら耀に触れる
「わぁ……!」
目の前に広がったのは僕のしらない季節の光景
青いぼーるみたいな花に、黄色い大きな花の絨毯
なぜ木の葉が紅いの?
櫻宵あれは何?これは?
瞬く幻に心が躍る

みせて
教えて
本物を、君と
君の隣で観たい


誘名・櫻宵
🌸リル(f10762)
アドリブ歓迎

お寝坊さん
待ってたわリィ

ぴかぴかな石もいいけど
笑うあなたが綺麗で素敵
あなた自身が白い宝石のよう
美しい白が汚れないように気をつけなきゃ
手を繋ぎながら鉱山を歩く
力仕事はあたしがんばるわ
か弱いけど

天啓ねぇ
何がみえるかしら
過去は見たくないわ
鉱山ごと水没なんて…あら怖い
あたしもあなたを閉じ込めて奴隷にしてたあの男がみえたら鉱山ごと斬ってしまうかも
可愛いリィの為ならなんでも斬るわ

煌めく石に触れれば
見えるのは
これからの季節の光景
紫陽花の館に
向日葵畑
燃えるように紅い紅葉

リィが笑いあれは何?と瞳を煌めかせる度に
あなたと過ごす未来に心が躍る
全部全部みせてあげる

あなたの笑顔の為に



「櫻宵! 櫻宵! みて、石がぴかぴかしている!」
 淡い輝きを指差しながら、胸も声も弾ませている様子のリル・ルリを見て、誘名・櫻宵は目を細める。
「ぴかぴかな石もいいけど、リィ、……笑うあなたが綺麗で素敵で、あなた自身が白い宝石のよう」
 真っ直ぐに向けられた言葉と笑みに、リルの頬に忽ちの内に熱が灯る。
「……っ、そんな、褒めても何も出ない……」
「あら、こんなに可愛い顔を見せてくれるだけで十分よ。――さぁ、お手をどうぞ」
 差し伸べられた櫻宵の大きな手に、リルは華奢な手を重ね。
 初めて訪れた場所に対する少しの不安も、櫻宵がいてくれるから大丈夫だと思うと同時に、リルは鼓動が高鳴るのを感じていた。
「美しい白が汚れないように気をつけなきゃ。任せて、力仕事はあたしががんばるわ。……か弱いけど」
「……か弱い?」
「……うん?」
「――うん、そうだね、櫻宵はか弱い」
 有無を言わさぬ櫻宵の笑顔に、リルは頷くことしか出来なかった。

 二人の道行きを優しく照らす石には、まだ触れることはなく。
「天啓ねぇ、何が視えるかしら。――あたしは、過去は見たくないけれど」
 櫻宵が何気なく零した音に、リルの睫毛が微かに震える。
「過去は、僕も視たくないな。嗚呼、もし君の過去が視えたら」
 ――僕の櫻を傷つけたあの女が、視えてしまったら。
「そしたら僕は歌って、この鉱山ごと水の底に沈めてしまうかもしれない」
「鉱山ごと? あら怖い。……でも、あたしもあなたを閉じ込めて奴隷にしてたあの男が視えたら、この山ごと斬ってしまうかも」
「ええ? 鉱山って斬れるものなの? 櫻宵」
「勿論、可愛いリィの為ならなんでも斬るわ」
 想像さえ難しいような途方もないことを、いつもと変わらぬ笑みを浮かべて言うものだから。
 ――本当に斬れそうだと、思ってしまうのだ。
「ねぇ、折角だから。一緒に触ってみましょう?」
 笑み交わし、煌めく石に重ねる手。
 ――刹那、
「わぁ……!」
 二人の目の前に広がったのは、これからやって来る季節の彩。
 紫陽花の館に、向日葵畑。それから、燃えるような紅葉の紅。
 二人で見た淡く優しい桜とも違う、鮮やかないろ。
 それは、櫻宵が知っていて、リルが知らない風景。
「――櫻宵、」
 青いボールみたいな花に、黄色い大きな花の絨毯。
 なぜ木の葉が紅いのかも、リルにはわからない。
 瞬く幻に心踊らせ、瞳を煌めかせながら一つ一つ尋ねてくるリルに、櫻宵は柔らかく微笑んで答えを告げる。
 共に過ごす未来を想えば、心が踊るのは櫻宵も同じ。
「全部、――全部みせてあげる」
「うん、みせて、教えて」

 本物を、君と一緒に。
 君の隣でみたいと――想うのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユニ・エクスマキナ
清史郎くん(f00502)と!
はぁ~美味しいもの食べてユニ超幸せ!
ふふっ、素敵なお買い物もできたしね
頼まれちゃったからにはユニも頑張るのねー!

わぁ~…素敵ね
お伽話の世界みたい!
キラキラ光る石を見つけては反射的に触ろうと手を伸ばし
はっと気づけば置いて行かれてるー!?
清史郎くん待ってー!

あ!ねぇ、見て!
この石、イチゴの色でとってもキレイ!
石に触れた瞬間、ふわっと目の前に広がったのは…
あれ?こんな景色知らないなぁ
もしかして未来の光景?
あの姿、見覚えが…
うーん…でもなんかやってることはいつもと変わらないのね
でも、一緒にいてくれる人が笑顔だったらユニも幸せだから

大丈夫?
ぼんやりしてると危ないのねー!


筧・清史郎
ユニ(f04544)と共に

ビルベリーの氷菓子や蜂蜜ミルクは美味だった
それに装飾屋の店主に頼まれたからには断れぬな
この美しき鉱石の街が輝きを失わぬよう、その一助となれば

「鉱石自体が放つ光か。幻想的だな」
ユニより数歩先行し慎重に進もう
――勇者ラフィーナが視た天啓、か
そっと桜色に光る石を見つけ触れてみる

瞳閉じれば…硯箱で在った頃の記憶
幾人もの主に触れられる事は常だったが
桜咲く中、最後の主に、俺から初めて触れた日
病で天へと召された幼き少女は軽く、そして既に冷たかった
俺は特に生に執着はないが、様々な事を体験し感じたいと
あの日以来、強く思っている

ふと瞳開けば、友の顔が
「油断せずに征こう」
そう、微笑み返そう



「はぁ~美味しいもの食べてユニ超幸せ!」
「ああ、ビルベリーの氷菓子や蜂蜜ミルクは美味だった。それに装飾屋の店主に頼まれたからには断れぬな」
「ふふっ、素敵なお買い物もできたしね。頼まれちゃったからにはユニも頑張るのねー!」
 先程の街での出来事を思い返しながら、この美しき鉱石の街が輝きを失わぬよう、その一助となるべく――筧・清史郎とユニ・エクスマキナは坑内を進む。
「鉱石自体が放つ光か。幻想的だな」
「わぁ~……素敵ね。お伽話の世界みたい!」
 ユニより数歩先行し、前方を警戒しながら慎重に進んでいく清史郎。
 一方、ユニは――。
 右にも左にも、上にも下の方にも、キラキラ光る石を見つけては、反射的に触ろうと手を伸ばし――かけて、気がついた。
 然程離れていなかったはずの清史郎の背中が、随分と遠く小さくなっていることに。
「あっ、あれっ? 清史郎くん待ってー!」
 ぱたぱた、ユニが清史郎を追って駆け出した頃。
「――勇者ラフィーナが視た天啓、か」
 清史郎は桜色に光る石を見つけ、静かに手を伸ばしていた。

 ――瞳を閉じれば、清史郎の眼裏に映るのは、かつての、硯箱で在った頃の記憶。
 幾人もの主に触れられることは常だったが、その日は、清史郎が自ら最後の主に触れた日だった。
 美しい、桜が咲いていた。
 病で天へと召された幼き少女は紙のように軽くて、そしていのちの熱を失った小さな身体はとても冷たかった。
 あの日以来、清史郎は心に強く想っていることがある。
 それは、生への執着ではなく。人の身を得たがゆえに叶えられるであろうたくさんのことを成したいという、誓いにも似た想いだ。
「大丈夫? ぼんやりしてると危ないのねー!」
 ふと清史郎が瞳を開けば、心配そうに覗き込んでくる友の瞳と目が合った。
「ああ、大丈夫だ。油断せずに征こう」
 そう微笑みを返すと、ユニは安心したようにうん、と頷き、笑って。――けれど、すぐに。
「あ! ねぇ、見て! この石、イチゴの色でとってもキレイ!」
 声を弾ませユニはたまらず手を伸ばし、今度こそ輝石に触れた。
「――、わぁ!」
 石に触れた瞬間、ユニの目の前にふわりと広がったのは――。
(「……あれ? こんな景色知らないなぁ」)
 もしかして、未来の光景だろうかとユニは思う。だが、そこに“居る”誰かに、ユニは見覚えがあった。
 わずか一瞬の、邂逅。それでも、わかったのは。
(「うーん……でもなんかやってることは、いつもと変わらないのね」)
「……何か視えたか?」
 清史郎が問う声に、ユニは笑顔で頷いてみせる。
「あのね、一緒にいてくれる人が笑顔だったら、ユニも幸せだから。だから、頑張るのね!」
 そうしていつか、この先に続く道の向こうで。
 もう一度“あなた”に、逢えますように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジナ・ラクスパー
宝石箱みたい…!
この光が輝石に宿る魔力なのですね
跳ねる光に心も急き立てられて、わくわく
行きましょう!とメーリ様(f01264)の手を引いて奥へ

空色と並んだ藍色のあかり
手を伸ばして触れたらふわり、見覚えのある後ろすがた
姉様?とつい呼んで、でも少し違う
しゃんと背を伸ばして、強い眼差しでこちらを見つめて消えたひと
誰かを護る盾のあなたは…

気づいたらちょっと恥ずかしくなって
掌で頬冷やしながら、こっそり
…笑わないでくださいませね
たぶん、なりたい私を見たのです

天真爛漫なメーリ様に、恥ずかしさも少し和らいで
きっとなれます!と太鼓判
未来はこれから歩む道の先
並んで歩く友達がいるから、決して怖くはないのです


メーリ・フルメヴァーラ
ジナ(f13458)と

すごいね…!
ぽかんと口開け視線だけ大忙し
視界全部きらきらしてまぶしい
まだ見ぬ耀きにわくわく

ジナと指差し歩いた先に見つけたのは
空色輝石
そっと触れた向こう側には
見たことのない女の人がいた

背筋伸ばしたあなたはだあれ?
お母さんにも似てるけど違うね
いつだって好奇心に心躍らせ
前を向いて歩くその姿

ああ
まるで

はたと気付いて人心地
ジナの服の袖を引いて囁くの
今ね
未来の私がいたんだよ
綺麗だったけど中身全然変わってなかった!

ジナも?
どんな人だった?
わあすごい素敵!
…あんなに綺麗になれるかな
自分で言うの恥ずかしいね!

少しだけ
怖いけど怖くない
明日の私達に逢いに行こうね

まだ見ぬ未来にもきっとわくわく!



「すごいね……!」
「宝石箱みたい……!」
 メーリ・フルメヴァーラはぽかんと口を開けたまま、視線だけを上下左右に忙しなく。
 隣に立つジナ・ラクスパーも、輝く瞳にたくさんのひかりを映して。
「この光が、輝石に宿る魔力なのですね。――行きましょう! メーリ様!」
「うん、行こう、ジナ!」
 二人、手を取り合って、まだ見ぬ耀きを求め歩き出す。

 香りのしそうな薔薇色、きらきらの金色、夜明けの淡い紫に、みずみずしい森のような翠色。
 一つ一つ指差しながら辿っていた二人は、やがて二つ並んで輝く空色と藍色の光の前で足を止めた。
「メーリ様、これは……」
「まるで、私たちみたいだね?」
 澄み渡る晴れた空の色。凛と佇む花のような藍色。
 視線を交わせば、その先にある答えは同じ。
 手を伸ばして触れた瞬間、二人の瞳に視えたのは――。

 ――背筋を伸ばしたあなたはだあれ?
 見たことのない女の人に、メーリは心の中で問いかける。
(「……お母さん?」)
 似ている気がするけれど、すぐに違うとわかった。
 いつだって好奇心に心躍らせ、前を向いて歩くその姿。
 ああ、まるで――。

「……姉様?」
 見覚えのある後ろ姿につい呼びかけて、でも、少し違うとジナも理解する。
 しゃんと背を伸ばし、迷いのない真っ直ぐな眼差しでこちらを見つめて消えたひと。
 傷ついても決して膝をつくことなく、誰かを護る盾として立つ、“貴女”は――。

 一瞬、けれどとても長い時間のように感じながら、はたと気付いたメーリは人心地ついて、ジナの服の袖を引いて囁く。
「今、――今ね、未来の私がいたんだよ。綺麗だったけど中身全然変わってなかった!」
 興奮気味に告げるメーリとは少しばかり対照的に、ジナは気恥ずかしさに熱くなった頬を冷ますように両手で覆っていた。
「ジナ、……ジナも誰かに逢えた?」
「……笑わないでくださいませね」
 ジナはそう前置きしてから、こそっと、囁くように告げる。
「たぶん、なりたい私を見たのです」
「――わあ! すごい素敵!」
 メーリの天真爛漫な笑顔に、少しでも恥ずかしいなんて思ったのが嘘のように和らいでいくのをジナは感じて。
「……あんなに綺麗になれるかな。って、自分で言うの恥ずかしいね!」
 そうして不意に我に返ったように照れる友の姿を見れば、今度はジナが満面の笑みを浮かべて太鼓判を押す。
「きっとなれます、メーリ様なら!」
 未来は、これから歩む道の先。
 少しだけ怖い気もするけれど、並んで歩く友達がいるから、決して怖くはない。
 笑顔を忘れず、前を向いて。一緒に、――明日の私達に、逢いに行こう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵(f02925)と

念の為ランタンを手に洞窟を進む
鉱脈を見つける事が出来る様洞窟の壁を『暗視』を使い観察しつつ進んで行こう
『地形の利用』と鉱石の『世界知識』を使い高純度の鉱石を見つける事が出来れば良いのだが
もし見つけたら手持ちのナイフを使い宵と掘り起こそうと思うが…
一瞬、大事な…最後の所有者だった赤毛の美しい人の姿の幻が見えれば思わず瞬きを
勿論幻だが…隣にいる―今の日々と繋がっている宵の姿を見れば自然と平静を取り戻せるかもしれん
宵も何か見たのかと問うも宵の声には頷きつつ
今在る場所はここだからなと笑みを浮かべ宵の背を軽く叩いてみようと試みる
…宵もそうだと嬉しいが…まあ、照れくさい故言わんが、な


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と
鉱石が仄かな光を放つ洞窟、ですか……
たいへん気になりますね

宝石は土から生まれる地上の星と思っておりますので、とても親近感がわきます
【暗視】を使いつつ鉱脈の流れを予測するために【第六感】を駆使して怪しいところにあたりをつけていきましょう

よい鉱石を掘り起こせたなら、
ふとヤドリガミの本体があるべく姿として使われていた時の白昼夢を見るかもしれませんが
すぐに掻き消えるでしょう

隣の彼が一瞬幻を見ていたなら それだけきみにとっては大事な記憶だということです
けれどももっと大事なのはきみはここにこうして在るということで
背を叩かれれば笑って叩き返しましょう
僕の在る場所もここですよ



 鉱石が仄かな光を放つ洞窟。
 ゆえに坑内は明るいと聞いていたが、ザッフィーロ・アドラツィオーネは念の為にランタンを手に進む。
 その準備の良さに感心しながら、逢坂・宵も共に。
「宝石は土から生まれる地上の星と思っておりますので、とても親近感が湧きます」
「そうか……俺もだ」
 静かにそう答え、宵に危険が及ばぬよう前に立ち、洞窟の壁を観察しながら進むザッフィーロに、ふと分岐点で足を止めた宵が声を掛ける。
「ザッフィーロ君、あちらの道はどうでしょう?」
 その先に鉱脈の流れが集まっているような、大きな魔力があることを宵の第六感が感じ取っていた。それに従い進んでいくと、予想していた通りの純度の高い鉱石が、煌々と光を放っていて。
「これは……大物のようだな」
「ええ、加工するにも報酬金と引き換えるにも、どちらにしても良いものですよ」
 ならば、と、ザッフィーロは早速手持ちのナイフを使い、掘り起こそうとする。
 ――すると、一瞬。
 ザッフィーロの瞳に映ったのは、サファイアの指輪だった彼の最後の所有者だった、赤毛の美しい人の姿。
 こちらへと振り向いたような気がして思わず目を瞬かせるが、隣に居る――今の日々と繋がっている宵の姿に、ザッフィーロは無意識に平静を取り戻していた。
「……何か、良くないものでも視えましたか?」
 案じるような宵の声に、ザッフィーロはゆるりと首を横に振る。
「……いや、大丈夫だ。宵も、何か見たのか?」
 そうですか、とだけ返し、宵も鉱石を掘り起こすのを手伝おうと手を伸ばす。
 瞬いた宵の視界には、己を囲む人々の姿。
 その顔は見えない。何を言っているかもわからない。
 だが、宵が視たものは確かに、アストロラーベとしての己があるべく姿として使われていた時の、いつかの――白昼夢だった。
「ずっと、昔のことですよ。でも、ザッフィーロ君。きっときみが見たものは、きみにとってとても大事な記憶だったのでしょう」
 すぐに掻き消えたそれに、宵は別段想いを寄せることはなくザッフィーロの問う声に答え、けれど、と手にした石を見やりながら続ける。
「もっと大事なのは、きみは今、ここにこうして在るということだと……僕は思いますよ」
「……そうだな、俺が今在る場所は、ここだからな」
 笑みを浮かべ、ザッフィーロは宵の背を軽く叩く。
 すると宵も笑って、同じように軽く、とん、と叩き返した。
(「……宵もそうだと嬉しいが」)
 直接口にするのは気恥ずかしくて、ザッフィーロには言えなかったけれど。
 宵は微笑んで、ザッフィーロへと迷いなく告げた。
「――僕の在る場所も、ここですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルミ・エアイン
ニケさん(f02710)と

このこうざんにまものが
いるのですよね?
しんちょうに進みましょう。
えへへ、ニケさんは頼もしいです。

光を放つなんてすごいですね……。

ここ少し光ってますね。
僕、ほってみます。
わぁ、とてもあたたかい光です。
あ、消えちゃいました……。

ここにも……
これはとてもきれいな色です。
さくら色のこうせきが採れました!
これを加工したらもっときれいに
なるんですかね?

ニケさん大発見ですよ!すごいです!
川の星空もきれいでしたが、
こちらの星空もきれいです。
僕は雪の様な白と淡い水色が好きです。
ニケさんは何色が好きですか?

きれいな星空が見れて良かったです。
見つけて下さって、
ありがとうございます。


ニケ・セアリチオ
ルミさん(f13418)と

ええ、足元にも注意していきましょう
いつもはそそっかしいと怒られる私ですけれど
今日はお姉さんですから
しっかりしないと、ね

それにしても
光る石なんて不思議
世界には、まだまだ知らない事がたくさんね

まぁ、本当!
こういう風に、光るのね
ほんのりと淡くて……きれい
そうね、頂いたペンダントみたいに
街の人がしてくださるのかしら?

あら、ルミさんは発掘上手ね
私も探してみようかしら

すこし目を凝らしてみれば
淡い光がぽつぽつと
まるでお星さまみたい

ルミさん、ルミさん
こっちにもたくさんあるみたいです!
たくさんの色のお星さま
ルミさんは、どの色が好きかしら?
私?私は……この石みたいな、白かしら
ふふ、一緒ね



「このこうざんにまものがいるのですよね? しんちょうに進みましょう」
「ええ、足元にも注意していきましょう」
 いつもはそそっかしいと叱られることが多いけれど、今日のニケ・セアリチオはお姉さんだ。
 しっかりしないとと意気込む様子に、ルミ・エアインは頼もしいですと笑う。
「それにしても……光る石なんて不思議」
「はい、石が光を放つなんてすごいですね……」
 坑内は陽の光が届かない場所だというのに、人工の灯りも必要としないほどの明るさに満ちていて。
(「……世界には、まだまだ知らないことがたくさんね」)
 そうして歩いていると、不意にルミが声を上げた。
「ここ少し光ってますね。僕、ほってみます」
 普通に歩いていたら、見過ごしてしまいそうな仄かな光。それに気づいたルミが試しに掘ってみると。
 土の下から芽吹いた種のように溢れた光の欠片が、ルミの手に落ちる。
「――わぁ、とてもあたたかい光です」
「まぁ、素敵!」
 ルミの瞳に似た青い光に、ニケの瞳も輝く。けれど――。
「あ、消えちゃいました……」
 残された魔力がなくなると同時に光は消え――ルミが残念そうに零すと同時、彼の尖ったエルフ耳も少し下がった。
「……こういう風に光って、消えるのね。ふふ、ルミさん、気を落とさないで。ほら、あちらにも綺麗な光がたくさん」
 ニケは感心したように石を見つめ、それからすぐに微笑んで奥を指差す。
 進んだ先に満ちる光は、あたたかな春の色。
「お花が咲いているようです。これもほってみますね」
 ルミは先程と同じように壁を掘る。すると、ほわり、仄かな桜色が姿を覗かせて。
「これはとてもきれいな色ですね。さくら色です!」
「ほんのりと淡くて、とてもきれい。ルミさんはとっても発掘上手ね!」
 壁から取り出せばやはり、光は溶けるように消えてしまったけれど。
「これを加工したら、もっときれいになるんですかね?」
「そうね、さっきルミさんに頂いたペンダントみたいに、街の人がしてくださるのかしら?」
 そのままニケは楽しげに、好奇に満ちた金色の瞳を巡らせて――それから、ルミの肩を指先でとん、とつついた。
「ルミさん、ルミさん、こっちにもたくさんあるみたいです!」
 二人は更に広い空間へ。少し目を凝らしてみれば、星のような淡い光が幾つも灯っている。
 左右の壁だけでなく、天井まで――まるで天然のプラネタリウムのようにそこにある星空に、ルミは興奮気味に声を上げる。
「ニケさん大発見ですよ! すごいです! 川の星空もきれいでしたが、こちらの星空もきれいです」
「ええ、ええ! たくさんのお星さま! ルミさんは、どの色が好きかしら?」
 灯る光を一つ一つ指先で示しながらにっこりと問うニケに、ルミは少しだけ考えてから、雪のような白と淡い水色――二つの光を指差した。
「僕はあの、雪の様な白と淡い水色が好きです。ニケさんは何色が好きですか?」
「私? 私は……」
 星を探し、視線を巡らせたニケの指先が辿り着いたのは真っ白な光。
「この石みたいな、白かしら。ふふ、一緒ね」
 ――二人の探検はまだまだ続く。
「きれいな星空が見れて良かったです。見つけて下さって、ありがとうございます」
 ぺこりと頭を下げるルミに、ニケはこちらこそ! と朗らかに笑ってみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロー・オーヴェル
祭りが街の連中の生活の中の一部のように
戦いは俺達猟兵の人生の一部

勇者の足取りも追う必要があるし……それに
「楽しんだ分はきちんと返さないとな。そうじゃなきゃ、俺は単なる恩知らずだ」

●道中1
掘り返して時間がたてば光が消える……か
永続できれば文句なしだがそうもいかんか
石にも命があるのかね

さて俺の好きな煙水晶の鉱石はあるだろうか
とはいえ鉱石に詳しいわけでもない
猟兵連中に造詣深い奴がいれば聞くか

いなけりゃ自力で
適当に目星を……あれなんてそうかも?

●幻視
ラフィーナの旅立ちの日の光景

●道中2
「……なるほど、これが勇者とやらか」
そう呼ばれる雰囲気の萌芽はある

にしても惜しい
「10代は俺の守備範囲外なんだよなァ」



 輝石の星を掬う祭りが街の人々の生活の中の一部であるように、戦いは自分達猟兵にとって、人生の一部と言っても過言ではない。
「楽しんだ分はきちんと返さないとな。そうじゃなきゃ、俺は単なる恩知らずだ」
 ロー・オーヴェルは決意のように独り言ち、勇者の足取りを追うべく歩き出す。
 ――無論、この先に待っているのは街の人々の生活を脅かす魔物で、それを倒すためにここにいるという目的を忘れたわけではない。
 だが、勇者ラフィーナがこの街の鉱石から勇者となるべく天啓を受けたという話であるなら、鉱石のあるこの場所に、ラフィーナに繋がる何かがないとも限らない。
(「掘り返して時間がたてば光が消える……か。永続できれば文句なしだがそうもいかんか」)
 石にも命があるのだろうかとローは考える。目当ての石を探して歩く中で度々目にする光を帯びた石達は、何となく魔力のようなものを帯びているように感じられる。
「……鉱脈、だったか。ああ、それとの繋がりが切れてしまうから……?」
 だから光が消えてしまうのだと思えば、確かに石の命が失われてしまうと考えても、あながち間違いではないだろう。
「さて、煙水晶はあるだろうかな……」
 ロー自身、鉱石に対する造詣が深いわけではない。だから茶色っぽい石ということくらいしか覚えておらず、こういう時こそ自身の第六感に任せるべきではと思いながら奥へと進んでいた。
 適当に目星をつけながら歩いていれば、他のどちらかと言えば華やかな色に混ざって控えめに灯る土色の光。
「……あれは、何となくそれっぽいな?」
 早速近づき、小型の金槌で掘り出そうとするその前に、ローは大きな手で光を包み込むようにしながら鉱石へと触れた。
「……!」
 ローの表情が自然と引き締まる。
 視えた光景の中には一人の少女。赤く長い髪に旅装束、身の丈ほどのウォーハンマーを背負った少女は、街の人々に屈託のない笑顔で別れを告げて、一人、旅に出た。
 よく晴れた、ある日のことだった。
「……なるほど、これが勇者とやらか」
 そう呼ばれる雰囲気の萌芽は既にあると、改めて煙水晶の鉱石を掘り出しながらローは素直に思いつつ、それにしても惜しいと小さく肩を竦める。
「――十代は俺の守備範囲外なんだよなァ」
 男心というのも、なかなかに複雑なものだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

英・明夜
誰かや何かの想いとか、魂とか…、難しいけど。
この鉱山でだけ、石と人とに、不思議な繋がりが生まれるのかな。

鉱夫さん達に、次に掘ろうとしてた場所とか、怪しいなって思ってる場所とかを聞いて鉱山に入ろうかな。
(お仕事の秘密情報だったら大丈夫だよ! 勘で掘っちゃうね)
鶴嘴で掘って、キラキラが入った石が採れたら、持ち帰って見て貰おう。

魔物にも注意だよね。
地面の影や、天井にも気を付けて進むね。
沢山居たら神桜爛漫で。

光る石に触れたら。
明夜か、兄弟か…妖狐の赤ん坊が見えたよ。
もしかしたら、明夜の子供かも(えへへ)。
命を繋いでくのは、当たり前みたいで、でも、奇跡みたいだよね。
…うん。猟兵のお仕事、頑張らなくちゃ。



 誰かや何かの想いあるいは魂――答えを当てはめるのは、とても難しいけれど。
(「ここでだけ、石と人とに、不思議な繋がりが生まれるのかな」)
 英・明夜はここに来る前に鉱夫たちから聞いた情報を一つ一つ思い返しながら、仄かな光の灯る内部を進んでいく。
 貰った地図は薄明かりの中でも十分に読めるもので。魔物が居るとすれば奥のほうだろうと鉱夫たちは目をつけていた。
 その読みに従い、地面の影や、天井の気配に気を配りながら奥へ進んでいくと――。
「……わっ!」
 突如として空――天井の方から、明夜へ襲い掛かる魔物の姿が見えた。
「キキィ――ッ!」
 まるで宝石のような体に蝙蝠の翼がついたようなその魔物は、幸いにして数は一匹。天井に止まって羽を休めていたのだろう。
「負けないよっ!」
 すぐに明夜は身構えると、己の身の丈ほどの薙刀を勇ましく振るい、蝙蝠を斬り伏せた。
「……ふう、奥にはもっといっぱいいるのかなあ? 気をつけて進まなくちゃ。……あと、」
 思い出したように明夜はちいさく笑って、壁の光る石に触れる。
 ――そこに“視えた”のは、元気に泣く妖狐の赤ん坊。
(「あの子は……明夜かな、兄弟かな、……もしかしたら、明夜の子ども……かも?」)
 様々な可能性を思い描いては、明夜はくすぐったそうに肩を揺らして。
 命を、想いを繋いでいくことは、当たり前のようで。
 けれど、人はそれを“奇跡”と呼ぶのだろう。
「……うん。明夜も猟兵のお仕事、頑張らなくちゃ」
 触れた石をつるはしで掘り出せば、光は失われてしまったものの、キラキラが入っているような石が手元に残る。
 持ち帰って見て貰うつもりで、明夜は石を失くさぬように仕舞い込む。
 とても綺麗な石になるのなら、何かを作ってもらうのもきっと楽しいだろう。
「どんな石になるかなあ、楽しみ」
 そうして、明夜は奥へと進んでいく。目指す場所は、そう遠くはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『エレメンタル・バット』

POW   :    魔力食い
戦闘中に食べた【仲間のコアや魔法石、魔力】の量と質に応じて【中心のコアが活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    魔力幻影
【コアを持たないが自身とそっくりな蝙蝠】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    魔力音波
【コアにため込んだ魔力を使って両翼】から【強い魔力】を放ち、【魔力酔い】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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 迷宮のような坑内を抜けた猟兵たちは、やがて最奥のフロアに辿り着いていた。
 上下左右に広く掘り進められたその空間には、やはりこれまでに見てきたのと同じように様々な鉱石の淡い光が所々に灯っていた――のだが。
 それよりも猟兵たちの目を惹いたのは、天井を覆い尽くさんばかりの色とりどりの輝石――それを核として抱いた、蝙蝠のような“魔物”だった。
「キキッ、キィッ――!」
 猟兵たちの気配に気づいた魔物の群れがにわかにざわめき出し、耳障りな声で鳴きながら一斉に翼を羽ばたかせる。
 光を反射して一斉に煌めく様は虹が渦を巻いているようである意味壮観と言えなくもないが、その正体が魔物――オブリビオンであることを思えば、決して美しいものではない。
 魔力の宿る鉱石を食べて、己の力とした魔物たち。個々の力はそれほどでもなさそうだが、如何せん数が多いのが厄介とも言えるだろう。
 ラフィーナの街の人々を脅かす存在に、猟兵たちは各々の得物を手に立ち向かうのだった。
マリス・ステラ
イデア(f09399)と連携します

【WIZ】他の猟兵とも協力します

「来ます」

魔物の群れを認めると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光の『存在感』で敵を『おびき寄せ』る
光は『オーラ防御』の星の輝きと、星が煌めく『カウンター』

イデアの果敢な立ち回りを冷静に見ながら弓で『援護射撃』
指先の光が瞬けば『破魔』の力が宿る星の加護を与えます

「援護は任せてください」

幼くともイデアも猟兵のひとり、過保護はいけません
あくまで対等の存在と思いつつ、さり気なくフォローに努めましょう

重傷者に限定して【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用

星枢の力を使い魔力を補給する『地形の利用』
この地なら特に潤沢な力が得られるでしょう


イデア・アイオンハート
【マリス(f03202)】お姉さんと引き続き参加。

最深部に舞う大量の蝙蝠を視認し剣盾を構え。流石に2人では厳しいと感じ他猟兵をちらりと見た後敵を見据え、意識を切り替え。
「『俺』が護るんだ……!」

使用能力値:POW

UC【トリニティ・エンハンス】を風属性で使用、攻撃力を底上げ。
『野生の勘』で出方や弱点を探りつつ距離次第では『ダッシュ』で素早く接近。
UCの風の魔力でブーストし『生命力吸収』を付与した雷系『属性攻撃』の剣撃や『高速詠唱』/『全力魔法』による雷槍で穿ち留める。

狙われたら『見切り』と『盾受け』を織り交ぜ被弾を最小限に抑える。盾受けは猟兵の居ない方へ逸らす様受け体勢を崩されないよう注意。


糸縒・ふうた
てっきり宝石が飛んでるのかと思ったんだけど
なぁんだ、違うんだな。残念

それなら生かしておく必要はないよね
一匹残らず【詩凪】で叩き落としてあげる

はじめてつかうまほう
最近覚えたそれを操るのはちょっぴり不安、だけど

あの子の言ってたことを思い出せば、だいじょうぶ
ほら、綺麗に墜ちてきた

宝石と星がぶつかって、
きらきら きらきら とってもきれい

コアはぶつかった衝撃で粉々に砕けてくれたらいいけど
そうじゃないなら食べられちゃう前にちゃんと壊さないとね

地に落ちた石屑に向かうけど
間に合わなさそうなら【喚び聲】で喚んだかぞくに手伝ってもらおう

今までたくさん食べたでしょ
だから、君たちの時間はもうおしまい


パルピ・ペルポル
結構な数がいるわねぇ。
次をつなげられるように一匹残らず片付けてしまわないとね。

雨紡ぎの風糸を張り巡らせて、魔物の動きを妨害しつつ、着実に仕留めていきましょうか。
一網打尽に出来る術があればよいのだけれど、派手にやると鉱石にも影響出るし落盤が怖いわね…。

ああ、下手に暴れるのはやめたほうがいいわよ。切れないわけじゃないから…糸じゃなくてそちらの身体が、ね。
…この様子、まるで蜘蛛の糸についた雨粒が光っているかのよう…こいつらが魔物じゃなければ素直に美しいと思えたかもね。

もっと速さが必要なら服を脱ぐのも躊躇わないわよ。
ちゃんと必要以上に肌は見せない対策をしているからね。


ニケ・セアリチオ
ルミさん(f13418)と

魔物たちのコア
もしかして、ここの石を食べて?
仄かに光る色はやっぱり綺麗…ですけれど
あの不思議であたたかな力を
人傷つけることに使われるのは、かなしいですから
ここで退治しないと、ですね


ヘイルさんの作る雪景色
聞いてはいたけど、不思議な光景ね
目を奪われつつも
ルミさんの綿雪が当たり易いよう
蝙蝠を囲っていきましょう

群れを一所に留める為
鳩達に周囲を飛んで貰って足止めを
ルミさんの合図に合わせて散開するわ

音波には
【破魔】の力を風の【属性魔法】に乗せ
【衝撃波】で相殺を

【視力】でコア持つものを見定め
声を掛けつつ落としていきましょう


終わればふうと一息
ルミさん、ルミさん
お怪我はなかったですか?


ルミ・エアイン
ニケさん(f02710)と

そうですね。
めいわくはかけちゃだめです。
心が暖かくなる光が
皆をおどす存在になるなんて
ゆるせないです。

ヘイルに頼んで雪を降らせます。

はとさん達が足止めしてもらってる間に
雪の壁を作ってコウモリさん達を
囲います。

ニケさんに目配せをして、
はとさんを引かせてもらって
ばくだんが入った雪だまをコウモリさんに向けて投げます。

後はグラートを槍に変えて
核にねらいを定めて【串刺し】します。

もし、こうげきをされそうになったら
雪を壁にして防ぎます。
もちろん、ニケさんのこともです。

ニケさんもけがしてませんか?
良かったです。
僕もだいじょうぶですよ。


泉宮・瑠碧
…成程
魔物は此処の鉱石が目当てか
魔力補給にも蝙蝠の様な姿にも適する場所だな

蝙蝠とは音波で位置の把握をするらしいが…
彼らは石を魔力で判別でもしているのか

僕は主に消去水矢と援護射撃
聞き耳と第六感も駆使して位置や動作の把握

特に魔力音波は即座に矢で打ち消そう
纏まって居る場所へは水の矢を分散して範囲攻撃
仲間の死角に居る個体もスナイパーで狙っていく

終えれば
蝙蝠達へ安らかにと祈り

最期まで共に居た石達は
鍛冶屋として親しんだ勇者を
親しく想っていたのだろうか…
僕達に色々と見せてくれた様に勇者に天啓を視せる事も

…何を視たかは分からないが
帰らずの勇者が視た天啓は
危ないから行ってはいけない、という意味もあったのだろうか


真幌・縫
ちょっと綺麗かなって思ったけどやっぱり街でぬいが拾った宝石の方が綺麗だね♪
だから…街の人たちのためにもきちんと倒さないと。
この敵は魔力を食べちゃうんだね…じゃあ魔法はやめたほうがいいかな?
とりあえず杖で殴ったりするよー。
数が多いからまずは味方を増やそうか。

ぬいぐるみさん達よろしくねー。
UC【ぬいぐるみさん行進曲】
ぬいぐるみをさんをよんだら【挑発】や【フェイント】で翻弄させながら戦うよ〜。

アドリブ連携歓迎です♪


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と
美しいものには棘がある……なぜだかそんな言葉を思い出しました

はい、背中はお任せ下さい。前は頼みましたよ、ザッフィーロ君
前衛の彼の攻撃の届かない距離にいる敵へ
【地形の利用】【おびき寄せ】を使用し可能ならば巻き込めるようにして
【属性攻撃】【2回攻撃】【高速詠唱】【鎧無視攻撃】【範囲攻撃】【全力魔法】を用い
『天撃アストロフィジックス』で掃討を行います
あいにく僕は頭脳派で、体を動かしていないので平気ですよ
きみこそへばってしまわれたら困りものです
僕は君を運んで帰れそうな気はしませんからねといたずらっぽく笑って返し
そうですね、彼らの笑顔を見るのがとても楽しみです


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

輝石を抱く蝙蝠か
美しいが…害をなす存在は見逃せんな
…宵、背は任せるぞ

『先制攻撃』を狙い蝙蝠達が気付かぬ様息を吸った後『全力魔法』で【罪告げの黒霧】を周囲へ息と共に充満させよう
その際は視界に出来る限り多くの蝙蝠を捉え攻撃を与えられれば幸いだ
2手目以降は間合いがある場合は【罪告げの黒霧】を上記の様に
己と宵に近付く敵はメイスで『なぎ払い』ながら『2回攻撃』で留目を
宵、そちらはどうだ?大丈夫か?
戦闘が終れば思わず溜息を
幾ら何でも多すぎだろう…まあ体力はある故俺は、へばっては居らんがな?
宵はどうだ?疲れたならばおぶってやるが?と軽口を投げつつ帰路へ
街の皆もきっと喜んでくれるだろう


誘名・櫻宵
🌸リル(f10762)
アドリブ歓迎

綺麗な輝石……と思ったら蝙蝠なのね
リィ
今度は本物の景色を見せてあげるわ!

先制攻撃、広範囲に衝撃波を込めてなぎ払い、まとめて斬りましょう
斬ると輝石砕けるようで楽しいわね!
動きを奪えるよう呪詛をたっぷり込めて
傷ついた個体から狙い傷口を抉るように
2回攻撃して仕留めていくわ
あら?リィに魅惑されちゃった?
ダメよ
その子はあたしのものなんだから
『散華』咲かせて美しく散らせてあげる

攻撃は見切りや残像で躱しましょ
リィに攻撃が向けば庇い
咄嗟の一撃を
あたしの可愛い人魚に手を出さないで頂戴

輝石も綺麗だけれど
1番はやっぱりリィの笑顔に歌ね
反響してとても綺麗で魂ごともってかれそうよ!


リル・ルリ
■櫻宵(f02768)
アドリブ歓迎

「櫻宵、天井にたくさん、輝石がある―あれ?違う。なんだ、こうもりか」
輝石だったらよかったのに
もっと色んな光景を見てみたかったな
ふふ
楽しみにしてる、櫻宵

また別の季節のこの街も楽しめるように
皆を困らせる宝石には、過去に帰ってもらおうか
【歌唱】に【鼓舞】を乗せて歌うのは僕の櫻の為の「凱旋の歌」
反響して
こんさーと、のよう
君の剣舞を見せて

「すばしっこい?少しだけ動きをとめるから――その間に咲かせておいで」
音色変えて歌う「魅惑の歌」
宝石の煌めきも、聴き惚れさせてみせよう
砕ける音は儚くて淡い夢のよう
少し切ない

「また、そういうことを」
綺麗なのは僕の櫻
それと君と過ごす、日々だ


ジナ・ラクスパー
メーリ様(f01264)と

このままにしておけば、勇者様のお祭りも途絶えてしまうのです…
本当に壊してはいけないものは、他に力を借りた美しさではなくて
勇者様を思う皆様のこれから、日々の営みのきららかさだから
見せかけに目を眩まされたりしません
参りましょう、メーリ様!

仲間の魔力まで食べてしまうなんて…
風を纏わせた雨花を翼に張り付くよう降らせ
敵の動きを阻みながら、メーリ様の流星の軌道へ追い込んでいく
合わせる力の分強くなることはあっても
互いの力を取り合うことなんて、私達はしないのです
この花風は、星を輝かせる追い風に!

ね、メーリ様
こうして並んで戦ううちにいつか
輝石の魔力で見た姿に、一緒に近づけるといいですね


メーリ・フルメヴァーラ
ジナ(f13458)と

鉱石食べちゃ駄目だよと頬膨らませ
ジナの言葉にぱちり瞬く
…うん、そうだね。そうだよ
一番きらきらしてるのは
勇者に思い馳せるラフィーナのみんなの笑顔
それを翳らせるなんて許せない!
行こう、ジナ!!

仲間を食べるなんてやだな
それより一緒に頑張るほうが
もっとずっと強くなれるもの

毅然と前を向いて間合いを確保し
ジナの援護の合間を縫って
天翔ける綺羅星の在処を連射する
魔法弾に宿す属性は星
天の涯てから落ちる彗星で
魔法石ごと纏めて一気に穿つ!

鉱石の向こうに見たいつかの私に届くように
届いた時に友達と肩を並べて笑顔でいられるように
絶対!
負けないんだから!

ね、一緒だよ!
ジナへ笑み咲かせ
もう一歩前へ


英・明夜
こんなにいっぱいの魔物が居たなんて。
数も多いから、もし鉱山から出てしまってたら、散らばって大変なことになってたかも。
猟兵が集まってたのも、お祭りとキトリと、それから、ラフィーナのお陰かな。

魔物の数が多いから、神桜爛漫でまとめて倒すことが出来たら良いよね。
倒しきれなかった時の反撃が怖いから、他の猟兵さんと息を合わせて、
一緒にUCをドーンと発動させたいな。

念の為に、岩とか、この空間に続いてる通路とか、身を隠せそうな場所の近くで戦えるようなら、そうするね。
とにかく絶対、周囲を魔物に囲まれないように気を付けよう。
地図をくれた鉱夫さん達に、ちゃんと元気な姿で、ただいまと、有り難うを言いたいもんね!


ユニ・エクスマキナ
清史郎くん(f00502)と!

うわぁ、キラキラしててここもキレイなのねー!
…って思ったら、ちがーう!石じゃなかった!魔物だった!
こんなのがいたら街の人たちが困っちゃうのね
清史郎くん、こんなのに負けてられないっ
うん!
ユニも!頑張るのねー!

いやーん!ユニの方ばっかり来ないでー!
ズルいズルーい、なんでユニのとこばっか来るの!?
ふぅ、ありがとう
助かったのね…
でもユニは清史郎くんみたいに
雅に戦うことはできないのでした…へにょん
せめてユニも出来ることを…
敵の攻撃をなんとか防いで【Record & Play】で真似っこ!
よぉーし、動き止まった!
清史郎くん、後はお願いっ!
わぁ、すごーい!お見事なのねー!


ザハール・ルゥナー
ルカ殿(f14895)と

……眩しいな。
だが、今まで見てきたものとはかなり異なる輝きだな。
これの排除に躊躇いはない。
斬るとも。刃が届けばな。さあ、仕事だ。

空飛ぶ相手となれば得物が不利か。
錬成カミヤドリで本体を複製。
複製したナイフで追い立て、誘導。時に銃も交え。
……色々な所に神経を使わなければならないのは、疲れるな。

手が届く範囲に来るならば、ナイフで直接応戦。
極力狙えるならば翼を目標に。
落ちてくれば、最早工夫など不要。

このような戦場は少々苦手なようだ。
頼りにしている。ルカ殿。

最良のタイミングで力の充実を感じ、信頼の証と振り向かず。
――掃除は得意だ。
届くのならば、石であろうと斬ってみせよう。


ルカ・アンビエント
ザハール(f14896)と
確かに今まで見てきたものとは異なりますね
あれ、斬れるんですね
は、さすがはナイフ。じゃぁ、仕事の時間といきましょう

空を飛ぶ相手ね、生憎俺も翼があるもので
空中戦はできますよ

霊符に雷の属性を乗せ攻撃
盛大に使って範囲攻撃といきましょう

基本は翼を狙い、接近されれば銃を
あちらの動きに注意して
まぁパタパタといくもんですね

頼り、と素直に言われるとは思わず瞬いて
ー…、任せてくださいよ
霊符に雷の魔力を全力で乗せて不敵に笑って言いましょうか

落として並べて見せるんで、後はどうぞ斬ってくださいね

癒使の帳を発動。回復と強化はザハールへ
これで多少動きはマシでしょう
切れ味、期待してますよ

アドリブ歓迎


筧・清史郎
ユニ(f04544)と参ろう

鉱山に巣食う魔物は、宝石の蝙蝠か
ユニの言うように、街の人にも色々と被害が及んでしまうだろう
それに装飾屋の店主に依頼されたからには確りと禍根を断とう
ユニ、美しき鉱石の街が輝きを失わぬよう、魔物退治といこうか

回数重視【桜華葬閃】で蝙蝠共を次々と斬り伏せていこう
ユニに群がる蝙蝠ともども、纏めて薙ぎ払う
「大丈夫か、怪我などないか?」
魔力食いで戦闘力を上げた蝙蝠を狙い、叩き斬っていこうか
襲ってくるならば見切り躱し、扇で討ち払う
そしてユニと連携をはかり、ユニが動きを止めてくれた蝙蝠を一気に仕留めよう
「有難う、ユニ。後は任された」
この桜吹雪の中で飛び続けることは、残念だが不可能だ



 ――このままにしておけば、勇者様のお祭りも途絶えてしまう。
 本当に壊してはいけないものは他に力を借りた美しさではなくて、勇者を想う皆のこれから、日々の営みのきららかさだから。
「私たちは、見せかけに目を眩まされたりしません」
 ジナ・ラクスパーは確かな強さを湛えた瞳で敵を――魔物たちを見る。
 一方のメーリ・フルメヴァーラは『鉱石食べちゃ駄目だよ』と蝙蝠たちの暴挙に頬膨らませていたけれど、ジナの言葉にパチり、瞬いた。
「……うん、そうだね。――そうだよ。一番きらきらしてるのは、勇者に思い馳せるラフィーナのみんなの笑顔。……それを翳らせるなんて許せない!」
 互いに顔を見合わせれば、確かに伝う想いを感じ取る。
「参りましょう、メーリ様!」
「行こう、ジナ!!」
 呼びかけは力強く。踏み出す足は、軽やかに。
「櫻宵、天井にたくさん、輝石がある……あれ? 違う。なんだ、こうもりか」
 リル・ルリは小さく肩を竦め、残念そうな声を落とし。
「綺麗な輝石……と思ったら蝙蝠なのね」
 誘名・櫻宵が目を細めて見上げれば、
「……輝石だったらよかったのに。もっと色んな光景を見てみたかったな」
 なおも残念そうに呟くリルを、リィ、と呼ぶ櫻宵の声は甘く優しく。
「今度は本物の景色を見せてあげるわ!」
 それを櫻宵が容易く叶えてくれることを、リルは知っているから。残念だと思っていた気持ちもいつの間にか、どこかへ行ってしまっていた。
「ふふ。楽しみにしてる、櫻宵。……また別の季節のこの街も楽しめるように、皆を困らせる宝石には、過去に帰ってもらおう」
「……眩しいな。だが、今まで見てきたものとはかなり異なる輝きだ」
 見上げた先を埋め尽くさんばかりの無数の色はどれも目に鮮やかで。ザハール・ルゥナーがぽつりと落とした声に、ルカ・アンビエントが軽く眉を上げて首肯する。
「確かに、今まで見てきたものとは異なりますね。……何より美しくない」
「そうだ、美しくない。故にあれの排除に躊躇いはないが、ルカ殿は如何か」
 言いながらザハールは刃の厚いナイフを抜き放つ。一方、ルカも微かな笑みを覗かせながら背に帯びた三対の翼を広げた。
「聞かれずとも。……あれ、斬れるんですね」
「斬るとも。刃が届けばな。――さあ、仕事だ」
「……は、さすがはナイフ。じゃぁ、仕事の時間といきましょう」
 迷いなく答えたザハールに、ルカは吐息に笑みを交えて肩を揺らした。
「うわぁ、キラキラしててここもキレイなのねー! ……って、動いてるのねー!」
 石だと思っていたら一斉に翼を羽ばたかせた魔物の蝙蝠たちに、ユニ・エクスマキナは驚きに目を丸く。
「なるほど、鉱山に巣食う魔物は、宝石の蝙蝠か」
 傍らに立つ筧・清史郎はいつものように動じることはなく、一歩前に歩み出た。
「こんなのがいたら街の人たちが困っちゃうのね。清史郎くん、こんなのに負けてられないっ」
 ユニの言うように、あのような魔物たちがいればラフィーナの街の人々にも被害が及んでしまうだろう。
「それに装飾屋の店主に依頼されたからには確りと禍根を断とう。――ユニ、美しき鉱石の街が輝きを失わぬよう、魔物退治といこうか」
 すらりと刀を抜きながらも穏やかな声音で告げる清史郎に、ユニはぐっと拳を握り、力強く頷いてみせた。
「うん! ユニも! 頑張るのねー!」

「――来ます」
 短く告げると同時、マリス・ステラの星辰の片目に光が灯る。
 それは忽ちの内に全身から放たれる光の一部となって、圧倒的な存在感で蝙蝠たちの意識を惹きつけた。
「キキッ! ――キィィッ!」
 一直線にマリスへとその牙を剥く蝙蝠の群れ。イデア・アイオンハートは魔の煌めき帯びた剣と白き騎士盾を構えながらも、流石に二人では厳しいと同じ場にいる他の猟兵たちをちらりと見やった後、意識を切り替えるように真っ直ぐに前を見つめて。
「――“俺”が護るんだ……!」
 刹那、イデアの身体を炎と水、そして風の三色の魔力が包み込む。
 そうして迸る風の勢いに任せ地を蹴ったイデアは群れをなす蝙蝠たちの只中に飛び込み、雷宿す剣撃で次々に斬り裂いていく。
 空間に瞬く、鮮やかな雷光。
 果敢に立ち回るイデアの姿を冷静に星色の瞳で追いながら、マリスはゆっくりと桜花綻ぶ弓に矢を番えた。
「援護は任せてください」
 高速詠唱によりイデアが全力で編み上げた魔力の雷槍、それを紙一重で避けた一羽の蝙蝠が、マリスが放った破魔の力持つ矢によってコアたる宝石を貫かれ地に落ちる。
 まだ幼くとも、イデアも立派な猟兵のひとり。あくまでも、同じ猟兵としては対等の存在だ。
 ゆえに必要以上に過保護になるべきではないとマリスは考え、さりげないフォローに徹していた。
「美しいものには棘がある……なぜだかそんな言葉を思い出しました」
 逢坂・宵が肩を竦めて告げるのに、ザッフィーロ・アドラツィオーネはふむと首肯して。
「輝石を抱く蝙蝠か。美しいが……害をなす存在は見逃せんな。……宵、背は任せるぞ」
 ザッフィーロはそう言うと、蝙蝠たちが気づくより速く息を吸い込んでいた。
 静かに吐き出した吐息は、身に満ちた穢れが混じる黒い毒霧。罪なき者には効かぬというそれを、ザッフィーロは周囲に充満させる。
「はい、背中はお任せ下さい。前は頼みましたよ、ザッフィーロ君」
 宵の狙いは、ザッフィーロの狙いが届かぬ範囲にいる敵だ。
「さあ、こちらにも敵はいますよ」
 そう呼びかけ空中にまだ留まる群れの気を引いて、宵は素早く詠唱の言葉を紡ぎ上げる。
「太陽は地を照らし、月は宙に輝き、星は天を廻る。そして時には、彼らは我々に牙を剥くのです。――さあ、宵の口とまいりましょう」
 刹那、蝙蝠の群れ目掛け広範囲に渡って降り注ぐのは、星の属性を帯びた無数の流星の矢。一度で落としきれなかった蝙蝠たちが、続け様に襲い掛かる流星にコアを穿たれ、抵抗も虚しく散っていく。
 一方のザッフィーロも、毒霧の吐息を続けて吐き出しながら自分たちに近づいてくる敵をメイスでなぎ払い、着実に数を減らしていく。

「キィッ! ――キ、」
 上空を忙しなく飛び交い、時に地上の猟兵たち目掛け急降下してきた蝙蝠たちの動きが、何かに絡め取られたかのように不意に止まった。
「キィッ!? キイィイッ!?」
 逃れようともがけばもがくほど“何か”が蝙蝠の体に纏わりついているようで。それを見上げながら、パルピ・ペルポルはため息ひとつ。
「……結構な数がいるわねぇ」
 しみじみと呟くと同時に宙へ伸ばされた細い腕を手繰るように引き寄せれば、見えない糸のようなものに縛られた蝙蝠たちの悲鳴にも似たか細い声が落ちる。
 そう、パルピが操っていたのは、“見えない糸”だ。
 蜘蛛糸よりも細く柔軟性と強度を兼ね備えた透明な――雨紡ぎの風糸が、蜘蛛の巣のように張り巡らされ、空から降りてきた蝙蝠たちの一部を的確に絡め取り、捉えていた。
 一網打尽に出来る術があればよかったけれど、生憎とパルピ自身はそういうものの持ち合わせがなく。
 そもそも派手にやると鉱石にも影響が出てしまいそうだし、天井が崩れ落ちてこないとも限らない。
 ゆえに考えたのは、魔物たちの動きを妨害しつつ、着実に仕留めていくという作戦だった。
「……成程。魔物は此処の鉱石が目当てか」
 魔力の満ちるここならば、魔力を得るにも蝙蝠のような姿にも適する場所だと泉宮・瑠碧は推測する。
「蝙蝠とは音波で位置の把握をするらしいが……彼らは石を魔力で判別でもしているのか」
 瑠碧の呟きに応えるかのように、蝙蝠が自らのコアとして抱く石と同じ色の石を吸収するのが見えた。
「……成程な」
 ある意味感心したように、もう一つ頷き。けれどすぐにその表情は凛と、戦うもののそれへと変わっていて。
「では、速やかにご退場願おうか」
 瑠碧は自らの精霊杖を弓へと変化させ、静かに弦を引いた。
「……其れは木の葉、其れは流れる一点、其れは一矢にて散り得る」
 すると、瞬く間に生成された魔法の水の矢が、蝙蝠が両翼から放った魔力を相殺してみせる。
「キィッ!」
 蝙蝠が癇癪を起こしたように叫ぶが、構っている暇などない。
 研ぎ澄ました第六感が示す先、エルフの耳で羽音を捉え、瑠碧は次々に水の矢を広範囲に渡って撃ち込んでいく。
「危ない――」
 声を投げた先、小さなパルピの死角から迫ろうとした個体を、瑠碧は寸分の狂いもなく撃ち落とした。
「ありがとっ!」
「いや、礼には及ばないよ」
 助けてくれたお礼に、パルピは瑠碧に投げキッス。小さなフェアリーからの愛らしい礼に、瑠碧はぱちぱちと目を瞬かせてから、仄かに微笑んでみせた。

 魔物たちがその身に抱くコアを見て、ニケ・セアリチオはまぁ、と目を丸く。
「もしかして、ここの石を食べて?」
「ええ、きっとそうだと僕も思います」
 傍らに立つルミ・エアインが、こくりと首を縦に振る。
 広い空間を飛び交う無数の色。仄かに光るそれは魔物の糧となってもなお綺麗だとニケは思う、けれど。
「あの不思議であたたかな力を、人を傷つけることに使われるのは、かなしいですから。……ここで退治しないと、ですね」
「そうですね。めいわくはかけちゃだめです。心が暖かくなる光が皆をおどす存在になるなんて、ゆるせないです」
 二人は互いに顔を見合わせ、小さく頷いて。そうしてルミは傍らに添うようにして共に魔物たちを見上げていた“うさぎ”へと呼びかけた。
「ヘイル、お願いします」
 すると、うさぎの精霊――ヘイルが耳をぴくりと動かし、ルミの声に応えるように雪を喚んだ。
 岩の天井に閉ざされた空から降る雪が、地面を柔らかく白く染めてゆく。
 小さなうさぎの精霊が作る雪景色。
 話に聞いてはいたけれど、実際に見るとそれはとても不思議な光景で。
 ニケは半ば目を奪われながらも、はっと我に返ると、胸元のコインを両手で包み込むようにそっと握り締めた。
「お願い、みんな……!」
 言葉と共に金色のコインから解き放たれた四羽の白い鳩が、元気よく鳴きながら蝙蝠たちへ向かっていく。
 時にぶつかりそうになりながら飛び交う無数の黒と四つの白。だが、鳩たちは決してでたらめに飛んでいるわけではなく、蝙蝠の群れを少しずつ、一箇所に留めるように、囲むように空を舞う。
 その間にルミはヘイルと自らの魔力を合わせ、蝙蝠たちの周囲に雪の壁を築き上げていた。
 ちらりと、ルミはニケに目配せを。ニケはしっかりと頷き返し、上空の鳩たちを散開させる。
「――当たって下さい!」
 直後、力強く響いたルミの声に、蝙蝠たちはニケの鳩によって雪の舞う空間に足止めされていたことを知る。
 だが、時既に遅く――。
 ルミはその青く澄んだ目で捉えていた蝙蝠たち目掛け、爆弾が入った雪玉を投げつけた。
「キィイイッ!?」
 ぶつかると同時に爆ぜる爆弾が、巻き込んだ蝙蝠たちのコアを砕き、散らしていく。
「……なぁんだ、違うんだな。残念」
 てっきり宝石が飛んでいるのかと、糸縒・ふうたは思ったけれど。
 空中を飛び交う無数の蝙蝠の魔物たちに、言葉の通り残念そうに肩を竦めてから、口の端をゆるく無邪気に釣り上げた。
「それなら、生かしておく必要はないよね。一匹残らず叩き落としてあげる」
 ふうたは桔梗色の瞳に真剣な色を宿し、すっと息を吸い込んだ。
 ――それは、初めて使う魔法。
 最近覚えたばかりのそれを操るのはちょっぴり不安、だけれど。
(「……だいじょうぶ」)
 背中を押してくれた言葉を、それを与えてくれたひとを思い出し、ふうたは凛と、力ある言の葉を紡ぎ上げた。
「――お星さまが、落ちてくるよ」
 すると、ふうたを一瞬眩い光が取り巻いて――ふうたの魔力によって編み出された星の形の小さな隕石が、襲い来る蝙蝠たちを次々に撃ち落としていった。
「キイッ!」
 堕ちる星の衝撃を逃れた蝙蝠が両翼を広げ、コアに溜め込んだ魔力を放つ。
「お任せ下さい!」
 その時、一歩踏み出したニケがお返しとばかりに放ったのは、破魔の力を乗せた風――それが起こす衝撃波で、蝙蝠の魔力を相殺した。
「みなさん、コアを持つのはあちらです!」
 目の良さを活かし群れを追っていたニケは、コアを持つ本体を見出してそれを仲間たちに告げる。
「わかりました、ニケさん。――グラート、いきますよ」
 ルミは相棒のグラートを竜槍に変えて踏み込み、核に狙いを定めて一気に串刺しにする。
「キィ――!」
 蝙蝠の両翼から放たれた強い魔力をマリスは全身に纏うオーラの星の光で掻き消し、さらに星の力を宿した鎖で、大地からの魔力を吸い上げる。
 鉱石たちを輝かせる地脈を通じて得た潤沢な力は、澄み切った水のようにマリスの身体中を巡り、彼女の持つ力の一部となった。
「さあ、あともう少しです」
「はい……!」
 活性化したコアにより力を得た蝙蝠たちが、マリスとイデアへ襲い掛かる。
 その突撃を盾で受けながら、イデアは仲間たちがいない方へと弾き飛ばした。
 高く飛ばされた蝙蝠を、パルピの雨糸の“巣”が絡め取る。
 パルピはすっと目を細め、静かに告げた。
「下手に暴れるのはやめたほうがいいわよ。切れないわけじゃないから……糸じゃなくてそちらの身体が、ね」
 忠告も虚しく――否、元より届かなかったのだろうけれど――逃れようともがいてコアごと体が二つに別れた蝙蝠が、力なく地に落ちて消滅した。
「……ま、仕方ないか」
 どのみち自分たちは魔物を倒すためにここに来たのだから、何も問題はない。
 そうして再び雨紡ぎの風糸の“巣”を見やれば、まるで蜘蛛の糸についた雨粒が鉱石の光を浴びて煌めいているようにも見えて。
「……こいつらが魔物じゃなければ、素直に美しいと思えたかもね」
「そうだね」
 こくり、と頷き、真幌・縫が同意する。
 雨紡ぎの風糸の巣の向こうにも、空を舞うたくさんの色や煌めきが小刻みに揺れて猟兵たちを見つめている。
 天井や壁の淡い魔力の光に照らされたそれらを、縫はちょっとだけ綺麗かなとも思ったが――。
「魔物じゃなければ綺麗だったと思うよ。でも、縫はやっぱり、街で拾った縫の宝石のほうが綺麗だって思う!」
「キイッ!」
「ふふ、そうね、やっぱり自分の力で手に入れたものが一番きれい。わかるわ」
 パルピは肩を揺らして笑うと、糸の拘束を逃れ襲い掛かってきた蝙蝠へ素早くダガーを投げつけ、その命の源たるコアの宝石を砕く。
 青緑色のアマゾナイト――縫が自らの手で掬った輝石はあの蝙蝠たちの持つ石に比べればとても小さいけれど。
 込めた想いの強さなら、絶対に負けないと縫は思い、そして決意を新たにした。
「街の人たちのためにも、きちんと倒さないと」
 聞けば蝙蝠たちは魔力を喰らう力があるという。ゆえに縫は魔法を使うことを控え、取り敢えず杖で殴るところから始めた。
「キッ!?」
 予想外の動きだったのか、あっさりと殴り飛ばされる蝙蝠。手応えはあったが、それよりも縫を悩ませたのは蝙蝠たちの数の多さ。
 それならばこちらも、戦う味方を増やせばいいと、縫は楽しげな声を響かせ始めた。
「さぁ、ぬいぐるみさんたち! ぬいと一緒に戦って!」
 声に応えて現れたのは――優に百を超える、無数とも言っていいぬいぐるみたちだ。顔も姿も様々で、犬や猫、ウサギなどの動物から、おしとやかな少女人形の姿も見える。
 そうして、縫は高らかに告げた。
「ぬいぐるみさん達よろしくねー。せーの! 攻撃開始ー!」
 わあっ、と、ぬいぐるみたちが壁を駆け上がりあるいは高く跳び上がって、蝙蝠たちの元へ攻め込んでいく。
 程々の強さを持ってこそいるものの、一撃で消滅してしまうものだから、その数もすぐに減っていってしまうのだけれど――蝙蝠たちを混乱させるには十分だった。
「ほらほら、ぬいはこっちだよ~?」
 上空へ挑発めいた声を投げ、キィッ! と飛び込んで来た蝙蝠へは、フェイントを絡めた別方向からの杖のフルスイングを。
 こんなにいっぱいの魔物が居たなんて、と、英・明夜は小さく息を飲む。
 これだけの魔物が鉱山から外に出ていたら、辺り一帯に散らばってラフィーナの街がもっと大変なことになっていた可能性も否めない。
(「ここに猟兵が集まってたのも、お祭りとキトリと、それから、ラフィーナのお陰かな」)
 明夜は自分をこの場所へ送り出してくれた小さな妖精と、もうひとり、勇者ラフィーナの姿を思い浮かべる。
 凛と気高く、ただ前を見て己に与えられた使命を、命を全うした、――勇者。
 そして共に戦う猟兵たちの姿を頼もしく見つめながら、明夜はすっと息を吸い、凛と声を響かせた。
「明夜もいくね! ――御神木の裔よ、霞の如く嵐の如く、桜花咲かせませ!」
 すると、愛用の薙刀が忽ちの内に神の力を宿す山桜の花弁へと変じ、猟兵たちの猛攻を辛くも逃れていた群れへ迫った。
 一度目の攻撃で倒しきれなかった蝙蝠が、山桜の濃淡混ざる桃色の花弁の渦に飲み込まれ、次々にその姿を消していく。
「キィッ!」
 明夜の花から逃れた蝙蝠が、コアに溜め込んだ魔力を両翼から放つのが見えた。
 だが、定めた狙いの先に明夜の姿はなく。
「!?」
「残念、こっちだよ!」
 咄嗟に岩陰に身を潜めてやり過ごした明夜は、すぐさま追撃とばかりに薙刀を振り上げた。
 中空へ弾き飛ばされた蝙蝠をパルピが張り巡らせた雨紡ぎの風糸がすかさず絡め取り、マリスの矢が撃ち落とす。
(「地図をくれた鉱夫さんたちに、ちゃんと元気な姿で、ただいまと、有り難うを言いたいもんね!」)
 明夜は敵の群れに囲まれないように立ち回りながら、他の猟兵たちと共に攻撃を重ねていった。

 空を飛ぶ相手に一振りのナイフでは些か分が悪いか――そう判断したザハールは、自らの本体であるナイフを錬成し、空へと放った。
「キィィッ!」
 散り散りになる蝙蝠たちを、一つ一つの切っ先が意思を持って追い立てる。
「……色々な所に神経を使わなければならないのは、疲れるな」
 闇雲に散らすのではなく、群れとして狙いを定めやすいよう――全てのナイフを操りながら逸れた個体に白銀の銃口を向け零すザハールの傍らで、ルカは白鴎の霊符に雷の魔力を絡め、
「いざとなったら俺も翼があるもので、空中戦は出来ますけど」
 一先ずこれで如何なものかと霊符を放つと、光に打たれた蝙蝠たちが次々に地上に落ちてくる。
「まぁパタパタといくもんですね……っと、」
 その最中、蝙蝠たちの姿が不意に揺らぎ、数が増えたような気がして、ルカは目を凝らした。
「――成る程、ね」
 よく見ると、コアを持つ蝙蝠に紛れコアを持たない蝙蝠が増えているのがわかった。こちらの目を惑わし、コアを持つ本体への狙いを逸らそうとでもしているのだろう。
 けれど、コア持つ本体が“落ちて”きたならば最早工夫など不要。
 ザハールはナイフで翼を切り裂き、完全に地に落ちた蝙蝠のコアを刺し貫いて砕いた。
「このような戦場は少々苦手なようだ。頼りにしている。ルカ殿」
 未だ空には多くの蝙蝠が舞う。その中で共に戦う男が素直に告げた言葉に、ルカは思わず瞬いて。
「……任せてくださいよ。落として並べて見せるんで、後はどうぞ斬ってくださいね」
 不敵に笑みながら、ルカが霊符に乗せるは先のそれとは比べ物にならぬほどの膨大な、魔力。
 迸った雷光が盛大に空間を駆け抜けて蝙蝠たちを落とし、それを確かめたルカはすっと息を吸い込んだ。
「咲き誇れ真白き花、癒使の鳥。――さぁ、立ってもらいますよ」
 ルカの声に応えて飛び立った白く輝く鳥の群れが、ザハールへと確かな力を注ぎ込む。
「これで多少動きはマシでしょう。……切れ味、期待してますよ」
 ザハールは自らの内に力が満ちていくのを感じ、信頼の証と振り向かずに落ちた蝙蝠の元へ踏み込んだ。
「――掃除は得意だ」
 届くのならば、石であろうと斬ってみせよう。
 ――はたして、蝙蝠たちが何故そうしたかは定かではないけれど。
「いやーん! ユニの方ばっかり来ないでー!」
 何故か自身に群がってくる大量の蝙蝠から逃れるように、ユニは部屋中を駆け回っていた。
「ズルいズルーい、なんでユニのとこばっか来るの!?」
 見れば清史郎は相変わらず優雅に刀を振るって蝙蝠の群れを捌いている。その動きには一分の隙もなく、だからこそ蝙蝠たちはこちらに狙いを定めたのかもしれない――なんて思ったりしていたら、桜の意匠が凝らされた蒼き刀の斬閃が、ユニに群がる蝙蝠共々纏めて薙ぎ払っていた。
「大丈夫か、怪我などないか?」
「ふぅ、ありがとう清史郎くん、助かったのね……」
 ほっと一息、けれど、でも、とユニは肩を落とす。
「ユニは清史郎くんみたいに雅に戦うことはできないのでした……へにょん」
「気にすることはない。頼りにしているぞ」
 そう告げて身を翻した清史郎は、仲間の魔力を喰らって戦闘力を上げた蝙蝠たちへ斬り掛かっていた。
 両翼から放たれる魔力を見切って躱し、刀の代わりに持ち替えた扇で討ち払う。
 まるで鉱石たちが零す光のような淡い桜の花弁が空に舞うのを見て、ユニは意を決したように頷き。
(「せめてユニも出来ることを……!」)
 翼から放たれる魔力はユニにも向けられた。それを、ユニは防御のプログラムを具現化させることで防ぎ、すぐさま空中に展開された電子のディスプレイに映し出す。
「ばっちり見ました! もう一回再生しちゃうのねー!」
 お返しとばかりにディスプレイから放たれた魔力の光が、蝙蝠たちを酔わせ動きを止めた。
「よぉーし、動き止まった! 清史郎くん、後はお願いっ!」
「有難う、ユニ。後は任された。――この桜吹雪の中で飛び続けることは、残念だが不可能だ」
 すかさず、清史郎は動きが止まった蝙蝠たちへと刀を振るう。
 ふわり、溢れた桜吹雪が、宝石の光を抱いて優しく輝いた。
「仲間の魔力まで食べてしまうなんて……」
「仲間を食べるなんてやだな。それより一緒に頑張るほうが、もっとずっと強くなれるもの」
 ですよね、と自然に溢れる笑みが互いを彩る。大丈夫、今の自分たちは絶対に負けたりしないとわかるから。
「合わせる力の分強くなることはあっても、互いの力を取り合うことなんて、私達はしないのです」
 ジナは杖を振るい、風を纏わせた雨花を羽ばたく翼に張り付くよう降らせ、その意識を淡い眠りの淵に落としていく。
 そのまま意識を失い“堕ち”れば、そこはメーリの流星の軌道上。
「この花風は、星を輝かせる追い風に! さあ、メーリ様!」
「うん、ジナ、任せて! ……みんな、あぶないから下がってね!」
 呼びかけた声は、同じ戦場で戦う仲間たちに向けて。
 そうして改めて目の前へと向き直り、メーリはきゅっと唇を噛み締めた。
 ――輝石の向こうに視えたいつかの私に届くように。
 届いた時に友達と肩を並べて笑顔でいられるように。
「絶対! 負けないんだから!」
 構えた二丁の詠唱銃に込めた魔力が、星のように煌めく魔法弾となって放たれる。ジナはメーリの背後に。
 メーリの目の前には、高く広い天井と、その手前を飛び交う蝙蝠たち。
 天の涯てから落ちる彗星が、魔法石ごと纏めて一気に撃ち落としていく。

 二度、三度、蝙蝠がその身に抱く宝石とふうたの星がぶつかり合って、きらきらと小さな煌めきを幾つも弾かせながら空に散っていく。
(「ほら、綺麗に墜ちてきた」)
 それはまるで、本物の星が空から降ってきたようで。けれど完全に消えたわけではなく、まだ石としての形を残していた。
 他にも、仲間の猟兵たちが倒した蝙蝠の残骸たる石が、辺りに散らばっているのが見える。
「おいで、――みんな、力を貸して!」
 そして、こちらへ降りてこようと羽ばたく蝙蝠の狙いを察したふうたは、声を上げて“かぞく”と“なかま”を喚んだ。
「あの石を、魔物たちに取られないようにして!」
 ふうたの声に応えて散ったかぞくとなかまたちが、蝙蝠から地に落ちた石屑を隠すように立ちはだかり、そして向かってきた蝙蝠へ爪を牙を向ける。
 間に合ったことに安堵しつつ、ふうたは静かに、蝙蝠へと告げた。
「今までたくさん食べたでしょ。だから、君たちの時間はもうおしまい」
「キィッ!」
 まるで自分たちの存在を忘れるなとでも言わんばかりに襲い来る蝙蝠を、櫻宵とリルは迎え撃つ。
「あら、勿論忘れてなんかいないわよ? でも、ここでお別れ。――大人しく斬られて頂戴ね?」
 小さく肩を竦めつつも楽しげに、櫻宵は屠桜の太刀を抜き放つ。その瞬間、薙ぎ払うように振るわれた太刀から放たれた衝撃波が、蝙蝠たちを纏めて斬り裂いた。
「まあ! 斬ると輝石が砕けるようで楽しいわね!」
 吹き飛ばされた蝙蝠たちへ櫻宵はすかさず距離を詰め、呪詛をたっぷり込めた切っ先で抉るように突き崩す。
「君の剣舞を見せて、櫻宵」
 月光ヴェールの尾鰭を揺らし、リルは儚くも力強い歌声を紡ぐ。櫻宵の心を昂らせ、希望と勇気を喚ぶそれは、永遠に移ろうことのない硝子の音色。
(「――僕の櫻、」)
 歌うは“彼”の勝利。希望の鐘を打ち鳴らす絢爛の凱旋。
 空間に反響する音が耳に届けば、それはまるで、
「……こんさーと、のようだ」
「あら? リィに魅惑されちゃった? ダメよ、その子はあたしのものなんだから」
 ――あたしの可愛い人魚に、手を出さないで頂戴。
 リルへと向けられた魔力の渦を破魔宿す太刀で弾き返し、櫻宵はそのまま鋭く踏み込むと、『存在』を断ち切る不可視の斬撃を放った。
 蝙蝠の多くが力を失い在るべき場所へ還るかの如く消えていく。だが、辛うじて逃れた個体がすぐさま別の蝙蝠と群れを作るのを認めれば、
「すばしっこい? 少しだけ動きをとめるから――その間に咲かせておいで」
 リルはすぐに音色を恍惚と陶酔を齎すものへと変えて、透明な歌声で蝙蝠たちを魅了した。
「とても綺麗で、あたしも魂ごと持ってかれそうよ、リィ!」
「む、それは困るな。まあ、持っていかれても僕が取り戻すけど」
 戯れのような言葉と笑みを交わす間にも、櫻宵の刀は着実に蝙蝠たちを斬り捨てていて。
 砕ける音は儚くて淡い夢のようで、少し切ないとリルは思いながらも、刀を収めた櫻宵にそっと告げた。
「綺麗なのは僕の櫻。……それと君と過ごす、日々だ」

 ――やがて。

 戦いが終われば、ふうと一息。ニケはいつものように朗らかに、ルミに笑いかけた。
「ルミさん、ルミさん。お怪我はなかったですか?」
「はい、僕もだいじょうぶですよ。ニケさんもけがしてませんか?」
 ルミが大丈夫と頷くのに、ニケはほっと一息。それから笑顔で胸を張り。
「はい、私もこの通り、大丈夫です!」
「それは良かったです」
 ニケの無事を確かめたルミも、ほっとしたように笑う。
「幾ら何でも多すぎだろう……」
 魔物の気配が消え去り、穏やかな空気が戻った空間で、ザッフィーロはまず溜め息をついた。
「……宵、そちらはどうだ? 大丈夫か? まあ体力はある故俺は、へばっては居らんがな?」
 ザッフィーロの案じるような眼差しに、宵は心なしか得意げに。
「あいにく僕は頭脳派で、体を動かしていないので平気ですよ。きみこそへばってしまわれたら困りものです」
 僕は君を運んで帰れそうな気はしませんからねと、宵は悪戯っぽく笑って返す。
 全てが終わったことを確かめてから、二人は帰路へ。
「まあ疲れたならばおぶってやるから、気にせず言うといい。――というのは半分冗談だが。街の皆もきっと喜んでくれるだろう」
 軽口を交えるザッフィーロに、宵は少しだけ目を丸くしながらも、笑って。
「半分は本気なんですか? まあ、……そうですね、彼らの笑顔を見るのがとても楽しみです」

 自身や皆に怪我がないことを確かめ、明夜も胸を撫で下ろした。
「よかった、ちゃんと元気な姿で、ただいまと有り難う、言えるね」
 鉱夫たちにも、街の人々にも。そして、明夜や皆の帰りを待つ小さな妖精の少女にも。
「……ね、メーリ様」
 名を呼ぶだいすきな友達の声に振り返る。
「こうして並んで戦ううちに、いつか、……輝石の魔力で視た姿に、一緒に近づけるといいですね」
 願うようなジナの声に、メーリは力強くもちろん! と頷き、笑みの花咲かせ。
「ね、その時は一緒だよ!」
 今も、これからも。その先も。一歩ずつ踏み出して、もう一歩、前へ。
「……どうか、安らかに」
 オブリビオン。倒さなければならない相手だとしても、命であることに変わりはなく。
 蝙蝠達へ安らかにと祈り、瑠碧は改めて本来の穏やかさと静けさを取り戻した空間をぐるりと見上げた。
 そうして、瑠碧は静かに思考する。
(「――最期まで共に居た石たちは、」)
 鍛冶屋として親しんだ勇者ラフィーナのことを、親しく想っていたのだろうか。
 例えば、自分たちに色々と視せてくれたように、勇者に天啓を視せたのも。
 どういう想いからであったのだろう。
 帰らずの勇者が視た天啓は――。
 危ないから“其処”に行ってはいけない、という意味もあったのだろうか。
 ――けれど、きっと。
 行かなければならないと強く想えるようなものだったのだろう。
 例えばそれは、見知らぬ世界のどこかの街であったり。
 例えば、泣きたくなるほど青く澄んだ、どこまでも広がる青空であったり。
 自分の名前を呼ぶ、知らない誰かであったり。
 あるいは、大勢の仲間たちと共に“竜”と戦う、いつかの自分であったり。

 石たちが彼女を引き留めようとしたのか、背を押そうとしたのか、それすらも今は誰にもわからないけれど。
 勇者は、石が視せてくれたものを天啓だと受け取り、旅に出たのは紛れもない真実で、ラフィーナの街の伝説の始まりの物語だ。
 勇者ラフィーナが輝石から奇跡の天啓を授かり、勇者となった――その軌跡。
 そこに行き着くことは叶わなかったものの、猟兵たちはたくさんの輝石と一つの奇跡を手に入れた。
 かつてこの世界に生きていた一人の少女の物語。
 時を経てなお今に伝わる物語の軌跡の続きを辿る日も、――そう、遠くないかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月12日


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