トワイライト・ザナドゥ⑩〜おにぎりの中身は
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「集合お疲れ様ですよ。サイバーザナドゥでの戦いは次の戦局に移ったようです。ということで、皆さんの力をお貸しください」
そう言って、サイモン・マーチバンク(三月ウサギは月を打つ・f36286)は猟兵達に会釈する。彼の言うように、サイバーザナドゥでの戦い――『トワイライト・ザナドゥ』は第二戦線へと進んでいた。
「今回皆さんに戦ってもらうのは、飲食系企業『タイハイホールディングス』のCEOである『タイマイ・ジロー』です。彼は自身の会社の幹部専用サイバースペースを開放し、そこで皆さんを待ち受けています。このスペース内には特殊な世界法則が定まっているようで、それを活かしながら戦うつもりのようですね。ですがこの法則は、皆さんにとっても活用できるものだと思われます」
説明を続けつつ、サイモンは戦場の様子を映し出す。サイバースペースの内部はかなり広く、所々にテーブルが並べられていた。そのテーブルの上には、美味しそうなおにぎりが並べられていた。
「このサイバースペースにおいて『食事をとった者はその量と質に応じて全身の細胞が活性化し、戦闘能力が上昇する』そうなんですよ。タイマイ・ジローも自分で用意したおにぎりを食べてパワーアップしながら戦うつもりのようです」
戦場に並べられているおにぎりは、サイバーザナドゥにおいては高級な食材で作られたものばかりだ。
米はきちんと栽培したものを使い、水も清らかなものをふんだんに使用している。中の具材も他の世界ではブランドものに相当するような、美味しい肉や魚、野菜や調味料を使用しているそうだ。
ラインナップも鮭や梅干し、昆布におかかといった王道のものから、いくらや鯛、フォアグラといった高級食材を使ったもの、天むすや牛肉しぐれ、チーズおかかにカレー風味といった変わり種も用意されている。
「ちゃんとしたおにぎりなら味や安全性も保証されていますし、皆さんもどんどん食べてパワーアップできると思います。厄介なのが、ちゃんとしてないおにぎりも混入していることなんですよね……。一部のおにぎりは具材として『骸の海』に汚染されたものが混ざっているんです」
タイマイ・ジローはオブリビオンであるため、『骸の海』入りのおにぎりでもパワーアップはできる。
しかし猟兵達にとって『骸の海』はかなり危険な毒だ。食べてしまえばどうなるか分からない。
「お米や水に『骸の海』が混入していたものなら、外側からでも分かると思います。でも具材が汚染されていた場合は、判断するのにちょっと手間がかかるかもしれませんね。その辺りは上手く工夫していただければと思います。いっそおにぎりには手をつけず、自分で料理を持ち込むのも手かもしれませんね」
サイバースペース内で食事さえすることができれば、パワーアップは可能だ。おにぎりに拘らないというのも一つの方法だろう。
「戦場に置かれているおにぎりの中から安全なものを見極めて食べるか、何かを持ち込んで食べる。それと並行しつつタイマイ・ジローと戦い、倒す。とりあえず、今回の依頼はこのような流れになりますね。俺から説明できることは以上です」
サイモンは転移の準備を終え、猟兵達に笑顔を向ける。
「それでは皆さん、行ってらっしゃい。お腹いっぱいになって、無事に帰ってきてくださいね」
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
好きなおにぎりの具材は梅干しです。
このシナリオは「やや難」となります。
●プレイングボーナス
「骸の海」が混入していない料理を見極めて食べる/自前で持ち込んだ料理を食べながら戦う。
戦場にはタイハイホールディングス製のおにぎりが置かれています。
食材は安全なものが使われていて、味も申し分ありません。
中身はオーソドックスなものや高級食材、変わり種系など「おにぎりとしてありえそうな具材」なら大体揃っています。
これらを食べればパワーアップすることができるでしょう。
しかし、一部のおにぎりは米や具材が『骸の海』に汚染されており危険です。
おにぎりを食べるなら、危険なものは見極めて回避する必要があります。
戦場で食事さえできればパワーアップできるため、自前の料理を食べつつ戦うことも可能です。
●『タイマイ・ジロー』
飲食系メガコーポ『タイハイホールディングス』のCEOです。
自らの目的のために、サイバーザナドゥそのものを犠牲にした世界移動を目論んでいます。
企みを阻止するために、倒しましょう。
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オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『タイマイ・ジロー』
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POW : ライトナイフ&レフトフォーク
指定した敵1体か自身が死亡するまで、負傷を無視して毎秒【鋭い鉤爪の生えた両腕】で攻撃し続け、敵の攻撃を【恐竜の鱗】で弾く。
SPD : 千客万来焼肉ラビュリントス
レベルm半径内を【タイハイホールディングス印のクローン肉】製の迷宮に変える。壁の硬度はレベルに応じ、内部に弱い【クローン特上殺人バッファロー】を50体配置できる。
WIZ : 大変身グルメドラゴン
今日食べた物の【カロリー】合計に比例した攻撃力と、【価格】合計に比例した防御力を持つ、【熱量を操るグルメドラゴン】に変身する。
イラスト:yuga
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シモーヌ・イルネージュ
おにぎりを食べるだけかと思ったけど、そんなうまい話はないかー。
敵ながら骸の海を混ぜるとはやるね。
さて、どうやって見分けたものか⋯⋯
サイバーアイだけで見分けるのは難しそうだな。
ならば、当たるのを前提に対策した方が良さそうだ。
紅槍『狼月天穿』で戦うよ。
おにぎりはがんがん食べるとして、食べる前には祝福を掛けよう。
これで少しはましになるかも。
あとは気合と根性だな!
UC【影朧隠爪】を使って、隠れながら攻撃していこう。向こうの戦場だから工夫しないとね。
アンタだけ回復するのも癪だから、紅槍の回復阻害攻撃も喰らっていきなよ。
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サイバースペースに並べられたおにぎりはツヤツヤで、どれもパッと見た限りでは美味しそうに見える。
シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)はおにぎりの方に視線を向けつつ、小さく息を吐いた。
「おにぎりを食べるだけかと思ったけど、そんなうまい話はないかー」
美味しそうに見えるおにぎりの中には『骸の海』が混入した危険なものもある。猟兵だけには毒になる物体を混ぜるとは、敵もなかなかの策士のようだ、
シモーヌはサイバーアイを起動しておにぎりを観察するが、これだけで瞬時に判別するのは難しいだろう。
ならば、どうにかするのは気合と根性だ。シモーヌは『狼月天穿』を構え、タイマイ・ジローと向き合った。
「アンタのおにぎりは美味しく食べさせてもらうよ。でも、アンタのことは逃さない」
「用意したモンを食ってくれるのはありがたいな。だが、俺の邪魔はさせない」
双方ともに、一歩も譲るつもりはない。二人は同時におにぎりを手に取り――前へと駆け出した。
(狼月天穿には祝福の力がある。これで少しはマシになるといいんだけど……!)
シモーヌは手にした槍から祝福を受け取り、その守りに賭けておにぎりを口にした。
最初に食べたのはオーソドックスな鮭味だ。お米の甘みと鮭のしょっぱい味付けが合わさって、そのハーモニーには思わず目が丸くなる。
「美味しい!」
「嬉しい反応だな。だが、容赦はせん」
タイマイ・ジローは口を笑みの形に歪めつつ、サイバースペースを思うように書き換えた。周囲はクローン肉でできた迷宮に変わり、その中を殺人バッファロー達が駆け回る。
シモーヌは物陰に隠れ、二つ目のおにぎりを食べてパワーアップを図るが――。
「っ、これが骸の海か……!」
舌に刺されたような刺激が走る。シモーヌはさっさと危険なおにぎりを飲み込み、別のおにぎりを口にした。今度は美味しい明太チーズだ。
ちゃんとしたおにぎりでしっかりとパワーアップしたのなら、そろそろ反撃に出なくては。シモーヌは物陰に潜んだまま、ユーベルコードを発動する。
「地に這いし影よ。我に従い我を守れ」
影で自身を隠しつつ、伸ばした影にてバッファローやタイマイ・ジローを切り払う。位置を悟られそうになればすぐに場所を変えて、おにぎりを食べて。
シモーヌは戦場を駆け回り、着実に敵への攻撃を繰り返した。その最中、彼女の身体を美味しいおにぎりが支え続けるのだった。
大成功
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ファルコ・アロー
なんつー戦場なんですかここは……大食い勝負でもさせるつもりなんですか、ふざけやがってです!
しかも骸の海に汚染されてるのが混じってるとか炎上案件ですよ!
そんな小細工じゃボクには勝てねーって事、教えてやるです!
とにかくここはおにぎりを食べる所から始めるです。
骸の海による汚染なら、多分気配感知に引っかかるんじゃねーですかね。
これだけいっぱいあるんです、怪しいのには触らず絶対大丈夫!って思ったのだけばりばり食べて行くですよ!
エネルギー充填完了したら勝負です!
敵の鉤爪攻撃にこの機械腕と格闘術で対抗、と見せかけて少し離れた間合いからディスタントナックルです!
この拳が鱗を貫くか弾かれるか……勝負です!
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「なんつー戦場なんですかここは……」
たくさんのおにぎりが並ぶ、ある意味壮観な様子を前にファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は肩を竦める。
「大食い勝負でもさせるつもりなんですか、ふざけやがってです! しかも骸の海に汚染されてるのが混じってるとか炎上案件ですよ!」
「俺達にとっては普通にウマい料理なんでな。悪く思うなよ」
牙を剥き出しにして笑うタイマイ・ジローを、ファルコはびしっと指差す。
「でも小細工してるのは事実ですよね。そんな小細工じゃボクには勝てねーって事、教えてやるです!」
宣言しつつ、ファルクはおにぎりに手を伸ばした。一番近かったものからは妙な気配がしたので避けて、その隣のものを手に取る。こっちは大丈夫そうだ。
念のため、手元でもう一度安全確認をしてから口に運べば――口の中に広がるのは牛肉しぐれの濃厚な味わい。当たりのようだ。
「味は悪くねーですね。それに……」
おにぎりを食べ進めるほど、身体に力が満ちていくのが分かる。世界法則は確かに機能しているようだ。
同じ調子でおにぎりを選別して食べれば、さらに力は増していく。十分にエネルギーを充填したことを確認し、ファルコは臨戦態勢を取った。
タイマイ・ジローもおにぎりを食べ、パワーアップを終えていたようだ。両腕の鈎爪をカチカチと鳴らし、ファルコの動きを待っている。
「さあ、来いよ」
「言われなくても! 行くですよ!」
ファルコは勢いよく相手の懐に飛び込むと、鋭くパンチを放つ。一方タイマイ・ジローは鉤爪と鱗を駆使し、その攻撃を受け流した。
数発打ち合ったところで、今度はタイマイ・ジローの番だ。
「筋は悪くない……だが!」
タイマイ・ジローは的確な角度で鉤爪を振るい、ファルコを切り裂きにかかる。ファルコは咄嗟にラプターウィングを展開し、相手との距離を取った。
ここまでファルコは格闘戦で応じてきた。タイマイ・ジローもそれを認識しているため、ファルコは再び接近してくるだろうと迎撃の構えを取る。しかし――それおそがファルコの狙いだった。
「この拳が鱗を貫くか弾かれるか……勝負です!」
「何!?」
ファルコは両腕を突き出すと、そこから拳を分離させる。分離した拳はプラズマジェットで加速して、凄まじい勢いでタイマイ・ジローへ迫った。
その拳は分厚い鱗を突き破り、タイマイ・ジローを貫く。
相手の策を乗り越え、自らの策を貫き通す。そんなファルコの戦法が、この戦いを制したのだ。
大成功
🔵🔵🔵
青和・イチ
美味しい料理は正義…だけど
世界を平気で見捨てる奴は…うん、ダメだ許せない
これが例のおにぎり…どれも美味そう
明らかに怪しいオーラ出てるのと…変な色と声(?)聞こえるアレは、やめとこ
後はくろ丸の嗅覚で、嗅ぎ分けてくれる?
くろ丸はずっと一緒に戦ってきた相棒だ
骸の海の匂いも気配も、嫌というほど覚えてるよ
安心判定が出たおにぎりは…遠慮なく頂きます
ん、うまっ
やるじゃん、ジローおじさん
その料理の腕…消さなきゃいけないの、残念だよ
炎を喚び出し、半数ほど纏めて巨大化
おにぎりパワーで、おじさんを覆える程の火柱にはなるかな
容赦なく焼かせて貰うよ
残りの炎は槍に纏わせ、随時攻撃して彼の摂食行動を阻害
パワーUPはさせない
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戦場に並べられたおにぎりは、荒廃した世界で作られたとは思えないくらい美味しそうだ。
美味しい料理は正義だ。けれどそれを作る者が、平気で世界を見捨てようとすることは許せない。
青和・イチ(藍色夜灯・f05526)は相棒のくろ丸と共に戦場に立ち、タイマイ・ジローと相対する。あの強敵を倒すために、まずは何か口にしなくては。
イチは並べられたおにぎりに向き直り、ジッと見つめる。
「どれも美味そう、だけど……」
時折目に付くのは、なんだか極彩色なオーラを感じるもの。他にも近づけば囁くような声が聞こえるものもある。
「こういうのは、分かりやすいよね……。あとはくろ丸も、手伝ってくれる?」
イチの呼びかけに、くろ丸は小さく鳴いて応える。長年イチと共闘してきたくろ丸ならば、骸の海の匂いや気配はよく知っていた。
「これにしよう、いただきます」
力を合わせて安全そうなおにぎりを見つめたのなら、意を決して食べてみる。次の瞬間、口の中に広がるのはツナマヨのまろやかな味わいだ。
「ん、うまっ。やるじゃん、ジローおじさん」
「素直な反応、ありがたいな」
イチの声にタイマイ・ジローが思わず笑顔を向ける。美味しい料理を作る者と食べる者が揃い、一瞬だけ戦場の空気が緩んだような気がした。けれど双方ともに、決して油断はしていない。
「その料理の腕……消さなきゃいけないの、残念だよ」
「こっちも良い客だと思ったんだがな。俺の邪魔はさせん」
十分に力を蓄えたところで、イチ達とジローが向き合う。おそらく決着がつくまで、それほど時間はかからないだろう。
ジローはエネルギーを変換し、巨大なドラゴンへと姿を変える。それに対し、イチが放つのは――青い炎だ。
「……迷子の光。行き先は、あっち」
おにぎりから受け取った力を籠めて、炎をどんどん成長させて。気づけばドラゴンと化したジローすら覆えるほどの火柱が立ち上がっていた。
火柱は一気にジローの元へと迫り、彼を少しずつ追い詰める。しかし戦場は広く、ジローも翼を羽ばたかせて逃げ回っているようだ。
その行く手を阻んだのは、炎を纏った槍を握るイチ。くろ丸と共に迎撃の姿勢を取り、竜を迎え撃とうとしていた。
「おじさん達の、やろうとしてること……僕は、許せないから」
思いを籠めて刺突を放ち、竜の身体を貫いて。その勢いで後退したジローは、火柱の中に落ちていく。
世界を生贄にしようとした者は、力強く、けれど静かに燃える炎に焼かれていった。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
いただきまっすなのでっす!
恐れることなくおにぎりをちょうだいする藍ちゃんくんなのでっす!
藍ドルでっすからねー。
高級品の見極め番組にお呼ばれすることもあるのでっしてー。
鑑定眼には自信あるのでっすよー?
今回は食べ比べちゃうわけにはいかないでっすけどねー!
シャンゲリラクライシスのイエロータイガーさん戦とかで骸の海を流し込まれたりとかもしまくりましたし、お口でどころか全身全霊で味わいまくっちゃった経験も豊富でっすのでー。
存外外側からでも分かっちゃうものなのでっす!
後は青い鳥の幸運の加護で乗り切っちゃいましょう!
ごちそうさまでっしたー!
負傷は無視できるやもでっすが、スタミナはどうでっすかー!
高速飛翔能力で、爪の射程外に居続けつつ振り回しまくっちゃおうなのでっす!
鱗による防御は厄介でっすが、歌は全身で、心で感じるものでっすからねー!
例えば今振るわれている爪などもでっすが鱗で覆われてない部分もありまっすし、戦闘力増強×食事パワーでの乗算歌魔法でおしきっちゃいましょう!
藍ちゃんくんでっすよー!
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ずらりと並べられたおにぎりを前にして、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)が笑顔で手を合わせる。
「いただきまっすなのでっす!」
そのまま前方に手を伸ばし、まずは一個目のおにぎりを手に取る。一瞬だけおにぎりを観察してから、堂々と口に運べば――広がるのは高菜漬の味わいだ。
「なかなか渋いのが来たのでっす! 美味しいでっすねー、二個目はどれにしましょうか?」
躊躇なくおにぎりを選び、食べ続ける藍を前にタイマイ・ジローはほんのりと目を丸くしていた。彼もおにぎりを食べているようだが、それ以上に藍の食べっぷりが気になる様子だ。
(あいつ、どんどんおにぎりを食べているように見えて……骸の海入りは確実に避けてやがる)
今度はカレー風味でっすねー! と表情を綻ばせている藍は、ジローの指摘通り安全なおにぎりのみを食べ続けている。
躊躇なくおにぎりを食べているようで、着実に安全なものだけを手に取る――そんな芸当ができるのは、藍がベテランの藍ドルだからこそ。
お茶の間向けの仕事として、高級品の見極め番組にだって出演するし鑑定眼はずっと鍛えてきている。
猟兵としてなら、全身で骸の海にぶつかってきた。イエロータイガーとの戦いで味わった感覚は、今も覚えている。
これまで培ってきた技術があれば、少しの観察で危険なおにぎりを見分けることだって不可能ではない。
それに藍は一人ではなかった。彼を包みこんでいるのは、幸運を運ぶ青い鳥の加護。伝わる思いは無意識に藍を守り、手助けしてくれている。
こうして積み重ねてきたもので、しっかりと美味しいおにぎりを食べて。お腹いっぱいになったところで、藍は再び手を合わせた。
「ごちそうさまでっしたー! 美味しかったでっすよー!」
「良い食べっぷりだったな。このまま見ていたい気持ちもあったが……俺もそろそろ行かないといけないんでね」
ずい、と藍の前に立つのは、巨大な鉤爪を鳴らすジロー。相手のやる気十分のようだ――それなら思い切り戦うのみ!
ジローは藍目掛け、躊躇することなく鉤爪を振るう。
藍は後ろに飛び込み攻撃を回避しつつ、背中に輝く小さな翼を展開した。これも青い鳥の加護の力だ。
ジローも負けじと藍を追いかけ、何度も爪を振りかざした。藍はその攻撃をギリギリで回避しつつ、ヒラリヒラリと宙を舞う。
「どうした、逃げてばかりじゃないか!」
「追いかけっこも楽しいものなのでっすよー!」
相手の煽りは笑顔で流し、まだまだ藍は飛び続ける。
ジローは強固な鱗に覆われているため、生半可な攻撃は通用しない。それならまずは相手を疲弊させ、チャンスを掴む作戦だ。
逃走劇を続けていけば、次第にジローの動きが鈍る瞬間も増えてくる。その隙を見計らい、藍は堂々と腕を掲げた。
「今度はこっちの番なのでっす!」
ジローは咄嗟に両腕を組み、防御の姿勢を取る。しかし藍が放ったのは防御を貫くような魔法――鱗すら通して響く歌声だった。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
美味しいおにぎりと、大切な友人と重ねた歌への思い。それらは加算ではなく乗算で増えていき、歌魔法の威力を跳ね上げさせる。
ジローは鱗越しに響く音に、思わず身を震わせていた。全身の痛みに、思わず顔が歪む。
「ぐ、なんだこれは……!」
「歌は全身で、心で感じるものでっすからねー! 一気に押し切っちゃいますよー!」
ジローの悪意すら飲み込んで、ただただ楽しい思いだけを広げて。藍が笑顔と共に振りまく歌は、邪悪なCEOの魂に大きなものを刻みつけるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
自作の薔薇のアップルパイや
餃子の皮を使ったカップグラタン等
味も見栄えも拘った料理をバスケットで持ち込み
折角ならおにぎりも…いくらとチーズおかか食べたいな
小食なりに沢山食べれるよう
食事の順番や持ち込み量の調整
おにぎりは外見から危険なものは避け
更に破魔を乗せた花園を聖痕の力で広げ
骸の海を破魔と反応させる事で魔力感知出来るように
バスケットがあれば食べながらでも空中戦出来るし
自身にオーラ防御を纏い食事しながら
華響迷宮発動
敵を閉じ込める事で攻撃と逃亡を防ぎつつ
高速詠唱、多重詠唱で水と氷の全力魔法、属性攻撃
散りばめられた破魔の花弁を巻き込む事で破魔も宿しながら
敵方向に雪崩を起こして攻撃兼凍結による足止め
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「よ、っと。これで大丈夫かな」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はバスケットを抱えつつ、サイバースペースへと飛び込む。
バスケットの中身は自作の薔薇のアップルパイに、餃子の皮を使ったカップグラタンなどなど。片手でも食べやすく、それでいて味や見栄えにも拘った料理たちだ。
タイマイ・ジローも澪のバスケットの中身に気づくと、楽しそうに目を細めた。
「ほう、良い料理を作るな」
「敵ながら褒めてもらえるのは悪くない、かな。おにぎりもちゃんと頂くよ」
澪は聖痕に力を籠めて、サイバースペースの中に清らかな花を咲かせていく。そこから広がる破魔の力は邪悪なもの――骸の海に反応を示す。
準備が整えばおにぎりを観察し、まず見た目から怪しいものを除外する。そして破魔との反応も合わせ安全そうなものを判断し、おにぎりを選ぶ。
けれど真っ先におにぎりを食べるのは避けた。最初は野菜類を摘んでから、澪は改めておにぎりを手に取る。
「ん、いくらだ……!」
食べたかったおにぎりを口にし、澪は思わず微笑む。ほんのりとした醤油の味わいも上品で美味しい。
次はカップグラタンを食べてから別のおにぎりへ。またしても食べたかったおにぎりであるチーズおかかを選べて、澪は表情を綻ばせていた。
少食だからこそ食べる順番は慎重に。澪は自分にできる範囲でどんどん食事を続ける。そうすれば、次第に身体に力も満ちていく。
「たくさん食べてもらえるのは嬉しいが、ここらで潮時だな」
ジローもおにぎりを食べ終えたようで、澪に襲いかからんとグルメドラゴンに変身していた。
「こっちも十分元気になったからね。いくよ……この迷宮から逃れられる?」
澪も負けじとユーベルコードを展開し、戦場を破魔の花弁が舞い散る迷宮へと変化させていく。
ドラゴンは厄介だが、身体が大きい分立てる音も大きい。その反響を頼りにし、澪は一気に敵との距離を取った。
そのまま敵に位置を把握し続け、放つのは水と氷の全力魔法だ。
広がる魔法は破魔の花弁も飲み込んで、巨大な雪崩へと姿を変える。迷宮によって行く手を阻まれたジローは、その巨大な質量に飲み込まれることになった。
アップルパイを食べてエネルギーをさらに補充すれば、合わせて魔法の威力も跳ね上がる。
「おにぎり、美味しかったよ。でも遠慮はしないからね……!」
澪の工夫は強力な魔法という形で実り、ジローに大きなダメージを与えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
檍原・颯汰
【しまふらい】
|神糧《ソーマ》の美味しさ、気になるなぁ~
この世界でも隠し味程度に入ってるの?
親分、若葉さん、おにぎり食べようよ
あ、親分はお弁当持ってきたの?
愛情たっぷり入ってそうでいいね!
僕はご当地の味を知りたいからおにぎりをいただくね
サイキックガードや気配感知で見た目判断をしつつ
あ、天むすはイケそうだよ
若葉さんの提案に乗っておにぎりは割って食べる
青のりと天かす、めんつゆを混ぜたおにぎり
悪魔のおにぎりって言われてるんだっけ。親分、若葉さん、食べてみる?
UCを使って、逆風で敵の足止め&食べるのをちょいちょい邪魔する
あと、突風で親分の飛翔を助けるよ!
僕自身は交通標識で攻撃していくね
鵯村・若葉
【しまふらい】
普通に作れるなら普通に作ればよいものを
この世界では真面目にやっていては馬鹿を見るのかもしれませんが
ええ、檍原様。いただきましょうか
島江さんはお弁当を?
いつも通り沢山入っていますね
――自分もおにぎりを頂きます
……島江さんも気になるのでは?
おにぎりは割れば骸の海の判断はできるでしょうか
《気配感知》しつつ割って確認
割れば交換しやすいですしね
これは……明太高菜ですね
少し辛みがあるのが丁度良いです
檍原様、島江さん、食べてみますか?
料理人ならば食事の時間を邪魔してはいけないのはお分かりでしょう?
お二人の邪魔はさせません(UC)
『鳴月』に《武器に呪詛を纏》わせ
《呪殺弾》でお二人の《援護射撃》
島江・なが
【しまふらい】
そーま……?
よくわかんねーですが、めちゃすご食材なんです?
で!も!
しまふらいの料理だって負けてねーんですからねっ
志摩パパさんとママさんに持たせて貰ったお弁当があるですよ!
ううっ、二人の浮気者ぉ……!
いいですもん、ながはお弁当食べますから(ちら)
おにぎり気になるなんて(ちら)
――ううー!安全確認までしてくれてるなら食べたいです!
明太高菜はちょっぴり大人の味ですねい!
悪魔のおにぎり……?!
勇気を出して一口
――これは、癖になりますねい!
おにぎり、確かにお弁当に負けないくらい美味しかったですよ!
お礼におとーとぶん二人の援護を受けた
最強パーフェクトパワフルなながのアタック、見せてやるです!
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なんだかサイバーな空間にツヤツヤおにぎりが並べられている様はなんだか壮観だ。
鵯村・若葉(無価値の肖像・f42715)はおにぎり達に、冷めた視線を向けていた。
「普通に作れるなら普通に作ればよいものを」
タイマイ・ジロー達が美味しい食事を作るためのリソースは、人々に還元されていない。真面目にやっていては馬鹿を見る――ここはなんとも世知辛い決まりで動いている世界だ。
けれど、目の前のおにぎりが美味しいという現実も確かにある。檍原・颯汰(ダークネス「シャドウ」のアリスナイト・f44104)はジッとおにぎりを観察しつつ、なんだかソワソワしていた。
「ジローさん気になること言ってたよね。|神糧《ソーマ》の美味しさ、気になるなぁ~」
ジローは故郷の世界から不可思議な食材を持ち込み、それを自社の製品に仕込んでいたらしい。もちろんおにぎり達にも使われているだろう。
「そーま……? よくわかんねーですが、めちゃすご食材なんです?」
颯汰の言葉にコテンと首を傾げるのは島江・なが(超弾丸シマエナガ・f42700)だ。ながの問いかけに、颯汰も若葉も頷く。
「そうそう、僕らがまだ行ったことのない世界の食べ物だって。親分、若葉さん、おにぎり食べようよ。そうしたらきっと分かるよ」
「そうですね、タイハイホールディングスが悪行をやっていても、使われているものは本物でしょう。ええ、檍原様。おにぎりいただきましょうか」
「で! も! しまふらいの料理だって負けてねーんですからねっ」
おにぎりに乗り気な二人の前に、なががズズイと差し出すのは大きな包み。中身はながの保護者である志摩パパさんとママさんが心を籠めて作ってくれたお弁当だ。
「あ、親分はお弁当持ってきたの? 愛情たっぷり入ってそうでいいね! でも僕はご当地の味を知りたいからおにぎりをいただくね」
「……いつも通り沢山入っていますね。ですが――自分もおにぎりを頂きます」
颯汰も若葉もお弁当を見てホッコリしているが、おにぎりへの興味は別問題だ。早速おにぎり観察に移った二人に対し、ながは羽根をバタバタさせた。
「ううっ、二人の浮気者ぉ……! いいですもん、ながはお弁当食べますから」
パパとママが作ってくれたお弁当は、いつも通り美味しい。世界法則でちゃんとパワーアップもできる。けれど――ながの視線は、おにぎりを選ぶ二人に向けられていた。
「それじゃあ、早速食べられそうなのを探そっか」
颯汰はサイキックガードを展開し、いくつかのおにぎりに手を伸ばす。時々ビリビリとするような、嫌な感覚が響くものがあるが、おそらくそれが外れだろう。
「あ、天むすはイケそうだよ。ちゃんと尻尾が良い色してる」
「見た目で分かりやすいものはいいですね。他には……」
若葉もおにぎりを観察しつつ、同時にジローにも視線を向ける。どうやら向こうもまだ仕掛けてくる様子は見せず、自作のおにぎりを食べることを優先しているようだ。
ついでにながにも視線をやれば、思わず目が合う。
「な、なんなのですか。おにぎり気にしてないですから!」
「……割って確認すれば、安全確認もしやすいし、交換もしやすいかなと」
ながの方を見つめつつ、若葉は手近なおにぎりを手に取る。中身は明太高菜のようだ。一口食べてみれば、程よい辛味がなんとも言えない。
「少し辛みがあるのが丁度良いです。檍原様も食べますか?」
「食べる食べるー。こっちも美味しそうなの見つけたよ」
颯汰が手に取っていたのは青のりと天かす、そしてめんつゆを混ぜたおにぎりだ。
「悪魔のおにぎりって言われてるんだっけ。若葉さんもどうぞ。ほら、親分もよかったら食べてみない?」
「ああ、ありがとうございます、っと。自分の明太高菜も、まだありますよ」
おにぎりを手に、ながの方に近付く二人。ながは必死にお弁当に視線を向けようとするが、どうしても二人をチラッ、チラッと見てしまう。
「――ううー! 安全確認までしてくれてるなら食べたいです!」
とうとう我慢できずに飛び込むながに、二人が向けるのは優しい視線。美味しいものは、分け合ったほうが美味しいのだ。
「わ、明太高菜はちょっぴり大人の味ですねい! 悪魔のおにぎりは名前こそ厳ついですが……これは、癖になりますねい!」
「お茶と合わせるとなお美味しいかもしれません。檍原様の選んだものも美味しいです。やみつきになりそうですね」
「こう、自分でなかなか選ばないタイプのおにぎりもあって、新鮮だよね。ちょっと不思議な味が|神糧《ソーマ》かなぁ」
三人で和気藹々と食事を続けていると、突然頭上から振るのは大きな影。
見れば食事を終えたタイマイ・ジローが猟兵達に狙いを定めていた。
「楽しそうに食ってくれてありがとうよ。お礼に、あんたらから得られるエネルギーも活用させてもらおう」
ジローは容赦なく鉤爪を振るい、猟兵達を殺しにかかる。しかしその動きは、突風と影の茨によって阻まれた。
「こっちこそ美味しかったよー。でもこれは、別の話だよね」
「料理人ならば食事の時間を邪魔してはいけないのはお分かりでしょう? 自ら客を減らそうとするのも、よろしくないかと」
気づけば颯汰は交通標識を握り、若葉は拳銃を構えていた。ながもいそいそとお弁当を片付け、臨戦態勢を取った。
「おにぎり、確かにお弁当に負けないくらい美味しかったですよ! ちゃーんとお礼をするのですねい! 行くですよ、おとーとぶん達!」
「はーい。僕らもおにぎりのおかげで元気いっぱいだしね。親分も、格好良く決めちゃって。」
「援護は自分達にお任せを。たっぷりとお礼、差し上げましょう」
猟兵達の攻撃を察知し、ジローは後ろへと下がる。彼もパワーアップしているためか、鱗が妙に輝いているように見えた。
「威勢がいいな。だが、先に倒れるのはあんた達だ……!」
ジローは鱗で身を守りつつ、再び猟兵達の元へと飛び込む。そのまま凄まじい勢いで腕を振るい、嵐のように鉤爪を振り回した。
その動きを阻むよう吹き荒れるのは、強烈な逆風だ。風の発生源に立っているのは颯汰だった。
「ところにより磁気嵐がくるよ」
口調はゆるりと、けれど風は容赦なく。嵐がジローの動きを阻んでいるうちに、若葉は再び銃を構えた。
「参りましょう。敵なら滅する、それだけです」
星の輝きで周囲を照らし、自らの影をさらに濃くする。影は茨に姿を変えて、風に乗りながらジローを拘束していった。
その隙に呪殺弾を撃ち込んで、なるべくジローの動きを止め続ける。鱗を打ち破ることはできずとも、呪詛を流し込むことなら意味がある。
「このッ……!」
「させないよ」
ジローは鉤爪で茨を切り裂こうとするが、その攻撃を颯汰が振るう交通標識が食い止める。
そうして完全にジローの動きを食い止めたところで、最後に決めるのは――。
「いっきまっすよー! 最強パーフェクトパワフルなながのアタック、見せてやるです!」
颯汰の風と若葉の星光を全身で受け止め、黄金色に輝くながが戦場を飛び回る。
みんなの力と美味しいものを混ぜて、今のながはとにかく最強。流星のように突き進む体当たりは――ジローの鱗を打ち破る!
三人は見事な連携と友情により、大きな勝利を引き寄せたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】スーさん、あーさん、交互呼びします!
オニギリ・フェスティバル!だよ、あーさん!
おれたちの胃は、宇宙だー!おかずに、無限たこ焼きと、デザートに、アイスも持ってきーたよ!
ばっちしー!
肉体改造で、嗅覚をすっごく!鋭くするぜ!スーさんに、無限たこ焼きをわたします!これは安全なので!おれはアイスたべます!
それから、おにぎりはおれが匂いでだいじょーぶ!って、わかったやつだけを渡すね!改造して、腕をふやしといたら、自分で食べつつわたせるぜ!
うおおおしゃけしゃけめんたいタマゴチーズ昆布スパム!
よーし、UCつかって……ドラゴンだー!!
あーさん!ドラゴンステーキ、たべよーぜ!(ハンマー構え!)
スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】
えぇ、おにぎり食べ放題ですよトーさん!
私たちは大食いブラザーズ、胃は宇宙!(ぐっ)
おかずやデザートまで……流石トーさん、バッチリです!
しかし無限たこ焼きとは……?
あ、ありがとうございます、いただきます(パクっ)
……食べたのに無くならない!? しかも美味しい!
これは大食いの強い味方……!
トーさんの目利きなら間違いナシですね!
私もUCで腕を増やしましょう
これなら受け取りも楽々ですし、
骸の海混入物が近くにあったら遠ざけておけます
うおおおわかめツナマヨおかか高菜いくらも! どれも美味しい!
良いですねぇ、新鮮なお肉でステーキ!
ヨシ、狩りの時間ですねトーさん!
増やした腕で敵を襲います!
●
戦いの痕が増えるサイバースペース内には、未だたくさんのおにぎりが並べられている。
激しい戦いの余波が見え隠れする中でも、綺麗な三角形のおにぎりを見ればなんだかホッコリするもの。茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)は思わず目を輝かせ、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)の顔を覗き込んだ。
「オニギリ・フェスティバル! だよ、あーさん!」
「えぇ、おにぎり食べ放題ですよトーさん!」
スキアファールもトヲルに笑顔を向けて拳を握っている。
二人とも食べることは大好きだ。一緒に美味しいものが食べられるなら、なおさらハッピー。準備だってしっかりしてきていた。
「おれたちの胃は、宇宙だー!」
「私たちは大食いブラザーズ、胃は宇宙!」
「おかずに、無限たこ焼きと、デザートに、アイスも持ってきーたよ! ばっちしー!」
トヲルがじゃーん! と取り出すのは、たくさんの食べ物達。思いがけないサプライズに、スキアファールも思わず目を丸くする。
「流石トーさん、バッチリです! ……しかし無限たこ焼きとは……?」
「大丈夫、安全だから! あと美味しいから! はい、スーさんもどーぞ!」
「あ、ありがとうございます、いただきます」
不思議な食べ物でも、トヲルが大丈夫だと言うのなら大丈夫なのだろう。スキアファールはたこ焼きを受け取ると、素直にそれを口にする。確かにしっかりと噛んで、飲み込んだ。けれど――たこ焼きは減っていない!
「……食べたのに無くならない!? しかも美味しい!」
「最高だよな、おれらにぴったり!」
「ええ、これは大食いの強い味方……!」
感動して震えるスキアファールの隣では、トヲルがアイスの冷たさに身を震わせていた。しかし彼もただ美味しいものを食べているわけではない。アイスから得たエネルギーで身体を改造させ、おにぎりに備えていたのだ。
まずは危険なおにぎりを見分けられるよう嗅覚を強化し、そのまま腕を増やして単純な手数を増やす。そんなトヲルの様子を見て、スキアファールも意識を集中させた。すると彼の腕から黒包帯が外れ、何本もの影腕が飛び出した。
「よし、これならたくさんおにぎりが掴めますね。受け取りも楽々ですし」
「なんだかお揃いみたいだね! じゃあおれが安全そうなのどんどん選ぶよ!」
スキアファールが腕を構えたのを確認し、トヲルはおにぎりゾーンに飛び込む。鋭くなった嗅覚のおかげで、美味しそうな匂いのするものはすぐに判別できた。
「こっからここまでは大丈夫! 中身はきっとしゃけしゃけめんたいタマゴチーズ昆布スパム! そのへんにあるのは危ない! こっち側はセーフ!」
「危ないのは避けておきますね。これは……おお、わかめツナマヨおかか高菜いくらも! どんどん食べましょう!」
危なそうなのは隅っこによけて、大丈夫そうなのはどんどん食べる。
王道の食材を使ったものはあえて無難な味付けのものが多く、その素朴な味わいが身に染みる。
高級食材を使ったものは調味料にも拘っているようで、おにぎりなのにすごく贅沢な気分になった。
変わり種系も豊富で楽しい。なんというか、飽きがこないのだ。
「どれも美味しい! たこ焼きにも合いますし、アイスで休憩するのもいいですし!」
「おれ、こんなにおにぎり食べたの初めてかも……でも、ずーっと食べられそう!」
食べれば食べるほど気分が上がる。精神的な面も大きいが、エネルギーが充填されていくのも理由の一つだろう。
たっぷりとパワーアップしたところで――二人はタイマイ・ジローと向き合う。彼は巨大なドラゴンに変身し、猟兵達を待ち構えていたようだ。
「腹いっぱいになったか? 冥土の土産にはちょうど良かっただろう」
竜の姿のままニタリと笑うジローに対し、猟兵達は怖気づかない。
「お、ドラゴンだー! 確かにいっぱい食べたけど……あーさん! ドラゴンステーキ、たべよーぜ!」
「良いですねぇ、新鮮なお肉でステーキ! ヨシ、狩りの時間ですねトーさん!」
トヲルもまた巨大なドラゴンに変身し、ウォーハンマーを構える。スキアファールはさらに腕を増やし、それらを大きく蠢かせる。
猟兵とジロー達の戦いはシンプルで、それでいて激しいものとなった。
ジローは力任せに体当たりをしてきたり、鉤爪のついた腕を振るう。
その攻撃をトヲルが正面から受け止めて、その隙にスキアファールが腕を差し向ける。無数の腕がジローの身体を拘束すれば、そこからはあっという間だった。
「いきますよ、トーさん!」
「まっかせて! 思いっきりやろう!」
スキアファールがさらに腕に力を籠めて、相手の身体を引きちぎりにかかる。そうして敵の身体に脆い部分が生まれれば、トヲルが容赦なくハンマーを振るう!
二人の力強い連携はジローの身体を砕き、大きなダメージを与えた。
戦いが終われば、どんな風に食べてやろうか。激しい攻撃の最中でも、モノクロフレンズはアイコンタクトを取り合い、笑顔を向け合っていた。
大成功
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冴島・類
……えっ
おむすびに、骸の海で汚染されたものを?
米食の地で生まれたものとして許し難いですよ
美味しいお米に包む具を楽しんで
作った方がにぎる時に思いを込めて
収穫に感謝して、食べるものをそんな
ちょっと、許せないですね
勿体無いと、何てことしてくれてるんですかが同時に
とりあえず、机の上のおにぎりはありがたく
見分けか…具入りが見分けづらいなら
塩むすびを注意し(第六感)選んで
庭で育てた野菜のお漬物持ってきたから
それをおかずに手を合わせいただきます
さて、腹ごなしした後はしーいーおー戦ですね
強力な攻撃は見切りで避け、かわす中で
放つ業滅する糸で両腕の動きを阻害するように縛り、燃やせたら
おにぎりに毒を込める、駄目絶対
●
「……えっ」
戦いの説明を聞くや否や、冴島・類(公孫樹・f13398)の表情は強張る。その険しい表情のまま、類は戦場へ足を踏み入れた。
たくさんおにぎりが並んでいる、それ自体はいい。そのうちの多くは真っ当な食材で美味しく仕上げている、それもいい。
けれど――いくつかのおにぎりは骸の海に汚染されているのだという。まったく聞き捨てならない話だ。
おにぎりは、古くから故郷で食べられてきたもの。美味しいお米に感謝して、何を包もうか考えて、思いを籠めて握る――そんな人々の営みと感謝を示すような食べ物を、まるで冒涜しているようではないか。
「ちょっと、許せないですね」
食べ物を粗末にするような行い自体が許せない。何てことをしてくれたんだと、強い気持ちが湧き上がる。
タイマイ・ジローは類の視線を受け流しつつ、平気でおにぎりを食べている。あの人には、あとできちんと怒らなくては。
今優先すべきことは、きちんと料理されたおにぎりを食べること。料理に罪はなく、しっかりと作られているのは事実だ。ありがたくいただこうと、類はおにぎりに視線を向けた。
選ぶのは塩むすびだ。外見だけである程度判断できるし、食べ慣れた料理なので違和感も掴みやすい。
安全そうなものを手に取り、持参した漬物も取り出して。類はしっかりと手を合わせてから、おにぎりを口にする。
(……美味しいですね)
塩むすびは素朴な味わいだった。けれど丁寧に塩加減をされているのが分かる。自作の漬物と合わせれば、お米の甘みもさらに際立つようだった。
類の漬物は、自分達で育てた野菜から作ったものだ。この塩むすびだって、きっと誰かが育てた食材を使っている。
それを無碍にするような戦い方を選ぶ相手は、やはり許せなかった。類はごちそうさまでした、と手を合わせてから、絡繰糸を構えた。彼の前に立ちふさがるのは、ドラゴンと化したジローだ。
「美味かっただろう? 満足したなら、あとは消えろ」
ジローは躊躇なく腕を振るい、類を押しつぶしにかかる。重い一撃をひらりと回避し、類は力強く糸を操る。
「確かに美味しかったです、ごちそうさまでした。ですが……」
再び相手の攻撃に合わせ糸を手繰り、ドラゴンの四肢を迷うことなく拘束して。そこから奔るのは、悪しきを燃やす炎だ。
「おにぎりに毒を込める、駄目絶対」
炎は類の怒りを示すように燃え盛り、ジローの身体を包んでいく
類は目を伏せ、息を吐く。許しがたい巨悪は、何も残さず燃え尽きたのだった。
大成功
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