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めぇめぇレスキュー新人歓迎

#アルダワ魔法学園


●めぇめぇ達も新入生と遊びたい
「今日もお手紙いっぱいだめぇー」
「嬉しいめぇー」
 アルダワ魔法学園の第23迷宮、と呼ばれる地下迷宮の一角にて。
 めぇめぇレスキューの隊員数匹がおやつ代わりのお手紙をもぐもぐしていた。
 めぇめぇレスキューのお仕事は、助けを求める生徒の助けを求める手紙を、迷宮に入ってきた別の生徒に届けること。
 そうして生徒が迷宮内部で死なないようお手伝いをし、あわよくば地上にある学園に詰め所を置いて勢力圏を拡大する。
 そんな野望が、彼らの上層部には確かにあった。
 尤も、救出希望のお手紙を届ける以外は、迷宮の中でのんびりしながらおやつのお手紙を食んでいる末端の彼ら。
 地上進出の野望など二の次、美味しいお手紙があればそれで幸せなのだ。
「そういえば、聞いてるめぇ?今、地上の学園は新入生を迎え入れているらしいめぇー」
「そうらしいめぇなー。めぇたちも新入生さんたちと一緒に遊びたいめぇー」
 そう言いながらごろごろと地面で転がりつつ、なんでもないお手紙をもぐもぐするしろやぎ達。
 と、そんなしろやぎの一匹が、ぐっと拳を握って立ち上がった。
「そうだめぇ!めぇたちと遊んでもらって、新入生さんたちにもめぇめぇレスキューの大事さを知ってもらえばいいめぇ!」
「名案だめぇ!」
「そのついでにめぇたちレスキューの入隊希望者にテストを課して、レスキュー隊員として働けるか試せば一石二鳥だめぇ!」
「めぇめぇ3号、頭いいめぇな!」
 そんな様子できゃっきゃとはしゃぐめぇめぇ達に。
「あ、あのー……ちょっといい?」
 ふさふさした尻尾を生やした一人の女子生徒がおずおずと、彼らに声をかけたのだった。

●音楽祭とめぇめぇと
「めぇめぇレスキューにも、学園が新入生の入学シーズンということは、伝わっているようです……」
 グリモアベースにてアスター・ファラデー(ルーンの繰り手・f02089)は、猟兵たちを前にそう切り出した。
 職務に忠実なグルメなしろやぎで構成される、災魔の災魔による学園生徒のための救助部隊・めぇめぇレスキュー。
 学園生徒に友好的な彼らにも、アルダワ魔法学園が入学シーズンであることは伝わっているそうで、アスターにも覚えはあるらしい。
 ならばと学園の在校生にも、迷宮新歓コンパにあたってめぇめぇレスキューに協力を仰ごう、と考えた者はいたらしい。
「企画者のアニェーゼさんから、無事に承認が下りたと、報告がありました……皆さんにも、参加してもらいたい、そうです……」
 今回の新歓コンパの内容は、アスターの説明によると、こうだ。
 まずは学園内の音楽室を使って、在校生のシンフォニアによる音楽祭。
 音楽を聴きながら交流を深めた後は、第23迷宮に入って迷宮探索のレクチャーと、災魔を交えての戦闘訓練。
 ちなみに第23迷宮は地下1階の半分ほどが水没しているため、水着の着用が推奨されているとのこと。
 まためぇめぇレスキューから、「助けを求める風に書いたお手紙を、たくさん持ってきてくれると嬉しいめぇ」とのメッセージも受け取っているらしい。
「アニェーゼさんの話によると、めぇめぇレスキューの側も新人歓迎をやりたいそうで……新人に、お手紙を見分けるテストをしてもらうんだそうです……」
 アスターの発言に、猟兵たちはなるほどと頷いた。
 確かに、レスキューの隊員は助けを求める手紙と、そうでない普通のお手紙を、開封しないで見分けている。どうやっているのかと思っていたが、訓練の賜物であるようだ。
「レターセットと、ペンと、インクは、私が用意しておきましたので……持ち合わせがない方は、使ってください。
 皆さんなら、二つの新人歓迎を、両方とも成功させられると、信じています」
 そう言いながら、アスターは腰に下げた皮袋からルーンストーンを放った。地面に散らばる石の一つを拾い上げる。
「オセル、ですね……人生の岐路にいます。きっと、新入生さんも、レスキューの新人さんも。素直な気持ちで状況と向き合うことが、必要となります。
 皆さん、楽しんできてください」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 めぇ達も新入生さんの歓迎したいめぇーしたいめぇー、としろやぎさんたちに言われたので考えました。
 今回も最後までのんびりめの新歓コンパです。

●目標
 ・迷宮新歓コンパの成功。
 ・グルメなしろやぎ×1体以上の撃破。

●戦場・場面
 (第1章)
 アルダワ魔法学園の音楽室です。
 音楽祭の開催に伴い、学園内のシンフォニアが有志として参加しています。
 猟兵の皆さんは演奏や歌で参加してもいいですし、観客として盛り上げるのでもいいです。
 在校生や新入生の家族も集まっています。

 (第2章)
 第23迷宮の地下1階です。
 通路は一部が腰くらいの高さまで水で満たされており、水路のようになっています。
 水路の水には一定の流れがあるようです。

 (第3章)
 第23迷宮の地下2階、グルメなしろやぎたちのたまり場です。
 めぇめぇレスキュー隊員数名の他、入隊希望のしろやぎがたくさん集まっています。
 入隊希望者のうち、めぇめぇレスキュー隊員としてふさわしくない人員が撃破対象となります。
 しろやぎたちがお手紙を書く道具を持ってきているので、お手紙はその場で書いても構いません。

●在校生
 アニェーゼ・トレッカーニ(女)
 人間のマジックナイト×ガジェッティア。17歳。
 もふもふした尻尾はアクセサリーだと言い張っている。驚くと犬耳が生える。
 つんのめりがちだったのは多少落ち着いた。

●新入生
 総勢3人。
 年齢は12歳が2人、18歳が1人。性別は男が1人、女が2人。種族比はドラゴニアンが1人、ケットシーが2人。
 アルダワ魔法学園に入学するくらいなので戦う力は持っているものの、いずれも一般人レベル。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングと、心の籠もったお手紙をお待ちしています。
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第1章 日常 『アルダワ学園音楽祭』

POW   :    踊り子や合いの手、ロック・デスメタルなどで音楽祭を盛り上げる

SPD   :    超技巧で楽器を演奏したり、早口のラップを歌って音楽祭を盛り上げる

WIZ   :    絶妙なハーモニーを奏でたり、皆と歌って音楽祭を盛り上げる

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●ある日の新歓コンパで
 アルダワ魔法学園の音楽室にて。
 部屋の中には有志で集まってくれた学園所属のシンフォニアたち、学園生の父兄の皆さん。
 音楽室の外には今回の主役である、新歓コンパに参加してくれた新入生が3人と、在校生代表としての猟兵たち、発案者であるもふもふ尻尾を生やした一人の少女。
 室内の準備が整ったことを改めて確認して、発案者の少女、人間のマジックナイト×ガジェッティア、アニェーゼ・トレッカーニは自分の胸をポンと叩いた。
「よし、準備オーケーね。
 それじゃ新入生の皆さん、改めて、アルダワ魔法学園にようこそ!
 私が今回の新歓コンパを担当するアニェーゼです。よろしくね!
 皆にはこれから学園で勉強しながら、地下迷宮の踏破を目指して頑張ってもらうわけだけど、いきなり迷宮に飛び込んでも訳が分からないと思います。
 なので、皆がスムーズに迷宮探索を出来て、生き残って!頑張れるように、私達先輩が交流の会を設けたというわけ。
 皆で仲良く楽しんで、交流して、迷宮探索にも慣れてもらえれば嬉しいわ」
 「生き残って」を殊更に強調したアニェーゼの挨拶に、猟兵たちが小さく拍手をした。
 拍手が収まったところで、アニェーゼが手元に持った資料をパラリとめくる。
「えーっと、今回参加してくれた新入生は3人、と。
 私には資料が回ってきているから誰が誰だか分かるけど、転入生の皆はまだ顔と名前が一致してないだろうから、新歓コンパの開始前に軽く自己紹介しましょう。
 新入生の皆、名前、年齢、種族にジョブをお願いね」
 アニェーゼの言葉を受けて、まず一歩前に踏み出したのは新入生の中で一際背の高い、桜色の鱗を持つ竜派ドラゴニアンの女性だ。
「ドラゴニアンの精霊術士、パウリーネ・ヒーマン、18歳です。若輩者ですが、学園の一員になれたことを嬉しく思います。先輩方、どうぞよろしくお願いします」
 パウリーネが頭を下げて元の位置に戻ると、次に前に踏み出したのは浅葱色の毛をしたケットシーの少女だ。
「チータ・カスティス、12歳、ケットシーのマジックナイトです!よろしくお願いします!」
 ぺこりと頭を下げるチータが、隣に立つ灰色の毛並みをしたケットシーの少年の肩を叩く。突然肩を叩かれた少年が顔をしかめた。
「おい、チータ」
「こんな時までムスッとしてんじゃないわよ!先輩たちに悪いでしょ!」
 チータががなり立てるのをキッと睨みつけつつ、目つきの鋭い少年は居ずまいを正した。
「あぁ、ったく……セヴェリ・ニクライネン。12歳。ケットシーのシンフォニアだ……自分の実力が不足していることは理解している。指導を願う」
 そう言って、セヴェリは小さく頭を下げた。その頭の下げ方を見咎めてかチータが再び彼の肩を叩く。気安い関係なのだろう。パウリーネが困ったように微笑んでいる。
「なんか先行き不安だけど、まぁ、何とかなるかな……
 それじゃ、転校生の皆も自己紹介してよ。それが済んだら、音楽祭の始まりだよ!」
 にこやかに笑うアニェーゼが、ぐっと握りこぶしを作った。
ベルカ・スノードロップ
新入生は、18歳のドラゴニアン女性と
12歳のケットシーの男の子と女の子(幼馴染)でしょうか
ケットシー二人には、ロマンスの予感とか? 音楽祭ですし

■WIZ
それじゃあ、みやびさんを喚んで盛り上げましょう

額に星形マークのついた
グレートな感じの子です
名前をつけてあげてからは、霊体でなく実体を喚べるようになって
今回が初召喚です

音楽の雰囲気に合わせた踊りで
盛り上げ役ですね
でも、みやびさんは全体的に、もきゅもきゅしてます
楽しそうです

音楽祭も、これで盛り上がると良いですけど


月藤・紫衣
新入生の歓迎に迷宮、ここアルダワ学園ならでは、ですね。

さて、どうしましょうか。
あまり楽器の演奏などは得意ではありませんし、演舞といった雰囲気でもありませんし…ここは、シンフォニアらしく、歌うことといたしましょう。
そうですね…いつもなら、戦闘の時に歌っているのですが、音楽祭で歌ってもさしたる問題がない歌であれば、彼らの経験にもなりますよね。
【藤鳴る音こそ鈴の調べ】…怪我をしていない状態ですから、治癒の効果は得られないかもしれませんね。
まぁ、彼らへの【鼓舞】ということで。

そうだ、もしよければ曲を変えてニクライネン君も一緒に歌いませんか?

(アレンジetc歓迎)


セット・サンダークラップ
【WIZ】楽器と合体した形のエレクトロレギオンを召喚して自動演奏させるっす。自己紹介なので軽めに。

転校生のセット・サンダークラップっすー! 種族はドラゴニアンでジョブは鎧装騎兵……えーとガジェッティア亜種みたいな感じっすよー。
こんな事もできたりするっす、ということでエレクトロレギオン召喚! 軽く音を鳴らしてからおじぎをして、自己紹介を終わらせるっすよー。


ワン・シャウレン
いつぞやのしろやぎ達と合同で、ということか。
面白いことを考えるものじゃな。
オブリビオン相手と好まぬ者がいても不思議ではない所じゃが
被害なく有益な関係を保てるならばそれもまた人々の為じゃしの。
相手があのしろやぎ達となれば問題あるまい。
うむ、ないぞ。

新入生同士もある程度顔見知りのようじゃな。
ひとまず、挨拶かの。
ワンじゃ。ミレナリィドールのガジェッティアじゃな。宜しくの。

一通り済んだら音楽祭。
まぁ曲に合わせるくらいなら出来るじゃろう。

その上で時間やタイミングが合えば
新入生にやりたいこととか目標でも聞いてみようかの。
なんにせよその第一歩の手助けをするのが仕事じゃからな。


ロアー・アレグリアス
アドリブ連携歓迎

ふっはっはー!
今年もこの季節がやってきたのだな、新歓コンパ!
アニェーゼの尻尾は今日ももふもふだぞぅ!

ちなみに我はロアー・アレグリアス、マジックナイトだ!
新入生はパウリーネにチータ、それからセヴェリと言うのだな、よろしく頼むぞ!

さて、音楽祭なのだ!
我はマジックナイトなのだが、歌や楽器演奏もお得意なのだ。
まぁ、シンフォニアとはちょいと違う魔法形態なのだが、音楽に変わりなかろう!
竜髭のヴィオラによる旋律で、隙あらば在校生の歌にひとつ音を足してやろう!
そいえばセヴェリはシンフォニアだったな、よければどうだ一緒に歌でも。
……とと、歓迎される側を歌わせるのもアレか、うむ。



●転校生の自己紹介
 新入生3人を前に、集まった猟兵たち。
 まず自らが自己紹介を、と一歩前に踏み出したのはワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)だ。
「ワンじゃ。ミレナリィドールのガジェッティアじゃな。宜しくの」
 簡潔な自己紹介、しかしそれがワンの持つ老成した雰囲気を際立たせるのに一役買っていた。
 事実、新入生が三人ともびしっと背筋を伸ばしてワンの姿に見入っている。
 アルダワ魔法学園には卒業が無い。故に、高齢の生徒も現役でいる限りは在籍していられる。
 ワンの年齢は外見から判断できるものではないが、それはそれ。
「いつぞやのしろやぎ達と合同で、ということか……面白いことを考えるものじゃな。のう、アニェーゼ?」
「ん、まぁ、ね。あの時の子たちとは別の個体だけれど、被害なく有益な関係を保てるのは間違いないし」
 新入生を一目見遣って、次いでアニェーゼに視線を投げつつ笑みを浮かべるワン。
 アニェーゼがめぇめぇレスキューのお世話になった際に居合わせた猟兵の一人であるワンは、彼女とも気安い関係だ。アニェーゼの反応も気軽なそれである。
 次いで新入生の前へと一歩前に踏み出したのはロアー・アレグリアス(ケットシーのマジックナイト・f02956)だ。
「ふっはっはー!今年もこの季節がやってきたのだな、新歓コンパ!
 我はロアー・アレグリアス、マジックナイトだ!新入生三人はパウリーネにチータ、それからセヴェリと言うのだな、よろしく頼むぞ!」
「はいっ、よろしくお願いします!」
「……よろしく」
 自信満々で先輩然とした風体のロアーに、チータとセヴェリが真っ先に反応した。やはり同じ種族で年上、体格も少々大柄。思うところもあるのだろう。
 ふんっと胸を張りながら、ロアーの視線はアニェーゼにも向いていた。正確には、彼女の尻尾へと。
「ところでアニェーゼ、貴殿の尻尾は今日ももふもふだぞぅ!手入れは怠っていないのだろうな?」
「突然なんですかロアー先輩!?いやまぁ昨日も念入りにシャンプーしましたけれど!」
 突然に水を向けられたアニェーゼの頭からぴょこんと犬耳が飛び出した。それを新入生が呆気に取られた顔で見つめる中、ロアーはからからと笑っていた。
 さて、気を取り直して次である。後を継いだのはセット・サンダークラップ(青天に光を見る・f05234)だ。
「転校生のセット・サンダークラップっすー! 種族はドラゴニアンでジョブは鎧装騎兵っすー」
「……鎧装騎兵?」
 アルダワ魔法学園ではありふれたドラゴニアンでありながら、耳慣れないジョブについていることにセヴェリが首を傾げた。
 異世界由来のジョブに就いている者は転校生以外ではあまり見かけないので、無理からぬ反応ではある。事実、セットのメインジョブは電脳魔術師で、鎧装騎兵はサブジョブなのでさらにややこしい。
 首を傾げる新入生に対し、セットはすっと右手を中空に差し出した。
「えーと、そうっすね。ガジェッティア亜種みたいな感じっす。こんなことも出来たりするっすよー」
 そう言ったセットの手の上に、エレクトロレギオンが一体召喚された。ポローン、と金を鳴らすような音を立てる様に、一番瞳を輝かせたのはセヴェリだった。
「おぉー……随分いい音を……」
「そういえばセヴェリ、昔からガラクタいじりは大好きだったもんねー」
 キラキラした目でセットの手の上のエレクトロレギオンを見つめるセヴェリを、隣のチータが肘で小突いた。途端にむくれっつらになったセヴェリ。
 そんな彼らの微笑ましいやり取りを見て、セットもにこにこ笑顔だ。
 さて、これまでの三人は魔法学園の世界でよく見られる種族だったが。残り二人は新入生三人にとっては未知の種族である。
 まず先に自己紹介をと踏み出したのはベルカ・スノードロップ(享楽を求め続ける"ようかん"司祭・f10622)だ。
「私はベルカ・スノードロップ。ダンピールの聖者です。よろしくお願いしますね?」
「えっ……?」
「男性……ですよね?」
 チータとパウリーネが目を見開いたのに対し、ベルカはにこりと微笑みを返すことで答えた。
 美麗な外見と鈴を転がすような声を持ちながら、この28歳ダンピール、非常に身長が高い。それこそ一般的ケットシーのチータからすれば見上げるほどの偉丈夫である。
 ともあれ、一歩下がったベルカの次。最後に自己紹介を行うのは月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)だ。
「新入生の歓迎に迷宮、ここアルダワ学園ならでは、ですね。羅刹のマジックナイト、月藤・紫衣と申します……皆さん、よろしくお願いしますね」
 流麗な和服に身を包んだ嫋やかな立ち振る舞いの紫衣の姿に、三人揃って一瞬身体を硬直させた。
 こうして見ると何とも、在校生側が見た目豪華な面子である。もふもふさらさらすべすべ、いずれもより取り見取り。
 ともあれ、自己紹介が済んだところで本番の音楽祭である。
 犬耳を生やしたまんまで、アニェーゼがパンと手を叩いた。
「さ、それじゃ始めましょうか、音楽祭!皆好きに演奏して歌って踊っちゃってね!」

●歓迎の音楽
 音楽室に入っていった新入生と転校生を、万雷の拍手が出迎えた。
 ステージに向かうようにして並べられた椅子には、在校生や新入生の父兄たちが座っている。勿論、その中にはセヴェリやチータ、パウリーネの両親や兄弟もいた。
 自分の知った顔を見つけて緊張に身を強張らせるセヴェリの肩を、ロアーがぽんと叩く。
「恐れることはないぞセヴェリ、音楽は奏でたもの勝ちだからな!」
「……言われなくても」
「そーよセヴェリ、あんたのシタールの腕前はあたしがよく知ってるんだから!」
 チータにも再び小突かれて、こくりと頷いたセヴェリが背負ったケースから取り出したのは大ぶりなシタールだ。
 素早い動作で指に爪を装着し、二度三度、弦を弾く。そうしてロアーへと視線を送った。
 勿論、応じるロアーも楽器演奏には覚えがある。ことヴィオラについてはアレグリアス家でも指折りだ。
「まぁ、シンフォニアとはちょいと違う魔法形態なのだが、音楽に変わりなかろう!どうだセヴェリ、貴殿が歌うか?」
「……歓迎される側が歌ってよいものか?」
「とと、確かにそうだな、うむ」
「あ、それならオレが歌うっすよー。エレクトロレギオンでの自動演奏も付けるっす!」
 弦楽器によるセッションに、果敢にもセットが手を上げた。そう言いながらレギオンの発する音をエレキベース様にチューニング済みである。抜かりはない。
 そうしてロアーが床をタップする、ワン、ツー、スリー。
 ジャンッと大きく鳴らしてからの、ヴィオラとシタールの奏でる蠱惑的な音色を、セットのレギオンが奏でるベースが底上げにかかる。
「♪おぉ~、Fooooo~♪」
 セットの声色も朗々と響いて、いい塩梅にバランスを保って奏でていた。
 そうしてワンコーラス奏でたところでアウトロに移行して、三人揃って一礼。わっと拍手が巻き起こる。
「おぉー、見事なのじゃ」
「やー……こう見事なのがトップに来ると、有志で集まってもらったシンフォニアの皆の出番に困るなー……」
 ワンとアニェーゼがパチパチと拍手をする。確かに、冒頭のプログラムとしては随分と豪華で素晴らしいものだった。後に演奏するものにプレッシャーがかかる。
「そうですね、それじゃ次はシンフォニアの皆さんに出番をお願いしましょう」
 困ったような笑顔でそう言いながら、ベルカはすっと両手を宙に掲げた。
 と、ぽんっという効果音と共に、宙から現れた白くて丸くてもふもふな生き物が、ベルカの腕の中に降りてくる。
「もきゅぴー!」
「わっ、何ですかその子、かわいい……!」
 ベルカに抱かれるように腕の中に納まったもふもふを、アニェーゼがキラキラした目で見つめた。下の方からチータの熱い眼差しも感じる。
 苦笑しっぱなしのベルカはそのもふもふを、床の上に降ろすようにしながら言った。
「モーラットのみやびさんです。災魔じゃないですよ?精霊のようなものですね」
「もきゅっ!」
 ベルカの紹介に合わせて、みやびさんがその細くてちまっこい手をぴょこんと上げた。その動きでもうアニェーゼがメロメロになっている。恐るべしもきゅ。
 しかして、音楽祭のプログラムである。ベルカが後ろに控えるシンフォニアの皆へと視線を投げた。
「演奏は任せます……というより、なんでもいいです、曲目は。それに合わせて私とみやびさんが踊りますので」
 ベルカの申し出に、有志のシンフォニア5名の瞳が安堵の色を帯びた。練習してきた曲目を無駄にしないで済む。
 そうして再びワン、ツー、スリー。始まるのはポップでファンシーな曲目だ。
 新入生を歓迎しようという意思と気持ちに満ちた曲目。聞き役に徹するワンの身体も、観客と一緒に自然と揺れる。
 ベルカの踊りも軽快で軽やかだ。それに伴いみやびさんももきゅもきゅ、きゅっきゅと跳ねては踊る。
「もっきゅぴきゅー!もっきゅもきゅ、もきゅきゅっぴきゅ、もきゅぴー!」
 しまいにはみやびさんがテンションアゲアゲで鳴き始めた。しかしてそれも演奏に彩りを加え、華となっていく。
 最初に手拍子を打ったのはワンだった。そこから波及するようにどんどんと、手拍子の輪が広がっていく。
 最終的にはフルコーラス。演奏が終わったところでベルカとみやびさんが一礼すると、先程の三名への拍手に勝るとも劣らない勢いで拍手が起こった。
 そうして次に前に出るのは紫衣だ。彼もシンフォニアの力を持つゆえ、歌についてはお手の物である。
 演舞を行うという手もあったのだが、ここは音楽室。スペースが少々心許ない。
「そうですね……いつもなら、戦闘の時に歌っているのですが、音楽祭で歌ってもさしたる問題がない歌であれば、皆さんの経験にもなりますよね」
「もしかして、魔法の歌を?」
 パウリーネの言葉に、こくりと頷く紫衣だ。胸元にすっと手を添えながら、真剣な眼差しで前を見据える。
「【藤鳴る音こそ鈴の調べ】……怪我をしていない状態ですから、治癒の効果は得られないかもしれませんね。まぁ、【鼓舞】ということで」
 数瞬、静寂が音楽室を満たす。
 伴奏は要らない、戦場でも伴奏を期待できるものではないから。
 そして。
「~~……♪」
 紫衣の伸びやかなテノールボイスが、音楽室の中でゆっくりと広がっていった。
 その声色に、歌声に、観客の全員が目を閉じて聴き入っていた。それは新入生の側も同様だ。静かに、歌声だけが響く。
 やがて再び静寂が訪れた時、観客は三度、高らかに手を鳴らした。
 ふぅと息を吐いた紫衣が、ステージの傍らで感動に打ち震えていたセヴェリへと視線を向ける。
「そうだ、もしよければ曲を変えてニクライネン君も一緒に歌いませんか?」
「……いいのか?」
「おぉ、いいではないか!なんなら我も伴奏に入るぞ!曲調は変えるのであろう?」
 紫衣の提案にロアーも乗っかっていく。そうして始まるアンコールの声援。
 当初のプログラムを多少オーバーする頃合いだったが、観客の興奮は未だ冷めやらず。
 音楽室の熱狂はしばらくの間、続いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『せせらぎと共に』

POW   :    泳いで先に進む

SPD   :    歩いて先に進む

WIZ   :    濡れないように先に進む

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●第23迷宮、地下1階
 音楽祭を終え、観客の父兄たちが教室を去っていったしばらく後。
 新入生3人と在校生である猟兵たちは、アルダワ魔法学園に数多存在する地下迷宮の一つ、第23迷宮に踏み入っていた。
「アルダワ魔法学園は、地下迷宮「アルダワ」の上に建設された学校……学園の敷地内にはこうして、たくさんの地下迷宮が広がっているのね」
 地下迷宮の入り口を降りて、内部を進みながらアニェーゼは迷宮の解説を行う。
 それに耳を傾けながら、新入生3人は初めて踏み入る地下迷宮に興味半分、恐怖半分といったところだ。
 後ろをちらと振り返り、アニェーゼが笑う。
「怖いかな?大丈夫、一人で立ち入ると失敗することも多くあるけれど、仲間と一緒ならきっと乗り越えられるから。
 私も前に、逸って一人で迷宮に乗り込んで、転校生の皆に助けてもらったことがあったけど……皆ならそんな愚かなことはしないだろうって信じてる」
 そう言いながら尻尾をふさりと揺らして見せるアニェーゼ。毛量豊かな尻尾は彼女の失敗の証だ。重みのある言葉に新入生が唾を飲む。
 そして、程なくして先頭を行くアニェーゼが立ち止まった。
「迷宮の中は、構造も作りもいろいろ。たくさんのトラップや仕掛けが、皆の行く手を阻む……こんな風にね」
「水……ですか?こんな地下なのに……」
 先の有り様を見たパウリーネが、信じられないといった面持ちで声を漏らした。
「念のため、水着を着てきてね、って言った理由はこれなんだよね。
 あ、転校生の皆にはもう事前に説明があったと思うけれど、『持参した手紙が濡れないように』気を付けてね!」
 こくり、と頷いたアニェーゼが口角をクイと持ち上げた。
 目の前に広がる水路、ところどころに水没していないところもあるが、どうやってこれを超えるか。
 転校生たちは選択を迫られていた。
セット・サンダークラップ
【WIZ】水にぷかぷか浮くエレクトロレギオンを召喚し、その上を飛び石みたいにして渡るっす。
アドリブ・連携歓迎っす!

手紙は袋に入れて頭の上にくくりつけて、円盤型で浮きのついたエレクトロレギオンをレベル×5の105体召喚! その上を飛び移って水路を進んでいくっす。濡れたくない人はこっちにどうぞっすー。

足場にするのが攻撃扱いになってエレクトロレギオンが消えた場合は……密度を減らして2列にするっす。1列消えてももう1列があるっすよー。
オレは最悪落ちても大丈夫なように手紙を頭の上に上げたっすし、渡るのは皆さん優先でいくっすー!



●水面を超える方法、セットの場合
 地下迷宮の通路を満たす、滔々と流れる水。
 どこから発し、どこへと流れ行くのか、ここから窺い知ることはできない。
 いずれにせよ、このままでは濡れることは必至。新入生は案内の際に言われていたので全員予め水着に着替えていた。
 対して、在校生の側はというと。
「うわー、私が下見に来た時よりも、水深が深くなってるわね……」
 そうぼやくアニェーゼは尻尾も出せるようにしたビキニスタイルなのだが。
 セットは至って普段通り、ドラゴニアン用魔法学園服を身に着けたままでいた。
「セット先輩、濡れちゃわないですか……?」
 チータが不安そうにセットを見上げるが、彼が後輩に向けるのは屈託のない笑顔だ。
「大丈夫っすよ!足場が無いなら、作ればいいんっすから!」
 そう高らかに宣言したセットが空中に手を翳すと、次々に召喚されるのはフロートを備えたエレクトロレギオンだ。
 召喚されたレギオンは水面に落下すると、沈むことなくぷかぷかと等間隔で水の上に浮かぶ。
 それはさながら、川を渡る飛び石のようだった。
「さ、渡っていいっすよー」
 トントンと軽やかな足取りでレギオンの上を渡っていくセットに続いて、新入生の三人も、アニェーゼも、他の猟兵たちも水たまりを渡っていく。懸念された、渡る動作が攻撃と判定されてレギオンが消滅することも無いようだ。
 そうして一気に濡れることなく水たまりを渡り切った生徒たち。セットの笑顔が太陽のように輝いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

月藤・紫衣
…さて、どうしましょう。
方法はあるにはありますが、成功するか不安ですし…あとで怒られるかもしれませんね。

他の方の迷惑にならないように、最後尾で渡ろうかと。
ある程度の硬さと重さのありそうな岩か、いっそ天井辺りを狙って【月季絡縛】を使おうかと。
岩なら爆発は最小限に、天井なら手頃な塊になるくらいの爆発にして岩か塊を繋ぎます。
あとは簡単に、対岸まで【怪力】任せに辺りの壁や天井を壊して、落ちてくる岩や瓦礫を足場にして行きます。
途中、繋いだ物が壊れるようなら【高速詠唱】して【2回攻撃】でもう一度。

…お手本としてはあまり役に立たないのですが、濡れるのはなるべく避けたいので。
(アレンジetc歓迎)



●水面を超える方法、紫衣の場合
 足場が無いなら、作ればいい。
 そう考えたのは、セットと同じく着替えないままで、いつもの纏衣「翡翠」に身を包んだ紫衣も一緒だった。
「方法はあるにはありますが……後で怒られるかもしれませんね」
「怒られるような手法が、何かあるんですか?」
 パウリーネが心配そうに紫衣を見やる。何をしようというのか、不安がっているのもあるだろう。
 紫衣が頷くと、彼の周囲に真紅の花弁が幾つも浮かび上がる。
 そうして彼の指が前方上側、水たまりの上にある天井へと向くと。
「……お手本としてはあまり役に立たないのですが、濡れるのはなるべく避けたいので」
 そう述べるや、一直線に宙を飛んだ花弁が。
 天井へと殺到して爆発した。
「えっ!?」
「なっ……!?」
 パウリーネも、セヴェリも、思わず声を発して驚いた。チータに至っては声すら出せずに口をパクパクさせている。
 爆発によって天井から切り離された石材がゆっくりと落下し、着水して水しぶきを上げた。その石材には紫衣のいる位置からまっすぐに、太い蔓が伸びている。
「迷宮を進めなくなって、周囲に使えるものも無いという時。迷宮そのものの素材を使うことも、迷宮踏破には大事なことです。
 使えるものは何でも使う、それを忘れないようにしてください」
 涼しい顔でそう告げる紫衣に、こくこくと頷きながら冷や汗を垂らす新入生三人であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロアー・アレグリアス
アドリブ連携歓迎

さて、水路だな!
……水路だなー、水路かあ。

(ボクサーっぽい水泳水着に着替える)
(ゴーグルでしっかり目を覆う)
(チョコドーナツっぽい浮き輪も用意)
(あとなんとなくサーフボード)
(ビーチボールだって)

……ふはは、これなら沈むまい!
む、この装備は……その、なあ?
我とて、苦手なものの一つや二つあるということだ!
けども流石に持って来すぎたのだ、サーフボードとビーチボールは貸してもいいぞ、どっちもよく浮かぶぞぅ!

手紙のことも心配いらぬ、真空パックなる便利アイテムに保管してきたのだ。
いやー、きゅっと閉じると水に濡れる心配がないとは、かなりの優れものだな!
ささ、我に続けーい!(浮き輪ぷかぷか)



●水面を超える方法、ロアーの場合
「さて、水路だな!
 ……水路だなー、水路かあー……」
 ロアーはげんなりしていた。
 分かりやすいほどにげんなりしていた。
 そんな彼の今の装備はというと。
 ボクサーブリーフ型の競泳水着。ゴーグル。浮き輪(ドーナツ柄)。サーフボード。ビーチボール。
 分かる人が見たら言うだろう。どこの海水浴客だと。
「う、うるさい!わ、我とて、苦手なものの一つや二つあるということだ!」
「ロアー先輩……つまり泳げないんですね?」
「えぇいセヴェリ、我がせっかく言葉を濁したというのに!」
 冷静にセヴェリに指摘されてぷんすこするロアーだが、その態度が雄弁に物語っている。
 その場にいた全員が瞬時に理解した。ロアーは水が苦手なのだと。
「苦手なのはいいですけれど、持ってき過ぎじゃないですか?」
「む、確かに、サーフボードとビーチボールは不要かもしれんな……貸し与えるから、これを使って渡るとよいだろう」
 そうしてロアーの持ち込みすぎた水に浮くもの一式を使って、水溜まりを渡っていく生徒たち。体格的に渡れない者については普通に泳いだり、ユーベルコードで濡れないように渡ったりした。
 渡り終えたとき、ロアーが新入生三人とアニェーゼによってつつき回されたのは、ここだけの話だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

コンラッド・アレグリアス
アドリブ連携歓迎

おや、兄のロアー(f02956)が水着なんて用意してどこへ行くかと思えば、こんなことでしたか。(コッペパンもぐもぐ)
アレグリアス家の当主たる兄が迷宮内で溺死、なんて事態があってはならぬと後を付けてはいましたが……ふむ。
まぁ、アニェーゼさんや他の猟兵もいるし、平気かとは思いましたが、どうも人手が足りぬ様子。
であれば僕も合流致しますかね。

水路ですか、僕は水の扱いはそれなりですが、後輩もいますしスマートにこなしましょう。
僕のユーベルコードを使えば、水路すらアレグリアス家の庭園に変えることも容易いのですよ。
こんなことに代々伝わる秘術を使うなって幻影に怒られてる気がしますが気にしません。



●水面を越える方法、コンラッドの場合
「おや、兄が水着なんて用意して何処へ行くかと思えば……こんなことでしたか」
 件の兄が突き回されているところに颯爽と現れたのは、弟ことコンラッド・アレグリアス(ケットシーの精霊術士・f01460)である。
 別段、このタイミングで迷宮を突き進んで来たわけではない。こっそりと一行の後を付けて来ていたのだ、とは本人の弁。
 どのみち学園まではアスターがテレポートさせているのでさして大した違いは無い。無いったら無い。
 ともあれ、状況を鑑みて隊列に加わることを決めたコンラッド、はちみつコッペパン片手に兄を慮るだけでは後輩たちに示しがつかない。
 しかして彼は水路の前に立った。
「僕は水の扱いはそれなりですが、後輩もいますしスマートにこなしましょう……今は喪われし幻想庭園(ロード・アレグリアス)!」
 びしりと水面を、その先にある通路を指差したコンラッドの周囲から、ゆらりと現れる幻影のご先祖様たち。その幻影が次々に水面に突進すると、揺蕩う水面がすぐさまに緑鮮やかな庭園風景へと姿を変えた。
「「おぉ〜……!」」
 セヴェリとチータのケットシー二人が、揃って感嘆の声を上げた。
 ひょいひょい、と足取り軽やかに庭園の地面に降り立つコンラッドが、にっこりと新入生たちに微笑んでみせた。
 その背後でご先祖様の幻影が、ぴしゃりと彼の後頭部を引っ叩いたのを、見逃した者はいない。

成功 🔵​🔵​🔴​

レーヴェ・ナハトシッフ
水着か……半袖の白いラッシュパーカーでも羽織って
ハーフスパッツの様な競泳水着でいいか
手紙は防水のリュックサックに入れて背負う
水で泳ぐのは久しぶりだし、準備運動でもしておきたいが……
手紙を濡らすわけにはいかないから
歩いて先に進むか
スカイステッパーで天井にぶつからないよう跳ね回って進む
空中を蹴れる回数がゼロになる前に、地面や壁を足場にして
回数をリセット

先行して水に濡れにくい道や水没してない道を探して、
戻って他の皆が楽に進めるようにするつもりだ。
一人ぐらいなら抱っこで一緒に跳べるから
大変そうな時や怪我人が出た場合は運んでやる
怪我人が複数人出たら大変だな……救護車なんかがあればいいんだが

アドリブ歓迎



●水面を越える方法、レーヴェの場合
 レーヴェ・ナハトシッフ(風を纏う傭兵獅子・f04940)は水路を前に悩んでいた。
「水着か……水で泳ぐのは久しぶりだし、準備運動もしておきたいが……」
 身長190cmを超える大柄な彼が悩むことはつまり、こうだ。
 この水路、泳いで渡るか、歩いて渡るか。
「……歩いて渡るか」
 手紙は防水のリュックサックに入れてきたとはいえ、意図的に水に濡らそうとする行動は後が怖い。
 それに自分だけではない、新入生もアニェーゼもいる。彼らも共にいることを考えると、抱えて歩いて行ったほうがいい。
「セヴェリさんと、チータさんと……二人なら小柄だから、抱えて行けると思うが、どうだ?」
「えっ、いいのか……?」
「確かにレーヴェ先輩なら、あたし達二人共抱えていけそうですけど……でも、どうやって進むんですか?」
 屈んだレーヴェの腕の中に、セヴェリとチータが二人仲良く収まりながらも首を傾げる。
 しかしてレーヴェがぐっと両足に力を込めると。
「こうするんだ」
「わっ!?」
「きゃ……!?」
 迷宮の通路の中で高くジャンプした。急速に近付く天井のパイプ、ぐんと身体が引かれる感覚に、二人が声を上げる。
 そのまま空中を蹴るようにして方向転換、水面の少し上でまた蹴ってさらに先へ。そうして10回ほど空中を蹴ったところで、レーヴェの足が再び迷宮の床を踏んだ。
「今のがユーベルコード「スカイステッパー」……二人とも、気分はどうだ?」
「ちょっと頭がくらくらします……」
「でも、ありがとうございます……」
 床に下ろしてもらったセヴェリもチータも、繰り返された上下動に酔ったのかフラフラしている。
 そこに、泳いで渡ってきたアニェーゼとパウリーネ、他の猟兵たちが追いついた。アニェーゼがぴょんぴょんと飛び跳ねては、尻尾をパタパタさせている。
「はい、はいっ、レーヴェ先輩、次は私、私にあれやってください!」
「いいけど、酔うなよ……?」
 そう言いながらアニェーゼの身体をヒョイッと抱え上げるレーヴェが、再び床を蹴る。
 ケットシー二名を抱えた時よりも激しい上下動に晒されたアニェーゼが迷宮の床に降りる頃には、犬耳犬尻尾どころか全身がもっふもふになっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アガト・シレスティアル
ふにゃふにゃ、ロアー団長は水が苦手なのにゃね。
にゃーとシャーくんも海は行ったことないから
泳ぐのは不安にゃ……水着も持ってないにゃ
「しゃんしゃ……」
だから水陸両用シャーくんカーに乗っていくにゃ!
持ってきた手紙は後部座席か尾びれ側の手前にあるトランクに入れておくにゃ
もしもダンジョンの入り口が狭くて入れなければ、
シャーくんカーを一度シャーくんランドに入れて、迷宮内で取り出すか、
シャーくんがシャーくんカーにトランスフォームするにゃー
車に乗れば手紙が濡れずに進めるにゃ

滑って転んだり、怪我した人や捻挫した人はシャーくんカーに乗せてあげるにゃ。救護車なのにゃー
疲れた人も乗っていいにゃ

アドリブ歓迎にゃ



●水路を越える方法、アガトの場合
 アニェーゼの企画した新歓コンパに参加した三名の新入生に、「迷宮を踏破する中で一番驚いたのは何か」と聞いたら、確実に三人が口を揃えて同じことを答えるだろう。
 曰く、「アガト先輩が凄かった」と――

「ふにゃふにゃ、ロアー団長は水が苦手なのにゃね。にゃーとシャーくんも海は行ったことないから泳ぐのは不安にゃ……水着も持ってないにゃ」
「しゃんしゃ……」
 これまで地下1階で見て最も広く、先の見えない水路を前にして、アガトとシャーくんは尻尾をたらんと下げた。
 泳げない、水着も持ってない、シャーくんのガドリングモードで天井を壊すにしても先が見えない。
 果ての見えない水路を前にしたアガトは、シャーくんの口の中に手を突っ込んだ。
「しゃぎゃ!?」
「こうなったら水陸両用シャーくんカーに乗っていくにゃ!」
 そう言いながらアガトがシャーくんの口の中から、5人乗りサイズのクラシックカーを取り出すのを見て、その場にいる全員が一様に目を剥いた。
「ア、ア、アガト先輩、こんなのどこから取り出したんですか!?」
「というか、その、その鮫の中、どうなっているんだ!?」
「シャーくんランドの中に入れて来たにゃー。シャーくんの中にはシャーくんランドが広がっていて、中でまったり出来るのにゃー」
「しゃっはーん!」
 先程までまったりはんなりとしていたパウリーネでさえも、この時ばかりは声を震わせていた。セヴェリも信じられないものを見るかのように顎を落としている。チータはまたしても声が出ない様子だ。
 そんなびっくりしまくりの新入生三人と、獣化したまま戻れないでいるアニェーゼを乗せて、出発するシャーくんカー。勿論運転はアガトである。
「いやー……アガト先輩の鮫剣が規格外なのは知っていたけれど、これは流石にビックリしますよ……」
「ふっふーん、もっと褒めてくれてもいいんにゃよ?」
 自慢げなアガトの運転で、学生たちは迷宮を突き進む。
 そのまま地下2階に通じる階段まで一直線だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『グルメなしろやぎ』

POW   :    めぇめぇじゃんぷ
予め【めぇめぇ鳴きながらぴょんぴょん跳ぶ】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    おてがみはりけーん
【カバン】から【何通ものお手紙】を放ち、【視界を埋める事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    めぇめぇタイム
【めぇめぇと、歌う様な鳴き声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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●めぇめぇレスキューお出迎え
 アルダワ地下迷宮、第23迷宮、地下2階。
 階段を降りた猟兵たちと学生たちを出迎えたのは、白い身体をして肩からかばんを下げた、3匹のしろやぎだった。
「めぇ!尻尾の生徒さん、新入生に他の生徒さんを連れてきてくれためぇ?ありがとめぇ!」
「おまたせー、レスキュー隊員さんたち。随分待たせちゃったかしら」
 ぴょこんと飛び跳ねたグルメなしろやぎさんの一体に、ひらりと手を振るアニェーゼ。そのやり取りはとても、学園の生徒と災魔の間のやり取りとは思えない。
 それにしても。
「尻尾の生徒さん、そんなに全身もふもふになって、災魔になっちゃっためぇ?」
「違うわよ!私はまだ人間……にんげっ……人間よ!」
 犬っぽく長い口をあんぐり開けながら反論するアニェーゼ。説得力が無い。
 しかして、このやり取りを呆然と見つめていたパウリーネが、おずおずと問いかける。
「あの……アニェーゼ先輩?この、しろやぎさん達が、コンパのガイダンスで話していた……」
「あっ、うん、そうそう。この子達が「めぇめぇレスキュー」。災魔だけど学園の生徒の為に働いてくれる、いい子たちよ」
 アニェーゼがくるりとこちらを振り返りながら言うと、一行の前に立っている制服を着た三匹のしろやぎが、順に頭を下げた。
「めぇめぇ3号だめぇー」
「めぇめぇ7号だめぇー」
「めぇめぇ13号だめぇー」
「「「以上、第23迷宮を担当しているレスキュー隊員だめぇー。よろしくめぇー」」」
 ぺこりと頭を下げるレスキュー隊員たちに、新入生3人も、猟兵たちも、釣られて頭を下げた。
 そしてめぇめぇ3号が、彼らの後方にいる鞄を下げていないしろやぎ、およそ10匹ほどに手を伸ばした。
「それで、尻尾の生徒さんには話しためぇが、この子達がめぇめぇレスキューに入隊希望を出している新人たちだめぇー。
 今日の新歓コンパはめぇ達の入隊テストも兼ねてるめぇ。テストに不合格になったしろやぎは遠慮なく倒しちゃっていいから、新入生さんは気軽に攻撃するといいめぇー」
「「「よろしくめぇー」」」
 礼儀正しく頭を下げる、新人のしろやぎたち。
 彼らを前にして新入生三名、困惑したように君達へと視線を向けるのだった。

●特記事項
 グルメなしろやぎたちは戦いません。
 めぇめぇ3号、7号、13号と新人のしろやぎたちに、お手紙を食べさせたりもふったりしてください。
 一緒に遊んだりしても構いません。彼らは喜んで遊びます。
 この章から参加したりして、手紙を持ってきてないという方は、アニェーゼとめぇめぇ3号がレターセットと筆記用具を持ってきています。その場で書いてもOKです。
 肩肘張らずに楽しくめぇめぇ。
石狩・和人
……ふむ。闘わなくていいんだ?
友好的なオブリビオンが居るとは聞いていたけど、アルダワにもいるんだな。
それじゃ、敢えて助けを求める手紙と、幼馴染に向けたお手紙をしたためようかな?
俺は猟兵だし自力でなんとか出来ると思うが、めぇめぇレスキューの研修生?の教育に使ってもらえるのであれば頑張って書くとするかな。

そのあとはめぇめぇ鳴くしろやぎさんと遊んでみようかな?
何して遊ぼうかな……
(アドリブ歓迎。遊ぶ内容に関してはMS様にお任せします)


月藤・紫衣
……めぇめぇかわいいですね。
くろやぎさんにもお会いしたことがあるのですが、しろやぎさんもまた可愛らしい。

さて、ちゃんとお手紙を書いて来ましたよ。
お手紙の内容は迷子、負傷、応援要請…あと、ダミーのダミーもいいかと思いまして先日食べた桜餅の感想を書いたお手紙もあります。

不合格となったしろやぎさんのお相手は新入生さん達にお任せしようと思いますので、私は【満月夜に歌え、藤花のように】で新入生さんの戦闘力を強化しておきましょう。

あとは許されるならのんびりとレスキューさんを触らせていただこうかと。
(アレンジetc歓迎)



●めぇめぇ3号「めぇめぇレスキュー隊員には、手紙を開かぬうちから助けを求める手紙を見極める能力が求められるめぇ」
 石狩・和人(急尾の猛狐・f06901)は、目の前にいる白くて服を着て喋るしろやぎを、正しくオブリビオンだと認識していた。
 これはオブリビオン。骸の海から染み出してきた過去。世界に仇成す、猟兵の不倶戴天の敵。
 しかし。
「生徒さん生徒さん、お手紙のいい匂いがするめぇー」
「助けを求める手紙を持っている匂いもするめぇー、出すめぇー」
 目の前でぴょんこぴょんこ、自分を取り囲むしろやぎに、敵意は微塵も感じられない。あるのは和人が懐に入れた、お手紙への飽くなき欲求のみだ。
「……ふむ。闘わなくていいんだ?
友好的なオブリビオンが居るとは聞いていたけど、アルダワにもいるんだな」
「アルダワにもいますね……他の世界よりも多い印象さえ受けます」
 紫衣がしろやぎの姿に目を細めながら口を開いた。
 グルメなくろやぎの方とは対面したことのある彼、くろやぎとしろやぎ、色合い以外は殆どそっくりな見た目だが、その攻撃性、立ち振る舞いはまるで異なる。
 そうして自分たちの周りを軽やかに飛び跳ねるしろやぎ達に、紫衣は懐から二通の封書を取り出してみせた。
「さて、ちゃんとお手紙を書いてきましたよ」
「俺も手紙を書いてきた。これでお前達の新人のテストをするんだろう?」
「めぇ、書いてきてくれためぇ?ありがとめぇ!早速活用させてもらうめぇ!」
 和人と紫衣の差し出した計4通の手紙を、受け取ったのはめぇめぇ7号だ。それぞれの手紙をふぐふぐと、匂いを嗅ぐようにしてから考えることしばし。めぇめぇ7号は二人の手紙を二つと二つに分けた。
「めぇめぇレスキューの新人たち!早速生徒さんがハイレベルなテスト問題を出してくれためぇ!
 この二通ずつのお手紙、どちらかが助けを求めるお手紙めぇ。見分けられなかっためぇ達は即・脱落めぇ!心して見分けるめぇ!!」
「「めぇっ!!」」
 めぇめぇ7号の号令を受けて、10匹あまりの新人めぇめぇが4通の手紙に殺到した。鼻を近づけてはくんくん、ふぐふぐ。
 その様子を見て、暇をしているめぇめぇ3号とめぇめぇ13号をそれぞれもふりながら、ちょっとむず痒さを覚える和人と紫衣である。
「自分の書いた手紙がくんくん匂いを嗅がれるって……」
「ちょっと、恥ずかしいですね……」
 二人が言葉をこぼす中、そうこうするうちにチェックタイムが終わったらしい。二通の手紙、和人と紫衣から見て左側の手紙の前に6匹、右側の手紙の前に4匹。
 緊張の一瞬、ぐぬぬぬと唸っためぇめぇ7号が、声色高らかに蹄で指差したのは。
「正解は……こっちめぇ!!」
「「めぇー!!」」
「「めぇー!?」」
 正解の方、左側にいた6匹のめぇめぇが小躍りした。反面、脱落が確定した4匹はがっくりと肩を落としている。
「えーと……これは、4匹が不合格ってことで、いいのかな?」
「そうだめぇー。煮るなり焼くなり好きにしていいめぇー」
「それでは……セヴェリさん、チータさん、パウリーネさん、こちらの4匹は好きにしていいそうですので」
「いいのか?……倒すんだよな?」
「私の剣術のサビにしてあげていいのね?」
「あらー、じゃあ折角ですから、倒される前にお姉さんと一緒に遊びましょうかー」
「「め、めぇ〜!!」」
 行く末が早くも決まってしまった4匹、既にぷるぷると震えている。
 それをちらりと見やりながら、和人は自分の懐にいるめぇめぇ13号に視線を落とした。
「お前達は……本当に災魔、なんだよな?」
「そうだめぇー。転校生さんはめぇ達の敵だけど、学園の生徒だから助けるし、遊ぶんだめぇー」
「そうか……それじゃ、何して遊ぼうか?」
「めぇ!それじゃさっきのお手紙使ってたたいてかぶってジャンケンポンするめぇ!口を抑えるかお手紙くわえるか、どっちが早いか勝負だめぇ!」
 その言葉とともに、始まるめぇめぇとの一対一の真剣勝負。
「二人は、楽しそうですねぇ……」
「めぇー、角のお兄さんも楽しそうだめぇー」
 傍らでは、めぇめぇ3号を抱いて微睡む紫衣が、床に腰を下ろしている。
 そしてオブリビオンを相手にしての平和な時間を、和人も紫衣も、心ゆくまで楽しむのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

仲佐・衣吹
へぇ、噂には聞いてたけれど、面白い子達だね
それじゃ、入隊テストのお手伝いをしようかな
オルタナティブ・ダブルで分身に僕ことベストが

本体にアタシことネイルが入って、救助依頼とダミーの2通ずつ、お手紙書くわね
あらやだ、想像以上に可愛いじゃない
不合格の子も再テスト、なんてアリなのかしら?
みんなガンバってね!

内容はそうねぇ
凶暴な災魔に追われて隠れていますと、新しいマニキュアがとってもイイ色です

罠に掛かって動けませんと、お腹が空いてます助けて下さい
……あれ、これ両方とも救助依頼かな?

試験がひと段落したら、膝に乗せてもふもふさせてもらおうかな!
アタシも同じく、めいっぱい撫でさせてもらうわよ!


向坂・要
こりゃまたお可愛らしい

新人達の様子に微笑ましいと目を細め

オブリビオンだから、猟兵だから、といった区別をしない身としては敵意も害もない相手に攻撃する道理もなく

とりあえず手紙が、て聞いたんで用意してみたんですが使えますかね?

形式もいろいろあった方がいいだろう、とレスキュー用にフェイントの敵が可愛すぎてどうしよう系や通常のお手紙を巻物風や折り紙風に矢文風にしてみたり

手紙の形態とかで味もかも変わって来るんですかね?

暇があればブラッシングでもしましょうかねぇ
いつもお疲れさん、てね

新人達の様子を微笑ましく、時に必要ならアドバイスしつつのんびり眺め

こんな日もたまにゃいいもんですね

アドリブ
絡み歓迎
もふもふも



●めぇめぇ13号「めぇめぇレスキューはどの迷宮にも一匹はいるめぇ」
 合格に喜びをあらわにしてぴょんぴょんは寝る6匹のめぇめぇと、がっくり肩を落としてされるがままになっている4匹、そして脱落した4匹をなんだか倒すに倒せずもふり続けているセヴェリ、チータ、パウリーネの三人を見やって。
「こりゃまたお可愛らしい」
「へぇ、噂には聞いてたけれど、面白い子達だね」
 仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)と向坂・要(黄昏刻・f08973)は微笑みを湛えながら見ていた。
 非常に微笑ましい、ほのぼのとした光景。迷宮のそこかしこをうろついて、地上への侵攻を目論む災魔と、それを食い止めるべく迷宮攻略を行う魔法学園の生徒の間で繰り広げられているものだとは、なかなか信じがたいものがある。
 それでもめぇめぇ達は、適度に選別された上で業務に従事しているし、猟兵たちにも友好的に接してくれている。やはり、敵意の無いものを無闇矢鱈と倒すのは忍びなかった。
 要のようにその辺りのカテゴリで区別をする人物でもなく、敵意が無いし害もない相手を攻撃する理由がない、というパターンもあったりする。
 さてはて、10匹の新人めぇめぇの前に二人は立つ。
「それじゃ、入隊テストのお手伝いをしようかな」
 そう告げて、オルタナティブ・ダブルを発動させて二人になる衣吹。今回表出するのは、ベストとネイルの二名だ。
「ねぇ正規のレスキュー隊員さんたち、不合格の子も再テスト、なんてアリなのかしら?」
「うん、テスト1回だけじゃまぐれ当たりってこともあるからね。第2問、ってことで」
 ネイルとベストが二人揃って提案を投げると。
「そうそう、手紙にも色々あります。こんな風に巻物だったり折り紙だったり矢文だったり。いろんなタイプの手紙に対応できるようになるのも、大事じゃないですかい?」
 要もそれに同調し、懐から矢文に結ぶように結わいた手紙を取り出してみせる。
 それを見て、めぇめぇ3号が腕組みして頷いた。
「なるほど、転校生さんの話にも一理あるめぇ!新人全員、集合めぇ!まだテストは終わりじゃないことになっためぇ!」
「「「めぇ~!!」」」
 声がかかるや、あちこちから集まってくる新人めぇめぇ達。何故かめぇめぇ7号とめぇめぇ13号もその輪の中に入っている。
「なんでめぇめぇ7号にめぇめぇ13号までテストを受ける気になってるめぇ!?」
「だって転校生さんのお手紙、すっごく複雑で奥行きのある香りがして楽しいめぇー」
「それにめぇ達も過去の栄光に縋ってばかりじゃいられないめぇ。技術の研鑽は図って然るべきめぇー」
「ふぐっ……あのぐうたらしっぱなしの13号がそこまで真摯にレスキューの業務に向き合うようになるなんて、めぇは嬉しいめぇ……」
 何故か感涙に噎び泣き始めためぇめぇ3号。その肩を、アニェーゼから便箋と筆記用具を借りて手紙を書いていたベストとネイルが叩いた。
「お手紙、書き終わったよ。僕と彼女で、それぞれ二通ずつ」
「みんな、ガンバってね!」
「ありがとめぇ!それじゃ新人たちと7号と13号、こっちの二通がさっき正解しためぇ達のテスト問題、こっちの二通がさっき不正解だっためぇ達と7号と13号のテスト問題めぇ!
 準備はいいめぇな?それじゃチェックするめぇ!」
 ベストの手紙を正解者用、ネイルの手紙を不正解者用に振り分けためぇめぇ3号だ。実際、ベストの書いた方は不正解もある意味助けを求めている内容なので、難易度が高い。適切な振り分けである。
 やがてめぇめぇ達がそれぞれの手紙の前に位置取り、自分たちが正解だと思う手紙を選んだところで。めぇめぇ3号が正解を発表する。
「まずさっき正解しためぇ達の方。こっちが正解めぇ!」
「「めぇ~!!」」
「で、さっき不正解だっためぇ達の方。正解はこっちめぇ!」
「「めぇ~!」」
「めぇー!?こっち助けを求める手紙じゃなかっためぇ!?」
 不正解だった側の不正解の方、信じられないと言いたげな表情をしているのはめぇめぇ13号だ。それを見ためぇめぇ3号はご立腹である。
「めぇめぇ13号!現役レスキュー隊員でありながら、その体たらくはどういうことめぇ!この件は上司さんに報告させてもらうめぇ!除名も覚悟することめぇな!」
「そ、そんなぁ~、めぇめぇ3号、後生だめぇ~」
「13号、諦めるめぇ。腕が鈍っていた自分を恨むめぇ」
 縋りついて泣き始めるめぇめぇ13号の肩を、あっさり正解していためぇめぇ7号がぽんと叩いた。めぇめぇの世界は非情である。
「というか、除名されることもあるんだね……」
「あるめぇー。働きぶりがよろしくないめぇや、生徒さんを助ける職務を放棄しためぇ、それに隠居を決めためぇがレスキュー隊員を除名されるめぇ。
 レスキュー隊員を除名されたしろやぎは、普通のしろやぎに戻るめぇ。そうなって生徒さんに倒されても、そこはめぇめぇレスキューの勘案するところではないめぇ」
 ベストがなんとも言えない表情で言葉を零すと、めぇめぇ3号がこくりと頷いた。
 話を聞くと、この第23迷宮に勤務するレスキュー隊員の取りまとめを行うのが3号で、その下に7号と13号が就く形で動いているそうな。
 がっくり項垂れ涙を流すめぇめぇ13号はネイルが捕まえてもふり始め、不正解側でさらに不正解した一匹のめぇめぇは見込みなしということで、即攻撃OKの判断が下されたので新入生三人に取り囲まれ魔法を続けざまに浴びている。
 残り9匹の新人めぇめぇと7号は、要の持ち込んだ様々な形状をした手紙を前に頭を捻っていた。
「これ、どれもお手紙めぇ……?」
「匂いも変わっているめぇー、普通のお手紙とは違う匂いだめぇー」
「世の中にはこんなお手紙があるめぇな……転校生さんと触れ合うと新発見が多いめぇー」
 色々な形をしたお手紙を持ち上げてはふぐふぐと匂いを嗅ぎ、首を捻るめぇめぇ達に、要はにっこり微笑んで語り掛ける。
「手紙の形態とかで匂いとか味とかも変わってくるんですかね?」
「折角だから、後で味見させてもらってもいいめぇ?」
 普段とは見た目の違う手紙に興味津々なめぇめぇ3号に、こくりと要は頷いた。
 そして行われる正答発表。レスキュー用の手紙を見事に当てためぇめぇ7号に新人3人は、飛び上がらんばかりに喜んだ。
「新人さん三匹、よくこの難題を潜り抜けためぇー。君達はもう立派なレスキュー隊員めぇ。自信を持って職務に励むといいめぇ。
 不正解だった六匹も、これに懲りずに技術を磨くといいめぇ。ぶっちゃけこういうお手紙はめぇも経験があまりなかっためぇ、世の中には新発見がいっぱいめぇ」
 そんな具合で、めぇめぇ3号の有り難いお話があったところで。
「それじゃ、折角だし……撫でさせてもらっていいかな?」
「俺もブラシを持ってきましたよ、ブラッシングさせてもらっていいですかね?」
「めぇー!毛並み整えてもらえるめぇ?お願いしたいめぇ!」
「あっ3号、自分ばかりずっこいめぇ!めぇも、めぇもー!」
「「めぇー!撫でてほしいめぇー!」」
 しかして、ベストと要をたくさんのめぇめぇが取り囲んだ。我先にとよじ登ったりくっついたり、もうもふもふがぐいぐいと押し寄せてきている。
 そんな中にめぇめぇ1匹を退治してこちらに戻って来た新入生三人も加わったものだから、もうめぇめぇともふもふが入り乱れて大変である。
「めぇー、もっとそこを、そこを梳いてほしいめぇー」
「はいはい、分かりましたよ。っとそこ、腕に引っ付かないでください、危ないですから」
「めぇー、ケットシーの生徒さん遊んでほしいめぇー」
「めぇもー、めぇも遊んでほしいめぇー」
「わわっ……チ、チータ、そっちのしろやぎを頼む!」
「う、うんっ!」
「あはは……なんとも、人懐っこくて容赦がないね……」
「そうですね……災魔なんですよね?」
「ふふー。もふもふねー、もふもふしてるわねー」
「あぁぁー、そ、そこは弱いめぇ、くすぐったいめぇー、爪のお姉さんそこはだめだめぇー」
 そんなめぇめぇタイムを過ごしながら、要がぽつりとつぶやきを零す。
「こんな日も、たまにゃいいもんですね」
 その言葉に偽りはなく、否定するものも、またいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロアー・アレグリアス
(水路で濡れた毛皮とかぷるぷるした後、なんとなく真の姿で登場)
めぇめぇレスキュー……思っていたよりシビアなのだな。
合格すれば晴れて入隊、不合格なら学生にポコポコされるとは……まさに天国か地獄かではないか!

……それが試験というなら、我がとやかく言うこともなし、だ。
我が用意した手紙を披露しよう!
当たりとして弟や友人宛に助けを求めた内容の手紙を二通。
はずれはダミーとしてお花見の広告を混ぜておいたのだ!
見た目も匂いも我から見て大差はないはずなのだが、はてさてどのように見分けるのだろうなー。

当たった者は褒めて撫でるくらいはするが、ハズレは風のトリニティでどーんと吹っ飛んでもらおうか。

アドリブ歓迎なのだ!


コンラッド・アレグリアス
解せぬのです……。
(ご先祖にぽかっとされた頭を撫でつつ)

さてさて、噂は兼がね伺っておりました。
オブリビオンでありながら、人命救助を行う集団……。
ええ、確かに私は災魔をはじめオブリビオンを憎んではいますが、闇雲に殺戮するほど野蛮ではありません。
是非とも合格して……私から逃げ切って頂きましょう。
(杖を構え、いつでも砲撃できるように)

……あぁ、手紙ですか。
実は僕、正解を用意してないんです。
私が持っている手紙は全てダミー……正解はこれだーって言ったヤツからもうどーんと吹っ飛んでいただきますよ、ふふふ。

全てがダミーと見破れた者がいたら、餞別としてはちみつコッペパンでも進呈しますかね。

アドリブ歓迎です



●めぇめぇ3号「めぇ達は生徒さんを助けることで生きているめぇー」
 水路から上がってきて、身体についた水滴をねこさんよろしくぶるぶると振るって吹き飛ばしたロアーは、弟であるコンラッドと並んでめぇめぇレスキュー隊員との交流の場に姿を表した。
「めぇめぇレスキュー……思っていたよりシビアなのだな。
 合格すれば晴れて入隊、不合格なら学生にポコポコされるとは……まさに天国か地獄かではないか!」
「さてさて、噂は兼がね伺っておりました。オブリビオンでありながら、人命救助を行う集団……」
 双子のアレグリアス兄弟、二人揃って新入生たちと戯れるめぇめぇレスキューを見やっている。
 ちなみにロアーは真の姿を解放し、ケットシーと呼ぶにはだいぶ等身の高い姿になっているが、当人曰く解放したのはなんとなくだそうだ。
 おかげで普段どおりの姿をしているコンラッドと、身長差が偉いことになってしまっている。
「ええ、確かに私は災魔をはじめオブリビオンを憎んではいますが、闇雲に殺戮するほど野蛮ではありません。
 是非とも合格して……私から逃げ切って頂きましょう」
「うむ……それが試験というなら、我がとやかく言うこともなし、だ。
 我が用意した手紙を披露しよう!」
「めぇ!お手紙の気配だめぇ!しかも強敵の匂いがするめぇ!」
「めぇめぇの新人たち!最終試験めぇ!この猫のお兄さんたちのお手紙の中から、『助けを求めてない手紙』を選り分けて選ぶめぇ!」
「「「めぇー!」」」
 めぇめぇ3号の宣言した最終試験の内容に、コンラッドは瞠目した。
 正解である助けを求める手紙を探し当てるのではなく、不正解であるダミーの手紙を助けを求める手紙と分別する試験。
 なるほど確かに、雑多な手紙を助けを求める手紙の中から探し出すのも、必要な技能の一つだ。選り分けは大事である。
 そう考えればなんら違和感のない試験内容であるが、今回はとみにダミーの手紙が多かった。コンラッドが正解の手紙を入れ込まずに持ち込んだのと、ロアーがお花見の告知を気合を入れてたくさん作ったせいだ。
 結果的に十数枚という総数の中で、正解となる助けを求める手紙は2通。正解の総数はめぇめぇ達に知らされていない。
 手紙を必死にふぐふぐする新人達も、苦戦しているようである。
「めぇ〜、さっきの手紙とこっちの手紙、同じような違うような、微妙な感じだめぇ〜」
「うーん、この手紙は助けを求める手紙、と思うめぇ……あぁでもこっちも似た匂いがするめぇ……」
 取っ替え引っ替え手紙を取っては匂いを嗅ぐめぇめぇレスキューの新人たちを見て、剣を構えるロアーと杖を構えるコンラッドは目を細めていた。
「見た目も匂いも我から見て大差はないはずなのだが、はてさてどのように見分けるのだろうなー」
「見たところ匂いを嗅いでいるだけですね……何か感じ取る要素があるのでしょうか」
 そう、二人が零したところで。
「めぇ!これは絶対違うお手紙めぇ!」
「「「めぇっ!」」」
 散らばった封書の一つを掲げる新人めぇめぇ達。
 全員が手紙を持っているのを確認しためぇめぇ3号が猟兵たちと新入生たちに視線を投げる。忖度が無いよう、第三者に確認してもらいたいらしい。
 しかして前に進み出て、めぇめぇの新人たちが生唾を飲み込みながら手に持つ手紙を取り上げ、開封する猟兵と、アニェーゼ達学生たち。
 結果は。
「これ、助けを求める手紙よね……」
「これは、どうでしょう……ロアー先輩、チェックお願いします!」
「あぁパウリーネ、これはダミーの方だなぁ。セヴェリ、そっちのはどうだ?」
「こっちの新人隊員の手紙が、助けを求める手紙でした!」
「「めぇー!?」」
 敢え無く、2匹のめぇめぇが助けを求める手紙を選んでしまったようで。
 ガーンとショックを受ける2匹のめぇめぇの前に、仁王立ちで立ちはだかるのはコンラッド。
「さて、お二人にはもうどーんと吹っ飛んでいただきますよ、ふふふ」
「「めぇー!後生だめぇぇぇぇ……」」
 コンラッドのエレメンタル・ファンタジアによって派手に吹っ飛ばされていく2匹の新人めぇめぇ。
 その有り様を見て震えながらも、無事に試験を潜り抜けた7匹の新人めぇめぇ達に、めぇめぇ3号がその手をぐっと握りながら告げた。
「さて……見事試験を潜り抜けためぇ達!想定してたよりもだいぶ厳しい試験になっためぇが、こうして7匹ものめぇがレスキューの仲間になってくれたことを、めぇは嬉しく思うめぇ!
 災魔の、災魔による、生徒さんのためのめぇめぇレスキューとしての、みんなの未来はきっと明るいめぇ!
 生徒さんを助け、転校生さんと力を合わせて、めぇ達の職務に従事するめぇ!いいめぇな!?」
「「「めぇー!」」」
 そう鳴いて、右手をばっと突き上げるめぇめぇ達を見て、なんとか平静を取り戻して人間の姿を取り戻したアニェーゼがロアーに声をかける。
「思っていたよりも、ハードな感じになっちゃったわね?」
「まぁ、それもよかろう。こうして厳しい試験を潜り抜けてくれたのだ、新人のレスキュー隊員たちは学園生徒のためにしっかり働いてくれることだろう」
「災魔に学園生徒の生死の一部を委ねるというのも、業腹ではありますけどね」
 不合格のめぇめぇを吹っ飛ばして戻ってきたコンラッドも、合格を言い渡されて喜ぶめぇめぇ達を見て、口元を綻ばせている。
 さて、無事に試験は終了した。
 となれば。
「さぁ、あとはお待ち兼ねのもふもふたいむだ!合格したレスキュー隊員たち、我が全員なでなでしてやるぞぅ!」
「ご褒美にはちみつコッペパンの用意もありますよ、このために購買部で沢山買ってきましたからね」
「あっ、コンラッド先輩ズルいですー!はちみつコッペパン、人気商品なのにー!」
「あらあら、チータさんもセヴェリさんもそんなに食いついて、よほど人気なのですねぇ」
「度々売り切れるからな……アニェーゼ先輩、どうした?また獣人化して」
「あ、あははー……もふもふな皆を見てたら、なんかちょっと、ねぇ?」
 セヴェリが再び犬獣人モードに入って、めぇめぇ達に突撃していくアニェーゼを見やると。
「「「めぇー!生徒さんに転校生さん、ありがとめぇー!!」」」
 めぇめぇレスキューの現役隊員も新人隊員も、喜びを顕にするのであった。
 こうして無事に新歓コンパは完了した。
 めぇめぇレスキューの新入隊員テストも終了した。
 これからも生徒たちとレスキューの間で、時には助け、時には交流する関係は続いていくことだろう。
 そんな、他の世界では見られない猟兵とオブリビオンの関係性が構築されていくのを、猟兵たちは微笑ましげに眺めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年04月16日


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#アルダワ魔法学園


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト