●忍び寄る足音
アルダワ魔法学園内部。
常設施設の一つである多目的ホールは人という人で埋め尽くされていた。
現在も人の入りが止まらず、最先端の蒸気機械と魔法工学で作り出された自動ドアが激しく開閉を繰り返す。
――魔法学園音楽祭。
青空の下にはそう書かれた横断幕が掲げられ、吹き出す蒸気に煽られ楽し気にはためく。
満員ながらもひっそりとした静寂に包まれた観客席は、開園を今か今かと待ちわびていた。
何せ今回は転入生(猟兵)の歌が聞けるとあって、静けさの中にも異様な熱気が渦巻いている。
期待に裏打ちされ漂う緊張感。何もなければ、数分後に音楽祭は幕を開ける――そう、何もなければ。
音楽祭開園を間近にして、学園地下の迷宮から不穏な足音が刻一刻と近づいているのだった。
●音楽祭を守り抜け
アイシャ・ラザフォード(研究者・f01049)は、座っている椅子ごとぐるりと猟兵たちを振り向いた。
「地下迷宮から、災魔(オブリビオン)たちが地上……学園に向けて侵攻中」
淡々と告げる視線は厳しいもの。
指先が電子液晶の上を滑れば、手元の画面が大画面へと映し出される。
そこには大量の人々を示す地上の光点と、災魔たちが迫っていることを示す地下の光点が表示されていた。
「ホールには、音楽祭のために集まった学園外部の非戦闘員もたくさん。だから、災魔を迷宮から出すわけにはいかない」
学園生ならばともかく、非戦闘員が襲われればどうなるかは想像に難くない。それが大勢ともなれば猶更だ。
学園が阿鼻叫喚の渦に巻き込まれる前に、オブリビオンたちの侵攻を阻止せねばならない。
「侵攻中の災魔には、核になるリーダーがいるはず。露払いをした後にそれを倒して。そうすれば、残りの災魔たちが迷宮から出ることはない」
はず? と、小首を傾げながら付け加える彼女は少しばかり頼りない。
「……あなたたちの歌を彼らは楽しみにしてる。問題を片づけて、そして歌おう」
魔法学園音楽祭。災魔(オブリビオン)たちを討伐し――皆で、唄を歌うのだ。
楽しみにしている観客と、共に戦う学園の生徒たちのために。
ねこです
お久しぶりです、ねこです。
音楽祭ということで、このイベントを無事に守り抜き、最後には思いっきり歌いましょう!
皆様のプレイングによって、ストーリーはいろんな道を辿ることになるでしょう。OPに書かれていないことであっても遠慮なくお書きください。それが依頼と世界観から逸脱しない限り、できるだけ採用させていただきます。問題があって採用できない場合は理由を添えてお返し致しますので、お気軽にご参加下さい。
では、よい旅を。最終章の音楽祭にてお待ちしております。
「――健闘を。いい報告を待ってる」
第1章 集団戦
『『暗黒面』ヘルズ・クラウン』
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POW : カースヴェノム
【身体】を【影】に沈め【死角 】から【口内に含んだ毒針】を放ち、【身体の末端から進行する石化の呪い】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : ディスペアフレイム
【負傷した身体から流れ出る黒泥じみた炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【粘性の高い触れると纏わりつく黒】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ : デスジャグリング
【毒を塗り込んだ投擲用のナイフ 】【導火線に火のついた爆弾】【催涙効果のある粉末を仕込んだ煙玉】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●迷宮深部より
暗闇の中に揺れる災いの気配。光に照らされ垣間見えるのは、人を小馬鹿にしたような道化のマスク。
しかし、纏う雰囲気はただの道化に非ず。
それは――狂気を纏った殺人ピエロだ。
セルヴィ・アウレアム
「いかん、いかんなぁ。音楽祭を潰されるんは実にいかん。」
学園の祭事は食い扶持の稼ぎ時。故にそれを潰しかねない災魔は捨て置けない。あからさまに私情が大きいものの、やることは変わらない。
いの一番に乗り込み、先ずは襲撃を試みる災魔達の動きを止めるため「マギア・ガトリング」による水平撃ちでヘルズクラウンたちを大まかに潰していく。反撃に関しては、殲滅力が落ちかねない「カースヴェノム」「デスジャグリング」の2つのみを躱すことに集中する。
●
ゆらゆらと、迷宮内の闇に紛れ揺れるのは『暗黒面』の道化たち。
そこに響く微かな足音は、ミレナリィドールであるセルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)のものだ。
「いかん、いかんなぁ」
悪戯好きのような黒い瞳を細め、攻め上るピエロの前に立ち塞がる。
そこに恐怖の色はない。迷宮内はセルヴィの庭であり、地の利は彼女にあるからだ。
「いやぁ、恨みはないんやけどな? ウチとしても食い扶持の稼ぎ時を潰されるんは、ひじょーーーに困るんや」
『キーッ!』
返答は背後より迫る小さな風切り音。
「おっと」
半歩、彼女は小さな矮躯を逸らす。空を切った暗殺針は迷宮の壁へと突き刺さり、内包した呪いは壁の一部を瞬時に石へと変えた。
「――アブなっ!? そんな見た目でえげつないなぁ……しかし舐められたもんや。ツケはしっかり払って貰うよって」
壁に反響するのは微かな駆動音。右腕部が変形し、セルヴィは露わになった銃口を道化たちへと向けた。
反撃とばかりに始まるのは、ただ一方的な暴威による蹂躙劇。
毎分数千の勢いで発射される弾丸の雨は、影に潜む道化とて避けられる道理はない。
「あんまり舐めとーと、後悔するでぇ!!」
小さな矮躯から放たれる圧倒的な脅威に晒された影の道化たちは、銃撃音が響く時間と比例してその数を減らすのだった。
成功
🔵🔵🔴
シャルロット・クリスティア
迎撃戦ですね。
そう言うことなら得意分野です、お任せください。
グリモア猟兵さんから頂いた情報をもとに進攻ルートを割り出し、先んじて【罠】を張りましょう。
曲がり角などの【目立たない】【地形を利用】して、手持ちのツールを使ってロープを張ったり、楔をスパイク代わりに地面に打ち込んでおいたり……。
楔には【マヒ】の【毒】をしっかり塗っておきます。
傷が浅かろうと、効きますよ。
自身は隠れ身の外套で付近に潜伏。罠に到達した目標を持ち前の【視力】で確認したら、
潜伏を解いて【早業】で撃てるだけ【スナイプ】です。
混乱させるだけ混乱させたら、捕捉される前に早々に後退。
一人で全滅は無理でしょうが、攪乱にはなるでしょう。
●
自身のユーベルコード謹製であるハイディングクロークに身を包み、シャルロット・クリスティア(あの雲の向こう側へ・f00330)は迷宮の床へと伏せていた。
(もうすぐでしょうか……緊張しますね)
彼女が行っているのは何を隠そう、古来より伝わる待ち伏せ作戦。グリモア猟兵からオブリビオンたちの侵攻ルートを聞き出したシャルロットは、道中に罠を張り敵を今か今かと待ち構えていた。
戦闘時は冷静に。そう意識している彼女ではあったが、未だその齢は子供といって差し支えないもの。接敵前は意外にも気が張るものだ。
(……! 来ましたか)
罠を張った場所へと近づく足音に、シャルロットは乾いた唇を湿らせ気を引き締める。
3……2……1……。
「今!」
『キーッ!?』
外套を跳ね除けるように解除した少女は、手にした自身の相棒――エンハンスドライフルの引き金を引き絞った。
仕掛けられたロープに足を取られ、打ち込まれた楔に塗られた麻痺毒で身動きの取れなくなった影の道化たちをシャルロットは滑らかなライフル捌きで次々に仕留めていく。年若くとも、一連の動作は熟練の狙撃手そのもの。
「……そろそろ潮時ですね」
そして、彼女は引き際までも心得ている。
混乱をもたらすだけもたらした少女は深追いをせず、自身が捕捉される前にそっと身を引くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
上城・クロウ
【WIZ】
魔法学園音楽祭ですか...辺境生まれの私には縁がありませんでしたが、ワタシの知識には「同郷のよしみ」という言葉が記録されています。
まずは、招かれざる客、というものを処理します。
さて、私の記録にある「道化師」に姿形は似ていても、この個体は喜劇を演じるものとは思えませんね。...抜刀。
フックワイヤーで機動力を確保、相手は...少なくとも人型です。ユーベルコードを目視・学習しつつ対抗処置(ミレナリオ・リフレクション)で打ち消しします。
...数が多いようですが、同個体ならば一度学習すれば処理の効率化ができます。合理的に、処理しましょう。
―観察・解析・検証
●
「どうやら先客がいたようですね」
シャルロットの策に見事に嵌り混乱を極めている『暗黒面』の道化たちを観察しつつ、上城・クロウ(白紙の設計図・f01157)は冷静に分析を行っていた。
彼の記録上に知識として存在する「道化師」。敵はそれとよく似ているが、少なくとも喜劇を演じるようなものには思えなかった――目の前の惨状は、喜劇と言えなくもないが。
「しかし、好都合でした。あなたたちは招かれざる客……依頼を完遂する為にも、ここで処理します」
沈静化してきた混乱に乗じ周囲を囲みつつあった影の道化たち。そこから放たれた煙玉や爆弾を上城はフックワイヤーで上空へと逃れることによって回避する。
ミレナリィドールである彼の視線は、宙であろうとも敵から逸らされることはない。ただ冷静に攻撃を見つめ、音もなく飛来するナイフを同じくナイフを投擲することによって無効化する。
「検証終了。効率化を計ります」
罠による攪乱のおり、彼らが罠へと向けて攻撃するのを上城は観察していたのだ。ならばこそ、ミレナリオ・リフレクションはその効果を十全に発揮し、道化たちの攻撃の悉くを撃ち落とす。
最大効率で殲滅戦へと移行した戦闘の推移は、語らずとも一方的なものであったといえよう。
大成功
🔵🔵🔵
園城寺・藍励
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
人々の楽しみを奪うなんて許せないよね……
頭の悪そうなピエロたちは叩き潰してあげないと
希季が拘束したピエロを重点的に剣刃一閃かドラゴニック・エンドで狙っていくよ
未来姉の支援はしっかり活かさないとね?
ダッシュ、忍び足で殺気を殺しつつ素早く距離を詰めて気づかれるより早く一撃を狙っていきたいかな
攻撃の際には早業、生命力吸収、なぎ払い、串刺し、鎧砕きを狙っていくよ
ヒットアンドアウェイ戦法で攻撃したら逃げ足で即離脱
攻撃を受けそうなら第六感で躱すか、オーラ防御、狙えそうなら武器受けからのカウンターを使うよ
殺気を感知して攻撃軌道を読んでギリギリの回避を狙っていきたいかな?
天神・希季
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
わーピエロ、ピエロだよー!
曲芸見せてよー! あ、でもここから出ちゃダメだからねー!?
まずはトリニティ・エンハンスで自身の防御力を重視した強化を施すよー!
怖いものなんてないよ、あたしには勇気があるからね!
体力にも自身があるし、他の3人よりも先に率先して飛び出していくよ。
ピエロなんでしょー曲芸見せてよー!
とかでとにかく気を引くよ?
連携を意識でドラゴニアン・チェイン使って敵さんたちの拘束を狙っていくね。
もし攻撃を受けすぎて体力的な限界が来たら一旦身を引きつつ戦場の亡霊で戦闘継続するよ。
呼び方
未来→るりしー
藍励→藍励
ソーニャ→ソーニャ
名前を知ってる他の方→適当なあだ名
瑠璃凰花・未来
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
私の先読み能力が猛威を振るう時かしら?
ピエロなんだし曲芸だけしていればいいのにね?
率先して前に出る希季ちゃんと藍励ちゃんを重点的に指定UCと鼓舞で強化するわよ
藍励ちゃんには攻撃力、希季ちゃんには防御力かしらね。可能ならソーニャちゃんにも攻撃力強化を施すわ
第六感、見切り、情報収集でピエロたちの動きを見極めて攻撃先を判断
攻撃受けそうな子たちに攻撃が来る方向を都度伝えるわ
回避や防御が難しそうなら武器改造でスナイパー化した薙刀銃で、遠距離からスナイパー、2回攻撃で時間稼ぎを行うわ
自身への攻撃も第六感、見切りで回避するわよ。可能なら、双銃で零距離射撃のカウンターもするわ
霊ヶ峰・ソーニャ
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
曲芸、か。大、道芸、に、似た、もの、あるが……
人、襲う、のに、使う、は、許せ、ないな
後衛から指定UCとウィザード・ミサイルで攻撃する
攻撃の際には全力魔法
弱った個体を狙うが仲間が危険な状況ではそちらに攻撃して回避や防御の時間を稼ぎたいな
属性攻撃で炎以外にも水や風など、ピエロたちが弱そうな属性を特定する意図で属性を変えながら攻撃
ダメージの大きい属性を特定できたら以降はその属性で重点的に攻撃していく
ソーニャに攻撃の手が回ってきたらフェアリーランドで回避を図るか、近くに希季がいるのなら身の小ささを利用して希季を盾に回避を図る
(かなり特殊な喋り方をしますのでご注意を)
●
「わー! ピエロだよー!」
「――神よ、その力を私達に貸して……!」
身長よりも大きな大剣を手に、誰よりも速くと言わんばかりに道化の仮面たちへと突撃していく天神・希季(希望と災厄の大剣使い・f13462)。その姿に瑠璃凰花・未来(神避の熾天使・f13139)は苦笑を洩らし、手慣れた様子で彼女に強化魔法を施した。
「行くよ、ぜったい切断ー!!」
「斬ってないよね!?」
切断とか叫びつつ『ドラゴニアン・チェイン』で道化の一体を拘束する希季。城寺・藍励(蒼天の白猫天使・f10781)はそんな茶番に鋭いツッコミを入れる。それでも動きを止めた敵を素早い槍捌きでしっかりと仕留めるあたり、戦闘に集中していないということはないのだろう。
「そもそも出してるの鎖だよそれ!」
藍励は人々の楽しみを邪魔をする『暗黒面』たちに憤りを覚えていた。かなり憤慨した心持ちでここまでやってきたのだが……希季の無邪気な性格にどうにも調子が狂ってしまうのは、きっと仕方のないことなのだろう。
「右から3体、此方に通さないように援護をお願いできるかしら?」
「了解。ほら希季、やるよ」
「勿論!」
二人からの指示に目の前の敵を吹っ飛ばし、ぐるんっと勢いよく振り向く希季。
彼女の瞳に恐怖の二文字は無い。まっすぐ行って火力で殴って大人しくさせればいい、そういう思考の持ち主だ。
「ピエロなんでしょ、曲芸見せてよー!!」
案の定というべきか。藍励の予想通り、大声で突貫する彼女に敵は吸い寄せられるように群がっていく。
(引き寄せられた敵を一撃離脱で――)
槍の柄を持った手元を小さく動かせば、穂先がまるで生き物のように鋭く空気を切った。練習した槍術はオブリビオンへと自身の怒りをぶつけるのに十分に足るもの。
「――っと!」
だがその時、藍励の第六感ともいえる危機感知能力は、彼女に前に出るのではなく半歩後退するという不自然さ極まる行動を強制した。
――それは正しいものであったのだろう。
「炎、が、よく、効く」
突っ込もうとしていた正にその場所を巨大な炎を竜巻が横切ったのだ。
霊ヶ峰・ソーニャ(コンセントレイト・f13463)のユーベルコード――『エレメンタル・ファンタジア』。作り出された自然の暴威はその威力を遺憾なく発揮し、道化を巻き込み燃やし尽くす。
その竜巻がばっちり効いているのを見た未来の目は、理知的にきらりと輝いた。
このパーティの中で、戦闘の組み立ては彼女の仕事だ。
「ソーニャちゃん、まだ撃てるかしら?」
「我に、かかれ、ば、訳、ない……」
小さな矮躯でエレメンタルロッドを構えなおすソーニャ。息切れさえしていないその姿は、まだ余裕さえ見えるもの。
「む……」
しかし杖を構えた彼女が見たのは、すぐ近くで歪む地面の影だ。
ぐにゃりと歪んだそれから飛び出た道化の一体は、ソーニャへと向けて鋭く暗殺針を放つ。
「ばとん、たっち」
「!?」
針とソーニャの間に突如割り込まされた少女は驚きの表情を浮かべる。
それもそのはず。ソーニャがとった行動は回避でも迎撃でもなく、希季の背に隠れるというものだったのだ。
フェアリーの身長は30センチに満たない。十分に隠れられるのだが――盾にされた方はたまったものではない。
「通さない! 通さないけどソーニャ、突然すぎるよー!!?」
「ふぁい、と」
流石の希季も涙目になって、飛来するナイフや毒針を次々に薙ぎ払う。
だが彼女の本職は火力であり、技ではない。その体に次々とナイフでできた傷が刻まれる段階になって、遂にひとつの決断を下した。
「これ、は……」
ソーニャは無表情な彼女には珍しく、驚きに微かに目を見開く。
彼女の前で盾になっていたはずの希季が後ろに下がり、その代わりに半透明――まるで亡霊のように透き通った希季が、代わりに戦闘を開始したのだ。
ユーベルコード『戦場の亡霊』。長い時間ではないが戦場の亡霊を召喚し、自身と同じように戦わせることができるという優れもの。
この間に、本体の希季は後衛に下がって未来の治癒術式を受けているのだが――ソーニャとの距離が離れていたことは幸運だったのだろう。彼女の「これ、は、便利――」という身も蓋もない呟きを聞かずに済んだのだから。
ちなみに一人だけ聞こえていた藍励は、ずっこける代わりに遂に槍を取り落としそうになったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
歌は人の心であり、物語である
僕にとっては生き甲斐でもあるけど
それを壊すつもりなら
どんな相手でも許さないよ
極力適度な距離を保つように移動しながら
氷の【全力魔法】による【範囲攻撃】
狙いは腕>足>顔面の優先順位
遠距離型にとって一番の脅威は武器の投擲だからね
出来れば武器ごと凍結
不安要素は一箇所ずつ確実に潰したい
一応いつでも攻撃を打ち返せるよう
★Staff of Mariaをメイン武器にしつつ
当たっただけで爆発も有り得るから
敵の攻撃は極力【空中戦】回避
更に【催眠、誘惑、歌唱】のUCで無数の花弁を操り
敵の武器を攫わせながらの斬撃や睡魔による昏倒狙い
UCで処理しきれなかった敵には
【破魔】の光魔法で追撃
●
歌とは人の心であり、物語でもある。
歌詞は素直でなくとも言葉を綴り、曲は心の内を言葉と共に曝け出す。
なればこそ、歌は彼の生き甲斐であり――それを壊そうとするオブリビオンたちを許すことはできなかった。
「すー、はー……」
清浄な光を放つ杖を手に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は自身を落ち着かせるように小さく息を吐く。激しい感情ではないものの、もやもやしたものを吐き出すのに効果はあったようだ。
(……少し近いね)
冷静に一定の距離を保ったまま、彼は魔法を発動させる。
翼を軸に横一面に展開した魔法陣。聖なる気配を纏うそれから次々に放たれるのは、無数の氷の礫。
先の戦闘で大きく数を減らした暗黒面の道化たち。彼らから放たれた毒針や投擲物を氷は容易く撃ち落とす。
稀に隙間を抜けるナイフを視界に捉えると、澪はオラトリオらしく空中で滑らかな回避行動を見せた。
「もうだいぶ弱っているのかな……数も少ないし。何より音楽祭を邪魔するなんて、誰が相手でも、僕は許さないよ」
だから――眠れ。
彼の詠唱が紡がれた瞬間の出来事。
何処から現れたのだろうか。迷宮には似つかわしくない綺麗な花弁が無数に湧き出し宙を舞う。
ユーベルコード『誘幻の楽園(エデン・オブ・ネニア)』花弁が鋭い刃と化し残ったオブリビオンたちを切り刻み、当たらずとも催眠効果による睡魔が彼らの動きを止める。
倒れた道化たちを容赦なく破魔の属性を帯びた光弾が追撃し――遂に、数多くいた影に潜む暗黒面の道化は、壊滅状態に陥るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『暗黒面』マスク・ド・ブレイズ』
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POW : ここは危ない!逃げるんだっ!
【勝手に組織の戦闘員たち】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD : なぜだっ!なぜ、彼らに手を出したっ!?
【討伐された戦闘員たちへの涙】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【全身を覆うスーツを覚醒形態】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ : やめろぉぉぉぉぉぉぉっ!
【戦闘員たち】に【攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【怒りの一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
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●『暗黒面』幹部、惨状!?
「こ、これはっ!?」
迷宮内に倒れ伏す『暗黒面』の道化たち。
その惨状を見た紅のマスクを被ったオブリビオンは、両手で顔を覆った。
悲しむように。慈しむように。
そして――怒りさえも湛えて。
「なぜだっ。なぜ彼らに手を出した!?」
彼はきっと正義の味方なのだろう。
子供が思い浮かべた通りの、まっとうな正義の味方。
しかし彼は今、オブリビオンであり――彼にとって守るべきものとは、同じくオブリビオンなのだ。
猟兵とは相容れない正義の味方、迷宮内へと推参。
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●MSより
ボス戦です。わりと好き勝手やりましょう!
ただ戦うもよし、ネタに走ってみるもよし。ボスを見事倒すことができれば、音楽祭は守られます。
MSコメントで記しました通り、皆様の自由奔放なプレイングをお待ちしております。
栗花落・澪
何故手を出したって守るために決まってるでしょバカなの?
猟奇殺人集団に見えるならその目節穴だね仮面眼鏡仕様にしたら?(辛辣)
貴方にとってはピエロ達が護るべき対象
けれど彼らは人間にとって脅威だ
彼らは命を奪うから
そして僕らは人間を守りたい…
これで答えになったでしょう?
やろうとしている事は同じだよ
貴方は貴方の
僕らは僕らの正義の為に
護りたい人達のために
【空中戦】基本
攻撃を飛び越え敵自体を足蹴に背後を取りマフラー引っ張ったり(絞まる)
隙間を縫って飛び回りながら氷の【全力魔法】で武器を狙い
凍らせる事で抜けなくさせる作戦
敵の攻撃は回避の他【オーラ防御】
【催眠、誘惑】の【歌唱】で弱体化も狙い
指定UCによる追撃
●
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、現れた『暗黒面』の幹部であるマスク・ド・ブレイズに苦戦を強いられていた。
(速い――!)
その武器は拳。背の翼で空中を飛んではいるが、敵はその身体能力のみで澪へと追い縋る。
全力で魔法を放つ間も、歌を歌いながら戦う余裕さえもない。
『なぜだっ! なぜ彼らに手を出したっ!?』
「何故って……!」
詰問の言葉と共に放たれる殴打は左から。
その攻撃に合わせ、オーラを纏った杖を突き出すことにより辛うじてマスク・ド・ブレイズを突き放す。
「そんなの守るために決まってるでしょバカなの?」
『守るため?』
「……これが猟奇殺人集団に見えるなら、その目節穴だね」
その仮面眼鏡仕様にしたら? そんな軽口を叩きつつも、澪の頭はフル回転する。
琥珀色の瞳を細め、敵の赤色を睨みつけた。
稼いだ距離をどう生かすのか、恐らくこの戦闘はこの一点に尽きるのだ。
『なるほど、話にならないな』
「それはこっちの台詞だよ」
澪は思う。この仮面が守るべきものは、彼ら……ピエロたちなのだろう。
だがピエロたちは人間を傷付け、命を奪う。
「僕らは……ううん。僕は人間を守りたい――」
敵には敵の正義があるように、彼は彼の正義がある。
正義を貫き通す。
やろうとしていることは、自身も彼も同じなのだ。
しかし、それが相反するものならば。それが相容れないものならば――
「――僕は、僕の護りたい人達のために」
怒りと想いが零れ出るように、彼は呟いた。
「香り高く舞い遊べ」
Orage de fleurs――それは澪のユーベルコードがひとつ。
彼の背後。翼の羽が舞うように流れ出る、桜の花弁。
澪の想いが内包されたそれは、視界に留まる量を超えて増え続け――桃色の巨大な花弁の嵐となってマスク・ド・ブレイズへと殺到するのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
シャルロット・クリスティア
……なんか、ややこしいのが出てきましたね。
言葉は通じても対話は成り立たなさそうな予感がします……。
……早々に骸の海にお引き取り頂くとしますか。
流石に罠を敷設しなおすのは非効率ですね。この場でカタをつけましょう。
炎爆弾を使います。
マップは頭に入っていますし、曲がり角などの物陰の【地形を利用】し、【目立たない】位置から【属性攻撃】の【スナイプ】。取り巻きごと吹き飛ばしていきましょう。
無理に攻め急がず、一発撃ったら早々に位置変更。位置を悟られないように、攪乱。皆さんの【援護】に専念します。
卑怯とか言わないでくださいよ。これも立派な戦術です。
●
迷宮内の地形はただ平坦なものではなく凹凸に富んでいる。
シャルロット・クリスティア(あの雲の向こう側へ・f00330)は、その中のひとつに身を伏せていた。
「……」
身を潜め、存在を消す。狙撃手の基礎として学園で教え込まれたことは、しっかりと彼女の身になっているようだ。
その綺麗な青色の瞳に、桜吹雪の中から抜け出る赤いシルエットが映り込む。
(あれが……)
マスク・ド・ブレイズ。会話を聞いてはいたが、どうにも話は通じそうにない雰囲気だ。
無論、通じようとも彼女のすることは変わらないのだけれど。
(――早々に骸の海にお引き取り頂くとしますか)
細い指は撃発までのギリギリ、髪の毛一本分まで引き金を引き絞る。
息を閉ざし、目を見開く。乾いた唇を軽く湿らせて、照準の揺れを最小限に。
使うのは――炎爆弾。
乾いた音と共に撃ち出された弾丸は、マスク・ド・ブレイズとその周囲に召喚された取り巻きを纏めて数体吹き飛ばす。
(次の地点は壁向かい、3時の方向!)
狙撃手は位置を悟られてはならない。
1発の弾丸を撃つごとに次の予定していた狙撃ポイントへと彼女は身を屈め疾走する。
それは戦場での正しい行いであり、ことオブリビオンが相手であろうと変わることは無いのだ。
結果的に彼女の発射した十数発に及ぶ弾丸は、敵の取り巻きへと大きな混乱をもたらすことになる。
「卑怯だとか言わないで下さいよ。これも立派な戦術です――!」
成功
🔵🔵🔴
リヴィア・ハルフェニア
音楽祭と聞いて来てみたけれど…めんどうそうな敵ね。
(私は今来たから暗黒面とは戦ってないけれど、そもそもオブリビオン以前に殺人ピエロなんて危険な敵は皆の所に行く前に止めるわよ?)
【WIZ】
UC【属性攻撃:炎,歌唱,範囲攻撃】を【全力魔法】で歌いましょう。
使用中は集中しているけれど、回避は【学習力,第六感】でしながら敵の攻撃が当たりそうな仲間にはUCで援護するわ。
怪我人など状況に応じて【シンフォニック・キュア(歌唱,優しさ)】に歌を変更ね。
●
「音楽祭と聞いて来てみたけれど……めんどうそうな敵ね」
マスク・ド・ブレイズを見た感想は、彼女にとってめんどうの一言に尽きる。無論、誰であっても猟兵なら関わりたくはない類のオブリビオンである。しかし、音楽祭という祭典を守るため、彼女は自らその前に立ち塞がった。
「暴れるのは勝手だけれど、音楽祭を壊すのは許さないわ」
静かな決意と怒りを胸に抱き、彼女はそっと口を開いた。刹那、殺伐とした迷宮内に澄んだ歌声が響き渡る。
リヴィア・ハルフェニア(歌紡ぎ精霊と心通わす人形姫・f09686)――永い時を生きる人形の歌い手。その声と共に青紫の花弁が迷宮内へと溢れ出し、その想いを体現するかのように彼女の周囲に吹き上がった。
「彼らは守って見せるッ!」
今も尚、増え続ける膨大な数の炎の花弁を前に、マスク・ド・ブレイズは武器を構えるが――それを冷ややかに見つめる、静かな金色の瞳が一対。
「――貴方にどんな正義があろうと、音楽祭は守って見せるわ」
音もなく、熱も無く。ただ響く歌声のみに導かれ、無数の花弁はマスク・ド・ブレイズへと殺到し、少なくないダメージを与えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
園城寺・藍励
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
相手さんからしたらうちらは悪の手先ってことか……
まぁ、しょうがないのかな。正義なんて、正しいと思うもののぶつかり合いなんだしね。
いい人そうみたいだし、話し合いで解決……ってソーニャ!?
いや、たしかにオブリビオンだけど、うちらの敵だけど!
あーもう……こうなっちゃったらしょうがない、倒すしかないよね。
早業、ダッシュ、鎧砕き、串刺し、なぎ払いを駆使、希季と協力して剣刃一閃やドラゴニックエンドで翻弄
隙を見て指定UCを叩き込むよ。
攻撃受けそうなら第六感、オーラ防御で回避ないし防御、あるいは武器受け。
魔姫空封、幻姫時解――参之式、終之型。ヘキサグラム・ジ・エンド
瑠璃凰花・未来
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
マスクド……ってよく聞くフレーズよね
ソーニャちゃんがやる気みたいだし、悪いけど叩かせてもらうわよ。皆がね?
アタッカーとしては私達の中で抜きん出てる藍励ちゃんに指定UCで鼓舞して攻撃力強化を施すわ
可能なら希季ちゃんやソーニャちゃんにも同様の強化を施すわね
もちろん、力を貸してくれる神様への祈りも忘れないわ
ピエロの時と同じく、第六感、見切り、情報収集、で攻撃を予測して回避ないし防御指示
もちろん、私が狙われるなら相応に対応するわ
もし藍励ちゃんたちが一撃を叩き込む隙を作れなそうなら、双銃使ってクイックドロウで翻弄に参戦するわ
もちろんその間も敵の動きは決して見逃さないわよ
天神・希季
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
わーヒーローだー!
でも正義と名乗りながら正義じゃない奴らを味方してるのはおかしいよねー。
罪のない人々を襲おうとするピエロたちを倒してなんで嘆いてるのかなー?
お、ソーニャ、いいねー、あたしも乗った!
トリニティエンハンスで防御力重視!
先陣きって突貫するよ!(勇気)
藍励やソーニャの攻撃を当てるために指定UCで隙を作るね!
また瀕死になったら戦場の亡霊使おうかな!
隙をつけそうなら創生七重奏を砲撃モードで使うよ!
皆、あたしに力を貸して!
全力全開のでっかい一撃、叩き込むよ!
呼び方
未来→るりしー
藍励→藍励
ソーニャ→ソーニャ
名前を知ってる他の方→適当なあだ名
霊ヶ峰・ソーニャ
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
ヒーロー、だろう、と、悪の、手先、だろう、と、関係、ない。
敵は、敵。話し、合い、不要。慈悲、いらない。
エレメンタル・ファンタジア、ウィザード・ミサイルで攻撃。属性攻撃属性を変えながらで弱点属性を探る。
特定できたらその属性で重点攻撃。
大きな隙が出来たら指定UC、全力魔法、属性攻撃(炎)で塵すら残さない攻撃。
敵の攻撃は希季を盾に使う。便利なUC持ってるから、大いに利用させてもらう。
近くに居ないとか、希季に逃げられるようなら仕方ないが、フェアリーランドで回避を図る。
正義、の、ぶつけ、あい、は、互い、に、相、容れない、部分。どのみち、解決、出来ない。
●
マスク・ド・ブレイズの周囲へと召喚される戦闘員たち。
それに相対するのは4人の猟兵。
『彼等を傷つけたお前たちを私は許さないッ!』
「…………」
園城寺・藍励(蒼天の白猫天使・f10781)は、自分で思ったよりも真面目な心境で目の前のオブリビオンについて考えていた。彼は自称する正義の味方――彼にとっての私たちは悪の手先。ならば彼の正義が私たちへ向くのは仕方のないことで、しかしそれは話し合いで解決できるのではないか……なんてことを考えるのであった。彼女は自分以外の3人へ向け、口を開く。
「ねえ。いい人そうみたいだし、話し合いで解決してみても――」
「――関係、ない」
藍励の提案を遮ったのは、銀の髪のちみっこい妖精。
「え?」
「敵は、敵。話し、合い、不要。慈悲、いらない」
「ソーニャ!?」
彼女にしては考えて提案した発言を、霊ヶ峰・ソーニャ(コンセントレイト・f13463)は真っ二つにぶった切る。
『そう、我らに話し合いなど不要ッ! 正義は人々を襲う悪を許しはしない!』
「ちょ、うちが折角――」
「いいねー、あたしも乗った!」
「ちょっと!?」
たしかにオブリビオンだけど! うちらの敵だけど!!
追いつかないツッコミ。そして既に水の魔力を纏い、大剣片手に敵へと突っ込んでいく天神・希季(希望と災厄の大剣使い・f13462)の姿を視界に捉るまでになって、もうこうなっては仕方ないと藍励は諦めるのだった。
苦労人である。
「藍励ふぁいとー!」
「うるさいわっ!?」
「ソーニャちゃんがやる気みたいだし、悪いけど叩かせてもらうわよ」
そんな3人に苦笑を洩らしつつ、始まった戦闘を分析し即座に強化魔法を施す瑠璃凰花・未来(神避の熾天使・f13139)。
「――神よ、その力を私たちに……!」
『させないッ!』
「こっちだよー1」
『ぐっ』
戦闘時、後衛で強化と回復を担う遠距離職は脅威である。真っ先に突撃しようとしたマスク・ド・ブレイズを希季の剣が阻む。
「藍励!」
「分かってる!」
鍔迫り合いに持ち込んだマスク・ド・ブレイズの横腹に、藍励の手にした槍の穂先が吸い込まれていく。
『甘いッ』
しかし、暗黒面幹部マスク・ド・ブレイズの能力は伊達ではなく、力を抜き希季の剣を受け流すと紙一重で槍を躱して見せた。槍はそのまま傍にいた戦闘員を数体串刺しにし消滅させる。わけもわからず命を失った戦闘員の残す光の粒が、ひらひらと宙を舞う。
『クソッ……私は守らなければならないんだッ!』
悲しみを含んだ言葉と共に、彼の着ていたスーツがガチャリと音を立てて変形する。ツノが持ち上がり、スーツの外殻が罅割れ変化、手にした武器が紅の光を帯びる。
「!?」
それは一瞬の出来事であった。瞬間的に希季の目の前に現れたマスク・ド・ブレイズが、赤い一閃で希季を大剣ごと押し切り吹き飛ばしたのだ。
「藍励ちゃん、左!」
「わっ?!」
そんな状況でも、未来の指示は的確であった。次にマスク・ド・ブレイズが標的とするであろうものを分析し、その姿をしっかりと目で追っている。咄嗟に槍で防御できたのも、警告あってのことだ。
「ソーニャちゃんはそのままお願いするわ」
「もち、ろん」
『ムッ!?』
マスク・ド・ブレイズはマスクの下からソーニャの杖に宿る危険な光を見咎める。
剣を手に掻き消える紅の姿。しかし、その攻撃は杖を手にするソーニャの目の前に立ち塞がった半透明の亡霊が受け止めた。
「流石、べん、り」
おなじみ希季の『戦場の亡霊』――その隙に完成された詠唱は、水属性の『エレメンタル・ファンタジア』。津波の如く押し寄せる水の竜巻にマスク・ド・ブレイズは飲み込まれる。
『く、こんなもの!』
「あれが破られたら一斉に行くわ」
「おっけーるりしー!」
「分かった」
「了、解」
水の竜巻という牢獄に一瞬とはいえ囚われたマスク・ド・ブレイズ。しかしそれは、4人へと詠唱の時間を与えるのに十分すぎる隙となる。
『魔姫空封、幻姫時解――参之式、終之型』
――藍励の通った軌跡が水の竜巻を中心に六芒星を描く。
『青龍、白虎、朱雀、玄武、帝釈天、冥王……皆、あたしに力を貸して!』
――希季が異なる神々から強引に力を借りる。
『神よ、感謝します……』
――未来の神への祈りと感謝が周囲の3人を強化する。
『炎よ、集え。風よ、集え。土よ、集え。沈黙させよ、殺戮せよ、討伐せよ。今この時、我の意思の元――』
――ソーニャの杖に異なる属性の暴威が収束する。
『うおぉぉおおッ!』
マスク・ド・ブレイズが竜巻を破った、その瞬間。
『――その力を示せ』
『あたしの出せる全力、受けてみて!』
限界まで収束させた破壊の暴威が魔法と化して吹き荒れ、神々の力を借りた神域の一撃が追撃として彼へと飛ぶ。そして、最後のダメ押しと言わんばかりに、避けようのないタイミングで『空間が爆ぜた』。
『……ヘキサグラム・ジ・エンド』
『――私は、守れないのか……』
数々の暴虐の嵐をその身に受け本体のマスクのみとなったマスク・ド・ブレイズは、迷宮の闇へと溶けるように消えた。迷宮の下層、還るべき場所へと還ったのである。
その声は、深い悲しみと怒り、そして憤りの籠った声音だった。
「――正義、の、ぶつけ、あい、は、互い、に、相、容れない、部分。どのみち、解決、出来ない」
敵のいなくなった迷宮の壁に、小さな妖精の声が不思議と響く。それは何かしらの余韻を残して刻まれたようにも思えた。
この瞬間、アルダワ学園の音楽祭は無事に守られたのである――。
大成功
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第3章 日常
『アルダワ学園音楽祭』
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POW : 踊り子や合いの手、ロック・デスメタルなどで音楽祭を盛り上げる
SPD : 超技巧で楽器を演奏したり、早口のラップを歌って音楽祭を盛り上げる
WIZ : 絶妙なハーモニーを奏でたり、皆と歌って音楽祭を盛り上げる
👑5
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●アルダワ学園音楽祭
『♪夕暮れる……夕暮れる――』
「「「ワァァァァァアアアア!」」」
多目的ホールに拍手と歓声が響き渡る。そこでは、見事な合唱への称賛が惜しみなく送られていた。
『――旧在校生の演目がすべて終わりましたので、次に移らせていただこうと思います。次は転校生の方々の演目です。準備をお願いします!』
そのアナウンスを挟み、多目的ホールは期待と熱気に包まれる。
この音楽祭では、毎度新入生たちが自分たちの知らない歌や演奏を繰り広げるのだ。期待しないはずがない。
「今回はどんなものが見られるんだろうな」
「楽しみだな! 俺ちょっと食べ物買ってくるわ」
「お、俺も! 食べながら聴こうぜ」
――平穏は今日も守られている。
●MSより
たくさんの方々のご参加、ありがとうございます! 第3章、学園での音楽祭です。
お一人の方での歌や演奏、
複数の方々での合唱やセッション、
知らない方の演奏に合わせる形で歌う、
などなど、自由にプレイングを書いていただければと思います。とにかく目標は「音楽祭を楽しむこと」です!
プレイングはただいまより、無制限に募集致します。1通目の方の締め切りが迫り次第、少しずつ執筆させていただきますので、皆さまの自由なプレイングをお待ちしております。
●
微かな蒸気音と共に扉が閉まれば、多目的ホール内は外とはまったく違う静寂に包まれていた。ライトアップされた舞台とは対照的に闇に包まれる観客席。しかし、たとえ暗くとも、その場に渦巻く期待と興奮は隠しきれるものではない。
アルダワ学園音楽祭、猟兵の部は、そんな緊張感の中で幕を開いた――。
栗花落・澪
なんとか護れてよかった
今後の為に弱点克服も考えないとだけど…
折角の音楽祭、全力で楽しまないとね
【指定UC】で【歌唱、ダンス、楽器演奏、パフォーマンス】を強化
音楽だけで構成した簡単な一人芝居
※メインは歌
演目は「月下の花」
病に倒れた母のため
万病に効く花を求めて
幼い姉弟が魔女の森へ向かう冒険譚
その花は満月の夜にしか咲かないという
声色を変えながら一人三役
魔女の恐ろしさや
恐怖と母への愛に揺らぐ幼い心を歌い
花の美しさをフルートで奏で
勇気ある戦いを舞踏で表し
手に入れた美しい花は
【生まれながらの光】で辺りを照らしながら翼で羽ばたき
【全力魔法】で床に氷の花の彫刻を作り出すことで表現
僕自身を月に見立てた演出だよ
園城寺・藍励
【KFoH】で参加
アドリブ絡み歓迎
待ちに待った音楽祭、だね。
せっかく皆楽しみにしてくれてるんだし、うちらも本気で望まないとね。
本気で望むけど、当然、自分たちが楽しくなきゃ効いてる人はもっと楽しくないから、全力で楽しんでいくよ。
あ、うちはボーカル兼ダンスだよ。
あはは……ゴネても始まらないし希季がわがまま続けるだけなら希季なしで音楽祭に望むだけだね……?
アイドル衣装着込んでパフォーマンスと歌声で皆を魅了していこうかな。
音楽のチョイスは……そうだなー、電波ソング的なのがいいかな?
いや、未来姉の言うことは事実じゃないかな……?
あはは……どうしてもやりたいなら練習しよう、ね?
瑠璃凰花・未来
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
音楽祭ね……こういうのに出るのは、私はあまり慣れてないのだけれど。
皆やる気みたいだから、私も頑張らないとね。
私の担当はベースよ。目立たないけどさり気なく重要なパートよね。
弾こうと思えば何でも使えるけれどね、特に希季ちゃんには任せられそうにないし……
あ、希季ちゃんはドラムね。
なんでじゃないの、目立ちたがりすぎて真っ先に演奏崩壊させるの希季ちゃんなのはわかってるからね?
そのかわりソロパート機会を儲けようかしらね、ソーニャちゃんは師匠直伝の技があるみたいだしね?
また別の機会があるでしょ?
それに希季ちゃんよりソーニャちゃんのほうが上手いのは明確だし……
天神・希季
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
音楽祭!
あたしギターで行くよ!
えーなんでー!?ドラムなんて目立たないじゃん!
ぶー、るりしーのケチー!
えっ、それはダメー!もー、しょうがないなー!
ドラムにはドラムの叩き方ってものがあるのを教えてあげるよ!
(実はギターよりドラムの方が打ち慣れているし上手い)
ソロパートくれるのー!?やったー!全力で魅せてくよ!
あー……やっぱりギターやりたかった。
そ、そんなことないしっ!
藍励とソーニャまで!?
うー……皆酷い……
れ、練習……?
や、やだ、せんせーギターのことには厳しいから絶対やーだー!
呼び方
未来→るりしー
藍励→藍励
ソーニャ→ソーニャ
名前を知ってる他の方→適当なあだ名
霊ヶ峰・ソーニャ
【KFoH】で参加
絡みアドリブ歓迎
音楽、祭、か……何、すれば、いい?
(しばらく未来と希季のやり取りを見つめ何してるんだと思い)
ギター、だな、わかった。
ギター、なら、師、直伝、効果、音、演奏、とか、も、あり、か?
マ○オ、とか、万人、が、知ってる、もの、なら、楽、しんで、もらえる、だろう、か。
そう、だ、演奏、の、時、は、普段、の、姿、だと、目に、止めて、貰え、ない、だろう、から、指定、UC、で、人間、サイズ、なって、おこう。攻撃、先は、その辺、の、岩、で。
希季、は、ただ、鳴らす、だけ、だから、な
……なら、諦め、だな。
師の、教え、確か、に、厳しい、が、わかり、やすい。
ミニョン・エルシェ
WIZ【史跡散歩部】
リルアさん(f05670)と参加です。
はい、足軽さんたちも此方の「我城普請・相横矢」で召喚しておきましょう。
…ふふ。確かに、あの時は即席で作ったステージでしたし、今回はちゃんとした舞台です。
それにしても…まさか、鉄砲隊もコーラスに二度も駆り出されるとは思ってもいなかったでしょうね。
さて、歌は芸術、つまりは「アート」。舞台は「地形利用」で、最大限に歌声を響かせましょう。
私はメゾで、リルアさんたちの音に即興で合わせていき… 鉄砲隊にはテノールでハミングをして貰いましょう。
リルアさんたちから流れる旋律を拾っていって、探すは音の最適解。ふふ、こうした「探索」も楽しいものです。
リヴィア・ハルフェニア
ここにいる皆さんが楽しんでくれて、明日に向けて疲れも取れたらいいわね。
さあ、楽しい音の時間を過ごしましょう?
私が紡ぐのは明るい曲調の感謝と絆を歌った曲よ。
せっかくだから歌いながら魔法で虹をかけましょうか。【属性5:光・水】
あとは誰かと一緒に何かやっても楽しそうよね。(演奏や歌ったり・・)
最期はお辞儀をして終わりましょう。【礼儀作法2】
【全体使用:歌唱5,パフォーマンス】
リルア・ルリア
WIZ【史跡散歩部】ミニョンさん(f03471)と参加するわ
まずは、『三人寄れば聖歌隊』で9Mと1Fの二人を覚醒させるわ
これで3人、ミニョンさんを入れて4人、オサムライサーン達も合わせて6人よっ!
戦争の時に宇宙で歌ったけど、あれはノーカンなのよ
今回が本当の意味で初めてのステージでのコンサートだわ
【祈り】を込めた【歌唱】は、アカペラでスキャットでハーモニーばっちりなのよ
私と女の子はソプラノ、男の子はボーイソプラノ
讃美歌は歌ってもいいかしら?
「Lala... Ahh... Lulila...♪」
心と体と世界を奮わせる、儚くも厳かで、力強くも朧気で、万人に染み渡る天使の歌声を披露させてみせるにょよ!
●演目1 ~緊張感の中で幕を開いた――と思っていた時期がありました~
ステージの上で煌めくのは紫やピンク、白、緑のカラフルな色々。フリフリとしたアイドル衣装に身を包み観客席に手を振る四人組である。
容姿の整った彼女たちの姿に、観客席の男性陣は思わずぐっと拳を握り締めた。彼らとて学生、可愛いものには目が無いのだ。目を奪われた数人の男子学生が女生徒から頭をはたかれていたのはいうまでもない。
「希季ちゃんは今日はドラムね」
「えーなんでー!? ドラムなんて目立たないじゃん!」
瑠璃凰花・未来(神避の熾天使・f13139)の第一声にツッコむ天神・希季(希望と災厄の大剣使い・f13462)。目立ちたがりな性格はこんな時にこそ発揮され、健在さをアピールする。
「なんでじゃないの、目立ちたがりすぎて真っ先に演奏崩壊させるの希季ちゃんなのはわかってるからね?」
未来のぶっちゃけたカミングアウトに観客席は笑いに包まれた。雑談による掴みは完璧だ。
「ぶー、るりしーのケチー!」
「あはは……ゴネても始まらないし希季がわがまま続けるだけなら希季なしで始めるだけだね……?」
園城寺・藍励(蒼天の白猫天使・f10781)は苦笑を交え宣告を下す。
「えっ、それはダメ……もー、しょうがないなー!」
ぶんぶんと振り回していたギターをしょぼんと降ろす希季。
あの子チョロ可愛い……観客席の女性陣が希季に持った感想は、全会一致でそれだった。女性の目から見て四人の容姿に否定するところはなく、新たな転入生に期待の眼差しを向ける者がほとんどである。
「ギター、だな、わかった」
希季の降ろしたギターをユーべルコードによって人間サイズになった霊ヶ峰・ソーニャ(コンセントレイト・f13463)が受け取った。暫くキャップを捻って音階を調節していた彼女はひとつ頷き、指で弦を一本ずつ弾く。その音にズレはなく、完璧な調整であることを示している。軽く調節代わりに引いた一小節の有名な曲は、ソーニャの技術が高いことを伺わせた。
「準備はいい?」
「おっけー藍励!」
「いつでもいいわ」
「大丈、夫」
四人は視線を合わせると、観客席へと向き直る。それは彼女たちの演奏が始まる合図。雑談で解れた空気は檀上に立つ転入生へと親近感を沸かせるのに十分なものであり、観客たちは揃って耳を傾ける。
最初に聞こえてくるのは、ドラムソロ。スポットライトを浴びた希季の手は、軽快なリズムをその場に刻む。
「よし、じゃあ精一杯楽しもう!」
ベース、ギター、マイク。それぞれをその手に構え、ドラムの音と共に四人の音楽祭は幕を開けた。ソロのドラムに被せるように紡がれるベースのリズム。そこにギターのメロディーが上乗せされ、電波ソングらしい曲調が露わになる。
会場で振られるペンライト。藍励の歌が始まるのを皮切りに、会場のボルテージは階段を駆け上がるようにアップ。次第に波に乗り始めた彼女たちの演奏は、会場全てを一纏めにするのにそう時間はかからなかった。
マイクを手に歌声を披露する藍励。軽快な曲が空中分解しないようにベースの低温を紡ぐ未来。ギターの弦を滑らかにソーニャの指が弾き、希季のドラムはテンポよくビートを刻む。
ソロパートで名前を叫び、はたかれる男子生徒の頭。この日、会場で生まれた瘤の数は、生徒数と相まって天文学的な数字に上ったという――。
●幕の降りた舞台裏で(おまけ)
楽しいひと時が終わったと思った直後の出来事。マイクを切り忘れたであろうどこかのドラム担当のマイクから、観客席に舞台裏の会話が駄々洩れしていたりする。
「あー……やっぱりギターやりたかった」
「また別の機会があるでしょ? それに希季ちゃんよりソーニャちゃんのほうが上手いのは明確だし……」
「そ、そんなことないしっ!」
「いや、未来姉の言うことは事実じゃないかな……?」
「希季、は、ただ、鳴らす、だけ、だから、な」
「藍励とソーニャまで!? うー……皆酷い……」
「あはは……どうしてもやりたいなら練習しよう、ね?」
「れ、練習……? や、やだ、せんせーギターのことには厳しいから絶対やーだー!」
「……なら、諦め、だな。師の、教え、確か、に、厳しい、が、わかり、やすい」
「うえー!」
係員の学生がマイクを止めに走るまで、その会話は次の演目への繋ぎとして生徒たちを笑わせるのだった。
●演目2「歌姫(ディーヴァ)」
リヴィア・ハルフェニア(歌紡ぎ精霊と心通わす人形姫・f09686)は、静謐な心を持って檀上のライトを浴びていた。観客からの無数の視線はむしろ心地良く、太陽の光を浴びた葉のように彼女は輝いている。永きを生きる歌姫の名は伊達ではない。
その堂々とした佇まいに生徒たちは思わず目を奪われる。
「~~♪」
静寂の中でそっと口を開いた彼女の声は、高く澄み、それでいて柔らかく……どこか懐かしさを感じるものだった。紡がれるのは明るい曲調。ゆっくり目のテンポで始まった歌詞は、雪の中で生きる人々の絆と、それぞれの心の中に眠る感謝を唄う。
雪が降り、雨が降り、その中で助け合う人々の確かな友情と人情。彼女はステージに自身の力で水を降らせる。最後には雨は止み、欠けることのなかった人々の頭上――観客席の上には、祝福するように大きな虹がかかるのだった。
4Dとでも呼ぶのだろうか。歌と共に綴られる物語は観客の心を揺らし、終幕の礼をする檀上の歌姫には惜しみない拍手が送られた。
この演奏で、多くの男子生徒が初めての恋をしたという――。
●演目3「小さな小さな聖歌隊」
幕が上がり、ステージが眩い光に照らされる。檀上に立つのはリルア・ルリア(天使の歌う小夜曲・f05670)とミニョン・エルシェ(木菟の城普請・f03471)。二人は視界に突き刺さるライトと、それを上回る観客席からの視線に思わず目を細めた。
(今回が本当の意味で初めてのステージでのコンサートだわ)
前回は戦うために歌を歌った二人だが、今回は違う。自分たちの歌を聴いてもらうための場所で、自分たちの紡ぎ出す歌声を披露する――それは、待ち望んだ舞台だ。
ルリアとミニョンは綺麗に一致した動作で一礼。その動作と共に四人の聖歌隊と足軽が召喚され、計六人が顔を上げる。
ホールに満ちた静寂は息の音さえ聞こえるほどだ。
「♪Lala...」
舞台の上から聴こえてきたのは讃美歌、小さな少女の発するソプラノの歌声であった。耳を疑うほど滑らかに響いた声は単純な一音に過ぎない。しかし、その一声目は観客の耳を自然と歌へと傾ける不思議な力を纏っていた。
「♬Ahh...」
引き込まれるようなソプラノの歌声を耳にした観客が次に聴いたのは、それに重なる和音。ルリアの歌声と約束していたかのように紡がれるメゾソプラノ。傍らに立つミニョンの歌声である。
(歌は芸術、つまりはアート……)
ルリアが紡ぐシルクのような耳触りのソプラノの生地を、ミニョンは即興で響かせる和音を駆使して観客席へと縫い止める。それは二人がそこにいなければ完成しない讃美歌(ドレス)であり、芸術と呼んで差し支えないものだった。
重なり響くボーイソプラノ、テノールの歌声。
その段階になれば、観客は呼吸をするのも忘れて歌声に聞き入っていた。讃美歌とは単調に綴られ眠気を誘うものであるという認識は、既に彼らの中から消え去っている。それが違うということを現在進行形で目の前の歌が示しているのだから。
「♪♬Lulila...」
「Ahh...」
手探りで探索し、最適な和音を響かせる讃美歌の歌声は、紫陽花の葉から落ちる朝露の一滴のように澄んでいる。たった二人の小さな聖歌隊の歌声は、観客の心にしっかりと刻み込まれるのだった。
●演目4「月下の花」
前演目の感動も冷めぬ間に上がる最終幕。観客たちが檀上に見たものは、そこに佇む一人の少女(少年)。スポットライトをその身に受け、そっと顔を上げた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、大きな期待の中で口を開く。
「♪~~」
ホールに響いたのは男性とも女性ともつかぬ不思議な声音。だがそれ故に、性別年齢関係なく、観客の心に歌がすとんと入り込む。
彼が紡ぐのは、二人の姉弟の物語。
愛情を持って二人を包み込み育てた母は病に倒れ、悲嘆に暮れる姉弟の耳に届くのは「万病に効く花」の噂。
しかし、花を守る森に住むのは恐ろしい魔女。それぞれの声音と歌で紡がれる感情の揺らぎは、観客の心をまるで自分のことであるかのように冷たく撫ぜる。
姉弟はついに森で魔女と対面する。溢れ出る恐怖を母への愛で上書きし、震えを抑え、勇気を振り絞って立ち向かう様を澪は歌とダンスを駆使し全身で表現する。
観客は手に汗握り檀上を睨むように見据えていた。この物語がどこへ向かい、着地するのか。それを見届けねば帰れぬとでもいうように。それほどまでに彼のパフォーマンスは素晴らしいものであったのだ。
ついに魔女を打ち倒し、変わらぬ暗い森の中に現れる一輪の花。
戦いの中で放たれた氷がそっとステージの中央へと集い、紡がれるのはフルートの音色。その音はひとつでありながら、苦難という迷路を乗り越えた先にある開けた世界を見事に表現していた。高く澄み渡る音色。集った氷は巨大な一輪の花を形作り、彼は円状の光を纏って消えた照明の代わりに花を照らす。
――昇る月明かり照らされた、一輪の美しい花。
フルートの最後の一音は、哀愁と物語の終幕を持って観客の涙を誘った。メロディーと歌声、視覚にまで訴えかける終幕の舞台に、肌が泡立つほどの感動がホールを支配する。優しく――ではない。火事の起きた室内で空気が逆流し破られる壁の如く、激しい衝動と共に拍手が会場に沸き起こった。
氷の花は無数の破片と化して空気に溶け、ステージの中央で彼は一礼する。幕が下りるまで続いた興奮冷めぬ拍手の渦に、彼は満足そうな笑みを浮かべていた。
猟兵たちによって守られたアルダワ学園音楽祭は、大盛況の元に、その幕を閉じたのである――。
●あとがき
多くの皆様のご参加、誠にありがとうございました!
学園音楽祭、いかがだったでしょうか。私は皆さんの素晴らしいプレイングに狂喜乱舞しつつ、楽しく書かせていただきました! 少しでも楽しんでいただければ幸いです。
口調やPCさんに違和感があったり、誤字脱字がありましたら、ぜひFLからその旨をお伝えください。次回にご縁があった時、執筆の参考にさせていただきます。
重ねてですが、ご参加ありがとうございました。またどこかでお会いできることを楽しみにしています。よい第六ライフを!
ねこです
大成功
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