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凄まじく強大で恐ろしく頑強で驚くほどぽよんぽよん

#アックス&ウィザーズ


●酒場『スメル・ア・ラット』
「……今回ばかりは、どうにもならねぇかもな」
「かも、な」
 隣り合ったカウンター席でぬるいエールを呷り、二人の凄腕冒険者(自称)は同時に溜息をついた。とんでもないことになったもんだ。この町の近くに、まさかあんな――。
「いっそ、逃げるか?」
「クク、分かってて言うんじゃねぇよ。この町以外に、俺らみたいなはみ出し者の居場所はねぇだろ」
 諦めたような、悟ったような。力ない笑いを零しつつ、エールをまた一口……と。もう空か。ここのはぶっちゃけ味も香りも喉越しも鮮度もいまいちなんだが、とにかく安いからもう一杯頼もう。そうしよう。
「そんなわけで親父、おかわり」
「あ、俺も」
「さらっとうちのエール貶めて良く言えたなてめぇら。安いんならツケ払えや」
 それでもジョッキにしっかり注いでくれる店主、優しい。
 感謝の気持ちを込めつつ新たな一口目を味わい――やっぱいまいちだな。
「ぶちのめすぞ」
「まぁまぁ、ちゃんと頼まれた謎のモンスターは調査してきたからさ」
「そうそう、あれはすごいぜ。ほんと、こう、すごいやつ」
 情報をまとめた紙には、こう書かれていた。
『凄まじく強大で(たぶん)恐ろしく頑強で(きっと)驚くほどぽよんぽよん(これはホント!)』
「ぶちのめすぞ」

●グリモアベースにて
 新たな予知と聞いて集まった猟兵たちを、布団にくるまったブラックタールの少女、ティティモルモ・モルル(フトゥンフワット・f03305)が迎えた。今にも寝そう。
「別にほっといていいんじゃねーでしょーか……」
 ダメです。
 隠そうともせず溜息をつくと、見るからにしぶしぶと説明を始めた。
「アックス&ウィザーズでモンスター……オブリビオンが、発見されたみてーです。町南東の川向こうにいるのを遠目に見たって話で、詳細はまだ不明でごぜーますが」
 それだけ聞くと大事のように思えるが、ティティモルモからは相変わらずやる気も覇気も感じられない。
「ぽよんぽよんしてた、らしーです」
 ぽよんぽよん。
「モルも予知の中でちらっと見たんでごぜーますが、色合い的にたぶん『ポゥリン』です。単体だと特になにするでもないやつでごぜーますね」
 猟兵たちの力が抜けそうになるが、とはいえ、これはあくまで予想。万一を考えて、まずはしっかりとした情報収集が必要になるだろう。
 ティティモルモは地図を取り出すと、一点を指しながら話を続けた。
「町の……ここんとこの酒場に、先に調査してきた冒険者がいるみてーです。他のお客とかもなんか知ってるかもしれねーので、好きに聞いてきてくだせー。自分たちは強いから任せとけー、でもいーですし。言葉巧みにうまいこと聞き出してやるー、でもいーですし。情報屋っぽい人を探すぞー、でもいーです」
 最終的に、情報を入手して件のオブリビオンを撃破できればそれでOKだ。過度の油断は禁物だが、気負い過ぎる必要もない。いつも通りにこなせば問題ないだろう。
「それじゃあモルはグリモア猟兵として後方でお昼寝……待機してるんで、しっかりがんばってきてくだせー……」


黒蜜
 黒蜜と申します。
 全てOPの通りです。強敵は出ません。店主は良い人です。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『酒場での情報収集』

POW   :    腕相撲などの競技や、喧嘩などによって相手に力を示すことで情報を得る

SPD   :    ある時間にしか現れない事情通を捕まえる

WIZ   :    魔法で困りごとを解決した対価に情報を得る、口車にうまく乗せて情報を得る

👑11
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●向かう前にちょこっと
 さてそれでは現場へと猟兵たちを送り出そうとして――ティティモルモは、ふと集まってくれた数を数えてみた。
「いーちにーいさーん……」
 いっぱい。
 この数が同時に酒場に向かったらなんかちょっと大変なんじゃないだろうか。たぶん収拾がつかないというかなんというか。
 そんなわけで。
「こそっとでいいんで、皆さんがどんな風に情報集める予定か教えてほしーです」
 近しい手段毎に、順々向かってもらうことにしてみた。これなら協力もし易くなる。
 と、いいなぁ。
アイ・ティー
そんなすごいのがいるのか…。やばいね。
まずは情報を集めなきゃ。は~やれやれ
情報通を待つことにします。
隅の方にくるんと丸くなって「目立たない」ようにこっそり佇んでおきます
たまにフライドチキンとか齧ってます
ぽよんぽよんしておきます。
そう、今回の相手を想定してどのような対策を立てられるのか
どのような手段でやっつければいいのか
色々考えてぽよんぽよんしているうちになんだか面倒になって
ただただぽよんぽよんしてるだけになります
ぽよんぽよん♪


絢辻・幽子
SPDで

私ザルですし、お酒を飲んで勝負だ…とかもできますが
狐ならば、人を誑かす方がよさそうでしょうか?

ですが、聞くなら店主に問うのが一番ね。

いつもある時間にしかこない、っていうなら
店主さんもしっているでしょうし。
美味しくないというエールも気になりますしね
まぁ、お酒ならなんでも美味しいのですけど。

冒険者という事を明かしつつ、最近ここらへんにぽよんぽよん
ってした不思議な子がでたらしいのだけど
しりません?
そういうのに詳しそうな情報通の方も教えていただけると
私とても助かります。ふふ。
そうですねぇ、女の武器はなんでも使いますよ、胸でも脚でも
だって、メギツネですし。



●SPDな方々
 アイ・ティー(Indigo・f06537)は酒場の隅でぽよんぽよんと跳ねていた。
 のっけから意味が分からない、そう思った貴方に強く同意したい。
(ぽよんぽよん♪)
 当初は彼女もまず情報を集めなくてはと、皆と共通の思いを抱き、情報通らしき人が来るのを待っていたのだが。待っている内に色々と考え過ぎてしまったらしい。
(ぽよんぽよん♪)
 今回の敵を想定して、その対策と戦闘方針を立てる――そんなしっかりとした目的も、「面倒だなぁ」と一度思ってしまえば、塗り潰されるまで一瞬だった。
(ガジガジ)
 今や、たまに冷えたフライドチキンを齧りながら【バウンドボディ】まで使って、ぽよんぽよん。止める人もおらず、ぽよんぽよん。どうして誰も気付かないんだろう。なぜか不自然に自然と目立たない。
(ぽよんぽよん♪)
 あの、ちょっと、次の場面に行きます――。

(私ザルですし、お酒を飲んで勝負だ……とかもできますが。狐ならば、人を誑かす方がよさそうでしょうか?)
 絢辻・幽子(幽々・f04449)は自身の妖狐たるを鑑みて、ある種正道とも言える方法を選択することにした。
 即ち――色仕掛け、である。
 酒場に入ると、ぐるぅり見回し店主のもとへ。カウンター席に着けば、冒険者であると前置きしつつ、早速お話の時間。
「最近ここらへんにぽよんぽよんってした不思議な子がでたらしいのだけど、しりません?」
「……へんなのが出たってのは知ってるが、碌に情報はねぇな」
 調査依頼出した結果があれだったから……然もありなん。まぁしかし、それでも聞きようはある。情報はなくとも、知ってそうな人がいるかどうかは分かるだろう。
「では、この辺りに情報通な方はいらっしゃいます?」
「いねぇな」
「いないのですか」
 いないんだって。
 ……進展なしは流石にマズい。ここは女の武器の使いどころだろう。あついあつい、と軽く胸元をはだけさせてみれば、店主の視線もそちらに向きかけて――ぐっと堪えてみせた。これはまさかの効果なしか。
「……強いて言うなら。本当に強いて言うなら、あいつだ」
 十分効いていた。ガン見するのは失礼だろうと踏み止まったらしい。店主は良い人。
 どれどれと店主の指先を追ってみれば――。

「君、その動きは……フフ、どうやら君もアレを探っているようだね」
「え?」
 アイはちょっとびっくりしていた。ぽよんぽよんしていたら、ようやく近寄ってきた男に話し掛けられたのだ。なんだろうこの人。
「僕かい? 見ての通りだよ。……裏の情報屋、さ」
 ウィンクを決めながらそっと囁くようにそんなことを宣う。
 情報屋って職業はそもそもが裏の人間なのでは? アイは訝しんだ。
「おや、まさか僕の勘違いだったかな? 例のアレ……謎のモンスターを示す動きかと思ったのだけれど」
「……あー。あーあーあー」
 そういえばそうだった。
 つまりこの人に聞けばよいのか、ぽよんぽよんしていた甲斐があった。
「そうそうそうなの、ぽよんぽよんな。何か知ってる?」
「ああ、やっぱりそうかい。フフ、自分の慧眼が恐ろしいよ……と、情報ね。もちろんもちろん」
 じゃあ、と手を差し出す男。
 …………? ああ、そうか。
「悪いけど、このフライドチキンはあげられないのよ」
「情報料!! ……こっちも商売だから、ね?」
 お金かぁ。持っていたっけとパーカーの中をごそごそしていると。
「あなたが情報通さん?」
 幽子も話に加わった。店主が指したのもこの男だったようだ。なんだか残念な雰囲気も感じるけれど、他にいないなら仕方ない。
「おっと、もしかして君も僕の情報をお求めかい? フフフ、参ったな。正直これはそんなにお金になると思っていなかったのだけど、需要があるなら少しお高めに――」
「情報を教えていただけると、私とても助かります。ふふ」
 服の合間から色白の脚がちらりちらり。
「南東の川の向こう岸にいるんだけどね? どうも僕が観察してみたところ――」
 全部喋った。

●進行度
『ポゥリン』確定率――20%

 ――ちなみに。
「店主さん、美味しくないって評判のエールが気になるのですが」
「怒るぞ」
「あっ! 親父俺らの時より言葉が柔らかいじゃねぇか! 客差別反対!」
「ぶちのめすぞ」
 お酒ならなんでも美味しい、そんな幽子の口には合ったようです。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャルロット・クリスティア
なるほどなるほど、酒場で情報収集ですか。
定番ですね!ちょっとこういうの、憧れてたんですよ。

すいません、そこの冒険者さん。ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど…。
と、POW判定で聞きに行ってみましょう。
大丈夫、結構力には自信あるんですよ。腕相撲ででも試してみます?
…え、銃に腕力は関係ない?いえいえ、力が無いと反動で狙いがぶれますからね。大事ですよ大事。
怪力技能込みで、いざ勝負です!
責任もって対処してきますから、勝ったら情報、教えてくださいね。


煌燥・瑠菜
ほう?腕相撲ですか……たまには力比べもいいですよね!ふ、普段はしませんよ?私、大人しくお淑やかに生きるごく普通の女の子ですし?決して私の力がどこまで通用するのか試してみたいとかとにかく体動かせればそれでいいとかそんな知的さの欠片も無い動機じゃありませんから!(ここまで言い訳)

というわけで腕相撲勝負を挑み情報を聞き出します!目指せ腕相撲チャンピオン!……冗談ですよ冗談!?
作戦は簡単、とにかく【怪力】にものを言わせてゴリ推しでねじ伏せます!
小細工?そんなものはいりません。ただ力こそパワーだと見せつけるのみ!
そしたら謎のモンスターの情報もきっと教えてくれますよね?


幻武・極
たのもー、ここにすごく強そうなモンスターのことを知っている人がいるって聞いて来たんだけど知ってる?
って、外に追い出そうとするな―。
子供扱いして、ボクだって猟兵の一人なんだからね。
なら、そこのいかにも強そうなおじさん、ボクと腕相撲で勝負だ。
ボクが勝ったら、モンスターの情報を教えてよ。



●POWな方々、その1
(なるほどなるほど、酒場で情報収集ですか)
 シャルロット・クリスティア(マージガンナー・f00330)は今回の依頼内容を反芻し、明るい笑みをさらに深めた。
「定番ですね! ちょっとこういうの、憧れてたんですよ」
 よしがんばるぞと意気揚々。酒場へと入り、例の冒険者たちを探し――。
「おい、ここは嬢ちゃんみてぇなガキが来る場所じゃ……いや何でもない」
 すごく定番な感じで絡まれたような気がしたが、話しかけてきた人相の悪い男はシャルロットの銃を見るや否や、サッと目を逸らした。たぶんもう害はなさそう。
 気を取り直して探せば、すぐに見つかった。カウンター席で未だに飲んでいる二人組がそれだろう。耳を澄ませばぽよんぽよんがどうのと聞こえてくるし。
「すいません、そこの冒険者さん。ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど……」
「うん、俺らにか? なんだ?」
「お二人が調査されたというモンスターについて、教えてほしいんです」
「……ちょっと待っててな」
 途端に、こそりこそりとひそひそ話を始める冒険者たち。何か自分に不手際でも、と心配になるシャルロットであったが。
「……なぁ嬢ちゃん。ここらじゃ珍しい銃なんてもんも持ってるし、たぶんあんたも冒険者なんだろうが……」
「子供に向かわせるってのはちょっと、な? 俺らも良心があるからさ……」
 思いの外常識的な言い分だった。分からなくもないが、こちらは猟兵だ。実力は十二分にあるのだと、証明してのけなければ。
「大丈夫、結構力には自信あるんですよ。腕相撲ででも試してみます?」
 え、腕相撲? と銃に向く視線。銃と腕力。一見関係ないように思えるかもしれないが、これが中々大事なのだとシャルロットは語る。反動を制御するための力が必要になると。
「ほー、そういうもんなのか……。じゃあ、まぁ、俺とやるだけやってみるか?」
「はい! 責任もって対処してきますから、勝ったら情報、教えてくださいね」
 猟兵VS冒険者、腕相撲勝負第一番、開始――!

 力で情報を得ることもできると聞いて、密かにテンションを上げていた煌燥・瑠菜(続き綴る御噺の欠片・f02583)。傍目にはお淑やかな少女にしか見えないのだが。その、母親の影響をちょっと受けているとのこと。ちょっとだけ。
(決して私の力がどこまで通用するのか試してみたいとかとにかく体動かせればそれでいいとかそんな知的さの欠片も無い動機じゃありませんから!)
 本当かなぁ……。
 ともあれ、酒場へと辿り付けばあとは情報を得るのみ、だ。入口を抜け――。
「おい、ここは嬢ちゃんみてぇなガキが来る場所じゃ……言う程ガキでもねぇか、何でもない」
 なんか人相の悪い男が話しかけてきたが、15歳という年齢はここではギリギリ子供ではないと見做されたようだ。たぶんもう害はなさそう。
 気を取り直して良い感じに強そうな……もとい、情報を持っていそうな人を探していると、先に来たであろう猟兵の姿が目に入った。どうも腕相撲を提案しているらしい。力比べにはちょうど良さそうだ。
(でも、どうせやるならチャンピオンを目指したく――ハッ……冗談ですよ冗談!?)
 本当かなぁ……。
 まぁしかし、力を示すのは元々の目的。行うこと自体は全く問題ない。見たところ勝負しようとしている冒険者は一人だけのようなので、残るもう一人に話を持ち掛けてみることにする。
 冒険者と名乗るからには、普通のお客よりは強いはずだ。きっと。
「あの!」
「ん、なんだ? 今ちょっとあいつの勝負が始まるから――」
「腕相撲やりましょう!」
「えっ」
 さぁやろうすぐやろう力こそパワーと見せつけるのだ!
 瑠菜が求めるは小細工無用の真っ向勝負!
「私が勝ったら謎のモンスターの情報を教えてください!」
「えっ、待ってあのモンスターってそんなに注目されてるの?」
「教えてください!」
「えっ、あっ、うん、教える」
 よし押し切った。これで万事憂いなし、安心してねじ伏せよう。
 猟兵VS冒険者、腕相撲勝負第二番、開始――!

「たのもー」
 幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)が酒場へと入ったその時――鋭い視線を、感じた。
 まるで値踏みされているかのようだ。――面白い。誰かは知らないが、ここは武術家として応えるべきか。そう思い、そちらへ顔を向ければ。
「ガキか……? よし、ガキだな。銃とかも持ってねぇと。よしよし」
 思ったのと違うかもしれない。
 目が合ったと気付いたのか、人相の悪い男はこちらに近付くと。
「おい、ここは嬢ちゃんみてぇなガキが来る場所じゃねぇぞ。とっととお家に帰りな」
 台詞は本当に良く聞く類のものなのだが、何というか、言いたいことをやっと言えた、みたいな万感が宿っているような。
 とはいえ、その……忠告? を、聞くわけにもいかない。極もまた、情報を求めてここまで来たのだから。
「ここにすごく強そうなモンスターのことを知っている人がいるって聞いて来たんだけど、おじさんは知ってる?」
「…………とっととお家に帰りな」
 返って来たのはさっきの繰り返し。初めの沈黙は、何か知っているがゆえのものなのか。はたまた。
「ほら、いいから帰れって、ほら」
「外に追い出そうとするなー」
 背中をぐいぐい押してきている。なんでそこまで追い出そうとするのだろう。
「酒場なんて教育に悪いだろうが!」
 ……どうも、本当に忠告だったらしい。
「銃やら仕事道具やら持ってるんならもう一人前に仕事してるんだろうが、そうじゃねぇガキはこんなとこ来るな!」
「子供扱いして、ボクだって猟兵……冒険者みたいなやつの一人なんだからね。どうしても帰したいなら、ボクと腕相撲で勝負だ」
 よく見ればこの男、結構鍛えられた体をしている。身のこなしもそれなりに。冒険者と見て間違いなさそうだ。それなら、情報のひとつふたつ持っているかもしれない。
「ボクが勝ったら、モンスターの情報を教えてよ」
「はん、いいだろう。俺に勝てるってんなら、ガキじゃないと認めてやるよ。――来な」
 猟兵VS冒険者、腕相撲勝負第三番、開始――!

 結果の描写は要るだろうか。
 猟兵かつ、怪力が二人に、武術家が一人なのだが。結果の描写は、要るだろうか。
 ――では、ハイライトだけでここはひとつ。
 第一番。
「俺……俺……冒険者向いてねぇのかな……。嬢ちゃんの手、ピクリとも動かねぇ……動かせねぇ……」
「あ、あの、ごめんなさい! えっと、本当に銃って力が要るので、その……」
「ははは……いいんだ、気を使わねぇでくれや……」
 第二番。
「私の勝ちですね!」
「うおおおお俺の腕があああああ! 折れたかと! 折れたかと思ったあああああ!!」
「え、ちょっとそんなに叫ばないでください! 私が乱暴したみたいじゃないですか!!」
 第三番。
「なぁあんた……いや、お前さんは。それだけの技量、どこで……?」
「え? えーと、山奥かな」
「修行ってことか……。ふ、俺もまだまだ青いな。――認めるぜ、お前さんのこと」
 ――以上です。

●進行度
『ポゥリン』確定率――40%

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ニレッド・アロウン
「最後までどっちかが立っていたら勝ち、という事で殴り合いをしましょう。武器は禁止で、賭けはお好みにどうぞ。」
・酒場にたむろしている冒険者たちに喧嘩を吹っ掛けます。ついでに自分の持っているお金で全額自分に掛けておきます。
・自分はちゃっかり「トリニティ・エンハンス」を発動し、【氷の魔力】で
自身の攻撃力を上げつつ、殴り掛かります。相手の冒険者からの攻撃は……オラトリア・ヴェールの「オーラ防御」に期待して、殴り殴られのインファイトを仕掛けていきます。
・勝った場合、相手から情報を入手しつつ、賭けに勝ったお金で他の冒険者にエールを奢りつつ、さらなる情報を買おうとします。


マリンピア・モーリー
POW 相手に力を示すことで情報を得る

「そのぽよんぽよんについての詳しい情報をマリンたちに教えてください!」
自身のどっしり豊満な肉体と腕力を先の冒険者や他の客に見せ付けます。
もし喧嘩を吹っかけてきたり、セクハラをしてくるような輩がいたら
できる限りお店に迷惑が掛からないように不遜な輩をある程度懲らしめて
尚更力を見せ付けて情報を得やすくします。
「どうだ参ったか!この聖騎士マリンを侮るな!」
お店に迷惑が掛かるほど暴れてしまったら素直に店主に謝ります。
「申し訳ありません店主さん、きちんと後片付けします…!」



●POWな方々、その2
「どうしましょうか……」
「どうしましょうねぇ……」
 躊躇というか困惑というか、もう言葉のまま「どうしようかなぁ」という意を滲ませているニレッド・アロウン(水晶鋏の似非天使・f09465)とマリンピア・モーリー(おてんばパラディーノ・f06700)。
 さぁさぁ自分たちも力を見せ付けよう! と酒場へ踏み込んだまでは良かったのだが。
「凄腕なんて自称して自分を慰めてもしょうがねぇわな……」
「腕、ある……良かった……ある……」
 例の冒険者たちこの有様だもの。力は見てほしいけど、死んだ目で見られるのはちょっと。
 さて本当にどうしようか、と二人が頭を悩ませていると。
「ガッハハハハ! 稼ぎ頭な俺様たちのご帰還だぜ、とっとと酒出せや酒!!」
「グッフフフフ! 当然ツケといてくんなぁ! その内に出世払いしてやるからありがたく思えよぉ!」
 丁度良さそうなのが来た。もう、ベストなやつ。これを逃す手はない。
「最近噂の謎のモンスター、ご存じですか?」
「あん? ぽよんぽよんしたあれだろ? 俺様に知らないことなんかねぇぜ!!」
 じゃあ、たぶん大丈夫だろう。ダメならまたその時ということで。
「最後までどっちかが立っていたら勝ち、という事で殴り合いをしましょう」
「は?」
 ド直球。婉曲に表現する必要なさそうな相手ではあるが、流石にこれだけでは……。
「武器は禁止で、賭けはお好みにどうぞ。私が勝ったらモンスターの情報をください」
「賭けか!! よっしゃ俺様がいくらでも相手してやらぁ!!」
 目の色変わったんだけど、この人稼ぎ頭って言ってなかったっけ。
 でもとりあえず、ニレッドは展開の目途が立ったようだ。となれば、とマリンピアもグフグフ笑っている方へ話しかける。
「あの! マリンにもそのぽよんぽよんについての詳しい情報を教えてください!」
「グフフフ、ぽよんぽよんか。いいよぉオラがいくらでも教えるよぉグフフフフ」
「本当ですか! ありがとうございます!」
 良かった良かった、こちらは平和的に終わりそうだなぁ。
 グフグフさんの視線が思いっきりマリンピアの大きな胸に向いているし、手がわきわきしているし、この先どうなるか読める気がしないでもないけど。気のせいだといいなぁ。

「ガッハハハハ! よぉしてめぇら、賭けだ賭けだ! 俺様に賭けて勝ったやつはあとで取り分寄越せ!」
 せこい。が、それでもそこそこ賭けられているガハガハさん。この酒場内では本当に実力者なのだろう。ただ、先の猟兵の腕相撲を見ていた一部お客はちらほらニレッドに賭けているようだ。絶対あいつもやばいやつ、そんな期待と畏怖を感じる。ついでに二レッド自身も手持ち全額自身に賭けた。自信満々。
「準備はよろしいですか?」
「俺様はいつでも準備万端だぜ! しかしおめぇ、それ外さねぇのか」
「外しません」
 両目を覆う眼帯って結構なハンデじゃなかろうか。そう思うガハガハさんだったが、まぁこっちが有利なら別にいいかとすぐ切り替えた。細かいとこ気にしないのも才能の内。
「では始めましょう」
「おぅ! ただなんかちょっと寒くねぇか?」
 二レッドから漏れる冷気は【トリニティ・エンハンス】。自己強化の術式である。容赦ない。ついでにエネルギーをオーラ化してひっそりと全身の防御を固めた。容赦ない。
「私冷え性なもので」
「そうか、ならしょうがねぇな」
 しょうがないね。
「んじゃあいくぞ! 俺様の輝かしい掛け金フィーバーの始まりだぜ!!」
 たぶんそれはもう、終わってるかなぁ。

 賭けに沸く酒場中央あたりを避け、いつの間にか隅っこへ来ていたグフグフさんとマリンピア。グフグフさんの目が怪しく光る。
「ぽよんぽよんはなぁ、ふたつあるんだぁ」
「一匹じゃないのですか!?」
「どっしりしつつもむちむちしててよぉ」
「重厚で肉厚……恐ろしく頑強というのは真実だったんですね!」
 噛み合っているのか噛み合っていないのか。
「今目の前にあるんだぁ……」
「えっ! そんな、どこに!?」
 きょろきょろしているマリンピアの胸へ、ついにグフグフさんの手が伸びて――。
「背の高いお嬢ちゃんや、こっちへおいで」
「あ、はい! マリンをお呼びですかおじいさん!」
 直前でスカッと外れた。たまたま隅で飲んでいたおじいさん、ナイス!
「お嬢ちゃん、もっと自分を大事にしなされ。ほれ、そこな男の手。不埒にも、胸を触ろうとしておったよ」
「そんな……! 騙したんですか!?」
「グフ、じいさん余計なことするんじゃねぇよぉ……。まぁいい、グフフ、今度は真正面からいくだけだぁ!」
 ぐわぁっと襲いかかるグフグフさん。許せません! とその腕を取るマリンピア。そのままミシリと嫌な音を立てるグフグフさんの腕。え? って目になるグフグフさんとおじいさん。
「ぎぃやあああああ!! 放せ、放せぇぇえええ!!」
「どうだ参ったか! この聖騎士マリンを侮るな!」
「情報はほんとに持ってるから話すから放してぇぇえええ!!」
 ドッタンバッタン大騒ぎ。そうなるよね。

「申し訳ありません店主さん、きちんと後片付けします……!」
「……いや。だいぶ儲かったし構わねぇよ」
 ドタバタしてしまったマリンピアが謝罪したところ、店主さんニレッドにだいぶ賭けていたらしく許してくれました。ガハガハさんがボッコボコにされたのも気分良かったらしい。
 一方。
「エールを奢りますので、皆さんも情報提供願えませんか?」
 潤沢な資金を手に入れた二レッドがお客たちにそう提案してみるも。エールかぁ……と、何ともいえない空気になりました。
「まとめてぶちのめすぞ」

●進行度
『ポゥリン』確定率――60%

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

煌天宮・サリエス
「情報収集……なるほど、私の出番です……よね?」
と、呟きながら酒場に入ってこういいます。
「皆様、こんばんは。私は、ちょっとした聖職者です。腰痛や擦り傷などでお困りのことがあれば私におっしゃってください。私が治療できるものであるならば治療しなさいと主とおっしゃたのです。」
と言い、祈りを捧げながら体内から光を放ち、自分の神秘性をアピールします。
その後、冒険者や客に「生まれながらの光」を使い治療しながら、オブリビオンの情報について何か知っていることがないか聞いていきます。


リト・クルル
「酒場と聞いちゃ黙っておけねーな
おれも一肌脱ごうじゃねーか」
酒場につられてやってきたけど、おれが出来ること……っと
あ、おれ魔法使えるから【WIZ】を選択すんぜ
手当たり次第に困ってるやつを捕まえて、魔法で困りごとを解決する予定
魔法を使うときは【全力魔法】を使用して、柄じゃねーけど真面目に解決するぜ
その後は対価として情報を貰う
「お前の知ってる出来る限りの情報をよこせ
ガキだからってなめてもらっちゃ困るぜ」



●WIZな方々、その1
「情報収集……なるほど、私の出番です……よね?」
 治療に長けているとなれば、人々の悩みを氷解させて情報を教えてもらうこともできるはず。奇蹟授かり覚醒した身として、救いの手を差し伸べよう。
 そんな想いを胸に、煌天宮・サリエス(煌道聖者・f00836)は酒場へと足を踏み入れた。
「皆様、こんばんは。私は、ちょっとした聖職者です。腰痛や擦り傷などでお困りのことがあれば私におっしゃってください。私が治療できるものであるならば治療しなさいと主は――」
「ガハッ! ゲホッゲホゲホ! ガハッガハッ!」
 なんかガハガハ言いながら倒れている人がいる。よく見なくてもボッコボコなのだが、周りの人は全然助けようとしていない。よっぽど人望が皆無なのだろうか。
 面食らってしまったが、そこは聖職者。祈りを捧げて体内から【生まれながらの光】を放ち、さっそく治療に取りかかる。
「大丈夫ですか? 怪我の具合、少し確認させてくださいね」
「ガハガハッ! お、おぅ……悪ぃな、頼む……」
 随分と凹んでいるようだ。体もだが、心も。絶対素直そうじゃない見た目なのに、すごく素直に従ってくれるし。
「ふむ……打撲はかなりのものですが、骨などには影響ないようです。階段から落ちたとか、馬車と衝突したとか、ですか?」
「……そ、そんなとこだぜ。目隠しした女相手に俺様が殴り負けるなんて、あるわけねぇからな」
 サリエスは深く追求しないことにした。優しい。
 見た目ほどは重傷でなかった怪我をものの数分で治すと、改めて話を伺ってみる。
「お、お、体が軽いぜ……! ガハハハハッ!! 俺様復活!!」
 治したのは体だけのはずなのだが、何がどうなったか心まで回復したらしい。立ち直りの早さも才能の内。
「一応、もう少々安静にしていてくださいね。……それと、良ければお聞きしたいことがあるのですが」
「おぅよ! あんたにゃ世話になったからな、特別サービスで何でも教えてやるぜ! ガッハハハハ!」
 肩をぐりんぐりん回して上機嫌なガハガハさん。安静にしろってのに。
「ええと、それではこの辺りのモンスターの情報などは……」
「お? もしかしてあんたもあのぽよんぽよんが気になるのか。さっきほとんど吐かされ……喋ったばかりなんだが……いや待てよ」
 何やら自分の頭をベシベシ叩きながら考え込んでいるガハガハさん。安静にしろってば。
「ああそうだそうだ、頭ぶん殴られ……階段から落ちたせいで、忘れてた情報もあるな。それ教えてやるよ、ガッハハハハ!」
「ありがとうございます、助かります」
 サリエスはやっぱり深く追求しないことにした。優しい。

「酒場と聞いちゃ黙っておけねーな。おれも一肌脱ごうじゃねーか」
 自身も酒場な旅団を立ち上げていることもあって、リト・クルル(羅刹のシーフ・f06517)のやる気は上々。真面目な人助けなんて柄じゃないと思いつつも、できることをやってやろうと酒場の中へ入ると。
「おい坊ちゃん、あんたは普通のガキか? それともただのガキじゃないって認めざるを得ないような人か?」
 人相の悪い男にちょっと良く分からない話を振られた。無視しようかどうしようか。
「……お前がなんか困ってるんならおれが魔法で解決してやるよ。そうじゃねーなら邪魔すんな」
「魔法……ふ、つまり後者か。いいぜ、そんなら通りな。……ああ、困ってるやつを探してるんなら、あっちのカウンターの二人とかいいんじゃないか」
 変な人かと思ったら、割と親切だった。まぁそう言うならと向かってみれば、確かに困って……落ち込んだり蹲ったりしている人がいる。
「おい、お前らなんかあったのか?」
「うん……? はは、自分の弱さが嫌になったってだけよ……」
「腕を丈夫にしたい……もう二度と取れたなんて思わなくて済むくらい、丈夫に……」
 こちらもちょっと良く分からない話だったが、要は強くなりたいのだろう、たぶん。
 となると……一時的なものではあるが、リトには手がある。
「ちょっとこっち向け」
「……? 何を……」
「なぁ、お前ら――」
 ――おれみたいなガキにイジめられんの好きなんだろ? たっぷり可愛がってやるぜ。
 脳髄に染み入るような魅惑の響きは【Sadistic Voice(サディスティックボイス)】。共感した対象をぐぐっと強くする魔法の言葉。しかしこれ、逆に言えば共感しないとダメなのだが――。
「あ、お……何だろう、なんかイイ……」
「うん……これ、イイかも……」
 かなり効くタイプだったようだ。リトが全力で使用した影響か、元々の願望というよりは本人たちも気付いていなかった深い業を引き摺り出しかけている気がするが。まぁ些細な問題だろう。
「元気出ただろ? じゃあ対価として情報をよこせ。ガキだからってなめてもらっちゃ困るぜ」
「おお、元気はそうだな……湧き上がってくるような、滾るような……ええと、情報っていうとあんたもあのモンスターのことか」
「あー……そう言えば、さっきはモンスターの話はしたけど場所のことはあんまり話してなかったな」
 他と被っていない情報なら願ったり叶ったりだ。あとで他の猟兵と擦り合わせれば、より詳細が見えてくる。
 情報収集への確かな手応え。依頼の全貌が露わになる時は、近い――。
「なぁ、お金出せばさっきのもう一回やってもらえたりとか……」
 冒険者たちの業が露わになる時も、近い――。

●進行度
『ポゥリン』確定率――80%

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

小宮・あき
ぽよんぽよんとしていた…?それは、まさか、ポゥリン…!?

宿敵の気配を「第六感」で感じてやってきました。
私の可愛い宿敵が迷惑を掛けているのならば、対処しない訳にはいきません。ええ、決して会いたいからという訳ではありませんよ。聖者として当然の役目ですから。えへん。

【WIZ】
「生まれながらの光」で怪我人の治療をすることで、情報を得ようとします。診療所などはありますか?体力は残したいので、大きな怪我の対応ではなく、応急手当で対処できそうな方を治療したいと申し出ます。

「この辺で、ポゥリン…えっと、ピンクのぷるぷるしたスライムについて、何か知っている事はありませんか?もしくは、知っている人が居たら…」


高野・エドワード
同じ旅団【ホテル・ペンタゴン】の【小宮・あき】と一緒に行動するよ。

僕はまだポゥリンを見たことがないんだよね。噂によるととっても可愛い子なのだとか…今から会えるのが楽しみだよ。…あ、勿論依頼はちゃんとこなすつもりさ。

【WIZ】さて、僕も診療所などがあったなら【愛はALMIGHTY☆】を使用して怪我人の手当を手伝おうかな。手のひらにハートが浮かんで飛んでいき、当たった対象を治療するよ。

後はコミュ力を活かして、色々と雑談も交えつつ情報を集めよう。「ピンクのぷるぷるしたスライムをどこかで見かけたことないかい?あぁ、あとこの辺りで美味しいお店なんかがあったら教えて欲しいな♪」



●WIZな方々、その2
(ぽよんぽよんとしていた……? それは、まさか、『ポゥリン』……!?)
 小宮・あき(人間の聖者・f03848)の第六感にピーンときた。これはあの可愛い宿敵が出現したに違いない!
 そうと分かれば対処しなくては。自分の宿敵が迷惑をかけているとなれば、聖者としては当然向かわざるを得ないのだ。単に会いたいからとかまさかそんなこと。まさかまさか。
「僕はまだ『ポゥリン』を見たことがないんだよね。噂によるととっても可愛い子なのだとか……今から会えるのが楽しみだよ」
「そうなんですよ、エディさん! 本当に可愛いんです!」
 けれど同旅団の仲良しさん、高野・エドワード(愛のガチ勢・f00193)にそう語るあきはとてもとても嬉しそうに見える。いやいや、それでもまさかまさか。
 ――さて、何はともあれ酒場の中へ。診療所などがあればそちらに回りたいところだが、ひとまず店主さんに聞いてみよう。
「近くにはねぇな」
 なかった。
「困ったね。怪我人の手当てを手伝いたかったのだけれど……」
「……手当てというと、あれだ、あんたらも不思議な光みたいなのが出せるのか?」
「あ、はい! 出せますよ!」
 ぱあっと広がるあきの笑顔と【生まれながらの光】。場末の酒場の店主にはちょっと眩しいかも。
「少し色と形は違うけれど、僕も同じような光を出せるよ」
「そうか、ならうちの……あっちの一角でも使うか? テーブルとイスを少し整理すりゃ、スペースもなんとか確保できると思うが」
「いいんですか!? ありがとうございます!」
 先に来た猟兵の治療風景を見ていたのも良かったのだろう。申し出はすんなりと受け入れられ、準備もOK。いざ来たれ怪我人!
「最近肩が痛くってなぁ」
「わしは腰がもうボロボロで……」
「グフッグフッ……腕を治してくれよぉ……」
 思っていたよりも結構来た。ちょっと変なのも交じっている気がするが、怪我人には違いないのでがんばろう。とりあえずどんな具合かざっと確認。
「ふんふん、皆さんそこまで大きな怪我はなさそうですね。これなら応急手当で間に合いそうです!」
「ちゃんと順番に治すから、押さないで、慌てないでね。大丈夫、安心して僕に診せてごらん」
 あきの光が輝けば、見る見るうちに怪我が消えていく。魔法か奇跡か、何れにしてもありがたや! ニコニコ笑顔に釣られたのか、騒めく人々の顔まで輝いて見える。
「愛は人々を救い、世界を変えるのさ! さぁ、僕の愛を受け取ってっ♪」
 エドワードの【愛はALMIGHTY☆(アイハオールマイティ)】、ハート形で優しい桃色の光。当たった人を癒やす愛の光も、また。
「お……あ、ありがとうな兄ちゃん。これ、愛なのか……へへ、何だかあったけぇな」
 あらゆる壁を飛び越える彼の愛は、酒場で飲んだくれる粗雑な男たちの心にもしっかりと届いた。ちょっと顔を赤らめている人もいるが、酒のせいだろうきっと。
 ――光を届けることしばし、そろそろ並んでいた人たちに行き渡ったようだ。
 治療は順調、信頼も完璧。となれば。
「腰が伸ばせる……! ありがとう笑顔なお嬢ちゃん、歩くのが楽になったよ」
「どういたしまして! あ、おじいさん、ちょっとお聞きしても良いでしょうか?」
「おお、なんでも聞いておくれ」
 今度は情報収集の番だ。エドワードもコミュ力をバッチリ活かして、既に雑談がてら情報を集めている様子。自分もここらで治療から話へとスイッチしよう。
 可愛い宿敵に早く会いたいし。あ、いや、聖者として聖者として。
「この辺で、『ポゥリン』……えっと、ピンクのぷるぷるしたスライムについて、何か知っている事はありませんか?」
「ああ、それなら草原で日向ぼっこしておるのを見かけたよ」
 早速情報にヒットしたらしい。日頃の行いの賜物というものだろうか。はやる気持ちを抑えつつ、先を促してみると。
「途中で蜂に驚いて逃げてしまったようだが……不思議なことに、いつの間にやらスライムがいた場所に大きな石が置いてあってなぁ」
「大きな石……!」
 確か、『ポゥリン』の特技のひとつは――。
「僕の方でもピンクのぷるぷるしたスライムについて聞いてみたんだけど、こっちでは小さなスライムもわらわら湧いて出てきたって話があったよ」
「小さなスライム……!」
 確か、『ポゥリン』の特技の次のひとつは――。
「あとすっごく伸びてたって」
「伸びてた……!」
 確か、『ポゥリン』の特技の最後のひとつは――。
「エディさん!」
「何かな、オーナーちゃん」
「これ、『ポゥリン』です!!」
「うん、僕もそう思う♪」
 依頼全貌の把握、完了――!

「あ、そうだ。この辺りにある美味しいオススメのお店も教えてもらったよ。良かったら少し寄ってみようか♪」
「わぁ、いいですね! ぜひぜひ!」
 早く倒しに行け――!

●進行度
『ポゥリン』確定率――100%

●猟兵たちの集めた情報まとめ
 討伐対象は『ポゥリン』と確定。
 出現場所は町南東、川向こうの草原。特に晴れた日の昼に目撃されている。
 川は、幅はそれなり。長さはそこそこ。深さはなかなか。流れはほどほど。
 橋までは非常に遠いため、何か渡る手段を考える必要あり。
 泳いでもいい。稀に獰猛な肉食系の魚がいるが、運が悪くなければたぶん平気。
 悪かったら悲惨。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『目的地まで泳ごう』

POW   :    どんな困難も何のその、力強く泳いで向かう

SPD   :    舟を作ったり水の上を駆け抜けたり

WIZ   :    迂回路を調べる、特別な突破方を考える

👑11
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ニレッド・アロウン
泳ぐ前に【トリニティ・エンハンス】で炎の魔力によって、水の寒さを和らげておきます。こういう時に溺れるって時は、足が攣ったりとかパニックになる以外にも色々ありますからねー。割と寒さで体が動かなくなって……なんてことは避けるべきですから。
あとは、自身の力と翼を使って、全力で泳いでいきましょう!……えっ、そんなに大きく体を動かすと、水音が大きくて良きものが寄ってこないかって?
大丈夫ですよ、「むしろ大物がきた」と勘違いするかもしれませんし、獰猛な肉食魚がやってきても炎の魔力での属性攻撃と、オーラ防御がありますからね。この目隠しさえ取られなければ何の問題もありません!

※アドリブ・他者との協力歓迎です。


マリンピア・モーリー
POW 力強く泳いで向かう

「人生という大河に比べれば何のその!こんな川なんか泳ぎきってみせます!」
自慢の体力を思う存分利用して泳ぎきります。
ただし川に入る前にしっかり準備体操をする。
脱いだ衣服と武器を頭の上の乗せて紐か何か縛って水泳開始。
運悪く獰猛な肉食系の魚に襲われた際にメイスを取り出して【気絶攻撃】を使用。
「このマリン、魚の餌にされて堪るものか!追っ払ってくれる!」
メイスを水面に叩きつけて肉食系の魚たちを失神させ、そのまま川を泳ぎきります。
無事渡りきったら、また軽く体操をして体が乾くまでしばらく少し休憩。
「はぁ、少しばかり疲れましたがそれにしてもお日様がぽかぽかで暖かいですね…!」


幻武・極
いち、にー、さん、し、っと準備運動はこれぐらいでいいかな。
そこに川があるのなら泳いで渡ればいいし、獰猛な魚がいるなら返り討ちにすればいい、それが幻武流。
一応、念の為にトリニティ・エンハンスで守りを強化して川の流れに流されないようにはしておくよ。



●泳ごう!!
「いち、にー、さん、し……」
「ごー、ろーく、しーち、はーち!」
 特に元気に響き渡る声はマリンピア・モーリー(おてんばパラディーノ・f06700)のもの。本日は晴天なり。差し込む日光はほどよく体を温めて、抜けるそよ風はほどよく心を落ち着けてくれる。ああ、泳ぐにはとても良い日だ。体がびっくりしないようにと、準備運動も入念に。大事なことですね。
「っと、これぐらいでいいかな」
 ぐぐっとほぐした体を伸ばしつつ、幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)は川の様子を改めて窺う。流れは北東へ……今見るまま言えば右から左へと。事前情報通りそう激しいものではないが、向こう岸まではそれなりに距離がある。これぐらいなら体力はもちろん続くけれど、対策するに越したことはないだろう。
「流れに負けない頑強さを得ておこうか」
「ええ、そうですね。炎の魔力をまとえば、水の寒さも和らぐでしょう」
 それでは、と共に使用する強化術式【トリニティ・エンハンス】。ニレッド・アロウン(水晶鋏の似非天使・f09465)は試しに川へと手を入れ、魔力の温もりが水の冷たさに負けないことを確認すると、満足げに頷いた。寒さで体が動かなくて溺れる……なんて、もしもを考えるとゾッとする。そのあと肉食魚に……と考えると更にゾッとする。まぁ目隠しさえ取られなければそんなことは万に一つもあり得ないけれど!
 温かそうな二人をちょっと羨まし気に見詰めるマリンピア。でも今日の陽気を体いっぱいに浴びていると、身一つでもなんとかなる自信が湧いてくるから不思議なものだ。
「人生という大河に比べれば何のその! こんな川なんか泳ぎきってみせます!」
 気合十分、脱いだ上着等衣服と武器を頭の上に手早く紐で括って、いざ行かん川渡り!

 ――どばっしゃぁぁあん! どばっしゃぁぁあん!
「ひええええせっかく脱いだマリンの服がびしょびしょになってしまいます!!」
 右にニレッド、左に極、真ん中泳ぐはマリンピア。たまたま川に入った順番でこうなったのだが、どうしよう、右からすっごい波が来てる。
「肉食魚が出るらしいですから、手に負えない大物だと思わせられるよう全力でいきましょう!」
 ――どばっしゃぁぁあん! どばっしゃぁぁあん!
 そう言いながら体だけでなく翼も目いっぱい使って泳ぐニレッド。猟兵パワーに自己強化、翼の大きさも加わって、なんかもうこの川じゃ普段見られないような波が発生している。これはやばい流されそう。
「確かにすごい波だけど、これぐらいなら障害にはまだまだ。むしろ良い鍛錬になりそうだね」
 左の極は涼しい顔で進んでいる。というより、逆に波を利用して推力に変えているような雰囲気さえある。武術家として培った技術だろうか。もしくは防御力の強化が大正解だったのかもしれない。
「ううう、このマリン、波になんて負けません!」
 みんな進んでいるのに、自分だけ流されるなんて情けないことはできない! 気合を入れ直し、荒波を掻き分け――ようとしたところで。
「あっ! 待って、待ってください、ああっ!!」
 ニレッドから上がる悲痛な声。いったいどうした何事だ!
「目隠し、目隠しが! 取れそうですっ!!」
 ……あれだけ全力で泳いでいたら、そりゃあ……。
 ……それに彼女が着けている目隠し、年季が入って外れ易くなっているみたいだから、そりゃあ……。
「これが取れたら私はもう、ダメなんです……!」
「流れてきたらボクが拾ってあげようか?」
「取れた時点でダメなんです、ショックのあまり沈みます!!」
「ええええええ! ではストップ! 泳ぐのストップです!」
 さっきまでニレッド自身が作っていた波にしばらく流されてしまったが、動きを止めれば徐々にそれも治まり、なんとか事なきを得た。
「ふぅ……お騒がせしました」
「ああ、うん。それはいいんだけど……どうも、集まって来たみたい」
 はて何が? と水中へ目を凝らせば。――ガチン! と響く硬質的な音に、ゆらりゆらりと影が多数。つまり。
 手に負えない大物がいる! からの。
 それが段々静かになってる、弱ったか? からの。
 動きが止まった、ご馳走が浮いてるかも!? へ。
「この魚にそんな思考があったかどうかは分からないけど、ともあれボクらを食べるつもりなのには違いないかなー」
 まぁそんなこともあるよねと。ちょっと面倒なことになった気はしても、この三人に焦りはない。だって三人が三人とも戦闘見据えて用意してきているもの。無抵抗に集られたら悲惨だったけれど、どっちかというと今回はここに集まってしまった魚の方が悲惨じゃなかろうか。
「そこに川があるのなら泳いで渡ればいいし、獰猛な魚がいるなら返り討ちにすればいい、それが幻武流」
 ヒュパン、と鋭い音が忍び寄る影を穿てば、高速の拳に打ち据えられた魚がぷかぷか浮かんだ。歯は鋭いし口自体も大きいけれど、ヒレやウロコは鋭さも毒もないようで、触れても平気。骨が多いのかやや手応えは硬いものの、これなら数がいても問題なさそうだ。
「目隠しをしっかり着け直した今、魚程度に遅れを取る道理はありませんね」
 噛み付こうとしてきた魚をオーラで弾き返しつつ、炎の魔力を叩き込む。ジュウジュウと焼けてなかなか美味しそう――でもないか。すぐ川の中に消えていくから焼き魚の匂いもしないし。それよりまた目隠しが外れかけないよう気を付けなければ。
「このマリン、魚の餌にされて堪るものか! 追っ払ってくれる!」
 服共々びっしょり濡れたメイスを手に、水面へと豪快に叩き付ければ。水中へと伝わる衝撃は魚たちをこれでもかと震わせ、意識を軽く刈り取った。本来石を叩いて行う石打漁。膂力で再現してみせるとは、さらっとやっているが割ととんでもないことである。
 そうして、しばし――。

「はぁ、少しばかり疲れましたが……」
 何事もなく――とは言えないけれど、無事に岸まで辿り着けた。再び軽く体操をして、一息つけば。
「それにしてもお日様がぽかぽかで暖かいですね……!」
 びしょ濡れの体や服が乾いてゆくように、疲労も消えてゆくようだと。晴天の下、ほんわかと思うマリンピアであった。

「キミが焼いた魚、試しに拾ってみたんだけど……やっぱり骨が多そうだね。あんまり食べるところないと思うよ」
「では出汁を取る方向ですとか……いえ、なんとなくもったいなかっただけなので、どうしても食べたいわけでもないのですが」
「じゃあ、まぁ、試してみる?」
 ――微妙でした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロット・クリスティア
ほうほう。結構距離あるんですねー。
ですが、文句ばかりも言っていられません。道行きを楽しむくらいの心づもりで行きましょう。
……い、いえ、浮かれてませんよ!?
確かにこう、すこしこういう冒険に憧れたりはしてましたけど、任務ですので!
浮かれてなどいません!はい!

……さて、気を取り直して川ですか。
泳げない流れではなさそうですが……肉食魚がいたら嫌ですねぇ。
……はっ、ではこれを使いましょう!お手製の術式刻印弾です!
本来は敵を凍らせて動きを止めるものですが…これで水面を凍らせて、その上を歩いて渡っちゃいましょう!
どれくらいの厚みの氷ができるかは未知数ですが…まぁ、走って渡る分には耐えてくれると良いなーって。


アイ・ティー
つまり、ぽよんぽよんはぽよんぽよんなわけですね
だいたいわかりました(わかってない)
川向こうの草原に現れたらしいので川を渡りましょう
ぽよんぽよんと…
バウンドボディでめいっぱい身体を伸ばしてぽよん
身体を縮めてぽよん
目立たないように、かつ、素早く
水の上を駆け抜けていきます
ぽよんぽよんと


リト・クルル
うーん。どうやって目的地に行くべきか
悩んだ末に【SPD】を選択するぜ
ユーベルコードの【シーブズ・ギャンビット】と【ダッシュ】を使えば、水の上を駆け抜けられるんじゃね?
服は出来るだけ脱いで武器や装備も最低限のだけ持って、加速するように心がける
んで、準備出来たら水の上をダッシュで駆けてみる
簡単そうに見えるけど、少しコツがいそうだな
少しだけ練習してみていけそうならやってみるか



●色んな方法で渡ろう!!
「ほうほう。結構距離あるんですねー」
 向こう岸までを目測しつつ、シャルロット・クリスティア(マージガンナー・f00330)はさてどうしようと思案に沈む。討伐対象までスムーズに進めるのが一番だけれど、文句を言っても仕様がないし、それならいっそ道行きを楽しむくらいの心づもりでいくのが建設的だろうか。こういう冒険に憧れたりもしていたし、思わず笑みが零れかけて。
「……い、いえ、浮かれてませんよ!? 任務ですので! 浮かれてなどいません! はい!」
 どこからか感じた人の気配へ、咄嗟に自己弁護。そう、シャルロットは浮かれているわけではないのだ。ただちょっとわくわくしていただけなのだ。そうだそうだ、そのあたりを分かってあげてほしい。そこにいる――。
(ぽよんぽよん♪)
 ――【バウンドボディ】でぽよんぽよんとしているお方。
 なんだろう、デジャヴかな。
「……うん?」
 あ、シャルロットに気付いたらしい。アイ・ティー(Indigo・f06537)はじーっと顔を見詰めて(目がどこかは不明だが)から、ああ! と手を打った(手がどこかは以下略)。
「つまり、ぽよんぽよんはぽよんぽよんなわけですね。だいたいわかりました」
「え、えっと、はい?」
「つまり、ぽよんぽよんです」
 ――――さて、本当にどう渡ろうか。泳げない流れではないけれど、肉食魚がいたら嫌だなぁ。
 シャルロットは思案へと逃げた。

「うーん。どうやって目的地に行くべきか」
 同じく、渡る方法に悩んでいたリト・クルル(羅刹のシーフ・f06517)。手掛かりがないかと水面をじっと眺めていると、なんとなく。
「この水の上、駆け抜けられるんじゃね?」
 虫やらトカゲやらの仲間にも確か、水面を駆ける種類がいたはず。それなら、猟兵にだってやれないことはないのでは? そんな考えも許されるし、もっと言えば結構な割合で現実にできるのが猟兵というものである。
 とりあえず、物は試しと服を脱ぎ、装備も手持ちの最低限に。強敵相手ならこれはかなりのリスクとなるが、今回は、うん。大丈夫だろう。随分と身軽になったし、これならいけそうな気がする。状況を整えるためにダガーのみを手にして、軽く跳びはね脚の調子も確認、問題なし。
「よし、それじゃー早速」
 ぐっと腰を落とし、前傾姿勢から前へと【シーブズ・ギャンビット】を推進力に――飛び出す!
「――っとと、と」
 数歩進んでどうにか大回りに引き返し、なるほどこれは、いけ、る? が、思いの外難しい。速度は十全なのだが、その分体のコントロールが利きにくいようだ。少し練習をしてから――。
「ん?」
 ふと、横を見てみた。
 ぴぴぴぴぴっぴぴっぴっ。
 ぽよんぽよんした何か(アイ)が水切りのように水面を跳ねていた。
「んー、これはぽよんぽよん感が足りないわね。もっとこう、ぽよんぽよんする感じじゃなきゃダメなの」
 大変考え込んでいるようだ。常人には分からない何かがぽよんぽよんにはあるのかもしれない。――いや、ないかなやっぱ。
「いっそここは、ぽよーーんとしてみるのもアリ? んー、ぽよんぽよん……ぽよーーん。ぽよーーーーん?」
 ぴぴぴぴぴっぴぴっぴっ。
 ぽよんぽよんした何か(アイ)が水切りのように戻っていった。
 リトは何も見なかったことにした。

「ふむふむ、氷の厚みは……今日は結構日光が暖かいですし、ゆっくり歩いていると危ないでしょうか? でも、ササッと渡る分にはいけそうですね!」
 思案の末に思い付いた、お手製の術式刻印弾活用法。本来は敵を凍らせる用途な氷の魔力で、水面を凍らせその上を渡る。試みの結果は上々で、無事に向こう岸へ向かえそうだとほくほく顔のシャルロットである。
「では……波の動きを止めます!」
 刻み込んだルーンにより強化された『エンハンスドライフル』。放たれるは【術式刻印弾・氷結(ルーンバレット・フリーズ)】。寸分違わず狙い通りの着弾点は、一瞬爆ぜた次の瞬間、白い氷へと変貌。もう数回と水面が爆ぜれば、川幅半ばほどまでの氷の道が出現していた。よしよし思った通り大丈夫そうだと、小さくガッツポーズ。
「岸までしっかり繋げてからだと、初めのあたりが溶けて脆くなりそうですね……うん、あとは渡りながら作りましょう!」
 氷へまずは第一歩。いける、とは感じていても、やっぱり緊張するもので――あ、いけたいけた。なかなか安定している、小さくガッツポーズ。これで割れていたら、もしかして予想よりも自分の体重が……と悪い思想に流されていたかもしれない。本当に良かった。
 軽快に、されど慎重に。白の道を繋げながら進む、進む。途中で何か(アイ)がぽよーーーーんと伸びて、ぽよーーーーんと縮みながら、近くを駆けて(?)行ったように見えたが、たぶん気のせいだろう。
「きゃー、これならぽよんぽよん感合格ね。オリジナリティもあるしご機嫌のぽよんぽよん♪」
 気のせいだろう。
 そうこうしていると、今度は後ろから高速で水を弾き続けるような音が聞こえた。道作りの合間にちらっと振り返れば、少年が水の上を高速で走っている。水の上を、走っている。
「なんか練習より楽になった気がしたけど、その氷で波が止まったからか。サンキューな」
 目にも止まらぬ速度で脚を動かしつつも、意識には周りを見る余地も持ち合わせて。短い間に水面走りをかなりマスターしたらしく、リトにはどこか余裕も見て取れる。すごい。UDCアースやサムライエンパイアで行えば、もしかして忍者を名乗れるのではなかろうか。ニンジャかもしれないが。
「どうしようかと思ったが、案外なるようになるもんだな。肉食魚ってのも見えねーし、もう到着――」
 その時、リトの言葉に惹かれたかのように肉食魚が水面から跳びかかる!
 そしてダガーによってスパッとお刺身になって落ちていった。【シーブズ・ギャンビット】は元来攻撃技である。それも今は徹底的な超加速の本領発揮中である。
「――しそうだな。まぁそうそうトラブルとかあってほしくもねーけど」
 ちなみにリトは襲われたことに気付いていない。ついでに言うとこれが肉食魚との初遭遇でもない。処理までが速過ぎて本人も知覚できていない。すごい。
 ちなみのちなみにやっぱり途中でぽよーーーーんと何か(アイ)が近くを通っていったのだが、これは自分の意志で認識から外していた。すごい。

 そんなこんなで、向こう岸へと無事到着した二人。
「お疲れ様のぽよんぽよん♪」
 もとい、三人。
「はい、お疲れ様でした! あとは例のスライムを倒すのみ、ですね!」
「置いてきた装備、隠しはしたが誰かに盗られないとも限らねーな……早めに終わらせて戻るか」
 二人もだいぶん慣れてきたようで、今はきちんとアイのことを認識しているようだ。やはり目的を同じくする仲間同士、通じ合えるのが一番である。良かった良かった。
「じゃあ他の人が渡るまでご一緒にぽよんぽよん♪」
 認識から外れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

煌燥・瑠菜
えっ、川を渡るだけなら空飛べばいいんじゃ……ハッ!そうか、わかりましたよ!きっと飛ぶとピンチになるなんかすごい罠があるんですね!騙されませんよ私は!……考えすぎですかね?

というわけで私はヒュドラを召喚してその頭の上に乗って進みます!
大体身長3メートルくらいですけど、それくらいあれば大丈夫、ですよね……?
まあ深いところもあるかもですし、そこは【情報収集】して見極めたり【野生の勘】で回避したりしてなんとか……

最悪進めないほど深ければヒュドラ乗り捨てて空飛んで行きますけど……飛ぶのもダメなら泳ぐ準備してませんけど泳ぎます。気合で。


絢辻・幽子
WIZをつかいましょう。

あらまぁ……橋がとっても遠いの、そう
多分、橋とは逆の方にでも渡し舟とかありそうな気配がしますが
どうでしょうねぇ?
探してみる価値はありそうかと。

だって、ほら?尻尾濡らしたくないですし?
乾かすの大変なんですもん。
トリートメントしてから乾かして
丁寧にブラッシングしないと、
ごわごわのぱっさぱさになるんですよ、もう……。

舟はなくとも、せめて、ものすごく簡易的な橋…とか
でも肉食の魚が生息しているなら
舟が有力でしょうか……。

まぁ、多分何か見つかりますでしょう。

なぁんにも、見つからなかったときはー……
水の上走る練習か、舟、作りましょうか。



●乗り物で渡ろう!!
「えっ、川を渡るだけなら空飛べばいいんじゃ……ハッ!」
 煌燥・瑠菜(続き綴る御噺の欠片・f02583)は気が付いた。猟兵の仕事がそんな楽であるはずがないのだ。この気持ち良い晴天を優雅にのんびり飛ぶだけで解決するなんてまさかそんな。ゆえに、この状況は。
「きっと飛ぶとピンチになるなんかすごい罠があるんですね! 騙されませんよ私は!」
 ――艱難辛苦へ誘う何者かの謀計。行着く先は化生の咢か。危ういところだったと冷や汗を拭う。
 この本当に気持ち良い晴天を、ぐるっと見渡しても一切何の障害もなさそうな空を、ただ飛んでゆくだけで万事OKとかそんな上手い話があるはずがない。ないったらない。
「……うーん」
 考え過ぎかな? なんて疑問は捨てましょう。

 瑠菜がやや懐疑的な気持ちになっている頃、絢辻・幽子(幽々・f04449)は遠くにあるという橋とは逆の方向に何か渡る手段があるのでは、との予測で捜索を行っていた。
「ありませんねぇ……」
 しかし結果は芳しくない。舟か何かの痕跡はあったのだが、それだけだった。後に調べたところ、川向こうに食肉等資源として有益な獣が群れを成す時のみ、渡し舟が出るとか。どうも今は時季外れのようだ。
「走り抜けるか、舟を作るか……でしょうか。……はぁ」
 深い憂鬱が息と共に漏れ出す。ああ嫌だ。尻尾が濡れたら手入れが大変で大変で仕様がないというのに。トリートメントにブロー、丁寧なブラッシングも欠かせない。
(そうしないとごわごわのぱっさぱさになるんですよ、もう……)
 下手したら今回の依頼より大仕事かもしれない。まったく面倒になったものだと、ひとまず引き返して来てみれば。
「おや」
 なにやらとても都合の良いことが起きそうな気配。
「来たれ御伽噺よ、私の元に。母より継ぎし漆黒の蛇竜よ……!」
 朗々たる詠唱にて紡がれるは【『参ノ噺・術式具象展開』(サモン・フェアリーテイル・ヒュドラ)】。呼び出された四つ脚九頭のヒュドラは、召喚主である瑠菜の指示に従い、黒鱗で覆われた頭部のひとつを下げた。
「よしよし、いい子です。この子の頭の上に乗っていけば、たぶん大丈夫で――」
「こんにちは」
「え? あ、こんにちは!」
 すすっと近寄ってきた幽子がヒュドラの方を見ながら話しかける。
「立派な子ですねぇ」
「あ、ありがとうございます」
「これだけたくさんの頭があるなら、人もたくさん運べそうですねぇ」
「は、はい……」
 幽子はひたすらにヒュドラを見ている。
「………………」
「………………」
 ひたすらにヒュドラを見ている。
「……あの、乗ります、か?」
「よろしいんですか? ありがとうございます、ふふ」
 交渉成立である。

 ざざざーっと水も流れも押しのけるように力強く、ヒュドラはぐいぐい川を進む。念のためにと瑠菜が優れた勘や見える範囲の情報から水深を推し測っているおかげで、移動に支障は特にないようだ。ヒュドラも解釈次第では水蛇であるので、このような場所は得手としているのかもしれない。
「これなら乗り捨てなくても良さそうですね!」
 えっ!? って目で人を乗せていない七頭が召喚主を見詰める。ちょっと待ってそんな予定あったの?
「……コホン」
 咳払いで誤魔化す瑠菜。ヒュドラの目、次第に据わってきていますよ。あとでご機嫌取ってあげてください。
「それにしてもこの川……肉食の魚がいるって聞きましたけど、本当なんでしょうか」
「んん、そうですね。今のところ全然見当たりませんし……出るのは稀って話だったので、これくらいが普通なのかもしれませんね」
 よしよしと、乗っている頭を軽く撫でながらの幽子の疑問。いや、今日は事前情報よりはたくさんの肉食魚がいたのだ。いたのだが、概ねもう狩られてしまったので……。焼き魚だったりお刺身だったりと川の藻屑になってしまったので……。
「平和ですねぇ」
「ええ、やっぱり空でなく川を渡ったのは正解だったようです! この子のおかげですね!」
 ヒュドラの目、まだ据わっていますよ。

「そして到着、と。ありがとうございます、とても助かりました。ふふ」
「いえいえ、これくらいなら軽いものです!」
 実際軽いものだったのだろう、ヒュドラも「まだまだ余裕」と胸を張っている。なんと頼もしい姿だ。感動を覚える。これだけの傑物の力を借りられるなんて、召喚主は幸せ者だなぁ。
「そんな感じで、そろそろ機嫌直してくれません……?」
「あらあら」
 ぷいっと全ての顔を逸らされる様子に、ほのぼのとした空気が広がるお昼時であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高野・エドワード
単純明快!飛んで川を横断しよう。この翼は飾りじゃないのさ♪
見晴らし良し、天気良し、川幅はそれなり、周りに敵影なし!風は…どうだろう。多少の風なら空中戦をちょっとだけ経験済みだし、大丈夫…かな?
あまり速くは飛べないけど、落ちたら元も子もないし焦らず行こう。

それともし近くに助けを必要としている人がいれば、可能な範囲で手を貸すよ。運ぶとしたらおんぶは翼があるから無理だし、横抱きになるかな?それか手を引く、とかかな。嫌だったらごめんね。

※失敗したら
…誰かを運んでる最中にもし僕が落下してしまったら、抱っこしていた人を最優先に助けようとするよ。当然だよね。その時はユーベルコードを使おう…。


小宮・あき
◆WIZ迂回路を調べる、特別な突破方を考える

前回と同じく高野・エドワード(f00193)、エディさんと参加。
エディさんは最初から空を飛んで行かれるみたいね。
私は、人間なので…え?女性1人程度なら横抱きで行ける??

「エディさーん!抱っこ!抱っこしてください!」
両手を大きく広げて、抱きかかえて貰おうとします。
武器のメイスは軽いですし、そこまで重くない、はず!

技能【視力】で抱きかかえられながら上空から注意します。
獰猛な魚…肉食なんて怖いですね。
万が一落ちた時は【野生の感】で回避して【逃げ足】で逃げます。泳ぎだけど!
「エディさん、落としちゃダメですよ。メ、ですよ!」



●飛んでしまったのか!!
「単純明快! 飛んで川を横断しよう。この翼は飾りじゃないのさ♪」
 遂にその結論へと達してしまったのは高野・エドワード(愛のガチ勢・f00193)。これはまずい。天気は快晴、敵影は皆無、吹くもそよ風程度。距離も、短くはないが長くもない。飛んで渡るに当たってなんの障害もないのだ。くっ、こうなるとどう描写したものか!
 そんな誰ぞやの嘆きが届くはずもなく。エドワードは今、その翼で大空へ――。
「エディさーん!」
「おやオーナーちゃん」
 ――飛ばなかった。誰ぞやに希望が宿る。
「エディさん、飛んで行かれるんですか?」
「うん、飛ぶにはとっても良い天気だからね♪ オーナーちゃんは……まだ考え中、かな?」
「そうなんです。獰猛な魚もいるらしいので、怖くて……」
 概ね狩られた後とはいえ、まったくいないという保証もない。いつもの笑顔をちょっぴり曇らせた小宮・あき(人間の聖者・f03848)に、怖がる可憐な女の子に、手を差し伸べないなんてそんな人がいるのだろうか? ましてや、ここにいるのは愛のガチ勢である!
「ふふっ、良かったら僕が手を貸すよ。おんぶは翼で無理だから、横抱きになるかな? ごめんね、もし嫌だったら――」
「抱っこ! 抱っこしてください!」
 両手を大きく広げて抱っこプリーズ! ぜひぜひと、いっそ明け透けなあきの様子は、エドワードへの信頼あってのものだろう。ならば、それに応えないなんて選択肢はない。
「武器も軽いですし、そこまで重くない、はず!」
「それじゃあ失礼して――うんうん、問題なしだよ♪」
 軽い軽い、としっかり余裕を見せるが女の子への礼儀である。事実としてあきは軽かったので、そのあたり無理なく振る舞えたのはエドワードにとっても幸運であった。
「しっかり掴まっていてね」
「はーい!」
 準備も整ったところで改めて、空の旅へと出発!

「エディさん、落としちゃダメですよ。メ、ですよ!」
 眼下に広がる先ほどまで自分が立っていた大地、目前で流れていた川。空からの眺めというのは、やはり飛べない者にとっては特別。爽快感や開放感、転じて恐怖感もちらほらと。もっとも、後者は飛び方への信頼によって軽減されるものだ。
「大丈夫大丈夫、安心して♪ ……ん。あそこで跳ねたのって魚かな」
「え、どこですか!? 肉食の魚ですか!?」
 じぃっと水面へと目を凝らすあき。まだゆらゆらと揺れているから確かに何かが跳ねたみたいだけれど、肉食魚ではない気がする。そう勘が囁く。
「気になるなら、少し近付いてみる?」
「んんー……止めておきましょう。別のところから跳びかかってきそうな予感がします!」
 今回肉食魚の唯一の見せ場であったろう状況は、発生前に露と消えた。無常である。
 遠くまで見通す視力(コンタクト)で抜かりなく注意し続けるあきに、仮に今多少風が強まる等アクシデントがあったところでどうにかできる技量を持つエドワード。焦りは禁物と無茶な飛行をすることもない上、互いに万一に備えた行動まで考えてあるという鉄壁っぷり。
 本当に盤石過ぎてどうしよう、川渡りという行動のポテンシャルに危機が訪れている。
「あ、オーナーちゃん、いつの間にか隣に鳥がきていたよ。一緒に飛んでくれるみたいだね♪」
「わあ、あなたも向こうの草原にいくのかな? えへへ、短い間だけど旅は道連れ、よろしくね!」
 ほんわか。
 鳥もなんだか警戒はしていないようで、すぐ側をのんびり飛んでいる。二人に全く敵意も害意もないからかな。とても素敵な絵面が広がった。
 ――ここに今更いきなり障害を突っ込むなんて、そんな野暮なことできようものか!

 そうして着陸までつつがなく完了。ほんのちょっと振りの、でもなんだか久しぶりの地面へ、足を付ければ。
「さようならー! 元気でねー!」
 先ほどできた旅の同行者へと手を振り、別れを告げるあき。
「ふふっ、あの子も手を振ってくれているみたいだよ」
 ばっさばっさと動く鳥の翼を指して、微笑まし気に見詰めるエドワード。
 本当に見ているだけで笑顔になりそうな光景である。ほんわか。
「んーー!」
 見送りが終わり、体を伸ばして。さぁ、いよいよその時が来た。
 第六感にきた宿敵の気配は、今やこの草原のすぐ奥だ。
「――会いに来ましたよ、『ポゥリン』!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ポゥリン』

POW   :    増える
レベル×5体の、小型の戦闘用【ポゥリン・ミニ 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD   :    固まる
全身を【漬物石 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    伸びる
自身の肉体を【液体スライム 】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
👑17
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●驚くほどぽよんぽよん
 ――ぽよんぽよんっ。
 ――ぽよんぽよんっ。
 それは、そこで揺れていた。それは、そこで跳ねていた。
 草原を少し歩いた先で、お日様の光を目いっぱいに浴びて。
 ――ぽよんぽよんっ。
 ――ぽよんぽよんっ。
 ご機嫌な様子で転がっていた。ご機嫌な様子で丸まっていた
 これこそが、『ポゥリン』。猟兵たちの敵である!

 ――ぽよんぽよんっ。
 ――ぽよんぽよんっ。
 オブリビオンなので、本当に敵である。信じてほしい。
 どうか良心を痛めないで、戦うのだ猟兵たちよ!
ニレッド・アロウン
「…………え、なにこれ、可愛くないですか?持ち帰って飼いたいくらいなのですが」

【POW】希望
・【トリニティ・エンハンス】で風の魔力を主に纏い、水晶鋏を片刃ずつに変えて、双剣状にして戦います。
・風の魔力により、【属性攻撃】が解放。風圧纏う剣筋がポゥリンやポゥリン・ミニを吹き飛ばしつつ攻撃します。更に片刃ずつにしたことで【2回攻撃】が発動。もう一撃の暴風がポゥリンたちに襲い掛かります。

「ただ、今回は一応敵という事なので、遠慮せず、容赦なく倒していきますがねー。こういう可愛いってやつは、何かしらのトリックを秘めていたりしますからね」

※アドリブ・他者との協力歓迎です。


マリンピア・モーリー
「こ、これぞまさにぽよんぽよん!…愛くるしいですがこのマリン容赦しません、覚悟!」
他の同行者の方々と協力。
真っ先にポゥリンに攻撃範囲内に近づいてわざと標的になる。
攻撃してきたらユーベルコード【無敵城塞】を使用。
「この聖騎士マリンが皆の盾となる!」
超防御モードでポゥリンを自身に引き付ける間に他の同行者に
攻撃してもらう。
ポウリンが弱ってきたら【 2回攻撃】で攻撃。
固まったら【力溜め 】の後【鎧砕き 】を使い、出来る限り防御力を減らす。

戦闘が無事終わったらほっと一息ついて喜ぶ。
「無事に終わりましたね。酒場へ戻って店主さんに報告ついでに噂のエールとやらを一杯頂きましょうか!」

アドリブOKです。


絢辻・幽子
(肉食の魚の方が驚異だったのでは?)
(なんて、思ってないですよ)

ぽよんぽよんしているそれをみつめて
指先をひらりひらり、フォックスファイアの炎をゆらゆら
まぁ、かわいそうですけど…良心は痛みますけど

?!
伸びた?いえ、溶けた……?
ぽよんぽよんではなくなりましたね……

糸を使ってもいいですが、なんかこう
こまぎれになった葛餅になってしまいそうな
……なんでしょう、とてもちょっと戦いづらいですね
これもこれで、とても驚異。

えーい、あったか葛餅になーれ。

なんて。
あぁ、でも
こういうぽよんぽよんなベッドほしいですね、お家に。



●『ポゥリン』、裂ける
「…………え、なにこれ、可愛くないですか? 持ち帰って飼いたいくらいなのですが」
「こ、これぞまさにぽよんぽよん!」
「まぁ、かわいそうですけど……良心は痛みますけど……」
 戦闘開始直後、早くもその姿に惹かれ始める猟兵たち。これはまさか『ポゥリン』の策略!
 ……だったら、結構敵らしい敵だったのだけれど。こちらに気付いてもじりじり後退するばかりな様子を見るに、攻撃の意思もほぼないようだ。敵同士だと認識しているのがせめてもの救い。これで擦り寄ってきたりしていたら、たぶん何名か陥落していたんじゃなかろうか。
「……愛くるしいですがこのマリン容赦しません、覚悟!」
 聖騎士に躊躇無し! あっても振り切るのだ! 地味に距離を稼ぎかけていた『ポゥリン』へと第一に特攻するは、マリンピア・モーリー(おてんばパラディーノ・f06700)。
「むむむむむ……」
 真正面に立って、さぁこいと構えてみるものの。『ポゥリン』は何も仕掛けて……いや、急に後退を止めたと思えば、何かをぶわっと放ってきた!
「むっ! ついに本性を現しましたね! この聖騎士マリンが皆の盾となる!」
 自分が全てを引き付け受ければ、味方は存分に攻撃できるはず。何があっても通してなるものか。そんな覚悟と共に【無敵城塞】。超防御モードへと移行したマリンピアは、一身に攻撃を耐え続ける――。
「あれ、あの……く、くすぐったいです! 痛くないけどちょっとくすぐったいです!!」
 ぽよぽよぽよぽよ!
 ぽよぽよぽよぽよぽよぽよ!
 放たれた数十匹もの『ポゥリン・ミニ』。小さな『ポゥリン』たちは元気いっぱいに、マリンピアを引き離そうと体当たりをぽよぽよ。全然効かないことに業を煮やしたのかジャンピング体当たりもぽよぽよ。徐々に増すくすぐったさ。
「くすぐったいですううう!!」
 ユーベルコードの副次効果もあって、動かないというより動けない様子。確かに今のうちが『ポゥリン』への攻撃の機会ではあるのだが……払い除けることもできず悶えているマリンピアを放置するのは、さすがに。
「こういう可愛いやつは、何かしらのトリックを秘めているものですが……増えても可愛いですね。……ただ」
 サイズ的にも『ポゥリン・ミニ』、相当可愛い。しかしここで立ち止まるわけにもいかないと、ニレッド・アロウン(水晶鋏の似非天使・f09465)は反撃に動くべく得物を抜いた。『水晶鋏』――両の手へとするり、それぞれに刃が分かれれば。『右片刃』と『左片刃』、対の剣へと早変わり。
「今回は一応敵という事なので、遠慮せず容赦なく倒していきますがねー」
 荒ぶ風は【トリニティ・エンハンス】にて来たる魔の纏。しなやかに振るわれた一刃、追従する暴風に、跳び上がっていた『ポゥリン・ミニ』たちが呑み込まれ――続く一刃にて彼方へと吐き飛ばされた。属性持つ魔力の扱いに長けているのだろう。剣圧のみならず風圧も、選別しているかのように正確に敵だけを食む。つまり目隠しは巻き込まれない。安心安全。
 ぽよっぽよっぽよよっ!
 風に飛ばされ、地面に落ちて、互いにぶつかり消えていく『ポゥリン・ミニ』。その様を考え込むように見つめているニレッド。倒すことを悔やんではいないようだが、一体何を。
「……同じ色がくっついたら消える、ぽよぽよ。確か似たようなものが何か――」
 それ以上いけない。
 ちょっと危ういところで「まぁいいか」と切り替えて、ニレッドが続いての剣風を振り散らせば。マリンピアにしがみ付いて耐えていた個体も限界を迎え、一方通行な空の旅へと次々とご招待。
 しかし、こうして空に浮かべてみると思ったよりも大分数が多い。ぶつかり合ったり風を直に浴びたりした個体は倒せるだろうが、軽く飛んだだけなやつも結構な数。追撃が必要だろうか。
「では、それは私が務めましょう。幸い、数ならばこちらにも、ですので」
 白い指先ひらりひらり。赤い炎がゆうらゆら。【フォックスファイア】にて炙らんとするは絢辻・幽子(幽々・f04449)。作り出したは多いは多いが、『ポゥリン・ミニ』には届かぬ数。はてさてどうするつもりだろう。
「直接当ててはもったいないので……こうしましょう」
 先回りするように地面を這う炎。ここは晴天下の草原。となれば。
 ぽよっぽよっぼぼぼぼぼ!!
 落ちゆく先の草を糧とし、膨れ上がった炎の中へ、数匹まとめて真っ逆さま。なるほどこれなら炎ひとつで敵数を減らせる。膨れど幽子の炎には変わりないので、役目が終われば消すも自在。焼け野原となる心配もない。
 同様にいくつか先行させた炎に任せれば、増加分の処理は恙なく完了するだろう。(これ、もしかして肉食魚の方が脅威で――)
 それ以上いけない。それはとりあえず置いておいて、そろそろ本体も削るべきかと見やれば。
 ぷるるっ……ぷるるっ……。
「……警戒? ……威嚇? なんでしょう、やたら小刻みに震えていますねぇ……」
 自分の分身的なやつの末路を見てしまっているので、たぶん恐怖じゃなかろうか。幽子の炎、まだそこそこ残っているし……。戦意と受け取った幽子が炎全てを合体させ始めれば、震えもますます酷くなってきた。
 ぷるるるるっ……ぷるるるるるるっ……。
「やる気は十分、ですか。また増えても困りますので、ここは一気に」
 業火とまでに猛る炎は、そろそろ震えで残像が見え出しそうな『ポゥリン』へと一直線に――!?
「伸びた? いえ、溶けた……?」
 なんか『ポゥリン』、ぐにょーんとなっている。
 伸びて屈んで炎をやり過ごそうとしたものの、ちょっと避けたけどちょっと当たったらしい。すごく熱かったのだろう、伸びたままびにょんびにょんのたうち回っている。
「ぽよんぽよんではなくなりましたね……」
 ああいうぽよんぽよんなベッドがほしかったのだけど、と独りごちる幽子。びにょんびにょんなベッドじゃあちょっと嫌ですね。
「ふうう……。このマリン、耐えきってみせました!」
 やっと離れ終えた大群に安堵の息をひとつ零して、ならば自分も動く時! 早く倒して酒場へ報告にも行きたいし、噂のエールも一杯飲んでみたいのだ。ものすごく微妙な顔になったマリンピアが未来に見える気がするが、それはそれで楽しい一時になるはず。
「やあああああ!」
 愛用の剣にメイスを構え、まだ伸びっ放しな『ポゥリン』へと斬打の連撃。その手応えは――なんというか、斬ってもくっつくし打っても伸びるだけなトランポリン、のような? 効いているのかどうか判断が大変に難しい。いや、びにょびにょ慌てているので効いてはいるのか、おそらく。
「もっと、こう……大きなダメージを与えるには、勢いが必要なのかもしれませんね。斬るにしろ打つにしろ」
 ふむ、とニレッドは味方と『ポゥリン』との応酬を眺めて。それならば、この身が纏うを追い風とすれば、あるいは? ――試す価値はありそうだ。
「ちょうど首尾よく伸び広がって、風で煽るには好機。思い切り皆さんの方へ飛ばしますので、迎え撃ってくださいな」
「なるほど! このマリンにおまかせください!」
「私は、また更にそこを追撃しましょうか。今度は糸で」
 作戦が決まれば、あとは実行するのみだ。再度地味にじりじりと逃げかけていた『ポゥリン』の前へ、風と共にニレッドが降り立てば。
「では……いーちっ!」
 双刃翻れば暴れ出でる風の奔流に、物干し竿から外れた洗濯物の如く為す術もなく流されて。
「にーいっ! です!」
 渾身の力を込めた聖騎士の斬打に、踏み潰された空き缶の如く体を凹ませ叩き弾かれて。
「さん、と」
 受け止めた赤い繰り糸のネットに、細切れの葛餅の如くばらばら刻んで裁断されて――最後には、積み重なって元のぽよんぽよんへ。
 ダメージはなかった? ――いいや、いいや。
 体を確かめるように跳ねる『ポゥリン』。そのぽよんぽよんさに、僅かな綻びが生じ始めた――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シャルロット・クリスティア
なるほどなるほど。
『凄まじく強大で
恐ろしく頑強で
驚くほどぽよんぽよん』
前情報通りですね!……ですよね?

まぁその、正直言いますと気が引けるところはありますが……。
オブリビオンで、予知にかかってしまった討伐対象であるならば、致し方ありません。
えぇ、討伐させていただきますとも。
いくら無害そうでも!ちょっと抱きかかえてみたさはあっても!はい!

目立たない、地形の利用あたりの技能を用いて、物陰に潜伏。
あの身体ならば衝撃にはかなり強そうですし、氷結弾の狙撃で固めてしまいましょう。
そうすれば、衝撃も通りやすくなるかと。

基本は後方からの援護です。ダメージソースは他の方にお任せしましょう。


煌燥・瑠菜
おお、これが噂のポゥリンですか……出来れば撫でたり触ったり一匹くらい持ち帰ったりしたいですが、ちょっとこの後ストライキ始めたヒュドラ宥めにいかないといけないので……速攻でカタをつけさせて貰いますよ!

まずは手持ちの杖でベシベシと叩きます。見た目的にスライムですし多分そんなに強くないでしょうし?……これでやられてくれないかなーって願望込みですけど。

手応え薄かったり増えたり固まったり伸びたりしてきたら仕方ないのでちょぉっとだけ本気出して【怪力】パワーで……

さっさとくたばれやボケェ!!

と、地面ごと拳で叩き割ってブッ飛ばします。

……ふふっ、ちょっとお淑やかポイントが足りなかったですかね?



●『ポゥリン』、砕ける
「なるほどなるほど」
 確かめ終えたか跳ねるのを止め、今度こそ本当にこちらを警戒するように体をぷるぷるしている『ポゥリン』。シャルロット・クリスティア(マージガンナー・f00330)は手早く情報との照合を行う。
「『凄まじく強大で恐ろしく頑強で驚くほどぽよんぽよん』。前情報通りですね!」
 ぷるぷるぷるぷるっ!
 おお、なんと力強い震え方か。これは強敵に違いない!
「……ですよね?」
 その、最後の情報は、本当に間違いないので……あと、割合打たれ強さはあるようなので……。
 ……とにもかくにも。相手はオブリビオンであり、れっきとした討伐対象。ならばシャルロットの正義の心が揺らぐことなどありはしない。
「えぇ、討伐させていただきますとも。いくら無害そうでも! ちょっと抱きかかえてみたさはあっても! はい!」
 正直気が引けるところはあるし、そういう感じが言葉にも軽く漏れ出しているが、まだ揺らいではいないのだ。セーフセーフ。
 さてさて、何にしてもまずは行動。手持ちの札と、敵の特徴、そして他の猟兵も集まるこの状況を見るに、後方からの援護が妙手となるだろうか。『ポゥリン』の意識が自身から他の猟兵へと移ったタイミングを見計らい、シャルロットは攻めるに易そうな物陰へと、音もなく身を滑らせた。

「おお、これが噂の『ポゥリン』ですか……出来れば撫でたり触ったり一匹くらい持ち帰ったりしたいですが……」
 先に消えた『ポゥリン・ミニ』を思い出し呟きつつも、ぐんぐん接近する煌燥・瑠菜(続き綴る御噺の欠片・f02583)の歩みに迷いはない。だってもっと重要な案件があるし。
「ちょっとこの後ストライキ始めたヒュドラ宥めにいかないといけないので……速攻でカタをつけさせて貰いますよ!」
 あの子の場合って九頭それぞれのご機嫌取らないとダメなのだろうか。
 そんな疑問はさておき。瑠菜はさっそく未だぷるぷるしている『ポゥリン』目がけ、『ディープブルーロッド』、錫杖型ロッドという形をした鈍器を!
 振り下ろす! 振り下ろす! 振り下ろす! ちょっと休憩。
 振り下ろす! 振り下ろす! 振り下ろす! いったん中止。
「…………うーん。さっきまでの攻防を見るに、さすがにこれだけじゃダメっぽいですね」
 ベシンベシンといい音はしていたのだが、なんかこう、弾力のある水風船を殴っているような。当の『ポゥリン』も「いきなりなにするんだ! 効かないけど!」って雰囲気でこっちをキッと睨んでいる。
「仕方ありませんね……ちょぉっとだけ本気出しましょうか」
 鈍器が効かぬなら、次に頼るは――拳、だ。

「やっぱり、衝撃にはかなり強い……」
 どうも予想は正しかったようだ。情勢の推移を見守っていたシャルロットの手には、その時用にと用意していた術式刻印弾。これがあれば、先に見た連携のように、あるいはあの『ポゥリン』にも。さっそく撃ち込み――いや。今挑んでいる人の雰囲気が変わった、これは、大技の気配。
 となれば。
「それが当たる直前が最良の瞬間、ですね。……えぇ、捉えてみせましょう!」
 そうして見つめるシャルロットの碧眼の先で、瑠菜の右手がゆらゆら揺らめき始める。陽炎、ではない。
 闘気だ。溢れんばかりの闘気が集い高まり、揺れているのだ。殴るために使ったとはいえ、ロッドを持っていたから術士系の人かと思ってた。そうかなるほど、そっちな人だったか。
「邪魔や言うとるやろ……」
 闘気の塊と化した右手を振り上げ、力を凝縮、凝縮、凝縮――――破竹。
「さっさとくたばれやボケェ!!」
 誰にも止め切れぬ右の一撃。単純にして力の極地たる破壊の唸りは、瑠菜が放つ【灼煌豪拳撃(シャクコウゴウケンゲキ)】。空気の壁すら砕き抜きつつ、『ポゥリン』のど真ん中へ――。
「――動きを止めるは、今!」
 この機を逃す狙撃手がいようものかと、『エンハンスドライフル』より撃ち出された【術式刻印弾・氷結(ルーンバレット・フリーズ)】。正確に敵を狙い撃つは当たり前。シャルロットの虚を衝く銃弾は、さらにその一歩先をゆく。
 ぷる、るっ!?
 迫り来る破壊から身を捻ろうとした『ポゥリン』のまさに「そこ」を、冷凍弾が貫けば。ぴしり広がる凍結が、回避も防御も奪い去り。瞬間、絶妙な無防備を作り出す。ああ、つまり、あとは。
「オォラァ!!!」
 みしりばきばきどがっしゃぁん!! ぽよんぽよんはどこへやら。盛大な破砕音と氷の欠片、ついでに一緒に砕け散った大地の一部を撒き散らし、『ポゥリン』は見事川の方向へナイスショット!
 どうも転がり落ちる寸前で踏み止まったようだが、シャルロットの目から見ても、与えた被害は相当なものだ。戦果としては上々も上々。援護が綺麗に決まった高揚感も心地良い。喜びを分かち合おうかと瑠菜の方へ――おやなんだろう、何か考え込んでいる。もしかして、自分が見落としている問題でもあるのだろうか?
「……ふふっ、ちょっとお淑やかポイントが足りなかったですかね?」
「………………」
 お淑やかってなんだろう。
 そんな風に思ったシャルロットであったが、口に出さないのが優しさだと悟った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイ・ティー
ふむう。思った通りぽよんぽよんしてますね。
いえ、想像以上…これは負けてられませんね(謎の対抗心)
しかし、なかなかに厄介な能力の持ち主
漬物石になると攻撃が効かないのですか
であれば、漬物石になっていない瞬間を狙うしかありません
となると使うべきはコレでしょう
【尻尾から出るなんかすごいビーム】
電子銃より速射性がいいとか私の体どうなってるんでしょうね
漬物石の間は動けないようなのでその間に近づいて
戻った瞬間に「零距離射撃」でどぎゅううんとぶち抜きましょう
この世のぽよんぽよんを守るためにも!


幻武・極
ついに強敵ポゥリンを発見だね。
いざ、勝負だ。

まずはバトルキャラクターズとの連撃を・・・と、これがぽよんぽよんなのかな?
すごく固くなったみたいだよ。
ボクたちの連撃をすべて防がれているみたいだよ。

なら、さっきの川に沈めたらどうなるのかな?



●『ポゥリン』、穴空く
 ブッ飛んだ『ポゥリン』を追うようにぽよんぽよんと跳ねてきたのは――もう、この時点で言うまでもないような気がするが、アイ・ティー(Indigo・f06537)である。
「ふむう。思った通りぽよんぽよんしてますね」
 裂けて砕けて、少々鈍ってはきたが、それでもまだぽよんぽよんだ。
「いえ、想像以上……これは負けてられませんね」
 そこは負けても良いのですよ。本当に。いや、本当に。
 そんな誰ぞやの呟きも空しく決意を固めるアイへ。同じく『ポゥリン』を追って来た幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)が声をかける。
「挑戦してもいい?」
「あ、どうぞどうぞ。私はもうちょっとぽよんぽよんに思いを馳せるので」
「そっか、分かったよ。じゃあお先に」
 分からないから、分からないで、お願い。
 そんな誰ぞやの悲鳴も空しく『ポゥリン』へ駆け寄る極。まったく迷いがない。今のやり取りのあとで、まったく迷いがない……。
「耐久はなかなかのようだけど、ボクたちの連撃も受け切れるかな?」
 共に戦うは【バトルキャラクターズ】。ゲームから現実へ、虚構から真実へ。抜け出したそれらは極の意を酌むように布陣し、討つべきを取り囲む。
「いざ、勝負だ」
 開戦の勅語は、ここに!
 颯爽と飛び出すバトルキャラクターその1の回し蹴りが、今まさに直撃し――ものすっごく痛そうな音が響いた。ごっ!! とか、がんっ!! とか、そんな感じの音が、その1の脛あたりで。蹲るその1を誰が責められようか。
 続くその2のチョップ、その3の肘打ち、その4の頭突きも同様だった。全員蹲ってる。極も試しにこつこつ軽く叩いてみれば、なるほどこれは頑丈だ。その1たちを合体させても厳しいだろう。
「……これがぽよんぽよんなのかな?」
 どっちかというとガチンガチンだろうか。連撃を仕掛けたいところだが、防がれる……というか、打つ方が怪我をしそうだ、その1~その4みたいに。こんな技を隠していたとは、厄介極まりない。
「むっ! ぽよんぽよんを捨てるとは、もしかして今までのぽよんぽよんは仮初のぽよんぽよん!?」
「かもしれないね。でも、なら、目の前の川に沈めたらどうなるのかな?」
 極、アイとしっかり意思疎通できているのもすごいのだけど、発想もすごい。いやエグいの方が近いかも。
「ほらみんな、サボらずに持って。せーの」
 その5以降と力を合わせて漬物石と化した『ポゥリン』をえっさほいさ。『ポゥリン』も逃げないとヤバいってたぶん分かっているはずだけれど、なぜか固まったまま元に戻らない。
「仮初でぽよんぽよんを名乗るとは笑止千万! 石でなくなった瞬間にぶち抜きましょう、この世のぽよんぽよんを守るためにも!」
 アイが尻尾らしきものをずいっと近付けて構えていた。これのせいか? これのせいだな。なんかよくわからないけど力の波動みたいなものが漏れかけているし。やっぱりこれのせいっぽい。
「牽制助かるよ。じゃあもう一度、せーの」
 どっぱあああぁぁん……! 極たちに放り投げられた『ポゥリン』が沈む、沈む。その表情にどこか哀愁を漂わせながら、川底へと。まぁまぁ水が澄んでいるのと、さして深くはないおかげで、視認はまだできている。さて、いつまでもつかな。
(じーーーーーーっ……)
 アイの尻尾は変わらずロックオンし続けている。ここは我慢比べだ。先に構えを解いた方が負けるのだ。
「ぽよんぽよんで負けるわけにはいきませんからね」
 そこは負けていいんですって。本当に。本当だから。
「そうだね、やるからには勝たないと」
 適当に返さないで、深みに嵌まるから、お願い。

 ――数分後。
「む?」
 アイの視線(目がどこに以下略)の先、『ポゥリン』から気泡がごぼり。ははぁ、息がもう限界だな? なるほどなるほど。
 尻尾の先になんかよくわからない力が集まってゆく。
「あ、浮き上がって来るね。もう数秒くらいかな」
 ……3、2、1――どっぱあああぁぁん……!
 涙目で浮上した『ポゥリン』へと、即座に突き付けられたアイの尻尾。これは怒りだ! 制裁だ! すべてのぽよんぽよんの嘆きを思い知れ! おそらくそういった感じの想いを込めて、アイの攻撃が今、炸裂する!
「ただし、ビームは尻尾から出る」
 ちょっと目で追えない速度で撃ち出されたなんというか、なにかのエネルギー? が、へばり切った『ポゥリン』に零距離から風穴を空けた! ……確かになんかすごいけど、結局なんなんだその【尻尾から出るなんかすごいビーム】って。
 よくわからないけど、とにかく『ポゥリン』にダメージを刻み込むことには成功した模様。ビームもそうだけど、沈められたのも結構効いたようだ。流されて溺れるのだけはなんとか回避しようと一生懸命岸へ向かってはいるけれど、傍目にもぐったりしてる。
「ふぅ……電子銃より速射性がいいとか私の体どうなってるんでしょうね」
 どうなっているんだろうね。知りたいような、怖いような……怖いな、触れないでおこう。
「どうなんだろうね。この依頼が終わったらどこか研究所とかで調べてみる?」
 触れないでおこう!!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

小宮・あき
「久しぶりね、可愛いポゥリン!そのぽよんぽよん、健在で何よりです」
宿敵ポゥリンに会えた嬉しさに目をキラキラ。オブリビオンなので倒さねばいけないのは判っているのですが、それでもやはり可愛いものは可愛い。さすが私の宿敵ですね、どやぁ。

狙うは【伸びる】時。
体積が増えてないので、ただ薄く伸びるだけ、なんですよね。後衛に陣取る私からしたら、的が増えて、むしろ楽になってます。高速で動く場合も、ジャッジメント・クルセイド…光の柱の前ではあまり意味をなさないでしょう。

「次は、洞窟とか、誰にも迷惑にならない場所に生まれなさいね」
敵対行動はあまりとらない生物ですしね。
聖者として、出来るなら殺生は避けたいところ。


高野・エドワード
オーナーちゃん【小宮・あき】と行動するよ

あれがポゥリン…!成程ぽよんぽよんだね!中々可愛いじゃないか!!倒すなんて正直気が引けるけど、オブリビオンだっていうなら仕方がないかな…。

ふむふむ、OK。宿敵なだけあってポゥリンについては詳しいね。オーナーちゃんが【伸びる】時を狙うというなら僕はそれを誘発させられないか試してみよう。
飛んで近づいたり、距離を取ったりして気を引きつつ【全力魔法・高速詠唱・属性攻撃】を乗せて『瑠璃花弁の嵐』を使用するよ。

あぁでも、他に前衛がいて気を引いてくれているなら無理はせず飛んだまま後衛から援護していようかな。攻撃されたら【空中戦・第六感・オーラ防御】を活用して避けたい。



●『ポゥリン』、昇る
「久しぶりね、可愛い『ポゥリン』! そのぽよんぽよん、健在で……」
 小宮・あき(人間の聖者・f03848)の前には、ほうほうの体で川から上がったばかりの『ポゥリン』。それでも宿敵たるを目にしたからか、それまでよりも気合いを入れたように跳ね始めた。
 ぽよんぽよんっ! ぽよんぽよんっ!!
「健在、で……何よりです!」
 いじらしささえ感じるその姿に、応えなければと力強く返すあき。会えて嬉しい、やっぱり可愛いすごく可愛い。思わず目がキラキラしてしまうほど。それでも敵は敵だなんて、残酷な話だとも思う。けれど、『ポゥリン』は懸命に訴えている。懸命に跳ねている。猟兵とオブリビオンの在り方を、宿敵という関係を、示すように必死で。
「あれが『ポゥリン』……! 成程ぽよんぽよんだね! 中々可愛いじゃないか!! 倒すなんて正直気が引けるけど……」
 高野・エドワード(愛のガチ勢・f00193)の目にも、精一杯な『ポゥリン』が映る。生き残りたい、逃げたい、もちろんそれも感じ取れるが……何よりも、「相容れない」。ボロボロになって尚そう主張する、種としての強い信念。ならば、こちらも相応に返さなければ。過去を討つ者として、今を生きる者として、未来へ続く者として――それが、礼儀なのだと。
「……オブリビオンだっていうなら仕方がないかな」
「はい! 『ポゥリン』も、これは起こるべくして起こった戦いだと、きちんと分かっているようです。さすが私の宿敵ですね!」
 どやるあきに、笑むエドワード。ああ、いつも通りに戦おう。特別だけど、特別でない。特別でないけど、やっぱり特別なのだ。きっとこれは、そういうもの。
 長閑で、些細で。されど崇高な決戦へ、いざ――!
 ――の前に、まずは作戦会議から。あきの持つ情報とこれまでの戦いの様子を鑑み、確実な結果へと繋がる一手を模索する。
「さてさて。それでどう動こうか、オーナーちゃん」
「そうですねー……あ、では私は『ポゥリン』が伸びた時を狙ってみます」
 あき曰く、伸びた状態は体積も増えておらず、ただ薄くなっているのみ、とのこと。実際に一度伸びたが、確かにその時も薄く広がっただけのように見えた。弾力性はそのままだとしても、物理的でない攻撃ならば……。
「的が増えて、むしろ楽になりますからね!」
「ふむふむ、OK。さすが、宿敵なだけあって『ポゥリン』について詳しいね。オーナーちゃんが伸びる時を狙うなら、僕はそれを誘発させられないか試してみよう」
「わ、助かります! ありがとうエディさん!」
 無事に算段もついたところで、改めて。
 決戦へ、いざ――!

 ぽよんぽよんっ! ぽよんぽよんっ!!
 跳ね続ける『ポゥリン』を相手取るは、空を飛び回るエドワード。あきと共に後衛から仕掛けるべきかとも思ったが、今までの様子から『ポゥリン』には攻撃と言える攻撃がないようだ。強いて言えば『ポゥリン・ミニ』を放つことだが、エドワードのユーベルコードとの相性を考えれば……。
(もし使われても、問題なく対処できる。それなら今は気を引いて、隙を窺おう)
 ぎりぎり『ポゥリン』が跳ねても届かない位置をキープしていると、あちらも気が急いできたらしい。来ないのならこっちから、とは当然ならず。来ないのなら逃げてやろうと後ろへ跳ねて――段差に引っかかって転がった。隙は隙だけど、やっぱりどうも良心が……。
「と、そうも言っていられないよね。――青き愛の洗礼をその身に刻め」
 舞い散る青の名は。瑠璃唐綿、鋭い花弁、あるいは、青き星。【瑠璃花弁の嵐(ブルースター・テンペスト)】の渦中にて、エドワードは青に刻まれ染まる『ポゥリン』を見つめる。即断即決で紡いだ全力全開の嵐に揉まれているのだ、すぐにでも抜け出そうとするだろう。攻撃範囲の広い技ではあるが、効果範囲はある程度まで、なのだから。ゆえに。
「――そこです! 『ポゥリン』!」
 速さを求め伸びて這い出た『ポゥリン』へ、天より注ぐ光の柱。【ジャッジメント・クルセイド】――あきの指先は、その瞬間を逃さなかった。柔らかな戦いに決着を。可愛らしい因縁に終着を。こうして出会えたあなたへと想う、せめてもの祝着を。
 ぷるり、ぷるり。意識が天へと昇るにつれて次第に治まる『ポゥリン』の震えは、しかし痛みではない。恐怖でもない。ただ、還っていくのだ。ずっと眠っていたはずの場所。在るべきところへ、もう一度。
「次は、洞窟とか、誰にも迷惑にならない場所に生まれなさいね」
 過去からでなく、未来のいつかに。そうすれば、きっと。誰かに討たれることもなく、誰かを脅かすこともなく、穏やかに生きてゆけるから。
「――さようなら、『ポゥリン』! 私の可愛い宿敵!」
 ひらり、晴天から草原へと降る青い星。花言葉は「幸福な愛」、「信じあう心」。
 猟兵とオブリビオン。通じることはできなくとも、争いを避けることはできなくとも、信じることはできるかもしれない。あきの『ポゥリン』を想う心もきっと伝わったのだと、そう信じることは――。



●そうして
 依頼を終えた猟兵たちは、思い思いに動き出す。
 成功を喜ぶ、『ポゥリン』を悼む、あるいは祝福を祈る。
 ぽよんぽよんする、酒場へと報告に、あるいはいまいちなエールを一杯頼みに向かう。
 何れにしても、小さな物語はこれにて終了だ。
 誰かがふと空を見上げれば、やっぱり晴天が照らしてくれていた。――きっと明日も、気持ち良く晴れることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月01日
宿敵 『ポゥリン』 を撃破!


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#アックス&ウィザーズ


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


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 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は小宮・あきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト