#UDCアース
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暗く、広い空間がある。空間の中、光源は小さなランプのみであり、その規則正しい配置から空間が30メートル四方ほどの広さを持った屋内だということが分かる。
部屋の中央、そこに複数の人影があった。円を描いて立つその姿は皆同じローブを着た男達であり、声を揃え、何事かを呟いている。
「――」
一人が呟きの最後に杖で板張りの床を打った。その瞬間、彼らの身体が徐々に光に照らされてていく。ランプの微光によってではない。彼らの中央、床に描かれた魔法陣からだ。
魔法陣からまず生じたのは光を伴う魔力の奔流だ。荒れ狂う波のようなそれは、時間が経つにつれ次第に勢いを弱め、陣の中央に過去からの存在を現出させる。
それは、石造りの椅子だ。腰掛けているのは深緑色の長衣姿で、よく見れば、周囲を囲むローブ姿と同じ意匠が見て取れる。
「――」
息遣いのような音が聞こえる。長衣からかと思えば、しかし、声の源として有る筈のものが無い。椅子の上、そこにある姿は首より上が、椅子の背にめり込んでいるのだ。袖や裾から見える手脚の皮膚はしわがれている。
「――汝」
周囲を打つように低い声が響くのと同時、長衣が動き出す。爪を立てた右手は手すりを削り、左手はなにかを渇望するように前に突き出され、両足はがむしゃらに振り回されている。
苦しそうな、狂ったような、そんな動きを見せるローブ姿に反し、声は穏やかだ。
「――”汝、死を恐れることなかれ”」
第三の光源が周囲を照らす。ローブ姿の頭上、背もたれにある人面太陽のレリーフからの光だ。
「嗚呼! 嗚呼! 無限無尽光様……!」
声に歓喜した男達が平伏し、恍惚とした表情を浮かべたかと思えば、それだけだ。
男たちはもはや動かなくなり、残るのは椅子と、
「――汝、汝は、汝は何処か」
声と共に奔流が室内を駆け巡る。追加召喚される姿は少女で、統一された服装を身に纏い、木製ストックの自動小銃を肩に下げていた。
「――汝、汝を此処に」
少女たちが小銃を手に構え、出口へ進んでいく。
主の願いを果たしに行くのだ。
●
猟兵たちの拠点、グリモアベースに一つの声が聞こえる。
「皆さん、出撃ですわっ」
ベースに響くのは、グリモア猟兵であるフォルティナ・シエロによるものだ。
「UDCアースで邪神教団の居場所を突き止めることに成功しましたのっ!」
息を切らした様子で言葉を送る自分に気付いたのか、はっとし、表情を硬くする。
「猟兵の皆さんには、この拠点を制圧してもらいたいんですの」
身振り手振りを交えながら、彼女は集まった猟兵たちに言葉を送る。
「現場の現状を説明しますわ。教団は山奥の廃校を不法占拠し、自身らの命を代償に邪神、”無限無尽光”の召喚に成功させましたわ」
しかし、と言葉は続く。
「”無限無尽光”がどういった邪神か詳細は分かりませんが、どうやらそれ以上の命を求めているようですわ。配下として別のオブリビオンを召喚し、自らの目的を果たそうとしてますの」
フォルティナは眉を立て猟兵を見回す。
「なので、皆さんにはまず配下のオブリビオンである、”武装少女”たちを撃破してもらいますわ」
猟兵たちの顔を見回しながら、”武装少女”たちの攻撃手段はこうですの、とフォルティナは指を立てる。
「一つ目は、ショットガンによる射撃ですの。散弾といえど命中率も強化できるので要注意ですわ」
「二つ目は、機銃を召喚し、あたり一面に弾幕を張りますわ。接近は難しそうですわね……」
「三つ目は、援軍を要請し、それらが銃剣やナイフで攻撃してきますの。周接近しても周囲に要注意ですわね」
指を立てた手は降ろさず、指を全て開き、光を生み出す。
オレンジ色の光はグリモアだ。
「事件の現場である廃校の近くまではグリモア猟兵である私の能力で、テレポートし、皆さんを召喚しますわ」
「おそらく敵は廃校を要塞化し、あらゆる教室や廊下などに見張りを配置し、接近することすらも容易ではないと思いますわ。
外から突入するか、何らかの方法で内部に潜入するかはお任せしますの」
しかし、と付け加える。
「UDCアースで私達を援助してくれるUDC組織が廃校現場を調査したいようですわ。ですので校舎や敷地内を致命的に破壊するのは推奨できませんわね……」
「それと、校舎屋上には廃校前の園芸部が運営していた、空中庭園があり、その見事さは廃校後にも失われてないようですの。UDC組織が調査を終えるまでそこで一息休憩を入れて下さいまし」
猟兵たち一人ひとりの顔を確認しながら、フォルティナは言葉を続ける。
「転移後は危険が予想される場所ですの。何があってもおかしくありませんわ。情報収集が済んでも用心してくださいまし」
全員の顔を見渡すと、フォルティナは眉を立て、口角を上げた。
「皆さんならできますの! 私はそう信じていますわ!」
シミレ
シミレと申します。TW6から初めてマスターをします。
今OPで7作目です。UDCアースは初めてです。
不慣れなところもあると思いますがよろしくお願いいたします。
●目的
今回は邪神教団のアジトを制圧し、中心となっている邪神オブリビオンと、その配下を撃破してください。
●説明
一章は集団戦で、”武装少女”が銃火器と召喚、そして多数で襲ってきます。
二章はボス戦で、”無限無尽光”が説法や光線、暖かな光で攻撃してきます。
三章は日常で、教団が占拠していた廃校屋上に残っていた空中庭園で、戦いの疲れを癒してください。ティーパーティするも良し、屋上のフェンスにもたれかかってこれからのことを思うも良しです。
●他
皆さんの活発な相談やプレイングを待ってます!!(←毎回これ言ってますが、私からは相談見れないです。ですので、なおのこと好き勝手に相談してください)
第1章 集団戦
『武装少女』
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POW : 攻撃を開始します
【ショットガンによる銃撃】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 機銃掃射を開始します
【召喚した機関銃から一斉に銃撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 援軍を要請します
【近代的な装備の兵隊】の霊を召喚する。これは【銃剣】や【ナイフ】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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山奥、そこに廃村がある。人口の過疎化が進み、もはやその役割を維持できなくなった集落だ。
人がいないはずのそこに、静かな動きがあった。
学校。校舎と体育館の組み合わせの建物やその周囲には少女達がいる。少女達は、皆統一された服装であり、肩に下げた火器も同じだ。動作も規則正しい。校舎内部、ガラスが失われて久しい教室の影に身をひそめ、窓から周囲を見張っている。全ての地点から安全を確認すると、無線機で連絡を取り合い、校舎昇降口の扉が僅かに開く。
「――」
出てくるのはやはり少女達だ。彼女達は校舎内部の少女達とは違い、ライフルやショットガンといった長物を装備していない。しかし、制服の各所が僅かに膨らんでいることから、その内部に拳銃やナイフを隠し持っていることが分かる。
周囲を伺い、順次、少女達が校舎内から出てくる。向かう先は正門だ。その先には道が続いており、他の町へと続いている。
「――任務を開始します」
別働隊としての少女達が、校舎を離れていく。
ニトロ・トリニィ
おや? あれが話に出てきた武装少女かな?…確か、学校に立て籠もっているはずじゃなかったかな?
何でこんな所にいるんだろう?
もしかして別働隊的なやつかな?
…よく分かんないけど、戦うしか無いようだね!
【行動】
〈地形の利用/目立たない/忍び足〉を活用して物陰から軽機関銃【rosé】で攻撃するよ!
《念動力》と〈支援射撃/クイックドロウ/念動力/範囲攻撃〉を使って、物陰に隠れた敵も攻撃出来るように… なるかな?
敵の攻撃は、〈盾受け/オーラ防御/激痛耐性/カウンター〉を使って防ぐよ!
もし接近戦になったら、ククリナイフと〈2回攻撃/なぎ払い〉を使って対処してみるよ!
アドリブ・協力歓迎です!
●
別働隊の”武装少女”達は、行動を開始していた。向かうのは正門、その先にある町に向けてだ。
”無限無尽光”様の元に、人間を連れてこなければ……。
主はオブリビオンとなったことで、想いを一層強くしている。救済の想いだ。そのため、その救済の対象を強く求めている。
連行の手段は様々だ。主の救済を受けるためには、実際に連れて来て、主の説法等を与えるのが一番であり、主も望むところだ。
しかし、もしもの場合は我々が救済します……。
主は自分達が持つ、”効率的な道具”を高く評価している。
「――」
次の瞬間、”武装少女”達は散開した。空気を割るような音の後、集団の何人かが倒れ伏したからだ。
襲撃だ。
●
ニトロは正門の影から窺いながら、思う。おかしい、と
……確か、学校に立て籠もっているはずじゃなかったかな?
”武装少女”達のことだ。彼女達は学校に立て籠り、要塞化しているはずだ。視線を動かし、校舎の方を見れば、窓の向こうで急ぎの動きが見える。
「でも、校舎にもちゃんといる……。別働隊ってやつかな」
目的は何だろうか。要塞周囲の巡警か、それとも別の何かか。
「よく分かんないけど、戦うしか無いようだね……!」
言葉と共に、正門の影から飛び出す。向かう先は次の遮蔽物の影で、動きと同時に構えるのは軽機関銃”rose”だ。
「――!」
上半身を捻り、側方の並木に向かって引き金を絞り、5.56mmによる掃射を送った。轟音と閃光が規則的に続き、
「隠れても無駄だよ!」
念動力で操作された銃弾が木の幹を迂回した。陰に隠れた敵が吹き飛ぶ。
「おっと!」
敵の反撃だ。音はこちらに比べ軽く、ハンドガンによるものだと分かる。飛来する銃弾に対し、こちらは手に嵌めた指輪を前方に構え半円状の光盾を出力させる。
「っ……!」
殆どの銃弾は盾で防ぎ、漏れた数発が身を削るが、耐える。機関銃による掃射を送る自分だが、目立たないよう影に姿を浸すことで身体の輪郭が捕え辛く、敵の狙いは致命ではない。
「このっ……!」
片手で”rose”を構え、応射を返す。弾幕の先、拳銃でこちらに射撃を寄こしていた複数の敵が倒れるが、残った最後の一体が突撃してくるのが見えた。
「銃撃で固めて、接近戦狙いか……!」
急ぎ、”rose”から接近戦用のククリナイフに持ち替える。盾を前面に押し出し、身体ごと押し込むようにナイフを突き出してきた敵の刺突を防ぐ。
「――!」
沈むような感触が互いの間で生じる中、二連の動きで相手の腕、そして胴体を払う様に薙いだ。
成功
🔵🔵🔴
虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞ
ほほう、太陽マンみたいな邪神かな
まずはガール達のお相手だね
いっちょ戯れるかー
技能:捨て身の一撃を駆使したジバクモードを使用し自爆します
敵が2体以上ジバクモードの範囲内に入ると同時に自爆するだけのとてもシンプルな戦法
相手はそうそう近づいてこないかもだから
ちょっと無理してでも敵が自爆範囲内に入るまで近づいてみるかな
攻撃対象は範囲内の全ての敵
もし仲間と連携するなら仲間の攻撃と同時にダッシュで敵に近づき
なるべく多く自爆に巻き込めるようにするね
自爆してボロボロになるから
敵からの攻撃は気にせずくらっておくよ
自爆後は適当にその辺りに転がしておいてください
”武装少女”達は急ぎ、現場に向かっていた。目的地は学校正門、先程銃声が鳴った場所だ。
敵襲……!
窓や扉から校舎外に飛び出し、正門前の並木道にたどり着く。そうして、周囲の様子を探ろうとした時それが見えた。
それは、黒い粘体だった。直立し、こちらにその体で文字を表している。
うつろぎ……?
怪訝に思っていると、文字がそのサイズを増した。
「――!?」
ダッシュでこちらに近づいてくるのだ。
●
いっちょ戯れるかー、って思ってたけど、結構反撃が激しいな……。
うつろぎは走る最中、敵の対応を見る。
視界の先、複数の敵が構えるのは自動小銃だ。こちらに銃口を向け、
「――!」
同時というタイミングで全員が射撃を送ってきた。
弾丸が無数に飛来し、こちらの体を削っていくが構わず、突撃していく。
「無理は承知の上だよ……!」
こちらの行動の異質さに気づいた敵が、その表情を怪訝から驚愕に変える。
「――遅い」
直後、光が生まれた。
「ゴッドうつろぎアタック……」
光は自身から放射状に広がり、その輝きを次第に増していく。
「神風となり……。HPは1になる……!」
輝きが最高潮に達したとき、光はその蓄えた莫大な熱量を一斉に開放し、大気や地表、並木、離れた位置にある正門すらも、突風と圧力によって全て等しく打撃した
「――!?」
至近にいた敵は光と音によって知覚を破壊され、事態の把握を得ぬままにその身を焼かれた。離れたところにいた敵は、急ぎ退避しようとするが、爆心地から高速で飛来する土砂や並木に押し潰される。
半径約三十メートル。それだけの範囲が抉り取られ、爆心地から加圧された大気に乗って全方位に舞い上がる。
爆発によって吹き飛んだ大気を補う様に、周囲から爆心地めがけて砂塵を伴った空気が一斉に流れ込み、衝突しあう。衝突は互いの位置を不規則に変位させ、爆心地が砂埃に覆われた。
「――」
何もかもが視認できない中、風が全てを掃うように吹いた。そこに広がっているのは、爆砕の跡だ。
地表は抉られ、並木は軒並み倒れ、折れ、正門は瓦礫の山と貸し、複数のオブリビオンが倒れ伏し、次第にその姿を黒い霧と変えていく。
そして爆心地に残るのは、
「――」
その姿を不確かにした粘体だ。微かに震えている。
「う、撃て! 息の根を止めろ!」
残った”武装少女”たちが、痛みと衝撃に震える身体を起こし、再度の射撃を送って来る。
弾丸が爆心地を穿ち、標的を浮き上がらせる。
射撃の衝撃と風によって、粘体が転がっていった。
成功
🔵🔵🔴
明石・真多子
旅団【芋煮艇】のみんなと一緒に出撃!
ふむふむなるほど。つまり屋内への潜入と暗殺ってわけだね!
そういうことなら軟体魔忍のアタシにお任せあれ!
不意を打つ『暗殺』ならニンジャの本領発揮しちゃうよ!
あやちゃんの歌を聞いたらなんだか力も湧いてきたし、今日はフルパワーだ!
まずは不意を打つために[タコの保護色能力]による『迷彩』で天井や壁に溶け込むよ。
そのまま[吸盤ボディ]で天井や壁に『クライミング』しながら幽霊をやり過ごして進もう!
本体の武装少女を見つけたらタコスミケンで『先制攻撃』の奇襲!
アタシの位置がバレても【軟体忍法墨潜りの術】で逆に武装少女に接近してまとめて『なぎ払い』で転ばせよう!
みんな今だよ!
数宮・多喜
◎
(【芋煮艇】のメンバーと連携)
廃校ねぇ。なるべく建物に被害出すなって話だけど、
少しは利用してもいいよな?
……さすがにカブは使わねぇよ。
突入と同時に、
あやちゃんの歌の支援を受けながら
校舎内の電気配線を伝わらせるように
【サイキックブラスト】をぶっ放す。
そうすりゃ広範囲で放電現象が多発して、
いい感じの『目潰し』になるだろ?
その間に敵陣へ『ダッシュ』で間合いを詰めて
『グラップル』で制圧を図るよ。
『属性攻撃』も込めて痺れさせようじゃねぇの。
もちろん【サイキックブラスト】は敵陣内でも放ちまくるよ!
『援護射撃』って理由もあるけど、
本命は囮として攻撃を『おびき寄せ』る方だからね!
エドゥアルト・ルーデル
旅団【芋煮艇】で参加
近代武装した女子高生ってのも乙なもんでござるねぇうんうん
内部に侵入と同時にライフル構えて警戒、適時交戦しつつ敵を索敵ですぞ
もし敵が【兵隊の霊】を召喚してきたタイミングでこちらも【爆撃機】を召喚して対抗でござる
近代戦が出来るなら制空権を取られた兵隊がどうなるかわかるだろ?
つー訳で航空支援の時間だオラァ!遮蔽物に隠れているなら遮蔽物ごと【吹き飛ばし】、開けた場所なら【なぎ払い】ますぞ
後方の召喚主達にも爆撃の閃光や爆風で【恐怖を与える】、【マヒ攻撃】効果を狙うでござるよ
天道氏の歌を聞きながら飛行機飛ばす…いいねぇこいつぁ○クロスでござるな!
天道・あや
山奥の廃校で儀式とか、うーんホラー映画みたいだなぁ…ゆ、幽霊とか出ないよね?…っと!いけない!今はUDC退治に集中集中!明石さん(f00079)数宮さん(f03004)そしておっさん(f10354)の【芋煮艇】の皆と校舎に突入!
WIZ
【サウンドオブパワー】で皆をパワーアップ!そしてその後は【ダッシュ】で近付いて【想いの乗った重い一撃セカンド!どっかーーん!】で攻撃!その後は敵の武装少女や相手が召喚した霊の攻撃を【見切り】ながら【グラップル攻撃】で相手の武器を使わせないように腕を掴んだりする!
そういえば……む、無限無尽光…だっけ?どんなUDCか分からないけど皆と一緒にどっかーんとやっつける
●
「――敵襲です! 総員、備えなさい!」
校舎内にいた”武装少女”達は確信した。銃声と先ほどの爆発、敵がこの拠点に来ているのだ。
全員が急ぎ配置に着き、迎撃の準備を確かにしていく。
『敵です! 昇降口から来ます!』
窓の近くに配置した部隊が、通信を寄こしてくる。
『数は四。――猟兵です!』
本能で敵と知る相手を警戒する声は急ぎだ。
「総員、一階で敵を――」
迎撃せよ、という言葉は続かなかった。周囲に違和を感じたからだ。聴覚、その感覚器が自身の意識に警告を報せる。
音……?
棄てられた建物の中、音が反響して届いてくる。
●
あや達は突入の最中にいた。先頭を歩き、昇降口の扉を開いているのはエドゥアルトだ。ライフルを構え、数発の射撃音で安全を確保した後、歩みを進めていくが、頭と肩の高さがブレることなく常に一定で、射線を保持している。
そうして、彼に続いて入っていくのは真多子だ。突入後、すぐに吸盤で壁に張り付き、その姿を周囲に同化させていく。もはや周囲との境が判別しづらくなるころには、触手と吸盤によって壁や天井を張って進んでいる。
それら二人の後ろに多喜と共に続き、周囲を警戒する。
山奥の廃校で儀式とか、ホラー映画みたいだなぁ……。
幽霊とか出ないだろうかと、そう脳裏で思いながら、自分も自分の役割を全うする。
腕の中、構えるのはくびれを持った弦楽器だ。
「――」
弦の数は六。ギターだ。サウンドウェポンであるそれが音を生み出していく。空気を震わせる音が連続し、音階を刻めばそれは曲となる。
「――」
周囲の壁を反響機材として音の波を増幅させていく。
窓が割れてるのが、片手落ちだね……!
せっかくの音がそこから逃げていき、”圧”が下がる。なので、
「――!」
声を合流させた。声は全力で、腹の底からだ。窓の向こう、向かいの校舎の壁にギターの音と声がぶつかる。
コの字に建てられた校舎間で音が反響し合い、上空に抜けていった。
「――!」
曲調は軽く、明るい。自分達はこれから敵を打倒し、その相手は邪神と兵士なのだ。重々しいのは間に合っている。それ故、選ぶ楽器もギターだ。
ギターはベースより音が軽く、メロディを作りやすい。機材の乏しい中で歌声と合わせるならやはりこちらだ。
ダウナーよりアッパー、そういう気持ちでいく。
「――」
弦を掻き鳴らし、歌声を乗せる中に別の音が混じった。足音だ。上階から慌てた動きが聞こえる。
「敵が――」
来るよ。という多喜の声は続かなかった。言葉より先にそれが来たからだ。廊下の先、階段から降りてきたのではない。
「床!?」
床から生じる姿は銃剣を構え、自分を狙っている。僅かに光る身体は、霊体の証だ。
「出ちゃったよ幽霊……!」
「――!」
突撃してきた。
突然の奇襲だが、しかしうろたえず、こちらからも、行く。左手でギターのネックを握って押さえ、足下、靴の車輪がリノリウムの上を高速で駆けていく。そうすれば銃剣がもはや目の前だが、すんでのところで見切って躱す。
「これがあたしの想い! 受け取ってね!」
快音が鳴った。打撃音だ。
それを合図に、皆が動き出す。
●
戦闘が開始された。敵の攻撃手段は単純だ。
「霊体任せの物量戦か……!」
多喜は、皆と共に空いた教室に飛び込みながら、周囲の状態を確認する。
「廊下の右からも左からもどんどんやって来るでござるよー! ああっ! 窓に、窓に!」
戸の影からライフルを突き出しながら叫んでいるのはエドゥアルトだ。
「これ、召喚してるのを倒さないとキリないでござるよ!」
「だったら!」
なるべく建物に被害出すなって話だけど……。
目を走らせる先は戸の近く、そこにあるのは教室の照明スイッチだ。
「少しは利用してもいいよな? ――皆、しゃがんで!」
言葉と共に、拳でスイッチを殴る。歪曲した外枠から覗くのは電気配線だ。そこに手を添え、
「せーのっ!」
掌から一気に電気を放った。あやの歌で加圧された高圧電流は、瞬時に校内中の配線を巡り、その末端から姿を現出させる。
「――!!」
視界が強烈な白で覆われた。天井灯から光が迸り、照明スイッチは弾け飛び、コンセントからは火花が散ったのだ。それら全てが同時に生じ、爆音と雷光が校内の至る場所を支配した。
「今だ!」
教室から飛び出し、駆ける。雷の衝撃で廊下の幽霊はその数を随分と減らしている。残った数体を避けながら向かう先は廊下の端、そこにいるのは召喚主である”武装少女”達だ。先ほどの攻撃で目をくらました敵が、こちらの足音を頼りに盲射を行う。
「おっと!」
慌てて身を屈め、その勢いで相手の足元へタックルを敢行する。地面に叩きつけ、
「おらよっと!」
こちらへ繰り出してきたナイフを横に捌く。捌いた腕は横に向き、
「もう一丁!」
敵が持つナイフを導線に再度の電撃を放った。放射は近くにいた”武装少女”を直撃し、吹き飛ばす。
「そら、そら、そらそらそらそら! どんどん行くよー!」
両手を振り回し、電撃をもはや鞭のように縦横無尽に送っていく。
すると、場に変化が生じる。変化は至近だ。横、階段を駆け降りてくる足音が聞こえる。
増援……!
最後に両手を一つ振ると、後退し、すぐに踵を返す。
来た道を引き返し、撤退するのだ。
●
「追え! 逃がすな!」
”武装少女”達が追うのは猟兵だ。こちらに背を向け、来た廊下を急いで引き返して行く。廊下は直線で、教室に隠れた猟兵の援護射撃も、同士撃ちを恐れて散発的だ。
「――撃て!」
廊下に銃を突き出し、その引き金を引こうとした瞬間、それが起こった。
「――!?」
小銃が切断されたのだ。上から下へ、高速の何かが飛来しバレル部分を断ち切った。切断面は鋭利で、それが鋭い刃物によるものだということが分かる。
足元で何かが飛沫く音が聞こえた。何かと視線を向けてみれば、それは黒い液体だった。
「墨……!?」
●
屋内への潜入に暗殺……!
つまりは軟体魔忍である自分の出番だと、真多子はそう思う。自分は今まで天井や壁に吸盤で張り付き、身体を擬態させ、外から迂回してくる敵や、窓の外、向かいの校舎から射撃を寄こしてくる敵の排除に腐心していた。
なんせ、窓ガラス殆ど無いからねー……。
開放感が高潮で、個人的には落ち着かないというか、ここには住みたくないな……。というのが感想だ。蛸だからね。
しかし吸盤で三次元的に動けると言えども、敵の攻撃に合わせて一々現場まで向かっていたら、身がいくつあっても足りない。
ならばどうするか、
飛び道具だよ……!
触手に蛸墨を蓄え、腕力任せで投げる。筋肉の塊であることを利用した投擲だ。特に今はあやの歌の影響で威力、精度、速度、それら全てが十二分だ。空中を走った蛸墨は、離れた位置にいる敵を次々に無力化していった。
そうしていると多喜から合図が来たので、一旦校舎外へ退避。雷光が治まるのを待ち、廊下を突撃してく多喜に合わせ、自分も校舎壁をクライミングしながら、霊体の兵隊達をやり過ごし、そして今だ。
多喜を攻撃することを最優先とした敵は、増援と共に一個として固まり、反撃が来ることを予想していない。なので、複数の触手を用いて先制の攻撃を加えた。そして、攻撃を受けた相手が次に行うのは、
退避と反撃だよ……!
その通りのことが起こった。”武装少女”達が後方や横に飛び退りながら、文字通り”短”機関銃となった武器をこちらがいる天井に向け、フルオートで放ったのだ。
「――!!」
不足したバレル長によって燃焼は不完全で、初速は先ほどより落ちているがこちらを殺傷するには十分だ。
「っ!」
正確な位置は掴めてないのだろうが、銃弾の数が数だ。弾幕が到達するより先に触手の吸盤を緩め、床へ”移動”する。落下でもなく、クライミングでもなく、その位置を瞬時に変位させたのだ。
床の墨溜まり、そこからまるで生えるようにその身を移す。そうして、水泳プールから上がるように、身体を抜き出し、天井を見ている敵の顔を下から打ち上げた。
「――!?」
”軟体忍法タコ揚げの術”。複数の触腕を束ねた一撃によって、敵が浮き上がる。仲間が不可視の何かに打撃されたように見える周囲の敵が、驚愕と混乱をその顔に映すが、すぐに同士撃ち上等の射撃を送ろうとする。
「遅いよ!」
すぐに屈み、腕を拡げる。自分がいる場所は階段手前、少し広くなった場所だ。それ故、敵が密集しており、
「暴れるのには最適の場所だね。――”軟体忍法旋風大タコ巻きの術”!」
暴風が、敵陣の中をなぎ払った。
●
近代武装した女子高生ってのも乙なもんでござるねぇ……。
うんうんと、頷きながらエドゥアルトは廊下の奥を見ていた。たった今、真多子が召喚主たる”武装少女”達の無力化に成功した。
しかし、
「どんどん出てくるでござるなぁー……」
霊体だ。廊下の端から来る分には他の仲間や、自分がライフルなどで対応できるが、問題は窓の外だ。コの字に建てられた校舎の内側、その中庭部分を突っ切ってこちらへやって来る。
「手が足りねぇでござるよ……!」
だから援軍を要請した。
●
”武装少女”は確信していた。この戦闘に勝てる、と。
敵は強力で、こちらに痛手を与えているのは事実だが、少数だ。
このまま戦闘を続けていれば、いつか疲弊が襲います……。
生命体の埒外である存在といえども、長時間戦闘を継続していれば体力や精神力に影響が出るだろう。反面、こちらは多量で相対しており、召喚する霊体も合わせれば無数という数だ。
「戦闘を続行! 無数によって無限の間攻め続ければ、敵はやがて瓦解します!」
小隊全員で霊体を召喚する。召喚された霊体は窓を貫通し、中庭を進んでいく。
「救済と勝利を”無限無尽――」
掲げる声に別の音が被さった。今までこの戦場に無かった音だ。
「――」
音の正体にすぐに気付く。慣れ親しんだ音だからだ。大気を裂き、その音すらも置き去りにする物。
それは何か。
「敵航空機来襲――!」
窓から身を乗り出し、叫ぶ。遠くの空に、大量が押し寄せてきていた。
●
「近代戦が出来るなら、制空権取られたらどうなるか分かるだろ?」
エドゥアルトは歯を向いて笑いながら、言う。
「――つー訳で航空支援の時間だオラァ!」
●
爆撃隊は一機を戦闘とした鋒矢の隊形で飛行していた。目標は前方の校舎、その裏側にある中庭と、そう言える場所だ。。
「――!」
眼下、グラウンド上から敵がライフルによる高射を送って来る。通信にて後続の機体に注意を連絡しようと、そう思った時、気付く。
「――」
歌だ。無線の周波数に歌が乗っている。それは少女の声で、ダウナーよりアッパーと、そういう念の歌だった。
「化け物退治には丁度いい」
誰かが笑いながら言えば、ああ、と応じて皆が加速した。
歌に乗ったのだ。
●
破裂の音が響き、閃光が続き、噴出が校舎を揺らした。破裂は爆撃機の機銃で、閃光は中庭に投下された爆弾だ。それらが遮蔽物に隠れた敵を穿ち、地表ごとなぎ払えば、遮蔽物も、大地も、その上に立つ者も、全てが噴き上がる。
「て、撤退しろ! 撤退だ!」
”武装少女”達が爆風と閃光に恐れをなし、校舎の中、その奥深くへ退避していく。
オブリビオンの撃退に成功したのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
エミリィ・ジゼル
学校って厄介ですよね建物自体が頑丈で、各階から周囲を見渡せる
これほど要塞にするのにうってつけな建物もそうはありません
本当は更地にするのが一番楽なのですが、駄目なのが残念でなりません
ですので今回はオーソドックスに
軍隊ごっこには軍隊ごっこで対抗致しましょう
今回使うUCは《増えるメイドの術》
これでかじできないさんズを呼び出して、小隊規模で校舎制圧に乗り出します
牽制担当のかじできないがインクシューターで足止めし
攻撃担当のかじできないがチェーンソーでぶった切る
サメ担当のかじできないはサメにまたがって敵を蹴散らし、
芋煮担当のかじできないは芋煮会を開催する
この完璧な布陣で校舎を制圧してやりましょう
●
エミリィは校舎裏口、非常扉の近くに身を寄せていた。敵に気取られぬよう、隠れるためだ。メイド服のフリルや下半身のタンクが壁からはみ出て、自分の後ろには額に”1”と書かれたもう一人の自分が二四人いるが、なんだか不思議な日本語ですね。ともあれそれらを些細なこととし、思う。
更地にしたいですね……。
この戦場をだ。
棄てられたといえど、元は災害の際の避難場所として使われるほど頑丈な建物だ。また、各階に窓が多く周囲の見通しが良く、周囲も整地されており、敵の姿がよく見える。
「つまり、要塞にうってつけです」
しかし、更地には出来ない。一番手っ取り早いが、ここの情報が失われるためだ。それはUDC組織が手がかりを得ることが出来ず、引いてはこの世界にとって損失だろう。
「残念でなりません……」
もはや残された手段は一つ。
「軍隊ごっこには軍隊ごっこです……!」
右頬を打たれたら目には餅屋と言いますからね。つまり同害復讐です。後ろに振り返り、わちゃわちゃと遊んでいる自分に言う。
「いいですか、二四人の私。今から四人で一小隊を組んでこの要塞を制圧します。計六小隊。それぞれ各階を担当し、敵を襲撃、フロアを占拠しなさい。私はHQです。何か質問は――。遊んでて全く話を聞いてませんね。流石私」
とりあえず指示を出すと、二四人の自分が銘々にフォーマンセルを組んで何故か一人余ったりしたので、そういうのはやめなさいって前に私が私に言ったでしょう私。と注意して、そこでやっと小隊の完成だ。
「そこの非常階段から各階の非常扉に繋がっています。配置に、――ってもう行ってますね。流石私」
しかし、六階担当故、先に上っていた六班が何故か帰ってきた。彼女たちはしきりに首を傾げながら、こちらに手を挙げる。
「どうしましたか」
「いや……、階段登ってたらなんか銃持った女の子が踊り場に立ってて、『頼むからこっち来ないでくれ』みたいな顔でシッシッ! ってされて……」
「なんと」
見上げる。踊り場をだ。そこに自動小銃を構えた少女が怯えた顔でこちらを見下ろしている。”武装少女”の一人だ。
「…………」
「…………」
二四人で見上げていると、怯えが強くなったのでこちらから尋ねる
「――何故、私たちを撃たないのですか」
「えっ!? い、いや……、その……」
「ここは戦場ですよ。覚悟が無いのですか貴女」
「いや……。覚悟は、ある、と……思うんですけど……、その、ちょっと、変化球……? というか、隠し球……? というか……。脳の処理能力を超えているというか……」
「私たちのどこが隠し球系というのですか。もっとよく見て下さい」
近づくために二四人で人間ピラミッドをしたら半狂乱で乱射されたのでまあ結論から言うと直前のセーブをロードです。
●
「あっ、あそこです。あそこ。踊り場の」
「ステンバーイ……。ステンバーイ……」
●
「ゴーゴーゴーゴー!」
扉を蹴破り、小隊が同時というタイミングで各階に突入していく。
「――!?」
”武装少女”達はこちらのインクシューターやサメの着ぐるみといった牧歌的な装備に思わず警戒を解かずに、何故か怯えながら機銃で乱射してきました。
芋煮用の鍋蓋とキャタピラを装備した芋煮会担当を前面に立たせ、その背後から牽制役がインクの射撃を返していく。そうして、こちらへの攻撃を緩和させたら、突撃担当がサメに乗って突撃し相手の戦線を崩壊させ、攻撃担当がチェーンソーを構えて掃討に入る。
そうして、各階を制圧すれば、
「戦勝記念の芋煮会開催です! やったー!」
芋煮会担当が芋煮会の準備だ。
「うーん! 美味しい! ――あっ、そこの制服のお嬢さん! そう自動小銃持った貴女です貴女! 一杯、芋煮どうですか! ――逃げたぞ! 追え!」
サメが後を追いかけていった。
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
【アドリブ連携歓迎、SPD指定】
「流血は出来るだけ避けたいですね」
倒れた別働隊の子から制服と装備を剥ぎ取り変装。
忍び足と鍵開けで校舎に侵入し、内部の情報収集を行いつつ、戦闘知識で地形を利用して、通路や階段にスタングレネードの罠をしかけておきましょう。
他の猟兵の攻勢に対し、後方戦力の合流阻害及び前線からの退却の動きの妨害による分断が狙いです。
後は他猟兵の動きに合わせ、何食わぬ顔で敵グループに合流。
「背後を突かれたわ。急いで場所を変えるわよ!」
敵グループの動揺を誘い、罠におびき寄せを狙う。
頃合を見て、UCで得た電気属性のスタン弾をファニングショットし、敵の後方戦力の無力化を行いたい。
四宮・かごめ
やってるでござるな。にんにん。
戦闘が本格的になった時を狙い、
【迷彩】【忍び足】【早業】【投擲】【地形の利用】【目立たない】などを利用して
手近な武装少女の遺体を拝借、若しくは孤立した敵をその場で【暗殺】。
忍法四宮流・文楽で操り、同じ服を着た敵の戦列に紛れ込ませる。
ギリギリまで立たせ、バレたら裏切らせる(援軍を要請させる)
奪えるかは割と自信が無いでござる。
すぐに黒い霧になるかも知れぬし。そもそも対象外かも。
無理そうなら見張りの居ない窓から斬り込んで【暗殺】して回る所存。
味方の連携の起爆剤にでも。
いずれにせよ攪乱が目的。【目立たない】事が肝心。
アドリブ連携OK
●
紅葉は正門跡地、その瓦礫の上に倒れていた”武装少女”達の近くに屈んでいた。
流血は出来るだけ避けたいですね……。
要塞に攻め込むのだ。そのまま攻め入れば激戦は必須であり、望むところではない。
「だから、少し借りますね」
少女から制服を脱がし、自分が羽織る。脱いだ自分のジャケットを”少女”に掛け、最後に自動小銃を拾い、そうして肩に背負えば”武装少女”の格好をした自分の完成だ。
「よし……」
校舎に向かって警戒しながら進み、ドアの一つを開錠する。
潜入していくのだ。
●
「”無限無尽光”……」
紅葉は職員室の中にある書架を調べていた。そこにあったのは邪神教団が処分し忘れたと思われる書類、否、書類とも言えないようなメモだ。
殴り書きのそれは図形や数式、乱雑な字による筆記で解読することは困難だったが、そこから分かったことはいくつかある。
「”無限無尽光”様は輪廻転生を信じ、死を是とする……。それは善であり、至上である……」
文字は続く。
「”無限無尽光”様の説法から耳を逸らしてはならない……。光から逃れてはならない……。光は等しく、平等で……」
もはや得られる情報は無い。
「ここまでですね……」
メモを元の場所に戻し、廊下に戻る。”武装少女”達は未だ、その数を残しているのだ。
廊下に出れば、左手側の先に、移動中の小隊が丁度見えた。
……!
急ぎ、小隊へ近づいていく。
「そこの皆、背後を突かれたわ!急いで場所を変えるわよ!」
背後から声をかけ、共に移動していく。向かう先はすぐ前方、非常扉横の左に曲がる角だ。
そこまで行けば……!
しかし、駆ける音が続かない。小隊が後続しないのだ。
「どうしたの、皆!? 敵が――」
「――敵は貴女です。猟兵」
”少女”達が自動小銃をこちらへ向けていた。
「――」
「そのような変装でこちらを騙したつもりですか」
横、非常階段の扉が開き、新手の”少女”がこちらへ銃を向ける。合わせて生み出すのは、霊体だ。
「例えその存在が未知であっても、猟兵と出会えば本能で分かる。――それが我々、オブリビオンです」
霊体がナイフを構え、こちらに駆け出す。引き金にかかる少女の指が引き絞られていく。
「――」
銃声が鳴り響いた。
●
”武装少女”は銃弾が、撃鉄によって火薬を反応させられ、銃身の中を回旋し、銃口から飛び出していったことを認識していた。想定と違うのは、標的だ。
弾丸が貫いたそれは猟兵ではなく、
「――霊体!?」
召喚された霊体が猟兵の前に立ち塞がり、その弾丸を防いだのだ。
「貴様! 一体、何――」
散っていく霊体を視界の端に収めながら、非常階段から表れた仲間に問い詰める。
しかし、そこで気付いた。相手の様子がおかしいのだ。その目は虚ろで、足下に何か根のようなものが纏わりついている。
虚ろの視線のまま、こちらに小銃を向け、
「――!」
射撃を放ってきた。
「操られ――」
飛び退りながら、隣の仲間の声はそこで途切れた。
見る。新手だ。手に鉈を持った忍装束の猟兵が窓から飛び込んでくる。
最後に見た光景はそれだけだ。
●
かごめは廊下にいた全ての”武装少女”達が絶命したことを確認すると、腰鉈を振り払って、仕舞う。
割と自身無かったでござるが、上手くいったでござるな……。
非常階段、そこにいる”武装少女”のことだ。戦闘が本格的になった時を狙い、校舎に接近すれば、裏口、そこにある非常階段の側で”武装少女”の遺体を発見したのだ。それを拝借し、行うのは忍術だ。
「忍法四宮流・文楽……」
効果は、遺体や気絶中の身体の神経を、竹の根で掌握することによって傀儡とする。竹の根は地中から伸びるので、どこでも使えるというわけではないが、
「竹はアスファルトくらいだれば突き破れるでござるよ」
側に立つ紅葉に目配せをし、動き出す。戦場は止まっていないのだ。
「――!」
騒ぎを聞きつけた隊が、こちらへ接近してくる。
「罠は?」
「いくつか。直近だとそこの角、階段に」
ならば、
「そこまで誘導でござるな!」
走った。二人でだ。
「いたぞ!」
背後から声が聞こえ、角に飛び込んでそこからの銃弾を回避する。目の前の階段では、上から敵が降りてこようとしているので、
「――!」
拳銃と苦無を階段の手すり越しに送り、無力化した。階段を上っていくと先ほどの敵が追い着き、段差に足をかけるが
「――!?」
事前に仕掛けていた手榴弾が作動し、敵が吹き飛ばされた。
上階、そこでは廊下の両端に敵が機銃を設置し、待ち構えていた。
「それがしは右に!」
「オッケー!」
別れる合図はそれだけだ。瞬間、機銃が火を噴く。
こちらは急ぎで窓の外に飛び出し、校舎の外壁を駆ける。足は壁、地面は右手側だ。そうして壁走りの状態で機銃が設置された廊下の端までたどり着くと、
「お邪魔するでござるよ!」
鉈で何もかもを断ち切った。
銃の破片や敵の身体が床に落ちる音が響くころには、逆端では雷鳴が鳴り響いた。
六。その数の轟音が鳴り終われば、向こう側にあるのは残骸だけだ。
「ふぅ……」
紅葉が、拳銃を横に振ってその内部に残った薬莢を外に排出するのが見えた。
「終わったでござるな……」
校舎内には、もはや戦闘音が無くなっていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『無限無尽光』
|
POW : 汝、死を恐れることなかれ
【来世があることの素晴らしさを説く説法】を聞いて共感した対象全てを治療する。
SPD : 死を恐れる者よ、汝は幸いである
【死の恐怖】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【生命力を奪い去る暖かな光】から、高命中力の【強制成仏輪廻転生光線】を飛ばす。
WIZ : さあ、今こそ輪廻転生の時!
【生きる気力を優しく奪う暖かな光】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「庚・鞠緒」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
要塞化された校舎内部の殲滅を完了した猟兵達はそれを見た。
「――!?」
体育館だ。校舎から離れた位置にあるその扉が開き、その内部への道筋ができる。
「――汝よ」
声が聞こえる。体育館の中央。そこからだ。
「――汝よ、何処か、何処か」
「――汝よ、吾の元へ。吾は、其を望む」
「――汝よ、汝よ、汝よ、死を恐れる者よ」
声と共に光が生まれる。中央、その位置からだ。
そこに存在する石椅子。その背もたれにある人面太陽のレリーフから暖かな光が、花弁のように量産されたかと思うと、
「――”死を恐れる者よ、汝は幸いである”」
花弁達から光が突っ走った。光線だ。それは複数で、建物の外壁や天井、ガラスを突き破り、放射状に広がった。
それは建物横の大地に命中し、あるいはそこに生えている雑草に、あるいは空中で留まり、
「――」
その終着点にいる全ての生命活動を停止した。大地は腐り、草木は枯れ、空気中の微生物はもはや存在しない。
「――嗚呼、汝よ」
全ての花弁が石椅子を中心に、天球図のように循環する。花弁は無数で、それ以上の数で常に放たれる光線は、その周囲の何もかもを常に成仏させていく。
その範囲、半径約三十メートル。体育館の周囲全てがその範囲だ。
「――汝よ」
邪神が言葉を続ける。
「――救済を。吾、輪廻転生を心身で実感せり」
満面の笑みでだ。
「――嗚呼! 汝よ! 吾、救済を与えん……!」
ニトロ・トリニィ
救済ね… オブリビオンには救ってもらいたく無いかな。
… 失った記憶を思い出させてくれるなら、話は別かな?…まぁ、どちらにしろ倒すよ!
【行動】
さっきのヤバイ光線を避ける為に、《第七感》を発動して対処するよ!
避けきれなかった時は、〈鼓舞/オーラ防御/盾受け/激痛耐性〉で極力威力を下げるように頑張るよ!
接近戦を仕掛けるのは何だか危険な感じがするし、先程と同じく軽機関銃【rosé】を使って〈援護射撃/クイックドロウ/念動力〉を発動しながら攻撃を行うよ! …火力支援ってやつだね。
そういえば、邪神に銃弾が効くかどうか調べてなかったなぁ…
まぁ、効かないとしてもないよりはマシだよね!
アドリブ・協力歓迎です!
●
ニトロは体育館の周囲、光が届かないぎりぎりの位置にいた。
救済ね……。
前方、崩れた壁や、扉の隙間から見える相手は椅子に座り、救済と転生の文句を唱えている。
「オブリビオンに救われたくはないかな……。失った記憶を思い出させてくれるならともかく、ね」
声に反応したのか、椅子が輝きを増していく。”無限無尽光”だ。
「――嗚呼。汝、損失を嘆くことなかれ。消失を悔やむなかれ。其は失にして充。其は消にして在」
光はその強さをさらに増していき、
「――吾、死を持って汝に充足を与えん……!」
「まぁどちらにせよ倒すんだけどね……!」
放たれた。光が空間を突き進む。しかしそれは、”無限無尽光”側からだけではなく、こちら側からもだ。
「接近戦を仕掛けるのは危険な感じがするしね……」
”武装少女”達を撃退した先ほどと同じだ。”rosé”がその銃口から光を確かにし、5.56mmを連射で送った。
「邪神に銃が効くかどうか分かんないけど……!」
だからといって、やらない理由にはならない。無いよりマシ、そういう念頭で引き金に力を込め続けていく。
そして、込める力は引き金だけではない。
「――行け!」
念じるのは異能の力だ。銃弾にその力を付与し、操作する。体育館の外壁や窓ガラスを割った湾曲する軌道は、”無限無尽光”を前後、左右、上下、全ての角度から包囲し、しかし、その終着点をやがて一点に集中されていく。
「くらえっ!」
打撃の音が連続で響いた。ガラス片が舞う視界の先、”無限無尽光”がその姿を削られていっているのが分かる。
効いてるね……!
追撃を加え続けるため引き金を絞り続ける。
「――」
しかし、次の瞬間には後方へ跳躍していた。光が来たのだ。先ほどまで自分が立っていた場所に。
だが、
「分かっていたよ。――ガラス片を反射材に、こっちに攻撃を届かせようって狙いは」
”第七感”が迫りくる危険を予知していたのだ。
「――嗚呼! 汝よ、汝、何故離るや……!」
遠く、”無限無尽光”が嘆きの声を上げるが、もはやその声も弾薬が炸裂する音に掻き消えた。
攻撃を再開したのだ。
「いくらでも撃ってきたらいいよ!」
引き金を絞り、全力で”rosé”の反動を抑え、全ての弾丸を制御する。
「反射でも、収斂でも、何でも使ってこっちに攻撃を届かせてごらんよ!」
「僕に当てられるんならね……!」
「――嗚呼! 嗚呼! 何故!」
銃弾がその軌跡でガラス片を蹴散らし、光を突き破っていった。
成功
🔵🔵🔴
エミリィ・ジゼル
ちょっと待ってください。
来世とか救世とかどうでもいいですけど、あの声どっから発してるんです?
明らかに顔埋まってますよね?これはもしや、UDC案件…!
あ、どうでもいいですか、はい。
では仕方ありません、真面目にやりましょう。
とはいえ、そもそもわたくしのようなバーチャルキャラですと
来世とか輪廻とか言われてもピンとこないんですよね。
まずは命と生の定義をしてから説法を行ってください。
定義される前に殴りますけど。
ええ殴ります。思いっきり殴ります。
後光差すニヤケ面を。ダブルロケットパンチで
《一斉発射》《だまし討ち》《2回攻撃》《破壊工作》の技能ものせて
「殴りたいその笑顔!くらえ、ダブル・ロケットパーンチ!」
●
六班は屋上、その扉の前にいた。
『六班! その先はクリア後のステージだ! 至急引き返し、本部に合流――』
無線機を、牽制役が握り潰した。
「へっ……。できないの中でも、はみ出し物の集まりである六班に指示とはな……」
口笛を吹く声が聞こえた。突撃担当だ。
「いいのかい小隊長。本部の指示を無視しちまって」
「構わん。我々はこれより、屋上庭園に侵入する」
肩を竦めて片眉を上げるのはサメ担当だ。愛サメを撫でながら、
「フラグが立ってないステージにバグ承知で突入……。へっ、面白くなってきやがったぜ……」
沈黙を保っていた芋煮会担当がゴボウを咥え、息を吐く。
「この先に裏ボスが――、おや、あれは」
芋煮会が見るものを、皆が見た。
窓の先、体育館から光が生まれている。
「アメリカの特殊部隊ごっこしてる場合じゃねえ……!」
●
「――ゴーゴーゴーゴー!」
エミリィは、六班のノリで体育館の扉を蹴破ったら即効で成仏したのでつまりロードです。
しかし……、今際の際で見た敵の姿……。
声が聞こえた。内容はどうでもいい。問題はその声の源だ。
椅子に座っていた人、首が背もたれに埋まっていましたよ……!
あれでは一体、どこから声を出していたのだろうか。
「怪奇……! UDC案件ですねこれは……!」
体育館に向かってファストトラベルしながら、目聡く気付く私ってばクレバーですねー……。と、思っていたら、おや、目の前に光が。
●
エミリィは、体育館からの光、それが届かない位置に立ちながら思った。
「真面目にやりましょう……」
なので、問うた。敵にだ。
「”無限無尽光”様、私はバーチャルキャラです。仮装、否、仮想存在です。真面目にやりましょう私。いえ、こっちの話です。――ともあれ、来世とか輪廻とか言われましても……」
ここで指先を相手に向ける。掌側を上へ。片眉と唇を歪め、
「言われましても、ピンと来ません」
言葉と共に、肩をすくめたらアメリカ式です。真面目にやりましょう私。六班のノリが抜けてないです私。
ともあれ、ならばどうするか。
「――説法を。命、生。それらの定義を望みます」
前方、数十メートル以上離れた先でも、敵が喜色に溢れたのが雰囲気で分かる。
「――汝、吾の説法を望むか」
「はい。良いでしょうか?」
「――嗚呼! 嗚呼! よからん、よからん! ならば――」
「――まぁ、定義される前に殴りますけど」
隙だらけだったので、やれやれポーズのまま両拳を握り、
「殴りたいその笑顔! くらえ!! ダブル・ロケットパ――ンチ!!」
発射した。計二発。それは鋼鉄製で、燃料噴射による加速の力をその身に宿し、巨大だった。
巨大メイドロボモードに変身しての一撃だ。
「――!?」
高所からの高質量が高速によって衝突し、瓦礫と化していく体育館を見ながら、言う。
「気にくわない野郎の顔面を殴って、そして」
口笛を鳴らす。
「――アメリカ式はここまでやってシメです」
成功
🔵🔵🔴
四宮・かごめ
……?
この顔どこかで見覚えが……いや、気のせいでござる。多分。
接近戦を挑む猟兵が居れば苦無を【投擲】して味方の【援護射撃】を行う。狙うのは太陽の目とかあの辺り。
体育館の中央から放射状に放たれる光線を【ダッシュ】や【ジャンプ】で避けながら距離を詰めて行く。なんとか接近して椅子に座っている長衣の男に苦無を突き立てたい。
何やら小難しい話でござるな。生憎忍者は無信仰なのでござる。なんにせよ、救済などと謳いつつ、破壊と死を撒き散らす時点でろくでもない。おおかたお主もろくでもない目に遭ったんであろう。顔が無くともそうもがいていればわかる。
●
かごめは疾走していた。向かう先はは半壊した体育館、その中央にいる”無限無尽光”だ。
……あの顔、どこかで見た覚えが……。
背もたれ部分に掘られた人面太陽だ。記憶を辿ってみるが、すぐに頭を振る。今は戦闘中なのだ。追憶は後の作業とし、オブリビオンの撃破を最優先事項とする。
「――汝、死を恐れぬか?」
一直線に駆けるこちらに対し”無限無尽光”が言葉を投げかけてくる。
答えず、疾走を続けていると、
「――汝、其は幸いである」
”無限無尽光”は光を発射した。何もかもを強制成仏する光条はこちらの正中狙いだ。
否、光はこちらを貫くものだけでなく、牽制の数も含めば膨大だ。それら全ては前後左右上下、檻のように張り巡らされている。その空間は百を超える光線で出来ていた。
牢獄が、何もかもを昇天させながらこちらに突き進んでくる。
しかし自分は速度を緩めなかった。
「――!?」
行くでござるよ……!
敵の攻撃は文字通り光の速さで迫り、自分はそれ以上の速度を出せない。
だが敵の攻撃は直線にござる……。
もはやガラスが粉となり吹き飛んだ現状、屈折が存在しないのだ。ならば敵の攻撃は直線的で、着弾点の位置は容易に分かる。
だから行った。
「――」
加速を伴ってだ。
空間を刺し貫く牢獄の中に、身体を差し込んでいく。
「――!」
忍の身に加速を叩き込めば、その場に残るのは残像だ。光線に刺し貫かれる自身を背後に残し、ただ前に行った。
地面に伏すように身を低くし、地面を蹴っていく。
そのときだ。真横から心臓を狙う連撃が来た。
身を低く屈めるこちらの真横、そしてその上、さらに上までをも貫く閃光だ。
跳躍による回避すらも予測した攻撃だったが、
「おお……!」
大地を蹴って、それらすらも超える跳躍をした。
真横からの光線を背面跳びで回避し、しかし続く着地は足ではなく指先だ。側転を一回決め、身を捻って身体を正面に戻せば、
「懐にござる……!」
苦無を引き抜く。
「――!?」
「やれ死がどうの、救済がどうの。何やら小難しい話でござるな」
痛苦の喘ぎを言葉で遮った。
「しかし生憎、忍者は無信仰なのでござる。なんにせよ、救済などと謳いつつ、破壊と死を撒き散らす時点でろくでもない」
見る。椅子に座る長衣をだ。
その姿を見つけてからずっと、姿はもがき、苦しみ、叫んでいた。
叫びは声ではなく、全身でだ。
「……おおかたお主もろくでもない目に遭ったんであろう。顔が無くともそうもがいていればわかる」
「――汝、其は――」
「――問答無用!」
苦無を、長衣の胸元に突き刺した。
「――!!」
長衣が一際大きくもがいた。身体を貫通し、石の背もたれに突き刺さった苦無が抜けそうになるほどにだ。
しかし、その震動はすぐに止んだ。
長衣が、その動きを止めたのだ。
成功
🔵🔵🔴
明石・真多子
【芋煮艇】
うへぇ…なんか難しいこといっぱい話す校長先生タイプ…アタシああいうの一番苦手だなぁ。
そういう耳にタコができるような話なんて聞く耳を持つ気なし!
シャッと行ってバッとやってサッと拳で黙らせよう!
ということでシャっと『先制攻撃』をぶちかますぞ!
体育館の割れた窓まで触手と[吸盤ボディ]を駆使して『クライミング』でササーっとよじ登ろう。
ここなら相手の死角のはず…(というか顔どこ…?)
触手をバネのように縮めたら、一気に解放して全力『ジャンプ』!
【軟体忍法人間砲弾の術】で音をも置き去る音速パンチを椅子の顔?にぶち込むよ! 直撃したら反動で体育館の壁まで跳ねて、さらに『2回攻撃』のおかわり追加だ!
天道・あや
引き続き【芋煮艇】で!
死が救済?来世が素晴らしい?…そんなの間違ってる!今は苦しいかもしれない…でもだからって死は救いじゃない!
POW 真の姿を解放!(20代ぐらいの姿、一人称私)
そして【レガリアスシューズ】をフル稼働させて天井まで跳躍して身体を半回転させて天井を蹴ってあたしの今の想いを込めた!【これがあたしの想いの乗った重い一撃!】(鎧砕き、属性攻撃)を椅子にぶつける! その後はダッシュで離れてエドゥアルトさんの爆撃に巻き込まれないように退避!
私の…皆の未来はきっと素晴らしい物だって信じてる!だから…だから!皆の未来の為に…あんたを…倒す!
数宮・多喜
◎
【芋煮艇】で参加する。
時々いるんだよなぁ、こういう屁理屈だけこねて
やる事はただの殺しって奴がさ。
しかしなんだ今の光線はよ!?
次に放たれるまでに一気にやるしかねぇか!
これだけ広い空間があるなら、相棒のカブも投入さ!
よーし紅葉、振り落とされるんじゃねぇぞ?
まずは『騎乗』『操縦』『ダッシュ』をフル活用して
無限無尽光の周囲を走り回りながら撹乱する。
そうして加速を続け、頃合いを見計らって突進!
台座ごと【サイキック・ブレイカー】で
……え?なんだよオッサン、その台座の爆薬!?
初撃のサイキックエナジーで木っ端微塵になるじゃねぇか!
仕方ねぇ、爆風に吹き上げられるようにジャンプ!
無限無尽光の本体へ突撃するよ!
才堂・紅葉
【芋煮艇】にて。
「来世があることは素晴らしいですね。では来世の先に来世、その先に来世もあるのですか」
ふむ、と思案した後に陸上部で得た砲丸を手に持つ。
「では、ここであいつを倒して勝ち癖をつけましょう」
にこりと笑んでマイシスターのバイクにタンデムします。
回避は任せて、敵の攻撃パターンを戦術知識と情報収集で見切って情報共有。
機を見てバイクの座席から跳躍。
奴の眉間(?)を目掛け、掴んだ砲丸をダンクシュートだ。
「コード:ハイペリア!!」
重力加重の勢いと蹴りつけた反動で後方に飛び、リボルバーの早撃ちで眉間への追撃を狙う。
「馬鹿ね。今を闘わずに逃げた奴が、その先の来世で勝てる訳ないでしょ」
エドゥアルト・ルーデル
【芋煮艇】として参加
死ぬの生きるの来世だなんだなんて言ってたら人生損しちゃいますぞ
エンジョイ&エキサイティング!忘れちゃダメでござるよ
エンジョイの為には【説法】は聞きたくねぇでござるね!サーチドローンを大量に飛ばして敵に近づけて機械音で説法を妨害ですぞ!
台座も爆破してえな…【破壊工作】で台座に爆薬をセット!これ下の人どうなってんだろ…ちょっと【スリ取り】で物色でござる
飽きたら下の人にも【スリ渡し】で手榴弾をプレゼントですぞ!
纏めて爆破すれば超!エキサイティング!やっぱ良いものでござるねェ、爆破は!
アドリブ・絡み歓迎
●
真多子は擬態と触手、吸盤の全てをフル活用し、体育館の外壁に取りついていた。
バレないように……。バレないように……。
”無限無尽光”の死角へ回り、機を待つ。
……ていうか……。
割れた窓から頭を少しだけ出し、窺う。視界の先には、石椅子の背もたれが見える。
「あれが、顔……? だよ、ね……?」
違ってたらどうしよう……。
●
……――嗚呼! 何故!? 何故!?
”無限無尽光”は混乱していた。猟兵達の攻勢にだ。自分は今、半壊した体育館の中にいる。
身の石椅子は削れ、取り込んだ長衣も断たれた。
……何故、死を拒むか! 何故、死を否むか!
自分は輪廻転生を信じ、それを信者に実行してきた。死を恐れる者を救ってきた。そうして、数多の時を過ごし、過去の存在となった自分がしかし今もこの場にいる。
吾、輪廻転生を心身で実感せり……!
オブリビオンとなって蘇ったのだ。自分がこうして今この場にいるということは、これまでに救ってきた者も同等であろう。
ならば、自分がするべきことは何か。
「――汝ら! 死を拒むなかれ! 否むなかれ!」
体育館に飛び込んで来た猟兵達へ、説法の続行だ。
●
「あぁー……」
多喜は体育館の外から、”無限無尽光”の説法を聞いていた。眉を上げ、目を細めながらだ。
「時々いるんだよなぁ、ああいう屁理屈だけこねて、やる事はただの殺しって奴がさ」
眉間に皺を寄せるこちらの横、カブとは反対側に立つのは紅葉だ。
彼女も同じく、体育館を見ながら言う。
「来世があることは素晴らしいことだと思います。来世の先にはまた来世があって、その先にも来世があって……」
紅葉が一つ頷く。こちらに振り返り、
「――では、ここであいつを倒して勝ち癖をつけましょう」
「未来への貯金? みたいな? ていうか、紅葉さ、笑顔で言うけどその手の砲丸なに……。――陸上部の倉庫から? 用意の良いことで……」
ってもうカブの後ろ乗ってるし。
「でもまぁ、あのぶっ飛んだ光線撃たれちゃたまんないし、次来る前に一気にやるしかないか」
カブに跨り、叫ぶ。
「オッサン! 頼む!」
●
「――汝ら!」
”無限無尽光”は説法を続ける。
「吾、輪廻転生を実感せり! 死を恐れることなかれ! 死を遠ざけることなかれ! 来世から離ることなかれ! 生を――」
しかし声はそこで途切れた。大音量が被さったのだ。
「――!?」
周囲を飛ぶサーチドローンにすぐに気付き、それを撃墜しようと光を送るが、機械は成仏を必要としない。
「――はっはっはっ」
体育館の中、笑いの声が聞こえる。
「来世を楽しめって? ノンノンノンノン!」
猟兵だ。姿はどこか、と探そうとするが、見つからない。
「死ぬの生きるの来世だなんだなんて言ってたら、人生損しちゃいますぞ!」
「エンジョイ&エキサイティング! ――これ、忘れちゃダメでござるよ」
言葉に意識を割くことは、それ以上できなかった。
「――」
視界の端で物体の動きを視認したのだ。
物体は赤の色を持っており、速度は高速だった。
こちらに向かっている。
そこまで認識した直後、次に得た感覚は衝撃と、遅れて聞こえてきた爆音だ。
「――!?」
強烈な打撃が、レリーフ部分を襲ったのだ。
●
なんか難しいこといっぱい話してる……。
真多子は思う。質も量も過剰だと。
輪廻や救済とか汝とか吾とか、何だか難しい言い回しを長々と話しているのだ。離る、とか初めて聞いたよ私。
つまり校長先生タイプ……!
一番苦手だなぁ……。と、そう思う。
「――要するに、そういう耳にタコができるような話なんて、こっちは聞く耳持つ気なし!」
だからその声の源を殴った。
「”軟体忍法人間砲弾の術”……!」
体育館の窓枠を蹴り、”無限無尽光”のレリーフに拳から突っ込んでいったのだ。衝撃音が体育館を揺らす。
「……!!」
弾着地点とも言える、拳が突き刺さった箇所はひび割れ、音速を超えた全てのエネルギーを、余すところなく押しつけられた。
そして、
「よいしょぉぉぉおおお――!!」
力を送れば、反作用でその身は背後に一気に吹き飛んでいく。
「軟体だからね……!」
背後へその身を高速で運びながら、叫ぶ。
「――皆、お願い!」
●
「――おうともさ!」
加速の音を唸らせながらの声は多喜だ。出力を最高にしたカブと共に体育館に突っ込んでくる。
「振り落とされるんじゃねぇぞ、紅葉!」
「ええ、マイシスター!」
”無限無尽光”の前に躍り出る。
周囲は広いといえど、瓦礫が散乱していて、イレギュラーが多い悪条件のフィールドだ。
ともすれば瓦礫に激突し、砂塵と床に散ったそれに滑るが、
「だけどあたしとこいつには関係ないね……!」
アクセルを捻った。瓦礫は身体ごと車体を傾けて回避し、砂塵は身体を下方に押し付けることでタイヤの空転を抑え込む。
行った。”無限無尽光”の周囲を駆け廻り、相手の意識を撹乱させていく。
「――汝――を――」
サーチドローンが生み出す騒音の合間にこちらに向けて説法が聞こえてきた。
「おいおい……。何言ってるか分かんねえけどさ! 私達に意識向けてていいのかい!」
こっちの声も聞こえてないか? と最後に付け加えながら、それが校舎の壁から来た。
「――!!」
再度の爆音。音速を超えたが故、前方の大気を圧縮し、割り砕く音が聞こえた。
そうして生まれる白い水蒸気爆発を抜け、赤が来た。
真多子だ。
「もう一丁――――――!!」
その言葉が聞こえる頃には二度目の弾着がすでに済んでいる。
●
大変でござるなー……。
”無限無尽光”のレリーフ、その部分のひび割れが深くなったのをエドゥアルトは見ていた。
戦場の現状は真多子が再度の突撃を実行し、多喜と紅葉が敵の撹乱を担っている。
「そして拙者はドローンで敵の妨害でござるな……」
小声で呟く場所は敵の至近であり、しかし死角の位置だ。
体育館に点在する瓦礫の中、そこに身を潜めながら自分は行動を開始する。
レッツ、スニーキング……!
瓦礫から瓦礫へ身を移し、敵の視界に入らないように注意して接近していくのだ。常時屈んだ姿勢で、しかし迅速に敵の背後、背もたれの裏側に張り付く。
そうして、懐から取り出すのは大量の爆薬だ。背もたれ、足、手すり、あらゆるところにそれを巻きつけたり粘着させていく。
……これ、下の人どうなってるんでござろう……。
椅子に座る長衣のことだ。先ほどまではもがき苦しんでいたが、今はもう動いていない。
……。
気になったので、長衣の懐に手を差し込んで物色する。
……緑の長衣、聖句が書かれたメモ……。
こういうテクストって、別に手掛かりとかなくても、読み物として面白いでござるよなー……。と、そんな風に思っていると、気付いた。
戦場の様子が変わっているのだ。
●
「――嗚呼……! 汝ら、死を、救済を享けいれたまへ……!」
”無限無尽光”は叫びをあげた。二度目の衝撃によってレリーフ部分はかなりの損傷を負っている。
自身の破片が散る視界の中、それに気付いた。
「……?」
猟兵が増えているのだ。
こちらに打撃を送った者と、周囲を駆け回る者、そして、
「――」
少女だ。赤と黒を纏っている。
「死が救済?」
騒音が鳴り響く中、声が届いた。
●
カブの後部で敵の攻撃パターンを収集していた紅葉はそれを見た。
あやさん……。
”無限無尽光”の向かい合っていたあやだ。
「来世が素晴らしい?」
あやは”無限無尽光”のレリーフを正面から見つめている。
「……そんなの間違ってる!」
マイクは無いが、サーチドローンが生み出す周囲の騒音を押しのけ、声を通してくる。
「今は苦しいかもしれない……。生きるのは辛いかもしれない……」
そのとき、あやの身体から光が生まれた。
あれは……。
光があやの身体を包んでいき、
「でも、だからって死は救いじゃない!」
一気に吹き上がった。目を眩ます程の極光が収まるころには、あやの身体がその姿を変えていた。
「あの姿は……!」
成長しているのだ。伸びた髪は風によって背後に流し、手脚は先ほどより長く、目線はその位置を高くしている。
閉じた瞼が、開いていく。
「――行くよ」
言葉とともに、レガリアスシューズがその機能を全開にする。
周囲の大気を圧縮し、
「――!!」
一気に解き放ったのだ。
「おおっと!」
ぶちまけられた風が瓦礫と砂塵を吹き飛ばし、カブを揺らす。
情熱と決意を纏った姿が上空へ、跳び上がっていく。
残光を散らしたあやが、上空から声を送って来る。
「私の……」
しかし、否、とそういう雰囲気で首を振ったのが見えた。
「”皆”の未来は! きっと素晴らしい物だって信じてる!」
あやが、迫りくる体育館の天井に対し、空中で反転。加速の衝撃を足裏で吸収した。
「だから……。だから! 皆の未来のために……。あんたを、……倒す!!」
蹴った。天井を、全力でだ。”無限無尽光”に向けて空中を突っ走り、拳を構える。
「これがっ、私の想い!! ――受け止められる!?」
「――!!」
想いを乗せた最大の一撃が、敵の全身を激震した。
●
「――!!」
もはや声にならない叫びをあげる”無限無尽光”へ向かいながら、多喜は言う。
「続くよ、紅葉! いける!?」
「ええ! いつでも!」
言葉の返事はアクセルだ。振り絞り、最高の速度で突っ込んでいく。
「おお……! あやさん! 離れな!」
片手にサイキックエナジーである雷光を蓄え、”無限無尽光”に対し一気に放出しようとしたそのとき、それを見た。
「……え?」
急ぎで離れていくあやも振り返る先、敵の麓、椅子の裏や後方に積まれたものだ。
「――その爆薬なんだよ、オッサン!?」
椅子の裏から長衣の懐を弄っていたエドゥアルトがこちらの様子に気づき、しまった、という顔をする。
彼はこちらの雷光と、自分の近くの爆薬の数を見て、急ぎの除去が不可能だと分かると、
「――」
こちらにウィンクを寄こし、長衣の元からダッシュで逃げた。
見れば、長衣の胸元が不自然に膨らんでいる。
「爆薬増やしやがったあのオッサン……!!」
「ていうかもう間に合いませんよ、マイシスター!」
しょうがないので力を放出した。
「――”乗る”よ紅葉!」
雷光が爆薬の間を駆け巡り、その熱量を文字通り爆発的に増加させる。
「――!!」
爆発が空間全体を打撃し、僅かに残っていた体育館の基部が吹きとぶ。
サーチドローンが火炎と煙の圧力に乗って全方位にぶちまけられ、散っていく。
黒煙と熱風が場を支配するそんな中、それらを突き破るものがある。
「うぉぉぉおおおお――――!!」
カブだ。煙の中から飛び出してきたそれが、石椅子に激突していった。
●
……!? ……!?
説法どころか、言葉や思考すらも纏まらない状況の中、”無限無尽光”はだからこそ単純な異変に気付いていた。
一人足らぬ……!
たった今突っ込んできた乗り物のことだ。爆発が起こる前には二人乗りだったはず。
爆風に耐えられずに吹き飛ばされ、もはや来世に行ったか。ならば良し。とそう思っていたら、違った。
「――あなや」
黒煙の隙間に、見失ったはずの一人を見たのだ。
「――爆風に”乗り”、さらに”跳んだ”か……!」
●
紅葉は風通しの良くなった体育館の上空で思う。
あれだけの攻撃でまだ姿を保ってますか……!
”無限無尽光”、その石椅子だ。罅が走っていない場所は無く、その亀裂の深さも甚大だ。
仲間達の攻撃を集中して受けたレリーフ部分は、特に損傷が苛烈で、人面太陽の装飾はもはやその姿を失っている。
「だけど、これでトドメです……!」
右手に持っていた砲丸を振り上げ、叫ぶ言葉は力の解放だ。
「――コード:ハイペリア!!」
瞬間、景色が歪む。過剰の重力が砲丸に注がれ、周囲の光が屈折したのだ。
屈折の一撃が、周囲の景色を飲み込みながら敵のレリーフに走っていった。
「――……呼! 嗚呼! 汝ら! 何故、吾の――」
「馬鹿ね」
砲丸の激突に苦しむ”無限無尽光”の言葉を遮る。
「今を闘わずに逃げた奴が、その先の来世で勝てる訳ないでしょ」
遮るのは言葉だけではない。砲丸が衝突したレリーフの眉間へ、引き抜いたリボルバーから弾倉全ての銃弾を叩き込んだ。
連続した銃声が響き、消えていく。
”無限無尽光”が弾痕から亀裂を深くし、
「――」
砕けた。
石椅子が、周囲の砂塵に混じ合っていく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
第3章 日常
『空中庭園』
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POW : 散策する
SPD : 観察する
WIZ : 景色を見る
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
校舎屋上。そこに、全ての戦いを終えた猟兵達は残っていた。
教団のアジトとなっていたこの校舎や、それ以外の施設をUDC組織が調査している間、予定がある者や他の戦場へ向かう者はグリモア猟兵が転移で迎え、それ以外のものはここで戦いの疲れを癒そうと、そういう流れでここに集まったのだ。
全ての棟を使った広大な屋上庭園は、最近まで有志の手によって整備されていたのか、はたまたそれが教団の者だったのかは誰も分からないが、見事な姿を猟兵達の前に広げていた。
屋上の各地に配置された花壇は、暖かい日が多くなってきた四月という時期を象徴するように、季節の花を溢れるほど咲かせていた。
花は花壇のみならず、周囲を囲むフェンスにもその身を置き、風に揺れている。
周囲の景色は山が殆どだが、その花を満開にした桜の木々や新葉を盛んにした竹林が大量という数で視界を圧倒する。
「皆様、今回は事件の解決、ありがとう御座いました」
既に屋上へ備え付けられていたテーブルや椅子を整えていたUDC職員が、猟兵達に声をかけた。
「それでは、何か御用入りがあれば、扉の向こうにいますのでお申し付けください」
そう言って、校舎内へ続く扉に戻っていった。
才堂・紅葉
【SPDにて、連携・アドリブ歓迎】
「終わりましたねぇ」
制服姿に早着替えし、屋上庭園と見晴らしを楽しむ。
中々に良い風情は先程の激戦を忘れさせた。
「来世があるとしても、急いで参ることも無いでしょうに」
現世が全てと言う気もないし、輪廻転生も否定はしない。
ただ、今のこの時を楽しまないのが勿体ないだけだ。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず……でしたっけ」
義父が好きだった古典の一節を思い出しながら、カードを取り出し。
音響機能付きのガジェット演奏台を召喚。そこでギターを弾く。
心のままに透明感のある陽気で、何処か哀調の響きを奏で。
もし歌う者がいるのなら、その伴奏しよう。
こんな終りも悪くはない。
天道・あや
◎
いやー、無事に終わって良かった良かった!それじゃせっかくだし屋上庭園で休んでいこうっと!
SPD
花壇の花達に色々と騒がせたお詫びに【Anata ni okuru uta!】で歌を歌う!
エミリィ・ジゼル
さて、無事に無――…無…無限無限光?いや、無限無理光でしたっけ…?無なんとか無なんとか光、ってところは覚えてるんですが…まあいいや。顔埋まりマンで。――顔埋まりマンも倒しましたし、ここからはゆったりのんびりするとしましょう。
それにしても、ずいぶんと見事な庭園ですね。
さすがはクリア後のボーナスステージ。
これだけ見事な景色ですと、陽気なお天気の下でお茶会なんてのも乙でしょうね。
お茶入れられないんで言うだけですけど。
あ、そうそう。折角ですし今回頑張ったかじできないさんズにも景色を楽しむのを許可しましょう。絶対に暴れないようにと言い含めて。
折角の休息ですからね。たまにはゆっくりするのもいいものです。
数宮・多喜
【アドリブ改変・絡み大歓迎】
ふーやれやれ、ヤバい奴らだったねぇ……。
じゃあ無事残った庭園を堪能しますか。
……できるかなこれ。
アタシの【超感覚探知】が危険人物の存在を告げてる。
いや無くても多分わかるけど。
とにかく庭園を滅茶苦茶にされちゃたまらないからね、
不届きな行動を起こそうとする奴がいないか
徹底的に見張るよ!
ヤバそうな空気を察知したら即鎮圧!
『ダッシュ』で現場に向かい、フォローに入るよ!
なんだろう、今回で一番疲れてる気がするよ……
気を張り続けるってつらいもんなんだねぇ……。
明石・真多子
お~綺麗な花壇!!
色んな種類があるんだね~。特にここのガーベラって書いてあるのはカラフルで可愛い~!
赤や白もあるんだ!親近感湧いちゃうな~。
せっかくだし、もっと高い所から花壇を一望したいな!
(階段の上のスペースを見つけて)
あそこが一番高そうかな!
じゃぁこのガーベラの赤いのと白いのを二輪摘んで上に登ろう。
(吸盤つかってスイスイと)
おお~やっぱり一望できるっていいね~。
みんなのことも見ながらゆっくりできるし。
そういえばガーベラの花言葉ってなんだっけ?
ま~いっか。
…アイツらの話はよく分からないけど、キミ達の色みたいに明るければ、今の世の中をもっと真っ直ぐ進めたのかな?
(花びらをぱぁ~っと風乗せる)
四宮・かごめ
にんにん。戦ってるうちにすごい所に迷い込んでしまったでござる。そう言いながら職員の脇をすりぬけて屋上へ。こんなうらぶれた場所に誰が花を育てたのやら。まあ良い。誰が育てようと花は花にござれば。
校舎という建物は全国何処でも同じ様な形をしているが、山奥のそれも人気の無い校舎に花が咲き誇る様は珍しい。そして整備する者が居なくなれば自然に還る。それ自体は別に憂える事ではなくて、一つの事実に過ぎないんでござる。にんにん。
マフラーを靡かせてぼーっと遠くの竹林を見ている。こうしていると視力が良くなるのでござる。本当でござる。
※変更アドリブOK
虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞ
POW
とりあえず散策してみようかな
タブレットで植物図鑑のアプリかサイトを探して
それを見ながら散策するね
双眼鏡もあれば遠くのものも確認できるね
いざとなればタブレットのカメラでズームだね
ニトロ・トリニィ
綺麗な景色だね!
ここなら先程までの戦いの疲れも取れそうかな。
… カメラを持ってくれば良かったよ。
【行動】
先程の戦いで軽機関銃【rosé】に無理をさせちゃったから、点検でもしようかな。
小さい部品は《念動力》で浮かせて無くさないようにしながら行うよ。
他の仲間とも、〈礼儀作法〉を使って会話してみようかな?
アドリブ・協力歓迎です!
●
おぉ……。見事だね……。
うつろぎは校舎屋上、そこにいた。全棟を使った広大な屋上はいたるところに花壇やプランターが設置され、圧巻といった様子でこちらにその存在を知らせてくる。
「どれどれ……」
もっと近くで見てみようと、花壇に近づくが、身体が重い。引きずるように軟体の身体を運んで行く。
随分無茶したからね……。
先ほどのことだ。自分は、”武装少女”達との戦闘でその身を自爆させ、敵を撃破した。
「いたた……」
多数の敵を巻き込んで自爆したはいいが、自爆後の隙を狙われ、残った敵から何発も銃弾を浴び、その辺に転がっていたのが先ほどまでだ。
「でもまぁ勝ててよかった。……と」
花壇の前まで来たので、手に持っていたタブレットでインターネットに接続。そこで園芸やガーデニングといった内容が充実したサイトにアクセスすると、目の前の花と画面を見比べる。
「デイジー、ゼラニウム……。色々あるんだね」
あっちにあるのは何だろうか、とそう思い、そちらへ向かおうとしたそのとき、自分の後ろから足音が聞こえた。
振り返るのと同時、校舎と屋上を繋ぐ扉が開け放たれ、最後の一人が屋上へ入って来る。
「やあ、お疲れ様。真多子君」
●
「わー! 綺麗な花壇! あっ、お疲れ様っ、うつろぎさん」
真多子は扉近くで立ち止まり、屋上を見回す。
既に、他の皆は屋上の各地で思い思いに楽しんでいる。自分の目の前に広がるのは花壇やフェンスに植えられた花々だ。
「色々な種類の花が、配置も考えて植えられているね」
うつろぎが花壇の周りをタブレットを片手に興味深そうに覗きこみながら、軟性の身体を引きずっている。
「何か、しんどそうだけど大丈夫~?」
「うん……。――実は少し前に自爆をしてね。こう、カッとなったというか、カッ……! となったよ」
「そういう”カッとなった”の使い方は初めて聞いたかなー……」
人生死ぬまで勉強だねー、と思っていると、
「あははっ。何か不思議な会話してるねー、二人とも」
近く、テーブルもセットになった椅子の方から視線を感じた。見れば、ニトロが笑みの顔でこちらを見ている。
●
ニトロは屋上へ入って来た真多子へ顔を向け、身体は正面、テーブルに向かっていた。
両手はテーブルの上に置かれ、そこにある部品を手に取っている。
「あっ、ニトロさんもお疲れー。銃の点検してるの?」
軽機関銃【rosé】の部品だ。自分の愛銃であるそれは、現在、テーブルの上に寝かし置かれ、その姿を分けられている。
「お疲れ様。うん、さっきの戦いで結構激しく使ったからね。分解して点検中。それで、細かい部品は無くしちゃ駄目だから……」
自分の周囲に、分解された機関銃の細かなパーツ達が宙に浮く。手を使わず眼前まで持ってきて、陽光に照らして傷や損耗を確かめる。
「念力で、こう。……うーん、結構な時間撃ってたから、バレルがちょっとダメージ負ってるかな」
「おぉ~!」
「成程。合理的だね」
うつろぎの言葉にはにかみながら、でも、と宙に浮かしていたスコープを覗きこんだ。
「花壇も綺麗だけど、景色も綺麗だよね」
「私もそれ思った! 桜は咲いてるし、竹の葉も青々しいしで、見事だよねー」
自分も双眼鏡を取り出し、見る。隣のうつろぎはタブレットのズーム機能だ。
「あ、そのために?」
「持ってきた理由としては、植物図鑑やサイトでここの花を調べてたんだけどね」
「ほうほう。どんなのがあったの?」
「デイジーやゼラニウム、ベゴニア。ユニークなのだと……」
うつろぎが山から視線を外し、
「あそこにある、ゴールドコインとかかな。名前の通りの見た目で面白いよ」
「――あら、それは何だか景気の良い名前ですね」
この声は、と思い振り返る。
「紅葉ちゃん!」
●
「お疲れ様です。皆さん。終わりましたね」
紅葉は、真多子達の背後から声をかけた。
「あっ、服がいつものやつに戻ってる!」
「ええ、早着替えでちょちょいと。……しかし、本当に綺麗な景色ですね」
「あー、カメラ持ってくればよかったなぁ……」
残念そうにニトロが苦笑していると、自分の横から声が来た。
「ねねっ、三人はどんな話してたの?」
共に来ていたあやだ。両手を体の後ろに組みながら尋ねる。
「んー? 今日の振り返り? みたいな? だよね?」
「うん。それで私の自爆やニトロくんの武器の話になってね。あとは花や景色の話も少々」
「機関銃整備してる僕が言うのも何だけど、傍から聞いたら物騒な話だよねー……」
ニトロの言葉に思わず笑みをこぼし、視線を景色から学校の敷地内に向ける。
「ふふっ……。ここからでも見えますね、正門、の跡地。でもまぁ、その自爆の後に私や他の人が続いたわけで」
そう言って、背後、校舎内へ続く扉の上、そのスペースに振り返る。
下から見上げる先にいる人物は、マフラーを風に流しながら、遠くの竹林を見ていた。
「あの時はありがとうございました、――かごめさん」
●
「にんにん。こちらこそ、でござるよ紅葉どの」
かごめは皆より高い位置、そこで視線を竹林から外し、皆を見た。
「”武装少女”も”無限無尽光”も、紅葉どののみならず、出陣した全員の連携が活きたものかと」
「あ、それ同感! 私、校舎の時も体育館の時のどっちでも、真多子さんとか他の皆がいるから歌と楽器でサポートって出来たわけだし」
「戦闘の始まりとしては、ニトロくんが今整備している銃、【rosé】で敵を攻撃し、正門に集まった敵を私が吹き飛ばして……、と続くわけだからね」
「そして、私が正門に行って工作し……」
「それで、あやさんの言ったことに繋がるわけだ」
頷く。
「ならば、労いや感謝の言葉は皆が等しく分担し、しかし皆で分け与ったものであっても、受け取った皆が十分と感じればよいのでござろう」
今いる場もそうなのだ。こんなうらぶれた場所に誰かが花を育て、しかしそれを自分達は満ち足りたものとして受け取る。
「ここも見事に美しい庭園にござるが、整備する者もいなくなればいつかは自然に還るでござろう。しかし、それ自体は別に憂うことではなく、一つの事実に過ぎないのでござる」
そうして、また、山にある竹林に目を向ける。
「人の結びつきや、自然の循環。それら巡り巡って得るのは、正しく”輪廻”でござるな……」
そうして言葉を打ち切り、竹林を見続けていたら眼下、屋上で動きがあった。挙手だ。
「あ、あのさ……。皆……。ちょっといいかな……?」
今まで沈黙を保っていたその人物が、控えめに、と言える念で言葉を発す。
「……? どうしたでござるか? 多喜どの」
「い、いや、変な話ってことだったら、もっと……、こう……、直接的なのがある気がするんだけど……」
「……?」
皆が顔を見合わせて、首を傾げる。
「……何のことか分かるでござるか? あやどの」
「えー……? 分かんない……。紅葉さんは?」
「一体どうしたのですかマイシスター……。真多子さん、分かります?」
「う~~ん……。私も……。ニトロ君〜」
「僕も分からないな……。うつろぎさんはどう?」
「同感だよ……。これは大きな謎だ……」
多喜が信じられないものを見る目で皆を見てきたので、まだ尋ねてない相手にも聞いてみる。
侍女服姿の相手は少し離れた所のベンチに座り、景色を眺めていた。エミリィだ。
「エミリィどのはどうでござるか? 何か変な所に気付かれ申したか?」
「変なところですか……。特に感じませんね。――ですよね、私」
そう言って侍女が、隣の侍女に尋ねる。
「いったいどうされたのですか数宮様。ねえ、私」
またさらに隣に尋ねる。
「心配ですね……。そっちの私、貴女は何か」
「無事に邪神である無……。無? 無……、無ー……、無限……。無限、無限光? を倒したばかりだと言うのに……。怖いですね……」
「ちょっと待って下さい。”無限無理光”だった気もしますよ、私」
「無ナントカ無カントカ光、ってところは、私も他の私も覚えているんですが……」
さっき、それがしが口にしたばかりでござるよ?
「まあ、顔埋まりマンでいいでしょう……。――賛成の私は挙手を。……二七票!! この短時間の間に二人増えた私も含めて全員賛成ですね。つまり民主的にグッドなことなのですが頭を抱えてどうされましたか数宮様」
「そういうとこだよ……!?」
向こうは大変そうでござるなー、と思いながらそれがしは二七人の侍女服姿も含みで皆と景色や花を楽しむでござる。にんにん。
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あっ……! 皆、庭園堪能し始めた……!
多喜はこちらから顔を背けた皆を見て、自分が孤独になったのを感じた。
「それで、何ですか数宮様。私に何か」
相手は、この庭園に入って来た時からすでに各所に散らばっていた二七人だ。
緩やかにこちらを包囲している。
「い、いや……。そういうわけじゃ……」
「もしや、私が何かするとでも思っているのですか……? こんなほのぼの空間で」
「だ、誰もエミリィさんとは……」
「じゃあ誰ですか」
「い、いや。誰、ってわけじゃないけど、アタシの”超感覚探知”が危険人物の存在を告げててさ……。いや、無くても多分分かるけど」
「ほほう。数宮様は、その危険人物が、何かをしでかすと?」
「こう……、開放感とかそういうのでテンション上がって屋上走り回ったり、フェンスよじ登ったり、巨大メイドロボになったり……」
「最後の部分で個人を特定しているように聞こえますが、まあいいでしょう。――というか、しませんよそんなこと」
「えっ」
今、ハモったけど私以外にも誰か言ったね?
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「えっ。とは何ですか……。走り回るとか、よじ登るとかそんな危険なことはしませんよ」
落ちたりしたら危険が危ないです、と言葉を付け加えながら、エミリィは見る。
色鮮やかな花壇や、遠く離れた距離でもその生命力をこちらに届かせる山、共に同じ敵を打倒した仲間達や分裂した自分達といった周囲全てをだ。
「素敵な庭園に、見事な景色。さすがはクリア後のボーナスステージです。こんなシチュエーションだと、お茶会なんてのも乙だと、そんな風にも思いますね。――まぁ、私、お茶淹れられないんで言うだけですけど」
メイド服着てるのに……? という視線を何人かが向けてくるが、そういうものです。
ともかく言葉の後、多喜から視線を外して、ベンチの上でリラックスした姿勢をとる。
足を少し前に投げ出し、手を体の横、ベンチについた。
見れば、他の自分達も庭園内を歩いたり、花を興味深げに眺めたり、目を細めて景色を眺めたりと銘々にリラックスしている。
それらを確認した後は自分も一度伸びをして、空を見上げる。自然と欠伸が出てきた。
「ふぁ……。折角の休息ですからね。たまにはゆっくりするのもいいものです」
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多喜は思う。しまった、と。
「あー……。疑ってごめんね、エミリィさん」
「構いませんよ。ささ、数宮様もまったりして下さい。またーり」
隣を促されたので、座ったところで気付く。
「………………でも、何で分身してるの……?」
「よくぞ聞いて下さいました。今回はかじできないさんズも頑張ってくれましたからね。景色を楽しむのを許可したんです」
へぇ、と眉を上げ、エミリィの方に顔を向ける。
「どんな活躍したの?」
「ええ、とりあえず手始めに、敵の一人へ人間ピラミッドで近づいたら二五人ほどやられまして」
「……活躍……?」
「それでまあ、その後は遠距離からスナイプして、二五人で校舎内に突入して、敵に芋煮を振る舞おうとしたら逃げられたので追いかけ回したりしまして」
「何言ってるか分かんないけど情景が想像できるから凄いよね……」
いやあそれほどでも、って顔してるけど本人が喜んでるから良いのだと思う。
「はぁ……。結局エミリィさんはいつも通りってことだね」
「私はいつもいつもどおりですよ。顔埋まりマンも倒しましたし、ここからはゆったりのんびり、です」
「顔埋まりマン……」
「でもまぁ、変わった敵だったね」
フェンスの花を興味深そうに覗きこんでいたあやの言葉に、紅葉も続く。
「死が救い……。来世があるとしても、急いで参ることも無いでしょうに」
彼女は屋上の中心に立ち、遠くを見つめている。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず……でしたっけ。現世が全てというわけでも、輪廻を否定するわけでもありませんが、やはり今この時を楽しまなければ」
そう言って、彼女が懐から何かを取りだした。それは、薄く、板状だった。
「……カード?」
疑問の表情を投げかけると、紅葉は意味深に微笑んだ。
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……?
あやは紅葉が取り出したカードを興味深げに眺めていると、それはすぐに形を変えた。カードから一瞬光が生まれたかと思えば、紅葉の側に場が出来たのだ。
場は周囲より一段高く、腰掛ける程度の椅子があり、
「あ、スピーカーだ!」
音響設備が備え付けられていた。
演奏台だ。
「――」
椅子と言うよりは腰掛けといったスペースにその身を置いた紅葉が、微笑みながらギターを奏でる。テンポは明るく、陽気は透明感を持って周囲に響き渡る。
でも、どこか悲しい雰囲気もある……。
速度と高低で全体のバランスを哀調に調律し、送っているのだ。
……よし!
そうした雰囲気の中で、自分は一歩踏み出すと、
「――」
歌った。紅葉の曲に合わせてだ。
気づいた紅葉がこちらにウィンクを寄越し、互いに曲や歌声を調整していく。
突発的に始まり、自分が知る曲でもないため歌詞も何も無く単純な発声だが、そのイレギュラーやアドリブな感覚に酔いしれるように歌う。
「――」
一定のメロディをリピートしたら、次からは歌詞を即興でつなぎ合わせていく。今回だけの、特別楽曲だ。
花達もびっくりしたことだろうし、お詫びにね……!
花壇の花々に向け、歌っていく。
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真多子は屋上の中でもさらに高所にいた。校舎内へ続く扉の上、そのスペースだ。
「皆、賑やかだねー……」
視界の下では、皆が紅葉とあやのセッションをBGMにリラックスした様子で過ごしている。
「かごめちゃんは下降りないの?」
隣に立つかごめに顔を向ければ、かごめは竹林の方を眺めていた。
「ここは高く、一望できるでござるからな」
「あ、分かる〜。いいよね、高いところ、ここだと皆のこと見れるし。かごめちゃんは何見てるの?」
「竹林にござる。こうして遠くを眺めていると、視力が良くなるのでござるよ。本当にござる」
「健康志向だねー……」
私も見習わなくっちゃなー、とそんな風に思っていたら、かごめが横目でこちらの手元を見た。
「……? 真多子どの、その花は?」
「これ? 下で見つけたの。ガーベラって言うんだって。カラフルで可愛いよねー」
赤や白の色を両手に持ち、顔前に掲げる。
「やっぱり管理する人がいなくなったからか、折れて落ちちゃったのが花壇の中にあってね、それを摘んできたの。両手で持ってスイスーイと吸盤でここまで上がってきてさ」
太陽にかざせば、色味が増し、思わず目を細める。
落ちていたといえども未だ十分にその色を誇っている。
そういえば、ガーベラの花言葉ってなんだったかな……。
うつろぎくんに教えて貰えばよかったや、と下からのギターの音色と歌声を聴きながら、思う。
どーだろ、と。
「……アイツらの話はよく分からないけど、キミ達の色みたいに明るければ、今の世の中をもっと真っ直ぐ進めたのかな?」
折れて黒ずんだ茎を撫で、花弁をそこから抜き取る。
「そーれっ」
言葉とともに、細かくその身を分けた花弁達を一斉に風に流す。
かごめが棚引くマフラーをそのままに、空を見上げた。それにつられて自分も、銃の点検を行なっていたニトロやタブレットと花を見比べていたうつろぎ、互いに談笑していたエミリィと多喜に、演奏と歌唱を合わせていた紅葉とあや。
屋上にいる皆が見上げた。
「――」
誰からともなく散っていく花弁に言葉を送り、手を振ったりする。
そうして花弁は風に揉まれ、やがてどこかへ運ばれていった。
成功
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