メイド☆パニックは、鋼鉄の夢
●ストレス
文化祭。
それは学生の時分においては、一大イベントであろう。
年に一度しか行われぬ、まさしく祭りである。
日頃の学習、活動の成果を発表し、それを鑑賞する文化的な行事であると言える。また学生たちの自主性を育てるという意味では、確かに文化祭とは学生生活において得難い機会であると言えるのだろう。
また、学園祭と呼ばれる行事は、基本的に学生全員が参加するものである。
世界的に見ても珍しい日本独自の文化であるとも言える。
そうした文化祭。
学生たちによって行われるのは創作活動や演劇発表が主だったものである。
その中でも模擬店というのは、とりわけ学生たちに人気があるのだ。
祭りの真似事……社会参加の前の予行練習とでも言おうか。
縁日などで見かける屋台を己たちでやってみる、というのはどこか大人の領域に自ら一歩踏み込んだような、自身の成長を感じさせるに違いなかった。
例え、それが背伸びをした程度であり、また学生という下駄を履いた状態であっても、だ。
結局、楽しいのだ。
真似事であっても、その日限りの催しであっても、自ら行動し、その責任を負うということは。
だがしかし、である。
そう、どれだけ自ら責任を負うとは言っても学校生活の範疇のこと。
当然、学校側も何かあれば責任を問われる。
であればこそ、学校側も学生たちに自由と野放図を履き違えられては困るのだ。
故に制限をする。
それはよろしいが、これはよろしくない。
とまあ、有り体に言えば、学生らしさ、というものを大人の観点から押し付けてくる。
「だからって……! あんなのはあんまりだ!」
時はすでに卒業式シーズン。
最終学年を終えようとしている学生たちは皆、一様に拳を握りしめていた。
確かに学生生活はこれで終わりだ。
春からは新たな門出に歩みだしていかねばならない。
悔いのない学生生活など、おそらくありえないだろうこともわかっている。
けれど、だ。
「思い返してみても、腹立つぜ……!」
「俺達、あんなに一生懸命だったのに……!」
「なのに大人ってのはいつもそうだ! いきなりこっちの都合もお構いなしに、一言で片付けやがる!」
「あんな横暴……!」
学生たちは、ふつふつと沸き立つような怒りを覚えていた。
そう、彼らは思い出していた。
学園祭のことを。
彼らは、その日のために多くの努力をしてきた。根回しだってしてきたし、みんなで一つの目的に向かって邁進することの意味と楽しさ、そして意義というものを学んだ。
だが、学校側から突きつけられたのは一言。
『学生の本分に相応しくない模擬店を禁ず』
たった一言。
たった一文。
それだけで己たちの青春は斬って捨てられたのだ。
「そんなこと許されて言い訳がない!」
「そうだ! そうだとも!」
彼らの瞳から溢れるのは、大きな夢という光、希望という光が生み出す影。
そう、即ち、ストレス。
そのストレスは、彼らの身から『骸の海』として溢れさせてしまう。
彼らは願っていた。
もう終わってしまった学園祭。
その学園祭にて……。
「メイド喫茶やりたかった……ッ!!!」
あ、わりと、その――。
●アイドル☆フロンティア
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。新たな世界、アイドル☆フロンティアのある学校で男子学生たちが卒業式を控えていましたが、『大きな夢故に強いストレスを抱えてしまい』、一斉に『骸の海』を溢れ出させてしまうことが予知されたのです」
彼女の言葉に猟兵達は頷いた。
アイドル☆フロンティア。
この世界の人々は、心のなかに『骸の海』を抱えている。
その溢れた『骸の海』によって、人々は社会に迷惑をかける奇行や凶行に走ってしまうオブリビオンへと変貌してしまうのだ。
「彼ら……男子学生たちは皆、ヴィクトリアンメイド服を手にして、校内のあちこちで女子学生たちにメイド服を着せようとしています」
ナイアルテは真面目な顔をしている。
事件の予知、だよね? と猟兵の一人は思ったかもしれない。
ヴィクトリアン、なに?
「メイド服です。男子学生達は皆、今年の最後の文化祭にてメイド喫茶を企画していました。模擬店は、希望するクラスが多いため、三学年のクラスしか実施できないという決まりがあるのだそうです」
いや、そうじゃなくて。
「彼らは奔走しました。クラスの男子は皆仲間です。投票をすれば確実に半数が取れます。女子生徒の中にもメイド服の可愛らしいデザインに興味を持つ方もいらっしゃるでしょう。となれば、対抗馬である、たこ焼き屋さんとクレープ屋さんの票数が割れれば、確実にメイド喫茶が当選すること間違いなしだったのです」
ですが、とナイアルテは続ける。
「学校側から風紀の乱れにつながるとして、メイド喫茶の実施が取りやめになってしまったのです。その無念を抱えたまま彼らは今日までストレスを抱えて来てしまったのです!」
のです! と力説されてもなぁ、と猟兵達は思ったかも知れない。
いや、大分聞いたが、割と、その、くだらない理由であった。
だが、男子学生たちにとってはくだらなくなんてないのだ。
見たかった、あの子のメイド服。
呼ばれてみたかった、おかえりなさいませ。
笑顔で言われたかった、御主人様。
やけにエコー効果で聞こえる謎の合唱。
「彼らは誰かをメイドにする前には、自らメイドにならねばならぬという鋼鉄の意志で悲哀なる志を纏ってしまったのでしょう」
そうか?
我欲の塊では?
「まずは、校内で狂えるメイド服への執着を持った彼らを集め、どこか一箇所に集めねばなりません。そうです……彼らを一箇所に集めなければ、アイドルステージに引っ張り堕すことはできないのです」
なんて?
アイドルステージ?
そう!
説明しよう!
アイドルステージとは!
このアイドル☆フロンティアのオブリビオンは非常に強大である。
そのため、人々の無意識が召喚され応援を得なければならないのだ。
アイドルステージとは正しく、人々の無意識の観客席! 観客を刺激する魅力的なパフォーマンスを加えて戦うことで、応援の量に応じてユーベルコードの威力も底上げされるのだ!
そして、それはサイリウムの光となって輝くのだ!
のだ、と言われても。
「そういうわけです! それにこの世界のオブリビオンはアイドルステージ上でしか具現化しないのです。彼ら男子生徒を全員を引き付ける空中戦もとい空中パフォーマンスで一箇所……そうですね、広い場所、運動場におびき寄せてください。そこでアイドルステージ・ショーオン! です!」
さあ、とナイアルテは何故かノリノリで猟兵達に手を伸ばす。
アイドル☆フロンティア。
アイドルになりたい! その願いと共に鬱屈たるストレスを解消するためにナイアルテは猟兵達を送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は新世界、アイドル☆フロンティアのとある学校にて『メイド喫茶という大きな夢を成し遂げられなかった強いストレスを抱えてしまった男子生徒たち』が一斉に『骸の海』を心から溢れさせてしまうという事件です。
彼らは突如として、女子生徒たちに手ずから作り上げたヴィクトリアンメイド服やらなんやらのメイド服を着せようと校内を走り回っています。
マジで大パニックです。
彼らをまずは何処か一箇所に誘導して、アイドルステージを出現させて救わねばならないシナリオになっております。
※アイドルステージとは。
出現したアイドルステージ上でしか、『骸の海』を心に持つ人々はオブリビオン化しません。
観客席には人々の無意識が『サイリウム』となって召喚されています。
その人々の無意識を魅了するパフォーマンスを加えて戦えば、応援の量に応じて威力が増加します。
この世界のオブリビオンはなぜか非常に強大ですので、応援が得られた方が良いでしょう。
●第一章
冒険です。
校内をものすごい速度で走り回って女子生徒にメイド服を着せようとしている男子生徒たちを、校内から見つけ出し、運動場へと誘導しなければなりません。
思春期の男子生徒たちを引き付けるようなパフォーマンスがあればよいでしょう。
●第二章
集団戦です。
学校のあちこちから引き寄せてきた男子生徒たちがアイドルステージで『アイアンメイデン』へと変貌します。
あの子のメイド服姿が見られなかったのなら、自分がメイドになってやる、という鋼鉄の意志の現れでしょう。たぶん。
これをぶっ飛ばして救い出しましょう。
●第三章
日常です。
ぶっ飛ばしてオブリビオン化から開放したことで一件落着です。
時はお昼ごろ。
であれば、皆さんの校内放送でお耳の癒やしを与えるのもよいでしょう。
皆さんに集まる質問に応えるのもファンサの一つかもしれませんね。
それでは、新たなる世界アイドル☆フロンティア。人々の心に沈むストレスを解消して、皆ハッピーにするためにパフォーマンスを決める皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『アイドルだって☆空中戦』
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POW : ド派手な空中パフォーマンスを披露する
SPD : 観客席の真上を駆け巡ってファンサする
WIZ : 空中から花びらやお菓子を振り撒く
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それは見果てぬ夢であった。
メイド服。
それは人それぞれに抱く最高の一着が存在するものである。
故に人は生きていける。
希望という名のメイド服を抱く限り、絶望なんてしないのだ。
だが、それが奪われたのなら?
「そうしたらもう戦争じゃろうがい! というわけで俺の最高のメイド服、ヴィクトリアンメイド服を着てくれー!」
「いいや、ギャルソンヌルックで!」
「クラシカルこそが古典にして至高! 揺れるロングスカート!」
「ばっかやろう! ミニスカメイドこそフェティッシュの極み!! であれば、いろんな絶対領域にどっきんこだろうが!」
「それならフレンチメイドがいい! セクシー&グラマラス! 最高!」
「奇跡のコラボレーション、バニーメイドも忘れてもらっちゃあ困る!」
「コラボと言えば、和風! 和ロリの組み合わせ! チャイナもいいぞ! 最近じゃあ、チーパオっていうのかもだけど!」
「スチームパンクにSF、ホラー! 何でも受け入れてまとめ上げる! メイドの可能性は無限大!」
「ダイナータイプもスポーティ! 元気でいいよね! そんな俺はミリタリーとの組み合わせもいいと思うますです!!」
「巫女! 袴! セーラー! 日本文化のミックス! 我らが心の元祖を忘れてもらっちゃあ困るぜ!」」
うるさ。
そんな学園祭でメイド喫茶を実施できなかったストレスをこれまで拗らせてきた男子学生たちが大いに叫んでいる。
手にした各々が最高のメイド服を来てもらおうと校内をひた走っているのだ。
正直、ちょっと怖い。
だが、猟兵達は彼らを運動場へと誘導せねばならない。
アイドルステージ上でしか、ストレスを抱えた男子生徒たちはオブリビオン化できないからだ。オブリビオン化できなければ、彼らの心に抱えたストレスは解消できない。
故に猟兵達は混乱と悲鳴満ちる校内へと飛び込まねばならないのだ――!
蒋・飛燕
●POW
うーん…男子ってどの世界でも馬鹿ばかりネ
でも、武蔵坂学園だったら悪落ちしたり、
RB団とかどうしようもない集団が定期的に発生してたりするから、これはこれで健全…アルか?
物理的に正気に戻せれば良いアルけど、ここ郷に入っては郷に従うヨ!
スレイヤーカードを取り出して、解除コードを詠唱ネ!
天が呼ぶ、地が呼ぶ、ご当地が呼ぶ!
悪を倒せとワタシを呼ぶ!
遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よネ!
武蔵坂駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』参上アルヨ!!
ふ、決まったネ…
思春期の男子が好きな物と言えば、特撮ヒーロー…って、何でワタシにメイド服を着せようと追うアル-!?
校内を直走るは男子学生。
彼らの手にあるのはメイド服。
それぞれが思い描いた最高のメイド服を意中のあの子やあこがれのあの子に来て欲しいという一心は、下心を通り越して純心であったことだろう。そうかな。そうかも。
「うーん……男子ってどの世界でも馬鹿ばかりネ」
そんな男子学生たちのパトスのほとばしりを前にして、蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)は、どうにも呆れるしかなかった。
確かに彼らの悲哀というものはわからなくもない。いや、やっぱりわからない。
「でも、これが武蔵坂学園だったら悪落ちしたり、
RB団とかどうしようもない集団が定期的に発生していたりするから、これはこれで健全……アルか?」
どうだろうか、と飛燕は首を傾げる。
とは言え、彼らの鬱屈たるストレスが原因で『骸の海』が心よりあふれるのは避けたいところである。
であれば、彼らの心を救うしかない。
だが、彼らを救うためには、アイドルステージへと彼らを上げねばならないのだ。
そのためにも、飛燕は男子学生たちを広い場所……すなわち、運動場へと誘導しなければならない。
「あーもー! ここ郷に入っては郷に従うヨ!」
飛燕は色々と面倒になりながらスレイヤーカードを手にし、叫ぶ。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、ご当地が呼ぶ! 悪を倒せとワタシを呼ぶ! 遠からんものは音に聞け、近くば寄って目に見よネ!」
飛燕の身が煌き、その姿は光り輝くヒーローの姿へと変貌する。
それはある種のアイドルじみた煌きであったことだろう。
「武蔵坂駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』参上アルヨ!!」
その姿に男子学生たちは足を止める。
なんていうか、日曜朝あたりから放送されていそうな雰囲気に気を取られたのかも知れない。
「ご当地ってそういうのだっけ?」
「地域限定しすぎて規模が小さいのか大きいのかわからん」
「いやでも俺は好きだよ。チャイナルック。そういうわけで、俺の最高のメイド服であるところの、チャイナメイド服を着てくれ! いや、着てください! お願いします! なんでもしますから!」
ぐいぐい来る男子生徒。
飛燕からすれば、己の変身バンクを見れば、惹きつけられると思っていたのだが、なんかこう思ってたのと違う。
特撮ヒーローは男子の大好物。
であれば、そうした姿を見せた飛燕に食いつくと思っていた。
だが、男子学生たちの目の色が違った。
ちょっと怖い。
「メイド~メイド~……」
さながらゾンビパニックのように飛燕を追いかける男子学生たち。
手にはチャイナメイド服。
「な、なんでワタシにメイド服を着せようとするアルー!?」
「だって、似合いそうだから! いや、似合いそうじゃなくて、絶対似合うから! むしろ、着ないっていう選択肢がある事自体が罪だと思う!」
「そうだそうだ! 本場のチャイナ娘の、アル語尾聞いて我慢なんてできねぇぜ! ちょっとだけ! ちょっとだけメイド服に着替えてもらうだけだから!」
「ひっ、な、なんか本当に思っていたのと違うアルー?!」
飛燕は惹きつけるというより、追い立てられるようにしながら男子学生たちを運動場へと誘導するように飛び……いや、逃げ回るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
マジョリカ・フォーマルハウト
話は聞かせてもらった
メイドだな?
メイドを着てよいのだな?任せよ
このわしが学園に降臨せし深海系アイドル
錬金天使マジョリカちゃんである!
くくく…
人間界の女児アニメなるものを視聴した
一般的な男子高生は他者に任せ
特定の層を狙い撃ちしてくれよう
文化系らしき輩を探し
まずは奴等の知性をUCでクラッシュ!
崇めよオタク共
貴様らが愛好してやまぬロリババア
しかもメイド服であるぞ
ヴィクトリアンを求めるも良かろう
いかにもメイド喫茶らしい
フリフリヒラヒラもかわいかろ〜?
希望があれば何なりと申せ
運動場に来れば着てやろうではないか
写真はSNSで共有し同好の士に広めよ!
ふ、馬鹿につける薬はない…
一着千円は徴収するぞ
ボロ儲けよ!
メイド。
それは奉仕の体現者。
そして、人はそれぞれに己が思う最高のメイドさんを抱くものである。
言い切ったのは早計ではないか?
否。
断じて否である。
誰もが心に最高を持つ。至高とは即ち、山の頂。
いくつもの山が存在し、その頂きを己が目で見た景色こそが至高であるのだ。
故に、誰もが心にある最高を叫べばいい。
そういうものだ。
「話は聞かせてもらった」
混乱渦巻く校内にて、マジョリカ・フォーマルハウト(みなみのくにの・f29300)は階段の踊り場から運動場を見下ろす。
心に骸の海を宿すのが、このアイドル☆フロンティア世界の人々。
であるのならば、この混乱の中心にいるのはこじらせにこじらせた男子学生たちのパッションとパトスとなんかこういろんなアレである。
故にマジョリカは笑む。
「であれば!」
彼女は踊り場から飛び出し、一気に飛ぶ。
目指すはそう、部活棟!
それも体育会系の部活棟ではない。文化系の部活が連なる部活棟へと彼女は飛び込み、片っ端から部室のドアをぶち開けた。
「は、はわわわわっ!? な、何事!?」
「わ、我輩らの城を無断で開けるとは一体!」
「ぶ、無礼ですぞ!」
なんかこう、色んな意味でこじらせている男子学生をマジョリカは見下ろす。
「くくく……」
まるで悪役である。
しかし、彼女が見下ろした先にいた男子学生たちの手には、まごうことなきメイド服が握られていた。
彼らもまたメイドに飢えた男子生徒。
されど、校内を混乱に陥れるような度胸がなかったのだ。こうして悶々とした思いを彼らのテリトリー、パーソナルスペースでもある部室で慰めていたのだ。
友といれば、不満も癒やされる。
そういうもんである。
「うまとしかのそなた(アルフェラッツ)らに告げる!」
ゆーべるーこーどー!!
しましょうか!!
煌めくマジョリカの瞳と共に隆盛のごとく『馬鹿につける薬』を放ち、男子生徒たちの知性を著しく低下させる。
それはユーベルコード。
その薬を頭からぶっかけられた男子生徒たちは、光り輝く頂点……即ち、マジョリカを見上げる。
「お、おおお!」
「崇めよオタク共。貴様らが愛好してやまぬロリババア。しかもメイド服であるぞ」
マジョリカの姿は、あまりにも素晴らしく後光が指していた。
神々しすぎて目が潰れる。
それほどの衝撃。
部室の中の男子生徒達は皆、平服していた。
「ヴィクトリアンを求めるもよかろう。いかにもメイド喫茶らしいフリフリヒラヒラもかわいかろ~? 希望があれば何なりと申せ」
「い、いいのですか!?」
「そ、そんな光栄の極みを!」
「よいぞ。だが、運動場に貴様らが来れば着てやろうではないか」
「しゃ、写真はよいですか!」
「よいとも。SNSで共有し、同好の士に広めよ! バズらせるのだ!」
その言葉に男子生徒たちはマジョリカを崇め奉るようにスマートフォンで写真を撮りまくり、それをSNSで拡散していく。
当然ながら、マジョリカの美貌は言うまでもない。
特定の層にぶっ刺さる属性を持った彼女のメイド姿の威力はとんでもなかった。
「一着千円徴収であるぞ。ぬかるなよ」
「はっ、ハハハーッ!!」
女児アニメから彼女は知識を得たらしいが、どう考えても悪役の方を参考にしたのではないいか。
だが、マジョリカは笑む。
これで男子生徒たちが運動場に集まればば、それこそ……。
「ボロ儲けよ! 笑いが止まらぬわい、クククッ――!」
大成功
🔵🔵🔵
勧禅寺・宗大
アドリブ可
さて、歌と踊りで魂を鎮める世界と聞いて来たが…
この盛況は凄いなと初異世界に見た目並に目を輝かせはしゃぐ。
だが仕事は仕事、【天網】をふわふわさせて【式神酒池肉林の陣】発動。
その…絵で見せて貰った冥土の服とやらの美女達の幻影を使えば
相手を選定して引き寄せる事も可能かもしれん。
とりあえず天網に冥土の美女に引っかかった者を誘導させて
私はそれについていく形でその冥土服を持った者かを確認して集めて行こう。
あ、後は流石にダメージは出来るだけ抑えておこう、
助ける前にボロボロになっては敵わんしな。
ん、変わってた格好?可愛い?
まあ祭の悪ノリって事にしてくれ。
やはり常識が違うなと実感してしまうなと困り顔。
異世界。
それは多世界を行き来する猟兵であればこそ認識できるものであった。
異なる世界であれば、異なる文化が根付くのも頷けるところである。
若人たちが青春を謳歌する学び舎。
それがこの学校という場所であるということを勧禅寺・宗大(平安貴族(正四位下)の幻惑の陰陽師・f43235)は知る。
「この世界、歌と踊りで魂を鎮める世界と聞いて来たが……この盛り上がりは如何なるものか」
初めて異世界へとやってきた彼にとって、目に映るもの全てが新鮮なものであった。
目が輝くのは好奇ゆえであろう。
彼の目の前にある学校、その校内は大騒ぎであった。
わーきゃーわーきゃー。
そう文字に起こせば、そのような音であっただろう。
校内のあちこちで男子が女子を追いかけ回している。その手にしているのは様々な形をした着衣であった。
宗大にすれば、その着衣が如何なるものかはわからなかった。
「あれなるは如何なるものなんだろうか? なあ、そこの。これは一体どういう騒ぎなんだ?」
「ん? メイド服だよ、メイド服!」
男子生徒の言葉に宗大は、ふむと頷く。
冥土服。
何やら誤解が生まれそうな字面である。
「なるほど。冥土服。であれば、『天網』よ」
彼の思念から生み出された蛾の式神が空に舞う。
羽ばたくと鱗粉が舞い散り、校内に酒池肉林の幻影が男子生徒たちに降り注ぐようだった。
「な、なんだ!? まさかアレは俺のお宝本!?」
「お宝本!?」
「冥土の土産にメイドさんをもらえるっていうあれか!?」
どれなのか。
「どういうことなのだ? 文化が違うのか? それとも俺がまるで、この世界の世俗といううものをまだ理解できていないということなのだろうか?」
まったくわからないが、宗大のユーベルコードによって生み出された幻影に男子生徒たちは引き寄せられるようにして運動場へと向かっている。
「んむ……やはり世界が異なれば常識が違うのだな」
こんなもので男子が誘引されていくのは、なんとも言い難い情景であった。
「男子は皆、冥土服なるを持っているのだな。そういう習わしなのだろうか?」
まあ、どちらにしても、これは祭りなのだろう。
真面目に取り組むことは大切なことだが、何も全てに対し生真面目になる必要もないだろう。
ぞろぞろと列なす男子生徒たちの後を宗大はついてき、運動場に思った以上に集まっていることに驚くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
銀座・みよし
お邪魔いたします
メイドをご所望と伺いましたので、参上いたしました
ですが「思っていたのと違う」ようなご様子が見受けられるような…?
ともあれ、メイドにとって何より大切なのは【礼儀作法】です
まずは自己紹介を…わたくし、銀座みよしと申します
ええ、本職本物のメイドにございますよ?
さて、本日は学園運動場にてティーパーティーを催す…とのことで、お手伝いに参りました
会場設営がまだでしたら、どうぞご遠慮なくお申しつけくださいませ
それでは…メジェドさん、本日のお客様方である…校舎内の元気な学生さまたちを会場までお連れくださいませ!
元気な方々ですからね、今回はスマートに実力行使で運ばせていただきますね
校内は乱痴気騒ぎであった。
男子生徒は皆、各々が思う最高のメイド服を手にし、女子生徒たちを追いかけ回している。
学園祭にて発散されなかった想いが、ストレスとなって彼らを突き動かしているのだ。
そんな中、ふわりと揺れるスカートの裾。そして優雅な所作でもって、一人のメイドが校内に現れた。
「お邪魔いたします」
優雅なカーテシー。
溢れ出る気品は光の粒のように周囲に舞い散り、窓から注ぐ光は彼女を照らすスポットライトのようであった。
「メイドをご所望と伺いましたので、参上いたしました」
みよしは、一礼の後に己を前にした男子生徒たちが固まっているのを見やり、首を傾げる。
「これは……俗に言う『思ってたのと違う』とおいうやつでございましょうか?」
しかし、男子生徒たちは拳を突き上げた。
力強く。
それはもう天を衝くかのような衝動であった。
「メイドさん、キタ――!」
「本職! 本物! 本場!」
「つるりとしたピンクのお肌……! つぶらな瞳! むしろこれはアリ!!」
「アリ寄りのアリ!!」
校舎がゆれんばかりの声。
みよしは、そんな凄まじい勢いの声を前にして頷く。
メイドにとって何より大切なものは礼儀作法。
受け入れられたということは即ち、ここからが本番なのだ。彼らが己のことを本場の、本物と言ったのならば示して見せなければならない。
「わたくし、銀座みよしと申します。ええ、皆様のご慧眼のとおり本職本物のメイドでございますよ」
「やっぱり!」
「溢れる気品! 所作の美しさ! 俺はわかっていたけどね!」
「いや、僕のほうが彼女の魅力を一番理解できるんだ!」
「なにおう!」
「やるのか! おお!?」
喧嘩が始まってしまう。
それこそ、それは『あいつの魅力をわかっているのは俺だけ』という心理であったことだろう。
みよしの溢れ出る本場メイドの所作に男子生徒たちは見目姿というものに対して頓着はしていなかった。
メイドとは生き様。
であるのならば、容姿など些細なことであったのかもしれない。
「ええと……本日は学園運動場にてティーパーティを催す……とのことで、お手伝いに参りました。それでは……メジェドさん」
みよしの瞳がユーベルコードに輝き、ぽこぽことメイド姿のメジェド神が召喚される。
彼らはとことこと走り出して、喧嘩を仲裁し、男子生徒たちを運動場にいざなう。
「マスコットキャラ! かわいっ!」
「え、こっち? でへへ」
「さあ、こちらです」
男子生徒たちはメイド姿のメジェド神にデレデレしている。
勝ち気な男の子も内気な男の子も、総じて男の子なのだ。彼らを誘導しながら、みよしはスマートそのものたる所作でもって運動場へと男子生徒たちを集めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
宵空・鈴果
アドリブアレンジokです
不純な動機が前面に出てたのが敗因なのでは……?
と思いつつ
みんなで楽しむ場が台無しになっちゃうのはイケてないと思うりん☆
お祭りは楽しくなくっちゃ☆
●
屋上などの高いとこからステージまで詠唱ハンググライダーで滑空してからステージ真上でとうっと落下
UCでティンクルスターを召喚しつつそれを足場にぽよんと跳ねてすちゃっと着地☆
諸々の特技でこういうのは大得意だりん☆
あとはそのまま勢いとノリで!☆
歌唱はそこそこだけれども、ダンスと情熱は自信があるりん☆
学生も勉強や進学や就職に、もちろん恋だって☆いっぱいがんばってるし
こういう催しでこそ、わーっと楽しくいかなきゃダメダメりん☆
男子生徒たちは慟哭していた。
そう、学園祭で風紀を乱すからとメイド喫茶が禁止されたことに哭いていた。男泣きした者たちは数しれないだろう。
それほどまでに彼らはメイド喫茶を欲していたのだ。
けれど、大人ってものはいつだって体面を気にする。
そんなものが何に役立つのか、子供にはわからないのだと一蹴するのだ。
どんなにそれが男子生徒たちの心を傷つけたかわからない。
時が傷を癒やしてくれるとは言うが、それでも痂のようになった心はじくじくとストレスを溜め込んでいく。
そして、そのストレスは心のなかにある『骸の海』を溢れ出させてしまうのだ。
だからこそ、猟兵達は彼らの心を救わねばならないのだ。
「不純な動機が前面にでたのが敗因じゃないのかなって思うりん……?」
宵空・鈴果(星と月のエアライダー・f37140)はド正論を心に抱いていた。
ぜひとも、そのまま胸中だけにとどめておいて欲しい。
ド正論は時に人の心を粉砕してしまうからだ。
けれど、鈴果は思う。
確かに学園祭でメイド喫茶ができなかったことは、悲しいことだ。
けれど、その悲しみが皆で楽しむ場を台無しにしてしまうのは、イケていないことだ。
お祭りは皆で笑顔になる場所。
なら、鈴果は屋上に駆け上がって、空を舞うようにハンググライダーで滑空する。
見上げれば、彼女の眩しいおみ足が輝くようだった。
「な、なんだ!? ハンググライダー!? なんで!?」
「いや、それよりも見え……見えないッ!? まぶしっ!?」
見上げる男子生徒たちは鈴果が飛ぶ姿を指差し、しかし、あまりにも眩しい謎の光に目をつむるしかなかった。
「ハンググライダーは……運動場
……!?」
とうっ、と鈴果はいつの間にか設置されていた運動場のステージへと降り立ち、召喚したティンクルスターの上に飛び乗って、跳ねた。
揺れる体。
なんだか周囲に星すら散るようでもあった。
「それっ☆ 夜空にキラめくエアライダー♪ りんかですりん☆」」
ウィンクばっちりキメての登場に男子生徒たちは、鈴果のことを知らずともなんか、雰囲気だけで大盛りあがりであった。
「か、かわいい……!」
「あんな子、うちの学校にいたか!?」
「みんなー☆ こっちにおいでー!」
鈴果の言葉に男子生徒たちは、皆一様に走り出す。
その勢いは凄まじいものであったし、手にしたメイド服をぜひとも鈴果に来て欲しいという欲望がギラギラしているようでもあった。
いや、やっぱり、そういうところがメイド喫茶禁止にされた要因じゃないかな、と鈴果は思ったが、しかし、思惑通りであった。
ステージ上で歌い、魅力たっぷりなダンスを披露し、男子生徒たちを運動場へと誘引する。
「べんきょーに、進学、しゅーしょっく、もちろん恋だって☆ いっぱいがんばってるみんなー☆」
鈴果は手を振りながら、男子生徒たちを呼び寄せる。
「うおー! りんかりーん☆」
「りんりん☆ りんかー! おれだー! 結婚してくれーっ!!」
なんかアイドルステージが始まる前から凄まじい盛り上がりである。
そんな様子を見下ろしながら、鈴果は微笑む。
迸るウィンクから星がこぼれ、男子生徒たちは、己が手にしたメイド服を振り回し、鈴果のライブに盛り上がるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
なんなんですかこいつら……!?
この世界に限った事ではねーんですけど、この年頃の男ってーのはバカばっかりなんですか?
まぁでも空中戦って事ならボクの出番です!
派手に空を駆けて連中の目を釘付けにしてやるですよ!
ふむ、どーもヤツらは服の好みで意見が割れてるみてーです。
ならその内の一つに肩入れしてやるですかね。
かわいいボクが一つの衣装を着て気に入ったふりをしてやれば、他の派閥が他の衣装をオススメしようと押しかけて来るって計画です!
まぁ囮作戦ってヤツですかね、餌がボク自身なのはちょっと不本意ですけど。
ほら、やろーども!
てめーの好きな衣装を着せてーってんなら、全員で頼みに来るのが筋ってモンですよ!
「うおおおおおっ! メイドさん! メイドさん!! メイドさーん!!!」
それは雄叫びであった。
慟哭と言ってもいいほどの叫び声。
男子生徒達は皆、己が至高の一着たるメイド服を手に、狂乱じみた様子で校内を疾駆していた。
そのあまりの様子にファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)はたじろいでしまっていた。
「な、なんなんですかこいつら
……!?」
とんでもない勢いである。
熱量があるといってもいい。
それほどまでに男子生徒たちの目は血走っていた。
当然である。
校内に舞い降りたエンジェル……ファルコのトランジスタグラマーな姿を見て、発奮しないわけがないのである。
今の彼女はいい餌であった。
「この世界に限ったことではねーんですけど、この年頃の男ってーのはバカばっかりなんですか?」
イエス。
バカばっかりである。
愚直であるし、愚鈍である。だがしかし、勇猛でもある。
一つの目的に対して邁進する実直さがある。
人はそれを勇気とも呼ぶ。
「呼ばないでしょ。まぁでも……」
ファルコは己のウィングスラスターを噴射させ、校内を飛翔する。
「ボクの出番ってわけですよ。ほら、ボクにメイド服を着せたければ、追いついてみやがれですよ!」
その言葉にギラリと男子生徒たちの瞳が光る。
ん? 今? メイド服を着せたければ、追いついて見ろって言った?
「追いついたら着てくれるってことだよな!?」
「そういったな!」
「なら、追い込むぞ、お前らッ!!」
「んなっ!?」
ファルコは目を見開いた。
そう、ここは学校校内。そして、ファルコはこの校内のことを熟知していない。そう、ここは男子生徒たちの庭。
先回り、待ち伏せ、なんでもござれなのである。
確かにファルコは派手に飛んで彼らの注目を集めようとしていた。だが、それは逆に男子生徒たちに火をつけたのだ。
「おい! ぜってー、この和風ゴスロリメイド服をあの可愛い子ちゃんに着せてやるぞ!」
「は? ビキニメイド服に決まってるが?」
「でたよ、露出があればいいっていうすけべ。基本を知らぬ浅はかさったらないわ」
「やはりヴィクトリアンメイドが最高だろうが!」
「むっつりが何言ってがやる!」
追い込まれたファルコを前に学生たちは喧々諤々である。
大議論と言ってもいい。
「……」
ファルコは思った。
もしここで一石を投じるなら、どうなるか。
「あ、あー……ボク、このフリフリのチョコレート色したミニスカメイド服が、いいです、ねー……?」
その言葉は彼らの議論に一石を投じ、さらにファルコに迫る。
「いや、こっちが!」
「これがいいはず!」
「こっちに決まってる!」
その様子を見やり、ファルコは一気に外へと飛び出し、運動場へと飛ぶ。
「ほら、やろーども! てめーの好きな衣装を着せてーってんなら、全員で頼みに来るのが筋ってもんですよ!」
「頼んだら全部着てくれるって……コト!?」
「そこまではいってねーです!」
そんなやり取りと共にファルコは男子生徒たちを多数運動場へと惹きつけるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ディル・ウェッジウイッター
メイド服を着た女性がお茶を淹れて出迎えてくれると思いましたか?
残念、男です
UCで暴れる皆様を運動場に誘い込み、私の姿を見て逃げようとする人は
説得して引き留め
メイド服を着た女性が貴方を出迎えお茶を淹れてくれます。それに対しどう反応されます?
まさか美味しいとだけ返すおつもりで?
普段ならともかく仮にも貴方はメイド喫茶を企てた側。淹れられた給仕側のこだわりについて触れるのは主人側の務めでしょう
メイドに拘るなら細部まで拘りを
立派な主人役になっていただくために皆様にはお茶を3種類分かるまでお茶会を楽しんでもらいます
周りにメイド服を着た猟兵がいる今の状況は生殺しですが、頑張りましょう
「メイドぉ……こーほー」
「……メイドさぁん……こーほー」
校内には、なんていうか正気を完全に失ったような男子生徒たちで溢れかえっていた。
手にはメイド服。
それぞれが思う最高の一着を手に、女子生徒たちの姿を求めてさまよう悪鬼羅刹のようになっていた。
「ひっ……!」
そのあまりの様子に女子生徒たちは、か細い悲鳴を上げる。
悲鳴に反応した悪鬼羅刹のような男子生徒たちが振り返り、じりじりとメイド服を掲げて迫る彼らとの間に割り込むメイドとは対局を……否。傍らにある執事とも言うべき姿をした存在が立ちふさがった。
「メイド服を着た女性がお茶を淹れて出迎えてくれると思いましたか? 残念、男です」
「男でも構わないっ! メイド服を着てくれるのならッ!」
ストレスが溜め込まれると人間こうなってしまうのだなぁ、とディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)は思ったかも知れない。
なんていうか、男の自分を見たら男子生徒たちは回れ右をする、と思っていたのだ。
けれど、男子生徒たちは禁断症状でもう、メイド服を着てくれるのならば、性別など最早些細な問題になっていた。
メイド服渇望性とでも病名をつけるべきか。
いや、どっちにしたって、もう遅い。
「メイドぉぉぉぉッ!!!」
雄叫びと共に迫る男子生徒たちをディルは華麗に肩をつかみ、着席させる。
「メイドッ!?」
「それしか言えないのですか? ですが、しばし、お待ちを。さあ、お茶をどうぞ」
ディルは己が淹れたお茶を男子生徒に振る舞う。
それは警戒心を解く安然の精神を与えるものであった。メイド服姿のあの子を思い浮かべて暴走していた男子生徒たちはお茶の香りでリラックスしたように息を整え、そのお茶に口をつける。
「美味しい……」
「そうでしょう。ですが、想像してごらんなさい。メイド服を着た女性が貴方を出迎え、今のようにお茶を淹れてくれます。それに対して美味しい、とだけ返すおつもりで?」
「え、だ、だめ?」
「普段ならともかく。仮にも貴方はメイド喫茶を企てた側。淹れらた給仕側のこだわりについて触れるのは主人側の務めでしょう」
そうかな?
そうなのかも、と男子生徒たちは思うようになっていた。
確かに彼らはメイド喫茶をしたかった。
だが、それはある意味、めっちゃ下心があったからだ。だが、それを咎めるいわれはない。
「メイドにこだわるなら細部まで拘りを」
ディルの言葉は尤もであった。
「立派な主人になる、というのもメイド喫茶の醍醐味でしょう。ですので、皆様には」
にこり、とディルは微笑んだ。
周囲にはメイド服を着込んだ猟兵たちもいるだろう。
ある種の生殺し。
だが、それでディルは席を立たせるつもりはない。
「お茶を三種類ほど効くことができるまで、お茶会を楽しんでいただきます」
「そ、そんなっ! どうせなら、メイドさんに!」
「いけません」
にこり。
有無を言わさぬディルの言葉と共に御主人様検定が始まり、男子生徒たちは別の意味で地獄を見るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソティア・エピアルティス
……ふっ、なかなかの
ものを持っているようね
だが、
天命に依りて降臨せしこの櫻花幻朧メイド聖魔、ソティア・エピアルティスを前に、どこまでその力を振るえるか…見せてもらおう!
しかし
力無き者を巻き込むのはNGな以上、まずは選ばれし者達に相応しき決戦の場へと誘い出すべきね!
という訳で、【白焔照らせし闇の陽炎】で私の分割存在4体…「桜花幻朧メイド四天王」を呼び出し、そのメイド服を奪って決戦の地へと誘い出す事にする!
……「逆にメイド服を着せてやる」?ふっ、やれるものならやってみるといいわ!
(なお別に着るのは嫌でない模様。根本的に「違う自分になりたい」という願望持ちなので)
メイド服。
それは情熱の迸りと拘りの詰まった衣服。
元を正せば、まあ、きっと、その、全く意味合いが異なってくるのだが、それはそれである。
校内に蔓延る男子生徒達は、皆ストレスを抱えていた。
学園祭でメイド喫茶を行えなかったというストレス。
それが『骸の海』を溢れさせる原因だったのだ。ならばこそ、彼らの今の凶行はストレス故とも言えるだろう。
だが、メイド服の着用を強要させることと、それとは別問題である。
「メイドぉ……メイドぉ……」
鳴き声かな?
そんな声と共に徘徊する男子生徒の前にソティア・エピアルティス(闇に紛れ闇を狩る聖魔の影狩人(自称)・f43894)は立ちふさがる。
「……メイドぉ?」
「ふっ、なかなかの
ものを持っているようね」
彼女は徘徊する男子生徒の手にしたメイド服を指差し、なんだか尊大な態度であった。
どうしてそんな態度が取れるのかと思ったが、男子生徒には関係なかった。
目の前に美少女がいる。
なら、メイド服を着てもらう。
当然の理論であった。バカの理論であることは認めよう。
「絶対似合うので、このダイナータイプのメイド服を着てくださいッ!!!」
ソティアの前にスライディング土下座する男子生徒。
ノールックな上にシームレスな土下座であった。
あまりにもキレイな土下座。
少し心が揺れただろうか? 揺れていて欲しい。そんでもってぜひともメイド服を着て頂きたい。あわよくば!
「この
天命に依りて降臨せし櫻花幻朧メイド聖魔、ソティア・エピアルティスを前に、見事な土下座を見せてくれたわね! しかし、着てください? 男児ならば、『着せてやる』くらいのことは言わねば……」
「俺のメイド服を着ろぉ!!!」
豹変する男子生徒。
言ってみろ、と挑発はしたものの、急に来るからびっくりである。
掴みかからんとする男子生徒を、あ、ひらりと躱してソティアは笑う。
「フッ……新なる闇の使徒たる私にかかれば(原理は全く分かってないけど)己が分身を出す事など造作もない!」
そう、そこには分割存在たる四人のメイド四天王がいた。
さっ、といつのまに男子生徒のメイド服を奪い取り、メイド四天王である分割ソティアたちは笑う。
「やれるものならやってみるといいわ!」
「お、俺のメイド服を! 奪って……いや、着てくれる感じ?」
「着て欲しいのなら、運動場まで来ることね!」
「え、マジで!?」
思わぬ提案である。
そもそもソフィアは『違う自分なりたい』という願望を持っている。
メイド服に身を包む、なんていうのは、その願望からすればとても近しいものであったことだろう。
故にやぶさかではないのだ、本来ならば。
けれど、これは猟兵としての仕事。
「相応しき場へと来るがいい。そのときこそ、貴様が思い描く最高のメイド服に身を包んだ私の姿を見ることができるのよ!」
そう告げ、ソティアと分割四天王達は身を翻して運動場へと飛び込み、男子生徒たちを、約束の地へといざなうのであった――。
大成功
🔵🔵🔵

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
お前もメイドにしてやろうか!
もといナイアルテも後でメイドにしちゃおう!
すんごいピンクでヒラヒラのやつー!
●かわいすぎる
ヤダボク…可愛すぎ…!?
いやボクが可愛いすぎるのは当たり前だけれどこうして強調することでイメージをさらに強化するんだよー
とボクもメイド服を着ちゃおう!
男の娘メイドなんかもいいけどお仕着せられたけど途中楽しくなっちゃった系の少年らしさを押し出した少年メイドなんかもいいね!
ねーねーもっと遊ぼうよー!具体的には運動場で!
そうしたらーもっと楽しいことがきっとあると思うなー
どんなことって…?それはー、フフフ…秘密だよ!
と【誘惑?】して彼らの手を引いていこう!
「お前もメイドにしてやろうか! もとい、後でメイドんいしちゃおう! すんごいピンクでひらひらのやつー!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、己自身もメイド服に身を包んで混乱見入る校内に飛び込んでいた。
フリフリのひらひらのピンクメイド。
コケティッシュ。
そう言葉にするのがぴったり来るような着こなしであった。
眼帯しているので、メカクレ属性にズドンと刺さるものであったかもしれない。たぶん。
そんなロニは自らの姿を学校の踊り場にある姿見に映して、うっとりしていた。
「ヤダボク……可愛すぎる
……!?」
鏡に映る自分。
ふりふり。
ひらひら。
動く度に揺れるメイド服スカートの裾。
言うまでもないが、ロニは男性である。女性ではない。
女性でないのにメイド服を着るのか? そういうのは許されるのか? いいのである。
なぜ、メイド服が女性だけのものであると言えるのだろうか。いや、言えない。
男性が来たってメイド服の美しさや魅力はなんら損なわれるものではなかったのだ。
「いや、ボクがかわいすぎるのは当たり前だけれど、こうして強調することでイメージを更に強化するんだよー!」
自信たっぷりであった。
さっきまでの自信なさげな雰囲気は一体なんだったのか。
「謂わば、これは男の娘メイド! お仕着せられたけど途中から楽しくなっちゃった系の少年らしさもあるよね!」
どう! とロニはその場でくるりと身を翻す。
すると周囲に集まっていた男子生徒たちは、うんうんと頷いた。
「良い! むしろ、男の娘なのがいい!」
「め、めざめそう……!」
「俺は最初からわかっていたけどな……フッ」
もとより素養のあったもの、目覚めるもの、後方彼氏面するもの。
多種多様であった。
その彼らの姿を認めてロニは満足げに頷く。
「ならさ、もっと遊ぼうよー。具体的には運動場で!」
具体的過ぎる。
これは見え透いた罠だ。
だが、男子生徒達は構わなかった。これが罠だって構わない。罠でいい。罠がいい!!
「そしたらーもっと楽しいことがきっとあるとおもうなー」
「そ、それはいったい……」
「それはー……フフフ……秘密だよ!」
小悪魔系少年メイドでもあるやんけ! と男子生徒たちは一斉にときめいていた。
いたずらっぽい笑顔。
絶対こっちを利用しようとしているのに逆らえない感じ!
もういい。
騙されたっていい!
「わが生涯に一片の悔いなし!」
「じゃあ、行こっかー!」
まあ、案の定罠なんだけど。
ロニは男子生徒たちを誘惑して、引き連れて運動場へと大名行列のように進んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
メイド服?
見慣れてますけど、可愛いとは思いますし、
ちょっと着てみたい気持ちもありますね。
とはいえ……風紀の乱れにつながる、っていうお話も、解りますが!
(ステラさんチラ見しながら)
それにしても、そこまでメイド服好きなら、
ステラさんでホイホイできちゃいませんか?
たぶん生徒さんたち着いてきちゃいますよね。
今回はわたしはすることなさそうですねー。
運動場で待っていればいい感じでしょうか?
って……ステラさんなんでこっちくるんですか!?
そして生徒さんもなんでメイド服持って迫ってくるんですか!?
メイドあっち!メイドあっち!
はわわわわ、ステラさん、助けてくださいよー!
ハウス!とか命じてくださいよー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
メイド服の時代の! 香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!
はい、メイド参上しました(きりっ)
誰がやべーメイドですかヴィクトリアンメイド服と言えば私
ええ、このメイドにお任せください!
何故こちらを見ますかルクス様??
メイド服に対する覚悟は見事ですが
誰かに仕え、助けるのがメイドの本分
少々ご自身の欲望が漏れすぎでは?
といいつつ
今日のルクス様は大人しい
次はステージなのに……
まぁいいでしょう
私が囮に
メイドの実力お見せしましょう!
久々の【メイドズ・ホワイト】
カーテシーはメイドの基本ですので
スピードで釣りつつ追い込みつつ
そしてルクス様になすりつける迷惑トレイン行為
ルクス様、ハウス!
え?違う?あ、飲み込まれた
「メイド服の時代の! 香りがしまぁぁぁぁぁぁすっ!!」
それは校内に蠢くような男子生徒たちの鼓膜をぶち抜く叫びであった。
物理攻撃なのでは? と疑うほどの声量であったし、なんていうか、まあ、その、いつもどおりのあれである。
そう、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫びであった。
「はい、メイド参上いたしました!」
キリッ、と音が聞こえそうなほどにキメキメでステラは校内に降り立つ。
そんな彼女の隣で、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、「はいはい、いつものやつですね」みたいな感じで肩をがっくり落としていた。
確かに。
確かに、メイド服っていうものは、そのデザインからして可愛いものだ。
乙女の心をくすぐるデザインをしている。
フリフリフリルもかわいいし、全体的なデザインも良く考えられている。一度は着てみたいな、と思うのもわからないでもないのだ。
見慣れているし、ルクスにとってメイド服はなんていうか、その、狂気の象徴みたいな側面もあるが、やはり着てみたいなという気持ちに嘘は付けないのだ。
「とはいえ……風紀の乱れにつながるっていうお話も、解りますが!」
チラっとステラを見やる。
全てのメイドがステラみたいではないので、風評被害ではないかと思わないでもない。
「誰がやべえーメイドですか。ヴィクトリアンメイド服と言えば私。ええ、このメイドですとも! ですのに、なぜこちらを見ますかルクス様??」
「いえ、そこまで男子生徒のみなさんがメイド服お好きなら、ステラさんでホイホイできちゃうんじゃあないかなって思いまして」
「メイドぉぉぉぉ!!!」
咆哮が轟く。
おおよそ、一般男子生徒が出していい声ではなかった。
もう悪鬼羅刹ではないか?
それほどまでにメイドさんに飢えているのだろうか?
いや、ストレスによって胸に溢れる『骸の海』が溢れるの止められないのだろう。
悲しきモンスターなのである。
「そのメイド服に対する覚悟は見事ですが、誰かに仕え、助けるのがメイドの本文。少々ご自身の欲望が漏れすぎでは?」
いや、とステラの言葉にルクスは思った。
お前が言うな、と。
けれど、口には出さない。
だって、男子学生を誘引するのならば、本職が此処にいるのだ。であれば、今回自分の仕事は少なそうでいい。
運動場で待っているだけでいいや、とも思っていたので、爪の間のゴミとかを取ったりしていた。
そんなルクスにステラは今日は随分とおとなしいな、と思ったのだ。
なぜなら、この後ステージがあるのだ。
ステージと言えば、演奏である。演奏と言えばルクスなのだ。
もっとこうテンションが高くても良いはずなのだ。
「では、この私を囮に! メイドの実力お見せしましょう!」
「メイドぉぉぉ!!」
「俺達のメイドさんになってくれぇぇぇぇっ!!!」
叫びと共に男子生徒たちが走り、迫る。
だが、ステラは優雅にカーテシーをキメ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
超有能スーパーメイドに変貌したステラは、一気に彼らを振り切って校内を疾駆する。
「ふ、この私に追いつけるものですか……そして!」
「うえっ!? ステラさん、なんでこっちに来るんですか!?」
そんでもって、男子生徒たちも手にしたメイド服をルクスに掲げ、迫っている。
メイドさんな素晴らしい存在である。
けれど、メイド服を着ていない女性を見たら?
どうなるかなんて言うまでもない。
メイドさんに飢えた男子生徒たちは、必ずやメイドさんになってもらおうと迫るに決まっているのだ。
あまりにもあんまりな光景である。
「な、なんでわたしに!? メイドさんは、あっち! メイドあっち! あっちですってばー!」
追いかけ回されるるクス。
「はわわわわわわ、ステラさん、助けてくださいよー! ハウス! とか命じてくださいよー!」
「かしこまりました。では、ルクス様、ハウス!」
「んえっ!?」
びたっと止まるルクス。
そして迫る男子生徒たちの洪水に押し流されるようにしてルクスは運動場へと彼らと共になだれ込む。
「……なんとかなりましたね」
なってないけどね――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【理ジェ】
メイド服、わたしも持ってるけどかぁいいよね!
そしてそれを推しに着せたいその気持ち。
解る!解るよ!わかりみ!
わたしたちの推しと言えばもちろんナイアルテさん!
ということでー……サージェさん、いくよ。
いまこそナイアルテさんにメイド服を着せるとき。
ファンクラブとしてこのチャンスは逃せない!
さぁナイアルテさん、観念してメイド服を……。
(ヴィクトリアン持ってはぁはぁしながらじりじり接近)
って、サージェさんそれは!
ま、まさか禁断のネコミミメイド!?
ま、まって、そんなことしたら破壊力過剰でわたしたちが死んじゃう♪
って、あ、あれ?ごめん、ごめんて!
ちゃんと依頼する、依頼するから、その目はやめてー!?
サージェ・ライト
【理ジェ】
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ……あるぇ?!クノイチ呼ばれてない!?
なんと、今日はメイドの日……
わかりました、菜医愛流帝ファンクラブ会長による宣言!
今日をメイドナイアルテの日とします!!
いまこそナイアルテさんにメイド服を着せるとき!
ふふふ、逃がしませんよナイアルテさん……(ネコミミを手に理緒さんと挟み込む様にじりじり
死して屍拾う者が無かろうとも、この道を往かぬ訳には!!
あっちょぱんちのふうあつぅぅぅぅぅ!?
アッハイちゃんと依頼してきます!!
【かげぶんしんの術】!
で増えた私が男子学生を攫う!かんぺき!
理緒さんは安心してナイアルテさんに
お説教もらってください!
確かにね、と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は頷いた。
校内を徘徊する男子生徒たちのうめき声めいたメイドを求める言葉に、しっかりと頷いた。
「メイド服、わたしも持っているけどかぁいいよね!」
なら、着て!
着てよッ! 着てよぉ! となるところである。
しかしながら、今日の理緒はメイドルックではない。なんで。どうして。
「そして、それを推しに着せたいその気持ち。解る! 解るよ! わかりみ!」
「なら、メイド服着てくださいよッ!!」
男子生徒たちは理緒を見て思ったし、言った。
心からの叫びであった。
お誂え向きにメイド服まで持っていると言うじゃあないか。であれば、着て欲しい。着て見せて欲しい。
正直だった。
だが、理緒は頭を振った。
「残念だけどね」
「ええ、およびとあらば参じましょう! 私はクノイチ……」
急に現れた、どたぷんとした褐色の揺れに男子生徒たちは釘付けであった。
図らずして、クノイチムーブをしてしまったサージェであったが、しかし、男子生徒たちが持っているメイド服に目をパチクリさせた。
「あるぇ? クノイチ呼ばれてない感じですか!?」
「いえ、滅相ないです! これからメイドになっていただければ、それで!!」
男子生徒達は皆拳を握りしめた。
わからんでもない。
彼らは勉学に励む学生である前に健全な男児なのだ。
サージェは普段のムーブからしてちょっとあれだが、クノイチらしい、ないすばでーなのだ。
健全な男児たちの前で揺れるのならば、当然、彼らの視線はサージェに向けられていた。
そんでもって、メイド服を着て欲しいって思うのも無理なからぬことであった。
「わたしたちの推しと言えば、菜医愛流帝なんだよねー」
「そうなのです。今日はメイドの日だとういうのならば、今日をメイド菜医愛流帝の日とします!!」
なにそれ。
「いまこそ、推しにメイド服を着せるとき!」
「ファンクラブとしてこのチャンスは逃せないよねー!」
「いや、俺等的にはおねーさんたちに着て欲しいんスけど」
え、と二人は周囲が包囲されていることに今更気がつく。
そうなのだ。
二人は今、むくつけきメイド服着せたい男子生徒たちに取り囲まれ、各々が持つメイド服を押し付けられている真っ最中なのだ!
「あ、あれー!? サージェさん、なんで!?」
「わ、わかりません! ですが、なんていうか、この状況ピンチってことじゃあないですかー!?」
そう。
ピンチ。
メイド服を着るか、死ぬか。そんな感じ。
二人は手にしていたヴィクトリアンメイド服を見やる。
本来ならば転移維持をしていて集中しているグリモア猟兵に迫るある意味利敵好行為に興じようとしていたのだ。
それもヴィクトリアンメイド服だけではなく、猫耳まで用意している時点で用意周到が過ぎると言ってもいいだろう。
だがしかし、二人を取り囲む男子生徒たち。
これは雑な導入ではないだろうか?
青春とギラギラした男子生徒たちのメイド欲に二人が翻弄されてアレそれな感じのあれじゃあないのだろうか!
「って、サージェさん、それは! まさか禁断の猫耳メイド!?」
「え、今それ気が付きます!? って、あー……」
「そんなことしたら、破壊力過剰でわたしたち死んじゃう♪」
「いえ、理緒さん、別な意味で私たち死にそうです。社会的な意味で!」
「はじめっから決めてました! 俺のメイド服着てくださいッ!!」
一斉に差し出されるメイド服。
それを前に二人は頷き合う。
「ごめんなさい!」
「そんでもって、皆さんはかげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)で確保ーッ!」
取り囲んでいたと思っていたら、取り囲まれていた。
それも褐色のたゆたゆして揺れて仕方ないサージェに!
いっぱいいる!
いっぱいいるってことは、いっぱい幸せってことである!
男子生徒たちはあえなく縛り上げられて、簀巻きのまま運動場へと運び込まれる。
だが、二人は見ただろう。
後方で転移を維持して集中していたグリモア猟兵の、その冷めた目を――!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵

皇・絶華
UC常時
おお、メイドさんも悪いものではないな
と言うわけでさっちゃん、出番だ
彼らはメイドさんにぜっちゃんチョコを食べさせて貰いたいようだ!
「絶対に違う…!」
と言うわけでさっちゃんは着せて貰うんだ!
「畜生めーー!?」
と言うわけでさっちゃん逃亡!
決戦のステージ(どこか広い場所)へと誘導するためメイド男子の居るところを駆けずり回り誘導!
追い付かれそうで追い付かないギリギリラインを狙って逃げさせる
「いやコイツら怖いんだけど!?これ最早ゾンビ映画じゃねーか!」
本当は即ぜっちゃんチョコを馳走したいのだが…
「主様!コイツらはアイドルな主様からチョコを貰いたいそうです!」
!!おお!ならばステージに案内だ!!
「おお、メイドさんも悪いものではないな」
うんうん、と皇・絶華(影月・f40792)はひとしきり頷いていた。
そう、今まさにアイドル☆フロンティアと呼ばれる新たな世界に降り立ったのだが、のっけからこの始末である。
とある学校にて、ストレスを溜め込んだ学生たちが骸の海を溢れ出させてしまう事件が予知されてやってきたのだが、校内は暴走する男子生徒たちでごった返していた。
誰も彼もが己が最高のメイド服を手に、女子生徒に着てもらおうと奔走しては、猟兵たちに運動場へと誘導されているのだ。
そんな彼ら、彼女らの様子を見て、絶華はメイド服というものの魅力を再確認して深く頷いていたのだ。
「であれば、さっちゃん。出番だ」
「えっ!?」
絶華は黒髪の少女となった『サートゥルヌス』の肩を、ぽむ、と叩いた。
どういうこと?
「彼らにメイドさんとなったさっちゃんが、この『ぜっちゃんチョコ』を食べさせればいいのだ」
「なんで!?」
「彼らはメイドさんから手ずから、あーんとして欲しいはずだ。きっとそうなのだ。ぜっちゃんチョコを食べたいが、しかし照れくさい。けれど、メイドさんからあーん、されるとなればいいわけが立つ。そういうわけだ」
「絶対に違う……!」
否定する『サートゥルヌス』。
だが、絶華はにこりと笑った。
「そういうわけだ。さっちゃん。メイド服を着せてもらうんだ!」
ぐい、と押し出された『サートゥルヌス』は逃げる。
だがしかし、校内に溢れかえっている男子生徒たちは、黒髪少女を見つけて、ギラリと瞳を輝かせた。
「黒髪美少女がいたぞ!」
「ならば、和メイドの出番!」
「バカか! 巫女メイドにきまってんだろうが!」
「黒髪をまとめ上げてメイドプリムで飾るんだ!!!」
凄まじい怒号めいた声。
ビリビリと校舎を揺らすような男子生徒たちの欲望の雄叫び。
「うんうん、やっぱりさっちゃんは有能だな。その勢いで惹きつけるんだぞ」
「畜生め――っ!?」
追う男子生徒たち。
逃げる『サートゥルヌス』。
「おーい、さっちゃん、決戦のアイドルステージは運動場らしいぞ」
「他人事だと思ってー!?」
逃げる『サートゥルヌス』は鬼気迫る男子生徒たちを振り返って怖気が走る。
いやマジで怖い。
「コイツら、最早ゾンビ映画のそれじゃねーか!」
「ううむ。本当は即ぜっちゃんチョコを馳走したいのだが……」
「主様! コイツらはアイドルな主様からチョコを貰いたいそうです!」
『サートゥルヌス』はヤケクソに叫んだ。
もう、男子生徒たちから逃れるには、絶華をその気にさせるしかないのだ。
「!! おお! ならばステージ案内してくれ! 私自ら馳走しようではないか!」
『サートゥルヌス』はこころで拳を握りしめる。
やった! これで自分はあのチョコから逃げられる!
そのためには、まずは、と運動場へと飛び出し、迫りくる男子生徒たちをアイドルステージに一網打尽で上げねばならないのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『アイアンメイデン』
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POW : それが私のメイド道!
【全てのメイドの頂点に立ちたい】という願いを【ライブステージやその配信を見ている観客】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD : メイドは一日にして成らず
1日8時間以上【ライブステージやファンサービス】を行うと、次の日の[ライブステージやファンサービス]の成功率・効率・芸術性が3倍になる。
WIZ : メイド冥利に尽きる
【自身のコラボ商品(主に飲食物)】を給仕している間、戦場にいる自身のコラボ商品(主に飲食物)を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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猟兵達はなんとか校内に蔓延るメイドさんを欲するあまり悪鬼羅刹の如き存在になってしまったストレスまみれの男子生徒たちを運動場へと誘導しきっていた。
そして、運動場が光に包まれる。
それはサイリウムの光。
人々の無意識が具現化した姿であった。
この世界の人々は心に骸の海を持つ。
そして、出現したアイドルステージは、彼らをオブリビオンへと変貌させ、そのストレスを解消することで元の姿に戻すことができる力を持つ。
「メイド、メイド、メイドさぁぁぁぁぁんっ!!!」
溢れ出る欲求。
メイドさんに奉仕してもらいたい。
メイドさんに甘やかされたい。
メイドさんときゃっきゃうふふしたい。
そんな欲望が溢れ出し、男子生徒たちは思い至ったのだ。
そう、メイドさんになってほしいと願うから、気味悪がられて逃げられてしまう。
のなら!
「俺が、俺達が……」
「そうだ、僕が!」
「メイドになればいいんだ!!!」
そうなるのか? いや、そうはならんやろ、と猟兵達は思ったかも知れない。
だが、アイドルステージに上がった男子生徒たちは皆一様に『アイアンメイデン』へと変貌し、己がメイドへと至った境地を実感する。
「め、メイドになった……なれた! なれたんだ!」
「これで俺達は!」
「ああ、鋼鉄の意志を宿す奉仕精神を獲得したんだ! これからはメイドさんを強要することなく! 俺が!」
「僕たちが!!」
「メイドさんだぁぁぁぁぁぁっ
!!!!」
よくわからないテンションのまま、猟兵達はしかし、彼らを救うためにアイドルステージにて、『アイアンメイデン』たちとのパフォーマンス戦闘を繰り広げなければならないのだった――。
蒋・飛燕
●SPD
【灼熱娘娘】
なんとか目的どおりに校庭まで誘導出来たアルけど…馬鹿ば男子がもっとお馬鹿になったヨー!?
バ美肉って奴アル?
何と言うか…キモいだけネ
一緒に来たはずのジュディとはぐれたままだし…この声はお助け灼熱者の赤兎バニー!
って、なんて格好してるのヨ!?
アイヤ、そういう問題じゃなくてネ…これはスレイヤーカード?
なんか分からないけど…フォームチェンジ!
って、さっき着せられようと迫られたチャイナメイドじゃないかアルー!?
うぅ…なんか上手く言いくるめられてる気がするけど、やってやるネ!
チャイナメイドであれば、中国拳法の使い手!
だったら、華麗な『龍顎龍尾龍撃乱舞』で観客を魅了しながぶっ飛ばすネ!
蒋・ジュディ
●SPD
【灼熱娘娘】
甘い、杏仁豆腐よりも甘いわよ、緋天娘娘!
供給先が無いのなら自分で供給する…男の子も女児アニメのヒーローに変身できるのは今や常識よ!!
なんて格好って…拳銃とナイフを所持している武装メイドよ?
カチューシャはバニーのままだけど、さほど気にする点ではないわ
それはともかく…これを使いなさい!
ここから先は純粋なアイドル勝負、今の姿ではただ可愛い無抵抗なメイドさんを殴り倒すだけの暴力女
目には目を、歯には歯を…メイドにはメイドよ!
ええ、そうよ…メイドは一日にして成らず
ですが、貴方は商店街のご当地ヒーロー!
ライブステージはともかくファンサでは一日の長よ
そのファンとして…私が応援してあげるわ!
「な、なんとか目的どおりに運動場まで誘導できたアルけど……」
蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)は漸くというか、やっとと言うべきか、抑圧されたメイド欲、満たされぬ欲求というストレスを抱えた悪鬼羅刹の如き存在へと成り果てていた男子生徒たちをなんとか運動場まで誘い込んでいた。
だがしかし。
「俺達がメイドさんだぁぁぁぁぁっ!!!」
「うおおおおおっ! 力がみなぎる……ッ!! いや、待て!」
「そうだよ! 今、僕達はメイドさんなんだ! だったら!」
アイドルステージの出現と共に男子生徒達は皆一様にオブリビオン『アイアンメイデン』へと変貌していた。
それは彼らが望みに望んだメイドさん。
得られぬのならば、なってしまえ、メイドさんというわけである。
「馬鹿男子がもっとお馬鹿になったヨー!?」
わ、わからない。
飛燕にはさっぱりわからない。
これがバ美肉というやつか? いや、どうあっても飛燕にとっては、その言葉を選ぶのならば、理解出来ないやつであった。
それに飛燕は、そんな『アイアンメイデン』のみなぎる威勢に、たじろいでもいた。
一緒に来たはずのライドキャリバー『ジュディ』ともはぐれたままなのだ。
「き、キモイだけなのに、なんか無駄に迫力あるヨー!?」
「キモイなどと、そうおっしゃらずに。お嬢様」
「ええ、わたくしたちはメイドですから」
「姿形だけメイドさんでも声が男アルヨ!?」
ひえ、と飛燕は身を固くしてしまった。
駄目だ、このまま怯んでいては!
そんな飛燕の頭上から声が響き渡る。
「甘い! 杏仁豆腐より甘いわよ、飛天娘娘!」
「この声は……お助け灼滅者の赤兎バニー!」
え、なに?
頭上から降り注ぐ声に飛燕が見上げた先にいたのは、蒋・ジュディ(赤兎バニーは誰でしょう・f45088)扮する『赤兎バニー』であった。
赤いラバースーツにウサギ耳!
ぴっちりスーツにバニー服という欲張りセット!
そんな『赤兎バニー』の言葉に飛燕は目を剥く。
そう、今の彼女はぴちスーバニー武装メイドなのだ! なんでって? ナイフと拳銃を装備していれば武装メイドなのだ。
「供給先がないのなら、自分で供給する……男の娘も女児アニメの日ーーローに変身できるのは今や常識よ!!」
そう、十年前は無理だった。
だが、今は違う!
ギュッ! と赤兎バニーのぴちぴちラバースーツが音を立てたような気がしたが気の所為である。
「アイヤー、そういう問題じゃなくてネ……」
「それはともかく、これを使いなさい!」
放たれるはスレイヤーカード。
それを受け取った飛燕は首を傾げる。
なんで今さら、と思ったのかもしれない。
「なんで?」
「今よ、飛天娘娘!」
「え、今もなにも……えー!? なんでみんな律儀待ってるアル!?」
飛燕の前で『アイアンメイデン』たちは優雅にカーテシーを決めていた。
「何もございません。変身バンク中は攻撃してはならない。優雅なメイドであればなおさらのことでございます」
「えぇ……」
「いい、飛天娘娘。アイドルステージに上がったからには、ここから先は純粋なアイドル勝負。今の姿ではただ可愛い無テイクなメイドさんを殴り倒すだけの暴力女」
「言い方もうちっと考えてアルヨ!」
「目には目を、歯に歯を……メイドにはメイドよ!」
そうか?
そうかな?
そうかも!
「ってなるかアルヨー! でも、仕方がないアル! 訳もわからないけれど、フォームチェンジ!」
謎の光とと主に飛燕の体が輝き、そのシルエットだけが世界に刻まれる。
謎の光!
仕事をしすぎである!
まばゆき光がほとばしった後に現れたのは、フリル揺れるチャイナメイドフォームの飛天娘娘であった。
「って、これさっき着せられそうになったチャイナメイドじゃないかアルー!? しかもなんか、シルキーな生地で透けてあるアルヨ!?」
スモーキーチャイナって、イイよね。
「メイドたるもの、どんなときでも泰然自若に奉仕するもの。求められたのならば、与える。そういうものよ」
「えぇ……なんかうまく言いくるめられている気がするけど、やってみるネ!」
「ええ、そうよ……メイドは一日にして成らず。ですが、貴女は商店街のご当地ヒーロー!」
「手強い敵ですね。ですが、わたくしたちの貯めに溜め込んだストレス……今此処で!」
ぴしゃーんと走る稲妻。
場違い甚だしい。
が、赤兎バニーは深く頷いた。
「ライブステージはともかくファンサではあなたに一日の長よ」
「やってみるアル! チャイナメイド、その中国拳法の使い手アル! 華麗なる龍顎龍尾龍撃乱舞を見せてやるアルヨー! ハイヤー!」
その声と共に飛燕は『アイアンメイデン』と共に演舞とも言える華麗なカンフーショーを繰り広げ、赤兎バニーは、ステージの遠くにたち、腕組みをして斜めに壁にもたれかかった。
「そうよ、その調子よ。飛天娘娘。あなたのファンとして……私が応援してあげるわ!」
これが、応援フォームが最奥!
後方古参ファン第一号ムーヴ――!!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
宵空・鈴果
アドリブアレンジokです
メイドさんのアイドルバトルって、主人を差し置いて目立ったりはメイドの定義が崩壊しそうな気がする……
とりま、問題解決に一歩近づいたりん☆
第2ステージ開幕だりん☆
●
引き続きレッツダンシングりん☆
踊るたびにUCで飛び散る星がオブリビオンを地味に削っていくハズりん☆
けれどアイドルバトルなら潰し合うよりは高め合う感じを意識したいりん☆
相手のパフォーマンスを利用したり合わせたりしつつ、メイドなら主人の元でもり立ててこそと、それとなく、りんかをセンターにする誘導もしてみるりん☆
ファンを作って、なんならメイドさん(元男子)も否定せずにファンに取り込んで、一番輝く星になるつもりで!
メイドは一日にして成らず。
なら、メイドとは仕える主人を得てこそであろう。
奉仕の精神は、そのままメイドの技量に直結する。
主人を支えながら、メイドもまた主人を支えにして日々の奉仕を行うものである。
「レッツダンシングりん☆」
アイドルステージには色とりどりのサイリウムが煌めいている。
それは人々の無意識。
光り輝くサイリウムがリズミカルに揺れる度に、宵空・鈴果(星と月のエアライダー・f37140)の体もまたステージ上で跳ねるようにして踊るのだ。
「第ニステージ開幕だりん☆」
「さすがは、りんかりん。ですが、わたくしたちも負けてはいられないのです」
オブリビオンとなった男子生徒たち。
鋼鉄の奉仕精神を宿す『アイアンメイデン』である彼ら……いや、今は彼女たちと言うのが正しいのだろう。
彼女たちは皆一斉に、鈴果の魅せるパフォーマンスについてきているように思えた。
一糸乱れぬパフォーマンス。
それはただ一つの煌きである鈴果とはまた別の意味でパフォーマンスの極地へと到達しようとしていたのだ。
「くるりんっと☆」
鈴果のエアシューズから沢山の小さな星たちが放たれ、オブリビオンである『アイアンメイデン』たちを削るように飛び回る。
けれど、鈴果は思うのだ。
「だって、アイドルバトルなんだったら、潰し合うよりは高め合いたいりん☆」
その言葉に『アイアンメイデン』たちも同じ気持ちだった。
そう、戦いなんて馬鹿らしい。
だって、今己達はステージに立っているのだ。
切った張ったもいいかもしれないが、今、鈴果がしていることは戦いではない。
ダンスパフォーマンスのアピールタイムなのだ。
リズミカルに音楽に乗り、鈴果の足が跳ね上がる。
その度にサイリウムが盛り上がりを見せるように輝いている。
『アイアンメイデン』たちは思った。
「わたくしたちの付け焼き刃のメイド道では……りんかりんには近づけないというの……!」
「そんなことないりん☆」
いつのまにか鈴果は『アイアンメイデン』たちのパフォーマンスと共に踊っていた。
彼ら、彼女たちが集団でのパフォーマンスを得意とする六等星ならば、鈴果は一人で立つことのできる一等星。
成果も責任も全て一人で追うことのできる存在。
それを人はスターと呼ぶのだろう。
だからこそ、鈴果は背負う。
バックに『アイアンメイデン』たちのパフォーマンスを背負い、互いに高め合うようにリズムに乗ってセンターを張るのだ。
「みんなのパフォーマンスがあるから、りんかりんも輝ける! このアイドルステージという夜空は、一等星だけのものじゃないりん。みんながいるから。遠くに見える六等星だって、本当はもっと大きい星なんだりん☆」
否定はしない。
みんなで、と鈴果は振り返って『アイアンメイデン』たちに笑いかける。
「みんなで一番輝く星になるりん☆」
煌めくユーベルコードの輝き。
ステップ・オブ・スターズ☆
それはユーベルコードでありながら、皆と輝く星の輝をステージに満たす力だったのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
いやこれ本末転倒じゃね?そしてコイツら女の子になってるのか?
そもそもメイドにご奉仕して貰いたいからメイドを求めてたんじゃねーのか?
「つまりそれを思い出させればいいんだぞ☆」
UC発動
「「ひゃっはー☆」」(全員色々なメイド服☆)
つー訳でご奉仕しろ!
「任せてー☆」
「うへへへへ☆可愛がっちゃうぞ☆」
あ、僕はコラボ商品食ってるぞ
と言うわけでメイドミュージカルとして男子生徒達にご奉仕☆
色々な意味で(!?)
それはそれとしてメイド服は強奪!
何でか?
「後でナイアルテちゃんに色々着て貰っちゃうぞ☆」
メルシー…おめー天才か!?
よし、ご奉仕ついでに奪い尽くせー!
これぞ盗賊アイドル道ってやつだ!
「「奪えば全部☆」」
メイドを愛する理由とは一体どんなものがあるだろうか。
その見た目が好ましいという者もいるだろう。否定などできようはずもない。
その奉仕精神が望ましいという者もいるだろう。否定できるわけがない。
そのあり様の全てが美しいと思う者もいるだろう。肯定しかできない。
故に出現したアイドルステージにてオブリビオンと化してしまった男子生徒たちの姿は、己達こそがメイドになればいいのだという確信に満ちていた。
『アイアンメイデン』。
鋼鉄の奉仕精神。
「こちら、メイドインヘブン。チョコレート飲料でございます」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の目の前にサーヴされてきたのは、チョコレート色をした飲料であった。
なんていうか、異臭がしているような気がする。
カシムはそれを手にして、う、と顔をしかめた。
これを楽しまなければならない。
異臭がしているのはどうしてか。
「チョコレートとセンブリ茶エキスを混ぜ込んだ特製ドリンクでございます」
「罰ゲームのやつじゃねーか!」
なんでチョコレート飲料にしようと思ったのか。
「コラボレーションでございます」
「なんでもかんでもコラボレーションって言えばいいと思ってるんじゃないのか?」
「そんなことはございません。メイド一同、誠心誠意、お仕えしようと……」
なら、とカシムは指差す。
彼が指差す先にあったのは、ヒャッハーしている『メルシー』の分身体たちであった。
なんかドラグナーのコスプレ……踊り子風衣装に身を包んだ『メルシー』たちが『アイアンメイデン』たちに奉仕を強要しているのだ。
なんでそんなことを?
簡単な話だ。
『アイアンメイデン』はオブリビオン。
男子生徒たちのストレスによって骸の海が溢れ出してしまったのなら、そのストレスの元をどうにかすればいいのだ。
何もぶっ飛ばすだけがオブリビオンとの戦いでないことをカシムは理解していた。
ていうか、本末転倒である。
彼らがメイドになったのは、メイド喫茶をやりたすぎたからだ。
本来ならば、気になるあの子のメイド服姿をみて、キャッキャしたかったのだ。ストレスのあまり、一周回って己たちがメイドになればいいという発想に至ったのは、確かに本末転倒。
「そもそもメイドにご奉仕してもらいたいからメイドを求めていたんじゃねーのか?」
「「「つまりそれを思い出せてやるんだぞ☆」」」
分身体メルシーたちが一斉に『アイアンメイデン』たちをとっ捕まえて、彼女ら……いや、彼らに奉仕を強要しているのだ。
やれ、酌をしろだの。
やれ、踊ってみろだの。
やれ、あーんしだの。
時代が時代ならば許されていたかも知れないが、今の世では絶対許されないあれそれのどんちゃん騒ぎをアイドルステージにて引き起こしていたのだ。
「あーっ、お客様! あー! いけません、そんなご無体な!」
「うへへへへ☆」
「可愛がっちゃうぞ☆」
「それはそれとしてメイド服は没収☆」
その乱痴気騒ぎは、とんでもないあれな光景としてサイリウム踊るステージ上で白熱していくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
勧禅寺・宗大
アドリブ可
一応こうなる前にここのお嬢さん達に話を聞いて何となくは理解した。
つまり主従ごっこをしたいと思い込み過ぎておかしくなってる訳か、
そんなにしたいなら私が相手をしてやろう。
という訳で【清浄の君】発動。
浄化の波動を纏いつつ【威厳】と【落ち着き】を持って
【ダンス】というか舞を披露し、
「私に仕えてみたいという者は居るかね?」と【誘惑】の微笑み。
乗る者が居たら「ではこの世界の踊りでも教えてもらえないかな?」と続き、そのままご教授願おうかな。従えたい欲求が行き過ぎて従いたい欲求に反転してるならその気持ちを晴らす事で浄化も進むだろうよ。
しかし戻ってもこの感じなら影響が出そうだなこの子等は…。
なんとなく。
本当になんとなくなのだが、勧禅寺・宗大(平安貴族(正四位下)の幻惑の陰陽師・f43235)は、このアイドル☆フロンティアという世界の世俗というものをなんとなく理解していた。
本当になんとなく。
メイドというものが、冥土ではなくメイドという名の従者、奉仕者であること。
そして、メイド喫茶というのは、そうした主従関係を擬似的に金銭を介して味わう施設であるということ。
そういうことをなんとなーく理解したのだ。
「つまり」
「主従ごっこをしたいと思い込み過ぎておかしくなってる訳か」
「たぶん」
自信なさげな女子生徒に礼を言ってから宗大は頷く。
であれば、話は早い。
「そんなに主従ごっこがしたちのなら私が相手をしてやろう」
サイリウム煌めくアイドルステージに飛び乗った、宗大の瞳がユーベルコードに輝く。
「かつては清浄、老いて幻惑…経験を得て若返った今ならよりどちらも使えるだろうよ――清浄の君(セイジョウノキミ)」
浄化の波動がアイドルステージに広がっていく。
それは浄化と誘惑とを組み合わせた彼独自の技能であった。
ここがアイドルステージであるというのならば、お立ち台である。
お立ち台でやることはなにか。
そう、踊りだ。
古来より、踊りは高台……つまりは、より天に近しい所で行うもの。
天への奉納。
見やれ、と舞う姿はオブリビオン『アイアンメイデン』たちに火を付けた。
「パフォーマンスならば、わたくしたちも負けはいたしません」
「ほう。ならば、舞にて雌雄を決するか。それとも、私に仕えてみたいという者あれば」
微笑み、舞う。
しかし、と宗大はアイドルステージにて軽やかにステップを踏むように『アイアンメイデン』の前に降り立ち、その手を取る。
「当世での踊りを良く知らないのだ。踊りながら教えてもらえないかな?」
「な……」
勘違いしてほしくないのだが、『アイアンメイデン』は確かに麗しきメイドさんである。
だが、元は男子生徒である。
なのに、『アイアンメイデン』は宗大の仕草に、胸をときめかせていた。
清浄の君と呼ばれた彼の所作は全てが洗練されていた。
「ご教授願おう」
彼は微笑んで『アイアンメイデン』と踊る。
彼らが従えたい欲求が行き過ぎて、従いたいという欲求に反転しているのならば、その気持を晴らすことこそが浄化の手なのだ。
故に宗大は微笑む。
良いのだ、と。
どんなものにも望みが宿るもの。
であれば、それを思う存分発揮する場があるのならば、ためらうことはないと。
うっとりした『アイアンメイデン』の表情を見る。
しかし、と彼は思っただろう。
確かに彼らはこれで満足するかもしれないし、浄化されるかもしれない。
だが、この時感じた胸の高鳴りが彼らに道を踏み外すことになるのではない。
影響が出たらどうしようかな、と思いながら、その時はその時だとも思うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
あやー!
皆々様、メイドさんになれたのでっすね!
とってもとっても可愛らしいのでっす!
なのでっすなのでっす!
男の子でも素敵なメイドさんになれるのでっす!
ですがですが、だからこそ、藍ちゃんくんは惜しいと思うのでっす。
皆様ほどのメイドさんへの熱意がある方々なら、お好みもそれぞれおありでしょうに。
皆様、同じ姿、同じ能力でよろしいのでっすかー?
もったいなくありませんかー?
例えば、そう、このように!
藍ちゃんくんでっすよー!
早着替えでメイド服に早変わり!
https://tw6.jp/gallery/?id=162657
オンリーワンなのでっす!
当然、皆様が呼びかけている観客の注目も藍ちゃんくんがかっさらうかと!
頂点に立ちたいと言いつつも、皆様、同じ存在になっちゃってますからねー。
一人、全く違う藍ちゃんくんがいたら当然、目立つのでっしてー。
メイドさんなら何でもいいと妥協しているようでは、なりたい可愛さに妥協しない藍ちゃんくんには敵いませんよー?
ではでは皆様の悲しみを癒やして元凶の骸の海だけ攻撃するのでっす!
メイド喫茶やりたさに己達がメイドになることを選んでしまった男子生徒たち。
彼らの心労は計り知れない。
メイド喫茶さえ開催されていたら、彼らの心は満たされていたのかも知れないし、オブリビオンになることもなかった。
けれど、時は逆巻かない。
過ぎてしまったことは、もう確定していたのだ。
故に彼らは戻らぬ青春の1ページに慟哭する。
その慟哭は、彼らをオブリビオン『アイアンメイデン』へと変貌させていたのだ。
なんで?
「わたくしたちがメイドになれば、全て解決。自給自足というやつですわ。うそ……これが、わたくし?」
手鏡を前にうっとりしている『アイアンメイデン』たち。
可愛すぎる。
完璧過ぎるヴィクトリアンメイド。
ツヤツヤの金色の髪に、ツルツルのお肌!
スタイルも! ばつのぐん!
うっとりした彼らというか彼女たちはアイドルステージに立つ。そう、この世界ではアイドルステージでしかオブリビオン化できないのだ。
そんな『アイアンメイデン』たちを前に紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は降り立つ。
元祖・藍ドル。
それが藍であった。
「あやー! 皆々様、メイドになららえたのでっすねー! とってもとっても可愛らしいのでっす! なのでっすなのでっす!」
うんうんと感心していた。
いや、感心する前に。
「男の子でも素敵なメイドさんになれるのでっす!」
「ええ、わたくしたち、素敵なメイドさんになったのです!」
たおやかに微笑む『アイアンメイデン』たち。
元が男子生徒であることを忘れさせる完璧な所作であった。
だが、藍は頭を振った。
「ですがですが、だからこそ、藍ちゃんくんは惜しいと思うのでっす」
「惜しい? このわたくしたちが、惜しい?」
『アイアンメイデン』たちは訝しんだ。当然である。己達は完璧なメイドになっている。なのに、惜しい? どこが?
「皆々様ほどのメイドさんへの熱意がある方々なら、お好みもそれぞれおありでしょうに。なのに、皆様、同じ姿同じ能力でよろしいのでっすかー? もったいなくありませんかー?」
その言葉に『アイアンメイデン』たちに電流走る。
ざわ。
ざわわ。
そう、そうだ。
そのとおりだ。『アイアンメイデン』たちは、みな画一的な『アイアンメイデン』の姿をしている。
誰も彼もが、だ。
藍の言葉は彼らに情熱という名の炎を再燃させていた。
それは性癖と言ってもいい。リビドーと言ってもいい炎が、彼女ら、否、彼らの瞳に宿るのを藍は見ただろう。
「うんうん。例えば、このように!」
くるりん、と身が翻って藍の姿が瀟洒なメイド姿へと変貌する。クラシカルでありながらラジカル。藍のメイド服が翻り、サイリウムが大きな唸りを見せた。
きらびやかな光が降り注ぐ。
「これがオンリーワンなのでっす!」
天を指差す藍の指先。
そう、この世界にたった一人。
他の誰とも違う、たった一つのメイド。それを目指すのが、それぞれの心に課せられた使命なのではないか。
「頂点にたちたいと言いつつも、皆様、同じ存在になっちゃってますからねー。いわば、センターとバックダンサーなのでっす!」
藍は歌う。
アイドルステージは藍の独壇場である。
「メイドさんならなんでもいいと妥協しているようでは、なりたい可愛さに妥協しない藍ちゃんくんにはっ、敵いませっんよー?」
スポットライトがステージから降り注ぐ。
明暗を完全にわけた演出。
藍の言葉にがっくりと項垂れた『アイアンメイデン』たちに藍は手を差し伸べる。
可愛いいメイドさんになりたい。
完璧なメイドさんになりたい。
セクシーなメイドさんになりたい。
そんな数多の願いを取りこぼさない。
「さあ、皆々様の悲しみ、そのストレスを癒やして現況の骸の海は吐き出してしまっしょー!」
さあ、とタイトルコール。
藍音Cryね(アイ・ネ・クライネ)、ショー・オン――!
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
何言ってやがんですか!?
メイド喫茶禁止がどんだけストレスだったのか分かんねーですけど、存在自体が変化するほどおかしくなってんじゃねーですよ!
あーもーステージまで出て来て無茶苦茶です!
こーなったらやってやるですよ!アイドルの戦いってヤツを!
こんな事もあろーかとここに来る前に何本かアイドルの記録映像を見といて良かったです。
瞬間記憶で覚えた付け焼き刃のアイドルダンスですけど、ちったぁ役に立つはずです!
後はボクの自慢の翼で空中戦の要素を加えれば、オリジナルのパフォーマンスの完成です!
こー見えても部隊じゃ前からマスコット扱いなんですよ、てめーら即席メイドにゃ負けねーです!
「何言ってやがんですか!?」
ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は困惑していた。
自らを囮にして男子生徒たちを運動場まで誘引してきたまではよかった。だが、アイドルステージが出現した瞬間、男子生徒たちは目覚めたように己自身がメイドになればいいとして、オブリビオン『アイアンメイデン』へと変貌を遂げてしまった。
男子生徒たちの姿形は影もない。
あるのは美しいヴィクトリアンメイドたち。
「わたくしたちが、メイドなのです。さあ、お嬢様。此方でございます」
「おかえりなさいませ、お嬢様!」
「お紅茶になさいますか? スコーンが焼き上がっております」
ファルコをもてなそうとする『アイアンメイデン』たち。
「い、いやいや! メイド喫茶禁止がどんだけストレスだったのかわかんねーですけど、存在自体が変化するほどおかしくなってんじゃねーですよ!」
ファルコは思わず叫んでいた。
ステージ上でしか、彼らはオブリビオン化できない。
そして、アイドルステージにてオブリビオン化した『アイアンメイデン』たちを打倒しなければならないのだ。
「いいえ、お嬢様。わたくしたちは一つもおかしくなってはおりませんよ」
「わたくしたちはお嬢様のために」
「お嬢様の素晴らしい一日のために」
歌うように『アイアンメイデン』たちは、アイドルステージのサイリウムを受けてまばゆく輝くようであったし、その動きはさながらミュージカルであった。
え、これにパフォーマンスで勝たねばならないのか? とファルコはたじたじであった。
状況は滅茶苦茶であった。
しかし、ファルコも女子である。
「こーなったらやってやるですよ! アイドルの戦いってヤツを!」
そう、覚悟を決めた。
すでに彼女は何本かのアイドルの記録映像を見ていた。
きらびやかなステージ衣装とスポットライト。
飛ぶ銀テープ。紙吹雪。
スモークにライトの演出。その全てを瞬間的に記憶していたファルコは瞳をユーベルコードに輝かせ、ロケット噴射でステージの空へと飛び立つ。
放たれたスモークがステージを取り囲み、ライトとサイリウムの輝きが彩雲のようにスモークを照らしている。
ファルコのスラスターが、そのスモークを一瞬で吹き飛ばす。
「あ、あれは……!」
『アイアンメイデン』たちが空を見上げた。
それは謂わば、航空ショー。
ファルコの航空戦力としての特性を組み合わせたオリジナルパフォーマンス。
そう、名付けるのならば、ROCKET DIVE!
「こー見えて、部隊じゃ前からマスコット扱いなんですよ」
それは自分で言っていて悲しくはならないだろうか?
だが、ファルコは思う。
多分、この日のために己の所属する部隊、ゴッドレイの隊員たちの可愛がりがあったのだ。
なら、負ける理由なんてない。
あの日々を思えば。
「てめーら即席メイドにゃ負けねーです!」
ファルコはアイドルステージにて煌めく航空メイドとして『アイアンメイデン』たちをパフォーマンスで圧倒するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
マジョリカ・フォーマルハウト
【NJM】
貴様らがメイドになってどうする!
ならばこちらにも策がある
UCでマスコットの魔法深海魚を召喚!
ほれ魔女っ娘な上にメイドだぞオタク共
もう威厳すら感じるであろう…
こやつらは皆レベル100の取引の使い手よ
相手メイドのコラボメニューを試食し
持ち上げてメイドカフェのプロデュースを提案…!
貴様の『最高』に可能性を感じたのだ
わしの元でその理想を形にせぬか?
まあ無論最終的にオーナーのわしだけが儲かる錬金術だがな…
ふはは、愚かな人間共めが!
…茜!?
何故貴様が此処におる
だから悪役ではないわ
錬金天使マジョリカちゃ…無差別攻撃はよさぬか!
くっ…退散するぞ皆の者!
かましたな
我ながら完璧な悪役ロリババアムーブ…!
御堂・茜
【NJM】
天知る地知る我知る人知る
そしてこの御堂が知っております
こちらのステージから凄まじい悪の気配がッ!!
はッ…あのいかにも悪役な小悪魔ゴスロリメイド
マジョリカ様ではありませぬか!
御堂の目を盗んで何をなさるおつもりで!?
なおメイドがジャスティスとお伺いしましたので
わたくし気合いと情熱でサイボーグメイドに変装しております!
見た目は可憐なお嬢様
中身は戦うサイボーグメイド…
ジャスティスメイド☆アカネ見参!!
(ハートポーズ)(背後で謎のキラキラした爆発)
はッ…我がジャスティスミドウ・アイで
よく見れば他にも敵アイドルの大群が!?
全員悪ならば致し方なし!
UCで全員まとめて成敗致しますわ
かわいいは…正義!
「貴様らがメイドになってどうする!」
マジョリカ・フォーマルハウト(みなみのくにの・f29300)は、己の思惑が完璧に崩れ去った様をアイドルステージにて立つ男子生徒たちであったもの――即ち、オブリビオン化した彼らっていうか、最早彼女らというのが正しい『アイアンメイデン』の姿に見た。
そう、彼らは至ったのだ。
境地に到達したと言ってもいい。
それは、悟りの戦いであった。
メイドになってほしいと願うから、メイドになってもらえないのだ。
それは言ってしまえば我欲の極み。
であるのならば、そのような我欲から開放されるにはどうしたらいいのか。
そう、己がメイドになればいい。
メイドになってほしいと欲すれば、まずは己がメイドになって見なければ、その心はわからないだろう。
「わたくしたちは、完璧な鋼の『アイアンメイデン』! 真理、此処に至りました!」
「ば、バカバカバカ者! これではチェキ代が稼げじゃろ! わし自らメイドになってやろうというのに、その機会をふいにするつもりか!? 大馬鹿者なのか!?」
確かににそれはそう。
ロリババア魔法少女メイド。
属性の大渋滞である。
こんなサービス滅多にないはずである。
「わたくしたちは至ったのです。であれば、属性など、この際邪念でしかないでしょう」
鋼の精神。
その姿にマジョリカは呻く。
「ならばこちらにも策がある。未だ、すべて我が手の内よ!」
ユーベルコードに煌めく瞳。
生み出されるは、魔法深海魚。
「見よ、魔女っ子な上にメイドだぞオタクども。もう威厳すら感じるであろう」
「ですが、お嬢様」
「敬ってほしいが、しかし、そういう方向性じゃあないのじゃ! ええい、わしのチェキ代よこせ!」
「まずはこちらを」
「んお?」
差し出されるのは、コラボメニューである。
それもずらりと、満漢全席かな? と思うほど並べ立てられている。
「新作コラボレーションメニューの試食でございます」
「ほう? なるほどの。これが貴様の『最高』というわけか」
「恐れ入ります」
「ふむ。気に入った。ならば、その才覚、わしの元で理想を形にせぬか? 無論、わしがオーナー……」
マジョリカはこと、此処に至ってもボロ儲けの商機を見出していた。
そう、彼女はこの『アイアンメイデン』たちを使って、最高のメイド喫茶をプロデュースし、コンカフェ界隈の覇権を狙ったのだ。
ストレスとは転じて商機につながるもの。
人々がストレス社会に生きて疲弊しているのならば、これを金銭に変えることができることこそ、本物の才能というもなのだ。
ふはは、愚かな人間共め、とマジョリカは内心ほくそ笑む。
だが、そんな悪役ムーヴは一瞬で終わりを告げた。
アイドルステージのサイリウムの波が割れ、勇壮なBGMと共に名乗り口上が響き渡る。。
「天知る地知る我知る人知る」
「ぬっ……! この声!」
「そして、この御堂が知っております! こちらのステージから凄まじい悪の気配がッ!!」
じゃーじゃーん!
「げぇっ、茜
……!?」
そこにいたのは、悪っぽいものを全て成敗するバーサーカーこと、御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)であった。
絶対正義(ジャスティスモンスター)の権化。
その輝きにマジョリカは呻いた。
やばい。
なんで? なんで茜が此処にいるのか?
確実に己の企みは感知されないはずであった。しかし、正義バーサーカーこと茜の嗅覚をナメてもらっては困る。
「あそこにおわすは、マジョリカ様ではありませぬか! いかにも悪役! 小悪魔ゴスロリメイド! 御堂の目を盗んで何をなさるおつもりで!?」
「悪役ではないわ! これは錬金天使マジョリカちゃ……」
「いいえ悪です
!!!!!!!」
話聞いて?
マジョリカの言葉を食い気味で詐欺って茜は、アイドルステージに飛び込んだ。
衝撃に『アイアンメイデン』ごと、ステージが傾いて揺れて大騒ぎである。
濛々とスモークに焚かれたステージにスポットライトが走る。
照らされるは、茜の姿。
否。
今の彼女はジャスティス。
見た目は可憐なお嬢様、中身は戦うサイボーグ。
それこそが! 気合と情熱のサイボーグメイド……。
「ジャスティスメイド☆アカネ、見参!!」
きゃるるんとハートポーズを取って茜……否、ジャスティス☆アカネの周囲に謎の爆発がキラキラと明滅する。
「無差別攻撃はよさぬか!」
「問答無用でございます!」
理性なんてない。あるわきゃない。
「『アイアンメイデン』……全員悪ならば致し方なし!」
「むちゃくちゃ言うでない!」
「かわいいは……正義! であれば、御堂の可愛さは有頂天突破であれば、この御堂こそが絶対正義。御堂に相対するもの、即ち、悪です
!!!!」
「暴論が過ぎるわ! くっ、撤退するぞ皆のもの!」
「逃しませんッ
!!!!」
炸裂するユーベルコードの輝き。
その煌きの中、爆発と共にマジョリカは宙を舞う。
これって、あれだよね。
完璧な悪役のムーヴ。ロリババアムーヴかはわからんけれども、なんていうか、毎回のごとく空を飛んで退散する。
そういうあれじゃなぁ。
マジョリカは正義バーサーカーの一撃に、かましたな、と思うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵

皇・絶華
おお…皆メイドさんになっちゃったぞさっちゃん
「彼奴ら頭おかしいんじゃねぇか!?自分がメイドさんになったらご奉仕して貰えねーだろうが!?」
大丈夫だぞさっちゃん
彼らの想いを私は理解している!
そう!メイドさんにぜっちゃんチョコを振舞って貰いたいと!
これより私もご奉仕をするとしようではないか!
地獄のアイドルUC発動
今回はメイド服でのパティシエアイドルだ!(クラシックメイド服
「あ、あわわわわわ…!」(ミニスカメイド服
お前達の願いは判っている!
メイドさんにチョコを振舞われたいのだろう!その願いは今こそ叶う!!
お前達がその様な思考に陥るのは深刻なパワー不足!ならば圧倒的なパワーに喜びの叫びをあげるがいい!
メイド喫茶を開催できなかったストレスを抱えた男子生徒達は皆、運動場へと誘引され、アイドルステージの出現と共にオブリビオンへと変貌する。
彼らを救出するためには、アイドルステージ上にてオブリビオン化した男子生徒を倒さなければならない。
しかし、このアイドル☆フロンティア世界のオブリビオンはなぜか強大なのだ。
サイリウムは人々の無意識。
であるのならば、魅力あふれるパフォーマンスでもって魅了し、力を貸してもらうしかないのだ。
「おお……皆メイドさんになっちゃったぞ、さっちゃん」
皇・絶華(影月・f40792)は、オブリビオン化した男子生徒たちの姿に目を見開く。
オブリビオン『アイアンメイデン』。
そう、彼らはストレスによってメイドそのものへと変身してしまったのだ。
メイドにできないなら、メイドになればいい。
解決ですな。
そうはならん。
「彼奴ら頭おかしいんじゃねぇか!? 自分がメイドさんになったらご奉仕してもらえねーだろうが!?」
『サートゥルヌス』の言う事は尤もである。
だがしかし。
「大丈夫だぞ、さっちゃん。彼らの想いを私は理解している!」
「ん?」
流れ変わったな?
「そう! メイドさんにぜっちゃんチョコを振る舞ってもらいたいと!」
「絶対そんなこと言ってない!」
「いいや、言っているとも! これより私もご奉仕をするとしようではないか!」
ぴっかー。
お星さまに願いを、どころではない。
ユーベルコードに煌めく絶華の体。
「今こそ狂気に染まった皆にパワーを与える時!!さあ!圧倒的なパワーを皆に披露しよう!!」
じゃねーのだわ。
降臨、シャイニングチョコ☆ギャラクシィ(ゼツボウトジゴクノウタゲ)!!
じゃねーのだわ。
「あ、あわわわわ……!」
ついでのように『サートゥルヌス』もにミススカメイドになっている。なんで?
「お前たちの願いは分かっている!」
「わたくしたちの願い?」
「そうとも! メイドさんにチョコを振る舞われたいのだろう! その願いは今こそ叶う!!」
びし、と突き出すのは、ぜっちゃんチョコ。
原初宇宙系チョコパティシエアイドルに変身した絶華は、そらよりカカオ濃度一億%チョコ邪神植物を降らせる。
なんて?
一億?
「そうだとも!」
「いえ、そのような……」
「言いにくいってことはわかっている! お前たちがそのような思考に陥るのは、深刻なパワー不足! ならば、圧倒的パワーに喜びの叫びをあげるがいい!!」
「絶対違う!」
何度も『サートゥルヌス』は叫んだ。
だが、悲しいかな。
絶華は、絶対に退かない。
アイドルステージに降り注ぐ邪神植物(動く)の蠢きは正気度というものをガンガン削る光景と共に『アイアンメイデン』たちを襲い、ついでのように『サートゥルヌス』をも多そうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソティア・エピアルティス
……闇堕ちならぬ「メイド堕ち」……それが貴様らの選択か…その意気や良し!
改めて……『櫻花幻朧メイド服』に早着替え!そして【白焔照らせし闇の陽炎】!ふ……わが聖魔メイド隊四天王の力……見せてやる!
……そしてさらに!『聖魔を覆う夢影の鎧』を変じさせ「闇の触手」(ぷよぷよしてる)を生成…!(当然守りは薄くなる。でも気にしない!)
ふっふっふ、さあメイド軍団よ、
我が
影劫杖と
闇の触手を恐れないのならかかってくるといい……!
え?「そういうのはちょっと」…?
いやあんな改造メイド服を着たり着せたりしておいてそれはありなの?
メイドといったら戦闘のプロとか夜のご奉仕とかじゃないの!?
ソティア・エピアルティス(闇に紛れ闇を狩る聖魔の影狩人(自称)・f43894)はダークネスである。
だからこそ、多くの光あるところには影が指し、そこに闇が生まれることを知っていた。
つまり、メイドとは光そのもの。
そのまばゆき輝きに照らされたものたちは、己の願望に影を落とす。
誰もが持ち得る影。
その闇に落ちることを誰が咎められようか。
いやしかし。
「……闇落ちならぬ『メイド堕ち』……それが貴様らの選択か……その意気や良し!」
良し、か?
だが、ソティアは自信たっぷりに胸を張った。
櫻花幻朧メイド服に早着替えした彼女は、白焔照らせし闇の陽炎(ブレイズシャドウ)の如き自らの分割存在――聖魔メイド隊四天王と共にオブリビオン化した男子生徒たち『アイアンメイデン』と対峙する。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「お紅茶になさいますか? それともお菓子になさいますか?」
「いいや、我が聖魔メイド隊四天王の力を……見せてやる! さらに!」
ソティアの身を覆う闇の防御膜が、うっすらと透けていく。
お、サービスシーンか?
違う。
ソティアの身を覆う闇の防御膜が触手へと変貌したのだ。そう、その防御膜は変幻自在。しかし、伸びれば伸びるほどに薄くなるのだ!
やっぱりサービスシーンじゃないか!
否、断じて違う。
ソティアは、その触手でもって『アイアンメイデン』たちを拘束しようとしているのだ。
「あの、お嬢様。そういうのはちょっと」
「はい、メイドとはお触り厳禁なものですから」
「え?」
ソティアは、ぽかんとしてしまう。
決め口上を上げようとしていた矢先である。
影劫杖スキアーファルクスでの衣服切り裂き、闇の触手によるおさわり。
それはもうメイドさんとは切って切れぬシチュエーションであったはずだ。
だが、『アイアンメイデン』たちは、きっぱりと断っている。
「そういうのはちょっと」
「いや、あんな改造メイド服を着せたりしておいて、それはありなの?」
「それとこれとは別、と申しますか」
「いやいや! メイドと言ったら戦闘のプロとか夜のご奉仕とかじゃないの!?」
ソティアは愕然としてしまう。
どう考えても得た知識が偏っているとしか言いようがない。
いや、そういうメイドさんたちも男子生徒たちにとっては大好物かもしれない。だが、身を持って経験するのと見ているだけなのとでは雲泥の差があるのだ。
己たちが完璧なメイドであるがゆえに、彼らはその現実を拒否しているのだ。
「ええい、いいから!」
いいのか?
ソティアは、そんな自分たちがする分にはいいが、他人にされるのは御免こうむるという意識を抱く『アイアンメイデン』たちに襲いかかり、それは通らんだろうと、それはそれは大変な目に合わせてしまうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【理ジェ】
冷めた瞳もまたご褒美!
ではなくて!
くっ……。
ここを切り抜けないと、冥土菜医愛流帝にはたどり着けないのか!
(膝を着いて葛藤のフリ)
え?誤魔化しきれてない?
そっかー。本音駄々漏れたししかたないね!
でもこの元男子メイドをどうにかしないとナイアルテさんと遊べないね。
ステージでのパフォバトルってことなら、ダンスバトルとかいいんじゃないかな。
さぁ、サージェさん出番だよ!
クノイチのたわわでみんなのテンションとリビドーを爆上げだー!
え?わたし?
ダンスなんて踊れるわけないし、見学……って、ひっぱらないでー!?
ほんとダメだかへぶっ!(見事な顔面からの着地)
あざとトジっ子じゃないから、本気でこれだからね!
サージェ・ライト
【理ジェ】
ぐふっ
ナイアルテさんの冷めた目は心に刺さる!
理緒さん(心が)つおい!!
いえ、ですが、黒猫耳冥土菜医愛流帝を見るまでは私は死ねない!
はい
冗談はさておき、ナイアルテさんとは遊びたい!
つまり、剛の心を持つメイドたちを排除しないと
理緒さんいきまあるぇぇぇぇぇ?!
私だけですか!?たわわってなんですか!?
ダンスとか出来ませんけど!
ジャンプくらいしかできませんけど!?
くっ死なば諸共!
理緒さんも巻き込んでやるーあーはっはっは!!
ほらおどりましょおどりましょー!
そして一緒に無様を……あ
【ちまっとかぐや隊!】かもん!!
私の強い味方ちまかぐやたち!
ダンスで支援お願いします!
あと理緒さんを応援してください!
「ぐふっ」
冷ややかな視線。
「冷めた目は心に刺さる!」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は、思わず膝をついた。
悪ノリと言えば悪ノリであった。
しかし、本心でもあったのだ。メイド服姿の推しを見たい。
その欲求は他の何ものにも代えがたい衝動であったのだ。それは認めるところである。
しかしだ。
推しもそれなりに生きている。であれば、受け入れがたいこともあるだろう。
もしかしたら、自室で一人メイド服に着替えて鏡の前で『私もまだまだイケますよね』とかしているかも知れないが、まあ、それはそれ、これはこれである。
着たからと言って人に見せなければならないという理由はない。一人でこっそり楽しむための服というのもまあ、世の中にはあるのだ。
そういうわけで、あの冷えた視線であった。
だがしかしである。
それは時としてご褒美になるもの。
道を極めれば、森羅万象あらゆるものがご褒美として見出すことができるものであると言っても過言ではない。過言ではないだろうか?
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はサージェと異なり、ちょっと心が湧き上がっていた。
「冷めた瞳もまたご褒美!」
カッ!
刮目せよ。
これが推しの極地!
「ではなくて!」
そう、問題はそこではないのだ。
出現したアイドルステージ。
そこでこそ、男子生徒たちはオブリビオン化し『アイアンメイデン』へと変貌を遂げた。
彼らを打倒しなければ、男子生徒たちを救出することはできないし、また彼女らが語るところの『黒猫耳冥土菜医愛流帝』には辿り着けないのである。
いや、そもそもそんなもんない、と一蹴することもできたかもしれないが、可能性としては微レ存ってやつである。
「くっ……ここを切り抜けないと!」
なら、猟兵はどんなに心に冷えた瞳がぶっ刺さったのだとしても立ち上がるのだ。何度でも!
「理緒さん、つおい!!」
心がね。
だがしかし、誤魔化しきれてはいない。
理緒の瞳からは本音がダダ漏れである。
「ステージでのパフォバトルってことなら、ダンスバトルが鉄板だよね」
「そうですね。冗談はさておき、剛の心を持つメイドたちを排除しないと」
「うん! さあ、サージェさん出番だよ! クノイチのたわわでみんなのテンションんとリビドーを爆上げだー!」
「ってあるぇぇぇぇぇえ?!」
サージェはぐいぐいと理緒に背中を押されてたじろいだ。
こういう時、二人で協力してことに当たるものではないのか? そうじゃないのか? コンビネーションって、そういうものじゃあないのか?
「私だけですか!? たわわってなんですか!? そもそもダンスとかできないですけど!?」
「なのに鉄板とか言ったの? そもそもわたしを数に入れないでよ。知ってるでしょ、わたしの運動神経!」
「お嬢様方、よろしいでしょうか」
「アッハイ」
仲間割れしている二人を前に『アイアンメイデン』たちが居並ぶ。
「無理にバトルしなくてもよろしいのではないでしょうか?」
「むしろ、優雅にアフタヌーンティーを楽しむのも良いのでは?」
それはそう。
だが、二人は頭を振った。
これはバトルなのだ。どうあっても! なら、サージェは理緒の手を掴んで引き寄せた。
「いいえ! やはりこれはバトルなのです! 行きますよ、 ちまっとかぐや隊!(ゲーミングカグヤヒメトアソボウ)」
「いや、バックダンサーのかぐや隊がいるなら、わたし無理に踊らないでも……」
「いーえ! ほら、おどりましょおどりましょー! そして一緒に無様を……」
死なば諸共ってやつである。
このサージェ・ライト。一人では死なんのである!
そんな彼女に引っ張られた理緒が顔面から地面に落ちてします。
本当に駄目なのだ。
理緒の運動神経は壊滅的。
いっそ、見事な芸術的な顔から落ちる芸であるのではないかとさえ思えてしまうほどの顔面落ち。
「……ビューティフォー」
その姿に『アイアンメイデン』たちは感服した。
「これぞ、ドジ・オブ・ドジ……わたくしたち完璧メイドにはない、ドジっ子属性というあざとさ……!」
「いや、これ違うから、本気でこれだからね!?」
理緒の叫びを無視して、そのドジっ子の様に『アイアンメイデン』は心よりの落涙を見せ、浄化されるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
酷い目に遭いました……。
メイド服に着替えさせられてないのが唯一の救いでしょうか。
お嫁に行けなくなるところでしたよ?
そうなったらステラさん責任取っていただくところでしたよ!
しかーし!
流されてたどり着いたのは、そうステージ!
ステージなんです!そうなんです!
ここがわたしの目的地でもあったので、結果おーらいです!
舞台にあがったなら、わたしは無敵ですよ。
そして!
メイドさんだろうと、偽メイドさんだろうと、やべーメイドだろうと!
そこにいるならそれは観客!
観客には最速最大最強でお応えするのが演奏家というもの!
さぁ、いきますよ……伝説の幕開けです!
みなさまのパッション、倍返しなのですー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
『勇者、メイドにジョブチェンジするってよ』作戦は不発に終わりましたか……
いえまぁ、ルクス様がメイドになられると色々と大問題になりそうですが
キャラ被りとか
責任をとって一生飼うとかですか?
ご飯は毎日与えている気がしますけども??
くっ、急に
勇者の力が!?
無敵っていうか敵は全部殺すっていうか
誰がやべーメイドですか
ちゃんと耳栓しますよ
しかしこの世界では
ルクス様の演奏に乗っていくほうが正解のようです
いいでしょう
演奏には歌が付き物
【アウルム・ラエティティア】
歌声に乗せるは希望
ええ、ごくたまになら
メイドとて主よりも目立つことがあってもいいはずです!
オブリビオンとて魅了してみせましょう
作戦名、『勇者、メイドにジョブチェンジするってよ』は不発に終わった。
いや、そもそも作戦だったのか。
偶発的な要因の重なりではなかったのか。
というか、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)がメイドになったところで御すことができるのだろうか。
諸々の問題の解決はできないままにルクスという勇者がメイドになったのならば、きっとステラは彼女を制御できないはずだ。たぶん。
そもそも、今の時点でも制御できていないと思う。
過去の事例から見ても、うまく言った例って……ありましたっけ?
いや、多分ない。
「いえまあ、ルクス様がメイドになられるといろいろと大問題になりそうですが、主にキャラ被りとか」
「キャラ被り心配してる場合ですか!? ひどい目にあったんですけど! メイド服に着替えさせられてないのが唯一の救いですよ!」
ステラの言葉にルクスは憤慨する。
たしかに男子生徒たちの突撃は凄まじいものであった。
勇者のアイデンティティが何処にあるのかは不明であるが、しかし、メイド服に着替えた時点で失われるのならば、それは、その、って感じであるし、メイド服の属性の強さを示す事柄でもあっただろう。
「お嫁にいけなくなるところでしたよ? そうなったらステラさん責任とっていただくところでしたよ!」
「責任。一生飼うとかですか? ご飯は毎日与えている気がしますけども?」
それはそれでどうなのだろうか?
「まあ、結果オーライですよ。流れに流されたたどり着いたのが……」
そう、目の前のアイドルステージである。
人々の無意識がサイリウムとなって煌めくステージ。
そこでしか、心に骸の海を抱えた人間たちはオブリビオン化できないのだ。
故に、ある意味計算通りであるとも言えただろう。
「ここがわたしの目的地でもあったので!
舞台にあがったなら、わたしは無敵ですよ」
ルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
「メイドさんだろうと、偽メイドさんだろうと、やべーメイドだろうと! そこにいるなら、それは観客!」
とんでもねー理屈である。
だが、筋は通っているとも言えただろう。
構えたバイオリン。
それはあまりにも理不尽な力であった。
「ぐっ!? 急に
勇者の力が!? 増している!? 無敵っていうか、敵は全部殺すっていうか、誰がやべーメイドですか」
ちゃんと耳栓しなくては、とステラは、きゅぽっと耳に詰め物をする。
だがしかし、この世界においては、いや、ことアイドルステージにおいてはルクスのやり方が最善ではあった。
問題は、人々の無意識が具現化したサイリウムがルクスのパフォーマンスについてこれるのか、という問題である。
演れんのか?
「演りますとも! 観客には最速最大最強でお応えするのが演奏家というもの!」
「――ッ!」
ステラは構えた。
ヤバそうな雰囲気がプンプンしていたからだ。
そして、少しでも、そう、少しでもルクスの旋律という名の破壊音波を中和するためには!
「演奏には歌がつきもの。アウルム・ラエティティア、歌声に乗せるのは希望。ええ、ごくたまになら、メイドとて主より目立つことがあってもいいはずです!」
「いいえ、それはなりません」
きゅぽ、と音を立てて詰め物が引っこ抜かれる。
「なっ!?」
「メイドとは主の影にてお支えするもの」
「い、いや! そういう問題では!」
ステラは大慌てであった。
だが、『アイアンメイデン』たちはステラを羽交い締めにしていた。
「……伝説の幕開けです! みなさまのパッション、倍返しなのですー!」
「い、いやー!?」
ステラの叫び声を共にして奏でられる……いや、荒ぶはCanon(カノン)。
その強烈な一撃は、ステラの鼓膜と『アイアンメイデン』の鋼の意志をぶち抜くのは十分だった――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
テンション高めのメイドさんたちだなー
でもそれだと奉仕とか甘やかされとかきゃっきゃうふふとかメイド同士でやることにならない?
いやそれはそれでありだって?
ありだけど方向性が変わってるじゃーん!
まあフェティッシュは時代とともに移り変わるもんだからねー
フフーン!ボクに【ダンス】や【パフォーマンス】で勝てると思ってもらっちゃ困るよ!
そうこどもは常に万人受けするコンテンツだからね!
と少年メイド姿で世界を【魅了】していこう!
わーい!褒めて!もっとボクを褒めて!
あ、そういや一応倒さなきゃだった?
ハイドーーーーンッ!!と[球体]くんをぶんなげとこう!
はい、じゃあ続きをやるよー!
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は思う。
確かにメイドになってもらえないなら、メイドになってしまえ、という逆転の発想。それはアリだと思うのだ。
けれど、テンション高いなーとロニは思った。
「でもさ、それだと奉仕とか甘やかされとか、きゃっきゃうふふとかメイド同士でやることにならない?」
「むしろ、それはそれでよいのではないでしょうか」
オブリビオン化した男子生徒たち、『アイアンメイデン』たちはそう言った。
尊いと尊いのがっちゃんこ。
それはある意味でさらなる尊さの高みに至ることもあるだろう。
そういう趣味嗜好だって持ち得ていい。
でも、とロニは言う。
「それって方向性が変わってるじゃーん! 初志貫徹、しようよ!」
確かに。
「ですが、わたくしたちはメイドになったのです。それはとっても心地よいことだとは思いませんか?」
「うーん、うーん、まあフェティッシュは時代とともに移り変わるもんだからねー」
仕方ないかーとロニはアイドルステージの上で、くるりとターンを決める。
「それでは」
「うん、そういうわけだからさ」
「始めましょうか、このメイドパフォーマンスのステージを!」
「フフーン! ボクにダンスやパフォーマンスで勝てると思ってもらっちゃ困るよ!」
ロニは少年メイド姿で世界を魅了する。
アイドルステージに集まったのは、人々の無意識が具現化したサイリウム。
そのサイリウムがロニの踊りに合わせて揺らめくようにウェーブを生み出していく。
それはまるでロニのダンスを褒め称えるような動きであったことだろう。
「わーい! 褒めて! もっとボクを褒めて!」
「っ、クッ! なかなかやりますね……ですが!」
「あ、そうだった。一応倒さなきゃだったね?」
ロニは思い出したように球体を手にした。
それは急激に膨れ上がるようにして巨大な球体へと変貌する。
「ハイ、ド――ンッ!!」
ぶん投げる球体。
それはライブステージ上の『アイアンメイデン』たちへと降り注ぎ、ステージにて跳ね上がる。
空中に舞い上がるロニや『アイアンメイデン』たち。
思いがけない空中パフォーマンスになったことにロニは笑う。
「アハハー! はい、じゃあ続きやるよー!」
その言葉と共にロニはさらなるダンスパフォーマンスと共に『アイアンメイデン』たちと、そして人々の無意識が具現化したサイリウムの波に乗るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ディル・ウェッジウイッター
アドリブ連携可
おお坊ちゃま、立派なメイドになられてしまって……先の教育の成果が出ましたね。爺やは嬉しいです(ほろり)
まぁ冗談はそれとして
メイドとなったからには主ひいてはお客様を立てていただきましょう
UCでゴーストの皆様を召喚
彼らはとても強い一方で
お茶にはとってもこだわりがある方々。満足いくお茶を淹れていただければ何もしませんが、行かなかったら攻撃……いえ、今回はこの世界仕様でダンスの相手をしていただくことになります。ゴーストの皆様分かってらっしゃる
メイドはライブでも相手を立ててくださいね
……もしかしてお茶会とライブって相手を建てる意味では一緒だったりします?
それは教育の結実であったことだろう。
メイドに奉仕を受ける身というのならば、それ相応の格というものが必要である。
ディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)は、そうした格というもの、主人たるものを男子生徒たちに叩き込んでいた。
その試練というか、試験というか、厳しい訓練めいた効き紅茶の会は男子生徒たちの心を鍛え上げるものであった。
その結果が。
「わたくしたちメイドがお相手いたしましょう」
「厳しい薫陶、ありがとうございました」
「お見せいたしましょう、わたくしたちが完璧なメイドである、ということを」
男子生徒たちがオブリビオン化した『アイアンメイデン』たちである。
このアイドルステージ上にて、彼らはオブリビオン化する。だが、今までメイド担ってほしいと願っていた彼らは、一周回って自分たちがメイドになればいいと理解したのだ。。
そして、この仕上がり。
ディルの教育は、ある意味大成功であった。
「おお、坊ちゃま、立派なメイドになられてしまって……」
ほろり。
いいのか?
それでいいのか?
「爺やは嬉しいです」
爺や!?
ディルは、冗談だと言わんばかりに『アイアンメイデン』に向き直る。
「メイドとなったからには、主ひいてはお客様を立てていただきましょう」
煌めく瞳。
ユーベルコードの輝きと共に現れたのは、彼の淹れた紅茶を代償として召喚されたゴーストたち。
彼らは、友好的であるが、紅茶によって召喚されたからから、非常に
お茶にはとってもこだわりのだ。
ディルは頷く。
「これを持って坊ちゃまたちの最終試験と参りましょう。彼らの満足いくお茶を淹れていただければ何もしませんが、できなかったのなら……」
ごくり。
「ダンスの相手をしていただくことになります」
任せろ! と言わんばかりに紳士めいたゴーストたちが頷く。
「さすが、ゴーストの皆様、わかっていらっしゃる」
「それでは……」
「ええ、はじめてください」
ここに始まるは、ゴースト・ティーパーティー。
ゴーストと『アイアンメイデン』による対決というか、優雅な一時。
メイドになると宣言した以上、ディルは見守るだけである。そう、ディルは気がついていた。
お茶会とライブ。
共通点が多い、と。
なぜなら、ライブは観客を、お茶会は賓客を。
もてなすという意味では一緒なのだ。
そうなのか? と思うものもいるかもしれないが、そうなのだ。
「ふっ……爺やは、ここで見守っておりますよ、坊ちゃまたち。皆様の成長……くっ!」
目から汗がでてきそうである。
彼の目の前ではゴースト達を相手にしっかりとメイドとしての完璧な立ち振舞をする『アイアンメイデン』たち。
なるほど。
確かにこれは、彼らの成長を見ることができて……瞼も熱くなろうってもんである――!
大成功
🔵🔵🔵
銀座・みよし
メイドに憧れていただけるのは嬉しゅうございます
ですが、メイドとは生き様
服装を真似るだけではなりません
ゆえに…お願い致します、流れ星さま!
わたくしをメイドアイドルへと導いてくださいませ!
ピクニックバスケットを掲げ変身、UC発動
ブブちゃんも黒い身体にレースのリボンがよくお似合いです
では皆様、メイドの給仕をお見せくださいませ!
あ、お茶とメロン、もしくはメロンパンを所望いたします
…ブブちゃん、自前のメロンとかは今回出しませんよ
折角の彼女…?らのコラボ商品ですからね、そちらを楽しみましょうね
ブブちゃんの術をお借りしつつ、ティータイムを堪能いたします
【礼儀作法】 に則り、皆様をしっかりとご指導いたしますね
アイドルステージでの戦いの推移はどうなっているのか。
もはや誰にもわからなかった。
猟兵が優勢なのか、オブリビオンが優勢なのか。
まるでわからない。
なんかこう、盛り上がっているなぁ、というのは感じるのだが、それでどう決着がつくのかまるでわからない。
「メイドに憧れていただけるとは嬉しゅうございます」
シャーマンズゴーストの銀座・みよし(みならいメイド・f00360)は、恭しくカーテシーと共にオブリビオン『アイアンメイデン』たちと対峙する。
「先達とこうして相まみえること、こちらも嬉しく思います。ですが」
「ええ、ですが、メイドとは生き様。服装を真似るだけではなりません」
「そのとおりでございます。それ故に!」
「ええ、それ故に」
みよしは、天に流れる星に願う。
そうなのだ。
これはアイドルパフォーマンス。
メイドの奉仕勝負ではないのだ。それを見誤ることなく、みよしは星に願う。
「お願いいたします、流れ星さま! わたくしをメイドアイドルへと導いてくださいませ!」
みよしの掲げたピクニックバスケットの蓋が開き、虹色の輝きが溢れ出す。
それはおなかぺっこぺこの術を操る悪魔『ベルゼブブ』と共に現れ、みよしの姿をメイドアイドルへと変貌させる。
具体的にどう変わったのかと言われたら、ふりふりの度合いが増えた、という具合である。
しかし、溢れ出るメイドとしての気品はまるで損なわれていない。それどころか、増大しているようにすら思えてならなかっただろう。
ミニブタの子供『ベルゼブブ』もまた黒い体にレースのリボンでドレスアップされている。
「では、皆様、メイドの給仕をお見せくださいませ!」
「それではご賞味くださいませ」
「あ、お茶と」
「メロンパン、でございますね」
みよしの言葉に『アイアンメイデン』たちは頷き、さっとサーヴする。
淀みない動作。
素晴らしい、とみよしは頷く。
もてなす側が所望するものを先回りするようにして提供する。その手際にみよしは感動した。
「ブブちゃん、自前のメロンとかは今回出しませんよ」
「ぶー」
「どうぞこちらを」
さっと、また出されるお茶。
淹れ方も上出来であると言えるだろう。
「皆様、どこに出しても恥ずかしくないメイドでございます。であれば、もうおわかりですね?」
みよしは、しっかりと『アイアンメイデン』たちが提供してくれたコラボ商品のメロンパンを食して、口元を拭いながら瞳を伏せた。
そう、『アイアンメイデン』たちも理解していた。
みよしが言う通り、姿形を真似てもメイドではない。
それはメイドっぽいなにかでしかない。
それを貶めるつもりはないが、しかし違うのだ。
故にみよしは、立ち上がった。
互いに見つめ合うメイドとメイド。
「皆様は、その心にメイドをもっていらっしゃる。であれば、これまで皆様がしてきたこと……他者にメイドたらんことを強要することの愚かしさは、ご理解帯だけたと思います」
優雅にみよしは一礼する。
その姿に『アイアンメイデン』たちは落涙する。
そうなのだ。
みよしの優雅で見事な礼儀作法。
それによって彼らは思い出したのだ。
己達はメイドになってほしかったが、それだけじゃあなかったのだと。
気になるあの子のメイド姿が見たいという欲望ばかりが先走っていた。けれど、本当は違うのだ。
メイドになってわかった。
メイドとは生き様。
であれば……彼らは敗北を認めるように光の中に消えていく。
残されたのは、男子生徒たち。
彼らの涙が、青春の汗となって光に包まれるアイドルステージに滴り落ちる。
それがこの戦いの決着だった――!
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『届いて☆ラジオ放送』
|
POW : 熱いトークをお届けする
SPD : 小粋なトークをお届けする
WIZ : 癒しのトークをお届けする
|
猟兵達は勝利した。
本当に勝利したのかと言われたら、そのなんていうか、曖昧な感じであったが、なんとなくいい感じに終わったので勝ったのである!
時はお昼。
男子生徒たちも狂乱から開放されて、一息ついている。
あのメイド狂騒曲のようなひと時は夢だったのか。
いや、夢ではなかった。
「でも……なんていうか、スッキリしたよな」
「うん」
「あの人達って、でも一体……」
そんな男子生徒たちの耳に聞こえてくるのは、放送部によるお昼休みの学生ラジオ。
学内の有名人や活動を伝えるトーク番組だ。
そこから聞こえるのは、男子生徒たちの耳に覚えのある声。
「えー、では今日のコーナーです! 転校生のみなさーん!」
どうやら猟兵達を転校生だと認識しているのだろう。
放送室にて猟兵達はラジオのコーナーの一角を務めるように、様々な質問を受けて答えていくのだった――。
マジョリカ・フォーマルハウト
やれやれ、えらい目に遭うたわ
わしゃ転校生であったのか?
これ以上属性盛られるのか?
クール眼鏡男子高生探偵ゾンビか?
しかし転校生の正体は悪の幹部のう
おいしい…!
王道展開じゃろ…!
追加戦士枠までありうる!
そういうのが大好きなオタク共の為にお便りを読むぞ
『何歳ですか?』
(ろく)じゅうななさいじゃ
『グッズはないんですか?』
無論用意した
この後部活棟の魔女っ娘同好会で限定販売だ
シークレットアクスタ全132種を集めよ
『アカネちゃん出して』
あやつは次の悪を裁きに向かった
茜のアクスタも4種程あるぞ
欲しくば買え…わしのアクスタを!
転売屋にはげきおこののろいが襲いかかるであろう
転売はダメ
マジョリカちゃんとの約束じゃ!
性も懲りなく、というのが悪役の存在意義であったのなら、悪役を演じた者は不撓不屈の意志を持つ者であったことだろう。
己が目的のために邁進する意志。
それは大衆に流されることなく、倫理も道徳も、その意思を矯正することのできぬ絶対の意思。
……とも言えたのかも知れない。
「やれやれ、えらい目に遭うたわ」
マジョリカ・フォーマルハウト(みなみのくにの・f29300)は頭についた葉っぱを払って息を吐き出した。
えらい遠くまでぶっ飛ばされたな、と思ってはいたが、オブリビオン化した男子生徒がメイドメイドメイドと狂乱していた学校まで漸く戻ってきた。
時はお昼。
授業の緊張感はどこにもなっく、緩んだ和やかな空気が流れている。
お昼休みというやつである。
「あ、転校生の子じゃん。放送室いかなくっていいの?」
「ん? わしゃ転校生であったのか?」
学内を歩いているとマジョリカは女子生徒に声を掛けられる。
無論、転校してきた記憶はない。
おそらく、アイドルステージにてオブリビオンとの戦いを見ていたのだろう。
あのアイドルステージに満ちたサイリウムは人々の無意識。薄っすらと記憶に残っているのかもしれない。
「いや、これ以上属性盛られるのか? クール眼鏡男子高生探偵ゾンビか?」
特盛である。
激熱とも言う。
そこまで考えてマジョリカは思った。
転校生の正体は悪の幹部。むしろ、これはおいしい立ち位置ではないか? 王道展開であるし、場合に寄っては追加戦士になるあれである。
主人公たちと熱いやり取りの後にメンバー追加という盤石の構え。
「うむ、ではわしが自ら出向いてやろうではないか」
放送室のドアを開け放ち、マジョリカは尊大な態度でパイプ椅子にドカッと座る。
「お、君が噂の転校生ちゃん。びっくりしたけど、登場ありがとうね」
「苦しゅうないわ。じゃんじゃんばりばり質問を読み上げるがよいぞ」
「じゃあ、遠慮なく。『何歳ですか?』」
普通、それ最初に来るか? とマジョリカは思った。
学校なのだから、だいたい皆同じ年齢じゃろがい、と思わないでもなかった。
「(ろく)じゅうななさいじゃ」
なんか、かっことじが見えた気がしたが気の所為だ。聞こえなければ言ってないのと同じである。
「あと、これなんだろう。転校初日で既にファンクラブができてるのかな?『グッズはないんですか?』ってあるけど」
「無論、用意しておる。この後、部活棟の魔女っ娘同好会で限定販売だ。シークレット含めたアクリルスタンドである。全132種である。集めよ」
多い。
「多くない? 後、『アカネちゃん出して』って。正義バーサーカーってこと?」
「あやつは次の悪を裁きに向かった。温情であやつのアクスタも4種あるぞ」
「逆にアカネちゃんのアクスタのほうがレアリティ高くない?」
「欲しくば買え……わしのアクスタを!」
絶対転売屋の餌食だと思うなぁ。特にアカネちゃんアクスタ。
「じゃあ、最後に一言!」
「転売大作には、げきおこののろいが襲いかかるであろう。転売ダメ、絶対。マジョリカちゃんとの約束じゃ!」
後日、アクスタの裏取引やらトレード問題が勃発するのだが、多分それは別の話――!
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
はー……なんか普段と違う意味で疲れる戦いでした。
まぁなんやかんやありましたけど、無事終わって良かったです。
ってメイドに変身して大騒ぎしやがったやろーども、なーにスッキリしてやがんですか!
けっ、てめーらは呑気で良いですねぇ。
こっちはなんか慣れねーダンスとかさせられて大変だったんですよ!
教師どもも聞きやがれです!
こんな事になるくれーなら、メイド喫茶くらいやらせてやれってんですよ!
男女問わず着てー奴が着て行きてー奴が行きゃあ良いでしょーよ。
変なサービスさせなきゃ良いだけなんですから!
……ただしビキニメイドとかゆーのを勧めて来たヤツ、てめーはダメです!
それは流石にプライベートでやりゃあがれですよ!
新たなる世界、アイドル☆フロンティア。
その戦いはアイドルの戦いであった。
アイドルとはなんぞや。
正しく、そう問いかけられる厳しい戦いであった。
「はー……」
ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は、深いため息を付いていた。
大変だった。
普段の猟兵の戦いとはまた違った疲弊を覚えていた。
まあ、なんやかんやあったが、無事にオブリビオン化した男子生徒たちは元に戻ったようである。
なら、めでたしめでたしなのだろう。
「って、男子! おめーら、なーにスッキリしてやがんですか!」
「え、べ、べべつにスッキリしてねーし!」
「い、いいがかりはやめろよなー!」
「そ、そうだそうだ!」
ファルコの言葉に男子生徒たちは、なんだかもじもじしながら抗議する。
彼らは確かにオブリビオン化していた。だが、あのアイドルステージでの戦いの後は、うっすらとしか記憶に残らない。そもそも残っていないのかもしれない。
だから、男子生徒たちはファルコを見て、理由のない旨の高鳴りを覚えていたのだ。
な、なんかファル子のやろー、急に可愛く見えるじゃねーか。
でも、あいつの良いところを知っているのは俺だけだろうな。
他のやつは見る目ねーからな。
とかなんとか、そんな感じ。
ファルコはそんな彼らの様子に気がつくことはなかった。
「けっ、てめーらは呑気で良いですねぇ。こっちなんか」
慣れないダンス。
アイドルパフォーマンス。
あと、メイド服。
ファルコの憤懣は腹の底から溢れ出すように叫びへと変わった。
「教師ども、聞きやがれです!」
「なんだ、ファル子。ちゃんと先生って呼びなさい」
「うっせー! 生徒の自主性うんたらって言うなら、メイド喫茶くれーやらせてやれってんですよ! 男女問わず着てーやつが着て、行きてーやつが行きゃいいでしょーよ! 変なサービスさせなきゃいいだけなんですから! そんなに自分たちの生徒が信用ならねーですか! そんな教育しかしてこなかったんですか!」
ファルコの言葉に男子生徒たちも教師たちも目をぱちくりさせていた。
確かに、ファルコの言葉は正しいことだった。
自主性の芽生えを大切に思うのならば、失敗もまた必要な経験であったことだろう。
失敗してもリカバリーできることを知るのまた大切であるし、失敗したとしても、それが無意味になることなんてない。
だから、学校という限定的な場所で安全に経験を積めることは、喜ばしいことだったからだ。
「ファル子……」
「そうだよな! 今からでもやろうぜ! ビキニメイド喫茶!」
「おおお! ファル子、早速だけど!」
くるり、とファルコを振り返る男子生徒たち。
びき、とファルコのこめかみがひくついた。
「そーゆーのがダメダって言ってんでしょーが! ダメに決まって得るでしょーが! それは流石にプライベートでやりやがれですよ!」
プライベートでお願いしたら、ファルコはビキニメイドになってくれる……って、こと!?
そういうことなの!?
男子生徒たちは、また「へへ……」みたいな気持ち悪い空気を纏ったが、ファルコは付き合いきれんと肩をすくめてげんなりするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソティア・エピアルティス
【POW?】
ふふ、さあこの謎と闇に満ちた転校生に何でも聞くとい……え?
前の、学校の話……?
……あー、えー、そのー…
(説明しよう!闇堕ち前の元人格は「違う自分になりたい」と己の中のダークネスに存在を明け渡してしまう程度には己を疎んでいたし、闇堕ち後も力の弱い半引きこもり弱小淫魔だった。つまり、他人に話せるような学生経験とか社会経験なんか、ちっともないのである!
結果、なんかめっちゃどっかのアニメとか漫画で見た嘘学園生活エピソードを早口で答える。キャラが崩れてる気もするがそれを気にする余裕はない)
……そ、そう!
あれは、私が学園を支配する裏暗黒生徒会に挑んだ時のー……(以下めっちゃ嘘エピソード)
お昼休み、校内放送というものもまた生徒の自主性を高める一環であったことだろう。
生徒に裁量を任せる。
それは教師たちからすれば、ある程度の手綱を握らねばならぬことであったが、手綱がつけられているということを悟られてはならないことであるとも言えた。
何処まで行っても自由とは柵の内側にあるものだ。
規律という柵なくば、ただの野放図。自由とは言えない。
とは言え、校内放送で、そうだいそれたことが起きようはずもない。
こう書くとフラグのように思えてならない。
「ふふ、さあ、この謎と闇に満ちた転校生に何でも聞くといい」
ソティア・エピアルティス(闇に紛れ闇を狩る聖魔の影狩人(自称)・f43894)は、放送室のパイプ椅子に足を組んで、ミステリアスな雰囲気を醸し出しながらインタビュアーである生徒に向かって笑む。
そこだけ見たのならば、彼女は正しく謎の転校生であったことだろう。
「じゃあ、前の学校の話とか教えてもらっていいかな?」
「え? 前の、学校の話……?」
ソティアは、先程までのミステリアスな雰囲気がガラガラと瓦解していく音を聞いたかも知れない。
前の学校。
そう、ソティアはアイドル☆フロンティア世界出身ではない。
彼女はダークネス。
誰もがダークネスを宿す世界であった、サイキックハーツ世界からやってきた猟兵である。
その世界では、ダークネスになるということは、闇落ちと呼ばれていた。
自分ではない自分がもう一人いる。
ソティアの元の人格はもういない。
闇落ちとは、己の中のダークネスに体を明け渡すことだ。
そして、ソティアの元人格は『違う自分になりたい』という願望を抱くほどには、自身をうとんでいた。
違う自分になりたい。
自分ではない何かになりたい。
そう願うまでに至った元人格の道程は、余人の知らぬところであった。
そして、ソティアがダークネスとしての人格を確立してもなお、彼女自身が弱小淫魔だったのだ。
だから。
そう、だから、ソティアには誰かに話せるような学生生活や社会経験などなかったのだ。
だが!
ここから始めればいいのだ!
今までの自分とさよならグッバイしたのなら、ここからなのだ! ここから積み重ねていけばいい。
アイドルがデビューするというのならば、己の人生もこれからデビューすりゃいいのである。
「……そ、そう!あれは、私が学園を支配する裏暗黒生徒会に挑んだときの」
「え、裏、え、なに?」
「裏暗黒生徒会よ!」
「裏暗黒生徒会!?」
「そう。奴らの横暴極まる圧政から学校を開放するために私、ひとり立ち上がったの。手にした『影劫杖スキアーファルクス』だけが、裏暗黒生徒会の纏う暗黒学生服を無効化できる力を持っていたの。だから、私は戦ってきたのよ。全ては、学校を奴らの魔の手から開放するために!」
滅茶苦茶嘘である。
盛りに盛りまくったせいで、何かのアニメか? と思うほどのエピソード。
完全に嘘だとバレるやつである。
しかし、思いの外ソティアの語り口は斬新で面白かったのか、毎週放送室に着てエピソードを語ってほしいという、退くに退けぬ状況に追い込まれてしまうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【理ジェ】
なになに?
わたしいまから『黒猫耳冥土菜医愛流帝』しに行かないとなんだけど……。
ラジオ?違う?校内放送?
校内放送!?(きゅぴーん
これは……『菜医愛流帝』布教のチャンス!?
なんならこの学校ごとファンクラブに……!
え?『菜医愛流帝』ってなに、だって?
よしわかったみなまでいわなくてもおっけい!
お昼と言わず、午後の授業全てを『菜医愛流帝』にしてさしあげよう!
許可などいらない聞いてない。『菜医愛流帝』はすべてに優先する!
さてまずは『菜医愛流帝』の誕生からだけど……。
おおぅ!?
なんかすっごいオーラきたよ!?
いや、そんな涙目で覇気放つなら、ナイアルテさんもこっちおいでよー♪
いっしょにトークしようー!
サージェ・ライト
【理ジェ】
ううう、ひどい目にあいました
これはクノイチに対するメイドハラスメントでは?
ともあれ生き抜いた者が勝利者!
つまり、私たちの! 菜医愛流帝ファンクラブの勝利です!
というわけで理緒さん!……はもう荒ぶっておられる!!
また視線で殺される、ファンクラブ冥利の戦いに出るのですね!
なんで私が会長なんでしょうか!?
ともあれ、『黒猫耳冥土菜医愛流帝』不況のチャンスを逃す訳にはいきませんね
ほら、そこに黒猫にゃんこグローブと黒猫耳があるじゃろ?
ひぃぃっ!?
ものすっごいオーラが飛んできてます?!
だがその瞬間も余さず撮るのが我らの役目!
アッハイ封印シマス
よし落ち着きましょう
美味しいチョコ大福とお茶ありますよ?
「ううう、ひどい目にあいました」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はアイドルステージでの戦いというか、パフォーマンスを終えて肩を落としていた。
大変だった。
パートナーである菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の壊滅的運動神経は理解していたつもりであったが、あんなにも大変なものだとは思ってもいなかったのだろう。
でも、それでも猟兵たちの勝利でアイドルステージを締めくくることができたのは幸いであった。
はっきり行って、クノイチハラスメントとしか思えない扱いを受けたが、まあ、それも行きているのならば、勝利者は己である。
なら、胸を張ればいいのである。
たゆたゆ揺れる。
「つまり、私達の! 菜医愛流帝ファンクラブの勝利です!」
「だよね。早速、黒猫耳冥土菜医愛流帝しにいかないとだよねっ」
理緒の言葉にサージェは力強く頷いて、猫耳バンドを握りしめてていたし、彼女の手にはメイド服があった。
そんな二人に学生が近づいてくる。
「ねえねえ、君たちって転校生でしょ? 校内放送、時間だよ?」
「いかないでいいの?」
そんな学生たちの言葉に二人は首を傾げた。
「校内放送? え、ラジオってこと?」
「まあ、似たようなものかな。転校生が学校に早く馴染めるようにって企画されてるんだけど」
「……校内放送……」
きゅぴーん!
理緒の瞳が煌めいた。
サージェは、もう荒ぶってるんだな、と他人事であった。
「これは……菜医愛流帝の布教チャンス!? なんならこの学校ごとファンクラブに……!」
「り、理緒さん、また視線で殺されるやつですよ、これ!」
「むしろ、ご褒美!」
「なになに、ないあるていって」
学生たちの言葉に理緒は、まあ、落ち着きなって、と言うように手で制する。
なかなかの貫禄であった。
「よしわかったみなまでいわなくてもおっけい! ちゃんと校内放送でお伝えするよっ。いや、お昼と言わず、午後の授業全てを菜医愛流帝にしてさしあげよう! 許可などいらない聞いてない。菜医愛流帝は全てに優先する!」
「荒ぶっておられる……ファンクラブ冥利につきる戦いに出るのですね!」
そこまで二人が言ってから、後方から凄まじい圧を感じる。
無論、グリモア猟兵である。
やめてやめてやめてやめてください。
そんな念が伝わるようであった。
しかし、理緒はとまらなかった。
「早速放送室にごー!」
放送室までは、グリモア猟兵の手も及ぶまい。
「ひぃぃっ!? すっごいオーラ飛んできてます?!」
後方から飛んでくる圧にサージェは悲鳴を上げながら放送室に走る。
そう、止まらない。
この瞬間もまた余さず撮る、記録するのがファンクラブの役目であると言わんばかりであった。
「ふふ、そんな涙目の覇気なんてかわいいだけだよ!」
「まあ、落ち着いて落ち着いて。美味しいチョコ大福とお茶ありますよ? チョコあ~んぱんも」
買収である。
サージェが惹きつけて、理緒が布教する。
そのコンビネーションによって、二人は瞬く間に学内に菜医愛流帝ファンクラブを樹立し、同好会の一大勢力へと成り上がるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
むふー♪
やっぱりステージでの演奏は格別ですね。
今回はいろんな方に聴いていただけましたし満足です!
って、なんかまたルビで酷いこと言ってません!?
それにぶち抜いてないですからね!癒やしたんです!
で、ラジオでしたっけ?
ステラさん、エイルさん絡みは……って、え!?
めずらしく自重してます!?
いやむしろ自重って言葉が辞書に載ってます!?うそー!?
ナンデモナイデス。
で、トークネタがそれですか!?
いやまぁ魅力はありますし、二丁拳銃のステラさんかっこいいですけど!
ま、まぁ、それならトークはステラさんに任せてしまっていいですね。
ラジオと言えばトークと音楽。
わたしは音楽担当でいかせていただきましょうー♪
ステラ・タタリクス
【ステルク】
ぐふっ……どうして耳栓を外しましたか……
完璧すぎるメイドも問題ですね……
ともあれ、復活しました
とてもご満悦な感じですねルクス様?
どうですか?
音楽で
鋼の意思をぶち抜いた気分は?
さて、
メイドのお仕事は終わりのようですが
ふむ、ラジオ放送ですか?
んー話す事話す事……エイル様の事……はやめておきましょう
そういえば、元のケルーベイムのパイロットってメイドだったような?
憂国学徒兵はこの世界に『在る』のでしょうかね?
いえ、戯言です
わかりました、メイドと二丁拳銃のマリアージュについて
その魅力を余すことなく語りましょう!
ルクス様、演奏ステイ
死人出ますから!?
「むふー♪」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はごきげんだった。
アイドルステージでの戦い。
戦いというかパフォーマンス。
それは彼女にとって本領を発揮するものであった。
どんあアイドルステージにだって演奏は必須。であればこそ、彼女は大手を振って演奏をすることができた。たとえ、それが破壊音波を撒き散らす惨憺たる状況を生み出す演奏であったとしても、だ。
その一番の被害者は言うまでもなく、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)である。
彼女は今回の事件において、メイドという重要なファクターを要していた。
けれど、それ以上にルクスの演奏が彼女の鼓膜を理不尽に痛めつけたのだ。
それもこれもオブリビオンが全部悪い。
耳栓を引っこ抜かれては、さしものメイドも抗いようがなかったのだ。
「ぐふっ……さすがは完璧過ぎるメイド……問題ですね」
ともあれ、ステラは漸く復活していた。
「やっぱりステージでの演奏は格別ですね。今回は色んな方に聞いていただけましたし、満足です」
「それはようございましたね、ルクス様。どうですか?
音楽で
鋼の意志をぶち抜いた気分は?」
「ルビでまたひどいこと言ってません!? それにぶち抜いてません! 癒やしたんです!」
「いえ、あれは確実にぶち抜きました。私の鼓膜を」
そんな二人に学生が近づいてくる。
「あ、ああああの、て、転校生の、人、ですよね? ほ、放送室に……」
噛み噛みの女子生徒の言葉に二人が振り返る。
ビクッと女子生徒は肩を震わせたようだった。
「こ、校内放送が、あの、あの」
「校内放送?」
「そ、そうです。てて、転校生の皆さんに、早く学校にな、慣れてもらおうと思って企画してるんです」
ほう、とステラは頷く。
「ふ、不安とか、学校のこととか、知る、いい、機会だと思います、よ?」」
「なるほど。では」
ステラは己の主人のことを、と思ったが自重した。
その様子にルクスは驚愕した。
珍しい。
珍しすぎる。
「ステラさんが、自重、した……? いや、むしろ自重って言葉が辞書に載ってます!? うそー!?」
「ルクス様?」
にこり。
ステラの眼光一閃である。
ステラはいくつか思い至ることもあったのだ。
『ケルーベイム』。
己がキャバリア。
それは謂わばレプリカモデルであるとも言える。元の『ケルーベイム』、アニメ『憂国学徒兵』シリーズにおいては、パイロットがメイドであった、と記憶していた。
であれば。
『憂国学徒兵』は、別世界ではアニメシリーズとして展開されていた。
この世界、アイドル☆フロンティアを元にしたようなシリーズがあってもおかしくはない。
「あ、あの、放送室、来てもらえます、か?」
女子生徒の二人に頷く。
「もっちろんですよ! わたし、音楽担当でいいですよね!?」
「いいわけ無いでしょう。ステイ。演奏ステイです、ルクス様。ここは、メイドと二丁拳銃のマリアージュについて、その魅力を余すことなく語ることにしましょう」
「トークネタがそれですか!?」
いや、魅力はある。
が、それでいいのか。
かっこいいのは認めるところであったが。
「それにルクス様の演奏は死人がでますから」
「でませんってば!」
そんなやり取りと共に二人は、これから校内放送を賑わせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蒋・飛燕
【ジャン軒】
…って感じに、ジュディが居なくて大変だったヨ
む~…ちゃんとやってた手前で叱るにも叱れないネ…けど、無事一件落着して何よりネ
あー、うん…
最初はこんな恥ずかしいもの誰が着るかアルー!だったけど、赤兎バニーがくれたスレイヤーカードで戦ってたら、結構可愛いかも…ってネ
ジャン軒の看板娘だし、商店街の話題にもなるなら…たまに着て手伝いするのも良いかもアル
なーんかジュディが変なことを言ってたけど、何時ものことだし気にしないね
ニーハオ、ワタシは蒋・飛燕
どんな質問があるアル?
あー…この食いつきっぷりはあの馬鹿男子達アルネ?
まぁ、いいネ
こうなったらいい感じにトークしてあげて、一時の夢を見せてあげるヨ
蒋・ジュディ
【ジャン軒】
あら、そうだったの
私は一般生徒の避難誘導に専念してたから、飛燕と赤兎バニーの活躍を見れなくて残念だったわ(棒)
けど…なんでまだチャイナメイド服を着ている訳?
へぇ、そうなの
だったら商店街の新しい話題になるし、テレビの取材も来たら愛想よく振る舞って応える必要もあるから…折角だしアイドルの勉強もしてみたら良いじゃないかしら?
実際似合ってるし、私の目に狂いは…いえ、何でもないわ
さ、順番が回ってきたから質問に答えないとよ
この質問は…話で聞いたチャイナドレスを着せようと追いかけてきた坊や達のようね
飛燕のサーヴァントらしく、ちょっと答えで困りそうになったら耳打ちしてどう言ったらいいか助言するわね
蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)は、事の顛末を、相棒でもあるライドキャリバー、蒋・ジュディ(赤兎バニーは誰でしょう・f45088)に語って聞かせていた。
「……てっ感じに、ジュディが居なくて大変だったヨ」
「あら、そうだったの」
なんてことはない。
ジュディは、飛燕の活躍をしっかり見ていた。
ただし、ライドキャリバーとしてではなく、謎のお助け灼滅者『赤兎バニー』として、である。
飛燕には秘密なのだ。
すでに知っていることでもあるから、気のない返事になっていやしないか、それだけが気がかりであった。
「私は一般生徒の避難誘導に専念していたから、飛燕と『赤兎バニー』の活躍を見れなくて残念だったわ」
棒読みである。
もうちょっとさぁ、と他人から見れば思わなくもない。
「む~……ちゃんとやってたみたいアルネ」
であれば、どうしていなかったのか、と咎めることはできないな、と飛燕は思っていた。まあ、無事に一件落着したのだ、何よりだと思うほかない。
仕方ないな、と飛燕は肩をすくめる。
だが、ジュディはそんなことより、と飛燕の姿を見やるように車体の先を揺らす。
「なんでまだチャイナメイド服を来ている訳?」
「あー、うん……」
そう、今の飛燕はまごうこと無きチャイナメイド服姿の飛天娘娘である。
あれだけ渋っていたのに、スレイヤーカードによって変身してから、意識が変わってしまったようだった。
「最初はこんな恥ずかしいもの誰が着るアルー! だったけど、『赤兎バニー』がっくれたスレイヤーカードで戦ってたら、結構可愛いかも……ってネ」
アイドルステージの効果かもしれない。
悪い気はしなかったのだろう。
それに、と飛燕は胸を張る。
「ジャン軒の看板娘だし、商店街の話題にもなるなら……たまに着て手伝いをするのも良いかもアル」
「へぇ、そうなの」
確かに、とジュディは思った。
飛燕がチャイナメイド服を着て店内を歩けば、それだけで良い話題になるだろう。
もしかしたらテレビ取材だってやってくるかもしれない。
その時、愛想よく振る舞うことができなければ、そもそもイメージダウンになるだろう。そういう意味でも、飛燕の意識が変わったことは喜ばしいことに思えてならなかったのだ。
「折角だし、アイドルの勉強もしてみたら良いんじゃないかしら?」
「エー!?」
「あら、実際に似合っているし」
「そんなことないアルヨ!」
「私の目に狂いは……いえ、なんでもないわ」
そんな風に二人が言い合っていると、学生が一人飛燕を呼びに着た。
「飛燕さん、時間だけど、大丈夫そ?」
「あ、はいなー!」
「いってらっしゃい」
飛燕は校内放送の転校生への質問コーナーへと呼ばれていた。
どうやら、アイドルステージでの出来事を人々はハッキリと覚えていないようだった。ぼんやりと覚えている程度の記憶しか残らないのだろう。
ここでは、転校生として彼らに認識されていた。
「ニーハオ、ワタシは、蒋・飛燕。どんな質問アル?」
「えっとね、まずは『チャイナドレスは何色がいいですか?』だって!」
「あー……この食いつきっぷりは、あの馬鹿男子達アルネ?」
ふ、とジュディは笑いをこぼす。
話を聞いた限りでは、飛燕に似合うからとチャイナドレスのメイド服を勧めた男子生徒たちがいたようなのだ。
答えに困るかな、と思って待機していたが、飛燕は恙無く答えられそうだった。
「まったく! そんな質問ばっかりして! でも、いいアル! それなりに夢を見せてあげるアルヨ!」
飛燕の笑みにジュディはヘッドライトを明滅させる。
まるで笑っているようだったし、小刻み良く続くトークのリズムに揺れるようだった――。
大成功
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ディル・ウェッジウイッター
アドリブ連携可
こういうノリは久しぶりですね。懐かしいです
おっと、今は転校生でした。皆さんが楽しめられるお話ができるよう、尽力しますね
質問は可能な限りお答えしますよ。お茶の話とか止まらなくなります
…最近感動した話ですか
そうですね、礼儀作法教室兼効き紅茶の会を行ったのですが、そこの受講された皆さんが短期間でどこに出しても恥ずかしくないめいdいえ、従者になられた事でしょうか
彼らの成長ぶりについ感動してしまいましたね
願わくばそのスペックを活かして正々堂々と願いを叶えてほしいものであります
願いは何かって?ふふっ、内緒ですよ
学生生活というものを思い出した時、ディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)は、五年前のことを思い出す。
南国を故郷とするディルにとって、五年前……つまり、彼が十五歳であった過去は、慌ただしいものであったように思える。
銀誓館学園。
日本のとある学園へと留学が決まり、それを機に故郷を後にした。
ティーソムリエとしての彼の活躍は、それこそ多岐にわたるものであっただろう。
知らぬ茶葉あれば東へ。新しい茶葉あれば西へ。
たとえ、それがアマゾンの秘境だろうと、なんだろうと出没するほどに、彼は強いこだわりと好奇心を持っていた。
「こういうノリは久しぶりですね。懐かしいです」
そんなディルはもう成人している。
けれど、今はアイドル☆フロンティアのある学校にて転校生として認識されている。
ギリギリかもしれないが、まだ学生として通じるのは、ディルがまだ若々しいからだろう。
「なつかしい?」
「おっと、いえ。なんでもありませんよ」
ディルはそう微笑んで、放送室の中のパイプ椅子に腰を預けて頭を振った。
眼の前にはインタビュアー。
これも学生だ。
そして、二人の間にはテーブルが一つ挟んで、その上に茶器一式が並べられている。
「あの、これは?」
「お茶です。私はお茶に目がなくて」
「へえ! 素敵な趣味ですね! じゃあ、常日頃から?」
「それはもう」
「お詳しいかと思うんですけど」
「いえ、まだまです。世界には私の知らない茶葉もまだ多く存在しているでしょうから。そうした新しい茶葉との出会いがあれば、とても嬉しいですね」
そんな風に質問は続いていく。
茶葉のことにたいしては、饒舌と言うには足りないほどに滑らかに語る言葉が出てくるディルにインタビュアーは圧倒されていた。
これはなんとかしてお茶以外の話に持っていかなくては、と思ったのだろう。
話題を変えるようにインタビュアーが告げる。
「最近感動したことってあります?」
「そうですね、礼儀作法教室兼効き紅茶の会を行ったのですが、そこの受講されたみなさんが短期間でどこに出しても恥ずかしくないめいd、いえ従者になられたことでしょうか」
「従者?」
「ええ、彼らの成長ぶりについ感動してしまいましてね」
ディルは手にしたカップに口を付けて香りと味わいを堪能する。
冷めない内にどうぞ、とインタビュアーにも勧めながら思う。
「願わくば、そのスペックを活かして、正々堂々と願いを叶えて欲しいものであります」
「その人達の願いってなんだったんでしょう……あっ、美味しい」
「そうでしょう? 茶葉も淹れ方一つでこうも味わいが変わるものです。奥が深いですよ」
「あの、その願いって」
「ふふ、内緒ですよ」
だって、それは彼ら自身のものだからだ。
ディルにも願いがあるように、彼らの願いは彼らにしか叶えられないものだ。
であれば、それは秘するが花というやつであろう。
「うん、良い香りです」
熟成された茶葉も、湯に開くことで味わいを醸し出すのと同じ。
彼らの願いはいつかは誰かに受け入れられることもあるはずなのだ。そう願うようにディルは穏やかなお昼休みに、ひと時の憩いを齎すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
勝った!アイドル☆フロンティア編完!
えーなになに?質問コーナー?
●それはまぎれもなく
みんなーボクのダンスと歌は見ててくれた―?
嬉しいなー!
と掴みから入って
【ブームの仕掛け人】としての能力を発揮していこう
言葉の端々からメイドの良さをときいと若き子らを洗脳…もとい【催眠】術にかけ一大メイド服ブームを演出していこう!
なんでそんなことするのかって?
メイド服着て遊んでたら楽しかったから!
そう男子も女子もみんなメイド服でキャッキャウフフすればいいんだよ~
などと深層心理に植え付けた性癖を自己肯定できるよう【言いくるめ】てこう!
ボクはみんなの願いをかなえてあげる善い神様だからね!
「勝った! アイドル☆フロンティア編、完!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は拳を突き上げて天に叫んだ。
確かに勝った。
勝ったが、開幕すぐに終わりを迎えるわけではないので、まあ、言っているだけである。お約束というやつでもあっただろう。
そんなロニは、アイドルステージが消えた後、日常に戻った学校の校内をブラブラしていた。
暇を持て余していたとも言えるし、なんなら戦いの後の憩いというやつでもあっただろう。
「あー、いたいた、転校生ー」
学生の一人がロニを呼び止める。
「ん、なにー?」
「いや、放送室に集合って言ったじゃん!」
言ってない。
だが、アイドルステージにて集まった人々の無意識は、記憶に残らずとも薄っすらとロニたち猟兵のことを覚えているのだ。
それが彼らを転校生として認識させていたのだろう。
覚えのないことであったが、そう言われたら従うしかないか、とロニも思うようであった。
「なんだっけ?」
「転校生が馴染めるようにって放送室で質問コーナーやってんの。次、転校生の番だから!」
「えー、なになに? そんなにボクに興味津々なのー? 仕方ないなー」
「わかったから、はやくはやく」
ロニは放送室に引っ張られて、パイプ椅子に座らされる。
「はい、お名前どうぞ!」
インタビュアーの言葉にロニは、すぐに順応していた。
「みんなーボクのダンスと歌はみてくれたー?」
その声に校内のあちこちから声が上がるようだった。
声援めいた声にロニは満足げに頷く。
つかみは十分のようだった。
「嬉しいなー。メイド服、よかったでしょー」
「ん? 何の話?」
「あれ、メイド服のお披露目ショーやったでしょ? やったよね? やったよ?」
みょんみょんみょん。
ロニの催眠術でインタビュアーはもとい、校内の学生たちみんな、そうだったかも……と思うようになっていた。
そんなこともあったような?
都合よく認識が捻じ曲げられて事実が生み出されていく瞬間であった。
そう、ロニは一大メイド服ブームを演出しようとしているのだ。
なぜそんなことをするのかって簡単な話である。
ロニが楽しかったから!
そう、男子も女子もみんなメイド服でキャッキャウフフすればいいのだ、とロニは目論んでいたのだ。
「いいんだよ~みんな好きなメイド服を選んで着ていいんだよ~」
みょんみょんみょん。
ロニは催眠術で学生たちを洗脳していく。
そうかな、そうかも、と学生たちが思い込んだところでロニは満足げに頷いた。
「うんうん、ボクはみんなの願いを叶えてあげる善い神様だからね!」
にっこりと笑って、えげつないことをする。
そう、ロニってそういう猟兵なのだ――!
大成功
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宵空・鈴果
アドリブアレンジOKです
解決してよかったりん☆
それじゃあとは変装して文化祭見て回ろ。と思ったらステージを去る前に捕まってしまった……。
おけまる☆もうちょいアイドル活動継続りん☆
●
・プロフィール
りんりん星からやってきたりん☆
あとはひみつだりん☆ 謎が多いほうが魅力的っしょ☆
・好きなこと
夜空の散歩だりん☆
・苦手なこと
勉強!☆
・その喋り方大変じゃないですか?
ノーコメント☆ でもでも、印象にも残るっしょ?☆
・オフは何をしてますか?
ふつーにショッピングしたりトレーニングしたり……て、オフってなんのことりん?☆
りんかはいつだってりんかだりん☆
・最後に一言
星のエアライダーをよろしくおねがいしますりん☆
オブリビオンの齎す事件を解決した宵空・鈴果(星と月のエアライダー・f37140)は、よかったと満面の笑みを浮かべて、アイドルステージが消えていくのを見送った。
サイリウムの光は、人々の無意識であると言う。
「解決してよかったりん☆」
後は学校から人知れず去るのみ。
けれど、鈴果の腕をがっしり掴む生徒たちがいた。
「いたー! 探したよ、宵空さん!」
「ほんともー、どこにもいないから!」
「え」
鈴果は困惑した。
だって、このまま帰るだけだと思っていたからだ。
あのアイドルステージのことは、うっすらとした人々の記憶に残らない。
男子生徒たちの暴走も、すっかり記憶から消えているはずなのだ。だから、どうして自分がこうして捕まえられているのかわからなかった。
「転校生の質問コーナー、今日だったんだよ! 宵空さん、今日だよ!」
「そうなの? おけまる☆」
そういう風に修正されているのか、と鈴果は理解して微笑んで頷いた。
なら、アイドル活動継続するっきゃないのである。
「じゃあ、自己紹介してもらってもいい?」
インタビュアーと共に放送室にて鈴果はパイプ椅子に座って頷く。
「りんりん星からやってきたりん☆」
「出身星ってこと? えっと、他のプロフィールは……」
「ひみつだりん☆」
「えー!? 質問コーナーなのに!?」
「だって、謎が多いほうが魅力的っしょ☆」
それはそうかもしれないが、質問コーナーの意義、とインタビュアーは思った。なら、食い下がるしかない。
少しでも、この不思議な転校生のプロフィールを埋めなければと思ったのだろうし、不思議キャラで押し通すにしても、それなりに情報は必要だろうと思ったのだ。
「じゃ、じゃあさ、好きなことって」
「夜空の散歩だりん☆」
ここでもファンシー炸裂であった。まあ、文字通りエアライダーである彼女は夜空を散歩するように飛ぶだろうけれど、それはインタビュアーたちには知るところではない。。
また不思議なことをいう娘だなぁ、と思う。
「逆に苦手なことって」
「勉強!」
食い気味であった。
というか、不思議キャラもここまで来ると、大変じゃあないだろうか。
素が出たときとか。
「喋り方って、ずっとそーなの?」
「ノーコメント☆ でもでも、印象に残るっしょ?☆」
「それはそうだけど、え、じゃあ、オフとかって……」
「ふつーにショッピングしたりトレーニングしたり……って、オフってなんのことりん?☆」
誘導尋問は失敗である。
だってりんりん星からやってきた謎のアイドルなのだから、オフもオンもないのである。強いて言うなら、ずっとオンである。
「りんかはいつだってりんかだりん☆」
あざとい!
けれど、こういうあざとすぎるくらいの方がキャラが立っていいのかもしれない。
事実、校内ではすでに多くの男子生徒たちの心を掴んでやまないようだった。
「最後に一言!」
ええい、もう強引に締めるしかない!
「星のエアライダー、りんかりんを、よろしくおねがいしますりん☆」
校内放送のスピーカーから星が飛ぶような声色と共に、鈴果は転校生インタビューを締めくくり、微笑むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵