●とある淫魔の一幕
彼女はただ、退屈だった。
虜にした信者を平伏させ、四つん這いの背中に座り、組んだ脚に肘を乗せて頬杖を付く。
「……あーもー退屈っ」
がたがたがたと貧乏ゆすりで椅子を虐めて、それを悦ぶ様を眺めるのも飽きた。
「最近はめっきり私のとこに来る冒険者も減っちゃったしぃ~」
彼女の名は、プレジール。
アルダワの地下、その一区画を占領しつつも封じられた、ただの淫魔だ。
堕落と快楽を(勝手に)司り、攻めて来る、或いは迷い混んで来る人々を屈服させては弄んで、これまで過ごしてきた。
だが最近は、そこに訪れるものは少ない。
「……あ、そだ」
と、ぼけ、っとしていた顔に、明るさが戻る。
いいことを思い付いた、そんな喜色満面の笑みを浮かべ、
「きゃはっ」
椅子を蹴飛ばして立ち上がった。
倒れたそれに尻尾で鞭打ち、パンパンと手を鳴らす。
「そうよね、来ないならこっちから行けばいいの! なぁんだとっても簡単!」
そうして呼び出した、配下のスライムを先行させ、立ち上がらせた椅子に向かって言うのだ。
「他の子も集めて、私を運ぶの。地上へ、出るわ!」
満面の笑みに変わった顔で、そう言い放った。
●痴女、地上へ
「グリモアベースは今日も盛況!」
キレがええな、うん、さすがやで私。
と、分かりにくいシャレを一人で言う夕月・恋(ゲーマードール・f00771)は、行き交う猟兵へ向かって声を上げた。
「はいはいみんなちゅーもーく!」
片手を挙げ、ちょちょい、ちょちょいと手招きする。
その声に、なんだろうと近寄ってきた猟兵を見渡して頷く。
「痴女が地上へ上がって来る!」
猟兵達は、グリモアベースに居た。
なにやら騒がしい女性の呼び掛けが聞こえて、ああまた事件かと、そう思った後、突如訪れる悪寒に身震いする。
聞いちゃいけない。
そういう、なぜかわからない、嫌な予感だ。
そうして、身構える間もなく聞こえてきた言葉はしかし、ただ首を傾げる一声だった。
「いやあの、痴女と、地上で、ちじょーって……あの……なんでもないです」
虚しい空気は置いておいて、恋は本題を進める。
「うぉっほん!」
切り替えの一息を吐いて、アルダワ迷宮、その入り口の地図を示す。
「まあいつも通り、オブリビオンの侵攻やな。今回の先導者はプレジールっちゅう淫魔や」
わりと最近現れたような、昔から居たような、不確定な存在のオブリビオンだ。
骸の海の存在なのだから、過去の存在ではあるのだろうが。
「なんや知らんけど、退屈やからーって理由で上って来とるみたいやなぁ。はた迷惑な感じ。せやから、迎え撃とう、ちゅーハナシ」
ええか?
と、前置きを挟み、
「プレジールは配下のスライムを先行させて、邪魔物を排除しようとしとる。まずは、それを駆除して、ノコノコやってきた本命を叩き潰す! シンプルな作戦や」
簡潔に説明を終えた。
「うんまあ、スライムの痕とかプレジールの後始末とかで、掃除もセットになっとる仕事やけど……うんまあ! まあ! パパパーっと終わらせてやな! 旨いもんでも食いに行こか!」
ハイテンションに締め括り、恋はグリモアを使って猟兵達を送り届けるのだった。
ぴょんぴょん跳び鯉丸
魔が差した。
そういうお話でも無いですけどとりあえず敵を叩いて潰してじゃんけんぽんしましょうという依頼です。
次に俺はパーを出すぜ、お前グーな。
以下補足。
スライムをまず倒します。
次に淫魔をぶちのめします。
後始末します。
全三章です。
ノリは軽くても実力はあるかも知れないので本気でいきましょう、本気で。
そりゃもうラスボス倒すくらいの気持ちで。
待ってます。
第1章 集団戦
『マースライム』
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POW : 酸弾銃
【弾丸のように飛ばした体の一部】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を強酸の水たまりに変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : シャークバイト
自身の身体部位ひとつを【サメ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 捕食
【全身】から【触れたものを飲み込む物理攻撃】を放ち、【窒息】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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猟兵達は待っていた。
情報通りに、まずスライムが来るのを、だ。
そして、静かに息を潜め、そうしてやってきたスライム達へ、攻撃を仕掛けていく。
緋奈森・鈴音
なんだろー。
全力で掃討しないといけないような気がするわー。
おねーさんも女の子だし、あんまりああいうのには近づきたくないしー、ぬるぬるとか嫌だしー。需要とかないしー。
遠距離からのフォックスファイアで全力で焼き尽くすわー。
物陰に隠れて敵が近づいたら炎【属性攻撃】で不意討ち【暗殺】するわねー。
周りに出来た強酸の水溜りも狐火飛ばして蒸発させちゃおう!
「ごめんねー。おねーさん、そーいう趣味はないのー」
「汚れたくないからー、焼き尽くすわー」
ところで「グリモアベースは今日も盛況」ってどーいうギャグだったのかしらー?
おねーさんわからなくて気になるわー。
【アドリブや他の必殺の心を同じくする同志との絡みはOK】
シズホ・トヒソズマ
※他猟兵とのアドリブ・連携OK
【SPD】
プレジール…桃色空間、夢の中…うっ、頭が…!
ともかくとても危険な敵である予感がなぜかします!
まずはスライムからなんとかしないと!
触手がないのでは特に楽し……こほん、相手をする必要もありませんね!
一気に片付けます!
UCで対スライム装備を召喚。予想で冷却装置などを想定しつつ、
出たものを【メカニック・戦闘知識・武器改造】で解析し使用法を理解
ユングフラウに装備し、スライムに使用していく
【操縦・早業】で巧みにユングフラウを操作しスライムを攻撃
噛み付き攻撃はリキッドメタルで【盾受け】し、【カウンター】で迎撃する
「触手で束縛できるようになってから出直してきなさい!」
橘・焔
○心情
奴だけは絶対に地上に出してはならない
…そう囁くんだ、私のゴースト(前世の魂)が
【POW】
「…そんなスナック感覚で地上を荒されても敵わんのだが」
ぶつぶつ文句を言いながらスライム達が出てくる箇所を張る
とはいえ相手は謎の多い淫魔、気を引き締めて行かなきゃね
迷宮の入り口だからそんなに広くないし、貴重な遺跡の入り口を壊したら元も子もない
「うーん、今回は“彼ら”に協力してもらおうかな…」
自身の魔力を限定的に周囲へ放出し、見えない隣人たち、妖精達を引き寄せる
「…報酬は前払いだ、しっかり働いてもらうよ!」
妖精達を敵に向けて飛ばし、飛んでくる体の一部を打ち落としながらの射撃戦を展開
「一気に喰らい尽くせ!」
●
なぜだろう。
不思議で、不思議で、たまらない疑問が、そこにある。
……なぜだろうか。
と、関係の有る無しに関わらず、その場に集う意思が、同じ考えを抱いていて。
「なんだろー」
緋奈森・鈴音(妖狐の化身忍者・f03767)は首を傾げる。
「プレ……桃色……夢……うっ……頭が……」
シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は額を押さえる。
「奴だけは地上に出してはならない……!」
橘・焔(転生のオデュッセイア・f01608)は決意を固める。
そんなバラバラな彼女らの心は一つ。
淫魔コロス。
だ。
なぜそんなに殺意が高いのか。
プレジールとの因縁でも有るのか。
「いえ知らない子ですね」
無いらしい。
より不思議ではあるが、とにかく。
「ーーヴぁ、ぁ」
こぽこぽと泡を吹きながら、スライム状のナニカが奥からやって来た。
這いずるそれは粘ついた液体を地面に残し、こちらへ近づいてくる様だ。
あれが、説明にあった配下のスライムなのだろう。
「わぁ。んー。おねーさんも女の子だし、あんまりああいうのには近付きたくないしー、ぬるぬるとか嫌だしー、需要とかないしー」
「触手もないしー特に楽しくなさそーーこほん! ええそうですね! 相手をする必要もありません! 一気に片付けましょう!」
「ねえ今楽しくなさそうって言った? 言ったよね?」
鈴音から順に一言コントを終わらせ、一息を入れ、
「対スライム装備にお着替えです……!」
シズホは、鉄処女を模したからくり人形への追加兵装を召喚。
それはなにやら、黒い球体のようなナニカで。
「ふんふん、ふん?」
冷却装置とかでカチンコチン、と思っていただけに、そのフォルムは意外だった。
素材は鉄で、頑丈、重さはそこそこと解析をして。
「なるほど理解しました」
飛び出す。
物陰から行くのは、本体が同化した肉体と鉄処女、同時だ。
スライムはそんなシズホを認識し、敵と見なして、人間の上半身を形成。
しようとして、煮崩れしたような姿になった。
「よくわかりませんがドンと行きます!」
たぶんそういう特性だろう。
些細な事だと、言葉の通りにシズホは行く。
鉄処女に装着したその黒丸をシズホは振りかぶらせ、対してスライムは持ち上げた腕を変形させる。
それは、巨大な生き物の頭部。
アルダワに存在するかはわからないが、サメを思わせるフォルムだった。
大口を開け、シズホを噛み砕くべく牙を見せ、
「それを見越してのこれ……!」
そこへ黒丸の鉄球をぶちこまれた。
迎え撃ちの一発は酸の牙を阻み、さらに組み込まれた冷却機能が瞬間的な温度差を産み出す。
「ァ、ァ……」
熱を、吹き飛ばされる。
液体状だったスライムが、凍り付いて固体へ変わる。
「甘い、甘いですよ!」
その過程を見届けて、シズホは勝利を叫ーー
「触手で束縛締め上げ出来る様になって生まれ変わりなさい!」
変態だった。
「ォォ」
そして。
「オオオ!」
応えるかの様に全体積を広げたスライムが、直後のシズホへ迫った。
そこまで言うのなら、念願の拘束を与えてやろうと、そういう風にも見えるが、実際は特に理由もない。
ただ敵を殺す。
その為に、最善の手を選んだ。
ただ、それだけの事で。
「いやー、おねーさん的に、NGかなー」
ゆえに猟兵側。対応する鈴音も、阻止する最善を選択する。
放つ炎を一纏めに、シズホの分を開ける様にスライムの中心を焼き尽くした。
「……」
何故かシズホの視線に恨みを感じる。
気のせいだろうか、気のせいだろうな、気のせいだよ。
「うん、趣味じゃなーい。汚れたくないからー……焼き付くすわー」
飛び散った、地面を溶かす程の酸。
それを振り返らず、簡易な動作で蒸発させる。
「あぁ、もったいない……」
気のせいだなー今のもなー!
「なに遊んでんのさ二人とも」
と、視線を遠くしそうな鈴音とシズホを、焔の声が引き戻す。
見れば、そこには奥からうじゃうじゃと涌き出るスライム達だ。
遠距離から射出される、散らばりの酸弾が来ている。
「さぁお仕事だ。スナック感覚で地上を荒らされるなんてごめんだよ」
その攻撃に、一人ごちる焔は立ち尽くしていて、しかし迫る酸が彼女にぶつかることはない。
それらはまるで、弾け飛ぶ様に空中で破裂しているからだ。
不思議な現象だが、そこにはちゃんと種がある。
「報酬の魔力は前払い、その分しっかり働いてもらうよ!」
幻想世界に息づく存在。焔が妖精と呼ぶ、目に見えないそれらを使っての攻撃だった。
「処理は任せた」
「まかされたー」
飛散する酸は鈴音の炎が消し、直接攻撃をしてくればシズホの冷却が砕いて、質量を失ったスライムは焔の妖精が削って倒していく。
「さぁ、一気に喰らい尽くせ!」
初動としては完璧に近い連携が、そこにあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ロート・カニーンヒェン
「スライムは消毒だー。」(POW)なんかこう、プレジールはやらなきゃいけない、そんな使命感にも似た何かを感じた。という訳で、スライムはパパッとプロミネンス・ノヴァの炎で消毒じゃー。(アドリブ歓迎です)
響・夜姫
「いんま」
つまり胸が大きくてえっちなやつ。
「きょにゅーしすべし。じひはない」(ハイライトの消えた目)
「目標を駆逐する。ふぁいやー」
敵が見えたら攻撃開始。攻撃は最大の防御。
【スナイパー/先制攻撃/誘導弾/2回攻撃/範囲攻撃/一斉発射】に華焔。
フルブラストセットを乱射。
防御は自分という拠点に【オーラ防御/武器受け/拠点防御】。
移動は控えめ、攻撃重視。
火力こそパワー。大雑把な気もするけど誘導弾だし範囲攻撃だし大丈夫。たぶん。
集団戦なので【援護射撃】で味方の援護もする。近づいてきた敵を撃ったり、溜めが必要なUCの為に牽制したり。
「汚物は、消毒だー」
スライムの後や近くにも華焔を撃って、焼却しておこう。
「いんま」
淫らな悪魔と書いて、淫魔。
脳内で意味を考え、想像し、一つ、解を得る。
「つまり胸が大きくてえっち。なら死すべし」
響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)の目から、光が消えていた。
「なんかこう、プレジールはやらなきゃいけない。そんな使命感を感じたよ!」
そんな夜姫の側にはロート・カニーンヒェン(グリーディー・ファントム・f00141)がいる。
「……」
胸の大きなロート・カニーンヒェンが居る。
「…………ないすおっぱい」
味方だからなのか、特殊な判断で夜姫ジャッジから逃れたそれは置いておいて。
「スライムは消毒だー」
「汚物は、消毒だー」
この二人もまた、殺意が高すぎだった。
一体前世でどれ程の悪徳をこなせばそうなるのだろうかと、因果を紐解いて見たくはなるが。
「来るよ!」
今は戦闘の行方を見守るとしよう。
敵のスライムはその数を増し、さらに奥からやって来るのが見える。
対しての、ロートが取る行動は、ひどく単純なモノだ。
「パパッとまとめて焼き尽くす!」
全身から吹き上げるエネルギーを炎に変え、ただ思い切り前へと突き出す。
さながら、炎の壁と言い表すのが近しい熱量だ。
だが。
「うぇ!?」
スライムから飛び散る雫が、それを容易く突っ切ってくる。
面となるよう広げた炎は、スライムの攻撃を阻むには薄すぎる。
結果としてそれは、酸の弾丸を素通りさせ、自分自身をピンチへと導いた。
「ばーにんぐ、して、ふぁいあー」
しかし、それが届く事はない。
鉄をも溶かす酸弾は、ロートへ辿り着く前に夜姫が撃ち落としていった。
「攻撃は、最大の防御」
撃つ。
両手に握る黒白の拳銃を前に、トリガーを引きまくる。
花弁の様な炎を纏う弾丸はただ精確に迎撃を進め、立ち位置から微動だにしない夜姫へ飛ぶ酸弾に対しては、盾を兼ねる砲身を展開して受けた。
「うぅん」
少々、流れが悪い。
夜姫は増える火薬の臭いに、思考の片隅で思う。
迎撃は上手くいっているし、防御の仕方としても問題は無いはずだ。
ただ、防御の為の攻撃は、倒すための攻撃になり得ない事もある。
今がそうだ。
「膠着状態だね」
盾の影でマガジンを入れ換えた夜姫は、短く呼吸を整えてから、再度の銃撃を開始した。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
柚々・奈七音
アドリブ・絡み歓迎
ち、ち、ち、痴女……いい、い、淫魔、ですか。
ええと、ええと。それは大変です。
色々大変な気がします!ええっと、風紀とか、秩序とかがピンチな予感がいたしますっ。
た、倒さなくっちゃ、ですよね!
スライム…スライムさんに物理攻撃は効くのでしょうか。
UC【ライオンライド】でライオンさんを召喚して、踏みつぶして切り裂いてもらおうと思います。
細切れにしてしまえば、さすがのスライムさんでも、何とか倒せるのではないでしょうか?
緋縅・善蔵
スライムって土で埋めて封印出来そうな気がするんだけど、無理? 建造物の一角を崩して埋めるとか。出来ない?
なら仕方ない。汚物は消毒だ。
最初にUAVを射出し【先制攻撃】狙い。
【オーラ防御】と【力溜め】で防御力を底上げし、〔ミサイルカーニバル〕の【一斉発射】の爆発と〔エレメンタルファンタジア〕の【全力魔法】の非物理的攻撃。効果が高い方を繰り返し使い、スライムを殲滅する。
勿論回避にも注意。通常の回避運動に加え、死角からの攻撃は【第六感】で躱せるようにする。
味方や自分が避けきれない攻撃は【念動力】で障害物を作って阻む。
アドリブや連携は歓迎。
ピンチです。
柚々・奈七音(終焉を忌む者・f14778)は心の中でそう言った。
何がピンチかと言えばそれは、まあ、色々なのだが。
「い、い、淫魔、ですものね……!」
つまり痴女だ。
「秩序と、風紀と、衛生面もピンチでしょうね、ええ!」
そんなものが地上に解き放たれたらどうなるかは、考えるだけでも恐ろしい物だ。
「ええと、ええと……た、倒さなくっちゃ……!」
とにもかくにも敵を倒す、その決意を胸に秘め、そろりと影から顔を覗かせると、そこにはスライム達の行進がある。
……物理的な攻撃は、効果あるのでしょうか。
思い、考えてみる。処理するための最適な手段を、どう選ぶのか。
「スライムって、土で埋めて封印出来そうな気がしない?」
「いえでもあれは染み出てきひゃあ!」
うぅんと唸る奈七音の後ろ、ひょっこりと緋縅・善蔵(893顔特別国家公務員・f06737)が顔を覗かせる。
鍛えられてた身体は日に焼け、顔に傷と、スキンヘッドの頭頂部という出で立ちは、屈強さを感じさせた。
ゆえに、
「……怯えないで、仲間、仲間だから」
内向的な少女はちょっとだけ怖がっていた。
志を同じくする猟兵の仲間とはいえ、性格上の事は仕方ない。
「そう、仕方ない、仕方ないよな。少しグサッとしたが」
些細なことだ。
そう結論付けて、善蔵は頷きを一つ。
「埋めたり封印出来ないなら、答えは一つ。汚物は消毒だ……!」
言って、飛び出していく。
「……」
さっき同じ言葉を吐いて苦戦してた人が居たような、と、奈七音の細やかな不安を置き去りにして。
●
「よし、始めるぞ」
スライムに相対して、どう対処するのか。
奈七音はそう考えていたが、善蔵の考えはシンプルだった。
「全砲門開け!」
装備した銃火器を解放し、照準を向け、射撃する。
そして、一拍。
「魔力全開……!」
今度は属性魔法による攻撃に移った。
効き目がどちらかわからないのなら、両方試せばいい。
行き当たりばったりとも言える様な手段に、善蔵は賭けた。
「さて、どう出るかーー!?」
その結果としては、大差が無い。
武装による射撃はスライムを貫通して終わり、魔力による攻撃は表面的な水分を吹き飛ばすだけに終わった。
だがダメージが無いわけではない。攻撃により活性化したスライムは、善蔵へ向けて強酸の雫を撃ち出す。
「っ、ひろ……!」
ばら蒔きの範囲が大きい。動いて回避は不可能だった。
だから善蔵は、自身の持つ念動力で瓦礫を浮かせ、引っ張って盾代わりに。
「ヴ」
それを、スライムは嗤った。
嗤って酸がぶつかり、弾けるようにへばりついて、瞬時に集まり形を成していく。
「ァア……!」
それは、瓦礫を飲み込む膜だ。
善蔵を巻き込んで喰らい尽くそうとする、そういう動きだ。
ーーやられるッ。
そう思った時、しかし、来るであろう衝撃は善蔵に無かった。
「ライオンさん、お願いしますね!」
奈七音の喚んだ黄金色の獣が、スライムを切り裂いたからだ。
「再生出来ないくらい細切れにすれば、なんとか倒せると思いました!」
言って、切り裂いたスライムの半身を、獣は踏み潰す。
足裏には酸の痛みがあるが、飛び散るそれが元に戻る様子は無い。
だから、有効だとそう判断して。
「行って……!」
獣の大暴れが始まった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
加賀・琴
りんごさん(f00537)、いちごさん(f00301)と参加です。
プレ、ジール……ですか。はて、プレジール?
何故でしょうか初めて聞いた名前のはずなのに既視感を感じますね?
ぜんせのいんまかけっかいのうらみはらさでおくべきか……あ、あら?今、私なにか言ったでしょうか?
まずはスライムを片付けなければいけませんね。
スライム達の姿を捉えたら先制攻撃の【破魔幻想の矢】を放ちます。
このスライムに破魔の力が効くか少々疑問ですが、普通の矢よりは効果があると思いますし、無駄ではないでしょう。
110本の破魔の矢で先手を取って、次の矢を番えて今度は前衛に出たりんごさんの援護射撃として2射目の【破魔幻想の矢】を放ちます
彩波・いちご
りんごさん(f00537)、琴さん(f02819)と一緒に行動です
プレジールでしたっけ、この奥にいる淫魔…?
会った事なんてないはずなんですけど、私も琴さんと同じ感想持ってます
…きょうせいいんまかけっかいとか、そんな謎の単語がぐるぐると…おかげで私もかなり歪められたようなそんな感覚さえあるので、ええ、理不尽な八つ当たりかもしれませんが、ぶつけないと
と、その前の前哨戦ですね?
琴さんとともに前に出るりんごさんの援護をします
琴さんの矢と合わせた追撃で、私の歌声【天使のような悪魔の歌声】を
全方位に向けた歌声で、スライムにダメージを与え続け、最後はりんごさんに斬ってもらいましょう
黒岩・りんご
琴さん(f02819)といちごさん(f00301)と共に
琴さんといちごさんがなんだか前世の記憶(?)で悶えているというか怒っているというか…それを見て苦笑しかないのですけれど
わたくしはわたくしで、なんだかプレジールの話を聞くと、義妹のなれの果てとかいう記憶が…わたくしに妹なんていないですのにね…
ともあれそんな複雑な思いは、首魁が現れてから
まずはスライムを斬り捨てることにしましょうか
2人の援護を受けながら前線に飛び出し、
『喜久子さん』を取り出し操りながら、わたくしも【羅刹旋風】で自らを強化しつつ偃月刀を振るいます
わたくしと喜久子さんのペアでどんどんスライムを斬り捨てていきましょう
「ぷれ、じーる……」
「……プレジール?」
「はて……」
加賀・琴(羅刹の戦巫女・f02819)と彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)の悩ましげな様子に、黒岩・りんご(禁断の果実・f00537)は苦笑いと共に不思議な感覚を覚えていた。
「なぜでしょう」
悶えそう、だとか。怒り、だとか。
名前しか知らない、まだ見たこともない敵への強烈な既視感と違和感が、三人の頭を刺激する。
「きょうせいいんまかけっかい」
「いんまかけっかいのうらみ」
ぐるぐると、要領を得ない単語が回る。
なんの事だろう、何があったのだろう。
それは、決して解ることの無いものだ。
だから。
「まずはスライムの片付けを進めましょう」
琴は静かに、弓を前へ供えた。
藍色の和弓、その弦に指を添えて打ち上げ、引きながら下ろす。
すると現れるのは一本の線だ。
「遠つ御祖の神」
白光を示すそれを、一拍置いて放つ。
「ーー御照覧ましませ」
瞬間。それは圧倒的な物量へと分身して行く。
スライムが溢れる道、その奥へ。
「前哨戦、ですね。私の歌声、届けます」
殺到する横殴りの暴風矢に、いちごは音を重ねた。
「あ」
優しい声音の、一音から鳴る歌だ。
前方へ指向したそれは一度通りすぎ、肺にある空気分を吐き出してから、小さな身体へと大きく空気を取り込んで。
「アーー!」
衝撃波を放った。
二度目の声は、癒しをもたらす音とは真逆。破壊を伴う声だ。
同じ空気の波でも、意図した効果が別なら結果もそうなる。
「頼もしい限りで」
そうして、道が開いた。
集まっていたスライム、その中心を抉って完成したただ中へとりんごが斬り込んでいく。
「ええ。負けないように、わたくし達も参りましょう喜久子さん」
一歩を踏んで体を跳ばす。
宙を行き、大きく振りかぶった偃月刀の遠心力で体ごと回転して、着地と同時にスライムを蹴散らした。
「ヴァッ」
だが、スライムもただやられるだけではない。散らされた粘液を、攻撃手段に変え、回転直後のりんごの背中へと叩き込んだ。
「っ」
それは服を溶かし、肌を焼いて、体を害する強酸の一滴。
一瞬の強い痛みと、肉の焼け落ちる嫌な臭いを同時に感じながらも、りんごは怯まずに反撃を選んだ。
しかし、自分が振り返るには少し辛い。
「喜久子さん」
だから、操る人形に任せることとした。
叩き潰す様な一閃でスライムを駆逐する。
「どんどん斬り捨てるとしましょうか」
警戒は強めに、喜久子と背中合わせでりんごは構えを正す。
そこを、スライムの集団は取り囲んで行き、
「援護します」
「行ってください、りんごさん!」
琴といちごの援護が再度の道を作った。
今度の攻撃は、進む為ではない。りんごの動きを、隙を補うための物だ。
360度、全方位の敵の中にある死角を埋める、そういう一矢が111撃。
「ええ」
ふっ、と、りんごは笑う。
偃月刀を持ち直し、飛び掛かってくるスライムを斬り飛ばして。
「行きます」
矢と、音と、刃の共演を繰り広げていく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
四王天・燦
淫魔…どんな精気の味なんだろ。
はっ、妖狐の衝動のまま何考えてんだ!(赤面)
「淫魔とすらいむ…トンデモ化学反応じゃねーか」
多分、一部の猟兵がどえりゃーことになっているのを眺めて漏らす感想
魔物の女の子は大好きなんだけど、何かコイツ違うんだよな。
見切りで捕食のゲルを避ける、残像を囮に避ける。
とりあえず神鳴で斬。
雷の属性攻撃を絡めても手応えが微妙な気がする
「あーもうっ!術は苦手なのに!」
ダッシュと逃げ足で間合いを取ってフォックスファイアで焼き討ちだぜ。
火遊び好きが興じて調子に乗った隙に顔にでも張り付かれたら炎を近づけて払う。
「むぐぅ…なんで口の中に入るんだよ、淫魔の眷属だからかよ!?」
ちょっと顔は赤い
「淫魔……」
ぽわんぽわんと、四王天・燦(月夜の翼・f04448)は目を閉じて浮かぶイメージを視る。
「……はっ、ダメだダメだ……精気の味を想像するなんて!」
と、急に頭をぶんしゃか振って想像を振り払う。
妖狐の衝動とは恐ろしいものらしい。
「しかも、淫魔にスライムと来てる……トンデモ科学反応だろうな……」
きっと今ごろ、猟兵の何人かはどえらい目にあっているはずだ。
そう思い、現着を果たした燦が目にしたのは。
「えぇ……」
ただのガチバトルだった。
辺りは強烈な酸であちこち溶けているし、炎だとか氷だとか切断面が散らばっている。
「思ってたのと違、うわあぶなっ」
そして、自分へ飛び掛かってくるスライムの動きが正面に来ていた。
寸での所で身を躱し、神鳴の鍔を切って一閃。
雷光の軌跡を残し、敵を焼き斬った。
「……うわ、まだうねうねしてる……」
斬撃、雷撃でも、仕留めるには一手が足りない。
そう感じ、しかし対抗策を考える時間は与えてもらえない。
後続のスライムはまだまだわいて出てきている。
「ああもう、術系統は苦手なのに!」
仕方ないなもう! と、心の中で愚痴を溢しつつ、ダッシュで後ろへ全力疾走。
とん、とん、とっ、と三歩でブレーキと振り返りをこなして、
「焼き尽くしてやる!」
業火の一撃で蒸発させることを選んだ。
あの酸はやばい、なにせ肉を溶かすのだ。顔にへばり着いたら死ぬ、色々と。
「厄介なとこに来ちゃったなぁ……」
成功
🔵🔵🔴
メーティオル・スター
なんだろう。関わっちゃいけないと思うんだけど、参加せずにはいられないというか。
あれかな、既に淫魔の術中なのかな…。
まあ、来ちゃった以上は働かないと。後のことは後で考えるとして、今は目の前の敵を片付けよう。
WIZで勝負。
念のため、宇宙服を着こんでいこう。
ウィップの先端をスライムに突っ込んで、電流を流して攻撃。
身体が何で出来てるのかは知らないけど、
水タイプに電撃でこうかはばつぐんだ!ってならないかな…なったらいいな…。
万が一捕食で飲み込まれても、宇宙服を着てれば早々窒息もしないと思うんだよね。
なんだか、宇宙よりも地上で着てる方が多い気がするな、宇宙服…。
「淫魔かぁ……」
メーティオル・スター(屑鉄漁りの見習い冒険者・f05168)は、これまでの猟兵達の様に、不思議な気持ちで立っていた。
出で立ちは宇宙用の密封スーツで、スライムの捕食と酸対策はばっちりだ。
しかし気にかかる、関わっちゃいけないと思う相手のところへ飛び込んでしまった、今の自分の状況。
「……既に淫魔の術中にはまっている……?」
だとしたらなんて恐ろしい力だろう。
いやそんなことはありえないのだけれど。
「とにかく倒す……話はそれから!」
スライム状の敵へ使う攻撃方法は、鞭だ。
振って、打ち付け、電撃を流し込む。
「……水タイプに効果バツグン、って訳には……いかないかー!」
体内を躍り暴れる電流がスライムを沸騰させ、こぽこぽと吹き出す泡が辺りを溶かしていく。
ダメージもあるだろうが、それに比例して二次被害が無差別に広がり過ぎる。
「くっ……」
そうしている間にも、スライムは近寄ってきていて、メーティオルへと一斉に飛び掛かった。
そうして、酸のカプセルに囚われる。
宇宙服で抵抗できているが、このままだと骨まで溶かされてしまうのは目に見えていた。
だから、彼は一つ、決断する。
「ビリっとするぞ……!」
鞭を自分の体へ巻き付け、出力を最大に。
爆発するような熱量を放って、まとわりつくすべてを吹き飛ばした。
苦戦
🔵🔴🔴
シーネ・クガハラ
「んーなんだっけかな。なんかこう頭の隅に淫魔死すべし見たいな声がー」
なんかあったのかな前世とかで。まあよくわからんけどやらなきゃ。
とりあえずスライムね。延焼が怖いし、属性攻撃は雷属性に。麻痺効果も期待しつつライザー・カインで撃ち抜いていこう
クロウロードのブレスも雷属性にセット。適当に薙ぎ払ってもらおう。
「あ、そうだクロウロード。死ぬ気でスライムから私を守れ」
なんか前世が言ってるのよ。このスライムきっとろくでもないスライムだって。服溶かしたり、まとわりついてスーツになったりとかそういうあれだとかなんとか。
※アドリブ、絡み歓迎
「んー」
迷宮に降り立ったシーネ・クガハラ(ただいまB級テンペストプレイヤー・f01094)は喉を鳴らす。
「なんだろ、なんか、こう……頭の隅っこの方で、淫魔死スベシ。みたいな声が聞こえる、ような、気がする」
やはり前世でなにかしらあったに違いない。
そうでなければこんなに殺意だけを煮詰めた様な面子が集まる説明がつかないだろう。
「まあよくわかんないけど、やることは解ってるしね。やらなきゃ」
スライム退治の遂行が急務だ。なんだかんだと苦戦している雰囲気も見えるし。
「よし、延焼が怖いし、属性変更で」
手段は決まった。手にしたライザー・カインの弾丸、それに付与する属性を雷に。スライム相手に麻痺が通るかは不明だが、期待しすぎない程度の心持で。
「クロウロード、お前もね」
召喚した黒龍の攻撃手段にも反映する。
龍の後ろ脚に足を掛け、その背中へ飛び乗ったシーネは、帯電にバチバチと鳴る銃の照準を前に。
「あ、クロウロード、死ぬ気でスライムから私を守れ? なんか、こう、あのスライム絶対ろくでもないから」
服を溶かしたり、纏わりついて変なスーツみたいになったりするんだろ、詳しいぞ知らないけど。
と、謎のイメージが先行して、実際は普通に命に関わる攻撃をしてくるのだが。
「とにかくGO!」
行く。
指示を受けた黒龍は大きく空気を吸いこみ胸を膨らませて、一拍の溜めを経てから吐息を打ち出す。
突風の様に吹くそれは、スライムの粘液を弾き飛ばしていく。が、
「うぉ……!」
肺の中身、全てを出し尽くした後の、整える一時を見計らって、スライムが一気に飛んだ。
「クロウロード!」
頭から突っ込んでいくそれは、その道中でサメを模した口と牙で噛み付きに行く。
それをクロウロードは腕で受け、しかし一瞬後に、溶ける様に食いちぎられる。
「痛ぅ!」
ダメージのフィードバックが、生命力の共有をしているシーネを苛む。
隻腕の爪でスライムを散らし、黒龍は後ろへ下がる。
前面には追撃にやって来る、複数の粘液体が居て、
「こん、の!」
シーネの銃撃では迎撃が追い付かない。
やられる。
そう思った瞬間に、時が止まった。
苦戦
🔵🔴🔴
フレミア・レイブラッド
…このスライムは服だけ溶かすとかお約束みたいなスライムじゃないのね、つまらない…。
淫魔の配下ならそれくらいやりなさいよ!それと身体を触手に変えるとかそういうの!
などと理不尽なお説教(?)をスライムにかましながら【ブラッド・オブリビオン】を使用。「3月兎の桃色トラップ」で吸血した「雪うさぎリーダー」を召喚。
【雪兎軍団】と【召喚!雪兎王!】を使用させ、それぞれの冷気によりスライムを凍らせて殲滅させる。
敵の攻撃は【見切り】で攻撃法を見切り、【念動力】でその粘体の身体を空間に固定して丸ごと払いのけるか、念動力の壁を作って防ぐわ。
…ところで、スライムの体液って美味しいかしらね?
※アドリブ、絡み等歓迎
「やれやれだわ」
手を前にかざし、念動力でスライムを空中で縫い付けたフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は、落胆のため息を一つ吐き出した。
……つまらないわね。
落胆、そう、彼女はがっかりしていた。
淫魔の配下と聞いて見てみたら、やっているのは生物を殺すための攻撃だ。
「服だけ溶かすとか、身体を触手にするだとか、そういう気概は無いのかしら全く! 恥を知りなさい!」
怒っていた。
謎の怒りだが、それは原動力として活躍したのだろう。
フレミアはテンション高めに固定したスライムを放り飛ばすと、向き直ってユーベルコードを発動させる。
「血の隷属を用いて命ずる」
文言と共に淡い光が起き、導かれるように零体が召喚された。
それは、彼女が以前戦い、血を啜ったオブリビオン、雪兎リーダー。
「殲滅なさい」
命令を、霊は忠実に実行へ移す。
複数の小型雪兎を召喚し、さらには自身とうり二つの存在を呼び出して、
「――!」
突撃していく。
雪と名が示す通り、それらは冷気を伴ってスライムを攻撃。サメ型に変形したスライムの顎に砕かれては冷気を放出して凍らせ、丸飲みにされれば内部からの凍結で酸性の粘液を駆除していった。
成功
🔵🔵🔴
水貝・雁之助
あー、又濃いのが出てきたねえ
こういうの教育に悪いから親としてはとっとと退治しないとなんだよね
まあ早めに退治していくよう頑張ろうっと
迷宮という瓦礫や視界を遮る遮蔽物等が多いという『地形を利用』しスライムに気付かれないように注意しつつ瓦礫等を用いてスライムの攻撃を防いだり動きを阻害する簡単な拠点を作成
『拠点防御』しながら戦闘
『地形を利用』し敵に囲まれる事が無いように一体複数ではなく一対一が複数になる様に注意し、場合によっては他の敵の攻撃に対しては自分が現在
戦ってる『敵を盾にする』様に戦う
又、不利な地形をグラフィティスプラッシュで塗りつぶし戦えば戦う程、自分に有利な地形になる様に仕向ける
水貝・雁之助(おにぎり大将放浪記・f06042)は迷宮区の入口を、縦横無尽に駆け回っていた。
巨体を辺りに散らばった瓦礫へと上手く隠し、身を出す瞬間には絵筆を振り抜いて戦場をカラフルに彩っていく。
精確に、堅実に。スライムに自分を掴ませず、現場にあるものを使って簡易な拠点に見立てて最大限の活用をして。
「うん、こういうのは教育に悪いからね」
駆除を進める。
淫魔という存在もそうだし、それに当てられて凶暴化した他の面々を見ても、その影響力は悪い方向に絶大だ。
義娘を預かる親の身としては、そういうものを見過ごすわけにはいかない。と、雁之助は胸中の決意を新たにする。
「行くかね」
顔を覗かせ、敵の数と位置を把握。
右、左、どちらから出るかと瓦礫の裏での思案は一瞬で。
「っ!」
敵の少ない面へと飛び出して、戦場を自分の色へ染め上げる。
単純に戦闘力を上昇させる効果と、似せた色に塗りつぶす事でスライムに自分を捕捉しにくくする目的のそれはおおむね成功で、数の不利を意識した立ち回りは安定した駆除を雁之助に許した。
大成功
🔵🔵🔵
彩瑠・理恵
プレジールですか……?
……母さんから聞いた覚えが、確か、そう、絶対に許してはいけない奴だと。
そうですね。えぇ、母さんの恨みをちょっとでも娘の私が晴らすべきですね。
では、リエ。この場はこの身を貴女に委ねますね。ダークネスカードを使って【闇堕ち】です。
闇堕ちして血液を操る六六六人衆のリエたる私に変わるわ!
ハハハッ!まずは前座を片付けるわよ!
攻撃重視で強化して鮮血槍でスライムを貫いて、鮮血の影業でバラバラに刻んでやるわ!
強酸と血液、同じ液体操作能力対決はどっちが勝つかしらね!
まぁ強酸の方が強いだろうけど殺しに関しては六六六人衆の私の方が専門よ!
スライムは殺しがいがないけど、そこは本番に取っておくわ!
スライムの体から、酸弾が散らばる。
逃げ場を無くす程の広域なそれから、彩瑠・理恵(灼滅者とダークネス・f11313)は瓦礫に身を隠した。
体を預けたそこに着弾した酸が、物を溶かす気配を背中で感じる。
音だ。
ジュウ、と言う音がしている。
理恵はそれを聞きながら、一枚のカードをポケットから取り出しつつため息を吐く。
「プレジール……」
その言葉に、いつか、昔、母親が語って聞かせてくれた記憶を呼び起こされる。
「確か、そう、許してはいけない奴、だとか」
ええ。
と、静かに頷いて決意する。
「母さんの恨みは娘の私が晴らします」
瓦礫から飛び出し、カードを翳して、そして入れる。
「この身を貴女に委ねます」
切り替わりのスイッチを。
「ハハ」
腕から吹き出る赤い血液、それを槍状に形取り、彼女は行く。
「殺してあげるーー!」
酸弾を最小限の動きで避け、一瞬で距離を詰めて、這いずるスライムを掬う様に下から突き刺した。
「散りなさい」
そうやって上に掲げ、足元に広げた血溜まりを操作する。
鋭く、幾条かの蔦へ変え、スライムを細かく刻んだ。
「……ッ」
だが、バラバラに分かたれたスライムは絶命の瞬間、リエへ降り注ぐ。
死なばもろとも。そういうことだろう。
撃破の代償は、決して軽くはなかった。
苦戦
🔵🔴🔴
イデアール・モラクス
クク…淫魔か、私の大好物だなぁ。
さぁ早く現れろ、タップリ愉しんでやるからさぁ…アーハッハッハ!
・行動
「スライム塗れのお色気展開も嫌いじゃないが…今日はメインディッシュが控えているのでなぁ、跡形も無く消えてもらう!」
UC【合魔・天煌竜覇】を『全力魔法』と『属性攻撃』で威力を増した上で『高速詠唱』を用い一瞬で行使、破壊光線の一本一本を『範囲攻撃』で極太レーザーと化して眼前のスライムどもを跡形も無く葬り去る。
「アーハッハッハ!塵芥と成り果てろ!」
お色気が足りない?
ならば我が下僕『キリ』(無口なクーデレ美少女)をスライムと遊ばせてやればイイ!
キリ「んっ…なんで…私が…!」
※アドリブ歓迎、NG無し
「ク、ク」
イデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)は喉を鳴らして笑った。
片手を顔に当て、堪らないと言った風にして、
「アーハッハッハ!」
笑った。
「淫魔、いいねぇ。私の大好物じゃあないか!」
待ちきれないのだ。
楽しみで楽しみで、仕方ないのだ。
ひとしきり笑って、精神の一時的な安定を得たイデアールは、ふぅ、と一息。
スッと真顔になって、
「スライム塗れでお色気展開も嫌いじゃあないのだがね。メインディッシュが待っているんだ」
内に秘めた魔力を充足させる。
一瞬で終わらせる、そういう心算だ。
ただ。
「うん、だがお色気が足らないというのも寂しいだろう。から。我が下僕であるキリを戯れさせーー」
「いやあれは死ぬ」
「なんだ、ツマラン」
サービス精神の心はあった。だがあの強酸に絡み付かれたらお色気どころか骨まで溶ける。
いやそれは死ぬ。
「じゃあいいさ」
イデアールは片手を前へ、それに並ぶように別の手が現れ、
「塵芥と成り果てるがいい」
聖滅の光が迷宮を照らし焼いた。
大成功
🔵🔵🔵
雨宮・いつき
享楽のためだけに人に害を為そうなど、一番許し難い種類の考えです
身勝手な振舞いを正すために、何よりこれ以上被害を出さないために、しっかりとお灸を据えましょう
まずはスライムの集団が相手
体を強酸の弾にする能力…組みつかれたら窒息どころでは済まないですね
ならば、持てる力全てで以って避けきるしかありません
剣となった朱音を片手に、もう片手には雷撃符
敵の動きを【見切って】触れようと飛び掛かってくる者を舞うように避け、
あるいは霊力で飛ばした起爆符の爆圧で圧し退けます
飛び交う流体と宙に咲く爆風の花、避けざまに撃ち込む雷撃符の稲妻
それら全てを演出とした渾身の舞踏、納め奉ります
…【水行・夢想鸞舞】
「ーー」
雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)は呼吸を整える。
深く息を吸って、ゆっくり吐き出して、一歩を進む。
「まいります」
右手に両刃剣、左手には重ね広げた符。
摺り足で二歩、三歩と地面を踏んで、スライムの領域に入る。
……正さねばなりません。
周りに感じた敵の気配にも、いつきは恐れない。
自分勝手な享楽の為に他人を害する。その最も許し難い行動と考えを、正さなければと思うのだ。
「ヴァ、あぁ……!」
そんな彼の前に、スライムは飛び掛かる。
丸飲みにしようと体積を広げて来た。
それに、いつきは剣を振るう。
下から、跳ね上げる様に半円を描いて行うそれは、敵を斬る為のものではない。
「舞ます……!」
敵の軌道を変える為の振り抜きだ。
剣の刃にスライムを乗せ、吹き飛ばし、その先へと符を飛ばす。
「ッ!」
と、その動きの最中にも、他のスライムはやってくる。
剣での弾きは間に合わない。だから、
「爆……!」
起爆の符を炸裂させ、押し退けた。
「参ります……!」
立て直し、改めて。
押し寄せるスライムの飛び付きを、いつきは捌く。
躱し、爆裂させ、払い、雷撃で焼き、体を回して、
「水行・夢想鸞舞」
スライムを駆除していった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『プレジール』
|
POW : おしおきだよっ♪
【内蔵兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 私の為に戦ってぇ~♪
【両掌】から【高圧電流】を放ち、【感電】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : わたしの虜になぁ~れ♪
【疑問】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【絡みつく紫の触手のかたまり】から、高命中力の【謎を喰らう触手】を飛ばす。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
●
彼女は、下僕に運ばれながら、確かな殺意を感じていた。
それは行く先、迷宮の出口から感じる。先行させた配下のスライムはどうなっただろう。
いや、きっと駆逐されているはずだ。
「……あはっ」
笑みが漏れる。
何故か向けられる、まだ見たこともない存在達からの殺意や敵意。
自分を想う、強い気持ちの現れ。
「楽しくなりそう」
地下に引きこもっていては、絶対に味わえないだろう感情の昂りがあった。
別に戦うことに興味はないが、そういう遊びもありだろうと、淫魔は妖しく笑う。
「さ、遊びましょ!」
痛みも苦しみも、彼女にとっては前戯と変わらないのだから。
【マスターより】
第二章、ボス戦です。
プレイングは出来たら金曜日に送っていただければ幸いです。
可能な限り採用します。
よろしくお願いいたします。
【マスターより追記】
お色気系プレイングは採用しないか望んだ通りにならないかと思われます。
柚々・奈七音
アドリブ・絡み歓迎
あわわ…た、た、た、た、大変です!
これがい、淫魔…痴女ですね……ピンチです。急いでやっつけないとやっぱり色々危ないです!
UC【人狼化身・身体強化】で身体能力を大幅に上昇させますっ!
業火の術式で武器を強化、【怪力】で真っ向勝負させていただきます!
ああ、でも近くで見るとますますもって…はず、かし…い…。
えーいっ!こうなれば急いで勝負をつけさせていただきますっ。
多少の怪我はやむなし、これも風紀の為です。大人しくやられてください~っ。
イデア・アイオンハート
○心境
「頭の隅で何か聞いた事有るような、まぁ良いか。」と若干げんなり気味。
初めての実戦、そして戦場と迷宮の出口から来る妖しい空気に集中。
○戦闘
能力値はPOW。
敵に隙や行動硬直を取られない様に注意しながら立ち回り、時には水の『属性攻撃』による魔法剣で祓いながら接近。
敵の『おしおきだよっ♪』にはUC【トリニティ・エンハンス】で防御力を強化しつつ『野生の勘』で此方への狙いを予想、攻撃を回避可能なら避け戦闘不能を避ける。
敵に隙や行動硬直が出来たら水の『属性攻撃』で、敵の隙や硬直が大きいなら水の『全力魔法』でがら空きの淫魔の身体へ攻撃を捩じ込む。
四王天・燦
「可愛い。ぶっ飛んだ価値観も魅力的だ」
淫魔のように舌なめずり。
妖狐の性を抑える気さえ吹き飛ぶ
残像で翻弄し見切りで回避。食らったら電撃耐性と激痛耐性で我慢。
こんな魅力的な相手、逃せるかよ!
神鳴に電撃属性攻撃を乗せて斬る。
肌を傷付けてしまうと嫌な表情になる。
「楽しくないな…綺麗なものを傷付けるのは楽しくない」
マヒ攻撃で動きが止まったら符術『魔封じの儀』で攻撃能力を奪う。
「さあ魂まで吸わせろよ…骸の海になんて還らず、アタシの中に居続けろよ」
押し倒し誘惑。荒ぶる妖狐の情欲が理性の限界を凌駕する!
口付けて(他PCとの間接キスNG、その場合は噛み付いて吸血)生命力吸収で根こそぎ吸精だ
「可愛いぜプレジール」
シズホ・トヒソズマ
※他猟兵とのアドリブ・連携OK
【POW】
やれやれ、どこまでも楽しめるとは……まあそこは否定しませんが
実に素敵なボンデージをしてくれて…いいでしょう、教えてあげましょう、ここに君臨する真の女王の姿を!
【挑発・誘き寄せ・誘惑】で攻撃を引きつけた所で『無敵城塞』を使い攻撃を防御。同時に『降臨、鉄の女王』を発動し女王様モードに変形させたユングフラウを、拘束具で縛った自分自身を同じく縛ったチェーンで繋ぐことで、攻撃は無敵シズホで【盾受け】、【カウンター・ロープワーク】で鎖により無敵シズホを敵に叩きつけ、すかさず鋭いヒールによる【踏みつけ・鎧虫攻撃】
(楽しみを求めるならこちらも楽しみながら倒すまでです!)
東方・亮真
淫魔だね、知ってるよ。
主に用途不明の徒手空拳で相手を篭絡し、腰を激しく上下左右に振る謎のダンスで自らの勝利を祝った後に負けた相手の脳をすする伝説上の怪物だね。知っているとも。
そんな危険な怪物を外に出すわけにはいかない、ここで殲滅しよう!
【POW】
遠距離系が揃ってるね。ならこちらも遠距離攻撃だ、スピニングギアの高速回転する歯車で攻撃するよ。
【属性攻撃】も交えながら【一斉発射】でプレジールの攻撃を牽制しながら戦う。
戦いは正々堂々とがポリシーだけど、向こうが卑怯な手を使うならこっちにも考えはあるよ
むしろ今こそ雪辱の時だよ。どんな屈辱を受けたかは覚えてないけど必ず果たすよ。容赦はしないよ
淫魔は殺すよ
橘・焔
○心情
…言動はふざけてるけど感じる力は本当にヤバそう
色んな意味で気を引き締めて掛からないと呑まれそうだ
【SPD】アドリブ・連携可
「…貴女の為には戦いませんが、貴女を倒す為に戦います」
予知によると攻撃は掌からの電撃
エキセントリックな言動に惑わされず、始点となる掌の動きを注視
ダッシュ、ジャンプ、スライディングをフル活用し部屋を縦横無尽に駆け回り回避に徹します
万が一被弾しても『電撃耐性』で耐えて反撃へ
「…そんなに刺激が欲しければ、これでも喰らえッ!」
掌を振り回す大きな動きを逆手に取り、最短距離で接敵し咎力封じで全身を拘束
真の力を限定解放し、拘束したプレジールを拘束具ごと壁に向かって全力で叩きつける!
水貝・雁之助
さて、これからが本番だけど、色々と厄介そうな敵だし全力でぶちのめさないとねえ
カンナの年頃の子も結構いるし教育に悪い淫魔は早々に退場して貰わないと、だよ、うん
グラフィティスプラッシュによって自分に有利な地形に変貌させた場所、という『地形を利用』
瓦礫を投擲して此方に意識を向けさせる事で仲間の攻撃から意識を反らさせたり敵の視界を遮る遮蔽物を利用して移動し攻撃を仕掛けたり逆に此方の攻撃で敵が動きにくい場所へ誘導したりと『地形を利用』したりスライムの残骸という『敵を盾にする』よう動いたりしつつ戦闘
グラフィティスプラッシュで可能な限り周囲を自分達に有利な地形になるように心がけつつ戦う
※アドリブ、絡み歓迎
メーティオル・スター
あれが、淫魔…。
予想はついてたけど、やっぱり目のやり場に困るんだよな…。(目逸らし)
なんか、不思議と懐かしい気もするけど。なんでかね?
POWで勝負!淫魔の内蔵兵器ってなんだかよく分かんないけどさ!?
右手にダガー、左手にマグナムを握って武器攻撃!
重視するのは相手と同じヤツ。
そこに、カウンター+先制攻撃を活かして後の先をとり続ける!
アンタにおしおきされる筋合いなんてないし、これからだって要らない!
頼むから地上に出てこないで、大人しくしててくれよ!(悲痛なさけび)
あ、そうそう。
演出で、ちょびっと局所的近未来予測システムが発動とかしてもカッコいいかも。
カウンターの時とかにさ。
響・夜姫
アドリブ・絡み可
「……スライム。予想以上に面倒だった」
気合を入れなおさねば。
「すーはー。巨乳、ぜつゆる」
よし。(ハイライトの消えた目)
多対1なので、立ち回りは【援護射撃】での援護重視。
【ダッシュ/地形の利用】で動き回りながら中距離を維持。
「一人弾幕・攻勢防御」
【クイックドロウ/スナイパー/2回攻撃/誘導弾/範囲攻撃/一斉射撃】でプレジール、及びその攻撃の迎撃・相殺を試みる。本体もろともフルバースト。
自分の防御は【オーラ防御/武器受け】
「内蔵兵器……つまりバストミサイル」
ナントカ化ビームじゃなかった。安心。だがもげろ。
……とりあえず。
プレジールの胸、もげればいいのに。(胸を)ひっぱたきたい。
加賀・琴
りんごさん(f00537)、いちごさん(f00301)と参加です。
出ましたね、プレジール。
前世の記憶とは幾分姿は異なりますが、この気配はまさしくプレジールです。
前世の強制淫魔化結界とか黒ギャルとか洗脳悪堕ちピンの恨み、纏めて此処で晴らします!
……だから、私はいったい何を言っているのでしょうね?(困惑)
でも、怒りは抑えられません!
先手必勝です!【破魔幻想の矢】2連射です!
破魔の祈りを込めた200本を越えた聖なる矢をたった一体の淫魔に向けて放ちます!
おーばーきるとか知りません!一人弓衾で殺到する矢で淫魔をハリセンボンにしてしまいます!
さぁ、続けていちごさんも前世の恨みを存分にぶつけてください!
雨宮・いつき
あの淫魔、人に自分を運ばせている…
まさかこれまで討伐に赴いた人達を屈服させて…?
…だとしたら悪趣味に過ぎます
これ以上、その人達を貴女の好きにはさせません
敵の触手を【マヒ】を狙った雷撃符の【範囲攻撃】で迎撃
動きを鈍らせて回避し、起爆符で撃ち落としていきます
そして稲荷符を彼岸花の花弁に変化
花弁で包み込むのは敵の淫魔、そして下僕とされた人です
どのような手練手管で隷属させたか知りませんが、
僕の術の【誘惑】で下僕とされた人の淫魔に対する忠誠を相殺し、すぐこの場から離れさせます
淫魔は魅了で足止めして雷撃符の集中砲火、
そして花弁に忍ばせ飛ばしていた起爆符の爆撃をお見舞いです
たっぷり灸を据えてあげますよ!
彩波・いちご
りんごさん(f00537)、琴さん(f02819)と引き続き
「ようやく会えましたね、プレジール。ここで会ったが……初対面ですけど!」
でも魂の奥底で何かが囁くんです
きょうせいいんまけっかいとか黒ギャルの恨みを忘れるな、って
何を言ってるのか自分でもさっぱりですけど!
「ええ、ありがとうござます、琴さん!」
私も行きますよ
私がこの力使えるようになったのはプレジールのきょうせいいんまかけっかいの時のネタが元だって……自分でもよくわかりませんけどとにかくその力、全部あなたにお返しします!
【異界の抱擁】の触手でプレジールを拘束して、そのまま触手で搾りあげてしまいますね
「さぁ、りんごさん、トドメお願いします!」
黒岩・りんご
琴さん(f02819)といちごさん(f00301)と引き続き
…2人が前世(?)の恨みで燃え上がってるの見て、やっぱり苦笑するしかなく
でもやっぱりわたくしとしても、ここではないところの記憶にある義妹のことを思うと、プレジールはぶちのめさなくてはいけないと思うのです
「任されましたわ」
琴さんいちごさんが流れるようにプレジールに攻撃をぶつけていったので、わたくしは喜久子さんでそれに続きつつ、頃合いを見て右手に鬼の力を集め
「その姿、見ているとわたくしもとてもイラっとしますので、ここで消えていただきますね?」
喜久子さんも偃月刀も手放して一気に接近、【鬼九斬手】にてその体一撃で叩ききってくれましょう
天御鏡・百々
ううむ
妖艶というよりは破廉恥と言うかなんと言うか……
ともかく退治したくなる敵だな
淫魔というくらいであるから
魔に属する者なのであろう
我が本体より放つ「天鏡破魔光」の破魔の光にて
その汚らわしき体を浄化してやろうではないか(破魔35)
敵の攻撃は神通力(武器)による障壁(オーラ防御33)にて防ぐぞ
触手については真朱神楽(武器:薙刀)を用いて
なぎ払ってもよさそうだな(なぎ払い14)
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎
彩瑠・理恵
出てきましたか、プレジール。
此処は私にもやらせてください、リエ。
【オルタナティブ・ダブル】で二人に分かれます。
理恵:
初めましてプレジール。
貴女に分かるかどうか分かりませんが、母さんの恨みをぶつけさせてもらいます。
串刺し嬢の娘としてリエと連携して、ヴァンパイアバスターで串刺しにします!
慄け咎人、今宵は貴女が串刺しです!
リエ:
あはは!淫魔対六六六人衆&灼滅者か!面白い対戦カードだわ!
ボクから言わせれば君はまだ甘いわ。せめて聞いたことあるサイレーンみたくあらゆる性癖に対応できるようになってから出直すといいわ!
鮮血槍と鮮血の影業で上下から攻めるわ!理恵とも連携して左右上下からの攻撃、避けられるかしら!
緋奈森・鈴音
ようやく出て来たわねー。
色々なみんなの思いを込めて全力で攻撃する!
プレジールが出てきたら物陰からチャンスを見て突撃するわねー。
水の魔力で自分を京香して……強化して防御力を上げて攻撃に耐えながら突撃するわー。
近づいたら全力の拳で急所に属性攻撃の一撃ね!
やっぱり顔面に一発かしらー?
顔面がガードされそうなら全力のボディブローを!
「なんでだろー、その表情を思いっきり歪ませたいのー!」
「そのためならこのくらい耐えて見せるー!」
最悪迎撃されることになるかもだけど、他の人が攻撃できる隙を作れると思うから任せたわー。
「おねーさんを甘く見ちゃだめよー」
【アドリブや他の抹殺の心を同じくする同志との絡みはOK】
月山・カムイ
何故かは知りませんが、貴女はここで滅ぼさないといけない気がします
何故でしょうね?
私の過去世が貴女と関係したのかも知れませんが、どうでいいですね
とにかく、骸の海へ還れ
二度と戻って来ようという気も起こらないよう、粉微塵に切り裂く
正面真っ向から相対する事により、他の猟兵が攻撃する隙を作る事を目的として、正面から数千万の斬撃を叩き込む
こいつが内蔵兵器起動するなら、発射前にその行動を見切ってカウンターで切り払いましょう
高圧電流を放ってくるのなら、前に出て捨て身の一撃で刃を突き立てる事でそちらにも感電の衝撃を与えましょう
二度と海から浮上しようと思わぬよう、痛い目見せてやりますよ
全力で、ね
シーネ・クガハラ
むー、腕無くなっちまったし、クロウロードー、ちょっと休んでなさーい。
なんだかよくわからないけど私の本能が前世の恨みを晴らすとか言ってるのでー、恨むなよー。
ライザー・カインを雷属性にセット。今回は効くでしょう麻痺攻撃。誘導弾で2回攻撃で発射。
後はユーベルコードで石化っと
「ほーら、この瞳はちょーっと怖いぞ」
完全に動きが止まったらライザー・カインを炎属性にして、顔を狙う。
美貌とか声とか、誘惑に使えそうだし。声と顔を破壊工作っと。後、顔殴りたいけど力ってあんまりないのでその代わりねこれ。
飛び出た淫魔は殺意を見た。
広いとまでは言えない空間にひしめく、20に届きそうな生物の気配。
その全てが自分を見ていて、その全てが牙を剥き、その全てで押し寄せてくる。
「ーーあはっ」
ひょいっと下僕から降りて、後ろ蹴りに蹴飛ばし、淫魔ーープレジールは笑んだ。
「私を待ってたみなさぁ~ん! お待たせぇ~!」
そう言って、足取り弾ませ、迫るそれに対して行った。
●対・人狼少女
「あわわわわた、た……大変です!」
というより変態です?
これが淫魔、これが痴女。
奈七音は込み上げる複雑な想いを抱え、
「急いでやっつけないとやっぱり危ないですねこれは! ええ、色々と!」
長柄のロッドを両手に持って構えた。
間隔は広く、杖と言うよりは棒の様で。
「強化術式、業火、展開……真っ向勝負、行きます……!」
「ふふ、いいよー!」
行く。
杖先を下に、地面を蹴って飛び込んでいき、間合いに入る一歩を踏み込んで思い切りに突き込んだ。
「あはっ、可愛いのにらんぼーなんだ? それじゃ挿入るものも挿入らないよ!」
「なにがでしょう!?」
それを、プレジールは手で叩き逸らす。
体の横へと逃がし、空いた奈七音へブーツのヒールで蹴りを放った。
「ひゃわあっ」
腹に一撃を貰ってしまった。その痛みも辛いが何より、
「近くで見るとよりはれんち……は、は、はず、か、しい……!」
開脚して蹴る時に食い込む服装が直視に耐えない奈七音だ。
二歩、三歩と衝撃に後ずさって、一息を挟む。
●対・キマイラ少年
プレジールと奈七音の間に出来た空間へ、イデア・アイオンハート(霞の先に咲く蒼き紫苑・f09399)は割り込む。
手にした煌めきの魔法剣、その光を包む水を付与して、鋭さと間合いを広げた一撃で斬り払いに行った。
「わぁ、びっくりしちゃった!」
それに、嘘臭い驚きで仰け反るプレジール。
クスクスとからかう様な笑みで、イデアを上から下まで眺めていた。
「……頭の片隅で聞いた様な、無いような……」
視線が鬱陶しい。
げんなりする気持ちを胸中に納めて、迎える初戦に対して慎重に、意識を研ぎ澄ませて、彼は構えを直す。
「きゃはっ」
敵の気配が変わった。
奈七音との時は軽く見えた所作に、重みが増した様に感じる。
ただの勘だ。しかし、間違いは無いとも思う。
だから。
「ーーッ」
瞬間、目の前へ伸びてきた尻尾の先へ反応が間に合う。
後ろへ顔を逸らし、魔力で産み出した水の流れを額へ集め、穿つ先端を逸らした。
「あんっ、濡れちゃった……うふ、ふふふ……」
引き戻した尾の先を口許へ戻し、切り裂いた水と、吹き出たイデアの返り血に塗れたそれを、プレジールは舐めた。
「けど、まだ足りないわねぇ~。だから、もっと……ね?」
ちょうだい。
そう蠱惑的な笑みと共に、体勢を崩して膝を着いたイデアへ尾が迫った。
●対・妖狐
「ああ、可愛いな」
だがその攻撃が届く事はない。
燦の無造作に振り上げた神鳴、その峰が尻尾を途中で跳ね上げたからだ。
「貴女も強引なんだぁ~もー。ふふ、でも褒められちゃった」
「可愛い姿だ。そのブッ飛んだ価値観も魅力的だよ」
クスッと笑う淫魔と、舌なめずりする妖狐の視線が混じり合い、瞬間。
「はは」
どちらの笑いかわからないまま、稲光が走った。
プレジールの放つ電撃を、同じく雷撃を纏わせた刀で、行く先を逸らすように燦は払い除ける様に弾く。
その攻防の終わりに踏み込んだ燦は、払ったそれを返す動きでプレジールの胴へとぶちこんだ。
閃光の余韻が走り、手応えに彼女は眉をしかめる。
「綺麗な肌を傷付けるのは、楽しくな」
「え~やっさしーんだ」
「っ」
肉を斬った手応えだった筈だ。
だが目の前の体に傷は無く、あるのは光の流れで。
「ぐっ」
それは燦の行ったのと同じこと。
電流を放って雷撃を逸らし、紙一重の回避で一撃を受け流す。
そして、それが成された一瞬の驚きの間に、全力の高圧電流が妖狐の体にぶちこまれた。
●対・ドM
「そこまでです!」
コツッと靴を鳴らして、シズホの声がプレジールの注意を引く。
その瞳はキリッと引き締められていて、
「実に素敵なボンテージ……」
引き締められていて?
「おっと失礼。ええ、君臨すべき真の女王の姿で、どこまでも楽しませてあげましょう」
「ん~私が言うのもアレだけど~……貴女スッゴク変態ね! 嫌いじゃないよ!」
世界と立場が違えば仲良くなれそうな気がする。
が、それは置いておいて、誘うシズホは無敵城塞を発動させる。
無敵城塞とは、自身は全く動けない代わりに、あらゆる攻撃に対して無敵に近い防御を得られるモノだ。
それに加えて、拘束具が体を雁字搦めにし、ギチギチと締め上げて、
「さぁユンちゃん今こそ封印を解きまーー」
指も動かせないのでからくり人形ーー鉄処女のユングフラウを動かすことが出来ない。
「……ちょっとタンマです」
「えーはやくー」
「そこまでです!」
「あ、そこからやり直し?」
既に拘束具で締め付けられたシズホは即座に、ユングフラウを解放する。
まるで生きた女王の様な姿へ変じたそれは、縛り付けた主であるシズホをプレジールに叩きつける様に振り回した。
「うわ自分が来る系!」
「ンー! ンンンッン!(そちらが楽しむならこちらも楽しむまで!)」
「ちょっとなにいってるかわからない」
さしものプレジールもその姿に苦笑い。
後ろへとステップを踏んで下がり、距離を取った。
●対・スチームマン
着地の足元に、鋭いモノが突き立った。
「……!?」
驚き、視線を下げてそれを見て、空気を切り裂く音にプレジールは顔をあげる。
そこには、飛来する何かがあった。
「淫魔だね、ああ、淫魔だろ、知っているよ」
ガジェットを構えた東方・亮真(スチームジャンキー・f01047)からの攻撃だ。
ああ、と頷きを続けて、鋭い目付きと眉間にシワを寄せながら。
「用途不明な徒手空拳で相手を篭絡したり、腰を激しく上下左右に振る謎のダンスで自らの勝利を祝った後に負けた相手の脳を啜る伝説上の怪物だろ、知ってる知ってる」
彼独自の知識を言った。
「そんなことしないけどぉ!?」
「?」
「いやそんな純朴に首を傾げられてもプレ困っちゃうしぃ~」
酷い風評だ。そうくねくねと困ったアピールをする淫魔に、亮真は真顔で頷きを一つ入れて、一息を吸う。
「ああ、ここで殲滅しよう」
「何を納得したのかな?」
問いには答えず、亮真は照準を向ける。
射出機能に特化したガジェットの狙いをつけ、内部で唸るような風音を発したそれから出るのは、
「当たると痛ーーいや、死ぬ」
高速回転をするギアだ。
単純な物理的威力だけではなく、風属性を付与した回転に切断力を付与している。
「殺意高くて怖くて痛そうであははっ、とっても素敵!」
それを、プレジールは受けた。
いや、体ではなく、呼び出した触手で、だ。
内蔵する召喚術式、それを用いた触手の薙ぎ払いで、放たれるそれを受けて本体に届かせない。
「だから貴方にも、味あわせてあげる!」
「ぐっ……!」
砕ける触手に追加でもう一本、丸太の太さを作って、亮真を吹き飛ばした。
●対・ダンピール少女
ヤバイ相手だ。
淫魔の動きを見て、焔は思う。
「言動はふざけてるのに、全体的な能力は本当にヤバそうだ」
気が抜けない。少しでも乱せば、呑まれてしまう。
そう確信がある。
だから、警戒を厳にして、焔は行った。
「貴女の為には戦いませんが、貴女を倒す為なら戦います」
「それってつまり私の為! ツンデレさん? きゃはは! 好きよ!」
一々煽る言葉だが、それに対して動きにムラを出すわけにはいかない。
攻撃の起点は、敵の掌にあると、そう情報があるのだ。
その所作を見落としたらやられる。
「捉えさせはしない……!」
駆ける焔は、プレジールに向かわない。
大きく回り込む様な軌道で、視線だけ敵を見て、情報通りに放たれる電撃を回避した。
「ッ」
跳び、壁を蹴って軌道を変え、着地に転がってダッシュを挟み、滑り込む動きで電流を潜る。
「あはは! 楽しい? 楽しいよね!」
反撃の隙を、焔は見つけられない。
先読みされた様に、動きの先へと来る電撃を、アドリブの動きで回避しているのだ。
その労力と集中力と言ったら、想像に難くない負担だ。
「……無理が来るね……!」
何時までも続くわけがない。
一か八かの反撃を、と。
そう思い、途切れた一瞬で接近へと踏み出した。
一歩を踏み、蹴って二歩目を踵から着地し、爪先へ力を渡して加速。
それを連続させ、最大加速からの攻撃をーー
「あはっ、ざんね~ん」
目の前に、掌がある。
瞬間、目が眩む程の光を、焔は見た。
●対・親
雁之助は、その背後からの強襲を選んだ。
焔にぶちこまれた電撃をどうすることも出来はしない、が、好機なのだと。
……色々と厄介そうな敵だし、全力でかからないとねぇ。
絵筆に染み込ませた塗料は潤っている。
大きく後ろへ引いて、跳び上がり、無防備な胴体への薙ぎ払いを打ち込みに行った。
「カンナ位の年子も結構いるし、教育に悪い淫魔は早々に退場してもらわないとねぇ」
振り抜く。
肉を叩く鈍い音と感触を得て、雁之助はそのままくの字に折れるプレジールを吹き飛ばした。
「きゃあ!」
悲鳴だけ聞けば少女のそれ。だが実際は人を惑わす魔性。
「手加減は無しだね」
だから、吹き飛ばす方向も考えてある。
スライムと戦ったとき、一面を塗り替えた色鮮やかな戦場へと向かわせた。
べちょ、という音を立ててプレジールはそこを転がり、色に溺れた体を見ながら立ち上がってニコリと笑う。
「特殊な性癖プレイなのね……!」
「何を言ってるんだこいつ」
わからない。
何を言っているのだろう。
そう、雁之助は疑問に思わされた。
「ッ!?」
結果、彼は自分の周囲へ伸びる触手に囲まれる事になる。
螺旋を描くように、複数の触手が体を包んで、
「ぎゅーってしてあげる」
締め上げた。
●対・スペースジャンク
体で魅せ、声で惑わし、ただ素直な欲望に生きる。
「あれが……淫魔か……」
目のやり場に困る。
メーティオルとしては、やり辛い相手にカテゴリされる敵だ。
「まあ予想はついてたけどさ。なんでだろ」
初めての気がしない。いや、そんな、まさか。
「ははは」
右手にダガー、左手にマグナム。
淫魔への対抗手段として選んだ近遠の二種を握る。
「とりあえず斬ってみるか、撃ってみるかは、これから決める!」
「可愛らしい顔なのにサディストなギャップ……!」
「黙ってくれない?」
なんで興奮しているのだろうこの淫魔は。
いや、淫魔だからか。
「む、女性を邪険にするのは酷くなぁい? そんな男の子は、おしおきっ」
「うわっ」
と、突然触手が伸びてくる。
プレジールの足元から、自分の鳩尾へと、一直線に、だ。
内部で兵器ってこれかぁー!
叫ぶ余裕は無いので胸中で驚きつつ、鋭く尖ったその先端が肉を貫いていく感覚を彼は得た。
「っ、視えた……!」
未来の幻視だ。
何もしなければそうなるだろう。だが、判るなら対処も出来る。
ダガーの刃を前に、突き立てる様に置いて、添える動きで触手を逸らす。
その上で体を斜めに倒し、左手のマグナムを真っ直ぐ淫魔へ向けて、
「ぐあっ」
そこに、正面からの電撃が落ちた。
「痛い痛いがわからないといいサドになれないからね、立派にならなきゃね」
「ーーッ!」
そんなつもりないけど!
とは痺れて言えない。
斜めにしたまま、メーティオルの体は強かに地面を打った。
●許せない事
淫魔が現れたとき。
下僕として扱う者に乗り、必要なくなれば蹴り捨てるその動きを、いつきは見た。
……なんという非道だろう。
どういう経緯でそうなったかはわからない。討伐に赴いたアルダワの生徒なのか、迷い込んだ一般人を屈させたのか。
とにかく。
「悪趣味の極みです」
もう好きにはさせられない。
ここで淫魔を倒し、すべての人を解放する。
その為に、いつきは行った。
「次はあなたね仔狐ちゃん、抱いたらとっても温かそう!」
「そうかもしれません。ですが、貴女が抱くのは別のモノです」
返しつつ、距離が遠いと思う。
もう少し、あと少し、それを縮めないといけない。
そしてその為には、立ちはだかる触手の邪魔を掻い潜る必要がある。
「ビリッとしますよ……!」
雷撃符を放ち、ぬめりの光沢を見せる触手へ打ち込む。意思を持ち動くのなら、電気による神経系の伝達は狂うはずで、実際にそれは痺れた様に痙攣する。
「あと、少し……!」
次に構える起爆する符を、いつきは投げた。
プレジールが始めに配下を遠ざけたのは、ありがたい誤算だ。
お陰でなんの遠慮も無く、爆裂する符を使える。
そうして、触手を破裂させ、爆煙の中に飛び込んで、
「な」
遠ざかったプレジールがその先にいた。
「女の子を強引に追おうとするから逃げちゃった、てへぺろ」
●ダークネス
「なんとも腹立たしいですね」
「あざとさもここまで来ると笑えるわ!」
一つの存在から、二つの声がした。
重なる声音は同じだが、聞けば別人の物だとわかる。
それは、理恵の内に住むもう一人の理恵。
ユーベルコードに依って出てきた殺人鬼だ。
「貴女に分かるか定かではありませんが、母さんの恨み、ぶつけさせてもらいます」
「っはは! これもまた面白い対戦カードね!」
二人、冷静と好戦に別れ、プレジールへと行く。
「……双子プレイ?」
「ちがう!!」
否定ついでに、理恵は腕に装着したパイルバンカー、ヴァンパイアバスターを大きく引いて、振り上げながら跳ぶ。
逆にリエは前傾姿勢で低く行き、手にした鮮血の槍を引きずる動きで引いた。
行く。
上と下、突き込む一撃と斜め上へ薙ぎ払う一閃が交差する。
「きゃは」
それに対して、プレジールは二歩程前へ出て半身を捻る。
一撃は背中を抜け、薙ぎ払いは体の横を掠めた。
「ーー!」
続けていく。
バンカーを勢いのまま地面に突き立て、支点にし、反転して着地した理恵は淫魔の背中へ再度突き込む。
リエは振り抜いた体勢から一歩を下がり、間合いを計って、上段から振り下ろしの要領で穂先を落とす。
「すごい、息ピッタリ、やっぱり双子みたいね!」
だが、届かない。
クルリと回った淫魔は、ただ一足分を横にずれる。
それだけで二つの攻撃は、スレスレの行き違いを見せて、
「じゃあ痛みも仲良く半分こ、ね?」
回転と同時に放たれる電撃が左右へ散った。
●対・電脳少女
「うわマジか」
名誉の負傷を負った黒竜は休ませ、ライザー・カインに雷属性を付与したシーネは、無双状態の淫魔を見て声を漏らした。
「まじかー」
何故かわからない殺意に、本能が怨みを晴らせと囁きかけ、この場に立ってはいるものの。
「うーん手強い」
効くかな? いや効くでしょ、うん、効くわ。
そう思って、雷に麻痺と混ぜ合わせた銃口を、クルリと回ったプレジールに向けた。
電流の光がピカッとして、膝を着く理恵とリエをニンマリと見たそいつに、
「シュート」
トリガーを引いた。
「も一発」
続けて、もう一度引く。
放たれる拳大の球弾は、直線的ではない。
それぞれがまがりくねった軌道で広がり、迂回する様にしてプレジールを挟み撃つ。
「うきゃんっ」
肩と、脇腹に当たった。
ビリッとした刺激が帯電する光で可視化され、そのチャンスをシーネは逃さない。
キッと視線を鋭くさせ、右の瞳孔を縦に開かせ、敵を見る。
「っ」
いや、見えない、湧き出した触手の幹が姿を隠してしまう。
「ちっ……!」
だが諦めない。ライザー・カインを再度構え、即座に撃つ。
影に隠れた敵を撃つため、ホーミングを加えて放つ一射は大きく回り、想定の位置へと吸い込まれていく。
「……やったか……?」
思う。
手応えは、ここからではわからない。
だから、思い、そして。
「なん」
触手の幹から映えた、新しい触手がシーネを打った。
●三つの恨み
「ようやくです」
いちごと、りんごと、琴。
三人は、念願の淫魔との相対を叶えた。
「ようやく会えましたね、プレジール」
「ええ、前世的なあれとは幾分、姿形が異なりますけれど」
「というかむしろ初対面ですけど」
「ですがこの怒り、納まる所を知りません」
「いんまかけっかいとか」
「くろぎゃるだとか」
「「なにをいってるのかわかりませんがとにかくダメです!」」
……テンションすさまじいですわ。
燃え上がるいちごと琴のボルテージに、りんごは苦笑しか出ない。
出ないが、自分自身、なぜかあの淫魔をぶちのめさなければならないという気分になってくる。
なぜだろう。
「って、本人おいてけぼりで盛り上がるのやめてー?」
クスリと、触手の上に座って見下ろしてくる淫魔が言う。
「もーやだなぁ熱烈な想いはキチンと伝えてくれなきゃプレ、悲しくなっちゃ」
「先手必勝です!」
台詞の途中で、問答無用の矢が乱射された。
110本。聖なる力の込められた流星群。
「あわわこわーい!」
それを、プレジールは逃げる事にした。
触手の後ろへ滑り降りて、追いかけてくる矢の盾にする。
「まだまだ、です!」
だが止まらない。
空間を埋め尽くす射撃は、その数を倍に、200を越えて射出される。
「今までで一番殺意高くない?」
とても高い。
だがそれ自体は、プレジールに届いたわけではない。
分厚く立ちはだかる触手を削りながらも、遂に射ち尽くす矢はそれを貫けなかった。
「いちごさん!」
「はい……!」
だが守りを無くし、無防備を曝させることには成功だ。
そこをすかさず、いちごの追撃で攻め立てた。
「ふんぐるいふんぐるい……もとねたはきょうせい(以下略)とかよくわかりませんけれど、とにかく全部、お返しです!」
小さな小さな自分の影から、プレジールの物とは全く異質の触手を召喚する。
使役し、撃ち出して、淫魔の体を絡め取った。
両脚へ回り、這いずって腰まで上がり、ギチギチと締め上げながら腕まで捕まえる。
「今ですりんごさんっ」
「トドメを、お願いします!」
そうして、最後を託された。
二人の声に頷いたりんごは、からくりの喜久子さんを繰ってプレジールの体へ刃を突き立てる。
「任されましたわ」
んーっ! と唸る淫魔の姿を、彼女は冷めた瞳で見た。
ああ、なぜでしょう、わたくしとっても、イラッとします。
胸中で思い、自然と手に力が籠るのを感じる。
一撃をぶちこまなければならないと、その想いが体を疼かせるのだ。
だから。
「ここで、消えていただきます」
行くのだ。
人形の操作を捨て、武器も放り、蒼白のオーラを纏わせた手で憎き淫魔に終着を。
「ーーぁ」
赤い色が、地面に広がった。
触手に持ち上げられたプレジールと、その目の前で止まったりんご。
切り裂くべき手は首に届かず、鋭い尾の先が女の腹を貫いていて。
「……」
力無く、体はゆっくりと、落ちていった。
●対・全力
「音も無く」
拘束を自力で解いたプレジールの体へ、
「その身に刻め」
月山・カムイ(絶影・f01363)は全力で行く。
握った小太刀を振るい、一瞬で斬撃の幕を正面から叩き込むのだ。
「もぉみんなそんなに私が好きなんて照れちゃーー」
それを淫魔は、これまでの様に触手の盾で対処しようとし、
「なんでだろー」
その注目が、カムイに向く瞬間を狙った鈴音の、横合いから行く肉薄に反応が遅れた。
「その表情を思いっ切り歪ませたいのー!」
炎を纏った拳が、淫魔の頬にぶちこまれる。
「いっ、つぅー」
だが苦悶したのは鈴音の方だ。
足元から伸びる触手の一撃が、ねじ込む様に彼女の腹を凹ませる。
力を抜かれたように膝は折れ、地面に横たわる体はしかし、
「悪しきーーいや破廉恥なる者よ」
射線を開けるための行動だ。
「その穢らわしき体、我が破魔の力によりて滅びるがいい!」
鈴音の後ろ、構えていた天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)の神鏡から、目映い光が一直線にプレジールをぶちぬいた。
「あっっっつい!」
肉が焼け、浄化の力に消失を見せる。
堪らない、我慢ならない痛みに、プレジールは逃げた。
触手を喚び出し、自分を囲ませて、来た道への退路を考える。
「何故でしょうね」
だがそう思う彼女の耳に、音が届く。
何かを斬る様な、小気味のいい音だ。
「貴女はここで滅ぼさないといけない、そんな気がするのです」
声もだ。
聞こえてくる、自分に向けられる敵意と、強い殺意の気配。
カムイの、触手を斬り刻んででも追い縋る、圧倒的意欲だ。
「わかる」
そこに、音が加わる。
キィー、と、耳が痛くなるような、収束の音。
そして、
「きょにゅうだからだね、ぜつゆるだから」
「いえそれは違いますけれど」
意見の食い違いなどなんのその。
ただ殺す。その共通認識で放たれた夜姫のフルバーストが、カムイが開けた穴を通して淫魔にぶちこまれた。
「きゃあー!?」
焼ける。
羽根が、骨格に沿って張られた膜が、ボロボロに焦げ落ちていく。
「い、一時撤退……」
逃げなきゃ死ぬ。いや、死ぬのは怖くない。だが死んでしまうとこの時間が終わる。
享楽の刹那を、もう味わえなくなってしまう。
それは嫌だ、と。
快楽と堕落を愛する淫魔は思い、だから背を向け、
「いやいやー」
回り込んでいた鈴音を見た。
姿勢を落として、思い切り拳を引き、腰に溜めた姿勢だ。
「おねーさん、甘くないからねー?」
「ひえぇくるなぁー!?」
先程までの強キャラ感はもう無く、ヘタレた台詞で一歩を後ずさって、プレジールは拒絶の触手を放つ。
足元から、細目の触手を数十本だ。
近づけさせない目的で、手数を求めた結果だが、しかし。
「いいや、ダメだ」
薙ぎ払われる。
舞うように割り込んだ、百々の操る薙刀の一閃だ。
「悪いが我も、甘くない」
道が拓かれる。
そこを鈴音は渡り、至近距離まで詰めて、抉り込む様に拳をぶちこんだ。
「い、い、行きます……!」
攻撃は終わらない。
一度は腰の引けた奈七音だが、決意を新たにして鈴音に続いた。
「これも風紀の為、ええ、そうですとも!」
ロッドの先で鳩尾を打ち、顎へ跳ね上げて、振り回す様に石突き側で胴を叩く。
「なあ淫魔さん」
「ふきゃ」
打ち倒され、地面に手を着いたそれを、焔が拘束した。
腰を捻り、引っ張って、グルリと振り回し、
「今も、楽しいかい……!」
壁へと向けてぶん投げた。
「そんなの」
腕は動かない。
「そんなの……」
羽根は焼け落ちた。
「そんなの!」
だから尻尾で壁を打ち、威力を殺して、
「楽しいに決まってるじゃない!」
足で壁に着地した。
屈伸するように膝を曲げ、反動を着けて逆襲の一手を、
「なら、これも持っていって」
打つ直前に、イデアの魔法がプレジールを撃った。
高密度に圧縮された水の魔法だ。
「ついでにこれもです」
水流に押し出され、地面を転がるその姿を、琴は眼下にする。
いちごの出した触手に乗り、空中に翔んだ彼女は、
「オーバーキルハリセンボンです……!」
降り注ぐ矢を射ち出した。
「ま、まだ、まだもっと……わたし、遊びたい」
しかし、淫魔は滅んでいなかった。
這いつくばりながらも手を伸ばし、地面を擦って進んでいる。
顔を上げ、諦めない意思で前を見て、彼女は視界に赤い色を見た。
花弁だ。
「狐の沙汰は、下りました」
顔を回せば、自分の周囲にそれは満ちている。
「その心、その身体、抱いて蕩かす価値も無し、です」
そして、瞬間。
それは爆裂し、淫魔を圧し潰した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『集団ダンジョン清掃』
|
POW : 溜まったゴミを運んだり片付けたりする
SPD : 部屋や廊下に溜まった塵や埃を掃く
WIZ : 石鹸や洗剤を使って綺麗に磨く
|
戦いは終わった。
壁は崩れ、地面は抉れ、血とか火薬とか塗料とかその他諸々の汚れをその地に残して。
「うわきったね……」
誰かが呟いた。
これ、そのまま帰るの、やばくね?
と。
掃除、するよね?
【マスターより】
私事ではありますが、引っ越し作業等によりリプレイとしてお返しできません。
お返ししてしまったプレイングに関しては、再送していただければリプレイに出来ると思いますので、お気持ちに変わりなければいつでも。
月山・カムイ
……掃除、やりますか
一時のテンションとはいえ、盛り上がり過ぎましたねぇ……反省
とはいえ、アレが骸の海から出てきたら、また滅ぼしに行かないとですねぇ……二度と出てこないといいのですけど
愚痴りながら、こびりついた血や肉を洗い流している
……肉片から復活したりしたら怖いので、誰かこれ焼き払えません?
徹底的に痕跡を消去するように、ゴミ掃除をやっていく
後始末も大変なものですね、本当に
なんにしても、あの痴女というか変な女がダンジョンを踏破せずに済んで良かったです
……掃除が終わったら、シャワーでも浴びたいですねぇ
触手を切り払った時の返り血というか、返り液の匂いを気にしながら
そんな事を愚痴った
雨宮・いつき
あの淫魔に捕まっていた人が他にもいるかもですし、探しに向かいたいところですが…
いえ、無策に突っ込んでも自分が迷宮の餌食になるだけ
歯痒いですが、淫魔が連れてきたあの方を解放出来ただけでも、まずは良しとしましょう
あっ、あの方は安全な所まで連れていって休ませておきますね
さて、お掃除…つまりお清めですね
綺麗にして、残された邪気を払って、【破魔】の符を貼って新たな魔物が寄り付くのを防ぐ
そういう事なら豪快にいっちゃいましょうか!
龍神様をお呼びして、勢いを調整した水の息吹で汚れを綺麗さっぱり洗い流して貰いましょう!
…あ、なんか渋々って感じの顔してます!
いつもよりお供えの量増やしますから、機嫌直して下さい~!
「掃除、やりますか」
やらねばならない。
ただただその義務感と、ほんの少しの反省を織り混ぜて、カムイは掃除道具を片手に、
「はぁ……」
溜め息を吐いて肩を落とした。
……恨むべくは、一時のテンションに任せて盛り上がりすぎた自分、でしょうね。
思う。
自業自得という程では無いにしても、自分の行動への、そう、言わば責任という感じで。
「いえ、また出てきたなら、また滅ぼしに行きますけれど」
叶うなら二度と生まれ出事の無いよう願う。
壁にこびりついた肉片の様ななにかを、削る道具で端から削ぎ、落として、洗剤を染み込ませた布で拭いていく。
「……」
この肉片まさか再生して復活しないだろうな。
そんな嫌過ぎる想像が頭を過り、辟易としていた顔にシワが寄る。
「考えすぎですかね」
本来なら今ごろ、あの痴女とも言うべき存在が、ダンジョンを踏破して地上へ出なかったことを喜ぶべきなのだ。
微妙にスッキリしないのは、何故だろう。
「……これ誰か焼き払えないですかね、念のため」
と、そんな事を呟いたカムイの後ろ。
「豪快に行っちゃいましょう!」
聞こえてきた返事の様な声と、全く関係ない轟音がして、振り返った彼の前には。
「え」
白波を立てる水流があった。
●
掃除に向かういつきは張り切っていた。
いや、正確に言うなら張り切っているわけではない。ただ、掃除という勤めに向かう事で、自分の逸る気持ちを誤魔化そうとしていた。
「無策でダンジョンに突っ込んでも、今度は僕が餌食になるだけです」
淫魔、プレジールが連れていた、一般人らしき下僕。
戦闘前に奥深くへ吹き飛ばされ、今はどうなっているのかわからない。
いや、そもそも、下僕とされたのがそれだけではないかもしれない。
本音としては、今すぐ探索に向かいたいところだと、いつきは思う。
だが、理性がそれを制止するのだ。
戦闘の疲労もあるし、ダンジョンの入り組んだマップは一朝一夕でどうなる事でもない。
故に。
「お掃除、お清め……ええ、魔が近づかない様にしましょう!」
ぱん、と拍手を一つ。
喚び出した九頭を持つ竜の力、水の力でさっぱり洗い流す。
「……あの、そんな渋い顔は……あ、お供え増やしちゃいますよ! ね?」
こんなことに喚ぶなと言いたげな九つの顔にご機嫌取りして、放った水流は強くはないが、隅々まで行き渡る様に広がって、
「え」
そうして、掃除に勤しむカムイの顔に直撃した。
「あ」
なんとも言えない沈黙があった。
「……これが終わったら、暖かいシャワーを浴びよう……」
手で顔を拭い、張り付いた髪を掻き上げて。
水では落ちない、体に染み付いた返り血の臭いと色を見て、カムイは視線を遠くして呟いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
橘・焔
○心情
…まぁ、これも我々の仕事の範疇、ですかねぇ?
『立つ鳥跡を濁さず』とも言いますし、いっちょやったりますか
【POW】
「本来こういう使い方は邪道だけど、ちょっと力を貸しておくれー…っと」
瞳を閉じ、精神を集中して体の奥から魔力を溢れさせるイメージを描く
全身から漏れ出た魔力に惹きつけられた見えない精霊達に依頼してそこら中に飛び散った壁の破片の回収や抉れた地面の補修を行う
「んー、全自動お掃除システム、快適だ~♪」
仕事に任せてサボろうとすると、そうは問屋が卸さないとばかりに精霊達からお叱りを受ける事に…
「…あたッ、ちょっと何?…ぇ、サボるな?!一応私が雇い主なんですけどー」
結局掃除させられるワケで…
メーティオル・スター
うわー、また派手にやったよね…。
将来学生さん達が使うかもだし、綺麗にしないとダメか。
POWで判定。
床とか壁だった瓦礫とか、淫魔だったものとか。
片付けてゴミに出さないと、迷宮の復旧なんてできないし。
まずはゴミをまとめないとだけど、
瓦礫はともかくスライムの残骸なんて素手で触ったらひどいことになりそう。
手袋とか、保護具はちゃんと着けないとね。
ゴミをまとめたら、バイクに積んで地上に運んで…
学園の方で回収してくれるのかな?
ま、まあ。とりあえず引き渡して、いい感じに処分してもらおう。
投げるともいうけど。
最後に、まさかと思うけどゴミ処分の手数料とか取られないよね?
今月もピンチだし、死活問題なんだよね…。
イデア・アイオンハート
○心境
同依頼に参加された方々と協力し初戦を無事終え安心したのも束の間、流石にこのまま放置は不味いよなぁと。
「何か研究資料出てくるかもしれないし、一応やっておこうか。」
○行動:POW
『野生の勘』を使いながら瓦礫やゴミを探し拾い一ヶ所に運び固める。
流石に掃除技能やそういった類いの魔法は持ち合わせてない為地道に。
掃除中何か持って帰ってきて欲しい物の連絡が有れば探して回収、とはいえ物によってはおれが持つのは何か変だが。
掃除しながら「信者の対応、要るかな……?」と思いつつ初戦の感触に少しだけ自信を持てた気がした。
●
「……まあ、これも仕事の範疇、ですかねぇ……」
溜め息を一つ吐いて、焔は重い腰を上げた。
うん、汚い。
目に見える範囲のどこを見ても、汚れが目立っている。
その大多数が自分達の仕業であるなら、まあ。
「立つ鳥跡を濁さず、という感じで……いっちょ、やったりますか!」
気合いを入れて、しかし焔は目を閉じる。
魔力を全身に充足させて、外側へ漏れ出していくイメージを描き、
「うん、よろしくね」
惹かれて近付いてきた妖精達へ委ねる。
報酬は、その純度を上げた魔力だ。
そうしていると、見る間に状況は改善されていく。
瓦礫は一ヶ所に固められ、汚れは丁寧に拭き取られて、焔はそこらへんの出っ張りに腰かける。
「んー全自動お掃除システム、楽チン楽チあいだぁ!」
足を組んで、休憩モードの焔を、頭を押すようにして妖精が突き落とした。
「え、なに、働けって……いや雇い主は私でーーわかったわかったから痛い痛い!」
怠惰を許さない妖精だった。
●
「よいしょ、と」
水とか妖精とか、摩訶不思議に掃除を進める猟兵とは違って、イデアの手札に最適な物はない。
だから彼は、地道に、一つずつを拾い上げ、片付けやすい所へ運ぶ。
「ふぅ……」
吐き出した息は、掃除の疲れからではない。
「なんとか、うまく出来た……かな」
初戦を無事こなせた安心感と、手応えによるものだ。
現場で会ったばかりの猟兵と、協力する動きもそれなりに上手く出来たと思う。
「……あ」
手を動かしながら、頭の中で一からを思い返し、ふと。
「そういえばあの信者……どうなっただろう」
戦いに入る前に居た気がする。
その後奥へと消え去ってしまって、行方を知ることはない。
……追うべきか、探すべきか。どうなのだろう、と。
考えるが、実行に移せるだけの力を持たないことは初めから理解している。
だから。
「……よい、しょ」
一際大きな瓦礫を、両手で抱えるように持ち上げた。
歩幅を狭く、転ばないようにして、集める場所に下ろす。
「今は、出来ることをしないと」
●
「うーんまあ、派手にやっちゃったよね」
苦笑いをしながら頬を指で掻き、惨状をメーティオルはそう表す。
足元は散らかって危ないし、汚れは時間と共に悪臭を放つことだろうと、容易に想像が付く。
「将来、学生さん達が使うかもだし、綺麗にしないとダメかぁ……」
ダメです。
「よし」
長く分厚いゴム手袋で腕を覆い、酸性だったスライムの残骸をポイッとバケツに溜め込んで処理。
他の猟兵が纏めていった瓦礫は、自身の愛機に乗せて地上へ運ぶ準備を済ませる。
「これ、回収は学園がしてくれるのかな……?」
元オブリビオンの残骸とはいえ今はただのゴミ。
その処理というか処分というか、そういう作業は、どの世界でも忌避される一つだろうと思う。
ジャンク屋のメーティオルからしたらそこら辺、事情はよくわかっていて。
「まさか手数料とか、取られたり、しないよね……?」
それは困る、お財布事情的なあれそれとしては、とても困るのだ。
「……なんとか、こう、いい感じに処分してくれる、よね、うん」
それはもう、お祈りだった。
大成功
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柚々・奈七音
よしっ、痴女を撃退しました。これで風紀と秩序は守られました!
あとはお掃除、ですね。お任せ下さいっ。
力仕事はお任せ下さい。【怪力】でなんでも運んじゃいますね。
壁の修理とか瓦礫の除去とか、どうぞ仰ってください。頑張ります!
脅威を排除するためとはいえ学園を壊したままでは帰れませんよね。
しっかり綺麗にして、学園の皆さんにお返ししましょう。
●
強い充足感を得て、奈七音は作業に当たっていた。
砕け落ちた瓦礫を抱えて、他の猟兵が集めている場所へ運ぶ。
その後の移送は任せてしまえばいいようなので、彼女はただくたに運搬へ集中できた。
後は、そのぽっかり空いた壁の場所を埋める為、用意された補修材をペタペタと塗りたくって平らに直していく。
「ふふ」
漏れる笑みは、先の充足感によるもので。
「これであの痴女も撃退出来ました、ええ、風紀と秩序の勝利ですね」
全ては守られました!
と、その思いで一杯だ。
小柄な体躯のどこに力を秘めていたのか、大きな瓦礫を持つ動きに淀みは無く、誰より活動的に作業へと励んでいた。
「脅威を排除するためだったとはいえ、壊したままでは帰れませんからね……!」
責任感もあったのだろう。
自分に出来る事はなんでもやる。
そういう姿勢で、奈七音の活動は続いた。
しっかりと片付け、学園の皆が出だしから躓かない様に、綺麗にして返すために。
大成功
🔵🔵🔵