6
女騎士、その適性を見極めろ!

#エンドブレイカー! #戦後


●特技は騎士道とありますが
「よくぞ来た。今年も志ある者が集ってくれたことを嬉しく思う」
 ここは山斬烈槍ランスブルグ。騎士と紋章のこの都市国家には複数の騎士団が属しており、今その一つが今年度の入団試験を執り行おうとしていた。
「だが、意志だけでは何も成すことは出来ない。かつての戦いを知る者もいるだろう。あの戦いを見た者もいるだろう。その時災禍を退けたのは、紛れもなく力である」
 力強く言う巨躯の女。鍛えた分厚い筋肉に圧倒的に豊満な脂肪を乗せた重量級の体にごくわずかな金属片超高露出ビキニアーマーを付けたその体は、二月の寒空にも鳥肌一つ立てる様子はない。
「私もかつてはその力の象徴の末席にあった。しかし今、それを担う者は別にいる」
 この世界でそれが何を意味するか。『エンドブレイカーの戦い』の舞台となったこの地で騎士を志すならば分からぬ者はいまい。
「此度、その者たちを試験のために招聘した。紅華を志す者よ。彼らが課す試験を超え、花を咲かせてほしい」
 凛々しき言葉と共に力強くそびえる厚肉。その姿に、前に居並ぶ入団志望者高露出衣装の女たちはそれぞれの身と心を改めて燃やすのであった。

 そしてその頃、都市国家の外では。
「重なりし敗北。この身も最早寄る辺なき残滓。我に残りしは騎士という肩書のみ。なれば、所縁なき騎士の国よ。この老輩が要らぬ世話を焼いてやろう」
 自嘲気味に呟く重厚な鎧の男が、ランスブルグ目指して歩を進めていた。

●運が良かったな、猟兵が足りているようだ
「こんにちは、エンドブレイカーで依頼です……」
 アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)がぺこりと頭を下げる。
「都市国家の一つ、山斬烈槍ランスブルグである騎士団が入団試験を行うことになりました。で、そこの団長からの依頼で、今回は猟兵に試験官をして欲しいとのことです」
 エンドブレイカーの戦いでも戦場となった、その名の通り槍を頂く都市国家。そこにある騎士団の一つの団長は元エンドブレイカーであり、同じくエンドブレイカーの半身を持つアレクサンドラサンディとも縁ある存在であったため依頼が回ってきたという。
「ただその前に、都市の外である敵と戦っていただきます。『戒律騎士スフィクス』という頭部が三つある鎧姿の男性で、かつてはエルフヘイムを数百年に及ぶ計画で裏から支配した強大なマスカレイドです」
 エルフヘイムに対立と死を呼ぶ『戒律』を布き、それを守らせることでエルフヘイムを裏から支配しつつ『棘』の苗床とした者。
 だが彼はエンドブレイカーに敗れ、それももう15年近く前の事。若き世代ともなれば、この地の生まれですらその話を全く知らぬという者もいよう。
「彼は本来全く縁のないランスブルグの近くで蘇り、ここが騎士の国であることを思い出して一方的に騎士の『稽古』を付けに行くつもりの様です……」
 無論、それはただの虐殺に適当な名を付けただけである。二度目の大戦エンドブレイカーの戦いさえ終わり、それでもなおエリクシルの影響か蘇った己を過去の残滓と自覚してはいる。だが己に成せることは悪逆しかない。それは時代に取り残されてしまった遺物の悲しき在り様か。
「ですので、彼をランスブルグに入る前に倒してください。突破さえされなければ、町への影響は気にしなくていいです」
 都市国家の住人は、特別なことがなければ街の外に出ることはない。また敵もランスブルグを攻めるのも思いつきでやろうとしているだけに過ぎないので、猟兵がそれ以上に相手取る価値があると見れば街への侵攻を止めるだろう。さらには入り口部分は件の騎士団が人を出して固めてくれるという。
「敵は巨大な盾と鎌による魔法を交えた攻撃の他、三つの頭と分身を使った敵の分析調査から来る必殺処刑を得意としています」
 かつては多数のエンドブレイカーを相手取った実力者。その時から大幅に弱体化してはいるものの、その実力はボスとしても上級のものだという。

「彼を倒せば、街へ戻って試験監督のお手伝いです。『紅華こうか騎士団』という騎士団で、元エンドブレイカーのエルフの女性が団長を務めています」
 創立からちょうど10年の騎士団だが、一貫して彼女が団長を務めているという。
「特徴としては、まず女性だけの騎士団で、能力としては魔法戦士型の人が多いです。あと、団員の服装が……やたら露出が高いです……」
 ビキニアーマーを始め、水着や下着、ハイレグなど極めて露出の高い衣装が多い。これは団の決まりというより、件の団長が元々そういう格好をしていたため、それがそのまま定着してしまったらしい。
「戦闘力はもちろん、戦闘中の対応力や精神力、知識なども試されます。直接戦ったり攻撃の受け役になる、あるいは何かしら課題を用意してぶつけるなど、思うように試験を与えてください」
 詳細な試験内容は猟兵に一任されている。それぞれのやり方で、受験者が騎士に相応しいか見極めて欲しいということだ。
 また『そういう』女騎士要素も外見上あるが……まあそういう目を向けられることに耐えられるかどうかも試してもいいかもしれない。ただし笑って住む程度でだろうが。
「ちなみに、受験者の一人に以前私の依頼にかかった人もいますが……別に忖度はいりません。公平に試してください」
 猟兵と知己だからと言ってそれを有利に使えるものではない。団長からも『遠慮なく』と言われているようだ。

「今は特に寒さが厳しい時期ですが、ここを超えれば春が来ます。その時新しい花を咲かせることができるか否か……どうぞ皆さんで見極めてください」
 アレクサンドラはそう言って、ランスブルグへと猟兵を送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。今回はエンドブレイカーで騎士団入団試験のお手伝いです。

 第一章では『戒律騎士スフィクス』とのボス戦。彼はランスブルグの騎士団に稽古(という名の虐殺)するべく街を目指しています。かつてはエルフヘイム編の大ボスも務めるほど強大なマスカレイドでしたが、今は強めのボス級程度の実力に落ち着いています。かつてのような大きな野望はもうありませんが、話して分かってくれる相手でもありません。

 第二章では『紅華騎士団』の入団試験を手伝ってください。受験者が体力、技術、その他騎士団に相応しいかを思い思いの手段で試してください。題名は城塞騎士となっていますが、他種の騎士やそれに準ずるジョブの受験者も多数います。ライト描写程度で済むならそういう『女騎士』の適性を試すのもあり。
 受験者の一人にエアトベーレという猟兵と面識のある女性(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=59098 読む必要はなし)がいますが、必ずしも彼女の試験を受け持つ必要はありませんし、受け持つ場合でも手加減は不要です。
 団員は女性ばかりですが、参加者が男性でも試験官となる分には問題ありません。補助試験官として団員を使うのもOKです。

 以下騎士団の紹介。
『紅華騎士団』
 今年結成十年を迎える騎士団。紋章術を始めとする魔法と武器術を合わせた力を持つ女性で構成されている。日々の研鑽と必要あらば実戦に赴くことを旨とし、対モンスターなどで街の外の動乱にも派兵されることもある。
 団長はこれ(http://t-walker.jp/illust/product/tw_c/228/f_c22871_pdt_1.jpg)をベースに身長、体重、肉付きを騎士業務と鍛錬で大幅にに強化したエルフ女性。つまりそういうこと作者の旧PC

 それでは、プレイングをお待ちしています。
136




第1章 ボス戦 『戒律騎士スフィクス』

POW   :    シールドコンボ
【盾を構えての突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【盾表面からのビーム】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    葬送乱舞
【大鎌を用いた乱舞攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    スフィクスの血統
自身の分身を1体召喚する。分身は自身より【調査能力】に優れ、【処刑能力】に劣る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

 山斬烈槍ランスブルグ。その名の通り巨大なランスをシンボルとする都市国家に、一人の鎧姿の男が歩を進めていた。
「『戒律』は消えた。『スフィクス』も絶えた。我に残るのはもう『騎士』のみよ」
 その男の名は『戒律騎士スフィクス』。彼はかつて永遠の森エルフヘイムを裏から支配し、己の名を『長老』とすることで死の戒律を布いた。
 しかし、それももう過去の話。二種のエルフは手を取り合い、混血は目を覚まし、妖精騎士は仮面から解放された。そしてそれを成した者さえも過去の光となり、今この地では新たな英雄がその名をとどろかせている。
 それが呼ぶように訪れた乾坤一擲の機も、己にはせいぜい凡将としての役回りしか与えられず、そしてあの密告者ともども敗戦に終わった。
 この世界で自分の役目はもうない。それなのに、自分はこうして蘇らされ無いはずの生き恥を曝している。
「我のような災厄を知らぬ時代の騎士が腑抜けていないか、一つこの老体が試してやろう」
 心にもないことを言いながら騎士の国へ向かうスフィクス。
 やがて遠くに見える都市の入口。三つの頭で目を凝らせば、肌も露な女たちが武器を持ってそこを固めている。そしてただの門番にしては異様に殺気立っているその女たちが武器を下げた時、その間からまるで知らぬ様相の者たちが現れるのも見えた。
「そうか、そうだったな。彼奴らと同じ……いや、より精度の高い力があっておかしくはない」
 その姿を見て、男は巨大な鎌と盾をゆっくりと構える。
「控えよ若輩。我はスフィクス家長老、戒律騎士スフィクスなるぞ」
 既に実なき名を堂々と唱えるスフィクス。
 さあ、今の時代の英湯たちよ。今を守り未来を見定めるため、この過去の残り火を消し去るのだ!
シュプリムント・メーベルナッハ
ランスブルグに来るのも久しぶりだねー。
色々見て回りたくもあるけど、まずは邪魔なヒトをやっつけなきゃね?

ってワケで長老さんを迎撃。
プリムは直接戦ったコトはないけど、密告者ウリディムマを復活させようとしてたって話は聞いてるよ。
あの怪物さんももう滅びたんだし、あなたも大人しく滅びちゃいなよ?

呪蛇鎌を振るって黒旋風発動、敵と交戦してくよ。
敵は鎧に大きな盾を持ってて防御力が高いから、最初はなかなか攻撃が通らないと思うけど、焦らず攻めてく。
そのうち【呪詛】の風で装甲が劣化していく筈だから、そこを削っていくよ。
呪詛の風には闇を纏わす力(【闇に紛れる】)も付与して、分身さんの調査を阻害しつつ攻めるね。



 厳戒態勢の敷かれたランスブルグの出入り口の一つ。そこから堂々と出て来た女が、来た道を振り返りながら呟いた。
「ランスブルグに来るのも久しぶりだねー。色々見て回りたくもあるけど、まずは邪魔なヒトをやっつけなきゃね?」
 シュプリムント・メーベルナッハ(穢死檻の巫女・f38888)はこの世界にある霊峰天舞アマツカグラの出身、そして各都市国家を渡り歩いたエンドブレイカーでもあった。その服装は巨大な胸の形も露なハイレグスーツにそれを隠さぬよう羽織った着物と、彼女の後ろで門を固める女騎士たちに負けぬ扇情的なもの。
 そしてその格好だただの媚態ではないのもまた、騎士たちと同じであった。
「プリムは直接戦ったコトはないけど、密告者ウリディムマを復活させようとしてたって話は聞いてるよ。あの怪物さんももう滅びたんだし、あなたも大人しく滅びちゃいなよ?」
 迫る鎧の男の前に立ち、彼の過去の計画とその失敗を指摘して見せる。それだけで、その男『戒律騎士スフィクス』は相手が如何なるものかを察した。
「その話を知るか。昔語りに聞いただけで我を侮っている……というわけではなさそうだ」
 巨大な鎌をプリムへと向けるスフィクス。
「我には滅びすら許されぬ。終焉を破壊する者よ、その力は我を終焉に至らせるに能うか!」
 その鎌を正面に構えるとその鎧姿がぶれ、さらにそれは実体を持って動きだした。
「汝にカシアスの名を与えよう。彼の者の罪科弱点を見定めよ」
 分身は命じられるままに、三つの頭で目を光らせプリムを睥睨する。その視線に身を曝し、プリムは相手の向こうを張るように自らの呪蛇鎌「オークツィナーハ」を掲げた。
「ズタズタのボロボロになっちゃえ……♪」
 その鎌の軌跡に黒き風が巻き起こり、それがプリムを包む。この技の名は【黒旋風】。この世界に置いて大鎌を持った者が最初に修める基本の技だ。
「その技で我を討てると思うか!」
 スフィクス本体が一歩前に出て、その風を突き破らんばかりに大盾を突き出す。それは黒き風とぶつかり合い、まるで斬撃そのものを受け止めるかのごとき金属音を鳴らした。
 その風に紛れてプリムは斬撃を放つ。だがそれはやはり分厚い盾に阻まれ、敵の体を刻むには至らない。
「エリクシルを一度は駆逐した者……この程度か!」
 スフィクスは失望した、とでも言いたげに盾を突き出す。鎌ではそれを止めきることは出来ずプリムは一歩引くが、それでも鎌を振るい盾に引っかくように傷を入れるのは忘れなかった。
 その後も黒き風の中でプリムは刃を振るう。それは一度として敵の肉を裂くことこそなかったが、しかし決して途絶えることなく堅実にスフィクスの鎧を削り続けていた。
 まるで泥仕合の如き展開。そこにスフィクスの怒号が飛ぶ。
「……遅い!」
 しかしそれはプリムにではなく、己が分身へのものであった。処刑が為の観察調査を任せたはずのそれからは、未だに望む報せは齎されていなかった。
 この分身は戦闘力こそ劣るものの、己以上の慧眼を持つはず。それが何故鎧一つ抜けぬ者を見透かせぬのか。
 その疑問は、しかし体に走った痛みで遮られた。
「ぐ……!?」
 頭の一つを下げ、体を見る。そこは体に届くほど深く切り裂かれた鎧があった。
「昔のままなんて一言も言ってないよ……♥」
 プリムが纏う黒き旋風シュヴァルツ・ヴィルヴェル。その風は纏う者への力と守り、そしてそれに向かう者への腐食を齎す効果があった。今や猟兵であるプリムの起こすこの風は能力アビリティに非ず。異能ユーベルコードなのだ。
 焦ることなき持久戦のうちに、風は闇となり、観察への守りとなった。そして敵の盾と鎧は腐り、それは最早守るに能わず。
「分身さんも長老おじいさんも……まとめて天国へご案内だよ」
 そしてこれはかつてより。鎌の起こす衝撃はスフィクスと分身を纏めて薙ぐ一撃プラスワンとなり、柔き鎧を貫いてその身を切り裂いた。
「知らぬ……これは……!」
 役を果たせなかった分身はそのまま両断されて消え、そして元より今に役なしの騎士は三つの首を垂れてその場に膝をつくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

もしかしてさ、ここに来るまでに「試してやる」って言ってたりする?
だとしたら、それはこっちの台詞だよ♪
嘗てエルフヘイムの人々を苦しめたエリクシルの力、クローネちゃん達に見せてもらおうか★

UCは『ワタシのソロモンの悪魔変身』
ソロモンの悪魔形態に変身するよ♪
物理攻撃無効状態になって大鎌の攻撃を無効化して、一方的に攻めていくね♪
攻撃は【電撃】魔法とドスソードによる【切断】で行うよ♪

悪いけど、早々に倒れてもらうよ♪
この後かわいこちゃん達を相手する予定があるんだからね!



 戒律騎士スフィクスはランスブルグへ向かう道すがら、誰に聞かせるでもなく独り言を呟いていた。
 その内容はグリモアによって拾われてしまったわけだが、依頼前にそれを聞いていたクローネ・マックローネ
ダークネスデウスエクスを従える者・f05148)はその中の一言を思い出す。
「もしかしてさ、ここに来るまでに「試してやる」って言ってたりする?」
 確かにスフィクスは騎士たちを『試す』という名目の元ランスブルグでの虐殺行為を行おうとしていた。そして彼もそれを隠す気は一切ない。
「ああ、そう言えば言った気もするな。どの口で言ったかまでは覚えていないがな」
 元より思い付きの方便なのだ。知られようが否定されようが何の感慨もないと言った風にスフィクスは答えた。
「だとしたら、それはこっちの台詞だよ♪」
 だが、相手が意味を込めぬならこちらから入れてやると言わんばかりにクローネも言う。
「嘗てエルフヘイムの人々を苦しめたエリクシルの力、クローネちゃん達に見せてもらおうか★」
 たとえ今は過去の話であっても、彼が無数の英雄を相手取り一つの国を滅ぼしかけたのは紛れもない事実。その力を『試してやる』と言わんばかりに、クローネは異界の異形の力を解放した。
「クルクルクログロクローネちゃん♪ビリビリパワーの悪魔ちゃんになぁ~れ★」
 クローネの体が変化し、トランプのスートが刻まれた悪魔の如きものへと変わる。それは威圧的な甲冑を纏うスフィクスとはまた別の恐ろしさを持つ姿であった。
「魔獣戦士、いやデモニスタか……?」
 異形化の力を持つ職業ジョブの名を並べ相手の能力を推測しようとするスフィクス。だがどうあれ、その結論は鎌を構えること。
「まあ良い。如何な存在であれ、斬れば死ぬ。それは不変の真理よ」
 その鎌を振るいながら、スフィクスは大きく踏み込んだ。
 その巨体を俊敏に動かし、大鎌を小枝のように軽々振るって斬撃の嵐を起こすスフィクス。その猛攻を、クローネは避けるどころか身を固めることすらせず待ち受けた。
 大鎌が袈裟、逆袈裟と体を薙ぎ、首を刈り、心臓に突き立つ。一撃で死が約束されるような凶刃が乱舞となってクローネを何度も切り裂いた。
 だが、それを受けたクローネは傷の一つすらない。
「わあ、すっごい攻撃♪無効じゃなかったら危なかった♪」
 その斬撃を無いかのように通り抜け、クローネはドスソードをスフィクスの鎧に突き立てた。
「盾効果ですらない、如何な種か……!」
 【ワタシのソロモンの悪魔変身】で変わったクローネの体は物理攻撃を一切受け付けない。ただ発動するだけで物理無効という反則級の特性を得てしまえる、これがユーベルコードの自由さであり恐ろしさでもある。
 しかし、スフィクスは決してただ力を振り回すだけの蛮人ではない。
「試す、と言ったな。なれば数百年に渡る我が策謀、それが破れて15年の恨み辛み、見定めてみよ!」
 スフィクスの鎌に薄緑のオーラが宿る。それは鎌の刃に二つ目の刃となるかのごとく取り付き、クローネの体を薙いだ。
「あ、ちょっとマズいかも♪」
 これは棒立ちで受けていいものではない。直感がそう告げた瞬間、本来のタールの体を活かし骨がなくなったかのようにその場に潰れて伏せるクローネ。その体の上を鎌が掠めていくが、それが削り取った傷口からは黒い体液ブラックタールの血がとめどなく流れ出した。
 クローネが知っているか定かではないが、スフィクスの使う【葬送乱舞】は大鎌の中では中堅の技であり、その中でこの止血できぬ呪詛の刃はどちらかというと『はずれ』に属する効果であった。しかしそれはダークネスデウスエクスにはない仮面マスカレイドの技でもあった。
 そして三つの首が口々に呪言を呟く。それは負の力となって甲冑の体に籠り、その力を最大以上に引き出す何かとなっているのが見て取れた。
 しかし、クローネは見切った。この力、爆発した時は恐ろしいがあまりにも時間がかかりすぎる。これならばひたすらに鎌を振り回した方が最終的な効率はいい。
 その為の隙を逃さず、再び一方的に詰め寄ってドスソードを鎧に突き立てた。
「悪いけど、早々に倒れてもらうよ♪この後かわいこちゃん達を相手する予定があるんだからね!」
 老人のおせっかいなど必要ない。若き女騎士候補たちとぶつかり合うのは今を生き、戦う我らだと、クローネはドスソードをそのまま鎧に滑らせる。
「いかにもファンタジーな鉄鎧……こういう理屈はお約束かな★」
 そこから雷鳴電撃の魔法が迸り、通電物質の塊である鎧を通過してスフィクスを焼く。
「ぐおおおおおおお!」
 巨体を痙攣させ仰け反るスフィクス。『試し』の結果地に膝をつくという己が為そうとしたことをそのまま返された形を持って、エリクシルの残滓と成り果てた巨悪の今の姿をクローネの前に曝したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍(サポート)
生まれも育ちもサクラミラージュ。誰かの願いで転生した元影朧。そのため影朧には同情しがち。
それなりの良家の出で言葉遣いは丁寧。だが両親とは違う種族で生まれたのを悩み高等部(高校短大相当)卒業を機に家を出ている。現在は帝都で占い師。

もふもふ大好き。
実家ではいろいろ我慢してたのもあって、飼えなくとも一人暮らし&猟兵となったことで爆発しがち。
猟兵になっていろいろ経験し悩みを乗り越えた。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭いません。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は絶対にしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 己が野望の為の隠れ蓑とはいえ、スフィクスは己が名を冠したスフィクス家をエルフヘイムで処刑をつかさどる一族とし、畏怖を集める名家に仕立て上げた。
 今それに相対する夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)もサクラミラージュの良家の出身。だがその家からは離れ、今は占い師をやっている。
 とは言えお互い相手の事情を知る由もない。ただ敵が現れたとして、スフィクスは大鎌を片手で高く持ち上げ、藍は自らの刀に手をかけた。
「死ぬがよい!」
 スフィクスはそのまま鎌を高速で振り回し周囲全てをなぎ払う斬撃を繰り出す。それはスフィクスの巨体と鎌の長さが相まって、凄まじい攻撃範囲を持つ。
 刀に手をかけたままで藍は一歩飛び退ってそれを躱すが、振るえば振るう程に鎌の精彩は増していき振り回す速度も目で追うことすら困難になっていく。
 その攻撃の嵐が再度自分を飲み込もうとしている所で、藍はじっと集中。全神経を敵の攻撃に向け、肌や感覚までもを動員して鎌の軌道を全身で把握することに努めた。
 そして再び、刃の奔流の中に藍の体が収まった。
「!」
 その刹那、胴を輪切りにする位置に来た鎌に防御用のオーラが当たる。それを切り裂いてくる刃を勢いのまま鞘で受け流しつつ前進、瞬時に懐まで切り込んで、自らの太刀を抜きはなった。
「ぐ……!」
 そのまま敵後方まで駆け抜けていく藍。その後ろで、スフィクスの鎌の乱舞は止まっていた。
 そしてスフィクスの巨体がゆっくりと頽れる。【瞬】の居合がその鎧を切り裂き、スフィクスの体を一閃していた。
 そのまま刀を納め、藍はその場から去る。
「……もふもふ、してませんし」
 ほんの少しだけ、私情を呟きながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
厄介な相手の様ですが、何とかしてみますねぇ。

多少は『女騎士』の方々やその『候補者』の参考になる様、近接戦でお相手しましょう。
『FLS』により『FPS』『FIS』を召喚、『FAS』の障壁と『FMS』のバリアで守りを固めまして。
『刀』を『脇構え』に構え、【廽釯】を発動しますねぇ。
【シールドコンボ】は近接突撃、『FPS』で時機を計り斬撃動作に入れば、『動作中無敵化』の効果で『突撃』『ビーム』の双方を無効化し、双方の高い威力と『万象切断』による盾や鎧の[切断]を乗せた[カウンター]の斬撃が可能ですぅ。
後は『FIS』の転移による回避を織り交ぜつつ『後の先』主体で切り結びますねぇ。



 それがもう一世代前の話とは言え、スフィクスはエルフヘイムの戦いで大ボスとして君臨した。例え力はその時より落ちていたとしても、数百年に渡る策謀を巡らせた狡猾さと邪悪さは本物である。
「厄介な相手の様ですが、何とかしてみますねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は相手を強敵と見て、武装を並べる。
「後ろの者共を守る気か。殊勝な心掛けではあるが、それに甘えるとは騎士としては如何なものかな」
 戦闘中もスフィクスは少しずつ前進し、既に門とそこを固める女騎士たちが十分に見える場所に来ていた。
 それに対し、るこるは刀を脇構えにして答える。
「多少は『女騎士』の方々やその『候補者』の参考になる様、近接戦でお相手しましょう」
 相手が戯れ程度に言った騎士への稽古。それに付き合ってやると言わんばかりの姿勢に、スフィクスも盾を構えた。
「我を相手にそのような余裕があると。その慢心が既に騎士として失格よ」
 そのまま盾を突き出し大きく踏み込む。巨大な鉄塊がそのままぶつかってくるその勢いを、るこるは微動だにせず待ち受けた。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『武産の加護』をお与え下さいませ」
 そのまま【豊乳女神の加護・廽釯】を発動。その瞬間、巨大な盾がるこるの体にぶち当たった。
「終わりと思うな……確実に処刑する」
 そのまま押し当てた盾が淡く光る。それはそのまま盾の大きさの巨大ビームとして発射され、るこるの全身を飲み込んだ。
 それはまさに相手を死に追いやる必殺の威力。その光が止んだとき、そこには骸が転がるのみ。
 しかし、その光の跡を別の光が薙いだ。
「ぬうっ!?」
 それはるこるが構えた刀。合わせての斬撃で敵の攻撃をいなしつつ、その威力まで乗せた装甲破壊の一撃。この瞬間を貰うために、るこるは敵の攻撃を受けたのだ。
 その刃は巨大な装甲を両断し、さらには分厚い鎧さえ抜いてスフィクス自身をも斬る。
「やる……」
 言葉少なにそう言って、スフィクスは前に崩れる。
「だが……」
 垂れた手、その手にはまだ鎌が残っていた。
「必殺を入れた時、その時が最も警戒すべき時よ!」
 その鎌が、超高速で跳ね上がった。次の斬撃に移る間もない一撃。るこるはとっさに短距離転移でそれを外すが、その後には一房の髪が宙を舞っていた。
「良かろう。ここよりアビリティはなしだ。我が処刑の刃が首を刎ねるが先か、その刀が我が三つ首飛ばすが先か……若き騎士よ、刮目せよ」
 スフィクスは残る大鎌を振るい、るこるの首を狙う。それに対し斬撃で受け手は返す後の先主体の戦法でるこるは立ち向かうが、スフィクスはその一撃を受けることを前提にさらなる後隙を狙う。
 相手の手を見ての返し合い。その戦いはやがてスフィクスが首を垂れその一つが宙を舞うことで決着を見る。
 壮絶なその決着を、門の前で女騎士たちは確と見届けたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マウザー・ハイネン
ランスブルグ…騎士の入団試験とは、とても懐かしい。
彼女達に処刑を司っていたスフィクス家の稽古など不要。
悪しき過去の亡霊は速やかに打ち倒し、憂いなく入団試験に臨めるようしませんと。
(…しかし入団志望者の方々の格好、少々防御力に難があるのでは?)

戒律騎士を迎え撃ちます。
UC起動、星霊ヒュプノスの力を宿した氷の突撃槍を召喚し大鎌の乱舞攻撃に対抗。
振り回される刃の軌道を見切り内側に飛び込み威力を殺しつつ氷槍の側面で滑らせるように受け流して直撃を回避。
そのまま流れるように刺突で頭部を狙い宿した眠りの力で意識を刈り取りましょう。
貴方の戒律は最早不要なのですから、速やかに去って下さいませ。

※アドリブ等お任せ



 かつてエンドブレイカーがこの世界の英雄であった時、彼らは幾度となく拠点とする都市国家を変えて大移動を繰り返していた。
「ランスブルグ……騎士の入団試験とは、とても懐かしい」
 その経歴を持つマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)も例外なく、ランスブルグやエルフヘイムを含めたいくつもの都市国家へ訪れ、そこで行われる様々な依頼、行事に参加したことがあった。
「彼女達に処刑を司っていたスフィクス家の稽古など不要。悪しき過去の亡霊は速やかに打ち倒し、憂いなく入団試験に臨めるようしませんと」
 それ故、多くの都市国家の苦難や悲劇、そしてそれを打ち砕いた歴史を当事者としてその身で知っている。あの過去の残り物などどの都市国家にも必要ない。マウザーは未来へ進もうとする者たちのため、終焉の残滓を打ち砕くべくその前に立ちふさがった。
 と、それはそれとして思うところがもう一つ。
(……しかし入団志望者の方々の格好、少々防御力に難があるのでは?)
 門を固める騎士たちや、ここに来る前少し見た希望者たち。そして彼女らを束ねる団長など、誰もがとにかく肌面積が多い。機動力を確保するため最低限急所を保護するのみというのは実戦でもよくあることだが、それでは説明突かないほどに彼女たちの露出度は高かった。
 ともあれ戒律騎士を迎え撃つということには変わらない。
「それなりには器用ですので……こちらでお相手しましょう」
 【星霊氷装錬成】で呼び出した氷の突撃槍を構え、スフィクスと向き合う。
「ほう、騎士槍ナイトランス……いや氷剣アイスレイピアか? それは我が鎌を捌き得るか!」
 大鎌を振り回し、一気に距離を詰めてくるスフィクス。既に盾は失い首も一つ落ちてなおその勢いは凄まじく、少しでも気を抜けば首どころか体全てが微塵に切り刻まれそうな程。
「かつては誰もがそれに習熟していました……なれど!」
 その猛攻に、マウザーは恐れることなく自ら飛び込んでいった。
 相手の武器は巨躯のスフィクスに見合った大きさの大鎌。その重量と遠心力による先端の威力こそ恐ろしいが、懐の殺傷力は高いとは言えない。
 かつてはそうではなかった。ナイフ相手に距離をとっても安全ではなく、弓で近接戦をこなすことも容易だった。
 しかし、今は違う。武器の大きさの得手不得手を読むことも戦略として十分に機能する。狙いをつけづらくなった刃が自分に迫る所に槍を当て、滑らせて確実に直撃を防ぐ。
「ぬうっ!」
 外すはずもない距離で自身の攻撃が受け流された。それに驚くスフィクスの顔に、流れるように刺突を放つ。
「ぐおっ!」
 二つの顔のうち一つが、槍に穿たれ潰れた。しかし、まだあと一つスフィクスの顔は残っている。
「我は……まだ……」
 しかし、その顔が紡ぐ言葉はたどたどしい。
「貴方の戒律は最早不要なのですから、速やかに去って下さいませ」
 槍に宿った星霊ヒュプノスの力が、スフィクスの意識を眠りに落とそうとしていた。
 その眠りは、同時にスフィクスへ再度の『終わり』を告げるもの。
「憐み、か……?」
「せめてもの手向けです。あなたが知る形でお逝きなさい」
 この世界に置いて敵を『倒す』手段は殺害だけでない。完全なる捕縛、戦闘からの追放、心の底からの魅了、全てが『撃破』となったのだ。
 そして星霊ヒュプノスが齎す覚めぬ眠り、それもまた。
 ゆっくり崩れ落ち、消えていくスフィクス。それを見届け、マウザーはランスブルグへと戻っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『城塞騎士団採用試験の補佐』

POW   :    実技テスト、模擬戦でお手伝

SPD   :    素早さや技術を見るテストでお手伝い

WIZ   :    筆記試験の監視役、その場で問題出す人

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 こうして、『戒律騎士スフィクス』の侵攻は止められた。それを成した猟兵たちがランスブルグ内へ戻ると、巨体を持つ赤髪の女エルフが待っていた。
「無事、終えてくれたようだな。感謝する」
 既に伝令を受けていたのだろう、女は細かい説明は不要とばかりに続ける。
「改めて名乗らせていただく。私はこの紅華騎士団を預かるプライムベリー。かつてはエンドブレイカーとしても活動していた者だ。よろしく頼む」
 姿勢を正し名乗る女、プライムベリー。その居住まいは凛とした騎士然としたものだが、やはりほとんど裸同然のビキニアーマーがどうしても目に付くのも致し方ないことだ。
「……言いたいことは分かる。だが私を慕って真似ている者も多く、今更辞めるわけにもいかないのだ。騎士団の多いこの国でこれで特徴づけられ、一体感が生まれているのも事実だしな」
 一応、特異な格好だという自覚は彼女自身あるらしい。
「まあそれはいい。聞いていると思うが、今回猟兵諸氏には採用試験の試験官となって貰いたい。今年は設立10年の節目でもあるし、旧来の様式だけでは今必要とされている資質を測り切るのも難しい。今回どのような試験が行われるか、我々も今後の参考にしたくもあるが……まずは思うようにやってくれ」
 プライムベリーはそう言うと、猟兵を伴って受験者たちの前へ向かった。

「諸君、お待たせした。これより今年度採用試験を執り行う!」
 大きな胸を揺らし、堂々と声を張り上げるプライムベリー。
 それと並んで受験者を見れば、そこに並ぶは見眼麗しい女性ばかり。多くは溌剌とした若者だが、中には呼ぶに少々憚られる者、あるいは若者とすら呼べないほどに若すぎる者も散見される。そして彼女らの衣装はビキニ、ハイレグ、その他形容しようのないものなど高露出なものばかりであった。あるいはその中にいる、一人の赤髪の豊満な少女に見覚えのある者もいるかもしれない。
「呼ばれた者から試験を受けて貰う。内容は担当者よりその場で告げられる故、適宜指示に従うように」
 プライムベリーはそう言って並ぶ猟兵の方を見る。
「なお聞いた者もいるかもしれないが、今年の試験はここにいる猟兵によって執り行われる。これは我が団においても前例のない事であるが、それに臆することなく試験に挑んでもらいたい。それでは各人の健闘を祈る」
 試験内容や受け持ちたい受験者の種類は猟兵試験官に一任されている。人手が欲しいならプライムベリーや他の団員が手を貸してくれるし、猟兵の手が欲しければグリモア猟兵を呼ぶのもいい。
 それでは試験開始の時間である。次の時代を担う騎士を、猟兵の目で見定めるのだ。
マウザー・ハイネン
傍迷惑な過去の異物は還しましたし、次は試験ですね。
ああ、プライムベリー様は変わらず息災のようで…意外と退くに退けなくなる事もありますよね。
微力ながらお手伝いさせて頂きましょう。

私からの試験は…これにしましょう。
数人一チームを即興で組んで貰って私が応戦する模擬戦。
ある程度力量が分かったら一旦休憩を挟み再戦。
ただし開始時にUC起動、10分後の憂鬱な状態での戦いです。
感情が沈み切った状態でどれだけ平常通りに力を振るえるか…集団行動と連携が肝要な騎士には重要な要素かと。
その模擬戦が終わったら次は逆、情熱の方で試しましょうか。
押せ押せ状態だと戦いの組み立て方が荒くなりがちですからね。

※アドリブ等お任せ



 戒律騎士スフィクスはランスブルグに至る前に猟兵によって倒された。だが、これで猟兵の仕事が終わったわけではない。
「傍迷惑な過去の異物は還しましたし、次は試験ですね」
 マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)の言う通り、猟兵がこの都市国家に呼ばれた本来の理由は騎士団の入団試験を手伝うため。スフィクスが方便として勝手に行おうとしたものではなく、騎士団から依頼された正式なものだ。
 その依頼主である騎士団長に、マウザーは懐かし気に話しかけた。
「ああ、プライムベリー様は変わらず息災のようで……意外と退くに退けなくなる事もありますよね」
 かつてとある村での祝祭で出会ったことのある二人。その時のことを思い出しつつ、戦闘中も疑問に思った騎士団の特徴高すぎる露出について言う。
「ああ……だがまあ、これで纏まりがついているならまだ納得もできる。そちらも望んだ形かは分からないが、宿願が叶ったようで何よりだ」
「微力ながらお手伝いさせて頂きましょう」
 かつてバルバと共に生きることを望み、そのために力を尽くしたマウザー。プライムベリーの言葉にはあえて答えず、彼女に協力する旨を告げ受験者の元へ向かった。

「私からの試験は……これにしましょう」
 マウザーが受験者たちに課したのは、数人で一チームになっての模擬戦。さすがに猟兵たるマウザーに勝てるような者はいないが、騎士を志すだけあってその実力は確か。これならそこらのごろつきやモンスター程度になら後れは取らないだろう。
 全員が最低限の能力は持っていることを確かめたマウザーは、少し休憩を与えた後で再度受験者を整列させる。
「少し足を止めて考えてみて下さいませ」
 そしてある術をかけてから、同じように自分と戦うよう指示した。
 指示通り再び模擬戦が始まるが、受験者たちの動きは明らかに先と違う。
 動きに精彩を欠く者や、魔法の詠唱を失敗する者、明らかに表情に覇気がない者などが出始めていた。
 これはマウザーのユーベルコード【憂鬱と情熱の彼方】で植え付けられた憂鬱な感情。意欲に満ち溢れていた受験者たちも、全く未知のユーベルコードによる感情操作には抗えない。
 気持ちが沈んでいては全力を出すことは難しい。だが、彼女らが受けているのは『就職試験』であり、その先にあるのは『仕事』なのだ。気乗りしないから、憂鬱だからやりたくないなど言い訳にもならない。ましてや騎士であれば自分や仲間が傷つき、命を落とすことだって決してありえないことではないのだ。
(感情が沈み切った状態でどれだけ平常通りに力を振るえるか……集団行動と連携が肝要な騎士には重要な要素かと)
 口には出さないが、それが今回見定めることだとしてマウザーは受験者の動きを見る。
 やがて勝手の違う戦いを終えた騎士たちをもう一度休ませ、三度目の模擬戦。ここでも再び同じユーベルコードを使うが、今度与えるのは先とは逆の『情熱』の感情だ。
 打って変わって勇猛果敢に攻めかかる受験者たち。先の戦いが失態であったことは皆自覚しているのだろう、それを取り返そうとする気概に全員が満ちていた。
 しかし、それは感情に振り回された荒々しく雑なもの。それがプラスでもマイナスでも、感情に振り回され集団行動を乱している時点でそれは騎士として失格なのだ。
(押せ押せ状態だと戦いの組み立て方が荒くなりがちですからね)
 次いでそこを厳しく見定めるマウザー。やはりどうしても未熟さを露呈させる集団の中に、一人の受験者が止まった。
 それは顔を覆う仮面をつけた痩身だが、軽鎧から見えるのは白い肌。かつては男だけのモンスターとされ、今は雌雄共に存在する人類となったバルバ。集団の中心で先走る者の隙を補い、遅れたものの前に立っているそれは集団戦法を得意とするサテュリアンか。
 かつては『警戒すべき特徴』だったそれを『出自故の強み』に変え新たな道を歩み始めたそれを中心に徐々に整っていく集団の攻撃を、マウザーはその身で確かめるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シュプリムント・メーベルナッハ
プライムベリーさんのコトはお姉ちゃん達から聞いてるよー。
露出が凄いけど勇敢さも凄い人ってね♪
(かつて二人の姉がそれぞれ依頼で同行した事があるそうです)

ともあれ訓練だね。
それじゃあ、プリムからのお題はこれっ♪

てノリで森羅穢炎陣発動、炎の迷路に受験者さんを閉じ込めちゃう。
時間内に脱出できたら合格、ってね。

でも本気でやったら皆死んじゃうから、炎と呪詛の出力は相応に加減。時間切れまで出られなくても疲れて動けなくなる程度で。
それでも炎と呪詛で相応に【恐怖を与える】コトはできるから、その中で落ち着いて脱出できるか体力と精神力を試す感じだね。
これに耐えられれば、それだけ露出しててもきっと大丈夫♪



 今回試験を執り行う『紅華騎士団』の団長は元エンドブレイカー。当時から幾度か冒険に出ており、その中で他のエンドブレイカーと顔を合わせることも当然あった。
「プライムベリーさんのコトはお姉ちゃん達から聞いてるよー。露出が凄いけど勇敢さも凄い人ってね♪」
 シュプリムント・メーベルナッハ(穢死檻の巫女・f38888)はかつて自身で彼女と同行したことこそなかったが、エンドブレイカー、さらには異世界で猟兵に加え能力者や灼滅者をも要する一族ということで、その身内がプライムベリーとともに依頼に出たことがあった。
「ああ、その名は……そちらの姉上も相当なものだったぞ。まあ、そういう意味でも、な……」
 特に片方は完全に『そういう』依頼での同行であったこともあり、彼女の方もプリム一族の『凄さ』はよく知る所であった。
 とは言え戦闘面においても相当なものなのは分かっていること。ともあれ訓練と楽し気に出ていく彼女を、プライムベリーは期待を込めて見送った。

「それじゃあ、プリムからのお題はこれっ♪」
 居並ぶ受験者たちの前で、プリムは【森羅穢炎陣】を発動した。途端、周囲に炎が壁の如くせり上がり、受験者たちを閉じ込める。この迷路を時間内に脱出できれば合格というのがプリムの課す試験だ。
「もう逃げられないよ、そのまま燃え尽きちゃえ♪」
 明るく残酷に言って迷路の外に去るプリム。こうは言ったものの、本気でやれば相手を殺すことになってしまうので火力も呪詛も相応に手加減はしている。時間内に抜けられなくても疲れて動けなくなる程度には抑えている。
 だがいきなり目の前に炎が現れそれに閉じ込められては、実戦経験のない者には落ち着いていろと言う方が無理な話。
「それでも炎と呪詛で相応に【恐怖を与える】コトはできるから、その中で落ち着いて脱出できるか体力と精神力を試す感じだね」
 騎士となれば当然敵対する相手との命のやり取りもある。狙われるたびに取り乱していては騎士など到底務まるものではないと、プリムは受験者たちの様子を炎越しに観察した。
「これは、バルカンの炎……? ありえません、こんな禍々しい!」
 中でひときわ叫んでいるのは巫女服の少女。顔立ちや髪形など清純系の要素は備えているが、あまりに胸が大きすぎるためほとんど胴部にしか合わせが残っておらず、袴も股下ギリギリでスカート状にして切り詰めている格好。恐らく プリムの故郷でもある霊峰天舞アマツカグラの出身者だろう。
 彼女が察する通り、この炎は神楽巫女の技『森羅穢炎陣』の性質を反転させたもの。本来浄化の力を持つ炎を、侵し穢す呪詛へと変えたユーベルコードである。
 これは属性的にも彼女は真っ先にちるか……とプリムが見ていると、その神楽巫女は炎から立ち上る呪詛をあえてその身に受け始めた。
 炎の質は自分の力と似た方向、呪詛は真逆と言うことで、自身の体を依代に浄化すれば迷路は理解能うと判断したのだろう。
「っ……く……あ……」
 呪詛に苛まれる体を引きずり、呻きながら迷路を進んでいくその巫女。少々自己犠牲が過ぎるが、自分の能力で打開策を見つけることは悪くないとも言える。
 肌を少しずつ炙られ、生気を吸う呪いを身体に溜め込むダメージに時折びくびくと体を跳ねさせながら、食いしばってその神楽巫女は迷路を進んでくる。
 やがて彼女は顔を紅潮させ汗まみれになりながらも、一番に迷路から抜け出て来た。
 そのまま精魂尽き果てたようにその場に倒れ、体を投げだした状態で荒く息をつく少女。元々高露出な服はさらに乱れほとんど全身露になっているが、彼女にそれを気にする余裕はもうないようだ。
「これに耐えられれば、それだけ露出しててもきっと大丈夫♪」
 未熟ながらその姿は『あの』団長率いる『女騎士』に相応しいと、プリムはその少女に『合格』の太鼓判を推すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

えっ?なんで辞めるとかいう話が??
(普段から特異な格好ビキニアーマーをしているヤツ)

『そういう』のは雰囲気的にも無しとして、ちょっと真面目に試験官をしよっかな?

試験内容は多人数での実技★
数名の受験者で、クローネちゃんが召喚した女羅刹の集団(十数体)を相手してもらうよ♪
騎士団に入るというのなら、集団の一員として戦う気が当然あるって事だよね?
それなら受験者の皆には、【団体行動】時に必要な能力があるかを見せてもらうよ★
戦闘開始前に少し時間をあげるから、そこで自己紹介や役割分担等を話し合ってもらうね♪

騎士の強さには限度がある…
皆は、騎士団集団として戦う事が出来るかな?

UCは『ワタシの女羅刹軍団』
異形巨大化した片腕と長ドスで近距離、拳銃と風の刃で遠距離に攻撃できる女羅刹集団を召喚するよ♪
受験者相手には多少手加減してもらいつつ、人数差を活かした【集団戦術】で戦ってもらうね♪



 この紅華騎士団に所属する騎士は、いずれも極めて露出度の高い恰好をしていた。その理由は、団長であるプライムベリーがエンドブレイカーとして冒険していたころからそのような格好をしており、彼女が団の象徴になった結果それを真似る者が集まったからというものだ。
 当のプライムベリー本人はやめるにやめられないと言っていたが、クローネ・マックローネ(ダークネスデウスエクスを従える者・f05148)はそれに不思議そうな顔。
「えっ? なんで辞めるとかいう話が??」
 何しろクローネ自身が普段から特異な格好ビキニアーマーをしている。それについて悩むのが理解できなくて当然である。
 そしてそんな格好の女騎士団なのだから、周囲からはそう言った目を向けられることもある。何なら団長自身が現役時代はそう言う事件に何度か巻き込まれたことがあるくらいだ。
 その手の話はクローネ自身嫌いではない。しかし先の戦いの事もある。
「『そういう』のは雰囲気的にも無しとして、ちょっと真面目に試験官をしよっかな?」
 クローネは今回は治安維持組織、戦闘集団としての騎士団員としての適性を見る試験を行うこととした。
 そして彼女の前に並ぶのは複数の受験者。服装は皆高露出ながら、持っている武器からして得意分野は別々と見える。
「さあ皆! カチコミにいくよ!」
 その受験者たちに相対するように、クローネは【ワタシの女羅刹軍団】を呼び出した。
 その外見は異形巨大化した片腕に長ドスを構え、さらに拳銃を持った異形感ある姿。その威圧感に受験者たちも僅かに怯んでいるようだ。
「騎士団に入るというのなら、集団の一員として戦う気が当然あるって事だよね?」
 彼女たちが志すのは組織の一員。ただの腕利きが集まった冒険者パーティではないのだ。
「少し時間をあげるから、そこで自己紹介や役割分担等を話し合ってもらうね♪」
 しばしの余裕を与えると、戸惑いながらも受験者たちは話し合いを始めた。
 そして話し合いがまとまったらしきところで対戦開始。
騎士の強さには限度がある……皆は、騎士団集団として戦う事が出来るかな?」
 見るべきはそことして、女羅刹たちとの戦いぶりを観察する。
 やはり基本として、前に剣、中に弓や紫煙銃、後ろに魔法という分かりやすいポジションを取って戦い始める受験者たち。武器を持って羅刹と切り結び、風の刃や拳銃の射撃も盾を構えて前に出ることで受け止め、その間を縫うように射撃や魔法を打ち返す。騎士を志望するだけあってそれぞれの技量は悪くなく、その役割を十分に全うできていると言えた。
 それならばと、クローネは羅刹たちに攻め手を変えさせる。前の剣士たちを何人かが巨大腕で抑えつけ自分に釘付けにし、悠々と他の羅刹に回り込みをかけさせたのだ。もちろん中後衛たちはそれを迎撃するが、羅刹たちはさらに広く展開、受験者全員を囲むような陣形を取った。
 多少手加減しているとはいえ、猟兵のユーベルコードで使役される存在だ。本来接近戦を専門としない者ではじかに戦うには荷が重い。さらに単純な人数も羅刹側が多く、全体の状況は受験者側が完全に不利だ。
 果たしてこの状況にいかに対処するか。
 動いたのは魔術師たち。一人は宙に紋章を描き、そこから黒鉄の兵を呼び出して剣士を抑えている者を体当たりで吹き飛ばさせた。そしてもう一人は魔術書を開いて巨大なモノリスを召喚し、後方に布陣する相手への壁とする。
 その間に自由になった剣士の一人を側面に移動させ、近接が苦手なものが敵に曝されている状態を脱した。
 そしてさらに弓手は火矢のアビリティをモノリスへ放ち、それを炎上させる。炎の壁を築くことで後方からの敵の侵攻を困難とし、相手の攻め口を少しでも減らそうという考えだろう。
 アビリティの組み合わせという連携は過去のエンドブレイカーでも行えなかったこと。それができるのは見るべきところとクローネは特に弓手に高い評価を付ける。
 だが、援護は受ける者あってこそ。仲間からの支援で自由になった剣士は、巨大な剣を縦横に振るった。
 互いにかばい合い、助け合うだけが連携ではない。それをその身に受け、支えられた個人技を持って全員の勝利を決めるのも集団戦の一手だ。
 傍目には花形、実際には最後の重責を負うその役をこなせるか。一見すればスタンドプレーだが、それは仲間たちの連携、集団行動の終着点なのだ。
 受験者たちの戦いぶりを見て、クローネは羅刹たちを下がらせ試験の終わりを告げる。
「お疲れ様。それじゃ結果をお楽しみにね★」
 自分で見たことと、後で羅刹たちから聞き取る実際に戦ってみての所感。それまとめた結果を騎士団長へ伝えるべく、クローネはその場を去るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
さて、後は試験ですねぇ。
お手伝い致しますぅ。

『女性騎士』が利になり易い環境ですと『女性の護衛』が挙げられますねぇ。
入浴中や御不浄等、「男性が同行し辛い環境」でも、女性であれば或る程度直衛が可能ですので、それを想定した試験にしましょう。

直接戦闘型の方々(エアトベーレさん含)を対象に試験しますねぇ。
アレクサンドラさんに「護衛対象役」を願い、「大浴場」等の入浴施設を舞台に、数名単位でローテしつつ「入浴中の護衛」を想定した試験を行いますぅ。
敵役は【玄傀】で召喚した『人形』達を使用、戦闘能力を落とし「人間なら倒れる攻撃」を受けたら行動不能になる様設定、『FPS』で情報を集めつつ指揮しますねぇ。
交戦以外に「護衛」という役割を理解し「守る」「逃がす」行動を選べた方も評価対象に。
そして終了後に「護衛任務についての報告書提出」を願いましょう。
此方が良ければ「騎士団運営の為の報告役や内勤要員としての採用」を視野に入れられますので。
エアトベーレさんを含め、多くの方が受かると良いですが。



 ランスブルグ外部での戒律騎士スフィクスとの戦い。それは猟兵の勝利に終わり、もうランスブルグに差し迫った危機はなくなった。
「さて、後は試験ですねぇ。お手伝い致しますぅ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もまた本来の依頼である試験官としての役目を務めるべく、試験内容を考える。
「『女性騎士』が利になり易い環境ですと『女性の護衛』が挙げられますねぇ」
 このランスブルグには複数の騎士団がある。その中に置いてこの紅華騎士団の特徴は、全員が女性であること。そして騎士団の仕事は戦闘だけではない。
「入浴中や御不浄等、「男性が同行し辛い環境」でも、女性であれば或る程度直衛が可能ですので、それを想定した試験にしましょう」
 そしてそこに女性である、という必要性を持たせた結果、この様な試験を貸すこととなった。実際このランスブルグは女王が治める国。そう言った役回りがこの騎士団に回ってくることも十分にあり得る話だ。

 そのために特に直接戦闘を得手とする受験者を集め、今回の試験を執り行うるこる。集まった者の中に見知った顔を見つけ、向こうもそれに気づいたらしくこちらを見てくるが、るこるはあえてそれを無視し説明を続けた。その態度にこれが厳正な試験であることを思い出したか、その少女も姿勢を正す。
「それでは、今回は「入浴中の護衛」を想定した試験を行いますぅ。この方を護衛対象として、然るべき行動をとってください」
 今回護衛対象となるのはグリモア猟兵アレクサンドラ。傍目には細身で気弱そうと、守る対象としては外見の身なら適任だ。
 こうして説明は終わり、いざ試験開始。広めの公衆浴場を借り切り、試験会場に使わせて貰う。アレクサンドラは浴場で入浴し、受験者たちはチームごとに護衛を開始した。
 入口を固める者や周囲を巡回する者、浴場まで同行しすぐそばに控える者などそれぞれに役割を持って護衛対象の周りを固める受験者たち。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、女神の加護を得し黒き星の人形達よ、私の下へ」
 各々が基本的なポジションについたことを確認し、るこるは【豊乳女神の加護・玄傀】を発動した。
 漆黒の結晶でできた人形故、これが敵役であることは一目でわかる。この辺りは試験をやりやすくするための配慮といったところか。
 周囲の状況を『FPS』で確認しつつまずは周囲を徘徊させておくと、その姿は巡回中の受験者にもすぐ見つかった。
 敵が来たかと勇んで剣に手をかける受験者。だがそれと組になっていた別の受験者が彼女を制し、まず人形に声をかけた。
「ここで何をしている? ここは立ち入り禁止だ」
 いきなり攻撃せずまずは警告。威圧的かつ相手の言い分をあまり聞かないような態度をとることで、交渉の余地はないと示しているのだろう。
 それを確認した上で、人形は彼女を振り切り正面突破をかけた。それに対しては、後ろにいた受験者が今度こそ剣を抜き、その平で胴を打って制圧した。
 人形は常人程度のダメージを受ければ倒れるようにしていたこともあり、その場で倒れて動かなくなる。
 外の部分はこれで良しとし、るこるは今度は中に潜ませていた人形を動かした。
「敵襲だ!」
 浴場の入口から人形がなだれ込むと、一斉に受験者たちが武器を取りそれを迎撃する。持っていたのは浴場でも秘匿、携帯しやすいナイフやトンファー。それで入ってきた人形たちと戦うが、敵はそれだけではなかった。
 アレクサンドラの後ろから、湯に体を沈めて一体人形が忍び寄る。彼女自身はこれの存在を知っているのだが、今回は無力な護衛対象として言われた以外の行動はとらないし自ら身を守ろうとはしない。そのアレクサンドラに、人形が拳を振り上げた。
 その拳が肌を打つ。だが殴りつけたのは痩せて薄い体ではなく、柔らかく豊満な肉。
「騎士の技の基本だ!」
 それがめり込んだのは赤髪の少女の豊かな胸。この世界には騎士の基本技能として、近くにいる者への不意打ちを自分に吸い寄せる技があった。それをアレクサンドラにかけていたのだろう彼女は、即座に足元に馬のような星霊を呼び出す。
「乗ってください、離脱します!」
 その鎧を纏った馬星霊グランスティードにアレクサンドラを乗せ、彼女は風呂場から一気に離脱を図る。そして外から駆けつけてきた他の受験者に馬ごと彼女をあずけると、本人は入口に立ちふさがった。
「うおぉぉぉっ!」
 気合の掛け声とともに、少女の胸と尻が膨れ上がる。それは浴場の入口を塞ぎ、敵を浴場内に閉じ込めてしまった。
「なるほど、使いこなしているようですねぇ」
 その様子を見てるこるは思う。交戦以外に「護衛」という役割を理解し「守る」「逃がす」行動を選べるかが評価のポイントであったが、自身の特殊能力を使いそれができるのはまさに『成長』の証だと。

 そして一通り試験が終わったら、「護衛任務についての報告書提出」を指示する。もし戦闘要員としての点数が低くても、「騎士団運営の為の報告役や内勤要員としての採用」を視野に入れられる。団体とは現場だけで成り立つものではない。事務方も立派な騎士団の構成員なのだ。


 こうして、猟兵を試験官とした今年度紅華騎士団採用試験は幕を閉じた。
「ありがとう。皆とても良い試験を課してくれて、我々も大いに学ぶところがあった。これより私は最終選考に入る。もし機会があったら、合格者たちの顔を見に来てくれ。我々も歓迎しよう」
 そう言って猟兵からの評価が書かれた書類を手に、プライムベリーは巨肉を揺らして団長室へと入っていった。
 果たしてどれほどの紅華が芽吹くことになるのか……その答えは、花が咲くころには分かるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年02月26日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#エンドブレイカー!
🔒
#戦後


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト