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魔法猫騎士様の休日

#アルダワ魔法学園 #ノベル #猟兵達のハロウィン2024

ルテア・ステルンベルギア




 ルテア・ステルンベルギア(キバナの騎士・f39055)はケットシーの中でも長靴を履くことを許された、ケットシーの中のケットシーであり、魔法騎士である。日々鍛錬に励むルテアだが、今日は年に一度のハロウィンのお祭りの日。一日の休暇を言い渡され、折角だからと城下町へとやって来ていた。
「どこもかしこも賑やかだな」
 大通りはハロウィンカラーに染まり、あらゆる場所にジャックオーランタンが飾られている。道行くケットシー達も、今日は魔女やお化けなど思い思いの仮装を楽しんでいた。
 ケットシー達の仮装を眺めたりハロウィン向けのお菓子を眺めたりと、ルテアが大通りを歩いていると鼻孔を擽るいい匂いがしてきて、ついふらりと足を向けると揚げたてのフィッシュアンドチップスが見えた。これは……! と、ルテアが迷わず列へと並ぶ。
「はい、どうぞ!」
「ありがとう」
 すぐに出来立て熱々のフィッシュアンドチップスが渡され、代金を払って受け取ると椅子と机が用意された広場へと向かう。丁度一人掛けの椅子が空いていたのでそこに座ると、ゆっくりと買ったばかりの白身魚のフライに齧りついた。
「美味い……!」
 揚げたての衣はサクサクで、程良い塩味が効いていてぺろりと食べてしまいそうになる。合間合間にポテトフライを摘まみ、広場に向かう途中で買った紅茶を飲み、一息つく。
「あっという間に食べてしまった……揚げたてだから美味しいというのもあるだろうけれど、やはりお祭りだから余計にそう思うのかもしれないな」
 人々の楽しそうな笑顔、それはルテアが何より守りたいもの。この平和な時間がいつまでも続けばいいと願いながらルテアが席を立った瞬間である、広場の向こうから悲鳴が聞こえたのは。
「……!」
 何事か、とルテアが誰よりも早く悲鳴が聞こえた方へと駆け付けると、何処からか祭りに乱入したオーガがケットシー達を襲おうとしているではないか。
「オーガ共、私が相手だ!」
 怯えるケットシー達を背中に庇い、ルテアが腰のレイピアを抜くとオーガにその切っ先を突き付けた。
「さあ、今の内に逃げて!」
 ルテアがそう言うと、自分より遥かに大きなオーガに向かってレイピアを振るい、魔法を放つ。
「凍れ!」
 オーガの足元から冷気が立ち昇り、たちまちの内に足を凍らせていく。オーガの動きが止まったのを見逃さず、ルテアは冷気を帯びたレイピアでオーガの心臓目掛けて貫く。
「祭りの日に不似合いな者よ、氷柱の如く凍て貫け!」
 突き刺した場所からオーガが抵抗する間もなく全身を凍らせて、その場にどうっと倒れたのであった。
「すごいすごい! さすが魔法騎士様だ!」
「ありがとうございます、魔法騎士様!」
 口々に礼を言う人々に笑みを向け、怪我はないかとルテアが声を掛ける。そうしているうちに、警ら隊がやってきてオーガの死骸を片付けて、広場は再び人々が祭りを楽しむ場所に戻ったのである。
「祭りの日だからといって、油断は禁物だな……」
 やはりここは自分がしっかりとしなくては! と、ルテアが見回りも兼ねて再び祭りを楽しむ人々で賑わう場所を回り出す。途中で勧められたスイーツを食べたり、美味しいお肉の焼き串なんかも食べたけれど、それはそれ。
「勧められたら食べるのが礼儀だからな」
 誇らしげにコートの下の尻尾を揺らし、ルテアはパトロールがてらしっかりとお祭りを楽しんだのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年12月12日


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