ウシ達の婚礼は幸福に
●めでたき時に、悪迫り
獣人戦線、欧州西部にある大西洋に面した海辺の街。
先日の獣人世界大戦で超大国が打撃を受けたことにより激戦地が後退して遠ざかり、穏やかな時が続いているこの地でささやかな結婚式が行われようとしていた。
花嫁花婿参列者ほぼ全員がウシ獣人。断崖の近くに築かれた海辺の教会は冬の寒さなどどこ吹く風とばかりに温かな雰囲気で満ちていて、警備のウシ達まで少々気が緩んでいるようにも見える。
長らく抑圧されてきた彼ら、こんな安らぎの時がいつ終わるか、次にこんな時間がやってくるかもわからないから惜しむように楽しんでいるのだけれども、そんな幸福の時間を悪しきオブリビオンのエージェントは完膚なきまでに破壊せんと悪意の逢魔弾道弾による災厄を齎そうとしていた。
グリモアベース。
「ちょっといいか? 獣人戦線でウシ獣人が狙われるって予知が見えたから手を貸してほしいんだ」
シーベアルグの少年、ウルザ・ルーナマリア(月に泳ぐ白き獣・f39111)というグリモア猟兵は、集まった猟兵達に彼の見た予知の説明を始める。
「今回事件が予知されたのはヨーロッパ西部、大西洋に面したウシ獣人が多く住む海辺の街だ。こないだの獣人世界大戦でこっちの侵略の勢いも弱まって、少し余裕が出てきてささやかな結婚式? をやろうとしてるみたいなんだ。戦禍で延び延びになってたけれど次いつ機会があるかわからない、ってことで規模は小さいけど数日かけて何組もやる、とかで盛り上がってるんだとか」
けれどそんな街が幻朧帝国の破壊工作の標的にされているのだとウルザは説明する。
「幻朧帝国の作戦は逢魔弾道弾で街をまるっと逢魔が辻に変えるってやつだ。当然被害が大変なことになるから何としても阻止しないとな! それを仕掛けに来るエージェントは『『骨牙海将』アンモン』、具体的にどう仕掛けてくるのかはわかんねーけど、多分幸せそうな空気で警戒が緩んでる所に海からなんやかんや仕掛けてくるんじゃないかな。できれば幸せな門出祝ってる住民には気付かれないようサクッと倒したほうが良いんじゃないかな……普通はそんな感じだよな?」
微妙に人類的な文化に不慣れな白熊シーバルバの少年は自信なさげに言って、そしてウシの町について説明する。
「式場は街の一部、断崖近くに築かれた教会だ。周辺の平地は割と広くて割とウシ達でごった返してるっぽい。浮かれた雰囲気で露骨に怪しいならともかく基本的に祝いに来たなら受け入れてくれるんじゃないかな。警備の手伝いに来た、とかでも多分信用してもらえると思う。そこで幸せな
終焉を楽しみつつ、絶望の
終焉を防ぐための警戒とか索敵する感じの流れになると思う。具体的にどうするかは皆に任せるぜ!」
そう説明したエンドブレイカーのシーベアルグはコンパスのような形のグリモアを取り出し、転送の準備を開始する。
「ウシ達で猟兵に覚醒した者はまだいない。でもサメがこないだ覚醒したように将来的にはどうなるかわからない。幻朧帝国がわざわざ潰しにかかってるのもそれを警戒してるのかもしれないしな! ……なんにせよ、幸せなエンディングを守る為にも頑張ってくれよな!」
そうウルザは明るく締め括って、グリモアを輝かせて猟兵達をウシたちの街へ転送したのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
ごくありふれたしあわせを。
第一章はウシが多く住む海辺の町で行われる結婚式の警備をしつつ幸せのおこぼれにあずかりつつ、エージェントの襲来を警戒しましょう。
久しぶりかつ次があるかわからない目出度い時間に、住人のウシ獣人達も全体的にほんわかというかちょっと警戒心が緩んでいるようです。
第二章は逢魔弾道弾を持ってやってくる『『骨牙海将』アンモン』との戦いになります。
こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 日常
『ささやかな結婚式』
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POW : 結婚式を見守りつつ周囲に気を配る
SPD : 結婚式を見守りつつ怪しい気配を探る
WIZ : 結婚式を見守りつつ敵の動きを予想する
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響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです
●冬に祝福の桜舞う
冬の寒さが海辺の街を覆う中、ほんわかした雰囲気でウシ獣人達の結婚式は進行していく。
冬毛なのかどことなくもこもこした印象の彼らは大人も子供もみな笑顔、この吉日を心から楽しんでいるようで訪れたオラトリオの響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)もどことなく優しい気分になる。
上流階級のお嬢様の彼女はこのウシ獣人達の結婚式にも合わせた装いと振る舞いで違和感なく溶け込んでいて、時折住人達と談笑して場の空気をより和やかなものにしていった。
その話の流れで楽器の話になり、一つリズも余興として演奏を行う事となった。
彼女が手にしているのは翼を象った飾りのついたガラスのフルート、普段は獣と意志疎通する為の音色を奏でる為のものだが普通の楽器としてもいい音色を響かせる。
オラトリオがフルートを奏で、合わせて起動するユーベルコードは【サクラサク花の舞い】。春めいた曲調のフルートに合わせるかのように美しい桜色の花弁がウシ達の間を吹き抜けていく。
その桜吹雪は眠りと共に傷を癒す力を持つが、今回はその力は発揮させずにただの視覚的な演出としてリズは利用している。
このヨーロッパ西部の街では桜といえば実桜で、放たれた桜吹雪は普段住民が目にすることのない彩りで式場を包みこんで、式の参加者や新郎新婦はそれを大喜びで楽しんでいるようだ。
――長い冬が、苦難が続いても、いつかは春がやってくると。
それを示すかのようなリズの奏でる旋律と桜花は、ウシ達の門出の日を祝福するのだった。
成功
🔵🔵🔴
天王寺・ミルク
んもぉお~~~~~
牛たちの幸せ見てると子牛をもう一回授かりたくなるんですぅ。
そんな幸せな所に襲い掛かってくる敵は許せないんですぅ。
とにかくとしてゆっくり歩きながら街の風景を見ています。
警戒は怠らない。本来、草食獣とはそういうモノである。
耳を澄ましてよく聴いていく。
おそらく遠くから何が来る感じがするであろう。
●幸せな街を巡る
白黒の賢牛
ガラスのフルートの美しい音色が響く海辺の結婚式場、そこに一頭のホルスタイン柄の牛がんもぉお~~~~~と鳴きながらやってきた。
この獣人戦線の世界でも珍しい純粋階梯のウシ獣人――ではなく、アポカリプスヘル出身の賢い動物である彼女は天王寺・ミルク(ホルスタイン・f36938)。
(「牛たちの幸せ見てると子牛をもう一回授かりたくなるんですぅ」)
穏やかな性格の彼女はゆっくりと街を、式場を歩いてウシ獣人が日々生活を営む風景を広い視界で眺めていた。ウシはヨーロッパでも多い種族であり、母数の多さからか時折階梯0の希少な普通の牛そのものな獣人にもたまにすれ違い、柔らかな雰囲気の彼ら彼女らの雰囲気にほっこりするミルク。
この地に暮らす他の階梯のウシ獣人達も当然のように幸せそうで、その姿はミルクにとっても心地よいもの。
そして、
(「そんな幸せな所に襲い掛かってくる敵は許せないんですぅ」)
アポカリプスヘルに生まれながら穏やかな気質の彼女だからこそ、このような平穏を乱す邪悪な存在の暗躍を許すつもりはない。のんびり歩き回っているようにも見えるミルクは警戒を怠らず、耳を澄ませ、賑やかなウシ達の喧騒とは無関係の音をその優れた
草食獣の耳で拾っていく。
草食獣としての本能のようなモノに引っかかるほんの僅かな違和感、波の音に紛れてごみや小動物などではない、何か別の大きなモノが意図を持ってこの付近へ泳ぎ着こうとしているような音をミルクは認識する。
(「迎撃の準備、しなきゃねぇ」)
結婚式のしあわせな空気を壊さぬよう、静かにミルクは式場を離れ、遠くからやってくる音が流れ着くであろう地点への移動を開始した。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『骨牙海将』アンモン』
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POW : 原始の装甲
装備の【破損】ペナルティを無視できる。また、[破損]の合計に比例して、全装備の威力と防御力が強化される。
SPD : 原始の海戦
【戦場を覆うほどの海水】を降らせる事で、戦場全体が【深海の海底】と同じ環境に変化する。[深海の海底]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ : 原始の奇襲
戦場内に、見えない【地下水】の流れを作り出す。下流にいる者は【地下からの骨牙兵の襲撃】に囚われ、回避率が激減する。
👑11
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●流れ着くは骨の海将
ウシ獣人の結婚式がしあわせに盛り上がり進んでいく中、その近くの人気のない海岸へ巨大な貝が一つ流れ着いた。
それは幻朧帝国のエージェント『『骨牙海将』アンモン』、貝の中から骸骨のような上半身をずるりと伸ばしてキョロキョロと周囲を確認するかのオブリビオンの狙いは持ち込んだ逢魔弾道弾の起爆だ。
これだけウシ獣人が集まった結婚式場なら一度に大量の損害を与えることができるだろう――何者にも悟られず絶好の機会を得たと勘違いしているエージェントはほくそ笑むが、猟兵は既にその襲来を見抜いていた。
アンモンが海岸から動き出す前に猟兵達が立ちはだかる。音を頼りにアンモンの到着地点を割り出し先回りしていた猟兵達の準備は既に十分で、幻朧帝国のエージェントは驚き戸惑うばかり。
そんな敵に時間を与える必要はない、猟兵達はエージェントが冷静さを取り戻す前に、一斉に攻撃を開始するのであった。
響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです
●空より降り注ぐ貴婦人の魔法
動揺する幻朧帝国のエージェントに、空から雷撃の魔法が降り注ぐ。
放ったのはルナティック・クリスタを手にグリフォン『アーティア』に騎乗した響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)。ウシ達の結婚式でのフルート演奏の後にこの現場へと向かってきた彼女は他の猟兵を支援する為の牽制攻撃を行っているのだ。
ウシ獣人達のささやかなしあわせと生命を完膚なきまでに破壊するこのエージェントに対し、遠慮容赦は不要。思いやりに満ちた彼女であってもこの極悪なオブリビオンは問答無用で倒さねばならないだろう。
空から魔法を放つリズに地下水の流れは干渉できない。地下から飛び出してきた骨牙兵が彼女を弓で射落とそうとしても俊敏なアーティアはその翼を力強く羽搏かせ自在に空を飛翔し矢を躱していく。
それでも頑丈なアンモンの殻は魔法でもそう容易に砕くことはできない。有効打を与えられぬまま時間が経てば、エージェントは冷静さを取り戻し状況を立て直してくる事だろう。
多少のリスクはあるが、リズは此処で賭けに出てユーベルコード【魔法力増強機関】を起動、
「少々面倒なことになりますが、背に腹は変えられませんわね」
途端に彼女の魔力が一時的に膨れ上がり、魔導杖より放たれる魔法の威力が六倍に跳ね上がりアンモンを容赦なく撃つ。
咄嗟に海へと逃れ直撃を防ごうとするアンモンだが、強烈な威力はその程度の障害などものともせず頑丈な貝の装甲にダメージを刻み込んでいく。
間断なく降り注ぐ雷撃魔法、しかしその強化は一時的なものであり、終わりの時はやってくる。
「……後は頼みましたわ」
159秒間の強化の力が解除される。それと同時にリズに代償である一分間の避けられぬ昏睡が襲い掛かってくる。
アーティアが上手くやってくれるだろうから安全面では問題ないだろう、と思考するリズが途切れる意識の直前に見たものは、ダメージを受けたアンモンに次なる猟兵が仕掛けていく姿だった。
成功
🔵🔵🔴
飯綱・杏子(サポート)
ジビエ
食材がヒト型でなければ料理して喰らうっす
ヒト型の
食材を料理するときはこちらがヒト型を辞めるのが
マナーっす
リビングアーマーや宇宙船の類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるし、食器としても活用するっす
どんなに癖のある
肉でも濃い味付けにすれば食えない肉はないっす
悪魔だから
毒は利かないっす。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす
あと
八つ裂きにされても死なないっす
シナリオの傾向によっては、ヒト型を性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ
白子もミルクも大好きっす
●恐るべきは食欲
グリフォンに騎乗した猟兵の放つ雷が途切れ、海の中へ一時避難していたアンモンが海岸へと再上陸を果たそうとした瞬間、銀髪の女が襲い掛かる。
彼女は飯綱・杏子(悪食の飯テロリスト・f32261)、オブリビオンすらジビエの食材とする食道楽の悪魔はこの骸骨の巻貝めいたオブリビオンも当然のように調理対象と認識している。
見ようによってはサザエにも見えるアンモン。肉の部分は存在していないようにもに見えるが、それならそれで出汁は取れるだろうと悪食な悪魔は思考しつつ、不可視の地下水から飛び出してくる骨牙兵の奇襲を躱しながら慌てふためくアンモンへと肉薄。
そして、
「いただきっす」
ユーベルコード【フードファイト・狩猟モード】を起動、手にしているのは
万能猟理器具――巨大な肉叩きと
万能鱗取りの二つ。
頑丈なアンモンの貝の装甲ではあるが先の猟兵の雷撃により受けたダメージで脆くなっている箇所がある。そこを狙って万能鱗取りで装甲をはぎ取り、肉叩きで打ち据え殻を砕く。
露出したその中身は骨ではあるが
いい出汁が取れそうな風に見えて、それが一層杏子の食欲を掻き立てる。
包丁に持ち替え無造作にでそれを切り取り引きずり出し、絶叫と共に反撃してくるアンモンの槍から逃れながらどのような調理を行うかを思案する杏子。
海鮮のスープにするか髄を上手く調理してみるか、バリエーションは幾らでもあるだろうが、食道楽の悪魔はきっと満足するように仕上げるのだろう。
更なる食材を獲得すべく、食材を鞄に収めた杏子は再び調理器具を手に骨牙海将へと襲い掛かるのだった。
成功
🔵🔵🔴
シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦
称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。
複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を攻撃しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!
●精霊と共に
悪魔の食の探求に任せた猛攻を受けて鉄壁のアンモンの殻はひび割れ、その防御力は低下していた。
そこに攻撃を仕掛けるのはシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)という美しきミレナリィドール、多彩な精霊銃を巧みに持ち替え幻朧帝国のエージェントの防御の隙間を的確に狙い銃弾を叩き込んでいく。
『おのれ……邪魔をするな!』
苛立たし気に骨のオブリビオンが叫べば不可視の地下水の流れが展開され、地下から骨牙兵が湧きだしシェーラを妨害せんと襲い掛かる。
だがその骨牙兵の攻撃をシェーラは予め見切っていたかのような無駄のない所作で回避、それどころかカウンターの銃弾を叩き込み骨牙兵を仕留めアンモンへと更に攻撃を重ねていく。
地下水脈そのものは見えずとも水に宿る――或いはこの地に存在する精霊には、その不自然な水脈と悪しき骨牙兵の出現は容易に把握できる。
身体を守る微細な精霊を通しその精霊達の変化を認識、けして傷つけられないように立ち回りながらアンモンへと叩き込むべき一撃の為にユーベルコード【彩色銃技・咫尺天涯】を起動する。
「一切の束縛から逃れきる、時の流れにも似た激情」
地下から湧き出す骨牙兵、そしてアンモン自身の攻撃を回避しながら詠唱を重ねるシェーラ、彼の精霊銃に集うは貝を貫く無数の雷電の精霊。
「――辿り着く約束のいつか。果ては彼岸より遠く。旅人は歩み続ける」
詠唱を終えたシェーラがアンモンへと照準を定め引鉄を引けば、海をも貫く勢いと射程で無数の精霊が解き放たれ間の骨牙兵ごとアンモンを呑み込んだ。
咄嗟に殻に身を潜めダメージを減じようとしたアンモンだが、その程度では精霊達の攻撃を完全に防ぐ事などできはしない。雷電の奔流が止んで残った殻から再び上半身を晒したエージェントの体は熱と電撃にやられ黒く焦げていた。
それでも原始の不可思議な生命力故かアンモンはまだ生命活動を継続しているようだ。仕事完了にはもう一息、そう冷静に見定めつつ、シェーラは精霊銃を持ち替えながら追撃を仕掛けていく。
成功
🔵🔵🔴
アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、可能なら末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。
正直状況とかよくわかってにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。
基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」
●容赦なき暴力
猟兵達の猛攻をうけた幻朧帝国のエージェント、自慢の頑丈な殻も既に満身創痍な様子で、そこから出ている上半身も黒焦げでダメージの蓄積が見て取れる。
『損傷が激しい……がそれならこれで行く!』
しかしこのような状況でこそ効果を発揮するユーベルコードを起動、装備の破損に比例した装備の威力と防御力の強化効力を持つそれによりボロボロの殻に再び強靭な防御力が宿る。
だがそんなものはアイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)には関係ない。
ドワーフの小柄な少女の根本原理はパワーイズジャスティス、強化だろうが搦手だろうが真正面から飛び込んでその全力で叩き潰すのみ。
(「冬の海は寒いにゃ……こんな所で悪だくみしてる奴にゃんて気に食わにゃいに゛ゃ……」)
そもそもあの骨牙兵とかいうエージェントの、こんな寒さをものともしていない風な顔が気に食わない。猫かぶりが取れてしまう程ではないけれども、全力を容赦なくぶつけるには問題ない相手だろう。
巨大斧を手に向かってくるアイクルにアンモンが複数の腕に持つ武器で連撃を放つ。研鑽された技術、そしてユーベルコードによる強化により破壊力を増した攻撃はまともに受けるのも厳しいだろう。
それに対しアイクルは真っ向から斧を叩きつけて迎え撃つ。無数の連撃も全て捻じ伏せるかのような強烈な一撃――衝突の衝撃でアンモン手持ちの数々の武器と斧は双方弾かれ、アンモンは大きく体勢を崩す。
その瞬間を見逃さずドワーフの少女は斧を回収せず一気にアンモンの至近距離に肉薄、ユーベルコードを起動してオブリビオンの虫のような足を掴み軽々と持ち上げて思い切り振り回し周囲の砂浜に叩きつける。
幾ら防具が頑丈になっても中身まで頑丈になった訳ではない。叩きつけの衝撃にアンモンはシェイクされ、離脱できぬままに更にダメージが重なっていく。
そしてアイクルが締めとばかりにアンモンを海から引き離すようにぶん投げて、一仕事終えたドワーフの少女は
淑女のような清々しい表情で後続の猟兵に後を託しつつ弾かれた巨大斧の回収に向かうのだった。
成功
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天王寺・ミルク
なんかぁ、海から出てきたけどぉ、準備万端ですぅ。
普段はのんびりしてるかもしれないですけどぉ、牛はぁ、本気になればぁ、肉食獣と戦うんですよぉ。
だからぁ、ライオンさえ蹴散らす水牛の王をぉ呼びまぁすぅ。
(UC使用)
んでぇ、跨らないけどぉ、一緒にぃ突進してぇ、吹き飛ばしますぅ。
のんびりできないのでぇ、速攻で行きまぁす(敵のUC使われる前に片付ける)
●海将穿つ牛の角
ドワーフの少女によりぶん投げられた幻朧帝国のエージェント、その着地地点には一頭のホルスタイン牛の猟兵、天王寺・ミルク(ホルスタイン・f36938)が準備万端に陣取っていた。
「なんかぁ、海から出てきたけどぉ、準備万端ですぅ」
普段はのんびりした雰囲気と振る舞いのミルクだが、本気になれば肉食獣とも戦う牛という種の強さが存在しないということではない。
草食獣は一方的に肉食獣に狩られるだけではない。群れの力で手痛い反撃を喰らわせることも自然界にはよくある話であり、幸福なウシ獣人達を害する悪しきオブリビオンに対するミルクはユーベルコード【主召喚】を起動してライオンすら蹴散らす存在をこの場に召喚する。
「ンモォオオオオオオォ」
鳴き声に招かれたのはウシ――ではなく、堂々たる体格と角をもつ『主』と呼ばれるアフリカスイギュウの王。
巨大な蹄で砂を踏みしめながら現れたかの存在は、自身の半分の体格のミルクの救援要請の鳴き声に導かれるように、ミルクと並んでアンモンへと一直線に突進を開始。
跨りこそしていないが互いに生命力を共有し戦闘力を高め合う力に結ばれたウシ科二頭の突進に、エージェントは海水の雨を降らせ周囲の環境を深海の海底へ改竄しようとするが、しかし間に合わない。
二頭ながらも群れと見紛う勢いと速度の速攻には重なる負傷に動きの鈍ったアンモンのユーベルコードは間に合わず、スイギュウとホルスタインの鋭い角を殻の破損箇所にまともに突き込まれ、かち上げられる形で吹き飛ばされた。
『ぐわああぁぁ!?』
断末魔と共に骨や貝の破片を撒き散らしながら、衝撃にバラバラになった悪しき骸骨のエージェントは海へと叩き返され、そして再び海面に浮上することなく消滅していった。
それを見届けたミルクと『主』はふん、と鼻息を鳴らし、後方のウシ獣人達の結婚式は何事もなく続いていることを確認する。襲撃などなかった、このしあわせな一日は何事もなく無事に終わるのだと確信したミルクはのんびりと歩き出し、戦場となった砂浜を離れていく。
かくして幻朧帝国の野望を無事阻止してウシ獣人の幸福な日を守り抜いた猟兵達は、勝利の報告と共にグリモアベースへと帰還したのだった。
大成功
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