8
幻夢の聖遺物を求めて

#バハムートキャバリア #聖遺物


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「バハムートキャバリアにて、とある『聖遺物』の所在が判明しました」
 バハムートキャバリアの世界各地には、かつて滅びし神々の欠片……『聖遺物』が眠っている。強大な魔法の力で持つ者に栄華と破滅をもたらすと伝承される危険なアイテムだが、円卓の騎士達は様々な理由からしばしばこの聖遺物の探索に旅立つ。そして、それはオブリビオンとして復活した百獣族バルバロイ側も同じようだ。

「今回リムのグリモアが発見したのは『幻夢の神鏡』と呼ばれる聖遺物で、人里離れた秘境に築かれた『妖精の隠れ里』で秘匿されています」
 リミティアが予知したのはそれだけではなく、近々その妖精の里に百獣族バルバロイが「その聖遺物こそは我らが信仰する神の骸であり、即ち我らこそが聖遺物の正当な所持者である」という主張をもって襲来する未来が見えたという。これは由々しき事態である。
「主張の真偽がどちらであれ、妖精族は獣騎バルバへの変形能力を失って久しく、百獣族バルバロイ軍団に太刀打ちできるほどの戦力はありません」
 聖遺物という強大で危険なアイテムが、このまま否応なくオブリビオンの手に渡ってしまうのは避けたい。そこで猟兵が先んじて妖精の隠れ里に向かい、百獣族バルバロイの襲来から妖精族と聖遺物『幻夢の神鏡』を守るのが今回の依頼となる。

「妖精の隠れ里へ辿り着く為にはまず、暗く長い洞窟を抜けなければなりません」
 この洞窟は悪しき者を里に近寄らせないための天然の迷路であり、複雑に枝分かれした道のあちこちに妖精たちが「外敵避けの魔法」を施してある。妖精たちも自分らの持つ聖遺物の重要性を理解しているからこそ、よそ者を厳重に警戒しているのだろう。
「天井が低く、通路も狭いため、人造竜騎キャバリアを降りて生身で探索するほかないでしょう」
 まずはここを自力で通り抜けられる者でなければ、里の者らも信用してくれないだろう。音や気配や空気の流れに気を配ったり、魔法やアイテムの力を利用したり。猟兵ならこういった状況への対処法も各自持ち合わせているはずだ。

「無事に里に着いたら、妖精さんたちに事情を説明して、百獣族バルバロイの襲来に備えてください」
 里の聖遺物を百獣族バルバロイが狙っていると聞けば、妖精たちは猟兵の中から「資格ある者」に聖遺物を託し、防衛戦に役立ててほしいと申し出てくる。だが、聖遺物を受け取る資格を示すためには、里で行われる何らかの「試練の儀式」を乗り越えなければならないようだ。
「試練の内容は秘匿されていますが、おそらくは聖遺物にまつわるものでしょう」
 試練を乗り越えて聖遺物の使用許可を得られれば、百獣族バルバロイとの戦いを有利に運べるのは言うまでもない。聖遺物を自分たちの神の骸と主張する百獣族バルバロイたちも、猟兵が聖遺物を使いこなす姿を見れば態度を軟化させるかもしれない。

「隠れ里の聖遺物を狙うのは『サキュバス』という百獣族バルバロイの軍勢です」
 この種族は独特な掟を幾つも持っており、敵の戦意を奪い降参させる戦法を得意とする。百獣族バルバロイの中でも人類に対する憎悪は比較的薄めなので、聖遺物の所有権をかけて正々堂々正面から戦えば、あちらも納得してくれるだろう。
「彼女たちの信仰は尊重されるべきかもしれませんが、聖遺物という強大な力を簡単にオブリビオンに渡してしまうのは、やはり不安が大きすぎます」
 故にこそ、ここはバハムートキャバリアの騎士道精神に則り、双方恨みっこなしで勝者を決めるのが良いだろう。

「聖遺物は誰の元にあるべきなのか、納得のいく決着のために、皆様の力をお貸し下さい」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、バハムートキャバリアの秘境へと猟兵を送り出す。
 隠れ里の妖精たちが守る伝説の聖遺物。騎士道物語にも語られるような、冒険に満ちた探索行が幕を開ける。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはバハムートキャバリアにて、妖精の隠れ里に秘匿された聖遺物を、百獣族バルバロイの襲撃から守る依頼です。

 1章は妖精の隠れ里を目指して洞窟を探索します。
 洞窟の中は複雑に入り組んだ天然の迷路となっており、妖精たちが外敵避けの魔法も施しているので、簡単には突破できません。どんな方法で出口を探すのか、それぞれ工夫してみてください。

 2章は隠れ里にて、聖遺物に認められるための「試練の儀式」を受けます。
 詳細はまだ不明ですが、この試練を達成すると次章にて聖遺物『幻夢の神鏡』を戦闘に使用可能となります。

 3章は『獣騎サキュバス』の軍勢との集団戦です。
 彼女たちは『幻夢の神鏡』を自分たちが信仰する神の骸であると主張していますが、真偽を確かめるすべはありませんし、オブリビオンに簡単に譲っていい品でもありません。
 聖なる決闘トーナメントの伝統と騎士道精神に則り、正々堂々と戦った上で決着をつければ、あちらも納得して引き下がってくれるでしょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
282




第1章 冒険 『洞窟探検』

POW   :    灯りを掲げ、ひたすら前進する

SPD   :    周囲の音や気配に気を配る

WIZ   :    魔法を使い、危険から身を守る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
村崎・ゆかり
それじゃあ行こうか、アヤメ。
クノイチなら野外活動もお手の物でしょ? 上手くいったら、今夜一晩可愛がってあげる。ふふ、顔が赤いよ。

さてと、アヤメに先導を任せつつも、自分でも周囲を観察しながら進まないとね。「暗視」出来るから、無理に松明を使わない方がいいか。
洞窟の様子は、頻繁に誰かが使ってる感じかしら?
アヤメに「霊的防護」の符を渡しておいて、妖精族の仕掛けた魔法的トラップに対処出来るように。もちろん、自分でも同じものを使うわ。

この洞窟自体が、一つの試練なんでしょうね。その辺は、元百獣族バルバロイらしい。
行く手に灯りが見えたら、むしろ要注意。出口と思わせて一番の罠を仕掛けるのは常套手段だもの。



「それじゃあ行こうか、アヤメ。クノイチなら野外活動もお手の物でしょ?」
 いにしえの神の骸たる「聖遺物」を守護する妖精の隠れ里。かの地に通じているという洞窟の入口で、村崎・ゆかり(“紫蘭パープリッシュ・オーキッド”/黒鴉遣い・f01658)は【愛奴召喚】を行った。呼び出されたのは彼女の恋人にして式神である、エルフのクノイチ「アヤメ」である。
「上手くいったら、今夜一晩可愛がってあげる。ふふ、顔が赤いよ」
「そ、そんな……」
 主人からの「ご褒美」を想像したアヤメは頬を赤らめて恥じらうが、やる気が上がったのはひと目でわかる。勇んで先行する彼女のあとに続いて、ゆかりは洞窟の中に入った。日光の差し込む範囲から奥に進めば、その先はもう暗闇が支配する領域だ。

「さてと、自分でも周囲を観察しながら進まないとね」
 アヤメに先導を任せつつも、ゆかりは全て任せきりという訳ではない。暗視のできる彼女は、狭くて暗い洞窟内でも最低限の視界を確保することができた。これなら無理に松明を使わない方がいいかと考え、暗闇のまま探索を進める。
「頻繁に誰かが使ってる感じはなさそうね」
 洞窟の様子を見た限りでは、この辺りを最近誰かが通った形跡はない。隠れ里から外に出てくる妖精も、逆に隠れ里の存在を知って訪ねてくる人間も滅多にいないようだ。いるとすれば、その目的は自分たちと同じ――聖遺物の危険性を考えれば、秘匿を徹底するのは当然か。

「この洞窟自体が、一つの試練なんでしょうね。その辺は、元百獣族バルバロイらしい」
 挑戦者の力量や精神性を確かめる為に試練が課されるのは、この世界だと良くある話だ。隠れ里の妖精に門前払いをくらわないよう、ゆかりもしっかり準備を整えてきた。先行するアヤメには自分が使っているのと同じ霊的防護の符を渡し、妖精族の仕掛けた魔法的トラップに対処出来るようにしてある。
「空気の流れが変わりました。お気をつけください」
 忍びの技術と危機察知能力の高さを活かして、アヤメは魔法の罠に対処しつつ正しいルートを選びだす。洞窟の道は途中で何本にも枝分かれしているが、隠れ里まで通じる道はほんの一部だ。まさに天然の迷路であり、挑戦者の中には二度と日の目を拝めずに死んだ者もいるだろう。自分には頼れるクノイチがいて良かったと、ゆかりは心から思う。

「行く手に灯りが見えますが……」
「むしろ要注意。出口と思わせて一番の罠を仕掛けるのは常套手段だもの」
 変わり映えのない道中に明白な変化があれば、安堵よりも警戒を促す。ちょっと意地の悪い妖精がいれば、この辺りで引っ掛けてくるだろうと。慎重に慎重を期して調べてみれば、その灯りはやはり魔法による幻であり、誘い込んだ者を捕らえる罠も仕掛けてあった。
「お見事です」
「まあね。それじゃ、先に進みましょ」
 恋人からの賛辞に悪い気はしない様子で、微笑を見せつつもゆかりは警戒を緩めない。はっきりとこの目で太陽の光を見るまでは、油断は禁物だ――互いの良き所を活かしあって、クノイチと陰陽師の主従は順調に探索を進めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーク・パンドーラ
戌マスターにおまかせします。かっこいいアーク・パンドーラをお願いします!

 半妖精の聖杯の乙女×タイタニアキャバリア、99歳の男です。
口調は:古風(我、貴殿、だ、だな、だろう、なのか?)
大切な人には:私的(私、~殿、だ、だね、だろう、だよね?)です

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「妖精の里に秘されし聖遺物か。他人事とは思えんな」
 湖の妖精と竜騎士の間に生まれた半妖精にして、聖遺物「パンドーラの箱」の担い手であるアーク・パンドーラ(希望の担い手・f44764)は、聖遺物のもたらす力も脅威もよく理解していた。すでに百獣族バルバロイが聖遺物強奪のために動いているのなら、先んじて確保に向かわなければ。
「だが、この先は人造竜騎で進むのは無理か。慎重に行こう」
 タイタニックキャバリア「エルビス」の操縦席から降りた彼は、仮面で妖瞳を隠した巫女のような格好をしている。
 その視線の先にあるのは真っ暗な洞窟の入口。ここを通り抜けない限り妖精の隠れ里には辿り着けないが、中は天然の迷路であるという。

「数多の絶望が解き放たれようとも。それは箱の中に残された、ただ一つの希望!」
 アークは懐から複雑な文様が彫られたキューブ状の立方体――聖櫃に秘められし力の一部を使い、洞窟探索に役立つ【ただ一筋の光明】を求める。現在の状況に最も即した解決策をひらめく能力だが、その内容は毎回違うものであり、ランダム性が高い。
「……ここには我以外誰もいない。ならば、この瞳を隠す必要もないか」
 しばし黙考してからアークが仮面を外すと、妖しげな光を宿した瞳があらわになる。人や神を惑わすと言われ、彼が封印される一因でもあったが、この場においては有益な能力と言える。聖櫃の加護を受けた彼の瞳は、ユーベルコード【寵姫の瞳】に近い効果を得ていた。

「岩よ、空気よ、闇よ、我に道を示したまえ」
 アークが魅惑の視線を送れば、洞窟そのものが彼の言葉に応える。生命体のみならず無機物や自然現象まで魅了する妖瞳の力だ。岩壁はひとりでに動いて道を作り、不自然に吹く風が正しい道を伝え、闇は彼の視界を決して遮らない。
「感謝する」
 友好的に振る舞う自然物たちに謝礼を述べつつ、洞窟の奥へと進むアーク。妖精が仕掛けた外敵よけの魔法の罠も、すでに妖瞳の虜となっているのか作動しない。隠れ里に向かう彼の道中は、迷路とは思えぬほど順調そのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジニア・ルクスリア
聖遺物。……メガリスみたいなものかしらね?
百獣族の主張の真偽はわからないけれど、オブリビオンである百獣族たちに渡すわけにはいかないわね。

洞窟内部は暗いでしょうから【暗視】の呪文で対応するわね。

洞窟内に妖精の魔法が施されているなら細心の注意を払わないとね。
歩数を数えながら洞窟探索。100歩程歩くごとに【龍脈使い】で周囲の魔力の流れを確認。迷わないように目印も付けておくわね。

『影の蛇の召喚』発動
召喚した『影の蛇』を先行偵察させて、洞窟内に物理的な障害がないか【情報収集】しながら洞窟を進むわ。
足場が悪い場合は【悪路走破・ジャンプ】で突破するわ。

※アドリブ歓迎



「聖遺物。……メガリスみたいなものかしらね?」
 所有者に力と災いをもたらす謎の秘宝。それと似たようなものがヴィルジニア・ルクスリア(甘やかな毒ダークメルヘン・f36395)の出身世界シルバーレインにも存在した。時に所有者だけの問題に収まらない大事件を引き起こすこともあったように、この手の危険物を放置しておくのは得策ではない。
「百獣族の主張の真偽はわからないけれど、オブリビオンである百獣族たちに渡すわけにはいかないわね」
 聖遺物の強奪――あるいは奪還を目論む百獣族バルバロイの軍勢に先んじるべく、妖精の隠れ里を目指す。その行く手にあるのは長い洞窟の迷路だった。日光の届かない暗闇に対応すべく「暗視」の呪文をかけ、ヴィルジニアは探索を開始する。

「洞窟内に妖精の魔法が施されているなら細心の注意を払わないとね」
 規則正しい歩調と歩幅で、ヴィルジニアは自分の歩数を数えながら進む。100歩程歩くごとに周囲の魔力の流れを確認する。悪霊にして魔女、そして龍脈使いでもある彼女なら、地形に仕掛けられた魔法を見逃すことはないだろう。
「もし同じ場所を巡らされていたら、これで分かるわ」
 さらに蛇髪の牙で岩壁にキズと魔力を刻み込み、迷わないように目印も付けておく。これを100歩ごとに繰り返すことで、彼女は自身の探索過程を堅実なものとしていた。これまで現地民でさえ知らなかったほどの秘境と隠れ里だ、いくら警戒しても過剰ということはない。

「行きなさい」
 また、ヴィルジニアは【影の蛇の召喚】で呼び出した『影の蛇』に先行偵察させて、物理的な障害がないか情報収集も行っている。暗い洞窟内では極めて発見され難く、術者と五感を共有することもできるそれらは、斥候にうってつけの使い魔だった。
「そちらの道は行き止まり。あちらの道に入ると、魔法で方向感覚を狂わされるようね」
 枝分かれした洞窟から正解の道を見つけだし、順調に探索を進めていくヴィルジニア。妖精たちが工夫を凝らした外敵避けの魔法も、魔女を欺けるほどではない。となれば残る障害は洞窟そのものの険しさくらいだろう。剥き出しの岩場は不注意だと躓きやすく、湿って滑りやすくなっている所も多い。

「近くを地下水脈でも流れているのかしらね」
 あまり野外歩きに向いてなさそうな服装だが、ヴィルジニアの足は悪路を苦にせず踏破する。足場の悪い場所をぴょんと飛び越え、軽やかな靴音を洞窟に反響させる。先行する影の蛇はすでに、隠れ里の目星を彼女に伝えていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

聖遺物、かぁ♪
信仰に関わるものならそりゃあ簡単には譲れないよね★
なんとか百獣族側にも納得のいく結末になればいいんだけど…♪

徒歩で洞窟を移動するよ♪
洞窟の暗さは【暗視】で、移動は【悪路走破/地形耐性】で対策するね♪
もし妖精達の移動の痕跡を見つける事ができたら、それを【追跡】するのも手かもね♪

UCは『ワタシの情報収集結界』★
このUCで洞窟内の情報を集めるよ♪



「聖遺物、かぁ♪ 信仰に関わるものならそりゃあ簡単には譲れないよね★」
 闇の簒奪者にして神の蒐集者と称されるクローネ・マックローネ(ダークネスデウスエクスを従える者・f05148)だが、祖先からの伝統に基いた信仰心を軽視するつもりはない。聖遺物が神の骸であるとの伝説が事実であるのなら、百獣族バルバロイには何物にも代えがたい価値を持つだろう。
「なんとか百獣族側にも納得のいく結末になればいいんだけど……♪」
 その信仰は悪ではないが、使い方によっては危険な品物をおいそれとオブリビオンに渡せないのも事実。なんにせよ実物を確かめないことには落とし所の探りようもないわけで、そのためにクローネは妖精の隠れ里を目指すのだった。

「わぁ、思ったより暗くて狭ーい♪」
 隠れ里に通じる洞窟の幅は、徒歩で人が歩けるくらいしかない。キャバリアなどの乗り物は当然使用できず、松明等がなければ視界の確保もままならない暗さだ。もっとも、そのどちらもクローネにとっては大した問題ではない。こうした悪路や険しい地形の対策には慣れているし、暗視能力があるので照明も不要だ。
「もし妖精達の移動の痕跡を見つける事ができたら、それを追跡するのも手かもね♪」
 足跡や落とし物が残ってないか地面を注視しつつ、天然の迷路をピクニックのような足取りで進む。とはいえ、そう簡単にゴールが分かるとは思っていない――聖遺物が悪人の手に渡らないようにするのが隠れ里の役目なら、そこまでの道程は徹底的に秘匿されていると考えるのが筋か。

「ここは【ワタシの情報収集結界】の出番だね★」
 技術のみの探索に行き詰まりを感じると、クローネはユーベルコードを発動。自身を中心とした結界を張り、その内部で発生する音や匂いや気配はど、あらゆる情報を感知する。索敵や偵察まで含んだ多目的な用途に活用できるよう、彼女が独自に編み出した術式だ。
「この術ひとつで広範囲の情報収集が楽にこなせるよ♪」
 範囲内に物理的な痕跡はほとんど残ってない。だがクローネの情報収集結界は、足跡を消したあとの痕跡やかすかな匂いの残滓まで感知し、かつてここを通った妖精の移動経路を浮き彫りにする。おそらくはその際に施したのだろう、外敵避けの魔法の位置まで丸わかりだ。

「痕跡はこっちに向かってるね♪」
 引き続き情報収集結界を維持したまま、妖精の痕跡を辿るクローネ。その様子はまるで獲物を追跡する猟犬のよう。
 途中、いくつもの分かれ道に行き当たることになるが、彼女は一度も行き止まりにぶつからず、順調に隠れ里に近づいていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォス・アークライト
天然の迷路か、レントの奴なら…

過去の回想

『仕方ない、真っ直ぐ突っ切るか』
レントの奴は僕を背負いクラウチングスタートの体勢をとり
ちょっ?!
昔、同じ状況に遭遇しまばたきしている間に洞窟の壁を貫通し目的地に辿り着いた


いや、真似できるかー!あの時は追っ手を撒くためだったけど今は駄目!てか真似できる訳無いし!
といいつつUCを発動
心眼で周りを見つつ次元鬼龍の超越次元能力で外敵避けの魔法を無視してルートを探す

外敵避けの魔法は解除しないようにしないとね…
超越次元能力と念動力で回転させているエネルギー弾で出口の空気などを探り移動する

しかし試練の儀式か…一体どんな事するんだろう?
と考えながら隠れ里を目指すのだった



「天然の迷路か、レントの奴なら……」
 長く暗い洞窟を目の前にしたフォス・アークライト(チーム『オーガペルソナ』の副リーダー・f44468)は昔、同じような状況に遭遇したことがあったなと過去を振り返る。思い出の中に攻略のヒントがあるかと思い、当時の記憶を回想してみるが――。
『仕方ない、真っ直ぐ突っ切るか』
『ちょっ?!』
 それはフォスの親友「レント」が生きていた頃の出来事。彼はフォスを背負いクラウチングスタートの体勢を取り、まばたきしている間に洞窟の壁を貫通して目的地に辿り着いた。確かにそれが出来るのであれば、物理的に最短ルートには違いないが――。

「いや、真似できるかー! あの時は追っ手を撒くためだったけど今は駄目! てか真似できる訳無いし!」
 あまりにも脳筋極まる思い出にツッコミを入れ、フォスは別の攻略法を考える。親友にしかできない事があるなら、当然彼にしかできない事もある。フォスフォフィライトのクリスタリアンである彼にはもう一つ、【次元鬼龍ヴァニティ・フォース・ディザスター】の姿があった。
「今はこの力を使うのがいいかな」
 ユーベルコードを発動したフォスは髑髏の装甲を持つ黒い鬼龍に変身し、肉眼ではなく心眼で周りの様子を見通す。
 これなら光源のない洞窟内でもはっきりと道が分かる。隠れ里の妖精たちが仕掛けた外敵避けの魔法の位置までも。

「外敵避けの魔法は解除しないようにしないとね……」
 それは確かに猟兵にとっても障害だが、本来はよからぬ人間や百獣族バルバロイを里に寄せ付けないためのもの。今後の事まで考えれば残しておいたほうが良いだろうと、フォスは次元鬼龍の超越次元能力を使って、外敵避けの魔法をスルーする。
「出口はこっちの方かな……?」
 さらに彼は次元能力と念動力を組み合わせ、回転するエネルギー弾を生み出して、洞窟内の空気の流れなどを探る。
 迷路のように分岐した洞窟内に微かにでも風が吹いていれば、そちらが出口に繋がっている可能性が高い。ルートが判明すればあとはひたすら歩くだけだ。

「しかし試練の儀式か…一体どんな事するんだろう?」
 隠れ里の妖精から聖遺物を任されるには、資質を確かめる試練を受けなければならないという。その内容は外部には秘密にされているが、おそらくこの洞窟を攻略する以上に難しいだろう。だが、どんな試練であれクリアするしかない――そんなこと考えながら、フォスは隠れ里を目指すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
人に造られし竜の騎士バハムートキャバリア! ド派手でつよつよでいいですわね~!
AIのドラゴン、ドラゴンプロトコルとしては興味深いですわ~!!
いずれわたくしの専用機を手に入れた時のため、予習と参りましょう!

迷宮洞窟? 古式ゆかしい趣きがありますわねぇ
このラビリンスドラゴンにどこまで通用するのか、試してさしあげますわ~!
高笑いをあげながら踏み入り、【大声】の反響を利用して地形をスキャニング!(情報収集)
砂利で巧妙に隠しているようですが、床に僅かな隙間を発見! 踏んだら開く落とし穴ですわね!
避け――た先に罠のスイッチ! しかし【龍の叡智】は見抜いておりますわ!
この調子でいきますわよ~!



人に造られし竜の騎士バハムートキャバリア! ド派手でつよつよでいいですわね~! AIのドラゴン、ドラゴンプロトコルとしては興味深いですわ~!!」
 架空の存在とされる「竜」を模し、人類が百獣族バルバロイと戦うために生み出した決戦兵器。そこにミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)がロマンを感じたのも不思議ではないだろう。人造の竜としての親近感もあるのかもしれない。
「いずれわたくしの専用機を手に入れた時のため、予習と参りましょう!」
 この世界のキャバリアは貴重品だが、冒険を続けていれば自分だけの愛騎に巡り合う機会もあるだろう。それまでに経験と実績を積むべく、彼女は聖遺物を守護する妖精の隠れ里を目指す。この手のクエストはゴッドゲームオンラインでもままあるタイプだ。

「迷宮洞窟? 古式ゆかしい趣きがありますわねぇ」
 まさに「ダンジョン」と言えばド定番のひとつである洞窟に「お~っほっほっほ!」と高笑いをあげながら踏み入るミノア。べつに考えなしに騒いでいる訳ではなく、大声の反響を利用して地形をスキャニングするのが目的だ。迷宮のボスにして開発者である彼女は、当然迷宮の攻略法にも精通している。
「このラビリンスドラゴンにどこまで通用するのか、試してさしあげますわ~!」
 複雑に枝分かれした洞窟をマッピングしたミノアは、自信満々の様子で探索開始。ここはただの天然洞窟ではなく、妖精たちが施した外敵避けの魔法があるというが――要するにトラップの類なら、彼女も何万回と仕掛けてきている。

「砂利で巧妙に隠しているようですが、床に僅かな隙間を発見! 踏んだら開く落とし穴ですわね!」
 自分ならこの辺に仕掛けますわね、と思った所にトラップの痕跡を見つけて、ミノアの瞳がきゅぴーんと光る。故郷ではポンコツ扱いされるが、基本スペックは高いしやる時はやるのが彼女だ。純白の姫ドレスを翻し、トラップの上を華麗にジャンプ。
「避け――た先に罠のスイッチ! しかし【龍の叡智】は見抜いておりますわ!」
 相手を油断させてから刈り取る二段構えのトラップも、余裕をもって難なく回避。ダンジョン攻略とはある意味で、挑戦者と製作者の思考の読み合い――ドラゴンプロトコルの膨大なリソースを割いた戦闘演算にかかれば、百手先まで読み切ってみせる。

「この調子でいきますわよ~!」
 すっかりノリノリのミノアは高笑い式エコーロケーションを繰り返し、マッピング範囲を広げながら探索を続ける。
 経験とスペックを兼ね備えた彼女に並大抵の迷宮では太刀打ちできない。隠れ里に向かう足取りは、ほぼ最短ルートを突き進んでいた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玄羽・レン
◆SPD
妖精に神鏡ですか、見聞の為にも随行を
特に聖遺物は、戦後じっくり調べてみたいですね

闇は〔ORT(右目用モノクル形態)〕の〈暗視〉機能で克服
繰り出すはUC【影繰り乙女】…先日は諜報のノウハウとして
今回は斥候の為に培われた各種技術として披露しましょう

〈錬金術〉で〈偵察〉用宝珠を多数錬成して〈切り込み〉させます
損耗を無視できる人海戦術と〈戦闘演算〉で洞窟内の〈情報収集〉

『外敵避けの魔法』には〔FZK〕を活用
宝珠の齎す情報から〈魔術知識〉にで挙動を解析後
〈認識阻害/応用力〉にて探知から完全に隠れます

必然的に悪路を踏破する必要も出ますが躊躇はしません
クレバス等の地形も〈軽業〉で華麗に乗り越えますよ



「妖精に神鏡ですか、見聞の為にも随行を」
 自然豊かな土地で精霊と共に暮らし、人前には滅多に姿を見せないという妖精族。彼らの実際の生活を見られる機会であり、また「聖遺物」と呼ばれる希少なアイテムのひとつを調査できる機会ということもあって、玄羽・レン(『元』対歯車のコッペリア・f44108)は知的好奇心から名乗りを上げた。
「特に聖遺物は、戦後じっくり調べてみたいですね」
 百獣族バルバロイが奉じる神々の骸とも言われ、強大な力を宿す一方で、所有者に呪いと災いをもたらすとされる聖遺物。魔法使いとして一度実物を調査したいと思うのは自然だろう。そのためにもまずは隠れ里に辿り着き、妖精たちに認められなければならない。

「こう見えて【病院】では、斥候や諜報にも就いていました」
 昔取った杵柄を活かして、【影繰り乙女】は探索を開始する。右目に装着したモノクル型戦闘用HMD「智姫の双輪」の暗視機能で、洞窟の闇は克服できる。モノクロの視界に浮かび上がった地形は狭く複雑に入り組んでいて、天然の迷路と呼ぶにふさわしい。
「なかなか攻略し甲斐がありそうですね」
 先日は別件で諜報のノウハウを活用する機会があったが、今回は斥候の為に培われた各種技術を披露しましょうと、レンは手のひらに乗るくらいの大きさの球体を多数取り出す。錬金術で錬成した偵察用宝珠だ。まずはこれを先に切り込みさせて、洞窟内の情報を得る。

「これなら、もし壊れても大した出費ではないので」
 損耗を無視できる人海戦術と持ち前の戦闘演算を駆使し、洞窟の地形構造を把握するレン。分岐した道のほとんどは行き止まりで、外に繋がっているのはごく一部だ。それが分かってしまえば後は出口まで歩くだけ――とはいかない。
「妖精の魔法も油断はできませんからね」
 偵察用宝珠のもたらした情報から、この先には多数の魔力反応があるのが判明している。里と聖遺物を秘匿するために施された外敵避けの魔法に対しては、可変式装甲コート「フランツィスカ」の使い所だ。収納・飛翔等様々な機能を持つ装備だが、今回有用なのは装着者の隠匿機能だ。

「ここからは慎重に進みませんと」
 レンは豊富な知識で施された魔法の挙動を解析すると、認識阻害の魔術と隠匿機能の応用で探知から完全に隠れる。
 外敵避けに引っかからないように移動しようとすれば、必然的に悪路を踏破する必要も出てくるが、躊躇はしない。
(乗り越えてみせますよ)
 地下水でぬかるんだ足場やクレバス等の地形も、華麗な軽業でクリアしていくレン。これもまた経験のなせる技か。
 暗闇に溶け込む影法師のように、魔法使いの斥候は音もなく洞窟迷宮の攻略を進め、妖精の隠れ里に迫るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
バハムートキャバリア、巨大な鎧を纏う騎士の世界。
随分と行儀の良い世界らしいが……さて、果たして当方のような粗暴な騎士は妖精のお眼鏡に適うのやら。

【錬成カミヤドリ】
100を超える複製鎧を自身より先行させ【情報収集】
外敵避けの魔法とやらが働けば複製鎧の歩みが逸れ、自然と進路に『穴』が出来る筈だ
冑に仕込んである内蔵記憶魔石装置による【瞬間記憶】も併せてマッピンングしていく
虱潰しな探り方だ、足で進むには難儀な局面に当たるやもだが……青く燃える鉛の翼による【空中浮遊】や極論、黄金魔剣による【地形破壊】で進もう



「バハムートキャバリア、巨大な鎧を纏う騎士の世界。随分と行儀の良い世界らしいが……さて、果たして当方のような粗暴な騎士は妖精のお眼鏡に適うのやら」
 外見や立ち居振舞いはいかにも騎士然としたルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)だが、彼の来歴は必ずしも誉れや栄光に満ちていた訳ではない。強大な敵を討つために、時には騎士らしからぬ戦法を取ることもあっただろう。どちらかと言えば形式より実を重んじるタイプだ。
「ここで悩んでも仕方がないか。往くしかあるまい」
 それでも、聖遺物を守護する妖精が百獣族バルバロイに襲われると知りながら無視するのは、それこそ道義に反する。たとえバハムートキャバリアにおいては異端だとしても、己の中にある騎士道精神に基き、黒騎士の鎧は隠れ里の救援に向かうのだった。

「猶予がどれだけあるかも分からん、多少強引にいこう」
 洞窟に入ったルパートは【錬成カミヤドリ】を発動し、100を超える複製鎧を自身より先行させて情報収集を行う。
 外見はルパート本体の黒騎士鎧と変わらないが、戦闘力その他の技能まで同じとはいかない。これらはあくまで地形とトラップを把握するための捨て駒だ。
(外敵避けの魔法とやらが働けば複製鎧の歩みが逸れ、自然と進路に『穴』が出来る筈だ)
 違いが分かりやすいようになるべく頭数を多く出し、分岐があれば全ての通路に鎧を進ませる。さらに冑に仕込んである「内蔵記憶魔石装置」による瞬間記憶能力も併せれば、精度の高いマッピンングが可能になる。迷宮攻略における人海戦術の有用性がよく分かる探索法だ。

「虱潰しな探り方だ、足で進むには難儀な局面に当たるやもだが……」
 魔法や地形の問題で「穴」が分かって、なおかつ先に進むためには避けられない場合。ルパートは青く燃える鉛の翼を体内から形成し、洞窟の天井に頭を打たない程度の高さまで浮遊して進む。地面に施された外敵避けや悪路などは、これで問題なく回避できる。
「ここは切り開くか」
 極論、彼の手にする「黄金魔剣ルパート」にかかれば、大抵の障害物は力ずくで破壊可能だ。青い炎を纏った斬撃が行く手を阻む岩石を溶断し、進路を拓く。隠れ里の妖精たちも、彼ほどの豪傑が訪ねてくることは想定していなかったかもしれない。

「さて、もう一息か」
 複製鎧の大軍と共に、快調な進撃を続けるルパート。外に近付いているのか、微かに風を感じるようになってきた。
 ここで気を緩めず、むしろ警戒を強めてこその騎士。彼は慎重な動きで鉛の青翼を羽ばたかせ、先に進むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
伝説の聖遺物か。ぜひ、見てみたいな。そのためにも挨拶に行かないとね。

外敵避けの魔法か。これも興味あるな。あえて受けて、解析したいな。

これは……洞窟が入り組んでいるだけでなく、認識阻害で同じところをまわるようになってるのかな。
だったら、ここをこうすれば、本当に敵意がある相手だけを迷わすようにできるよっと。

さすが新世界、魔法形態が違ってて楽しいな。



「伝説の聖遺物か。ぜひ、見てみたいな」
 様々な世界を渡り歩いて『物語』を食べているアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)が、騎士道物語の題材に興味を持たないわけがない。人里離れた秘境で妖精に守護されてきた、祝福と呪いをもたらす神の骸――なんてロマンに満ちた響きだろう。
「そのためにも挨拶に行かないとね」
 もちろん妖精たちにとっては猟兵も、聖遺物に近付く不審者には違いない。隠れ里までの道程は長い洞窟に阻まれており、内部は暗く複雑な迷路になっている。さらには妖精の施した外敵避けの魔法までかかっているのだから、普通の人間なら里を目にすることもできまいが。

「外敵避けの魔法か。これも興味あるな。あえて受けて、解析したいな」
 好奇心旺盛なアリスは臆した風もなく、罠も警戒せずにずんずん洞窟を進む。よりドラマティックなお話を食べたい【物語中毒】の彼女は、その為に敢えて不利な行動を取ることもある。自身のリスクよりも「美味しさ」が最優先だ。
「これは……洞窟が入り組んでいるだけでなく、認識阻害で同じところをまわるようになってるのかな」
 しばらく探索しているうちに、アリスはすでに魔法をかけられている事に気付く。試しに洞窟の壁に目印を付けて、壁に手を当てながら歩いてみると――やはり、同じ目印の場所に戻ってきてしまう。どうやらこの付近一帯から先には進ませたくないようだ。

「だったら、ここをこうすれば、本当に敵意がある相手だけを迷わすようにできるよっと」
 身をもって解析を完了したアリスは、杖を片手にちょいちょいと虚空をなぞり、洞窟に施された魔法そのものを書き換え始める。情報妖精である彼女にとっては術式も情報のカタマリであり、コンピューター・プログラムのように内容を変更するのは造作もない。
「さすが新世界、魔法形態が違ってて楽しいな」
 奇しくも「妖精」と呼ばれる者同士ではあるが、アリスとバハムートキャバリアの妖精は別の種族だ。自然や物品に籠められた精霊力を操るという妖精の魔法は、彼女にとって大変興味深く、また弄り甲斐のあるもので。まるで新しいおもちゃを見つけたような笑顔だ。

「これでよしっと」
 ほどなく魔法の書き換えを完了させたアリスは、さっきと同じ道を歩きだす。今度は元いた場所に戻ることはない。
 彼女の心を動かすのは子供のように純粋な好奇心と食欲であり、敵意はない。ゆえに改変後の魔法が彼女を迷わせることもないのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星詠・黄泉
…始めるか
と洞窟を探索する

天然の迷路か…まずは出来る事をやろう
まずは電撃を纏ったオーラ防御を展開し心眼で周りを観察しつつ慎重に進む

…迷ったどうしようか
探索技能を振っていなかった事を後悔しつつも再び心眼で周りを観察してみる(足跡等を探してみる)

…せめて隠れ里へ向かわねば、新しいユーベルコードを試してみるか
UCを発動し次元神眼と迷宮無効化で出口を探す

何とかなりそうか?
と見つけた出口へ向かおうとすると出口ではなかった

幻術無効化がここで役に立つとはな
UCが無かったらおそらく引っかかっていたが気にせず出口へ向かう事にした

昔から戦闘以外はポンコツと言われていたので仲間のこのUCを無理矢理覚えさせられていた



「……始めるか」
 ぽつりと呟いて、暗い洞窟の中に入っていくのは星詠・黄泉(星を駆ける剣豪・f43659)。聖遺物と妖精を百獣族バルバロイの襲来から守るには、ここを抜けて隠れ里にたどり着かねばならない訳だが――いざ挑んでみれば洞窟の規模は予想以上に大きく、狭く曲がりくねった道がずっと奥まで続いている。
「天然の迷路か……まずは出来る事をやろう」
 まずは電撃を纏ったオーラ防御を展開し、心眼で周りを観察しながら慎重に進む。これなら視界の悪さは大した苦にならないし、不意の奇襲を受けたとしても対策できる。長い年月を生きた剣豪らしく、その立ち振舞に隙は全くない。

「……迷ったどうしようか」
 しかし黄泉には極度の方向音痴という弱点があった。剣の修行にかまけて探索に役立つ技能を学んでいなかった事を後悔しつつも、彼女はもう一度心眼で周りを観察してみる。先にここを通った者の足跡でも見つかれば、手がかりになるのだが。
「……せめて隠れ里へ向かわねば」
 痕跡が消されているのか、外敵避けの魔法が邪魔をしているのか、探索結果は芳しくない。さっきから同じ所ばかり回っているような気がする。このままでは折角の剣腕を振るう機会もなく、すごすごと引き返すことになってしまう。

「新しいユーベルコードを試してみるか」
 状況打開のために黄泉は雷纏い『探索』を発動。身に纏ったオーラの性質を変化させ、次元神眼と幻術・迷宮無効化能力を得る。昔から戦闘以外ポンコツだと言われていたため、仲間に無理矢理覚えさせられていたユーベルコードだ。
「何とかなりそうか?」
 さっきまでと違って堂々巡りの感覚がなくなった。迷いない足取りで歩いていくと、やがて洞窟の先に光が見える。
 あれが出口かと思って近付こうとすると、雷のオーラがバチバチと反応する。思わず黄泉がまばたきすると、前方にあったはずの光は消え、そこにはただ岩の壁があった。

「幻術無効化がここで役に立つとはな」
 今のも妖精が施した外敵避けの魔法のひとつだろう。ユーベルコードが無かったらおそらく引っかかっていただろうなと思いつつ、黄泉は気にせず本当の出口へ向かう。これでポンコツの汚名も多少返上できただろうか、ひとまず目的地には辿り着けそうだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『酒池肉林の花園』

POW   :    気合を入れて自らを鼓舞する

SPD   :    幻影が見せる幸福な景色の違和感に気付く

WIZ   :    何らかの手段で幻影を破る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「……あら。この里を人が訪ねてくるなんて、いつぶりかしら」

 長い洞窟の迷路を抜けた猟兵たちは、ついに妖精の隠れ里を発見する。
 こんこんと清水の湧き出る泉を中心に、自然と溶け込むように作られたその集落には、十数名ほどの妖精がひっそりと暮らしていた。

「はじめまして、お客人。この里になんの御用かしら?」

 里長らしき威厳ある女性の妖精が、代表して用件を尋ねてくる。
 口調は丁寧だが多少の警戒を感じられるのは無理からぬことか。

 不審感を払拭するためにも、猟兵たちはここに来た事情を説明する。
 近いうちに百獣族バルバロイの軍勢が聖遺物奪還を掲げてこの里に襲来する。それを阻止するために来たのだと。

「まあ……それが事実であれば、里の危機ですね……」

 獣騎バルバへの変形能力を失って久しく、人造竜騎キャバリアも持たない妖精に、百獣族バルバロイと戦う力はない。
 話を聞いた里長は他の妖精たちと何やら相談を交わし――やがて意見がまとまった様子で、改めて猟兵たちを見る。

「であれば、我が里が隠し持ってきた聖遺物は資格ある者にお渡ししたいと思います。あなた方の中にその資格を持つ者がいるか、試練の儀式を受けていただけますか?」

 聖遺物の所有者たる資格を問うために、里で行われる「試練の儀式」。
 それは妖精たちが猟兵を信頼するに足る人物なのか、見極める意味もあるのだろう。

「こちらにどうぞ」

 妖精たちに案内された先に安置されていたのは、ちょうど人間ひとりを映せるサイズの大きな鏡だった。
 これが聖遺物『幻夢の神鏡』。強大な力と災いをもたらすとされる、神の骸とも言われる呪いのアイテム。

「この鏡は覗いた者の心に秘めた欲望を映し、堕落に誘う幻影を見せます。その幻影を打ち破るのが試練の内容です」

 試練に挑む猟兵は、まるで酒池肉林の花園のような、あらゆる欲望が満された豪奢な生活を送る自分の姿を、鏡の中に見るだろう。この誘惑に屈しない強靭で高潔な精神の持ち主でなければ、聖遺物を受け取る資格者にはなりえない。

 受けるか否かは各自の自由。だが、ここで妖精たちの信を得て聖遺物を託されれば、百獣族バルバロイとの戦いも有利になる。
 隠れ里にしつらえられた祭壇にて、聖遺物『幻夢の神鏡』は試練に挑む者を待っている――。
ミノア・ラビリンスドラゴン
堕落の幻影?
わたくしにそんな単純なトラップが……

金銀財宝にトリリオンの山ですわ~!!(欲望開放)
これは3年復刻されていないコラボイベントの限定スイーツ!!
あちらには神話級レジェンドレアの武具!!
おほ~!! 根こそぎわたくしのものですわ~!!
あら! こちらには……………………黄金瞳の白銀龍のカード(スン……とする)
黄金瞳は天上天下に唯一無二、ラビリンスサーバー最強のドラゴン
そう、わたくしの手にあるこの一枚のみ!!
たとえ幻であろうと複製は赦しませんことよ!!
黄金瞳の白銀龍ゴールデンアイズ・シルバードラゴン】召喚!!
無礼な幻影を打ち砕きなさい! 爆裂閃光破ブラストストリーム!!!



「堕落の幻影? わたくしにそんな単純なトラップが……」
 余裕綽々の表情で、ミノアは『幻夢の神鏡』の前に立つ。この聖遺物が映し出す欲望の幻影を打ち破ることが、妖精たちから出された試練の儀式。当然、幻だと分かっていれば引っかかるはずがないとタカをくくっていたのだが――。
「金銀財宝にトリリオンの山ですわ~!!」
 目の前に現れた幻を見た途端、彼女は秒で陥落した。まるで本物と見分けがつかないキンキラキンの輝き。どれだけダンジョンを拡張しても使い切れないほどのトリリオン。金目の物が大好きなドラゴンらしい、実にシンプルな『酒池肉林の花園』だった。

「これは3年復刻されていないコラボイベントの限定スイーツ!! あちらには神話級レジェンドレアの武具!!」
 ミノアの前に出てきたのはただの金銀財宝だけではない。ゴッドゲームオンラインで極めて入手困難なレアアイテムの数々――トリリオン価値に換算すれば天井知らずのお宝まである。バハムートキャバリアの聖遺物がこれらの幻影を見せられるのは、鏡を覗く者の欲を読み取っているからだろう。
「おほ~!! 根こそぎわたくしのものですわ~!!」
 すっかり欲望に呑み込まれてしまったミノアは、ウッキウキで財宝を鑑定し、全てアイテムボックスにしまいこもうとする。儀式のことは頭から抜け落ちてしまったのだろうか。果たして試練を課した妖精たちは、この有り様をどう見ているのやら。

「あら! こちらには……………………黄金瞳の白銀龍のカード」
 が。ハイテンションで財宝回収にいそしんでいたミノアが、ある一枚のカードを見た途端にスン……とする。無言で自分のカードデッキをごそごそドローすると、目の前にあるのと同じカードが出てくる。その名の通り、黄金の瞳が特徴的な美しい白銀のドラゴンだ。
「黄金瞳は天上天下に唯一無二、ラビリンスサーバー最強のドラゴン。そう、わたくしの手にあるこの一枚のみ!! たとえ幻であろうと複製は赦しませんことよ!!」
 世にいう「レアカード」とは、存在する枚数が限定されているからこそ価値が高まる。その価値を落とす不正コピーは、コレクターにとっても言語道断だ。怒りで我に返ったミノアは本物のカードを高々と掲げ、威風堂々と宣言する。

「【黄金瞳の白銀龍ゴールデンアイズ・シルバードラゴン】召喚!!」
 金銀財宝とトリリオンの山を吹き飛ばしながら、召喚される白銀のドラゴン。ミノア・ラビリンスドラゴンが誇る最強のしもべは、ただのデータの域に収まらない迫力を放っていた。それは、ぬか喜びをさせられたミノアの怒りの具現である。
「無礼な幻影を打ち砕きなさい! 爆裂閃光破ブラストストリーム!!!」
 その顎から超絶威力のブレスが解き放たれれば、全ての幻は光の中に消えていく。どんなにリアルに見えてもタネが割れてしまえば儚いもの。気付けばミノアは元いた場所に立っていて、鏡はただ彼女のありのままの姿を映していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
酒池肉林の幻影ねぇ。
『幻夢の神鏡』がそれを映すというなら、あたしはこうするまでね。
眷属召喚と羅睺召喚で、アヤメとゆりゆり、羅睺の三人を喚び出して、全員で「脱衣」して、『神鏡』の前で組んずほぐれつ。
『神鏡』が映し出す以上の欲望を、現実にしてみせればいい。
四人でまぐわい合い、愛を買わしていれば、『神鏡』が見せる幻影なんて、気にもならなくなるわ。

アヤメ、ご褒美の時間が早くなっちゃったわね。嬉しい?
羅睺はあたしたちを好きなように貪って。全部搾り取ってあげるから。
ゆりゆりは、里の人に影響を及ぼさないでね。相手はあたしたちだけよ。

さあ、『幻夢の神鏡』はこれにどう応えるかしら? 果てたあとのお楽しみね。



「酒池肉林の幻影ねぇ。『幻夢の神鏡』がそれを映すというなら、あたしはこうするまでね」
 普段から自分の欲望に忠実なゆかりには、聖遺物が見せる幻もおおむね予想が付いていた。その内容を予め再現するかのように、彼女は【眷属召喚】と【羅睺召喚】で自分の眷属や式神――クノイチのアヤメと淫魔のゆりゆり、神霊の羅睺を喚び出すと、全員で服を脱ぎだした。
「なっ、なにを……???」
「『神鏡』が映し出す以上の欲望を、現実にしてみせればいい」
 隠れ里の妖精たちは動揺しているが、これが彼女の考えた試練の攻略法だ。四人でまぐわい合い、愛を交わしていれば、神鏡が見せる幻影なんて、気にもならなくなる。そういう訳でゆかりたちは人目をはばかることもなく、神聖なる聖遺物の前で組んずほぐれつを始めた。

「アヤメ、ご褒美の時間が早くなっちゃったわね。嬉しい?」
「はっ、はいぃ……♪」
 洞窟探索の時点ですでに興奮を昂らせていたアヤメは、主の手練手管にされるがまま。与えられる快楽を享受して何度も絶頂に達する。探索中の頼もしさはどこへいったのやら、仔猫のように喘ぐクノイチをゆかりは存分に愛で倒す。
「羅睺はあたしたちを好きなように貪って。全部搾り取ってあげるから」
「言われるまでもないね」
 そして、ゆかりが霊力を振り絞って顕現させた神霊の式神は、目の前にいる三名の美女たちを遠慮容赦なく攻める。
 式神の中でもかなり召喚の負担が大きいものを、こんな事のために使って後々まで保つのかという疑問はあるが――それだけ試練の攻略を重く見たということかもしれない。少なくとも本人らは誰も悪い気はしてなさそうだ。

「ゆりゆりは、里の人に影響を及ぼさないでね。相手はあたしたちだけよ」
「わかりました。みられながらするのもこうふんします」
 そして、召喚された三体で最も淫蕩で危険と言えるのがゆりゆりだ。ゆかりの記憶を元に骸の海から呼び覚まされた揺籠の君の「いんよくのかぜ」は、無差別に使わせると大惨事を引き起こしてしまう。その薫風にて淫欲を高められたゆかりたちは、ますます激しく、獣のように互いの体を貪りあう。
(さあ、『幻夢の神鏡』はこれにどう応えるかしら? 果てたあとのお楽しみね)
 ゆかりが冷静な思考を保っていたのもこの辺りが限界だった。いんよくのかぜが吹き荒れる中、ただ本能のまま情事に没頭し、体力が尽きるまで愛し愛される。最初から見向きすらされない聖遺物は、この光景に勝る幻を作り出せるのだろうか――おそらく無理であっただろうことは、その後の結果が証明していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

これが例の聖遺物だね♪
さて、何が映るのかな…♪

『幻夢の神鏡』の試練を受けるね♪
美男美女を侍らせ、甘いお菓子を幸せそうに食べる自分が鏡に映るよ♪
【鼓舞/精神の余裕/勇気/集中力/回復力】で自身を鼓舞して幻影を打ち破るね★
クローネちゃんは高潔さには欠けてる(らしい)けど、この程度の誘惑には(今度別の場所で満たすから)屈さないよ♪

UCは『クローネちゃんの愛用品★』★
【鼓舞】技能を100レベルにするよ♪



「これが例の聖遺物だね♪ さて、何が映るのかな……♪」
 覗きこんだ者の欲望を映し、堕落に誘うという『幻夢の神鏡』に、クローネは興味津々の様子だった。普段から周囲にはばからず欲望をオープンにしている彼女に、果たして聖遺物は何を見せてくれるのか。不安などまるでない様子でいそいそと試練を受ける。
「ふーん、こんな感じなんだね♪」
 果たして鏡に映ったのは、美男美女を侍らせ、甘いお菓子を幸せそうに食べるクローネの姿だった。まさに酒池肉林という言葉がぴったりな、欲望に満ちあふれた光景。が、それを見てもクローネ本人はどこか余裕そうというか、物足りなさそうな様子であった。

『ほぉら、おいしいよ♪』
 鏡の中にいるクローネは、本当に幸せそうな表情だ。いくら食べてもお菓子はなくならず、美男美女はみんな彼女のことを甘やかして愛してくれる。いたってシンプルな欲望の具現だからこそ、この光景に心動かされる者は多かろう。だが。
「クローネちゃんは高潔さには欠けてる(らしい)けど、この程度の誘惑には屈さないよ♪」
 その屈さない理由というのも、今度別の場所で満たすからであって欲望に流されないわけではないが――ともあれ、クローネは鏡の幻影に惑わされないように、自分を鼓舞するための新しい【クローネちゃんの愛用品★】を用意する。どんなにリアルに見えても、あれは本物ではない。

「幻じゃお腹は膨れないし、気持ちよくもなれないしね★」
 集中を切らさないよう意識を強く持ち、"この後の予定"を考えて勇気を奮い立たせる。幻影の自分は艶やかな笑みを浮かべて「こっちにおいで♪」と現実のクローネを誘惑するが、どんなに美味しそうなお菓子や美男美女との絡みを見せられても、その誘いに彼女が乗ることはなかった。
「消えてね♪」
『あらら、残念★』
 ニセモノをじっと見つめて拒絶の意志を示せば、幻影は溶けるように消えていく。欲望の花園を打ち破れば、聖遺物はクローネの事を認めたかのように、ありのままの姿を映しだす。思ったよりあっけなかったねと思いながら、彼女は試練の場を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーク・パンドーラ
※アドリブ歓迎

WIZ判定

【作戦】
UCで召喚した妖精姉妹の分霊たちに「邪心耐性、加護、愛を伝える」
の技能をそれぞれ3体づつに与え配置して自身の精神を守らせる。

【心情】
一時の享楽に身を任せても、
やがて人間は慣れてしまいさらなる欲望に身を焦がされる
その行き着く先は破滅でしかない。
喜びとは分かち合い、
互いを満たして幸福にするものでなくてはならないと我は思うのだ。

【UC演出】
懐から取り出した聖遺物を大きくして
コンテナ大の箱になったら上に腰掛けてハープを爪弾く、
すると箱の中から九体の姉妹の幻影が湧き出し
九芒星の位置に配されて合唱を始める



「我の呼びかけに応じよ、九人の姉妹たちよ!」
 聖遺物の試練に挑むにあたって、アークは懐から取り出した聖遺物「パンドーラの箱」を巨大化させ、コンテナほどのサイズになったそれの上に腰掛けて「妖精のハープ」を爪弾く。すると魔力のこもった音色に誘われて、箱の中から9人の美しき妖精たちの幻影が湧き出した。
『La、La、La……♪』
 【九姉妹降霊】にて召喚された妖精姉妹の分霊たちは、アークを中心とした九芒星の位置に配されて合唱を始める。
 彼女らはそれぞれ3人ずつが異なる役割を与えられており、上の三姉妹は邪心を抑え、中の三姉妹は加護を与え、下の三姉妹は愛を歌う。これによりアークの精神を誘惑から守ろうとしているのだ。

「これが我への試練か」
 ハープの演奏を続けながらアークが『幻夢の神鏡』を覗くと、そこには酒池肉林の花園が映し出されていた。鏡の中にいるのは自分だけではなく、大勢の人々が享楽にふけりながらも幸せそうな笑顔を浮かべている。悩みなどひとつもなさそうな、ある意味では楽園の如き光景――だが。
「一時の享楽に身を任せても、やがて人間は慣れてしまいさらなる欲望に身を焦がされる。その行き着く先は破滅でしかない」
 その楽園はただの欺瞞でしかないと、アークははっきりと断言する。妖精姉妹の歌が彼の理性と正常な思考を保ち、判断を誤らせないでくれている。あのように目先の欲を満たすだけの幻影に飛び込んだところで、真の喜びなど得られはしない。

「喜びとは分かち合い、互いを満たして幸福にするものでなくてはならないと我は思うのだ」
 災いをもたらすものとして忌避され、人との関わりを封じられていたアークだからこそ、尚の事強く思うのかもしれない。仮面の下に隠されたその瞳には、曇りなき"希望"が宿っている。どれだけ幻影から誘惑されても、彼は箱の上を動こうとはしなかった。
「我は屈さぬ」
 ひときわ高くハープの音色を響かせれば、呼応するように妖精姉妹の合唱も大きくなり――気がつけばいつの間にか幻は消えていた。聖遺物は沈黙したまま、十名のありのままの姿をただ映すのみ。試練を乗り越えた聖櫃の担い手は、凛々しき表情のまま演奏を終えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星詠・黄泉
…これが私か
鏡の中に居た私は顔が見えない夫と子供と一緒にいた
(昔の人造人間は子供が産めなかった)

レント…君の子を産みたかった
最愛の夫にしてあげられず転生した今も後悔している事だった

むっ…
鏡の自分から声が聞こえてきて耳を塞ぐも意味は無い

不味いか…?
『大丈夫か?』
自身の存在が曖昧になって来た時何処からか声が聞こえてきた

『なあ、キュラ…俺は家族って奴は心とか魂で繋がった人がなるもんだと思っている』
https://tw6.jp/gallery/?id=197813が話かけて来た

『言ったろ、どんな事も受け止めるってよ』
声が消えると私はUCが勝手に発動し電撃を放っていた事に気付いた

ああ…ありがとう、レント



「……これが私か」
 鏡の中にいる黄泉は、顔が見えない夫と子供と一緒にいた。これは覗く者の欲望を映すという聖遺物『幻夢の神鏡』の試練――酒池肉林や金銀財宝のように分かりやすい欲望を掻き立てるものではないのに、彼女の心はその光景に一目で心を引かれた。
『ぱぁぱ、まぁま』
 まだ幼い子供は舌っ足らずな声で父母を呼び、黄泉と夫は幸せそうに笑っている。戦いとは無縁の穏やかな光景――これは前世の記憶に近いが、決定的に違うことがひとつある。スペースオペラワールドでも気が遠くなる程の昔、人造人間として生を受けた彼女には、子供を産む機能がなかった。

「レント……君の子を産みたかった」
 それは最愛の夫にしてあげられず、転生した今でも後悔している事だった。夫婦の愛の結晶のひとつの形とも言える血を分けた我が子を、彼女は遺せぬまま天寿を全うした。その人生は断じて不幸ではなかったが、棘のように刺さった心残りを聖遺物は見逃してくれなかった。
『なあ。君もこの子を抱っこしてくれないか?』
「むっ……」
 鏡の自分から声が聞こえてくる。耳を塞いでも意味は無い。それは優しい声色で、こちら側に来るよう黄泉を誘う。
 もし行ってしまったら、自分は鏡の中の自分とひとつになり、幻影の一部になるのだろうか。たとえ幻だとしても、かつて望んだ幸福がそこにあるなら、悪いことではないのかもしれない――。

「不味いか……?」
『大丈夫か?』
 自身の存在が曖昧になってきた時、何処からか声が聞こえてきた。はっと顔を上げれば、黒い着物姿の男性が鏡の中からこちらを見て話しかけている。見紛うこともない、それは最愛の人――彼女の人生においてもっとも大切な人だ。
『なあ、キュラ……俺は家族って奴は心とか魂で繋がった人がなるもんだと思っている』
 その男は穏やかに笑いながら黄泉に語る。たとえ子供を作れなくても、自分たちにあった家族の絆は揺らがないと。
 血よりも濃い心と魂の繋がりによって、自分たちは確かに結ばれていた。それを思い出した黄泉の瞳に輝きが戻る。

『言ったろ、どんな事も受け止めるってよ』
 男の声が消えた瞬間、ユーベルコード【偽りのMUC オーガ5】が勝手に発動する。鬼の姿に変身した黄泉から電撃が放たれ、鏡の中の幻影をかき消していく――はたと気付けば、聖遺物は何事もなかったかのように、ありのままの姿を映していた。
「ああ……ありがとう、レント」
 転生した今もなお、自分と彼の魂は繋がっている。それを改めて感じた黄泉は、仄かに声を震わせながら感謝する。
 聖遺物の試練を乗り越えた彼女はこれまでよりも一段と力強く、凛々しき信念を抱いて立ち上がったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジニア・ルクスリア
隠れ里に住む妖精たち、聖遺物のこともあるから猟兵のことを警戒するのは仕方ないわね。
聖遺物の所有者の資格とかはともかく、妖精たちの信頼を得る為にも『試練の儀式』に参加するわ。

試練では神鏡に心に秘めた欲望が映し出されるけど……嫌な予感がするわね。
神鏡を覗くと見えてきたのは、堕落に誘うどころか精神を汚染するようなR-18Gエログロな宴。
神鏡には今の私の欲望でなく、魂の奥底に封じられたパフュームリリス過去の私の欲望が映し出されていた。

不愉快ね。
猟兵として、銀誓館の末席に連なる身として過去の悪行を望むような事は絶対にないわ!
怒りをあらわにしながら幻影を打ち破る。

※アドリブ歓迎



「隠れ里に住む妖精たち、聖遺物のこともあるから猟兵のことを警戒するのは仕方ないわね」
 洞窟の迷路を抜けて突如やって来たよそ者に、いきなり心を開けというのも無理な話だろうとヴィルジニアも思う。
 妖精たちの信頼を得る為には言葉だけでは足りない。聖遺物の力を悪用しない品格と実力を示す必要があるだろう。
「聖遺物の所有者の資格とかはともかく、私も『試練の儀式』に参加するわ」
 そのためにもっとも分かりやすい方法として、ヴィルジニアは儀式に挑む。里の祭壇に安置された『幻夢の神鏡』の前に立つと、鏡面に映された風景が歪みだす。現実ならざる幻影を作り出す、それがこの聖遺物の秘めた力のようだ。

(……嫌な予感がするわね)
 試練では神鏡に心に秘めた欲望が映し出されると聞いていたが、ヴィルジニアが神鏡を覗くと見えてきたのは、堕落に誘うどころか精神を汚染するような、エロティックでグロテスクな宴だった。酒池肉林などという生易しい表現では収まらない――鮮血と臓物でピンク色に彩られたパーティ会場に、むせ返るような血液と淫液の臭い。
『ふふふっ……♪』
 その狂った宴の中心で美男美女を侍らせ、血のワイングラスを片手に笑っているのはヴィルジニアによく似た女性。
 だが似ているのは容姿だけの話で、身にまとう妖艶で享楽的な雰囲気は別人のよう。思わず顔を背けたくなるのに、蠱惑的な視線から目を離せない。

「不愉快ね」
 それは今のヴィルジニアの欲望ではない。神鏡は彼女の魂の奥底に封じられたパフュームリリス過去の自分の欲望を映し出したのだ。快楽を得るために人間を惑わし、堕落させ、血肉を啜る忌まわしき抗体ゴースト――本能と欲望をなにより優先するソレと、鏡越しに目が合った。
『あなたも、こっちに来ない?』
「ふざけないで」
 背筋がぞくりとするような猫撫で声。現実の自分さえ魅了しようとする幻の誘惑を、ヴィルジニアは即座に拒んだ。
 アレがかつての自分であり、失われた記憶と魂の中に、今もアレが眠っているのは否定しようのない事実だ。しかしサキュバスとなった現在のヴィルジニアは、すでにあのような欲望とは道を違えている。

「猟兵として、銀誓館の末席に連なる身として過去の悪行を望むような事は絶対にないわ!」
 怒りをあらわにしながら、ヴィルジニアは幻影を打ち破る。その声音には過去の己に負けない誇りと信念があった。
 猟奇と頽廃の宴とともに消えていくパフュームリリスの幻が、最後に『あら、残念。でも……』と囁いた気がした。だがヴィルジニアはそれに耳を貸さず、気付けば神鏡は現実のままの彼女を映していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玄羽・レン
◆SPD
私は錬金術士にしてBC世界の魔法使い
神鏡との親和性が程々高くても資格は別

顕れたのは素敵な男女騎士達の宴
口々に愛を囁く姿で違和感を察しました
これは『ホストクラブ』等の様な幻夢

私の気質には以下の要素があるのです
「寂しがり屋」「愛を欲し恋に恋する」「永遠の乙女」

それは今も同じですが、運が良かったですね…
私の心には、既に一人の殿方がいますから

馴れ初めは口にできない事故のような形
それでも私を熱く優しく受け止めた
私にとっては王子様です

そんな想いが私に力を…誘惑を丁重に固辞して
〔シュガー・プラム〕の〈霊的防護〉を強化

その隙にUC【双銀の輪転】にて〈対歯車〉開封
幻夢の術式を完全に解析/掌握して退けます



(私は錬金術士にしてBC世界の魔法使い。神鏡との親和性が程々高くても資格は別)
 果たして異世界の人間であっても聖遺物は資格ありと認めてくれるのか。それを確かめるためにもレンは試練の儀式に挑むことにした。祭壇に安置された『幻夢の神鏡』の前に立つと、歪んだ鏡像の中からぼんやりと誰かが姿を現す。
『ああ、愛しき君よ。よくぞ戻って来られた』『再びあなたと会える夜を、心待ちにしておりました』
 顕れたのは見目麗しく気品に溢れる、素敵な男女騎士による宴だった。こちらの世界でも見られる宮廷の舞踏会を、より煌びやかにしたような会場で、騎士たちは口々に愛を囁きかけている。その姿からレンはすぐに違和感を察した。

(これは『ホストクラブ』等の様ですね)
 レンの気質には「寂しがり屋」「愛を欲し恋に恋する」そして「永遠の乙女」の要素がある。普段は大人びて要領よく振る舞っていても、ロマンティックな恋に憧れ、愛してくれる誰かを欲する心を秘めているのだ。幼少期や『病院』時代の過酷な日々の反動が、そうした気質を育てたのかもしれない。
「それは今も同じですが、運が良かったですね……私の心には、既に一人の殿方がいますから」
 秘めたる欲望を見透かした聖遺物の幻影に、以前のレンなら堕ちていたかもしれない。しかし今の彼女には、お伽噺のように立派な騎士よりも夢中になれる相手がいた。どんなに甘い言葉を囁かれても、心を占める相手は一人だけだ。

「馴れ初めは口にできない事故のような形。それでも私を熱く優しく受け止めた、私にとっては王子様です」
 そんな想いがレンに力をくれる。騎士たちの誘惑を丁重に固辞して、彼女は〔シュガー・プラム〕の霊的防護を強化した。魂魄を保護する霊子強化ガラス製の構造体は、人造灼滅者の闇堕ちを防ぐ生命線であり、猟兵となった今も魂の純潔を護っている。幻覚攻撃に対しても一定の効果を見込めるだろう。
「何故かつて〈対歯車〉等と呼ばれていたのか、もう一つの由来をお見せしましょう」
 この隙に彼女は【双銀の輪転】にて解体法〈対歯車〉を開封。『病院』と武蔵坂学園に在籍中、ダークネスとの戦いで培われた数々の技能を組み合わせることによって、幻夢の術式を解析・掌握する。神の骸と言われる聖遺物にさえ、彼女の智慧は及ぶのだ。

「……解析完了」
 レンの指先がそっと鏡面に触れると、堕落の幻影が退けられる。騎士たちの姿は夢のように消え、宴席は元の儀式場に戻る。見事に試練をクリアした彼女の表情は明るく、そして頬が少し赤らめているのは、まだ大切な想い人のことを考えているからだろうか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
試練を受けよう
仮初の肉体すら道具無しで出せん手前、酒も肉もさしてとは思うが……

なるほど、こう来るか

見せられる幻影は青く燃える鉛の海に立つ己
己だと認識こそ出来たが鎧内の流動鉛が溢れ出し鎧を飲み込み、巨大な獣かのような有様

即ちこれはあらゆる生命を啜り尽くさんとする、呪いの武具としての欲望
否定は、できない。戦場に臨む当方の行動を突き詰めて辿り着くのは確かにこの光景だ

だがこれでは断ち切るのも容易だな
UC【騎士示すべき克私無想】
己の【騎士道】に由来する【覇気】と【狂気耐性】をもって幻影を凌ぐ

戦うのは弱きを護る為。欲に溺れるのではなく罪こそを背負う。
それが騎士道。当方の、そしてこの世界の進む道行きだろう



「試練を受けよう。仮初の肉体すら道具無しで出せん手前、酒も肉もさしてとは思うが……」
 死した黒騎士の鎧に魂が宿ったヤドリガミの一種であるルパートには、普通の人間が抱える肉の欲望は縁遠いもの。
 故に、覗いた者の欲望を映し出すという『幻夢の神鏡』が一体自分になにを見せるのか、見当が付かぬまま彼は試練の儀式に臨む。
「ふむ……」
 彼が前に立つと、鏡面はまたたく間に青く染まった。空や海のような清々しい印象はない、不気味で恐ろしい青に。
 液体の如く流動し、青い炎を発しながら、辺り一面を埋め尽く鉛の海。その只中に立つのは、おびただしい量の鉛を垂れ流し続ける黒騎士の鎧だ。

「なるほど、こう来るか」
 それが己だと認識こそ出来たが、幻影のルパートは溢れ出させた流動鉛に飲み込まれ、巨大な獣かのような有様だ。
 即ちこれはヒトや騎士としての欲望ではなく、あらゆる生命を啜り尽くさんとする、呪いの武具としての欲望。発生の経緯に沿ったモノとしての本能に近いものだ。
「否定は、できない。戦場に臨む当方の行動を突き詰めて辿り着くのは確かにこの光景だ」
 その手や武具で触れた生命を炎と鉛に変換し、焼き尽くす。これまで自分がやってきた戦法を無作為に実施すれば、斯様な結末となるのは想像に難くない。理性など捨てて何もかも燃やしてしまえと訴えるように、鏡の中で幻影は一層火勢を増した。

「だがこれでは断ち切るのも容易だな」
 燃え盛る青炎の海、獣と成り果てた己の姿にも惑わされず、ルパートは【騎士示すべき克私無想】を発動。己が定義する騎士道に由来した、強壮な覇気と狂気耐性をもって幻影を凌ぐ。騎士たるもの私情に流されて力を濫用する行為は許されるものではない、などと今更語るまでもないことだ。
「戦うのは弱きを護る為。欲に溺れるのではなく罪こそを背負う。それが騎士道。当方の、そしてこの世界の進む道行きだろう」
 どんなに恐ろしい"獣"の本性を秘めていようとも、理性を放さず、為すべきを為せ。我が歩みに迷いは許されず――と、揺るぎない信念を示した黒騎士を聖遺物も認めたのか、鉛の海の幻影が消えていく。まさに騎士道の模範と呼ぶにふさわしい形で試練を乗り越えた彼に、立会人の妖精らも敬意のまなざしを向けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォス・アークライト
試練に挑む事にしたのだが
…凄い、まさに理想の姿の僕
あらゆる欲望が満たされた自身の姿に見惚れていた

強い、かっこいい…僕もあんな風になってみたい…でも
指定UCを発動し覚醒の回転により姿を変える

…やっぱりレントがいないじゃないか、嫌だ
親友が鏡に映らない事情は知っているがたとえ全ての欲望を満たされても本当に一緒にいたい人がいないと意味がいない

所詮は鏡が見せる虚構だ…僕が本当に欲しいのは力でもない、オーガペルソナの皆の楽しい冒険だけでよかったんだ
(レント以外は元気に生きているのは知っている)

さようなら…
腕のような形の念動力で振り払うように幻影を消し去った

『お前を信じろ』
と親友が言っていた言葉を思い出した



「……凄い、まさに理想の姿の僕」
 試練の儀式に挑んだフォスに『幻夢の神鏡』が見せたのは、あらゆる欲望が満たされた彼自身の姿だった。フォスフォフィライトのクリスタリアンという、希少で美しい種族ゆえに宇宙マフィアに攫われ、観賞用の奴隷として何百年も虐げられていた彼のことだ。己の在り方を変えたいという欲は根深いのだろう。
「強い、かっこいい……僕もあんな風になってみたい……でも」
 秘めたる理想を体現した幻影に、つい見惚れてしまうが――フォスは【極天の虹の覚醒回転『オーガ5』】を発動し、覚醒の回転により姿を変える。身には虹の羽衣を、頭には鬼の角のようなオーラを纏った、その姿は美しくも力強い。

「……やっぱりレントがいないじゃないか、嫌だ」
 親友が鏡に映らない事情は知っているが、たとえ全ての欲望が満たされたとしても、本当に一緒にいたい人がいないと意味がない。独りぼっちのまま強くなって、どれだけの価値があるというのか――理想の自分を見せられたことで、その想いはフォスの中で確信へと変わった。
「所詮は鏡が見せる虚構だ……僕が本当に欲しいのは力でもない、オーガペルソナの皆の楽しい冒険だけでよかったんだ」
 かつてフォスが所属していた冒険者チーム『オーガペルソナ』。そのメンバーもレント以外は元気に生きているのは知っている。だから尚の事、彼にはこんな孤独な幻影に執着する必要がなかった。年月が過ぎても色褪せない思い出の輝きが、堕落の誘惑を振り払う。

「さようなら……」
 フォスは念動力を腕のような形にして、振り払うように幻影を消し去る。どんなに強そうでも幻は幻、ただの一振りで理想のフォスは散り、鏡には元通りのフォスの姿が映っていた。一瞬危ういところもあったが、聖遺物の試練は無事に終わったようだ。
『お前を信じろ』
 かつて親友が言っていた言葉を思い出す。理想でも虚構でもない、ありのままの自分を信じる――そうすればきっと大丈夫だと、フォスは彼の言葉をもう一度心に深く刻みつける。さっきまでと何も変わっていないはずなのに、少しだけ強くなれた気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
ほー、これが聖遺物『幻夢の神鏡』か。

せっかくだから、試練も受けてみようかな。

ぼくの欲望はこの世のすべてのハッピーエンドを食べること。それを満たしてくれるなら、堕ちてもいいよ。

なるほど、美味しそうだけど、結局は絵に描いた餅、本物ではないんだね。それではぼくは満足しないよ。
本物を食べるために、ぼくは戻らないと。



「ほー、これが聖遺物『幻夢の神鏡』か」
 かつて百獣族が信仰していた神の骸という伝承もある、バハムートキャバリア特有の神秘的なアイテム。その実物を目の当たりにしたアリスは、興味津々な様子でしげしげと眺める。見た目は大きめの姿見といった感じだが、確かに強い魔力を放っている。
「せっかくだから、試練も受けてみようかな」
 聖遺物の力を実感するにはそれが一番手っ取り早いこともあって、彼女は気楽なノリで『幻夢の神鏡』の前に立つ。
 この聖遺物は覗き込んだ者の欲望を映し、幻影によって堕落へ誘うというが。自分ならどんな幻影を見せられるか、彼女には予想がついていた。

「ぼくの欲望はこの世のすべてのハッピーエンドを食べること。それを満たしてくれるなら、堕ちてもいいよ」
 そう言ってアリスが鏡面を覗くと、聖遺物はその望みを叶えるように幻影を映す。これまで彼女が旅してきた全ての世界、全ての国々の人々が、みんな幸せに暮らせるエンディングを。あるいは諸悪の元凶が討ち倒され、平和が訪れるクライマックスを。
『ありがとう、キミのおかげだよ』『これからも、みんな一緒さ!』
 鏡の中の住人たちは、みんなアリスを歓迎してくれる。輝かしき勝利を祝う、素敵なパーティの準備も整っている。
 だが、どんなメニューよりもアリスにとっては、ハッピーエンドの象徴する彼らの笑顔こそが一番のご馳走だろう。

「なるほど、美味しそうだけど、結局は絵に描いた餅、本物ではないんだね。それではぼくは満足しないよ」
 王道で理想的なエンディングに目を細めながら、されどアリスは幻影に囚われなかった。聖遺物の力をもってしても【物語中毒】の腹を満たすには至らなかったか。鏡の中のフィクションで満足できるなら、彼女の旅はとっくに終わっていただろう。
「本物を食べるために、ぼくは戻らないと」
 アリスが求めるのは現実で生まれる、やり直しのきかない一度きりのドラマ。出演する全ての登場人物の想いと行動が重なり合って紡がれる物語のクライマックス。神鏡の見せたハッピーエンドも確かに素敵だったが、だったらそれを現実にして味わいたいという欲が、むしろ高まるというものだ。

「うん。面白い体験だったよ」
 一度目をつむって開けば、アリスの前から幻影は消えていた。神鏡が映すのはいつも通りに笑っているアリスの姿。
 欲望を抑えるというよりも、底なしの欲望を素直にさらけ出すことで、試練を乗り越えた彼女。その在り方も聖遺物の力に呑まれないという意味では、担い手にふさわしい資質だろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『獣騎サキュバス』

POW   :    美しい手足
【魔力】を籠めた【手足】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【戦意や抵抗の意思】のみを攻撃する。
SPD   :    しなやかな鞭
【獣騎用鞭】を非物質化させ、肉体を傷つけずに対象の【戦意や抵抗の意思】のみを攻撃する。
WIZ   :    綺麗な瞳
【目】から【ハート型の光弾】を放つ。ダメージは与えないが、命中した対象の感情から【戦意や抵抗の意思】を奪う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「皆様の資質は見極めさせて頂きました。『幻夢の神鏡』はあなた方を認めたようです」

 聖遺物が見せる堕落の幻影を打ち破り、試練の儀式を乗り越えた猟兵たち。
 この結果を見届けた隠れ里の妖精たちは、一同が聖遺物を預けるに足る能力と精神の持ち主であると認定する。
 それは、彼女たちからの最上級の信頼の証であった。

「では、この聖遺物は皆様のもとに……」
「ちょっと。勝手に決めつけないでくださらない?」

 だが。そこにバサバサと羽音を立てて、隠れ里に舞い降りる乱入者がいる。
 女悪魔の形態を取った、優美で妖艶な獣騎バルバ。予知されていた百獣族バルバロイ『サキュバス』の軍勢だ。

「その聖遺物は、わたくしたちサキュバスの神がこの世に遺せし瞳。易々と異種族の手に渡って良い物ではなくてよ」

 サキュバスたちは『幻夢の神鏡』の正当な所有権を訴え、その奪還のために来たという。
 彼女らの言う事が全て真実なら、この聖遺物はあちらに渡すのが筋なのかもしれない。だが、まことしやかに伝えられる「聖遺物は神の骸」という伝説の真偽を確かめるすべはない。

 なによりオブリビオンとして蘇った百獣族バルバロイに譲るには、聖遺物はあまりにも危険すぎる力だ。
 長年に渡り聖遺物を守護し、その危険性も熟知している隠れ里の妖精も、サキュバスの要求に難色を示している。

「"今の"あなた方に、果たしてその資格はあるのですか?」
「文句があるのかしら? だったら自分こそが聖遺物にふさわしいと、聖なる決闘トーナメントで証明しなさい!」

 このような形で意見が割れれば、正々堂々と戦って決着をつけるのが百獣族バルバロイの流儀だ。
 サキュバスは百の種族の中でも特殊で、対戦相手の戦意や抵抗の意思を奪い、降参させる戦法を得意とする。単純な力押しでくる種族よりも厄介かもしれない。

 だが、試練を乗り越えた猟兵には、すでに『幻夢の神鏡』の使い手たる資格がある。
 猟兵が望めば聖遺物は一時的にその者の装備となり、強大な魔力や幻影の力を与えるだろう。上手く活用すれば戦いを有利に運べるはずだ。

 果たして聖遺物を手にするにふさわしい者はどちらか。
 妖精の隠れ里を舞台に、聖なる決闘トーナメントの幕が開ける。
ヴィルジニア・ルクスリア
聖遺物が本当に百獣族『サキュバス』の「神の骸」だとしても、あんな危険なものをオブリビオンに渡すわけにはいかないわ。
「私は魔女ヴィルジニア。『幻夢の神鏡』に認められた者として聖なる決闘、受けて立つわ」
人造竜騎に乗り込み、名乗りあげる。

『幻夢の神鏡』の力。ありがたく使わせていただくわね。
タイタニアキャバリアの複数の幻影が現れ、【悪目立ち】する動きを始める。
困惑する百獣族に【魔法光線】を打ち込むんでいく。

だけど、百獣族たち相手に一方的に勝てるわけもなく、反撃を受けてしまう。
……残念ね。『魔鏡反射』発動
状態異常を反射され、戦意を失った百獣族たちの降伏により勝利する。

※アドリブ歓迎 



「聖遺物が本当に百獣族『サキュバス』の『神の骸』だとしても、あんな危険なものをオブリビオンに渡すわけにはいかないわ」
 聖遺物が持つ力の危険性を身をもって味わったヴィルジニアは、決意を新たに『獣騎サキュバス』の軍勢に立ちはだかる。あちらが『幻夢の神鏡』の所有権を賭けて聖なる決闘トーナメントによる決着を望んでいるのなら、こちらからの返答はひとつだ。
「私は魔女ヴィルジニア。『幻夢の神鏡』に認められた者として聖なる決闘、受けて立つわ」
「ふふっ、そうこなくてはね」
 人造竜騎キャバリアに乗り込み、名乗りを上げる。その意気や良しとサキュバスたちも鞭を構える。直接的な暴力は好まないたちのようだが、かといって決闘で手加減などしてくれるはずがない。こちらも全力で応じる必要がある、とヴィルジニアは認識していた。

「『幻夢の神鏡』の力。ありがたく使わせていただくわね」
 言うや否や、ヴィルジニアを乗せたタイタニアキャバリアの幻影が複数現れ、悪目立ちする動きを始める。あからさまな撹乱だが、その幻の精巧さにサキュバス達は動揺を見せる。この力は紛れもなく彼女らが「我らが神の骸」と称する聖遺物のものだからだ。
「まさか、本当に聖遺物に認められて……? きゃっ!!」
 心に隙を見せた百獣族バルバロイに、人造竜騎キャバリアより魔法光線が撃ち込まれていく。精霊力特化型のキャバリアと魔女の乗り手の組み合わせは相性抜群で、獣騎バルバの装甲もたやすく破る。幻影の集団に紛れながらの攻撃ゆえ、出どころを探すのも簡単ではない。

「どうやら、ただ者では無いようね……だけどッ!」
 とはいえ相手は聖遺物奪還の使命を背負うサキュバスの精鋭たち。一方的に勝てるわけもなく、光線の間隙を縫って反撃を受けてしまう。彼女らの【しなやかな鞭】は肉体を傷つけず、非物質化して対象の戦意や抵抗の意思のみを奪い去るというが――。
「……残念ね」
「えっ……きゃぁぁっ!!?」
 そのタイミングでヴィルジニアの【魔鏡反射】が発動。装備していた『魔法の鏡』の秘められた力により、鞭の効果は本人に跳ね返される。心を直接鞭打たれる衝撃と痛みを自ら味わったサキュバスたちは、たちまち戦う意思を失う。

「これで認めてもらえるかしら?」
「く、悔しい……けど……」「あたしの負けよ……」
 戦意喪失したサキュバスたちの降伏によって、ヴィルジニアは決闘の勝者となる。敵からの状態異常を反射する鏡のユーベルコードは、神鏡に認められた者として説得力もあっただろう。少なくとも直接彼女と対峙した者に、その資格を疑う者は誰もいなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーク・パンドーラ
※アドリブ歓迎

WIZ判定

【セットするUCとコンボ】
1,【金銀妖瞳】+【隔離結界】=攻撃を自身に集中、無効化する
2,【封印獣形態】+【封印の獣】=射程5倍、機動力半減の砲撃モードで
肉体を傷つけず敵の「呪い」だけを攻撃する
3,【聖遺物の騎士】=召喚していた九姉妹を9体の獣騎「ソーサレス」に
変化させて操る

【戦闘】
1のコンボで敵の攻撃を無力化、3のUCで牽制しつつ
2のコンボで打ち倒す流れでお任せ

【心情】
貴殿の主張には耳を傾けるべきところがある
だが聖遺物を返却した暁には、貴殿らの振りまく呪いは増大し
この地に住まう人々を襲うであろう
我らはそれを看過することは出来ぬのだ
この上は聖なる決闘にて雌雄を決しよう!



「貴殿の主張には耳を傾けるべきところがある」
 聖遺物『幻夢の神鏡』を自らが奉ずる神の骸であると語り、奪還のため妖精の隠れ里に襲来した『獣騎サキュバス』の軍勢。少なくとも彼女たちの振る舞いに虚言を弄するような素振りは、アークの目からは見受けられなかった。もし事実だとするならば、聖遺物の所有権は本来あちらにある。
「だが聖遺物を返却した暁には、貴殿らの振りまく呪いは増大し、この地に住まう人々を襲うであろう。我らはそれを看過することは出来ぬのだ」
 いかに高潔な心を失っておらずとも、オブリビオンと化した百獣族は世界に災いをもたらす。呪われし聖遺物の力がそれを拡大させることは大いに予想できた。アーク自身もまた聖遺物の担い手であるが故に、その危機感には真に迫るものがある。

「この上は聖なる決闘にて雌雄を決しよう!」
「望むところよ。神の瞳にふさわしき戦いを見せましょう!」
 双方の主張をぶつけあった上で、決闘の勝敗に全てを委ねる。古くからの伝統に則り、サキュバスたちが攻撃を仕掛けてくる。彼女らの【綺麗な瞳】から放たれるハート型の光弾は、物理的なダメージこそ与えないものの、命中した者から戦意や抵抗の意思を奪うという。
「この世すべての贈り物が収められし箱よ、今こそその御業を開放せよ!」
 対するアークは【すべての贈り物が入りし聖櫃】に籠めた、5つのユーベルコードを解禁。そのうちの2つは防御用であり、【金銀妖瞳】の眼差しで敵の注目を引きつけ、攻撃を集中させた上で【隔離結界】で無効化する。虹色に輝くオーロラのカーテンが、サキュバスたちの光弾を遮った。

「姉妹たちよ、戦いの時だ!」
 直後にアークが号令をかければ、すでに召喚していた九姉妹が九体の獣騎「ソーサレス」に変身。【聖遺物の騎士】として決闘に参戦し、魔法や戦技でサキュバスたちを牽制する。呼び出せる時間に限りはあるものの彼女らの戦闘力は高く、歴戦の百獣族バルバロイにも遅れは取らない。
「やるわね!」「言うだけのことはある……!」
 サキュバスたちは先に九姉妹の頭数を減らそうと応戦するが、アークの妖しげな瞳に見つめられると、ついそちらに注意を向けてしまう。自身への正面からの攻撃であれば【隔離結界】は万全の防御力を発揮するため、これで彼女らの攻め手は封じられたも同然だ。

「神獣形態に変形、封印術式解除。目覚めよ原型の竜神よ!」
 攻勢に転ずる機が訪れれば、アークはタイタニックキャバリア「エルビス」を【封印獣形態】に移行。機動力と引き換えに射程を大幅に強化した砲撃モードで、喉奥に搭載された「竜騎用ブレスキャノン」を発射する。目も眩むほどに強烈な精霊力のビームが、サキュバスの軍勢に浴びせられた。
「「きゃぁぁぁーーーー……っ!!!!」」
 解放されし【封印の獣】の攻撃は、奇しくもサキュバスたちの攻撃に似て、肉体は傷つけずに「呪い」のみを灼く。
 オブリビオンの宿業を消し去られた百獣族バルバロイは悲鳴と共に吹き飛ばされたきり、戦線に復帰することはなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
獣騎になる前のあなたたちと愛し合いたかったわ。残念。
聖なる決闘トーナメントで相対しようというなら仕方ない、受けて立つ。

『幻夢の神鏡』であたしの姿を「目立たない」よう眩ませて、攻撃を仕掛けるわ。
「範囲攻撃」「衝撃波」「吹き飛ばし」「なぎ払い」で朱い禁鞭を振るう。
獣騎サキュバスの軍勢全体を叩きのめす。
鞭が得意なのはあなたたちだけじゃないのよ。

獣騎になってくれて助かったかもね。攻撃に迷わないですむから。
一人くらいお持ち帰りしてみたいけど、そういうわけにもいかないし。
残らず骸の海へ帰してあげるわ。
さあ、荒れ狂いなさい、禁鞭。百獣族バルバロイを一人残さず打ちのめして。



「獣騎になる前のあなたたちと愛し合いたかったわ。残念」
 女性的なフォルムを持つ『獣騎サキュバス』の姿を見て、百獣族バルバロイ本来の姿もきっと美女なのだろうと考えるゆかり。
 出来ることならこんな形では会いたくなかったというのが、彼女の偽らざる本音だろう。されど向こうがやる気である以上、ここで退くわけにもいかない。
聖なる決闘トーナメントで相対しようというなら仕方ない、受けて立つ」
「そうこなくてはね」
 参戦の意志を明白にすれば、サキュバスたちは歓迎の鞭を振るう。まるで体の一部のように動く【しなやかな鞭】はこの獣騎のメインウェポンであり、非物質化することで戦意や抵抗の意思のみを攻撃する。これで敵を傷つけずに降伏させるのが聖なる決闘トーナメントにおける彼女らの得意戦法だ。

「さあ、跪きなさい……!」
「残念ね」
 サキュバスのひとりがさっと鞭を振るう瞬間、ゆかりは『幻夢の神鏡』の力で自らの姿を目立たないよう眩ませた。
 つい先程も味わった幻影を操る聖遺物。試練を乗り越えたことで、その力を行使する権利を得た彼女は、敵がこちらの姿を見失った隙に攻撃を仕掛ける。
「鞭が得意なのはあなたたちだけじゃないのよ」
「「きゃっ!?」」
 振るうは殲滅用宝貝【禁鞭】。戦場のどこまでも伸びる朱い鞭が、衝撃波を起こしサキュバスの軍勢を叩きのめす。
 全力解放すれば災害に匹敵する被害をもたらす危険な宝貝ゆえ、使用には味方を巻き込まないための制御と式神による効果範囲内の把握が必須。そのぶん威力は絶大だった。

「獣騎になってくれて助かったかもね。攻撃に迷わないですむから」
 等身大の美女よりもロボットめいた鋼鉄の巨人のほうが、打ち据えてもまだ抵抗は少ない。女性好きなゆかりらしい発言だが、実際のところ彼女は依頼で手を抜くタイプではない。聖なる決闘に手心を加えるのは相手にも失礼だろう。
「一人くらいお持ち帰りしてみたいけど、そういうわけにもいかないし。残らず骸の海へ帰してあげるわ」
「くっ。まだ終わってないわよ……!」
 もちろんサキュバスたちも聖遺物奪還のために全力で抵抗する。しなやかに唸る鞭の音は激しく、それを操る技量も優れたもの。だが、それでもゆかりには届かない。あくまで非殺傷装備では、彼女の禁鞭と打ち合うには威力不足だ。

「さあ、荒れ狂いなさい、禁鞭。百獣族バルバロイを一人残さず打ちのめして」
「「ッ……きゃぁぁぁっ!!!?!」」
 全てを打ち砕く朱い鞭が、主人の意に応じてその威を示す。竜巻の如き猛攻に巻き込まれたサキュバスたちは甲高い悲鳴を上げて吹き飛ばされ、戦闘不能となるか骸の海に還る。まさに聖遺物を託されし資格者にふさわしい、圧倒的な実力であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
オブリビオンであっても、トーナメントで正々堂々、決着をつける世界か。いいね。受けて立つよ。

ブライダルベール!
幻夢の神鏡、この鎧に祝福を頂戴。

異なる魔力が混ざり合っても、ぼくなら制御してあげるよ。

非物質化した鞭も、この機体なら。
魔力で鞭を感知し、むちが機体を避けているかのような無駄のない動きで避けるよ。
そして相手の機体に魔力を流し込み、ショックを与えるよ。
あれくう、この魔力の奔流にキミは耐えられるかな?



「オブリビオンであっても、トーナメントで正々堂々、決着をつける世界か。いいね。受けて立つよ」
 骸の海から蘇っても邪悪や非道に染まらず、生前の高潔さや誇り高さを残したままの『獣騎サキュバス』。彼女らに騎士物語のような決闘を挑まれ、アリスに応じぬ理由はない。聖遺物を巡る今回の冒険に相応しいクライマックスだ。
「ブライダルベール!」
 相手のサイズに合わせるように、アリスは自分のキャバリアを召喚。搭乗者の魔力によって駆動するこの機体は、まさしく彼女の武器にして甲冑であり、大鎌と花びら型のビットを携えた女性的なフォルムは女騎士のようにも見えた。

「幻夢の神鏡、この鎧に祝福を頂戴。異なる魔力が混ざり合っても、ぼくなら制御してあげるよ」
 さらにアリスは聖遺物の力を借りて、キャバリアの性能強化を試みる。試練の儀式をクリアした彼女にも、他の猟兵と同様『幻夢の神鏡』を扱う資格はある。鏡面より放たれた魔力がブライダルベールを包み、オーロラのような光彩を織りなした。
「まさか……神の瞳は、本当にあなた達を認めたというの?」「だったら、あたしたちが確かめてやるわ!」
 その光景に驚きを隠せないのはサキュバスだ。自分たちの神が、サキュバス以外の種族に加護を与えることなど想像していなかっただろう。だが、それですごすごと引き下がれるような生半可な覚悟でここに来たわけではない。実力をもって資格を示せと【しなやかな鞭】を叩きつけてくる。

「非物質化した鞭も、この機体なら」
 アリスは五感ではなく魔力で鞭を感知し、ブライダルベールに回避機動を取らせる。その無駄のない動きは、まるで鞭のほうが機体を避けているかのようだ。涼やかな風と幻を纏い、凛と咲く【戦場の白い花】を散らせる者はいない。
「幸福を届けに来たよ」
「なッ……疾い?!」
 そのまま至近距離まで接近したアリスは、自身の魔力に聖遺物の魔力を混合させて相手の機体に流し込み、ショックを与える。本来なら交わることのなかった異世界の魔力が生み出すパワーは凄まじく、本人以外には制御することすら難しい。

「荒れ狂う、この魔力の奔流にキミは耐えられるかな?」
「ぐっ……! こ、これほどの、力を……」
 体内を駆け抜ける魔力の圧に耐えきれず、ばたばたと倒れていくサキュバスたち。決闘の勝敗は誰の目にも明らかなうえ、このような勝ち方をされては聖遺物の所有権に異議を唱えることもできまい。百獣族バルバロイの当事者でさえ扱いきれぬ力を、アリスは完璧に制御してみせたのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

サイキックキャバリア『黒御姉クローネ』に乗って戦うよ♪
『幻夢の神鏡』を盾として装備し、実際の位置とは異なる位置に黒御姉クローネの幻影を出して攻撃を誘う等して敵を翻弄するね♪

聖なる決闘の定めに則って、正々堂々と戦うよ♪
できればこちらも相手を殺さず降参させたいけど…厳しいかな?

UCは『ワタシのキャバリアの機械翼』
飛翔能力を得つつ、【ホーミング】ニードルミサイルと手にした射撃兵装による【弾幕】で攻撃するね♪
敵の攻撃は【第六感/野生の勘/心眼/見切り/身かわし】で避けるよ♪



「聖なる決闘の定めに則って、正々堂々と戦うよ♪」
 サイキックキャバリア「黒御姉クローネ」に乗って、高らかに宣誓するのはクローネ。仮に卑劣な手法で勝利をもぎ取ったとしても『獣騎サキュバス』は猟兵を聖遺物の継承者とは認めないだろう。力ずくでねじ伏せ撃退することも不可能ではないが、それは彼女の本意ではない。
(できればこちらも相手を殺さず降参させたいけど……厳しいかな?)
 敵意はあっても悪意はない以上、合意の上穏便な形の決着を目指したい。だが、簡単に諦めてくれる相手でもない。
 サキュバスとて誇り高き百獣族バルバロイの一員、プライドはもちろん実力だって折り紙付きだ。蝙蝠型の翼を羽ばたかせ、しなやかな動きで襲い掛かってくる。

「骨抜きになっちゃいなさい!」
 そう言ってサキュバスの【綺麗な瞳】から放たれるのはハート型の光弾。物理的なダメージはゼロだが、戦意や抵抗の意思を奪い取るユーベルコードだ。殺傷力がないからこそ通常の防御手段は意味がないが、今のクローネにはとっておきの"盾"がある。
「使わせてもらうね♪」
 彼女は『幻夢の神鏡』を黒御姉クローネの盾として装備し、実際とは異なる位置に機体の幻影を出して攻撃を誘う。試練の儀式でも猟兵を惑わせた聖遺物の力は、サキュバスに対しても有効らしく。ハートの光弾はあらぬ方向に飛んでいく。

「くっ! まさかこの力……聖遺物を使いこなしている?!」
 幻影の影響もさることながら、敵が『幻夢の神鏡』を活用している事実はサキュバスたちを動揺させる。揺らいだ心では本物の黒御姉クローネの位置を割り出すことは難しく、まんまとクローネの思惑通りに翻弄されている。反撃するなら今がチャンスだ。
「この飛翔用機械翼とニードルミサイルなら、例えどんなヤツが相手だとしても!」
 飛行能力を持つ獣騎バルバに合わせて【ワタシのキャバリアの機械翼】を背に生やした黒御姉クローネは、戦場を高速で飛び回りながら弾幕を張る。ニードルミサイルのホーミング攻撃で標的を追い込んでから、手にした射撃兵装で仕留める戦法だ。

「当たっちゃってね♪」
「きゃあっ?!」「くうっ……!」
 手足や翼を撃ち抜かれ、次々に撃墜されていくサキュバスたち。負けじと光弾を放っても、視線に沿った攻撃の軌道はすでにクローネに見切られていた。第六感と野生の勘と心眼を活かし、華麗に身をかわす黒御姉クローネを、いまだ誰も捉えられていない。
「これで認めてくれるかな?」
「……ええ。貴女は……強いわ」「神の瞳に認められたのも、納得ね……」
 サキュバスたちも愚かではない。クローネが自分らに致命傷を与えぬよう、急所を外しているのには気付いている。
 聖遺物の力を使ったとはいえ、この実力差。撃墜されたサキュバスは潔く敗北を認め、静かに頭を垂れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォス・アークライト
チームオーガペルソナ

よし、かかってこい!決闘だ!
と杖を構える

ちょっ?!危な!
敵のUCは心眼で鞭の動きを見ながら推力移動で回避する(結界術は意味無さそうなので)

反撃させてもらうよ!
高速詠唱と多重詠唱でエネルギー弾と念動力の弾幕を放ち敵に攻撃する

さあ、行くぞ!オーガ5!
UCを発動し姿を変えた後、超神眼で敵を見てから素早くエネルギー弾を放ち敵に攻撃する

もういっちょ!あっ、避けられたか…
UCの効果で極天なる黄星回転斬弾を発動して敵に攻撃するが一部の敵には回避されるが斬られた跡が敵に向かって行く

悪いけど…その回転は死なないんだ!
追跡した跡が敵の足や腕が斬られ弾丸が貫通した跡が残る

キュラ、気を抜かないで!


星詠・黄泉
チームオーガペルソナ

フォス、共に行こう…
と戦闘開始する

フォス、サポートするぞ…
敵のUCに対しては心眼と気配感知で鞭の動きを見て推力移動で回避しながら電撃を放ち反撃する

オーガ5か…ならば私も!
UCの効果でUC偽りのMUC オーガ5を発動し姿を変える

回転?レントが使っていた技か…
フォスが詠唱している隙を突かれないようにUCの効果で宝石を生成し素早く投げつけて攻撃する
指定UCも発動し絶命星を展開する

大丈夫だ、私も攻撃しよう…
フォスの攻撃を避けた相手に宝石を投げつけて爆破させる

これがレントの言っていた回転の力か
…なるほど、ならば私も
追尾するフォスのUCを見て素直な感想を言いつつ絶命星を放ち敵に攻撃した



「よし、かかってこい! 決闘だ!」
 聖遺物の強奪に現れた『獣騎サキュバス』の軍勢と対峙し、勇ましく杖を構えるのはフォス。聖なる決闘による決着をあちらが望んでいるなら、こちらに受けない理由はない。人数的には少々不利だが、今の彼には頼れる仲間がいた。
「フォス、共に行こう……」
 刀を抜いて戦闘態勢に入り、フォスに寄り添うように立つのは黄泉。この二人は冒険者チーム『オーガペルソナ』のメンバーとして昔から縁がある。どんな強敵が相手だろうと、銀河を股にかけて冒険を繰り広げてきた彼らに、恐れるものはない。

「何人でもかかってきなさい!」「まとめて骨抜きにしてあげるわ!」
 相手にとって不足はないと、サキュバスたちも容赦なく【しなやかな鞭】を振るう。非物質化した彼女らの鞭は肉体を傷つけないが、打たれた者は戦意と抵抗の意思を破壊される。物理的な攻撃ではないので、結界術などの防御手段は意味がなさそうだ。
「ちょっ?! 危な!」
「大丈夫、避けられる」
 フォスと黄泉は心眼で鞭の動きを見て、推力を発生させて回避行動を取る。同じチームにいれば対処法も似るのか、まるで最初から示し合わせたような動きだ。フォスが慌てる一方で、黄泉のほうは落ち着いているのは性格の違いか。

「反撃させてもらうよ!」
「フォス、サポートするぞ……」
 鞭の猛攻を躱しきると、フォスは高速詠唱と多重詠唱で紡いだエネルギー弾と念動力の弾幕を、黄泉は「雷鳴刀」の切っ先から電撃を放ち、敵に反撃を仕掛けた。ぴったりタイミングを合わせられるのも、積み重ねた時のなせる技か。
「くっ!」「やるわね!」
 二人の連携攻撃によって、サキュバスたちはやむなく後退させられる。この短時間の攻防でも、力量の高さはお互い理解できただろう。だがフォスと黄泉はまだまだ実力の底は見せていない――ここからが本番だとばかりに、ユーベルコードを発動する。

「さあ、行くぞ! オーガ5!」
「オーガ5か……ならば私も!」
 【極天の虹の覚醒回転『オーガ5』】を発動し、虹の羽衣と頭に鬼の角のようなオーラを纏った姿に変身するフォス。 合わせて黄泉も【偽りのMUC オーガ5】を発動。鬼の仮面を着け、フォスのものと良く似た緑の角と宝石の羽衣を身に纏う。
「行くよ、これが覚醒の回転!」
「回転? レントが使っていた技か……」
 覚醒したフォスは超神眼により全ての敵の動きを一瞬で捉え、素早くエネルギー弾を放つ。黄泉は彼が詠唱している隙を突かれないよう、宝石の弾丸を投げつけてサポートだ。かつて黄泉の旦那にして『オーガペルソナ』のリーダーも使っていた回転の技は、神速を超越しあらゆる概念を消滅させる、必中の一撃である。

「なっ、なによ、この技は!?」「ここは一旦下がって……」
「まだだ。絶命星よ、因果を捻じ曲げろ……!」
 覚醒の回転で敵陣が乱れれば、体勢を立て直す暇は与えまいと、黄泉が【因果剣『絶命星』】を展開。雷の力で呼び出された無数の剣が、矢のようにサキュバスたちに突き刺さる。因果律に干渉するこのユーベルコードの前では、獣騎バルバの装甲も無意味だ。
「もういっちょ!」
「「きゃあああっ?!!」」
 さらにフォスは【極天なる黄星回転斬弾】を発動。背中に生やした次元鬼龍の翼から黄色のエネルギー弾が放たれ、射線上にいる全ての敵を一直線に切断貫通する。かつての友が使った回転の技を、すでに彼は自分のものとして昇華させていた。

「あっ、避けられたか……」
「大丈夫だ、私も攻撃しよう……」
 それでも一部のサキュバスには【極天なる黄星回転斬弾】の射線から逃げられるが、すかさず黄泉が宝石を投げる。
 爆破の性質を付与された宝石弾がヒットしたサキュバスはたちまち爆炎に包まれ、「きゃあっ?!」と甲高い悲鳴を上げて吹き飛ぶ。
「くっ。ま、まだよ……ッ!?」
「悪いけど……その回転は死なないんだ!」
 かろうじて立ち上がる力は残っているようだが、そんなサキュバスの元に、先ほど回転弾が斬り裂いていった跡が向かっていく。一度避けられたとしてもフォスのユーベルコードは消滅せずに、目標を追跡する特性を持っていたのだ。

「そ、そんなっ……きゃぁぁぁぁっ!!」
 追跡した弾丸の跡がサキュバスの足や腕を切り裂き、弾丸が貫通した跡を刻みつける。魔法や聖遺物の力でもない、バハムートキャバリアの百獣族が知らない異能。それを使いこなす異界の猟兵の戦法に、彼女たちは翻弄されていた。
「これがレントの言っていた回転の力か……なるほど、ならば私も」
 そんなフォスのユーベルコードを見て、黄泉は素直な感想を言いつつ【因果剣『絶命星』】で追い討ちをかける。
 彼女は回転の力は使えないが、長い年月で磨き上げた剣技は決して劣るものではない。ユーベルコードを無効化する太刀で【しなやかな鞭】を断ち切りながら、間合いにいる敵を次々と斬り伏せていく。

「キュラ、気を抜かないで!」
「分かっている」
 フォスに本名を呼ばれた黄泉はこくりと頷き、お互いをフォローできるポジションにつく。身体に染み付いた連携の呼吸は、まるでブランクを感じさせず。かつて銀河に轟いた『オーガペルソナ』の武勇は、いまだ健在のようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
話には聞いておりましたが、本当に何でも聖なる決闘トーナメントに持っていきますのねぇ
罪人の首でもケーキでもギロチンで斬るようなものでしてよ?
まぁ……わたくし好みの解決方法ではありますが!!

わたくしのターン!
わたくし自身は後ろに下がり戦場を俯瞰(戦闘演算)!
手札から【勇瞳の龍戦士】を召喚!!
速攻攻撃(ダッシュ)! 龍爪裂閃ドラゴンスラッシュ! 鋭い爪で【一刀両断】ですわ!
む、鞭攻撃で龍戦士の攻撃力が低下……アイテム発動! ミノア印の迷宮ミルク!
【霊的防護】でこれ以上の低下を防ぎ、低下分は【瞬間強化】で補う!
一気に畳みかけますわよ!
龍炎爆熱破バーニングフォースで薙ぎ払いますわ~!!



「話には聞いておりましたが、本当に何でも聖なる決闘トーナメントに持っていきますのねぇ。罪人の首でもケーキでもギロチンで斬るようなものでしてよ?」
 聖遺物の所有権を賭けて『獣騎サキュバス』から決闘を挑まれ、お約束なのだろうが何事も決闘で解決したがりではないかと、この世界の住人ではないミノアは思う。誇りや伝統を重んじるのは構わないが、百獣族バルバロイが滅びたのもそれが一因ではある。
「まぁ……わたくし好みの解決方法ではありますが!!」
「ふふっ、そう来ないとね!」
 なんやかんや言ってもやる気はある様子で身構えるミノアに、サキュバスたちも笑顔で鞭を振りかぶる。財宝を賭けたバトルはゴッドゲームオンラインでも定番のクエストであり、迷宮の王たるミノアは大抵宝を守る側。堂々と挑戦者を叩きのめそうではないか。

「わたくしのターン! 手札から【勇瞳の龍戦士】を召喚!!」
 決闘が始まればミノアは戦場を俯瞰できる距離まで後ろに下がり、配下モンスターの召喚を行う。カード状に圧縮されたデータの塊から具現化されるのは、鋭い爪を備えた勇猛なる龍人。ドラゴン族やメイド族中心で構築された彼女のデッキの主力カードだ。
「速攻攻撃(ダッシュ)! 龍爪裂閃ドラゴンスラッシュですわ!」
「きゃああーーーっ?!」
 召喚酔いによる隙を晒すことなく、勇瞳の龍戦士は即座に攻撃を行う。一点を貫くことに特化したその爪撃は、頑強な獣騎バルバの装甲を紙のように切り裂く。一刀両断されたサキュバスの悲鳴が戦場に響き渡れば、他の者たちの表情にも緊張が走った。

「くっ、やるわね!」
 負けじとサキュバスたちも【しなやかな鞭】で反撃。暴力を好まない彼女たちの攻撃は相手を傷つけずに戦意や抵抗の意思を奪い、降伏させることに特化している。非実体化した獣騎バルバ用の鞭が、勇瞳の龍戦士をぴしゃりと打ち据えた。
「む、鞭攻撃で龍戦士の攻撃力が低下……アイテム発動! ミノア印の迷宮ミルク!」
 すかさずミノアはアイテムで対抗。彼女の迷宮にて販売されている、飲めば強化や耐性が得られる限定ドリンクだ。
 霊的防護でこれ以上龍戦士のステータスが下がるのを防ぎ、すでに低下した分は強化で補う。ミルクを一気飲みして息を吹き返した龍戦士は、ギラリと瞳を輝かせた。

「一気に畳みかけますわよ! 龍炎爆熱破バーニングフォース!」
 ここでミノアは勇瞳の龍戦士のもう一つの必殺技を宣言。天に向かって掲げた両手の上に、巨大なエネルギーの火球が形成され、サキュバスの軍勢めがけて投げ放たれる。火球は着弾と同時に凄まじい爆発を起こし、周囲にいる全ての敵を薙ぎ払った。
「「きゃあああああーーーッ!!!!!」」
 百獣族にも負けぬ龍戦士のハイスペックと、それを使役するミノアの戦闘演算。主従の力に打倒されたサキュバスの絶叫が木霊する。聖なる決闘トーナメントの作法に則り堂々と打ち破られたのだ、これで異を唱えられる者などいないだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
『幻夢の神鏡』の力を借り、寸分違わぬ当方の姿をした幻影を周囲に無数に展開させる
狙いは幻影に紛れて【姿をくらます】ことで敵UCの光弾の狙いを逸らす……と同時に掲げる黄金魔剣に【注目を集める】こと
獣騎には小さくて見えなかったとあっては困るのでな

UC【映す心断ち割る呪剣】
運悪く着弾コースにきた光弾を【呪詛】【斬撃波】で【武器落とし】しつつ【範囲攻撃】、敵の意識を【切断】にかかる

普段ならその身を砕いてみせるところだが、この世界の騎士道としてはそれは温い。
心魂を攻めるその魂胆こそを叩き潰してこそ貴様らへの勝利。
勝負だ。黒騎士ブラックスミスがお相手仕ろう



「『幻夢の神鏡』よ、力を借りるぞ」
 試練をクリアした聖遺物の魔力をもって、ルパートは寸分違わぬ自身の姿をした幻影を、周囲に無数に展開させる。
 数え切れないほどの黒騎士の鎧が戦場に並び立つさまは壮観であり、そのからくりを知る『獣騎サキュバス』たちにとっては別の意味でも動揺があった。
「本当に、我らが神の瞳を使いこなしているようね……!」
 彼女らは『幻夢の神鏡』をサキュバスが信仰する神の骸だと主張するが、ならば自分たち以外に聖遺物を使われるのは驚愕だろう。そして聖遺物の幻影は彼女らにも容易く看破できるものではない。【綺麗な瞳】でいくら見つめても、本物との見分けはつかなかった。

(狙いは幻影に紛れて姿をくらますことで、敵ユーベルコードの狙いを逸らす……そして)
 戦意を奪うハートの光弾から身を隠すと同時に、ルパートは他の幻影たちとともに「黄金魔剣ルパート」を掲げる。
 黒一色に染められた甲冑とは対照的に、刀身から柄まで黄金に煌めく剣は、自然とサキュバスたちの注目を集める。
「獣騎には小さくて見えなかったとあっては困るのでな」
「っ、なにを……?!」
 警戒するがゆえに意識を逸らせない、そんな相手の心理も彼の手の内だった。まだ斬り伏せるには遠い間合いから、【映す心断ち割る呪剣】を振るう――美しき外観とは裏腹に、この剣は紛うこと無き呪いの剣。籠められた呪詛は肉体のみならず精神にも影響を及ぼすのだ。

「我は血肉を斬る刃を振るわず。心魂を断つ呪いこそを振るう!」
「なッ……きゃぁぁぁっ!!!」
 運悪く着弾コースに飛んできた光弾を、黄金魔剣より放たれた呪詛の斬撃波が叩き落とし、そのまま敵の意識を刈り取りにかかる。サキュバスのユーベルコードと同様、このルパートのユーベルコードも肉体を傷つけるものではない。だが斬られた者は悲鳴を上げ、ぱったりと気を失った。
「普段ならその身を砕いてみせるところだが、この世界の騎士道としてはそれは温い。心魂を攻めるその魂胆こそを叩き潰してこそ貴様らへの勝利」
「あたしたちと同じ土俵で、戦うってこと……?!」
 ただ戦闘不能にするのではなく精神的に敗北を認めさせれば言い訳のしようもあるまい。もう二度と彼女らが聖遺物に手を出さないようにするには、この決着こそ最良だろう。なにせ相手はオブリビオン、また骸の海から蘇ってくる可能性もあるのだから。

「勝負だ。黒騎士ブラックスミスがお相手仕ろう」
「上等よ……!」「サキュバスの誇りにかけて、あんたを倒す!」
 幻影と共に魔剣を構え、今一度宣言するルパート。その気魄に気圧されながらも、ここでは退けぬサキュバスたち。
 これは互いの「騎士道精神」の強靭さを問う戦い。戦場に無数の斬撃波と光弾が飛び交い、黒騎士の幻影も獣騎の数も次々に減っていく。
「人間の仲間にも……あんたみたいな騎士がいるとはね……」
 それでも優勢に立つのは呪剣を振るうルパートだった。意識を失う間際、サキュバスはこの黒騎士への賛辞を残して倒れ込む。いまだ戦場に立っている者は残りわずかであり、この聖なる決闘トーナメントにもいよいよ決着の時が迫っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玄羽・レン
◆WIZ、愛騎外見は全身絵参照

勇士の一人として受けて立ちましょう
〔LPP/G〕で愛騎『ガラテ』を錬成/搭乗

2分割されたガラテ用〔ALF〕を両腕内から出し接続
等身大用〔ALF〕を介してUC【新しき極星】装填
※不使用UC3種類は省略

まずはUC【吸生の蛇爪】
両腰装甲が撃ち出され彼女の両腕を絡め取れば
彼女の視線は真っ直ぐ私へ向き光弾の軌道も限定

更に神鏡の魔力を注ぎ込んだ〈錬金術〉で急速錬成
鏡の花が咲き誇れば光弾は彼女の瞳へ還ります
鏡の扱いには慣れていますしね

彼女の戦意が何処まで萎れ私にどう振る舞うか
保険として『強制吸収』機能で彼女の魔力を簒奪

勇士よ、貴女の名前は…
では異郷の魔法使い、玄羽・レンが問います
勇士●●は私に頭を垂れ『幻夢の神鏡』を諦めますか?

そこで頷くなら最良です(万一惚れられたら頭が痛いですが)
拒むなら、せめてUC【光輝の巨兵/攻撃力重視】で美しき散華を

ワイヤーを巻き取りつつ私も飛翔突撃
追加錬成して突き立てるは魔力放出可能なエストック
私/神鏡/彼女の膨大な魔力流で強き娘を光に還します



「勇士の一人として受けて立ちましょう」
 聖遺物の所有を賭けた『獣騎サキュバス』からの挑戦に、レンは対機甲戦用魔道書〔ラ・プーペ・ガラテ〕によって錬成したゴーレムキャバリア『ガラテ』で迎え撃つ。魔導技術と錬金術の粋たる蒼銀の姫機士が、叡明なる魔法使いを乗せて戦場に降臨した。
「それがあなたの人造竜騎キャバリアね……相手にとって不足はないわ!」
 創造された世界は違えど百獣族バルバロイにとってキャバリアは宿敵。プライドに賭けても負けられないようで、【綺麗な瞳】が爛々と輝く。その黄金色の瞳より放たれるハート型の光弾は、命中した対象から戦意や抵抗の意思を奪い去る、彼女らの主武装でもあった。

「〈錬金術〉は掛け合わせにこそ、その要諦があります……!」
 操縦席のレンが詠唱を紡ぐと、ガラテの両腕内からキャバリア用にスケールアップした魔晶細工杖〔アルフィーネ〕が出現し、それぞれの腕に2分割で接続される。等身大用のオリジナル〔アルフィーネ〕はレン自身が持っており、それを介して彼女は【新しき極星】を起動――ふたつのユーベルコードを愛騎に装填する。
「奔れ、貪欲な蛇よ!」
 ひとつめのユーベルコードは【吸生の蛇爪】。両腰に装着した装甲パーツを、有線アンカークローとして射出する。
 たとえ避けようとしても、アンカーは大蛇の如き軌道を描いて目標を高速追尾する。逃げ切れなかったサキュバスの両腕を、有線ワイヤーが絡め取った。

「くっ! こんなものであたしを縛ろうなんて……甘いわよ!」
 拘束により行動を一時的に封じられたサキュバスに、使用可能な武器は【綺麗な瞳】のみ。当然ここで撃たない理由はないだろう。その視線はまっすぐガラテに向き、光弾の軌道も限定されている。レンから見れば想定通りの状況だ。
「骨抜きになりなさ……」
「鏡の花よ、咲き誇れ!」
 相手が光弾を放つ瞬間、レンは『幻夢の神鏡』の魔力を注ぎ込んだ錬金術で、巨大な鏡面を急速錬成する。両者の間に咲いた鏡の花が、映し出すのは「なっ?!」と驚愕するサキュバスの姿。放たれたハートの光弾は彼女の瞳へ還る。

「ッ……我らが神の、瞳の力を……!」
「鏡の扱いには慣れていますしね」
 作戦通り相手のユーベルコードを反射する事に成功したレンだが、これで彼女の戦意が何処まで萎れ、こちらにどう振る舞うかまでは未知数だった。そこで保険としてアンカークローの強制吸収機能を起動し、ワイヤーを通じて彼女の魔力を簒奪する。
「勇士よ、貴女の名前は……」
「え……エレミヤよ……」
 自分の光弾で戦意を削られ、戦うための魔力まで奪われたサキュバスに、レンの問いを無視する力は残っていない。
 エレミヤと名乗ったその獣騎バルバは両腕を【吸生の蛇爪】に縛られたまま地面に膝をつき、悔しそうに身体を震わせていた。

「では異郷の魔法使い、玄羽・レンが問います。勇士エレミヤは私に頭を垂れ『幻夢の神鏡』を諦めますか?」
「……断る! 決闘はまだ終わっていないわよ……!」
 そこで頷くならレンにとっては最良の結果だっただろう。万が一惚れられでもしたら頭が痛いところでもあったが。
 だが、もはや抵抗のすべは無くともサキュバスには意地がある。かつて人類の非道により滅んだ百獣族バルバロイは、此度こそ聖なる決闘トーナメントに則った華々しき決着を望んだ。
「では、せめて美しき散華を」
 エレミヤの覚悟を感じ取ったレンは【新しき極星】で装填していたもうひとつのユーベルコード――【光輝の巨兵】を発動し、飛翔用のスラスターと近接武装のエストックを追加錬成。攻撃力重視のスタイルに再構成されたガラテは、ワイヤーを巻き取りつつ飛翔突撃を敢行した。

「万物は一時姿を変え、我が戦の忠臣として武を誇る。……強き娘よ、光に還りなさい」
 相手を引き寄せる速度と自ら接近する速度、二重の速さで肉薄したレンは、その勢いのままエストックを突き立て、切っ先から魔力を放出した。レン自身と『幻夢の神鏡』とサキュバスから吸収した分を合わせた、膨大な魔力流が相手を呑み込む――。
「ああ……見事、だわ……ありが、と……」
 光の中に消えていくエレミヤの表情は、負けて悔いなしという清々しいもので。賛辞の言葉を遺して散った彼女に、レンは鎮魂の祈りを捧ぐ。勇士の一人として、聖なる決闘トーナメントにて刃を交えた者の名前と戦いぶりを、しかと記憶に留めるために。



「あたしたちの負けね……我らが神も、あんたたちの事を認めたのかもしれないわ」
 聖なる決闘トーナメントを終え、生き残ったサキュバスたちは、猟兵の実力と精神性を知り、聖遺物の主にふさわしいと認める。
 聖遺物『幻夢の神鏡』は正式に猟兵の手に預けられることとなり、以後は隠れ里の妖精と共同で管理していくことになるだろう。
「だけどもし、あなたたちが聖遺物の力を悪用しようとすれば……あたしたちは何度でも舞い戻ってくるわ」
 去り際に警告を残して、サキュバスたちは姿を消す。その言葉は、裏返せば猟兵への期待と信頼の証左とも言える。
 大いなる力を手にした者の責任――それを心に深く噛み締めながら、猟兵たちの聖遺物探索は幕を閉じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年12月12日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#バハムートキャバリア
🔒
#聖遺物


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト