光なき世に運命は廻る【サポート微優先】
「新しい事件を、予知しました。」
白霧・希雪(呪いの克服者・f41587)は白い髪と翼を揺らして集まった皆を見回し、静かに告げる。
「今回は……いえ、今回も、貴方達なら大丈夫だと思います。では、説明を……」
若干目を伏せながら、手持ちのメモをチラリと見る。依頼の説明はいつまでも慣れないですね、と軽く頭を振って説明を始めた。
「私が予知した世界は、カクリヨファンタズムです。しかし、いつもと雰囲気が違うようで……今回は、その解決が依頼となります。」
カクリヨファンタズム。妖怪や幽霊など、現代世界から失われた、忘れられた存在の行き着く先───多少説明に語弊があるが、雰囲気はそんな感じである。
そこで事件があるらしいが、雰囲気が違う───?
「端的に言うと……カクリヨから“光”が失われました。今のカクリヨファンタズムは、一面の闇が支配する暗黒世界となっています。」
光が失われる。額面だけを受け取ったとしてもそのインパクトは相当なものだ。
光がない。何も見えない。それに関連する不安や恐怖は相当なものだろう。
カクリヨにはそれを関係ないと言える存在も多くいるが、それでも言えない存在が多数を占めるのは間違いない。世界全体を揺るがす危機と言って差し支えないのだろう。
「僅かな光すら発生せず、月明かりの無い新月の夜よりももっと……目が慣れるとかその程度では無く、視界が全て黒で塗りつぶされた世界。その中で戦ってもらうことになります。」
目の前に手を翳しても、その手すら視界に入らないような、そんな暗闇。
視界に頼った状態では戦うことはおろかまともに歩くことすらままならないだろう。
「そんな状況で……骸魂が大量発生しています。一般妖怪達は成す術も無く飲み込まれてしまったようで。まずは、無数に発生したオブリビオン【リビングデッドドラゴン】を討伐してもらいます。」
リビングデッドドラゴン──生きた屍、の龍。
名前だけでは想像でしか無いが、大量発生したとなると名前からしても相当大変な仕事になりそうだ。
「動きは遅いですが再生能力が高く、攻撃は読みやすいものの光が無いのでは視覚に頼った感知は不可能。強力な猛毒ガスやゾンビ化粘液など……状況も相まって簡単に戦える相手ではありません。」
ドラゴンの骸魂が、リビングデッドの体に入り込みオブリビオン化した存在、らしい。
ゾンビに感染させたり、知能が低く動きが鈍かったり、頭が無事なら活動を続けられるなど、ゾンビ映画のお約束のようなものは大抵してくるようだ。
「強力な一方、向こうからこちらを感知する方法は生者への魔力探知と嗅覚に頼ったものらしく……この一点が隙となるでしょう。
……それらを討伐できたなら、程なくして元凶とも言えるドラゴンが現れます。」
「【『調律竜』フェンネル】 幸運を司る白竜に不運を司る貧乏神の骸魂が取り憑いた姿、というわけで……かなりの強敵となります。周囲の感知は完全では無いですが、気配察知や幸運の能力でカバーしてくるようです。」
幸運と不運を調律する竜。肩書きからしていかにも強力そうに感じるが、この存在がこの以来の最後に戦う相手。
予知を用いても詳細は闇の中、姿の断片すらも見えない相手。最近の規模感が違うような依頼の中にあっても違和感のないレベルである。
「常に幸運の強化と不運の支配で戦場を制圧し、暗闇の中に咆哮を轟かす───そんな光景の予知でした。討伐するには、手を焼く相手……ですが、討伐しなければ、カクリヨを覆う闇は晴れません。どうか、力をお貸しいただければ、と。」
深い闇を晴らすためには、消滅した光の概念を取り戻す為には、退けることのできない相手、ということ。
聞く限りだと強力無比にも思えるが、何か弱点はあるはずだ。無いとしても、己の持つ最高の一撃を叩き込む以外に最善など無いのだろうが。
「周辺の気配探知等、気をつけることも多いですが……はい。貴方達なら、可能であると思います、ので。」
少しだけ、詰まった言葉。希雪は大抵、依頼などで自らの抱いた想いなどを呟く事を忌避する傾向にある。自らグリモアの先へ飛び出していきそうな危うさも同様に。
だが、「可能である」と言った。その未来が見えたのかどうかは知る由もないが、その言葉に嘘はない。
「……門を、開きます。行き先はカクリヨファンタズム───ご武運を。」
いつものように、くるりと振り返って背後を向き、細い腕を大きく開くと溢れ出るグリモアの白い霧。
奥に微か映るのは、黒一色に塗りつぶしたキャンパスのような、距離感すらわからないほどの“黒”。
恐怖はある。だが、それ以上に足を踏み出す理由がある。
猟兵たちは力強く一歩を踏み出した。
カスミ
どうも、カスミです。リアルが一瞬だけ落ち着きそうなので、シナリオをお出ししようかと……
サポート微優先とあるように、サポートプレイングを積極的に採用しようと思っています。ですが、どちらかと言うと通常プレイングの方が書きたいので送ってくだされば書きますし、なんなら優先的にラストアタックを差し上げると思われます。
リプレイ執筆時間は不定期なので、参加したいと言う方はお早めに……と言ったところで、説明の方にいきましょう。
第一章:リビングデッドドラゴンを倒せ!
暗闇の中で屍竜を倒してもらいます。端的に言えばそれだけですが、光という概念が消えた空間での戦闘となりますので対策はしっかりやっておいた方がいいでしょうね。次のラスボスの為にも!
動きは遅いし向こうもあまり感知できないことから分かる通りそこまで強くないので、サクッとボコりましょう。
第二章:『調律竜』フェンネルを倒せ!
ボス戦です。幸運と不運を司りかなり強力な相手……ですが、立ち向かっていきましょう!
暗闇すぎて予知があまり出来なかったようですが、ネタバレというかPL情報としては角の部位破壊で感知や幸運の加護を消せるのでそんな感じで頑張っていただければ!
ラスボスを倒したら光なき世界に光が満ちる……というエモい感じになるので頑張りましょう! では。
第1章 集団戦
『リビングデッドラゴン』
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POW : 屍竜の毒霧
【口】から【猛毒ガスのブレス】を放ち、【即効性の神経毒】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : グラトニー・オブ・ザ・デッド
戦闘中に食べた【ゾンビの肉】の量と質に応じて【巨大化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : ネクロハザード
自身の身体部位ひとつを【猛毒の粘液】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
👑11
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陰日向・千明(サポート)
「異世界のスマホってのは、こうやって使うンスよォ
……!!」
◆口調
・一人称は「うち」、二人称は「あんた」、くだけた敬語をつかう
◆性質・特技
・マイペースで合理主義
・雨女
◆行動傾向
・特権階級者の車に轢かれ、事故を揉み消された恨みから黄泉返った女子高生。地元を鎮守する竜神の力を借りて受肉している
・他人より自己の利益を優先し、その世界の秩序や慣習にとらわれない傾向にあるが、なんだかんだで弱者は放っておけない
・神器化したスマホで霊界通信サービス「天孫(あまそん)」にさまざまな道具を注文して、あらゆる苦難を乗り越える
・死への恐怖心がなく、傷ついてもなお前進する様相はまさしく屍鬼
・切り札は誤発注したキャバリア
網野・艶之進(サポート)
「正直、戦いたくはないでござるが……」
◆口調
・一人称は拙者、二人称はおぬし、語尾はござる
・古風なサムライ口調
◆性質・特技
・勤勉にして率直、純粋にして直情
・どこでも寝られる
◆行動傾向
・規律と道徳を重んじ、他人を思いやる行動をとります(秩序/善)
・學徒兵として帝都防衛の技術を磨くべく、異世界を渡り武芸修行をしています
・自らの生命力を刃に換えて邪心を斬りおとす
御刀魂の遣い手で、艶之進としては敵の魂が浄化されることを強く望み、ためらうことなく技を用います
・慈悲深すぎるゆえ、敵を殺めることに葛藤を抱いています……が、「すでに死んでいるもの」や「元より生きていないもの」は容赦なく斬り捨てます
光のない世界。
光だけが欠けてしまった世界。
そこに一歩足を踏み入れれば、感触を実感することになる。
陰日向・千明(きさらぎ市の悪霊・f35116)は闇に覆われた中で顔を顰める。
「これは……想定以上っスね……」
光とは断絶された暗闇に、経験がないわけでもない。が、そういった場所と比べて特にここは違和感や気持ち悪さを感じる。
光は失われた。しかし、それ以外は一つの欠けもなく存在している。
音は聞こえる。風も感じる。地面を踏み締める感触だってある。
暗い暗い精神世界とも、光と無縁な地獄とも違う様相に感じる違和。
視認はできずとも、この世界が歪な状態にある───何者かに歪められた世界であると言うことは理解できた。
網野・艶之進(斬心・f35120)は、何も見えぬ世界の中で、ゆるりと手を伸べて風を感じる。
「光無き世……厄介な世界でござるな。」
目を閉じても、開いても、結局見える世界は変わらない。
ならばと剣を突き足場と先を測りつつ、ゆっくりと進んでいく。未だ目的地となるような異常も気配も感じないが───
2人がそれぞれ暗い世界に慣れた頃、聞こえるとはいってもある程度は静かだったこの世界に、悲鳴が響く。そして同時に咆哮も轟く。
「っ! ここでお出ましっスか…!!」
「確か、敵手は屍の竜───ならば、容赦もなし、でござる。」
咆哮の場所はすぐ近く。おそらくは今この瞬間に取り憑かれ、オブリビオンへと変化したのだろう。
そして生者の気配を辿るリビングデッド・ドラゴンはふしゅるると口元から瘴気を垂れ流しながら、鈍重だが力強い動きで艶之進へ噛みつこうとして───
「来るでござる……卯の方角、風力3、巻き起これよ花嵐──!」
艶之進が選んだのは迎撃。気配など容易に感じ取れ、光なき世であるがこそ心眼を用いればより鮮明に屍竜の姿が映し出される。
退魔刀より巻き起こる花吹雪は今にも崩れ落ちそうな腐肉すら刻むことはない。が、その奥に仄かに光る精神の形を斬り刻まんと迫るのだ。
「グルル、ルルルアアアアァァァ!!!」
咆哮こそ立派な竜のそれ。形を見ない今だからこそ、その先にある醜悪な腐肉は映らない。
「ったく、うちは眼中にないっスか? そんなら、うちから行かせてもらうっ スよぉ
……!!」
黄泉帰った存在が故に、生者を辿るリビングデッド・ドラゴンの眼には千明の姿はない。ならば、奇襲も容易と言うもの。
千明は既にゴーグル型の機器を取り付け視界を確保している。千明にとってノールックでスマホを使いこなすことなど容易も容易。隙を見て注文したのだ。
「うわ、めっちゃ聖属性弱点って感じ? なら……」
千明はスマホをぽちぽちと操作し、掲げる。屍竜には見えないが、そこには祝詞が表示されており、オーラを放っている。
千明がした行動はこれだけなのだが、オーラを浴びた屍竜が突然苦しみだし、体の腐肉がボロボロと消滅していく。
「……まぁ、これが一番手っ取り早いっスからね。悪霊退散っと。」
おそらく、骸魂だけでなくただの憑依先のリビングデッドもかなりのダメージを喰らうだろうが、御愁傷様というヤツである。
屍竜の消滅を確認したが、未だに暗闇が晴れる気配は無く。やはりボスを倒さなければ意味はないのだろう。
それに、倒した屍竜だって一匹ではない。舞う骸魂の数を見てもまだまだいそうな雰囲気である。ならば、他を狩りつつ出てくるのを待つべきだ。
戦いは始まったばかり。まだ気を抜くには早すぎるのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか
太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ
正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像で目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな
それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ
エリー・マイヤー(サポート)
フラスコチャイルドのサイキッカー × 寵姫です。
常に丁寧語で、あまり感情を乗せずに淡々と話します。
ユーベルコードは習得した物をどれでも使用し、目的達成のために全力を尽くします。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
***
ごきげんよう。
掃除が必要と聞いて手伝いに来ました、エリーです。
念動力が通用する相手なら、お任せください。
防御も攻撃も概ね念動力でなんとかします。
敵の攻撃を念動力で止めたり逸らしたり。
念動力で敵を掴んだり潰したり叩きつけたり。
まぁ、状況に応じてそれっぽく対応しますよ。
キャバリアは……まぁ、必要そうなら乗ります。
カツ、カツ、と。
また新たに、光なき世に足音が響く。
水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は佩いた刀に軽く手を触れつつ、吹く風向きに意識を向ける。
「光が失われたと聞いていたが、情報通り───情報以上、だな。」
実際に視界は黒で塗り潰され、視界のみで周囲を探ることは不可能だ。しかし、周囲の状況が全くわからないわけでもなく、今も風を感じているように触覚、聴覚、嗅覚は失われていない。おそらく味覚もだろう。
「面妖な世界だが、なんとかなるだろう。」
周囲の気配に気を配りつつ、見えぬ世界の中でゆるりと歩き回る。
エリー・マイヤー(被造物・f29376)は普段の様子と対して変わらず、ぼんやりと闇を見つめている。
「失われているのは、光だけ……なんですね。」
光が無い以外には周囲にも自分にも異常はない。
瞳で視ることが叶わずとも、念動力を用いた探査で周辺の地形を探れば、エリーには手に取るように分かる。大した問題になりはしない。
「このまま走査して、目的のオブリビオンを探しましょう。───これは。」
思考の途中、広範囲の探査を行なっていたエリーの念動力に反応がある───背後、すぐ近く。
───今ここで、憑依したのですね。
ふしゅるると開いた口から瘴気が漏れ出ている。
腐り落ちた身からジクジクと泡立つ粘液が広がる。
それらに触れた木や草が枯れ、溶け、消える。
死せる竜。死してなお、生きる竜の姿。
「……猟兵のひと。私が動きを止めますので、トドメをお願いできますか。」
「あぁ、任せてもらおう。」
近くにいただけの2人だが、状況が状況だ。周囲が見えぬ故簡易的だが、連携を行うことになる。
まず一歩前に出たのはエリー。前に出たといっても、エリー自体が動いて押さえつけるわけではない。
先ほどから活用している念動力。見えざる力という利点はこの場では生かすことができないが、それでも強力な力場は力押しでリビングデッド・ドラゴンを押さえつけるに足る程。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。押さえつける透明な手のひらの数が増し、そのままドラゴンは地面に叩きつけられた。
「さて。4つもあれば十分でしたか。」
「では、ここからは私の出番だな。水心子真峰、推参!」
佩いた刀──真峰の本体に軽く触れるが、抜くことはない。
その代わり、真峰の周囲に幾つもの刀が浮かび上がる。
「避けようがないだろうし、あまり面白い戦いではないが、仕方がない。」
何十、何百、何千と切り刻む名刀の複製。
それぞれが最速、最大威力を叩き込めるようにリビングデッド・ドラゴンの肉体を微塵切りにしていく。
それでも、肉体の再生は続く。
「まだ耐えるか。ならば、私自ら行くとしよう。」
周囲が見えないとはいえ、太刀のヤドリガミ。斬るべき相手を見失うことなどあり得ない。
複製刀のひとつを手に取り、押さえつけられたドラゴンの元へゆるりと向かう。
そして、軽く振り下ろしたかのように見える動作で神速の一撃を放ち、その命なき命を終わらせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ディアナ・ランディール
アドリブ可
「初の戦闘ですね。敵は大きいですが、頑張ってみましょう」
暗闇の中で敵であるリビングデッドドラゴンの気配を感じながら、一歩足を踏み出す。
「さて…どこにいるのでしょうか?」
気配を探りながら、シュートシルエットを装備して、あたりを見回すと、大きな影を見つけた。その影がリビングデッドドラゴンなのだろう。
「いましたね。では、これをくらってください。薔薇の鎖(ローズチェーン)!!」
ユーベルコード「薔薇の鎖(ローズチェーン)を使用。リビングデッドドラゴンの周囲に散らばせて攻撃を与える。
自分の近くの敵を少しでも倒せればいいのですが…。
闇に染まったカクリヨに、新たな波紋がもうひとつ。
光が届かないのではない。光が存在できないこの歪な空間に一歩、軽い足音が鳴る。
「初の戦闘ですね。敵は大きいですが、頑張ってみましょう。」
ディアナ・ランディール(鋼糸使いのドール/ビーストマスター・f41918)は周囲を見回そうとして、何処を見ても変わりのない暗闇を見つめる。
夜闇とは比較にならない暗さ。空間が有ることすら認識できない、視認する方法が存在しない程の光なき空間に少し困った表情を浮かべつつ、気配を探りながら歩を進める。
「さて……どこにいるのでしょうか?」
大した気配は無い。無数に浮かぶ骸魂、カクリヨの住民である妖怪たち、小さな生物たち。そこに討伐対象である屍の竜の気配が無い。
「あれ、見当たりませんね……この辺りにはいないのでしょうか?」
他の猟兵に先を越された可能性もある。少し歩きましょう、とシュートシルエットのスコープを覗き、狭いもののかろうじて視界を確保する。
周囲の様相は古風の住宅地といったところ。木造の家が並び、幽霊のような妖怪達が暗さを気にせずふわふわと漂っている。
「少し話を聞いてみましょうか……───っ!?」
突如、気配探知に引っかかる大きな気配が少し離れた背後に現れる。急いでスコープを向けると、大きな影。
この影がおそらく───
「リビングデッド・ドラゴン……!」
影しか見ることは叶わないが、それでもその巨体は分かる。
ふしゅるると口元から瘴気を漏らし、じゅくじゅくとした腐った肉が動くたびに少しずつ剥がれて落ちる。
ドラゴンの方もこちらに気づいたようで、大きな咆哮をあげる。
「グルルルァシャアアァァァ!!」
腐臭漂わせ、爆音轟かせ。だが、その咆哮にディアナは動じることはなく。
「いましたね。では、これをくらってください。
薔薇の鎖!!」
ここは住宅地。暴れられ、建物や住民に被害が及ぶようなことはさせたくない。
スコープから瞳を離し、シュートシルエットを真っ直ぐに構えると、その形が無数の花びらに崩れて風に吹かれるようにドラゴンへ纏わり付く。
これは花びらの嵐。これは花びらの鎖。取り囲み、覆い尽くし、斬り刻む薔薇の花びらだ。
「グ、ルルルルアアアァァァ!!!」
苦しむ声をあげても、状況は変わらない。再生能力があったとて、ひとつ回復させる間に無数の傷を与えるのでは焼け石に水というもの。
最後には肉体を食らい尽くすかのように迫る花びらが、みじろぎ一つすら許さずに醜悪なるその首を切り落とした。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『調律竜』フェンネル』
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POW : 不運を招く黒布
【貧乏神の布切れに似た黒いオーラ】が命中した対象を切断する。
SPD : 白炎の奔流
【白炎のブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 常時発動型UC『ホイール・オブ・フォーチュン』
【対象の肉体に不運を放ち、行動の失敗や】【ユーベルコードの不発を誘発させる。】【あらゆる行動の成功率を上げる幸運】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
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バルタン・ノーヴェ(サポート)
「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタ!」
ご用命あらば即参上! アドリブ連携歓迎デース!
普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
戦闘スタイル:白兵射撃の物理系
各種武装の中から敵に有効なものを選択して用いてくだサーイ!
刀も銃器も、内蔵兵器や換装式ウェポンも、何でもOKデス!
アタック重視でもディフェンス重視でも対応可能デース!
斬り込み、爆撃、弾幕を張ったり、パリィ盾したり、臨機応変に立ち回りマース!
指定ユーベルコードが使いづらいなら、公開している他のものを使用しても問題はありマセーン!
オブリビオンを倒して、ミッションクリアのために力をお貸ししマース!
仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!
お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ
口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ
よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね
アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。
数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」
基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。
探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。
情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。
戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。
暗い世界、全てが闇に落ちて───というより、そもそもとして光が存在しないような、完全なる暗闇に。
龍の咆哮が響く。それは、運命を廻す咆哮だ。運命を縛る咆哮だ。
この場の全ての存在は、我に及ばない。
この場の全ての運命は、我に届き得ない。
そんな傲慢な声が、暗闇に響き渡る。
「敵の姿は見えまセンが、しっかりバッチリ各種センサーに写っているので無問題、早速突撃していきマショー!」
暗闇を、その中の静寂を掻き消すように、響く声がもう一つ。
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は上空に浮遊する、運命を司る龍の姿をセンサーに捉え、飛翔する。
「こんな暗闇じゃあキレイなものも、カワイイものも、全部見えないじゃない。
アンタをさっさと倒して、この暗闇を晴らさせてもらうわよ!」
バルタンが空を翔ぶなら、地を駆けるのは仲差・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)だ。
風景が見えないのはやりにくいが、敵の大方の位置は把握できている。
そもそも見えぬのならと目を閉じて、ルーンソードを構えつつ。
「まずは貴様等2人か。この暗闇で我に争う姿、見せてみよ!」
調律龍はただ傲慢に、2人の突撃を見やる。
ただ、常時発動しているUC、『ホイールオブフォーチュン』の効果で沈むだろうと。
暗闇に紛れて、黒い影が2人を包む。そして───
バルタンが構えたバズーカが、暴発する。
衣吹の持つルーンソードが、僅かに緩んだ手から滑り落ちる。
有り得た極低確率の事象を引き摺り出される、強力な力。
「っ! しかしまだまだ、ワタシの武装はありマスよ!」
「……、0.1%でもその可能性があったことが不快だけれど。同じく全ての牙を削がれたわけじゃないわよ。」
それでも、2人は抗える。
バズーカがダメならマシンガンで。それもダメなら爆撃や特攻で。
ルーンソードが無くともダガー1つで十分だ。目でも潰せば暗闇だろうと効果はある。
少しずつでも、調律龍にダメージが蓄積されていく。
そして、2人で削り切る必要もない。
「流れで悪いが……隙を作る。合わせろ……!」
「助かるねぇ。こんな暗闇じゃあ顔も見えないけどねぇ!」
アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)が、そして数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が、この暗闇の戦場に現れる。
「さらに2人……どれだけ集まろうとも、運命の前に無意味だと知れ!」
アスは蒼の二丁拳銃──ブルーブラスターを手に、照準を定める。
光の少ない宇宙空間で戦うことも多い。例え視界の全てがなくとも、音の方向で相手の位置は把握済み。
暗視に頼れない現状でもブルーブラスターの射撃は、正確無比に調律龍へと襲いかかる。
「く、小癪な!」
調律龍を取り巻く運命の影が、アスへと向かう。
本体は無防備に、そして注意はアスへ縫い止められ。
「隙だらけだねぇ。こりゃあ狙ってくださいとでも言っているようじゃないか。」
調律龍の背後に、多喜が迫っていることに気付かない。気付けない。
相手の位置はキャバリアのセンサーで既に捉えている。
電脳に浮かぶ相手の姿は視覚で得られるはずだった情報と何ら変わりはなく、それ以上に鮮明に、正確に、映し出す。
それに対し調律龍は、幸運を纏うとはいえ視覚を失い万全ではない。
光なき暗闇は敵味方問わず同じ効果をもたらす故に、そこに生じる僅かな隙。
「サイキックオーラ全開、シンクロ開始……リフターフルドライブ! さあ、耐え切れるかい!?」
多喜の乗るキャバリアの姿が、生身を模したものへと変じていく。
それは変貌。それは進化。今の姿はこれまでと比べ飛躍的に、強い──!
「喰らええええええ!!!」
構えるは剣。刀身がレーザーで構成された、相手を断ち切る唯の一撃を放つ為だけの剣。
横薙ぎに放たれたそれに、調律龍は反応する。しかし、取りうる行動の全てが一歩、遅かった。
「─────」
恨み言も、呻き声さえ出せぬ一瞬の斬撃で、調律龍の首は飛んだ。
そして、その巨躯が地面に落ちてゆく。
きらり、と。暗闇が晴れる。
まるで、朝日のように太陽が輝く。
この暗い世界をもう一度包み、救いの光で満たすように。
否、これは救いの光ではない。
自分たちの手で取り戻した、日常の光。平穏の光なのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
調律の龍が墜ち、世界は光に包まれた。
しかし、それで終わりではない。
生きている。未だ、その体の断片が蠢いている。
光を奪った存在としては、既に死んでいるのだろう。
だが、調律の龍として。禍つ魂に染まった存在としては、まだ斃れない。
目的も、行動も、その全てを真っ向から砕かれた龍は、声のない咆哮を上げる。
1人でも、道連れに。
それはただの怨恨だ。
だが、果たしてその声を軽んじられるだろうか。
戦いは、終わっていない。止めを刺すその瞬間までは。
鳳凰院・ひりょ
敵は強大だ、俺の力が通用するのか…
いや、弱気になってはダメだ!
この地の平穏を取り戻す為にも、奴を討つ!
敵の黒布は受けたらまずい奴だ
第六感と野生の勘・聞き耳を頼りに見切り回避試み
目で見るな!耳で空気の流れで敵の攻撃を感じ取るんだ!
とはいえ、この高い集中力が必要となる回避はそう長くは維持出来ない
勝負に出るか!
UCを発動し真の姿になったら飛翔、光属性攻撃+貫通攻撃を付与した護符を敵攻撃の飛んできた方向へと乱れ撃ち
可能なら敵を一瞬でも目潰し
深い闇を貫通し光が届けば、一瞬でも敵の姿が捉えられるかもしれない…
敵の位置確認したら
光属性攻撃を付与した次元斬で敵を攻撃
俺達猟兵は負けるわけにはいかないんだ!
徐々に照らされゆく大地、光り輝く太陽の下。
朝焼けを通り越して真昼の日光が照らし出せば、敵の姿もよく見えるというもの。
幸運を齎す白き威厳。
不運を齎す黒き怨恨。
二つ合わさりて、ぐるりと廻る。万象を手にする調律の龍。
そんな龍の前に立つ、一人の猟兵の姿が光の大地に影を落とす。
「敵は強大だ、俺の力が通用するのか……
いや、弱気になってはダメだ! この地の平穏を取り戻す為にも、奴を討つ!」
鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)が調律の龍の前で、そう言い放ち構えれば───頭のない首を持ち上げ龍は吼える。
もはや、声も振動すらも届かぬままに。
しかし、それでも。
龍は再び作り出す。完全な暗闇を。
それはこの戦場内という狭い範囲だけかもしれない。長時間は持たない禁忌かもしれない。
だが──今、この瞬間。目の前の敵を道連れにする。その怨恨のために。
そして再び暗闇の中に、戦いの火蓋は落ちる。
調律の龍はその身を覆う黒布の如きオーラを放ち、幾重にも重ねて薙ぎ払う。
ただのオーラと侮る勿れ。不運の気配、貧乏神の権能は全ての
縁を断つ呪。
物理でも理屈でもなく、その概念ひとつで万物を斬るのだ。
───攻撃が来る。
暗闇の中、目では見えない。それでもわかる。
音が、振動が、気配が、勘が。全てを教えてくれる。
斬撃の嵐も、敵の位置すらも。
目で見るな。集中しろ。
耳で。空気の流れで。敵の攻撃を
感じ取るんだ。
横に薙ぐ黒布を、体を捻って体勢を低くしていなす。
布らしくたわんだ隙間を縫って、高密度の斬撃弾幕を紙一重で避けていく。
───大丈夫。避けるのは不可能じゃない。でも、この集中はそう長くは保たない……なら!
───勝負に出るか!
正直押し切れる確証はない。けど、ここで退くこともできないから。
ならば、この一手に全てを賭ける!
闇の中、ひりょの背に翼が開く。
黒と白。闇と光。光の存在を許されぬこの暗闇では見ることは叶わぬものの、ぬくもりと力強さを感じる両翼が。
そして、一本の刀を正眼に構えて。
位置はわかる。
あとは、全力で振り抜くだけ。
「全てを断ち斬る!!」
ひりょの放った斬撃は、次元を裂くもの。
世界の表面を遍く暗闇で包む程度の影響など、全て断ち切って。
その剣筋に、斬撃の通り道に。光なき世に、燦々と輝く光の線を刻み込む。
そしてそれは、調律の龍を両断するのに十分すぎる一撃だった。
再度、闇は払われた。
この世界を襲う脅威を、完全に討ち払った証左だ。
大成功
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