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魅入られし離反者

#UDCアース


●望む者と望みし者
 時に人は狂気に魅入られる。人知を超えた存在だからこそ、惹かれてしまう。
「おお、おお……クリーチャーには無限の可能性を感じていたが、『キミ』こそ最たる者だ!」
 下水の腐臭が漂う、薄暗い地下で男は嗤った。
「『キミ』にとって脆弱な人間を利用せねばならないことが難点だろうが、私ならば!」
 目下の濃い隈と痩せこけた頬から、男は極めて不安定な状態だと窺える。
 虚空にむかって叫ぶ姿も、また――だが、この男には聞こえるのだ。
 脳内に語りかける存在へ向けて、男は自らを誇示する。
「人類防衛組織に関する知識、クリーチャーと戦い鍛え上げた肉体……この張・竜泉は適材ではないかね?」
 蛇のように瞳孔を開いた瞳をさらに拡げ、竜泉は寒気立つ笑みを浮かべる。
 ――交渉は成立した。
 全身を襲う激痛に、竜泉の苦悶する叫びがこだまする。
 それを聞きつけたのは、屈強な異教徒ら。
 ガタイのよい異教徒らが、叩き割らんばかりにドアを開くと――、
「……人間ってのは、酔狂な奴もいるもんだなぁ……ケケッ」
 竜泉の姿をした『何者か』は、気だるげな眼差しを向け口角を歪めた。

●狂気と隣り合うということ
「防衛組織に関わる人間は、常に狂気と共にあります」
 重苦しい空気を漂わす李・蘭玲(サイボーグのグールドライバー・f07136)は閉じた瞼を開く。
「此度の主犯は狂気に冒された、人類防衛組織の関係者です。数ヶ月前、香港支部から失踪した『張・竜泉』という男が、自らを依り代に精神寄生型UDCへ肉体を提供しようとしています」
 組織に属する以上、外部に知られてはならない機密情報を、竜泉は多数保持していた。
 無論、それらが漏えいしたとなれば、国際社会に混乱をもたらす。
「本来なら組織で処断すべき案件ですが……皮肉なことに、竜泉は良き武芸者でして。組織としても、この狂人を確実に始末したいというのが本音です」
 老練な猟兵の眼差しは雄弁に語る――このような事態は、よくある事だと。
「狂人の居所を突き止め、狂人と寄生UDCの討伐を。それが本件となります」

 竜泉の潜伏先は組織の協力者によって、エリアを絞り込まれていた。
「場所は中国南東部の街・天氷鎮だと突き止めました。しかし、こちらの動きを警戒してか、拠点らしきものは巧妙に隠されていまして……猟兵の皆さんには地域住民に聞き込みをして、場所を割り出して頂きたいと思います」
 住民数は少ないものの、住居は密集している。
 それくらいの規模なら、地域内では噂もすぐ広まっていることが予想される。
 市場、飲食店、公園など公共の場で調査してみると良いだろうか?
「特に治安も安定した地域なので、主婦の皆さんが話題にされているかもしれませんねぇ。聞き込み対象の参考にしてもらえたら、と」

 調査が終わったら、本丸へ乗り込むことになるが、竜泉も万一には備えていた。
「外部へ気取られたときに備え、竜泉は筋肉教の教徒を手懐けています。どうも『神を降臨させる』という事実だけを聞き、筋肉神を招来するのだと思い込んだようで……筋肉教徒の思考がシンプルなだけですね」
 呆れ気味な蘭玲だが、「その単純思考に反し、戦術は搦め手が多い」と前置きする。
「教徒達は『神降ろしの儀』という祈祷やポージングで、身心に影響を与えます。くれぐれも対策は忘れずにね」
 そして、突破した先には狂人となった竜泉が待ち構えている。

「その竜泉って奴、どうしても倒さないといけないか?」
 ある猟兵の質問に、蘭玲は重苦しい表情で首を横に振った。
 狂うとは『相互理解が不可能になる』こと、理解できない相手だからこそ恐怖を覚えるのだ。
「仮に肉体を保護できたとして、精神から理智は消えるでしょう。生命維持するだけなら植物と同じ、『人』とは言い難いと思います」
 それでも、生存を良しとするなら――なにか手段を考えてみるのもいい。
 蘭玲は「最後の判断は皆さんに委ねますので」と僅かに頬を緩め、すぐに顔を引き締める。
「竜泉は『殖え続ける者』と呼ばれる、精神寄生型UDCを自らに寄生させて生命体として確立させます。さらに寄生体は分霊を駆使し、気絶した者を操作したり、皆さんの動きを封じることができます」
 おそらく竜泉は別の生け贄を用意していないだろう。
 だが、『殖え続ける者』が街に飛び出せば、爆発的に拡散していくことは想像に難くない。
 なんとしても、精神寄生体は排除せねば。

「事件後の情報統制や、必要ならば通訳も。組織から全面的にバックアップしてもらいますので。皆さんは事件解決に専念してください……相手は人の形をした魔性の獣、惑わされないよう心を強く持ってちょうだいね?」
 気遣わしげな視線で蘭玲は一瞥し、グリモアを握る手に力を込める。
 キューヴの光は周囲を白く塗り潰し――白んだ視界の先に、穏やかな街並みが広がっていた。


木乃
 木乃です、今回はUDCアースでサーチ・アンド・デストロイ!

●捜索エリア
 中国南東部にある『天氷鎮』という地域です。
 (規模としては、地方都市の区画内にある、小さな町ほどの規模です)
 公共インフラも完備、飲食店や市場、公園など公共施設もあります。
 狭いエリアなので、主婦たちの噂の的になっているかも?

●敵情報
 ・筋肉教の狂信者。
 筋肉・イズ・GODな狂信者です。
 竜泉の口車に乗せられ(?)協力しているようです。
 『神降ろしの儀』を駆使した独特の戦闘スタイルを駆使します。

 ・張竜泉(in『殖え続ける者』)
 UDC組織に属していた青年です。
 狂気に呑まれた末に魅入られ、UDCに肉体を与えようとしています。
 接触時には憑依された状態であることが予想され、
 また肉体を保護できても精神への致命的なダメージは避けられない、とされています。
 もし救出を試みるなら、作戦を考える必要があるでしょう。

 以上です、それでは皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 冒険 『主婦たちの噂』

POW   :    力仕事を手伝って仲良くなる/強引に聞き込みをする

SPD   :    主婦たちの会話をこっそり聞く/尾行をする

WIZ   :    コミュニケーション能力を活かし情報を聞き出す/ネットを活用する

👑11
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タケミ・トードー
私はこの見てくれだし、力仕事の手伝いを申し込むぜ。
荷物運びに荒事の助太刀、なんでもござれだ。
バイクもあるから広範囲の聞き込みや、それこそ範囲のある内容でもお手伝いできるから、主婦の皆さんには大助かりなんじゃないか。
範囲を広く活動すれば、筋肉教の関係者と勘違いして接触してくる人もいるかもしれない。
情報については、とにかく広く細かく時間の許す限り集める。
張がUDC接触の為に情報を集めていたなら、逆に追い出す方法や精神体だけを破壊する方法も拾っていたかもしれない。
手立てがある内は、人命を諦めることはしたくないからな。

もし障害物の排除があれば、ユーベルコードで破壊してさっさと終わらせるぜ。



●主婦の気になる噂話
(「っかしいなぁ」)
 天氷鎮をバイクで疾駆するタケミ・トードー(鉄拳粉砕レッドハンド・f18484)は、路肩に愛車を寄せて一息ついた。
 組織の協力者によれば、張・竜泉とその手下はこの界隈に居る。なのに、
「筋肉教の関係者が出歩いてると思ったが、当て外れだったみたいだぜ」
 首謀者の竜泉は組織の関係者でもある。
 筋肉教徒は迂闊な行動を控えるよう指示された可能性が高い――だが、収穫が全くなかった訳ではない。
 聞き込みしようと声をかけた者達は、屈強なタケミを見るなり不安そうな表情を浮かべたり、慌ててその場を立ち去る者も少なくなかった。
 つまり、彼女のような精悍な風貌の『誰か』が、この地域で不審な行動をしていることは明白だ。
 とはいえ、このままでは情報も集められない。
「どうしたもんか……ん?」
 困り果てたタケミの視界に、冬瓜(とうがん)が山と積まれたリヤカーが視界に入る。
 よろよろと台車を引く女性の背には赤子がひとり。
 グズグズと鼻をすする様子は、今にも泣き出しそうで、女性も重たい荷物のせいであやすことも出来ない。
(「状況を利用するみたいでなんだが、今は少しでも情報が欲しいからな」)
 再びハンドルを握ったタクミは件の女性へ接触を試みた。

「アンタ、よかったら手伝うぜ?」
「え? あ、えと、あの……」
「チビ助がぐずってて困ってんだろ。コイツで引いてくから、荷台に乗って、行き先を教えてくれ」
『盗る気はない』とぶっきらぼうに申し出るタケミに、女性はしばし逡巡すると「お願いします」と受け入れた。
 台車の持ち手を後部に連結させ、目的地だった屋台市場へ向かう。
 道中での会話はひとつもなかったが、流れていく景色に、機嫌を損ねていた赤ん坊は楽しげな声をあげ、上機嫌になったことが窺える。
 ついでに冬瓜の荷下ろしをタケミがこなし、最後のひとつを店先に加える。
「……あの、なにからなにまで、すみません」
「これぐらいお安い御用だぜ。それでよ、ちょっと聞きたいことがあるんだが」
 タケミは「この辺で最近なにかなかったか?」と子供を抱える女性に問うと、女性は辺りを窺うように視線を巡らせ、
「実は最近、変な男の集団が、夜な夜な怪しい動きをしているらしくて……」
「何処にいたんだ、そいつら」
「公園や広場だと……でも、もう一度確かめようとしたときには十数人、全員がいなかったそうなんです」
 十数人が姿を消す――なにかしら仕掛けがなければ、短時間で身を隠すことは難しい。
 だが、傍から聞くと、それはあまりに滑稽な話でしかなく。
「警察もまともに取り合ってくれなくて……でも、その集団、いまだに目撃されてるんです。それで皆も不安がってて」
 タケミをその一員だと思っていた――女性は「疑ってすみません」と何度も頭を下げる。
 落ち着いて考えれば、後ろめたいことがなく、堂々とするタケミを疑う必要はない。 それだけ天氷鎮では、不可解な出来事や不審者に対し、不安な日々が続いているのだ。
(「張のやつを救う手立てはまだ見つかってないが、食い下がらないことには始まらないな」)
 別れを告げて、タケミは愛車で走りだす。
 時間が許す限り、ひとつでも多くの情報を――例え、怪物に惹かれた哀れな男だとしても。
 タケミにとって見捨てていい理由にはならなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「UDCの狂気に囚われましたか……エージェントとして同情は、しましょう。ですがエージェントとして、対処も、しなくてはいけませんね」

■行動(WIZ)
通訳が可能な現地のDクラス職員を助手として伴いながら、ラジオ局の職員を装って行動しましょう

『天氷鎮の活性化を目指して、店舗や観光、人の興味を引く噂話を収集している』と言って主婦達への聞き込みを行うつもりです
私自身の『コミュ力』、『情報収集』を用いて、なるべく人懐っこい新人職員を装えば教えてくれる情報も増えるでしょうか

時間が空いた時には『UDC職員用スマートフォン』を使って、天氷鎮関係のSNSや噂の書き込まれていそうなネット提示板を探すのも有効でしょう



 火奈本・火花(エージェント・f00795)が、現地のDクラス職員と合流してから数十分。
「――……二つ先の通りにある茶店のパオズは絶品、だそうです」
 通訳を兼ねる特派員はなにか言いたげにしており、火花もシワを作りそうな眉間を指でほぐす。
 地域の活性化を目指し、店舗や観光名所となりそうな場所、興味を引きそうな噂話を収集しようと取材している。
 特におかしな点はない。
 それについて己の対人能力、情報収集能力を活かし、人懐っこいラジオ局の取材班を装う。
 これもおかしな点はない。
 むしろ笑顔で接してくれていることから、効果的に発揮されている――齟齬が生じる要素があるとすれば、
(「……意図して話題から外されている、ということでしょうか」)
 にこやかに接する主婦達は実に協力的だった。
 どこそこの氷菓子は種類が豊富だとか、あそこに見える食堂はサービスが良いだとか。
 地元おすすめスポットは山ほど教えてくれた――だが、肝心の『張の潜伏先に繋がる情報』が出る気配はない。
(「冷静に考えれば、彼女達だって印象を下げるような話題は避けるのが道理……現に、私が人懐っこそうな人物を装ったのも、印象を好くする為ですし」)
『地域の活性化』『ラジオ局』という単語が、かえって不審な情報を広めないよう、話題から避ける要因になったのだろう。
「最後に『良い番組ができそうです』とだけ、伝えてください」
 仕切り直しが必要と判断した火花は、親切な主婦達から離れると、紹介された茶店で小休止することに。

 休憩がてら、豚肉たっぷりのパオズを口にしながら、火花はUDC職員用スマートフォンを操作する。
「天氷鎮の噂で目につくのは『深夜に現れる不審者集団』の話題ですね。筋骨隆々の男達が、狂ったように怪しげなポーズをとる姿は宗教じみていた……間違いなく筋肉教の信者でしょう」
 添付された画像のほとんどは闇を撮し――時間帯が『日没後』という事だけが解る。
 欲を言えば、もう一歩踏み込んだ情報が欲しいところ。
「火花女史」
「筋肉教の教徒が深夜に活動していることは、複数人の目撃情報からも明白です……次のアプローチを考えます」
 指示を促す職員を制し、火花は端末を操作する指を走らせる。
(「同じエージェントとして……同情は、しましょう」)
 しかし、理性を失い、狂気に溺れ、欲望を満たそうという私情は認められない。
 世界の影に潜むUDCに抗うエージェントとして、対処することはやむを得ない。
 火花は端末を懐にしのばせ、静かに席を立つ。
「次の行動を開始します。我々の敵は今なお動いているのですから」

成功 🔵​🔵​🔴​

タケミ・トードー
広場に公園か。あからさまに何かあるって奴だが肝心のモノが見えてこねえな。
一先ずはそこらに探りを入れて、何かないか調べるとするか。
他の人らは俺の姿に怯えてるみたいだし、姿を見せないようにSPDで聞き耳をたてて、尾行するぜ。
バレそうになったらユーベルコードでバイクを変形させて一瞬で逃げる。
格好が違えば、ちーっと見られたくらいじゃ私って分からないだろうし、前回以上に警戒されることはないだろ。
状況を悪化させないように上手く立ち回って情報を集めるぜ。



 先ほどの一件から、タケミは人目を避けるように路地を移動することにした。
「広場に公園、か……あからさまになにかありそうだが」
 肝心のモノが見えてこない――例えば、信者達がどのようにして姿を消しているのか。
 この点がハッキリすれば、日中に活動しなくても済む方法が解るかもしれない。
 ときたま見かける人影を避けるようにしつつ……最寄りの公園に辿り着き、タケミは周囲に気を巡らす。
「……特に怪しいところはなさそう、だよな?」
 公園内はやや乾いた土が広がり、景観を配慮した木々が等間隔に並んでいる。
 小鳥のチチチ、と鳴く声は市民らの憩う場として、心和ます環境音として相応しい。
 あまり目立たぬよう注意しつつ、路地から出ようとしたとき――、
「うおぉっ!?」
 なにかにつま先が当たり、たたらを踏む形となったタケミは慌てて持ち直す。
 すぐに原因を確かめようと足下を睨んでみれば、
「なんだよ、マンホールの蓋が浮いてるじゃねぇか! 危なっかしいったらないぜっ」
 何度か踏みつけはめ直し、タケミは再び公園に向かおうとして……はたと妙な違和感を覚えた。
「……つうか、なんでマンホールの蓋が浮いてんだぁ? 形が合ってねぇ訳でもないだろうに」

 訝しむタケミであるが、じっくり観察する余裕はなかった。
 近づいてくる足音に気づき、タケミはすぐさま建物の影に身を潜ませる。
「――うちの旦那がこの辺で……」「ああ、出るんだってね。怪しい集団が――」
(「よっしゃ、噂話してるみたいだな!」)
 こっそり聞き耳する傍らを、二人の女性が通り過ぎようとしている。
 一言一句、聞き漏らさぬよう耳をそばだてると、会話内容がいっそう鮮明に聞こえ始めた。
「でも、消えるんでしょ? その怪しい男達って」
「まさか! 人間が消える訳ないでしょ、案外その辺に隠れてるかもしれないわよ」
 彼女たちにとって『消える不審者集団』なぞ、眉唾な話でしかない。
 それがこの一帯を脅かす脅威であると、知る由もないのだから……けれども、タケミにとっては重要な情報となりそうだ。
「その辺に隠れてる……ねぇ」
 賑やかしく通り過ぎた女性達を見送り、視線は先ほどのマンホールへ。
 物体消失マジックの仕掛けも、種を明かしてみれば大それた仕掛けはなかった――ということも多い。
 ――――どうやら秘密は、このマンホールにありそうだ。
  

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「マンホールが怪しいとなると……都市部に隠れるならスタンダードな方法かも知れませんね」

■行動(POW)
ラジオ局員ではこれ以上の情報は望めそうにありませんね
作業着などで下水道の整備業者に『変装』しましょう
着替えは人目のない所で。髪型を変えるなど、雰囲気は徹底して変えます

Dクラスに作業中の看板などを用意させながら、先程とは違う主婦達に話を聞ければ良いですね
下水道の害虫駆除として、深夜に鼠などが出るとの連絡があった旨を装いましょう。公務員としてトラブルや不安への聞き込みをする事で、「話せば問題に対処してくれる」安心感を与えるつもりです

UDC組織にも連絡し、下水道の地図などを取得出来れば良さそうですね


タケミ・トードー
マンホールが怪しいのは有力情報になるだろうが、調べるにはバイクを置かなきゃならないって事だな。
待ち伏せて例の奴らが来る可能性もあるし、中に入って鉢合わせても困る。
まずは現場から離れて、俺と同じように情報を集めている奴がいないか、先程の奥さんに話を聞いてみるぜ。
この町の情報を集めている奴がいれば同僚だろうし、そいつを探しだして情報を共有する。
俺の案はマンホールが見える場所に隠れて待ち伏せして、怪しい奴が現れたら追跡だ。
共同作戦張れる奴が中に行くなら外で見張りだが、一人だけで中に潜る場合はついていくとする。
武器にはハンドガンタイプと邪魔にならなきゃライフルタイプのアサルトウェポンを持っていぞ。



(「マンホールが怪しい……となると、困ったぜ」)
 タケミは顎に拳を添えて小さく唸る。
 マンホール内部――下水道で活動する異教徒と遭遇する可能性だ。
 人目を避けて行動している以上、鉢合わせる可能性が高く、また狭い通路で退路を塞がれれば救援を要請することもままならない。
「……これ以上は一人で行動するのも限界だな、誰かの手を借りられりゃいいんだが」
 ボリボリと頭を掻いてタケミは別行動する猟兵との合流を図る。
 ――火花はラジオ局員として行動した地点から調査範囲を移していた。
 同行する特派員に次のアプローチのための準備を任せ、新たな情報獲得に奔走する火花が、今のところ真新しい情報は入手できず。
(「曖昧な部分が多く、検証を試みるには不確定な部分も多いんですよね……」)
 思考を休め、火花が職員に状況確認しようとしたとき。
「そこのアンタ」
 無愛想な声に火花は片眉を吊り上げ、声の主を視線で探す――建物の影からタケミが手招きしていた。
 あからさまに怪しく、けれど訝しい様子がかえって火花には信用できる要素となった――秘密裏に動く者として、人目を避けようとするのは必然なことだ。
「アンタも猟兵だろ、調査にてこずってるなら協力してほしい」
「なにか有力な情報でも?」
 タケミは公園近くで発見した『不自然に浮いたマンホール』について伝えた。
 筋肉こそ至上とする集団が、空間転移という手間がかかる高等魔術を体得している可能性は限りなく低く、人をおちょくったような方法ではあるが『不可能ではない』のだ。
「それで、マンホールが怪しいと……都市部に隠れるならスタンダードな方法かも知れませんね」
 シンプルな方法である故に、複雑に捉えてしまうと可能性から除外されやすくなる。
 納得した様子の火花に「一人で潜りこむには不安が残る」というタケミ。
「では、安全に調査できるよう私から手配しましょう」と火花は手にした端末を起こす。
 ――数分後、三人分の作業着と下水道の見取り図を手にした職員が戻ってきた。

 ツバ付きのキャップを目深く被り、髪はなるべく帽子の中へ。
 特徴として認識されやすい眼鏡を外すと、火花とタケミは互いの作業着姿を確認する。
「ネットの情報だと日没した後に現れるんだっけ?」
「はい。おそらく不審な行動は筋肉教の独断行動です、張が知ればやめるよう指示していたでしょうし」
『神降ろし』という冒涜的偉業に貢献しようとしたのか、単に習慣的なものなのか――理由はなんであれ、張は協力者のチョイスを間違えた。
「目撃されてんのに続けてるんだもんなぁ、事の重大さに気づいてなかったのか?」
 冷静な火花の解説にタケミは溜め息を漏らす。
 件のマンホールを張り込み始めて数時間――日は落ち、路傍を行き交う人も減り、家屋の明かりが消えていく。
(「こう、なんもせずに居るのは逆に疲れちまうぜ」)
 待ちぼうけて手持ち無沙汰なタケミは懐の銃器を確かめる。
 弾詰め、安全装置、整備も万全であることを頭の中で順々に思い返しているとき――地べたが僅かに浮いた。
 湧き出るように現れる屈強な男達、その胸板に輝く『筋肉』の二文字とスキンヘッド。
「……どうやら祈祷の時間のようですね」
 ぞろぞろと公園内へ向かっていく巨漢は円を描くように立つと、怪しげな動きをし始める…………文字通り、不審な挙動のほうである。
(「これは……確かに、あまり他所の方へ広めてほしくはない、でしょうね」)
 しなやかにうねる広背筋と側腹筋! 雄々しく誇示される上腕二等筋に大臀筋!
 僧帽筋は山を作り、肩部を覆う筋が隆々とそびえる!
 膝下を包むヒラメ筋から、臀部へ伸びるハムストリングスも見事な流線を描く。
 その肉体美、月光の中で惜しげもなく誇示し続けるゥ――ッッ!!
 ……いっそ異次元ならよかったのにと思うほど、暑苦しい現実に火花も絶句せざるを得ない。
「いや、うん、ありゃ不審者集団だぜ……間違いなく」
 コメントに窮するタケミだが、見逃してはなるまい、と辛うじて様子を窺い続ける。
 これだけ異様な見世物を目にすれば広めたくなるのが人心というもの――面白半分か、興味本位か――『パシャ』と微かなシャッター音が耳に入る。
 気づいた異教徒の一人が撤収の合図を出し、吸い込まれるように、慣れた身のこなしで下水へ飛び込んでいく。
「このまま追跡しようぜ!」
「ええ、彼らの潜伏先に首謀者がいるはず」
 UDC職員に工事用看板を立てておくよう火花は指示し、タケミは閉じられたばかりの蓋を見下ろす。
 魔窟と化した下水道……闇に潜むは悪鬼羅刹か、奇天烈破戒僧か。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『筋肉教の狂信者』

POW   :    神降ろしの儀:地上を照す太陽のポーズ
全身を【使って祈る姿を見た者を、盲目状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    神降ろしの儀:夕暮れに飛ぶ鴉のポーズ
全身を【使った祈りを見た者を、帰宅したい精神状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    神降ろしの儀:神に捧げる祈りのポーズ
全身を【使いポージング。周囲の無機物を邪神の眷属】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
👑11
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●筋肉は全てを救う
 薄暗い下水道で視界を確保しようと明かりを灯す。
 鼻につく不快な臭いを発する水路の脇。
 作業員が使うはずの通路には、出来たばかりの足跡がべったりと残されていた。
 逃走した筋肉教の教徒が残したのに違いない――発見されることを想定していなかったのか、単純にそこまで考えていなかったのか。
 間違いなく言えることがあるとしたら『協力者として不適当だった』ということだろう……。
 足跡を辿って慎重に歩を進めていくと、荒々しい呼吸音がいくつも聞こえてくる。
 日課とおぼしき儀式をこなし、ひとっ走りしてきた屈強な男共は整備室の一角を無断で占拠しているようだ。
 先手を打って数を減らすか。
 出てきたところで不意を突くか。
 それともこちらにおびき寄せて各個撃破するか……大本を正す前に、超絶不審者教団を成敗するとしよう。
火奈本・火花
「これは……見るからに不審者ですね。いえ、邪教絡みで無ければ許容範囲ではありますが……」

■戦闘
あまり慎重なタイプにも見えないな、出来る限り不意打ちを狙いたい

『暗視』で周囲の地形に関して『情報収集』をしよう
奴らの真ん中に奇襲出来るような状況を作れないか、横道やマンホールの出口などの『地形の利用』をし、『暗殺』の為に身を潜めて『聞き耳』で機を窺うつもりだ

不意打ちに成功し奴らの集団の中心に飛び込んだら、宿木乱舞で一斉に攻撃する
もし発見された場合は、奴らに大多数を攻撃出来る位置でヤドリギを解放しよう

■真の姿
胸から左腕にかけてが樹木化
浮き上がった血管のような根が、顔や腕、脚に張り巡らされている



「ほう、なかなかいい体つきじゃねぇか」
 とはいえ、これから始末する相手に評価は不要。
 足音を水流の微かな音に紛れ込ませ、タケミはドアノブに手をかける――。
(「まずは先手必勝だぜ!」)
 勢いよくドアを開くと同時に銃口をあげる。
 標的を捉えると、数度のマズルフラッシュと共に対象を沈黙させる。
「なんじゃあっ!?」「し、襲撃じゃあああああああああああああああ!!」
 混乱極まる整備室。石の影から日に晒された虫のごとく騒然としていく。
 茶色い悲鳴からタケミは距離をとり、追跡しようと雪崩れ込んできたむさ苦しい筋肉集団に再び銃を向け。
「ぞろぞろ沸いてきたのが運の尽きだぜ!」
 先頭の分厚い脇腹へ鉛玉をねじ込む。
 転倒した拍子に後続が巻き添えにされると、そのまま銃撃で一掃。
 カチカチッと補充のサインが出ると、リロードしつつ路地の突き当たりへ距離を引き離していく。

「狼藉者めぇ、覚悟せぇぇい!」
 曲がり角からタケミの姿を見留め、教徒が全身の筋肉を躍動させる。
 ――刮目せよ。これぞ、筋肉神に奉る黄金の肉体美ィッ!!
 暗い地下道を白く塗りつぶすように、閃光が周囲を照らしだす。
「アンタたちが言えたことかよ!?」
(「ふざけたやり口だが、魔術的効果はあるんだよな……なんてブッ飛んだ連中だっ」)
 筋肉教、独特の闘法に対し、今の装備だけでは対応策が思い浮かばず。
 わずかに記憶したポジションめがけ、タケミは瞼を閉じてトリガーを引き続ける。
 跳弾する固い音は壁か、筋肉に宿る魔力で弾かれているのか。
 ……暗い視界の向こう、じっとりと汗ばむ気配が迫り来る。
「ああくそ――――しゃらくせぇ!!」
 タイミングを合わせて放たれた右ストレートは、確かな感触を捉えた。
 接近する気配に打ち込まれた鋼の拳は鼻骨を砕き、頭蓋に致命の一打を与えて周囲に余波がヒビとなって残る。
「やりづらい連中だぜ……!」
 触れた箇所に残る不快さを払うように右手を軽く振って、タケミは次の戦闘に備えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

タケミ・トードー
ほう、なかなかいい体つきじゃねえか。まあ退治する相手の評価はいらねえな。
先手を打って数を減らすぜ。整備室のドアを開けてハンドガンを一人に連射、すぐに後退する。
ドアから出てきた相手の、攻撃を当てると一番時間が稼げる場所をスナイピングだ。
時間を稼いだらそのまま連射、弾丸補充、スナイピングの繰り返し。
スナイピング以外は攻撃を一人に集中させる。
突破してこっちへ向かってきた奴には鉄拳をくれてやる。
仲間がいる場合は、逆に接近しながら攻撃してユーベルコードを使用だ。
相手の神降ろしの義に対して、今の俺の装備だと対抗策が浮かばねえ。
ポージングの動作の敵に目を瞑って攻撃を優先するが、これはもう賭けだな。



 場面は十数分前――。
「ほう、なかなかいい体つきじゃねぇか」
 とはいえ、これから始末する相手に評価は不要。
 足音を水流の微かな音に紛れ込ませ、タケミはドアノブに手をかける――。
(「まずは先手必勝だぜ!」)
 勢いよくドアを開くと同時に銃口をあげる。
 標的を捉えると、数度のマズルフラッシュと共に対象を沈黙させる。
「なんじゃあっ!?」「し、襲撃じゃあああああああああああああああ!!」
 混乱極まる整備室。石の影から日に晒された虫のごとく騒然としていく。
 茶色い悲鳴からタケミは距離をとり、追跡しようと雪崩れ込んできたむさ苦しい筋肉集団に再び銃を向け。
「ぞろぞろ沸いてきたのが運の尽きだぜ!」
 先頭の分厚い脇腹へ鉛玉をねじ込む。
 転倒した拍子に後続が巻き添えにされると、そのまま銃撃で一掃。
 カチカチッと補充のサインが出ると、リロードしつつ路地の突き当たりへ距離を引き離していく。

「狼藉者めぇ、覚悟せぇぇい!」
 曲がり角からタケミの姿を見留め、教徒が全身の筋肉を躍動させる。
 ――刮目せよ。これぞ、筋肉神に奉る黄金の肉体美ィッ!!
 暗い地下道を白く塗りつぶすように、閃光が周囲を照らしだす。
「アンタたちが言えたことかよ!?」
(「ふざけたやり口だが、魔術的効果はあるんだよな……なんてブッ飛んだ連中だっ」)
 筋肉教、独特の闘法に対し、今の装備だけでは対応策が思い浮かばず。
 わずかに記憶したポジションめがけ、タケミは瞼を閉じてトリガーを引き続ける。
 跳弾する固い音は壁か、筋肉に宿る魔力で弾かれているのか。
 ……暗い視界の向こう、じっとりと汗ばむ気配が迫り来る。
「ああくそ――――しゃらくせぇ!!」
 タイミングを合わせて放たれた右ストレートは、確かな感触を捉えた。
 接近する気配に打ち込まれた鋼の拳は鼻骨を砕き、頭蓋に致命の一打を与えて周囲に亀裂が走る。
「やりづらい連中だぜ……!」
 触れた箇所に残る不快さを払うように右手を軽く振って、タケミは次の戦闘に備えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​


(「邪教絡みでなければ許容範囲ではありますが……」)
 こう、あからさまに不審者では。保安上はやはりよろしくない。
 急襲を受けてごった返した状況は、火花にとって非常に好都合だった。
 バタバタと慌ただしい足音に聞き耳を立て、通過したのを見計らうと、サイバーコンタクトに意識を集中させる。
(「だいぶ複雑な通路だな……横幅は私くらいの体格で五人程度、筋肉教の狂信者でおよそ二、三人か」)
 ただでさえ狭い通路を、ガタイの良い巨漢がひしめき合っているのだ。
 通常なら不利となる体格差も、場面が変われば立派な『武器』となる。
「あまり慎重そうなタイプにも見えなかったしな、不意を突けば……――」
 背後に近づいてくる新たな気配に一瞥し、一足跳びで反対通路に飛び込む。

「あの女、どこに行きよった!?」
「顔面を陥没させるような相手じゃ、一人で相手取るのは危険だぞッ!」
 どうやら火花の存在に、まだ気づいていないらしい。
 気配を殺し、自らの左腕をなであげた火花は、
(「一瞬だけ、だ……」)
 急速に近づいてきた気配の中へ飛び込んだ。
 突然、現れた火花に足を止めてしまった……それが運の尽きだった。
「暴れすぎるなよ――!」
 細腕に張り巡らされた枝葉が急速に成長していく。
 新たな養分を喰い散らさんと、猛威を振るう寄生木は肉の装甲を容易く刺し貫き、裂けた血肉がさらなる悪臭を発生させる。
 事切れた屍骸を蹂躙し、樹木を引き戻した火花は額に滲む汗を払う。
「いずれ私の存在に気づくだろうが、それより早く掃討すれば良いだけのこと」
 今しばらく、状況を利用させてもらおう。
 次の一団を始末するべく、エージェントは一人駆けていく。
タケミ・トードー
こんな事なら【技装鉄拳ガン・ガーン】も持ってくれば良かったぜ。
嘆いた所で始まらねえ。だが突破口は見えた。
この下水道の壁、もしくは天井をユーベルコードで破壊する。
上手く生き埋めにできればそのまま、できなきゃ瓦礫を更にユーベルコードでぶっ飛ばして前方の筋肉鎧へ攻撃だ。散弾の要領だが、大礫なんてモノじゃすまねえぜ?
ついでに相手の目を眩まして、隠れる場所があれば隠れるか。
ぶっ壊した所に隠れてもいいし、奴らが通り過ぎ次第、後ろから強襲だ。
まあ、隠れる場所もなければ、本腰入れて戦闘だが、最初の攻撃でどれだけ相手を止められるかが鍵だな。
四の五の言う場面でもねえ。私はただ、目の前の敵に鉄拳をくれてやるだけだ。



「思ったより手応えないな、見かけ倒しかよ?」
 こんな事ならアレを持ってくればよかった、とぼやくタケミだが、それはそれとして。
(「これで突破口は見えた……いや」)
 周囲を見渡せば天氷鎮の都市基盤を支える壁、壁、壁。
 流れ落ちてくる排水も、水路を抜けていく汚水も、全てインフラとして整備されたもの。
 これらが破損したり、崩落する事態となれば、一時的に機能を停止させることになる。
 ……協力機関による証拠の隠滅も厳しくなりそうだ。
「よく考えりゃあ上には住民がいるんだよな、危ない危ない」
 すぐに思い直してタケミは気配を探り、新たな足音の方向を一瞥する。
「近いな」
 短く呟き、タケミは壁伝いに接近していく。

 どかどかと足音だけで騒がしい相手。先ほどの様子を見るに、アンブッシュには弱いとみた。
 壁に張り付き、気配を押し殺す――通り抜ける背よりも早く、タケミと教徒の視線がかちあう。
「あ――」
 相手の言葉が口をついて出るより早く、女兵士の鉄拳は鼻っ柱を捉える。
「まとめて吹っ飛びな!!」
 拳圧できりもみしていく信者達を引っ捕らえると、拳骨を食らわせて沈黙させていく。
 一仕事終えると砂埃を払うように、両手をパンパンと叩いた。
(「だいぶ減らしたと思うが……」)
 そろそろ騒動に気付いてもおかしくはない。
 裏に控える首謀者――張・竜泉の居所を突き止めなくては。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「手早い掃討も必要だが、精神寄生体の居場所も探らなければいけないな。騒ぎの中で逃げる可能性もある、か」

■戦闘
私は変わらず、『地形の利用』による『暗殺』に終始しよう
『クイックドロウ』での『先制攻撃』で『2回攻撃』をして筋肉教徒を終了させるが、今回は最低でも1人、可能なら瀕死の者をもう1人、残すようにしたいな

残した一人はグローブから鋼糸を飛ばして『怪力』で拘束する
もう1人瀕死の教徒を残せたら、そちらには9mm拳銃を向けて警戒するつもりだ

「質問は単純だ――張・竜泉は何処にいる?」
答えないのならそれで良い。答えるまで質問するだけだ
もし捕らえた教徒が力尽きたなら、残した教徒を捕らえるか、別の教徒を探そう



 地下道に響いていた絶叫や足音は、かなり消えたように感じる。
 だが、本命は脳筋集団の背後にいるまま――弾丸の空きを埋めると、火花は広大な地下に目を向ける。
(「手早い掃討も必要だが、精神寄生体の居場所も探らなければいけない……頃合いか」)
 首魁を引きずりだす。
 その為は情報源が必須――だが『ひとつ』あれば事足りる。
 気配を探りつつ、火花が何度目かの移動を再開すると、怖々と警戒する筋肉集団を見つけた。
 どうやら奇襲戦法に気づき始めたのか、死角を潰すように視線を巡らせている。
「ワンパターンではさすがに気づかれてしまうか。だがまあ、」
 慎重に動いている分、狙い定める手間が省けて好都合。
 愛銃のグリップに手を添え、教本通りの射撃体勢をとる。
 ――パシュパシュッ!
 筋肉が薄い頭部へ向け、放たれた銃弾を脳幹へねじこむ。

 ノータイムで下水へ落ちる二人の姿に、残る教団員は状況を飲み込めずにいた。
「隙が多い、鍛錬が足りないな」
 その隙に火花の銃は一人の両大腿部とを撃ち抜き、最後の一人をグローブから放つ鋼線で雁字搦めに。
「くぅぅっ、なんという怪力じゃ……!? 貴様、相当のインナーマッスルの持ち主とみた」
「質問以外への発言は許可しない。悲鳴も命乞いも罵倒も虚偽も、馬鹿みたいに騒ぐだけ体力を損なうだけ」
 海獣のごとく転がされた巨漢を火花は無感情に見下ろす。
「質問は単純だ――張・竜泉は何処にいる?」
「はっはぁ! 馬鹿正直に答えると思うて、くぅぅぁああっっ!?」
 鋼糸から放たれる高圧電流に、拘束された狂信者は不自然な痙攣を繰り返す……体力を相当消耗したのか、一撃目でぐったり項垂れた。
「もう一度言う、質問以外への発言は許可しない」
 張はどこだ。
 語気を強めて問い質す火花は、電撃を食らわすこと数度。
 ようやっと観念したのか、帯電する体を脱力させたままモゴモゴしゃべりだす。
「あ……あの、やさおと、こは……なんと、区画、の管路施設、に――」
 『優男』という呼び方に、竜泉への僅かな不満が窺えた。
 筋肉の信徒たる教団員を騙していたものの、この男達も確固たる証拠を得られず、動けなかったのかもしれない。
 さて、充分な情報は獲得した。
 あとは下水道の見取り図を辿っていけばいい。あとは――。
「悪く思うなよ」
 ……二発の銃弾は屈強な男達を沈黙させ、火花は静かに歩きだす。
(「待っていろ、張……」)
 UDCの脅威を防ぐ、使命に背いた罪の重さを知るがいい。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『殖え続ける者』』

POW   :    「俺は『殖え続ける』」
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分の分霊を憑依させた状態】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
SPD   :    「身体の具合を見させてくれねェか?」
【掌】から【自分の分霊体】を放ち、【分霊の憑依】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    「この身体は使い物にならねェな」
自身が戦闘で瀕死になると【自分を憑依させた別の生贄】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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●魅入られし者
 下水を集め放流するための管路施設に、猟兵達はついに辿り着いた。
 赤茶びた扉の向こうから漏れ出る不快な気配に、皮膚を唾液まみれの舌が這いずり回るような嫌悪感に襲われる。
 首謀者の存在を確信し、突入すると――その先には異様な光景があった。
 見渡す限りに展開された無数の魔方陣、それら全ては血で書き殴られている。
 魔術的な場を形成することで、精神寄生体を安定化させようとしたのだろうか?
 その薄暗い狂気的な空間で、血と砂で薄汚れた白衣をまとった痩躯の男はゆっくり、気怠そうに目線を寄越す。
「ああ、やはり駄目だったか。これだから低俗な肉達磨は……人間はすぐに底が知れる。どれだけ高性能なハードウェアもソフトに問題があれば、名機とはなり得ない……それは、私も同じことだがね」
 木のうろを思わす瞳に光はなく、頭上に顔をあげると張は口角を釣り上げる。
「我が神よ、崇拝すべき隣人よ! 我が身は供物、我が御魂は大贄! 全てを用い、新たな世界を啓かれよ――!」
 仰々しく両腕を広げ、竜泉は狂喜の叫びをあげた――直後、ガクンと大きく仰け反り泡を吹き始める。
 白目を剥いてビクンビクンと跳ね、人と思えぬ獣じみた咆吼をあげた……それが最後の人間性の発露と言えた。
「……あー、ったりぃ……テメェの面倒くらいテメェでどうにかしろや」
 ――挙動が落ち着いたときには気配が変わっていた。
 粗野な言動、立ち振る舞い、その全てが同じ顔をした『別人』のものと呼べる。
「でも、そこそこ頑丈そうなナリしてんじゃねぇか……こいつら相手に試運転して構わねぇんだよなぁ?」
 精神寄生体――『個体名:殖え続ける者』は悪辣な笑みを浮かべ、猟兵達に襲いかかる!
火奈本・火花
「聞こえているかエージェント・張、狂気に魅入られたお前を哀れには思う。だが我々はUDC組織だ。今のお前は、我々にとって収容対象に過ぎない」

■真の姿
胸から左腕にかけてが樹木化
浮き上がった血管のような根が、顔や腕、脚に張り巡らされている

■戦闘
銃器は所持していないように見えるが、油断は出来んな
まずは短針銃での『クイックドロウ』で『先制攻撃』狙う。元が練達の武芸者だが、音が無い分奇襲性は高いだろうからな

『催眠』で忘我させ、隙を作れれば良し
そうでなくても追撃として、ヤドリギの鞭を横薙ぎにして『殖えた』者ごと攻撃しよう

「こちらはエージェント・火奈本――これよりUDC『殖え続ける者』の捕獲任務に移行する」



「聞こえているかエージェント・張、狂気に魅入られたお前を哀れには思う」
 人間は不完全であり、思想も信条も信仰の対象も、なにもかも画一化されていない。
 完璧でないが故に、争い、憎み、侮蔑しあうことさえある。
 ならば『精神的格差をなくしていまえばいい』という発想も、解決策になるのだろう。
「だが……人類を巻き込んでいい理由にはならない。我々はUDC組織だ」
 人類を脅かす全てに立ち向かう者として、使命を果たす……赤い瞳から強い意志が覗く。
 対する『殖え続ける者』は怪訝、というより、面倒そうに眉根を寄せた。
「意味わかんねぇし、ごちゃごちゃうっせぇなぁ。……殺しとくか」
 ゴキゴキと凝り固まった首を鳴らすが、両手に得物を持った様子はない。
(「銃器は所持していないように見えるが、油断は出来ん」)
 すかさず短針銃を取り出し、火花は先制攻撃を仕掛ける。

 一瞬遅れて張に憑依する寄生体は、掌を突き出し――禍々しい霊体が放たれた。
 自身の一部とも言える分霊を身代わりにし、殖え続ける者は間合いを詰めようと前のめりに迫る。
「オレより先に動いてんじゃねぇよ人間!」
『生意気だ』と嘲り、脚をムチのように鋭く叩きつける。
 体格差から軌道を予測し、火花は両腕でガードし直撃は回避。
(「さすがに重い……だが、耐えられないほどでは!」)
 ――火花の左頬から指先まで、ミシミシと木の根が伸びて皮膚が樹皮化していく。
 竜泉は寄生体がメインとなったが、火花はUDCを従わせている。
 振り払うように仕掛けた寄生木の鞭は、寄生体も予想外だったのか。脇腹に一撃もらうと慌てて飛び退いた。
「チッ、うざってぇな」
 悪態をつく化生めがけて、火花は追い打ちを狙って踏みだす。
「こちらはエージェント・火奈本――これよりUDC『殖え続ける者』の捕獲任務に移行する」

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「霊体を放つ事での遠距離攻撃も可能か。接近戦での格闘能力も脅威だが……お前の収容を諦める要因にはなりえないな」

■真の姿
維持

■戦闘
スピードなら多少の分がありそうだし、速度を重視して『先制攻撃』を狙った格闘術で攻撃しよう
手刀や蹴りなど、点ではなく線で攻撃することで命中を優先する
それに可能ならネクタイを緩める、ジャケットを脱ぐなどの行為を挟んで身軽になるつもりだ

また、霊体を放っている掌が銃口のような役割に見える
接近戦はもちろん、遠距離でも掌の射線に重ならないよう回避か、攻撃で腕を弾く事を意識しよう。銃口から少しでも反れれば回避の可能性もあがるだろう
「その程度かUDC。それでは張・竜泉も泣いているぞ」



(「霊体を放つ事での遠距離攻撃も可能か。接近戦での格闘能力も脅威だが……!」)
 火花は先手をとろうと手指をまっすぐ揃える。
 手をナイフに、足をタクティカルバトンにして、軽妙かつ精密な攻撃で寄生体に擦過傷を増やしていく。
(「収容を諦める要因にはなりえないな」)
「その程度かUDC。それでは張・竜泉も泣いているぞ」
 思った以上に歯応えがない。
 挑発的に吐き捨て、大打撃を与えようと大きく引き絞ったとき。
「あーうぜぇ、うぜぇうぜぇうざってぇ!」
 ――再び掌が伸ばされる。
「その手には乗らない」
 霊体が放たれる直前、ジャケットをUDCめがけ放り投げ、視界を遮った一瞬で横方向に飛び退く。

 上着を霊力で弾き飛ばしつつ、目で火花を追うと殖え続ける者はすかさず追い撃ちを放つ。
(「精神寄生体の分霊なら、触れるだけで厄介だ」)
 だが、見切れぬほどではない!
 柔軟な身のこなしで追撃を全て避けきってみせると、火花が足下へ飛びこむ。
「ハードが優れていても、ソフトが対応しなければな」
 先ほど聴いた台詞をそっくり返し、真下から突き上げた垂直蹴りは見事に顎骨を捉えた。
 気勢のこもった一打にUDCは大きく仰け反らされる――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

火奈本・火花
「挑発の効く相手、というだけでも随分助かるな。メンタル面の人間性が強いように感じるが、寄生した事による影響なのだろうか……?」

■戦闘
格闘は問題なく効いているな、このまま攻め続けよう

掌からの分霊に捕まらないよう横への移動を心掛けつつ、奴を中心に円を描くような軌道で迫っていくつもりだ。近付けば分霊も避けづらくなるだろうし、危険を感じたらペンライトで『目潰し』と『催眠術』
射程に届いたら直ぐにヤドリギの一撃を叩き込もう
顔や心臓などの致命傷を狙えたとしても、出来れば腹部に攻撃

「元が我々の同士とは言え、狂気に傾いた男だ。寄生する相手を間違えたな、UDC」
……そろそろ、張を助けられるように何か仕掛けていこう



 気弾、正拳、健脚。
 衰弱したをベースにしたこともあり、肉弾戦においては火花に軍配があがっていた。
(「メンタル面の人間性が強いように感じるが、寄生したことによる影響なのだろうか……?」)
 しかし、竜泉本人の人格とは異なるように火花は感じていた。
 狂気に汚染されていても、粗野な言動が出始めたのは……寄生体に己を明け渡した直後から。
 つまり、冬虫夏草――虫草菌に寄生された幼虫――と酷似した状態だとみた。
 この場合、養分に該当するものがあるとしたら……!
(「――まさか?」)
 互いにはじき合う形で大きく間合いをとると、火花はUDCを注視する。
「エージェント・張の五感に寄生しているのか」
 個人の精神のみならず感覚を浸蝕することで、己のものとする。
 それが此度の寄生体の真骨頂か!

 当のUDCは痩せこけた頬に汗を浮かべ、肩で息をしている……疲労の色は明らかで、
「くけけ、だったらどうすんだよ。俺様をぶっ殺してでも助けだすってぇか?」
 けれど、消耗しつつも嫌みな笑みは浮かべている。
(「ただ倒しただけでは張は死ぬだろう……あれはUDCと合意の上で精神を融合しようとした」)
 動きの上では一歩上回っているものの、自分が思う以上に寄生による繋がりも根深い。
 同じ相手と戦い続けていることで、殖え続ける者も、火花の動きに対応する場面が増えてきた。
「っ……それなら!」
 緩やかなカーブで追尾する分霊を壁に激突させ、投げ放ったペンライトの発光に、他の分霊体も群がっていく。
 その隙に、火花は左腕に手を添え、寄生木を籠手のようにギッチリ巻き付けていく。
 若芽がぷつぷつと伸びるたび、火花は弾けそうな樹木の怪異を抑えつけ――!
(「悪く思うなよ、張――」)
 ――――ゴキゴキゴキィ……ッ!! ――左フックが脇腹に抉りこむ。
 太い骨が折れる手応えは決して気持ちの良いものではない。
 素体は鍛えられたものとはいえ、人間の肉体なのだから。
「ごふ、ぉふっ……」
 臓器や皮膚を突き破り、数本の白骨を覗かせながら――UDCは嗤っていた。
 痛むだろうに、苦しいだろうに、血反吐を吐いて痩躯の化生は口元を歪めている。
「知ってるぜぇ? テメェらは同じ人間を殺すと虚しさが残るってな。このままおっ死んで……道連れができるなら、多少は溜飲が下がるってもんだ」
 死んじまった後の顔が見られなくて残念だ――凶悪な笑みを浮かべる怪異は、だらりと両手を垂らす。
(「……やはり。張と引き剥がすには、なにか仕掛けなければならないか」)
 ゾワリと空気が変わっていく気配に、火花の表情も険しさを増していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
(対象の終了は最後の手段だ。我々の理念は発見・捕獲・収容……その為に試せる手段は、全て試さなければ)

■戦闘
奴を張から話す方法が無いか、会話で『情報収集』をしよう
普通に喋るはずは無いし、『演技』でやつにブラフをかけたい
「このまま死ぬ、だと? 何か勘違いをしているな」
冷徹に、いや冷酷に
「我々の目的は精神寄生体であるお前の収容だ。召喚の条件、性質、能力を解き明かし無力化する為、私はお前を生け捕りに捕獲する為に来たのだ」
自死は防ぎたいが、張の身体に居る事が不利益だと思わせたい。会話中の奴の視線や動きからもヒントを得られないか探ろう

私の決意で召喚したヤドリギで捕獲出来れば、演技の信用性も上がるだろうか



「なにか勘違いしているな」
 呆れまじりに断言する火花だが、全て演技だ。
(「対象の終了は最後の手段だ。私の属する組織の理念は発見・捕獲・収容」)
 試せる手段は全て試すべきだと、だが今回の対象は不明瞭な点が多い。
 ブラフをかけて口を滑らせれば――お喋りな怪異へ火花は無感情な言葉を向ける。
「我々の目的は精神寄生体であるお前の収容だ。召喚の条件、性質、能力を解き明かし無力化する――その為に私はお前を生け捕り、収監する為に来たのだ」
 口の端から滴る血を舐めあげ、寄生体は張の顔をニヤリと歪ませた。
 気怠げな視線は揺るぐことなく火花を捉え、見透かされるようなむず痒さが走る。
「オレ様を生け捕りに、ねぇ」
 呟く『殖え続ける者』の動向、視線に注意を向ける火花。
(「……なんだ、こいつの妙な余裕は?」)
 肋骨を剥き出し疲弊もしているのに、何故――ならば行動に移せば嫌でも信じざるをえまい!

「私は人々の目から邪悪を遠ざける……拘束するぞ」
 湿ったコンクリートを貫き、ヤドリギの蔦が怪異を覆って縛り上ていく。
 ギチギチと音を立てる様子は火花の強い決意を反映したのかのよう。
 ……不意に、ニヤついた嫌味な表情が消えた。
「なんも解ってねぇことは解ったわ」
 まだ戯れ言を――言葉が喉元を抜けるより早く、背後から殺気が迫る。
 不穏な気配に、牽制の一撃を加え火花は距離をとる。
 闖入者は僅かに怯みつつも、捕縛されていた怪異を手助けするように、寄生木から引きずりだしていく。
「ったく、予備まで使わなきゃなんねぇとは……ゴホッ」
(「予備……あれは分霊体が取り憑いた同一存在なのか」)
 姑息にも既に別の肉体を用意しているとは、だが、消耗は目に見える。
 ――だがその『消耗』こそ、張・竜泉の命が潰える予兆でもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
(猶予は無いか。『覚悟』は出来るが……それは何もかも手遅れになってからで、良い)

■戦闘
生け捕りに対して余裕を持つという事は、体から「離れる」事も可能なのだと、そう思いたい

私の力だけで張を助ける事は難しそうだ
短針銃と9mm拳銃による『クイックドロウ』で『先制攻撃』し、張に『催眠術』と、予備の足部を打ち抜いて動きを止める

「聞こえるかエージェント・張。狂気に堕ちたとはいえ、お前も我々と同じく世界の闇を照らす光だった人間だ。お前の理想は何だ? このUDCの言動に、世界に平穏を保つ要素があるか……よく考えろ」
スピーチで、語りかけよう

張の肉体が無事なら私の服を破いて包帯にし、『医術』で止血や簡易な手当てを



 観察した際の様子を火花は逡巡する。
(「生け捕りという言葉を耳にしてまだ余裕があるか……なら離れることも可能か?」)
 しかし、悲観している暇はない――自発的に分離することも可能である。その前提をもって行動しなければ。
「ゴホ、ォホッ……フー、フーッ」
 額に脂汗を浮かべ、UDCの呼吸もかなり荒くなっている。
 だが――、
(「『なにも解っていない』か、どういう意図で口にしたか解らないが」)
 ――自分一人の力だけでは、寄生された張自身の反応は引き出せていない。
 倒すだけなら肉体――招来させた張・竜泉――ごと打破すればいい。
 だが、『精神寄生体を取り除く』となれば……通常とは異なったアプローチが必要だったか。
「……熟考は行動の妨げになる、いまは」
 ゆらりとする殖え続ける者の挙動に、火花はすかさず反応し、短針銃と拳銃を両手に『予備』の両脚に狙いをつける。

『予備』の動きは満身創痍の本体に比べ、数段上回っていたが、火花の障害とはなり得ず。
 転倒した姿を一瞥すると、飛び込みざまに短針銃を本体に放つ。
 血濡れた脇腹にニードルが突き刺さったことを確認して、火花は最後の『問いかけ』をかけた。
「聞こえるか、エージェント・張。狂気に堕ちたとはいえ、お前も我々と同じく闇を照らす光だった人間だ」
 ――お前の理想はなんだ?
 そのUDCに世界の平穏を保つ要素があるか?
 聴いているならば、この問いに答える義務がある!
 思いの丈を込めた演説をぶつけた火花に、応えるのはしばしの沈黙。
 水の流れ落ちる音が嫌に大きく聞こえ、緊張の糸で張り詰めた場で――、
「………………ウヒ」
 血塗れの男は嗤った。血の気が引いた面相に、落胆と侮蔑を込めて。

「だぁから解ってねぇってんだよ、フゥ、肉体は完璧だろうと……精神が未熟な連中に失望して、オレ様を呼び出したってのにさぁ……」
「なに?」
「平穏てのは、醜い争いから目を逸らすことか? 私利私欲の闘争、派閥争い、信仰の違いによる紛争、財力に依存した階級社会……そんな下らない争いを、全てオレ様になれば無くなる。この『馬鹿』はそう考えた」
 精神に寄生したことで、宿主の思考もある程度読み取れていたらしい。
 殖え続ける者は精神に寄生し、別の依り代にも分霊を付与し、水面下で勢力を拡大する。
 それが『社会』に紛れ込めば――大都市一つを支配下に置く、一種のディストピア社会の完成。
 ――姿形は異なれど、それは陰から支配されたおぞましい世界には変わりない。
(「……私の言葉は阻まれたか。それに」)
 おそらく、この寄生体は他にも存在する。
『予備』の存在がその証拠であり、分霊もどこまで広がっているか。
「なんなら、テメェも『仲間』になりゃいい……ケホッ、ちっとは理解できるだろうさ」
 分霊を憑かせようと掌が向けられる。
 邪悪な霊魂で淀んでいく空気の中、火花のグリップを握る手に力が込められていく。
(「UDCに分離させることも、張自らが引き剥がせないかも試みた」)
 だが離れる気配も、顔を出す気配もなく……時が経つほど張の肉体は衰弱するだろう。
 ――――覚悟はとうに出来ている。
 銃口はまっすぐ対象物を捉え、細い指が引き金にかけられる。
 使い慣れた拳銃の引き金はいつも通りの手応えで、一発の銃弾を――男の胸に。
「ケ、ヘヘ……――」
 事切れるまで嘲笑した寄生体は宿主ごと、崩れ落ちるように倒れ、血の海に浸かる。
 ……広まる血の臭いに背を向けて、火花は端末を取り出した。
「こちら、エージェント火花。当初の作戦目標は遂行困難と判断し、作戦目標を討伐へ変更。現時刻を以て対象UDCへの行動を終了する――以上」

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年07月03日
宿敵 『『殖え続ける者』』 を撃破!


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は霧島・クロトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト