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自由への逃亡!悪魔的脱出ゲームっス!

#サイバーザナドゥ #デビルキングワールド #ジャッジメントガール


「帝都櫻大戰、お疲れ様でした。さっそくですが問題発生です」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「皆様の活躍と、様々な世界から駆けつけてくれた協力者の尽力によって、幻朧帝イティハーサは完全に滅ぼされました。……ですが、その協力者の方々がまだ、元の世界に帰れていません」
 アスリートアースのキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』の世界移動能力によって送り込まれた共闘者たちは参戦先の世界に留まったまま、キャンピーくんはどこかに姿を消してしまった。なので彼の能力に頼らずに元の世界に帰還する方法を探さなければならない、困ったことになっているようだ。

「ですが、現在サイバーザナドゥにいるデビルキングワールドの魔界裁判長『ジャッジメントガール』さんは、魔界に帰る手段を知っているそうです」
 それは悪魔を「別の世界に送り込む」ことを可能にする「悪魔契約書」。かつて魔王ガチデビルがこれを利用して他世界への悪魔輸出を企んでいたが、魔界裁判長であるジャッジメントガールも、悪魔契約書の作成方法を知っている。
『悪魔契約書を作ることができるのは、魔界の悪魔だけっス。契約書は悪魔インクで書く必要があるっスが、これを絞り取る手段は個人ごとに色々っス。例えば自分の場合は「悪魔王遊戯デビルアトラクション」がそれに当たるっス』
 ――と、ジャッジメントガール本人の説明によれば、悪魔王遊戯がクリアされた時に発散されるパワーがインクの素材になり、悪魔契約書を書き上げるにはかなりの量のインクが必要になるそうだ。なんでも『悪魔契約書は悪魔を異世界に送り込む力を持つっスが、内容に抜けがあると召喚対象の悪魔が契約書のパワーに耐え切れずに死ぬっス』とのこと。

「ガチデビルほど強大な悪魔が書いた契約書なら、ある程度雑でも何とかなるそうですが、それは流石に……ということで、しっかりした内容の契約書を完成させ、ジャッジメントガールさんを安全に帰還させるために、皆様の協力が必要です」
 猟兵に求められるのは悪魔インクを手に入れるための『悪魔王遊戯デビルアトラクション』の攻略だ。ジャッジメントガールはすでにサイバースペースをハッキングして『電脳悪魔王遊戯デビルアトラクション』の会場を作り上げているので、まずはこれに挑戦してほしいとのこと。
「今回の悪魔王遊戯は『脱出ゲーム』です。舞台は電脳空間に再現されたメガコーポの強制労働施設で、劣悪な環境から自由への逃亡がテーマになっています」
 スタート地点となるタコ部屋に押し込められたプレイヤーは、暴力的な監督官の手を逃れ、セキュリティをかい潜り、施設からの脱出を目指すことになる。クリアしてもらうことが目的とは言え、中には悪魔的トラップの数々が仕掛けられているので、クリアは決して簡単ではないだろう。

「そしてアトラクションの仕上げには、ジャッジメントガールさんご本人がボスとして立ちはだかります」
 以前戦ったことのある猟兵なら知っているだろうが、最強クラスの悪魔である彼女はそう簡単にはやられないので、こちらも全力でかかって行こう。勿論、戦場には悪魔王遊戯デビルアトラクションのスリリングな仕掛けが満載されているので、これを避けたり逆に利用できれば有利に戦えるはずだ。
「ジャッジメントガールさんを倒し、悪魔王遊戯を完全攻略すれば、契約書を書く為のインクが手に入ります」
 一回のクリアだけでは悪魔契約書を書き上げるには足りないかもしれないが、何回か繰り返せばいずれ十分な量のインクが集まるだろう。あとはジャッジメントガールとお互いの労をねぎらいつつ、彼女が契約書を書くところを見守るといい。

「今回もジャッジメントガールさんにはお世話になりましたし、お礼のつもりでどうかご協力をお願いします」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、サイバーザナドゥの電脳悪魔王遊戯に猟兵を送り出す。
 帝都櫻大戰の功労者の1人である魔界裁判長を、無事に元の世界に送り返すために。危険で激ワルなアトラクションへの挑戦が始まる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはサイバーザナドゥにて、魔界裁判長『ジャッジメントガール』をデビルキングワールドに帰還させるための依頼です。

 1章はサイバースペースに作られた『電脳悪魔王遊戯デビルアトラクション』に挑戦します。
 アトラクションの内容は脱出ゲーム。労働者を収容するタコ部屋からスタートし、メガコーポの強制労働施設から脱出を目指します。
 施設内には悪魔的トラップの数々や暴力的な監督者などがウヨウヨしているので、上手くかいくぐって逃げ切りましょう。

 2章はアトラクションのボスとして立ちはだかる『ジャッジメントガール』と戦います。
 ご本人も魔界最強クラスの悪魔であり、戦場には前章同様に様々な仕掛けが施されているので、こちらも手を抜く必要はありません。アトラクションのギミックをうまく避けたり逆に利用すればプレイングボーナスが入ります。

 悪魔王遊戯を完全攻略すれば、悪魔契約書を書くためのインクを幾許か入手できます。
 3章ではジャッジメントガールとお互いの労をねぎらいつつ契約書作成を見守る、お疲れ様パートになります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『タコ部屋』

POW   :    監督者を始末して悠々と脱出

SPD   :    騒ぎを起こしてその隙に脱出

WIZ   :    脱出口を作って密かに脱出

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皐・芽衣
世話になった裁判官がお困りじゃ、獬豸が出ねば名が廃るのぅ。
それにしても、世知辛い遊戯じゃな……空気が悪い気がする!
さっさとクリアして、自由になるかの。

帯電して、【縮地】の隙を伺おうかの。
わしにとって距離など、あってないようなもの。
誰かに暴力を振るおうとした監督者を[見切り]、
縮地による転移からの[功夫・カウンター]でぶん殴り、騒ぎにする。
拳に乗せた[電撃]の[マヒ攻撃]で、反撃も防いでおこうかの。

他の監督者が駆けつけようとしたら移動を感知して縮地、
それを繰り返して逃げてやろう。
監督者から監督者へ飛べば、ギミックにも触れまして。
万一ギミックにかかっても[見切り・敵を盾にする]がの。

さぁ、次じゃ!



「世話になった裁判官がお困りじゃ、獬豸が出ねば名が廃るのぅ」
 公正を旨とする法の瑞獣として、種族は異なれど魔界裁判長『ジャッジメントガール』にはシンパシーを感じるところもある皐・芽衣(金色一角のメイメイ・f35724)。帝都櫻大戰に多大な貢献を果たした彼女を転移先に放置したとあっては、それこそ公正の精神に反するというものだ。
「それにしても、世知辛い遊戯じゃな……空気が悪い気がする!」
 そんな裁判長が魔界に帰るための手段、悪魔契約書を書くインク集めのために『悪魔王遊戯デビルアトラクション』に参加した芽衣だが、そこはサイバースペース上に再現されたメガコーポの強制労働施設だった。こき使われる労働者の立場になって劣悪な環境からの脱走を図るという、ザナドゥらしいワルさに溢れた脱出ゲームである。

「さっさとクリアして、自由になるかの」
 スタート地点のタコ部屋に放り込まれた芽衣は、全身に帯電した闘気を帯びて【縮地】の隙を伺う。電気の流れを通じて周辺の敵の動きを感じ取り、一瞬で移動する仙術だ。監督者という敵がひしめく迷路の如き遊技場をクリアするには、うってつけの技だろう。
「わしにとって距離など、あってないようなもの」
 どこかで監督者が誰かに暴力を振るおうとすれば、彼女は瞬時にそれを見切り、縮地によって転移する。これも仮想現実が作り上げたNPCの一種だろうが、醜悪な面構えで「なんだ貴様、部屋に戻れ!」と怒鳴りつける様は大変リアルなもの。ぶっ飛ばすのになんの躊躇もいらない。

「遅いわ!」
「ごふぁ!?!」
 転移直後に炸裂する芽衣のカウンター。小柄な体躯に漲る功夫でぶん殴られた監督者は、白目をむいてぶっ倒れた。
 電撃を拳に乗せた打撃はスタンガンよりも強烈で、しばらくは目覚めないだろう。もちろん人目を憚らずこんな強硬手段に訴えれば、騒ぎになるのは避けられない。が、それこそが彼女の狙いでもあった。
「おお、蜂の巣を突いたようだのぅ」
 駆けつけようとする他の監督者たちの移動を感知することで、芽衣は【縮地】による次の移動ポイントを選定する。
 転移、奇襲、転移の繰り返しで敵を殴り倒しながら逃げ続ける、これが彼女の脱出計画だ。稲妻のように施設内を駆け抜ける瑞獣を誰も捕らえられない。

「おっと、これが脱走者対策の仕掛けかの」
 監督者から監督者へ飛べば、ギミックにも触れることもあるだろう。足元でカチッとスイッチの音がすると、芽衣は慌てず騒がず近くにいた監督者と自分の位置をくるりと入れ替えた。直後にパカッと床が開いて、監督者は奈落の底に落ちていく。
「すまんが、わしの身代わりになっておくれ」
「あ~~~れ~~~!!!」
 落ちた先がどうなっているかは考えないほうが良いだろう。魔界の悪魔がこしらえたアトラクションゆえ、ギミックも悪魔の耐久力が基準になっているようだ。これくらいスリリングでなければ『悪魔王遊戯』ではないと、ジャッジメントガールの高笑いが聞こえてきそうだ。

「さぁ、次じゃ!」
 とはいえこんなのでビビる芽衣ではない。今一度気を引き締めて雷気を帯び、軽快なる【縮地】で移動を再開する。
 このスリリングなアトラクションはあくまでも攻略される前提で作られたもの。ならば期待に応えてみせようぞと、彼女の表情は自信に満ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
我もサイバーザナドゥとは無縁ではないからな
タコ部屋から脱出してUC発動

監督官と鉢合わせするという終焉を回避し、悪魔的トラップも回避して行こうか
休憩として誰もいない監督官の部屋で焼鳥やコンビニ食、コーラ等を補給して回復
ついでに服装も回収して着替えて脱出といこう

そこから監視室に潜入して誰もいない十数秒の間にセキュリティをショートさせ、その隙に脱出していくぞ

さて、中々に楽しい脱出ゲームであったぞ
コーラを飲み干した後、堂々と脱出していく――



「我もサイバーザナドゥとは無縁ではないからな」
 過去に何度かこの世界での依頼を受けたこともあるブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』・f38903)は、そのブラックな世界観を見事に再現したサイバースペースにて、魔界裁判長『ジャッジメントガール』主催の『悪魔王遊戯デビルアトラクション』に参加していた。
「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼! 我が終焉破壊の基礎を罪深き刃とする事を以て、その終焉に終焉を!」
 まずはスタート地点のタコ部屋から脱出して【蒼翼の終焉破壊・終焉破壊の基礎たる我が瞳】を発動。エンドブレイカーである彼女の瞳は危機的な未来の終焉エンディングを予知し、破壊する。敵と罠だらけの脱出ゲームをクリアするにも便利な能力である。

「ややっ?! 脱走だ!」「どこに逃げやがった!」
 労働者の脱走はすぐに監督者の知る所となるが、ブリュンヒルデは彼らと鉢合わせする「終焉」を回避し、施設内に設置された悪魔的トラップの数々もも回避していく。引っかかれば猟兵であってもヤバいくらいの難易度だが、だからこそ彼女の瞳は危機を見逃さない。
「どうやら相当慌てていたようだな。部屋に鍵もかけていないとは」
 まんまと誰もいない監督官の部屋までやって来たブリュンヒルデは、そこで焼鳥やコンビニ食、コーラ等を補給して回復を行い、ついでに服装も回収して囚人のような労働服から着替える。休憩を済ませたら張り切って脱出を再開だ。

「ここが監視室だな」
 監督者の目とトラップをかい潜り、無数のモニターと機器がある部屋に潜入したブリュンヒルデは、職員が出払っている十数秒の間にセキュリティをショートさせる。復旧までのわずかな時間、施設内の監視カメラやロック・トラップ等の妨害が停止する、脱走者にとってのボーナスタイムだ。
「クソッ! やられた!」「はやく復旧させろ!」
 突然全てのセキュリティが止まってしまい、監督者たちは大慌て。この隙にブリュンヒルデは悠々と脱出を企てる。
 手には職員室で入手した食事や飲み物のボトルを持って、余裕の表情。彼女にとってここはあくまでアトラクションでしかなかった。

「さて、中々に楽しい脱出ゲームであったぞ」
 コーラを飲み干した後、堂々と電脳悪魔王遊戯を脱出していくブリュンヒルデ。結局一度も監督者と鉢合わせすらしない、見事な攻略っぷり。ついでに補給も済ませて英気を養うなど、この先のボス戦を見据えた準備も万全であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と

何だかほんとに面白い世界が沢山で
「何処でもわくわくするね!まさにー」
でも観光気分じゃダメだもんね
魔界裁判長さんの為にも頑張るよ!
でも脱出ゲームは楽しそう
「ちゃ、ちゃんと頑張るよ?」

まさにーが隠れられるのか心配してるけど
僕にお任せあれだからね
シュッと糸で壁紙を切り剥がしちゃって
糸を操って上から吊るす様にして
「忍法隠れ蓑なんだよー」

部屋の中確認して居なくなってたら
慌てて扉開けてくれるよね
ついでに糸を隙間から隣の部屋へ伸ばして
棚引っ張ってガシャーンって
「これで監督者さんも向こう見に行くよね」

トラップの突破はまさにーお願い
「まさにー。どっかーんってやっちゃってだよ!」


桂・真志
弟分の所在ありか(f43975)と

世界をまだ網羅していないが
魔界の裁判長とは…何か偉い人のようだな

「来られて満足か?」
見るからにワクワク顔の弟分に問う
正直、俺に向いた任務とは思えないが
所在が必死に誘ったからな
明らかに脱出ゲームがしたいからだろう
だが協力者の帰還に協力は良い事だ
「ああ、しっかりやろう」

隠密系が無理だと思ったのはバレてるか
そういうのは弟分が上手い
「よし、任せるぞ所在」

その代わり一撃で見張りを当て落としたりは俺の仕事だ
ピーキーで目立つ所在と隠れて乾坤一擲の俺で先へ進む

「悪魔的、というには人間的な罠が多いが」
フィニッシュまでは遠くなさそうだ
「分かった!此処は俺がブチ抜いてやる!」



「世界をまだ網羅していないが、魔界の裁判長とは……何か偉い人のようだな」
 エンシェント・レヰスの脅威から世界を護るために、猟兵と共に戦ってくれた魔界裁判長『ジャッジメントガール』――桂・真志(新世界に光望む者・f43974)はまだデビルキングワールドを訪れたことはないが、話に聞くだけでも重要人物だと分かる。悪魔とは言っても邪悪な者ではなさそうだし、実際に会うのが楽しみだ。
「何だかほんとに面白い世界が沢山で、何処でもわくわくするね! まさにー」
 一方、真志の弟分である凶月・所在(優しい殺人鬼・f43975)は、きらきら目を輝かせながら兄貴分に話しかける。
 善良な悪魔が暮らすというデビルキングワールドや、今回の「悪魔王遊戯デビルアトラクション」の舞台でもあるサイバーザナドゥ――文化も文明も異なる様々な世界を渡れるようになったのは、猟兵になれて良かったと心から思う。

「来られて満足か?」
「うん! でも観光気分じゃダメだもんね。魔界裁判長さんの為にも頑張るよ!」
 真志が見るからにワクワク顔の弟分に問うと、元気のいい返事がくる。所在もこれがただのアトラクションではなくジャッジメントガールの帰還に必要な依頼だとは勿論分かっている。それはそれとして楽しんでいるのも事実だった。
(正直、俺に向いた任務とは思えないが、所在が必死に誘ったからな)
 明らかに脱出ゲームがしたいからだろうとは真志も気付いていたが、協力者の帰還に協力すること自体は良い事だ。
 なら兄貴分として付き合うのも吝かではない――そんな彼の視線から何を感じ取ったのか、所在は慌てたように言葉を付け加えた。

「ちゃ、ちゃんと頑張るよ?」
「ああ、しっかりやろう」
 そんな訳で、ジャッジメントガール主催の悪魔王遊戯に二人で挑戦する真志と所在。スタート地点のタコ部屋に放り込まれた所からゲームスタートだ。メガコーポの強制労働施設をサイバースペース上に再現したステージでは、多数の監督者が目を光らせている。
「見つからないように脱出するのは苦労しそうだな」
「大丈夫だよ、まさにー」
 警備の厳しさに真志が目を細める一方、所在は自信ありげな様子で胸を張る。あまり隠密行動が得意ではない兄貴分の心配は、弟分にもバレているようだ。こういったことは所在のほうが上手くやるのは、真志も認めるところである。

「僕にお任せあれだからね」
「よし、任せるぞ所在」
 やる気十分の弟分がどうやってここを切り抜けるのか、頼りにさせてもらう真志。兄貴分の信用と期待を受け取った所在は、指先を踊らせて「月鋼糸」を操り、タコ部屋の壁紙をシュッと切り剥がす。ちょうど人間二人が後ろに隠れるサイズだ。
「忍法隠れ蓑なんだよー」
 これを糸で上から吊るすようにすれば、室外からは誰もいないように見えるだろう。ほどなくして監督者が巡回にやって来るが、もぬけの殻となった部屋を確認すれば「なにっ、脱走か!?」と勘違い。大慌てで扉を開けて中を検めようとする――。

(カギを開けてくれてありがとね)
 そのタイミングで所在が糸を引っ張ると、隣の部屋からガシャーンと大きな音が鳴る。部屋の隙間から隣室まで伸ばした糸を、あらかじめ適当な棚に繋いでおいたのだ。それを聞いた監督者は「あっちか!」と音のした方を振り返る。
(これで監督者さんも向こう見に行くよね)
 よくよく調べられたら壁紙の隠れ蓑もバレてしまうだろうが、その前に相手の注意を別の方に逸らすテクニックだ
 バタバタと監督者の足音が遠ざかるのを待って、二人は開けっ放しの扉から外に出る。これで第一関門はクリアだ。

「流石だな」
「まあね!」
 兄貴分に褒められて得意げな弟分。そしてここからは所在だけでなく真志の力も重要になってくる。面倒な場所に立っている見張りを落としたりするのは彼の仕事だ。一撃で仕留めてしまえば騒ぎを起こし、仲間を呼ばれる事もない。
「眠っていろ」
「ごは……?!」
 狙った獲物は逃さない、物陰から【殺戮・極】による乾坤一擲の当て身を食らわせば、敵は一撃で意識を奪われる。
 ピーキーで目立つ所在とは好対照な、パワフルで実直なスタイル。各々の得意分野を活かすことで彼らは脱出ゲームの攻略を進めていく。

「悪魔的、というには人間的な罠が多いが」
 道中の障害となるのは人間だけではなく、ジャッジメントガールが仕掛けたトラップの数々もある。悪魔なら魔法の罠なども作れそうなものだが、あえて吊り天井や槍衾といった普通の罠を大掛かりにしたものが多いのは製作者の趣味だろうか。なんにせよ、こうしたギミックが増えてきたならフィニッシュまでは遠くなさそうだ。
「まさにー。どっかーんってやっちゃってだよ!」
「分かった!此処は俺がブチ抜いてやる!」
 弟分にお願いされて、兄貴分は存分に腕を奮う。彼の膂力と「斬艦刀闇断」の切れ味にかかれば、ブッ壊せない罠はないだろう。ゴールまで目前の段階になれば、もはや隠密を意識する必要もなく、重機の如く道をこじ開け突き進む。

「あれが出口か」
「やった、ゴール!」
 かくして見事な連携により、真志と所在は脱出に成功。労働施設の淀んだ空気とは違う、澄んだ風が二人を迎える。
 だが悪魔王遊戯はまだ終わったわけではない――遊技場の最後に立ちはだかるラスボス、魔界裁判長その人との戦いあg控えているのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『魔界裁判長『ジャッジメントガール』』

POW   :    証拠品押収!
【ジャッジメントハンマー】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【証拠品入れ】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
SPD   :    全会一致裁判官
X体の【絶対冤罪裁判官】を召喚する。[絶対冤罪裁判官]は自身と同じ能力を持つが、生命力を共有し、X倍多くダメージを受ける。
WIZ   :    ジャッジメントエコー
戦場内に【ハンマーで台座を叩いた音】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
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「よくぞここまで辿り着いたっスね! 流石は7thKING、猟兵の皆さんっス!」

 サイバースペースにて用意された脱出ゲームをクリアした一同の前に、立ちはだかるのは1人の女悪魔。
 魔界最強クラスの悪魔にしてデビルキング法の守護者、魔界裁判長『ジャッジメントガール』は、巨大なハンマーを片手に堂々と猟兵たちを待っていた。

「今回の悪魔王遊戯デビルアトラクションもこれにて大詰め! 最後は自分、ジャッジメントガールとのガチバトルっスよ!」

 主催者である彼女自身が、アトラクションのラスボスも同時に務めるというわけだ。
 頑張って脱出ゲームをクリアしたプレイヤーを圧倒的な暴力でスタート地点に送り返す。なんてワルなのだろうか。

「もちろん猟兵の皆さんならクリアできると信じてるっス! だからこそ全力でいくっスよ?」

 猟兵に遊戯をクリアしてもらわなくては悪魔契約書を書くインクが集まらず、困るのはジャッジメントガール自身。
 かといってここで手抜きをするようでは魔界裁判長の名折れ。悪魔はいつだって大真面目なのだ。

「さあ、どっからでもかかってこいっス! ズルい手でも卑怯な手でもなんでも利用するの推奨っスよ!」

 重ねて言うが相手は魔界最強クラスの悪魔。さらに周辺には脱出ゲームに使われたトラップがまだ残っている。
 勝機を見出そうとするなら、彼女自身が仕掛けたトラップを、逆に利用してやるのが一番だろう。

 おそろしくワルな悪魔王遊戯のクライマックス、魔界裁判長ジャッジメントガールとの決戦は、こうして幕を開けた。
桂・真志
弟分の所在(f43975)と

華奢な女性だがあの獲物を片手とは
威圧感も凄まじい
魔界の裁判長はこうでなければ務まらんか

「…全力でやるしか勝機はない」
明らかに俺達は格下
だがそれで終わるのは不甲斐ない
「特攻するぞ」

作戦を聞かれても良い事は無い
言葉を要しないのがこの際ありがたい
それに奇策を持つのは俺ではない
一見戦力にならなさそうな所在の方だ

「必ず倒す!」
大喝し殺戮・極を
不死なら危うい罠でもただの足場だ
邪魔は両断し縄系は落ちようがぶった切り
鏖殺の気で凝らせ灼熱の血で焼き払おう

見なくても所在がUCを封じたのも
邪魔を排除してくれたのも分る

肉薄し本気で脳天から刃を振り下ろす
「負ける気はないぞ!」
此処も乾坤一擲だ


凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と

戦争の時も凄い人達ばかりだったけど
魔界裁判長さんもとっても強そうだね
戦えるのもちょっと嬉しい

「勿論!全力で挑むよ!」
どの力も出させたらまずいし
何よりも戦闘力もすごい!
作戦考える暇も隙もないから
まさにーの動きに合わせるよ
「まさにー!いくよ!」

足元の罠には注意して
ちょっとそれで動けないふりしながら
UCで殺意を纏って思いっきり
魔界裁判長さんへ殺意を当てるよ
「僕は、あなたを殺すよ」
そんなに長くは効かないと思うけど
それでもその隙が出来たら大丈夫
僕にはまさにーが居てくれるからね
「やっつけちゃえー!」

ついでに罠には罠をだもんね
遠くからでも足元へ糸を伸ばして
「足元注意だよ?」



「華奢な女性だがあの獲物を片手とは、威圧感も凄まじい」
 魔界の裁判長はこうでなければ務まらんかと『ジャッジメントガール』の雄姿に感服する真志。一般クラスでも猟兵に匹敵する魔力や肉体の持ち主がいるなど、種族として強壮な悪魔たちの中でも最強クラスとまで呼ばれているのだ。実力の程は疑いようもない。
「戦争の時も凄い人達ばかりだったけど、魔界裁判長さんもとっても強そうだね」
 そんな強い人と戦えることに、ちょっと嬉しさを感じるのは所在。恨みがあっての殺し合いではなく、純粋な力比べなのも良い。もちろん勝たなければならないのも事実――悪魔契約書を作るためには悪魔王遊戯デビルアトラクションをクリアされる必要があるとはいえ、ジャッジメントガールも手加減などしないだろう。

「……全力でやるしか勝機はない」
「勿論! 全力で挑むよ!」
 明らかに自分たちは格下。だがそれで終わるのは不甲斐ないと、気合を入れ直す真志。兄貴分の覚悟に所在も応え、戦闘態勢に入る。言葉を要さずとも通じあえる二人の関係性は、いちいち打ち合わせずとも連携を取れるという点で、大きなアドバンテージだった。
「特攻するぞ」
「まさにー! いくよ!」
 号令とともに駆け出す二人。ジャッジメントガールのユーベルコードはどれも強力で使わせたらまずい上、戦闘力も極めて高い。作戦を考える暇も隙も無いとなれば、戦術はごくごくシンプルになる。戦いの主導権をこちらが握って、全身全霊を叩きつけるのみだ。

「ふっふっふ、来るがいいっス!」
「必ず倒す!」
 いかにもボスキャラらしく待ち構えるジャッジメントガールに、真志は大喝し【殺戮・極】を発動。斬艦刀闇断を握りしめて猛進する姿は修羅の如し。戦場のあちこちに仕掛けられた危ないトラップも、不死身となればただの足場だ。
「覚悟はいいか、魔界裁判長!」
「おおっ! すごいっスね!」
 邪魔するものは両断し、縄系のトラップは落ちようがぶった切り、鏖殺の気で凝らせ、灼熱の血で焼き払う。悪魔も顔負けのゴリ押しっぷりで近付いてくる真志に、ジャッジメントガールもびっくりだ。やはり7thKING――猟兵とは常に予想を超えてくる存在か。

「まさにー、早いよ!」
 一方、所在のほうは真志の動きに合わせるつもりが、トラップに足元を取られていた。十分注意はしていたのだが、彼には真志と同じような突破法はできない。どうあっても出遅れるのは仕方ないのだが、格上相手に連携を乱すのは致命的な――。
「――なんてね」
 兄貴分にはない奇策の引き出しが弟分にはある。戦力外に陥ったように見せたのはわざとだ。否応なく目立つほうにジャッジメントガールの注意が引きつけられる刹那、彼はユーベルコードを発動し、身に纏った殺気を思いっきり解き放った。

「僕は、あなたを殺すよ」
「うっ……!? ガチ殺気?!」
 天性の殺人鬼に殺気を当てられたジャッジメントガールは、不覚にも一瞬ビビッてしまう。この恐怖を克服するまでユーベルコードの使用を封じるのが、所在の【鬼手仏心の流儀】だ。ハンマーの音で敵を操ることも、強大な絶対冤罪裁判官を呼び出すことも、これで不可能。
「そんなに長くは効かないと思うけど、それでもその隙が出来たら大丈夫」
 僕にはまさにーが居てくれるからね、と笑って所在は月鋼糸をひと振り。真志の前方にある罠が切り払われていく。
 悪魔王遊戯をここまで攻略してきた時と同じ。各々がまるで異なるスタイルを駆使するからこそ、彼らは強いのだ。

「やっつけちゃえー!」
「ああ」
 見なくても所在がユーベルコードを封じたのも、邪魔を排除してくれたのも分かる。だから真志は前だけ見て進む。
 至近距離まで肉薄すれば、斬艦刀闇断を大上段に振り上げる。本気で脳天からぶった斬る構えだが、それくらいしなければ傷ひとつ付けられまい。
「ヤバいっスねこれは……おっとぉ?!」
「足元注意だよ?」
 咄嗟に距離を取ろうとするジャッジメントガールの足元に、音もなく糸が絡みつく。罠には罠を――これまで相手にやられてきたことをやり返す形で、決定的な好機をもたらした所在がニコッと笑う。まるで無邪気な小悪魔のように。

「負ける気はないぞ!」
 弟分の貢献に応えんと、乾坤一擲の刃を振り下ろす真志。殺傷力を強化する【殺戮・極】の効果を受けた斬艦刀は、普段以上の切れ味でジャッジメントガールの頭頂を捉え――「うぎゃーーーーっス?!」と甲高い悲鳴と共に血飛沫が吹き出した。
「いってぇっス! メチャクチャお強いっスね、お二人とも!」
 これが「痛い」で済むのだから悪魔のタフさは尋常ではないが、それでも大きなダメージを与えたのは間違いない。
 悪魔王遊戯最終戦、ラスボスに最初の一太刀を見舞った真志と所在は「やったな」「うん!」と、互いの健闘を称えあうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
フ、ならばこのUCを見ると良いだろう!

万象を無作為に凍結させる『混沌氷河期』……スーパーカオスドラゴンとアイスエイジクイーンのUCを複合させたUCを用いて『ジャッジメントハンマー』を凍結
そのまま我が剣を振るい、刀身を叩きつけて吹き飛ばしていくぞ

ズルい手でも卑怯な手でも何でも利用するのが推奨というなら、そうしよう
脱出ゲームに使われたトラップ……それらを無作為に凍結する――そして無作為に凍結解除する事で、我にも見通せぬトラップの発動で追い詰めていくぞ

この前の戦いでは世話になった
――故に、全霊で挑ませてもらう!



「フ、ならばこのユーベルコードを見ると良いだろう!」
 悪魔王遊戯デビルアトラクションの最後に立ちはだかるボスキャラ――魔界裁判長『ジャッジメントガール』を前に、ブリュンヒルデが発動させたのは【蒼翼の終焉破壊・悪逆の頂たる二つの交差】。大きく広げた蒼きヴァルキリーウイングから、万象を無作為に凍結させる『混沌氷河期』が発生する。
「こ! これはスーパーカオスドラゴンさんと、アイスエイジクイーンさんの!」
 7thKING WARの主催者でもあるジャッジメントガールならすぐに分かるだろう。それがかつてKING候補者だった二人の大悪魔のユーベルコードを再現・複合させたものだということを。フィールドを荒れ狂った混沌の氷河はあっという間に彼女の「ジャッジメントハンマー」を凍結させた。

「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼! 無作為なる理を宿す混沌と万象を凍てつかせる氷河期の交差を以て、その終焉に終焉を!」
「な、なんかよくわからんけどかっけーっス!」
 相手の武器が凍った隙を突いて、自らの剣を振るうブリュンヒルデ。「蒼翼羽剣ブラウグラム」の刀身を叩きつけられたジャッジメントガールは凍結したハンマーでガードするものの、衝撃までは流しきれずに大きく吹き飛ばされた。
「ズルい手でも卑怯な手でも何でも利用するのが推奨というなら、そうしよう」
 さらにブリュンヒルデの混沌氷河期は脱出ゲームに使われていたトラップまで無差別に凍結させ、そしてまた無作為に凍結解除する。これによって彼女自身にも見通せないタイミングでトラップが起動し、ジャッジメントガールに追い討ちをかけた。

「ぐわーっス!? さ、さすが自分のトラップ! 威力絶大っス!」
 自ら仕掛けた既知のトラップとはいえ、それがランダムに発動するとなるとジャッジメントガールも予想は難しい。
 うっかり引っかかってダメージを食らったところに、氷河の上を滑るような速さでブリュンヒルデが肉薄してくる。
「この前の戦いでは世話になった――故に、全霊で挑ませてもらう!」
「そうこなくちゃ……ぐわーーっス!!」
 帝都櫻大戰での恩義を返すためにできる一番の事は、この悪魔王遊戯を全力でクリアすること。手加減は一切せず、彼女は再び渾身の力で蒼翼羽剣ブラウグラムを叩きつけた。蒼い羽を模った美しき刃が、悪魔裁判長の体を切り裂く。

「やっぱり7thKINGのあなたたちに頼んで正解だったっスね……このジャッジメントガール、もう大ピンチっス!」
 猟兵から本気の攻撃を何度も食らってまだ元気に喋る余裕があるあたり、悪魔のタフネスはつくづく規格外である。
 が、それでもダメージを受けていない訳ではない。よろよろと立ち上がるジャッジメントガールの様子に、言葉ほどの余裕は感じられなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

試作機・ノクス(サポート)
「今、向かうであります!」

 レプリカントのクロムキャバリア×ブラスターガンナー
 似非軍人のような口調で話します。
 キャバリアとレプリカントで同一存在だと主張しており、キャバリアの体もレプリカントの体も自分の身体と認識しているように動きます。

 一人で戦闘する際は簡単な作戦をたたて、行動しますが、他に作戦を立てている人がいれば、その作戦に全乗っかりで行動します。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「今、向かうであります!」
 悪魔王遊戯デビルアトラクションの攻略をかけた最終決戦の舞台に、サポートとして駆けつけるのは試作機・ノクス(レプリカントであり、クロムキャバリアである・f41412)。規律正しい女軍人めいた容姿のレプリカントの傍らには、クロムキャバリア「試作機・No.X」がいる。
「魔界裁判長ジャッジメントガール! 貴女を魔界に帰すため、倒させてもらうであります!」
「望む所っスよ! そう簡単にはやられないっスけどね!」
 軍人口調で勇ましく宣言するノクスに応えて、ジャッジメントガールはハンマーを台座に叩きつける。カーンと鳴り響く快音と共に、現れるのは【全会一致裁判官】。裁判長と生命力を共有し、裁判長と同等の能力を持つ精鋭たちだ。

「数の暴力でありますか。しかし、こちらもボディは2体分!」
 レプリカント「ノクス」の【リモート・レプリカント】により、キャバリア「No.X」は遠隔操作可能。本人の認識上この二機は同一存在であり、キャバリアの機体もレプリカントのボディも自分の身体と認識している。であるが故に、寸分の狂いもない完璧な連携が可能だ。
「攻撃開始であります!」
 サイズを除けば同一規格の熱線銃を構え、同じ目標に対して同時に照射。まず狙ったのは絶対冤罪裁判官のほうだ。
 ジャッジメントガールと同じ魔界最強クラスの能力を持っていても、彼女の集中攻撃を避けきるのは難しい。そしてかすり傷でも与えられれば、生命力を共有する全員にダメージが共有される。

「あちちっ! やるっスね!」
 裁判官が熱線を浴びたのと同じ箇所に、ジャッジメントガールも火傷を負う。もともとタフな悪魔でも、安易に的を増やしたのは失敗だったかもしれない。大勢いる裁判官のうち、どれか一人にでも当たればノクスはそれで良いのだ。
「ここは正確さよりも手数! 撃ちまくるであります!」
「まるでビームスプリッターさんみたいっスね!」
 寄ってくる相手からはバックステップで適宜距離を取りつつ、レプリカントとキャバリアの二体は熱線を乱射する。
 戦場を飛び交う光の線はジャッジメントガールと裁判官たちに反撃の隙を許さず、じりじりと追い詰めていく――。

成功 🔵​🔵​🔴​

皐・芽衣
お主と相対するのは久々じゃの、ジャッジメントガール!
お主の電脳悪魔王遊戯、クリアさせてもらう!

と、その前にじゃ。
折角会えたんじゃし、お主のワルを裁いておかんとのぅ!

銅鑼仔羊の咆哮静粛にせい!
発言以外の、音を出す行為を禁じる!

今回の悪魔王遊戯もワルであったが、此度の戦争での貢献を考慮すると、情状酌量の余地がある。
故に――と言っても何の因果もないが――この悪魔王遊戯に音ゲーの要素を勝手に追加し、お主にも遊んで貰うこととする!

先に召喚して鳴かせた銅鑼仔羊を[大軍指揮]して、[集団戦術]で挑もうかの。
スネア、ハイハット、バス、クラッシュ、他……それぞれがリズミカルに放つ[音響弾]を避けつつ、わしの[功夫]を相手する遊戯じゃ!
攻撃音を出せないのも、お主には丁度良いハンデじゃろ。
そのハンマーも碌に振るえまい。

おっと、音響弾で罠が作動したの。
お主の罠じゃ、作動音も禁止されておる。
無音で迫る罠の対処も大変じゃな!

デビルキング法にも馴染んできた感じがする。
良い仕事が出来たんじゃないかの!



「お主と相対するのは久々じゃの、ジャッジメントガール!」
「そうっスね! またお会いできて光栄っス!」
 悪魔王遊戯デビルアトラクションのボスキャラとして立ちはだかった『ジャッジメントガール』に、朗らかに挨拶するのは芽衣。こうやって彼女と猟兵が戦うのは7thKING WARが一段落して以来になるだろうか。いがみ合いではなく共通の目標のため、力比べをするのは悪い気分ではない。
「お主の電脳悪魔王遊戯、クリアさせてもらう!」
「ふっふっふ、そう簡単にクリアさせないっすよ!」
 意気揚々と獬豸が宣言すれば、魔界裁判長もプライドにかけて言い返す。やはり法の番人として意識し合うところがあるのだろう、両者とも気合は十分。ぶんと振り上げられたハンマーが、遊戯のクライマックスを告げる轟音を――。

「と、その前にじゃ。折角会えたんじゃし、お主のワルを裁いておかんとのぅ!」
「ふぇっ?」
 その発言で、ジャッジメントガールはハンマーを叩きつける寸前でピタッと止まる。普段は悪魔の悪事を裁く立場にある彼女が、裁かれる側になるのは滅多にない。なんせデビルキングワールドに彼女よりエラい裁判官はいないから。
「【銅鑼仔羊の咆哮静粛にせい!】」
「は、はいっス!!」
 そんな極悪独裁司法制度に一石を投じるのが芽衣である。連れてきた「銅鑼仔羊」の群れからジャーンと発せられる極大音量の咆哮が、緊急裁判の開廷を告げる。思わずジャッジメントガールがピンと背筋を伸ばすのは、根がマジメな悪魔の性か。

「発言以外の、音を出す行為を禁じる!」
 法廷において余計な騒音は不要。ハンマーで台座をカンカン叩く【ジャッジメントエコー】なんてもってのほかだ。
 実質的に相手のユーベルコード使用を封じた芽衣は、厳かに粛々とジャッジメントガールの罪状を読み上げていく。
「今回の悪魔王遊戯もワルであったが、此度の戦争での貢献を考慮すると、情状酌量の余地がある」
 ここまで攻略してきたアトラクションの仕様やトラップを見ても、なかなかの悪辣さであることは確か。一方で世界の危機に駆けつけ『神王サンサーラ』撃退に一役買った"善行"は、本件と密接な関わりがある。悪事と欲望を肯定するデビルキング法の精神に則れは、彼女の"罪"にはまだガチさが足りない。いやガチだったら困るのだが。

「故に――と言っても何の因果もないが――この悪魔王遊戯に音ゲーの要素を勝手に追加し、お主にも遊んで貰うこととする!」
「そ、そんな! なんかちょっと楽しそうじゃないっスか!」
 どうせならもっと重犯罪として裁いてほしいジャッジメントガールは不服の声を上げるが、判決はすでに下された。
 芽衣は先に召喚した銅鑼仔羊たちを指揮し、大軍による集団戦術で罰を与える。武器となるのは先程も聞かせた仔羊たちの鳴き声である。
「スネア、ハイハット、バス、クラッシュ、他……それぞれがリズミカルに放つ音響弾を避けつつ、わしの功夫を相手する遊戯じゃ!」
「ちょ、超ベリーベリーハードモードっス……!!」
 ジャーンジャーンと響き渡る音圧が咎人を追い詰め、そこに芽衣自身が刑罰執行人として偃月刀を振るう。ジャッジメントガールも慌てて対応するが、初見ノーミスクリアを許すほどこの音ゲーは優しくなかった。反応が遅れるたびに音の衝撃や斬撃が彼女に突き刺さる。

「攻撃音を出せないのも、お主には丁度良いハンデじゃろ。そのハンマーも碌に振るえまい」
「くっ! こんなオモシロ要素を追加されたら、自分のアトラクションが霞んじゃうっスよぉ~!!」
 【銅鑼仔羊の咆哮】の効果は依然持続中であり、騒音の出るドンパチを封じられたジャッジメントガールは苦しそうに、あるいは悔しそうに芽衣の攻撃を受け続ける。相手に縛りプレイを課しながら一方的に有利な状況で殴るなんて、なんてワルいやつだ。
「おっと、音響弾で罠が作動したの」
「げふぅ!!」
 さらにはジャッジメントガール自身が仕掛けた罠までも牙を剥く。これも「許可なく音を出す行為」に該当するため作動音は禁止されている。「無音で迫る罠の対処も大変じゃな!」と呵々大笑しながら芽衣は追い討ちをかけていく。

「どうじゃ、参ったか!」
「ま、まいったっす~……!」
 厳正なる音ゲーの裁きを受けたジャッジメントガールはとうとう音を上げ、ハンマーを放りだしてばたりと倒れる。
 同時に、どこからともなく飛び出す紙吹雪とファンファーレ。悪魔王遊戯デビルアトラクションの完全クリアを果たした芽衣は、満足げにカツンと石突を鳴らした。
「デビルキング法にも馴染んできた感じがする。良い仕事が出来たんじゃないかの!」
「ほんとにお見事だったっス。次の裁判お任せしてもいいっスかね~……」
 猟兵としても獬豸としても、誰も文句のつけようはない仕事ぶり。莞爾と微笑む少女に魔界裁判長も拍手を送る。
 大の字になった悪魔の手にはいつの間にかインク壺が。その中には黒々としたインクが幾ばくか溜まっていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『退廃世界のリラクゼーション施設』

POW   :    様々な効能の温泉

SPD   :    エキサイティングなゲーム

WIZ   :    高級食材に舌鼓

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「いや~参りましたっス! こうも完璧にクリアされると清々しいっスね!」

 悪魔王遊戯デビルアトラクションの全ての肯定をクリアした猟兵たちを、惜しみなく賞賛するジャッジメントガール。
 本気で戦ってボコボコにされた直後だというのに、もうピンピンして立ち上がっているあたり、本当に悪魔という種族はタフである。

「お陰さまで悪魔インクも結構溜まったんで、これで『悪魔契約書』を書き進められそうっスよ」

 そんなジャッジメントガールの手にあるのはダークな雰囲気漂うインク壺。
 悪魔王遊戯をクリアされた際に発散されるパワーは、きちんとインクの材料として彼女の元に集まったようだ。


「ご協力いただき感謝っス! ささやかながら打ち上げの場を用意したんで、よければ来てくださいっス!」

 手回しの良い彼女はすでにサイバーザナドゥにあるリラクゼーション施設のひとつを貸し切りにしていたようだ。
 美容や健康に効能のある温泉や高級食材を使った料理、ゲームセンターなどが併設された施設で、戦いの疲れを癒やすには最適だ。

 ジャッジメントガールはここで悪魔契約書の執筆を行うつもりらしい。
 今回集まったインクだけで完璧な契約書を書き切れるかは分からないが、書き進められる所までは進める模様。

 猟兵は彼女の執筆を見守っていてもいいし、好き勝手にリラクゼーション施設を楽しんでもいい。
 悪魔的脱出ゲームをクリアした一同による、愉快で自由な打ち上げ会が始まった。
皐・芽衣
それが悪魔インクか。溜まったなら何よりじゃ。
……契約書というからには、契約のあてがあるんじゃろか。
あてがないなら挙手したいくらいじゃが。

優秀な裁判官の傍が一番落ち着くしの。
二人分の飲み物と菓子でも手に入れてきて
後は仕事ぶりを見守らせてもらおう。

傍におっても良いか?
仕事成就のお守りくらいにはなれるはずじゃ。
ジャッジメントガール。わしは、お主を認めておる。
今、【獬豸ノ瑞祥】は、お主と共にある!

わしの瑞祥は、ジャッジメントガール自身の強化だけではない。
厄払い効果で書き損じ等も防げるはずじゃ。

のぅ、ジャッジメントガール。また困ったら呼ぶと良い。
口約束で恐縮じゃがの、お主のためなら力になるぞ。約束じゃ!



「それが悪魔インクか。溜まったなら何よりじゃ」
「はい! 皆さんのおかげっス!」
 サイバーザナドゥ某所にあるリラクゼーション施設にて、芽衣はジャッジメントガールが悪魔契約書を書くところを興味深そうに眺めていた。世界を超えて悪魔を召喚する力があるというそれは、強力ゆえに執筆にも細心の注意がいる魔書であった。
(……契約書というからには、契約のあてがあるんじゃろか。あてがないなら挙手したいくらいじゃが)
 契約書が完成した暁には誰かしら使用者が要るだろう。別に悪魔と契約して何か命令したい訳ではなく、帰還に協力するなら自分にできることは惜しまない気持ちだ。先月の帝都櫻大戰にて、とある猟兵がいにしえの悪魔ダイモンと契約したという話もあるし、決して不可能な話でもない。

「あまり根を詰めすぎんようにの。ほれ」
「あっと、こりゃどうもっス!」
 芽衣は近くの販売スペースから二人分の飲み物と菓子を手に入れてきて、ジャッジメントガールのいるテーブルに置く。打ち上げのために貸し切りにしてくれた場だが、彼女の場合は優秀な裁判官の傍にいるのが一番落ち着くようだ。
「傍におっても良いか? 仕事成就のお守りくらいにはなれるはずじゃ」
「勿論っスよ! 同業者サンに見ててもらえると安心できるっス!」
 仕事ぶりを見守りたいという芽衣に。ジャッジメントガールは快く応じる。見られているくらいで気は散らないし、明らかなミスがあれば指摘できる人物がいてくれるのはありがたい。悪魔王遊戯にあった彼女の見事な裁きっぷりを、魔界裁判長も評価しているようだ。

「えーっと、契約中に対象が死亡したケースについては、まず事故死の場合が……」
 契約において想定されうる状況を考え、その時々に応じた内容を悪魔インクで仔細に書き込んでいくジャッジメントガール。固辞脱字のようなケアレスミスひとつが死に繋がるため、いつもフランクな彼女も流石に慎重になっている。
「ジャッジメントガール。わしは、お主を認めておる。今、【獬豸ノ瑞祥】は、お主と共にある!」
 そんなジャッジメントガールと一連の出来事を通じて縁を育んだ芽衣は、彼女が悪魔契約書を書き上げられるよう、その瑞祥を惜しみなく与える。これと見込んだ為政者や役人を守護し、祝福を授けるのが獬豸という瑞獣本来の力だ。

「わしの瑞祥は強化だけではない。厄払い効果で書き損じ等も防げるはずじゃ」
「おおっ! 頭が冴えてバリバリ執筆が捗るっスよー!」
 獬豸の祝福を受けたジャッジメントガールはきゅぴーん! と目を輝かせ、ものすごいスピードでペンを走らせる。
 空白のページに契約の条項が次々に埋まっていく。この調子なら今あるインク分を書き切るのにさほど時間はかからないだろう。
「のぅ、ジャッジメントガール。また困ったら呼ぶと良い。口約束で恐縮じゃがの、お主のためなら力になるぞ。約束じゃ!」
「大感謝っス! 自分のほうこそ、何かあったらいつでも呼んで下さいっス! 喜んで一肌脱がせてもらうっすよ!」
 芽衣がジャッジメントガールを認めたように、悪魔王遊戯中の芽衣の見事な裁きっぷりを、ジャッジメントガールも高く評価している。再会と協力の約束を交わし、ふたつの世界の法を司る者たちは朗らかな笑みを浮かべるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
フフ、我のこの肉体美を引き立たせるために……エステサロンにでも行こうか
我ながら豊満で引き締まったスタイルだとは認識しているからな

アロマオイルでマッサージを受けた後、続いては髪にトリートメント等を
この頭頂部のアンテナは切らなくていいからな?
何気に気に入っているのだ
そうして椿油の様な髪質を良くするヘアオイルを塗って整えて貰い、更にサラサラにしていく

さて、仕上げは温泉と行こうか
美肌の湯に浸り、汗を流していく

ふう、気持ちの良いものだ
眼を閉じながら、ゆっくりと疲れを癒していくのであった――



「フフ、我のこの肉体美を引き立たせるために……」
 ジャッジメントガールの悪魔王遊戯デビルアトラクションをクリアして、リラクゼーション施設にやって来たブリュンヒルデが向かったのは、オシャレなエステサロンだった。機械化義体サイバーザナドゥの普及が進んだこの世界においても、生まれ持った肉体の美しさを磨く者は決していなくならない。
「お客さま、お綺麗ですねえ」
「我ながら豊満で引き締まったスタイルだとは認識しているからな」
 自信をもって本人が言う通り、ブリュンヒルデの均整の取れた肉体はサロンの美容師も褒めそやすほど。騎士として普段から鍛錬を怠らないことがスタイル維持の秘訣となっているのだろう。そのうえで"本職"から見ればまだまだ磨きようのある、まさに腕の鳴る来客であった。

「では、まずマッサージから始めていきますね」
「うむ、よろしく頼む」
 美容師はブリュンヒルデの肌にアロマオイルを塗ると、その身体を丹念に揉みほぐしていく。激しい運動で筋肉に溜まった疲労が、すうっと溶けていくような心地良さだ。マッサージが済んだ後は、続いて髪の手入れもやってもらう。
「この頭頂部のアンテナは切らなくていいからな? 何気に気に入っているのだ」
「かしこまりました」
 トリートメントや散髪等を行ってから、椿油のような髪質を良くするヘアオイルを塗って整えて貰うと、彼女の青髪は更にサラサラに。髪は女の命と言うこともあるが、艷やかになびくそれはまさに蒼穹で染めたような美しさだった。

「さて、仕上げは温泉と行こうか」
 頭からつま先までエステを堪能したブリュンヒルデは、その足で温泉に向かうと美肌の湯に浸り、汗を流していく。
 貸し切りなので猟兵以外に客はおらず、好きなだけ"羽を伸ばす"ことができる。しっかり肩までつかると、滑らかな湯の感触と心地よい熱が彼女を包みこんだ。これならエステ後の肌がよりスベスベになること間違いなしだろう。
「ふう、気持ちの良いものだ」
 猟兵としての使命も、都市国家厳守の肩書も今は関係ない。たとえエンドブレイカーであっても休息時間は必要だ。
 ほっと満足そうに息を吐き、まぶたを閉じながら、ブリュンヒルデはゆっくりと疲れを癒していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桂・真志
弟分の所在(f43975)と

この有様を見れば分かる
「このひとは殺せん」
皆全力で戦ったろうに既に傷一つない
「手強いな…」
ご馳走に目を輝かせる弟分にぽつり

いや、何が何でも殺したかった訳ではないぞ
そもそも助けに来たのだしな

宴の礼を言い横で馳走になろう
酒も嗜めるが今は飲まず
旨い食事に感謝しつつ強さを称えよう

「一度では帰れない可能性もあるのか?」
改めて確認を
ふと思いついて尋ねてみる
「…いっそ猟兵になれば良いのでは?」
職務との兼任は難しいかも知れんが出入りは容易くなる
良い考えだと思うが

猟兵にならず渡る方法が他に無く今回では無理なら
残念だが苦闘は続くだろう
「なら、またこいつと手伝うさ」
再戦もしてみたいからな


凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と

まさにーはちょっと悔しそう
強いとは思ってたけど
僕達とはこれ程差があるんだね
「これから、僕達も強くなろ?まさにー」
殺さない、殺せない新しい戦い
それも僕達を強くするものなんだから

でも今はそれよりご馳走!
「僕おなかペコペコだよー」
魔界裁判長さんにお礼を言ったら
料理に飛びつくんだよ

高級食材は良く解んないけど
でもご飯はほんとにおいしい!
あれもこれもーって食べてたら
まさにーが面白いお話してるね
「あ、それいい考えなんだよー!」
帰れないのならそれも選べる道だよね
だから僕も同意!

それでも戻る道を選ぶなら
それはそれで僕達はまた絶対手伝うからね
「うん!それに次は負けないからね!」



「このひとは殺せん」
 目標である悪魔王遊戯デビルアトラクションをクリアしたとはいえ、真志の表情は浮かなかった。この有様を見れば分かる――自分を含め猟兵皆が全力で戦ったろうに、ジャッジメントガールは負けたとはいえピンピンしており、既に傷一つない。リラクゼーションの効果があったとしても凄まじいタフネスと回復力だ。
「手強いな……」
「強いとは思ってたけど、僕達とはこれ程差があるんだね」
 ぽつりと声に漏れた悔しさは、ご馳走に目を輝かせていた所在にも聞こえた。精強な悪魔たちが住まう魔界で裁判長を務めるからには、流石の強さと言うべきなのだろうが――異世界にはまだまだ「上」がいるのだと、否応なく実感させられた気分だ。

「いや、何が何でも殺したかった訳ではないぞ。そもそも助けに来たのだしな」
 真志の言うことに嘘はないが、ともすれば殺しかねないほどの本気で挑んだのも事実であり、その上でこの結果はやはり悔しさが残るようだ。普段はなかなか漏らさない兄貴分の珍しい感情に、所在は少し考えてから励ましの言葉をかけた。
「これから、僕達も強くなろ? まさにー」
 確かに実力では及ばなかったかもしれない。それでも自分たちは勝ったし「次」がある。年季や経験で劣るということは、まだまだ成長の余地が残されていることでもあるはずだ。今日感じた悔しさすら糧にして、前に進んでいこう。

「殺さない、殺せない新しい戦い。それも僕達を強くするものなんだから」
「……ああ、その通りだな。折角の宴の場で辛気臭い事を言った」
 もう自分たちはただの殺人鬼ではない、殺せるか否かだけが強さの全てではない。弟分の言葉に真志は深々と頷く。
 反省会はこれくらいで十分だろう。「今はそれよりご馳走!」と、所在は嬉々として目の前の料理に飛びついた。
「僕おなかペコペコだよー。魔界裁判長さん、ありがとね!」
「このような席を設けていただき、感謝する」
「いいっすよ、こちらこそ感謝してるっス! どんどん食べて下さいっス!」
 二人して招待の礼を言うと、横にいたジャッジメントガールは笑顔で応じる。7thKING WARに参戦した者に限らず、全ての猟兵は彼女にとって敬意の対象であり、実力を侮るつもりは毛頭ない――でなければそもそも今回の依頼もなかっただろう。このリラクゼーション施設での打ち上げ会も純粋な感謝の形だ。遠慮なく馳走になってくれれば幸いだ。

「高級食材は良く解んないけど、でもご飯はほんとにおいしい!」
 各地から取り寄せられた食材を一流のシェフが調理したごちそうを、あれもこれもとパクパクいただく所在。過酷な脱出ゲームと戦いの後で、いい感じに空腹なのもスパイスになったようで、ほっぺたにソースをつけて満面の笑みだ。
「その強さには心から感心した。またいつか手合わせ願いたい」
「いいっスよ、いつでも相手になるっス!」
 一方の真志は改めてジャッジメントガールの強さを称えながら、弟分に比べれば落ち着いたペースで食事を楽しむ。
 宴席には料理だけでなく酒も用意されており、彼も嗜めるクチではあるが今は飲まず。酔いを回すより聞きたい事もあった。

「一度では帰れない可能性もあるのか?」
「そうっスねえ。だいぶインクは集まったっスけど、書き上げるにはまだ足りないかもっス」
 真志が改めて確認を取ると、ジャッジメントガールは書きかけの「悪魔契約書」とインク壺の残量を見つつ答える。
 悪魔王遊戯をクリアすることで発散されるエネルギーからしか、彼女の悪魔インクは生成できない。100%の帰還成功率を約束する契約書を作るためには、内容を仔細に書き込む必要があり、比例してインク量も膨大になるようだ。
「……いっそ猟兵になれば良いのでは?」
「あ、それいい考えなんだよー!」
 そこでふと思いついたことを真志が尋ねてみると、所在も面白そうだと賛成する。猟兵になればグリモアの力を借りて自由に世界間を移動することができる。契約書の完成が難しいようなら、自分たちの仲間になる選択肢もあるのではないかと考えたのだ。

「職務との兼任は難しいかも知れんが出入りは容易くなる。良い考えだと思うが」
「僕も同意!」
「うーん、お誘いは嬉しいっスけど、それは難しいっスねえ」
 二人からの勧誘に、ジャッジメントガールは少し困ったように首を傾げる。そもそも猟兵とはどうやって「成る」のか、確立された手段や法則性が見つかっているわけではない。生命体の埒外にあるものが世界によって選ばれる、とは言われているものの、覚醒のきっかけは様々で、ふと気づけばいつの間にか猟兵になっていた者もいる。
「なれるならなってみたいんスけどねー」
「そうか。残念だ」
「なら仕方ないねー」
 猟兵になれず、世界を渡る方法が悪魔契約書の他になく、今回で完成させるのが無理なら、残念だが彼女の苦難はまだ続くだろう。本人はあっけらかんとしているものの、できることなら早く魔界に帰りたいはずだ。その気持ちは二人にも理解できる。

「なら、またこいつと手伝うさ」
「うん! それに次は負けないからね!」
 今回分の魔界インクがなくなれば、ジャッジメントガールは再び悪魔王遊戯を開催するだろう。悪魔契約書の完成に必要な量が溜まるまで、また絶対に手伝うと二人は約束する。個人としても彼女は好感の持てる人物だし、今回の件を踏まえて再戦もしてみたい。
「お二人とも……みなさん、ほんとうにありがとうございまっス!!」
 重ね重ねの猟兵たちからの厚意に、深々とお辞儀をするジャッジメントガール。その目元にはかすかな涙が浮かぶ。
 今日の恩を彼女は決して忘れない。それは「契約」よりもずっと強力で強固な、ヒトと悪魔の「約束」だった――。



 かくして今回の悪魔王遊戯デビルアトラクションは完全攻略され、魔界裁判長は故郷への帰還に一歩近づく。
 この調子で多くの猟兵が彼女に協力すれば、魔界への扉が開かれるのもそう遠いことではないだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年10月26日


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🔒
#サイバーザナドゥ
🔒
#デビルキングワールド
🔒
#ジャッジメントガール


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト