帝都櫻大戰㉑〜最後にして燦然たるショウタイム
●絢爛豪華劇場降臨
見よ、かの輝ける世界、『スタアラヰトステエジ』を。
――否、スタアラヰトステエジは世界に非ず。新たな主を得しエンシェント・レヰス『ビームスプリッター』の使いし世界型大魔術。
幻朧帝に利用されるどころか逆にその力を利用したビームスプリッターの描いたその世界に描かれるは、広大な舞台、客席、舞台装置。
おお、なんということだ。絢爛豪華たるその劇場に単身挑むは融合を断たれし幻朧帝イティハーサただ1人。
想像と表現を無限の力にせし『興行魔法』に満ちたこの世界で、巨大な絡繰仕掛けの舞台装置が駆動する最高のステエジで、これより描かれるのは猟兵達による華麗なる
舞台也!
●グリモアベースにて
「イティハーサが姿を現した」
水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)は語り始めた。
「イティハーサは『世界を創造するもの』として過去――つまり
歴史から世界を創り出す能力を持つ……まさに規格外の存在だ。骸の海そのもの……とも言えるかもしれない」
ただ、膨大な力の代わりに『意志』をあまり持たず、そのためにエンシェント・レヰスの『再孵化』を試みようとした……が、ここでアクシデントが起きた。
「みんなの中から、ビームスプリッターを従えた者が出てきたんだ。いやまさか、本当にやってしまうとはね。
――これは僥倖だ。ビームスプリッターが滅ぼされずこちらの悪魔となったことで『再孵化』、そしてイティハーサとの融合は阻止できたから」
それだけではない。なんとビームスプリッターはイティハーサのその力を逆に利用し、世界――いや、世界型大魔術を作り上げたというのだから!
「その名も――『スタアラヰトステエジ』。『演者』の想像力とショウによる表現力が続く限り世界に満ちる『興行魔法』が力を増幅させ続けるという、まさに大劇場とも言えるものだ」
イティハーサは現在この世界に取り残され、単身立ち向かう形となってしまっている。他の場所では猟兵側がアウェーとなってしまっている事も多いが……ここは逆に、イティハーサがアウェーだ!
「この好機を逃してはいけない。イティハーサをスタアラヰトステエジから、現世から退場させてほしいんだ」
やり方は問わない。どんな表現でも想像力と表現力が続く限りはスタアラヰトステエジは支援してくれるだろう。
「諸悪の根源とも呼ばれ、骸の海そのものとも呼ばれ、圧倒的な力を持つイティハーサ。それをこちらの有利で倒せる機会は早々ない」
だからどうか機を逃さず討滅してほしい、と可奈は言った。
「さあ――Alea jacta est! 過去に囚われし骸に、命の輝きを! そして――
現在を生きる、生命ある者に、祝福を!」
舞台の幕は、間もなく上がらん――!
結衣謙太郎
ヤウコソ、新世界の虚――否、スタアラヰトステエジへ。
結衣(最終決戦モード)です。
命の輝き、現在の輝きを今ここに!
以下詳細。
●メイン目標
『幻朧帝イティハーサ』を討滅せよ!
●章構成
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「帝都櫻大戰」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
ロケーションはスタアラヰトステエジ。どういう感じかはオープニングを参照ください。
まあ簡単に言ってしまえば絶えず巨大な絡繰仕掛けの舞台装置が駆動する大劇場です。
基本的に戦いは舞台の上で行うことになりますが客席や舞台装置を巻き込んでも構いません。そして皆さんがプレイングで『ある』としたものは『ある』という形になります。ここは『演者』の想像力に応じて舞台装置が稼働する世界なので。
皆さんがここで華麗なショウを演じながらアウェーになってるイティハーサと戦えばスタアラヰトステエジに満ちる『興行魔法』が皆さんをブーストしてくれます。世界そのものがきっと君の味方だ。
イティハーサは非物質にして肉体を傷つけず生命のみ傷つける矢や脇にいる鷹の突撃、滅びし歴史上の強者達の召喚(一撃で倒れます)を主に使ってきます。ラスボスなだけあり威力は高いので注意してください。
特別プレイングボーナス……華麗なショウを演じながら戦う/舞台装置を戦闘に利用する。
●備考
プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。
オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。
また、『戦線』があるので時期によっては完結優先で待てない場合がございます。
このシナリオは戦争最終決戦依頼、かつ高難度依頼です。
判定がいつもより格段に辛くなります。ご注意ください。
現在を生きる命の輝きよ、汝骸の海へとそれを見せつけよ! それこそ我等『第六猟兵』のスタアラヰトステエジ!
以上、プレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『幻朧帝イティハーサ』
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POW : 天羽々矢 undefined arrow
【矢】を非物質化させ、肉体を傷つけずに対象の【生命】のみを攻撃する。
SPD : 征服せし神鷹 undefined falcon
【神鷹】による超音速の【飛翔突撃】で攻撃し、与えたダメージに応じて対象の装甲を破壊する。
WIZ : 歴史を見る骸眼 undefined eye
対象の周りにレベル×1体の【滅びし歴史上の強者達】を召喚する。[滅びし歴史上の強者達]は対象の思念に従い忠実に戦うが、一撃で消滅する。
👑11
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ミュー・ティフィア
ようこそ!本日限りのスペシャルステージへ!
絆歌・歌姫の言霊を歌いながら勝手に動いて伸び縮みする空中ブランコを掴んで空中へ!
ブランコの空中機動力で矢や鷹等の遠距離攻撃を躱しながら、ブランコを飛びつぎながら遥か空を目指して華麗に舞います!
歌うには少し過酷だけどせっかくのステージ!頑張りましょう!
光と闇の波動でイティハーサや召喚された後の強者達はなんとかなる。
召喚された瞬間の強者達はブランコを飛び移りながら空から降ってきた例の光線銃二丁流の乱れ撃ちでアクロバティックに迎撃です!
フィナーレは星屑と共に!ご覧あれ!
キラキラ輝く星屑と共に遥か空から飛来して大きな魔法の矢を槍代わりにイティハーサを貫きます!
スタアラヰトステエジが暗くなると、スポットライトが灯される。
それはまるで、ショウの始まりを告げるかのように。
「ようこそ! 本日限りのスペシャルステージへ!」
空中ブランコの上からそう言ったのはミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)だ。
イティハーサが彼女の姿を見つけ、歴史上の強者達を想像する。それらは続々とミューのもとへ向かい追い詰めようとするが、スタアラヰトステエジが作り出した空中ブランコにつかまったミューは空へ。
(歌うには少し過酷だけどせっかくのステージ! 頑張りましょう!)
勝手に伸び縮みする空中ブランコはいつの間にか大量につくられており、ミューはそれらを華麗に乗りついでいく。勿論敵も強く、強者達がいくつかのブランコを矢などで壊していくが、強者達からミュー自体へ飛んでくる矢については飛び移る程度で回避できる程度にはどうにかなった。何せ壊したブランコが引っ込んで一瞬で修理されてまた生えてくるのだから……これがスタアラヰトステエジだ。
――いつか悲しみの夜が明けたら もう一度この手を繋ごう……
ミューの歌が、空を覆う。
言葉と共に、光と闇の波動が放たれる。
それらに当たってしまった強者達はたちまちのうちに消え去ってしまい、されど強者達の波は止まることはなく。遥かなる空を空中ブランコで目指しながら彼女は歌い続ける。
――約束だよ 明日は誰にも わからないから……
歌と共に空から降ってくる光線銃。見たことのあるそれは、もしかしなくても、かの悪魔からの支援だろう。
2つの光線銃を構えると、空中ブランコをしながらイティハーサの周囲へ乱れ撃ち。出てきた瞬間の強者達をスタイリッシュに片付けていく。あまりに動き回るのでイティハーサも強者達もどう対応すればいいのかわからず困惑している!
――一緒に行こう 歌いながら……!
「さあ、フィナーレは星屑と共に! ご覧あれ!」
『!?』
ミューがイティハーサの真上のポジションを取ると指を1本上にあげる。するとキラキラ輝く星屑がスタアラヰトステエジに降ってくるではないか! それに合わせるように飛び降りたミューは素早く奏弓・コンチェルトを構え――放――たない! 矢を大きくしてそれを槍代わりにイティハーサを貫きに行った!
『むぅ……!』
この意表をつく攻撃にイティハーサは驚愕。急所は逃れた。逃してしまった。だが、浅くないダメージは与えたはず。
イティハーサが矢を抜いた時にはもうミューの姿はなかった。
フィナーレを終えた役者はさっさと次の役者へ交代だ。アンコールやカーテンコールには、まだ早すぎる。
成功
🔵🔵🔴
パトリシア・パープル
過去の切り貼り創作で世界作るからクリエイターは解雇ってこと?
パクリしかできない老害は世界からBANしてあげるわ!
相手の放つ矢はUCでベクトル操作して逸らすか反射
ついでに質量保存の法則を変更
これで私は常識を無視した巨大化や縮小化も可能ってわけ
後は舞台装置の効果とUC効果を併用ってことで、ハチャメチャな武器を想像から創造!
魔法のステッキの先端を拳に変えてロケットパンチ!
伝説の剣を創造して攻撃(ただし技は尻から出る)
巨大化させた胸を巨大な掌に変えて、お色気要素ゼロの挟み潰し攻撃!
どう?
こんな予測不能の技、過去のパクリじゃできないっしょ!
想像力否定してバズろうとか、キマフュー民を舐めんじゃないわよ!
舞台が変わる。
それまでのサーカスのような光景から、コミカルなアメコミみたいな光景に。
「あなたの言っているのは要するに過去の切り貼り創作で世界作るからクリエイターは解雇ってことよね?」
そこに立つ1人の女、パトリシア・パープル(スカンクレディ・f03038)が表情を変えず、されど真剣な口調でイティハーサに問う。
それに対してイティハーサは何も答えず、ただ非物質の矢を放つ。が、それは途中で明後日の方向へと飛んで行った。
「……それが答えみたいね。なら、パクリしかできない老害は世界からBANしてあげるわ!」
パトリシアがパチン、と指を鳴らすと魔法のステッキが降ってくる。可愛い感じにくるっと一回転すればステッキの先端が拳に変わってイティハーサに突っ込む! ロケットパンチだ!
『何……そのような
歴史など、あるはずが……』
――何にでも概念というものがある。例えば魔法のステッキならばロケットパンチなんてあるはずがないのだ、よっぽどの肉体言語系魔法少女でもない限り。或いは、だ。
「次はこれ!」
パトリシアが降ってきた剣を大上段から振り下ろせば、斬撃波が出る――『尻から』。
普通は剣の通った後から出るはずのそれ、しかしその技は尻から出る。そのような剣があろうか、いや、めったにないだろう。剣から技が出るというのはもはや固定観念と化した。
……否、そうではない。概念はちゃんとあるし、固定観念にもなってない。ただ、『これもできるよね』という突飛な想像力があるだけ。そしてそれを
実現させるのがユーベルコードであり、スタアラヰトステエジだ。
尻から放った斬撃波の勢いで肉薄し、ぐっと胸を張るとなんとパトリシアの慎ましい胸が急成長し超巨大な胸に。だがその谷間にあたる場所の皮膚はまるで手のひらのように固くなっており胸特有の柔らかさなどない。
もはや質量保存の法則はどこへやらと言いたいが、実際実はユーベルコードで質量保存の法則をぶっ壊しているのだからたちが悪い。
「どう? こんな予測不能の技、過去のパクリじゃできないっしょ!」
言いながらイティハーサを巨大な胸で挟み潰す。手のひらのように固くなっている谷間のために実質巨大な掌で押しつぶしたようなそれには色気の欠片もない。まるで紙みたいになってヒラヒラと落ちるようにイティハーサが床に倒れる、が、すっと立ち上がると慌てて体制を整えた。
『なんだ……なんなのだ、この
歴史は』
「ないよ、イティハーサなんか。今作ったからね」
そう、これらは全てパトリシアのアドリブだ。それがあった歴史なんか存在しない。
「想像力否定してバズろうとか、キマフュー民を舐めんじゃないわよ!」
――彼女はキマイラでありキマイラフューチャー民である。突飛な発想や癖のある想像力には自信がある。
温故知新とはよく言うが、それの天敵がいるとしたら……あるいは彼女のような者だったかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵

栗花落・澪
なんか、取り残されって聞くと途端に可哀想なおじいちゃん味が増しますね…
オーラ防御で身を守りながら
Venti Alaに風を纏う事で足への負担を減らしつつ
軽やかnダンスを回避や攻撃のフリに利用し
歌唱には催眠術を乗せて敵の動作や思考を鈍らせる
振り回す杖は軽量型だが伸縮自在
高速詠唱、多重詠唱で破魔と氷魔法の属性攻撃で固め
浄化(物理)で接近されないように
更に舞台装置の力で具現化するのは巨大な鏡の壁
防御壁も兼ねてるし、攻撃で割れても構わない
その隙に指定UC発動
破魔の光を鏡面で反射させる事による目眩しも兼ねた範囲攻撃と同時に
風魔法で花弁を巻き上げての斬攻撃
召喚された強者達もろとも
イティハーサさんを攻撃するね
「なんか、取り残されって聞くと途端に可哀想なおじいちゃん味が増しますね……」
また変わりゆく舞台の中でちょこんと呟いた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)、だけどだからって止まるわけにもいかない。止まってしまえば他の者にも示しがつかないのだ。
そっと呪文を澪が唱えれば白い靴に風を纏わり翼が生える。この靴は特殊なもので、これで空中歩行できるようになることで三次元的行動ができるようにさせるものだ。澪は続けて催眠音声のような優しい歌……まるで孫が祖父に語りかけるかのような歌を歌いながら氷の魔法を杖から放っていく。だがただ放つだけではない、三次元的機動も合わせた軽やかなダンスを攻撃動作と合わせることでフェイントにも回避にも使っていく。
イティハーサはといえばある程度回避一択になりかけていた。本当は相手の動作をしっかり見切りたいところだが歌声が思考を鈍らせているせいで上手く考えが纏まらない。相手がバリエーション豊かに様々なパターンを瞬時に見せる中で自身の思考が進まないことは大きなディスアドバンテージになる。纏まった時にはもう数手先に相手は進んでいるのだから
そうこうしているうちに舞台装置が動き終わり、展開されるのは巨大な鏡の壁。イティハーサは何だこれは、明らかに罠だろうと思いつつも、これを放置するわけにもいかないので壊しにかかる。
勿論割れる――そして勿論罠である。
「貴方の闇に、希望の輝きを」
澪が鏡が割れたのを見るや否やコードを発動。破魔の光と美しい花がスタアラヰトステエジとは別のファクターで降ってくる。割れた鏡の破片が放つ破魔の光をあらゆる方向に反射させていく。美しい光は目をくらませるだけでなく、イティハーサの呼んだ強者達をあらゆる方向から貫いて一撃のもとに倒していく。
「未来は、こんなに輝いているんだから」
澪が瞬時に風の魔力をぶわっと撒けば降り注ぐ美しい花は風に舞い、澪の杖に集まっていく。いつしかそれは杖というより剣となり、優しく澪の微笑みと指先が触れれば次の瞬間にはイティハーサと強者達の体を斬っていた。
――全ては判断の遅れが招いたもの。
だがそれは1つだけが要因ではなく、澪のステップに優しい歌声に混ざった催眠、そしてイティハーサの目を眩ませる破魔の光と大きな鏡、あらゆる要因が重なってできたものだ。
……だがもしこれらすべてが澪の作戦だとしたら? スタアラヰトステエジは想像力でブーストがかかる世界だ、もし澪がこの作戦を全部考えてそれをスタアラヰトステエジが実現させたとしたら……?
……恐ろしいものである。
成功
🔵🔵🔴
ノキ・エスプレッソ
ビームスプリッター、頼んだよ!
幻朧帝も思わず未来を描きたくなる…最高の舞台にしよう!
バイクで舞台を駆け巡り、塗料と舞台照明で今を生きる世界の色を描く!
神鷹は舞台装置を動かして段差を作ったり、光線銃の牽制で凌ぐよ!
興行魔法が集まれば…彼らにも届くよね!
バッグを開けて
殲機鋼鉄共栄圏から持ち出した骸の海を使ってUC!
力を貸して! 再孵化せよ! コジロウと3人の超古代種族!
コジロウの透明化に加えて、神王が舞台を広げて完全に見失わせる!
鉄神とイザナミの攻撃に気を取られている内に後ろから後輪で打ち上げて…!
コジロウ! 決着を!!
あはは!
これがみんなで描いた、最高の色だよ!
頻繁に舞台が切り替わっていくスタアラヰトステエジ、その中をノキ・エスプレッソ(色を求めて走るレプリカント・f41050)はバイクで駆けていた。
彼女が描いていくのは、今を生きる世界の色。イティハーサが嫌がるような、今の色。舞台装置もそれに合わせて力を奮っていく。イティハーサも彼女を止めようと鷹を飛ばすも、ノキは高低差を活かした中で光線銃を放ち、撃ち抜いていく。
……だが、それ自体が彼女のやりたい事ではない。
(興行魔法が集まれば……彼らにも届くよね!)
徐にバッグを開けたノキはなんと殲機鋼鉄共栄圏から持ち出した骸の海を取り出す!
『何、それは……!』
「ビームスプリッター、頼んだよ! 幻朧帝も思わず未来を描きたくなる……最高の舞台にしよう!」
――
力を貸して! 再孵化せよ! コジロウと3人の超古代種族!
ノキの描くコードは塗料の代わりに骸の海で描いたオブリビオンを召喚するもの。即ち彼女の出会って来たエンシェント・レヰスとソウマコジロウをオブリビオンとして呼び出すもの! 皮肉なことに、カルロス以外のイティハーサが再孵化させようとした者が、みんな彼の敵になった……!
登場早々にソウマコジロウが自分を透明にすれば、神王が舞台を広げることでその姿を見失わせていく。困惑するイティハーサにとんでくる銃撃と奇怪な生命体の群れ。護国鉄神零號とイザナミによるものだ。
『
過去の分際で……!』
イティハーサの注意は完全に2人に向かっていた。それはノキの計画通り。その隙にノキはソウマコジロウをバイクに乗せ、イティハーサのもとへと走らせる。気のせいか、スタアラヰトステエジ――ビームスプリッターも支援してくれている気がした。どこか興行魔法のパワーがいつもより強い気がしたのだ。なんとなく、ではあるけど。
そしてイティハーサの近くでバイクをドリフトさせ、バイクの後輪でイティハーサの不意を突いて打ち上げる。後は……
「コジロウ! 決着を!!」
本来イティハーサの器となるために存在したと言われ、イティハーサを殺そうとしていたソウマコジロウ――形は違えど、その本懐を遂げる時。果たして、ソウマコジロウの振るう刀が、イティハーサに確かな傷をつけた……!
「あはは! これがみんなで描いた、最高の色だよ!」
『そうか……これが、皆が描く……』
――だが、まだ少し足りぬ。
斬られながらも、なおもイティハーサは立ち上がる。
例え紛い物とはいえ自身の使おうとした存在ほぼ全てにこうして因果応報をされながらも、なお。
それはイティハーサの他の者とは格が違う強大さを示すには、恐らく十分であろう。
成功
🔵🔵🔴

ユウ・リバーサイド
片手にビニール傘
華やかなステージ衣装の上に
パステルカラーのオーバーサイズのレインコートを
濡れたように光るサクミラの街並みのセット
スクリーンに映る天気雨降る空
初恋が実って天気雨にすら浮かれる歌詞のポップスを
歌声はステージの端まで届くように
軽やかにダンスしながら
敵UCを通行人に見立て
手を振り笑いかけながら去る上機嫌のパフォーマンスの中に
ハートを投げる動作やエアシューズによる鎌鼬を生む動作を混ぜ
敵の攻撃はダンスで鍛えた体幹と
軽技を交えたパルクールで避けつつカウンターを
虹を指差し傘を投げ捨て
雨上がりと希望の歌詞の歌を
王子様の光を溢れさせ剣に宿して強化
心眼で急所を見抜きダンスと共に一気に距離を詰めて貫く
いつしか、スタアラヰトステエジは次の舞台を描き出す。
それは濡れたように光る、サクラミラージュの街並み。そしてスクリーンに映し出される天気雨の降る空。
その中で舞台袖より片手にビニール傘を持ち華やかなステージ衣装の上からレインコートを着て現れた演者はユウ・リバーサイド(Re-Play・f19432)。彼は現れながら歌う、初恋の成就を、浮かれるようなポップスを。華麗にダンスをしながらステージ端まで歌を届かせるようなそれはまさにサクラミラージュの
現在を描くようなもので、そしてイティハーサにとって聞いて心地のいいものではないもの。故にこそ、イティハーサは強者達を放ち、彼を止めようとする。
されど、これは舞台。相手の放つ強者達もまた、演者にできるとは思わないだろうか。そしてそう想像力が続く限り、それを形にしてしまうのがスタアラヰトステエジだ。
ユウは強者達に手を振りながら、笑顔を浮かべながら、上機嫌。それはまるで強者達を『通行人』という『役』に落とし込んでいるかのようで、されど靴から放つ鎌鼬は確実に彼らを消し去っていって。攻撃が飛んで来れば浮かれている自分への憂さ晴らしだろうとばかりにユウはパルクール風に回避しながらカウンターを決めていく。
――やがて雨はあがり、虹が見える。
それを見ればユウは虹を指さし、傘を投げ捨てる。そして歌を変えていった。
ここから紡ぐ歌は雨上がりと希望の歌詞の歌、さっきのが
現在を歌う歌であれば、今度は未来を歌う歌。そして彼がいつしか持っている剣に、彼の王子様としての光、溢れだした希望の光が宿っていく。
スターライト・リヴァイヴァー。【光輝くスターライト】の下で【歌とダンス】のパフォーマンスを披露する、それを体験し感動した者は、戦闘力と生命力が増加する、というコードだ。ユウの持つランダムなユーベルコードを有効利用するバイプレイヤーとしての強さを示すコードが示した、今のこの状況で有効に使えるコード。まさにショウや想像力によって力がブーストされるスタアラヰトステエジにおいてこれ以上ないくらいのものだ。
軽やかなダンスを混ぜたステップはやがてイティハーサのもとへとユウを運ばせる。そして光の宿った剣をユウが手にして一気にイティハーサとの距離を詰めると、まるでレイピアを扱うようにイティハーサを貫いてみせた。空虚を貫くようで、されど確かな手ごたえ。それを引き抜いてみれば、確かに有効打のように後退するイティハーサ。
――過去を見るのはやめよう、と。
過去とは決別しよう、と。
現在を、未来を見よう、と語るようなその演技は、嗚呼、しかしほとんど誰にも見られることはないのが、きっと辛い所だろう。
成功
🔵🔵🔴
夜刀神・鏡介
幻朧帝の力が必要な事。一時的にしか保たない事……様々な制約があるとはいえ、世界を創るとは流石エンシェント・レヰス
……後は俺達が、ここで幻朧帝を討てば良い。ショウでもなんでもやってみせるさ
神刀を片手に、バイク『八咫烏』に騎乗
湧いてくる強者達を斬撃波で吹き飛ばしてから猛ダッシュ
ジャンプ台を使って大ジャンプして、空中でスピンして着地
更に舞台を飛び出して客席の通路を走ったり、壁面走行にも挑戦だ
召喚された強者達は適当に相手をしながら、急カーブの折に地面や舞台装置などに斬撃痕を刻み込み
――こいつで終わりだ。廻・肆の秘剣【黒衝閃】
この世界全てを巻き込む程の大規模な攻撃でイティハーサを吹き飛ばそう
ルネ・シュヴァリエ
場所はオペラ座をイメージ
ルネがするショウはアリア……歌詞は過去に縛られてる幻朧帝を哀れむ内容を歌唱力と演技力全開で即興で歌い上げるね
ショウっぽくなるようちょっとダンスも交えながら……そんなに得意じゃないけど自分を鼓舞して頑張るね
『見せてよルネに、貴方が創造する世界に相応しい過去の断片から来る人達を』
と抗えないように催眠術を込めて幻朧帝を誘惑、同時にUCを発動
歌いながらUCを維持して現れる歴史上の強者をどんどん炎に包んでいくよ
ほら、いくらでも出していいよ
貴方が過去の断片にしか興味が無いなら、貴方の生命力を吸収しながら
命も
記憶も無くして
生きる気失うまで
片っ端から全部焼き尽くしてあげるから
そんなサクラミラージュの
現在を描いたかのような舞台に神刀と
八咫烏に乗って乗り込んでくる夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)。イティハーサに向けて真っ向から突っ込んでいく彼に差し向けられる強者達、それらを斬撃波で目もくれないように吹き飛ばしつつ、イティハーサを斬――らず、途中で思いっきり別の方角へ。
その方角にあったのはジャンプ台。勿論スタアラヰトステエジが呼び出したものだが……これを使って大ジャンプしながら空中でスピンして華麗にイティハーサの背後へと着地すればイティハーサは驚いたように背後を見る。さらに鏡介は舞台だけにとどまらず、客席の通路や、果ては壁面まで走行する。イティハーサはどういうことだとばかりに鏡介を目で追いかけていてなかなか思うように行動がとれない。
その間にスタアラヰトステエジはまた別の舞台を描き出す。それはまるでオペラ座のような光景。そしてイティハーサとその近くに当てられるスポットライト。
そこには、ルネ・シュヴァリエ(リリスの友想い・f30677)がいた。
彼女がイティハーサに向けて歌い上げるはアリア……過去に縛られるイティハーサを、幻朧帝を哀れに思うような内容のそれを、ただただ即興で歌い上げていく。ぎこちないながらもダンスも混ぜながらイティハーサの注目が自分に行ったところで、得意の催眠術で誘惑しにかかる。
「見せてよルネに、貴方が創造する世界に相応しい過去の断片から来る人達を」
――それはイティハーサにとってはこれ以上なく嬉しい事だったのだろう、自分の見てきた
歴史に興味を持ってくれるというのだから。
だが、ルネは猟兵だ。実態はむしろ逆に近い。ルネが自分とイティハーサを覆うように巻き上がらせたのは生命力を奪う炎の嵐。敵に誘惑の言葉をかけ続けないと制御できなくなる悪魔の炎。歌いながら出されるその炎はまさに激情を表しているかのようにも見える。イティハーサがご自慢の強者達を次々と出していくが、それらは皆炎と快感に消えていく。そして炎の嵐はまた、同時にイティハーサの生命力も奪っていた。
「ほら、いくらでも出していいよ?
貴方が過去の断片にしか興味が無いなら、貴方の生命力を吸収しながら……」
――命も、記憶も、無くして。
――生きる気失うまで。
――片っ端から全部焼き尽くしてあげるから。
バイクに乗ってスタアラヰトステエジを駆けながらルネの放つ炎の嵐を眺める鏡介。彼女のおかげで強者達が鏡介に向かってくることはほとんどなく、『仕込み』も効率よく済ませることができた。実は鏡介はただバイクアクションを披露するためだけにこんな行動を起こしたわけではなく、急カーブの折などにこっそり神刀による斬撃を地面などに刻み込んでいた。それらは全て、最後に見せる、最大の技のための『溜め』に過ぎない。まるで一見無駄な行動の全てがクライマックスで伏線となるように、最後の最後でそれらは形を成す。
(幻朧帝の力が必要な事。一時的にしか保たない事……様々な制約があるとはいえ、世界を創るとは流石エンシェント・レヰス……後は俺達が、ここで幻朧帝を討てば良い。ショウでもなんでもやってみせるさ……そして)
今一度ぐっ、とハンドルを握り、イティハーサのもとへ一直線。
(俺達が、全て、終らせる)
すっかり生命力を奪われ、強者達もほぼ出しつくし、ルネの誘惑をただ受けるばかりになっていたイティハーサ、それを見た鏡介がルネとアイコンタクトして頷き合う。
「結局、貴方の世界はその程度でしかない。過去の断片なんかだけじゃあ……ルネ達には勝てない。
だから、この
物語はここで終わり」
「ああ――こいつで
終わりだ。神刀解放、砕き散らせ、黒の剛撃――廻・肆の秘剣【黒衝閃】」
鏡介がバイクから飛び降りながら地面に刀を突き立てれば、それまで刻まれてきた刀による傷の中に地を穿つ程の勢いで噴出した黒の神気が迸る。まるでこのスタアラヰトステエジを、この世界型大魔術そのものを黒に染めるかのように迸る神気が強者達ごとイティハーサを吹き飛ばそうとする。
――エピローグには、
世界の破壊もつけようか、とばかりのMAP攻撃。
世界型大魔術『スタアラヰトステエジ』の全体を破壊しようとするようなその攻撃に、イティハーサは対応できるすべなく吹き飛ばされる。生命力も何もかもなくしていたイティハーサに、最早耐えるすべなど残されていなかった。鏡介はルネを八咫烏に乗せ、壊れていく世界をひたすらに駆けていく。自分らは過去に囚われず、未来へ進んでいくと示すかのように。
イティハーサも舞台装置も何もかも巻き込んで崩壊していくスタアラヰトステエジ……それはある意味、想像力が生み出した最後の興行魔法。崩壊という名の綺麗なエピローグまで含めたそれは、イティハーサにとっては一夜の夢だったのか、或いは……
されど、それらは全てビームスプリッターと猟兵の掌の上。
過去に囚われし幻朧帝は、諸悪の根源であったイティハーサは、今、確かに己に
破滅を迎えたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴