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帝都櫻大戰⑳~楽園崩壊

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第三戦線 #幻朧帝イティハーサ #ソウマコジロウ



 ソウマコジロウは、長い長いサクラミラージュの歴史の中で、骸の海そのものである幻朧帝イティハーサの「器」として造られた存在であった。
 そして『再孵化』によってソウマコジロウと融合したイティハーサは“侵略新世界”を想像する――筈だった。
 だが、彼が肉眼で見た景色は予想とは全く異なるもの。幻朧帝の封印という使命から解き放たれた事で更なる発展を遂げるであろう“将来のサクラミラージュ・・・・・・・・・・・”だったのである。
 テロルも起こらず、猟奇事件も平定された世界。
 影朧を癒す事で人口増加が起こり、世界の隅々まで人が行けるようになった世界。
 ソウマコジロウが創造したのぞんだのは、そんな楽園のような世界。

 猟兵は、この楽園を壊さなければならない。


「ついに幻朧帝イティハーサが現れたわ」
 佐々・夕辺(咲梅・f00514)はやや緊張した――というより、悩んでいるような顔でそう言う。
「でも、幻朧帝が直接表舞台に出る事はそうそうないの。彼等は『再孵化』させた敵たちの望みを叶えるという形で“侵略新世界”を作っているわ。放っておくと他の新世界に侵略を始める危険な世界、――なのだけれど。一人だけ、違う世界を願った人がいるの」

 ソウマコジロウ。
 夕辺は其の名を挙げる。

「彼が望んだ世界は、文明の発展した“輝けるサクラミラージュ”。其処はまさに楽園のような場所よ。テロルも猟奇事件も起こらず、ソウマコジロウは『幻朧帝を完全滅殺し、帝都の無限繁栄を約束した立役者』として其処にいるわ。……でも、壊さなければならないの。他の世界を侵略する事はないけれど、イティハーサが造った新世界に違いはないのだもの」
 ――だから。
 其の太平の世を破壊するという事は、楽園への叛乱に他ならない。
 だが、それでも――ソウマコジロウを討つ事を望むなら、彼は単身、正面から猟兵の挑戦を受けて立ってくれるだろう。
「彼が様々なものを自在に透明化する能力は健在よ。そして、彼は内に“斃した幻朧帝の力”も従えている。――……本当なら、其の世界は放っておいてもいいのかもしれないわ。でも、ソウマコジロウはきっとそんな事を望んでない。現実のサクラミラージュで再孵化させられた彼の為にも、どうか討ってあげて」
 夕辺は寂しそうに猟兵を見詰めて言った。其の背後で管狐たちがグリモアを展開した。


key
 こんにちは、keyです。
 寂しい平和。

●目的
「ソウマコジロウを斃せ」

●戦争シナリオ
 今回のシナリオは1章で終わる「戦争シナリオ」です。
 お誘い合わせの方以外は、基本的にお一人ずつの描写になります。

●プレイングボーナス!
「敵の必中先制攻撃に対処する」
「敵の透明化能力に対処する」

●場所・敵
 “新世界”輝けるサクラミラージュです。
 現実ではソウマコジロウは幻朧帝イティハーサによって再孵化・融合させられ、其の願いで“新世界の創造”の礎とさせられました。
 しかし其のサクラミラージュは幻朧帝の望む新世界とは大きく異なるものでした。
 平和そのもののこの世界で、英雄と崇められているソウマコジロウに刃を向ける事はまさしく叛乱です。
 ですが、もし猟兵が刃を向けるのなら、ソウマコジロウは単身で正面から迎え撃ってくれるでしょう。

●プレイング受付
 オープニング公開後からプレイング受付開始です。
 物理的に送れなくなるまで受け付けております。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『ソウマコジロウ幻朧態』

POW   :    透明逆転剣
【舞い散る幻朧桜】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
SPD   :    透明魂魄刀
【鷹の如く飛翔する、無数の透明な日本刀】で攻撃する。命中すると【世界創造の力】を纏い、レベル分間[鷹の如く飛翔する、無数の透明な日本刀]の威力と切断力が上昇する。
WIZ   :    透徹たる眼光
戦場内に、見えない【幻朧桜の花弁】の流れを作り出す。下流にいる者は【オブリビオンと化す運命】に囚われ、回避率が激減する。
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森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

ここが幻朧帝が生み出した幻想なら
俺は世界の破壊者になってやる

透明化と必中先制対策は、常に己が直感(第六感)の囁きを信じる
姿が見えなくとも気配と殺気までは消せねぇはずだ
幻朧の花弁の流れも、流れる音と気配までは消せねえはずだ
そして、流れの起点には…必ずソウマコジロウがいる

幻朧桜の流れをかき分け上流へと少しずつ歩みを進め
流れが弱まったら「高速詠唱、言いくるめ」+指定UCで「破魔、浄化」特化のアスモデウス召喚
「属性攻撃(聖)、破魔」の白炎を噴かせて、ソウマコジロウを浄化してやる!

ソウマコジロウ
この世界は確かに救われたのだろう
だが…偽りの幻想の世界にそれだけの価値はあるのか?




 ああ、誰も彼もが幸せそうだ。
 笑顔に溢れ、活気に満ちて、世界としての幸福を余すことなく享受する“輝けるサクラミラージュ”。
 けれど、森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)は其の安寧に叛乱する事を決めた。此処も結局、幻朧帝の産みだした幻想に過ぎないのなら――世界の破壊者にだってなってやろう。
「ソウマコジロウ。この世界は確かにお前によって救われたのだろう」
「……」
 ソウマコジロウは、静かに剣を構えている。しかし陽太の話を聞く様は、穏やかな人柄を感じさせた。
「だが……偽りの幻想の世界に、其れだけの価値はあるのか? もっと救うべき世界ほんものがあるんじゃないか?」
「……突然現れたかと思えば、訳の判らない事を言う。このサクラミラージュが偽物だとでも?」
「そうだ。お前には理解出来ないかも知れないが」
「だが、其れは我が剣を収める理由にはならない。幻朧帝イティハーサを斃し手にした平和を、むざむざと奪われる訳にはいかないのだ」
 ――何かがひらり、と舞う気配がする。気配しかない。そうしてソウマコジロウもまた、ゆっくりと姿を消す。
「……見ても仕方ないか」
 陽太は目を閉じた。幻朧桜の花弁の流れも、本人にも、消せない気配があるはずだ。花弁なら流れる音がする。そしてソウマコジロウなら、殺気をたたえているだろう。

 ――桜の花弁の流れを読め。其の起点には、ソウマコジロウがいるはずだ。

 殺気が近付いて来る。
 限りなく抑えられた殺気は、陽太が感覚を研ぎ澄ませて漸く判る程度。
 ひやりとして、陽太は素早く身を翻した。其の瞬間、うおん、と刃が空を斬る音がする。当たっていれば脇腹を――いや、胴を両断されていたかもしれない。陽太は流れを変えゆく桜の音を聞き分けながら、其の起点を目指し歩みを進める。
「――此処か。アスモデウス! 構わない……好きなようにやれ!」
 陽太はメモリプログラムを握り締め、悪魔を呼ぶ。其のざっくりとした命令を、どうやら気紛れな悪魔はお気に召したらしい。白色の獄炎と共に現れた悪魔は、悪魔ならざる聖なる浄化の炎を噴き上げ、見えない幻朧桜を、そしてソウマコジロウの身体を焼いていく。
「……くっ……!!」
 ソウマコジロウが透明化を解き、素早く後退する。ぶすぶすと焦げ臭い香りがしていた。
「そうか……本気なのだな、お前は」
「ああ、本気だ。俺は――この世界に叛逆する」

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
平和な世界に反乱する理由?
それは、かつて平和なサクラミラージュに反旗を翻して幻朧帝を討ったあんたなら知っている筈だ
――俺はこれが正しい事だと信じているから

神刀を抜いて、まずは待ちの構え
ソウマコジロウと透明な日本刀の位置をざっと把握しながら、飛んでくるそれらを叩き落とし
見えない上に速いとなれば全てを防ぐ事はできないだろうが、戦えれば良い

第一弾を凌いだならば弐の型【朧月:周】の構え(技能:見切り+受け流し、心眼、集中力、気配感知、瞬間思考力)で受けの精度を高めて
ソウマコジロウに宿る幻朧帝の力を見極め、その力を断つ

ソウマコジロウを倒さねばならないのは変わらないが
幻朧帝にも一撃入れなきゃ筋が通らない




「何故だ。幻朧帝は斃され、サクラミラージュには安泰が訪れた。文明は次々と発展し、テロルも猟奇事件もない。何故お前は其の平和を壊そうとするのだ……!」
 夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)はソウマコジロウにそう問われながら、神刀を抜く。
「……其れは、かつて平和なサクラミラージュに反旗を翻し、幻朧帝を討ったあんたなら知っている筈だ。――俺は、これが正しい事だと信じている」
「……問答は無用、という事か」
 ならば、とソウマコジロウは透明な日本刀を展開する。其れは光にも反射せず、影を落とす事もない。全き透明な其れ等の位置を、鏡介はざっと確認した。ソウマコジロウなら恐らく、日本刀を己の周囲に配置するだろうと踏んでの事だ。
 見えない上に鷹のように速いとくれば、まず全てを避け切る事は叶うまい。だが、戦える程度に体力が残っていれば良い。
「其の命、此処で散ると知れ!」
 ソウマコジロウがそう言った瞬間、鏡介は刀を振るった。きいん、と何かを弾くような手ごたえが確かにあった。
 一、二、三、四。五六七八、十、二十――数え切れぬほど防ぐけれども、其れでも鏡介の身体は見えざる刀に斬られ、削れて行く。
 其れでも“尽きるはずだ”と鏡介は信じ、刀を振るい続け――そうしてようやく猛攻が已んだのを確信すると、構えを取る。――弐の型、【朧月:周】。
「俺の敵は一人じゃない。……判るだろう」
「……!」
 ソウマコジロウの顔が強張る。其れは折悪く彼が鏡介に斬りかかった其の瞬間であり――ソウマコジロウのかんばせに、白き老爺の幻影が重なる。

 そうだ、お前だ。
 幻朧帝おまえにも一撃入れなきゃ筋が通らないだろう?

 鏡介はソウマコジロウの剣を見切り、神刀でもって受け流すと……ソウマコジロウの内にある幻朧帝を、斬った。

『……莫迦な!』
「莫迦なも何もない。ただ出来た・・・、其れだけの事だ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フロウヴェル・ゼフィツェン
煌びやかな街。
幸せそうな人達。
理想郷と言って間違い無さそうな世界なの。

でも、これは有り得なかった世界。
終わらせなきゃいけない世界。

──とても素敵な夢だけど。
夢は、夢でしかないのだから。

ヘレティックハーツの反応を頼りに【索敵】、ソウマコジロウの居場所や幻朧桜の花弁の流れを把握。
これに【第六感】を併せて、攻撃の防御や回避、花弁の流れ上流への移動を行っていくの。

反撃は、ジェノサイドソーサーを飛ばし周辺を【蹂躙】、回避の選択肢を潰して追い詰めていくの。
追い詰めたら、慈悲深き断罪の刃を発動──

「大丈夫なの。この世界は、きっといつか現実になるの。だから、今は──終わらせてあげるの」




 フロウヴェル・ゼフィツェン(時溢れ想満ちて・f01233)はソウマコジロウに対峙しながら、輝けるサクラミラージュの街並みを思い返していた。
 煌びやかな街。
 幸せそうな人たち。
「……此処は、理想郷といって間違いなさそうな世界なの」
「そうか」
 ほんの少し、ソウマコジロウの表情が和らいだ気がした。彼はこの世界では幻朧帝を討ち倒した功労者という事になっている。其の結果として生まれ変わったサクラミラージュを褒められるのは、素直に嬉しいのだろう。
 でも、とフロウヴェルは続ける。
「これは有り得なかった世界。終わらせなきゃいけない世界なの」
「……何故だ? 何故、この平和を終わらせなければならない?」
「――とても素敵な夢だけど。夢は、夢でしかないから」
 ソウマコジロウが刀を構える。
 フロウヴェルは胸元に仕舞っている宝珠“ヘレティック・ハーツ”の脈動を感じた。例えソウマコジロウがオブリビオンでなくても、其の内にいる幻朧帝イティハーサの気配を感じることが出来れば勝機はある。
 見えない幻朧桜の花弁がひらり、ひらりと舞う。いや、舞っている筈なのだが、其れはフロウヴェルには視認できない。花弁の流れにそって、ゆっくりとフロウヴェルは踏み出した。目指すは花弁の上流、ソウマコジロウだ。
 オブリビオンになってしまう運命が怖くないとは言わない。其れでも、夢はいつか覚めるもの。終わらせてやらなければ、誰も救われない。
「御免」
「――っ!」
 フロウヴェルの胴目掛けて、ソウマコジロウが刀を振り下ろす。一瞬にして脈動を速めたヘレティック・ハーツを感じ取り、フロウヴェルはすんでのところで一歩後退、其の傷を浅いものに留めた。
 熱い。痛い。
 ……其れでも。
「……大丈夫なの」
「……?」
 フロウヴェルの懐から、回転鋸“ジェノサイド・ソーサー”が飛び出す。ソウマコジロウもこれには驚いたのだろう、咄嗟に飛びのいて躱し……フロウヴェルは其れを追いかけるように跳躍する。
「この世界は、きっといつか現実になるの。だから、今は――“終わらせてあげるの”」
 其の罪も。
 其の痛みも。
 憂いなく一瞬で、全て断ち切ってあげる。
 ギロチンの刃が具現化する。其れは真っ直ぐに凄まじい速さでソウマコジロウに振り下ろされ――彼の片腕を切断した。

 今はおやすみなさい。
 どうか目を閉じて。未来の夢を見て。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小雉子・吉備
一見見れば、コジロウちゃんやここの世界の人達には、理想郷なのかもしれない

けど、コジロウちゃんは
心のそこでは望んでないじゃない?
幻朧帝による紛い物には違いないし

[POW]先制と透明対策
開幕オーバーロードで《九頭雉鶏精メダル》で九頭雉鶏精テクターを纏う真の姿に

【高速詠唱&全力魔法&オーラ防御&結界術&属性攻撃(霊)】込めた《スロウフールハウル》の時間停滞【弾幕】と【早業】で《雉鶏精の毛針》を【範囲攻撃】でばら蒔き

舞い散る幻朧桜を時間停滞付きの弾幕結界展開し、抑え防ぎ

コジロウちゃんの太刀筋を【第六感】で【瞬間思考力&見切り】ながら音や衝撃の音も頼りに霊属性の【魔法を武器に纏う】して【早業&怪力】込め振るう2回攻撃&斬撃波&居合い】UCお見舞いするよっ!

キビも、コジロウちゃんやその攻撃が透明なら墨を散布も考えたけど、物理的な攻撃も透明ですり抜ける可能性を考えたら、霊的な非物理的な斬撃なら

透明化しても当たる筈だし干渉出来る筈っ!

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]




 一見すれば、ソウマコジロウにとって、サクラミラージュに住まう人々にとって、この“輝けるサクラミラージュ”はまさしく理想郷なのだろう。
「けど、コジロウちゃんは?」
 小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)は考える。きっと彼は、心の底では望んでいないんじゃないかと。どうせ願うなら、現実でこの世界の実現を願うだろう。イティハーサの作り上げた幻影に浸かってしまうより余程いい筈だ。
 吉備は己の姿を変える。内側から湧き出る力により真の姿になった吉備は、弾幕を解き放った。“スロウフールハウル”……一見ただの弾幕だが、弾の周囲だけが鈍重になるという攻防一体の弾幕である。
 更に吉備は弾幕を仕掛ける。彼女は雉鶏精だ。其の体毛をちょいと引き抜くと針のように尖らせて、ソウマコジロウへと放つ。
 既に見えざる幻朧桜は周囲を舞っている筈。ならば其の動きを留めれば良い。スロウフールハウルと己の毛針で二重に対策を撒いて――

「――遅い」

 ソウマコジロウは既に眼前にいた。
 片腕なき彼だが、其の太刀筋には一切の迷いがない。失速させているというのに……速い!
「っ!!」
 透明な刃が首を捉えている事を見切った吉備は素早く身体を翻し、其のデッドラインを躱す。何かが直ぐ傍を薙ぎ払っていったような空気の揺れを感じながら、吉備は持っていた武器に己の魔法を込めた。

 ――光よりも速く、刻の刃は加速する。

「吼えろ吉備男!!」
 霊刀が抜かれる。其れは時を加速させ、敵を原子から崩壊せしめる刃である。
「(コジロウちゃんや其の攻撃が透明なら、墨を散布する事も考えたけど……! 物理的な攻撃もすり抜ける透明である可能性を考えたら、霊的・非物理的な斬撃の方が、)」
 当たる筈だし、干渉できる筈!!
 吉備の霊的な斬撃の雨は、其れこそソウマコジロウをすり抜けて・・・・・――其の胴体に大きく傷を付け、じわり、と原子を崩していく。
「……これは……!」
「もう終わりにしよう、コジロウちゃん。もうまもなくコジロウちゃんの身体は崩壊する」
「……そうか……だが、其れでも……! この“輝けるサクラミラージュ”の為……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィーナ・シェフィールド
アドリブ歓迎

輝けるサクラミラージュ。
ソウマコジロウさん、彼の理想を形にした…でも、望んでいない幻の世界。
平和で、優しい世界だけど…幻朧帝の呪縛、今、討ちに行きます。

モーントシャインを纏い強化したシュッツエンゲルでオーラ防御の結界を形成。幻朧桜が身体に直接触れるのを防ぎます。

「姿は見えなくても、わたしの声…わたしの歌は聞こえてるわよね。」
イーリスを手に、別れの曲、【Abschiedswalzer】を歌います。破魔と浄化の力を籠めた別れの曲によって、幻朧帝の要素が存在する理由…存在価値、存在意義を失わせ、その存在を浄化殲滅します。
「さようなら…もう会うことはない、永遠の別れをあなた幻朧帝に」




 輝けるサクラミラージュ。其れは一見、ソウマコジロウの望みを形にしたかのようにも見える。
 しかし違うのだ、とフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は思う。彼はこんな形で望みを叶えたかったんじゃない。
 平和で優しい世界だけど、……幻朧帝の呪縛を討ちに行かなければ。

 最早問答は無用、と片腕を失い、身体の傷から其の存在が瓦解しかけているソウマコジロウは刀を構えた。
 見えざる桜吹雪がフィーナを取り囲むように吹き荒ぶ。
「――シュッツエンゲル!」
 月光のオーラを纏った飛盾を将来し、フィーナは見えざる幻朧桜が身体に触れるのを防ぐ。
「姿は見えなくても……わたしの声……わたしの歌は聞こえてるわよね」
 すう、と空間に融け込んだソウマコジロウの姿に警戒しながら、フィーナは息を吸い込み、旋律を奏でだす。其れは『別れの曲』。悪しき者を祓い、破魔と浄化にて骸の海へと帰す清浄の音。相手の存在意義レゾンデートルのみを攻撃する其の音は――ソウマコジロウの内側にいる幻朧帝イティハーサによく届いた。

『なんだ……儂の存在が、揺さぶられる……!?』
「我の中の幻朧帝が……?」

 存在を消すところまでは一歩及ばなかったが、ソウマコジロウと幻朧帝の乖離が激しくなる。
「さようなら……もう会う事はない、永遠の別れを幻朧帝あなたに」

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
私は…貴方、ソウマコジロウさんに誓いました
必ずやイティハーサを滅ぼすと

そうしてオブリビオンと化した貴方を倒し
安らかなる眠りについていただきました

故に私はイティハーサが作ったこの世界を壊します

以上が私が貴方を狙う理由です
信じる必要はありません
反逆者の戯言と嘲笑してもらったほうが
気が楽になりますので

({メトロノーム・コイン}で相手のリズムに同調すると直立し目を閉じて祈るようなポーズをした後{渦流の旋律}で『ダンス』を始める)

同調したことで『読心術』で攻撃のタイミングを『気配感知』できるようになりました

後は{蜂蜜色の陽炎}を身に纏い『オーラ防御』をした状態で攻撃を『受け流し』て【蠱の足】で反撃します




 播州・クロリア(踊る蟲・f23522)はソウマコジロウの前に立つ。そうして、胸元に手を当てると言った。
「私は……貴方に。ソウマコジロウさんに誓いました。“必ずやイティハーサを滅ぼす”と。そうしてオブリビオンと化した貴方を斃し、安らかなる眠りについて頂きました」
「……なんだと? オブリビオン……影朧? 我が……?」
「そうです。故に私は、イティハーサが作り上げたこの世界を壊します。徹底的に。完膚なきまでに。……信じる必要はありません。反逆者の戯言と嘲笑してもらった方が気が楽です」
「……笑いたいのはやまやまだが、同じ事を言って我に勝負を仕掛けてきた者がいる。故に……其の真偽は兎も角として、全力で応えよう。片腕を失えども、我が太刀筋に狂いはない」
 ソウマコジロウが構える。同時に透明な日本刀を幾つも精製したが、其れはクロリアには判らない事だ。だからクロリアは“踊る事にした”。コインをぴん、と弾き、ソウマコジロウが有するリズムを感じ取る。
 一説によれば、優れた武芸家は独特のリズムを有しているという。鍛錬して精錬した果てに、己の旋律に辿り着くのだ。
 だからクロリアは其れを感じ取り、目を閉じると踊り始める。全てを薙ぎ払い押し流す大渦。そして岩の中をすり抜ける水の流れ。剛と柔を併せ持ったリズムで踊れば、身体のあちこちをぎりぎりで日本刀がすり抜けていく。勿論無傷では済まない。オーラ防御をも其の日本刀たちは砕いて、ちりりと痛む切り傷が、クロリアが動けば動くほど増えていく。
 其れでも――クロリアは今、ソウマコジロウと同調している。どのように踏み込むか、どのように走り来るか。どのように構え、どのように鞘走るのか、手に取るように判る。
「――迎え撃ちます」
 太刀を振り下ろしたソウマコジロウの“失った腕側”に、クロリアは素早く転身した。其の足取りは全くソウマコジロウと同じで、違うのは方向だけ。
 そうして振り上げたしなやかなクロリアの脚が――したたかにソウマコジロウの腹にめりこみ、彼を吹き飛ばした。
 くるり、と一回転して息をつくクロリア。
「流石は……といったところでしょうか。乱れのないリズムでした」

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【新世界】

転移した先にある景色は、多分、ぼくもサクラミラージュの未来に夢見た世界。
きっとこの世界にもぼくはいるかもしれないけど、留まってはいられない。

コジロウ様のUCに対抗しよう。
全力の結界術を展開、ヨナの浄化の噴水に含んだ蒼の属性で、空の色で武装を浮き上がらせるよ。

二度目の太刀筋は、ぼくのユーベルコヲド、新世界ユウトピアの改変能力で、真実を投影して、背後にいる幻朧帝を抹消する改変で攻撃して、決着をつけにいこう。

この世界はきっと理想郷だ。
コジロウ様の理想は、ぼくたち、このサクラミラージュに生きる人々によって果たします。
いつかお戻りになった際に、胸を張ってお見せ出来るように……!




 国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女ハイカラさん・f23254)が転移した先に見た景色は、鈴鹿の夢見た景色そのものだった。
 サクラミラージュはもっと発展できる。もっと、もっと。そう願ってやまなかった鈴鹿の描いた光景が目の前にあって。もしかしたらこの世界にも「国栖ヶ谷・鈴鹿」がいるのかもしれないが、猟兵としての鈴鹿はここに留まってはいられない。
 だから鈴鹿は猟兵として、ソウマコジロウの前に立っている。既に片腕を喪ったソウマコジロウは、其れでもと戦いに臨み、透明な日本刀を無数に作り上げた。
「ヨナ!」
 鈴鹿は巡洋艇を呼ぶ。全力の結界術を展開し、更に巡洋艇から噴き出す噴水に“蒼”を添える事で、空の色を用いて武器の輪郭を浮き上がらせた。
「何て数……!」
「猟兵といったか。我は相対する者には決して油断はしないと決めているのだ」
 凄まじい速度で日本刀が鈴鹿へと殺到する。全力の結界を張ったにもかかわらず、日本刀は結界に突き立ち、其の切っ先を僅かに結界の裏側に覗かせる。
 青色に輪郭する日本刀を結界で受け止めきれないと判断した鈴鹿は、素早く横合いへ奔って躱しながら受け止める。

「この世界は、きっと理想郷だ……でも!!」

 其れでも否定しなければならない。誰の為でもない、ソウマコジロウ自身の為に。
 鈴鹿はユーベルコードを発動する。其れは鈴鹿の理想郷を投影するハイカラさんの後光。ソウマコジロウは其の眩しさに目を細め……そして見える景色に愕然とした。
 次々と現れる超古代種族エンシェント・レヰス悪魔ダイモン「ビームスプリッター」。そして、己。そして――彼等と己の意思から新世界を練り上げる、幻朧帝イティハーサ。
「……なん、だ、これは……」
「コジロウ様、これが現実です。この世界は現実のようで現実じゃない、幻朧帝イティハーサによって編み上げられた偶像なんです。――コジロウ様。貴方の理想は、ぼくたち、サクラミラージュに生きる人々によって必ず果たします。貴方がいつかお戻りになった際に、胸を張ってお見せ出来るように!」

『ああああああ!!』

 悲鳴が上がった。
 其れはソウマコジロウでも鈴鹿でもない、第三者の悲鳴だった。即ち、幻朧帝イティハーサ其の人である。
 鈴鹿のユーベルコードの力は理想世界の構築。そして鈴鹿は、ソウマコジロウの内側にいるイティハーサを抹消して改変する事を望んだ。
 存在を消される痛みか、其れとも骸の海へと還る恐怖か。やめよ、とイティハーサは悲鳴を上げるが、鈴鹿は後光を煌めかせるのをやめない。
 そうして――少しの間続いた悲鳴は、頭の中でうわんうわんとこだまして、聴こえなくなった。
 ソウマコジロウは動かなかった。現実が現実でないことがショックだったのではなく――幻朧帝イティハーサを消し去る、という鈴鹿の選択に同意したが故の事であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弓落・高寿
あぁ悲しいな。悲しい。
どちらが手前の本質なのかは知らんが、あの時第一戦線よりもつまらぬ男に成り下がった。我はそれがとても悲しい。そして、怒りすら覚える…この気持ちは何なのだろうな?

一度刃を交えた相手なれば対処は同じように、式神と神器を屈指しての自動防御、カウンター、透明化は心眼に範囲攻撃。持てるもの全てで挑むが…段々と悲しみより怒りが上回ってきた。手前の戦法にも、このよく分からん気持ちにも。

しかし、最後の戦。
我は武者ではないが、手前に合わせて正々堂々と太刃で、小細工なしの一対一の勝負を挑んでやる。逃げてくれるなよ、コジロウ。

そして、我の気持ちを思い知れ。




「あぁ、悲しいな」
 悲しい。
 そう弓落・高寿(平安京異邦人・f44072)は呟く。藍色の髪を揺らして頭を振り、どちらがお前の本質かは知らんが、と言葉を続ける。
「桜學府本部を襲ったあの時よりもつまらぬ男に成り下がったな、コジロウ。我はそれがとても悲しい。そして、怒りすら覚える……この気持ちは一体何なのだろうな?」
「……」
 片腕を落とし、あらゆる箇所に傷を作ったソウマコジロウは、其れでも瞳から戦意を失う事はない。
 其処だけは同じなのか、と、高寿はうら寂しさを覚えるばかりだった。
 そうして、見えざる桜吹雪が舞う。其れは高寿が知り得ない事ではあったが、高寿はソウマコジロウが透明化を扱う事を重々知っている。故に式神“弦打”を操り、神器を持ち、ただただ怒りを込めた。
 やがて、ばちん、ばちん、と音がして、弦打が迎撃を始める。見えざる桜吹雪が舞っているのだろう。
 其れを耳でのみ聞き取りながら、高寿は神器の剣を抜き放ち、ソウマコジロウへと向けた。
「しかし、怒ろうと悲しくなろうとこれが最後の戦になろう。我は武者ではないが、手前に合わせて正々堂々と、太刀で、小細工なしの―― 一対一の勝負を挑んでやる。逃げてくれるなよ、コジロウ」
「……ふ。こうしてお前達の前にいる時点で、逃げる気など毛頭ない」
 弦打が鎮まる。そうしてソウマコジロウは片手で刀を正眼に構えた。
「いざ」
「……いざ、」

 勝負は一瞬だった。
 刀を振り上げたコジロウの其の胴に、高寿の剣が一撃を浴びせる。血飛沫が舞い、見える桜に紅が散って、……高寿の後ろで、ばたり、と斃れる音がした。
 天を仰げば空は抜けるように青い。余りにも、目が痛くなるくらいに。

「――我の気持ちを精々思い知れ」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月22日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト