帝都櫻大戰⑯〜屁理屈のレベルを上げれば、勝訴
サイバーザナドゥを蝕んだデータプログラム、ヤマラージャ・アイビー。それは今や、サイバースペースに骸の海を広げるための苗床も同然であった。
「呆気ないな……」
神王サンサーラは混乱に陥る世界を睥睨する。
「この世界が
破壊を迎えるのもそう遠い未来ではあるまい」
「待つっスよ!」
「何者だ?」
「人は私をジャッジメントガールと呼ぶっス!」
巨大な裁判官用の木槌と共にサイバーザナドゥへ現れたのは他でもないあのジャッジメント・ガールであった。
「世界の
法則? ならば曲解・こじつけ・拡大解釈その他諸々なんでもやってサイバースペースを書き換えて見せましょう! 実はこう見えてパソコンもいけるんッスよ~!」
「まさかヤマラージャ・アイビーにこのような使い方があったとは……」
エンシェント・レヰス『神王サンサーラ』が、無数の幻朧桜と共に降臨したのはなんとサイバーザナドゥのサイバースペース内部!
「そこに存在する遅効性の思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』を起点としてサンサーラの放つ骸の海はサイバースペース全域……いや、それどころかサイバーザナドゥの
現実までも破壊しようとしている」
極めて強大なオブリビオンであるサンサーラだが、その力と引き換えに『完全に無傷の状態』でない限りこの世界への顕現を維持できないという弱点を持つ。
「ゆえに広がり続ける骸の海を乗り越え、何とかして彼に一撃でも与えることができたのならば一時的とはいえ、撤退に追い込むことができるだろう。もっとも、いまやサイバースペース内部は骸の海がもたらす凶悪な世界法則に支配されており、ただ立っているだけ、息をするだけでも死にそうな目に遭うほどの過酷な世界と化しているのだが……ここにジャッジメント・ガールが来てくれた」
その名を魔界裁判長『ジャッジメント・ガール』。
職務上『あらゆるルールの曲解・こじつけ・すり替え・些細な穴の悪用』などなどの事例と実践を知り尽くした彼女は魔界から自前で持ち込んだパソコンでサイバースペース自体にハッキングを仕掛けようとしている。
「このジャッジメント・ガールの助けを借りつつ、異常な世界法則をそれこそ口八丁ですり抜け……むしろ逆に利用さえ行い、サイバースペースを支配する神王と戦ってほしい。皆の活躍に期待しているぞ」
ツヅキ
プレイングを送れる間は人数に関わらず受付中です。
共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とIDもしくは団体名を冒頭にご記載ください。
エンシェント・レヰス『神王サンサーラ』がサイバーザナドゥ侵攻のための起点としたのは思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』でした。
骸の海が広がりつつあるサイバースペース内部の世界法則は既に常識を超えて異常な事態が当たり前のように発生する場所となっていますが、ここはあらゆるルールの曲解やこじつけを得意とするジャッジメント・ガールに倣ってこの状況を逆に利用してやりましょう。
プレイングボーナスは『屁理屈をこねてでもサイバースペースの世界法則をすり抜ける/ジャッジメントガールと協力して戦う』です。
第1章 ボス戦
『神王サンサーラ』
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POW : サンサーラディーヴァ
自身の【眼前】を【広大無辺の仏国土】化して攻撃し、ダメージと【神王サンサーラへの到達不能】の状態異常を与える。
SPD : サンサーラノヴァ
【かざした両掌の間】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【五感封じ】の状態異常を与える【神王光】を放つ。
WIZ : 強制転生光
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【サンサーラの光】を放つ。発動後は中止不能。
👑11
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布原・理馮
魔界とやらからの援軍か
頼もしいじゃないか
というかジャッジ…何とか?
そいつの力も充分にカミサマじみてるな
何にせよ、利用させてもらうか
此の戦場なら妖怪ならではの戦い方が通じそうだ
試させてもらう
さて、骸の海をすり抜ける理屈だったな
俺は妖怪・ぬらりひょん
ぬらりひょんがどんな妖怪か知っているか?
伝承じゃあ、いつの間にやら
人の家に上がり込んでいる…なんて語られたりするな
――そうだ、いつの間にやら其処にいる
誰も気づかないうちに“懐に潜り込んでいる”
それが、妖怪・ぬらりひょん
即ち、俺だ
どんな状況であれ
サンサーラの懐に潜り込むなど造作もない!
…ってな理屈で
敵の間合い内に瞬間移動し【絶空斬】
なかなか楽しい戦場だな
まさしく何でもありなこの状況における魔界からの援軍は有難いの一言だった。
素直に言って、頼もしい。
彼女の名前は一度では覚えきれなかったが(そう、ジャッジメント・ガール。何度か聞き直して確かに把握した)、まるでカミサマじみた力は感嘆に値する。
「それほどでもないッスよ!」
「謙遜しなくていいさ。さっそく利用させてもらいたいんだが、いいか? ちょっと試したいことがあるんだ」
「どうぞどうぞ! 歓迎するッスよ!」
「そうか、じゃあ……」
……ぬらりひょん。
自己紹介する声は異様に響いた。
ぬらりひょんとは、いつの間にか人の家に上がり込んでいる……なんて伝承が残る不思議な妖怪だ。
つまり、いつの間にやら其処に居る。
誰も気づかないうちに。
誰も知らないうちに。
ほら、隣に。後ろに。天井に。懐に……。
「たとえば、こんな風に」
不意に近くで聞こえた声に神王サンサーラは目を開けた。
「骸の海をすり抜けたか。いったいどうやって?」
「ちょっと妖怪ならではの手を使ってね。誰も気づかないうちに“懐に潜り込んでいる”それこそが妖怪・ぬらりひょん――即ち、俺だ」
造作もない、と理馮は斬霊刀を振るった。
己の力に絶対の自信を持つサンサーラの眉がほんの僅かに動いた。そっと胸元をなぞる手に手がついた。傷だ。彼の完全性を奪うための。
あれだけあった距離を一瞬に超えてみせた理馮は、いとも愉しそうに呟いた。
「こういう戦い方もたまには悪くない」
まずは、一太刀。
大成功
🔵🔵🔵
穂照・朱海
ふむ。
では。
『サンサーラのユーベルコード、強制転生光は決して僕の所まで届くことはない』
なぜならば、
『着弾するからには移動する前提があるが、もしどんなものもそれ自身と等しいものに対応しているときには常に静止しており、移動するものは今において常にそれ自身と等しいものに対応しているならば、移動するものは動かない』からである。
これは『ゼノンのパラドックス』の『飛んでいる矢は止まっている』という話を根拠としている
もっと言えば、世界には動くものはない。広がり続ける骸の海も同様である……敵に攻撃するなど容易い
赤ゑいに乗って飛行し、骸の海を越えて攻撃が届く所までいこう
(自分を棚上げしているのは黙っておこう)
「ふむ」
つまり、と朱海。
どうやら都合の良いことを言った者勝ちである――らしい。
「では」
こほん、と咳払いして。
「サンサーラのユーベルコード、強制転生光は決して僕の所まで届くことはない」
よもや、と驚くだろう。
まさか、と信じられないだろう。
だがその瞬間、確かにサンサーラの放つ消滅のための光は朱海の理の前に
動きを止めたのである。
なぜか?
朱海はこれを説明できる。
否、理を通したからこそこの結果を導けたのだ。
「……『着弾するからには移動する前提があるが、もしどんなものもそれ自身と等しいものに対応しているときには常に静止しており、移動するものは今において常にそれ自身と等しいものに対応しているならば、移動するものは動かない』からである」
知っているか、とサンサーラに尋ねる。
「『ゼノンのパラドックス』というものだ。『飛んでいる矢は止まっている』という話を一度くらいは聞いたことがあるのでは?」
「なるほど」
サンサーラは僅かに頷いた。
「しかし、こちらの攻撃が届かないからといって骸の海は止められぬ」
いや、と朱海は首を振った。
「さらに拡大解釈すれば、世界には
動くものはないともいえる。これは広がり続ける骸の海も同様である……ゆえに、この火照からは逃れられぬ」
赤ゑいの背に乗って骸の海を渡る朱海の翼から火炎が放たれた。
理屈は通った。サンサーラを燃やす炎は彼の皮膚を焼き、その完全性を傷つける。もっとも自分を棚上げしていることは秘密である。何か言いたそうな赤ゑいに朱海は「しっ」と人差し指を唇に寄せた。
「内緒だよ、いい子だね?」
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
神王さんの所にたどり着けない藍ちゃんくんなのでっす!
ところでジャッジメントのおねえさん。
ふと思ったのでっすがー。
神王さんのUC、【広大無辺の仏国土】化ですよね?
これ、仏国土化できてると言えるのでしょうかー?
これだけ広いならいっそ藍ちゃんくんファンクラブの支店を作っちゃいましょう! と先程からファンの人達が築城しまして。
今やここ、仏国土と言うよりも藍ちゃんくんの聖地なのでっす。
仏国土と広大無辺がセットである以上、片方が成り立たないなら広大無辺足り得ぬのでは?
そして広大無辺が成り立たないなら到達不能も解除されると思うのでっすが、どうでっしょうかー?
では皆様、ゴーなのでっす!
「藍ちゃんくんでっすよー!」
さて、今回の戦場はサーバースペース内部である。骸の海である。神王サンサーラの所までたどり着けない藍である。
「はいはーい、ジャッジメントのおねえさんに質問なのでっす!」
「何でも聞くっスよ!」
「ふと思ったのでっすがー」
前置きした後で、藍はこんな疑問を呈した。
「これ、仏国土化できてると言えるのでしょうかー?」
「どういう意味っスか?」
「これだけ広いならいっそのこと作ってみたいものがあるのでっすよー」
「それは?」
「それはでっすねー」
――ドン、とそこには『藍ちゃんくんファンクラブ、戦場支店』という看板がついた建物が築城されていた。
「い、いつの間にー!?」
「さっきから藍ちゃんくんのファンの皆様方が大急ぎで作ってくれたのでっすよー! おかげさまで今やここ、仏国土と言うよりも藍ちゃんくんの聖地なのでっす」
「なんともはや、凄いっスねえ。やればできるもんなんスねえ」
「というわけで、先ほどの疑問なのでっすが! 仏国土と広大無辺がセットである以上、片方が成り立たないなら広大無辺足り得ぬのでは?」
藍は人差し指を立て、小首を傾げる。
「そして広大無辺が成り立たないなら到達不能も解除されると思うのでっすが、どうでっしょうかー?」
その時、神王サンサーラへの到達不能の法則が崩れ落ちた。
「アリだってことっスねー!」
「でっすよー!」
ジャッジメント・ガールと一緒に藍はハイタッチして喜んだ。それから頑張ってくれたファンの皆にも心を込めたファンサでお礼と感謝の気持ちを忘れない。
「これで神王さんのところへ行けるのでっすよー! では皆様ご一緒に。ゴーなのでっす!」
大成功
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マリューズ・アビスマリア
これは何とも凄まじい領域ね。
でも、屁理屈が通用するのなら、やりようはあるわ。
そもそも骸の海って何なのかしらね?
海って言うからには海なんでしょうね、オーシャン。
なら私の生まれ育った深海と、何の違いも無いわよね?
とか言って骸の海の性質を普通の海のそれとこじつけるわ。
そうすれば持ち前の【深海適応】で充分に活動できる筈。
ジャッジメントガールは…まあハッキングで何とかできるでしょう。
サンサーラのUCで彼のもとに到達できなくなっても問題ないわ。
今や骸の海は普通の海、なら私の掌握下も同然だもの。
母なる海の抱擁を発動、普通の海ということにした骸の海をサンサーラへ収束させて締め上げるわね。
「これは……」
眼前に広がる領域の凄まじさにマリューズは目をみはる。サイバースペース内を揺蕩うように浮遊するマリューズの見渡す限りが骸の海だった。
でも、と顎に指を当てる。
考え込むみたいに視線を遠くに向けながら……――そもそも骸の海って、何なのかしら?
海、うみ、ウミ、sea、オーシャン。
色々な言葉に置き換えてみる。
それなら、私の生まれ育った深海と何の違いもありはしない。
「そうよ。同じだわ。海は海だもの、違って?」
結論づけた刹那のことだった。
破壊のために拡大しつつあったはずの骸の海が一瞬にして青く冴え渡る海そのものに置き変わったのだ。
「ああ、気持ちいい!」
深海ならばマリューズにとってはもっとも馴染んだ場所に他ならない。ここでなら誰よりもうまく行動できる。そういえば、ジャッジメントガールは? ハッキングで自分の周囲に別の空間を展開しているみたいだ。親指を立ててこちらに『問題なし』の合図を送ってくる。
「ところで、サンサーラへの攻撃はどうやってやるんスか?」
「それはね……」
マリューズはにっこりと微笑んだ。
ちょっと悪戯っぽく、月みたいな金色の両目を細めて。
「
海は私の味方よ。彼の元に到達できなくても大丈夫、この子たちが締め上げてくれるわ。こうやって、ね?」
この子、と呼んだのは海水の動きによって生じる大波のことだった。寄せては返す大波を収束させた津波の如き海水の流れがサンサーラを目がけて収束する。
「私をこの世界から押し戻すというのか……」
サンサーラを捉えたことは、海水を通してマリューズにもわかった。あなたに傷をつけるまで力の限りに抱擁してあげる。
「この世界から出ておいきなさい。破壊よりも安らかな眠りの方が誰しも喜ぶわ」
大成功
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