帝都櫻大戰⑦〜散らせ影朧、花より早く
●千代田区にて
サクラミラージュが帝都にそびえ立つ、世界最大の幻朧桜。
それを擁する帝城の中では『不死の帝』が世の平穏を祈り続けている――世間ではそのように伝えられており、今までの常識だった。
だが、それは真っ赤な嘘だった。帝こそが諸悪の根源、サクラミラージュが存在する理由そのものだったのだ。正体を『幻朧帝イティハーサ』という。
幻朧帝を封じるためにサクラミラージュは作られた。復活の準備を終えた幻朧帝からしてみれば、もはや破棄しない理由もない。
そして帝城とはすなわち、幻朧帝を封じ込める巨大な封印碑のこと。封じられながらも幻朧桜を支配した帝は、この邪魔者を壊すよう影朧に命を下したのだった。
帝都櫻大戰、開幕。
男が踊っている。
帝城が堀の外側、はらはらと降り続ける桜吹雪の下で、剣と扇を手にした影朧が一心不乱に舞い踊っている。
男が踊るたびに凄まじい呪詛が、黒い炎が帝城を破壊していく。このまま放置すれば、幻朧帝が完全復活するのも時間の問題だ。
影朧を弱めるはずの幻朧桜は今や、オブリビオンを助ける舞台装置になり下がってしまったのだから。
「……俺たちはただ長く踊りたかっただけだ。お前たちよりも長く、この現世という舞台で……」
現場に駆け付けた猟兵たちに気付いた男がゆっくりと振り返る。その目にはただ恨みがあった。
猟兵よ、気をつけよ。敵は一人にして一人にあらず。死した一族の怨嗟、その集合体なり。
その怨念晴らすべし。桜散る前に――。
渡来あん
初めまして、あるいはお久しぶりです、渡来あんです。
今回は純戦です。
●説明
舞い散る桜が影朧を強化しているようです。
何らかの手段で花弁を一時的に減らすことができれば有利になるでしょう。
それでも、幻朧桜による弱体化がなくなった分だけ今までよりは強力です。
プレイングボーナス:幻朧桜の花弁に対処する。
それでは、ご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『怨狼受賣命』
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POW : 拒絶ノ舞「屍の舞踏会」
自身が戦闘で瀕死になると【自身に眠る魂と同じ数の、同じ姿の数多の影】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : 恐憎ノ舞「黒亡の陽」
自身に【眠る人狼一族達】の【数多の呪詛】をまとい、高速移動と【恐怖を増幅させる黒き炎】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 不死ノ舞「蓬莱孤毒」
対象の攻撃を軽減する【無数の人魂を纏った屍の体】に変身しつつ、【呪怨を乗せた数多の剣舞】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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霧羽・衣月
UDCアースで暮らしていた、普通だったはずの少女
口調は(私、~君、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )
武器は「黒月の弓」
連射、狙撃どちらもこなせるよ
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「まさかサクラミラージュが作られた世界だったなんて。だけどこの世界に生きる人たちのためにも、壊させるわけにはいかないよね」
霧羽・衣月(シュート・ザ・ムーン・f32193)は黒い大弓を構えながら覚悟を決める。幻朧帝イティハーサ、エンシェント・レヰス、カルロス・グリード……様々な思惑が交差する大戦で、どれだけ人々の被害を減らせるか。それは今この戦いに挑んでいる全ての猟兵にかかっている。
無論、衣月もその一人。弓を握る左手にも力が入ろうというものだ。
「 恐憎ノ舞『黒亡の陽』……」
スッと扇を構えようとする影朧、しかし衣月は素早くそれを見咎める。
「それ良くないから、使っちゃダメだよー!」
放たれた黒光の矢は男の手を掠めた。ぎろりと憎々し気にこちらを睨む相手に対し、衣月も負けじと見つめ返す。
あの扇を使わせてはまずい、この距離からでもはっきりと分かるほどのおびただしい呪詛が込められている。自由に舞を躍らせればどうなるか――どうせ碌なことにはなるまい。
幸いにもこちらの方が若干有利だ。弓は神事にも使われることのある品、怨霊を封じ込めるための一手として役に立ってくれるだろう。
なお、当の弓が呪われた一品であることはこの際見ないものとする。
矢継ぎ早に連射する衣月。対する怨霊はしばしば剣舞に切り替えようとフェイントを入れてくるも、結局は呪いが力の源である以上、相性を覆すには至らない。
「俺たちの舞を邪魔するな……」
「いい加減、諦めてくれないかな?」
埒が明かないと判断した衣月は連射を止めて狙いを定める。狙うは舞の要たる扇、それを持つ右手。ギリギリと極限まで引き絞られた一矢が放たれる。
男の手のひらに風穴が穿たれて、その勢いで弾かれた扇が宙を舞った――。
大成功
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四十萬・静
はあ、だから? 無関係の人やら世界やら殺しまくってええって?
あんなぁ、復讐してええ相手は加害者だけやねん
そういうの曖昧にしてくとな、被害者だけが増え続けんねん
まあ言うても無駄やろけど
UCで火炎放射器(焼却レベル100)作って桜燃やします
おーおーよう燃えるわ、道具使うて出力あげとるしな
とりま花弁はこれでよし
そんでなんや、瀕死にさせっとあかんのやっけ
やったら即死させるしかないなあ
影を通して全員を影の糸で捕縛しますわ
影は切れも千切れもせんで、避ければその分動ける場所が減るだけや
服の内側は影になっとるから、多少の攻撃は耐えられる
あとは捕縛したやつから首を夢路で飛ばしてくだけや
瀕死で止めたりせんで
国栖ヶ谷・鈴鹿
渡来あんマスターにおまかせします。かっこ可愛い国栖ヶ谷・鈴鹿をお願いします!
◎
ハイカラさんの天才発明家&パテシエイルの多才なパーラーメイド。
お手製の二挺銃の扱いと、小回りの利くフロヲトバイの紅路夢、空鯨型航空巡航艇ヨナ、ワンオフのスーパーキャバリア阿穹羅と、守護稲荷きこやんの護法術、ハイカラさんの後光のパワーを駆使した、発明と天性の才能を武器に明るくも自信に溢れた心持ちで挑みます。
◎
UCで、ヨナの浄化の噴水を領域全体に届くように雨のように降らして花と怨嗟の炎を流し。
きこやんに呪詛耐性を展開してもらって、放つのは二丁の機関銃から放つ浄化と破魔の霰弾。
乱れ撃ち、着実に捉え、舞に終演を。
幻・紅蝶
動きは綺麗だケド性質はおどろおどろしいネ。
悪いケド、その踊り止めさせて貰うヨ。
まずは桜の加護を何とかしないとネ。
空間宝貝「紅砂陣」発動、戦場を隔離空間にした上で
紅砂の嵐を起こすヨ。
隔離空間に外部からの援護は届かず、中にあるモノも紅砂が分解するカラ、これで桜の加護を排除できないカナ?
その上で影朧サンと戦うケド、流石に強敵ネ。
攻撃は紅砂での分解に任せて、ワタシは防御と回避に専念するヨ。
【仙術】で分身(【残像】)を沢山作って居場所を誤魔化したり、レイ(雷光猫)に【電撃】を放っての【マヒ攻撃】をして貰ったりして、出来る限り時間を稼ぎつつ敵を削っていくネ。
楽しむ気持ち、忘れちゃダメヨ?
「うーん、大きすぎて傘になっちゃってるのかな。どうしようかな?」
空を見上げながら首をかしげる国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女・f23254)の視線の先では、一隻の巡航艇が雨を降らせていた。
空鯨型航空巡航艇ヨナ。名前の通りクジラを意匠としたスカイクルーザーの中央から上がる噴水はやがて重力に引かれ、幻朧桜の花びらをしとしとと湿らせていく。しかしながら、世界一巨大な桜が相手では幹に近い内側には届かないようだ。うんうん唸る鈴鹿に声がかけられる。
「さすがに難しそうネ、ワタシの
宝貝で隔離するヨ──砂に埋もれて溶けちゃうヨロシ!」
領域展開、位相転換、紅砂散布開始。幻・紅蝶(電影娘々・f28601)がそう念じると共に、周囲の景色が捻じれて変化した。華の帝都の街並みも狂乱の桜吹雪も消え失せて、猟兵たちと影朧だけの何もない空間が形成される。例外はただ一つ、吹き荒れる紅い砂嵐のみ。わずかに残っていた花びらは、たちまち砂に飲まれて消えていった。
砂の正体はナノマシンだ。敵を蝕み味方を癒す極小の奇跡、その説明を紅蝶から受けた鈴鹿の背中でぴこーんと後光が輝く。
「閃いたっ!」
ヨナが降らせる雨と紅蝶が吹かせる紅い毒、二つを合わせて紅い雨にしてはどうだろうか。そこに浄化の力も加えれば敵は著しく弱体化するに違いない。
そうと決まれば善は急げだ。この隔離空間を再構築すべく、鈴鹿の後光がさらに強まる。
「ここはぼくらの領域、さぁ、君の魂をあるべき姿へ」
厭穢欣浄パラダヰムシフト。世界よ革新せよ、劇薬の嵐となれ――!
「降りろ、舞台に残るのは俺たちだ……」
雨が炎を弱めていることに気付いた敵は扇を剣へと持ちかえた。そのまま目にも止まらぬ速さで動き、紅蝶の背後へ回り込んで斬り捨てる。
しかし斬られたはずの紅蝶は、その姿をふっと消したではないか。敵が知るよしもないが、紅蝶の仙術による幻だったのだ。
「動きは綺麗だケドなんだかおどろおどろしいネ。楽しむ気持ち、忘れちゃダメヨ?」
長く舞いたかったと相手は言ったが、それがこんな舞だったのだとしたら虚しいものだ。男の剣舞をそのように評した紅蝶は再び幻を生み出し、執念深い人狼を翻弄していく。
「お願い、きこやん!」
鈴鹿の守護稲荷が怨霊の呪詛を妨害する。集中を乱された男の足が緩み、その姿が目に映るようになる。その機を逃さずさらなる好機へ繋げられるよう、紅蝶も自身の霊獣『雷公猫』に言葉をかけた。
「レイ、そこに電撃ネ! ビリビリさせてやるヨロシ!」
放たれた雷撃、それは一見避けられたかのように思われた。しかし、雷は避けられた先で地面へと落ちて――雨で濡れた地面を伝い、敵に不意打ちの一撃を浴びせる!
「こんな時のために、ぼくのマシンは特別製なのさ!」
水を含んだ砂でぬかるみ、さらには電流が迸る地面。それを意にもかけずにひた走る『紅路夢』は鈴鹿の発明品だ。赤銅色のボディを持つそれは分類をフロヲトバイと言って、地表から浮いて走行するバイクである。
紅蝶の霊獣を見た瞬間から鈴鹿はこれに乗り始めていた。時代を先取りした発明とそれを使いこなす機転、それが彼女が天才たる所以なのだ。
動きが止まり剣も取り落とした男の下へと彼女は疾走する。ハンドル要らずの『紅路夢』、そのおかげで空いた両手に
二丁の機関銃を握りながら。
そして至近距離まで詰めるとともに、一気に全弾を叩き込む!
「おのれ、無、念……」
満身創痍の亡霊が膝を着く――。
「――おーおーよう燃えるわ。まあ元は断てとらんのやけど」
鈴鹿と紅蝶が作った隔離空間の外で、四十萬・静(渡舟・f37558)は具現化した火炎放射器で桜を燃やしていた。上方へ向けられたノズルから噴き出る炎が、舞い散る花びらに次々と引火して消し炭にしていく。
とはいえ桜本体を丸ごと燃やせたわけではなく、せいぜいが小枝一本分。まあその小枝だけで並みの樹木より大きいのはさすが世界一の巨木か。
とにかく、桜吹雪が止まったのは一時的なもので、じきにまた降り出すだろう。
「……せやけどちゃちゃっと止め刺すには十分やさかい、なあ?」
視線を下ろした静の前、隔離空間の外で数多の影が生み出される――。
「あんなぁ、復讐してええ相手は加害者だけやねん。そういうの曖昧にしてくとな、被害者だけが増え続けんねん」
どんな事情があろうが恨みが深かろうが、無関係の者を害する理由にはならない。そう語る静に対して影たちは一様に沈黙を貫いた。
『……』
「だんまりかい。まあ分かっとったけど」
生者には生者の、死者には死者の理屈がある。両者が相容れない以上、残る手段は一つのみ。
「ほな力づくといこか」
静の影が伸びる。やがて音もなく地面から離れて何本もの細い糸となる。それらはまるで生き物のように、影たちを捕縛しようと動き回る。
避けようとする影、迎撃しようとする影、相手の動きはさまざまだ。しかし振られた刃は糸を素通りし、避けた先でまた別の糸が襲いかかる。
次第に敵の動ける範囲が限定されだした。糸が舞台を狭めていく。そうしてどこへも行けなくなった者が一人、また一人と捕らえられていく。
「役者がいつまでも舞台にしがみついとったらあかん。大人しく退場しいや」
とうとう最後には全員が捕らえられ、全ての首を落とされるのだった。
そして猟兵たちは去っていく。帝都櫻大戰、その次の舞台に向けて――。
大成功
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