桜の散る帝都に影が差す。比喩表現ではなく、文字通りの光景だった。帝都の──延いてはサクラミラージュ全域の通信を司る電波塔であり、多くの霊力を集める鎮守の塔でもあった帝都タワーが、その
頂を揺らしている。
『号外! 号外! 大号外! 超・超巨大
悪魔ビヰムスプリッタァ、遂ニ帝都ニ姿ヲ晒ス!』
奇妙な声を帝都中に響かせながら、帝都タワーは全長2000mに及ぶまでその尖塔を伸ばす。……否、伸びたのではない。悠久とも呼べる時間を地中で過ごしたその体を、遂に地上へ晒しただけのことだった。
『吾輩、次ノ主ヲ求ムルモノ也! 号外! 号外! 大号外!』
●
「ご存知の通り、サクラミラージュで大きな戦が始まりました。ですが、その……」
グリモア猟兵の神白・みつき(幽寂・f34870)は、珍しく分かりやすい戸惑いの色を表情に滲ませている。何処から説明したものやら、という様子だ。長考の後、彼女はようやくその口を開く。
「以前、皆様に防衛していただいた帝都タワーが、この騒ぎに乗じて動き出しまして」
集った猟兵達の中から「は?」という短い声が上がる。それも当然と言えた。普通、塔とは動かないものである。
「無理もございません。帝都タワーがただの電波塔ではなく、エンシェント・レヰス『
悪魔』の最高指導者、ビームスプリッターの頭部だった……だなんて、容易に予想できるものではありませんので」
曰く、ビームスプリッターと呼ばれる
悪魔はサクラミラージュが発生したその時から存在している古い
悪魔である。彼は如何なる遠隔地へも遅延なく通信を繋ぐというユーベルコードを用いて、帝都の世界統一を支えていた……というのが、直近で判明した事実だった。
「通常、
悪魔には主たる契約者が必要です。黯党首魁──本田英和氏がビームスプリッターの主の座を狙っていたようですが、彼も倒れた今、その座は空席のままのようです」
ならば、今のビームスプリッターは誰の意志によって動き出したのか。猟兵達の脳裏に幻朧帝イティハーサの名が浮かぶが、真実は未だ不明のままである。ただ、契約者がいないというのは間違いが無いようだ。野心溢れる者は、その話に目を光らせた。
「帝都タワー改めビームスプリッターは、とにかく巨大です。正攻法で倒せるものではないでしょう。ただ、倒す方法がひとつだけ存在するようです」
それは、ビームスプリッターの頭部の先端。要するにタワーの最上階に位置する展望台に設けられた、記念メダルの刻印機だ。そこで名前入りの記念メダルを作ることで、ビームスプリッターは消滅することが予知されている。猟兵達からは再び「は?」「何て?」「ちょっと何言ってるのか分かんない」と声が上がる。だが、心底から困っているみつきの様子から、彼女が決して冗談を言っているわけではないのだと嫌でも理解できてしまった。
「その……消滅に至る理由は申し訳ないことに私も分かりかねるのですが、油断はできません。ビームスプリッターの体高はおよそ660丈──2000メヱトルにも及びます。その頂に登るには、かの
悪魔との戦闘は避けられないでしょう」
名は体を表すとはよく言ったもので、ビームスプリッターは帝都でも普及しているような光線銃を扱う。だが、それすらも体の大きさに見合ったものだ。直撃すれば、猟兵といえど無事で済むとは思えない。光線による猛攻をどうにか凌ぎつつ展望台を目指すのは、まさしく至難の業と言えるだろう。だが、それはビームスプリッターに挑まない理由にはならなかった。
「ビームスプリッターによる帝都への被害も抑え、そして新たな契約者の座も幻朧帝の勢力に奪われないようご注意ください。……お任せしてばかりで心苦しいですが、どうかよろしくお願いいたします」
みつきが深々と頭を下げるのと同時に、猟兵達の視界が花吹雪で埋め尽くされる。花弁の隙間、その向こう側には既にサクラミラージュの喧騒が響いていた。猟兵達がいつの間にか立っていたのは帝都の只中。変わらず桜の花弁が舞っているものの、街並みに常のような華やかさは無い。それもその筈だ。怖れ、逃げ惑う人々の視線は全て、ある一点に注がれていた。
『号外! 号外! 大号外! 今ナラ吾輩ト契約ノ好機也!』
これまで猟兵達が帝都タワーだと思い込んでいたものが遙か上空に見える。裾から伸びた触手のような肢の一本一本が巨大な光線銃を構え、學徒兵達に次々と光線を照射していた。エンシェント・レヰス『
悪魔』の最高指導者。その全身が、猟兵以外の者から戦意を削いでも仕方がないと思えるほど、高く高く聳え立っていた。
マシロウ
閲覧ありがとうございます、マシロウと申します。
今回はサクラミラージュでの戦争シナリオをお届けいたします。「『
悪魔』の最高指導者『ビームスプリッター』の撃退」が目的となります。参加をご検討いただく際、MSページもご一読ください。
●第一章
ビームスプリッターはあまりにも巨大すぎるため、正攻法で倒すのは現実的ではありません。プレイングボーナスを用いてどうにか攻撃を凌ぎつつ、最上階展望台の記念メダル刻印機で「名前入り記念メダル」を作ることでビームスプリッターを撃退してください。なお、「足止めに専念する」といったプレイングでもない限りは、リプレイをお返しした方全員が一緒にメダルを作ったという扱いとさせていただきます。
プレイングボーナス:敵の超・超巨大に対処する/光線銃に対処する/帝都タワー目指して駆け上がる。
オープニング公開直後からプレイング受付を開始いたします。また、早期完結を優先するため全てのプレイングの採用はお約束できかねますのでご了承ください。締切はタグやMSページをご確認ください。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ビームスプリッター』
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POW : 光線銃ヲ撃チマクル!
【無数の光線銃】から、着弾地点で爆発する【エンシェントビヰム(ギザギザの光線)】を連射する。爆発は敵にダメージを、地形には【ビリビリ罠化】効果を与える。
SPD : 此処ハ結界、ビームノ檻
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【リフレクトビヰム(細くてよく曲がる光線)】で包囲攻撃する。
WIZ : ICBM(インフォコネクトビームマキシマイザー)
自身の【リングビヰム(輪っか型の光線)】が触れた対象に【通信傍受で得た莫大な情報】を注ぎ込み、身体部位をねじ切り爆破する。敵との距離が近い程威力増大。
👑11
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鐘射寺・大殺
6thKING、ビームスプリッター!
デビルキングワールドの教科書にも載っておる偉大な悪魔よ!
よもや異世界サクラミラージュの電波塔として鎮座しておったとはのう!
ワイバーンの有栖川の背に乗り、我輩は空へ。
空中から彼奴の頭……タワーの最上階を目指すぞ。
取り出したるは愛用のギター「X-DEATH」。
《楽器演奏》で《衝撃波》《音響弾》を叩きつけ、
光線銃を破壊しながらグングン上昇していこう。
そして【魔王の威厳】を示し、《悪のカリスマ》で己の意志を彼奴に示す!
ビームスプリッターよ!
わが臣下となり、砕魂王国のランドマークになってみんか?
お主の力があれば、われらが故郷に多大な恩恵を齎すことができるであろう!
「6thKING、ビームスプリッター!」
混乱の悲鳴が響く帝都の大通りで、鐘射寺・大殺(砕魂の魔王・f36145)は両の腕を広げ歓喜の声を上げる。デビルキングワールドの一国を預かる魔王として、否、デビルキングワールドの住人の一人として、かの
悪魔の名前を知らない者などいないだろう。
「デビルキングワールドの教科書にも載っておる偉大な悪魔よ! よもや異世界サクラミラージュの電波塔として鎮座しておったとはのう!」
こうしてはおれぬ、と大殺は高らかに指笛を鳴らす。それを合図に現れた黒鱗のワイバーン・有栖川ジュリエットの背に跳び乗れば、迷わずビームスプリッターの頭部を目指すよう指示を出した。
有栖川の剛翼が風を掻けば、幻朧桜の花弁が舞い踊る。一度の羽ばたきで急上昇するものの、ビームスプリッターも簡単に接近を許す相手ではない。無数の肢に携えた光線銃が大殺へ向けられる。一斉に放たれた光線は幾重にも重なり、避ける隙間など見当たらないほどだ。
「文字通り手数が多いな! ならば我輩はこれよ!」
何処へしまい込んでいたのか、大殺の手には愛用のエレキギター「X-DEATH」が握られていた。景気づけに弦を弾けば、悪魔的にイカした音色が帝都の空に響き渡る。続けざまにピックスクラッチ奏法で音を奏でれば、目に見えない音の礫が光線の束へ向けて放たれた。音響弾は光線にひとつ、またひとつと衝突しては対消滅してゆく。いくつかの光線は撃ち洩らしたようだが、それこそ有栖川に任せておけば直撃するような心配は無かった。
ビームスプリッターの頭部付近へ辿り着くと、大殺は敢えてすぐに展望台には向かわずその周囲を旋回する。一国の頂点たる魔王が持つ覇気を込め、ビームスプリッターへと声を投げ掛けた。
「ビームスプリッターよ! わが臣下となり、砕魂王国のランドマークになってみんか?」
タワー、それはランドマークや観光スポットとして分かりやすい象徴。その上、如何なる通信も思うままな能力を持つ電波塔が建ったとしたら、砕魂王国民のQOLは爆上がり。繁栄が約束されているようなものだ。加えてビームスプリッターは歴代デビルキングに名を連ねる大悪魔。それを臣下としたならば、大殺自身の格も上がることだろう。
「お主の力があれば、われらが故郷に多大な恩恵を齎すことができるであろう!」
ここで倒すことは容易い。だが、それはあまりにも勿体ないというもの。大殺は、
悪魔の主足り得る威厳を以て、ビームスプリッターへ交渉を持ち掛けた。
『号外! 号外! 早速ノ勧誘ニ大感謝! 従属ニ値スル
力ノ表明求ム!』
ビームスプリッターは感情の読めない声色ながらも、満更でもなさそうな返答と共に光線銃を向けてくる。再度、一斉に照射された光線を高速機動でかわしながら、大殺は至極愉快そうに、そして高らかに笑った。
「フハハハハハ! 良かろう。未来の主の力、とくとその目……目があるかは分からんが見るが良い!!」
大成功
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弓落・高寿
★
つまるところ「主のない迷子の野良妖?」何やら哀れに思えてきたが…
それよりも、と言ってはなんだが我は「記念めだる」とやらがほしい。何か響きが良い。きねんめだる。意味は分からんが、それを手に入れれば奴は消滅するんだろ?じゃあ行こう。
道中の攻撃を防ぐために喚ぶは式神『弦打』、我が護衛の役を果たしてみせろ。
勿論それで攻撃が全て防げる訳でもなく、少しは傷も受けようがそんな事で止まると思うな。傷を治し、己を奮い立たせ、
限界を超えて昇り切る。決めたことは最後までやるのだ。
ただ、めだるが欲しいから。
しかし問題といえば……めだるってどうやって作るんだ?
「つまるところ〝主のない迷子の野良妖〟? 何やら哀れに思えてきたが……」
多くの猟兵に取り囲まれて、何故かちょっとだけ嬉しそうなビームスプリッターの姿を見上げながら、弓落・高寿(平安京異邦人・f44072)は自身の中で落としどころを見つける。自分を使役する筈だった主がいないというのは、妖であろうと式神であろうと確かに困るものだ。あれだけの巨体を動かす霊力も、一体どこから供給を受けているのやら分からない。
高寿は宇宙を閉じ込めたような左眼でビームスプリッターを……その頭部を見つめる。展望台までの距離は果てしなく、生身での登頂は困難を極めるだろう。それでも、退く理由にはならない。何よりも高寿は記念メダルが欲しかった。
「何か響きが良い。きねんめだる」
実物を見たことが無いのでそれがどういったものであるかは分からないが、とにかくそれを手に入れさえすればビームスプリッターは消滅する。その一点が分かれば今は充分だった。
直後、高寿の周囲を薄い
人形が舞う。高寿の式神のひとつ『弦打』は、惑星を囲む衛星のように高寿を中心にくるくると浮遊した。
「我が護衛の役を果たしてみせろ」
言うや否や高寿は駆け出し、ビームスプリッターの足下までの距離を詰める。何処に目があるのか、ビームスプリッターは近づいてくる高寿に気がつくと、いくつかの光線銃を向けて躊躇いなく発砲した。軌道こそ単純だがひとつひとつの幅が大きく、回避をしようと思えば本体までの距離が開いてしまう。だが、そこにすかさず式神『弦打』が間に飛び込む。元が守りに長けた式神である『弦打』は、光線と衝突する瞬間に小規模の結界を展開し、光線の勢いを殺して対消滅させた。
その隙に、高寿はビームスプリッターの肢を足場に、その巨体を駆け上がってゆく。相手からすれば小さな敵だろうが、それでもいくつかの肢を用いて執拗に追跡してくるのだから細かいものだ。次にビームスプリッターが放ったのは直線型ではなく、円型の光線だった。高寿はすぐに『弦打』を向かわせるが、距離が近いせいか撃ち洩らしも多い。円型光線が齎す爆発が直撃することこそ無いものの、高寿はいくらかの負傷を許してしまう。
「いいや……まだやれるッ!」
己を鼓舞するように声を張れば、爆発で受けた筈の傷が徐々に塞がってゆく。尽きた筈の体力が戻ってくる。全ては己が為すと決めたことを遂げるため。とにかく、メダルが欲しい。その一心で。
最後の一歩を力強く踏み締める。鉄骨を登る形で辿り着いた展望台は、外の騒がしさとは打って変わって静かなものだった。ここが帝都タワーと呼ばれていた少し前までは多くの客で賑わっていたのだろうに、今はその面影すら無かった。
だからこそ、と言えば皮肉なものだ。記念メダルの刻印機は展望台の片隅で煌々と光を放ち、高寿を歓迎していた。
「これか……きねんめだる、とやらは」
一部が硝子張りの箱の中に、他世界でよく目にする硬貨のようなものが並んでいる。それぞれ帝都タワーの姿が彫られており、数種類に及ぶということは好きなものを選べる、ということなのだろうか。あとはここでメダルを手に入れるだけなのだが、問題がひとつだけ残されていた。
「……めだるってどうやって作るんだ?」
悲しい哉、平安京には自動販売の概念が無い。必要な料金を投入し、刻印したい名前を入力さえすれば後は自動でメダルが出てくるという仕様を高寿が理解するには、他の猟兵達が追いつくまでの数分の時間を要することになる。
大成功
🔵🔵🔵

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
まずは、高速詠唱早業先制攻撃で鉄壁の多重詠唱結界術を展開するわ。この結界に触れたビームは
反射するわ。反射しきれなくても
エナジードレインで吸収出来るし、
ギャグ補正でリポップもできるわ。
で、空間を解体切断して
再構築で展望台まで
空間ジャンプするわよ。
さて、ビームスプリッターさん私と魂の契約を結んで配下になってよ、とスキルマスター『ソウルリンク』でおねだりしてみましょうか。
「ふうん……そう。野良の
悪魔なのね」
自身の素性を喧伝しながら四方八方に光線銃を発砲するビームスプリッターの姿を遠目に眺めながら、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の
混沌魔術師艶魔少女・f05202)は面白いものを見つけた、と言わんばかりに目を細めた。
アリスが何事か短く呟くと、その身を覆うようにして強固な結界が布かれる。それは目には見えずとも幾重にも重ねられ、どれだけの高火力を当てられたところで一撃で破れるものではない。大悪魔が放つ光線の雨など物ともせず、小柄な少女は意気揚々と2000mもの旅路を開始した。
肢を伝って上へ登り始めるアリスの存在に気付いたのか、ビームスプリッターは光線銃を空へ向けて放つ。一見、暴発のようにも思えるそれは空高く伸びたかと思えばまるでUターンするかのように曲がり、不規則な動きでアリスの方へ向かってきた。
「追いかけっこ? 捕まってあげてもいいけど、わたしが食べちゃうわよ」
蠱惑的に笑うアリスは飛来してきた光線を無理に避けようとはしない。ある程度は結界が弾き返し、それをも潜り抜けてきた光線はアリスに触れた途端に細く縮こまり、彼女の体内へと取り込まれる。さすがに全ての光線が直撃すれば負傷も免れないが、結界によって間引かれたものであればアリスにとってはおやつのようなものだ。
「とはいえ、さすがに展望台まで徒歩は遠いわね……ショートカットしちゃおうかしら」
未だ遠い展望台を見上げながら、アリスは人差し指で宙に線を描く。目に見えない筈のその線がまるで切り口のように上下に開くと、その先には光とも闇ともつかない混沌が広がっていた。アリスは躊躇いなくその中へ足を踏み入れる。次に彼女の脚が踏むのは混沌──ではない。そこは赤い鉄骨が組み上げられた塔の中腹。帝都タワーの展望台を目前に控えた場所であり、ビームスプリッターの頭部にあたる場所だった。
「さて、ビームスプリッターさん。私と魂の契約を結んで配下になってよ」
かの
悪魔の目や耳が何処にあるのかは分からない。だが、これだけ頭部に接近しているのだから声ぐらいは認識してくれるだろう。ただの人間であれば身も心も一瞬で吸い尽くされてしまう魂の結び付きが、
悪魔の最高指導者にどれほど通用するのか。アリスはそんな興味から、自身の魅力を最大限に引き出す声色でビームスプリッターへ囁いた。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
帝都タワーの正体がコイツだった……という事は、以前読んだ「帝都タワー建築の歴史」ってのはまるでデタラメだったという訳か
まあ、世界の真実に比べれば些細な偽りだがね
神刀の封印を解除して、参の秘剣【紫電閃】を発動。紫紺の神気を纏う事で身体能力を引き上げて、ビームスプリッターの身体を駆け上っていこう
敵が自分の身体に誤射する事を恐れるとは思えないので、敵の攻撃は常に警戒
神脚【無依】の力による空中ジャンプも織り交ぜて、できるだけ射線を絞らせないようにして
それでも此方に飛んでくる光線には斬撃波を叩き込んで威力を減衰させてやる
この調子で2000m登るのは楽じゃないが……まあ、注意を惹き付けるだけでも役に立つさ
(帝都タワーの正体がコイツだった、ということは……)
夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は、いつぞや読んだ書籍の内容を思い返す。帝都タワーがどういった経緯で建築に至ったか、どのような工法が用いられたか──という帝都タワーの歴史について記されたものだったが、それら全てが偽りであったことがここで証明された。欺かれていた、と取る者もいるかもしれないが、鏡介からすれば世界全体で隠匿していた真実と比べれば些事と思えた。
光線銃を乱れ撃つビームスプリッターの姿は奇怪以外の何物でもなく、帝都という街の情緒が一瞬で崩れてしまったような気さえする。ともあれ、街への被害をこれ以上出さないようにすることが先決だろう。鏡介は神刀【無仭】を鞘より抜き、同時にその力を解放する。強い光を放つ刃から供給される力は鏡介の思考を冴え渡らせ、駆け出す脚を各段に軽くした。
ビームスプリッターとの距離を詰めれば、蛸とも蔓とも異なる肢が蠢いている。鏡介は底上げされた速度を利用してビームスプリッターの肢を駆け登り、最上階の展望台を目指した。
『登頂開始マタ一人! 猟兵ノ登攀能力、如何バカリカ!?』
純粋な驚きを素直に声にしつつ、ビームスプリッターは複数の光線銃を同時に発砲する。直線の軌道ではない、曲がりくねった奇妙な動きで飛び回る光線は鏡介を包囲するように迫ってきた。
「……来たか!」
鏡介は足下に纏う神気に意識を集中させる。不規則な動きの光線を回避するのは至難の業だが、今の鏡介の速度に神脚を合わせれば難しい話ではない。後ろから追い縋る光線をやり過ごすため足場を蹴り、帝都の空へ体を投げ出す。別方向から向かってくる光線は、形無き足場である宙を蹴って回避した。縦横無尽な鏡介の動きにより光線のひとつひとつの軌道が分散し、やがて消滅してゆく。
だが、正直に言えば効率が良いとは言い難い。光線が飛んでくる度、回避のために展望台への最短距離から逸れることになるのだから仕方ないことではあるのだが。
「この調子で2000m登るのは楽じゃないが……」
そう独り言ちた矢先、新たな光線が鏡介の視界の端で光る。未だ神気を放つ神刀【無仭】を振るい、触れないままそれを断ち斬って霧散させると、改めて息を
吐いた。
「……まあ、注意を惹き付けるだけでも役に立つさ」
幸いなことに、ビームスプリッターを配下にせんと勧誘を始めている猟兵も多い。そのおかげでビームスプリッターの方も気もそぞろな瞬間がいくらか見受けられた。彼を撃破もしくは退散させるのも現実味を帯びてきている。
鏡介は気を取り直して、神剣を手にかの大悪魔の頭部を目指して宙を蹴った。
大成功
🔵🔵🔵
スターレイル・エストレジャ
悪魔は従わせる…なにより絶対にメダル欲しいし
キャバリアにオーラ防御を展開
『…うん』
アウラは呆れていたが戦闘態勢をとる
【超・超巨大と光線銃の対策】
キャバリアに搭乗してオーラ防御を展開して防御するか推力移動しながら心眼と気配感知で光線銃を回避する
【敵のUCに対して】
リフレクトビヰムは心眼と視力で見ながら推力移動で回避する
オーラ防御でも防ぐ
【反撃開始】
『今だ!』
UCを発動したアウラが心眼と視力で悪魔に狙いを定めて放つ
メダル…欲しい
指定UCの効果でUC原初の星虹を発動して敵の光線に帰還属性を付与して敵に方へ帰るようにして帝都タワーを目指した
『お姉さん、そんなにメダル欲しいの?』
アウラは疑問に思っていた
「悪魔は従わせる……なにより絶対にメダル欲しいし」
星虹神機『プロトスター』の操縦席からは、帝都の街を練り歩きながら契約者を求めるビームスプリッターの姿がよく見える。スターレイル・エストレジャ(星虹の超越者・f40527)はそれを
黄金の瞳で捉えながら、操縦桿を強く握り直してそう静かに宣言した。彼女と共にプロトスターに搭乗するフラワースライムのアウラはそれに対して何か言いたげな様子を見せるが、一秒を争うこの事態の早期解決を優先すべきと判断したのか、やがて諦めたように「うん」とだけ返して戦闘態勢に移った。
さすがにこの帝都にあってはキャバリアは目立つらしい。ビームスプリッターは早速、無数の肢で持つ光線銃をこちらへ向けて発砲してくる。確かに普通の猟兵と比べて的が大きく、当てやすいとも感じるだろう。複雑な曲線で幾何学模様を描く光線は、一瞬で眼前にまで迫ってきていた。
「させない」
スターレイルの声と同時に、プロトスターはオーラによる防御壁を展開し、螺旋を描いて飛翔を始める。迫ってきていた光線の殆どは防御壁によって弾かれ、追い討ちのように放たれたものはプロトスターの速度に追いつけずにやがて消滅した。その後も追い縋るように光線が襲い掛かるが、如何に不規則な動きとはいえ幾度か見ればおよそ動きの見当はつく。先を予測し、回避に専念しながらもスターレイルはビームスプリッターの頭部を目指した。
『今だ!』
ある一定の距離まで接近した瞬間、アウラが声を上げた。同時にプロトスターの剣銃から放たれた植物弾は、光線の雨の隙間を掻い潜りビームスプリッターの体へ向かってゆく。着弾と同時に弾はその形を変えてビームスプリッターの体を蝕んだ。既に頭部へ辿り着いている猟兵達が衝撃による揺れで少し大変かもしれないが、敵の気を引くためだと思って大目に見てほしかった。
植物弾・プロキオンショットが直撃した肢は、衝撃で大きく弾かれる。その拍子に先端で握られていた光線銃が暴発したのか、新たな光線がスターレイル達の方へ放たれた。だが、スターレイルの視線はその更に向こう側──ビームスプリッターの頭部の頂点。展望台の方へ向けられていた。
「メダル……欲しい」
改めて強い希望を口にし、プロトスターを介してユーベルコードを発動する。彼女の視界に入った光線の全てが、スターレイルの持つ星虹の力によってその在り方が変質する。与えられた属性は〝帰還〟。発せられた場所へ戻る性質を強制的に与えられた光線の束は、次々とビームスプリッターの方へとUターンを始めた。結果として、それはビームスプリッターの肢を攻撃することになり、着弾する度に大きな爆発が発生した。だが、スターレイルはそれに目もくれず、一直線に展望台を目指すべくプロトスターを駆る。
『……お姉さん、そんなにメダル欲しいの?』
「欲しい、とても」
呆れたように問うアウラにそんな即答を返す。そんなに欲しいなら良いけど……と、それ以上の追究を諦めたアウラをよそに、スターレイルは展望台の入り口付近でプロトスターを停止させ、いそいそとメダル刻印機の方へと駆けて行った。
大成功
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国栖ヶ谷・鈴鹿
マシロウマスターにおまかせします。素敵な国栖ヶ谷・鈴鹿をお願いします!
◎
ハイカラさんの天才発明家&パテシエイルの多才なパーラーメイド。
お手製の二挺銃の扱いと、小回りの利くフロヲトバイの紅路夢、空鯨型航空巡航艇ヨナ、ワンオフのスーパーキャバリア阿穹羅と、守護稲荷きこやんの護法術、ハイカラさんの後光のパワーを駆使した、発明と天性の才能を武器に明るくも自信に溢れた心持ちで挑みます。
◎こんなこともあろうかと!
阿穹羅ジェットパック(UC)で一気に上空2000mまで行くよ!
UCには装備中にシールドを展開する機能も搭載、ビームのダメージを抑えて、タワーの頂上に直で乗り込んで、ぼくの手でメダルをゲットするよ!
「先にあの人を倒してたから良かったものの、これじゃあまるで災害だよ」
ビームスプリッターが暴れ回り、すっかり荒んでしまった帝都を見渡しながら国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ
乙女・f23254)は溜め息まじりに零す。黯党の首魁をその手で討った甲斐もあり、かの
悪魔の主の座が宿敵に渡ることは無くなった。それでも、被害は甚大だ。ビームスプリッター自身も使役する主が不在とあっては、その力を以て自己アピールをするしかないのだと思うとやり切れないものもあるが、やはりここは力尽くでも止めるしかないだろう。
「展望台までおよそ2000mね。こんなこともあろうかと! 用意してたとも!」
自信に満ちた鈴鹿の後ろに控えるように、一体のキャバリアが降り立つ。『SR-ARX01 阿穹羅』と名付けられたそれは、普段は装備していないジェットパックが搭載されており、空中戦は勿論のこと展望台へ登るための労力も大幅に削減される仕様だ。
「さあ、行くよ。メダルをゲットして、早くあの
悪魔には帰ってもらおう!」
鈴鹿は颯爽と阿穹羅へ乗り込み起動すると、ジェットパックを使用した飛行モードへと切り替える。阿穹羅の腕部や脚部の関節部から光が洩れたかと思えば、ジェットパックから熱が勢いよく排出され、その反動と跳躍によって阿穹羅の巨体は弾丸のように宙へと射出された。
『号外! 号外! 大号外! 帝都ノ宙ニ巨大ロボツト現ル!』
長年電波塔として働いてきたビームスプリッターが、癖のように報道をしながら鈴鹿へ光線銃を向ける。次々と放たれた光線は不規則な動きで幾何学模様を描き、展望台を目指す鈴鹿の進路を阻む形で包囲してきた。
「キミほど巨大じゃないよ! それに空を飛ぶために、装甲の能力を保ちつつ極限まで軽量化したんだから!」
そのように反論しながら鈴鹿が操縦桿横のボタンを力強く押すと、阿穹羅の全身を覆うようにシールドが展開する。阿穹羅はあくまでも展望台を目指して直線距離を飛び続けるが、シールドのおかげで四方八方から飛来する光線の殆どは弾かれ、そして消滅していった。とはいえ、集中攻撃を受けていることには変わりない。操縦席への衝撃も、その100%を防げているわけではない。
「ごめんね、阿穹羅! 帰ったら修繕だ!」
ジェットパックの出力を最大にまで引き上げ、重力にすら抗う推進力で上昇する。追い縋る最後の光線を凌いだ先で赤い鉄骨が視界に入った。帝都の人間であれば誰もが親しむ帝都タワー。実はビームスプリッターの頭部だったというそれは、下の激戦など無関係とでもいうように無傷だった。
鈴鹿は急ぎ阿穹羅を停止させ、身を翻して展望台内部へ滑り込む。既に幾人かの猟兵が辿り着いており、それぞれがメダル刻印機の操作を始めたばかりのようだ。幸いにも刻印機は複数配置されているようで、鈴鹿はその中で空いた筐体へと駆け寄った。料金を投入し、現れた画面で手早く名前を入力する。
「さあ、
悪魔ビヰムスプリッタァ! これで終わりだよ!」
鈴鹿の宣言の
後、全員のメダル発行ボタンが押下されたのはほぼ同時のことだった。
大成功
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