帝都櫻大戰③〜次ノ主募集!詳シクハコチラ↓
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グリモアベース内にてディル・ウェッジウイッターは猟兵の姿を認めると、湯気がゆらめくお茶を差し出す。
「お集まりいただき誠にありがとうございます。
今回は帝都櫻大戦にて姿を現した『エンシェント・レヰス『ビームスプリッター』』への対処をお願いします。
彼がどんな姿かというと……それは帝都タワーを見たことがある人はご存じでしょう」
サクラミラージュの世界最大の電波塔帝都タワー。その正体はデビルキングワールドの6ThKINGにして『エンシェント・レヰス
悪魔』の最高指導者、通信を司るダイモン『ビームスプリッター』だったのだ。
……正確にはその、『頭部』だが。
「今までサクラミラージュの通信を担っていたビームスプリッターですが、此度の騒動でオブリビオン化させられています。繰り返しになりますが、皆様には彼を鎮圧していただきたいのです。
ビームスプリッターは皆様の姿を認めれば攻撃を仕掛けてきますが、攻撃はその名の通り光線が主力です。それもただの光線ではありません、地形を痺れさせる罠に変化されたり、被弾した部位をねじ切るなど多種多様な戦い方をしてきます。
そしてそれらの攻撃が2000m上空から無数に飛来してくるわけですから、倒すのは非常に難しいと思われます」
異世界でデビルキングを名乗っていた程の実力、体高2000m。今までにない敵との戦いに猟兵達は頭をフル回転させる。
打開策はあるのかと問えばディルは頷き、
「予知によるとこのビームスプリッターの頭部――帝都タワーの最上階展望台まで到達し、そこにある記念メダル刻印機で『名前入り記念メダル』を作ってもらえば、彼を消滅させられます」
「なんで?」
予想だにしなかった打開策に豆鉄砲喰らったかのような顔をする猟兵の問いに、ディルはいつもの調子を崩さずににっこり。
「頂上まで攻め入った証明なんでしょうかね……とにかく、彼に対処するには物理的に倒すのではなく、帝都タワーを駆け登って名前記念入りメダルを手に入れる事だと覚えておいてください」
な、納得いかね~~~!! そんな表情をしながら準備を始める猟兵にディルは言葉を重ねた。
「そうそう、ビームスプレッターは基本誰か主を必要とする存在ですが、現在その主は存在しません。
もし気になる方がいらっしゃったら、お声がけされてくださいね」
遭去
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遭去です。お土産に名前入り記念メダルいかがっすか?
あるとつい買っちゃうよね、アレ。
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今回も👑達成最低数だけ完結させます。プレイングに一切の不備が無くても不採用になる可能性もあるのでご了承ください。
プレイングにてビームスプリッターを配下にする旨の誘いを行うことが可能です(しなくても問題ありません)。
なお勧誘プレイングを出し(配下勧誘の呼びかけをし)てもビーム・スプレッターの攻撃の手は緩みません。物凄く喜びます。
プレイングボーナス:敵の超・超巨大に対処する/光線銃に対処する/帝都タワー目指して駆け上がる。
第1章 ボス戦
『ビームスプリッター』
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POW : 光線銃ヲ撃チマクル!
【無数の光線銃】から、着弾地点で爆発する【エンシェントビヰム(ギザギザの光線)】を連射する。爆発は敵にダメージを、地形には【ビリビリ罠化】効果を与える。
SPD : 此処ハ結界、ビームノ檻
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【リフレクトビヰム(細くてよく曲がる光線)】で包囲攻撃する。
WIZ : ICBM(インフォコネクトビームマキシマイザー)
自身の【リングビヰム(輪っか型の光線)】が触れた対象に【通信傍受で得た莫大な情報】を注ぎ込み、身体部位をねじ切り爆破する。敵との距離が近い程威力増大。
👑11
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朱雀門・瑠香
まさか帝都タワーが悪魔だったなんて・・・・只管登ればいいのね。大変という域ではないのですけど!?
貴方は主を求めているのですか?ならば私が貴方の主となりましょう貴方を制することで!
巨体から繰り出す光線銃の雨あられをいつまでも避けていられませんから一気に駆け上がりましょう。
巨体である以上死角はありますから行けるとこまで自転車で全力ダッシュしながら天辺である展望台へ向かいましょう。撃たれる無数の光線を破魔の力を込めて斬り祓いながら罠と化した地形は回避して一気に駆け上がります。
自転車がだめになったら諦めず脚で只管展望台へ
到達してメダルを作ってもらい改めて呼びかけますか。
貴方の主に私はなりましょう。貴方はこの世界に必要なのですから。

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
なるほどなるほど、敵の超・超巨大に対処する、と。なら化術でエレメンタルファンタジアに
変身♪カートゥーン属性の雷霆よ。ビームスプリッターさんの上空に広がる雷雲が私ってわけ。これなら巨大さも関係ないわ。
で、雨粒でビームを
拡散させつつ雷に乗って展望台に到着って寸法よ♪
さて、メダルを貰う前にビームスプリッターさんの
精神世界にお邪魔して、アリスと魂の契約をして配下になってよとおねだりするわ❤
エルシェマリ・リブラ
その辺の交番から借りたチャリでゼーハー言いながら推参
帝都タワーって333mあるんだっけ
芝公園吹き飛んでるな――と六本木の丘から見つめ
借りてきた拡声器で奴に叫ぶ
なぁお前、この大召喚士(予定)のアタシの仲魔にならねぇ?
アタシの仲魔って事は猟兵とこの世界の民数十億人がお前の主だ
三食昼寝付待遇、仕事は今まで通りこの世界の通信維持、即ち平和維持
元6thKINGなら絶対根はイイコだろ
ビーム受けない様に出来るだけ離れながら詠唱開始
図体デカいの幸いだな、と指差してUC発動
チャリでアレの周り一周して魔力の楔は設置済
連続で隕石喚んで奴の頭(塔)部に叩き込む
隙はアタシが作る
メダルは仲間に任す
一応フェリスも行かせるか
ヴィヴ・クロックロック
噂のデビルキング、先の戦争の時に見当たらないと思ったらこんなところに埋まっていたとは…。メダルで消える…デビルキングワールド出身らしいトンチキギミックだな。え、出身地違うのか?
さあよいよ戦闘だ!初手は【第六感・野生の勘】を平行しようしてギリギリまでビームをひきつけ【おやつ製造装置】でおやつにしてビームの檻を突破。
そして【天蓋の孔】の連続使用でサクサクざぶんとショートカットしながらビームを回避、展望台を目指しつつ勧誘の言葉を投げるとしようか。
えー、もしもし?ビームスプレッターくん?今無職なら私の配下にならないか?福利厚生もしっかりしていてアットホームなホワイト企業だぞ!
(アドリブ改変歓迎です)
サハリエ・ステーロ
ビームスプリッター、もちろん君と契約したい。
そうだな、配下になってくれるなら色々と報酬を出すつもりではいるが、まずは君の宿敵であろう幻朧帝イティハーサの討伐なんてのはどうだろうか?
まぁ、僕の軍だけではなく猟兵全体での討伐になるがな。
君も余裕があったら参加するといい。
UC【偽ラスボス変身】使用
速攻で何度も変身。ビームスプリッターに迫る勢いで巨大化しよう。
周囲の建物には気を使って飛翔ギミックを、ダメだったら配下に建て直して貰おう。光線銃を持つ触手に対応できるだけのマジックハンドギミックを準備。
押さえ込んだ隙に、記念コインの為に僕本体を中に入れよう。
スピカ・ネビュラスター
へえ、6thKINGはこんなところにいたのかあ
デビルキングだったっていうその力、見せてもらおうかな
(デビキン出身のラスボス)
主が欲しいというならなってあげよう!
7thKING『猟兵』の前に跪け!
キミは明日から四天王だ!
『ミューテーション・ダークマター』を使って
全身を暗黒物質に変化させるよ
そのまま敵の体表に沿って登っていこうか
薄く張り付くようにしていけば
自傷しないと攻撃はできないよね?
まあ、それでもビーム撃ってきそうだし
裏側に回ったりなるべく射線は避けていくよ
最上階展望台ってこいつの頭でしょ?
中で大暴れしたら普通に倒せるんじゃない?(邪悪)
……ま、今回は記念メダルで勘弁してあげようかな
一ノ瀬・漣
【一恋】
見て見てナオ先輩ー
やっばい何これウケる
超デカいw
これの最上階まで…駆け登るんだっけ?正気?
エレベーターないの?
先輩エクスブレインなんだし
なんかちょちょっと良い案出してよー
ナオ先輩の良いとこ見ってみったいー♪(手拍子
えー?んー…じゃあ…
アカペラでUC製の大きな板出し
空中浮遊で上まで行こーかな
先輩、これ乗って乗って♪
だーいじょうぶ大丈夫!落ちない落ちない!
オレも初めて試すけどー!w
うん、多分ねー!
おー!さっすがナオ先輩!(爆発眺め
ね?大丈夫だったでしょ?
先輩先輩!マジで記念メダルの機械ある!
あはははなっつかしー!
機械使ってメダル出し
なんか一緒に修学旅行来たみたいだねー♪
うん、今日の記念に!
恋前・直
【一恋】
テンション高いですね…漣
嘘だろ…(ぼそり
エクスブレインは引退しましたし僕はただのアラサーですし只のサラリーマンですから
くっ無茶ぶりを…!
手拍子されても出ないものは出ませんからね
頑張って駆け登りま、なんですかソレ、凄いじゃないですか!
笑い事なのか…くっ!
それでも信じるしか…!
恐々板に乗ってビビりちらし漣にしがみつく
落ちないですよね!?
ほ、ほん、大丈夫ですよね!?
UCで漣の【Smoke on the Water】を拝借
僕の声は細かな針になる
こっちにくるビームを防ぐ傘になるし
刺されば忽ち爆発します
記念メダル…
漣の様子につられて笑って
ああ、修学旅行
ありましたね…
名入れメダル貰って帰りましょうか
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『吾輩、次ノ主ヲ求ムルモノ也! 号外! 号外! 大号外!』
「ぜ~は~……いやーすごく目立つね……」
元帝都タワー、現エンシェント・レヰス『ビームスプリッター』が聳え立つ直ぐ近くの芝公園にて、
仕込みが終わり、自転車に寄り掛かりながらエルシェマリ・リブラ(紫晶の閃鞭・f35044)は息を整えると借りてきた拡張機をとりだした。
「超・超巨大古代生物『ビームスプリッター』! この大召喚士(予定)のアタシの仲魔にならねぇ?」
その声は幸いにもビームスプリッターの耳(?)に届いたようで。エルシェマリの呼びかけに応じたビームスプリッターの声がはるか上空から降ってくる。
『仲魔? 否、求ムルハ主ナリ! 仮ニ仲魔ニナッタトシテ、如何ナル利ガアルノカ説明ヲ求ム!』
びたんびたんと触手を動かし求める物は主であることを強調するビームスプリッター。
(「これが先の戦争の時に見当たらなかった噂のデビルキング……デカいな」)
目の前でうねうねと動く巨体に内心驚嘆しつつ、ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(仮)・f04080)が言葉を繋げる。
「無職なら私のところに来ないか? 福祉が揃ってるぞ!」
ヴィヴは眼鏡をちゃっとかけ直して力説する。労働条件はとても大事だ。たとえそれが悪魔とであっても主従関係を持つならば労働条件を明示するのが彼女の誠意。
「そうそう、三食昼寝付待遇、仕事は今まで通りこの世界の通信維持、即ち平和維持だ」
うさ耳を揺らしながら、サハリエ・ステーロ(時計ウサギの魔王・f37256)もそれに頷く。
「そうだな、配下になってくれるなら色々と報酬を出すつもりではいるが、まずは君の宿敵であろう幻朧帝イティハーサの討伐なんてのはどうだろうか?」
『疑問! ソレは汝ガ達成可能ナ提案ナルカ?』
「もちろんできるさ。まぁ、僕の軍だけではなく猟兵全体での討伐になるがね。君も余裕があったら参加するといい」
『全体?』
「ああ、猟兵の力は個はもちろんだが、最大の武器は一定戦力が揃っている事だ! これで私たち猟兵は全員7thKINGだぞ」
「つまり仲魔になるって事は猟兵と、この世界の民数十億人がお前の主だ」
「この世界を治めてきたのはここの国民であることは知っているだろう? ならこの国を治めるのに、君が使えるべき存在であるにふさわしいと思わないかい?」
『――主ヲ一人デハナク、複数トスルカ――』
猟兵達の提案をあらかた聞いたビームスプリッターは数秒動きを止め――
『面白イ! シカシ、チカラ無キモノヲ主ニ認メヌ! 故ニ、ソノ力ヲ『モダンボーイ』タル吾輩ニ示セ! 第六ノ猟兵ヨ!』
その声と共にビームスプリッターの体から無数の光線が放たれる!
「あら、やっぱり簡単には配下になってくれないの?ざんねーん」
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師ケイオト艶魔少女・f05202)は言葉とは裏腹にくすくすと不敵な笑みを溢す。
もとより説得だけで戦闘を回避できる相手ではない事は重々承知。
しかし猟兵が示した提案は前向きに捉えてくれた。後はビームスプリッターが提示した事に応えるのみだ。
『刮目セヨ! 6thKINGデビルキングニシテ超・超巨大悪魔ダイモンビヰムスプリッタァノチカラヲ!!』
「主が欲しいというのならなってあげよう。7thKING『猟兵』の前に跪け! キミは明日から四天王だ!」
ラスボス、スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)の宣戦布告が、公園内に響き渡った。
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「先駆けはアタシがやるよ!」
エルシェマリがすぐさま詠唱を紡ぎはじめると、瞬く間に帝都タワーの周囲が怪しく輝く。
「図体がデカいの幸いだな……宙の彼方より此の地に墜ちろ!」
びっとビームスプリッターを指し示した、次の瞬間。帝都の上空より直径17㎝弱隕石が飛来する!
『行動ガ早イ! ソシテ攻撃範囲ガ絞ラレテイルダト
……!?』
「このためにさっき色々と仕込んでいたのさ!!」
隕石といった技は特性上周囲をも巻き込むことが多いが降り注ぐ範囲をいち早く察したビームスプリッターが驚きの声を上げる。
隕石召喚「ミーティアライト」は威力こそ十分であるが、楔の予め仕掛けておいた複数の魔力で作った楔内という条件が必要になる。そのためビームスプリッターに声をかける前に自転車を使って気付かれない様にこっそり設置してたのだ。
『ヌオオオオオ!?』
条件を満たして降り注ぐ流星群はビームスプリッターの展望台に、体の至る所に傷を作っていく!
「さぁみんな行け! あとは任せる!」
その言葉を背に受け、猟兵達は体高2000mの踏破へ挑戦する!
「これの最上階まで……駆け登るんだっけ?正気?」
一ノ瀬・漣(Pour une infante défunte・f44080)が遥か上を見上げる。
どうやら帝都タワーもといエレベーターは無い様で。あったとしてもビームで集中砲火されてしまうであろうが。
「嘘でしょ……」
「なんかいい案ない? ほら先輩エクスブレインだったんだしー」
「無茶言わないでください!」
漣の提案に対し恋前・直(ナオ・f44006)が顔をぶんぶんと横に振る。
直は以前、サイキックハーツで事件の予知を行っていたエクスブレインだった。その時ならば頂上の力で解決の一手を探せたかも知れないが……とはいえ、今はその力も失われどこにでもいるサラリーマン。
「ナオ先輩の良いとこ見ってみったいー♪」
「手拍子されても出ないもんは出ませんからね!」
無理な物は無理なのだ。
「ああっ、空を飛べたら良いんですが」
「空かー……えー? んー……じゃあ……」
漣が伴奏なしに歌を口ずさみながら宙に足をかけると、足は地面につくことなく宙を踏みしめる。
「先輩、これ乘って乗って♪」
「頑張って駆け登りま、なんですかソレ、凄いじゃないですか! ……落ちないですよね!?」
「だーいじょうぶ大丈夫! 落ちない落ちない! オレも初めて試すけどー!w」
「全然大丈夫じゃないじゃないですか!?」
誘う漣の手を取り、直も見えない坂を上がる――それと同時に隕石を潜り抜けビームが飛来する!
飛来したビームは二人に着弾――する直前に爆発して消えていった。
「おー! さっすがナオ先輩!」
「じゅ、寿命が縮みましたよ……」
接触テレパスの力で漣のユーベルコードを使い、声を物質化し細かな針にする事で攻撃を防いだ直。安堵の息を吐く先輩をにこにこ見つつ、漣はすっと細く角ばった指を帝都タワーに向ける。
「それじゃあ、お先にどーぞ」
「感謝します!」
漣が作り上げた空気を固めた坂を、朱雀門・瑠香(
朱雀門次期当主・f22718)が感謝の言葉を置き去りにして自転車で一気に駆け上っていく!
「私が貴方の主となりましょう。貴方を制することで!」
『ソノ心意気良シ! 堅固ニシテ鋭利ナル決意ヲ抱キ、昇リツメヨ!』
瑠香に続くように、猟兵達は見えない足場からビームスプリッターの体へととり付くと各々と登り始める!
『ビヰヰヰヰヰヰム!』
ビームスプリッターから宣言通りのビーム攻撃が雨あられに降り注ぐ。
「ここは僕が!」
皆の前にラスボスマシンアーマーを展開したサハリエが経ち塞がり――ビームが直撃。
そして大・爆・破!
「「さ、サハリエー!?」」
落ちていくサハリエをどうこうすこともできず、猟兵達は再び前を向く。
「攻撃が激しい! ばらけながら登っていきましょう」
「分かった。それじゃあボクは影になっていこう」
ラスボス系の少女、スピカは全身を暗黒物質へと変化させ、触手の一つに取りつくと、体表に乗って登っていく。薄く張り付き移動することでビームが当たる面積を減らし、かつ自傷覚悟でしか攻撃が通らないと見越して。
「うんうん、見立て通り攻撃が薄い……」
『甘イ! 帝都タワー名物、タワー型クッキーヨリ甘イ!』
自傷をモノともせずに、ビームスプリッターはスピカが進むであろう場所へビームを放つ。爆発と爆煙が晴れると同時に設置せていたのはびりびりと痺れる罠と化した地面!
「わっ、とっと……!」
いきなり登場したトラップをジャンプしてギリギリのところ回避。
「危ない、危ない。気を付けて進んでいこう」
すぐさまに裏側に回り、射線に入らない様に慎重に進んでいくのであった。
ヴィヴの元にはジグザグと幾何学模様を描きながら襲い掛かる光線が飛来する。攻撃の軌道が読みづらい中攻撃をギリギリまで引き付け、懐から瓶を取り出し、中身を振りかけると……光線はポンと軽い音を立ててお菓子へと変貌する。
「おっ、雷おこしと黒い稲妻だ」
おやつ製造機の力でおやつになった元ビーム現雷おこしとチョコ菓子を頬張りなる。
「ビームスプリッター、これも福利厚生の一つだ。 私たちの元に来ればお菓子も食べ放題だ。ぜひ検討してくれたまえよ!」
次の攻撃が飛来する次の瞬間、ヴィヴは瞬間移動めいた動きで攻撃を回避していく。
「休憩もしながら自分のペースで進んでいこうか」
自分しか通れない次元孔を使いさくさくっと、ショートカットと休憩を重ね、どんどんと上へと目指していく。
無数の光線が猟兵に襲い掛かる。
「はぁっ!」
赤髪の少女が刃から放った衝撃波が半径130mの光線を凪げば、光線は地面に着弾する前に爆発していった。
(「さすが『超弩級戦力』の皆さん。凄い……」)
迫りくる攻撃を卓越した技術をいなしながらも、周りの猟兵達の攻撃への対応を見て、少女――瑠香の表情はさえない。
瑠香は名門朱雀門家の次期当主として名に恥じぬ活動をして自信はあるが、猟兵が現れた事によってその自信は揺らいでいた。それは、今もそうだ。
一瞬の俊巡。それを見抜いたか、偶然か光線が瑠香近くに着弾、爆発。
爆風に巻き込まれ瑠香の体と自転車が宙を舞う。
「――っあ!」
足場の一つに掴まると落ちていく自転車に後ろ髪をひかれる思いがありながらも瑠香は走る。
瑠香の瞳は真っ直ぐ上空を見据え、確かな足取りで一歩一歩、上へ上へと駆けていく!!
「私には私のできる事を……!」
今もこれからも他者と比較することはあるだろう。だからといって自分ができる事を放棄はしない。彼女は名門の次期当主にして、この世界を生きる少女なのだから。
確固たる決意を胸に、少女はひたすらに登り続ける。
『フム、最初ノ奴以外皆上ガッテ来タカ。大キナ口ヲ叩イタダケアル』
自身の攻撃を潜り抜け駆けあがってくる猟兵達を満足気に見下ろしながらビームスプリッターは更なる攻撃を加えようとした所……ふと、自身の上空に浮かぶ雲が気になった。
雲がかかる事などいつもの事であるのだが、なんだか妙に漫画チックなのだ。
「はぁ~い、お・ま・た・せ♪」
『ム、雲ガ喋ッタ!?』
「塔に擬態していた子に言われたくないわ」
卓越した化け術によってその体をカートゥーン属性の雷霆になったアリスがこの雲の正体。流石のエンシェント・レースもこれには気付けず、大きな苦も無くビームスプリッターの上を取ることに成功したのだ。
「精神世界には入れなかったけど……これであなたの超・超巨大に対処できたわね。あとはずぶ濡れになってお得意のビームを無効化しましょうね~❤」
雲に擬態したアリスは極地的な豪雨を降らせる。
『コレハ……マズイ!』
滝のような雨に慌てて輪っか型の光線を発して爆発を試みるも……雨によって屈折した光は大きな影響を与えることなく、ただの霧散していった。
「うふふ、濡れて手も足も出ないの、かわいい❤️」
くすくすと笑う少女の声が響いた。
『ムム、ダガシカシ! 吾輩ノ攻撃ヲ止メル事ハ……』
「フーハッハッハッ!! させないよ!」
サハリエの笑い声が響く。その声の位置は……帝都タワーと同じくらい。
『ナニィ!? 貴様ハ先ホド死ンダハズ……ハッ!』
「知らないのかい? 何も驚くことは無いさ。君が対峙しているのは偉大なる兎魔王サハリエ・ステーロなのだからね!」
サハリエは搭乗していたラスボスマシンアーマーを速攻で何回も何度も変身することで、身長は倍々に増えていき――最終的にはラスボスマシンアーマーがビームスプリッターとほぼ同じ大きさへとなっていた。
ちなみに近隣住宅に影響が出ない様に飛翔ギミックで飛んでいます。
まさかの自身と同じサイズの敵が出ると思っていなかったビームスプリッターが驚いている隙に、光線銃を握る手をマジックハンドギミックで抑え込む。
「という事で、皆今のうちだ!」
サハリエの言葉を合図に、猟兵達は展望台――ビームスプリッターの中へ潜入していく。
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展望台に入った猟兵達。部屋の真ん中には記念硬貨販売機が鎮座していた。
後は名前入り記念硬貨を貰うだけだ。
『ヨクゾココマデ来タカ第六ノ猟兵ヨ! 褒メテヤロウ!』
機械に近づくと、ビームスプリッター魔王らしいセリフが天井のスピーカーから響き渡る。
「ビームスプリッター、貴方の主に私はなりましょう。貴方はこの世界に必要なのですから」
瑠香の求めに、ビームスプリッターは満更でもない声色で言葉を続ける。
『猟兵ヨソノ思イハシカト吾輩の脳ニ記憶シタ……。
ダガソコニある、記念硬貨販売機ハ致命的ナ問題ガアル』
「致命的な問題……?」
『電源ガ無ケレバ硬貨ガ出ナイ。吾輩ガ電源落トシテルノデ』
ビームスプリッターがとんでもない事を言い出した。
もちろん彼はこれまでの熱い説得により、主になるか否かは別として、猟兵達の事は認めている。
いるのだが、純粋に勝負の負けを認めたくない模様。
「ズル……」「これがモダンボーイのやる事!?」
戸惑う猟兵達の中、スピカは近くにいたヴィヴに確認する。
「ねぇねぇ。最上階展望台ってこいつの頭でしょ?」
「そりゃあ……そうだろうね」
「この中で大暴れしたら普通に倒せるんじゃない?」
一瞬の、間。
ただ猟兵の間には「確かに」という空気が、ビームスプリッターからは今気づいた事実への焦りが滲んていた。
『コ、コレガ悪魔……?! サイキックハァツノ生マレナリ!?』
「残念。デビルキングワールド出身の、ラスボス系猟兵さ」
ざばー。
観念したのか、記念硬貨販売機からメダルが溢れ出た。
自分の分だけではなく、お土産分も確保できそうな量だった。
「……ま、今回は記念メダルで勘弁してあげようかな」
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「先輩先輩! マジで記念メダルの機械ある!」
「君は本当にマイペースですね……」
記念メダル機械を前にはしゃぐ漣に直もつられて笑う。
「機械使ってメダル出し。なんか一緒に修学旅行来たみたいだねー♪」
「ああ、修学旅行。ありましたね……」
武蔵坂学園の学生時代の修学旅行。あれからまだ十年も経っていないはずなのに、もう遠く懐かしい記憶なような気がして。
「……名入れメダル貰って帰りましょうか」
「うん、今日の記念に!」
名前入りのきらきらした帝国タワーの記念メダル。それは昨日でも、明日でも買えるだろう。
しかしこのメダル、猟兵の名前が刻銘されたメダルだけには、今日起こったビームスプリッターとの記憶がしっかりと刻み込まれているのであった。
大成功
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