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牡丹紅ムータンホン

#サムライエンパイア #ノベル

名雪・瑠珠




 漆黒の背景に火花が散る。
 無音の空間に小気味よい破壊音が奏でられる。
 大きな金棒が軽快に、リズムよく振られる度、カキーンッ ドコォーンッ とオブリビオンの偵察小型船たちはあれよあれよと闇の彼方に消えていく。

 ――宇宙船とは其処に住まう者たちの家であり家族も同然! 決して手出しさせぬのである!

 背後の民間船二つを守るように、小惑星の一つに仁王立ちする名雪・瑠珠。
 たまたま近くで、物資交換を行う宇宙船たちがあり。
 更にそこを狙う、隕石群にカモフラージュしたオブリビオンの小型船の存在を知り。
 訊いた瞬間、銀の髪をざわりと逆出たせた瑠珠は豪快に、俊足をもって、現場へ直行していた。

 再び、不審な軌道を描く小型隕石が幾つか向かってくる。
 闇夜に白を映えさせて、羅刹が舞う。
 無人船なのだろう、自爆も厭わぬ勢いで己や民間船へ特攻してくる様を捉えた瞳は、熱を昂らせ より鮮やかに。

 他人の物を欲するか。
 生あるものの命を欲するか。
 力を破壊にのみ使うというのか。

 ――笑止!

 大振りに一撃放った直後、瑠珠の居る反対方向から宇宙船に突進する敵船に気付いた。
「なんの! それでわたしを出し抜いたつもりであるか!」
 力は確かに破壊に適している。
 されど。
 奪うのみに非ず、守ることにもかなっていることに、こやつらは何故気付かぬのだろう。
 熱き生き様をより強固な芯に置いて。力強く地を蹴った。
 想いを力に、闘志を瞬発力に。
 宇宙船たちを飛び越し、敵船の眼前に躍り出た羅刹の足へ、闘志の輝きが収束していく。
 ――足棍・二式!
 超力籠った足からの一撃に、敵船はあえなく粉々になった。
 鈍く銀光する破片たちが飛び散れば、その一つが瑠珠の頬を掠め、赤い雫を宙に舞わせる。
 まるで花びらのように。
 傷になど一切構わず、そこにはやり遂げ凛と誇らしげに立つ満面の笑顔が在った――闇夜に咲く大輪の花の如く。


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(MSより)
「 花の王 」「 富貴ふうきの花 」と呼ばれ、古来中国においてずっと親しまれている国花――牡丹。
 どんな困難な場面であっても、力強い意思で立ち向かっていかれるイメージと、瞳に垣間見える貴き紫から、日本の控えめな花弁数のものではなく、幾重にも花弁纏う中国の牡丹を想像しまして。
 今回「紫帯びた赤色代表」として贈らせていただきました。少しでもお気に召して頂ければ幸いです。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年08月30日


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