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その桜の|業《カルマ》を断ち斬る為に

#サクラミラージュ #カルロス・グリード #デモノイド #桜シリーズ

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 サクラミラージュ、中央区の外れにあるその町に、1人のあまり見慣れぬ學徒服に身を纏った娘が訪れた。
 その娘は、憎々しげに周囲に咲き乱れる幻朧桜と、その町を歩く人々を見つめていた。
『如何に此が私の使命を果たす為には最善の方法だと分かっていても……」
 その為に、態々自分がこの様な地を訪れる事になるとは思っていなかった。
 ――あの様に楽しげに町を歩いている者達が憎い。
 そして、そんな自分を止めに来るであろう猟兵達が憎い。
 けれどもこれは……自分がしなければならない事だ。
 その為に女はこの地に|悪魔《デモノイド》達を連れてきたのだから。
 ――だが……その為には。
『……成程。此方の動きに気が付いた者達がいる様ね。……或いはあのユーベルコヲド使い達を食らわせる事で、新たなる可能性が開かれると言う事かしら』
 何時、気取られたのであろう。
 既に此方に急行して来ているユーベルコヲド使いの気配を何とはなしに察し、娘はこの町外れの人々と、そのユーベルコヲド使いごと、この場所を滅ぼさんと自らが率いてきた|悪魔《デモノイド》達に指示を下した。

 ――その深き憎悪と共に。


「……成程、この相手は……。これも多分、カルロス・グリードの差し金かな?」
 ――グリモアベースの片隅で。
 漆黒の双眸を閉ざしていた北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)が誰に共無くポツリと呟く。
 そのままゆっくりと彼が双眸を開けば、その瞳は蒼穹に彩られていた。
 その優希斗の様子に気が付いたのか、集まってきた猟兵達に向けて、皆、と優希斗が言の葉を紡ぐ。
「最近サクラミラージュで時々起きている、影朧達が与えられたデモノイド達が人々と都市を滅ぼす事件なんだけれど。その内の1つを俺も予知することが出来たよ」
 その優希斗の言の葉と共に。
 彼の懐から大アルカナのカードが現れ、その内の1枚が優希斗と猟兵の前に捲られる。
 捲られたそれは、死神の正位置。
「つまり、このまま放っておけばデモノイド達の暴走によって、中央区の中でもやや外れた位置にある住宅街の人々が殲滅され、その街自体も破壊される、と言う事だ。……まあ、この事件での問題はそれだけじゃ無いんだけれど」
 そう告げて。
 小さく嘆息を零し、軽く頭を横に振った優希斗が、実は、と言の葉を続けた。
「……このデモノイドによる無差別テロルを警戒して、帝都桜學府でもそこに所属するユーベルコヲド使いを斥候として出してくれていたんだけれど。その帝都桜學府所属のユーベルコヲド使いが、この町の危機に気が付いて、デモノイド達を止めて、人々を避難させるべく動いている。その人物の名は、雅人」
 ――それに加えて。
「サクラミラージュを放浪している桜の精、紫蘭と言う子もまた、此処のデモノイド達と接触する事になったんだ」
 ――雅人と、紫蘭。
 どちらもこのサクラミラージュでは何度か猟兵達と共闘した事のあるユーベルコヲド使いである。
 その2人が人々を避難させる一方で、デモノイド達と戦い、デモノイド達の中央区中心部への侵入を食い止めている、と言うのがどうやら状況の真相の様だ。
「そう言う意味では、状況は割と逼迫している。皆には、雅人や紫蘭達と協力して、直ちにデモノイド達を|救済《・・》して欲しい」
 そこまで告げたところで、不意に優希斗の表情に微かに翳りが宿る。
 不意に翳った優希斗の表情に猟兵達がそれぞれの表情を浮かべるのを見て、実は、と優希斗が言の葉を紡いだ。
「……このデモノイド達が、雅人や紫蘭を食らった場合、……デモノイドロードと呼ばれる存在に進化する可能性がある」
 ――デモノイドロード。
 それは、嘗てサイキックハーツ世界において灼滅者達が戦い、そして灼滅したデモノイド達の中でも『知性』を得たデモノイド達の呼称。
 もし知性無きデモノイド達が進化した場合、その被害がどれ程大きなものになるのかは、想像に難くないだろう。
「……如何してそう言うことが起きるのか。それは恐らく、今回、デモノイド達を操っている存在が原因だろう。だから皆には、町の一般人を守るだけでは無く、雅人や紫蘭をデモノイド達に食らわれない様にして欲しい」
 最も雅人にせよ、紫蘭にせよ、ある程度の自衛力はあり、猟兵達との連携にもある程度馴染んでいる。
 その為、協力して戦えば確とした戦力になるだろうし、そうで無くても、人々への被害を最小限に出来るだけの協力をして貰う事は可能だろう。
「このデモノイド達を操る主が、如何してそれ程までに人々を憎んでいるのか。それとも他に目的があるのか……その辺りは、デモノイド達を一度沈静化させた後であれば、調べる時間が出来る筈だ。幸いにもその近くに情報収集できるカフェーもあるみたいだしね」
 そこまで告げたところで、優希斗がもう一度軽く息をつく。
「厳しい……と言うよりは、少々厄介な戦いになるであろう事は明白だ。でも、皆であれば、この事件の真相を暴き、誰1人犠牲を出す事も無く、この事件を解決できると信じている。どうか皆、宜しく頼む」
 その優希斗の言の葉と共に。

 ――蒼穹の風が吹き荒れて……猟兵達がグリモアベースから姿を消した。


長野聖夜
 ――その悪魔達が望みし進化の可能性は。
 いつも大変お世話になっております。
 長野聖夜です。
 サクラミラージュシナリオをお送り致します。
 今回はサイキックハーツの設定がやや入り気味の若干変則的な内容になります。
 また、このシナリオは下記タグの拙著シリーズと設定を多少リンクしております。
 ですが旧作未参加者でも、参加は歓迎致します。
 参考タグシリーズ:桜シリーズ。
 今回の戦場は、サクラミラージュ中央区の外れにあるとある町です。
 此処を襲撃してくるデモノイド達を撃破し、彼等を操っていた者についての情報を得、そして撃破しテロルを阻止して下さい。
 尚、この町には現在、数千人程の住民達が居ます。
 このシナリオでは下記2人のNPCが参戦します。
 どちらかのNPCに協力すればプレイングボーナスとなります。
 また、この町の人々の避難誘導を手伝う事も可能です。
 どちらの協力を得るのかは名前の頭にあるアルファベットで指定頂けますと幸甚です。
 a.雅人
 帝都桜學府諜報部所属のユーベルコヲド使いです。
 諸般の事情でデモノイドの存在については多少知識があります(但し、過去作の知識迄はありませんし、知らせる必要もありません)
 雅人は下記①か②のユーベルコヲドを使用可能です。
 特に何も指示が無ければ②のユーベルコヲドを使用しますが、猟兵の依頼と条件がそろえば①のユーベルコヲドを使用してくれます。
 ①強制改心刀・閃
 【破魔と浄化と霊力】を籠めた【退魔刀による広範囲への一閃】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【邪心】のみを攻撃する。
 ②皆伝・桜花風斬波
 【刀】を巨大化し、自身から半径120m内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。

 b.紫蘭
 桜シリーズに登場してきた桜の精です。紫蘭は基本的にデモノイドについては知りませんが、ユーベルコヲドは①を使用します。
 但し、指示とプレイングの内容によっては②のユーベルコヲドを使用します。
 ①桜の癒やし
 【桜の花吹雪】を放ち、自身から100m半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。

 ②桜花の舞
 自身の装備武器を無数の【幻朧桜】の花びらに変え、自身から100m半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

 プレイング受付期間及びリプレイ執筆期間はタグとMSページにてお知らせ致します。

 ――それでは、最善の結末を。
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第1章 集団戦 『悪魔生物『デモノイド』』

POW   :    デモノイドグラップル
単純で重い【悪魔化した拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    デモノイドカッター
【剣状に硬質化した腕部】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
WIZ   :    デモノイドロアー
【恐ろしい咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:佐々木なの

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レイヴァ・エレウネラ
b
【通常攻撃無効】【鉄壁】(肉体)常時発動
まずは避難者の安全を確保しなきゃね!
龍眼を召喚してそれを避難誘導に使うよ。
私自身は、デモノイドの群れに単身突っ込んで大暴れすれば、敵の注目を引けるかな。

タフネスには自信が有るからガンガン殴り合いをして一体づつ倒していくよ!
倒したらすぐ次のデモノイドに狙われるくらいが丁度いいね。

いい感じに戦って避難者が離れていったらUCで一気に殲滅するよ!


火神・臨音
a
(優希斗の話を思い出し)
随分と頭の痛い話だな
これが現実になったら、と思った所で気持ち切り替え
指輪を嵌めている左手を一瞥後ぐっと握り締め臨戦態勢に

雅人の姿見つけたら声をかけ避難誘導のサポートに
近付く個体は炎熱纏わせた斬撃、蹴撃で応戦し数多ければ斬撃による衝撃波を撃ち込む

UC詠唱はデモノイドの咆哮に負けぬ程の声で
生み出した紅玉の欠片を一斉掃射して雅人に近付く奴らを撃ち抜き数が少なくなったら欠片で作り上げた槍を投擲

状況終了後、改めて雅人に挨拶
被害状況を確認
しかしこれだけの大軍を操って混乱引き起こすって
何だかどこまでも底が見えない沼の様だ

まずは情報の精査兼ねて頭も冷やすか(額に手をやり)

アドリブ歓迎


ウィリアム・バークリー
a.

お久しぶりです、雅人さんに紫蘭さん。
帝都を騒がせる|悪魔生物《デモノイド》、放っておくわけにはいきませんよね。

「全力魔法」氷の「属性攻撃」「範囲攻撃」「盾受け」でActive Ice Wallを展開。お二人とも、好きに使ってください。
他の猟兵の皆さんも、ご要望があればpriorityを渡します。

さてと。これが元は人間だったとはとても思えませんね。非道なことをするものもいるものです。
ですが、死ねば骸。この幻朧桜の咲く地なら、魂を輪廻の輪に還せる。それがせめてもの救いでしょうか。

ぼくも余ってる氷塊を砲弾にした「砲撃」で敵を削っていきましょう。
近接攻撃したいなら、この氷塊を抜けてきてくださいね。


フェル・オオヤマ
・心境
ここがサクラミラージュね。
世界が違ってもやるべきこと!それは悲劇が起こる前に食い止めて全員無事に帰還する!唯それだけ!

・行動
a
初めまして。貴方が雅人さんだね?私はフェル。よろしくね
まずはこの町の住民の避難誘導を手伝って貰っても良いかな?
私は空から逃げ遅れた人やデモノイドが近くにいて動けない人を探すから!
だけど無茶はしないでね!危なくなったら敵を足止めしつつ逃げるか叫んで呼びかけて欲しい!私が駆けつけるから!
と自己紹介と同時に避難誘導の補助を頼みます

右手にマインドリングを装備して指定UCを発動しておき
デモノイドが住民に攻撃しようとするのが見えたら我が身を盾にしてでも防ぎます
私は大丈夫!だから今のうちに誘導に従って逃げてください!

皆さん!ここは危険です!安全な場所に避難してください!
と翼飛行を用いて空中から呼びかけ、逃げ遅れた人がいれば補助します

雅人さんや紫蘭さんや住民に危険が迫れば駆けつけて攻撃を防ぐよう心掛けます

避難がある程度落ち着いたら攻撃に転じます

他キャラとの連携・アドリブ歓迎


ネリッサ・ハーディ
【SIRD】のメンバーと共に行動

お久しぶりですね、紫蘭さん。とはいえ、事態は急を要します。あなたの身に何かあったら、白蘭さんに合わせる顔がありませんから。

紫蘭さんの護衛に就きながら、UCの夜鬼を戦場上空へ飛行させ、周囲の敵の動きや住民の避難状況を把握しそれを全ての味方に伝える。

…グイベル01より各員へ。敵の攻勢を抑えつつ、住民を避難させるのが最優先事項です。その為に必要なあらゆる手段は、全て使用を許可します。

同時に、戦場周囲もUCの夜鬼にて探索し、デモノイド達を操っている首謀者の位置の特定を試みる。
恐らくデモノイド達をコントロールしている首謀者は、この状況を正確に把握できる場所にいる筈です。


ラムダ・マルチパーパス
SIRDの皆様方と共に行動

おや、デモノイドがこの様な場所に。おかしいですねぇ、これも何か裏があるのでしょうか?とはいえ、まずは住民の安全を確保しないといけませんねぇ。

局長様が伝える敵の分布や住民位置情報を元に、逃げ遅れている住民がまだ残っていると思しき場所へ急行、避難誘導を行う。その際、デモノイドに襲われた場合は、UCを発動して住民の盾となり、避難する迄の時間を稼ぎます。

このデモノイド達を操っている存在がいる可能性が高いですね。わたくしのアーカイブデータから、過去の類似する状況や事件などを検索し、現在の状況と照らし合わせデータ解析を行い、このデモノイド達を操っている存在の位置の特定を試みます。


エルゴ・ルスツァイア
【SIRD】
アドリブ、連携歓迎
a.雅人

単に市民を襲うデモノイドを殲滅すれば万事解決って訳でもないみたいだな。避難の時間稼ぎも兼ねて、動きを遅らせるか止めるかして隙を作ろうか。

今のワタシには、機動力が有る。活かさない手は無い。
ジャンプキットの補助で以て建物を跳び越え、全力ダッシュで市民を襲うデモノイドの群れへと一直線に急行する。
その勢いのままラッチから掴み取った閃光手榴弾を連続投擲し、LR.35で脚を撃ち抜き行動を阻害。

此方としては、元凶の情報を少しでも得たい。帝都桜學府の人なら、改心させる力が有ると聞くが……出来るか?
(①のUC使用を依頼します)


馬県・義透
【a】
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:白雪林

デモノイド…ええ、一の姉である風花も夢で見たことがあると話していましたが…。
そして、元人間だった、とも。

それが集団となると、驚異の一言ですね。
ならば…その集団の時を凍らせてしまえばいい。UCにて、それを成しましょう。
こうすれば、ある程度の被害は抑えられましょうし、猟兵仲間はもちろん、雅人殿も戦いやすいのでは?と思いましたので。
…ここで止めなければ、悲劇が拡大してしまいますからね。


陰海月と霹靂は、避難誘導に動いています。


彩瑠・姫桜
行動優先順:雅人さんの護り>住民の護り・避難誘導>攻撃

雅人さんは他の仲間の護りの手もあるだろうけど
万一の場合は、身を挺して庇えるように近くには居たいところね

避難誘導はルート情報確保されているか情報すり合わせできたらいいんだけど
このあたりは、あお(f06218)や他の仲間とも連携しながら臨機応変に対応するわ

護り・防御→[かばう]、[武器受け]対応
負傷者にはUCと[オーラ防御]併用する

攻撃→ドラゴンランスで[串刺し]に


デモノイドってパパ…じゃなかった、父のいる世界の敵なのね
世界を越えて来ているっていうのは気になるところだけど
細かいことは後で考えることにして
今は目の前のことに専念するわ


榎木・葵桜
行動優先順:紫蘭さんの護り>住民の護り・避難誘導>攻撃

避難誘導は、仲間の皆で経路をあらかじめ確認してから動きたいな
ここは例によって、たくさんの人が収容できる、学校とか公民館とかかな?
意見はすり合わせして臨機応変に動くよ!

あと、姫ちゃん(f04489)と、他の猟兵仲間とも連携するね!

護り・防御→UCで強化後に[かばう]、[武器受け]、[見切り]で対応
攻撃→[なぎ払い]、[衝撃波]、[範囲攻撃]併用


姫ちゃんは、紫蘭さんと雅人さんの両方を守りたいんだろうけど
さすがにそれは無理だから分担させてもらったんだ
私は紫蘭さん、姫ちゃんは雅人さん
もちろん住民の皆さんの安全だって大切
頑張って、皆で護り切ろうね!


彩瑠・さくらえ
世界を違えても、彼らは結局いいように使われてしまうのか…
(複雑な想いで彼らを見つめ、目を細める
自分達の世界でもそうだった)
僕らの世界の敵がここに現れている理由はわからないけれど、
できる限り、彼らに人を殺める業を重ねさせたりはしたくないかな
住民を護りつつ、彼らを葬れるように動くようにするね

行動優先:住民の護衛・避難誘導>攻撃

護り・防御→前に出てUCと[オーラ防御]併用
敵の攻撃は妖の槍での[受け流し]で対応

攻撃→断罪輪使用し頭部を目掛けて攻撃
可能な限り苦しみが最小限になるように葬ってやりたいかな

現地で合流する猟兵達と可能な限り連携し対応
特にこだわりはないから、手が必要なところに回るよ


灯璃・ファルシュピーゲル
b.紫蘭に協力し【SIRD】一員として密に局長達に連携
●事前に軍用の携帯無線機を複数用意し味方の無線網を構築

この世界も依然としてテロの嵐が吹き荒れてる様子ですね…どういう動機か知りませんが、無差別テロなんて自分達を貶めるだけだと思いますが。

先ずは局長や仲間達と一緒に紫蘭さんに合流、紫蘭さんや出来れば雅人さんにも準備した無線機を渡し連絡網を確立。局長が警護態勢に入ると同時に、自身は近隣の高い建物等の高所に陣取り構え、狙撃監視・支援態勢に入ります。(偵察)
敵部隊を確認次第、(先制攻撃・2回攻撃)で武器化した腕部と咆哮攻撃をしようとする口狙いで狙撃し圧力を掛け、侵攻の足を鈍らせて市民避難の時間稼ぎと味方防衛線への突撃破砕を図ります(スナイパー・鎧無視攻撃)

敵部隊の足が鈍ってきたら、紫蘭さんの桜吹雪に呼応しUCで桜柄迷彩の小型自爆ドローンを大量作成し投入、舞い散る花弁に紛れて接近させ至近距離で頭部狙いで次々に自爆させて、狙撃と同時に面での制圧を狙うよう戦います。

※アドリブ・絡み歓迎


クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
今回は真剣口調で話すよ

以前から可能性はあると思ってたけど、サクラミラージュでもデモノイドロード出現の可能性が出てきたね
…いや、まだ表に出てきていないだけで、もう既にロードがいる可能性もあるか
どうあれ、知性無きデモノイドを統率できる指揮官が増えるのはまずいね
可能な限り、対処しないと

a
雅人ちゃんに協力するよ
【団体行動/救助活動/コミュ力/精神の余裕】で町の人々の避難誘導を行いつつ、デモノイドを倒すね

UCは『クローネちゃんのアイスエルフ軍団★』
約半数を避難誘導に当てて、残りの子と共に戦うよ
アイスエルフちゃんは【ブレス攻撃/凍結攻撃】による氷の吐息と【武器を投げつける/凍結攻撃】による氷結輪攻撃で攻めるよ
ワタシは長ドスによる【切断】攻撃とネクロオーブによる【エネルギー弾】攻撃を使い分けて戦うね
敵の攻撃は【第六感/野生の勘/心眼】で避けるよ
もし一般人や雅人ちゃんに攻撃が当たりそうな場合は可能な限り【かばう】よ


館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

デモノイドも影朧であれば、斬るだけなんだが…違和感が付きまとうな
…一体、どういうことだ?

俺は避難誘導が円滑に進むように
囮も兼ねて遊撃隊に回ったほうが良さそうだ
避難誘導は他猟兵に任せよう

あえて蒼穹の「オーラ防御」で守りを固めた上で指定UC発動
デモノイドたちの隙間を縫うように「ダッシュ」でジグザグに駆け回り
黒剣で浅く斬りつけながら気を引こう
痛みにどこまで反応するかは未知数だが
知性が無いというなら多少は見込める…か?

集まってきたら黒剣に聖属性の「武器に魔法を纏う」後
デモノイドカッターを「視力、見切り」で軌道を見極め避けながら
「2回攻撃、範囲攻撃、衝撃波」で一気に薙ぎ払う!


森宮・陽太

【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

…あのさぁ
なんで俺がガヴェインで空中散歩している時に限って影朧事件が起こるんだぁ!?
っつーわけでガヴェイン、また行って来るからよ
そのまま光学迷彩を維持しつつ空中からデモノイドの出現範囲を探ってくれ
…アレの出所は俺も気になるしよ

現場に到着したら雅人から状況を聞き出しながら
デモノイドロアー対策に手近なデモノイドの喉を「属性攻撃(炎)」で灼熱化した二槍で「ランスチャージ、串刺し」で突き刺し声を封じっか

…だが、ちぃと気になる
このデモノイドたちは、一体誰の意思で動いている?
指定UCで生成した翠石の雷針をデモノイドに刺して
奴らの感情と思考を読んでみよう
一時的に俺が無力化される可能性もある、賭けに近い行動だが
行動原理がわかれば何か手を打てるかもしれねぇ

破壊しか考えてねぇならそのまま麻痺させるが
もし、奴らが救済を求めているなら…雅人に【強制改心刀・閃】の使用を要請し浄化してもらおう
その場合だけ、俺も【悪魔召喚「アスモデウス・浄炎」】で浄化を手伝うぜ


藤崎・美雪

【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

雅人さんと紫蘭さんが現場に駆けつけるなら
手を貸さぬわけにはいかんだろう
というわけで助太刀に馳せ参じたぞ
…まあ、相変わらずできるのは舌戦と歌だけなんだけどなぁ

お二方、ご息災なようで何より
状況は把握しているゆえ、助力いたそう
とりあえず、最も近い避難に適した場所をお二方からお聞きして
其処に一般人を誘導するか
避難対象が数千人となると骨が折れそうだが
きっと誰かがデモノイドの足止めをしてくれるだろ(変な信頼感

一番厄介なのは、避難中に背後からデモノイドロアーで咆哮を放たれることだな
たとえ効果範囲外であっても、咆哮そのものはもっと遠くまで届くだろうから
咆哮を耳にし動けなくなる一般人もいるやもしれぬ
ゆえに「歌唱、勇気」+指定UCで皆を勇気づける歌をグリモア・ムジカから流しつつ避難を促す
紫蘭さんも【桜の癒やし】でデモノイドを眠らせつつ、避難の手助けをしていただけると有難い
…私の羊は逆に避難の妨げになりそうで、この状況ではちょっと出せんからな(汗


クラウン・アンダーウッド
b
お久しぶりですね。紫蘭さん♪
後でゆっくりお茶でもどうですか?

一先ずは住民の避難誘導っと。
カバン型移動工房より人形楽団を招集し避難先へ向けてマーチングバンドさせる。
周辺住民の皆々様、落ち着いて人形達に続いて避難して下さい。皆さんの安全はこの道化師、クラウンがお約束いたします♪

紫蘭さん、一緒に脅威の排除と洒落込みませんか?
業火を蝶々の形に変えて、周囲にからくり人形達と共に展開させる。
エスコートはお任せを。紫蘭さんには指一本触れさせませんよ♪

からくり人形で牽制し誘導することで分散している敵をまとめさせて、攻撃を誘発させる。
クラウン本人は紫蘭さんを徹底守護し、味方を癒やしていく。


勝沼・澪
異界に屯する同種の姿を見に来させてもらったよ。もちろん見学だけでなく阻止もするさ。

唸り声と共に振るわれる巨大な拳を【サイコキネシス】で拘束して、デモノイドの顔面に直撃させる。地面を破壊するほどの威力を柔い肉体がどれだけ硬くなろうと耐えられるわけがないだろう? 万が一止めきれなくとも体を液状化させて受け流せばいい。

おっと、私に警戒をしないでくれたまえ? あれと同種ではあるが、同類ではないからねぇ。


文月・統哉
a)
優希斗は救済を願っていた
そうだね、俺もまたそう願い戦いたい

先ずは雅人達と合流しよう
久々に会えて嬉しいけど、挨拶はまた後でかな
事は急を要してる、協力して欲しい事があるんだ

デモノイドについてどういう認識でいるのか
情報共有を行った上で
雅人に強制改心刀・閃の使用を頼みたい

あの青い怪物も元々は人であったらしい。
デモノイドに寄生されて理性を失っているけれど、
それでも魂はそこにあるのかもしれなくて。
ならば彼らの中の邪心、寄生するデモノイドだけを倒す事は出来ないだろうか。
既に手遅れかもしれないし、元よりそれが救いになるのかも分からない。
それでも試せるだけ試してみたいんだ。
そして奴らは雅人や紫蘭にも寄生しようと狙ってる、気を付けて。

勿論最優先するべきは人々へ被害が及ばぬ事だ
避難誘導に動く仲間とも連携して
オーラ防御を展開、放たれる咆哮を封じ込めながら
雅人や紫蘭が狙われたら庇いフォローしつつ
俺もまた願いの矢を使用する

彼らの魂が、侵食するデモノイドに屈する事なく
自らの魂を取り戻す事が出来るように、祈り願って


有城・雄哉
【POW】
アドリブ連携大歓迎

…なぜ、デモノイドが|別世界《サクラミラージュ》に?
ここに呼び寄せた奴がいるとしか思えないが
ならばなぜ、わざわざデモノイドを…?

現地のユーベルコヲド使いを喰らって進化するなら…倒すしかない
避難誘導は他猟兵に任せて、僕も殴りに行こう

できるだけ1対1になるような位置取りを心掛けつつ
隙あらば身を屈め奪取しながらデモノイドの懐に飛び込み
至近距離から「グラップル」+指定UCで超高速の拳を叩き込んでやる
デメリットの命中率低下は、密着することである程度までカバー

反撃のデモノイドグラップルは、できれば拳を合わせて弾き飛ばしてやりたいけど
難しそうなら素直に動きを見切った上で後退しよう


文月・ネコ吉
b)
デモノイド寄生体か、また厄介な状況になったものだ
何となく他人事とも思えなくて
俺も加勢させて貰いたい

今回の事件がいつもと違うのは
相手が影朧ではなく
単なるオブリビオンでもなく
デモノイド寄生体だという事だ
理性はなくとも元は人間、何とか出来る手はないだろうか

仲間と協力し人々の避難を誘導
オーラ防御展開し防御を担い
敵が紫蘭への寄生を狙うなら庇う
その上で可能なら紫蘭に頼みたい事がある

桜花の舞は『指定した全ての対象』を攻撃する
あの青い怪物の中の『寄生体』部分のみを攻撃する事は可能だろうか
境目の見極めは俺も手伝おう
強制共生弾を使用して寄生体部分を見極め麻痺させる
上手くいくかは分からんが
試すだけは試してみたい




 ――サクラミラージュ中央区やや外れのとある街。
「くっ……あれがデモノイド……情報は入っていたけれど……あの数は、流石に……」
 現れた蒼い無数の|悪魔《ダイモン》達の群れを見て、素早く退魔刀の濃口を切った黒髪の頬に傷を持った青年が青眼にそれを構えて、目前のデモノイド達を睨み付けている。
 その雅人の無線越しに。
「雅人……この子達は……?」
 そう不安げな娘の言葉が漏れてきて、青年はその娘……紫蘭に大丈夫、と宥める様に声を掛けながら、思考を進めていく。
(「一先ず、帝都桜學府諜報部に一報は入れているが……此処でこのデモノイドとやらを食い止めないと、都市の中心部に大きな被害が……」)
 ――とは言え。
 今の自分の能力で出来るのは、少しの間でも人々が避難できるだけの時間を稼ぐこと。
 出来れば住民と一緒に紫蘭も逃がせれば上々だが……。
(「僕だけの手じゃ、時間も戦力も、何もかもが足りない。諜報部の応援が来るのにも未だ時間は掛かるだろうから、果たしてそれまで凌ぎきることが出来るかどうかか……?」)
 そう青年が内心で覚悟を定めた……その時。
「……あのさぁ」
 不意に上空から。
 何やら天に向かって空から唾を吐いている様な微妙に呪詛めいた響きと共に。
「なんで俺がガヴェインで空中散歩している時に限って影朧事件が起きるんだぁ!?」
 そんな、絶叫と共に。
 取り敢えずガヴェインに光学迷彩を維持して貰い、空中からデモノイドの出現範囲を探って貰いながら。
 まるで天から降り注ぐ流星の如き炎熱を纏った淡紅色と濃紺の槍が伸長し、今にも雅人に襲いかからんとしていたデモノイドを貫く。
 突然の絶叫と共に上空から降り注いできた人影に青年が一瞬呆気にとられたその隙を突く様にして。
『グルオオオオオオオッ!』
 咆哮と共に、雅人の左側面から雅人に剣状に硬質化した腕部で、雅人を叩き斬らんとしたそのデモノイドに向かって。
「悪いけれど……雅人さんはやらせないわよ!」
 その叫びと、共に。
 その硬質化した剣状の刃を受け止める様に白と黒の二槍を十文字に交差させた金髪の娘が割り込んでいく。
 その娘と、目前の無数のデモノイドの内、1体を貫くと同時に炎で焼き払っている青年の姿を見て……。
「……姫桜さんに、陽太さんか!」
 そう青年、雅人が現れた森宮・陽太と、彩瑠・姫桜に向けて安堵した様に声を掛けるのを聞いて。
「こう言う言い方も変なんだけれど……遅くなってごめんなさい」
「つうか、何なんだよ、この圧倒的なデモノイドとか言う奴等の数!? 明らかに雅人だけで対応できる様な数じゃねぇだろ!?」
 と姫桜が短く謝罪し、陽太が思わずと言った様に怒号の叫びを上げるのを見て、雅人もああ、と小さく首肯を1つ。
「……実は、デモノイドとやらの出現の話は何件か帝都桜學府の方にも上がっているから、僕も哨戒任務に出ていたのだけれども。この規模の話は、あまり耳にしてないんだ。……数千人の人々を護りながらとなると、流石に僕達だけではとても……」
 そう雅人が陽太達に簡単に状況を説明するその間に。
『グルオオオオオオオオオオッ!』
 無数のデモノイド達が散開陣形を取り、一斉に魂を削らんばかりの恐ろしい咆哮を発し、先行して到着した陽太や姫桜ごと、雅人と住民達を纏めて屠らんとした……その時。
「紅玉の輝きが変じし不変不滅の炎の舞、ぼやぼやしてたら只じゃすまねぇぞ? ……忠告は、したからなぁっ!」
 そのデモノイド達の咆哮に勝るとも劣らない程の雄叫びが戦場を叩く様に響き渡り。
 同時に、112の紅玉の欠片型の炎が、その音を発したデモノイド達を牽制する様に衝撃に纏われて、放たれる。
 その咆哮の揺らぎを僅かに拡散させんばかりの勢いで放たれた紅玉の欠片型の炎を火神ノ社ノ御神刀に纏わせた男……火神・臨音が思わずと言う様に舌打ちを1つ。
「ったく、優希斗から聞いた随分と頭の痛い話の原因を探ろうと思って来たら、もうドンパチが始まっているとはな。……まあ、未だ優希斗の話が現実になっていないだけマシなのかも知れないが」
 炎を纏った大太刀から紅玉の欠片型の炎を解き放った臨音が軽く頭を横に振って呟きながら、左指に嵌め込まれたDaysOfPromiseを一撫でする。
『永遠の愛』の宝石言葉持つ小粒のダイヤの嵌め込まれたその指輪がキラリ、とそんな臨音の呟きに反応する様に銀の輝きを発しているその間にも。
「でも! だからと言って、皆をやらせる訳には行かないんだよ! 例え世界が違っても……私がやるべき事は変わらない! 悲劇が起こる前に食い止めて、全員無事に帰還する! それが、私達の役目なんだから!」
 そう叫び声を上げると同時に。
 上空にいたフェル・オオヤマが右の薬指に填めたInfinity Fantasistaから、眩く白く光り輝く光輝を伴うリングから円盤状の光の盾を両義宿手【寂滅護】の上に展開し。
 それから咆哮の範囲内からは幸いにも免れていた町民達の盾となるべく、上空から銀の雷光の様に舞い降りて大地に立ち。
 仲間の咆哮による負傷を気にした様子も無く肉薄してきたデモノイドのその手を剣状に硬質化させて解き放った斬撃を受け止めた。
 突然の攻防に驚いてへたれる様に腰を落とした自分の背後の市民達に向けて、大丈夫だよ、とフェルは笑みを向けた。
「私達は超弩級戦力! 私達が来たからには、皆の安全は必ず守り抜いてみせるから! 避難を急いで!」
 そのフェルの言葉に住民達は安堵する様にしつつ、それでも何処か落ち着かない様子で周囲を見回すとそこにいたのは。
 蒼い|悪魔《ダイモン》達の包囲せんばかりの群れ。
 それがじりじりと躙り寄ってくる状況では、住民達が直ぐに逃げ出すことは……。
「出来ないことは分かっていますよ。況してやデモノイド……私の一の姉である風花も夢で見たことがある、元人間だった存在の無数の群れがこの町を包囲する様に動いているのであれば、尚更です」
 その言の葉と共に。
 不意にフェルの上空に差した霹靂……グリフォンから1人の男が飛び降りながら、白い雪を思わせる様な長弓に矢を2本の矢を番えて、ひょう、と射る。
 まるで白雪を思わせる美しき2本の龍型時空凍結矢が、直線的に滲み寄る無数のデモノイド達の足下に一本ずつ地面に突き立つと同時に。
 ――轟、と吹雪の様に風が吹き、それに散らされる様に舞った幻朧桜の花吹雪が、周囲のデモノイド達の『時』を凍てつかせる様に一時的に止めている。
 その龍型時空凍結矢を見た、フェルが。
「……っ! 義透さん、あなたも、雅人さん達を助けに来たの!?」
 そうフェルが問いかけるのに、そんなところです、とその矢を射った馬県・義透と言う術式人格を構成する四悪霊が1人――『静かなる者』、梓奥武・孝透が静かに首肯する。
「此でも雅人殿や紫蘭殿とは縁がありますので。嘗て人であったデモノイド達が雅人殿達や数千人の人々を襲わんとするのであれば、助太刀するのも当然です」
 そう穏やかな口調で告げる義透が視線を向けたのは、臨音達と共にいる雅人の方。
 その雅人も、時間を一時的に凍結されたデモノイド達の様子を姫桜達と共に確認しながら、直ぐに次の対応へと回るべく既に連絡を取り始めている。
(「……成程。私達超弩級戦力と異なり、雅人殿は現地民。手さえあれば、予め人々の避難経路やルート、避難先を予め用意できるのは当然と言ったところでしょうか」)
 そう義透が内心で呟き、フェルと共に住民達を護衛しつつ、次の手に移ろうとした、その瞬間。
「グルオオオオオオオオオオッ!」
 義透の時間凍結を逃れたのか……それとも、無理矢理時間を動かしたのか。
 義透達の死角から現れたデモノイドがその剣と化した腕部で義透とフェルを纏めて貫こうとした……その時。
「此方、ジェイド43。此より作戦を開始する」
 そう軍用通信機越しに、淡々とエルゴ・ルスツィアがグイベル01に連絡を取りながら、そのデモノイドの後方の建物から。
 腰部に装備したTYPE-M.RDE ジャンプキットのスラスターを吹かせて建造物の壁面を蹴って跳躍し……そして。
「単に市民を襲うデモノイドを殲滅すれば万事解決って訳でもなさそうだが……雅人さんに合流する為にも、先ずは周囲のデモノイド達の動きを阻害しなければ」
 呟きと共に、背中のTYPE-GS グレネードラッチから閃光手榴弾を掴み取って投擲。
 かっ、と義透とフェルの目前で弾けた閃光と大轟音によって、臨音に阻害されたにも関わらず、間断無く放たれようとしている咆哮を掻き消しながら。
「……Fire」
 呟きと共に、TYPE-LR.35 オートリニアライフルの引金を引くと。
 ――ズキューン!
 と言う鋭い銃声が鳴り響いて義透達を襲わんとしていたデモノイドの足を撃ち抜き、その場に如何、とデモノイドが崩れ落ちたところで。
「……雅人さんや紫蘭さんに挨拶をするよりも先にデモノイド達に接敵することになるとは……! どうやら、相当な数の様ですね……! 兎に角、合流を急がないと……!」
 そう呻いたウィリアム・バークリーが、デモノイドの側面に蒼穹の風と共に姿を現し、左手で空中に白と緑の綯い交ぜになった魔法陣を描きながら、右手でルーンソード『スプラッシュ』を抜剣。
 詠唱しながら反射的に『スプラッシュ』を突き出し、エルゴによって動きを止めたデモノイドの心臓を貫き穿ち、止めを刺す。
「雅人さんに可能であれば、デモノイド達を改心させて情報を聞き出して貰おうと思ったが……!」
 そう呻く様に呟くエルゴのそれに、いえ、と義透が軽く頭を横に振り。
「残念ながら、既にデモノイド化してしまった相手を人間に戻すことは不可能だと……そう、一の姉である風花が見た夢でも言われていたそうです。……此がもし、未だデモノイド化したばかりであれば救えた可能性はありますが……」
 そう沈痛そうに呟く義透のそれを。
「……そうだね。既に完全にデモノイドと化した存在を救う事は、如何にワタシ達でも不可能だよ。……況してや此程までに統率した動きを取らされているデモノイドであれば、尚更だね。その事実は……残念だけれど、私の|記憶《過去》に鮮明に残っている」
 引き取る様に姿を現したクローネ・マックローネが告げるのに、そうか、と悔しげに呻き声を上げるエルゴ。
「……では、もしかしたら人に戻せるかも知れないと言う理由では、雅人さんとやらでも動いてくれる可能性は低いのか」
 悔しげなエルゴのその言の葉に被せる様に。
「でも……優希斗は、このデモノイド達の救済を願っていた」
 ――不意に。
 ウィリアムと同時に姿を現した文月・統哉が軽く頭を横に振りながら告げるのに。
「……統哉さん」
 そうエルゴが返すのを聞いて。
 つまり……と統哉が軽く頭を横に振り、言葉を続けた。
「彼が望んだ救済とは、恐らくこの世界における影朧達と同じ様な|魂《・》の救済……転生のことなんだろう、と俺は思う。ならば、雅人がこのデモノイド達に対してどう言う認識を持っているのか……そして、デモノイド寄生体によって理性を失っているデモノイド達に宿っているかも知れない魂を救うために、『邪心』の源……寄生体だけを浄化することは出来ないか……それを聞いてみる必要はあると俺は思う」
 その統哉の言の葉に。
「それを試すことは出来るかも知れないけれど。先ずは、一般人である皆の避難と雅人さん達と合流しないと私達も最善を尽くしたとは言えないと思うよ!」
 そう空中に戻ってすかさず叫ぶフェルのそれに。
「……了解した。どちらにせよ先ずは、紫蘭さんの方に向かった局長達の状況に連絡と、市民達の避難を急がなければ……!」
 そうエルゴがやむを得ぬ、と言う様に首肯を行うと同時に。
 通信機を素早く起動し、上空へと夜鬼を飛ばし、俯瞰して戦況を見定めようとしているであろう局長……ネリッサ・ハーディに指示を仰いだ。


 ――丁度、その頃。
 無線で大丈夫、と雅人に告げられた紫蘭だったが、その連絡が不意に途切れてしまった事にかつて無い程に不安に晒されていた。
(「雅人……」)
 ――私にとっての大切な人は、皆は無事なのだろうか。
 そう考えを張り巡らしながらも、自分と周囲の人々をじりじりと追い詰める様に姿を現したデモノイド達の姿に。
「貴方達は、どんな未練を……悲しみを抱えているの?」
 そう声なき咆哮を上げるデモノイドに向けて、そっと労る様に言の葉を紡ぐ紫蘭。
 その紫蘭の言葉をまるで掻き消すかの様に。
『ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲッ!』
 と、紫蘭の居る戦場そのものを揺るがさんばかりの恐ろしい咆哮をデモノイドが上げ紫蘭と市民達を纏めて打ちのめそうとした、その時だった。
「本当ならば、姫ちゃんは雅人さんも紫蘭さんの両方を守りたかったんだろうけれど……!」
 その誓いの言の葉と共に。
 自らを神霊体と変身させた榎木・葵桜が、紫蘭の前に立ちながら朱色地に金装飾の薙刀を振るって一閃したのは。
 その一閃に沿って、リン、リン、とその柄に取り付けられた魔除けの鈴を高らかに鳴らして、デモノイド達の恐ろしい咆哮を少しでも緩和する様にしながら衝撃の波が解き放たれ。
 それが、数体のデモノイドを叩く様に打ちのめし、その動きを微かに鈍らせたその瞬間を狙う様にして。
「先ずは避難者の安全を確保しなきゃ行けないから……えええええいっ!」
 その雄叫びと共に。
 ショートボブでやや童顔だが、巨乳の美少女レイヴァ・エレウネラが吶喊し、闇を纏った右拳を、常人離れした膂力で振るい。
「続けて……こっち!」
 更にダメ押しとばかりに光を纏った常人離れした膂力伴う左腕で薙ぎ払う様にデモノイドを殴り飛ばした所に。
「……何故、デモノイドが|別世界《サクラミラージュ》に? ……此も先輩が言っていた、カルロス・グリードとやらが呼び寄せた存在なのか……?」
 その微かな懸念を口に出しながら。
 自らの全身に纏った蒼穹を両拳に宿して、正拳を叩き付ける様にする青年。
 その青年……有城・雄哉の呟きに。
「まあ、|異世界《UDCアース》の|姫桜《娘》が|世界中《・・・》を駆け抜けて戦っている訳だから、あり得ない話ではないとは思うけれどね……雄哉さん」
 まるで、デモノイド達を哀れむかの様に。
 閃光百烈拳を叩き付けている雄哉に続いて拳をデモノイドに繰り出す、レイヴァをも補助する様に想鏡――己が過去も、今も、罪も、闇も……全てを受け止めると言う誓いと共に鏡に映した玻璃色の光――を防衛結界と変化させて展開させていた彩瑠・さくらえが粛々と告げる。
 ――その胸中に宿るデモノイド達への憐れみは、決して消えることは無いけれども。
「……成程。此が、私が憧れてきた|灼滅者《ヒーロー》達の力……」
 自分よりは一回り程上の男……さくらえが張り巡らした玻璃色の結界に籠められた想いをその身に受けながら。
 自らの体の一部がデモノイドと化しているデモノイドヒューマンの少女……勝沼・澪がほう、と嘆息する様に言葉を紡ぎ。
 同時に澪がさくらえの玻璃色の結界によって速度を減じられたデモノイドが振り上げた拳を見えないサイキックエナジーを解き放って捉え。
 同士討ちを誘う様にそのデモノイドの拳を他のデモノイドの顔面に直撃させてよろめかせ、何とか自分の位置取りを確保しつつ頭を横に振った。
「……異界に屯する同種の姿を見学させて貰うのと一緒に阻止もさせて貰うつもりだったけれども……私1人じゃ、とてもじゃないけれど手に負えなかっただろうな、この数は」
 そう嘆息する澪の姿を見て、紫蘭があっ、と思わず息を飲む。
 ――あの女の子も、デモノイド……?
 そう紫蘭が感じ取り咄嗟に桜の癒やしを発動させて、新たに現れた敵か味方か直ぐに判断の付かない澪やデモノイド達を眠らせようとした、その時。
「紫蘭、大丈夫だ。あの子は俺達と同じ、超弩級戦力だ」
 そう眉間に眉を寄せながら。
 不意に紫蘭の肩腰に掛かったその声を聞いて、紫蘭が驚愕と懐かしさを感じさせる様に思わず息を飲み、其方を振り向く。
 振り向けばそこに居たのは……。
「お久しぶりですね、紫蘭さん。一先ずあなたが無事で良かった。あなたに何かあれば、白蘭さんに合わせる顔がありませんでしたから」
 そうネリッサが言葉を紡ぎ、その肩に乗る様にしていた文月・ネコ吉もまた、そうだな、と静かに首肯し。
「お久しぶりですね、紫蘭さん♪ 後でボクと一緒にお茶でも如何ですか? 勿論、人々を避難させてからですけれどね♪」
 そのネリッサの隣で飄々とした様子で肩を竦めながら、カバン型移動工房を取り出し、そこから人形楽団をひとまずは呼び出し。
 ――プップカプー、プッププ、プップカプー!
 と、何処か間の抜けた音楽を人形楽団に奏でさせて、混乱する住民達の注目を自分達に集めようとするのはクラウン・アンダーウッド。
 ――更に。
「……いやまあ、クラウンさん。確かにこの状況で楽団を展開して私達に注目を集めさせて人々の避難を手伝うのは悪い案ではないが……その分、私達への注目度合いが上がるぞ。……いや、今の状況からすれば寧ろその方が好都合かも知れないが」
 そんなクラウンが展開した楽団と直ぐにでも人々の避難に動かすことが出来る様に、からくり人形達を展開するのを見て、えもいわれぬ表情を浮かべるのは藤崎・美雪。
 そんな風に紫蘭と手短に情報を共有して直ぐに。
『ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲッ!』
 レイヴァ達の攻撃を数任せに凌ぎきって突破した1体のデモノイドがその腕を硬質化した剣に変形させ、紫蘭を守る葵桜を斬り裂こうとした……その時。
「この世界でも、依然としてテロの嵐が吹き荒れている様ですね……どう言う動機かは知りませんが、無差別テロなんて自分達を貶めるだけだと思うのですが……」
 その呟きと共に。
 雄哉の拳の乱打を受けたか傷だらけになりながらも紫蘭を狙ってその剣状の腕を袈裟に振るったデモノイドの頭部を音も無く銃弾が撃ち抜く。
 その軌道からネリッサが上空に飛ばした夜鬼で近くのデパァトの屋上から、MK.15A SOPMOD2 SASR"Failnaught"のスコープ越しに狙撃を成功させた灯璃・ファルシュピーゲルの姿を見つけ。
「……既に戦闘態勢に入っているという事ですね、フクス08」
 そう軍用の携帯無線機で確認を取るネリッサのそれに、勿論です、と灯璃が首肯した。
「状況が逼迫していると言うのは、予め知らされていましたからね。ならば持ち場について置いた方が早いと判断致しました。事後報告になってしまい、申し訳ございません、局長」
 そう灯璃がやや済まなそうにネリッサに告げるのに、構いません、とネリッサが返した時。
「局長!」
 雅人の支援に向かったエルゴからの通信が入り、ネリッサは静かに首肯してその指示を手早く出す。
「……グイベル01より各員へ。敵の攻勢を抑えつつ、住民を避難させるのが最優先事項です。その為に必要なあらゆる手段は、全て使用を許可します」
 そうネリッサが紡いだ言の葉に。
「イエス、マム!」
 灯璃とエルゴとラムダ・マルチパーパス……SIRDとしてこの戦場に参加した者達が一堂に返事を還すのを耳にしつつ。
 ネリッサが紫蘭に予備の自分達が使用している軍用携帯無線機を渡している間にも、デモノイド達が決して止まること無く突き進んでくるのに。
「……デモノイドって理性とか持っていない筈だよな。影朧であれば、斬るだけで済む筈なのに……なんなんだ、この違和感は……?」
 そう軽く頭を横に振って呟きながら。
 灯璃が撃ち抜いたデモノイドを踏み越えて、自らの身に白い靄を纏った館野・敬輔が、赤黒く光輝く刀身持った黒剣を横薙ぎに一閃。
 その赤黒い光を聖光へと変えた斬撃の波が複数体のデモノイドを薙ぎ払い、斬り捨てるのを確認しながら嘆息を1つついた敬輔の後方では。
「皆様! わたくし達めは、帝都桜學府より派遣されました超弩級戦力の者達でございます! わたくし達めが参りました以上、皆様の安全は必ずお約束致します! 既に帝都桜學府の関係者とも連絡を取り、皆様の避難態勢を万全にさせて頂いておりますので、どうかわたくし達の指示に従い、速やかに避難して下さいませ!」」
 そう空中に美女型アンドロイドを映し出して切々と避難のための呼びかけをラムダが行い。
「さーて、周辺住民の皆々様、落ち着いてボクの人形や他の超弩級戦力の皆様の指示に従って、避難して下さい。皆様の安全はこの道化師、クラウンや超弩級戦力がお約束致します♪」
 そう道化の様に大仰な態度を取ったクラウンが10本の指に繋がった人形達に早速住民達の避難を開始させている。
 ラムダの音声アナウンスやクラウンの呼びかけ、更には姫桜を通して、雅人から伝えられていた予め想定された避難ルートに加えて、上空から戦況を俯瞰することで、より効率の良いルートをネリッサが精査し、指示を下したのも功を奏したのであろう。
 先程のデモノイド達の咆哮によって傷は負わずとも腰を抜かしていた住民達の一部が何とか態勢を立て直し、ラムダ達の避難指示通りに避難を始めていた。
「……が、未だ油断は全く出来ないな。兎に角、先ずは皆さんには落ち着いて行動をして欲しい。……私達が、出来る限りの力を以て貴方達住民の安全を保証しよう」
 とラムダやクラウンの呼びかけに被せる様に。
 美雪が至極常識的な声を本来は歌声を世界に響かせる為の、蒸気機関式拡声器であるシンフォニックデバイスを拡声器モードに切り替えて。
 それを使って大声で呼びかけて人々の避難誘導を開始しながら、自らの周囲にグリモア・ムジカを展開し、予めそれに記憶していた自らの歌声を解放する。
 ――それは、皆を勇気づけ、デモノイド達の咆哮により動けなくなる者を立ち上がらせる……反旗翻せし戦意昂揚のマーチ。

 ――かくて、超弩級戦力達とデモノイドの軍勢との戦いが今、始まったのだった。


 ――美雪の歌声で響くマーチとクラウンが鞄から取り出した人形楽団の演奏による楽曲の賜物か。
 戦場全体に鳴り響く士気高揚の歌と楽曲が戦場全体に響き渡り、デモノイド達の恐ろしい咆哮により避難民達が避難する気力が失われぬ様にするのに重ね合わせる様に。
「間に合いましたか……! Active Ice Wall!」
 左手だけで空中に描き出していた白と緑の綯い交ぜになった魔法陣に右手を突っ込み、両手で追加して描き出した魔法陣を蜘蛛の巣の様に広げて呪を叫ぶウィリアム。
 同時に無数の氷塊がウィリアムの周囲に展開された魔法陣から迸りこの町と言う|戦場《・・》全体を包み込んだ。
 殺到する氷塊の群れと義透の龍型時空凍結矢で自らの時間を凍結される結界を張られ、身動きが取りにくくなっているデモノイド達に向かって。
「皆! 他の人達の指示に従って、直ちに避難を! 僕達が指定した避難先には、既に帝都桜學府から派遣された救助・護衛班が待機しています!」
 臨音や78体の漆黒の肌持つアイスエルフと共に、クローネがデモノイド部隊に吶喊していくのを見遣りながらそう人々に声を張り上げるのは雅人。
 雅人が『帝都桜學府』の名前を引き合いに出した事が効いたのであろう。
 美雪とクラウンの音色を聞いて賦活された人々が、78体のアイスエルフに誘導される様に、整然と避難を開始している。
 そんな人々の避難を妨げる様に。
『グルオオオオオオオオオオッ!』
 時間を凍結されていた筈のデモノイド達が建物に向けて咆哮を叩き込み、建造物を破壊してその瓦礫で人々を埋めようとするが。
「悪いけれど、そんなことは、私達が絶対にさせないんだから!」
 そう反射的に叫んだフェルが、それらの崩壊した建造物の下敷きに人々がならない様、我が身を省みずに守り抜きつつ。
「ええいっ!」
 神穿ツ竜ノ顎をガトリングモードに切り替えて、そのトリガーを引いた。
 竜の頭部を模したその顎から無限にも等しい銀の無数の魔弾が飛び、咆哮するデモノイド達の口腔内を撃ち抜くその間に。
「此処は絶対に通さねぇぜ!」
 雄叫びと共に自らの周囲に展開した紅玉の欠片型の炎に舞を踊らせる様に射出した臨音の焔が、フェルに動きを縫い止められたデモノイド達を焼き払っていく。
「……こんな大乱戦になるなら、寧ろスパーダ辺りにした方が良かったか? ……それにしても、此だけの数と統率された動きを……」
 ――行わせている主犯は……誰だ?
 そう陽太が内心で呟きながら、臨音の炎で撃ち漏らされたデモノイドの喉元に向けて、炎を纏った二槍を伸長させると。
 螺旋の軌跡を描いた濃紺のアリスランスが、義透の時間凍結矢に動きを縫い止められていたデモノイドの喉を貫き炎で焼き。
 淡紅色のアリスグレイブが横薙ぎに一閃され、デモノイド達を数体纏めて焼き払うが。
『ゴオオオオオオオオオオッ!!!!!』
 そんなデモノイド達を、まるで盾にすれば言いと分かっていたかの様に。
 陽太の死角から現れたデモノイドが咆哮と共に、剣状に硬質化した腕部で陽太を切り払わんとする。
「げっ……くそっ! 暗殺者が奇襲を受けるとか、冗談抜きで笑えねぇぞ……!」
 自らの思考に気を取られていた陽太がそう悔しげに舌打ちをするその間に。
「陽太さん!」
 ウィリアムの叫びと共に、氷塊が陽太の前に盾として移動しその斬撃を受け止めると同時に。
「甘いね」
 アイスエルフ隊に氷のブレスを吹き付けて貰い、ウィリアムの氷塊の弾丸と合わせて敵を凍てつかせたクローネが肉薄してドスソード改でそのデモノイドを斬り上げた。
 どう、と崩れ落ちるデモノイドを一瞥しつつ、悪い、と陽太がクローネに謝罪する。
「借りが出来ちまったかな。いや、いつものことか?」
「気にすることは無いよ、陽太ちゃん。……何よりも、以前からあると思っていた可能性が正解だったとしたら、このデモノイド達が如何してこれだけ効率よく統率されているのかの理由が良く分かるからね」
 そう既にある程度当たりを付けているかの様に語るクローネのそれに。
「何だよ、そりゃ。心当たりあるのか?」
 肉薄してきたデモノイドの攻撃を咄嗟に淡紅色のアリスグレイブで受け止め、濃紺のアリスランスで串刺しにしながら陽太が問いかけると。
「……多分この子達は……ロードに操られている可能性が高い。まあ、未だサクラミラージュに出現しているとは限らないから、推測の域は越えられないんだけれど」
 そう淡々と告げながら、続けて迫ってくるデモノイドの側面に回り込ませた数十体のアイスエルフに氷のブレスを吹きつけさせるクローネのそれに。
「ロード……?! それって、前回サイキックハーツで現れたロード・クロムみたいな奴等のこと……?!」
 驚愕した姫桜が思わずクローネに問うと、そうだね、クローネが首肯した。
 事情が飲み込めず軽く首を傾げる陽太や臨音、雅人の事は脇に置き姫桜の中で様々な感情が激しく渦巻いて行く。
(「デモノイドってパパ……じゃなかった、父のいる世界の敵なのよね……。それが、世界を越えて来ているだけでも気になるのに……その上ロードと呼ばれる存在まで……?!」)
 思考に混乱を来しながらも、臨音達を突破して雅人に肉薄してくるデモノイドにウィリアムの呼び出した氷塊を盾にしながら二槍を突き立てる姫桜。
 その姫桜のschwarzとWeißによる串刺し攻撃に耐えきれずに、どう、とデモノイドが地に伏せる事まで織り込み済であったかの様に。
『グルオオオオオオオオオオッ!』
 1体のデモノイドの咆哮が姫桜と雅人、更にその後方の義透や避難中の住民達を直撃しようとしたそれに。
「させない!」
 気が付いた統哉が咄嗟に大地を蹴って跳躍と共に姫桜達の前に姿を現し、クロネコ刺繍入りの緋色の結界を張り巡らしてその咆哮による物理的な衝撃を受け止めようとし。
「ぷぎゅっ!」
 更に統哉を援護する様に陰海月が、海色の結界を統哉の張り巡らした結界に重ね合わせる様にして展開、住民達への被害を避け。
 その間に、霹靂がクローネの呼び出したアイスエルフ達に先導されて、その背に住民の一部を乗せ、低空飛行で予めネリッサが夜鬼で想定していたルートを通って、雅人が用意しておいた避難先へと人々を運んでいく。
「……雅人。雅人は、彼等デモノイドのことをどれ位知っているんだ?」
 その海色とクロネコ刺繍入りの緋色の結界の重ね技によってデモノイド達の咆哮による攻撃を凌ぎきった統哉が、自分の背後に庇った雅人に向けて問いかけると。
「僕がデモノイドについて知っていることか。最近になって大規模なテロル行為を起こすための道具として影朧達に利用されていること。それと……彼等はまるで意志を持たない忠実な人形の兵士の様に、影朧達に付き従って大規模テロルを行おうとしている事位だね」
 そう自分が知りうる限りの知識で説明する雅人のそれに、それじゃあ、と統哉が確認する様に質問を重ねる。
「彼等デモノイドは、デモノイド寄生体に寄生されて理性を失っていると言うことは知らないって事か?」
 その統哉の問いかけに。
 微かに驚いた様な表情を浮かべる雅人のそれに、そう言うことか、と統哉が首肯して。
「じゃあ、デモノイドに既に寄生されている彼等の魂がそこにあるのかも知れない、と言う事も?」
 そう重ねて統哉が問いかけた、その刹那。
『グルオオオオオオオオオオッ!』
 何処か悲しげな咆哮と共に、雅人達の居る場所を纏めて崩壊させようとするデモノイドに向かってエルゴが閃光手榴弾を投擲し。
 ――かっ!
 眩く光り輝く閃光を迸らせて、デモノイド達の目眩ましを浴びせているその間に、雅人の方へと向かってきた義透がひょう、と2本の時間凍結矢を放つ。
 解き放たれた2本の矢が、ウィリアムの氷塊の間を擦り抜ける様に鋭く飛んで地面に突き立ち、見る見る内に地面の時間をデモノイドごと凍結させたのを見て
「館野さん」
 夜鬼で上空から自分の居る戦場……紫蘭の居る場所とは正反対の方角で行われているその戦況を見て取ったネリッサが通信機越しにそう告げると。
「ああ、分かっている!」
 自らに『少女』達を纏った結果、最も高速で戦場を柔軟に駆け抜けることが出来る様になった敬輔がウィリアムの氷塊など使える物全てを使って最大加速で反対側に向かい。
「……終わらせる」
 呟きと共に、赤黒く光輝く刀身に白く眩い光輝を纏わせた黒剣を振り上げ、斬り上げる様な斬撃の波を少し離れたところから解き放っていた。
 解き放たれた斬撃の波は、義透に時間を凍結されていたデモノイド達を断ち斬り。
 傾いで今にも崩れ落ちそうになりながらも、咆哮を以て反撃しようとするデモノイド達にフェルが咄嗟に竜の顎の銃口を向けて。
「空中に私がいる限り! あなた達の好きになんてさせないんだから!」
 叫びと共に連射した無数の魔弾が、敬輔に切り刻まれよろけていたデモノイド達を蜂の巣にしてどう、と倒れ伏せさせた。
 それでも尚、進軍の手を緩めないデモノイド達の様子を見て、二槍をデモノイドの死体から引き抜いた陽太が、傍に居たクローネに話しかける。
「なあ、クローネ。こいつらがもう人に戻せないって話は分かったけれどよ。……統哉の言っていたデモノイド寄生体と、この世界の人間の魂がカクリヨの骸魂と妖怪って訳じゃねぇが、融合しちまっている可能性ってのはあるのか?」
 そう陽太が恐る恐るという様にクローネに問いかけると。
 臨音が振るう紅玉の欠片型炎の太刀に合わせる様に動かしていた78体のアイスエルフ達の内、10体程を自分達の傍へと呼び戻しながら。
「……まあ、ダークネス自体が、|灼滅者《スレイヤー》や、|あの世界《サイキックハーツ》の人類が今と異なってその身の内に抱えていた闇そのものだったからね。デモノイド寄生体と|この世界《サクラミラージュ》の人間の魂が結びついてあのデモノイド達になっている可能性は否定出来ないよ。もう、人に戻す術は無いけれども」
 そう応えたクローネの言葉を聞いて。
 向かってくるデモノイドに向けて、淡紅色のアリスグレイブを横一文字に振るって薙ぎ払いながら、ならば、と陽太が決意を固め。
「……試してみる価値はあるかも知れねぇか。……さっきみたいなリスクはあるが」
 そう呟く姿をクローネが見て。
「統哉ちゃんがさっき言っていた事を、確認してみるつもりかい?」
 そう問いかけてくるのを聞いて、ああ、と陽太が小さく頷いた。
「もう救えない可能性が高いのは分かっているが……だからと言って、じゃあ、と皆殺しにして終わり……ってのも如何にもスッキリしねぇ。……此でも俺は、|この世界《サクラミラージュ》の住民だからな」
 そう告げる陽太の言の葉を聞いて。
 クローネが先程呼び戻した10体のアイスエルフを陽太の護衛に付ける様に指示を下し、自らのネクロオーブを翳して漆黒の弾丸を射出しつつ。
 78体のアイスエルフと義透の霹靂や陰海月が避難させている人々を狙わんとしているデモノイドを撃ち抜きながら、じゃあ、と微笑して。
「あそこで義透ちゃんの時間凍結矢で動きを止められているデモノイド達で確認してみたら良い。ワタシはこのまま戦闘を続けているから」
 そうその背を押すかの様なクローネの言の葉に。
「何から何まで悪いな、クローネ。それじゃ……やって見せるぜ!」
 そう叫んで10体のアイスエルフ達に守られながら、弱雷を帯びた翡石の細針を用意して時を止めたデモノイドに肉薄する陽太を、クローネが微笑と共に見送った。


 ――その頃、紫蘭側では……。
「ほらほら、デモノイドさん達こっち、こっち!」
 レイヴァがからかう様に声を張り上げつつ、自らの女神の両腕をグルグルと回転する様に振り回してデモノイド部隊に突進していた。
 その怪力無双とでも称すべき万力を籠められたレイヴァの拳がデモノイド達を殴り飛ばし、その動きを止めているその間にも。
「ラムダさん、アンダーウッドさん、藤崎さん、其方のルートは現在、数体のデモノイドが先回りしようとしております。ラムダさんは防衛に回り、アンダーウッドさんは引き続き人形達による避難誘導を続けて下さい」
 そうネリッサが矢継ぎ早に下す指示を受けて、10本の指で繋いだ人形達をいそいそと動かして人々を避難させるクラウン。
 彼の周囲には145個の心身を癒し温める|地獄《慈愛》の炎が踊る様に飛び交い、デモノイド達の進軍を止めているレイヴァ達の受けた傷を|燃や《癒や》している。
「……通常攻撃無効でも……そうか。デモノイド達の攻撃はユーベルコードだから無意味って訳ね」
 そう呟き、微かに息を吐くレイヴァの脇を駆け抜ける様に。
「……1対1に持ち込めれば良かったけれども、中々そう上手くはいかないか」
 雄哉が蒼穹の風の様にその脇を駆け抜け、そのバトルオーラを纏った拳でレイヴァの拳に怯んだ敵を乱打。
 超高速で放たれたその拳にデモノイドが耐えきれる筈も無くその場に崩れ落ちるが、その時には既に雄哉とレイヴァの両側面をデモノイド達が囲っている。
 ――けれども、その雄哉の背後には。
「確かに戦場から長く離れていたからさ。姫桜達に比べれば戦いにはブランクがあるけれども。でも……君達に人を殺める|業《カルマ》を重ねさせたくは無いんだよね」
 その言の葉と共に。
 想鏡から展開した玻璃色の鏡の結界で、雄哉とレイヴァを守りつつ、黒塗りの桜材に真鍮製装飾が施された断罪輪――涅槃を解き放つさくらえ。
 放たれた断罪輪が魔を断ち斬る光輝を伴い、デモノイド達の頭部を切り払わんとするが。
『グルウッ!』
 そのさくらえの涅槃に気が付いたデモノイドの1体が、傍に居たデモノイドを庇う様に涅槃の軌道に割り込みその首を切り取られてその場にどう、と崩れ。
『ガアアアアアアアアッ!』
 デモノイドの1体に庇われたデモノイドが悪魔化した拳で雄哉やレイヴァを守る盾を展開しているさくらえを叩き潰そうとした時。
「君達は知っているかい? こう言う時こそ、ヒーローは本当の力を発揮するのだよ」
 その言の葉と共に。
 さくらえ、雄哉、レイヴァに気を取られていたそのデモノイドに向けて、澪が自らのサイキックエナジーを解き放った。
 解き放たれたサイキックエナジーを躱すことが出来ず、さくらえに拳を振るっていたデモノイドは、気が付けば自分の頭部を自分で殴りぷしゃっ、と自らその命を絶つ。
 ――そうして僅かに綻びが出来たデモノイド部隊の隙を衝く様に。
「今ですね。合わせて下さい、紫蘭さん」
 その戦況をビルの屋上からスコープを覗き込んで確認した灯璃が、ネリッサが紫蘭に渡した軍用携帯無線機にそう一言入れると同時に、パチン、と自らの指を鳴らすと。
 ――灯璃の周囲に不意に無数の桜柄迷彩の小型自爆ドローンが出現し。
 その桜柄迷彩のそれが何なのかを正確に紫蘭には洞察する事こそ出来なかったが。
「分かりました……信じます……!」
 猟兵達への信頼を胸に抱いた紫蘭が呟きと共に、再び祈る様な姿勢を取ったその瞬間。
 紫蘭の周囲の幻朧桜の桜の花弁が戦場に吹雪の如く舞い散る様に降り注ぎ。
 その桜吹雪の中に灯璃が紛れ込ませた小型自爆ドローンが、雄哉達を囲んでいたデモノイド達の頭部に炸裂し、次々に爆発し、その頭部を破砕した。
 突然戦場に咲いた爆発の花に飲み込まれ消えていくデモノイド達に紫蘭が降り注がせた桜吹雪。
 その桜吹雪とクラウンの|地獄《慈愛》の炎に飲み込まれ、消えゆくデモノイド達の姿を見送りながら。
「……せめて、安らかに……」
 そう紫蘭がそっと祈りの言葉を手向けている。
 ――彼等が人として、今、戻ってくると言う事は無いだろうけれども、
 でも、貴方達の魂は、新しい生を受け入れることで安らかに眠り、次の輪廻へとその身を託すことが出来ると思うから。
 そして、影朧やそれに等しい存在でもあるこの目前の|悪魔《ダイモン》達へと転生の儀を執り行う為にいるのが|桜の精《わたし》。
 そんな紫蘭の祈りを、願いに対する解をデモノイドは――。
「……ぐっ……そうかい……!」
 アイスエルフ達とウィリアムの氷塊に守られる様にしていた陽太がデモノイドに突き立てた翠石の細針から、陽太にダイレクトに伝わってきていた。
(「こいつらの中にあるのは、全てを破壊せよという感情がほぼ全て……。それ以上の事は全く読めねぇ。指揮官を擁しているのかもはっきりとは分からねぇ」)
 けれども、その破壊の意志の中に、ほんの少しだけ、感じるのだ。
 ――助けて欲しい。
 そんな『人』としての願いが籠められた様な……そんな気配が。
 しかし、それは逆に言えば紫蘭の言う様に人としての魂を輪廻転生の輪に戻すことが出来る可能性はあれども『人間』として彼等を元に戻す事は出来ないと言うことでもある。
 それが何とはなしに分かっていても尚、ネコ吉はこう思わずには居られなかった。
(「……既にデモノイド寄生体によってデモノイド化していると言っても、このデモノイド達は……」)
 ――元々は、人間だ。
 そう……目前のデモノイド達は。
 単なるオブリビオンや影朧とは異なり、デモノイド寄生体によって理性を奪われ悪魔と化した人間達。
 で、あるならば……。
「魂を救済する以外に、人として元に戻すことの出来る方法は……本当に無いのか……?」
 美雪と共に、避難誘導に協力していたネコ吉にそう考えさせてやまない。
 だって……それこそ、今、正に共に戦っている仲間達の中に、澪の様に……。
「……確かにデモノイド寄生体を制御できる様になって、人間……澪さんの様なデモノイドヒューマンに戻った人の例は皆無では無いけれどね」
 そんなネコ吉が思わず零れさせてしまった言葉を携帯無線機で拾ったのであろう。
 その様子に気が付いたさくらえが想鏡の結界を重複して掛け直し、レイヴァや雄哉達の守りを固めながら、けれども、と言葉を続ける。
「残念ながら、完全にデモノイド寄生体に侵食され切ってしまった人々を、救う事は出来ないよ、ネコ吉さん」
 僅かに、自分自身に言い聞かせる様なニュアンスを含めながら。
 そのさくらえの言葉に顕著に反応したのは……。
「……本当に救う事が出来ないのか、さくらえさん。或いは……寄生体だけを切り離してて人に戻し、そこから話を聞くことが出来ないのかとワタシも思っていたのだが」
 あと少しで避難が完了する人々を守る為に、だめ押しとばかりに閃光手榴弾を投擲し続けていたエルゴ。
 そんなエルゴの軍用携帯無線機を通じて告げられた言の葉を聞いて。
「……それがもし出来るのであれば、先達である私の憧れた|灼滅者《ヒーロー》の皆は、もっと沢山、私の同類を救えたと思うがね」
 何処か沈痛な響きを伴った言葉を紡いだのはデモノイドヒューマン……デモノイド寄生体をやっとの想いで制御できる様になった澪だ。
 そんな澪の結論を聞いて。
「そう言うことだね、澪さん。デモノイド寄生体を制御することが出来る人間は、限られている。寄生体を破壊すれば、全てを救う事が出来るなんて楽観論を提示することは、申し訳ないけれど、僕には出来ない」
 そうさくらえがそれに同意して、そう淡々と告げた、正にその時。
「……アーカイブ確認終了致しました」
 不意に。
『モード・ツィタデレ』……高密度電磁防御フィールドを展開し、美雪が避難させている最中だった住民達の逃走ルートを護衛していたラムダが話し始める。
「新たな世界……サイキックハーツにあるわたくしどもめの協力組織、武蔵坂学園の戦闘記録を確認してきましたが……デモノイド化した者達には個人差がございますが、確かにデモノイド寄生体に対する適性がそれぞれ異なっている様でございます。その為、デモノイド寄生体に寄生されて、デモノイド化した者達を救出することが出来た例もございますが……それが出来ない、と明言されていた戦いも複数ございました。……その辺りの事情を鑑みるに、仮にあのデモノイド達からデモノイド寄生体を取り外したとしても、既に完全にデモノイド化してしまっている者達を救出できる可能性は無いかと存じ上げます」
 そう淡々とラムダが自らの|記録《アーカイブ》から出した結論を言葉にする。
 本来は、このデモノイド達の指揮官が何処に居るのかを探るために、過去の戦いの痕跡を探るべく自らの|記録《アーカイブ》を検索しようとしたのだが。
 只、それ以上に必要な何かがあると無意識に判断したからこそ、ラムダはそう通信機越しに事実を告げる事を選んだ。
 それでも……ネコ吉は。
「紫蘭、頼みがある」
 そう、紫蘭に問いかけずにはいられない。
 1人でも多くの人命を助けたい……その為に、出来うる限りの事はしたいと思うから。
 そんなネコ吉の想いと共に発せられた言の葉に。
「……如何したの?」
 葵桜やクラウン、ネリッサに守られる様にしながら、桜の癒やしによる桜吹雪を解き放ち、デモノイド達に宿る人の魂を転生という名の|救済《・・》に導いていた紫蘭がネコ吉に問いかけると。
 再びデモノイドから迸った咆哮を葵桜が衝撃波で相殺するのをチラリと見ながら、ネコ吉が会話を続けた。
「『桜花の舞』を使って貰う事は出来ないだろうか? デモノイド、じゃない。……デモノイド寄生体だけを狙う様に」
 そのネコ吉の問いかけに。
 紫蘭は逡巡する様な表情を見せたが……程なくしてダメ、と小さく頭を横に振った。
「私の『桜花の舞い』で、デモノイド寄生体だけを破壊することは出来るかも知れない。でも、それであの中にいる人々の魂を確実に救う……転生させる事が出来るかどうか、私には分からないから」
 そう告げる紫蘭の言の葉に。
 そうか、とそっと諦念の息を漏らすネコ吉の様子を見ながら、美雪がネコ吉さん、と彼をフォローする様に呼びかける。
「陽太さんが調べたデモノイド達の意識からも、デモノイド達……それと融合している今の人の魂は、救済……転生し、この世界の人間として生まれ落ちることを望んでいる様だ。ならば……その為に私達は、今は力を尽くすべきなのでは無いかな?」
 その、美雪の説得に。
「そうだな……分かった、美雪」
 覚悟を決めたネコ吉がデモノイド達に叢時雨の刀先を向けて、強制共生弾を発射する。
 ――まるでその心の涙を現すかの如き共生弾を。
 解き放たれた共生弾がデモノイド達に着弾してキノコを生やし、その痛覚や、本体を|麻痺《・・》させる様子を確認して。
「神経系と肉体の双方を麻痺させた。此ならば……苦しまずに逝く事が出来る。そうだろう……さくらえ」
 そう苦渋を舐める様な表情を浮かべて通信機越しにさくらえに呼びかけるのに。
「そうだね。……ありがとう、ネコ吉さん」
 さくらえが首肯と同時に、神経を麻痺させ痛みを感じなくなったデモノイド達の頭部を、涅槃を投擲してなるべく苦しまない様に切断するのを確認しつつ。
「……此が、僕の選んだ道だ。だからこそ、進ませて貰う。それが|救済《・・》とやらになるのかどうかは分からないけれども」
 雄哉が閃光百烈拳を解き放ち、デモノイドを殴打して止めを刺した頃に――。


「どうにか、周辺住民の避難は無事に終わったみたいだね」
 恐らく自分達とは反対側に居る雅人達と共に居るのであろう、姫桜の事を想った葵桜が、そう言の葉を漏らしながら。
 神霊体と化したその代償で、口から寿命を血と共に滴らせつつも、目前のデモノイド達に胡蝶楽刀を唐竹割りに振るい。
 空間を断ち斬って発生させた衝撃波でデモノイド達を薙ぎ倒した瞬間を狙って、灯璃がデパァトの屋上からデモノイドを|狙撃《スナイプ》。
 先程、紫蘭の桜吹雪に合わせる様に解放した無数の桜迷彩型ドローンで爆破し、大きく穴を空けた戦列を埋めようとしたデモノイドを射貫いたところで。
「……ゆっくり眠ってね、デモノイドさん♪」
 クラウンが|地獄《慈愛》の炎を解き放ち、そのデモノイドの寄生体を焼き払い、人としての魂を|転生させ《癒やし》ている。
(「既に大分戦力が減少している様ですが……」)
 それでもネリッサが上空から飛ばしている夜鬼からすらも、何処に彼等の指揮官と思しき相手が居るのかを特定できない。
 それは空中浮遊しながら雅人達を援護しているフェルも、陽太のガヴェインも然りだ。
 ――本来であれば。
 此だけ戦況を揺るがされている状況であれば、上空から俯瞰してみればその居場所を特定することが出来る筈だが……。
(「……となると……このデモノイド達の指揮官は、此処では無い何処かに潜伏しながら、デモノイド達を指揮している? いや……或いは既に状況不利とみて、此処から撤退している、と言う事でしょうか……?」)
 そんな不審と疑問が微かにネリッサの胸中に靄の様に漂った……その刹那。
『グルオオオオオオオオオオッ!』
 生き残りのデモノイドから戦場全体を揺るがすさんばかりの勢いの咆哮が迸り、雅人と紫蘭を打ちのめそうとした……その時。
「雅人さんは……!」
 姫桜が。
「紫蘭さんは……!」
 葵桜が。
『やらせないんだからっ!』
 そう異なる戦場で偶然にも同時に叫び、デモノイド達の咆哮を凌ぎきった所で。
「……そろそろ決着を付けるべきでしょうね。彼等を救済したいというのであれば」
 雅人の居る戦場でも殆ど撃破されたデモノイド達の様子を見ながら、義透がそう確認する様に言葉を紡いで、白雪林に2本の矢を番えようとした時。
 義透の時間凍結矢を嫌ったか、デモノイドが渾身の力を振り絞って、義透へと剣状に変化した剣で袈裟に義透を斬らんとすると。
「やらせるかっ!」
 白い靄を纏い高速で戦場を掻き乱していた敬輔が義透とデモノイドの間に割り込み、その刃を受け止め。
 ――更に。
「皆の避難も完了した! 後は一気に戦闘不能にするだけ! その後の救済……転生とやらは任せるわよ、キミ達!」
 その瞬間を待っていた、と言わんばかりに。
 紫蘭の居る戦場で攻撃手として雄哉達と連携を取り、その怪力無双を振るっていたレイヴァが叫びと共に。
 目前のデモノイドに向かって電光石火の勢いで、闇を纏った右拳と光を纏った左拳を叩き付けた。
 突然、リズムが変化したレイヴァからの両拳による攻撃に思わずグラリとその場に崩れ落ちるデモノイドに向けて。
「行っけえええええええーっ!」
 レイヴァが光と闇を纏った両拳を叩き付ける様に地面に振り下ろした刹那。
 ――無数の光と闇の流星群が戦場全体に降り注ぎ、次々に着弾してデモノイド達を爆破していく。
 相反する力がぶつかり合って起きた光と闇の大爆発は、或いは、デモノイド達を全て無……灰燼に帰さんばかりの威力を以て。
 そうして……一気に崩れ落ちたデモノイド達に向けて。
「お休みなさい、デモノイドさん達♪」
 そう軽くパチンとウインクしたクラウンが145個の心身を癒やし暖める|地獄《慈愛》の炎を射出して。
 レイヴァ達に倒されたデモノイド達の心を……人間達に寄生しているデモノイド寄生体のみを焼き払い、人間の『魂』だけと言う正常な状態に戻す一方で。
「……どうか、次は幸せな人生を送ることが出来ます様に……」
 そう祈りの言葉を手向けた紫蘭が。
 周囲の幻朧桜に呼びかける様に祈りを手向けて、自らの100m半径内を覆う桜吹雪を巻き起こした。
 巻き起こされたその桜吹雪が、レイヴァ達によって撃破されたデモノイド達を慰撫する様に優しく撫で。
 紫蘭の居る側のデモノイド達を1体残らずデモノイド寄生体が寄生していた人間の『魂』から引き剥がし……既に死した人間達の魂を、無事に輪廻転生の輪へと送り出し。
 ――そして……雅人達の居る戦場でも。


「色々と思う所はあるけれど……今は絶対に、誰1人として欠けさせなどしないわっ! だから、力を貸して、白燐蟲達!」
 その不屈の覚悟を籠めた姫桜の叫びに呼応する様に。
 ――カッ! と数多の白燐蟲からなる閃光が彼女の周囲136m以内で迸る。
 その迸った閃光による支援を受けた義透が。
「文月殿、森宮殿、雅人殿。どうかあのデモノイド達の事を|救済《・・》して下さい。……私の一の姉もきっとそれを望むでしょうから」
 その言の葉と、共に。
 ひょう、と白雪林から2本の龍型時空凍結矢を射り、生き残りのデモノイド達の時間を纏めて凍てつかせる。
 その範囲から逃れて尚、咆哮を以て対峙しようとする極僅かなデモノイド達もいたが。
「それを通すわけには行きませんね……!」
 そうウィリアムが叫びと共に、美雪の歌声とクラウンの人形楽団の楽曲がそのデモノイド達の前で反響する様に氷塊を移動。
(「……此が元人間だったとは思えませんけれど……でも」)
 此処は、幻朧桜咲く地。
 この地で浄化することが出来るのであれば、デモノイド寄生体とやらによって歪まされた人間達の魂もまた、輪廻の輪に還す事が出来る。
「……それがせめてもの救い……そう思いませんか、陽太さん」
 そのウィリアムの問いかけに。
「ああ……全くだな」
 そうクローネのアイスエルフ達に守られて救済を願うデモノイド寄生体に囚われた人の魂達の情報を入手した陽太が首肯して。
 改造型ダイモンデバイスをデバイスを空中へと突き出した……その直後。
『グルオオオオオオオオオオッ!』
 それは最早執念とでも言うべきだろうか。
 大音声と共に、恐ろしい咆哮を解き放ち、陽太の行動を妨害しようとするデモノイドに向けて。
「……悪いが、今は止まっててくれ! そうすりゃ、あんた達の嘗ての|人《・》としての魂は救われるんだ!」
 そう叫んだ臨音が紅玉の欠片で作り上げた槍を姫桜の閃光に押される様にして投擲し、その身を穿ち、デモノイドの動きを食い止め。
「……そうだな。それがワタシ達に出来る最善だというのであれば、それをするのみか」
 そうそっと嘆息したエルゴが、閃光手榴弾を姫桜の閃光に被せる様に投擲して閃光を炸裂させ、これ以上のデモノイド達の咆哮を食い止め。
「誰1人欠けずに帰ってきて欲しい……! 初めて|あの世界《サイキックハーツ》に私が向かった時に彼が言ってくれた言葉と約束……私も必ず守ってみせる!」
 続けざまに上空からフェルがInfinity Fantasistaから迸らせた円盤状の光輪を神穿ツ竜ノ顎の魔弾へと変えてガトリングの様に乱射して、デモノイド達を射貫き。
「少しでも、足止めを……!」
 そのエルゴの閃光手榴弾による攻撃で目眩ましを受けたデモノイド達に向けて。
 白き靄纏った黒剣を唐竹割に振り下ろして召喚した敬輔の斬撃の波がデモノイド達の足を斬り裂いたその直後。
「……雅人!」
 統哉が雅人に向けて呼びかけた。
 その手は目前のエルゴの閃光炸裂弾や臨音の火炎の槍に、敬輔の斬撃波やフェルの魔弾乱射……更には義透の射った時間凍結矢によって時間を止められ、身動きの取れなくなっているデモノイド達に向けられていた。
(「邪心を打ち払い、救済……転生できるというのであれば……!」)
 その統哉の願いと祈りの籠められた合図を受けた雅人がああ、と首肯し、己が退魔刀を両手で青眼に構え直して、そこに浄化の願いの籠められた力を乗せるのを見て。
 統哉が、願いと祈りを籠めた730本の邪心……デモノイド寄生体のみを撃ち抜く浄化の矢を解き放とうとするのに合わせて、浄化の閃光を解放しようとするのを見て。
「アスモデウス! 頼んだぜ!」
 陽太が遂に自らの改造型ダイモンデバイスの引金を引き、その銃口に描き出された白色の獄炎纏ったアスモデウスを召喚し。
「ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲッ!」
 雄叫びと共に、白色の獄炎纏ったアスモデウスが上空から浄化の白色の獄炎を雨の様に大地に叩き付け。
 ――更に。
 続けて統哉が放った730本の肉体を傷つけず邪心――デモノイド寄生体――のみを射貫く光の矢がデモノイド達を射貫き。
 ――そして。
「……嘗て人間だった貴方方の魂に、せめて安らかな救いがあらんことを」
 そう祈りを籠めた雅人が自らの退魔刀を一閃すると。
 ――その銀閃が、統哉の願いの矢と陽太の呼び出したアスモデウスの浄化の白炎と混ざり合い。
 身動きの取れなくなったデモノイド達のデモノイド寄生体と言う名の邪心を切り裂き、1体残らずそれに囚われた『人』の魂達を輪廻転生の輪へと戻していく。
 ――そうして。
 無事に、浄化の刃の一閃が残されていたデモノイド達を1体残らず転生させたその様子を見て。
「……成程。せめて安らかに、と言う事だね」
 クローネがアイスエルフ隊を退かせながらそっと嘆息を零すのに。
「……大丈夫でござるよ。あのデモノイド寄生体に囚われていた人々の魂は、この世界……サクラミラージュの輪廻転生の輪に戻った筈でござるから」
 そう上空からその瞬間を見ていたフェルが呟き、そっと薬指に填めていたInfinity Fantasistaを静かに撫でる。
 ――ありがとう、解放してくれて。
 自らの魂をデモノイド寄生体によって望むと望まざるとこの地に縫い付けられていた状態から輪廻転生の輪に帰ることが赦された人々の魂の感謝の言葉が、統哉達の耳にするりと入っていく様に思えた。


「……まあ、魂が救済できただけ、良しとするしかねぇな、今回は」
 一先ず、最初の関門を潜り抜けて。
 そっと陽太がそう言葉を紡ぎ、ふう、と嘆息を1つ。
 そんな陽太達の様子を見ながら、臨音とクローネとフェルが改めて雅人の方へとやって来たのに気が付いて。
「そう言えば……君達は?」
 そう雅人が問いかけてくるのに、先ずは臨音がすっ、と謝罪する様に人差し指を自らの唇に当てて軽く目を瞑って続けた。
「いきなりの登場で挨拶が遅れちまって悪かったな、雅人とやら。俺は臨音。この事件が此処で起きることを知らされて参上した次第だ。幸いにも人命には被害が出なかった様だが……」
 そう臨音が挨拶をしながら周囲を見回すと、彼方此方の建造物の多くが半ば瓦礫と化している。
 灯璃が構えていたデパァトの様な、頑丈な施設は無事だった様だが、電線等のインフラは激しく損傷している以上、町の復旧までには暫く時間が掛かるだろう。
 その様子を見てそっと嘆息する臨音のそれに、雅人が静かに首肯して。
「……取り敢えず、此処の住民達を逃がすことが出来たのは僥倖だったよ。一応最悪の事態に備えて仮住宅や避難施設の準備はある程度整えておいたから、暫くは不自由な生活を強いることにはなるのは申し訳ないけれども、命あっての物種だしね」
「まっ、そりゃそうか。しかしこれだけの大軍を操って混乱引き起こすって、何だか何処までも底が見えない沼の様な話だな。果たしてどんな奴が後ろに控えているのやら」
 そう嘆息する臨音のそれに、如何だろうな、と雅人が呟くのに1つ頷き。
 続けて滑空して姫桜の隣に着地したフェルが、雅人に向かって一礼する。
「拙者も始めまして、でござるな。挨拶が遅れてしまい、申し訳なかったでござる。拙者の名はフェル。|世界《自宅》を守る為に、サクラミラージュに参上した超弩級戦力でござるよ。お主が予め用意しておいてくれた避難民達の避難先、非常に役に立った。深く感謝するでござる」
 そう一礼するフェルのそれに気にしないで、と雅人が頭を横に振るのを見つつ。
「ワタシも挨拶が遅れてしまったな。ワタシはエルゴ。局長達から、雅人さん達の話は聞かされている。どうぞ宜しく頼む」
 そう敬礼するエルゴに敬礼を返した雅人が、ふと、あることに気が付いたかの様な表情を浮かべる。
「局長? それって……|Specialservice Information Research Department《特務情報調査局》局長のネリッサさんのことかい?」
 その雅人の問いかけに。
 エルゴがその通りだ、と軽く首を縦に振り、同時に軽く息を1つ漏らした。
「どうやら、雅人さんはワタシ達の組織のことをご存知のようだね?」
「ええ、貴女達SIRDの皆様には、上司共々よくお世話になっておりますので」
 その雅人の問いかけに。
「上司? それって……」
 そう思わずエルゴが身を乗り出す様に雅人に問いかけた、その直後。
 ――かつり、かつり。
 と不意に足音が聞こえ、一瞬フェルや臨音、エルゴが身構えるが。
「いえ、心配ありません、オオヤマさん、火神さん、エルゴさん。デモノイド達の指揮官こそ見つけることは出来ませんでしたが……その方は私達の味方です」
 そう上空の夜鬼で現れた人影を確認したネリッサが通信機越しに現れた男について説明すると。
「成程……この人が雅人ちゃんの上司って訳だね」
 そう何処となく愉快そうに言の葉を紡ぐクローネのそれを聞いた男が微笑を零し。
「お久しぶりです。始めましてと言うべき方もいらっしゃる様ですね」
 そう丁寧に一礼を1つし、上品で見る者を安心させる微笑を続けていた。
 仕立ての良い上品なスーツに身を包み、それに違わぬ穏やかで凜とした佇まいは成程、只者では無いと言う気配を、フェル達に察させ。
 一方で、紫蘭達と共に雅人達に合流するべく此方に向かってきていた美雪は、通信機越しに聞こえたその声を耳にして、思わず、やれやれ、と嘆息を1つついていた。
「……雅人さんが予め手を打って此だけ帝都桜學府諜報部が機敏に動けるのだから、予め支援する者がいたであろうことは想像できたが……やはり貴方か」
 その美雪の嘆息を受けて。
「……まあ、確かに数千人を避難させて、僕達がこの町のインフラを無視して破壊しても大丈夫なだけの用意を出来る人なんて言えば、帝都桜學府の中でも限られているとは思うけれどな、後輩」
 敬輔が通信機越しに聞こえた美雪の言葉に同意する様に首肯するのを横目に見つつ。
「久しぶり……と言った所ですかね。『我等』の中でも貴方の事はよく噂しておりますよ」
 義透が現れた男の前に立って丁寧に返礼し、その男の名を呼ぶ。
「帝都桜學府諜報部幹部……『皇族』竜胆さん」
 その義透の呼びかけに。
 フェルと臨音とエルゴ、そしてからかう様な微笑を浮かべていたクローネですら、微かに驚きの表情を浮かべたのに柔和な眼差しを向けて。
 義透に『竜胆』と呼ばれたその男は、深々と再び猟兵達に一礼するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『大正浪漫の溢れるカフェーで』

POW   :    甘味や食事を楽しむ

SPD   :    珈琲や紅茶や飲み物を楽しむ

WIZ   :    人々との歓談を楽しむ

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ――その町に姿を現した竜胆に導かれて。
 猟兵達は、帝都中央区……銀座にあるとある喫茶店に招かれていた。
 そこのまるで茶室の様な場所を取った竜胆が、共に来た猟兵達に一先ず、と一礼する。
「雅人に向かわせておいたあの地区に現れたデモノイド達の撃破によるテロルからの市民達の防衛、及び雅人達の援護、誠にありがとうございました。後は皆様にはゆっくりとお休み頂ければ……と本来であれば申し上げるところなのですが」
 そこまで告げたところで。
 竜胆がそっと嘆息を零し、軽く頭を横に振る。
「ですが、寧ろこれからが本番です。あのデモノイド達を操っていた影朧は、未だ見つかっておりません」
 ――そうなのだ。
 首謀者が見つかっていないという事実が、何よりも先に来る以上、戦いは未だ始まったばかりとも言える。
 まあ……と竜胆が静かに軽く息をついて話を続けた。
「私は、先程の皆様や雅人、紫蘭さん達とデモノイド達の戦いで傷ついた町の復興の為に、人員を割く必要があります。市民達に余計な不安や、不自由な生活を与え続けたくはありませんので。ですので……黒幕については、情報を提供できる可能性はありますが、逆に言えばその居場所を見つける程の人員を割くのが難しい、と言うのが現状です」
 ――それだけ、今回の戦いの被害は看過できないものと言う事であろう。
 端的に言えば『本丸』を落とす前に『出城』を攻められ……人々こそ守ることが出来たが『砦』は放棄せざるをえなかった、と言う表現がしっくり来るのであろうか。
「そこで申し訳ございませんが、皆様の力をお借りする必要が生じてくる訳です」
 そう沈痛そうに嘆息を零す竜胆。
 そんな竜胆の嘆息を映し出したかの様に、彼の目前のカップに注がれた紅茶の表面が波打つ様に揺らめいている。
 その様子をチラリと見遣りながら、勿論、と竜胆が言の葉を続けた。
「私が出来うる限りの情報は提供させて頂きますが……それでも限度がございます。無論、皆様のユーベルコヲドでも簡単にあの『出城』を復興することは不可能です。……ですので、此から皆様にお願いしたいことは、このカフェを拠点にして、『主犯』の出所を掴んで頂くこと。そして、その『主犯』の居場所を確定させて、『主犯』を撃破して欲しいのです」 
 そう告げる竜胆の言の葉に。
 猟兵達が出した、その答えは……。

 *第2章は下記ルールの下に運用させて頂きます。
 1.今回は帝都中央区(銀座)に潜んで居るであろう今回の敵の主犯の目的や心情を分析し、『主犯』が潜んで居るであろう場所を特定して頂くというのが主な内容となります。  
 2章のシナリオの結果で、3章の敵が捕まらないと言う事は無いと思われますが、3章のシナリオ内容に影響が及びます。

 2.フラグメントに書かれている行動をして頂いても全く問題ございません。そこで第1章の戦場から避難してきた人々と偶然出会い、話をする事で”主犯”が何処に居るのかを特定できる可能性があるからです。
 それとは別に、下記a、bの2つの選択肢が追加されています。もし此方の選択肢を選ぶのであれば、プレイング頭にその旨、表記して頂ければ幸甚です。
 a.竜胆に招かれた店で竜胆と話をする。
 この選択肢を選んだ場合、竜胆からサクラミラージュ住民の立場から見たデモノイドや今回の主犯についての竜胆の推測した話を聞くことが可能です。
 また、何故デモノイドについて情報を持っているかを確認することも出来るかと思われます。
 但し、竜胆は『サイキックハーツ』世界の知識はありません。また、竜胆に『サイキックハーツ』世界の情報を伝えても殆ど意味はありません。
 竜胆は下記URLの様な容姿の人物です。ご参考迄に。
 URL: https://tw6.jp/gallery/?id=196915
 尚、竜胆は第3章には登場致しません。
 b.町の復興。
 此は、第1章の判定の結果増えた、中央区外れの町(第1章の戦場)を復興していく為にある程度の協力を行うことが出来る、と言う選択肢になります。
 町の復興のために動き出している人々や一部避難民もおりますので、その人物達から情報を収集する事が出来るかも知れません。
 また、雅人や紫蘭も此方で復興作業を行っております。
 雅人や紫蘭と会話等をしたい場合は、b+どちらかの名前をプレイング頭に表記して頂くことで可能となります。
 尚、『ユーベルコードや技能で都市を直ぐに完全に復興させる』事は不可能です(このシナリオではUCで建造物を直ぐに復興することは出来ない為)
 その点は、予めご了承くださいませ。

 3.複数の選択肢に対して、分身系のUC等で参加することは出来ません。
 また、ステータスオープン系のUCも使用出来ません。
 上記aかb、或いはフラグメントの3つの選択肢から選択し、『主犯』について特定して下さい。

 4.それぞれの情報収集で得た情報は、共有が可能です。
 最終的に『主犯』がどの様な形で何処に姿を現すのかは分かりますので、その点は気になさらずとも問題ございません。

 ――それでは、良き選択を。
ウィリアム・バークリー
a.
いい茶葉を使っていますね、このお店。さすが竜胆さんが選ぶだけのことはある。
『敵を知り己を知れば、百戦殆うからず』。こんな局面ですが、だからこそ、ぼくは『己』こと帝都桜學府のことをお伺いしたいんです。

帝都桜學府には、例えば『警備部』のような主力戦力はあるんでしょうか。そこが人材を被害区域へ派遣してくれれば、復旧もいくらか速くなるんじゃないかとふと思ったんです。

そもそも『諜報部』は情報――敵方の情報を入手し味方の情報を守り抜くのが役目、というのはいまさら竜胆さんに言うまでもないことでしょう。
雅人さんたちを斥候に出したのは分かります。でもその後の復旧作業まで任せるのは、人材の浪費に思えまして。


レイヴァ・エレウネラ
b+紫蘭

街の復興をするってことは力仕事は付き物だろうし、手伝おうかな。
【怪力】とUCに内蔵されている【運搬】で建材を運んだりするよ。

また、異変についても何があったのか情報を集めたいね。力仕事をしつつもUC技能に内臓されている【聞き耳】で何か目撃情報みたいなのを噂している人たちがいないか探したいな!

もしもいたらUC技能の【情報収集】を活かしてできる限り情報を集めておきたいな。

手に入れた情報は紫蘭と共有するよ。
何か有効な手がかりがあると良いな♪


寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
猟兵間通信網構築
SIRD共同
「さて、皇家出身なら殿下とお呼びしたほうがよろしいでしょうか?」

・竜胆氏を通じて帝都桜學府情報部や関係各所が現時点までに集めた情報の提供依頼と、情報収集中の猟兵からの情報を統括し報告・共有する
∟情報の精査に関しては學府の手を借りつつ、ある程度の偽情報も考慮に入れて行う
・デモノイドや不審者の目撃、出現、戦闘その他の情報等から、概ねの出現地点と出現時刻を割り出し、該当地区の地図に反映する
・割り出した情報と該当地区の地形地象から不審者の移動経路を割り出し、目標の足取りが途絶えた区域を猟兵等と協力し捜索する

「これ2系の業務のような気が……まあいいか」


ネリッサ・ハーディ
【SIRD】のメンバーと共に行動

【a】

やはり、帝都桜學府諜報部も動いていましたか。治安維持という観点から、予想できた事です。今回も情報交換をお願いします、竜胆さん。

竜胆さんと事件の情報交換を行いながら、皆の集めた情報の集約・精査を行い、黒幕の特定を行う。

今回の事件の首謀者の目的は、状況から鑑みるに、恐らく何かしらの|憎悪《ヘイトレッド》を抱いていると思われます。問題はその対象でしょうか。その辺を推測できれば、首謀者の位置もある程度特定できる筈です。古典的ですが、犯人は犯行現場に戻る、と昔から言いますしね。

犯人が潜伏してそうな位置を絞り込めたら、UCの夜鬼を放ち、その地域一帯を詳しく捜索します。


エルゴ・ルスツァイア
【SIRD】
b.紫蘭
アドリブ、連携歓迎

進撃方向からして、コチラからか?

かなり滅茶苦茶じゃないか。……まあ、工兵の仕事は慣れている。手伝いは出来るだろう。
さて、聞き込み調査にスキャニングといこうか…何だか探偵にでも成った気分だな。

円滑な連携の為に紫蘭さんとも顔合わせをした後、復興の支援をしながら迎撃時のデータを参考にデモノイド発生地点とみられる場所等を巡り、一応警戒して周囲を索敵しつつ人への聞き込み、観察。破壊物に対してのスキャニングでもって情報収集。逐次皆に共有する。

ほんの少しでも良い。異常、違和感……何か手がかりを探そう。


クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
今回も真剣口調で話すよ

とりあえず、デモノイドは対処できた
次は『主犯』の居所探しだね
…と言っても、ワタシは推理や分析は得意じゃあないからね
情報収集と復興作業に集中して、その辺は他の子にお任せしようか

b
町の復興作業を行うよ
それに向いたUCも使えるしね
直ぐには完全復興できないとしても、復興を早める事位はできるよ
それと、復興作業中の人や避難民から情報を集めないとね
頭数を用意して、両方の仕事をこなしていこう

UCは『クローネちゃんのご当地大好きなお友達★』
ご当地怪人達と共に【団体行動/拠点構築/掃除/怪力/運搬】で復興作業を行いつつ、【コミュ力/優しさ/慰め/心配り/情報収集】で情報を集めるよ
勿論、集めた情報は他の猟兵達に共有するね

…『主犯』かその協力者がデモノイドロードである可能性は、まだ否定しきれないね
……できれば杞憂で終わって欲しいけれど


ラムダ・マルチパーパス
SIRDの皆様方と共に行動
bで行動

(雅人様もしくは紫蘭様に)こういった、いわゆる力仕事でしたら、ウォーマシンであるわたくしが適任ですね。市民の皆様のお役に立てる様、一肌脱がせて頂きます。・・・あれ?(自分のボディを見渡しながら)一肌脱ぐって、わたくしは一体何を脱げばよろしいのでしょうか?

ウォーマシンの能力を重機代わりに、主に瓦礫等の撤去作業を行い、同時に街の被害状況や作業現場の復興状況の進展等をデータ化、進捗状況を皆様にお伝えします。

(作業を行いながら)さて、犯人がどこかに隠れているという話ですが…作業しながらの身では、難しいですねぇ。とりあえず、復興作業で会う市民の皆様に聞き込みましょう。


フェル・オオヤマ
b 紫蘭さん

疑問点
・主犯って結構用心深いのね
・なぜ先の襲撃は第一波で終わったのか?
・主犯は一般人として潜伏して私たちが油断してる間に伏兵を仕掛けてくるのでは?

心境及び行動
幾つか気になる事もあるけど…まずは街の復興作業を手伝いに行って来るね!
空を飛びながら復興作業の手伝いをします
【情報収集/鼓舞/救助活動/勇気】の技能を使用

紫蘭さんにはまだ挨拶してなかったため
紫蘭さんに以下の内容を会話しつつ情報収集します
・自己紹介
・実は自分はサクラミラージュに来るのは初めて
・超弩級戦力は戦うだけじゃなくみんなの|日常の象徴であり魂が安らぐ場所《自宅》を護るのも仕事だと思ってる
・先の戦いから今に至るまでに気になってる事とか違和感を感じた事は無い?

復興作業の合間に町の人とかにも怪しい人がいなかったか等聞いてみます


復興作業の手伝いをしつつ怪しい人が居ないか
雅人さんや紫蘭さん危険な事に巻き込まれないか警戒・警護しておきます

杞憂であればいいのだけど…最悪のケースだけは回避したいからね。

他キャラとの連携・アドリブ歓迎


真宮・響
【真宮家】で参加

a竜胆と会う

さて、竜胆は前の事件でも会ったが、随分物騒な事件だったからね。雅人も紫蘭もターゲットになる可能性は十分あった。若い二人は子供達に任せて竜胆と会うかね。彼が情報掴んでるとなると嫌な予感がするんでね。

いつもの軍服で済まないね。それにコート姿の律もいたりするんだが。

随分危険な橋渡るね。竜胆は。身分はよくしってるんで、たわいもない話をして彼が話しやすい空気をつくるよ。奏と律の夫婦、二人が子供同然に面倒をみてる星羅と朔兎。あえてサクラミラージュにいる身だから重要なワードを竜胆がいれやすいように。

危険は日常の中に紛れ込んでる。いざという時は赫灼の戦乙女を動かすさ。


真宮・律
【真宮家】で参加

a竜胆に会う

竜胆、雅人、紫蘭を巡っての事件はきいている。戦場育ちで駆け落ちで家族をもち、一度死んで蘇ったものとしては良くも悪くも人の心は深くて、どこにでも広がるものだと思った。良い意味でも、悪い意味でもな。

竜胆の背負うものは家族を守る立場の俺としてはよくわかる。規模は違いすぎるけどな。響と竜胆にあいにいくのはもちろんだがあえて家族のこのごろの成長ぶり話すぜ。なにせ家はサクラミラージュにあるしな。

瞬も養子だったから養子格である星羅と朔兎を可愛がる奏と瞬は見てて微笑ましい。まあ、竜胆が何気なく重要ワードをいれやすいようにとの意図もあるが。

いざという時はファルコンスピリットを飛ばす。


真宮・奏
【真宮家】で参加

b町の復興の手伝い+紫蘭さんに会う

最近のサクラミラージュは物騒すぎることこの上ないので、紫蘭さんが狙われる可能性は十分ありましたね。紫蘭さんの道のりをみてきたからこそ、邪魔する可能性からお守りしましょう。

実質養女である星羅を連れていきますね。初対面ですが、この子にとって紫蘭さんとの出会いはとてもいい経験になるはず。

礼儀はきちんとわきまえている子ですので、会話には支障ないはずですね。引き取った経緯は説明しておきます。もふもふなお友達で復興支援をお手伝いしますね。

危険は、日常に不意に潜んでいます。いざという時は紫蘭さんをかばいます。支えると約束しましたから。


神城・星羅
【真宮家】で参加

b復興を手伝う+紫蘭さんに会う

お母様から紫蘭さんのことは聞いています。未熟な身でも紫蘭さんが辿り、乗り越えた道のりは守りの騎士である奏お母様の根幹を作ったのだと。

私も生みの家族を失った身です。命の上に生きているからこそ、紫蘭さんとはぜひお会いしたかった。護りの狼、導きの狛犬、八咫烏、金鵄をいつでも紫蘭さんを【護衛】できるように待機させながら、ご挨拶します。

初対面ですから、紫蘭さんには失礼のないように。復興のお手伝いには音律の使いに【伝令】【情報収集】【情報伝達】させながらこなします。

私も身分と職業上、悪意には敏感です。紫蘭さんに周りの状況に違和感がないかお聞きしますね。


神城・瞬
【真宮家】で参加

b復興の手伝いをする+雅人さんに会う

実質養子で相棒である朔兎さんに雅人さんの話したら目を丸くしながら熱心に聞いていましたね。

朔兎は僕と同じオッドアイに加え、12歳にしては僕に並ぶ身長です。僕もダンピールですし、生まれになにかあることは間違いない。だから雅人さんに会うことで朔兎の道のりにいい影響を与えることは間違いない。

朔兎は礼儀もちゃんとわきまえてとても明るい子ですので、初対面の雅人さんとの話は問題ないはず。緊急事態ですので月読の傭兵団に復興をてつだわせましょう。

危険は何気ないところにあるもの。いざという時は、動けるように。雅人さんの道を見てきたからこそ、支えます。


灯璃・ファルシュピーゲル
b.に【SIRD】一員として参加し密に連絡・情報共有

都市に潜伏したテロリストですか…眠り爆弾の様に息を潜められる前に尻尾を掴まないと厄介ですね…。

先ずは復興支援しつつ【情報収集】
指定UCで無人の建機(ショベルカー、ポンプ車等)及び無人戦闘工兵車等を作成召喚し、瓦礫の撤去や地元行政の復興支援隊の受入れ活動の為の動線確保と仮のライフライン設置・復旧作業を手伝います。

ある程度、避難者や片付けを手伝う地域住民が落ち着きを取り戻して来たら、復興支援を継続しつつ聴き取り調査を開始。
態々、外れの町で虐殺しようと狙ったのは、特定の対象か町への恨みがある可能性も考えられますし、過去この地域で強い怨恨関係を産み出しそうな犠牲者を出してしまった事件・戦闘等が発生していないか?という点と、
市民への恨みやデモノイドと猟兵の戦闘経過を知るのが目的だった場合、
様子を観察に現れていた可能性も高い為、ここ数日で不審者や其処に居る事に違和感を感じる様な人物を見かけていないか?という点を聴き込んでいきます。

※アドリブ絡み歓迎


源・朔兎
【真宮家】で参加

師匠夫婦と奏さんと瞬さんから雅人さんの話が聞いた。今住んでいるサクラミラージュで起きた事件とは思えないほど凄い話だった。純粋にあってみたいと思った。

俺は12歳なのにやたらと身長がある。武術を好む性質も皇族にはない気質だ。実際俺は両親の顔しらないしな。ダンピールの瞬さんに出会えたのも9歳も歳の差あるのに対等に相棒として信頼してくれてるのもすごくありがたい。

その瞬さんがいつまでも道のりを支えると誓った雅人さん。月読の同志に手伝ってもらいながら、できるだけ雅人さんと話したい。邪魔にならないようにな。

俺は皇族だし、潜む悪意の陰湿さはよくしっている。俺は守るヒーローになると誓ったんだ。


火神・臨音
b+雅人

此処に住んでた住人達を思ったらなるべく早く不安を取り除かないとな
雅人の姿見かけたら声がけし、人手足りない場所は無いか尋ねた上で作業に加わる

今回の事件を起こした黒幕
これだけ大掛かりな事件を起こすとなると、事前に何らかの動きがありそうなんだよな
作業を続けながら作業員や避難民達に問いかけてみる

事件の前の数日間、普段とは様子の違う奴の姿を見かけたって事はないか?
例えば此処では見かけぬ服装とか、所有品を手にしてたり
違和感を感じたと思った事ならどんな些細な事でも構わない
昨日の今日だからと無理に聞き出す事はしない

一連の情報を精査し思う

ここみたいな惨状
二度は繰り返させねぇ【空を睨み】


アドリブ歓迎


藤崎・美雪

【闇黒】
他者絡みアドリブ大歓迎
指定UCは演出

流石に色々聞きたいことがあるので
ここは竜胆さんのお招きに応じるとしよう
向かう前に、陽太さんからテレパシーで読んだ情報を預かっておくぞ

大前提として、竜胆さんに対しては礼儀を失することのないよう接する
今回竜胆さんと初対面の猟兵がいたら、こちらからも簡単に紹介するぞ
給仕の手が回りそうになければ、そちらも手伝う
…これでも一応、カフェオーナーだ
状況が状況でなければ、ここで竜胆さんと紅茶淹れ勝負を挑みたいところだ(※ネタです)

さて、私から竜胆さんに聞きたいことはふたつ
ひとつ、竜胆さんがなぜデモノイドについて情報を持っているのかの確認
昨今、サクラミラージュを騒がせているとは聞いていたが…

ああ、併せてこちらからも情報提供を
知人が突き止めたのだが、デモノイドに寄生され人の姿を失った人々の魂は…救いを求めていたそうだ
そちらは知人が救える限りで救っているが…

もうひとつ、これは他猟兵と被りそうな質問だが
ずばり「竜胆さんが推測している、今回の主犯の正体」をお聞きしたい


彩瑠・姫桜
【二桜】
b雅人さん

街の復興の手伝いをしながら、雅人さんや街の人達と会話して情報を集めるわ
可能ならあお(f06218)とも合流して情報すり合わせしたいわね

そういえば、雅人さん
デモノイド出現の情報って発生報告ベース?
それとも予めある程度予測をつけてるのかしら?

対策の情報って竜胆さんから降りてきてるでしょうから
何かしら傾向分析してるんじゃないかしらって思ったの

(以前、竜胆さんの護衛をしていた時(「その光と影の、真実は」)
竜胆さんから聞いた「天秤」の話を思い出す
今回のことも何かしら関連性がありそうな気がして)

あとは、雅人さん的に、今回とこれまでのデモノイドとの戦いで
気がついた点あるなら聞いてみたいわ


榎木・葵桜
【二桜】
b紫蘭さん

復興手伝いと情報収集
人手はあった方がいいから、UCで田中さん呼んで力仕事お願いするよ!

可能なら途中で姫ちゃん(f04489)と合流したいかも
情報すり合わせもだけど
何より、紫蘭さんの元気な姿を姫ちゃんや雅人さんに見せてあげたいな!

そーいえば、今回の襲撃場所って何でここになったんだろうね?
あんな大規模なのが計画性ゼロなはずないし
私が敵だったら、実現可能かつ目的達成度が高い方法とるよ
場所だってその地そのものに怨みがあるか、一番利用しやすいかで選ぶし
その辺考えながら、避難民の人たちとの雑談で情報拾っていくね

ちなみに紫蘭さんは何か思うところある?
感覚レベルでいいからよかったら教えてね!


彩瑠・さくらえ
a
SPD
竜胆さんに聞いてみたいことは2つ
1:竜胆さん視点での「デモノイド」の捉え方について
2:調査対象地域のいわれのある場所について

猟兵のこともこの世界のことについても勉強中だから
ズレてるのは承知でとっかかりとして聞いてみるね

「デモノイド」の捉え方とかは
僕の世界とはきっと異なるだろうから純粋な興味だね

場所については
「デモノイド」って従わせるための相当な力が必要だと思うから
何かしらいわれのある場所とかの力を借りてたりするのかなって

わかりやすいとこだと神社仏閣だけど
知る人ぞ知るなマイナーな場所だったら身を隠すにもいいだろうし
竜胆さんならその辺知ってそうだから
いくつか聞いて実際に足を運べたらいいかな


森宮・陽太
b+紫蘭
【闇黒】
他者絡みアドリブ大歓迎
服装はサイザナ(猟コレ2023)衣装

行動開始前に念のため、テレパシーで読んだ情報を美雪に渡しておく
竜胆も必要そうな情報だろうから、好きに渡してくれや
ガヴェインは引き続き、上空から首謀者を探してくれ
絞り込めそうな情報を得次第、直ぐに提供すっからよ

指定UCでサクミラ服姿+マスケラなしの『零』を召喚
…マスケラ、すっげぇ目立つから外してくれ(桜シリーズのあれこれ思い返し遠い目
その上で、俺と零、ふたりとも復興作業に回る
ただし、作業箇所は別々だ

『零』、比較的人の多い区域で瓦礫の片づけをしながら、一般人や避難民の噂話に耳を傾けてくれ
知りたい情報は…デモノイドが来た方角、としておく
…一般人が突然「デモノイド化させられた」じゃねぇことを祈ってるぜ

俺は一応、紫蘭の護衛も兼ねて、紫蘭と一緒に復興作業
力仕事があったら積極的に手伝うぜ

…デモノイドに寄生された人々は、救済を求めていた
恐らく、無理やり寄生体を植え付けられデモノイドにされたんだろう
だとすれば、主犯の目的は…何だ?


勝沼・澪
a

そうだねぇ……とりあえずこの世界で「デモノイド」がどういう形で生じたのか、現れたのか、それらの情報をどういう経緯で把握することが出来たのかを聞こうかな。

「この世界のデモノイドについて」聞くには、こちらの持つ「ソロモンの悪魔」などの情報はノイズになる。なのでこちらからは一切茶々を入れず、竜胆の把握する事柄だけを聞きたい。もちろん、あちらが知りたくて質問してきたら答えるがね?

……それにしてもこの紅茶、購買の奴とは段違いだ……。メニュー見せてもらえなかったけどおいくら……?


クラウン・アンダーウッド
b紫蘭

町の復興に手を貸そうじゃないか♪重い瓦礫は撤去しよう、美味しい食事を振る舞おう、傷ついた心身は治療しよう。

だけど、真に復興を遂げるのに必要なのはボクらの様な超弩級戦力じゃない。ここにいる一人一人の意思と協力が必要なんだよ。だってここは皆さんが暮らす町なんだからね♪

からくり人形を瓦礫撤去作業に、人形楽団で士気高揚目的の野外演奏を実施し、クラウン本人はカバン型移動工房に備蓄していた甘酒を住民や紫蘭に振る舞う。


馬県・義透
a
引き続き『静かなる者』にて

竜胆殿と話しましょう。
現地の方から見たもの、というのは重要ですからね。
推測というものは、何か引っかかるもの、起点となるものがあるから成り立ちますので。
ええ、そういうものに気づくのは、往々にして現地の方だったりするので。

ただ気になるのは、何故、デモノイドについての情報を知っているのか、ということですね。
私は一の姉・風花の話を、昔聞いていた…で知ってるだけなのですが。竜胆殿はほぼ無関係なはずですので。
まあ…最近、この世界でもデモノイドが暴れているのも事実ですが。

※UCは判定用です。


文月・統哉
b)雅人
【怪力】に優れた『ふわもこ戦隊・着ぐるみナイン』で
復興作業を手伝いながら
雅人達に襲撃開始時点の様子も聞いて
通信機で仲間と情報共有しつつ
敵の潜伏場所を推理する

デモノイド達は、雅人や紫蘭を意図的に狙っている節が見られた。
デモノイド寄生体に対する適性は個人差があるとの事だけど、
デモノイドロードと成り得る者として目を付けられていたと思われる。
もしユーベルコヲド使いである事がその指標の一つであるのだとしたら、
狙われているのはユーベルコヲド使いが最も多く集まる場所、
『帝都桜學府』の学舎や兵舎であるのかもしれない。
事件対処の慌ただしさに乗じて、
既に潜入している可能性も高そうに思うけど、どうだろうか。


文月・ネコ吉
a)
敵の動きを読むには情報の整理は必要だ
竜胆氏の話も是非聞いておきたい
通信機で統哉達とも情報を共有しながら
皆で考えを進めて行こう

いつもの如く眉間に皺を寄せながら
敵の居場所を突き止めるべくUCを使用する

竜胆氏のデモノイドロードに関する情報源については、
最近読んだ報告書も関係していそうだな。
もしデモノイドロードと成り得る者として、
ユーベルコヲド使いを狙っているのだとしたら、
狙われているのは『帝都桜學府』なのかもしれない。

デモノイドの投入にはカルロス・グリードが関与しているのは間違いなさそうだが、
敵がデモノイドロードであると同時に影朧であるならば、
向けられた憎悪には、他にも何か理由があるのだろうか。




 ――帝都中央区 某茶屋。
 竜胆と共に、全部で10名の猟兵達が一緒に入り、総勢11名と言う大所帯になったにも関わらず、各々寛げる態勢になれるその場所で。
 出された最高級の紅茶を正座して静かに啜りながら、やはり、とネリッサ・ハーディが1つ首肯する。
「今回のテロルの件、帝都桜學府諜報部も動いておりましたか。治安維持という観点から、予想できたことではありますが」
 そのネリッサの言の葉に竜胆が静かに息を吐き、首肯で返す。
「今回は、幸いにも雅人達を送ることで何とか先に手を打てたのが救いでした。以前、花蘇芳達によって起こされた帝都を覆った大火災程の大事には至りませんでしたから」
 そう嘗ての記憶を掘り起こす様に言の葉を紡ぐ竜胆のそれに、確かに、と藤崎・美雪が静かに首肯を1つ。
(「あの燃え盛る帝都の事件は、最早戦争にも等しい状況だったからな」)
 そんな美雪の内心の呟きに気付いているのか、いないのか。
「そう言えば貴方は皇家出身なのですね。でしたら、殿下とお呼びした方が宜しいでしょうか?」
 そう寺内・美月が問いかけるのに、竜胆がいえ、と微笑み軽く頭を横に振る。
「皇族と言いましても、本来はあまり公にするべきではない話ですので普段通りにお話頂いた方が、私としても気兼ね無くすみますね、美月さん」
 その竜胆の説明を聞いて、ふーん……と値踏みする様に興味深げに目を細めているのは、勝沼・澪。
 差し出された紅茶を軽く啜り、その味が……。
(「……この紅茶、購買の奴とは段違い……メニュー見せて貰っていないけれど、おいくらなんだろう……?」)
 等と思っている澪の姿を、少し気に掛ける様に見る竜胆。
「お気に召しましたか? そう言えば貴女は……」
 そう竜胆が問いかけたところで。
「と、すまぬな竜胆さん。彼女と、それから彼は初対面か」
 そう差し出された紅茶を一口啜ってそれに舌鼓を打ちつつ、澪と彩瑠・さくらえを見ながら、美雪が呟く。
(「美月さんは、直接は会っていないかも知れないが……幾つかの事件に介入しているのだよな」)
 だからこそ美雪はコホン、と改めて咳払いを1つして話を続けた。
「今、紅茶を飲んでいる彼女は、勝沼・澪さん。そして此方の青年が、彩瑠・さくらえさんと言う」
 そう告げる美雪のそれを受けて。
 紅茶、ではなく抹茶を飲んでいたさくらえがふふ、とそっと頬笑み優雅に一礼を1つ。
「改めて初めましてだね、竜胆さん。宜しく」
 そんなさくらえの挨拶にええ、と微笑む竜胆の様子を確認しながら。
「それにしても竜胆と会ったのは、前の事件以来かな?」
 そう真宮・響が問いかけると、そうですね、と竜胆が応えを返した。
(「竜胆や、雅人、紫蘭を巡っての事件の色々は聞いたことがあるな……」)
 妻である響の様子を見ながら、内心で過去に起きた様々な事件の話を思い起こしていたのは、真宮・律。
 自分自身も先程響が話題に出した竜胆を狙った影朧……黯党の起こした事件に絡んだのだが、その時の事は、今でも記憶に新しい。
 そんな律の事をチラリと見遣りながら、それにしても、とウィリアム・バークリーが、澪と同じく紅茶を啜って舌鼓を打ちながら唸っている。
「いい茶葉を使っていますね、このお店。流石は竜胆さんが選ぶだけの事はあります」
「うむ……状況が状況で無ければ、此処で竜胆さんと紅茶淹れ勝負を挑みたいところだ」
 ウィリアムの感想に同意する様に少しだけ冗談めかした口調で告げる美雪のそれに、竜胆はそう言う事でしたらと。
「それはいずれの機会と致しましょう。勿論、私も此でも紅茶には多少うるさい身ですが」
 和やかに笑って返すのに、眉間に皺を寄せながらも文月・ネコ吉が苦笑を零した。
「敵の動きを読む情報の整理の為に来たが、こんな局面でもそんな冗談を交わす事が出来る、と言うのは流石と言うしか無いな」
 そのネコ吉の呟きに。
「そうですね。ですが、今の竜胆殿でしたら、特に現地の方から見た今の状況を聞く前の歓談としては、丁度良いのではないかと思いますよ」
 そう相槌を打ったのは、紅茶では無く上等な抹茶を頂く馬県・義透――と言う人格術式――を構成する四悪霊が1人である『静かなる者』、梓奥武・孝透であった。


 ――一方、その頃。
「竜胆さんって人のところには藤崎さんや、ネコ吉さんが無事に行ったみたいだね♪」
 先程迄戦場となっていた倒壊した建物を見つめ。
 その復興のために現れた住民達に紛れる様にしてその手伝いを行おうとしているレイヴァ・エレネウラに向けて、クラウン・アンダーウッドがウインクを1つ。
「そうみたいだね。因みにボクも手伝うつもりだよ。町の復興をするって事は、力仕事も付き物だろうからね」
 クラウンのウインクを見て微笑み、豊かな胸を揺らしつつぐっ、と自らの力瘤を盛り上げながらのレイヴァの応えを聞いて。
「あ、ありがとう……」
 そう紫蘭がぺこり、とはにかんで一礼するのに、気にしないで、とにっぱり八重歯を見せながら笑うのは榎木・葵桜。
 ――と、その時。
「……最近のサクラミラージュは物騒過ぎることこの上ないので、紫蘭さんが狙われる可能性は十分想定して然るべきでしたね……」
 そう何かを悔いるかの様な口調で呟くと共に。
 未だ齢10にも満たない幼子を連れた紫の瞳と茶髪の娘が姿を現した、その時。
「あ、あなたは奏さん?」
 そう紫蘭が少し驚いた様に口を押さえる様にする様子を見て、茶髪の娘、真宮・奏がお久しぶりですね、と複雑な微笑を零している。
 ――と、そこで。
「あの……奏お母様、この方が……?」
 奏に連れられていた藍色の瞳と漆黒の髪持つ幼子がおずおず……と言うよりは興味深げに奏に問いかけるのに。
 そうですよ、と奏が微笑んで首肯し、彼女をそっと前に押し出す様にしたのを見て、紫蘭がパチクリとその瞳を瞬かせ。
「あなたは……?」
 とその幼子に問いかけると。
 幼子……神城・星羅は綺麗なお辞儀をぺこりとして、そして小さく微笑んだ。
「星羅と言います。紫蘭さんには、いつも母がお世話になって……何よりも、奏お母様が守りの騎士である事の根幹を作ったのだと窺っております」
 そう流暢に口上を述べる星羅のそれに、紫蘭が微笑を綻ばせた時。
「あっ! いたいた! お主が紫蘭殿でござるね!?」
 そう、上空から。
 不意に女の声が響き渡ったのに気が付き、紫蘭が上空を見上げると。
 そこにいた女がパタパタパタ……と竜の翼を羽ばたかせながら着地して、初めまして! と挨拶を1つ。
「拙者、フェルと言う者でござる! 此度は拙者達とデモノイド達の戦いで壊れた町の復興の手伝いに来たでござるよ!」
 そう紫蘭に挨拶をするフェル・オオヤマのそれに、ありがとう、と紫蘭が小さく頭を下げている。
 そんな紫蘭を見つめながら、それにしても、とフェルの脳裏に疑問が宿る。
(「どうにも、疑問点が幾つもあるんだよね……」)
 ――その内の1つとして上げられるのは、何故、先の襲撃は第一波で終わったのか? と言う事だ。
 此ほど迄に大量のデモノイドを投入に対応できるだけの、|超弩級戦力《猟兵》が戦場に集まっていたのは確かだが……やはり、その疑問を拭うことは出来そうにも無い。
(「それにしても今回の主犯って、結構用心深いのよね……どれだけ、私達の事を警戒しているのかしら?」)
 伏兵への備えを怠らぬ様、自然胸中を『竜姫士』の儘にして、徒然無く思考を続けるフェル。
 そんなフェルの様子を見ていたのであろうか。
「……フェルさん。此方の方も被害が大変なことになっているな。……まあ、工兵としての仕事には此でも慣れているから、手伝いは出来るが」
 そうフェルに声を掛けながら姿を現したのは、エルゴ・ルスツァイア。
 そのエルゴの呟きに振り返ったフェルがそうでござるか、と相槌を打ち。
 それに首肯で返しながら、エルゴが紫蘭へと自己紹介をし、それに対して、宜しく、と紫蘭が挨拶を交わしたところで。
「そう言えば、フェルさんとエルゴちゃんは、雅人さんの方に行ってくれていたんだよね? 姫ちゃん達は今、如何しているの?」
 そう葵桜が問いかけると。
「姫桜殿か? 雅人殿達と共に、復興支援と調査を進めている筈でござるよ」
 そうフェルが応えを返すのに、そっか、と葵桜が首肯しているその間に。
「私は生みの家族を失い、その命の上に生きているからこそ、紫蘭さんとは是非お会いして沢山お話を伺いたいと思っていました」
 そう星羅が言葉を紡ぐのに、奏がその時の事を思い出す様に、それに微かに目を伏せ、紫蘭が瞬きをしながらも、星羅と軽く歓談をしていると。
「よう、紫蘭。久しぶりだな」
 サクラミラージュでの私服に身を包んだ、森宮・陽太が気さくに手を上げて、挨拶を軽く1つ。
(「取り敢えず、先の戦いのデモノイド達から読み取った情報は、既に美雪に連絡しておいたから……」)
 恐らくあの情報は、竜胆からの情報収集にも役立つだろう。
 上空から、光学迷彩状態のガヴェインに監視を続けて貰いながらの陽太に対して。
「うん。……皆にこうやって会うのは久しぶり、だね」
 そう微笑を綻ばせて会釈する紫蘭のそれに、無事で何よりだな、と言う様に陽太が軽く肩を竦めてみせる。
 そんな風に陽太達が短い挨拶を交わしていると。
 ――プップカプー、プッププ、プップカプー!
 不意にその場に妙に明るいクラウンの人形楽団の演奏が響き渡るとほぼ同時に。
「さーて、さて皆さんご注目、ご注目―!」
 そうクラウンが避難こそしたけれども、傷ついたこの町の住民達に向けて、146個の神々しい光を放ち激しく燃え盛る|地獄《慈愛》の炎を解き放ちながら道化の様に笑って呼びかけていた。
「皆のために、ボク達も重い瓦礫の撤去を手伝い、美味しい料理も振る舞っちゃうよ~♪」
 そのクラウンの言葉に揺り動かされる様に。
 神々しい|地獄《慈愛》の炎で心身を癒やし暖められた人々が少しずつ集まってきて、クラウンがカバン型移動工房に備蓄していた甘酒を貰い美味しく頂く。
 そんな風に甘酒やこう言う時のための炊き出しの用意をしながら、飄々とした笑みを浮かべた儘、でも、と。
「真に復興を遂げる為に必要なのは、ボクらの様な超弩級戦力じゃない。此処にいる1人1人の意思と協力だからね♪ 出来るところは手伝っていくけれども、そこの所は皆も忘れちゃダメだよ♪」
 そうウインクを決めて道化の笑みを浮かべるクラウンの言葉を後押しする様に。
 数多の人々だけでは決して動かなかったであろう、瓦礫を力任せに除去するレイヴァと葵桜の召喚した田中さんの力仕事を見て。
「……おいおい。俺、力仕事する必要ないんじゃねぇか……?」
 と、思わずポカンと口を開けてボリボリと頭を掻く陽太の様子を見て、奏達が思わずクスリと笑い。
 ――紫蘭を中心とした班の復興作業と“黒幕”探しが始まったのだった。


 ――そして、丁度、同じ頃には。
「集え、ふわもこ戦隊・着ぐるみナイン!」
 その言の葉と共に。
 自らのクロネコ・レッドの着ぐるみに捲いた赤いスカーフから9体の怪力に優れたふわもこ着ぐるみを、文月・統哉が召喚していた。
 統哉が召喚した9体の着ぐるみ達はそれぞれに、自らの怪力を最も生かせる場所を探そうと散り散りに動き始めている。
 そんな、統哉のふわもこ着ぐるみナインの動きに触発されたのであろうか。
「それでは雅人様! 瓦礫の撤去の様な力仕事でございましたら、このウォーマシンであるわたくしめにお任せ下さいませ! わたくし、ラムダ・マルチパーパスも、市民の皆様のお役に立てる様、一肌脱がせて頂きます!」
 そうラムダが力説する様子を見て、ありがとう、と微笑を零す雅人。
 そんな雅人の微笑にピカピカとモノアイを輝かせながら、ところで……と物凄く真面目に人で言うのであれば小首を傾げる仕草を行い。
「……一肌脱ぐって、わたくしめは一体何を脱げば宜しいのでしょうか?」
「ええっ!? いっ、いや別に一肌脱ぐってそう言う意味じゃ無いわよ、ラムダさん! べ、別に本気でぬ、脱ぐ必要なんてないんだからねっ!?」
 と、何故か妙に頬を赤らめた姫桜がラムダに突っ込みを入れているのを見て、灯璃・ファルシュピーゲルが思わず微苦笑を綻ばせ。
「まあラムダさんは、そのウォーマシンとしての馬力をフル活用して、文月さんの着ぐるみナインでしたか? あちらの方々と協力して、瓦礫の撤去作業をすれば良いのでは無いでしょうか?」
 そうやんわりと窘める様に告げるのに。
「成程! 流石は灯璃様でございます! それでは、わたくしめは市民様や文月様の召喚した着ぐるみナイン様達と協力して瓦礫の撤去作業の為に全力を尽くさせて頂きます!」
 そうモノアイをピカピカと輝かせて着ぐるみナインと共に既に撤去作業を開始し始めていた市民達の中に紛れる様にラムダが姿を消したのを見送ったところで。
「よう、雅人。俺の手が必要なところはあるか? 後……お前にお客さんだ」
 そう火神・臨音が雅人に呼びかけると。
「ありがとう、臨音さん。そうだね……臨音さんは北の方で仕事をしている人達の手伝いに向かってくれるかい?」
 そう雅人が臨音に指示を出し、臨音がそれに任されたぜ、と軽くウインクをして、雅人が指示をした方に向かったその後ろから。
「……雅人さん」
 先程臨音が言伝を残してくれた『お客さん』であろう。
 その良く聞き覚えのある人物の声を聞いた雅人が微かにはっ、となり、其方の男……神城・瞬の方を向いて。
「やあ、久しぶりだね、瞬さん」
 そう柔和な微笑と共に告げた雅人のそれに、瞬が何故だか少しほっとした様に肩の力を抜いていた。
「戦闘の応援には間に合わず、すみません」
 そうペコリと軽く謝罪する瞬のそれに、雅人が大丈夫、と言う様に頭を横に振ったその時……。
「そうか! あんたが師匠夫婦や奏さん、瞬さんの言っていた雅人さんか!」
 そう、瞬の横に並んでいた瞬と同じオッドアイの長身の青年……否、少年が溌剌とした声を上げている。
 その少年……源・朔兎を見て、雅人が微かに小首を傾げ。
「貴方は……」
 そう朔兎に問いかけるのに応える様に、瞬が彼は、と言の葉を紡いだ。
「彼は僕達の弟子で、朔兎と言います。こう見えて、12歳なんですよ」
 と、何処か誇らしげに告げる瞬のそれに朔兎がいやいや、と気恥ずかしそうにポリポリと瞬と対にも思える白い髪を掻いていた。
「俺なんて未だ全然です……それはそれとして、改めて宜しくお願いします、雅人さん! 師匠達から話を聞いて、是非とも一度お会いしたいと思っていたんですよ!」
 そうペコリと礼儀正しく頭を下げる朔兎の様子と話を聞いて、雅人が瞬きと同時に苦笑を零す。
「超弩級戦力の朔兎さん達が、僕と一度お会いしたい何て言ってくれるなんて、光栄だね」
 そう告げる雅人のそれに、そりゃあ、と朔兎が赤と金のヘテロクロミアに雅人を映しだし、言葉を続ける。
「俺と同じ様なヘテロクロミアの瞬さんが、9歳も年の差があるにも関わらず、対等の相棒として信頼してくれているんです。そんな瞬さんが、いつまあでも道のりを支えると誓った雅人さんに会ってみたい、と思わない訳が無いじゃないですか」
 そう照れくさそうに隣の瞬の方を見つつ、軽く頬を掻く朔兎の様子に。
「そうか……そこまで気に掛けてくれているんだね。ありがとう、瞬さん、朔兎さん」
 と雅人が瞬と朔兎に微笑み首肯した、丁度その時。
「雅人ちゃん。ワタシ達はどの辺りの復興作業のお手伝いをすれば良いかな?」
 そう156体のご当地怪人を呼び出したクローネ・マックローネが雅人に向けて問いかけてくる。
 不意にクローネの背後に現れた156体のご当地怪人達の姿に雅人は少し驚いた様な表情になったが、程なくして。
「そうしたら、クローネさんの背後の召喚されたその子達の内、半分には避難した人々の為の炊き出しの手伝いをして貰いたいな。他の半分とクローネさんには、ラムダさんや臨音さん達と一緒に、復興支援をお願いしたい」
「分かったよ、雅人ちゃん。その位ならワタシ達に任せて」
 そうフムフムと熱心に首肯したクローネが早速雅人の指示通り、156体のご当地怪人を半分に分けてそれぞれの活動に従事させようとするのを見て。
「そう言う事でしたら、僕の方からも傭兵団をお貸ししましょう。……この先、未だ何かあるかも知れないですし」
 そう告げた瞬が153体の額に【1】と刻印された、瞬が生まれた隠れ里の一族の紋章……月読の紋を付けた傭兵団達を召喚すると。
「あっ、勿論、俺の方も協力するぜ!」
 そんな瞬やクローネに触発されたのか、朔兎もまた、151体の白い狩衣姿の武士達を召喚。
 炊き出しの作業については、クローネの呼び出したご当地怪人達が中心になってやってくれると判断した雅人が、瞬や朔兎の召喚した者達には、この町の復興作業の手伝いを依頼し、瞬と朔兎がそれに首肯してその行動を開始させたタイミングを見計らい。
「それで……雅人。改めて、幾つか教えて貰いたいことがあるんだけれども、構わないかな?」
 復興作業については、着ぐるみナインや戻ってきた避難民、帝都桜學府から派遣された者達がやってくれると判断した統哉が雅人に問いかけると。
 雅人がああ、と首を縦に振り、復興の為に出来ることは? と集まってきた部下やクローネのご当地怪人の炊き出しで元気を取り戻した者達に指示を下した後、言葉を紡いだ。
「僕に分かる範囲で良ければ、になるけれど、それでも構わないかな?」
 その雅人の問いかけに。
「はい。大丈夫です。私達も色々と確認しておくことがありますので」
 そう敬礼と共に統哉の言葉を引き取った灯璃のそれに、雅人が静かに首肯した。
 ――その復興活動と、情報収集の始まりは……。


「いつもの軍服で済まないね」
 そう自分の服装を見て苦笑を零した響のそれから始まった。
 ――此処は、茶室。
 故に相応の格好を本来ならしておくべきであろうが……非常事態に陥る可能性まで考慮に入れると、如何しても常に戦闘態勢で居る必要がある。
 そんな響の隣に居る夫の律もまた、コート姿。
 エチケットとしては、コート位は脱ぐべきなのかも知れないが……。
「いえ、お気になさらずに。今は未だ、緊張状態が続いているのです。先程、皆様にデモノイド達を救済はして頂いた様ですが……あのデモノイド達を率いていた黒幕は見つかっておりませんしね」
 そう頭を横に振る竜胆のそれに、それなら良かった、と注がれた紅茶に手を付けながら、響が肩の力を抜いたところで。
「『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』とも言いますよね。こんな局面だからこそ、寧ろぼく達をこの店に誘ったのではありませんか、竜胆さん」
 そう響の後を引き取る様に言の葉を紡いだのはウィリアム。
 紅茶を軽く啜りながらのウィリアムのそれに、そうですね、と少し生真面目な表情を浮かべた竜胆の様子を見つつ。
「まあ、竜胆の様な奴がいるお陰で、俺達一家も、安心して暮らせるって言う所もあるからな」
 そう律が何気ない様子で自分達の事を話題に出すのを聞いて、ほう、と竜胆が微かに目を眇める。
「響さん達はもしや、今……」
 その竜胆の何気ない問いかけに。
 ああ、と響が首肯と共に。
「実はサクラミラージュに最近は家を構えていてね。だからこそ、竜胆の力に少しでもなれれば、と思って参上した次第さ。……竜胆の身分を考えると随分と危ない橋を渡っているな、とも思ったしね」
 そう告げる響のそれに、竜胆は微笑み。
「必要なことだから、そうしているだけに過ぎないですよ、響さん」
 そう造作も無いことの様に告げる竜胆の様子を見て頃合いと思ったか、美雪が取り敢えず、と頭を横に振り。
「まあ、今回は今までみたいな腹の探り合いをしている時間は無さそうだ。と言う訳で竜胆さん、いきなり核心を突くかも知れないが、聞いても良いかな?」
 そう美雪が問いかけると。
「勿論、構いませんよ」
 返ってきた竜胆からの返事にありがとう、と軽く首肯してから、美雪が、如何して、と話を続ける。
「貴方は、先程あの町を襲ったデモノイドについての情報を持っているんだ? 確かに、昨今、サクラミラージュを騒がせているとは聞いたが……」
 その美雪の問いかけには、澪や、義透も同じ疑問を抱いていた。
 一方で、さくらえは何処となく興味深そうに、美月やネリッサは冷静に、そしてネコ吉は眉間に眉を寄せて考える様な表情を浮かべ竜胆を見ている。
 そんなネコ吉達の様子を見て、やはり個々人によって受け止め方や考え方は違うものなのですね、と竜胆は内心で楽しそうに首肯し、そっと息を吐いて言の葉を紡いだ。
「今、正しく美雪さんが仰った通りですね。突然影朧達が『蒼い悪魔』とでも称すべき存在を嗾けてテロルを起こし、その事件を超弩級戦力の皆様が解決しているのですから、自然とその情報は私の耳にも入ってきます。……まあ、決定的なものは、他にありますが」
 その竜胆が自らの経緯……特に『決定的なもの』があったという話に心当たりがあったのであろう。
「もしかして……最近になって起きたとされている例の事件か? 俺が直接関わった訳では無いが……」
 そうネコ吉が眉間に眉を寄せながら問いかけると。
 どうやらご存知の様ですね、と竜胆が首肯を1つし、言の葉を紡ぐ。
「先日、私達帝都桜學府諜報部の所に、奇妙な通信が入りましてね。それは3人の超弩級戦力が遭遇した、少数のデモノイドを率いた『デモノイドロード』が何かをしようとしているのを今此処でばらす、と言う内容の通信でした」
 その竜胆の言の葉に。
「……そんな事件があったのか」
 ――サクラミラージュに家が有り、実際に暮らしていたが……。
 それでも響達の耳に入ってきていない、と言う事は、恐らく予知された事件では無いのだろう。
 そんな響の思考を裏付けるかの様に、ええ、と竜胆が静かに首肯する。
「勿論単なる悪戯の可能性もありましたが、私達としてはきちんと調査をする必要がありました。通信の内容的にも単なる悪戯やホラ話とは到底思える様な内容でもありませんでしたからね」
 その竜胆の言の葉に。
「では、竜胆殿が正式にあの蒼い悪魔達の名が『デモノイド』と言う事を知ったのは、極最近だった、と言う事ですか。私は……一の姉である、風花から聞いて知っている程度の話だったのですが」
 そう嘆息と共に確認する様に問う義透のそれに、そうですね、と竜胆が首肯を1つ。
 ――では、竜胆の知るデモノイドとはどんな存在という認識があるのだろうか。
 そう興味深げにお茶を啜りながら話を聞いているさくらえの様子を見ながら、竜胆は私は、と言の葉を続けた。
「あのデモノイド達なのですが、正直に申し上げれば影朧の筈なのですが、どうにもそうではない、という感じの存在と見ています。どちらかと言えば、悪魔召喚士達が契約する|悪魔《ダイモン》に近い影朧なのでは無いかと言う印象です。……少なくとも、紫蘭の様な桜の精や幻朧桜の力でも簡単に転生させることが出来ない危険な存在という認識があるのです。そして……そんな|悪魔《ダイモン》を操る|君主《ロード》がいる……此処までの情報が揃えば、当然私達帝都桜學府諜報部としては、人々の命と安全を守る為に、調査するしかありません」
 その竜胆の言の葉に。
(「そうか……サクラミラージュの人達から見れば、彼等は|悪魔《ダイモン》であって、復活ダークネスという認識は無いのか。或いは……影朧の一種と見ているか」)
 そう内心で成程、と言う様にさくらえが胸中で結論づける一方で、澪がフム、と竜胆の言葉に相槌を打っている。
 そんな澪やさくらえの様子に気が付いていたのだろう。
「……どうやら、皆様……と言うより、貴方方はデモノイドやデモノイドロードと言う存在について、独自の知識がある様ですね?」
 そう興味深げな竜胆の質問に、それはだね、と微笑と共に返したのは、澪。
「そうだね。私やさくらえ君はデモノイドも、デモノイドロードも知っているよ。恐らく君よりも余程ね。特に私は……こう言う存在だ」
 そう言葉を紡ぐと同時に。
 自らが寄生され、侵食されているデモノイド部分を見せる澪を見て、竜胆が思わず目を眇めた。
「……どうやら、貴方は彼等とある意味では同種の存在の様ですね。……いえ、超弩級戦力である以上、『以て非なる』と言った方が宜しいのでしょうか?」
 その竜胆の問いかけに。
 澪がそうだね、と静かに首肯し、まあ……と苦笑と共に頭を横に振った。
「ある意味では私は、彼等から見たら自分達のなり損ないの様に見られているのだろうな。詳しくは話さないが」
「成程。……今のお話だけで十分です。いずれにせよ、貴女の事は美雪さん達の事もありますので信じましょう。疑り深くて申し訳ございませんが」
 そう微苦笑と共に軽く頭を下げる竜胆のそれにいや、と律が頭を横に振る。
「俺も家族を守る立場だからな。竜胆、お前が背負うものは良く分かっているつもりだ。……規模は違いすぎるけれどな」
 そう告げる律のそれに、ありがとうございます、と竜胆が一礼した丁度その頃。
「そう言えば、雅人さん。デモノイド出現の情報って、発生報告ベースだったの? それとも、予めある程度予測を付けているのかしら?」
 町の復興作業をしている傍らで、姫桜が雅人にそう問いかけると雅人はそうだね、と小さく首肯した。
「竜胆さんからの情報が基本で、嘗て現れた発生報告ベースで動いている。少なくとも、ある程度此処に現れるかも知れない、と言う予測が付けられていた訳じゃないよ」
 その姫桜の言の葉への雅人の解答を耳にして。
「つまり今回の件は、雅人達にとっては偶然の遭遇、と言う事か」
 もし、ユーベルコヲド使いであれば誰もがデモノイドに襲われる可能性があるのだと仮定すれば、その対象として雅人や紫蘭が狙われた可能性は否定できない。
(「それを|予知の力《グリモア》で予知して俺達に出撃して貰える様に依頼してきた。……そう言うことになるんだろうな」)
 そう統哉が内心で考えているその間に。
「紫蘭殿。伺わせて貰いたいことがあるでござる」
 そう紫蘭に問いかけたのは、フェル。
 そのフェルの問いかけに、紫蘭が軽く小首を傾げるのにフェルが少し悩む様な表情を見せながら、話を続けた。
「少し気になったのでござるが……あのデモノイド達を見て、紫蘭殿は何か、違和感とか気になる事はあったでござるか? 拙者は紫蘭殿の事を奏殿達と違って知らぬでござるからな。如何しても気になってしまうのでござるよ」
 そのフェルの質問を聞いて。
 微かに紫蘭が目を瞑り、何かを考えるかの様な様子を見せているのに気が付いたクラウンが、そんな紫蘭を励ます様に甘酒を差し出すと。
 ありがたそうに紫蘭がそれを受け取り、一口啜って唇を湿らせた後、沈痛そうに頭を横に振った。
「……私は、桜の精。だから、影朧達を転生させる力を持っている。でも、あのデモノイドと皆が呼んでいる子達に関しては……只、転生させて救う事は出来ない、とは感じた」
「……転生させて救う事が出来ないと感じた? どう言う意味でござるか?」
 言っている意味が、よく飲み込めないのであろう。
 首を傾げて頭の上に沢山のはてなマークを浮かべているフェルを救う様に。
「サクラミラージュの世界のオブリビオンである影朧は、現世に何某かの強い感情や未練を残した魂が実体を伴って人々に害を無自覚に与えてしまう存在なのです。その為、魂を安らかな輪廻の輪に戻し、その魂を癒やす事を転生、或いは救済とこの世界では呼んでいます。帝都桜學府が影朧達の救済を理想として掲げているのも、影朧達はあくまでも元々人の魂で有り、死して尚この世界に未練や強い想いが残っているのを救ってあげたいと考えているからなのですよ」
 そう奏が説明をすると、成程、とフェルが納得したという様に首肯し……それから何だか少し恥ずかしそうにポリポリと頭を掻く。
 そんなフェルの様子を見て。
「もしかしてフェルさんは……」
 傍、と何かに思い当たったかの様に星羅が言の葉を紡ぐのに、うむ……とフェルが何とも言えぬ表情の儘に、首を縦に振って続けた。
「実は拙者、サクラミラージュでの任務に出るのは初めてでござってな。そう言う話には如何しても明るくないのでござるよ。……けれども、成程。となると、紫蘭殿が転生させて救う事が出来ないと感じたと言う事は、あのデモノイド達は……」
 そのフェルの呟きを、まるで聞いていたかの様に。
「只の影朧では無いのは確かだよ。そもそもデモノイドは……」
 そう竜胆に説明を付け加える澪のそれに、さくらえが続けて言葉を引き取る。
「デモノイド寄生体と呼ばれるものにその身を寄生される事で、|悪魔《ダイモン》と化している存在であって、確かにこの世界で言う一般的な影朧とは違う存在とも言えるね」
 あくまでも、ダークネスという言葉は使うこと無く。
 竜胆達のデモノイド達に認識に出来うる限り沿った状態で澪の言葉に説明を付け加えたのは、さくらえ。
 そのさくらえと澪の言葉に確かに……と美雪が同意する様に言葉を紡ぐ。
「……あのデモノイド……デモノイド寄生体とやらに寄生されていた人々は、自らの魂の救いを求めていたと聞いている。まあ此は陽太さん……私の知人からの受け売りではあるが」
 その美雪の情報を受けて、成程、と竜胆が1つ首肯する。
「つまり今回、皆様が雅人達と共に対応して下さったデモノイドは、私達の守るべき人々の魂に寄生体が寄生して|悪魔《ダイモン》と化させられた、影朧と|悪魔《ダイモン》の中間の様な存在だった……と言う事でしょうか?」
 その竜胆の問いかけに。
「そうだね。とは言え、理性を失った怪物である以上、私とはまた異なる存在であった事は確かだが」
 そう率直に意見を述べる澪のそれに、成程、と竜胆が首肯を1つしていると。
(「……それでも此だけ大がかりな事件を起こした上、竜胆って皇族がわざわざ俺達の前に姿を現したって事は、何らかの前兆があったとしてもおかしくないんだよな」)
 そんな竜胆達の会話を通信機越しに聞きつつ、近くの瓦礫を怪力で除けていた臨音がそう内心で思い。
「なあ」
 作業に一区切り着けたところで、雅人から指示を受けて一緒に作業をしていた帝都桜學府の作業員へと声を掛けていた。
「お手伝いありがとうございます。どうかしましたか?」
 さらり、と自らの額に滲んだ汗を拭い。
 臨音に問いかけられた作業員が軽く小首を傾げると、例えばなんだけれどよ、と臨音が続ける。
「ここ数日で、普段と様子の違う奴の姿を見かけたって事は無いか? 例えば……見慣れぬ服装とか、所有品を手にしていた変わった奴とかさ」
 そう世間話とも、警察の事情聴取とも取れる感覚で。
 臨音が作業員に重ねて確認すると、そう言えば、と一緒に作業をし、休憩を共に取っていた避難民からの協力者が何気ない様子で呟く。
「|學徒服《セーラー服》を身に纏った娘を見かけたなぁ……あの時はあまり気にしなかったが……」
 そのぼやきの様な避難民からの協力者の言葉に気になるものを見つけ。
「只、|學徒服《セーラー服》を着ているってだけで気になるって事は無いと思うけれどな。何か他に引っ掛かることがあったんじゃないか?」
 そう臨音が続けて問いかけると。
 その男は、まあ、あの娘はなぁ……とその娘の姿を思い出しながらぼんやりと……。
「……腰に刀を帯びていた……って訳だね」
 同じ頃、違う場所で一緒に作業に従事している人々の噂話に聞き耳を立てていた、レイヴァが臨音と同じ話を聞いて、確認する様にそう呟いた。
 |學徒服《セーラー服》を着て、腰に刀を帯びた娘。
 |學徒服《セーラー服》を着ているだけであれば未だしも、帯刀しているのであれば、普通は気になる存在になる様に思えるが……。
「まあ、ちらりと見かけたその娘が帯刀していたとしても、帝都桜學府の學徒兵であれば、特段気にする様な話でも無いか」
 そう雅人に指示された場所で召喚したご当地怪人達のご当地パワーを籠めてより美味しくした炊き出しを人々に振る舞い。
 残りの半分に復興作業を続けさせながらクローネが人々から聞いた噂話の内容を吟味する様にそっと嘆息を1つ漏らす。
「……まあ、そもそもワタシ達超弩級戦力が彼方此方で人々を救う成果を上げているからな……。その『彼女』が気になって質問されても『帝都桜學府の學徒兵です』とでも答えられてしまえば、一般人にはそれ以上の追求をする事も、する理由も無いな……」
 そのクローネの嘆息を、美月が用意した通信機越しに聞き取ったエルゴもまた、似た様な情報を他の一般人から聞かされていたのであろう。
 クローネの嘆息の意味を理解して同様にそっと息を吐くエルゴの溜息を聞いて、成程、頭の回る相手ですね、と灯璃がそっと頭を横に振った。
(「……学生等の一般人の中にテロリストが潜み、状況に応じてテロルを起こすのは常套手段ではありますが……帝都桜學府の學徒兵と名乗られてしまえば、住民達は信用してしまいますね。……そう言う意味では、|異世界《クロムキャバリア》とは、ある意味では真逆の世界ですよね、サクラミラージュは」)
 影朧救済組織としての『帝都桜學府』
 その組織が一般に浸透しているこの世界では、『帝都桜學府』の學徒兵であれば帯刀等は当然。
 そう言った人々の一般的な認識を利用して自らの身を隠していると言う事に他ならない。
 そんなことを思いながら灯璃が周囲に作成した無人戦闘工兵車や、ポンプ車等で、応急処置的に市民の為のライフラインを作成しつつ、しかし、と軽く頭を横に振った。
「それでも態々、外れの町で人々を虐殺しようと試みたのは、特定の対象か、町への恨みがある、ということでしょうか……?」
 そんな灯璃の独り言を、彼女のJTRS-HMS:AN/PRC-188 LRP Radioが拾ったのか。
 その灯璃の呟きを聞き取った美月が。
「竜胆さん。確認させて頂きたいのですが、今回、デモノイドが襲撃を掛けた町は、影朧に恨まれる様な何か特別な理由があると言う様な噂を聞いたことはありますでしょうか?」
 そう何時の間にか店のテーブルの上に地図を広げ、今、灯璃達が居る場所を指差しながら問いかける美月に同意する様にネリッサが続ける。
「状況から鑑みるに今回の事件の首謀者の目的……動機は恐らく何かしらの|憎悪《ヘイトレッド》を抱いている可能性が高い様に思われます。心当たりはありますでしょうか?」
 そのネリッサの質問に。
 竜胆は束の間沈思黙考していたが、ふと、何かに思い至ったかの様に、そうですね、と溜息を漏らした。
「町として、影朧に恨まれているという可能性は率直に申し上げて、限りなく低いでしょう。個人に関しては流石にその限りではありませんが。ですが……もし、予め中央区を主犯が大規模な戦力を投入して破壊しようと思っていたのであれば、意味合いが異なります」
 その竜胆の言の葉に。
 成程、とネリッサが納得した様に言葉を紡ぐ。
「それは……あの町が中央区……でしたか。其方を仮に本丸と見た場合、あの町が出城の様な位置にあるから、と言う事ですか? あくまでも、軍事的に見た場合ですが」
 美月が提示した地図で指し示しているその場所に目をやりながらのネリッサの確認に。
 そうですね、と竜胆が1つ頷き紅茶を啜っている間にも。
「まあ、デモノイドが何処から現れるのかは全く予測が付かなかったけれども。それでも、本拠地を陥とす前に、戦力の確認も含めてこの町を攻撃するのは、そこまでおかしな話では無いね。況してや……」
 そう雅人が姫桜に説明をするのを聞きながら。
「デモノイド寄生体を植え付ける事で、デモノイド達を量産することが出来る相手が黒幕だとすれば、自身の戦力増強も含めて、この町を、デモノイド達を率いて襲わせるのも当然の策だな」
 と統哉が纏める様にふむ、と首肯しているのを通信機越しに聞いて。
(「此は……明らかに只の影朧じゃ無いね。益々デモノイドを量産できるデモノイド……そんなデモノイドロードの可能性が高まってきたか……。況してや、竜胆ちゃん達もデモノイドロードについて、知っている訳だしね……」)
 そう気が滅入る様な結論に至ったクローネがそっと嘆息を漏らすその間に。
「……自分達の仲間を増やす為に、こんな大規模な計画を立てたって事か……。そう考えると辻褄は確かに合うね。未だ、完全にこの地そのものに、恨みがある可能性は否定できないけれども。でも……」
 ――自分の目的を達成する為に一番利用しやすく、且つ実現可能な場所としてのこの町の存在がある。
 そう葵桜が自身の中に育まれていた疑問に、クローネや統哉達の推測を含めて、1つの仮設を組み立てながら。
「紫蘭さんは、他に何か思うところあったりする?」
 と田中さんに力仕事を任せて、クラウンと一緒に炊き出しの手伝いをしていた紫蘭に問いかけると。
 紫蘭はううん、と軽く頭を横に振りごめんなさい、と小さく呟く。
「わたしには、そう言う事は未だ良く分からないの……。只、あのデモノイドと呼ばれていた影朧達が、少し違う、と感じただけ」
 ――あの天秤の闇を司っていた『彼岸桜』よりも尚、異質な感覚を。
 そう言葉ではなく、態度や空気で現す紫蘭のそれに、成程、と葵桜が唇に親指を当てて
考える様な仕草を取り。
「しかしそうなってきますと、紫蘭さんや雅人さんを中心的に狙ってきた理由が、上手く絞り込めなくなってきますね」
 その紫蘭や葵桜達の会話を聞きながら、金鵄を使って周囲に臨音やエルゴが聞き出した|學徒服《セーラー服》を纏い、帯刀した娘を探させつつ、星羅がそう呟くと。
「それは多分、デモノイドだけじゃなく、デモノイドロードを量産する為に狙ったと言える様な気がするね」
 その星羅の声を聞き取ったクローネが軽く通信機越しに返すのに、えっ、と星羅と奏が同時に声を上げている。
 一方で、着ぐるみナイン達に復興を手伝わせていた統哉が確か、とさくらえ達の経験談やラムダが引き出してきた武蔵坂学園の記録の情報、そして今のクローネの発言を鑑みて言葉を続けた。
「デモノイド寄生体に対する適性は、個人差があると言う話だったよね?」
 その統哉の通信機越しの問いかけに。
「ああ、その通りだよ、統哉君」
 そう堂々と応えるデモノイドヒューマンの澪の脳裏に過ぎるのは、自らの記憶。
 ――私は、デモノイドヒューマンとしてデモノイド寄生体を制御できる様になるのに、莫大な時間が掛かったのよね。
 そう言う実体験があるからこそ、澪にはデモノイド寄生体への適合と言う問題が、如何に重大なものなのか、文字通り骨身に染みているのだ。
 そんな澪からの通信に1つ頷き、であれば、と統哉が推測を続ける。
「デモノイドロードと成り得る者として、雅人達が目を付けられた可能性は否定できないね。或いはその指標の1つとして、ユーベルコヲド使いであることが指し示されている可能性すらある」
 その統哉の推測を通信機越しに聞いて。
「そうなると、次に標的になる可能性が高いのは、『帝都桜學府』そのもの、と言う事になるな」
 そう眉間に寄せていた皺を益々深めながらのネコ吉の呟きに。
「そうですね。ユーベルコヲド使いである私達が狙われる可能性が高いからこそ、本来であればあの町の復興のために送るべきであった部隊を送る余裕も無いのです。今回、白蘭を送らなかったのはその辺りの事情もありますので」
 そう竜胆がそっと言葉を漏らすと。
「……帝都桜學府には『警備部』の様な部門が有り、其方の人員を被害区域へと派遣すれば、復旧も幾らか速くなるのではと思っていましたが……『帝都桜學府』そのものが狙われる可能性を考慮に入れると、そう言う訳にも行きませんね……」
 そうウィリアムが成程、と言う様に息を1つつく。
 もし、『警備部』の様な主戦力の一部を割いて、町の復興に当ててしまった場合、その瞬間を狙って“主犯”が『帝都桜學府』を占拠するべく蜂起する可能性がある。
 それはクーデターやテロルを行うであろう“主犯”の術中通りと言う事だ。
(「……流石に“主犯”……恐らくは、デモノイドロードでしょうが……策を張り巡らしている様ですね。……道理で簡単にぼく達に尻尾を掴ませない訳です」)
 そんなウィリアムの内心での呟きを脇に置いて。
「……相手が狡猾であるが故に、幾つも手を打っている、と言う感じなのね。竜胆さんの事だから何かしら傾向分析をしているかと思っていたけれども……色々と俯瞰的に物事を見ているのね」
 姫桜が通信機から漏れた竜胆の発言の真意を確認する様に雅人にそう言葉を漏らすと。
「そう言う事だね。でも逆に言えば、その位警戒しないと行けない位、危険な相手と竜胆さんが認識していると言う事でもあるよ。その理由は……」
 そう雅人が姫桜に相槌を打ちながら戻ってきた人々に次の指示を行っているその間に。
「……その理由は何だ? 竜胆さん。いや……何となく推測はつくのだが」
 そう美雪が確認の様に竜胆に問いかけると。
 竜胆がそうですね、と紅茶のおかわりを注ぎながら言葉を続けた。
「デモノイドロードと呼ばれる存在が居ることは皆様のお話を聞いたことで確定したのですが、|君主《ロード》と呼ばれる存在が一体、どう言う意味を以てそう呼ばれているのかが、如何しても分からないのです。私達の経験や推測に対するリアクションを見る限り、少なくとも本能の儘に暴れ回る様な相手ではないのは分かりますが……」
 そう竜胆が呟きながら、ちらりと見るのは澪とさくらえ。
 竜胆と同様、響や律もまた、澪とさくらえへと目を向けるのを見て、さくらえが静かに息を吐き。
「此は、あくまでも僕達の知識である事は前提にしておいて欲しいんだけれど。デモノイドロードと言うのは、一言で言えば『知性あるデモノイド』の事だね。勿論、その価値観や考え方は僕達と根本的に異なってくるけれども」
 そうさくらえが説明するのに。
 成程、と何処か腑に落ちた様な表情を浮かべて竜胆が続けた。
「知性があるからこそ、動きの探り合い、読み合いが成立する、と言う事ですか。だからこそ、あの通信が私達の所に流れてきた時にも、自らの状況の不利を悟り、撤退した、と。……本当は私達に知られる前に行動を起こしたかったのでしょうけれど、それを偶然遭遇した超弩級戦力の方々に悟られてしまった訳ですか」
 そんな竜胆の納得に1つ首肯して。
「今までの話や、|學徒服《セーラー服》で帯刀していた娘の目撃情報から、何か推測できることは竜胆さんにはありますか?」
 そう美月が問いかけるのに。
「ええ、正しく、その服装で帯刀した娘の写真が、その当時超弩級戦力が流してきた情報と一致する相手ですね。恐らく、その娘こそが皆さんの言う知性あるデモノイド、デモノイドロードなのでしょう」
 そう竜胆が首肯するのを聞いて。
「……つまり、そのデモノイドロードが、今回の事件を起こした首謀者と言う訳ですか。如何して竜胆殿がデモノイドやデモノイドロードの事を知っているのか……その理由もですが、此で犯人についての情報は、大分掴めてきましたね」
 そう静かに息を吐く義透のそれに、そうだな、と美雪が同意を示す。
「では……後はその女学生が何処に居たのかを特定すれば良いと言う訳だな」
 それらの話を通信機越しに聞いていたエルゴが確認する様に言葉を紡ぐのに。
「そうですね。こうなってくると、デモノイドと私達猟兵の戦闘経過や、雅人さん達、この世界のユーベルコヲド使いの戦闘傾向等を確認する為に大規模な戦力を導入してきた可能性すら出てきますか」
 灯璃がそうエルゴの反応に首肯を返しつつ、且つ、現在の状況である程度推測できる情報を口にするのに。
「……一先ず、デモノイドが出現した場所だけでも特定できれば良いんだけれど……」
 それまでの話を通信機越しに聞いて上空から周囲を偵察していたフェルが思わず生真面目に嘆息しながら呟いた、その時。
「……デモノイドが現れたと思われる方角は特定できそうだぞ」
 そう陽太に『零』からのテレパシーが届いたのは、正にその瞬間だった。
(「零。その方角ってのは何処だ?」)
 そう紫蘭やクラウン、葵桜の炊き出しの手伝いをしていた陽太が復興作業と情報収集の協力を要請していた『零』に問いかけると。
(「どうやら、此処から西の方の様だ」)
 その『零』の言葉に被せる様に。
「お話中申し訳ございません、皆様」
 そう通信機越しにそれまでそのウォーマシン特有の馬力で瓦礫駆除を行っていたラムダから通信が入る。
「わたくしめも、皆様のお話を聞きながら、その女学生について聞き込みをさせて頂きましたが……どうやら、この町の住人の皆様でも、その女学生の目撃情報はちらほらございます様です。何でも最近になって此処から更に西にある住宅街の方に越してきたとのことですが、どうにもこの町について色々とご興味を持っていたらしく、様々な所をちょこちょこ歩いていたとのことでございました」
 そうラムダが『零』が収集した情報を裏付ける様な情報について、報告を上げるのに。
「西の方にデモノイド達が出現したと思しき跡があるって情報は、俺も手に入れた。まあ、此処まで情報が揃えばビンゴだろうぜ」
 そう陽太がラムダのそれにいの一番に同意して、そう告げると。
「それならば……兎に角あの西にある住宅街の方に行ってみようよ!」
 空を飛んで西の方に住宅街の存在を確認したフェルが通信機越しにそう告げるのに。
「……そうだな。此は、其方の方にも足を向ける必要があるだろう。しかし、こうして少しずつ情報が集まってくると言うのは、まるで探偵か何かになった様な気分だな」
 そうエルゴが少し空気を和らげる様に微笑を零して告げるのに。
「それだったら、私達もそっちに行くわ」
 そう連絡をよこしてきたのは、姫桜。
 そんな姫桜の提案に、戻ってきた臨音や作業員達に次の指示を下していた雅人も首肯する。
「そうだね。僕も其方である程度掴めそうな情報を掴んでおきたい。瞬さんや朔兎さん、クローネさん達のお陰で、思ったよりもスムーズに復興作業が進む手筈は整ってきているし」
 そう姫桜の隣で言葉を紡ぐ雅人のそれに。
「……そうですね。それに雅人さん達が未だ狙われ続けている可能性も高いです。それなら、僕達と一緒に西の方を調査して貰った方が、この町の復興が遅滞する可能性も下がりそうです」
 そう状況を鑑みて呟いたのは、瞬。
 勿論、西の方に迄情報収集の足を伸ばすというのであれば、狩衣姿の武士や傭兵団達を此処に残して、雅人に付いていくつもりだ。
 そんな瞬の提案を聞いて。
「……そうだね。統哉さんの言うとおり、もし、この事件を起こしたデモノイドロードが僕達ユーベルコヲド使いをデモノイドロード化するのを優先するのであれば、僕達が此処から離れた方が、周囲の人々や、この町のこれ以上の被害は防げるかも知れない」
 そう首肯する雅人のそれに、朔兎達が首肯するのを通信機越しに感じ取りながら。
「そうしたら、私達も紫蘭さんと一緒に、此処から更に西にある住宅街の方に向かった方が良さそうですね。……町の復興の手伝いは、この子達に支援して貰う事も出来ますし」
 そう言の葉を紡いだ奏が召喚したのは戦闘力の無い、153体の『もふもふな動物』達。
 元々、応援や助言等に優れた能力を持つもふもふ動物達は、成程、人々の復興支援に効果的な存在であろう。
「そうだね。因みにボクは、もう少し此処に残るよ? 復興のために手を貸してくれている一般人達の中に、怪我人とかが出るかも知れないからね♪」
 そうまるで道化の様に。
 自らの周囲に|地獄《慈愛》の炎を展開しながら飄々と言葉を紡ぐクラウンに続いて。
「あっ! ボクもこっちに残るよ! こっちの方がボクに出来ること未だ一杯あるし、それに何かあった時に直ぐに紫蘭達に連絡できる人が此処にも居た方が良いからね!」
 持ち前の怪力で粉砕した瓦礫や、折れてしまった電柱を束にして、纏めてひょい、とショベルカー宜しく運搬しながら告げるレイヴァの巨大な胸が弾む様を見て。
 何故か少しだけ腰が引けそうになりつつ微苦笑を綻ばした陽太が、まあ、そうだろうな、と首肯して言葉を続ける。
「何人かは此処に残って手伝って貰い続けた方が良いだろうよ。俺は俺の得た情報とラムダが得た情報が一致している以上、紫蘭と一緒に行かない理由は無いが」
「そうですね。では、森宮さん達が紫蘭さんや雅人さん達と一緒に向かうのでしたら、私は此方に残りましょう。此方の復興支援を続けていれば更に新しい話を聞けるかも知れませんし、それに……」
 その陽太の提案を受けてそうJTRS-HMS:AN/PRC-188 LRP Radio越しに告げる灯璃のそれに。
「そうですね。ジェイド43以外のSIRD各員は、引き続きその町の復興支援及び、情報収集を続けて下さい。古典的ですが、犯人は犯行現場に戻る、と昔から言われていますしね」
 茶室でその灯璃の通信を受け取ったネリッサが手早くそう指示を下すのに。
『Yes、マム』
 と灯璃とラムダとエルゴがネリッサに了解の意を告げるのを合図にする様に、姫桜達が陽太やラムダが回収してきた情報……西に向かったと言う話を聞いて。
「……此処みたいな惨状を、二度は繰り返させたくは無いな」
 臨音がそうその赤い瞳を鋭く細めて西の空を一瞥し、クローネ達と共に、万が一に備えての一般人達の護衛兼、復興支援の作業に戻っていった。


 ――町から少し離れたところにある、住宅街。
 酷く閑散としたその住宅街に葵桜が、紫蘭、奏、星羅、エルゴにフェル、そして陽太と共に辿り着いた時。
「あお!」
 少し離れた所から葵桜に向かって掛けられた声に葵桜が振り向き、あっ、と嬉しそうにパッ、と八重歯を見せて笑顔を浮かべて。
「姫ちゃん! 雅人さん!」
 そう葵桜の呼びかけると、紫蘭が胸に差された羽根を握りしめ、そっと安堵する様に息を零し、その様子を見て思わず目を細めたのは奏。
 その姫桜と共に姿を現したのは雅人に統哉、朔兎に瞬だ。
 そんな雅人達の方に向かって駆け寄る紫蘭の姿を認めて。
「紫蘭。君が無事で本当に良かった」
 そうほっ、と安堵の笑みを浮かべる雅人を見て、統哉が微笑を綻ばせ。
「こんな顔をする事も出来るんですね、雅人さんって」
 ――その気持ちは分からないでも無いけれど。
 そう内心で呟き笑窪を刻んで星羅を見ている朔兎に、瞬が軽く奏と目を合わせてからそうですね、と目尻を和らげて静かに首肯して直ぐに。
「森宮さん、此方の方にデモノイド達が現れたと思しき痕跡があったとの話ですが……」
 と紫蘭達と共に現れた陽太に対する瞬が問うと。
 そうだな、と陽太が1つ頷きながらも何とも言えない表情を浮かべつつ話を続けた。
(「まあ、未だ零が戻ってきていないのは不幸中の幸いと言うべきなんだろうか……?」)
 因みに零には流石に目立つのであのいつもの白いマスケラは外して貰っている。
 とは言え、嘗ては紫蘭の師であり、今は雅人の同僚でもある白蘭を殺そうとした暗殺者が此処にいたら、さぞや気まずい空気になったであろう。
(「まあ、あれは俺の意志でもあったから……そう言う意味では、俺が此処にいても気まずい気はするんだが……」)
 ――これ以上深く考えない方が良さそうだ。
 そう判断した陽太が軽く咳払いをして、今はよ、と苦笑と共に話を続けた。
「先ずはこの辺りに居る奴等から聞けそうな話だけでも聞くとしようぜ。どうやら、あっちの町で噂になっていた今回の事件の“犯人”も此処を根城にしていた可能性が高くなってきたからな」
 その陽太の提案に、そうだな、と統哉が首肯。
 瞬も同感だったのか、奏と共に周囲を見回し、人の姿を探していると。
「おや、向こうの町で騒ぎがあったようじゃが……どうかしたのかい?」
 程なくして60歳位に見える男が見つかったので、陽太が軽く会釈をして話を続けた。
「よう、じーさん。この辺りで|學徒服《セーラー服》で帯刀した女、最近、見てないか?」
「|學徒服《セーラー服》で帯刀した女性とな……。帝都桜學府の學徒兵か何かかね?」
 その老人の首を傾げながらの問いかけに。
「実はその娘、同じ学年の學徒兵でね。最近帝都桜學府に姿を見せないから、心配になってクラスメイトのワタシ達が探しに来たんだ」
 そうエルゴが説明すると。
 ふむ、と老人が頷き何かを思い出すかの様に思案を張り巡らせていたが……。
「いや、ワシは見ておらんな」
 そう軽く頭を横に振るのに、そうか、とエルゴが肩を落としていると。
 不意に雅人が懐から學生手帳を取り出し、自らが帝都桜學府の學徒である事を老人に伝えた上で。
「最近、この住宅街で変わった……と言うか、何か起きていることはありませんか? 例えば、長期旅行に出掛ける人が増えたとか」
 そう雅人が問いかけると、老人がそう言われてみれば、と言う表情を浮かべて、確かに、と首肯する。
「確かに最近は、よく長期の旅行に出掛ける家族連れやカップル等の話を聞くのう。丁度今は夏休みシーズンじゃからあまり気にしてはいなかったのじゃが……」
 そう思い出した様に告げる老人のそれに、ありがとうございます、と雅人が一礼し、老人がその場を後にするのを見送った後、少し難しそうな表情を浮かべている。
 そんな雅人の様子を見て、エルゴが微かに怪訝そうに目を細め。
「雅人さん、どうかしたのか?」
 そう問いかけると、雅人は静かに息を吐き。
「……長期の旅行に出掛ける家族連れやカップルが多い、か……」
 そうむず痒そうに首筋を軽く掻く姿を見て、陽太が思わず表情を強ばらせた。
(「あのデモノイド達から俺が感じ取れたのは、救済の感情」)
 つまり……その意味するところは。
「長期の旅行に出ているとなれば、失踪届等が出されることもないし、そもそも行方不明者としてカウントされる事も無いな」
 統哉がこの住宅街で最近長期の旅行に出掛けたと言われる家族や、人々の先を暗に示すかの様な言葉を漏らすのを聞いて、成程、とエルゴが何故、雅人が先程あの様な事を聞いたのかの理由を悟り、表情を歪める。
(「……つまり、この町の住宅街の住民達が……」)
 ――デモノイド寄生体を埋め込まれデモノイドと化された者達が、あの町を襲ったデモノイド達の中に含まれている可能性が極めて高いと言う事。
 その事実を口に出すことは憚られたが、それでも、先程、陽太が美雪に挙げた情報からある程度類推できたのであろう。
 その事実に気が付いた姫桜の桜鏡に嵌め込まれた玻璃色の鏡の鏡面が漣立つ様に震えていた。
「姫ちゃん……」
 そんな姫桜の胸中を思いやる様に。
 そっとその肩を抱く様に叩く葵桜にありがとう、と短く姫桜が告げるその間に。
「……つまり、この辺りにいる人達が今回の主犯……デモノイドロードと思われる相手に誘拐されて……それに……」
 そうフェルが現在、この地区で起きている状況を纏める様に怒りと悔恨を孕んだ口調で呟くのに。
「……そんな……」
 そう紫蘭がガクリ、と項垂れる様子を見て、そっと奏がそんな紫蘭を労る様にその肩を叩いている。
「……こんなこと、赦されるものか。私達は|日常の象徴であり魂を安らぐ場所《自宅》を守って見せてこそ、なんだから」
 震える紫蘭の様子を見て、多少顔を青ざめさせながらも自らに、そして紫蘭達に言い聞かせる様にフェルが呟くのに。
「……そうだね」
 そう同意する様に雅人が首肯した所で、いずれにせよ、と瞬が敢えて冷静な口調で話を続けた。
「この辺りの住民達がデモノイド寄生体の犠牲になったというのであれば、間違いなくこの町の何処かにデモノイドロードが隠れ潜んでいる、と言う事になりますね」
 そう瞬が確認する様に紡いだ言葉を通信機越しに聞いて。
「では、其方に向かわせます」
 ネリッサが自らの小型情報端末MPDA・MkⅢにキーコードを入れて、夜鬼を召喚。
 瞬達がいるのであろうその場所に向けて夜鬼をすかさず飛ばしたところで、デモノイドにされた者達の事を想って痛ましい表情になりつつ竜胆さん、とさくらえが問う。
「今、姫桜達が居る場所は中央区外れの町から更に西側にある住宅街とか、その辺りなんだよね? 其方の方に、何か神社仏閣の様な謂われのある場所は無いかな?」
 そのさくらえの問いかけに。
「どう言うことですか?」
 単純に気になったのであろう、鸚鵡返しの様な竜胆の問いに、うん、とさくらえが首肯して続ける。
「いや、『デモノイド』って従わせる為に相当な力が必要だと思うから、何かしら謂われのある場所の力を借りてたりするのかなって。……いや、でも相手がデモノイドロードだとすると、デモノイド達を制御するのも難しくないか……」
 そう説明しつつ、今回の主犯がデモノイドロードである事も手伝い、うーん、と悩む様な表情を見せるさくらえ。
 だが、そんなさくらえの表情を見ながら眉間に皺を寄せていたネコ吉がいや、と軽く頭を横に振った。
「そうとは限らないぞ、さくらえ」
 そのネコ吉の言の葉に。
「……確かに先程、文月殿が通信機越しに教えて下さった話……デモノイド寄生体への適正の話からすれば、何かしらの事情がありそうですね」
 そう相槌を打つ義透のそれに、そうですね、と竜胆が言葉を続ける。
「デモノイド寄生体とやらの話は初めて聞きましたが……それを誘拐した人々に埋めてデモノイドと化させるだけでなく、デモノイド化した人々をロードへと進化させようとすると言った目的も、今回の件に関しては含まれているのかも知れません。そうなると……」
「……その為の情報を持ち帰りやすい様、予め直ぐに逃げられる様な場所から、戦場を見ていた可能性もある、と言う事でしょうね」
 そう美月が言の葉を紡いだところで。
 フム、と竜胆が1つ頷き、でしたら、と言葉を続けた。
「先程ネリッサさんが飛ばした夜鬼からも発見しにくい場所ですが、1箇所あの辺りには表向きにされていない神社があります。そこは大地の力が集約される龍穴の様な場所の1つと言われている為、秘匿されておりますが……」
 その竜胆の言の葉に。
「……大地の力、ね」
 成程、とさくらえが納得がいった様にポツリと言の葉を紡ぎ、すっくと立ち上がり。
「まあ……そうなるだろうな」
 さくらえと恐らくほぼ同様の理由を考えたのであろう。
 澪もまたさくらえと共に確りと立ち上がり、戦いの準備を進める姿を見て、どうやら、と美雪が続けた。
「……何か引っ掛かったみたいだな、さくらえさん、澪さん」
 その美雪の問いかけに、そうだね、とさくらえと澪が首肯したところで。
「……場所は発見できました。お社の中に隠れているのか上空から見ても姿を見ることは出来ませんが……」
 そのネリッサの言の葉に。
 場所の特定が出来たのだという事を悟ったウィリアム達猟兵が、竜胆に一先ず礼を述べ、雅人や紫蘭達と合流するべく喫茶店を後にする。

 ――その社に居るのであろう、主犯と思しき、女学生の『デモノイドロード』の元へと向かう、その為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ロード・アヤセガワ』

POW   :    ブルータルブラッドブレイド
攻撃が命中した対象に【デモノイド寄生体】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【強酸性の血液】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    デモノイド・トキシック・ミスト・フェノメノン
戦場全体に【猛毒の霧】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【大地の力】による攻撃力と防御力の強化を与える。
WIZ   :    包囲殲滅陣
敵1体を指定する。レベル秒後にレベル×1体の【プラチナデモノイド】が出現し、指定の敵だけを【デモノイドアックス】と【ヘッドランス】で攻撃する。

イラスト:Shionty

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は戒道・蔵乃祐です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ――その中央区外れの町の西の住宅街の更に奥。
 超弩級戦力達が上空から確認したその場所は、猛毒の霧に包み込まれて佇んでいる。
 その猛毒の霧に包み込まれたその神社の社の中で。
『……此処まで来たのか……灼滅……否、猟兵共……!』
 そう呻く様な呪詛の呻きをあげながら。
 社の中に居たその娘は、自らの半身をデモノイドと化させ、猛毒の霧の中を猛然と歩いていた。
 彼女が向かうのは、社の裏の猛毒の霧によって枯れた、幻朧桜林のある広地。
 自らが撒き散らす猛毒の霧に当てられて枯れていく幻朧桜に一瞥もくれず。
 ――その大地に密かに隠されたとある場所へと向かおうとするが。
 雅人や紫蘭、そして共に来る猟兵達の気配が予想よりも早口か付いて生きていることに気が付き、仕方ない、とばかりに一先ず頭を横に振る。
(「此処まで猟兵達に近づかれてしまえば、地下の囚人達に私が新たなデモノイド寄生体を寄生させ、進化させるには間に合わないか。ならば次善の策をとるしかあるまいな」)
 そう彼女は結論づけて。
 彼女は自らの放出した猛毒の霧を纏い、この地に集約される龍穴の様な場所から大地の力を吸い上げて、自らの力を増幅させる。
 ――この地に恐らく辿り着くであろう、ユーベルコヲド使いにデモノイド寄生体を寄生させ、己が|同胞《デモノイドロード》を生み出さんが為に。

 *第3章は下記ルールにて行われます。
 1.戦場は竜胆が教えてくれた隠された社の裏の広場となります。とは言え、レベル✕体系の召喚UCを使って戦うには手狭です。
 その為複数体のキャラクターを召喚する召喚系UC等の使用は難しいと判定致します。

 2.デモノイドロードは下記UCを既に絶対先制で使用しております。このUCに対しては、反射・無効・コピー系UCの対象になりません。
 使用済UC:デモノイド・トキシック・ミスト・フェノメノン
 戦場全体に【猛毒の霧】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【大地の力】による攻撃力と防御力の強化を与える。
 常にこの能力で自らが強化され、敵にダメージを与えることが出来ると判定されます。

 3.デモノイドロードはダブルUCで攻撃をしてきます。その内の1つとしてSPDのデモノイド・トキシック・ミスト・フェノメノンが選択されています。その上で他のUCも使用してきます。
 ダブルUCへの対応もプレイングボーナスです。但し猟兵側は、個人で複数のUCを合わせて使用することは出来ません。
 尚、このデモノイドロードはダブルUCの選択肢として下記3つのUCも使用可能となっております。
 対策するのであれば、下記3つのUCも含めて対策方法を考える様にして下さい。
 POW : デモノイドグラップル
 単純で重い【悪魔化した拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
 SPD :デモノイドカッター
 【剣状に硬質化した腕部】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
 WIZ :デモノイドロアー
 【恐ろしい咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
 これらのUCは1章のデモノイドが使用しているUCと同じ名称ですが、『既に見たことのあるUC』とは判定されませんのでご注意下さい。

 4.雅人・紫蘭が同行しております。2人は下記ルールで戦闘に参加します。
 雅人・紫蘭と協力することはプレイングボーナスとなります。どちらと協力するかは、それぞれの隣のアルファベットをプレイング頭に入れて頂くことで判定します。
 尚、2人は撤退しません。また、2人がもし、デモノイド寄生体に寄生された状態で死亡した場合は、敵としてデモノイドロードが増えることになるので、猟兵達でも対応が出来なくなり、失敗判定となります。

 a.雅人
 雅人は下記①か②のユーベルコヲドを使用可能です。
 特に何も指示が無ければ②のユーベルコヲドを使用しますが、猟兵のプレイングの無い様によっては、①のユーベルコヲドを使用してくれます。
 ①強制改心刀・閃
 【破魔と浄化と霊力】を籠めた【退魔刀による広範囲への一閃】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【邪心】のみを攻撃する。
 ②皆伝・桜花風斬波
 【刀】を巨大化し、自身から半径120m内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。

 b.紫蘭
 基本的に①のユーベルコヲドを使用します。
 但し、指示とプレイングの内容によっては②のユーベルコヲドを使用します。
 ①桜の癒やし
 【桜の花吹雪】を放ち、自身から100m半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
 ②桜花の舞
 自身の装備武器を無数の【幻朧桜】の花びらに変え、自身から100m半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
 
 5.第2章の判定の結果、誘拐され、此からデモノイド寄生体に寄生させられようとしていた人々がいることが判明致しました。彼等はこの地の地下にある牢屋に囚われております。その人々を助けることは可能です。
 但し、状況が不利になり過ぎた場合デモノイドロードは地下に撤退し、彼等にデモノイド寄生体を移植し、デモノイド化させて戦力として使う事に躊躇しないでしょう。
 また、如何に地下と言えど、大地の力をデモノイドロードが地下から吸い上げている以上、その人々も衰弱していきます。
 囚われた人々の生死は判定に影響はありませんが、衰弱していく人々を早目に助けるかどうかの選択は可能です。
 但し、彼等自身は独力で猛毒の霧を突破できる様な力も能力も持っておりませんので、もし早目に救出するのであれば、補助をする必要がございます。
 また、地下に人々がまだ囚われているとしても、先ず地下に行く手段を見つけないと向かうことが出来ません。その辺りも考慮して人々を救うかどうか選択して下さい。
 6.デモノイドロードは紫蘭>雅人>猟兵達の攻撃優先順位を持ちます(戦力的に先に倒したり、デモノイド化出来そうな相手を優先的に狙うという理由です)。
 尚、戦闘中に地下に囚われた人々が逃げ出した場合、その人々を最優先で狙います。

 ――それでは、良き戦いを。
ウィリアム・バークリー
ユーベルコヲドで生み出された猛毒の霧。これはさすがにキャバリアの有毒装甲よりきついはず。SSWの宇宙服は勿論用意しているけど、「医術」と「オーラ防御」「環境耐性」「霊的防護」で対応する。
「竜脈使い」でこの地の竜穴へのエネルギー供給を遮断。これで五分の勝負が出来る。

「全力魔法」「天候操作」風の「属性攻撃」「吹き飛ばし」で、猛毒を吹き散らせ、Disaster!
自分はサバイバルマントで余波を受け流す。
デモノイドロードもプラチナデモノイドも、まとめて吹き飛べばいいよ。
「武器に魔法を纏う」「凍結攻撃」でプラチナデモノイドを片付けながら、デモノイドロードにルーンソードの一撃を入れる。
大人しく骸の海へ還れ!


ネリッサ・ハーディ
【SIRD】のメンバーと共に行動

竜胆さんの情報によると、目標はこの社に潜伏している様です。更に人質もいる模様。目標の撃破は当然として、人質の救出も必須です。各員配置に就き次第、状況を開始します。
…この社は、いわゆる龍脈という奴なのでしょうか。いずれにせよ、時間との勝負ですね。
雅人さんと紫蘭さんを護衛しながら、G19で牽制射撃を行う。同時に、アヤセガワに対し色々話しかけて気を散らさせながら一般人を救出する隙を伺う。タイミングを見てUCを使用し、アヤセガワの動きを止めて他の味方の援護を行う。
万が一、アヤセガワが地下に行こうとした場合、UCを使用するか、セールイ11に射撃を要請し、足止めを試みる。


馬県・義透
a
引き続き『静かなる者』にて

大地の力とデモノイドロードは、縁深いものでしたね。レアメタルでしたっけ。一の姉たる風花が話してました。

私がやるのは、地上への足止め援護ですね。なので、連携は重視します。
そのためにはまず、この霧ですね…毒はまず毒耐性で耐えるとして。
邪気祓ノ弓矢で、UCつきの矢で射掛けつつ、隙を見て鳴弦で祓うように。

万一、雅人殿に攻撃が行きそうならば、四天霊障を纏いつつ庇うことを。
ええ、ここでは…誰も離脱はさせませんよ。死の苦しみなぞ、味わうのは『我ら』だけでいいのですから。


陰海月と霹靂は引っ込んでます。


クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
今回も真剣口調で話すよ

やっぱり、目的はデモノイドロードとデモノイドの量産か
囚われた人達は…多分そう遠くない場所に纏めている筈
急がないとね…!

アヤセガワとの戦闘は他の皆に任せて、こちらは囚われた人々の救助に向かうよ
猛毒の霧については【毒耐性】で耐えるよ
地下に行く手段は【情報収集/集中力/偵察/聞き耳/視力/暗視/嗅覚/地形の利用/幸運】で探すね
囚われた人々を発見できたら、ワタシのUCで回復しながら【救助活動/コミュ力/団体行動】で安全圏まで逃がそうとするよ

万が一アヤセガワがこちらに来た場合は、ドスソード片手に身体をはって一般人の逃げる方向への【逃亡阻止】するよ
敵の攻撃は【第六感/野生の勘/心眼】で避けるね
もし一般人に敵の攻撃が当たりそうな場合は【鉄壁/硬化/オーラ防御/激痛耐性】を使いつつ可能な限り【かばう】よ

UCは『ワタシの心身広域回復術』
このUCで猛毒の霧等による衰弱から、囚われた人々を可能な限り回復し続けるね


真宮・律
【真宮家】で参加{他猟兵との連携可能)

アンタも犠牲者なんだろうな。デモノイドのお嬢さん。俺は魂人だし、ダンピールの瞬も皇族の朔兎も傍にいるから、仲間を増やしたい気持ちはよくわかる。

でもアンタは罪もない人々を犠牲にした。もう戻れないところまで来てしまってる。止めてみせる、ミス・アヤセガワ。

雅人と紫蘭は子供達に任せる。一般人の方にも言ってくれるだろう。4人ともよくできた子達だ。俺は大人として、アヤセガワの抑えにまわる。

先制にたいしては【オーラ防御】【結界術】【回復力】で踏ん張る。不意の奇襲は【勝負勘】【瞬間思考力】でなんとかなるか。先制を凌げたら火雷の意志を発動。

傭兵だから、この類は目的を果たす為ならなんとでもするとしっている。俺の方に注意を向けさせる為、【陽動】【遊撃】で不意に【衝撃波】【斬撃波】だしたり、【牽制射撃】で【電撃】をはなったり。

逃げようとしたら【限界突破】で【重量攻撃】力づくで剣で抑える。この先にいかせる訳にはいかない。アンタの地獄はこれきりだ。


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】一員で密に連携
現地調達して身内を狙わせたと…
心理影響的にもテロ攻撃手段として優秀な方法ですね…
それだけに非道極まりなくて不快ですが。

事前準備として、UC:ウロボロスアーセナルで
CBRNE個人用戦闘防護具を作成し装備(必要人数分作成し配布)

前衛陣より一歩引いた位置で構え、狙撃支援態勢。
敵の動きを、召喚体のデモノイド含めて俯瞰する様に監視しつつ、
射撃支援を実施(スナイパー・見切り・情報収集)
敵の頭部及び武装腕部を狙撃し、味方への不意打ちや、
死角からの攻撃を防ぐよう戦うとともに、敵首魁寄生体の
核の位置を庇おうとする動き等から、割り出せた場合は積極的に狙撃し
動きを鈍らせるよう戦闘。
敵首魁が撤退の素振りを見せた場合は直ちに指定UCで群狼達を放って、
退路を塞ぐように包囲襲撃させて足止めを図り、局長や仲間と連携して
逃がさない様に戦います

戦闘後、可能であれば敵遺体・拠点を調査。
敵側の背後関係に繋がりそうな情報・物品を調べます

※アドリブ・絡み歓迎


エルゴ・ルスツァイア
【SIRD】
a.雅人
アドリブ連携歓迎

生憎ワタシは防御面じゃあまり頼りに出来ないな…迎撃、攪乱、狙撃と行こうか。

ワタシのスーツは元よりNBC対策済み。後はガスマスクを被れば問題ないだろう。
一先ずコレで毒霧を防ぎつつ、敵の攻撃に合わせて狙撃し、迎撃。

一か所に留まれば良い的だ。各種手榴弾とLR.35を撃ちつつ高い機動力を生かして立ち回ろう。

特に悪魔化した拳は最優先目標。地形破壊はワタシ達のみならず十中八九地下に居るであろう要救助者が危ない。即座に狙撃だ。
隙を見つけ次第、UCのHV-DRS弾を叩き込む。


フェル・オオヤマ
b.紫蘭

・心境
夏休みを楽しもうとしてた人々だっていた
だがお前はそれを利用して無辜の人々を…
私たちはお前を討つ!

誰一人死なせず欠ける事なく無事に帰還する!

・戦闘
雅人さんや囚われた人々はそちらを担当する方々を信じ
紫蘭さんは私が死守してみせる!
【激痛耐性/挑発/毒耐性/勇気】の技能は常時発動

基本は[月光刃ヘイル]で攻撃

[銀の星]を構えて[我竜・月光氷嵐](以下氷嵐と呼称)を発動
毒霧の打ち消し&味方の補助を試みます
【高速詠唱/風を操る/全力魔法/魔力増強/凍結攻撃/2回攻撃】の技能を使用

ダブルUC対策
敵のダブルUCで毒霧を再発生されても負けずに氷嵐を発動
包囲殲滅陣→出現までの猶予に警戒を促す
可能であれば氷嵐で纏めて撃破を狙う

敵の攻撃は基本的には回避
紫蘭さんの命に関わる攻撃や紫蘭さんが[ブルータルブラッドブレイド]の対象になった時はかばいます
【かばう/盾受け】の技能を使用
そんな攻撃で私を斃せると思うな!

毒霧やデモノイド寄生体を地獄の炎で【焼却・浄化】を試みます


他キャラとの連携・アドリブ歓迎


ミハイル・グレヴィッチ
SIRDとして行動

敵に見つからない様に警戒しながら狙撃に適したポイントを選んで移動、着いたら腹這いになって伏射姿勢を取り、狙撃準備整えて待機。

セールイ11よりグイベル01、配置に就いた。指示在り次第、いつでもぶっ放せるぜ。

そのまま射撃指示があるまで待機、若しくはチャンスがあり次第射撃開始すると同時に、スコープで敵の動向を観察し、必要ならば無線で味方に伝える。また、敵が地下に向かいそうになった場合は、足を狙って発砲し、地下へ向かうのを阻害する。

やれやれ、今回はマン・ターゲット相手だから、ちっとは楽な任務かと思いきや、結局いつもと同じゃねぇかよ。まぁいい。報酬分の仕事はキッチリこなしてやるよ。


真宮・響
【真宮家】で参加

ああ、アンタも他人の悪意の犠牲者なんだね。戦友でデモノイドのことはきいたよ。家族にいるからね。魂人の律、ダンピールの瞬、皇族の朔兎。アンタはひとりぼっちだったから本能的に仲間を求めるようになったのか。

でもね、罪もない人を犠牲にしたアンタはここでとめるしかない。ここはアタシの大事なものが沢山ある。止めさせてもらうよ。ミズ・アヤセガワ。

律とアタシはこのお嬢さんを止めることに手一杯だ。雅人と紫蘭と捕えられてる人のことは4人の子供達が何とかしてくれるだろう。

先制は厄介だねえ。【オーラ防御】【結界術】【回復力】でなんとか体をもたせながら、【残像】【迷彩】【心眼】で追撃に備える。

言動から目的に忠実なタイプとみた。ターゲットにいかせないように先制凌いだら情熱の炎を発動。【限界突破】【怪力】で【頭突き】→【足払い】してでも止める。【槍投げ】や【衝撃波】など飛ばして徹底的に邪魔。

ここまでだ。これ以上罪をおかさせないよ。お嬢さん。


レイヴァ・エレウネラ
b
常時適用:【通常攻撃無効/硬化/激痛耐性】

不穏な気配を感じて空を飛んで駆けつけるよ!

ボクは紫蘭を守ることを優先しつつ、紫蘭と協力して倒しに行こうかな!
余り他の人が傷ついたり、死んでしまったりしたら気持ちよくないしね!
それになんかあの敵優先的に紫蘭を狙ってるように見えるし。

攻撃手段は【怪力/グラップル/連続コンボ】。何時もより【カウンター】気味に戦うよ!
下手に避けると紫蘭に当たってしまうかもしれないから敵の攻撃のダメージは常時適用効果でできる限り抑えて、耐える!
猛毒の霧やデモノイド寄生体のスリップダメージはなるべく【回復力】で打ち消して、デモノイドに囲まれたらUCで一気に切り刻んじゃおう!


ラムダ・マルチパーパス
SIRDの皆様方と共に行動

竜胆様の情報通り、社を確認。目標はこの社に潜んでいると思われます。更に社の地下と思しきエリアに、多数の熱源を確認。恐らく、住宅街での行方不明者達と見て間違いないかと。これは、一刻の猶予もありませんねぇ。
わたくしはウォーマシンですので、皆様方より毒に対する抵抗力は上の筈ですので、お任せを。

戦闘が始まったら、雅人様と紫蘭様の盾になる様に前に立ちはだかり、UCを展開してお二方を守りながら、デモノイドロードに対して自身が搭載している各種火器にて応戦。いわば、即席のトーチカになりますね、これは。

お二人方の身は、この身に替えましてもお守り致しますので、ご安心下さい。

アドリブ歓迎


真宮・奏
【真宮家】で参加(他猟兵との連携可能}

学生の服に痛ましい蒼に侵食された姿。アヤセガワさん。貴女は一人でくるしんできたんですね。貴女にも傍に人がいれば。お父さんや瞬さん、朔兎みたいに。

でもIFを考えるのはやめましょう。紫蘭さん、貴女に二度と不幸な目には合わせない。どんな困難でも厭わない貴女だから、全力で支えます。

お父さんとお母さんが敵将の抑え、朔兎が雅人さんの守り、瞬さんが全体のサポート、星羅が一般人の方の救出と。お互い頑張りましょう。

先制にたいしては全力で護りに徹します。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【ジャストガード】【受け流し】【鉄壁】【硬化】!!【毒耐性】【呪詛耐性】【激痛耐性】も併用しますよ!!この防御態勢を維持します。【かばう】【拠点防御】【護衛】の対象は最優先で紫蘭さんです!!

紫蘭さんは余裕があれば桜花の舞で支援して欲しいですが、私の側を離れないでくださいね。先制しのいだらトリニティ・エンハンスで防御力を上げ、【回復力】も。

攻撃する余裕があったら【シールドバッシュ】で。


神城・瞬
【真宮家】で参加(他猟兵との連携可能)

目の前のお嬢さんの姿みて目を瞑ります。隣の朔兎は複雑そうな顔してますね。朔兎も気づいてますが、彼は人為的に作られた皇族です。朔兎は僕達家族に支えられて今僕の相棒にふさわしい子になってますが。

アヤセガワはある意味朔兎と、僕のIFでしょうね。戻れなくなった一人の少女に終わりを。幸せを掴みつつある雅人さんと紫蘭さんの邪魔はさせません。

攻撃と守りを家族に一任する以上、火力のフォローは任されました。本来これが僕の役目ですから。星羅と朔兎は気をつけて。

先制は厄介ですね・・・【オーラ防御】【結界術】【回復力】でなんとかもたせましょう。フォロー役が倒れる訳にはいきませんしね。

先制凌いだら【残像】【第六感】で不意の奇襲に備えながら、【高速詠唱】で【マヒ攻撃】【鎧無視攻撃】【武器落とし】【目潰し】をあわせた【電撃】で【援護射撃】

更に【浄化】【破魔】をあわせた月白の闘気に【凍結攻撃】を合わせ毒の嵐の中和を狙います。

僕はここにいる人たちの幸せを守ります!!


神城・星羅
【真宮家】で参加(他猟兵との連携可能)

学生の女の方がこんな痛ましい姿に・・・朔兎様が複雑な顔をしてますね。愛しい方の生まれは家族もしってますので、朔兎様の複雑な気持ちもわかります。

魂人である律さん。ダンピールであるお義父様。皇族である朔兎様。ひとりぼっちで堕ちてしまったアヤセガワさんの苦しみはここまでです。

幸せになるべき雅人さんと紫蘭さん。これから幸せになってほしい閉じ込められた皆さん。救えるなら、救いたい。

助けにいくとしても先制しのがねばなりませんね。【結界術】【オーラ防御】【回復力】発動。先制を凌ぎ、その場を家族に任せ、音律の使い発動。視界を共有してもしもの時に備えます。

護りの狼、導きの狼に【情報収集】させて閉じ込められた人々のいる場所を探します。戦場にいる方には八咫烏を【伝令】に飛ばして情報共有。

閉じ込められた人たちをみつけたら【医術】【救助活動】。場合によっては式神に【護衛】させます。

攻撃する余裕があれば、【限界突破】で【音響弾】を飛ばしますね。


源・朔兎
【真宮家】で参加(他猟兵との連携可能}

この女の人は。他人の悪意に晒されてこんな痛ましい姿になったんだ。俺も人為的に作られた皇族だ。貴女も傍に誰かいれば、無辜の人々を犠牲にするまで堕ちなかったんだろうか。ふと思ってしまう。

雅人さん、貴方を守らせて欲しい。貴方は身を切るような痛みを乗り越えて今ここにたってる。瞬さんが支えると誓ったように。俺も貴方を支えてみせる。

家族はそれぞれできることを果たしにいく。俺は雅人さんを守れ、と言われた。家族の信頼には必ず応える。

先制は厄介だな・・・敵将の苦しみをそのまま表したようだ。【オーラ防御】【結界術】【武器受け】【ジャストガード】【毒耐性】!!【根性】と【回復力】で保たせるぜ!!

悪いが、貴方のエゴに今精一杯生きてる人を巻き込まれる訳にはいかないからなあ!!ガキでも雅人さんを【かばう】【護衛】してみせる!!行き汚なさは負けない!!

さすがに先制しのいできついけど、トリニティ・エンハンス起動!!攻撃力あげて、【カウンター】【急所突き】【引き裂き】する!!


火神・臨音
a
やっと御対面できたな
此度の事件の黒幕さんよ
これ以上の惨劇は俺達が許さねぇ、終わらせてやるよ!

初手は護符の一斉掃射
以後は基本的に太刀と足捌きを応用した蹴撃で攻撃
誘拐された人々の救出に向かった仲間達が合流する迄一人も倒れぬ様全力で声上げて鼓舞

戦場に漂う猛毒の霧は毒耐性で堪え足りなければシャウト
シャウト時は指輪を見つめ帰り待つ彼女を思い出す

雅人には戦場の広さを考慮し①のUCを指示、アヤセガワの攻撃が飛んできたら全力で庇う

UC詠唱は始め静かに次第に叫びへ
その奥には更に闇の中で糸を引く悪鬼への怒りを

この太刀が斬るのは憎悪と悪意の鎖
本来の彼女が帰るべき場所へ還れる様
囁かな祈り込めて振り下ろす

アドリブ歓迎


寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
猟兵間通信網活用
SIRD共同
・救助組が行動している間に地上にで敵を拘束。時間稼ぎに徹し、民間人の離脱開始と同時に全火力を発揚する
・毒霧については〖戦闘防護衣〗を着用しこれを完全防護
・当初は【剣霊覚醒】にて牽制を念頭に対応。近接UCに対しては切り合いつつ攻撃をいなし、ロアーは〖イヤーマフ〗にて防ぎつつ斬りかかる
・包囲殲滅陣を使用する兆候ある場合、自身が割り込んでも受け止め指定UCを発動。制限がない上空に数機のヘリと添乗する歩兵のみを展開し上空より支援射撃を行わせる。敵UCに注意しつつ、ダウンウォッシュで霧が晴れるか確認
・離脱開始後は【統制射撃】にて全火力を発揚、〖50㎜火砲〗とヘリからの射撃にて牽制しつつ叩き潰す
※救助組が2人以下の場合は救助組に従事。この際は大型金探を用いて検索、〖乙四装備〗の対戦車榴弾で入口を破壊し突入。敵からの追撃ある場合は【闘戦覚醒】にて損害を受けようとも振り切り民間人を開放。民間人の離脱支援をするも、余力ない場合は【水光】にて異空間に退避させる


クラウン・アンダーウッド
b
随分な荒れ模様だね。現状復帰するには消石灰が沢山必要になりそ...地面に近い程濃度が高い可能性があるね。

からくり人形γに地下に幽閉された人々の捜索を絡繰蝗に命じさせる。位置が判明次第、γを除いた全からくり人形に怪力をもって人々の下へ急行させ、有無を言わさずにカバン型移動工房に収容
捜索が済み次第、γに絡繰蝗を敵の肉体に侵入して内部を蝕むように命じさせる。

仲間への攻撃は、投げナイフで軌道を逸らすか自身の肉体を持って防御する。

生物的な肉体に準じないクラウンの体でも耐えられない損傷を受けた場合は、既存の肉体を破棄し、からくり人形γに持たせた器物を起点に肉体を再構成

さぁ、ココがキミとボクらの檜舞台だ!


藤崎・美雪
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

何やら呪詛のように呻いておるが
街の人々をデモノイド寄生体の犠牲にしたのであれば
我々がそれを許す理由はない
ユーベルコヲド使いを狙うなら、尚更だ

…デモノイドロード、ロード・アヤセガワ
貴殿の目的が何であれ、帝都桜學府は、そして我々猟兵は、貴殿の蛮行を見逃さぬ
お覚悟召されよ

…と粋がってはみたものの
私、毒やら先制攻撃やらにはひじょーに弱いのだ(遠い目
一応、銀河帝国攻略戦で手に入れた宇宙服は着用しておくが
…そもそも重力環境下での効果は未知数なんだよなあ

となれば、こちらは行動機会を増やし、速攻で撃破するのが最善か
万一に備え、紫蘭さんを「拠点防御」で庇えるよう側に立ちながら
「歌唱、パフォーマンス、勇気」+指定UCでトッカータを奏で
オーロラの加護で皆の体力を回復させつつ行動機会を増やそう
毎度毎度これしかできないのが歯がゆいのだが…

戦闘後、演出で【もふもふさんのお手伝い】を発動
「医術100」の9体のもふもふさんを召喚し、救助した人々の治療に当たらせよう
…もう大丈夫だからな


森宮・陽太
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
指定UCは2章から継続発動中

…ふざけんじゃねぇ
てめぇにこれ以上、人々の魂を、尊厳を踏み躙らせるか
デモノイドロード、てめぇはこの世界の「敵」だ!

真の姿解放
二槍に「属性攻撃(聖)、破魔」の魔力を宿した後
デモノイドカッターを二槍で「受け流し」ながら
常に背後を取り「ランスチャージ、暗殺」で冷酷にアヤセガワの四肢や喉を貫く

本当はレラージェを召喚し、場を混沌に塗り替えて大地の力を弱めたいところだが
魔力を『零』に回している今、悪魔召喚は使えない
せめて猛毒の霧の影響だけでも抑えるべく
マルバスのカードを投擲し、癒しの黄水晶の雨で毒の「浄化」を狙おう

囚われの人々の救出も行わないと
零、俺たちと別方向から社に潜入し、地下への入口を探してくれ
ガヴェインも探査の対象を生命力に切り替え、零と共に囚われた人々を探して欲しい
アヤセガワが此処に来た以上、入口は必ず近くにある
幻朧桜が何かを隠すように密集している場所はないか?

地下への入口を発見したら全猟兵に通達
救出狙いの猟兵がいたら零に補助させよう


彩瑠・姫桜
【二桜】
a.雅人さんの護り中心
仲間とも積極的に連携

真の姿解放(姿変わらず)
雅人さんの盾役になるわ
雅人さんも、紫蘭さんの前なんだから無茶はせずに最後まで立ち続けることを優先するのよ?

基本は盾役に徹し
防御は、[かばう,武器受け]で対応、[第六感]で死角からの攻撃にも対応するわ
攻撃は、あくまでも物理攻撃を防ぐための手段の一つとして使用

霧対策としてはUCを[オーラ防御]と併用で使用
雅人さん以外にも紫蘭さんやあおをはじめとした味方の体力が尽きないように、
掛け直しは積極的に行うようにするわね

デモノイドロードへの攻撃や、撤退へ対応は基本的に仲間に任せる

デモノイドロードがやったことに対しては…正直怒りしかないわ
彼女なりの事情があろうとも、やったことに対しては悪意しか感じられないから
でも、今はその感情にかき乱されている場合じゃない
自分のやるべきことに集中するわね

囚われた人達のことも救出も気になるけれど、
それこそ、仲間が対応してくれてるって信じることにする

パパも大丈夫かしら
無茶なことしてないといいんだけど


榎木・葵桜
【二桜】
b.紫蘭さんの護り中心
仲間とも積極的に連携

真の姿解放の上、UC使用
紫蘭さんを集中攻撃されないように私が盾になるよ
雅人さんの護りは姫ちゃんと皆にまかせた!

紫蘭さん、だいじょーぶだよ
今までだって乗り越えられた
だから今回も皆で一緒に頑張ろう

基本は盾役として行動するね
防御は、[見切り,武器受け,かばう]で対応
攻撃は、[なぎ払い,衝撃波,範囲攻撃]で対応

包囲殲滅陣のプラチナデモノイド達は”胡蝶楽刀”で薙ぎ払うね
霧については衝撃波で散らすことができるか、一応試してみる
咆哮も、空気の振動を攻撃に転化させてるとしたら
衝撃波で伝わってくる振動を散らすことがでるかもしれないから、これも試すだけは試してみるよ
ダメだったにせよ、紫蘭さんへのダメージが及ばないように最善は尽くす

あと、姫ちゃんやみんなの回復技に思いっきり甘えることにする

デモノイドロードのあの子は、なんの想いを抱いてこんなことしてるんだろ
人の命を簡単に扱いすぎってところは個人的に赦すことはできないけど
話だけは聞けそうなら聞いておきたいな


彩瑠・さくらえ
地下に囚われた人々の救出優先
救出完了後、デモノイドロード戦闘のメンバーへ合流し戦う
仲間とは可能な限り連携
最善尽くすことに全力注ぐ

地下に囚われた人達は
デモノイドロード自身が神社の敷地内で
移動や行動を起こしやすい距離にありそうな気がする
だから僕自身はデモノイドロードと対峙する前に救出経路探すところから始めるよ

闇雲に探すのはよくないからざっくりとあたりをつけて対応
神社の広さとつくりにもよるけど敷地内一瞥してから
1〜3のあたりで地下通路や階段などがないか調べ、あれば移動を試みる
1:社の中
2:社に近い周辺(小屋などがあればその中)
3:社の裏(デモノイドロードとの戦闘場所付近)

囚われた人達を見つけて牢から出せたら
彼らのダメージが少しでも軽減できるようUC発動させながら避難誘導試みる
牢に鍵かかってたら物理破壊も辞さない

避難誘導中に戦闘発生した場合は前に出て囚われた人達の防御に専念
攻撃も防御手段の一つとして対応するよ

*必要応じ「真の姿」解放
真の姿→黒スーツ着用・血濡れの両手を持った「闇堕ち」時と同様の姿


館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
一般人救出優先

…ちょっと出遅れたか
なら、俺はあえて一般人の救出に回ろう
大地の力ごと、彼らの命をロードとやらにくれてやるわけにはいかないからな

指定UC発動、分身を10体召喚
幻朧桜の密集地点、ないしは人為的に隠蔽された痕跡を
「視力、サバイバル、世界知識、戦闘知識」で推測し探し出してみよう
もし他に捜索している猟兵がいたら、相互で情報交換しつつ探し出す

発見したら即、地下に突入
一般人を発見したら「怪力」で担ぎ
帝都桜學府に連絡を取りながら「ダッシュ」で戦場とは反対方向へ脱出だ

万が一ロードと遭遇したら
攻撃を「見切り」回避しつつ分身全員で囲み足止め
その間にひとりでも多く避難を!


勝沼・澪
やあロード、異世界に出張して勢力を拡大しようとは随分と思い切った行動に出たね? それともあっちでは灼熱者がいるからどうしようも出来ないと後進したか……どっちだい?

腕を剣に変えるか、奇しくも私と同じ構えだ……なんて言いつつフォースセイバーにデモノイド寄生体を纏わせて構える。でも本命は別だ。

激しく斬り合っている最中に【DESアシッド】を炸裂させる。同じデモノイド、強酸は大して効かないが爆発によって視界は遮られて虚を突かれることだろう。そこをこの世界で前から活躍した先達に叩きのめしてもらおう。

私はトドメを刺すことに固執してないからね、何でも「勝てば官軍」と言うだろう?


文月・統哉
a)雅人
オーラ防御で猛毒の霧を防ぎつつ
雅人と紫蘭を庇いフォローしながら
雅人と息を合わせて戦いたい

仲間と連携し
人々の救出に動く仲間に合わせて
敵の足止めに動く

UCでこの状況に最も有効なガジェットを召喚
宵の大鎌に装着すれば
毒とデモノイドの浄化に特化した、斬撃と衝撃波が使用可能となるものだ
エネルギー源は大地の力
敵が使おうとする力を横取り吸収して、敵の強化を妨ぐと共に
攻撃対象を『デモノイド』へ特化する事で、攻撃の威力を高める

デモノイドカッターもまた、高質化したデモノイド部分そのものだ
強化した宵で受けてダメージを抑えると共に、その腕を破壊する

そしてデモノイド寄生体を付与された者が居る場合
魂が乗っ取られる前にデモノイド部分のみを破壊して救出したい
この場合は雅人にも①を頼む

紫蘭も雅人も
これ以上は誰一人デモノイド化なんてさせるものか!

しかしロード・アヤセガワ
彼女もまた影朧だ
猟兵を憎み同胞を求める
その根底には何が在るのだろう
仲間を失った悲しみや寂しさがあるのだろうか
傷ついたその魂もいつか救われる事を祈りたい


文月・ネコ吉
b)紫蘭
紫蘭や雅人にも通信機を渡して
皆で連携協力して対処したい

そして紫蘭には『デモノイド寄生体』を対象とした②桜花の舞の使用を頼みたい

奴は隙あらばデモノイド化を狙ってくるだろう
だが寄生体による魂の侵食を食い止めれば
防ぐ事が出来るかもしれない
誰一人として犠牲者としない為に、頼む

俺は地下の人々の救出へ向かおう
アヤセガワと直接対峙する仲間の動きを陽動として
此方は猫サイズの体を利用して
密かに且つ迅速に人々の居る地下へと向かう

地下の状況を素早く確認し
鈍色の雨を使用
毒霧を洗い流すと共に、弱った人々を回復し
牢を破壊、オーラ防御で防御を整えて
デモノイド寄生体のみを攻撃する稲妻で敵の侵攻に備えつつ
脱出の機を伺う




(「……上空から、ネリッサと言ったか? あの者と共に、濃霧に囲まれた社を発見したぞ、陽太。それから、オブリビオン反応と言うべきか……そう言った特殊な反応もな」)
 その町外れの更に西の住宅街にて。
 上空で光学迷彩をして状況を見ていたガヴェインからの報告に、森宮・陽太が思わず、はっ、とした表情になる。
「さっき、ネリッサが夜鬼で確認した場所だな?」
 そう陽太が念話でガヴェインにそう返すと。
(「その通りだ、陽太」)
 そうガヴェインから連絡が届き、陽太が良し、と首肯を1つ。
「……陽太?」
 その陽太の気配に気が付いたのだろう。
 文月・統哉がそう陽太に問いかけると、どうやら、と陽太が言葉を続ける。
「……ガヴェインが例のデモノイドロードとやらの居場所を発見したらしいぜ。零は今、ちょっと音沙汰が無くなっちまっているが」
 その陽太の言の葉に。
「ジェイド43、応答できますか?」
 そうエルゴ・ルスツァイアの通信機へのネリッサ・ハーディからの連絡が届いたのに。
「Yes.マム」
 そうエルゴが軽く首肯すると同時に、此から、とネリッサが通話を続ける。
「竜胆さんの情報からしても目標は、先程森宮さんの方でも確認したと言う社に潜伏している様です。今、其方に至急向かうつもりですが、どうにも周囲の幻朧桜を枯れさせる程の猛毒の霧に覆われている以上、何らかの対策が……」
 そのネリッサの言の葉に。
「局長。宇宙服を用意してあります。一先ず、此を着込めば猛毒の霧を無効にする事は出来るかと」
 そう寺内・美月が進言している……そこで。
「ねえ、私、ちょっと気になることがあるんだけれど……誰か、分かるかな?」
 不意に。
 そう紫蘭に同行していたフェル・オオヤマが確認する様に呟くのを聞いて。
「如何したの、フェルさん」
 雅人がそのフェルの言葉の意味を、吟味するかの様に問いかけると。
 ええと……とフェルが軽く頭を横に振りながら、言葉を続けた。
「……何で、さっきあのデモノイド達は第1波だけで退いたんだろう。もし、さっき話に聞いたデモノイド寄生体とやらがそれに関係しているのだとしたら……」
 そのフェルの言の葉に、雅人がそうだね、と小さく首肯を1つ。
 ――まるで、何かに気が付いたかの様な、そんな気配を漂わせながら。
「……第2波を準備するために、その社に退いた? だとすると……急がないと」
「……雅人?」
 俄に表情を厳しくする雅人の呟きにキョトン、と目を瞬き首を傾げるのは紫蘭。
 だが、そんな紫蘭に対して軽く頭を横に振り、もしかしたら、と雅人が独り言の様にその事実を口に出している。
「行方不明になっている人々を現在、社の何処かに監禁しているのだとしたら……第2派の為に彼等がデモノイド化させられる前に助けられる可能性があるな」
 その雅人の呟きを聞いて。
「陽太さん! 私達が一番其所に近いのよね? ならば、私達は……」
 そう彩瑠・姫桜がはっ、とした表情になって問いかけるのに。
「うん……! これ以上、誰1人死なせず、欠けさせることも無く無事に任務を終えて帰還するためにも……!」
 そうフェルが姫桜の言葉に同意する様に意気込む様子を見て。
「……私は、行くわ」
 そう紫蘭も只ならぬ決意を込めて言葉を紡ぐのに。
「何言っているの? 紫蘭さんや雅人さんが先行して行くつもりなら、私達に異存は無いよ?」
 そうにっぱりと八重歯を見せる様な明るい笑顔を浮かべた榎木・葵桜の返答に。
「そうですね。私は、紫蘭さんを守り抜く。貴女や貴女が救いたいと望む人達の為にどんな困難も厭わない覚悟を見せるのでしたら、私も全力で支えますよ」
 そう真宮・奏が茶色の瞳に並々ならぬ決意を秘めて紫蘭をじっと見つめるのを見て。
「……此から幸せになって欲しい閉じ込められた皆さんを、もし、救えるのであれば私も救いたいです、お養母様」
 そう藍色の瞳に静かな決意を籠めて呟く神城・星羅と。
「俺の愛しい人も一緒にいる。その愛しい人の母親が、覚悟を以て紫蘭さんを助けるっていうならば、俺は……」
 そう源・朔兎がぎゅっ、と自らの両の拳を握りしめた時。
「ならば朔兎は、雅人さんを守って下さい。勿論、僕も一緒に行きますが、サポート役として僕は戦いますので、雅人さんと紫蘭さんの事は、朔兎と、奏に任せます。星羅は雅人さんが今言ったもしかしたら未だデモノイド化されていない人々の探索と救出をお願いします」
 その自らと同じヘテロクロミアの朔兎達に、赤と金のヘテロクロミアで神城・瞬が静かに纏める様に言葉を紡ぐのに、朔兎、奏、星羅がそれぞれにはい、と首肯を返しているのを見て。
「……すまない、局長。此方ジェイド43。どうやら、雅人さん達は急行するつもりらしい。であれば、ワタシは……」
 自身の覚悟を確かめるかの様にエルゴが通信機越しにそう、ネリッサに問いかけるのに。
「分かりました。ならばエルゴさん。私達もなるべく早目に其方に向かいます。そこに居る他の猟兵達や雅人さん、紫蘭達と共に先行を」
 そう微かに息をついて。
 ネリッサが自らの夜鬼で見通した猛毒の霧の濃さに気を付ける様、言い含めながら続けるのに。
「……急ごう。もし未だデモノイド寄生体を寄生されていない人達がいるならば、1人でも多く助けたい」
 そう統哉が締めくくる様に言の葉を紡ぐのに。
「うん……急ごう、皆」
 そう雅人が統哉の言葉を引き取って首肯するのを合図にするかの様に。
 竜胆とネリッサの夜鬼、そして陽太のガヴェインによってその社のある地に向かうべく、雅人達は住宅街を後にした。


 ――丁度、その頃。
「……現地調達して身内を狙わせたと……」
 竜胆と美月達のやり取りを通信機越しに聞いていた灯璃・ファルシュピーゲルが独白の様に言葉を紡いでいる。
(「此は……」)
「心理影響的にも、テロ攻撃手段としても優秀な方法ですね……非人道的で、非道極まりないことを除けば」
 その非道極まりさ故に顔全体に嫌悪を浮かべて。
 吐き捨てる様に告げた灯璃のそれに、全くだな、と火神・臨音が同様に呻く。
「とは言え、漸くご対面の時が近づいてきたんだ。これ以上、惨劇を広げさせやしないぜ」
 その臨音の覚悟を伴うそれを聞いて。
「同感だね、臨音ちゃん。しかし……目的がデモノイドロードとデモノイドの量産ね……」
(「十分予想の範囲ではあったけれども……」)
 であればこそ、未だ予備選力として人々を囚えた儘にしているであろう可能性に雅人と同じく思い至っていたクローネ・マックローネが軽く頭を横に振る。
「まあ、ならばワタシ達も急がなきゃだね。猛毒の霧がそこに広がっているからと言って、それは此処で呑気に準備をしていて良い理由にはならないし」
 そのクローネ愛用のスマホからさりげなく零れた忠告を耳にして。
「……確かに既に雅人さん達が先行している以上、準備をしているゆとりは無いですね」
 ウロボロスアーセナルを用いてCBRME個人用戦闘防護具を作成しようとしていた灯璃がはっ、となりその手を止める。
(「……こうして準備をしている間にも、デモノイド寄生体を寄生されデモノイド化してしまう可能性がある人達の事を考えてしまうと……」)
 ――そもそも、そんなことをしている時間も無いのだ。
 そう思考を切り替え、直ちにMK.15A SOPMOD2 SASR"Failnaught"の弾数を確認、直ぐに現地に向かおうとする灯璃の通信を聞いて。
「灯璃様、此方、ハンマー05です。わたくしめも直ちに現地に向かいます! わたくしはウォーマシンですので、皆様方より毒に対する抵抗力は上の筈でございますので!」
 そうラムダ・マルチパーパスが応えながら、町を出て、エルゴ達の後を追う様に合流した、その時。
「……少し、出遅れたか。とは言え、一般人が第2派の予備選力として残されていて、でも、それをもしかしたら助けられる可能性があるならば救出しない理由も無いな」
「やれやれ、局長からのコールで只のマン・ターゲット相手とか聞いていたが……いつもと同じ位、中々にハードなミッションじゃねぇか」
 その言の葉と、共に。
 灯璃達の前で蒼穹の風が吹き荒れると同時に姿を現したのは、デモノイド戦で一度戦った後姿を消していた館野・敬輔と……。
「ミハイルさん。局長からの?」
 そう問いかける灯璃のそれに、ミハイル・グレヴィッチがやれやれ、と言う様に懐から取り出した煙草を一本吸ってまあな、と首肯する。
「コールでね。まっ……俺のやることはいつもと変わらねぇ。館野達が人助けるってんなら、止めやしねぇよ。俺は俺で既に|局長《ボス》から何をするか言付けられているからな」
 そうやれやれと言う様に肩を竦めて見せるミハイルだったが……。
「ミハイルちゃん、口元笑っているよ?」
 そう何時の間にか臨音と共に姿を現したクローネが問いかけるのに、おっと、とミハイルが態とらしく肩を竦めるその間に。
「まっ……少し出遅れそうだけれど、取り敢えず人々の救出パーティーにはボクも間に合いそうですかね?」
 道化の様な笑みを浮かべて飄々と姿を現したクラウン・アンダーウッドのその言葉に。
「……多分、この距離であれば、急げばそれ程時間差も無く現場に着くことが出来るでしょうから……急ぎましょう、皆さん」
 そう灯璃が首肯するのとほぼ同時に。
 灯璃達が先行するエルゴ達の後を追う様に、急ぎネリッサから連絡のあった目的地へと向かい始めた。


 ……一方、その頃。
「そう言えば、大地の力とデモノイドロードは、縁深いものでしたね」
 悪霊なので、と言うのもあるが、時間を掛ける余裕もないので、と美月が用意してきた宇宙服を纏わず移動を始めた馬県・義透――の術式人格を構成する四悪霊が1柱――『静かなる者』、梓奥武・孝透がそう呟く。
(「まあ、此も一の姉たる風花の話ではありますが……」)
 その義透の呟きに。
「うん、その通りだね、義透さん。デモノイドロード達の中でも大地の力を受けた存在」
 ――それがレアメタルナンバー。
 嘗てサイキックハーツの1つとなり、自分達の前に立ち塞がったロード・プラチナの事や、兵隊として扱われた哀れな者達に憐憫を抱きつつそう応えたのは、彩瑠・さくらえ。
 噂では猟兵達は一度ロード・プラチナと出会ったことがあるらしいと言うが……さて、真相は如何なのであろうか。
(「まあ、今のご時世、何が起きていても可笑しくは無いんだけれどね」)
 そうそっと心の中で苦笑を漏らすさくらえの隣にいた。
「雅人、紫蘭、今何処に居る?」
 文月・ネコ吉が美月から渡された通信機越しに問いかけると、紫蘭達の代わりに、エルゴの応えが届いた。
「此方、エルゴだ。ワタシ達は、もう、目的地が目と鼻の先の所にいる。……この霧……猛毒の霧と呼ばれるだけあって……」
「分かった。俺達も直ぐに行く。もう少しだけ待っていてくれ」
 ネコ吉がそう告げてエルゴがそれに了解、と短く答えるのに頷いて一度通信機を切るのをチラリと横目に見遣りながら。
「どうやら、私の以て非なる者……ロードとは幸いにも未だ接敵していないみたいだね?」
 そう勝沼・澪が軽く嘆息するのに、とは言え、と真宮・律が続ける。
「わざわざ俺達の全戦力が揃うのを待ってくれる様な相手でもないだろう。況してや……こういう手合いであれば、尚更だ」
 ――それは、テロとしては非常に効率が良く胸糞が悪くなる手段ではあるけれども。
(「けれども……ああいう手合いは、自らの目的を果たす為なら何でもするってのは傭兵だからこそ、良く分かる」)
 それが、如何に非人道的であろうとも。
 戦術的に理に叶っているのであれば、行うのは当然。
 先程、フェルが懸念として口に出していた、『第1波』のみで一旦退いたのか……。
 その理由として、『第2波』として用意しておいた予備兵力を取りに行く為だと言うのは、十分に有り得ることだ。
 只、その人々がデモノイド寄生体に既に寄生されているのかいないのかは定かでは無いが……。
「……そこは、子供達や陽太達の手腕と運に期待するしか無いだろうな」
 最悪の可能性も考慮に入れながらの律の呟きに、そうだね、と真宮・響が軽く息を零す。
「とは言え、未だ救える可能性があるならば、それを救うのがアタシ達の役割だ。でないと何のための超弩級戦力だって、色々な奴等に叱られそうだしね」
 そう呟く響のそれに、だろうな、と嘆息したのは藤崎・美雪。
「そもそもその様な蛮行を私達が許す道理も無いだろう。況してや、ユーベルコヲド使いを狙うというのであれば、尚更な」
 その手には、取り敢えず銀河帝国攻略戦で手に入れた宇宙服。
(「着用するつもりだったが……紫蘭さん達が先行してるんだったら、装備している時間が惜しいんだよなぁ……」)
 ――正直に言えば、だ。
 そもそも宇宙服を着用しておけば、猛毒の霧に絶対に対抗できる保証は何処にも無い。
 しかも、今回は重力環境下での戦いだ。
 と、粋がってはみるものの……。
「まあ、私、毒やら何やらにはひじょーに弱いのだが……根性で何とかするしかないか……」
 そう呟く美雪のそれに。
「まあ……猛毒の霧って言っているけれど、実際はサイキック……ユーベルコードだろうからね。その宇宙服だけで何とか出来るならば、僕や澪さん、エスパーの皆が死ぬことは無いだろうけれど……とても、そんな感じには思えないよね」
 美雪のぼやきに微苦笑を綻ばせて告げるさくらえ。
 そんなさくらえの言葉を聞いて、そうだな、と美雪が小さく首肯して。
「まあ、最悪気合いで耐えるか……」
 と、何処か遠い目をしながら呟く美雪の肩を。
 心配するな、と言う様に叩いた響のそれに、ありがとう、と美雪が応えを返した。


 ――そして。
「用意はしてきましたが……少し着替えに時間が掛かってしまいましたね」
 そうウィリアム・バークリーが軽く頭を横に振って呟くのに、仕方ありませんね、とネリッサが呟く。
「それでも此で猛毒を軽減できるのであれば、大分楽になる筈です。しかし、あの社は……」
 夜鬼の目を通して見下ろした社の姿を思い起こして。
 何かを考えこむ様に口元に手を当てるネリッサの様子に。
「如何しましたか、局長?」
 そう戦闘防護衣に着替えた美月がさりげなく確認する様に問いかけると。
 ネリッサは少し眉を顰める様な表情を浮かべていたが、程なくして軽く言葉を紡いだ。
「いえ、あの社ですが……あれは、所謂この辺りの龍脈と言うやつなのでしょうか、と思いまして」
 そのネリッサの言の葉に。
「そうですね。恐らくあの地は龍脈の中でも複数箇所にある要衝の地である龍穴の1つなのでは無いでしょうか? だからこそ、大地の力がそこに集い、デモノイドロードとやらがその大地の力を吸い上げるのに労力を惜しまなくて済むという話な気がします」
 龍穴とは、龍脈のエネルギーが集まった場所。
 そこから大地の力を汲み出すことが出来ると言うのであれば、成程、如何に強力な力をそのデモノイドロードとやらが身につけているのかも頷ける。
(「さて、ぼくの魔法で何処まで戦うことが出来るのかな……?」)
 そう内心でウィリアムが自問自答をするその間に。
 宇宙服を身に纏ったネリッサ達が、戦場に向かって駆けていく。

 ――既に他の仲間達も向かっている|その場所《戦場》へと。


 ――そして。
 社の裏にある幻朧桜林の枯れ果てた、そんな跡地にて。
『……此処まで来たのか……灼滅……否、猟兵共……!』
 そう呪詛の様な呻きを上げながら、デモノイドロードたる彼女は、戦場全体を覆い尽くさんばかりの猛毒の霧を深めていく。
 増援を待つ暇も無く相対した彼女から発せられた猛毒の霧に咄嗟に対応する様に、双月の剣を十字に翳し月色の結界を張り巡らして猛毒の影響を抑える結果術を展開しながら、朔兎が複雑そうな表情を浮かべて、呻く。
「この女の人は、きっと……」
「……僕や朔兎。……|戻れなくなった《・・・・・・》1人の少女……なのでしょうね。ある意味では、僕や朔兎のIFですか……」
 朔兎の引っ掛かる様な物言いに気が付き、そっと静かに嘆息した瞬が、月虹の杖を翳して月読みの紋章の結界術を展開しながら嘆息を零す。
 その結界術で猛毒の霧を緩和させられつつも。
 猛烈な勢いで迫り来るそれを払う様に、雅人が濃口を切った退魔刀を居合の要領で引き抜き衝撃の波を引き起こし、その霧を僅かに払うが。
「うっ……!」
 雅人の様な対応手段を正面から講じることが難しい紫蘭がその猛毒と周囲の枯れた幻朧桜達の姿に苦しげな呻きを上げている。
「紫蘭さん! 大丈夫……貴女は、私達が必ず守ります……!」
奏が、紫蘭を覆い尽くさんばかりの猛毒の霧から彼女を守る様に前に立ち。
「風の精霊達よ……!」
 短い詠唱を唱えて、自らと紫蘭を守る様に風の結界をエレメンタルシールドの表面に展開、僅かに濃霧を吹き払うのに合わせる様に。
「……未だ、神霊体になっていないけれど……紫蘭さんは、私達が守り抜いてみせるよ!」
 そんな奏が咄嗟に構えた胡蝶楽刀を横薙ぎに払い、衝撃の波を起こして僅かにその濃霧の霧を雲散霧消させようとするのに。
『その様な体でよくもまあ来たものだ、猟兵……『罪深き刃』刻まれし者共が……!』
 そう深き憎悪と憤怒を撒き散らす様にして。
 周囲に展開された儘の濃霧と大地から吸い上げていくその力を受けながら、自らのデモノイド化した退魔刀を上段に構え一瞬で肉薄してくるデモノイドロード。
「なっ……早いっ!?」
 咄嗟にクロネコ刺繍色の緋色の結界を展開し、自分と雅人を守る様にしていた統哉が漆黒の大鎌を構えるよりも早く突進してきたその娘に思わず、ひゅっ、と息を飲む。
 そんな統哉と雅人、そして雅人を守るべく二槍を咄嗟に構えて交差させる様にした姫桜の脇を駆け抜け、デモノイドロードが肉薄したのは……。
「……ふざけんじゃねぇぞ、てめぇ……」
 そう低く、呻く様な憤懣を帯びた声音と共に。
「人々の魂を、尊厳を踏みにじってきたデモノイドロード……この世界の『敵』たるてめぇを俺達は断じて許すか!」
 そう自らの真の姿化のキーワードを口にした全身をブラックスーツに包み込み、その顔に白い能面の様なマスケラを帯びた……。
「……狙いは、陽太さんなの……? 違う、本当の彼女の狙いは……っ!」
 いつも身に纏っている既にNBC対策済みのTYPE-NA.M2 コンバットスーツを纏い、ガスマスクを装備しても尚、自らを蝕む猛烈な猛毒に紫の瞳を一瞬苦しげに歪めたエルゴの警告。
 その間にも陽太が反射的に淡紅色と紺色の輝きを伴う二槍を交差させる様にして伸長させていたが……。
(「……くそっ……此でも、間に合わねぇだと……?!」)
 ユーベルコードを発動させるよりも先に圧倒的な速度で振り上げたデモノイド化した退魔刀からデモノイド寄生体を紫蘭に向けて彼女が解き放ったのには間に合わず。
 いきなりの彼女の奇襲による、紫蘭へのデモノイド寄生体の強制移植によりデモノイドロード化させようとした彼女の表情に笑みが浮かんだ……その時。
「……危なーい!」
 その叫びと、共に。
 不意に上空からぷるん、ぷるん、と大きな胸を揺らしながら、1人の少女が滑空で空中から割り込み……。
「いくよっ!」
 雄叫びと共にそのデモノイド寄生体を自らの身に受け止め、そのまま自らの体に寄生され、苦しげに呻きながらも快活そうに笑っている。
 その少女の姿を見て。
「レイヴァさん!?」
 そう紫蘭が悲鳴の様な声を張り上げるのに、えへへ、とレイヴァ・エレウネラが弾んだ声を上げた。
 そのレイヴァの笑い声を、まるで引金にしたかの様に。
 音も無く一発の銃弾がデモノイドロードの娘の頬を掠めていく。
「……何とか間に合いましたか……!」
 瞬より更に少し後ろ……正しく社の裏口とでも呼ぶべき場所から姿を現した灯璃がその猛毒の霧に冷汗を垂らし、顔を歪めながらも微笑を浮かべ。
「紫蘭様、雅人様! ご無事でいらっしゃいますか!? このラムダ・マルチパーパス達が参りました以上、皆様の御身は我が身……この機械ボディーに賭けても、守らせて頂きます!」
 更にそんな灯璃の脇を通り抜ける様にしてドタドタと猛毒の霧を走る様に現れたラムダがそう叫んで、雅人と紫蘭を守るべく其方に向かう、その間に。
「漸く、お出ましってわけだな黒幕さん! これ以上の惨劇は俺達が許さねぇ! 終わらせてやるよ!」
 その凄まじい咆哮――シャウトと共に。
 七曜五行ノ力封ジシ護符――七曜と五行の力籠められ札を一斉に投擲しながらラムダと共に姿を現した臨音の咆哮と。
「おーやおや、これはまた、随分な荒れ模様だね。現状復帰するには消石灰が沢山必要になりそうだ」
 対照的に何処か飄々とした様子で肩を竦めたクラウンが軽く口笛を吹きながら、カバン型移動工房からからくり人形達を10体取り出し、直ぐさま近くを探索させ。
「取り敢えず、未だ戦いが始まったばかりの時に辿り着けたのは幸いだけれど、人々を救うためにもデモノイドロードの方は皆に任せたよ」
 クラウン同様、自らの体に仕込んだ毒耐性で猛毒に体が蝕まれていくのに耐えながらクローネがそう呟き、素早く周囲を見回し始めている。
「くっ……此ほどの猛毒とは……!」
 その間にも。
 敬輔が自らの周囲に漆黒のオーラ防御を張り巡らして何とか自らを蝕む猛毒の霧を堪えながら、周囲を見回しているのを。
「……皆様……!」
 複雑そうな表情を浮かべ、猛毒の霧に苦痛の表情を浮かべる朔兎を気遣う様に見遣りつつ懐から取り出した音律の指揮棒を振るって藍色の結界を張り巡らした星羅が気遣う様に見ると。
「星羅、貴女は敬輔さん達と共に、人々を……!」
 レイヴァに合わせる様にエレメンタルシールドを突き出して、デモノイドロードを引き離す様にしながら。
 先程の瞬の指示を思い出した奏からの後押しに星羅がはい、と首肯し直ぐに藍色の双眸を閉ざしているであろう人々の気配を探る様にする、その間に。
『オオオオオオオオオオオッ!!!!』
 デモノイドロードの娘が動いた。
 奏の一撃を躱さざるをえなかった娘が圧倒的に恐ろしい咆哮を上げて、盤面に現れた猟兵達を纏めて叩きのめさんとしたのだ。
 ――それでも。
「夏休みを楽しもうとしていた人々だっていた。だがそれを利用して無辜の人々をあんなことにしたお前を、私は……私達は……っ!」
 その戦場全体を薙ぎ払わんばかりの咆哮から、紫蘭を、身を挺して守る様に。
 咄嗟に紫蘭の前に立ち、その咆哮を断ち斬らんと月光刃ヘイル――蒼銀の刀身持つその刀をフェルが上段から振り下ろしながら詠唱を開始。
 けれどもフェルや葵桜、奏達が放たれた咆哮で受けるダメージは未だ大きく、余波の衝撃で紫蘭が打ちのめされそうになった時。
「既に第1波は始まっている様だが……此なら……どうに……か……? ゲホッ」
 辛うじて姿を現した美雪が猛毒の霧に覆われて肺に血が流れ込み苦しげに喘ぎながらも紫蘭を、身を挺して守ったその一瞬を狙って。
「やあロード、異世界に出張して勢力を拡大しようとは……随分と思い切った行動に出たものだね?」
 そう何処かからかう様に。
 すっ、と姿を現した澪が自らと同種であっても決して相容れない存在の猛毒の霧を受けながらも、デモノイド寄生体を自らの両手遣いに構えたフォースセイバーに纏わせて肉薄するのに合わせる様に。
「……多分、アンタも他人の悪意の犠牲者なんだろうね。戦友からデモノイドの事は聞いているよ」
 そう何処か悲しげに囁きかける様に呟き。
 何処か憐れみの表情を浮かべた響が、情熱の炎の結界を自らの身に張り巡らして猛毒に対応しながら澪の左に並んで肉薄し。
「デモノイドのお嬢さん。俺は魂人だし、ダンピールの瞬も、皇族の朔兎も居る。……種の垣根を越えてでも尚、俺達は『家族』だ。そんな家族が居てどれ程心強いのか……それはよく分かるから、仲間を増やしたいアンタの気持ちは良く分かる」
 そう響と同様に。
 何処か悲しげな口調でそう首肯した律が、赤銅の両手剣クレプスキュルを上段に構えて跳躍して。
 響の情熱の炎の結界に重ね合わせる様に雷炎の結界を展開し、自分と響の丁度中間に位置する澪を猛毒の霧から守る様にしつつ肉薄。
 響が下段から薙ぐ様に振るった青い勇気の炎灯るブレイズブルーと大上段から律が振るった赤銅色の斬撃がデモノイドロードに迫るのを。
『貴様達に、やられてやる道理は無い!』
 叫びと共にデモノイド寄生体で硬質化した剣を薙ぐ様に一閃すると同時に解き放った衝撃で、押し返したところに。
「答えになっていないな? もしかして……|あっち《私達の世界》には灼滅者がいるからどうしようも出来ないと後進したのかな?」
 そう、からかう様に言の葉を紡いだ澪が。
 自らのデモノイド寄生体によって一体化したフォースセイバーを突き出し、彼女に一撃を与えようとするが。
『ふざ……けるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!』
 咆哮と共に、自らのデモノイド寄生体によって強化された退魔刀でその刺突を彼女が受け止めた所で。
「すみませんが、これ以上貴女の好きにさせるわけにはいきませんよ」
 その猛毒の霧の本来なら感じる苦しみを。
 自らを構成する『我等』達と分け合って自らを蝕む毒を緩和した義透が邪気祓ノ弓矢からひょう、と矢を放つ。
 霹靂……自らのグリフォンの羽根を矢羽根に利用した毒を払う対毒武装から放たれた一矢が、澪達の攻撃に気を取られていた彼女の肩に突き立ち。
『ぐっ……?!』
 浄毒とでも呼ぶべき魔力の籠められたそれによる攻撃で、僅かに深く、あまりに深く立ちこめられた猛毒の霧が微かに弱まったその瞬間を狙って。
「今ですか」
 その言葉と、共に。
 ――ダン! ダン! ダン!
 ネリッサの愛銃、G19C Gen.5の銃声が数発鳴り響き、それがデモノイドロードを撃ち抜いた所に。
「……隙有りだぜ」
 すかさず自らの身を隠す様に気配を殺していた陽太が、その背後から伸長した二槍を突き出す。
 正面からのネリッサの銃撃と背後から迫る淡紅色と濃紺の二槍の殺気を察知した娘が咄嗟に身を捻る様に跳躍と同時にトンボ返りを打ってそれらの攻撃を躱すその間に。
「やっぱりこの毒……ユーベルコヲドで生み出されているだけあって、クロムキャバリアの有毒装甲よりも余程キツい……!」
 そう自らの体を瞬く間に蝕まんとする猛毒の霧の濃さに顔を歪めながら。
 素早くルーンソード『スプラッシュ』を引き抜いたウィリアムが、デモノイドロードの側面を取り、その刀身を凍てつかせて一閃。
 ウィリアムのそれには気が付いていたのか、左の何時の間にか悪魔化された拳でウィリアムの斬撃を受け止めるデモノイドロードに向けて。
「繊月と司霊、両刀の第一次封印を……」
 白銀の刀身持つ多知『繊月』と、漆黒の刀身持つ多知『司霊』の双刀を抜刀。
 美月がその力を解放するべく|罪深き刃《・・・・》を振るわんとするよりも早く。
『オオオオオオオッ!』
 その悪魔化した巨大な拳が美月に向かって振り下ろされ……。
「がっ……!」
 強烈な打撃傷を負いながら、その場に思わず膝を突いた美月の周辺地形にその悪魔化した拳を着弾させて幻朧桜事、大地を破片と化させて砕こうとした、その刹那。
「此処で地形を破壊されれば、地下に囚われているのであろう人々の被害が拡大する……それをやらせるわけには行かない……!」
 その言葉と共に。
 咄嗟にエルゴがTYPE-LR.35 オートリニアライフルの引金を引き。
 無数の銃弾を撒き散らして、その悪魔化した拳の軌跡を狂わせ、辛うじて周辺地形の破壊は遮る事に成功した。


(「しまった……此もユーベルコードである以上、先手を切られるか……!」)
 格上の相手に対して、自らのユーベルコードへの過信が招く過ちに気が付き、美月が猛毒の霧に蝕まれながらぐっ、と低い呻きを上げる。
 瀕死では無い、しかしそれなりの大怪我は負った。
 今回、エルゴの自動小銃による援護射撃のお陰で瀕死にならずに済んだのは、不幸中の幸いであっただろう。
 一先ず、直ぐに美月が態勢を整えなおさんと、咄嗟に後退する様に大地を蹴ったのと入れ替わる様に。
「その位の一撃で倒れている場合じゃねぇぞ美月! 誘拐された人達の救出のその時まで、誰が俺達全員でこの場を守り抜くんだ!」
 ちらり、と自らの薬指に嵌まったDaysOfPromiseを見つめながら。
 鼓舞の意志を込めたシャウトを迸らせながら、臨音が火神ノ社ノ御神刀の濃口を切る。
 朱の鞘に収められていたその刀が、炎を纏った銀色の刀閃と共にデモノイドロードの左脇腹から右肩口に向けてを斬り払わんと振るわれるのに。
『ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
 憤怒と憎悪の綯い交ぜになった咆哮を上げたデモノイドロードのデモノイド寄生体を纏った退魔刀が激しくぶつかり合い、火花を散らした。
 ――その一瞬の攻防を。
(「さて……どうなる?」)
 SV-98Mのスコープ越しに覗き込んで認め、ニヤリと口の端に笑みを浮かべるのはミハイル。
 ミハイルは、猛毒の霧に蝕まれそうになる体にやれやれと苦笑を零しながら、近くの茂みに身を潜めている。
(「全く……戦場全体を包み込む猛毒の霧とか……厄介以外の何物でも無いっての。なーにが、マン・ターゲットの|狙撃《スナイプ》だ。全然、割に合わねぇじゃねぇか。こいつは、報酬に危険手当の上乗せ位は要求しないとな」)
 等と毒にも薬にもならないことを考えながら、ミハイルが鮫の様に笑って獲物を狙う狩人の様に息を潜めているその間にも。
 猛毒の霧に蝕まれて、意識を朦朧とさせかけながらも、敢えてデモノイドロードに直接挑まなかったさくらえが思考を進めていた。
(「この状況で人々が囚われているとしたら、多分、立地的にも地下しかないだろうな」)
 元々、この神社自体が、表向き、秘匿された場所であったこと。
 そうであるにも関わらず、龍穴の1つであるが故にそれを探し当てたデモノイドロードが、自身の兵力を作るための素材を閉じ込めるための牢を用意できたこと。
 その様な状況から、今、|娘《姫桜》達が決死の覚悟で雅人と紫蘭を守り、足止めをしているデモノイドロードが牢を作ることが出来る場所なんて1箇所しか無い。
 それは……。
「……成程な」
 そのさくらえの思考を読み取ったか、それとも偶然か。
 陽太の呼び出した無面目の暗殺者……ある意味ではもう1人の陽太……でもある零が不意に姿を現して、さくらえの表情からそれを読み取りふむ、と理解の首肯を1つ。
「……何処に人々が囚われているのか、分かったのですか?」
 漸く、敵からの圧倒的な攻撃に対応する時間が取れたと判断したのだろう。
 猛毒の霧を藍色の結界で散らす様にしていた星羅が音律の指揮棒を振るって天空へと金鵄を飛翔させて空からその目を利用して状況を確認しながら問いかけると。
「確かにな。今の状況だったら、そこしか答えは無さそうだな」
 紫蘭を守るよりも先に、一般人達の救助を選択した猫サイズの体のネコ吉が問いかけるのに、成程ね、とクローネもまた、微笑む。
「只、さっき美月ちゃんがやられたみたいに力任せに地面を破壊して掘り進めたら、見つかるとは限らないね。それどころか……下手したら破壊した大地の破片が彼等に降り注いで危険になる可能性もある」
 そうクローネがあくまでも慎重な口調で確認する様に呟くのを聞いて。
「でも、その口調、その雰囲気からすると何となく如何すれば良いのかの答えはもう見つけているんじゃないですか? 彩瑠さん♪」
 無数の超極小の絡繰り蝗の大群をからくり人形、タイプγに召喚させて先程美月が受けた攻撃によって破壊されかけた周辺地形の探索を行わせていたクラウンが問いかけると。
「そうだね」
 とさくらえがそれも分かっているかの様に微苦笑を零しつつ首肯する。
 ――その体を猛毒の霧に蝕まれ、体から血を流しながら。
「さくらえさん、大丈夫なのか……?」
 そう心配した敬輔の自らの左肩を白化させた分身達の1体が、気遣う様にさくらえを見るが。
「僕は大丈夫。と言うより、その分身だと寧ろ君の方が危険なんじゃ無いのか、敬輔さん」
 そうさくらえが問いかけるのに。
 ぐっ、と自らの分身が猛毒の霧に蝕まれる苦痛を共有し強大なダメージを受けながらも、敬輔が呟く。
「でも、毒の対策をしていないさくらえさんだって……」
 その敬輔の言の葉に。
「……大丈夫。此でも一応、僕は|灼滅者《・・・》だからね」
 そうさくらえが返すと同時に。
 ――轟、と。
 一瞬漆黒の闇の如き力がさくらえの体から溢れ出し。
 気が付けば敬輔達の目前には、傷の癒えた漆黒のスーツを纏い、何時の間にか両手が血に塗れた青年の姿があった。
 突然のさくらえの変化に一瞬、星羅やネコ吉が息を飲み、クラウンが愉快そうに笑うが。
「ああ……成程ね。もしかして、さくらえちゃんの|真の姿《・・・》は|それ《ダークネス》なんだ」
 得心が言ったと言う様にクローネが諒解の意を示すのに、嘗てサイと呼ばれたダークネスの姿になったさくらえが頷いて。
「もう僕は、消えない罪も、闇も、覚悟も。全て背負って生きていくと決めたからね。それがどうやら、此方では真の姿と言う形で具現化したみたいだ」
 猛毒に蝕まれた体を真の姿になる事で一時的に強引に解毒するさくらえのそれに。
「成程。確かにそう言う方は結構いそうですね……」
 そう星羅が小さく首肯し、敬輔が何とも言えない表情を浮かべるのを見つつ、多分、とさくらえが話を続ける。
「態々彼女が戦場である社の裏に回ったと言う事は……この辺りが怪しいんじゃないかな?」
 そうさくらえが呟いて、自らの足下を見てトン、トン、とその踵で地面を叩くと。
「……ふむ。空洞ですね、これは」
 その反響してきた音を聞いたクラウンが理解した、とばかりに笑みを浮かべて頷き、先程召喚した絡繰蝗の大群をさくらえの足下の地面に殺到させると。
 ――ゴトリ。
 と言う音と共に、地面に階段が姿を現した。
「……この階段が見つかったって事は、此処も戦場として扱われる可能性が高いね」
 そうクローネが呟き、気を引き締める様に軽く深呼吸を行うその間に。
「じゃあ、俺が先行しよう」
 そう呟いたネコ吉が、軽く祈る様に叢時雨を抜刀した、その時。
 ――ザー……ザー……。
 不意に、戦場全体に鈍色の雨が降り注ぎ始めた。
 降り注ぎ始めると同時に上空から解き放たれた鈍色の稲妻が響や律、澪達の連係攻撃によって、この場所から引き離されるデモノイドロードを軽く撃ち抜き。
 同時に、共に降り注ぐ優しき雨が、特に毒によって重傷を負っていた美雪や、初撃でかなりの負傷を負ったまま戦い続けていた美月の傷を癒やしていく。
 自分達の傷も雨によって癒やされていくのを確認しながら、さあ、とネコ吉が続けた。
「あまり時間は無い。急ぐぞ」
 ネコ吉のその言の葉と共に。
 クラウンが両手の指9本に取り付けたからくり人形達を同行させ。
 更に10体の分身を用意した敬輔やこの場所を推測で的中させたさくらえ、そして人々の救助活動を優先させたクローネと星羅が階段を下へ、下へ、と下るのに気が付いて。
「零。お前は……」
 その陽太の問いかけを聞いて。
「寧ろ俺は、彼等が助け出してきた後の安全な退路を確保できる様に動いた方が良いだろう。此処が『戦場全体』に当てはまるのであれば、尚更のことだ」
 その零からのテレパシーで伝わってきた伝言を受けて。
 頼んだぜ、と陽太が思念を以て返すと同時に……。


「……マルバス!」
 今でも増していく猛毒の霧の更なる濃度に深く顔を歪めながら。
 陽太が懐の強壮なライオンの姿をした悪魔の描かれたデビルカードを空中へと放り投げる。
 放り投げられた悪魔のカードから姿を現した強壮なライオン……マルバスが咆哮と共に空中を覆わせたのは、黄水晶雲。
 その雲が律、響、澪、臨音の怒濤の斬撃を捌く彼女を覆い尽くす様にその体に雲を覆わせて、『大地の力』で強化されたその勢いを弱め。
 同時に降り注ぐ黄水晶の雨が上空から降り注ぐ優しき鈍色の雨と混ざり合う様にして、美雪達の体を蝕む毒を除去していく。
 ――更に。
「紫蘭さんは、私が絶対に死守してみせる! 食らえ、ブリザード・オブ・ルナ!」
 その勇ましき叫びと共に。
 先程放たれたおぞましい雄叫びから紫蘭を守り抜いたフェルが、銀の星を眼前の敵に突きつけた、その瞬間。
 ――轟!
 と戦場全体を覆い尽くさんばかりの蒼白く光り輝く吹雪が吹き荒れ、鈍色の稲妻と紫水晶雲に動きを鈍らされていた彼女の体を凍てつかせていき……同時に。
 ――優しく包み込む様に戦場を照らし出す月光の如き光が、雲の切れ目から差し込んで来た。
「アンタは、罪も無い人々を犠牲にした」
 その差し込む月光の輝きを受け止めて。
 自らの赤銅色の両手剣が、月光を反射し煌めき、その刃先に自らの姿が映し出されるのを見ながら、律が全身に燃え上がる雷炎のオーラを纏ってそれを袈裟に振るう。
 振るわれた律の斬撃を咄嗟にバックステップをしながら硬質状化した右腕の退魔刀の反りで受け流し、その左手からデモノイド寄生体を射出するデモノイドロード。
 射出されたデモノイド寄生体は間隙を縫う様に紫蘭を狙い、その体を蝕もうとするが……。
「紫蘭様と雅人様、お二方には指一本触れさせる訳には参りません! モード・ツィタデレ起動。電磁力出力強化!」
 その音声とほぼ同時に。
 ラムダが自らの前面に高密度防御電磁フィールドを展開。その場から動くことが出来なくなるそれを電磁網の様に展開し、デモノイド寄生体を絡め取り。
(「未だ、包囲殲滅陣でプラチナデモノイド達は召喚されていない……でも、あの咆哮や猛毒は少しでも散らさないと……!」)
 そう思考を纏めた葵桜が猛毒の霧のダメージで、激しく喘いでいた美雪を守る様に神霊体と化しながら、胡蝶楽刀を大地に擦過させ衝撃の波を解き放った。
 自らの寿命を代償にして神霊体と化し、それによって寿命と共に口から零れ落ちる血。
 それによって鈍くなる自らの動きを真の姿を解放することで補いながら 
『!』
 律の攻撃を躱すために作った間隙を埋める様に解き放たれた葵桜の衝撃の波。
 それに応じる様に彼女が恐ろしい憎悪の伴う咆哮と共に展開した果てしなく猛毒の霧でその衝撃を緩和するその間に。
「紫蘭! ボク達に力を貸してね!」
 そうはきはきと言葉を投げつけて。
 上空から側面に回り込む様に滑空したレイヴァがその大きなバストを揺らしながら、双腕を掴みかかる様に振るう。
 振るわれたその怪力女神の双腕ががっちりとデモノイドロードを捉えるその間に。
「紫蘭さん、貴女の身は私達が、何があっても守り抜きます」
 目前で高密度電磁フィールドを展開したラムダの死角を衝く様な轟く咆哮を受け止める様に。
 咄嗟にシルフィードを思わせる翡翠の妖精の結界を張り巡らして美雪と紫蘭を守り抜いた奏がだから……と、言の葉を紡ぐ。
「可能でしたら、桜花の舞で、あの1人で苦しんできた彼女のデモノイド寄生体を少しでも攻撃して、その心を憎悪の楔から少しでも解き放って上げて貰えませんか? 今の貴女になら、もしかしたら……」
 その奏の言葉を地下に向かう途中で聞いていたのであろうか。
 鈍色の雨を降らせ、猛毒の霧に蝕まれる奏達の傷を徐々に癒やしていたネコ吉から、エルゴ達に託された紫蘭の通信機に声が届いた。
「奴は隙あらばデモノイド化を狙ってくるだろう。けれども、寄生体による魂の侵食を食い止めることが出来れば、或いは、これ以上誰かがデモノイド化する事を防ぐことも出来るかも知れない。だから……頼む」
 そのネコ吉の紫蘭の背を後押しする様に告げられた言の葉に首肯して。
「お願い……枯れ果てて疲れていると思うけれど……力を、貸して……!」
 そう祈る様に紫蘭が言の葉を手向けると同時に。
 周囲の枯れ果てた幻朧桜の花弁達がふわりと浮き空を泳ぐ様に舞い。
 それがフェルの吹雪と絡み合う様に踊り、幻朧桜吹雪と化してデモノイドロードの寄生体のみを破壊せんと彼女を襲った。
『その様なもので……!』
 その攻撃に自らの右腕のデモノイド寄生体が僅かに剥がれ落ちるのも構わず、悪魔化した左拳をレイヴァの腹部に叩き付けるデモノイドロード。
 周辺の地形ごと破壊する程の破壊力を持ったその拳を正面から受け止め、周辺地形への被害を抑えながらもレイヴァが喀血し吹っ飛ばされる。
 その勢いこそ衰えているが、その拳が大地に着弾すれば、地下の人々に影響が出るであろう事は一目瞭然。
 ――だから。
「やらせない」
 そう呟いたエルゴが素早くTYPE-GS グレネードラッチから閃光弾を選んで投擲しながら、TYPE-LR.35 オートリニアライフルを連射すると。
 ――かっ!
 と桜吹雪の中で眩く光り輝く月光を浴びた閃光が炸裂し、デモノイドロードの視界を一瞬奪う。
 続いた銃撃が悪魔化した拳を撃ち、拳が大地に着弾する軌道を逸らした瞬間を狙って。
「悪いけれど、|ここ《サクラミラージュ》にはアタシの大事なものが沢山ある。そんな世界でこれ以上、アンタに罪を重ねさせない為にも、止めさせて貰うよ、お嬢さん」
 自らの左手を掲げ、戦場全体を荒ぶる情熱の炎で覆い尽くす様にしながら。
 デモノイドロードの娘に燃え続ける消えない炎を点火させるべく響が肉薄し、ブレイズブルーを突き出していた。
 突き出された青白く燃え盛る炎の名を冠した槍がデモノイドロードの娘の体を貫き、その内側から彼女を消えない炎で焼き。
「隙有りだぜ」
 その消えない炎に焼かれる娘の背中に向けて、陽太が二槍を突き出し、急所を抉らんとする。
 その二槍による攻撃を自らの悪魔化した拳を回してデモノイドロードの娘が受け止めた、正にその時、
「さて、腕を剣に変えた、奇しくも私と同じ構えで……何時までこの波状攻撃に耐えることが出来るかな?」
 そう何処か少しからかう様な調子で言葉を叩き付けながら。
 澪がデモノイド寄生体を寄生させたフォースセイバーを側面から横薙ぎに一閃し、レイヴァを打ち据え、陽太の槍を受け止めた悪魔化した拳を叩き斬らんとするのに。
『ぐうっ……!』
 その目を怒りに満ち満ちさせた娘が応じる様に剥がれかけた自らの硬質状化したデモノイド寄生体を無理矢理繋ぎ止めた退魔刀を振るうと同時に猛毒の霧を放出した直後。
「やらせませんよ」
 これ以上の猛毒の霧の拡大を阻むかの様に。
 フェルの魔法の援護を受けたネリッサが、G19C Gen.5の引金を引いて、デモノイドロードの牽制射撃を行う間隙を拭って。
「ロードよ」
 その言の葉と、共に。
 緋色のクロネコ刺繍入りの結界を張り巡らし、雅人達を守っていた統哉が、暁……懐中時計型の魔導蒸気機械にして、統哉の初めて作成したガジェットから、破魔と浄化……そして大地の力を吸収する能力を搭載したオプションパーツを取り付けた漆黒の大鎌を一閃。
 フェルの呼び出した月光の如き輝きの中で煌めく星彩の様な光彩を曳いた漆黒の大鎌の刃が、氷嵐と幻朧桜の桜吹雪で剥がれ落ちた寄生体部分を一閃し、その卓越した身体能力を僅かに揺るがせたところで。
「貴女は|俺達《猟兵》を憎み、同胞を求める。その根底にあるのは何なんだ?」
 ――その根底には、嘗て仲間を失った悲しみや寂しさがあるのだろうか。
 それとも、他に何か、別の……?
「……人の命を簡単に扱い過ぎって所は、私にも絶対に赦す事が出来ないけれど」
 その統哉の呟きに被せる様に。
 リンリン、と神楽鈴を鳴らしながら胡蝶楽刀を横薙ぎに振るい、衝撃の波を呼び起こしてデモノイドロードの追撃を遮りながら葵桜が問う。
「あなたが如何して、何の想いを抱いてこんな事しているのか。出来ることなら、聞かせて欲しいな」
 その葵桜の静かな問いかけに、応える様に。
『おおおおおおおおおっ!』
 咆哮と共に猛毒の霧を更に深く、深く広げながらデモノイド寄生体を雅人に向けて放出するデモノイドロード。
 そのデモノイド寄生体を払う様に、フェルの月光の如き輝きを照り返させた赤・青・緑の光に彩られた双月の剣を一閃させた朔兎が軽く頭を横に振った。
「きっと、この女の人は他人の悪意に晒されてこんな痛ましい姿になったんだと思う。俺も|人為的《・・・》に作られた皇族だから、それが何となく分かるんだ」
 ――本当は、貴女の傍に誰かがいれば、無辜の人々を犠牲にするまで堕ちる事も無かったのではないだろうか。
 そんな、朔兎の想いと共に振るわれた赤・青・緑の魔力伴う銀閃は、ロードの退魔刀と一体化しているデモノイド寄生体を一閃し、その右腕を傾がせるが。
 けれども彼女はその負傷を斟酌する様子も無く、連続でデモノイド寄生体を解き放つ。
 次に放たれたそれは、朔兎に連携した雅人の死角から、その体をデモノイド寄生体に侵食させようとするかの様だったが……。
「……やらせないわよ」
 ――キラリ、と。
 自らの腕に装備した桜鏡に嵌め込まれた玻璃鏡の鏡面を煌めかせた姫桜が、二槍でデモノイド寄生体を受け止めながらキッ、と強い意志を籠めた眼差しでデモノイドロードの娘を射貫いていた。
「……貴女がやったことに対しては……正直、怒りしかないわ」
 ――例え、そこに統哉や朔兎の言う様な彼女なりの事情があっとしても。
「それでも……実際に行われた事には悪意しか感じられないもの」
 その彼女の怒りを現すかの様に、玻璃鏡の鏡面が激しく波打っている。
 そんな、姫桜の彼女への激情の篭もった言の葉に。
「……そうだね。だから僕も彼女の犯した『罪』を償わせない訳には、行かないんだ」
 姫桜に死角を埋めて貰いながら首肯した雅人が巨大化した退魔刀を一閃。
 巨大化されたその斬撃の刃で、黄水晶の雲と鈍色の稲妻に包み込まれ、撃ち抜かれ、吹雪にその身を凍てつかされ、更に消えない炎に焼かれ続ける彼女を薙ぎ。
「そうですね。例え、どの様な事情があろうとも、他者に『死』の苦しみを与えて良い道理などある筈がありません。それを味わうのは……『我等』だけで十分です」
 そう雅人に首肯しながら、彼が与えたデモノイドロードの瑕疵に向けて。
 義透が対毒武装である邪気祓ノ弓矢から、霹靂の尾を矢羽根に『我等』の想いを籠めて、ひょうと放つ。
 ――『我等』の呪い、思い知れ……人を弄ぶ|業《カルマ》を積んだ、悪しき者よ。
 その想いの籠められた矢に、雅人の作り出した傷跡を射抜かれ。
『癒える事無き』傷跡を刻み込まれた事に気付かぬ儘に、デモノイドロードが咆哮する。
 まるで、戦場全体を襲う恐ろしい咆哮ではあったが……その時には、既に。
「甘い!」
 その咆哮を遮る様に。
 臨音がその咆哮と雅人や姫桜の間に割り込む様に飛び込み、七曜五行ノ力封ジシ護符から木行……風を吹き荒れさせてその咆哮を押し止めようとするのを。
「姫ちゃんの言う通り、私もあなたを赦す事は出来ないし。話もしてくれないのなら、もう後は倒してでも止める。……それだけだね」
 葵桜がリンリン、と鈴を鳴らしながら胡蝶楽刀を擦過させて衝撃波を解き放ち、その咆哮の流れを、勢いを食い止めたところで。
「未だ倒れないならば……倒れる迄、叩き込むまでだよ!」
 フェルが叫び氷嵐に籠める魔力を更に高めようとしたその詠唱の間隙を拭う様に。
「……そうですね。例え、ある意味では僕や朔兎のIFであり、戻れなくなった1人の少女であろうとも」
 ――否、だからこそ。
「……そんな彼女に終わりを告げることこそが、今、僕達に出来る唯一の事でしょうね」
 瞬がフェルの解き放った月光の如き輝きに照らし出された自らの内に秘めた雷光伴う闘気でデモノイドロードの身を射貫き。
「……此処は……馬鹿の1つ覚えの此で行くしかないだろうな」
 そんな少し自嘲めいた響きを伴う呟きと共に。
 黄水晶と鈍色の雨によって漸く気息の整った美雪が、グリモア・ムジカを譜面の様に展開して、粛々とその歌を歌い始める。
 ――温か七色のオーロラ風伴う、諦めない意志を称賛し貫くことを願う歌を。
 その七色のオーロラ風が……。
 ――フェルと紫蘭の桜吹雪を後押しする様に重なり合い、デモノイドロードの娘にとっての猛毒と化して彼女を襲った。


 ――その美雪の歌による後押しを受けた臨音や響、律達の追撃が、デモノイドロードの行方を遮り、更なるダメージを重ねさせているその間に。
 鈍色の雨と優しく差し込む様な月光が如き光にその身を照らし出されたネコ吉が。
「あと少しで辿り着けそうだぞ」
 そう告げるのを聞いて、上空に飛ばした金鵄の視覚を共有して戦況を確認していた星羅が1つ頷く。
「戦場全体を包み込み、私達を蝕み続けている猛毒の霧も、鈍色と黄水晶の雨や、この月光のお陰で、多少侵食が食い止められている様ですね。これでしたら……」
「まあ、完全にって訳じゃ無さそうだけれど……そこはワタシに任せて貰っても大丈夫だよ」
 その星羅の戦況の報告に頷いたクローネがそう笑って請け負うのに笑い返して。
「勿論、ボクの可愛いこの子達にも協力して貰えば、避難は問題ありませんよ、皆さん♪」
 道化の様に肩を竦めてγを除く9体の絡繰り人形を両手の指で操りながらのクラウンの何処か飄々とした調子の台詞を聞いて。
 地下に続く階段1段ずつの幅が大凡人間2~3人分位の広さだった為、一旦分身を解除せざるを得なくなった敬輔が赤と青のヘテロクロミアでクラウンを見る。
 そうやって敬輔が殿を務めているその間に。
「……見えたぞ」
 不意に優しき雨がやみ、月光の如き輝きもまた、煌々と背後の階段を照らし出す様な広場に出たところで、ネコ吉が告げる。
 そのネコ吉の視線の先には、数十人の人々がまるで押しくら饅頭の様に詰め込まれた座敷牢。
 既に人々は憔悴しており、時折、頭上で鳴り響く激しい震動音に震えて身を寄せ合うことしか出来ない様だったが。
「大丈夫、今、助けるよ」
 その時にはさくらえが素早く肉薄し、座敷牢の鉄格子に向けて、涅槃を投擲し、鉄格子を斬り痕を作り上げ。
「此処だな」
 同時に敬輔が素早く10体の分身を再出現させてさくらえによって切れ目の出来た鉄格子を力任せにねじ曲げて破壊したところに。
「よし、直ぐに行きますよ、皆さん♪」
 そう何処か道化の様に笑ったクラウンが素早く9体の絡繰り人形達を数十人の人達の所に移動させて、次々に彼等を抱えさせる。
 とは言え、如何に人の収容も可能なカバン型移動工房と謂えども、流石に数十人全員を全員収容するのは難しい。
 一先ず半分程をその中にクラウンが収容させたのを見てとって、敬輔が再び召喚した分身が収容できなかった人々を次々に担ぎ上げていく。
「あ、貴方、達は……?」
 そうして敬輔の分身に担ぎ上げられた内の1人が震えながら問いかけてくるそれに。
「大丈夫です。私達は超弩級戦力です。皆様が無事である可能性を信じて、此処に助けに参りました」
「何はともあれ、今は俺達を信じてくれ。こんな牢屋の中に纏めて押し込められていたんだ。衰弱も酷いだろう」
 そう星羅とネコ吉が宥める様に言の葉を紡ぐと、分かりました、と言う様に震えた様子で敬輔の分身に担ぎ上げられた青年が首肯した。
 けれども、戻ろうとしたその先には……深き猛毒の霧。
「……まあ、それが分かっていたからこそ、ワタシも此を用意してきた甲斐があったよね」
 そう笑ってクローネが言の葉を紡ぐと同時に。
 クローネが自らのネクロオーブをそっと撫でた……その瞬間。
 ――猛毒の霧を剛に対する柔の如く制する様な黒光が、クローネ達の周囲を覆った。
 解き放たれたその光……クローネ独自に開発した『心身広域回復術』の光を受けて、敬輔達の分身に抱えられていた生き残りの人々の身が回復する。
 同時にさくらえが想鏡――己が深淵映す玻璃色の鏡から玻璃色の結界を展開し。
「僕の後ろから皆、出ないで。此で一気にあの猛毒の霧を駆け抜ける」
 ――此処まで勢いが衰えている猛毒の霧であれば、たった今、活力を回復された人々や、猛毒の霧で蝕まれていたクラウンのからくり人形達も守り抜くことが出来るだろう。
 そうさくらえが判断して首肯しつつ言葉を紡ぐのに、分かりました、と星羅が同意するのを見て。
「とは言え、狭いから気を付けないと行けないな」
 さくらえの後ろに列になって避難すること……彼の後方136m以内から脱さない様、気を付けないと行けないことを喚起した敬輔のその言葉に。
「大丈夫です。あのデモノイドロードは……お養父様達が、引きつけて下さっていますから」
 その戦況を上空から見守る金鵄の目で確認し、複雑な表情を浮かべた朔兎達の様子を見てその瞳に微かな悲しみを称えながらの星羅のそれに。
「急ぎましょう。あまり此処に長く居ても、ボクの鞄に収容した人々の衰弱も酷くなる一方でしょうしね」
 そうクラウンが微かに道化の笑いを浮かべて告げるのに首肯して、今度はさくらえを先頭に下ってきた階段を、人々を抱えて上り始めた。
 ――まるで、今、自分達が脱出しようとしているその場所が、何かによってぐにゃりと掻き乱され始めたかの様な、そんな錯覚を覚えながら。
 


「……くっ。流石に簡単に完全にエネルギーの供給を遮断することは出来ませんか」
 星羅の金鵄の視覚に捉えられていたのは、それまで左手で魔法陣を描いて詠唱を続けながら、龍穴に流れてくる龍脈のエネルギーを乱しに掛かっていたウィリアム。
 この戦場に入り、最初に一太刀を牽制も兼ねて放った後、ウィリアムは深い猛毒の霧を、水色のオーラ防御と毒環境に適応することで堪えつつ、この地の龍穴に干渉せんと逆手に構えた『スプラッシュ』を大地に突き立てていた。
 自らの『竜脈使い』の能力で、デモノイドロードへの龍穴からのエネルギー供給の遮断……その妨害を試みながらの詠唱は、如何しても完成に時間が掛かってしまう。
(「ですが、幸いにも今回は……」)
 そうウィリアムが内心で呟いたその先では。
「さあて、統哉達に剥離された君の刀は、何処まで私に通用するかな?」
 そう何処か面白がる様な口調で、猛毒の霧を黄水晶と鈍色の雨に加えて吹き始めた七色のオーロラ風に傷を癒やされながら、澪がからかう様に問いかけていた。
 その澪の攻撃を硬質化した退魔刀で我武者羅に引き裂かんとしたデモノイドロードが、己が刀を振るうが。
「そのエネルギー源は大地の力。けれども、ウィリアム達の干渉が聞き始めた今なら、今まで以上に対応できる」
 そう告げた統哉が対『デモノイド』に特化された補助ガジェットを装備した『宵』を唐竹割りに振るう。
 振るわれたフェルの月光の煌めきを吸収した星彩の軌跡伴う刃が彼女のデモノイド寄生体の部分を斬り裂き、其所を更に剥離させたところに。
「未だ未だ! 此処で畳かけないで、紫蘭さん達を死守しきれなんてしないんだから!」
 そう雄叫びを上げて、【銀の星】の杖先を空中に突きつけて満月の様に方陣を描き出すフェル。
 描き出されたそこから美雪のオーロラ風によってブーストされた蒼白く輝く吹雪の嵐が吹き荒れて、デモノイドロードから確実に体温を奪っているところに。
「やぁ!」
 気合い一声、風雷の戦靴で大地を疾駆する様に蹴って跳躍し、蒼銀の刀身が月光に照らし出されて妖艶な美を感じさせる輝きを放ち。
 そこから風と吹雪が綯い交ぜになった氷風が吹き荒れ、紫蘭の呼び出した幻朧桜の花弁を吹き上げて再び桜吹雪の驟雨を叩き付けていく。
 吹雪と共に矢の様に放たれた幻朧桜の花弁の矢に射貫かれ、デモノイドロードがぐらり、と傾ぎながらもその手の刀からデモノイド寄生体を解き放とうとしたその時だった。
「……さて、そろそろだね」
 そう自分にだけ聞こえる様な声量で。
 愉快そうにポツリと呟いた澪が、己が体の一部……デモノイド寄生体と化している、フォースセイバーと化した右腕を爆発させたのは。
 突然目前で起きた爆発に彼女が一瞬動揺する様に息を飲んだ、その瞬間を狙って。
「これでは即席のトーチカでございますね。まあ、お二方様をお守りするためでございますれば、躊躇う理由も一切ございませんが!」
 その突然の澪の爆発に憎悪に満ちた驚愕を叩き付けてくるデモノイドロードに向けて、ラムダがMkⅦ スマッシャーから無数の銃弾をばらまいている。
(「本当はミサイルと120mカノン砲で一気に押し切ってしまった方が良いのでございましょうが……その衝撃で地下に居るであろう皆様に被害が出てしまいましては、本末転倒でございますし……」)
 その無数の銃弾を澪の爆発の衝撃から立ち直れぬデモノイドロードがそれでも悪魔化した手で受け止め、叩き返す様に振り下ろそうとするが。
 ――シュー……シュー……。
 不意に鼻がひん曲がりそうな程の異臭が、彼女の体から漏れ始めた。
 その匂いに僅かに顔を顰めて姫桜が彼女を見遣れば、その体がドロドロと溶け始めて腐敗していくデモノイドロードの姿が。
 そんなデモノイドロードに向けて。
「……この一撃、防ぎきれるか?」
 熟練の歩法で肉薄した臨音が静かに囁きかける様な声音で、己が、水晶の刀身持つ大太刀を振り上げながら囁きかける。
 ――その胸中の奥に、闇の中で糸を引く悪鬼への怒りを滾らせながら。
 その臨音の胸中で滾り燃え上がるそれを、湧き上がる浄化の水へと変えて。
 今にも振り下ろさんとする臨音の様子を見ながら。
「同じデモノイド、強酸はどんな装甲でも腐食させるとは言え、対して効かないだろうが……それでも、此処に立て続けに来る攻撃は堪えるだろう?」
 そう何処か愉快そうに笑う澪の言葉に応じる様に。
「……此処ですね」
 黄水晶と鈍色の雨と七色のオーロラ風に自らの体を癒やされた美月が跳躍しながら、『繊月』と『司霊』……白銀と漆黒の刀身持つ刀を唐竹割りに空中から振り下ろし。
「まぁ、てめぇが防ぎきる保証は……一切出来ないけれどな!」
 その美月の『繊月』に合わせる様に臨音が大上段に構えていた大太刀……火神ノ社ノ御神刀を袈裟に振るう。
 浄化の水に満たされた水晶の刀身による袈裟の斬撃が、美月の白閃の如き袈裟の刃と重なり合い、その右肩から左脇腹を大きく斬り裂き。
 続けて、美月が振るった黒き刀身持つ刃の逆袈裟に合わせる様に。
「例え、アンタが犠牲者だと分かっていても! だからこそこれ以上、アンタに犠牲を出させる訳には行かないんだよ!」
 その咆哮と共に、燃え上がる雷炎のオーラ纏った律が赤銅の両手剣を逆袈裟に空中から振り抜いていた。
 振り下ろされた美月と律の逆袈裟の斬撃が、デモノイドロードの左肩から脇腹に掛けてを斬り裂き、先に臨音と共に付けた深き右肩の傷と同時に、ぱっ、と血飛沫をその場に舞い散らさせるデモノイドロード。
『ぐっ……!』
 呻きながらウィリアムによって乱されている竜脈に干渉し、その大地の力を吸い上げて強化という名の回復を行おうとするが……そこで漸く、彼女は気が付いた。
 ――先程、義透の射った矢に雅人に付けられた傷を射貫かれてから、己が体の再生が出来なくなっているその事実に。
『何……っ?!』
 その、思わぬ不運に見舞われて思わず気が動転したか彼女が呻きを上げた時だった。
「……すまない、陽太。少しばかり連絡が遅れた」
 そう陽太に零からテレパシーが届いたのは。
「……零、どうだ?」
 その零からのテレパシーを受け取りながら、背後からデモノイドロードを貫く陽太。
 けれどもその翡翠色の瞳は、デモノイドロードやそれと正面から向き合う姫桜達……そして更に、その先の。
 次のデモノイドの材料として地下に囚われていた人々と共に、最初にデモノイドロードが向かおうとしていた階段から現れたさくらえ達の姿を認めている。
 デモノイドロードの背後を取っている陽太が気が付ける事に、気が付けぬ道理は無く。
 気が付けばかなりの距離を離されていたと言うその事実に漸く至ったデモノイドロードがそんなさくらえ達を逃がさないとばかりに猛毒の霧と同時に咆哮を轟かそうとした……その時。
「……Liberate……Disaster!!」
 漸く周囲の精霊達の収束が臨界点に達したウィリアムが、その術を完成させる詠唱を完成させた。
「その咆哮も、貴女自身も、纏めて吹き飛んで下さい!」
 そのウィリアムの雄叫びと共に解き放たれたのは、極寒の氷の竜巻。
 フェルの月光の如き煌めきの援護を受けて更に巨大化したほぼ北極の氷塊にも等しい巨大な氷の塊を纏った竜巻が、彼女とその咆哮を纏めて吹き飛ばす。
『ぐ……あっ……!』
 思わぬ暴風雪に飲み込まれたデモノイドロードの彼女が風に巻かれた紙の様に容易に空中へと吹き飛ばされ、身動きが取れなくなったその間に。
「急げ! もうすぐだ!」
 そう叫んだ敬輔がさくらえと前後を入れ替わる様に一番前に立つ様にして走り出し。
 その後ろを鞄工房を抱えたクラウンと人形達にクローネ、そして星羅が追っていく。
 万が一に備えて後背からの追撃に備えて殿を務める様に玻璃色の結界を張り巡らしたさくらえの黒スーツと血塗られた両手が一瞬だが姫桜の目の端に止まり、姫桜は思わず息を飲んだ。
(「ちょっ……無茶していないと良いと思っていたのに、パパ……何て無茶を……!」)
「姫桜さん!」
 そんな姫桜の驚愕に気が付いたのか。
 咄嗟に雅人が姫桜に呼びかけ、はっ、と一瞬の動揺から立ち直った姫桜の脇を、完全に制御しきれなかった災厄の嵐に飲み込まれたデモノイドロードが擦り抜け、尚、さくらえ達に向けて己がデモノイド寄生体を付与させるべく、自らの退魔刀から衝撃の波を放とうとした……その時だった。
「……ずっとこの機会を待っていたのですよ。私も、セールイ11も」
 それまでG19C Gen.5による援護射撃に徹していたネリッサの合図の様な|符牒《ラジオコール》を、小型情報端末MPDA・MkⅢに向けて発したのは。
 ――刹那。
「やれやれ……随分待たされたが……まっ、これも|狙撃手《スナイパー》の鉄則だ。そんな訳で……|Начать съемку《射撃開始》だぜ」
 ――カチリ、と引金を引くと同時に。
 陽太のガヴェインや星羅の金鵄からは捕捉されていた者の、常に響や律、臨音達が貼り付いていた為、デモノイドロードの死角と化していたその場所から。
 ――ズドォォォォォォォォォォォォーン!
 轟音と共に一発の弾丸が撃ち出され、それがデモノイドロードの右足を撃ち抜いた。
『がぁっ……?!』
 その狙撃手……ミハイルの狙いに狙い続けていた必殺の一撃に撃ち抜かれた彼女がその場にドサリと転倒したその瞬間に、鈍色の雨と鈍色の稲妻が止んで。
「此方、ネコ吉。……無事に人々を|戦場外《・・・》に離脱させた」
 そうネコ吉が通信を入れた向こう側では。
 ――クラウンの工房型移動鞄に収納されていた人々がその場から出され、更にクローネが『心身広域回復術』で逃げ出した人々の傷を癒やすのを星羅がサポートして人々を回復させ。
 加えて、零が万が一のデモノイドの伏兵に備えて周囲の警戒を続け。
 最後に敬輔が帝都桜學府にサバイバル仕様スマートフォンで連絡を取り、事情を知る竜胆が派遣してきた帝都桜學府の學徒兵達によって、無事に癒やされた戦場外に逃がされた人々を保護搬送する光景が繰り広げられていた。


『くっ……猟兵共が……っ!』
 既に自分の猛毒の霧が届かない戦場外に迄、ネコ吉達によってデモノイド寄生体を植え付ける為の材料に逃げられてしまった事を悟り。
 氷嵐と桜吹雪に押し込まれる様にしながらも、尚、ネコ吉達に追い縋るべく彼女が其方へと向かおうと、左足のみで跳躍しようとするのに気が付き。
「逃がしはしませんよ」 
 そう小さく呟くと同時に。
 ピン、と懐にあった小さな結界石をネリッサが指で弾いて放物線を描いてデモノイドロードに向かって密着させようとし。
「ええ、そうですね。此処で貴女にマックローネさん達の追撃をさせるわけには行きません。……そもそも、雅人さんも、紫蘭さんも未だ、この辺りにいるのですよ」
 その言の葉と、共に。
 パチン、と灯璃が指を鳴らした瞬間、不意に戦場に現れたのは、全ての光を飲む闇黒の森の様な濃霧。
『何……?!』
 突然、自らの周囲を包み込む様に湧き上がった漆黒の霧に咄嗟に背後を振り返ったその時には。
「そこだああああああーっ!」
 肉感的なボディを激しく揺らしたレイヴァが、|自身《怪力女神》の双腕を振り回しながらその周囲の空間を断ちきる様に拳を振り回す。
 瞬間、振り回された拳によって連続でデモノイドロードの周囲の次元が断裂し、その位相空間を歪められ……更に。
 ――ヲヲヲヲヲヲーン!
 その周囲を包み込んでいた漆黒の霧がまるで嘶くかの様にざわめくと同時に四方八方から光すらも食らい尽くす様狼の様な影の群れが次々に彼女の全身に食らい付き。
 更にその背中にネリッサが貼り付けた結界石が割れて、そこから忌まわしくも不気味な猟犬が姿を現し、その背中から残された左足を纏めて喰らい尽くした。
『がっ……!』
 思わぬ攻撃にその場に転倒し、その場に崩れ落ちるデモノイドロード。
 それでも龍穴から自らの体に大地の力を吸収し、自らの回復を行おうとするが、自らの体が一向に回復する気配が無い。
 ――それどころか。
「全く……無茶な事してなければいいって思っていた所に、あんな姿になってまで人々を助けるなんて……何て無茶を! こうなったら、絶対に後でお説教してやるんだからっ!」
 そんな様々な感情が綯い交ぜになった叫びを自らの不屈の覚悟に籠めて叫ぶ姫桜。
 その叫びと共に数多の白燐蟲からなる閃光が迸り……。
「まあ、私のお膳立ては終わった。此処から先は偉大なる先達の皆さんにお任せするとしようか。『勝てば官軍』なんて言葉もあるしね?」
 そう自ら破損した部位を見せつけて。
 笑う澪の言の葉に押される様に。
「まあ、ワタシも此処に来て長いという訳では無いが……この様な好機を逃してやる謂われは無いからな」
 そう微苦笑を綻ばせたエルゴがTYPE-LR.35 オートリニアライフルにHV-DRS超高速高貫徹弾を装填し、その引金を引いた。
 その名の通り超高速で放たれた弾丸が、レイヴァの空間断裂とネリッサ、灯璃のユーベルコードによって完全に態勢を崩したデモノイドロードの寄生体の中央……心臓部を穿ち、貫く。
 同時に圧縮微粒子結晶弾頭の頭部の後部が連鎖的な爆発を起こして粒子の奔流を起こしその全身を侵食する様に深い傷を負わせたその直後。
「……御免な。嘗て貴女がデモノイド化した魂達の様に、デモノイド部分だけを破壊して、貴女を救う事が出来なくて」
 その言の葉と、共に。
 星彩の線を曳きながら解き放たれた統哉の『宵闇』の一撃が、フェルの月光の如き煌めきの反射を受けて眩い光輝と化してデモノイドロードを斬り裂き。
「だからこそ……この太刀で、その憎悪と悪意の鎖を切り払ってやる」
 ――だから。
 その決意と共に、臨音が浄化の水を湧き出す水晶の刀身持つ、自らの本体……火神ノ社ノ御神刀を再び大上段に構え。
「お前が本来帰るべき場所へ、還れ、デモノイドロード」
 その確かな祈りと共に、再びその水晶の刀身の大太刀を……斬撃を防ぐ装備や能力の全てを無効化し、威力を増大する強烈な袈裟の一撃を振るう臨音。
 義透によって消えない傷痕を刻み込まれたその体では、到底耐えることの出来ないその一撃に自らの身を穿たれ、グラリとその身を彼女が傾がせたところに。
「此でこの事件の被害者は最後にさせて貰う! いけっ!」
 フェルが雄叫びと共に、自らの銀の星を突き出し、その先端から無数の氷塊を纏った吹雪を吹き荒れさせて、デモノイドロードの身を凍てつかせたところに。
「大人しく骸の海へ還れ……デモノイドロード!」
 ウィリアムがすかさず滑り込む様に肉薄して『スプラッシュ』を振り抜き、既に動けなくなりながらも尚、反撃せんとする彼女の脇腹から肩に掛けてを斬り裂き。
「……包囲殲滅陣を使う余裕は無かったか。……まあ、あれは時間が掛かり過ぎるからな。だから……眠れ」
 そのウィリアムの背を飛び越す様に姿を現した美月が、『繊月』と『司霊』をX字型に振り下ろす。
 放たれた斬撃に最早抵抗する体力も余力も無く。
 斬られるが儘に斬られて宙を舞うデモノイドロードを。
「雅人。臨音の言うとおり、最期位は……」
「あいつにこれ以上の地獄を味合わせない為にも……頼むぜ、雅人」
 その統哉と律の言葉に籠められた想いを受けて、雅人が1つ首を縦に振りながら。
「……眠れ」
 姫桜の閃光にその背を後押しされる様に肉薄した雅人が、巨大化した刀を小ぶりに戻すと同時に、波の如き衝撃を大地へと叩き付ける。
 それは……『邪心』のみを断ち斬る閃の刃。
 美雪のオーロラ風とフェルの月光の如き輝きに導かれる様に放たれた閃は、デモノイドロードを斬り裂き。
「此処までだな。これ以上、アタシ達はアンタに罪を犯させはしないよ……お嬢さん」
 その身を消えない炎に焼かれ続けていたデモノイドロードに向けて、響がそう手向けの言葉を贈るのに頷いて。
「僕は此処で今を生きる者達の幸せを守ります。だから……あなたはもう、お休みなさい」
 そう瞬が告げて、月虹の杖から解き放った秘められた闘気の雷光に撃ち抜かれ。
 ――デモノイドロードたる彼女は、邪心も、何もかもを焼き尽くされ、浄化され……その身を浄化させたのだった。


「……歌い続けている間に終わったか」
 やれやれ、と言うべきか、それとも、とでも言うべきか。
 歌い終わってグリモア・ムジカを片付けながら、誰に共無くそっと嘆息する美雪の言の葉に、そうだな、と陽太が苦笑を零す。
「マルバスに頑張って貰った方が案外もっと上手くいったかも知れない。……と言うか、さくらえだったか? あいつの読み……恐ろしく正しかったな」
 零から既に避難民達の救護活動と保護が無事に終わり、現在は星羅やクローネのお陰で回復しているという話を回して貰った陽太が何とも言えない表情で苦笑を零す。
(「此は……今からモフモフさん達を送って、何処まで役に立つのだろうか……?」)
 何となくそんなことを美雪が考えているその間に。
「? ねぇ、此、何だろうっ!?」 
 そうレイヴァが自分達に呼びかけてくるのに気が付き、澪や灯璃が其方に近づきレイヴァが見せたそれを見て。
「……朱雀門学園の学生手帳?」
 そう思わず澪が誰に共無く呟くのに、灯璃がえっ? と怪訝そうな声を上げる。
「……勝沼さん、その朱雀門学園とやらの手帳を見たことがあるのですか?」
 その灯璃の問いかけに。
「……データアーカイブ検索終了致しました。どうやら武蔵坂学園の情報網にも記録されている|異世界《サイキックハーツ》に嘗て存在していた|異世界《サイキックハーツ》のヴァンパイアの学園のことの様でございますね。詳しくは、きちんと精査してみないと分からない話でございますが」
 そうラムダが灯璃から転送されてきた朱雀門学園の手帳をアーカイブに検索を掛けた結果出してきた情報を聞いて、美雪が思わず嘆息を零す。
「……あー、まあ、一応|この世界《サクラミラージュ》にもそんな名前の名家があった様な気がするんだが……私のキノセイデスカネー?」
 その美雪の何処となく棒読み口調のそれを聞いて。
「……確かに、朱雀門学園と言う名の学園が|異世界《サイキックハーツ》に存在していたと言う話は、私も1の姉から聞いたことがあります。恐らく、偶然の一致ではないのでしょうね」
 そう義透が共有された情報を元にそう言葉を紡ぐのに、じゃあ、と澪が苦笑を零す。
「彼女は|あっち《サイキックハーツ》では、これ以上のことはどうしようも出来ないから後進してきたってところかな?」
 その澪の言の葉に。
「……元々、デモノイド達を授けたのはカルロス・グリードという噂もあります。……もしかしたら、彼女もまた、コンキスタドールだったのかも知れませんね」
 そうネリッサが確信を持てぬ儘に呟くそれに。

 ――応えられる者は、この場には誰も居なかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年08月31日


挿絵イラスト