ヤクザ・ドラッグ・ファーマシー
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイバーザナドゥのメガコーポ『クワハラ・ファーマシー』が運営する、ドラッグ製造工場の所在を特定しました」
サイバーザナドゥでは「骸の海」を生物に投与することで人為的に発生させられたオブリビオンが、メガコーポの尖兵として使役されているのは知っての通り。そして、しばしばメガコーポは「骸の海を多量に混入させたドラッグ」を市井にばら撒いて一般人をオブリビオン化させ、配下に変えている。
「問題のドラッグ製造工場は、クワハラ・ファーマシー傘下のヤクザ事務所にあります。この事務所の地下に工場が存在し、ヤクザたちは工場の守備及び生産されたドラッグの流通を担当しているようです」
ドラッグを扱うヤクザ売人はメガコーポ傘下の中でも末端に過ぎず、こいつらをどうこうしたところでメガコーポはまた新たな売人を調達し、オブリビオンの生産を何事もなく続けてしまうが――工場に直接乗り込み、これを破壊することができれば、危険ドラッグの供給を一時的にでも低下させることができるかもしれない。
「すぐにでも工場を叩きたいところですが、ヤクザ事務所の周辺はかつてヤクザたちの抗争が行われた場所で、簡単に近づくことはできません」
サイボーグヤクザたちの残骸がまばらに残るビル群の谷間には、抗争の際に仕掛けられた地雷やブービートラップがまだ残っている。土地勘のある者でも迂闊に通れない危険地帯だが、ドラッグ製造工場を守るヤクザ事務所にとっては好立地だったわけだ。
「さらに事務所にいるヤクザはクワハラ・ファーマシーの実験を受け、オブリビオンに改造されています」
違法薬物の大量投与により、理性と引き換えに力を手に入れた『サイバネティック・ベルセルカー』は、死を厭わぬ狂戦士と化して外敵を排除せんとする。彼らを全滅させなければ、地下にあるドラッグ工場への突入経路は開けないだろう。
「そして地下の工場には、より強力なオブリビオンが守衛として配置されています」
名前も過去も明らかにされていないが、クワハラ・ファーマシーに所属する冷酷かつ残虐なサイコブレイカーの戦士として知られる「彼」は、地上の事務所にいるヤクザサイボーグなどよりも高性能な改造と薬物投与を施されている。
「加えて、この工場で生産されているドラッグには、骸の海による深刻な汚染と引き換えに、爆発的な肉体強化を得られる作用があるようです」
戦闘になれば敵オブリビオン『名もなきベルセルカー』はこのドラッグを服用して襲いかかってくる。強烈な狂気の副作用に見舞われながらも、理性なき怪物と化したオブリビオンの異常な戦闘力に対抗するのは一筋縄ではいかない。
「場合によっては、こちらも敵と同様、ドラッグの力に頼らざるを得ないかもしれません」
骸の海による汚染は猟兵の心身も容赦なく蝕むが、敵と同じように戦闘能力をブーストできる。使っても使わなくてもリスクはあるため、最終的な判断は各自に委ねられる。ドラッグに頼らず、自分の力を信じて戦うのも一つの選択だろう。
「簡単な依頼ではありませんが、危険なドラッグの拡散を少しでも防止するために、皆様の力をお貸しください」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、サイバーザナドゥのビル群へと猟兵たちを送り出す。
生物をオブリビオン化させる骸の海を混入したドラッグ。メガコーポとヤクザの邪悪なシノギを叩き潰すために。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオはサイバーザナドゥにて、メガコーポが所有する『骸の海を混入したドラッグ』の製造工場を破壊する依頼です。
1章は製造工場のあるヤクザ事務所に向かうシーンです。
事務所のある区画のビル群には、かつてのヤクザ抗争で使われた地雷やブービートラップが残っているので、注意して進んでください。
2章は事務所にいる『サイバネティック・ベルセルカー』との戦闘です。
大量の違法薬物を投与されて狂戦士化した、危険なサイボーグヤクザ集団です。こいつらを全て蹴散らさなければ先に進むことはできません。
3章は地下のドラッグ製造工場を守る『名もなきベルセルカー』とのボス戦です。
メガコーポの技術と薬物で強化されたスペックに加え、工場のドラッグで戦闘力をブーストして襲いかかってきます。
こちらも同様にドラッグを服用して強化を得られますが、骸の海に心身を汚染される副作用もあるので、使用するかどうかは各自でご判断ください。
全てのオブリビオンを倒し、ドラッグ製造工場を破壊すれば依頼は成功です。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『ビル群の谷間に残るもの』
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POW : 罠の有りそうな場所を破壊して安全圏を作りながら突き進む
SPD : 罠が作動する前に抜ければいいのだ。全速力で駆け抜ける
WIZ : 罠の位置を予測、避けて進む
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フェル・オオヤマ
・心境
違法ドラッグもヤクザもメガコーポも須く滅ぶべし慈悲は無い インガオホー でござる!
・追跡
黒いケルベロスコートを着用しマインドリングを装備して…と。
ビル群の隙間を縫うように翼飛行で飛びながら駆け抜けるよ!
ビルの谷間に罠があるならマインドソードですれ違いざまに切り伏せる!
余裕があるなら他の人が追跡しやすいように地上にある罠を見つけ次第マインドリングからチャクラムを形成して投げて壊すよ!
他キャラとの連携・アドリブ歓迎
「違法ドラッグもヤクザもメガコーポも須く滅ぶべし慈悲は無い インガオホー でござる!」
非道な悪事に加担する者たちに対して、フェル・オオヤマ(氷焔操る紅の竜姫士・f40802)は容赦がない。骸の海を混入させたドラッグをばら撒いて、人為的にオブリビオンを増やそうなんて、とんでもない暴挙だ。断固見逃す訳にはいかないと、気炎を発しつつヤクザ事務所に向かう。
「これを装備して……と。これより追跡及び踏破を開始する!」
黒いケルベロスコートを着用し、マインドリング「Infinity Fantasista」を着けて、準備は万端。ドラゴニアンの証たる竜の翼を羽ばたかせ、そびえ立つビル群の隙間を縫うように飛ぶ。このまま一気に駆け抜けられれば良いが、そう上手くいかないのは承知の上だ。
「罠発見でござる!」
かつてのヤクザ抗争の折、ビルの谷間に仕掛けられたブービートラップの数々。それらを見つけたフェルはマインドリングから光の剣を具現化し、すれ違いざまに切り伏せる。破壊の際に暴発したトラップが牙を剥くが、彼女の身体にはかすり傷すらない。
「ぬるいよ!」
【我竜・追跡尾行/踏破蹂躙】を発動中のフェルは狙った標的――今回なら事務所のヤクザを倒すか、マインドリングを手放すまで不死となる。対サイボーグを想定していても所詮は対人用のトラップで、彼女を仕留めるのは不可能だ。
「ついでに掃除でもしていこうかな!」
この調子なら事務所到着まで余裕がありそうだと判断したフェルは、地上にある罠を見つけ次第壊していく。ビルとビルの間に張られたワイヤー、道路に設置された地雷、どれもマインドリングから形成したチャクラムを投げつければ真っ二つだ。
「これで他の人たちが追跡しやすくなったね」
空を飛べる自分は地上の罠は無視できるが、他の猟兵たちが全員そうとは限らない。露払いに努める少女の腕に輝くリングは、無限の可能性と希望を宿すという。その伝承に違わぬ働きぶりで、彼女は仲間たちの道を切り開いていく。
「よしっ! ヤクザにメガコーポよ 首を洗って待っているでござる!」
罠の破壊を確認したフェルは満足そうに微笑んで、飛行スピードを上げる。風にはためくコートは
地獄の番犬の証――異世界に渡ってから違う環境で戸惑うことも多かったが、故郷と培った経験と技術は通用し、為すべき使命もはっきりしている。だったら迷うことは何も無いと、竜姫士の自宅警備員は新たなる戦いに赴くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
さて、どんな美味しい話が待ってるかな。
サイボーグヤクザたちの残骸が残る道をどうどうと歩いていくよ。
周りを探知して、トラップを無害な花びらに変えながらね。
この人たちにもきっと、美味しい話があったんだろうな。それは惜しいや。この花びらは彼らの手向けってところかな。
「さて、どんな美味しい話が待ってるかな」
好奇心の赴くままに様々な世界を旅し、物語のクライマックスに立ち会い、それを食べるのがアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)の日常だ。ヤクザやドラッグなど物々しい単語が並ぶストーリーでも、好き嫌いはないタイプである。
「ここを通っていくんだね」
サイボーグヤクザたちの残骸が残る道を、彼女は堂々と歩いていく。ここはかつて大規模なヤクザ抗争があった区画であり、散らばっているのは当時の犠牲者だろう。言わば死体が野ざらしになっているのに等しい状況が放置されているのは、今だにここが危険地帯であることを示している――それなのに、まったく怖気づく風もなく。
「うん。そこら中トラップだらけだね」
情報妖精であるアリスの探知スキルは、ビル群に仕掛けられた無数の罠を検出していた。地形やワイヤーを利用したブービートラップに対サイボーグ地雷など、ヘタすれば猟兵にとっても危険なものが目白押しだ。かつての抗争の負の遺産が、現在のヤクザ事務所とドラッグ製造工場を守っているわけである。
「でも、ぼくにかかれば、この通りだよ」
アリスは【類推的手法による物質変換】を発動して、見つけたトラップを無害な花びらに変えながら歩く。無機物の情報を分解して再構成する、彼女が得意とするユーベルコードのひとつだ。電脳ゴーグルで周りを見回しながらぽんと手を叩くだけで、ねずみ色のビル群に場違いなほど鮮やかな花吹雪が舞う。
「この人たちにもきっと、美味しい話があったんだろうな。それは惜しいや」
トラップの無力化を進めるかたわら、アリスはふとサイボーグの残骸に視線を落とす。ヤクザとはいえ彼らにも人生があり、それぞれの戦う理由があった。どんなドラマであれ味わうことなく終わってしまった物語を、彼女は惜しむ。
「この花びらは彼らの手向けってところかな」
はらはらと舞い散る花びらが残骸の上に降り積もり、そっと覆い隠すのを見届けてから、アリスは事務所に向かう。
この場所での物語はすでにエンディングを迎えている。だが新しい物語はこれから始まるのだ。メガコーポとヤクザと猟兵による、壮絶な戦いのドラマが――。
大成功
🔵🔵🔵
山崎・圭一
久しぶりのサイバーザナドゥ来ちゃったよ
2年ぶりか?
以前助けたレジスタンスとその妻子のために
一役買ってやるとするか
目的地の事務所までは
ベアトリスに乗って移動
罠ってなァ地雷だけじゃねーよなァ…
カメラに【魔力供給】してこの一帯をいざ念写【撮影】
さーて撮れてるかな?“罠を設置した時の瞬間”をよ!
念写した写真画像を頼りに罠を回避してこう
トンボの機動力舐めんじゃねーっての
目的地付近まで来たらベアトリスから降り立つぞ
一応俺の降下先に【呪殺弾】放って安全確保しとくぜ
そんで事務所に入る前に煙草を一本
機械化義体に換装しなくても良い世界――
あのレジスタンスはそう言ってたな…
よしッやりますか!
「久しぶりのサイバーザナドゥ来ちゃったよ。2年ぶりか?」
山崎・圭一(学ランおじさん・f35364)が訪れなかった間も世界は相変わらず灰色で、メガコーポによる不正と悪徳が蔓延っている。そんな現状を見れば溜め息をつきたくもなるが、この過酷な現実に抗い、懸命に生き続ける者たちがいるのも確かだ。
「以前助けたレジスタンスとその妻子のために、一役買ってやるとするか」
骸の海を混入したドラッグがストリートに拡散され、オブリビオンの発生数が増加すれば、かつて縁を結んだ人々も無関係では済まないだろう。元凶の根を断つために彼は騎乗用トンボ白燐蟲「ベアトリス」に乗って、製造工場のあるヤクザ事務所に向かう。
「罠ってなァ地雷だけじゃねーよなァ……」
目的地までの道中はかつてヤクザの抗争があった地区であり、当時設置された罠が今も撤去されぬまま残っている。
白燐蟲に乗っていれば地面のトラップはスルーできるが、それだけで安全に抜けられるとは思ってはいない。圭一はショルダーバッグから使い古された一眼レフカメラを取り出すと、魔力を供給しながらファインダーを覗き込む。
「さーて撮れてるかな? "罠を設置した時の瞬間"をよ!」
仕事道具と撮影者の能力を合わせた念写が、この地に眠る過去の残留思念をフィルムに焼き付ける。現像された写真にはこの一帯に仕掛けられた罠がバッチリ映し出されていた。後はこの画像を頼りにして、罠を回避していくだけだ。
「トンボの機動力舐めんじゃねーっての」
ただの飛行機や鳥類にはできない機動で、トラップの張り巡らされたビル群の谷間をすり抜けていく圭一。念写で得た情報に間違いはなかったらしく、難なく目的地付近まで来た彼は、念のために手から呪殺弾を放ち、降下先の安全を確保してから降り立つ。
「ありがとよ」
ここまで送ってくれたベアトリスに礼を言ってから、ポケットに手を突っ込み煙草を取り出す。合法阿片を葉と一緒に混ぜた代物で、彼の必需品にして日常の一部だ。ヤクザ事務所に入る前に一本火をつけて、少しだけ物思いに耽る。
「機械化義体に換装しなくても良い世界――あのレジスタンスはそう言ってたな……」
この世界が今のような有様になったのも、骸の海による深刻な汚染が原因だ。どうすればそれを取り除き、人類が生身でも生きられる世界を取り戻せるか、糸口はまだ掴めないのが現状。しかし、これ以上の汚染を防ぐことはできる。
「よしッやりますか!」
レジスタンスたちの想いに共感し、メガコーポの非道を阻止するため、紫煙をくゆらせながら圭一は事務所の中へ。
どんなヤクザやオブリビオンが待ち構えていようが負ける気はしない。歴戦の蟲使いには静かな自信が漲っていた。
大成功
🔵🔵🔵
森宮・陽太
【一応SPD】
他者絡みアドリブ大歓迎
へーぇ…
このあたりにクワハラ・ファーマシーのドラッグ製造工場がねぇ…
…ま、叩き潰すだけだがな
って地雷やブービートラップって、妙に古典的じゃね?
いや、まあ、古典的な罠ほど有効な場合もあるだろうけどよ
解除しながら進むのはめんどっちぃなぁ…
「高速詠唱、言いくるめ」+指定UCでヴァサゴを召喚し俺に憑依
ヴァサゴ、罠の在処を予知したら俺に教えろ
俺自身も「世界知識、視力」で罠っぽい装置を探してみるが
罠を発見したら「忍び足」で踏まないようそっと歩いて回避するが
うっかり踏んだら「地形の利用、ダッシュ」で一気に走り抜け
ま、爆発しても後続が通りやすくなりゃいっか
「へーぇ……このあたりにクワハラ・ファーマシーのドラッグ製造工場がねぇ……」
森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)とクワハラ・ファーマシーの間には、浅からぬ因縁があった。製薬部門に強い同企業が、骸の海を含んだ違法ドラッグを流通させ、手駒となるオブリビオンを増やしていたのは予想の範疇だろう。
「……ま、叩き潰すだけだがな」
奴らの思惑が何であれ、明るみになったならば容赦はしない。研ぎ澄まされた殺気を身に纏い、彼は製造工場のあるヤクザ事務所に向かう。その道中となるビル群には幾つものサイボーグヤクザの残骸が散らばっており、かつての抗争の激しさとトラップの危険性を訴えていた。
「って地雷やブービートラップって、妙に古典的じゃね? いや、まあ、古典的な罠ほど有効な場合もあるだろうけどよ」
テクノロジーが発達したサイバーザナドゥであれば、もっと高性能なトラップは幾らでもあるが。メガコーポの企業戦争ではなくヤクザの抗争なら、このくらいレトロなほうが低コストで数を仕掛けられて良いのかもしれない。事実、抗争後も撤去しきれずに放置された罠が、こうして大量にあるわけだ。
「解除しながら進むのはめんどっちぃなぁ……」
仮にも戦闘用サイボーグの殺傷目的で設置されたトラップだ、無視して突っ切るわけにもいかず、さりとて丁寧に手順を踏んでいたら日が暮れる。そこで陽太は【悪魔召喚「ヴァサゴ」】を発動し、悪魔ヴァサゴを自らに憑依させた。
「ヴァサゴ、罠の在処を予知したら俺に教えろ」
過去と未来と現在を知り、契約者の運命を予知するのがヴァサゴの権能だ。加えて陽太自身も自前の知識を活かし、目を凝らして罠っぽい装置を探す。ビルとビルの間に張られたワイヤーやら、道路にカモフラージュされた地雷など、警戒すべき対象は無数にあった。
「よくまあこんなに仕掛けたもんだ」
罠を発見すれば陽太は元暗殺者のスキルを活かした忍び足で、それらを踏まないようにそっと歩いて回避していく。
この程度なら楽勝――と思っていると、罠を避けた先にまた別の罠があったりして油断できない。カチリと嫌な音が聞こえて、足下に違和感を覚える。
「やべっ」
うっかり地雷を踏んでしまった陽太は、迷わずダッシュで一気にその場を走り抜ける。作動から起爆までのわずかなタイムラグのうちに、圏外に離脱する勢いで――直後、彼の背後で対人用としてはいささかど派手な爆発が起こった。
「ま、爆発しても後続が通りやすくなりゃいっか」
今ので周辺にあったトラップも幾つか誘爆するか破壊されただろう。結果オーライということにして、今一度慎重に進む陽太。悪魔の助言に耳を傾け、罠を見逃さないよう注意して、向かうはクワハラの製薬工場。こんな場所で立ち止まっている暇は、ないのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ツォーナ・ロチェアーダ
今後のガジェット開発の為にこの世界の罠を調査…というのもいいかもしれませんが、今日の所は問題解決を優先しましょう!
罠を破壊して進むならこのブーステッドアームはお誂え向きです!
それにボクはガジェッティア!
もしこういう罠型ガジェットを作ったらこう言う所に仕掛ける、という趣味レートは良くしています!
そういった経験と照らし合わせ罠のある場所を予測して破壊していきましょう!
今回は地雷等らしいですから地面を中心に、巻き込まれて破壊されたブービートラップでもあればそこからどういう罠がどこに仕掛けてあるかの傾向の予測もできるはずです!
「今後のガジェット開発の為にこの世界の罠を調査……というのもいいかもしれませんが、今日の所は問題解決を優先しましょう!」
サイボーグ技術を始めとするサイバーザナドゥのテクノロジーに興味はあっても、人命に関わる依頼を差し置くほどツォーナ・ロチェアーダ(世界を渡る大海の剣・f01913)は無責任ではなかった。危険なドラッグがこれ以上流通する前に、製造工場に向かわなければ。
「罠を破壊して進むならこのブーステッドアームはお誂え向きです!」
迅速な突破のためにユーベルコードを起動すると、身に付けていたバングルが巨大な篭手に変形する。アルマライトという魔石を動力源とした、彼女が独自開発したガジェットである。その性能はこの世界の兵器にまったく劣らない。
「それにボクはガジェッティア! もしこういう罠型ガジェットを作ったらこう言う所に仕掛ける、という趣味レートは良くしています!」
そういった経験と照らし合わせて、ツォーナはトラップのある場所を予測して【ブーステッドアーム】を構える。
ガシャンガシャンと音を立ててさらなる変形を遂げるガジェットの形状は、さながら発射直前のロケットの如く。
「所謂お約束の必殺技です! ブースト展開ッ! 飛んでけええええええッ!」
絶叫とともに勢いよく射出されたアームは、その出力と重量に比例したシンプルな破壊力を発揮する。狙ったとおりのポイントに飛んでいったそれは、轟音と共にアスファルトの地面に叩きつけられ――直後に大爆発が巻き起こった。
「命中です!」
今回の罠は地雷等らしいというので地面を中心に狙ってみたが、どうやら上手く爆発させられたようだ。飛び散った爆弾の破片と一緒に、巻き込まれて破壊されたブービートラップが散らばる。ワイヤーやスパイクに電子的なセンサーなど、他世界でもよく罠に使われるものだ。
「これを見れば、どういう罠がどこに仕掛けてあるかの傾向の予測もできるはずです!」
ツォーナは技術者としての知識を活かして、残骸からトラップの構造解析を行い、予想の精度をさらに高めていく。
技術レベルに差異はあっても、根本的に「人間を標的にするもの」という前提がある限り、罠を仕掛けるポイントのセオリーはさほど変わらない。十分なデータさえ集まれば、彼女の頭脳は周辺一帯のトラップ分布を導き出す。
「よし、この調子でいきましょう!」
避けられるものは避けつつ、避けたら回り道になる場合はガジェットのロケットパンチで粉砕。あらゆるトラップを踏破して、最短コースで突き進むツォーナ。傾向の予測と対策を済ませてしまえば、あとは無人の野を行くが如しだ。日頃のシミュレートの成果も存分に活かして、ヤクザ事務所まで一直線である――。
大成功
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エドゥアルト・ルーデル
つまりよぉ…後腐れなくブッ殺して良い相手でござろう?いいねェ…
気軽にボコりに行こうぜ!
せっかくの
薬物工場襲撃なんだから挨拶代わりにド派手な
登場したいでござるよね…という訳で【架空兵器】を
創造って遊ぼ!
何がでっきるっかな?ミドガルドシュランゲ
こいつは先端にドリルが付いた装甲列車でござるのでちょっとした地雷ごときはごり押ししトラップの類はビルごとドリルでぶち抜ける!
拙者はそう信じている!
これから極道をゴロリとしてやる!わくわくしてくるな!
乗り込んだら工場内部までブッ飛ばしていこうぜ…進撃の
極道殺戮電車出発侵攻ですぞ!
「つまりよぉ……後腐れなくブッ殺して良い相手でござろう? いいねェ……」
敵はメガコーポの下っ端ヤクザと、ドラッグ製造工場を守るオブリビオン。同情の余地もない外道どもしかいないと聞いて、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)はノリノリだった。悪い奴らをぶん殴っても文句は言われないし、スカッとする。
「気軽にボコりに行こうぜ!」
レジャー施設に遊びに行く時くらいのテンションで、彼は製造工場のあるヤクザ事務所に向かう。その道すがらにはかつての抗争で斃れたヤクザサイボーグの残骸が散らばり、当時のトラップがまだ数多く残っているのだが、もちろんビビるはずが無かった。
「せっかくの
薬物工場襲撃なんだから挨拶代わりにド派手な
登場したいでござるよね……という訳で【架空兵器】を
創造って遊ぼ!」
出会い頭にヤクザどもに最大級のインパクトを食らわせるつもりで、エドゥアルトは【例のアレがこの世界に現れたようです】を発動。自分が想像した「無敵の架空兵器」を、電脳魔術的に具現化させる。科学的にはありえないようなトンデモ兵器でも、イメージが強固であれば実現可能だ。
「何がでっきるっかな? ミドガルドシュランゲ~」
ほわんほわんほわんと妄想から出てきたのは、先端に巨大ドリルが取り付けられた装甲列車。元々は20世紀にドイツで計画され、のちに開発中止となった兵器だが、エドゥアルトの豊かな想像力は技術的・経済的制約を無視して、当時想定されていたスペック以上の超兵器としてそれを顕現させた。
「こいつはちょっとした地雷ごときはごり押ししトラップの類はビルごとドリルでぶち抜ける! 拙者はそう信じている!」
彼が心の底から信じているのなら、即ちそれは真実となる。エドゥアルトを乗せた装甲列車はドリルを回転させて、無限軌道でビル群の谷間を激走する。その威容はまさに神話に謳われる
世界蛇の如し。たかがヤクザどものブービートラップなんぞで止められるものか。
「これから極道をゴロリとしてやる! わくわくしてくるな!」
自分の行動に1ミリの迷いも疑いも持たないメンタルのブレなさが、この場においては最強だった。ドカンと地雷を踏み潰し、絡まるワイヤーを引きちぎり、ビルにドリルで風穴開けて、目的地まで直通一直線。ノーブレーキでヤクザ事務所に乗り込んでいく。
「うおわぁッ
?!!」「な、何だァこいつはッ?!」
いくれ恐れ知らずのサイボーグヤクザだって、ドリル列車で事務所にカチコミかけられるのを想像できたヤツはいないだろう。鳩が機関砲喰らったみたいなツラして口をあんぐり開けている連中を見れば、エドゥアルトはますます愉快そうに笑う。
「工場内部までブッ飛ばしていこうぜ……進撃の
極道殺戮電車出発侵攻ですぞ!」
果たしてこのノリでどこまで行けるのか、どこまで行く気なのか、どこまでも行ってしまうのか。間違いなく言えるのは、エドゥアルトに「後腐れなくブッ殺して良い相手」認定された時点で、ヤクザたちに明るい未来は無かったのだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
相馬・雷光
敵地に潜入して破壊工作……ふふん、ニンジャの面目躍如ね
照明やカメラを避けて【目立たない】ように【闇に紛れて】潜入
この工場は破壊するにしても、どうせ工場は他にもあるハズ
対策を練られないようにしないとね
ニンジャなんだから【罠も使う】、つまり仕掛ける側の心理は分かるわ
うっかり踏んじゃいそうなところに……ほーらあった
【ハッキング】で人感センサーを【ジャミング】して……ついでに【情報収集】
メーカーが分かれば、解除もし易くなるだろうしね
自動周回してる警備ロボは……ヴァジュラブラスターで【不意打ち】の【電光石火】!
【電撃】弾を浴びせてショートさせてやるわ!
「敵地に潜入して破壊工作……ふふん、ニンジャの面目躍如ね」
いかにも「らしい」依頼が舞い込んできたと、相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)は自信満々に笑う。科学技術が発達したサイバーザナドゥにおいても、彼女の一族が連綿と受け継いできた技は見劣りしない。それを証明する良い機会だ。
「この工場は破壊するにしても、どうせ工場は他にもあるハズ。対策を練られないようにしないとね」
彼女は夜になるのを待ち、闇に紛れて潜入を開始する。ビル街の照明やカメラを避けて目立たないようにするのは、極力痕跡を残さないためだ。みすみす手口をバラすようなニンジャは二流――一流は常に手の内を隠しておくものだ。
(ニンジャなんだから罠も使う、つまり仕掛ける側の心理は分かるわ)
ドラッグ製造工場までの経路には、かつてのヤクザ抗争で使用されたブービートラップの類がそのまま残っている。
雷光は当時のヤクザたちの思考をトレースして、罠がありそうな場所を探す。大事なのは仕掛ける側の立場になって考えることだ。
「うっかり踏んじゃいそうなところに……ほーらあった」
予想に違わず、そこにはサイボーグをスクラップにするための地雷が。まだ生きている人感センサーはハッキングでジャミングして、ついでにデザインや構造から情報収集を行う。最近のニンジャはハイテク機器にも造詣が深いのだ。世界を股にかけて活動するなら、このくらいは出来なきゃやってられない。
「メーカーが分かれば、解除もし易くなるだろうしね」
製造元を突き止めたら、作動装置を解除して手早く無力化。こんな具合で雷光はトラップ地帯の攻略を進めていく。
その他に道中の脅威となりそうなものは、自動巡回中の警備ロボットだ。すでに区画に一般人がおらずとも、感情を持たぬ機械は律儀に持ち場を守り続けている。
「まっ、私の相手じゃないわね」
雷光は警備ロボの巡回ルートを見切って背後に回ると、電光石火の早業で不意打ちを仕掛けた。抜き放つのは二丁の「ヴァジュラブラスター」、彼女の能力に合わせて改造を施された、カタナやクナイよりも手に馴染んだ愛用の品だ。
「ショートさせてやるわ!」
ブラスターから強烈な電撃弾を浴びせられた警備ロボは、バチバチッと火花を散らして沈黙。今の音で誰かがやってくる前に、雷光は再び闇に紛れて姿を消した。雷霆の降魔忍の異名に違わず、その仕事ぶりは迅速かつ的確であり――敵はいまだその存在を知らぬまま、ニンジャの刃が喉元に迫る。
大成功
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ギュスターヴ・ベルトラン
初めてこの世界に来て見たが、腐敗と退廃に満ちた世界だな
主も深くお嘆きになるであろう…こうやって進むしかねえな
光も愛も清らかさも届かぬ世界に――光あれ
UCで光に満ちた世界に変えてとはいえ、サイバーザナドゥが変わったわけじゃねえ
罠も地雷も残ってしまっている
ココアシガレットを一口齧って、第六感を高めて悪…というか悪意を嗅ぎつけながら歩く
口の中のココアと薄荷の味がネバついた悪意みたいな味に変わったら、そこを避けて通るだけ
よしんば引っかかったとしても、主の愛と光に満ちた今ならばその悪意は設置者が企んだほどには発揮されねえだろう
しっかし…マジで灼滅者としての反骨心が疼く世界だな?
「初めてこの世界に来て見たが、腐敗と退廃に満ちた世界だな」
暴走するメガコーポ、深刻な環境汚染、崩壊したモラル――醜い欲望と悪徳が蔓延るサイバーザナドゥの有り様に、ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)は眉をひそめる。一見ガラの悪そうな格好をしているが、彼は信心深いエクソシストであり、人の道に外れた行いは見過ごせない。
「主も深くお嘆きになるであろう……こうやって進むしかねえな」
問題となる製薬工場は、ヤクザの抗争跡地を抜けた先。当時のまま放置されたブービートラップに守られ、骸の海を混入したドラッグを流通させ、人々を薬漬けにしながらオブリビオン化させる。そんな無法と非道を極めた行為を阻止すべく、彼はロザリオを手に一歩踏み出した。
「光も愛も清らかさも届かぬ世界に――光あれ」
聖句と共に解き放たれたユーベルコードが、ビル群の谷間を光で満たす。汚染物質で濁りきった空気は清浄となり、耳を澄ませば小鳥のさえずりでも聞こえてきそうなほどだ。ギュスターヴの操る光のサイキックは、限定的ながら世界すら書き換えるのである。
(ユーベルコードで光に満ちた世界に変えたとはいえ、サイバーザナドゥが変わったわけじゃねえ)
環境は変化しても脅威が消えたわけではなく、依然として罠も地雷も残ってしまっている。彼は
今日のお菓子を一口齧って、第六感を高めて悪の匂い――より正確には「悪意」を嗅ぎながら歩く。他者を害する悪意なくして、罠というものは仕掛けられないからだ。
「……クソ不味いな」
口の中のココアと薄荷の味が、ネバついた悪意みたいな味に変わったら、そこを避けて通るだけ。暴力を商売道具にするヤクザ連中のトラップなんて、まさに悪意の塊だ。どんなに巧妙に隠したつもりでも、ギュスターヴの鼻と味覚は欺けない。
(よしんば引っかかったとしても、主の愛と光に満ちた今ならばその悪意は設置者が企んだほどには発揮されねえだろう)
【光あれ】と書き換えられた空間では、光を遮るものの存在は否定される。主の威光を陰らす無法者どもの罠など、即座に抹消されて然るべきものだ。サングラスをかけても眩しくてたまらないのはご愛嬌――彼の近くにあった地雷やブービートラップの類は、ことごとく不発に終わる。
「しっかし……マジで灼滅者としての反骨心が疼く世界だな?」
主の愛と光に守られながら、ギュスターヴはシガレットを噛みしめる。圧倒的な力で世界を支配し、私利私欲で社会を操るメガコーポの所業は、かつて「見えざる圧政」を敷いていたダークネスのような、底知れぬ悪意に満ちていた。
この腐敗と退廃を極めた体制がいつまでも続くと思っているのなら、誰かが思い知らせてやらなければなるまい――邪悪な闇に牙を突き立てる
灼滅者の魂が今、炎の如く燃え上がろうとしていた。
大成功
🔵🔵🔵
エリュファシオン・アルティウス
ドラッグなんて許せないね…
『オォォー!』
オーさんもどうやら許せないらしく叫んでいた
慎重に進まないと敵の場所に着く前に離脱なんて事もありえるからね…
『オォォ…』
【心眼】と【地形の利用】で地雷とブービートラップの位置を予想しながら進む
うーん、中々進めないな…
中々事務所に辿り着けないでいると
『名探偵の出番ですね!』
とUCが勝手に発動して背後からメロウが現れた
『探偵777道具トラップサーチャー!』
メロウが探偵道具を出したので私とオーさんは距離をとる
『ちゃんと点検したから!お願いだから距離をとらないで!』
メロウは涙目になりながら道具を使う
『この数は…あっちは…と』
地雷やブービートラップが近づくと数と場所が表示された
そしてメロウの推理も合わさって罠を回避しつつ迅速に進めた
…爆発しなかった
『オォォ…』
メロウの探偵道具が爆発しなかった事に驚いた
『酷いよ二人共…あっ着いたよ』
メロウは落ち込んでいたが事務所が目の前にあった
ありがとう、メロウ
『オォォー!』
『いえいえ名探偵ですから!』
メロウは姿を消したのだった
「ドラッグなんて許せないね……」
骸の海をドラッグに混入させてストリートに売りさばき、一般市民をオブリビオン化して手駒にする。モラルもへったくれもない最低の所業に、エリュファシオン・アルティウス(“やんきー”を目指す『時間逆行』を使う不思議な旅人・f39208)は怒りを隠せなかった。
『オォォー!』
彼女の相棒ことオオサンショウウオ型バイクの「オーさん」もどうやら許せないらしく、怒りを露わに叫んでいる。
だが、感情に身を任せて衝動的に突っ走ってはいけない。ドラッグ製造工場のある事務所までの道は、かつてヤクザの抗争があった危険地帯だからだ。
「慎重に進まないと敵の場所に着く前に離脱なんて事もありえるからね……」
『オォォ……』
オーさんに乗ったエリュファシオンは、抗争当時に設置された地雷とブービートラップの位置を予想しながら進む。
隠されたものを見通す心眼と、ビル群の地形を利用する技術を活かせば、安全なルートは確保できる。ただ、どうしても遠回りになってしまうのは否めない。
「うーん、中々進めないな……」
『名探偵の出番ですね!』
なかなか事務所に辿り着けないでいると、背後から誰かの声がする。青い髪に鹿撃ち帽を被り、パイプと虫眼鏡を持った、ステレオタイプな探偵ファッションに身を包んだ少女だ。彼女の名は【探偵逆行王メロウ・ホームズ】。呼んだ覚えがなくても勝手に出てくる、自称・名探偵である。
『探偵777道具トラップサーチャー!』
メロウがコートのポケットから探偵道具を出すと、エリュファシオンとオーさんは無言で距離を取る。この娘の探偵としての使命と正義感は強いが、時折空回ったそれがトラブルの火種になることを知っているのだ。(あんまり呼びたくなかったなぁ……)と、本音は不安でいっぱいである。
『ちゃんと点検したから! お願いだから距離をとらないで!』
そんなエリュファシオンの内心を察したメロウは涙目になりながら、汚名返上をかけて探偵道具を起動する。本人にしか原理のわからない奇妙な装置は、ピピピと音を立てて周辺一帯のサーチを始め――やがてモニターに無数の光点が表示された。
『この数は……あっちは……と』
道具に表示されたのは、近くにある地雷やブービートラップの数と場所だ。それにメロウ本人の推理が合わされば、罠を回避しつつ迅速に進める道順が明らかになる。あまり信用されてはいないものの、彼女は決してポンコツ探偵ではなく、実力は優れたものだ。
「……爆発しなかった」
『オォォ……』
エリュファシオンとオーさんはまだ、メロウの探偵道具が正常に動作した事に驚いていたが、言われた通りに進んでみると確かに罠はない。ひとつひとつ罠を探しながら慎重に進んでいた時に比べれば、移動ペースは格段に上がった。
『酷いよ二人共……あっ着いたよ』
あまりの疑われっぷりにメロウはしょんぼり落ち込んでいたが、今回に関してはその仕事ぶりにミスはなかったようで、気がつけばヤクザ事務所が目の前にあった。あそこの地下に問題の違法ドラッグ製造工場があるという話である。
「ありがとう、メロウ」
『オォォー!』
『いえいえ名探偵ですから!』
エリュファシオンとオーさんが素直にお礼を言うと、ようやく満足げな笑顔を見せ、メロウは姿を消したのだった。
目的地には無事到着したが、依頼はここからが本番だ。これ以上のドラッグの製造と流通を阻止できるかは、彼女を含む猟兵たちの手腕にかかっている――。
大成功
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第2章 集団戦
『サイバネティック・ベルセルカー』
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POW : フォトン・オーバーロード
自身の【装備武器】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[装備武器]は【オーバーヒート】により破壊される。
SPD : ベルセルク・ダンスマカブル
【フォトンブレード】【フィンガー・ビームウィップ】【アイズ・レーザー】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : インサニティ・バトルフィールド
戦場内を【闘争の狂気が支配する荒れ果てた戦場】世界に交換する。この世界は「【攻撃行動以外全て禁止】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
👑11
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かつてのヤクザ抗争の跡地を抜けて、無事に目的地にたどり着いた猟兵達。
いざ事務所に乗り込んでみれば、中にはイカつい格好をした大勢のヤクザたちがたむろしている。
「なんだぁテメェら?」「どこの組のモンだ、ゴラァ!」
ドスをきかせて威嚇してくる、彼らの形相からはただならぬ"圧"を感じる。
彼らはクワハラ・ファーマシーの傘下組織として、製造工場の管理及びドラッグの流通を任された者たち。
立場としては下っ端も下っ端だが、役目を果たせるように特殊な改造実験と薬物投与が行われている。
そう、彼らはもうただのサイボーグではない。オブリビオンなのだ。
「誰だろうが関係ねぇ、ブッ殺すぞォ!」「ウオラァァァァッ!!!」
死を厭わぬ狂戦士と化した『サイバネティック・ベルセルカー』たちは、ロクに話も聞きもせず襲いかかってきた。
クワハラの関係者以外で、ここに来る奴らは全て敵。そう刷り込まれた彼らの脳ミソは大量の違法薬物に侵されて、理性など残っていない。
地下にあるドラッグ製造工場に向かうためには、まずはこいつらを蹴散らさなくては。
悪意と殺気に満ちたヤクザ事務所にて、猟兵たちは戦闘態勢を取った。
相馬・雷光
ヤクザスラングで恫喝できるのは格下だけよ
ニンジャ相手に効きやしないわ
こういう手合いは、余裕の表情で受け流せばそれだけで【挑発】になるわ
私は見るからに銃使いの出で立ち、なら距離を詰めて白兵戦に持ち込もうとするハズよ
オーバーロードした武器は威力が上がって……でも成功率・命中率には強化がかかってないわ
【弾道計算】の要領で【見切って】躱して【時間稼ぎ】
無理な強化は武器の寿命を削る、オーバーヒートで壊れたところに閃光手榴弾!
【閃光】で【目潰し】、【音響攻撃】で【おどろかして】【体勢を崩させる】!
すかさず【拳銃格闘術】で【帝釈天雷蹴撃】!
ふふん、一流のニンジャは遠近共に隙はないわ
「ヤクザスラングで恫喝できるのは格下だけよ。ニンジャ相手に効きやしないわ」
「ザッケンなァ!」「ブッ殺すぞゴラァ!」
理性と人間性を暴力性に割り振ったようなヤクザの恫喝にも、雷光はまったく動じない。相手がただのヤクザではなく、クワハラ・ファーマシーの実験を受けたオブリビオン『サイバネティック・ベルセルカー』だと知っていてもだ。
(こういう手合いは、余裕の表情で受け流せばそれだけで挑発になるわ)
ヤクザの流儀は「ナメられたら負け」だ。事務所にカチコミかけてきた余所者に、このままデカい面をさせていては沽券に関わる。だから、ここで連中の取る行動はひとつ――ヤクザの恐ろしさを骨身に染みるまでわからせて、殺す。
「ニンジャがなんだァ!」「袋叩きにしてやれェ!」
見るからに銃使いの出で立ちをした雷光に対して、ベルセルカーどもはは距離を詰めて白兵戦に持ち込もうとする。
彼らの武器はユーベルコードによって出力限界を突破しており、3分間だけ凄まじい性能を発揮するが――ここまでは全て雷光の予想通りの行動だ。
(オーバーロードした武器は威力が上がって……でも成功率・命中率には強化がかかってないわ)
彼女は弾道計算の要領で攻撃を見切って躱し、時間稼ぎに徹する。「チョコマカすんじゃねェ!」と怒鳴られても取り合うつもりはなく、卓越した動体視力と身体能力でひらりひらりとブレードをすり抜け、敵を翻弄してみせる。その戦い方はまさにニンジャだ。
「無理な強化は武器の寿命を削るわよ」
「チッ! もう壊れやがった、ポンコツが!」
効果時間が経過すれば、【フォトン・オーバーロード】した武器はオーバーヒートで破損する。ヤクザたちが舌打ちしながら次の武器を取り出そうとしたところに、雷光は閃光手榴弾を投げ込んだ。スタングレネードとも呼ばれる強烈な光と音の爆弾が、事務所内で炸裂する。
「ぐわぁッ?!」「何しやがったァ!?」
閃光に目を灼かれ、音響で耳を潰され、たまらず体勢を崩すヤクザたち。すかさず雷光は拳銃格闘術の構えを取り、必殺のユーベルコードを繰り出した。インドラの力の具現たる雷を纏った強烈な蹴りが、標的の急所へと突き刺さる。
「因陀羅耶莎訶! 帝釈天雷蹴撃!!」
「「グワーーーーッ
!!!!?」」
サイボーグの天敵とも言える雷撃キックを食らったベルセルカーどもは、断末魔の絶叫を上げて爆発四散。相手が銃撃戦しか能のない小娘だと侮ったのが彼らの敗因だろう。散らばるスクラップを背にして、雷光は得意げに胸を張る。
「ふふん、一流のニンジャは遠近共に隙はないわ」
結果をもって自らの実力を証明してみせたのだ、文句を付けられる者などいやしない。このまま製薬工場のある地下を目指して、彼女は事務所をダッシュで駆ける。なおも立ちはだかるヤクザどもを、電光石火で蹴散らしながら――。
大成功
🔵🔵🔵
フェル・オオヤマ
・心境
ヤクザ殲滅の時間だコラァ!
これから骸の海に還る貴様らに名乗る名は無いッ!
・戦闘
数で来るのならば…左手に[銀の星]を握って氷の魔力を込めて氷の刃を形成!右手に刃の如く地獄の焔を纏わせて準備完了!
[我竜・竜転連撃]を発動!
1体ずつ確実に切り伏せて仕留める!雷を込めた足でヤクザキックで吹き飛ばす!
ダッシュ!スウェー!事務所内の物をフル活用!様々な手段を用いて攻撃を捌きつつ蹴散らす!切り捨て御免!
味方の攻撃に便乗できるなら追撃もしていく!
その隙を見逃す私じゃないよ!
他キャラとの連携・アドリブ歓迎
「ヤクザ殲滅の時間だコラァ!」
敵に負けない気迫と胆力を込めて、大声で怒鳴るのはフェル。ここにいる連中はメガコーポの傘下でドラッグの製造と流通に携わり、うまい汁を啜ってきた外道どもだ。すでにオブリビオン化しているとあっては、情けをかける理由がひとつもない。
「これから骸の海に還る貴様らに名乗る名は無いッ!」
「ンだとゴラァ!」「舐めてんじゃネェぞッ!」
これは決定事項だとばかりに言い切られて『サイバネティック・ベルセルカー』たちも黙っていられるはずがない。
正々堂々の心意気などない彼らは多勢をもってフェルを取り囲み、【フォトン・オーバーロード】した武器で袋叩きにせんとする。
「数で来るのならば……!」
フェルは左手に長杖「銀の星」を握って氷の魔力を込め、氷の刃を形成。右手には刃の如く地獄の焔を纏わせれば、準備完了だ。【我竜・竜転連撃】を発動させた彼女は、たとえ数十人のヤクザを相手取ったとしても遅れは取らない。
「行くぞ! ドラゴニックチェイス!」
「ぐあッ?!」「がはッ!!」
獄炎の手刀で斬り伏せ、氷の刃でなぎ払い、雷を込めたヤクザキックで吹き飛ばす。どれか一つでもダメージを与えられれば、即座に再攻撃に移れる構えだ。1体ずつ確実に仕留めながら、次から次に対象を変更して攻撃を継続する。
「調子に乗ってんじゃネェ!」「オラァ!」
仲間を殺られればヤクザも意地になって反撃を仕掛けてくるが、フェルはスウェーで敵のブレードを避け、ダッシュで事務所内を駆け回り、家具を盾にして銃弾を防ぐ。使える手段はフル活用するのが彼女のスタイルだ。ここが敵地だろうと関係ない。
「切り捨て御免!」
「グワーーッ!!」
また一人、焔と氷の刃にかかったヤクザが倒れ伏す。当初の包囲はすでに崩れ去り、算を乱した敵は勢いだけの烏合の衆。ここぞとばかりにフェルは翼を広げ、血風飛び交う事務所を風のように翔けていく。彼女にとってここはまだ通過点に過ぎないのだ。
「畜生、こいつら強えぞ!」「一体どこの組の……ぐぁッ?!」
すでに事務所内では他にも突入した猟兵によって、ヤクザ側に大きな被害が出ていた。あちらからすれば正体不明の敵、しかもオブリビオンになった自分たちを凌駕するほどのバケモノがやって来たのだ。メガコーポの傘下でいい気になっていたぶん、動揺は大きい。
「その隙を見逃す私じゃないよ!」
「がはぁッ!?」
味方の攻撃に便乗して追撃を仕掛け、進路を切り開く。フェルの【我竜・竜転連撃】は今なおコンボを繋いでいた。
焔と氷と雷の軌跡を描く竜姫士の闘姿は美しく、足元に積み重なるはサイボーグの残骸の山。最初の宣言に違わぬ、殲滅戦の様相を呈していた――。
大成功
🔵🔵🔵
エリュファシオン・アルティウス
よし、行くよ!(お願い、ラウール)
敵に素早く銃から呪殺弾を放ちながらオーラ防御を展開して指定UCを発動し怪盗能力でラウールを敵の影に潜ませる。
オーラ防御で防御する事も視野に入れようか
敵のUCに対してはフォトンブレードは心眼で見ながら回避
フィンガー・ビームウィップはオーラ防御で守りアイズ・レーザーは敵の目を心眼でしっかり見ながら回避
ラウール!
敵が攻撃して隙が出来た瞬間に敵の影からラウールを出しUC剥奪撃を放った後、再び怪盗能力で敵の影に潜む
逆行奥義!星屑の天流!ごらぁ!
オーラ防御を展開してから指定UCの効果でUC逆行奥義・星屑の天流を発動して敵に攻撃
まだまだ敵はいるな、油断しないようにしないとね
「よし、行くよ!」
ヤクザ事務所への突入と同時、エリュファシオンは素早く「シャドウ・ガンナイフ」を抜き、呪殺弾を放つ。相手はそこらの木端ヤクザとは違う、メガコーポの実験でオブリビオン化した『サイバネティック・ベルセルカー』だ。油断はしないよう、すでにオーラ防御も展開している。
(お願い、ラウール)
さらに彼女は【逆行怪盗皇・ラウール・アナザーワン】を発動し、召喚した怪盗皇ラウールを能力で影に潜ませる。
敵は新たな襲撃者を警戒しても潜伏する怪盗にはまだ気付いていない。あとは仕掛けるタイミングを見計らう事だ。
「死ねやオラァ!」「ブッ殺すぞォ!」
ベルセルカーのユーベルコードはフォトンブレード、フィンガー・ビームウィップ、アイズ・レーザーを組み合わせた【ベルセルク・ダンスマカブル】。一撃は軽いものの数的有利も合わせて、手数によるゴリ押しですり潰す戦法だ。
(オーラで防御する事も視野に入れようか)
エリュファシオンはブレードを心眼で見切り、ビームウィップはオーラで防ぎ、敵の目をしっかりと心眼で見つめてレーザーの発射タイミングを読む。これまで様々な修羅場を潜ってきただけあって、見事な回避力だ。そして敵を殺すことしか考えていない狂戦士どもは、攻撃の後は無防備になる。
「ラウール!」
敵に隙ができた瞬間にエリュファシオンはラウールを呼び出す。ヤクザの影から音もなく姿を現した怪盗皇は、手にした神剣から【剥奪撃】を放った。神速を超越した必中の一撃が、振り向く間もなくベルセルカーを真っ二つにする。
「グワーーッ?!」「なッ、なんだァ?!」「どこから現れやがった?!」
断末魔が上がった直後、ラウールは再び怪盗能力で敵の影に潜む。次は誰が彼の標的になるのか、ヤクザどもには予想がつかない。慌てふためき自分たちの影を凝視しても、姿を捉えることなどできやしない。そして怪盗に気を取られれば、今度は目の前の"やんきー"が殴りかかって来る。
「逆行奥義! 星屑の天流! ごらぁ!」
エリュファシオンの背後に巨大な古時計の針が現れ、反時計回りに高速回転する。ユーベルコードによって時を逆行する力を手に入れた彼女は、相手からすれば瞬間移動としか思えぬ速さで間合いに踏み込み、オーラを纏った連続攻撃を叩きつける。
「「グ、グワーーーッ
!!!!」」
拳と蹴りとガンナイフの4連撃を受けたベルセルカーは、絶叫とともに爆発四散。あれだけの数がいたと言うのに、結局エリュファシオンには傷ひとつ付けられないままだ。いかに強化改造されていても、所詮メガコーポの下っ端か。
「まだまだ敵はいるな、油断しないようにしないとね」
実力差を見せつけながらも、ここで足元をすくわぬようにエリュファシオンは気を引き締める。ヤクザ事務所を壊滅させ、地下の製薬工場を破壊するまで依頼は終わりではない。ここからは敵も決死の勢いで抵抗してくるだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
ドラッグの実験台にされた構成員か。どんなお話を持っているのかな。
ぼくたち?ぼくたちは六番目の猟兵だよ。よろしくね。
へーんしん!ヴァルキリーモード。
魔法の槍を構え、相手の攻撃を受け流しからの反撃で、かかってきた相手をなぎ倒していくよ。
言葉を話しているようで、理性はないのか。話を聞き出すのは難しそうかな。
だったら、その仕草、武器、攻撃手段から、読み解いていくしかないね。
一人、一人と向き合いながら、戦いのながでこれまでの経験を感じ、お話を食べていくよ。
「ドラッグの実験台にされた構成員か。どんなお話を持っているのかな」
どんな外道だろうと悪には悪の物語がある。己の欲望を叶えるため、力を手に入れるため、様々な理由でヤクザからオブリビオンと化した『サイバネティック・ベルセルカー』たちに、アリスは興味津々だった。もはや引き返せないなら、せめてクライマックスを見届けよう。
「クソが! 一体なんなんだよテメェらは!」
「ぼくたち? ぼくたちは六番目の猟兵だよ。よろしくね」
メガコーポの末端組織に過ぎないヤクザたちは、猟兵のことなど知りもしない。ただ、少人数で事務所に攻め込んできた、尋常ならざる実力はすでに理解しただろう。このアリスにしてもそう――見た目は年若い少女なのに、鉄火場に似合わぬ落ち着きようである。
「へーんしん! ヴァルキリーモード」
可変衣装レイヤーのデザインを変更し、アリスは戦乙女に【性質変化】。ファンタジックな魔法の槍を構え、ヤクザ集団と対峙する。狂暴と獰猛を絵に描いたようなベルセルカーに比べると、随分可愛らしい出で立ちだが、表情には自信が満溢れている。
「なんだァ、コスプレか!」「舐めんなよクソガキが!」
恫喝とともにベルセルカーは【ベルセルク・ダンスマカブル】を発動。フォトンブレードとフィンガー・ビームウィップ、アイズ・レーザーを組み合わせた連続攻撃で目の前のガキを惨殺せんとするが――アリスは巧みな槍さばきで攻撃を受け流し、からの反撃でかかってきた相手をなぎ倒していく。
(言葉を話しているようで、理性はないのか。話を聞き出すのは難しそうかな)
突けば「グワーッ!」と絶叫し「ふざけんなァ!」と逆襲する、ヤクザたちの言動はシンプルで衝動的だ。おそらく改造実験の際、クワハラ・ファーマシーに投与された薬物が彼らの脳まで侵しきってしまったのだろう。もはや彼らはメガコーポに都合のいい生物兵器、死ぬまで戦い続ける狂戦士だ。
「だったら、その仕草、武器、攻撃手段から、読み解いていくしかないね」
アリスは襲ってくるヤクザの一人一人と向き合いながら、戦いの中でこれまでの経験を感じ、過去を紐解いていく。
サイボーグ化された彼らの体に残る古傷は、どんな戦いで付いたのだろう。体に染み付いたちょっとした仕草や言葉の訛りは、どこの出身を示すものだろう。矛を交えることでこそ、言葉より雄弁に伝わることもある。
「ありがとう、おいしかったよ」
「ガハッ
……!!」
ヤクザたちの「お話」を食べきってから、最後のピリオドを打つアリス。その表情は満足げだが、満たされきってはいない。危険ドラッグの製造工場を巡る今回の事件はまだ終わりではなく、メインディッシュが残っているのだから。
大成功
🔵🔵🔵
森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
…けっ
クワハラ・ファーマシーめ、どんなヤクを作っていやがる
俺のグリモアが予知している四葉製薬とは恐らく別口だろうが
どういう形でヤクを作ってようが、ぶっ潰すしかねえんだよ
ヤク漬けにされてオブリビオンになっているんであれば
狭い室内でも容赦はしねえ
ここでまとめて焼き払ってやらぁ
「高速詠唱、言いくるめ」+指定UCでアスモデウス召喚
アスモデウス、あのヤクザどもに「属性攻撃、範囲攻撃」の獄炎を吐いて焼き尽くしちまえ!!
荒れ果てた戦場に変わろうが、アスモデウスの獄炎はまごうことなき『攻撃行動』だから、法則通り焼けるはずだ
万が一生き残りがいれば、俺のアリスランスで「暗殺」するまでさ
「……けっ。クワハラ・ファーマシーめ、どんなヤクを作っていやがる」
実験と薬物によりオブリビオン化した『サイバネティック・ベルセルカー』を見て、陽太は吐き捨てるように言う。
クワハラ・ファーマシーと因縁の深い彼でさえ、同社の所業を知り尽くしている訳ではない。メガコーポの組織図や指揮系統は非常に複雑で、傘下に収めた企業・団体の数だけでも膨大なのだ。
「俺のグリモアが予知している四葉製薬とは恐らく別口だろうが、どういう形でヤクを作ってようが、ぶっ潰すしかねえんだよ」
これまで予知にかからなかった悪行が明るみになったのであれば、むしろ僥倖と思おう。やるべき事はシンプルだ。
ヤクザにも負けない闘志を漲らせ、銃型ダイモンデバイスを右手に構えれば、敵も怒号を上げて襲い掛かってきた。
「ヤク漬けにされてオブリビオンになっているんであれば、狭い室内でも容赦はしねえ」
「ンだとゴラァ!」「こっちのセリフだァ!」
狂戦士と化したヤクザどもの殺意は、闘争の狂気が支配する【インサニティ・バトルフィールド】を発生させる。
戦場の法則が完全に塗り替えられてしまう前に、陽太は改造型ダイモンデバイスを頭上に掲げ、トリガーを引いた。
「ここでまとめて焼き払ってやらぁ」
【悪魔召喚「アスモデウス」】。獄炎の術を操りし
悪魔が、契約に従い降臨する。ただ存在しているだけで事務所内の温度が十度は上がったように錯覚する、凄まじい熱気と威圧感――ヤクザ連中も怯えこそしないものの「なんだァ?!」と驚愕の声を上げた。
「アスモデウス、あのヤクザどもに獄炎を吐いて焼き尽くしちまえ!!」
すでに交渉は済ませてある。命令に従って悪魔は口を開き、ヤクザめがけて獄炎のブレスを放つ。向こうのユーベルコードの法則が適用されていようが、アスモデウスの獄炎はまごうことなき『攻撃行動』だ。禁則事項に引っ掛かる恐れはない。
「「グワーーーッ
!!!?!」」
逃げる間もなく炎に飲み込まれたヤクザどもは断末魔を叫び、ものの数秒で灰燼に帰す。生身だろうが機械だろうが地獄の業火は全てを焦がす。荒れ果てた戦場にふさわしい黒煙と残り火、そして血と肉の灼ける匂いが辺りに漂った。
「畜生め、まだだ……グハッ?!」
幸運にもただ一人、アスモデウスの獄炎に焼かれながら即死を免れて生き延びたヤクザがいた。だがそいつは逆襲を誓う間もなく、濃紺のアリスランスに背後から胸を貫かれて絶命する。魂に暗殺者の人格を秘める陽太が、ターゲットの生き残りを見過ごすはずがない。
「一人たりとも逃がすかよ」
悪魔を従え、事務所の奥へと進んでいく彼の表情には、いつもの軽薄な雰囲気ではない、冷徹な殺気が宿っていた。
クワハラ・ファーマシーのドラッグ製造工場はこの先にある。こいつらのようなオブリビオンを生み出す危険なヤクは根絶やしにしなければ――その思いは一歩ごとに強まっていた。
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
武装した大量のヤクザ…これはオレもスレカ全開放して武装するしかない
あ゛ァ?どこの組だと?
誰を捕まえてンなこと言いやがる…見ての通り信心深き信仰の徒だよ!
…ふん、さっきまで在った主の愛と光が遠ざかって、今度は狂気で満ちやがる
カソックの狂気耐性と祝福で戦いに狂乱することはないのが救いだな
敵に囲まれても抜け道を探す要領で包囲網を抜けれるからな…
というわけでGalgalim、特攻!ついでに轢きながら突破!
…ヤクザが轢き逃げでオレの信仰の深さを疑ってきたぞ
しょうがねえ、ちゃんとしたヤツお出しするか
聖句を唱え祈りを捧げる
行動成功率は落ちるかもしれないが、このUCに関しては問題ない
――あなたの罪に罰を
「武装した大量のヤクザ……これはオレも武装するしかない」
向こうがガチでやる気ならこっちも出し惜しみはなしだと、ギュスターヴはスレイヤーカードに収納していた装備を全開放。黒いカソックを身に纏い、サングラスをかけ直し、魔導バイク「Galgalim」に跨る。その格好を見たヤクザどもは、改めて彼の所属を問うた。
「テメェどこの組のモンだァ?!」
「あ゛ァ? どこの組だと? 誰を捕まえてンなこと言いやがる……見ての通り信心深き信仰の徒だよ!」
ヤクザにも負けないドスのきかせ方で、カタギとは思えない剣幕で怒鳴り返す。これで「見ての通り」を主張するにはパンチが強い気もするが、言っていることは事実である。主の御名にかけて、悪徳と腐敗の温床たるヤクザ事務所とドラッグ製造工場は潰さねばならない。
「……ふん、さっきまで在った主の愛と光が遠ざかって、今度は狂気で満ちやがる」
オブリビオンヤクザ『サイバネティック・ベルセルカー』のユーベルコードの影響で、事務所内は【インサニティ・バトルフィールド】と化している。ギュスターヴの着ている「soutane noire」には狂気や邪心を抑える祝福がかかっているので、こちらまで戦いに狂乱することはないのが救いだ。
「敵に囲まれても抜け道を探す要領で包囲網を抜けれるからな……というわけで、特攻!」
「なッ?! テメェ止まりやが……グワーーッ!!!」
クールな思考を保ちつつもバイクのアクセルをフルスロットルにして、立ちはだかるヤクザどもに全力疾走。魔導書を内燃機関とした彼の愛車はこのような荒っぽい操縦にも耐える頑丈さを誇り、質量とスピードで邪魔者を轢き倒す。撥ね飛ばされたベルセルカーの悲鳴が事務所に響き渡った。
「テメェ、やりやがったなァ!」「なにが信仰の徒だコノヤロウ!」
轢き逃げされたヤクザたちは当然ながらブチ切れ、まだ動けるヤツらが総出でバイクを追いかけ回す。信仰の深さを疑われたギュスターヴは心外そうに顔をしかめるが、流石に今のは聖職者らしい行いとは言えなかったかもしれない。客観的に見て。
「しょうがねえ、ちゃんとしたヤツお出しするか」
片手でハンドルを握ったまま、聖句を唱え祈りを捧げる。【インサニティ・バトルフィールド】の影響で行動成功率は落ちるかもしれないが、このユーベルコードに関しては問題ない――【愛する兄弟たちよ、己の内を見よ】と唱え、ギュスターヴはヤクザどもに宣告した。
「――あなたの罪に罰を」
天より降り来たり、荒れ果てた戦場を照らす主の威光。目も眩むほどの輝きの中で、ヤクザたちが切断されていく。
機械化義体と薬物で強化されたボディは、まさしく彼らが溜め込んだ罪の象徴。天に在す大いなる主は、罰を以ってその罪を赦される。
「な、なんじゃこりゃァッ
!!!?」「ウ、ウギャーーーッ!!!」
己の罪を自覚しない愚かな者どもにも、主の裁きは区別なく。光が収まる頃にはヤクザどもは骸の海に還っている。
背後のやかましい罵声が聞こえなくなると、ギュスターヴはまたバイクのエンジンを吹かし、ドラッグの製造工場をめざしてスピードを上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
山崎・圭一
>どこの組のモンだ
3年2組だバカヤロウ
某元ヤン教師漫画の台詞言う場面だと思ったわ
俺の高校ン時の組名だけど
それはともかく――どいてもらうぞ
いいねぇ。攻撃以外の行動禁止たァ分かりやすい
まずは無数の【呪殺弾】を
『命捕網』から放って事務所内で爆散
宛ら蜘蛛の子を散らすが如く
攻撃が命中さえすりゃそれでいい
俺のUCが生きてくるからな
俺自身は【功夫】で応戦
手傷を負ったら『毒血』を飛ばして【血液攻撃】
大方呪殺弾が命中したら『屍子身蟲』発動!
事務所内というこの制限効いた戦場で
呪殺弾爆散とこのUCは相性良いだろ
さあ後は時間の問題だな
俺が違反者になろうと関係ねぇ。仕込みとうに完了よ
もう一度言う。そこ、どいてもらうぞ
「クソがっ! テメェらマジでどこの組のモンだ!?」
「3年2組だバカヤロウ」
猟兵の襲撃にいきり立つヤクザ事務所の連中に向かって、しれっと言い返したのは圭一。シチュエーションからして元ヤン教師が主人公の漫画の名ゼリフが頭に思い浮かんだらしい。ちなみに口にしたのは彼の高校時代の組名である。
「それはともかく――どいてもらうぞ」
「舐めてんじゃネェぞゴラァ!」
その返答を挑発と捉えた『サイバネティック・ベルセルカー』がフォトンブレードを抜く。彼らの発する闘争の狂気が空間を満たし、戦場を【インサニティ・バトルフィールド】に変えていく。ここは防御も逃亡も許されず、どちらかが死ぬまで傷つけ合う、そんな法則に支配されていた。
「いいねぇ。攻撃以外の行動禁止たァ分かりやすい」
敵がオブリビオンに改造されたサイボーグヤクザだろうと、まったく怯まない圭一の胆力は見事。それこそ学生時代はもっとヤバい連中を相手にしてきたのだ。まずは挨拶代わりに「
命捕網」を取り出すと、無数の呪殺弾を解き放つ。
「何だその虫取り網は……うおッ?!」「どわぁッ!!」
虫取り網のような武器の見た目でヤクザどもは舐めてかかっていたが、ばら撒かれた弾は事務所内で爆散。さながら蜘蛛の子を散らすが如く敵をふっ飛ばしていく。派手さのわりにダメージはそこまででは無さそうだが、はなから致命傷ではなくヒットを狙った攻撃か。
(攻撃が命中さえすりゃそれでいい。俺のユーベルコードが生きてくるからな)
爆発を突っ切って「ゴラァ!」と斬り掛かってきたヤクザには、鍛え抜いた功夫で応戦。捌ききれずに手傷を負っても、圭一の血は体内蠱毒により汚染された猛毒である。返り血を浴びればたちまち肉は腐り、機械化義体も腐食する。
「ウゲェッ!」「なんだァ!?」
呪いの弾丸に毒の血液と、オカルティックな攻撃手段の数々に、ヤクザたちも戸惑っているようだ。この辺にいる大方の奴らには、もう攻撃は命中しただろう。そろそろ頃合いかと判断した圭一は、本命のユーベルコードを発動する。
「もう一度言う。そこ、どいてもらうぞ」
「誰が……グッ、げっ、ごえェッ!?」「か、体の中で、なにかが……ぐげぇぇぇッ!!」
圭一が放った呪殺弾には、寄生蜂型の白燐蟲の卵が含まれていた。被弾したヤクザの体内に付与されたソレは、術者の合図で一斉に孵化し、寄生主を体内から食い破る。事務所内という制限の効いた戦場で、呪殺弾の爆散と組み合わせられた【屍子身蟲】から逃れられた者はいなかった。
「さあ後は時間の問題だな。俺が違反者になろうと関係ねぇ。仕込みはとうに完了よ」
「や、やめろぉ、やめてくれェッ?!」「ぐ、ぐるじい……グワーーーッ
!!!?」
もはや圭一自身が攻撃を行わずとも、高みの見物を決め込むだけで、ヤクザどもは無数の幼体白燐蟲の餌食となる。
絵面としては大変にグロテスクだが、奴らのこれまでの悪行三昧を考えれば同情の余地もない。愚かな狂戦士たちが骨の髄まで喰い付くされるまで、さほどの時間はかからなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
ツォーナ・ロチェアーダ
相手のユーベルコードは…闘争の狂気が支配する戦場に変えるパラドクス、ですか。
ある意味、真正面から戦えるならいいかもしれませんね!
あ、その前に何名かに向かって手を振って「スパイ活動ありがとうございました、おかげでスムーズにここまでこれましたよ!」とでも言えば仲間割れを誘発できませんかね?
上手くいけばそれだけ邪魔が入る事無く相手に集中できますし、相手のユーベルコード発動前なら行動率低下も受けませんよね!
それが終わったらこちらもユーベルコード発動、真正面からの斬り合いで思う存分戦いましょう!
元より訓練とか戦いとか、好きな方なので!
「相手のユーベルコードは……闘争の狂気が支配する戦場に変えるパラドクス、ですか。ある意味、真正面から戦えるならいいかもしれませんね!」
物々しいヤクザ事務所の雰囲気が荒れ果てた【インサニティ・バトルフィールド】に変わっていくののを感じても、ツォーナに動揺はなかった。この戦場では攻撃以外の全行動が禁止されるというが、元よりここの連中は全員蹴散らすつもりで来たのだ。
「あ、スパイ活動ありがとうございました、おかげでスムーズにここまでこれましたよ!」
「ンだとォ? まさかテメェ!」「ハァ?! 違えよバーカ!」「誰がバカだゴラァ!」
相手のユーベルコードが発動する前に、ツォーナは何名かのヤクザに向かって手を振って、親しげに感謝してみる。
仲間割れを誘発できないかと思いつきだったのだが――脳ミソまで薬物にやられている『サイバネティック・ベルセルカー』には、単純だが効果的だったようだ。
「この裏切りモンがァ!」「違えっつってんだろがボケェ!」
戦うしか能のない狂戦士どもは、敵の言葉を短絡的に信じ込んでしまう。自分たちのユーベルコードがもたらす闘争の狂気が、仲間割れを助長した側面もあるだろう。フォトンブレードを振り回し、怒号と罵声が飛び交う、血みどろの同士討ちの始まりだ。
「上手くいきましたね!」
想像以上にあっさりと口車に乗ってくれて、ツォーナは満足そうに笑みを浮かべる。これで邪魔が入ること無く相手に集中できるというものだ。用意が整ったところで彼女も愛剣「ロチェアーダ」を構え、ユーベルコードを発動する。
「さぁ、行きますよロチェアーダ。ボク達の力で、未来を切り開きましょう!」
自身の力を剣に、剣の力を自身に。ロチェアーダと【一心同体】となったツォーナの背中から、大海を思わせる様な深い蒼色の光翼が出現する。この剣がヤドリガミである自分の「本体」だという事実を彼女は知らず――だが、自覚がなくとも力は十全に発揮される。
「思う存分戦いましょう! 元より訓練とか戦いとか、好きな方なので!」
「上等だゴラァッ!!」
蒼き翼で戦場を翔け、真正面からの斬り合いを挑めば、ヤクザも真っ向勝負で応じる。最大出力のフォトンブレードと海色の大剣がぶつかり、燐光と火花を散らす。生まれも立場も境遇も異なる者だが、この場においてはただ純粋に、武と力の比べあいだ。
「お手合わせ、ありがとうございました!」
「グ、グワーーーッ!!!」
激しい打ち合いのすえ勝利を収めたのはツォーナ。大上段からの一撃でベルセルカーを斬り伏せると、すぐさま次の相手を探して視線を巡らせる。辺りは相変わらず仲間割れの真っ最中だが、侵入者の猟兵を放っておいてはくれない。ヤクザの誰かと目と目が合えば、再び剣戟の火花が散るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
うんうん、熱い歓迎
感謝でござるよ
お礼に死をやろう
ウェルカムUCありがたいでござるよね!拙者は禁止されるまでもなく攻撃行動以外する気はないでござるが?
とりあえず蹴散らすとして…
極道事務所も派手にさっぱり更地にしてあげたいのに無いんだよね爆発しそうなのが!
極道なら一つや二つ持っていて欲しいもんでござるよねこいつら使ってこないし!まったく聞いてねーぜ
困難!
ファックでござる!
しょうがないので自前の
火の弾直送お命ゴッツァン仕るでござる
極道ゴッツァン!事務所ゴッツァン!
ゴッツァン!
ゴッツァン!!
ゴッツァン!!!
「うんうん、熱い歓迎
感謝でござるよ。お礼に死をやろう」
事務所に突っ込んだドリル列車の上から、暴君の如き物言いでヤクザどもを見下すエドゥアルト。ただでさえ短気な『サイバネティック・ベルセルカー』の導火線にガソリンぶっかけて火を付けるような所業、よもや何事もないとは思っていまい。
「バカにしてんのかテメェ!」「ふざけんじゃネェぞゴラァ!」
ブチ切れたヤクザの怒りは【インサニティ・バトルフィールド】を発生させ、闘争の狂気で戦場を満たす。ここでは攻撃以外の全ての行動が禁止され、ルールに反する行為は成功率が低下する。絶対に敵をブチ殺すという狂戦士の意志の体現だ。
「ウェルカムユーベルコードありがたいでござるよね! 拙者は禁止されるまでもなく攻撃行動以外する気はないでござるが?」
しかし戦場の法則が変わったのを認識したうえで、エドゥアルトはあいも変わらず飄々とした態度。よもやヤクザ風情に殴り合いで遅れを取るとは微塵も思っていない様子だ。敵を舐めていると言えばその通りだが、態度に見合う実力と実績があるのが厄介である。
「とりあえず蹴散らすとして……
極道事務所も派手にさっぱり更地にしてあげたいのに無いんだよね爆発しそうなのが!」
きょろきょろと辺りを見回しても、敵の武装はフォトンブレードにビームウィップ、あとは目からレーザーとか――サイバーパンク世界のヤクザならこのくらいハイテクな装備品を使っていてもおかしく無いのだろうが、小綺麗すぎて情緒に欠ける。もっと火薬と硝煙の匂いが欲しい。
「
極道なら一つや二つ持っていて欲しいもんでござるよねこいつら使ってこないし! まったく聞いてねーぜ
困難!
ファックでござる!」
「なにワケのわかんねェこと言ってやがる!」「頭沸いてんのかボケがァ!」
相手からすれば意味不明な文句を垂れてくるエドゥアルトに、ヤクザどもの堪忍袋の緒も切れた。メガコーポの実験で与えられた力、ハイテク武装の数々、敵を殺すことしか考えない凶暴性、どれをとっても攻撃力だけは侮れない奴らだが――。
「しょうがないので自前の
火の弾直送お命ゴッツァン仕るでござる」
ヤバさならこっちも負けていない。エドゥアルトがパチンと指を鳴らすと、小型爆撃機【Sturz KampfFlugzeug】の部隊が召喚される。上空より飛来せしそれは指揮官の要望通り、ヤクザ事務所を更地にする勢いで絨毯爆撃を開始した。
「極道ゴッツァン! 事務所ゴッツァン!」
「んなァッ?!」「ふ、フザけんじゃね……グワーーーッ!!」
ノリノリのエドゥアルトの音頭に合わせて降り注ぐ爆弾の雨。爆発炎上する事務所。文字通り仰天するヤクザども。
荒れ果てた戦場はイカれた花火会場と化し、巻き添えを食らった何もかもがバラバラに吹っ飛んでいく。いちおう、敵味方を区別するだけの理性はあるようだが。
「ゴッツァン! ゴッツァン!! ゴッツァン!!!」
ヤク漬けヤクザよりクレイジーなテンションで叫ぶエドゥアルトをBGMにして、サイバネティック・ベルセルカーは一人残らず爆撃の餌食となるか瓦礫の山に埋もれ――クワハラ・ファーマシーの傘下で悪行三昧を尽くしてきたヤクザ事務所は、ここに事実上の壊滅を迎えることになった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『名もなきベルセルカー』
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POW : フォールン・サイコブレード
自身の【漆黒の瞳 】が輝く間、【サイキックエナジーを凝縮したブレード】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD : フォールン・ベルセルカーモード
【理性なき狂戦士(ベルセルカー)形態 】に変形し、超兵器【高出力サイコブレード】と超装甲【高出力サイコシールド】を得る。極めて強力だが、戦闘終了後に大切な記憶1つを失う。
WIZ : フォールン・カリギュラ
戦場内に【青白き炎状のサイキックエナジー 】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
👑11
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事務所にいたオブリビオンヤクザを壊滅させた猟兵たちは、半壊した建物の奥から地下へと進む。
厳重にロックされた扉を破壊して中に入れば、そこは巨大な工場と研究施設を兼ねたような空間となっていた。
クワハラ・ファーマシーがストリートに流通させている、骸の海を混入したドラッグは、ここで作られていたのか。
「……侵入者か。どこの企業の工作員か知らんが、よくここを嗅ぎつけたものだ」
全自動化された工場の中にはただ一人、全身を
機械化義体に置き換えた一人の男が立っている。
地上にいた連中と同じく、こいつもクワハラ・ファーマシーが作り出したオブリビオン――だが、使いっ走りの駒に過ぎないヤクザとは別格の相手だ。
「俺の任務は工場の防衛。侵入者は全て抹殺しろと命じられている」
名前も過去もメガコーポに奪われた『名もなきベルセルカー』は、そう言ってドラッグの錠剤を口に含む。
この工場で製造された薬物には、何度も言うように骸の海が混入されている。オブリビオンが服用すれば、副作用と引き換えに爆発的な肉体強化を得られる代物だ。
「……任務を、開始する」
男の瞳が狂気に染まり、青白き炎状のサイキックエナジーが身体から溢れ出す。
こちらもドラッグを手を出せば、ヤツと同等の強化を得て互角になれるだろうが――それは骸の海による肉体と精神の汚染を受けるということ。リスクのない選択とはいえない。
各自がどう判断するにせよ、ここでやるべき事は決まっている。
クワハラ・ファーマシーの精鋭オブリビオンを撃破し、工場を破壊するため、猟兵たちは再び戦闘態勢を取った。
フェル・オオヤマ
SPD
・心境
どうやらここが例のドラッグの工場みたいだね
この工場は本日を以て閉鎖だ!私たちがそう決めた!
・戦闘
ドラッグには頼り…ません!仮にも武蔵坂学園に所属してるからね!
校外活動中に薬物に手を出すなんてシャレにならないよ!
敵の攻撃は回避優先で回避が難しいと判断したらビームシールドで防ぎつつマインドソードで反撃します!【受け流し/激痛耐性/勇気/カウンター】
敵が隙を見せたら[月光刃ヘイル]を構えて【居合】の動きで[我竜・月閃氷刃]を発動!
え?どこ見て斬ったのかって?お前の死角をだよ!
敵の超装甲で防げない死角から攻撃を射出します
【凍結攻撃/斬撃波/切断/2回攻撃】
他キャラとの連携・アドリブ歓迎
「どうやらここが例のドラッグの工場みたいだね」
ヤクザ事務所の地下に隠されていた巨大な製薬施設。ここで作られているのが真っ当なクスリではないことは、一目見れば分かるだろう。罪なき市民をオブリビオン化させる元凶を突き止めたフェルは、ここの警備員に向かって高らかに宣言した。
「この工場は本日を以て閉鎖だ! 私たちがそう決めた!」
「悪いが、そんな命令は聞いていない」
クワハラ・ファーマシーに忠誠を誓った『名もなきベルセルカー』からすれば、ここが何の工場であれ侵入者を排除するのが任務だ。徹底した強化改造と洗脳教育、さらにはドラッグの力で強化されたオブリビオン兵は、こちらも切り札なしでは辛い強敵だが――。
「ドラッグには頼り……ません! 仮にも武蔵坂学園に所属してるからね! 校外活動中に薬物に手を出すなんてシャレにならないよ!」
服用者に力をもたらす骸の海ドラッグの誘惑を、フェルはきっぱりとはねのけた。そのぶん厳しい戦いになったとしても受けて立つし、絶対に勝つ。学生としての良識と竜姫士の誇りにかけて、自分の実力だけで戦い抜くつもりだ。
「貴様がどこの所属だろうと関係ない……殺す」
名もなきベルセルカーは【フォールン・ベルセルカーモード】に移行し、冷徹な殺意と狂気のもと標的を攻撃する。
すでに大量のドラッグを投与された彼に理性のストッパーなどはない。脳に損傷を受け、記憶に障害が出たとしても――ただ使命をまっとうするためにサイコブレードを振るう。
「これは避けきれないね。だったら!」
当初は回避優先で動こうと考えていたフェルだが、ドラッグで身体能力を強化された敵の攻撃を避けきるのは難しいと判断。ビームシールド「両義宿手【寂滅護】」を顕現させて防御の構えを取りつつ、マインドリングから具現化した剣でカウンターを図る。
「お返しだよ!」
「……ッ」
異常な高出力を発揮するサイコブレードを、理想と真実の盾で受け流し。凄まじい衝撃に耐えながら、勇気をもって剣を振るう。歴戦の技量と心意気が乗ったカウンターが、名もなきベルセルカーのボディを削り、わずかな隙を生む。
「月閃氷刃!」
間髪入れずにフェルは「月光刃ヘイル」を構え、居合の動きで【我竜・月閃氷刃】を発動。目にも止まらぬ早業で抜き放たれた蒼銀の刀身は、されど誰もいない虚空を切り裂いた。好機に焦るあまり間合いを見誤ったのかと、敵の口元に嘲笑が浮かぶ。
「一体どこを……」
「え? どこ見て斬ったのかって? お前の死角をだよ!」
直後、フェルが虚空を薙いだ地点から、氷の斬撃が射出される。名もなきベルセルカーを守る高出力サイコシールドを突破するために、時間差攻撃で装甲の死角を狙ったのだ。冷たい斬撃波がサイボーグのボディを凍結させれば、本命となる月光刃が追撃をかける。
「月光瞬く間に現し世とお別れだ。ってね!」
「ぐッ……!」
ユーベルコードの二連撃を食らった名もなきベルセルカーは、微かに表情を歪めて後退し、薄氷に覆われたボディに小さな亀裂が走る。まだ動けるようだがダメージは確実に入った証拠――これが自分の実力だと胸を張って、フェルは太刀を構え直すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
エリュファシオン・アルティウス
ドラッグを飲めば力を手に入られるけど…やりたくないな
オーラ防御を先に展開しながら薬には手を出さないという結論に至る
『エル、まさかと思うが薬に手を出そうとしてないよな?』
もちろん…サポートをお願いします
ミナルアさんに背後から声をかけられたが薬には手を出さない誓いを出し戦闘開始
…速い!
『なら有頂天道人の戦いを思い出せ、もう視力では無く心眼で見れる筈だ』
敵のUCは心眼で見ながらサイコブレードの動きを見て地形を利用し軽業などで障害物を利用して回避する
『エル、一旦隠れろ』
ミナルアさんは回避し終わった私に迷彩を使用してから指定UCを敵に放つ
行くよごらぁ!
指定UCの効果でUC逆行王の破壊を使用し殴り飛ばした
「ドラッグを飲めば力を手に入られるけど……やりたくないな」
敵を警戒して先にオーラ防御を展開しながら、エリュファシオンは薬には手を出さないという結論に至る。たとえそれが勝利への近道だとしても、安易に頼るには危険すぎる代物だという判断だ。ただのドラッグでも人生を破壊される恐れがあるのに、骸の海まで混入されているとなれば尚更である。
『エル、まさかと思うが薬に手を出そうとしてないよな?』
「もちろん……サポートをお願いします」
いつからそこにいたのだろうか。蒸気の翼をまとった男装の麗人――星霊ミナルアに背後から声をかけられ、エリュファシオンはきっぱりと薬には手を出さない誓いを出す。頼りにするのはあくまで自分と仲間の実力のみ、そう決めて彼女は戦闘を開始する。
「抹殺する……全て、全てだ」
先に仕掛けてきたのは『名もなきベルセルカー』。大量の薬物投与によって、理性と引き換えに【フォールン・ベルセルカーモード】に移行した彼は、人間離れした運動能力でサイコブレードを振るう。使い手のサイキックエナジーを動力にしているのか、人体など真っ二つにできそうな出力だ。
「……速い!」
『なら有頂天道人の戦いを思い出せ、もう視力では無く心眼で見れる筈だ』
ミナルアのアドバイスに従って、エリュファシオンは敵の挙動を心眼で捉える。サイコブレードの放つエナジーの力まではっきりと捉え、工場の機材や設備を足がかりにして、軽業の如き身のこなしで回避する――必殺の斬撃は辛くも彼女のもとを掠めていった。
『エル、一旦隠れろ』
ミナルアは回避を終えたエリュファシオンに迷彩を張ってから【精霊魔導・ヴァイオレンス・パラドックス】を名もなきベルセルカーに放った。星霊の力を込めた魔法と斬撃は通常の防御を貫通し、さらに味方の能力を強化する。本命を仕掛ける前のサポートというわけだ。
「ぐッ……貴様」
魔導の秘技を受けたベルセルカーの注意がミナルアに移る。言い換えるなら、エリュファシオンから注意が逸れた。
ミナルア本人はサイコブレードの間合いから素早く距離を取りつつ、口元を笑みの形に歪め――ぶっきらぼうだが、どこか優しげな調子で言った。
「ふん……これで少しは戦えるだろう?」
「行くよごらぁ!」
直後。迷彩を頼りに敵の死角へと回り込んだエリュファシオンが、【逆行王の破壊】を発動。名もなきベルセルカーの懐まで飛び込むと、力任せにぶん殴った。とある神皇の進化の鍵とも噂されるその力は、触れた相手の時間を巻き戻す、
過去に由来する者には特効ともいえる力だった。
「な、んだ、これは……ぐぁッ?!!」
「まだまだぁ!」
時間逆行属性の拳で殴り飛ばされたベルセルカーは、初めての違和感に困惑し、苦痛の叫びを上げる。直撃を受けた箇所がボロボロと崩れているのをみると、どうやら彼にも逆行王の魔力は効いたらしい――これで終わりではないと、エリュファシオンは間髪入れずに追撃の拳を振るった。
大成功
🔵🔵🔵
山崎・圭一
なるほど。防衛ね
じゃあ俺は嫌がらせをすればいい訳だ
【召喚術】で蟲霊オブリビオン召喚
【蟲使い】が告ぐ!工場内の設備を破壊し尽くせ!
奴のサイキックエナジーには【呪殺弾】で応戦
護身用に等身大の蟲霊も召喚しとくか
いざって時にゃ盾にもなるし
蟲が噛み千切ったケーブルに漏電箇所があれば吸い殻ポイ
…火、つきそうだな
侵入者抹殺しても工場が滅茶苦茶じゃあ
始末書書かされるハメになるぞ、坊主
この嫌がらせは、奴の隙を見出す為の工作よ
無理ならしゃーねぇ
手ェ出すっきゃねーかもな、激ヤバドラッグ
元よりとっくに汚染されてンのよ、俺は
奴の背中の隙
【魔力供給】した命捕網を【投擲】して『泡沫無現』使用!
味わってみるか?蟲化をよォ
「なるほど。防衛ね。じゃあ俺は嫌がらせをすればいい訳だ」
メガコーポのドラッグ製造工場を守る『名もなきベルセルカー』を前にして、そう言い放ったのは圭一。何故そんなものを守るのかとやかくは聞かないし、ここまで来たからにはこっちのやる事も決まっている。あちらが上司に大目玉を食らう事態にしてやろう。
「蟲使いが告ぐ! 工場内の設備を破壊し尽くせ!」
その一声にて召喚されたのは、骸の海をさまよう蟲霊オブリビオンの群れ。蟲使いと死霊術士の技を組み合わせた、彼ならではの術である。蟲霊たちはブンブンと不気味な羽音を立てて辺りを飛び回ると、それぞれが獲物を見つけたように活動を始めた。
「……! やめろ!」
侵入者の目論見を理解した名もなきベルセルカーは、少々焦った様子で【フォールン・カリギュラ】を発動。青白い炎状のサイキックエナジーを圭一に放って、蟲霊の行動を止めさせようとする。これも薬物の過剰投与によるものか、並のサイコブレイカーをゆうに超える超能力の出力だ。
「やめろと言われてやめる訳ないだろ」
だが圭一は瞬時に呪殺弾を放って敵のサイキックに応戦。さらに護身用として等身大の蟲霊を召喚しておき、いざという時の盾にする態勢を取る。相手がどう動くか予想が付いていれば、守りに徹することで攻撃を凌ぐことはできる。
「……火、つきそうだな」
ベルセルカーのサイキックに圭一が耐えている間に、蟲霊の群れは工場の破壊に勤しむ。用途不明の機器も設備も、とにかく目につく物は全部ぶっ壊していいのだから楽な仕事だ。蟲が噛み千切ったケーブルに漏電箇所を見つければ、彼は吸っていた煙草の吸い殻をポイと投げ捨て――引火し、爆発が起きる。
「侵入者抹殺しても工場が滅茶苦茶じゃあ、始末書書かされるハメになるぞ、坊主」
「やってくれたな……!」
いけしゃあしゃあと言い放つ圭一に、名もなきベルセルカーは苦い顔だ。術者に【フォールン・カリギュラ】が通らないのであれば、蟲霊のほうを操って破壊活動を止めさせるしかないが、工場中に放たれた何百匹という蟲を全て操るのは途方もない労力がいる。
(この嫌がらせは、奴の隙を見出す為の工作よ)
名もなきベルセルカーが炎のサイキックエナジーの標的を変えるのを見て、圭一は仕掛けるタイミングを見計らう。
上で戦ったヤクザどもと違って、トラブルに見舞われてもそうそう隙は見せない敵だ。表向きは挑発しまくっても、内心は慎重にいかねば危ういと分かっている。
(無理ならしゃーねぇ。手ェ出すっきゃねーかもな、激ヤバドラッグ。元よりとっくに汚染されてンのよ、俺は)
勝機を見出すために必要とあらば、リスクのある選択も取る覚悟がある。力を欲張ったすえに体内で蠱毒を起こした男のことだ、今さら恐れることなど無いのか。だが幸いと言うべきか、実際にドラッグを服用する前に状況は動いた。
「蟲になった孤独な男の物語、知ってるか?」
被害拡大による焦りか、ドラッグによる精神への副作用か。名もなきベルセルカーの背中の隙めがけて、圭一は魔力供給した「命捕網」を投擲する。具現化された魔力の網は毒気に満ちた燐光を帯びており、命中の瞬間【泡沫無現】が発動する。
「味わってみるか? 蟲化をよォ」
「ッ?! なんだ……これはッ!!」
ドラッグの強化に反応した毒の燐光が、サイボーグボディを蟲化させていく。敵は咄嗟にその箇所をパージする事で全身の変異を防いだが――あと一歩遅ければ蟲使いに支配される身となっていただろう。そして、そうでなくとも自ら失った部位のダメージは大きく、無視できない損傷であった。
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
闇堕ち以上に洒落にならん奴に手を出す気はない
…だからマジで考えて動く
UC発動して
バベルの鎖(再現)を纏う
予知で攻撃避ける事を念頭にバイクで移動しつつ影業で攻撃
行動の隙をついてデタラメな方向にリンスラ投げとく
敵の攻撃はスレイヤーカードの【魔力吸収】で相手のサイキックエナジー吸収を狙う…が、バベルの鎖って完全な味方じゃねえしな
過去の敵も利用してたし、敵にも利用されるだろうな
でもよ
予知に合わせてオレの行動は操れるかもしれねえが、【空中浮遊しつつホーミング】するリンスラの方向は読めねえだろ
…読ませないようにサイキックエナジー吸収だの小技使ってんだ
必ず攻撃を当ててやる
「闇堕ち以上に洒落にならん奴に手を出す気はない」
聖職者として超えてはならない一線を、ギュスターヴはきちんと弁えている。骸の海が混入したドラッグを飲んで、それで敵に勝てたとしても主にどのような申開きをすれば良いのか。だが、深刻な副作用を承知で手を出すことが選択肢に入るほど、危険な戦いであることは事実。
「……だからマジで考えて動く」
万全を期し、持てる全てを使い切るつもりで、彼はスレイヤーカードに封入したサイキックエナジーを全消費する。
その多大なコストと引き換えに発動した【バベルの鎖:再現】は、かつてサイキックハーツの摂理の一部を構成していた永続型結界膜を身に纏わせる。其は超常なる者を超常以外の攻撃から保護し、情報伝播を阻害し、身に降りかかるであろう災難を察知すらできたという。
「流石にアレ全部は使えないが、攻撃の予知だけは出来るんだよなぁ」
敵から感じられる微かな前兆に合わせて、バイクを走らせるギュスターヴ。直後に青白き炎状のサイキックエナジーが彼のいた場所を焼き払っていった。彼のいた世界とは発現原理の異なるサイキックだが、当たるとヤバいのはひしひしと感じる。
「これ以上ここで好き勝手されてはたまらん。止まれ」
「うるせぇよ」
なおも襲いかかる【フォールン・カリギュラ】の炎から、ギュスターヴは予知で避ける事を念頭に起きながら反撃。
本人とバイクから伸びた影が鴉の姿を取って、名もなきベルセルカーを啄む。ボディの装甲を削る程度だが、攻撃の手を緩めさせられれば十分だ。
「この感覚、懐かしいな」
再現バベルの鎖がもたらす予知を通じて敵のレベルの高さまで実感しながら、ギュスターヴは隙をついてリングスラッシャー「HYMNE」を投げ放つ。それははなからデタラメな方向に飛んでいき、名もなきベルセルカーを掠めることすらなかったが――これでいい、と彼の顔色に動揺はない。
「いい加減にしろ!」
ベルセルカーもそろそろ苛立ってきたのか、激しさを増すサイキックの炎。避けきれないと察すれば、ギュスターヴはスレイヤーカードの魔力吸収機能を使って相手のサイキックエナジー吸収を狙うが――渦を巻く青白い炎が、視界を一瞬眩ませる。
「そこだ!」
間髪入れずに名もなきベルセルカーはサイコブレードを起動し、自らが放ったサイキックエナジーを切り払いながら猛突進を仕掛けてきた。この動きはギュスターヴが予知した未来の中にはない。もし全ての災難に完璧な対処が取れるのであれば、彼のいた世界は「見えざる圧政」に今も支配されていただろう。
(……バベルの鎖って完全な味方じゃねえしな。
過去の敵も利用してたし、敵にも利用されるだろうな)
相手に予知能力があると判明すれば、相応の対応を取られて当然。バベルの鎖を過信しすぎたことで足元を掬われた事例など、歴史上にいくらでもある。窮地に立たされてもギュスターヴが落ち着いていたのは、こういうこともあると分かっていたからだ。
「でもよ。予知に合わせてオレの行動は操れるかもしれねえが、空中浮遊しつつホーミングするリンスラの方向は読めねえだろ」
「なッ!?」
名もなきベルセルカーのブレードがギュスターヴを一刀両断する、その寸前。先ほど放たれたきり存在を忘れられていたリングスラッシャーが、大きく円弧を描いて戻って来る。攻撃のために無防備になった敵の背中を強襲する形で。
「……読ませないようにサイキックエナジー吸収だの小技使ってんだ」
「しまッ……ぐぁぁッ!!!」
必ず当ててやる、という気概のもと仕掛けられたギュスターヴ会心の策。予知の裏をかき、さらにその裏をかかれた名もなきベルセルカーを、眩き光輪が切り裂いた。
機械化義体に置換されたボディから吹き出すのは、鮮血とは違う色をした作動液――その流出量は、重大なダメージだと判断するに足るものだった。
大成功
🔵🔵🔵
相馬・雷光
骸の海入りドラッグねぇ……
摂取したら私自身が原材料になっちゃいそうよね
それにドラッグなら自前ので間に合ってるわ
ハオマ・ドラッグを摂取(ドーピング)
冴え渡る【集中力】で【見切り】、【瞬間強化】された【逃げ足】で9倍のブレード斬撃を回避!
近接型と正面からやり合うつもりはないわ
逃げながら全身から【電撃】を放って工場の機械を攻撃
ほらほら、早く捕まえないと大事な工場が壊されちゃうわよ~
電撃の【閃光】に紛れて、爆弾を転がす(物を隠す)
近付いたら……起爆!(死角攻撃・不意打ち)
【体勢を崩した】ところに【リミッター解除】したフルパワー【帝釈天降魔砲】!!
敵も工場も、まとめて消し飛ばすわ!(地形破壊・蹂躙)
「骸の海入りドラッグねぇ……摂取したら私自身が原材料になっちゃいそうよね」
市民をオブリビオン化するために作られたドラッグを使って、猟兵はオブリビオンにならない保証はどこにもない。
自らが生み出したオブリビオンを素材にしてまた新たなドラッグを大量生産する――ある意味ではメガコーポらしい嫌な想像が雷光の脳裏を一瞬よぎった。やはり得体の知れない薬に手を出すものではない。
「それにドラッグなら自前ので間に合ってるわ」
「なんだと?」
工場を防衛する『名もなきベルセルカー』が見ている前で、彼女が取り出したのは「ハオマ・ドラッグ」。古い伝説にある神秘の霊薬を再現したもので、摂取すれば霊力・生命力を賦活し、精神を高揚させる。安全性についても勿論、骸の海ドラッグよりは遥かにマシだ。
「やはり貴様らも、俺と同じ……どこぞの企業に手綱を握られた工作員か」
「一緒にしないで欲しいわね」
一見怪しい薬でドーピングする女ニンジャに対抗して、名もなきベルセルカーは【フォールン・サイコブレード】を発動。漆黒の瞳を輝かせ、サイキックエナジーを凝縮したブレードで斬り掛かってくる。副作用を顧みないドラッグの大量摂取により、その身体能力と超能力は爆発的に増大されているが――。
「近接型と正面からやり合うつもりはないわ」
「ちッ、素早いヤツめ!」
ハオマを飲んだ雷光の集中力は冴え渡り、敵が繰り出す九連続の斬撃を見切り、瞬間強化された逃げ足で回避する。
あちらが暴力に秀でた狂戦士なら、こちらは俊足が売りのニンジャだ。華麗なバックステップで距離を取りながら、彼女は全身から電撃を放つ。
「ほらほら、早く捕まえないと大事な工場が壊されちゃうわよ~」
「貴様
……!!」
それはベルセルカーを狙ったものではなく、工場の機械を攻撃するためだった。精密機械や電子機器だらけの施設において、高圧電撃の使用などご法度だろう。あちこちでショートの火花や爆発が起こるのを見て、敵の顔色が変わる。
「これ以上、やらせるわけにはッ!」
警備任務を果たせなくなる焦りから、名もなきベルセルカーは強引に接近を図る。あのニンジャにこれ以上好き勝手やらせては、戦いの決着がつく前にドラッグの工場がスクラップになってしまう。一刻も早く息の根を止めなければ。
「来たわね……起爆!」
「なッ?! ぐあぁッ!!」
だが、雷光も敵が近付いてくるのを見越して、電撃の雷光に紛れて爆弾を転がしていた。最適のタイミングで炸裂した死角からの不意打ちは、名もなきベルセルカーの体勢を崩す。ここぞとばかりに彼女は能力のリミッターを外した。
「因陀羅耶莎訶! 帝釈天降魔砲!!」
「―――
……!!」
敵も工場もまとめて消し飛ばす、フルパワーの雷撃弾。雷神インドラの名を冠するにふさわしい、天災級の破壊力。
巻き込まれたベルセルカーの悲鳴は雷鳴にかき消され、その姿は雷光の中に消えた。辛くも直撃だけは避けたようだが、奴もサイボーグならば甚大なダメージは免れなかったようだ――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
戦う上でリスクを取る事は悪い事じゃないでござる…だが今日じゃない
オラ!UC発動!今この世界は大体の攻撃がじゃれあいのようなふわっとした世界…貴様の闘争本能も戦う理由もふわっとしてきたでござろう?人を操るとかそういうのもふわっとしてきただろう?ゆるゆるしようぜ…
そうだ…まんじりともせずゆるっとした日常生活を謳歌しろ…!
認識もフワフワしてきただろう…そうだ周りにある
これは美味しいやつだよ(言いくるめ)
お菓子感覚でどんどんとるといいでござるヨ!沢山飲もうな…お代わりもあるぞ!生産工場だしな
沢山摂ったかい?よかったね
オラッUC解除!しこたま出る副作用の気分はどうだ?感想を述べよ!UC発動!
「戦う上でリスクを取る事は悪い事じゃないでござる……だが今日じゃない」
これまでよりも真面目なトーンで、ドラッグの使用を拒否したのはエドゥアルト。あるいは今のも好きな作品の引用なのかもしれないが、言っていることは真っ当である。実力でこの場を解決する自信があるのなら、副作用のある薬に手を出す必要はない。
「オラ! ユーベルコード発動!」
いずれにせよ彼のテンションはすぐに普段通りに戻った。【日常系キラキラタイムふわふわ】により、戦場にバグの雨が降り注ぐ。現実空間さえハッキングする電脳魔術をもって彼が創造するのは、全体的にふわふわした世界だった。
「……なんだ? なにをした、貴様……」
悪徳と電脳が支配するサイバーザナドゥとは、あまりに異質というかジャンル違いの世界観。突然日常アニメの中に迷い込んだような違和感に『名もなきベルセルカー』が困惑する。試しにサイキックエナジーを放ってみても、まるで手応えがない。
「今この世界は大体の攻撃がじゃれあいのようなふわっとした世界……貴様の闘争本能も戦う理由もふわっとしてきたでござろう? 人を操るとかそういうのもふわっとしてきただろう? ゆるゆるしようぜ……」
世界観にそぐわないガチの暴力とか殺し合いは、自動的にふわふわした感じに変換される。語感はユルいが実の所、かなり凶悪なユーベルコードである。狂戦士とまで呼ばれたメガコーポの忠実な戦士から、毒気が抜かれていく――。
「――……なんだか任務とか面倒くさくなってきたな」
「そうだ……まんじりともせずゆるっとした日常生活を謳歌しろ……!」
闘志を萎えさせぼんやりと立ち尽くすベルセルカーに、ワルい笑顔で囁きかけるエドゥアルト。ドラッグで増強した身体能力やサイキックは単純な力比べでは脅威でも、このような状況には対処できない。搦め手に弱いのは狂戦士らしいとも言えるか。
「認識もフワフワしてきただろう……そうだ周りにある
これは美味しいやつだよ」
「あー、そうなのか。ほんとだ、うまい」
ダウナー系ドラッグをキメた時のように――もしくはそれ以上にふわふわした感覚のまま、ベルセルカーは工場に積まれていた薬に手を伸ばす。中毒者をオブリビオン化させるほどの劇薬を、そんな気軽に使って良いはずないのだが、そんな正常な判断力はとうに失われていた。
「お菓子感覚でどんどんとるといいでござるヨ! 沢山飲もうな……お代わりもあるぞ! 生産工場だしな」
「ありがとう。うまい、うまい……」
サブカルオタクなエドゥアルトの影響なのか、言動までちょっと怪しくなりながら、ラムネ菓子を貪るように骸の海ドラッグを摂取するベルセルカー。彼にオブリビオンとして薬物耐性があったとしても、明らかなオーバードーズだ。
「沢山摂ったかい? よかったね。オラッユーベルコード解除!」
「――……?! お、俺はなにを……おえッ!? ぐおぇッ!!」
頃合いを見てエドゥアルトがふわふわタイムの終了を宣言した瞬間、誤魔化されていた副作用は一気に顕在化する。
脳ミソをグチャグチャにかき回されるような不快感、サイケデリックな色彩に歪む視界。嘔吐感に耐えきれず胃の中のものを吐き出し、地べたをのたうち回る。これぞジャンキーの無様な末路そのものだ。
「しこたま出る副作用の気分はどうだ? 感想を述べよ! ユーベルコード発動!」
「や、やめろ……あ、頭がおかしくな……うぁぁッ!?」
悶絶する敵を煽り散らしながら【日常系キラキラタイムふわふわ】とリアルの環境を交互に繰り返すエドゥアルト。
脈絡なく切り替わる環境のアップダウン、
熱帯魚が即死するレベルの温度差に名もなきベルセルカーは対応できず、肉体も情緒もメチャクチャにされて悲鳴を上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ツォーナ・ロチェアーダ
こちらがドラッグを使用する訳には行きませんね。
…ボクも【覚悟】を決めないといけないかもしれません。
相手はユーベルコードにより激しい攻撃の連打を放ってくるでしょう、躯の海に侵されている事を考えればデメリットを回避するためにわざわざ味方を攻撃しに行くという事はしないはずです。
…構わず巻き込む、という事はするかもしれませんが。
なのでボクに出来る事はひとまずとにかく耐える事!
相手の剣筋を【見切り】、【武器受け】で防ぎます!
完璧でなくてもいい、とにかく耐えるんです!
相手もユーベルコードである以上、その攻撃に終わりが来る時はかならずあるはず!
おそらく兆候は…相手の瞳の輝き!
それを【見切り】、ユーベルコードの終わり際にバングル型のガジェット、カーバングルを盾型に変形させ【カウンター】で相手の攻撃を受け止めながらシールドバッシュで突っ込みます!
これが相手の攻撃を受けた直後に放てば威力が7倍になるユーベルコード、カンターインパクト!
上手く行ったならば、施設ごと吹っ飛ばす勢いで衝撃波を放ってやりましょう!
「こちらがドラッグを使用する訳には行きませんね」
敵と同じように破滅のリスクのある薬物に手を出すという選択は、最初からツォーナの頭にはなかった。かと言ってこのままでも楽勝だと思っているわけではない。破滅と引き換えに刹那の力を手に入れた『名もなきベルセルカー』の強さは、対峙した時点でひしひしと感じる。
「……ボクも覚悟を決めないといけないかもしれません」
ドーピング抜きで勝利を掴み取ろうとするなら、伸るか反るかの大勝負が必要になる。失敗すれば無論、生命の保障はないだろう――だが、ここで撤退する選択はそれこそあり得ない。彼女は剣を構え、まっすぐな眼差しで前を見た。
「抹殺だ……侵入者は全て、抹殺、する
……!!」
対するベルセルカーは血走った狂戦士の目で標的を捉え、ユーベルコードによる激しい連続攻撃を繰り出してくる。
彼の【フォールン・サイコブレード】は闇雲に使用すると寿命を削るが、躯の海とドラッグに侵されている事を考えれば、デメリットを回避するためにわざわざ味方を攻撃しに行くという事はしないはず――ツォーナの予想通りだ。
(……構わず巻き込む、という事はするかもしれませんが)
工場の備品だけは絶対に傷つけないように厳命されているのか、すでに理性の怪しい状態でも敵の標的はブレない。
なので、ここでツォーナに出来る事はひとまず耐えること。敵の剣筋を見切り、ともかく受けて防ぐのに集中する。
「完璧でなくてもいい、とにかく耐えるんです!」
「耐えきれると、思うなッ……!」
人間の限界を突破したフィジカルと、凝縮されたサイキックエナジーによる猛攻が、次々とツォーナに襲いかかる。
名もなきベルセルカーの戦い方は、一瞬に全てを燃やし尽くす花火のよう。この戦いに勝ったとしても先は長くないだろう。だがそれ故に恐るべき破壊の乱撃に、ツォーナは必死の覚悟で抗う。
(相手もユーベルコードである以上、その攻撃に終わりが来る時はかならずあるはず!)
愛剣ロチェアーダでサイコブレードを受け流し、捌ききれなくても致命傷だけは防ぐ。爽やかな青と白の衣装が血の赤に染まっていくさまは痛々しいが、彼女の瞳はまだ諦めてはいない。逆転のチャンスを見逃すまいと、歯を食いしばって前を向く。
(おそらく兆候は……相手の瞳の輝き!)
漆黒に染まったベルセルカーの瞳から輝きが消える時。それがユーベルコードの終わり際だと見切ったツォーナは、バングル型のガジェット「カーバングル」を盾型に変形させてカウンターを仕掛けた。盾の装甲で相手の攻撃を受け止めながら、そのままシールドバッシュで突っ込む。
「盾の役割が防御だけだと思ったら大間違いですよ!」
「なんだとッ?!」
耐えに耐えたぶんの鬱憤を晴らすように、シールドごと全身でぶつかっていく渾身の一撃が、名もなきベルセルカーに直撃する。これ以上ないほど完璧なタイミングでカウンターを決められ、敵は驚愕と焦りを抱くが――彼女の逆襲はまだ終わっていない。勝機を捉えた翠の双眸が、爛々と輝きを放っている。
「これがボクのユーベルコード、カウンターインパクト!」
ツォーナがぐっとシールドを押し込むと、ガジェットに充填された魔力が一気に解き放たれ、衝撃波を発生させる。
その威力は、相手の攻撃を受けた直後に当てることで通常時の7倍まで増幅する。マジックナイトの武技とガジェッティアの技術力、両方あってこそ成立する必殺のカウンター。
「あなたは強かった。だけど、ボクの勝ちです!」
「ぐッ……お、おぉぉぉぉぉッ
!!!!?」
全身全霊の覚悟を込めたその衝撃は、直撃した名もなきベルセルカーを吹き飛ばすのみならず、工場にまで及んだ。
巨大な竜巻が過ぎ去っていったかのような絶大な破壊力。施設に保管されていた骸の海を含有するドラッグ、そして備品や設備の数々は、一瞬にして半壊の憂き目となった――。
大成功
🔵🔵🔵
森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
…名もなきベルセルカー
その名にうっすらと聞き覚えがあるが
てめぇが名を奪われた事情は今は関係ねぇ
このドラッグをばら撒く奴は俺たちの『敵』だ
…ぶっ潰す
ドラッグを口に入れながら真の姿解放
人格も暗殺者人格『零』にチェンジし、冷徹な暗殺者に
…俺もかつて薬物投与でサイコブレイカーに覚醒した身
この身体はとっくに骸の海に蝕まれている
心身共にさらに蝕まれようが、もはや気にしない
青白き炎の挙動を「視力、見切り」で回避しつつ指定UC発動
漆黒の雷で乱雑に「範囲攻撃」しつつ二槍を手に接近
雷が命中したら即座に背後を取り
「不意討ち」で頭を掴みサイキックエナジーを流し込み洗脳
洗脳出来たら、失われた名や記憶を思い出すよう命じる
記憶の檻に囚われたら、一通り聞き遂げてから「ランスチャージ、暗殺」で確実に仕留めよう
※思い出す記憶はMS様が自由に決めてOK
奴を倒したら、演出で【破壊工作に勤しむ暗殺者】を発動
機械化義体化している左腕を切断し、EMP爆弾に変えて工場全体の電気系統及び通信を全て破壊する
「……名もなきベルセルカー。その名にうっすらと聞き覚えがあるが、てめぇが名を奪われた事情は今は関係ねぇ」
欠けた記憶の闇に引っ掛かりを感じながらも、陽太の行動方針に変更はなかった。ドラッグ製造工場は必ず破壊するし、誰に邪魔されようが容赦はしない。憎きクワハラ・ファーマシーが垂らした尻尾の一つを、ようやく掴んだのだ。
「このドラッグをばら撒く奴は俺たちの『敵』だ……ぶっ潰す」
その為なら彼はリスクを冒すことにも躊躇いがなかった。工場に保管されたドラッグを口に入れ、汚染と引き換えに能力をブーストしながら、真の姿を解放する――白のマスケラを被り、血塗られた刃を携えた、冷徹な暗殺者の姿に。
「……俺もかつて薬物投与でサイコブレイカーに覚醒した身。この身体はとっくに骸の海に蝕まれている」
人格も暗殺者人格『零』にチェンジし、より剣呑な殺気を放つようになった陽太は、平然とした様子でそう言った。
ドラッグの副作用で心身共にさらに蝕まれようが、もはや気にしないということか。1ミリも揺らぐことのない暗い覚悟が、彼を衝き動かしている。
「貴様も、俺と同じか……だが俺の任務は……死守だ!」
その有り様に『名もなきベルセルカー』も共感めいたものを抱いたか。だがそれでブレないのは彼とて同じことだ。
燃え尽きようとする蝋燭が、最後の輝きを放つように。その身から溢れたサイキックエナジーは青白い炎状となって侵入者に襲い掛かった。
「その力、そのいのち……奪わせてもらう」
陽太――いや『零』は、青白き炎の挙動を超人的な動体視力で見切り、ドラッグで強化された運動能力で回避する。
同時に発動するのは【ブラック・ドレイン・ライトニング】。生命エネルギーとサイキックエナジーを吸収する漆黒の雷が、周囲一帯へと乱雑に放射される。
「俺のいのちなどくれてやる……だが貴様の好きにはさせるか! 絶対に、ここは守る!」
名もなきベルセルカーも【フォールン・カリギュラ】の範囲を広げて、工場に被害が出ぬように黒雷を受け止める。
両者ともに強大なユーベルコードのぶつかり合い。外的因子による強化度も同程度となれば優劣は早々には付かず、拮抗状態が生じる。
「本当に、それでいいのか?」
雷と炎がせめぎ合う間に『零』は濃紺と淡紅の二槍を手に接近を図る。暗殺者として洗練された彼の動きは、雷光や陽炎に紛れてあっというまに敵の背後を取り――名もなきベルセルカーが振り返るよりも速く、不意打ちで頭を掴む。
「思い出せ。あなたの失われた名や記憶を」
「ッ、なにを……ぐ、おおぉぉぉッ
!!?!?」
ユーベルコード同士の激突を通じて、黒雷が吸収したサイキックエナジー。彼はそれを利用して他者の治療や洗脳を行える。すでにメガコーポの洗脳調教を受けた人間に対しては、逆に正気だった頃の記憶を取り戻させることも。厳重に施された脳髄のプロテクトを、暗殺者の御手が強引にこじ開ける――。
「お、俺は……いや、違う……そうだ、僕は……」
苦悶に歪んだ名もなきベルセルカーの表情が、ふいにふっと緩む。その目線はここではない何処かを見ているように曖昧で、声音にも年相応の少年らしさが戻る。『零』が目論んだ通りに彼は今、クワハラ・ファーマシーに洗脳される前の記憶の中にいるのだ。
「父さん……母さん……よくも、みんなを……許さないぞ、クワハラ・ファーマシー……!」
彼もかつては、どこかの町で暮らす普通の少年であり――メガコーポの暴虐に憤り、反旗を翻した者の1人だった。
心優しき少年は、大切な人たちを守るために企業という強大な敵に蜂起し、そして敗れた。理想や信念だけで世界は変えられない、冷たい現実の犠牲者として。
「ああ……ごめん、みんな……守れなくって、ごめんよ……」
故郷の家族や、共に戦った仲間達を幻視しているのか。少年の目から止め処なく涙が溢れ、青白い炎が消えていく。
幾度も繰り返された洗脳と薬物投与の苦痛は、彼から全てを奪い去ってしまった。戦う理由も、信念も、本当に守るべきものは何だったのかすら忘れて、憎むべきメガコーポの走狗に堕ちた。
「それが、あなたの過去か」
聞き遂げた全てと彼の「本当の名」を心に留め、『零』は静かに槍を構える。記憶の檻に囚われた少年はいまや完全に無防備であり、こちらの殺気に気付いてもいない。あとは確実に仕留めるため、そして苦しみから解放するために、渾身の一突きにて暗殺を遂行する――。
「……ごめん……あり、がとう……」
少年が最期に残した言葉は、一体誰に向けたものだったのか。名もなきベルセルカーはゆっくりと床に崩れ落ちる。
その心臓の鼓動が止まるのを確認してから、『零』は【破壊工作に勤しむ暗殺者】を発動。
機械化義体化している左腕を切断し、EMP爆弾に変換して起爆する。
「任務完了」
撒き散らされる電磁波によって全ての電気系統及び通信は完全破壊され、ドラッグ製造工場の復旧は不可能となる。
暗闇と静寂に包まれれた地下で、暗殺者は闇に溶けるように去っていく。微かな雷光のまたたきだけを残して――。
かくして、猟兵たちはクワハラ・ファーマシー傘下のヤクザ事務所を壊滅させ、秘密地下工場の破壊を成し遂げた。
人々をオブリビオン化させる骸の海ドラッグの流通も、これで減少するだろう。メガコーポが張り巡らせた悪徳の根は深けれど、その一つ一つを断ち切ることが、この世界の未来を繋ぐのだ――。
大成功
🔵🔵🔵