ここは、ご存じ、サムライエンパイア。
もちろんオブリビオンの脅威はございますが、大きな戦があったというどこぞの時空にくらべれば平気の平左にございます。多分。
さてさて、とある地方。お殿様もわりかし良いお人なお陰で、人々の生活は比較的安定し、日々のんびりにございます。
されどそんな土地にも、オブリビオンどもがひそんでいるのございます。いやいや、安穏としているからこそ、悪事の準備にはもってこい、って寸法ですぜ旦那。
恐るべき悪の巣窟の在処は、元はお武家様の住んでいた屋敷にございました。今は荒れ果て、空き家です。そこを利用したのです。
「たぬたぬたぬ……」
その屋敷で身を寄せ合っているのは、妖怪タヌキども。いずれも鎧に身を包み、戦場に出るのを今や遅しと待つ、血気盛んなタヌキ武者でございます。
「我らタヌキ兵団、この世界に覇を唱えるものなり!」
「おおー!」
首魁らしき、ひときわ立派なカブトのタヌキの声に合わせ、同朋が吠えます。
タヌキ、タヌキ、タヌキ、あ、パンダ。タヌキ。
こやつらは、一大タヌキ軍団を結成し、大侵略作戦を決行するつもりにございました。
かくして、サムライエンパイアに戦乱の嵐が巻き起ころうとしていたのでございます。
「オブリビオンが集結し、人里に大襲来するという動きを察知したのでございます」
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)によれば、その世界は、サムライエンパイア。
しかし、オブリビオンの集結は未だ途中で、詳細な集結場所などは予知できなかったという。
「そこで、猟兵の皆様に現地に赴いていただき、直接情報を集めていただきたいのでございます」
場所は、峠の茶屋。噂に敏感な商人や、旅人などが行き交う場所だ。ここなら、何らかの情報を手に入れる事も充分可能だろう。
「喉が渇いたり、お腹がすいたりしても、すぐに休むこともできますしね」
一石二鳥である。
茶屋を行動拠点にして、少し周辺に足を延ばしてみるのも悪くないかもしれない。
そうして、ある程度情報が集まり、敵の集結場所の目星がついたら、いよいよ殴り込みである。
「ただ、茶屋周辺には、タヌキとは別の、物の怪が出没するという情報をキャッチしております。何やら『白くて』『モフモフしている』とか……」
詳しくは皆様の目で確かめてくださいませ、とヴェルタールは言う。
「妖怪タヌキをバッタバッタと成敗して、危機を未然に防いでいただけますと、幸いです。奴等に勝ち鬨を上げさせてはなりません」
七尾マサムネ
タヌキ武者大発生の巻、でございます。
●第一章
峠の茶屋で情報収集。どんな人に話を聞くかがカギとなります。
まったりしつつ。
●第二章
敵本拠地への道中です。
戦闘はありませんが、物の怪の類に対処が必要ですモフ。
●第三章
決戦です。
タヌキ屋敷に殴り込みをかけ、オブリビオンである妖怪タヌキ達を撃破します。
それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
第1章 日常
『茶屋にて一服いかがでしょう?』
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POW : お茶の味を楽しみながらまったりとする。
SPD : 和菓子の味に舌打ちながらまったりとする。
WIZ : 茶屋からの景色を眺めてまったりとする。
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目面・真
甲冑とアームドフォートは後で回収できるようにしまっておいて、羽織袴姿で件の茶屋へ向かおうか。
山道の休憩所のようなモノか。眺めもイイ場所のようだ。
まず店の娘に、この辺りの環境について聞いてみようか。
普段からいる者の方が、ちょっとした環境の変化に敏感なモノだからね。
何か変わったコトはナイだろうか?
それにしてもイイ茶だ。これは行商から買っているのかな?
街道の上下から来た者を一人ずつとも世間話でもしてみようか。
何か妙なモノを見た者がいるカモシレナイからね。
情報を総合して、怪しそうな場所へ赴いてみよう。
途中で甲冑とアームドフォートを拾って装着しておくコトも忘れないようにな。
峠の茶屋に、羽織はかま姿の猟兵が現れました。
目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)でございます。愛用の甲冑やアームドフォートは、今は仕舞いこんであります。
真が腰を落ち着けたのに合わせて、店の奥から出てきたのは、茶屋の娘さんでした。若く美人です。のほほん、とした笑顔が印象的です。
真は、とりあえず、茶を一杯注文します。
「山道の休憩所のようなモノか」
眺望もよい場所だと、真が辺りを見回していると、ほどなく、茶屋娘さんが茶を運んできてくれました。
ずず、と茶をすすります。熱いです。それがよいのです。
さて、情報収集です。手始めに、茶屋娘さんを手招き致します。
灯台下暗し、とでも申しますか。日々旅人を相手にしている者の方が世情にも詳しく、わずかな環境の変化にも敏感だろうと、そう考えたからでございます。
「それにしてもイイ茶だ。これは行商から買っているのかな?」
真に褒められた茶屋娘さんは、頬に手を当てて、にこりとしました。
しばし当たり障りのない会話をした後、真は本題を切り出しました。
「時に……ここのところ、何か変わったコトはナイだろうか?」
「変わった事……最近、『タヌキ』の話題を出すお客様が多い気がしますねえ」
特に、あちらの方から足を運んでくださるお客様が、と茶屋娘さんは、店から向かって右側の道を指しました。
それから真は、訪れる人々にも声をかけ、情報を探りました。やはり、タヌキの噂に詳しいのは、一定の方角から訪れる人のようです。
中でも、笠をかぶった浪人風の男性は、妙なものを見たようでした。
「雪の如く真白い小さき獣が、森からのぞいておってな。不吉を感じたゆえ、先を急いだが……」
ふむ、と真は、その証言を心に留め置きました。
タヌキ共の潜伏場所の、おおよその方角はつかめました。後は自分の足にて調査してみましょう。
真は、装備の回収に向かいます。
成功
🔵🔵🔴
パフィン・ネクロニア
んー平和平和。たまにはこうやってゆっくり茶を飲むのもいいもんじゃ。
なんてくつろいでるだけじゃ何も始まらんし、ぼちぼち動くかのぅ。
っとその前に草だんごのおかわりを。あんこはましましで頼むぞぃ。
とりあえずは土地勘のありそうな商人に聞き込みじゃな。
こう平和じゃと些細な事でも変化があれば何か気付いてそうなもんじゃしな、なんか変わった噂話やあまり人目につかないような開けた場所なり廃屋
なりあったらいいんじゃが。
あとはここらで出るという物の怪の話じゃったったっけ?
こっちは自分で探してみるかの。
しかし白くてモフモフのぅ。綿菓子が化けて出るんかのぅ?
パフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)も、茶屋の長椅子に腰を落ち着けて、まったり団子を味わっておりました。
空は快晴です。サムライエンパイア晴れです。
「んー平和平和。たまにはこうやってゆっくり茶を飲むのもいいもんじゃ」
ゆる~く過ごすパフィン……ですが、ここに来た目的も忘れてはおりません。ぼちぼち仕事に取り掛かりましょう。
「……っとその前に、草だんごのおかわりを。あんこはましましで頼むぞぃ」
「承りました~」
茶屋娘さんがお盆を抱いて、店の奥に消えていきます。
さてさて、パフィンが白羽の矢を立てるのは、商人です。
何せ、商いにどう関わってくるともわかりませぬ。本当に妖怪が跋扈して村が襲われたり、街道が潰されたりするようなことになれば、死活問題です。
やがて、パフィンの眼鏡にかなう商人さんが、店を訪れました。
茶屋娘さんとのやり取りも慣れた様子で、常連さん風を吹かせています。ぴゅーぴゅーです。
パフィンは、何気なくそばに移動すると、話を切りだしました。
「ほほう、商いをしておるのですかな。なれば、世情には詳しいのでしょうなあ」
「アンタも行商かね。なら知っておるか、妖怪タヌキの噂」
商人さんが言いました。向こうから来ました。
「ざっくりとした出没場所はわかっとるでな、その辺りには近づかんようにしとるが」
妖怪タヌキが暴れて被害が出る事になれば、商売あがったりだ、とパフィンに言います。
「そんときゃ、武器屋に鞍替えせんといかんな」
冗談めかして笑う商人に、タヌキの出没する地域の地図を描いてもらったパフィンは、物の怪の件にも探りを入れてみます。
「妙な小動物の話かね。そちらの正体はわからんが、森の様子がおかしくなっているのは確からしい。うすら寒いというか……」
「……白くてモフモフとか言っておったのぅ。綿菓子でも化けて出るんかのぅ?」
パフィンは、頭をひねりました。
成功
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乃木坂・御凪
※アドリブ連携歓迎
たぬきの兵隊さんとは、何とも可愛らしい軍団ですね
しかし、オブリビオンである以上、見過ごすわけにもいきませんね
ここは心を鬼にして、たぬき退治といきましょう
あ、あとパンダもですね
さて、まずは茶屋での情報収集でしたか
ここはシンプルに茶と……お団子でも頼んで、その味を楽しみながら情報収集をしてみます
そうですね、茶屋の主人や従業員の人に話を聞いてみたいです
多くの人が行き交う茶屋で働いているなら、噂話を小耳に挟む機会も多いはず
【コミュ力】を活かして世間話から入り、たぬきや物の怪の話題を出して上手く話題を誘導してみます
廿楽尾・マキナ
まったく、この太平の世に戦を起こそうなんて、やっぱり狸はロクな連中じゃありませんね!
私はお店の人に聞き込み。
お団子でも食べながら、最近物の怪の類の噂はないかとか、
この辺りにお武家様が昔住んでいた屋敷はないかとか。
美味しいお団子だったら、聞き込みにかこつけて食べすぎちゃうかも。
ある程度、情報を集めたら、得られた情報をもとに、周囲を探索。
あまり有益な情報を得られなかったら他の人のお手伝いをしようかな。
「さあ、腹ごなし……じゃなかった、お仕事の時間ですよ!」
タヌキの兵隊さん。それだけ聞くと何とも可愛らしい軍団です。わいわい集まっている様子を想像すると、どこか憎めぬ愛らしさ。
ですが、オブリビオンである以上、猟兵である乃木坂・御凪(人間の探索者・f00549)にも見過ごすわけにいかぬのが世の定め。
御凪の心が、鬼になりました。タヌキ退治です。それとパンダ。
まずは、情報をかき集めるといたしましょう。茶屋を訪れた御凪は、とりあえずお茶とお団子を注文しました。
すると、先客がおりました。同じく猟兵の、廿楽尾・マキナ(見習いガジェッティア・f15660)でございます。
「お待たせいたしました~」
ほんわり、湯気を連れて。
茶屋娘さんが御凪達の元に、注文の品を運んでまいりました。お団子は三串。それぞれ、緑色、小豆色、そして醤油色です。
「この醤油のお団子、美味しいですね」
程よいしょっぱさと、こんがり焼け目。香ばしさとモチモチ感の二重奏。
「まったく、この太平の世に戦を起こそうなんて、やっぱり狸はロクな連中じゃありませんね! お団子は美味しいですけど!」
あんこたっぷりのお団子に食いつきながら、マキナは威勢の良い声を響かせます。
さてさて、御凪とマキナは、示し合わせて、茶屋娘さんに話しかけました。
「すいません、1つ聞いてもよろしいですか?」
「お団子の作り方ですか? 企業秘密なんです~」
茶屋娘さん、のんびりさんです。
御凪は、そう思いながらも質問を続けます。
「いえ、最近、変わった噂を耳にはしませんでしたか? ……たとえば、タヌキが出てくる噂、とか」
「お客さん、鋭いですね~」
きらーん、と茶屋娘さんの目の端が光りました。もちろん気のせいです。
「もしかして諸国を漫遊している公儀隠密さんですか~?」
「いいえ違います」
よしんば本当だったとしても、はいそうですとは答えられないのです。
「タヌキの件は、一番『ほっと』な話題ですね~」
そして御凪は、噂がいつ頃、どの辺りから訪れる客の情報なのかを聞き出していきます。さすが、元・刑事です。
そこへ、店主らしき男性が姿を現わしました。茶屋娘さんの相手をする御凪に代わって、マキナが声をかけました。
「むぐむぐ……失礼するけど、最近、何か変わった事はないかな? ほら、物の怪が出た、とか」
するとご主人さんは、そうですな、と記憶を探るように首をかしげておりましたが、ぽむん、と手を打ちました。
「白いもこもこ、ですかな」
「もこもこ?」
2本目のお団子に手を伸ばしながら、マキナは、話の続きに耳を傾けます。
「山のふもと辺り……でしたかな、森に白いもこもことした生き物が目撃されるようになりましてな」
「ふもと」
「前は別段悪さをする様子もなかったのですが、最近何やらよくない気配を放っているようで、その森を迂回する旅人も多いとか」
マキナと御凪は、頷き合いました。
悪事を企むタヌキの居場所に直接つながるものではありませんが、これはなかなか有力な情報ではないでしょうか?
妖怪タヌキの影響で、その白いモフモフ……物の怪が活性化した、とも考えられます。この仮説が正しいとすれば、その周囲を調べることで、元凶であるタヌキの居場所も突き止められるはず。
マキナは、お団子をもぐもぐしながら、モフモフに思いをはせました。
それから、他のお客さんにも話を聞いた御凪とマキナは、情報を突き合わせました。噂の流れ始めた時期、噂の出どころ、そして、タヌキがいるとされる場所……。大分、目星がついてきました。
「さあ、腹ごなし……じゃなかった、お仕事の時間ですよ!」
マキナは、いよいよ出立する事にしました。
「あ、お代を~」
「そうだった。……って」
皿を見れば、ずいぶんな数の串が重なっています。マキナは、ついつい食べ過ぎてしまったようです。腹ごなしも一苦労の予感でございます。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ポク・ョゥョゥ
なんだかー呼ばれた気がしたのー
ヴェルタールたんいってきまーす
お茶屋さんだーいいにおーい
ぽくねーぱんだなのー
あがめよー
お菓子とお茶くだしゃーい
甘いのおいしー。お茶が丁度いいーねー
まったーりー…うー?
皆ぽくを見てるおーぱんだ珍しいのかなー?
両手上げてあがめよぽーずでご挨拶〜
ぽく怖くないよーぽよぽよだよー触ってもいいよー
仲良くしよー
情報収集しなきゃー
それじゃあねー、噂好きでー現地周辺に住んでそうな人がいいかなー
ふえ吹いたりーお話ししたりーで打ち解けてからー
ねーねー、この近くに昔お武家様が住んでたお屋敷ってあるのかなー?
って聞くよー
場所も聞いたらお礼するのー
出発前にお土産買うよー
後でぱくと食べるんだー
タヌキとパンダ。……パンダ。
どうにも他人事とは思えないポク・ョゥョゥ(よろしくなの〜・f12425)は、ヴェルタールにいってきますのご挨拶をすると、茶屋にお邪魔しました。
さっそく、ポクのお鼻を、良い香りがくすぐります。
「ぽくねーぱんだなのー。あがめよー」
「あ、あがめ~……?」
ポクのご挨拶に面食らった茶屋娘さんでしたが、注文はしっかり取ります。さすがプロです。
ほどなく、お団子とお茶が運ばれてきます。どちらもほかほかです。
「まったーりー……うー?」
甘いお団子に舌鼓を打っていると、ポクはなんだか周りから視線を感じます。びしばしです。
「皆ぽくを見てるおーぱんだ珍しいのかなー?」
かもしれません。
そこでポクは、両手を挙げて、ご挨拶しました。本日二度目のあがめよポーズです。
「ぽく怖くないよーぽよぽよだよー触ってもいいよー。仲良くしよー」
得意の笛をぷっぷく吹いたり、愉快なお話をしたりしているうちに、あっという間に茶屋の人気者になりました。
「きゃくよせぱんだー」
かように人が集まってきてくれたので、ポクはこのチャンスを生かすことにしたのでございます。
「ねーねー、この近くに昔お武家様が住んでたお屋敷ってあるのかなー?」
「おや、そんなもんを探してるのかい?」
手を挙げたのは、休憩中の飛脚さんでした。
「山を1つ越えた所に、立派なお屋敷があったなあ。だいぶ前に、ご当主が謀反の疑いだかで取潰しになったんだったかな……ともかく、今は誰も近寄らんそうだ」
目ぼしい家財もなくなってるらしいしな、と飛脚さんは泥棒目線で答えました。冗談のつもりのようです。
「ありがとー」
ともあれ、お礼を告げたポクは、とりあえず、教えてもらった場所を目指す事にしました。
その前に、茶屋娘さんにお願いして、お団子を包んでもらいます。道中、ともだちのまっしろドラゴンと一緒に食べるのでございます。
成功
🔵🔵🔴
シュシュ・シュエット
白くてモフモフしている物の怪さん……!
ぜひ、お目にかかりたいですねっ。
そのためにも、まずはお茶屋さんでの情報収集を、しっかりとがんばりましょうっ。
おなかがすいたらなんとやら……と言いますし、
何か大きなことを起こそうものなら、相応のご準備が必要になると思うのですっ。
ごはんを食べたり、資材を集めたりと、お外を出歩く機会も増えるはず。
峠の猟師さんや山林へ立ち入るお仕事をされている方々に、
『何かふしぎなことはなかったか』*コミュ力を活かしてお訊ねしてみましょうっ。
峠道ですし、もし野生の動物さんがいらしたら、
同様に*動物さんにもお聞きしてみたいですねっ。
……えっと、あと、和菓子もいただきたいです……っ!
シュシュ・シュエット(ガラスの靴・f02357)は、妙にそわそわの様子でございます。
「白くてモフモフしている物の怪さん……! ぜひ、お目にかかりたいですねっ」
その気持ち、わかります。わかりますとも……!
……閑話休題。
白モフさんと出会うためにも、まずは第一の任務を遂行いたしましょう。シュシュは、件の茶屋を訪ねます。
おなかがすいたらなんとやら。何か大きなことを起こそうものなら、オブリビオンとてそれ相応の準備が必要になるはずでございます。
腹ごしらえのために食料を調達したり、必要な資材を集めたり。必然的に、外を出歩く機会も増え、人目につく可能性も上がるはず、と予想します。
そこで、シュシュが白羽の矢を立てたのは、山林へ立ち入る仕事をしている人々でした。たとえば、猟師さん達ですね。
美味しい和菓子を頂いていると、ちょうど、これから一仕事、という猟師さんズが、そばの席に腰を下ろしました。
「あの、すいませんっ」
シュシュは、用意していた質問を投げかけてみました。最近、この辺りで何かふしぎなことはなかったか、と。コミュ力高い猟兵さんばかりです。
すると、口の周りに立派なヒゲを蓄えた方の猟師さんが、話してくださいます。
この辺りで、野生のタヌキを仕留めた猟師が、謎の怪異に襲われ、行方不明になった……そんな噂が猟師の間で流れているそうなのです。
「だから最近は、狐とか別の動物を獲物にしてるのさ」
「山の神様がお怒りになってるのかもしれんしな。くわばらくわばら」
お嬢ちゃんも気を付けなよ。そう忠告して、猟師さんズは茶をしばいた後、出かけていきました。
それからシュシュは、峠道の野生動物にも、聞き込みを行いました。
よく茶屋に餌をもらいに来る野良猫さんによると、『なぜだか野良タヌキが最近いばっている』らしいです。ついでに白いモフモフの事も聞きました。
『それなら冷たいウサギだにゃー』
これは重要情報ではないでしょうか。
成功
🔵🔵🔴
神宮時・蒼
…茶屋とは、いろいろな、情報が、集まる場所…。
…有益な、情報は、ある、でしょうか。
【SPD】or【WIZ】
何やら、だいぶ騒がしい妖怪のようですね。
ならば、その声が漏れ出て、怪異として話が伝わっているかもしれません。
そんな話がなされていないか、お茶を飲みながら聞き耳を立てましょう。
もしかしたら、それ以上に面白いお話が聞けるかもしれませんし。
茶屋から近いうわさがあれば、直接足を運ぶのもやぶさかではありません。
しっかり自分の目で見て、情報の真意を確かめましょう。
…それにしても、お茶、美味しいですね。…お団子も、美味しいですし。
…いいお天気、ですね…。
黒瀬・ナナ
【SPD】
さてさて、腹が減っては何もできないわよね。
茶屋の店員さんのオススメの和菓子を頂きながら、まったり情報収集しましょうか。
あちこちを巡る旅人さんなら、何か変わったものを見たり聞いたりしているかもしれないわね。
『コミュ力』には自信があるから、人懐っこく話しかけて。旅の話や他愛もない世間話等も聞きながら、オブリビリオンに繋がる情報を探ってみるわね。
『聞き耳』も立てて、他の人達の話し声や、周囲の物音等にも注意を払っておきましょうか。
何か気になる声や音を拾ったら、話を聞いたり詳しく調査したりするわね。
あ、この和菓子美味しい!
もう一つ、頂いても良いかしら?
※他PC様達との絡み、アドリブ歓迎
妖怪タヌキにつながる、有益な情報を、自分も拾えるでしょうか。
神宮時・蒼(終わらぬ雨・f03681)もまた、茶屋に赴き、調査に取り掛かりました。
グリモア猟兵から聞いた話によれば、かの妖怪どもは、いささか騒々しい様子。タヌキ屋敷から漏れ出た声や音を聞きつけ、怪異譚として知る者もいるかもしれませぬ。
ずず、と茶をすすりながら、蒼は、茶屋を訪れる人々の話に、聞き耳を立てるのでございます。
「……それにしても、お茶、美味しいですね」
お団子も美味しいです。
「……いいお天気、ですね……」
鳥が鳴き、雲が流れます。
…………。
蒼が、うっかり平穏に埋没しかけた頃、新たにやってきたのは、黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)でした。
ナナと入れ替わりに、他の猟兵さんが出てきましたので、ちらりと情報を確認させてもらいました。
お腹がすいては、戦どころか、情報収集もできませぬ。さっそくナナも、茶屋娘さんに注文です。
「オススメの和菓子はあるかしら?」
「はい、お豆から作ったあんこをたっぷり載せたお団子です~」
なんでも、そのあんこ。懇意にしている行商人がとある村で食して、とても気に入ったらしく、この茶屋でも出してみないかと持ち掛けられたそうなのです。
「今すぐお待ちしますね~」
茶屋娘さんの背中を見送ると、ナナもしっかり聞き耳を立て、他の客の話し声などにも注意を払います。
茶屋を訪れる人々は、割とひっきりなしです。諸国を漫遊、あちこちを巡る旅人なら、噂にも敏感でしょうし、何か変わったものを見聞きしているはずでございます。
すると、何組目の客だったでしょうか。青年2人組が額の汗をぬぐいつつやってきました。どちらも、くすんだ旅装束に身を包んでおります。
「聞いたかい」
「聞いたさ」
注文を済ませた2人は、さっそく雑談を始めました。ずいぶんと声が大きいです。
「タヌキどもが集まって、人を化かそうと毎晩寄合を開いてるらしいじゃないか」
タヌキ。蒼とナナの耳が、ぴくり、と反応しました。
「二足で歩いて、人の言葉をしゃべるって話だったかねぇ。そりゃ化かされてるだけだろ」
かかか、と笑う相棒に、もう1人は、しかし、真顔のままでございました。
「……おまえ、まさか」
「ああ、実は見ちまったんだよ。ここに来る途中、鎧着けたタヌキが草むらに入ってくのを」
衝撃の告白です。
「もっと早く言えよ!?」
「ししし信じてもらえるかどうかわかんねえだろ?」
蒼は、2人を直接問いただしたい衝動に駆られました。しかし、初対面の相手に自分から話しかけると言うのは……少々苦手です。
するとナナは、蒼の意を汲んだように、腰を上げました。いわゆる『こみゅりょく』には自信がございます。人懐っこく話しかけます。
「お2人は、怪しいタヌキを見たというのかしら?」
「見た見た! この目でな!」
青年は、身を乗り出して答えました。話したくて仕方ない、といった風です。
具体的に何処で見て、タヌキはどちらの方角へと去っていったのかを、ナナは聞き出します。
その間に、ナナが注文したお団子を、茶屋娘さんが持ってきてくれましたが、少し我慢です。
我慢の甲斐あって、よい塩梅に情報を得る事に成功したナナは、2人組にお礼を告げました。
ここで得た諸々の話とつなぎ合わせてみますと、タヌキのアジトの場所が、絞られてきた気がします。これ以上は、自分の足で確かめてみるべきでしょう。
蒼は、さりげなくフォローしてくれたナナに頭を下げました。するとナナは、お互いさま、という意味をこめてウインクを返します。
茶菓子を平らげると、お代を払って蒼は出立です。目指すは、先ほどの2人組の片割れがタヌキを目撃したという場所。何か痕跡があるかもしれません。お話の真偽を確かめましょう。
ナナもいざ旅立ち……の前に、ようやくお団子を手に取り、口に運びます。
「あ、このお団子美味しい! もう一つ、頂いても良いかしら?」
「はい、お待ちを~」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『雪うさぎを捕まえろ!』
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POW : 凍るなんて関係ない!全力でモフモフを捕まえる
SPD : 触っても一瞬なら凍らない!スピードで勝負
WIZ : モフモフしたいのは山々だが、ここは触れずになんとか捕獲
👑11
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茶屋で集めた情報を元に、猟兵達は探索へと繰り出しました。
その結果、かの妖怪タヌキどもが巣くう屋敷の場所を、見事、突き止める事に成功したのでございます。
僥倖……いえ、猟兵達の地道な努力の賜物でございましょう。
各地より集まり来る妖怪タヌキどもの根城を目指し、あとは前進あるのみ。
しかし、好事魔多し、とも申します。
猟兵の行く手に立ちはだかったのは、森、でございました。ここを通らねば、妖怪タヌキの屋敷にはたどり着けませぬ。
決意をもって森に足を踏みいれた猟兵は、すぐに気づきました。この森が、普通でない事に。
土が、さくり、と音を立てます。霜柱を踏んだのです。
みれば生い茂る木の葉はうっすら白く染まり、木々の間をすり抜ける風も、いつしか寒々しいものになっております。
「♪」
「♪♪」
草の蔭、木の蔭。
白いものが、ちらりちらりと何匹も、のぞきます。
果たしてそれは、ウサギ。雪の如く白い毛並みをたくわえた、ウサギどもにございます。
ぴょんこ、とウサギの通った後は、なんとまあ、凍り付いております。そう、こやつらこそ冷気の根源。
白きモフモフ妖怪、雪ウサギでございます。
妖怪タヌキどもの邪気にあてられたためでしょうか。雪ウサギはこちらが猟兵だと気づいたのか、突如として襲い掛かって来たではありませんか。
万が一にも、これが人里に出るような事になれば、一大事。作物も人も家も、凍り付いてしまうでしょう。
かくして猟兵達は、白モフの捕獲に取り掛かったのでございます……!
ポク・ョゥョゥ
うさぎたんだー
あがめもふー
白くてふわふわだー、かわいいなー
でもちょっとお目目がこわいかなー?
よーし、ぽくの破魔付きもふもふあたっくで正気に戻しちゃうのー
その前にー近くにちっちゃく薪積んでー
ぱくー、ブレスで火をつけてくだしゃーい
焚火見ててねー
それじゃいくよー
えーぃとうさぎたんにもふもふ柔らか体当たり〜
ゆる〜いぽくぱーんちー。手加減するよー
ふわふわー、でも寒いのー
凍る前に焚火へ戻るよー。あったかーぃ
これを繰り返してーうさぎたんを元に戻す?よー
最後にぽくのふえを吹くよーぷっぷこぺー
雪うさぎたん達と意思疎通してーぽくと一緒に来てもらうのー
これで捕獲にするよー
ついでにあがめよー
終わったら焚火は消そうねー
シュシュ・シュエット
すっ、すっごくもふもふしてみたいのですが、
しもやけでは済まなそうですし、もふもふはがまんします……っ!
ここは【ライオンライド】のライオンさんにお手伝いしていただきましょう。
猟兵さんすら怖がらないようですし、きっとライオンさんでさえも、わーっと追いかけられると思うのですっ。
ライオンさんと一緒に凍えないよう*地形の利用をしながら森を駆け、
他の猟兵の皆さんがウサギさんを捕まえるための*時間稼ぎ、サポートをしましょう。
かえって逃げられてしまうようなら、ウサギさんの動きを*野生の勘にて追跡しつつ、
がおーっと吼えたりと、なんとか気絶させられないか試みますっ。
……やっぱり、にんじんがお好きなのでしょうかっ?
あがめもふー。
ポク・ョゥョゥは、森で待ち構えていた雪ウサギ達に、ご挨拶を披露しました。
白くて手触りもふわふわそうです。けれども、その赤いまなこは、邪悪さを放っています。
これも妖怪タヌキの影響だというのなら、とんだとばっちり。助けてあげたいとポクは思いました。
おもむろに薪を積むと、ともだちに1つお願いしました。
「ぱくー、ブレスで火をつけてくだしゃーい」
お任せー、とパクはぶわっ、と炎を吐き出しました。白竜にはお手の物です。
それから、焚火の番をお願いすると、ポクは雪ウサギに突撃しました。
「えーぃ」
ちょうどそこに駆け付けたシュシュ・シュエットが目撃したのは、もふもふともふもふのぶつかり合いでした。刀の鍔迫り合いと違って、火花は散りませぬ。むしろ、ほわほわとした何かが辺りに舞うような。
ポクとじゃれ合うように戦う白ウサギ。その小さな体から放たれる冷気は、シュシュにもよろしくないものだとわかります。
ですが、その毛並みはふわふわで、シュシュの心を惑わします。
「すっ、すっごくもふもふしてみたいのですが……っ!」
知らず知らずのうちに、シュシュの両手がわきわきしています。もふ欲の覚醒です。
が、しもやけで済めば良い方な気がします。ここは、ぐっ、と我慢の子。
代わりに、別々のもふもふを呼び出すことにいたしましょう。
シュシュに応えて、金色の毛並みを持つ獅子が着地すると、霜が硬質の音を立てました。
恐れを知らぬ、小悪魔のような雪ウサギですが、己より大きな獣の登場に、さすがにおののきました。
シュシュを背に乗せたライオンが、ポクに加勢いたします。
「わーつよそーぅ。いっしょにがんばろー」
新しい仲間の登場に、ポクの意欲もマシマシです。感覚を研ぎ澄まして、必殺の、
「ゆる〜いぽくぱーんちー」
手加減したポクの拳が炸裂。雪ウサギ、『のっくあうと』です。
ぶるぶるぶるっ。震えが、ポクの拳から足先まで走りました。
「ちべたーい」
もこもことした感触の後にきた、冷たさの仕業です。ずっと触っていては、猟兵でも凍り付いてしまうかもしれませぬ。
そこで、焚火の出番です。
「わたしが引き受けますっ。あったまってきてください!」
「わーありがとー」
シュシュに促されたポクは、パクの元にてってこ戻ると、温かを補充します。
「はーあったかーぃ」
ポクが暖まっている間、シュシュが雪ウサギを引きつけます。巧みにライオンを駆り、雪ウサギを追い立てます。障害物として乱立する木々を利用すると、相手の進路に回り込んでしまいます。
すると雪ウサギどもは、鬼さんこちら、とでも言うように長い耳をぴくぴくさせると、逃げていきます。
ならば、とシュシュとライオンは、追跡を開始いたします。
「!?」
突然、木陰から雪ウサギが飛び出してきました。
「イタズラ好きみたいですねっ」
野生の勘という奴で、とっさに雪ウサギの体をかわしたシュシュ達は、手近の木の幹を蹴って、態勢を立て直します。
直後、獅子の吠声が、森に木霊しました。鼓膜を揺さぶられた雪ウサギ達の動きが、一瞬止まった隙に、シュシュはあるものを突き付けました。
人参でした。
「♪」
雪ウサギ達の視線が、釘付けになります。
予期せぬ好物の登場に、思わずつられたところに、ほかほかパンダに戻ったポクが来ます。
2人と2匹は、それぞれの連携を演じ、雪ウサギを倒していきます。安心せい、みねうちじゃ。
しばし後、目を覚ました雪ウサギからは、邪気が大分薄れ、冷気もむやみに放ってはおりません。落ち着いたようにございました。
「やりましたねっ!」
「やったー」
それからポクは、取り出した笛を吹きます。ぷっぷこぺー。
意志が伝わったのでしょう、ポクの元に集まります。
「あがめよー」
「♪♪」
みんなで、あがめよーの仕草です。これも捕獲のうちです。
それから焚火の始末を終えると、ポクやシュシュは、再びタヌキ屋敷を目指すのでした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
目面・真
小さな白い生き物に不吉なモノを感じさせるなどと、ナイと思いたいが。
それよりもタヌキが気になるね。用心してかからねば。
回収した甲冑とアームドフォートは装着しておかないとな。
森か。この先にタヌキが潜伏しているのであろう。先を急ごう。
この森に件の白い獣がいるんだったか。
捕まえなければならナイ、のだろうな。力尽くで捕獲に当たろう。
フェイントで行く手を遮り、がしっと捕まえる。
この甲冑は宇宙服、熱伝導ゼロのはずだが、それでも凍ってしまうだろうか。
なるべく触れる時間を短くするしかナイだろうな。
捕獲したら逃げられぬよう網か籠に入れておかねば。
道中、回収した甲冑とアームドフォートを身にまとった目面・真は、旅路を急ぎます。
多少気にかかるのは、面妖なる噂。小さく白い生き物が、不吉なモノを感じさせるなどとは。しかしながら、真の目的は、あくまで妖怪タヌキ。
やがて真は、件の森に差し掛かりました。
タヌキどもの潜伏先は、この先です。長居は無用、真は、足早に森を抜けんといたします。
しかし、さほど奥へと進まぬうちに、真は敵意……否、悪意を鋭敏に感じ取りました。
「♪」
かの雪ウサギでございます。
幸い、木々が遮蔽物の役割を果たし、向こうは真に気づいておらぬ様子。
この機を逃す手はありません。真は、音もなく、一気に相手に接近すると、雪ウサギをがしっ、と捕まえました。予期せぬ捕獲者の出現に、ウサギ達はその場から一歩たりとも動けぬようでありました。
真は、なるたけ接触時間を短くするため、獲物を手早く籠に放り込みました。鮮やかな手並み。
「まずは1匹」
すると、雪ウサギ達が真を取り囲むように集まってきました。睨む赤目が、いずれも好戦的に輝いております。
確かに不気味ではありますが、真の恐れをかきたてるには程遠いものでございます。
捕獲します。
力強い真の踏み込みに、正面の雪ウサギどもが構えました。ですが、それはフェイント。本当の狙いは、別方向のウサギ集団にございました。
霜の降りた土を蹴り、迫る真。油断していた雪ウサギ達は、一網打尽。
かくして、あれよあれよという間に、真によって捕らえられていったのであります。
妖怪タヌキ戦の前の、程よい準備運動にございました。
大成功
🔵🔵🔵
黒瀬・ナナ
お団子でお腹もやる気も満ちたから、この調子で妖怪タヌキを懲らしめてやりましょ……って、ウサギ?
もふもふ可愛いけれども、人も家も美味しいご飯も凍っちゃう事態になったら大変だわ!
風神様のお力をお借りしてウサギのように飛び回って、なるべく大勢のウサギ達を一ヶ所に集めたら素早く速やかに『怪力』でまとめて捕獲!
多少冷たくても『気合い』で我慢するもん。
周りに他の猟兵さん達がいれば、協力して捕獲するわね。
大丈夫大丈夫、おねえさんは怖くないのよー。
ちょっとだけ、良い子にしていて、ね?
祝詞と『破魔』の力で邪気を祓えたら、ウサギ達も大人しくしてくれるかしら。
※他PC様達との絡み、アドリブ歓迎
パフィン・ネクロニア
なるほど、白くてもふもふじゃな。
うまく捕獲してペットとして売れば結構な儲けに…いや冗談じゃよ冗談。
しかしこやつらえらく好戦的じゃな。まあ、逃げ回るやつより対処が楽でいいんじゃが。
ここはわしがクックベルを鳴らして囮になり
引き寄せたウサギを火属性を付与したひよこファイブに成敗させる方向でいくかの。
よいかひよこファイブよ、なるべく傷をつけぬように攻撃して無力化しトドメはささずに生け捕りにするのじゃ。
後で売り物に……いや冗談じゃよ冗談。勿体ないけどちゃんと逃がすでな。うん
お団子を食し、お腹とやる気を満たした黒瀬・ナナが、森を行きます。
「この調子で妖怪タヌキを懲らしめてやりましょ……って、ウサギ?」
ざざっ。
ナナの足を止めたのは、白い小動物の群れでございました。
ちょうどそこに居合わせたパフィン・ネクロニアが、敵を見つめてうなずきます。
「なるほど、白くてもふもふじゃな」
小さな獣達の姿を見て、パフィンは得心いたしました。同時に、ある考えを巡らします。
「もふもふ……うまく捕獲してペットとして売れば結構な儲けに……」
「儲け?」
「いや冗談じゃよ冗談」
パフィンは、ナナがジト目になるのを見て、こほん、と咳払いを1つ。商売っ気をしまい込みました。
などとやりとりしているうちに、白ウサギ包囲網が2人を捉えます。
「♪」
赤い目の妖しげな輝き。普通のウサギでないことを、ナナも理解します。それに、辺り一体に満ちる冷気は、この雪ウサギ達の余熱……ならぬ余冷気が原因のようでございます。
雪ウサギ達は、「やる? やっちゃう?」とパフィン達を挑発するように、辺りを奔放に跳び回っております。
「こやつらえらく好戦的じゃな……」
「確かに見た目はもふもふ可愛いけれども、人も家も美味しいご飯も凍っちゃう事態になったら大変だわ!」
跳びかかって来る雪ウサギ達に、ナナも応戦いたしました。
そして、パフィンは、虹色のハンドベル、クックベルを鳴らします。魅惑の音色に、雪ウサギどもが殺到。
しかしそれは、パフィンの思うつぼでございました。
しゅーっ!
「えっ、何!?」
雪ウサギを払いのけたナナが、括目いたしました。
木々の間を翔ける、白! 赤! 青! 緑! そして黒!
五色のひよこが、ウサギを迎撃したではありませんか。
炎に包まれし勇敢なるひよこ……その名も、ひよこファイブ! どーん! ……あ、最後の爆破音は、イメージ演出でございます。
「よいかひよこファイブよ」
しゅたたっ、と並び立ったひよこ達に、パフィンが指示を飛ばします。
「なるべく傷をつけぬように攻撃して無力化し、トドメはささずに生け捕りにするのじゃ」
なぜなら、
「後で売り物に……」
「やっぱり……ならその前に、1匹くらい譲ってくれる?」
「猟兵割引にしとくがのう」
「ちゃんとお金は取るのね……」
などと、冗談をかわしつつ、2人は雪ウサギの捕獲にかかります。
ひよこファイブも奮戦します。跳ぶウサギと、飛ぶひよこ。
時に散開し、時に連携し。五色のひよこ達は、華麗な空中戦を披露し、次々と雪ウサギを撃破していくのであります。どーん!
更に、ひよこファイブは、六人目の仲間を迎えております。ナナです。
虚空を蹴るその身のこなしの軽やかさは、人はおろか羅刹をも凌駕しております。風神様の力をお借りしたのでございます。
立体的な機動によって雪ウサギどもを追い込み一ヶ所に集めたら、ナナの怪力の見せ所でございます。
一気にまとめて捕獲いたしました。
「つめたっ」
冷たさが、ナナを襲いました。しかしそこはそれ。先ほど団子で充填した気合で我慢です。
しばらくして。
2人と5匹の活躍によって、周辺の雪ウサギ達は、あらかたとらえられました。
「ふむ」
商売っ気に満ちたパフィンの目におののくウサギ達を、ナナがなだめます。アメとムチです。
「大丈夫大丈夫、おねえさんは怖くないのよー。ちょっとだけ、良い子にしていて、ね?」
ナナの祝詞、そして破魔の力が、雪ウサギどもの邪気を祓っていきます。
そのかいあって、だいぶ大人しくなりました。これなら、特別な害はないでしょう。
もちろん、逃がすとなればパフィンも否はありません。……もったいない、と薄っすら思いつつ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
神宮時・蒼
…噂の、タヌキ、かと、思い、ましたら、まさかの、うさぎ、ですか…。
…とはいえ、こちらも、妖怪、なの、ですよね…
…もふもふ、したい…、です。
【POW】
そういえば、氷結耐性がありました
此れならば、うさぎ様に、触れても、大丈夫、なのではないでしょうか…
いえ、けして、触ってみたい邪念があるわけでは、ありません。
ありません、のです…。
とはいえ、耐性を信じすぎるのもアレなので、属性魔法で、いつでも暖を取れるように準備は行っておきましょう
廿楽尾・マキナ
ぶるぶる、さむーい! せっかく暖かくなってきたと思ったのにー!
ちょっと可愛いからって容赦しないよ! ……す、すごく可愛いからって容赦しないんだから!
一応、手で掴めるか試してみるけど……冷たそうだし、無理せずユーベルコードを使っていくね。
ガジェットショータイムで、捕獲用のガジェットを召喚。
うさぎの好きそうな新鮮な野菜で一か所に集めて、おっきな網でまとめてつるし上げるよ。
名付けて「うさぎさんホイホイ」!
……そのまんますぎるかな。
たくさん捕まえられたら、おおきなモフモフの塊が出来るかも……。
触ってみたいけど、そこは我慢我慢。
後で餌に使った野菜をあげれば、うさぎも落ち着いてくれるかな?
「さむーい!」
森に、廿楽尾・マキナの悲鳴が木霊しました。
原因は、いわずもがな、雪ウサギです。そのもふもふに反した冷気が、森を寒々しく変えていたのでございます。
「せっかく暖かくなってきたと思ったのにー! ちょっと可愛いからって容赦しないよ!」
マキナが、びしっ、と指を向けますと、雪ウサギが、小首を傾げました。
「♪♪」
「ちょっと……す、すごく可愛いからって容赦しないんだから!」
いやはや、雪ウサギのあざとさには、神宮時・蒼もまた、翻弄されております。
恐れを知らぬ、赤い瞳。無邪気でありながら邪気を漂わせるという、矛盾した気配。怪異ゆえに為せる業なのかもしれませぬ。
それにしましても、まさかの、ウサギ。
「こちらも、妖怪、なの、ですよね……」
蒼に、緊張が走ります。
「……もふもふ、したい……、です」
……緊張、走りましたか?
そして雪ウサギの歓迎会が始まります。次々と、蒼達の周りを駆け巡ります。
「こっち来ないでー! あ、違う、こっち来てー!」
マキナの心をもてあそぶが如く、迫る雪ウサギ。
その小さき体をスレスレでかわしつつ、マキナは長い耳に手を伸ばしました。冷たいです。
「もふもふは、罠です、ね……」
雪ウサギから発せられる冷気が、蒼にも伝わります。
ですが、蒼は、果敢に立ち向かいます。
「♪」
飛び込んできた1羽を、胸で抱き留めました。
「もふ……もふ……」
もふりました。なでなで。
物の怪ゆえの冷たき体温。なれど、すぐには蒼も凍りませぬ。氷結耐性……よもやこのような局面でお役立ちしようとは、お釈迦さま的なお方でもご存じないのです。
温かなもふもふというものは割とございますが、冷たきもふもふは、ある意味貴重。
しばし蒼は、もふもふの時を楽しみます。マキナの羨望の眼差しが来ます。
「もふもふ、しました……」
ほう、と蒼の口から、白い息がこぼれます。
触り心地は、なかなか素敵でした。なので、捕獲という本来の使命を果たします。
蒼のように手でつかまえるのは、やってやれない事はなさそうですが、マキナはまた別の策を講じました。
すると雪ウサギが、今度こそ本気で首をひねりました。その視線の先には、人参があるではありませんか。いやどう見ても人参です。
物の怪、と言っても、ウサギ。人参の魔力には抗えませぬ。
「♪」
我先にと、人参へと殺到いたします。
ばばっ!!
「!!??」
足元の異変に雪ウサギが気付いた時には、既に手遅れ。
マキナによって地面に仕掛けられていた大きな網が、まとめて雪ウサギどもを包み、つるし上げたのでございます。
これぞマキナのガジェット、その名も『うさぎさんホイホイ』! シンプルこそ力なり!
一網打尽、まとめて捕まった雪ウサギは、もはや大きな毛玉、巨大もふもふとなっておりました。
困った事に、マキナのもふもふ欲が、ますます掻き立てられてしまいます。
出せーこのやろうーと凶暴性も露わに四肢をばたつかせるものの、ガジェットの網が容易く破れるはずもございません。
辛くも網から逃れた雪ウサギ達もおりましたが、安寧の時は訪れませんでした。控えていた蒼によって捕まえられていくからでございます。
やがて、捕らえられた雪ウサギが、たんまり集まりました。白き雪山のごとし、です。
囚われ、しばらくはじたばたしていた雪ウサギ達ですが、マキナから人参をもらうなり大人しくなったのでございます。
蒼の見立てでは、暴れ回った事で、邪気もいくぶん発散されたようにございます。
「とりあえず、捕まえられました……」
蒼は、ふう、と一息つきました。
ぶるりと震えると、属性魔法で暖を取るのでございました。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 集団戦
『狸兵団』
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POW : 狂乱野鉄砲
【仲間がやられた恐怖心】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【弓矢や火縄銃の集中砲火】で攻撃する。
SPD : 狸兵団突撃
予め【突撃陣形を組む】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ : パンダ混じりの狸囃子
戦闘力のない【子狸応援団(何故かパンダがいる…)】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【戦場に響く賑やかな太鼓の音】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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すっかり日も暮れ、時は夜。
雪ウサギの森を越え、猟兵達は、遂にタヌキ屋敷にたどり着きました。
確かに、大きな屋敷です。一見すると、人気はまるで無く、空き家特有の古びた空気だけが感じられます。
さて、猟兵が屋敷の様子をうかがっておりますと、2つの人影が門の前に見えました。
人影と申しましたが、それは正確ではございません。なぜなら影の正体は、2足歩行のタヌキだったからでございます。
間違いありません。こここそが、敵の潜伏先です。確信を得て、猟兵達は突入をはかります。
「な、何ものタヌ!?」
妖怪タヌキが、槍を構えます。ですが、猟兵の急襲にはなすすべなく、衛兵タヌキは蹴散らされました。
門をくぐり、内部に突入いたします。
ひそやかに屋敷の廊下を行きますと、ぼうっ、と灯りが見えます。同時に、何やら賑やかな声が耳に届きます。
どうやら妖怪タヌキ達、宴会を始めようとしていたところでございました。壮行会、というやつでしょうか。
「では、我らタヌキ兵団の前途を……!」
侵入者に真っ先に気づいたのは、ひときわ立派な甲冑を身に着けた、首領タヌキでございました。
「曲者!」
どすん、と障子から槍が突き出しました。
かたん! と戸が開かれ、部屋の様子が露わになりました。タヌキタヌキパンダタヌキ。かなりの数のタヌキが集結しております。
「我らの隠れ家を突き止める奴がいようとはな……って、いつまで飯食ってる!」
首領タヌキは刀を取ると、隣の腹ペコタヌキを蹴っ飛ばします。
「飛んで火にいる夏の虫とは正にこの事。兵力万全ではないが、我らタヌキ兵団の力、見せてくれるわ!」
「たぬ!」
「たぬ!」
武器を手に、妖怪タヌキ、そしてパンダが立ち上がりました。
いざ、決戦でございます!
ポク・ョゥョゥ
たぬー
…はっ。ぽくはぱんだだよー
であえーであえー
あがめよー
ぽんぽこ太鼓の音いいなー
あー。ぱんだがいるー
ぽくもだよー、一緒ーってお手手振ってあぴーるなのー
ぇー?黒いかなーそうかなー
そうだーぽくもふえ吹こー
ぷっぷこぺっこぺー
あれー?太鼓の演奏邪魔しちゃったかなー?
わー、陣形かっこいいねー
ぽくもしたーぃ
ぱくー、二匹で陣形しよー
背中に乗ってー空中戦陣形だー
飛んで来る矢とかはひょいひょいアクロバティック飛行で回避ー
合間にのびーるお腕のぽくぱーんちー
集中砲火にはキラキラのぱくブレスで対抗だー
よーし大将たぬ覚悟〜
じゃんぴーんぐ、ぽくぱくだぶるきーっく
どうだー、参ったかー
倒したら討ち取ったりーって言うのかなー
「であえーであえー。あがめよー」
タヌキ屋敷に、ポク・ョゥョゥが意気揚々と乗り込んでまいりました。
「なにやつ!?」
「たぬー。……はっ。ぽくはぱんだだよー」
うっかりしました。
「パンダだと。面妖な……迎え撃て!」
首領タヌキの号令一下、タヌキ達は外に飛び出しますと、陣形を組みました。
が、それを見たポクの目が、輝きを放ちました。格好良いのです。
「ぱくー、ぽくたちも二匹で陣形しよー」
ひょいっ、とポクが、ドラゴンのパクに騎乗しました。
ばさあ、と竜の翼を広げれば、空中戦陣形の完成であります。
「ええい、アレを撃ち落せ」
弓矢タヌキ達が、ポクを狙いました。ですが、飛竜は右に左に旋回し、矢は空を切ります。
くるり、と宙返りを決めたパクの背中から、ポクの腕が伸びてまいりました。
「ぽくぱーんちー」
ぽこんぺこん、とタヌキ達が殴り飛ばされていきます。
やむを得ず、妖怪タヌキ達は援軍を呼びました。
子タヌキ応援団です。その中にパンダを見つけたポクは、手を振って『あぴーる』いたしました。
「ぽくもぱんだだよー、一緒ー」
「一緒パン」
ポクとパンダはおててを合わせました。
「馬鹿者! そいつは敵だ!」
首領タヌキに叱咤されたパンダは、涙を飲んで敵対いたします。
かくして子タヌキ応援団は、演奏を始めます。やられっぱなしだったタヌキ達の戦力が高まります。
ぷっぷこぺっこぺー♪
突然、笛の音色が混じりました。ポクの笛でございます。
「演奏の邪魔するな!」
ごめーんねーと謝ると、取り巻きを蹴散らしながら、ポクとパクは首領タヌキに迫りました。
「大将たぬ覚悟〜」
刀を構えた首領タヌキ目がけ、
「じゃんぴーんぐ、ぽくぱくだぶるきーっく」
合わせ技が、炸裂いたしました。
「ぐわっ……!」
「どうだー、参ったかー」
尻餅をついた首領を見下ろし、えへん、とポクが胸を張りました。
大成功
🔵🔵🔵
シュシュ・シュエット
ごっ、ご夕食のところ、失礼しますっ。
ええっと……こういうとき、この紋所が目に入らぬかーっ、と言うのですよねっ。
せいいっぱい背伸びして天下自在符を掲げ、注意を引いて*時間稼ぎができたら、
その隙に【縁の下の力持ち】のネズミさんたちに*目立たないよう忍びよってもらいましょう。
屋内なら床下や天井の梁、お外なら草むらが*地形の利用ができて好ましいでしょうか。
そうして頃合いを見計らい、わわーっと四方から襲いかかっていただきますっ。
子狸応援団さん、にぎやかですっごくかわいいです……っ!
わたしも太鼓の音にあわせて靴の音色などで*楽器演奏をして、
調子を狂わせたり、まったく違うお唄に誘導できたら愉しそうですねっ。
パフィン・ネクロニア
御用改めじゃ!神妙にお縄に…
おおぅ、思ってたより数が多いのぅ。
じゃがやる事に変わりなし。リトルを召喚してそのまま斬りこむぞぃ。
残像を作って敵陣を撹乱しながら火属性を付与した斬撃で一掃してくれるわ。
カチカチマウンテンの悪夢を思い出すがよい。
数は少なくても練度はこちらの方が上。
ひよこファイブよ、ファイヤーバードフォーメーションで…
なにわからんと?アレじゃよ、高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に…
ようするにいつも通り援護してくれ、頼んだぞぃ。
神宮時・蒼
…あの、パンダ、何なの、でしょう…。
…あれ、パンダって、狸の、一種、でしたっけ…。
…格好も、違うよう、ですし…。…何故、狸の皆さんは、何も、つっこまないのでしょうか…。
…とても、とても、気になります…。
どうしても気になりますが、戦闘ですし、仕方ありません。
でも、パンダって子供でも突っ込んできたらそれ相応に威力があったような…。戦闘力のない…。いえ、気にしたらいけませんね。
ちょっと倒してしまうのは心苦しいですけれども。
ふかふかしてそうで、そちらも気になりますが。
気を逸らしまくってますが、周囲の動きや動向はきちっと警戒
せめて一瞬で。全力魔法で蹴散らしちゃいましょう。
廿楽尾・マキナ
この世に悪の栄えたためしはありません! さあ、狸共。年貢の納め時ですよ!
私はフォックスファイアを個別に操作しながら、相手をかく乱するよ。
半分の炎で相手の視線を誘導し、もう半分でこっそりお尻に火をつけるよ。
にげろにげろー!かちかち山だぞー!
戦意を失えば一匹一匹は力もないし、取り逃がしても大丈夫かな?
その方が戦いも早く終わるかも。
どちらにせよ、トドメはほかの人に任せて、私はひたすら援護と妨害に専念するね。
「御用改めじゃ! 神妙にお縄に……」
タヌキ屋敷へと乗り込んできたパフィン・ネクロニアは、おおぅ、とたじろぎました。
「思ってたより数が多いのぅ」
タヌキ、タヌキ……タヌキ祭りでございます。時々パンダもおりますね。
なんにせよ、やる事に変わりはございません。
パフィンは、さっそく白ドードーのリトルを駆ると召喚と、敵群に突撃いたしました。
「この世に悪の栄えたためしはありません! さあ、狸共。年貢の納め時ですよ!」
廿楽尾・マキナも威勢よく、タヌキとの戦場に参上いたします。
その周囲には、ぼうっ、と灯りが幾つも浮かんでおります。灯りの正体は、フォックスファイア……狐火でございます。
「むむむ」
じりり、と下がるタヌキ達。虚空に灯る火を警戒しております。おそらく、火は苦手なのでございましょう……本能的に。
他の猟兵達と協力し、妖怪タヌキを蹴散らす神宮時・蒼。
するとそこへ、シュシュ・シュエットが、そそくさっ、と庭にやってまいりました。
「ごっ、ご夕食のところ、失礼しますっ」
しかし猟兵もタヌキも戦闘で手いっぱいなのか、シュシュには気づいておりません。
「ええっと……こういうときは……」
シュシュは、『あるもの』を取り出しました。
そして、精一杯背伸びをすると、
「えーい、この紋所が目に入らぬかーっ」
「!!?」
シュシュの上げた声に、庭や屋敷の一同の視線が集中いたしました。
シュシュの手には、『あるもの』……天下自在符が!
「敵の援軍か。討ち取れ!」
「タヌー!」
首領タヌキの指示が、皆の硬直を解きました。
ですが、疾風の如く駆け巡るリトル。その残像に、翻弄されるタヌキ達。組み立てたばかりの陣形も瓦解し、烏合の衆も同然であります。
浮足立ったタヌキを、パフィンの、火を宿した斬撃が襲います。尻尾や毛皮が燃え上がります。
「ひええ」
「カチカチマウンテンの悪夢を思い出すがよい」
カチカチマウンテン。それは古くより伝わる、タヌキ族にとっての悪夢……!
逃げ惑うタヌキ達。ですが、蒼の意識は、別の方へと向いておりました。
タヌキ兵団を鼓舞する、子ダヌキ応援団。その端で太鼓を叩く、文字通り毛色の違う動物。
(「……あの、パンダ、何なの、でしょう……」)
一匹だけハイカラな衣装に身を包み、てんてこ、太鼓をたたいておりますね。
パンダって、狸の、一種、でしたっけ……様々な疑問が、蒼の頭を悩ませます。
(「……何故、狸の皆さんは、何も、つっこまないのでしょうか……」)
どうしても気になる蒼ですが、今は戦闘の真っ最中。気を取り直すと、改めて目の前の敵に集中いたします。
いたしますが……。
(「でも、パンダって子供でも突っ込んできたらそれ相応に威力があったような……」)
戦闘力のない……。いえ、気にしたらいけませんね……。
「覚悟タヌ!」
思案する隙に、タヌキが刀で切りかかってまいりますが、蒼は平然と薙刀で払いのけました。
「無念タヌ」
きゅう、とタヌキが倒れます。意識を逸らしているようで、決して油断はしていない蒼でございます。
「いけー!」
マキナの思念を受けた狐火が、タヌキ達の間を飛び交います。えいやあ、と刀や槍を振るって、懸命に火を叩き落とそうといたします。
どっこい、その時には既に、マキナの策にはまっているのでございました。
控えていた狐火が、タヌキの死角から迫ると、こっそりそのお尻に火を点けたのでございます!
「たぬっ!?」
「あちちちちち!」
これは大変。ただの火ならいざ知らず、これはマキナのユーベルコードによって生み出された火。手ではたいた程度で消えるようなものではありません。
「お命ちょうだいタヌ!」
すっかり目立ったシュシュ目がけ、刀を振りかぶるタヌキ。
しかし、凶刃が振り下ろされる直前。草むらから、小さな影がいくつも飛び出したではありませんか。
シュシュの指示で隠れひそんでいた【縁の下の力持ち】のネズミ達でございます。
シュシュを狙っていたタヌキはもちろん、周囲のタヌキ達にも一斉に攻撃を仕掛けます。
不意をつかれたタヌキ達は、なすすべもなくネズミの餌食となりました。
更にパフィンは、頼もしき五色のひよこ、ひよこファイブを放ちました。数では劣れども、練度では負けはしません。
「今じゃ! ひよこファイブよ、ファイヤーバードフォーメーションで……」
えっなんて?
戸惑うひよこファイブに、パフィンが説明いたします。
「なにわからんと? アレじゃよ、高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に……」
「…………」
しばし無言で向かい合うパフィンとひよこファイブ。
背後で、子ダヌキ応援団の演奏と、剣戟の音が響きます。
「……ようするにいつも通り援護してくれ、頼んだぞぃ」
丸投げされました。
しかしひよこファイブは頑張ります。炎を纏って、とりあえず突撃です!
矢や弾をくぐり抜け、タヌキ達を焼き払うのです。
「負けるなタヌキ♪ 頑張れタヌキ♪」
どんどこどんどこ。
タヌキ達が劣勢となる中、子ダヌキ応援団の演奏が、味方を鼓舞いたします。
その様子に、シュシュの胸が、きゅん、と高鳴りました。
「にぎやかですっごくかわいいです……っ!」
ついついシュシュも、太鼓の音に合わせて、靴音を鳴らし、演奏に加わりました。
「ん?」
「タヌ?」
「パン?」
おかげで、応援団の調子は狂います。
「負けるな猟兵♪ 倒せタヌキ♪」
いつの間にか、違う歌に変わっているような……?
「にげろにげろー! かちかち山だぞー!」
「ひえええ」
炎を受け、右往左往するタヌキ達を、マキナが煽ります。
この調子で戦意を失わせるのが、マキナの目的でございました。
マキナ達の攻撃によって、武器も心も折られ、タヌキ達は、尻尾を巻いて逃げ出そうと致します。
「おいこら何処へ行く! 敵は目の前だぞ」
「たぬー」
首領タヌキが引き止めますが、部下タヌキはあらぬ方向へと走っていきます。
マキナによって心さえもかき乱されたタヌキ達は、すっかり覇気を失っております。
そんなタヌキもパンダも、倒してしまうのは少し心苦しくもあります。もふもふ、ふかふかしていますしね。
しかし蒼は、きりり、と心を引き締めました。鬼にいたしました。せめて、一瞬で決着をつけるといたしましょう。
全力をこめた薙刀が、振るわれます。同時に放たれた衝撃波が、タヌキどもをまとめて薙ぎ払ったのでございます!
成功
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高柳・源三郎
よし、わしも続くかのう。まずわしの自慢のたぬき人形「はな」(アイコンに使用中)で警戒を解いた方がいいのう。そう言って「はな」を操り、狸兵団に近づくが「かわいいメス狸が来たぞー」と狸兵団に褒められ上機嫌になり当初の目的を忘れ「はな」にかわいいポーズや踊りをさせ人形繰りの技が冴える源三郎。源三郎が疲れてぐったりしているところに死角から敵からのユーベルコードが直撃する。源三郎式酔覚ましが発動するが源三郎の運命はどうなってしまうのか。
「よし、わしも続くかのう」
よっこいせ、と屋敷に現れたのは、高柳・源三郎(流浪の酔いどれおやじ、たぬき人形と共に・f15710)でありました。
「ほれほれ、わしは怪しくないぞ」
「怪しくないたぬ……?」
そう言って、自慢のたぬき人形『はな』を操ってみせる源三郎。怪しいのはその足取りくらい。どうやら酒が入っている様子……?
「ほぅら、この子、可愛いじゃろう?」
「むむむ」
すると。
ふにゃん、と下っ端タヌキどもの表情がとろけました。
「確かに、割と好みたぬ」
「こんな可愛い子が仲間になってくれたら嬉しいたぬ~」
オスばっかでむさくるしいたぬ、なんて日頃の不満もこぼれます。
タヌキの警戒心はどこへやら。もちろん、これも源三郎の策でございます。
源三郎が、はなに可愛い仕草を取らせれば、タヌキからはうっとり、溜め息が。
わいわい。やんややんや。
「はなのたぬき舞、ご覧あれ~」
踊りを披露すれば、拍手喝さい、雨あられ。
気が付けば源三郎、タヌキ以上に上機嫌。
人形繰りの技はますます冴えわたり、タヌキからはおひねりが飛んでまいります。……おそらく葉っぱでありましょうが。
「やれやれ疲れたわい」
ひとしきり『はっする』した源三郎、疲れてぐったり。タヌキから続きをせがまれますが、体が言う事をききませぬ。
「こらお前達!」
不意に、鋭い声が飛んでまいりました。首領タヌキでございます。
「遊んでいる場合ではないぞ! そいつを仕留めるのだ」
はっ、と我に返ったタヌキ達。矢に鉄砲を向けて、源三郎のお命頂戴!
ばぁん。
銃撃を受けた源三郎。しかしそのはずみで、ユーベルコードが発動いたしました。
今受けた弾を吸収して、体外へと排出いたします。『あるこぉる』と一緒に……。
「!!!」
どこから、とは申しませんが! タヌキ達、どん引きでございます!
これはこれでタヌキをおののかせたので活躍といえましょう! 多分!
成功
🔵🔵🔴
目面・真
この屋敷の主は狸なのか。憎めないな。
とは言え、こやつ等は国盗りの真似事をしでかす輩。捨て置くコトなど出来ぬな。
屋敷の規模から狸兵団の兵数を割り出す。電脳ゴーグル任せだが。
そういえば。こやつ等、食い意地が張っているのではなかったかな?
握り飯を兵団の中へ放り込んでみよう。食べたいだろう、受け取れ。
気を取られたところを一体ずつ大太刀で叩き伏せていくよ。
先制攻撃、2回攻撃、目立たない、等が有効だろうか。
離れた狸はアームドフォートの一斉射撃で蜂の巣だ。
もし攻撃して来ようモノなら、世界は斯く分かたれりで無効化。
隙を見てダッシュして叩き伏せる。この繰り返しで狸を漸減しよう。
安心いたせ、峰打ちだ。
屋敷のふすまを破り、タヌキが転がってまいりました。
穴の向こうには、目面・真の勇姿がございます。
「この屋敷の主は狸なのか。憎めないな」
とは言え、国盗りの真似事をしでかさんとする、不逞の輩。
真は既に、屋敷の規模から、狸兵団の兵数を割り出しております。それとつき合わせますと、敵の数は大分減ったようにございました。
ですが、懲りないタヌキの一団が、真に向かってまいります。
「成敗タヌ!」
「受け取れ」
敵群に向け、真はあるものを放り投げました。
「手裏剣!?」
「いや煙幕!?」
どちらでもありませんでした。
「に、握り飯……!」
食べ物とわかれば恐れる事はありません。タヌキどもは我先にと握り飯へと殺到いたします。
そちらに気を取られたのが、運の尽き。
「いただき……ぐふっ!」
握り飯にかぶりついたタヌキを、真の太刀が叩き伏せました。
「安心いたせ、峰打ちだ」
大太刀が鮮やかに閃くたび、同じだけのタヌキが倒れます。
「ほら、握り飯、食べたいだろう」
「い、いらんタヌ!」
真の誘いを振り切ると、別のタヌキ達が飛び道具を構えました。
ですが、真の方が早うございました。
弓弦や引き金を引くより先に、アームドフォートの一斉射撃が、タヌキ達を蜂の巣にしました。
「隙あり!」
首領タヌキの火縄銃が、火を噴きました。奇襲でございます!
ですが。
「なん……と……!」
真は平然と、首領タヌキを睨んでおります。
研ぎ澄ました斬撃で、銃弾を、見事断ち割ったのでございます。
目を丸くする首領タヌキへと、駆け寄る真。
二者が交錯した後、倒れたのは、首領タヌキでございました。
「む、無念……」
つかんだ掛け軸を引き破りながら、倒れる首領タヌキ。
その光景を目の当たりにしたタヌキどもに、動揺が走るのでした。
「首領がやられたタヌ」
「ひいい、お助けタヌ!」
かくして猟兵達により、妖怪タヌキどもは懲らしめられました。
無力化されたタヌキや、もとより戦う力を持たぬ子タヌキとパンダもちりぢりになり、タヌキ大同盟は瓦解。二度と悪だくみする事はありますまい。
タヌキ騒動、これにて一件落着でございます。
成功
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