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「うぇ、うぇーい!」

#キマイラフューチャー #ノベル #猟兵達の夏休み2024

ルナ・キャロット




 ここは、キマイラフューチャーのバチクソでっかいウォータースライダー前。
 夏休み、というワードにかこつけて大騒ぎしようと集まった陽の遊び人達だらけ。

「えっと、夏の配信です……でゅふ、見えてます? 見えてますよね?」

「本日の番組はァ!! 夏休みスペシャル兎尻大合戦!!! ふわふわキュ~ティな~!」

 そこらじゅうでカメラが周り、個人から企業まで意味分からねえ数の配信がブン流れていそう。

 突然、洗濯機のような渦を巻き起こしながらハッピーに大回転するプールから水柱が上がる。
 プールから飛び出してくるのは、もちろんオブリビオン。

 スイカの頭のムキムキマッチョマン。
 ブーメランパンツが筋骨隆々の肉体を――。

「たぁぁぁぁ~~~! 次元斬です!!!!」

 瞬殺である。

「ぎゃああああああ! 一撃でッ! 頭がッ!」

 叫び声と共に赤いスプラッシュを上げながら、怪人夏っぽい丸い頭の男は討伐されたのだった。

「……これで良かったんでしょうか?
 むしろ、水着で来る必要は――? いえ、作戦。作戦ですっ!
 任務完了、帰還しましょう!」

 ひょい、とピンクのサングラスを指で跳ね上げる、美しい紫色の兎騎士が1人。
 ルナは爽やかな笑顔で長い耳を掻き上げる。

 空には燦々と輝く太陽。
 それに打ち勝つほどのキラキラを放つ、レジェンダリーかつフル強化されたサイコーにハイな水着が輝いている。

 ナウでおしゃれでハイな水着を身に着けた、カワイイ英雄兎さんを放って置くほどこの世界は甘くないのだ。

「ヘイ、彼女! 今配信してるんだけどさァ!
 こっち、こっち見て手ぇ振ってくれねえかなァ!」

 ヤギな角に金髪、真っ赤な派手な海パンのアニキ。
 ケータイをルナに向けながら大声をあげてくる。

「っ……! 陽の気を感じますっ……あ、アウェイです……」

「すっげーオシャレだよねぇ? カラフルだし、キラキラもすっげーセンスだし? どちゃカッコ良いし?
 しかも敵もズバーッとやっちゃうしさ! お尻! お尻いいね~~!
 毛並みのコントラストも尻尾の可愛さもグッドって感じでさァ!」

 ぐ……ぐいぐい来ますッ……でも、こう……悪い気はしない、というか……?

「なぁ~! 皆~! このコ、カワイイよな~~!!」

「うおおおお~~~!!!」

「すっげーコメントも来てるぜ、うさぎのねーちゃん! サイコーだなー!! ウェーーイ!」

 陽!!
 ど、どうしたら……! しかし、騎士は民の声に応えるものです!
 やらなければ……!

「うぇ、うぇーい!」

 満面の笑みッ!

「うおおおおお!!!!!」

 大歓声が爆発する。
 既にルナの周りは人だかり、ファッションショーばりにカメラが向いている。

「あの、みなさん、これは……」

「あー、ええと。 拙者は好き好きウサギキマイラちゃんねるの、配信、を……」

「うおー!! 俺は撮ってるだけだぜ!
 ハッピーでビビットなカラーが、パープルブラックな毛並みにバチバチにカワイイぜ!
 俺とデートしようぜ!」

 その瞬間。
 ふわふわの羊な雰囲気の女性に、ナンパしてきた犬耳の兄貴が殴り飛ばされた。

「犬ぴっぴ、浮気は駄目だからね!!
 えへへ、でも、うさぎちゃんカワイイね! 一緒に写真撮って?」

 羊な雰囲気の女性が自撮り棒を伸ばし、ルナと自分を画角に入れる。

「うぇ! うぇえええい!」

 周囲の集団のピースを真似て精一杯ポーズを取れば、大歓声で何の音も聞こえないレベル。

 楽しげな撮影会。
 ちょっとテンションの上がってきたルナ。
 悪くないですっ……!
 しかし――送迎の猟兵は、水遊びが何より大好きなのである。

「勇者の翼、只今参上!!!
 ギルマス、迎えに来たぜ!!!」

 ウォータースライダーの上に生まれた積乱雲が、鳥の形になってプールに突っ込んでくる。
 ゲリラとか言ってられない、なんかもう爆発的な豪雨と共に。

 暴風と豪雨がルナを襲う!
 というか、水着を襲う!!

 カメラマンが何人も風圧で吹き飛ばされ、水に流されちりぢりになっていく中。
 好き好きウサギキマイラちゃんねるの彼だけが耐えている。

「もう少し! もう少しでござる!!!」

「あっ、ちょっと!? ちょっと駄目ですっ、あっ、あっ! +99の防護点なのにーーッ」

 水着ってのは吹けば飛ぶんだ。

「最高の兎尻コンテスト、金賞はこんな所に!!!
 ふわふわ、曲線、大きさ……そして水着のヒモ痕……!
 紫のプリティヒップですぞ、視聴者の皆さアアアアアア!!!」

 彼もまた、吹き飛んでいった。

「あめさん……来てとは言いました。でも、ですね?」

「おう、来たぜ!! ふわふわだから大丈夫だろ、オレもAGI下がるから着てないし」

 ルナは両手を使い胸とヒップを隠しながら、流れるプールへと旅立ったSSR水着を見つめているのであった。

「お? 何かキマフュでバズってるみたいだぜ、ギルマスの尻。ほら、今トレンドで流れてきた」

「ほぁーーーッ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年08月04日


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