汪・皓湛
【★夏】
黎・万狼(花誓・f38005)と
>水着
https://tw6.jp/gallery/?id=184385
>テーマ、モチーフ
故郷・中国のチャイナ服風でお願いしたものです
上は袖のないものに
下は膝丈のサーフパンツで
履物も、水着と同様の方向性で指定しまして、
全体の色は私の好きな青緑を、他の色はお任せとさせて頂きました
裾の模様は、指定したものですね
花と蔦の模様で縁取ってほしい旨を伝えまして……
そうそう、白睡蓮の簪も「こういうものが欲しい」とお願いしておりました
硝子のような、透明感のあるものを頼んでいたのです
後は私の好み等を職人の方へ伝え、お任せした次第
*
以上です!
(向いて欲しい方向もお任せ致します)
黎・万狼
【★夏】
汪・皓湛(花仙・f28072)と
>水着
https://tw6.jp/gallery/?id=198918
>テーマ、モチーフ
故郷の中国様式で頼んだものだ
色は馴染み深い黒を主とし、青を
藤の花は好むもののひとつという事で伝えていたが、それを汲んでくれたのだろう
詳細は、装飾と共に職人(絵師様)に全て任せた所、そちらも中国のもので仕立てられていた
素晴らしき職人と縁が出来、幸いに思う
※アイスはリクエスト文章にて「ポーズ、表情」で指定した部分です
以上です!
(向いて欲しい方向もお任せ致します)
その島の中心にある海と空は、透き通った青をしていた。
見慣れた夏の青色だ。けれどどこか似て非なるものを感じるのは何故だろう。
砂浜から青々と茂る木々を抜けて島の中心らしき場所に着いたとき、汪・皓湛は目の前に広がった鮮やかな眩しさに微笑むように目を眇めた。
「美しいな。……ここは、カクリヨから落ちて来た島、だろうか」
「ああ、おそらくは。……美しいが、奇妙な気配がある」
黎・万狼も頷いて、注意深く目の前にある湖を見た。――おそらくはこの場所が、グリモアの予知で捉えた場所だ。ここで、人が忽然と姿を消している。しかし仔細を上手く掴めなかったゆえに、ふたりはこの島に足を運んだのだ。
海から流れ込む青を湛えた湖は、静かで美しい。海から吹く風が心地よい涼しさで、水着の裾を揺らしていく。そのときだ。
『睡覧さま』
鈴の音を重ね合わせたような声が耳に届き、静かな水面が急激に大きく波立って、ふたりを飲み込もうとする。咄嗟に隣の友を掴もうと伸ばした互いの手は、
「万狼!」
「皓湛――」
確かな手応えがあり、一息に呑まれるかと思った水は、ただ被さっただけで、あとは何事もなかったかのように静けさが戻った。
なんだったのだ、と万狼はいっそ呆けて呟くが、すぐに掴んだ腕の先に友がいることを確かめてほっと息をつく。
「大丈夫だったか、皓湛」
応えがない。変わらない姿で皓湛はそこにいるのに、ぼんやりとしたまま視線さえこちらに向けない。
「皓湛、どうし――」
『違うぞ』
重ねて呼びかけようとした万狼の言葉を、万狼の羽織からひらりと出てきた
青い幽世蝶が遮った。しっかり隠れて水を回避していたらしい。
『そこにいるのは皓湛ではない。皓湛によく似た、なにかだ』
「なにか……?」
『……スイランさま、と言っているな。お前には聞こえないかもしれないが』
それは、先程一瞬聞こえた鈴の声が言っていたものだ。幽世蝶の宇狼には非ざる声が聞こえているらしい。
『どうやらこの島で気に入られた者の人形のようなもの、らしい。この島の真水だけを飲んで眠り、世話をすれば成長する』
「成長?」
どういう、と問うより先に、握っていた皓湛の腕が不意に細く――小さくなる。そして瞬く間に、皓湛は水着ごと縮み、近頃よく術で変化するような幼気なこどもの姿になっていた。うとうとと眠り倒れそうになる小さな体を万狼は咄嗟に受け止める。
『先程のはここまで育てろ、という啓示らしいな。大人しくそうしたほうが良いかもしれんぞ』
「何故、本物の皓湛を探さねば――」
『この空間にはいない。ついでに言うと、皓湛から見てお前もそうなっているはずだ。互いに互いの人形……睡覧を育てねば、おそらく何百年かけても見つかるまい』
これが人が消える絡繰りか、と宇狼が呑気に笑って、すよすよと眠る幼い皓湛のようなものに翅を留めた。
『それとも、育てないか?』
揶揄うように向けられた問いに万狼は押し黙る。そのまま、小さな皓湛を抱き上げて歩き出した。
いくら本物ではないとはいえ、唯一の可能性であり、なによりは友にそっくりのそれを、放っておくなどできなかった。
斯くして、奇妙な島での生活が始まった。
住処はお誂え向きにあった邸だ。住み慣れた邸と似た雰囲気のあるそこには、しばらくの生活に困りそうにないどころか、過分にものが揃えられていていっそ不気味だった。
あれこれと宇狼に口出しされながら、万狼はまず皓湛の身の回りを整えることになった。
寝具、服、装具。そういったものをなるべく美しく整えていく。どうやら丁寧に飾ると言ったほうが正しい扱いを求められているようだ。
「痛くはないか」
本物と違い、睡覧の皓湛は静かだ。髪を梳かしながら問いかけても返事はなく、教えられるままに汲んできた島の真水を与えると、にっこりと笑って自ら飲んで、そのあと眠りにつく。眠っている姿は皓湛そのものであり、どこか人形らしい静けさもあった。
見ていると、透き通るような美しさがある。これは皓湛であってそうではないと否が応でも理解する。本物の友はどうしているのだろう。同じように自分の人形を育てているのだろうか。そういえば宵栄がいないから、ふたりでどうにかしているのかもしれない。
「皓湛」
ふと呼びかけると、ふかふかのクッションのなかで水を飲んでいた皓湛が顔を上げて微笑み、
「だいじょうぶ」
一言そう言って、またぱたりと眠りにつく。一瞬呆けた万狼も、思わず笑み零した。
「……私も、大丈夫だ」
一夜明けると、皓湛は随分大きくなって見えた。十歳くらいにはなっている。『ではあれを着せよう』と言う宇狼に「いや待てあれだ」と言い返し、また万狼はせっせと世話までをこなし、皓湛は、そして片方では万狼はあっという間に美しく元の姿にまで成長した。
――互いに再会したとき、喜ぶと同時に互いに世話をしようとしたのは、ひと夏の思い出である。
成功
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