●野外闘技場
「こ、ここは……?」
「山……か?」
気絶していた男達が目覚め、辺りを見回すとそこは今は誰も居ない緑豊かな山奥だった。
だが開けた場所に山に似つかわしくない高い金網に覆われ、攫われた数十人の人々がその内側に集められていた。
「フハハハハハ!!!」
そこに突風のような笑い声が吹き荒れる!
「我こそはアンブレイカブル『業大老』なり!! 蘇った我は再び武の頂を目指す! その為には強き相手が必要だ!!」
アンブレイカブルの大老『業大老』がぎょろりと人々を睥睨する。それだけで蛇に睨まれた蛙のように身をすくませた。
「戦え! 汝らにはここで戦い合い武を高めてもらう!!」
そう告げると人々に困惑が広がる。
「俺らエスパーは戦ったりできない」
「そうだ、俺たちエスパーは普通の攻撃が無効化されるから、戦ったって傷一つつけられない」
超人類「エスパー」となったサイキックハーツ世界の人々は、互いに傷つけ合うようなことはできない。
「安心せよ。汝らの身体には我が力を与えておいた! 拳を握れ! 殴り合え!! 闘争心を燃えあがらせろ!!」
灼熱の炎のような闘気が業大老から放たれ、それに煽られ人々の中の闘志もまた燃え始める。
「戦い勝ち残った者にさらなる力を与えてやろう! 我と戦えるほど強くなれ!! 自分の可能性を信じよ! 命を燃やして力を手に入れてみせよ!! 闘争こそが生を最も実感させるもの! 失った闘争心を取り戻せ!!」
力強き声に引き込まれ、人々は知らず知らずに拳を握っていた。
「では新たなる武神大戦を始めるとしよう!」
●グリモアベース
「かつてサイキックハーツでさまざまな事件を起こしていたアンブレイカブル『業大老』が蘇った」
バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)がかつてのダークネスがオブリビオンとして蘇ったことを告げる。
「どうやら依然と同じように、強き存在を生み出そうと武神大戦を開催しようとしているようだ。以前はダークネス同士を戦わせていたが、今回はエスパーという新人類を無理矢理集めて戦わせようとしている。諸君には長野県の山で行われる大会に乗り込みこれを阻止してもらいたい」
武神大戦というダークネス同士の戦いを以前は繰り広げていたが、人類がエスパーとなったのに目をつけ、その可能性を試そうとしているようだ。
「まだ蘇って間もなく規模も小さい。今ならば乗り込んで潰すことも可能だろう。まずは戦い合っている人々を止めてもらいたい。強化されたエスパーは失っていた闘争心が蘇り、力に酔うように一対一で殴り合っている。このままでは眷属となる可能性もある。少々乱暴でも構わんから正気に戻してやれ」
業大老に力を与えられた人々は、湧き上がる闘争心のままに殴り合う。下手をすれば相手を殺すまで止まらない。
「邪魔者が現れれば、業大老の門下生である『ドーピングジャイアント』達が襲い掛かってくる。4mもある巨人で圧倒的なパワーを誇るアンブレイカブルだ。正面から粉砕しようと攻撃してくる。受けて立てば一般人を巻き込まないように誘導もできるだろう」
その巨体が暴れれば一般人を巻き込む可能性が高い。被害が出ないように離れて戦うのがいいだろう。
「ドーピングジャイアントを倒せば業大老との戦いとなる。最強の拳法家であり強敵ではあるが、蘇ったばかりでまだ全盛期の力はないだろう。諸君の力ならば打ち破れるはずだ。全力で打ち破れ」
業大老はかつて武の頂点に立ったような存在だ。その力は恐るべきもの。舐めて掛かれば手痛い目に遭うだろう。
「放っておけば業大老の元に多くの強者が集まり、大きな戦力となって厄介なことになるだろう。そうなる前に業大老を討ち、新武神大戦を阻止せよ!」
新たに行われる武神大戦を潰す為、猟兵や灼滅者は長野に飛んだ。
天木一
こんにちは天木一です。
蘇った業大老の開く新武神大戦を阻止することになります。
第1章は一般人のエスパー達が力を与えられ、殴り合いの戦いをしているのを邪魔して正気に戻します。
第2章は猟兵の排除に動くドーピングジャイアントとの戦闘です。一般人を巻き込まないように敵の気を引きましょう。
第3章では業大老との戦いです。全力で最強の拳法家と戦います。
複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
プレイングの締め切り日などは決まり次第タグにて。
それでは、蘇った業大老の野望を打ち砕きましょう!
第1章 冒険
『殺戮闘技場』
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POW : 闘士として殺戮試合に乱入する
SPD : 選手控室に忍び込み、有力そうな闘士の情報を盗み聞く
WIZ : 望まぬ戦いを強いられているエスパーを密かに逃がす
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七草・聖理
全く……アンブレイカブルなら地下格闘技で満足しなさいよ……!
真っ当に武を収めているアンブレイカブルを顧みないオブリビオンダークネスにイラつきながらもUC発動
仮想式胎蔵界を展開し、殴り合いの戦いをしているエスパーを巻き込んで鎮圧
それと同時にサイキック万能薬を注入し、殴り合いをして負った怪我を治療していくわ
さて、災難でしたね
そう言って再び、今度は濃縮して注射型にしたサイキック万能薬を静脈に注射して即効性を高めていく
六年前のあの日、誰からも傷つけられなくなり、誰も傷つける事の無くなったという感慨を思い出して下さい
あの日、全人類は救われる事が確定していたのですから
●新・武神大戦開始!
長野の山奥にある。山を拓いた天然の修行場のような場所。
「う、うあああああっ!!」
「がっ! この野郎!!」
そこで一般人の男性エスパー達が、広く金網に囲われた中、あちこちで殴り合っている。
鼻から血を流し、青あざを作りながらも殴り返す。よろめいた身体がガシャンと逃げ場を塞ぐ金網に当たった。
「どうした! そんなものではあるまい! もっと闘志を燃やせ!!」
業大老が檄を飛ばし、エスパー達のさらなる闘志を引き出す。
「はぁはぁ……まだやれるっ!!」
「ちくしょーーー!!!」
強制的に戦意を高められ、どちらかの命がなくなるまできっと殴り合いは止まらない――。
「全く……アンブレイカブルなら地下格闘技で満足しなさいよ……!」
七草・聖理(光の弓矢は闇無き世界で始まる・f43834)が悪態を吐いて長野の山奥に足を踏み入れる。そして真っ当に武を収めているアンブレイカブルを顧みないオブリビオンダークネスにイラつきながらもユーベルコード『
緑の救世主よ、万能薬を世界に示せ』を発動し、進化の概念を司る仮想式胎蔵界の無限展開して、エスパー達を巻き込む。
「ぐぁっ!?」
「な、なんだこれ?」
結界によってエスパー達の動きが止まる。そこへ聖理がサイキック万能薬を注入して傷を癒す――。
「あれ、痛みが……」
「傷が痛くない?」
痛みが引くと興奮が冷め始めて殴り合うのを止めた。
「さて、災難でしたね」
そう言って聖理が再び――今度は濃縮して注射型にしたサイキック万能薬を静脈に注射して即効性を高める。
「傷が治っていく……」
あっという間に治療されて驚いた顔をみせる。
「六年前のあの日、誰からも傷つけられなくなり、誰も傷つける事の無くなったという感慨を思い出して下さい」
相手が少し落ち着いたところで、聖理は皆がエスパーとなった日のことを思い出させる……。
「あの日、全人類は救われる事が確定していたのですから」
「もしかして、あなたは
灼滅者?」
「ああ、灼滅者が世界を救ってくれたから、俺たちはエスパーになれたんだ」
男達は全てが変わったその日のことを思い出し、平和な世界に変えてくれたことに感謝する。
「そうだ、俺たちは争う必要なんてないんだ」
「もう殴り合いなんてやめよう」
握っていた拳を解き、男達は互いの顔を見て笑顔を浮かべた。
「これでもう大丈夫ですね。他の人達も正気に戻してあげましょう」
聖理はすぐに他の人々も同様に正気に戻そうと、次の争っている場所へと向かった……。
大成功
🔵🔵🔵
クロエ・ボーヴォワール(サポート)
「カネならありますわよ~!」
◆口調
・一人称はわたくし、二人称はあなた様。典型的なお嬢様風
◆性質・特技
・好奇心旺盛にして仕事熱心
・実はゲテモノ料理好き
◆行動傾向
・ボーヴォワール社の持て余した圧倒的カネの力にモノを言わせ、万事解決を目指す
・法すらカネで買い取る自由奔放すぎる性格であるが、ノブレスオブリージュの精神に則り他者の為ならば才と財を惜しまない(混沌/善)
・猟兵としての活動は異世界を股にかけたボーヴォワール社の販路開拓と考えており隙あらば自社製品を宣伝し、「実演販売」に抜かりはない
・教養として体得したシンフォニアとしての技術をビジネス話術にも応用する
・細かい仕事は老執事セバスチャンに一任
「金網が高い……それにダークネスがいるなら逃げられっこねぇ。それならやるしかねぇ!」
「こんちくしょう!!」
破れかぶれで囚われたエスパー達が殴り合う。鼻血が流れ顔を腫らし、必死になって相手を倒そうと闘志を燃やしていた。
「お困りのようですわね!」
そこへクロエ・ボーヴォワール(ボーヴォワール財閥総裁令嬢・f35113)が現れる。
「金網を破りたければ、わたくしがカネで用意したこれを使えば簡単に解決ですわ」
クロエがカネにモノを言わせて用意した、特製の大きなボルトクリッパーだった。
「これをこうして……こうすれば、簡単に金網を破れますわ」
使い方を実演してみせ、実際に金網を簡単に切断した。
「おおっ!」
「金網が簡単にっ!」
まるで
観客のようにエスパー達が驚いた声を上げる。
「今ならボーヴォワール社の特製ボルトクリッパーを一つお買い上げいただければ、なんと! もう一本プレゼントしますわよ!」
「買った!」
「これなら金網を破って脱出できる!!」
そんな場違いな実演販売にすっかり毒気を抜かれ、闘志を失ったエスパー達がボルトクリッパーを受け取って金網をこじ開けていく。
「これがカネの力ですわ~!」
場の争いを華麗に収めたクロエが胸を張ってカネの力を誇る。
「このカネの力をあそこの脳筋にも教えて差し上げたいですわね」
そして全くカネなど持っていそうにない、素寒貧のアンブレイカブルへと視線を向けた。
成功
🔵🔵🔴
皇・銀静
…業大老と戦える…
…オブビリオンは素晴らしいな
叶わなかった栄誉をこうして等しく齎すのであれば存分に楽しもう
お前達が武の理に浸っているならば僕もまた飛び込もう
嬉々として殴り合いに突入してエスパーを死なない程度に叩きのめす
業大老の言葉は正しい
闘いを失えば残るは滅びへの道でしかない
それは単なる飼われるだけの愛玩動物と変わりない
感謝しよう
こうした脅威として在るならば…ユニバース25の終焉からは逃れられるだろう
存分に生を実感するために殴り合い正気に戻れば他のエスパーにも襲いかかる
サイキックを振るえばエスパー同士でも戦い傷つけあえる
お前達はそれを思い出せたなら武を鍛えればいい
業大老は僕が叩き潰すがな
「……業大老と戦える……」
皇・銀静(陰月・f43999)は灼滅されたはずの強大なオブリビオン「業大老」と戦えることに喜びを覚える。
「……オブビリオンは素晴らしいな。叶わなかった栄誉をこうして等しく齎すのであれば存分に楽しもう」
闘志を燃やしながら、争う人々へと歩み寄る――。
「この野郎!!」
「ぐあっ、よくもやりやがったな!!」
一般のエスパー同士が殴り合う。武術の心得もないパンチだが、殴り合っている内に遠慮がなくなり、威力が増していく。
「お前達が武の理に浸っているならば僕もまた飛び込もう」
そこへ嬉々として銀静が乱入し、両者を加減しながらも問答無用で殴り飛ばした!
「げぁっ!?」
「ぐがぁあ!!」
エスパー達は驚いた顔で乱入した銀静に視線を向ける。
「なんだテメェ!」
「先にお前をぶっ倒してやる!!」
業大老によって闘争心を高められたエスパー達が銀静に殴り掛かる。だがそれを腕で捌き、勢いをいなすと逆に殴って尻餅をつかせた。
「業大老の言葉は正しい。闘いを失えば残るは滅びへの道でしかない。それは単なる飼われるだけの愛玩動物と変わりない」
武家の生まれで厳しい修行を続けてきた銀静は、業大老の言葉に真理があると同意する。
「感謝しよう。こうした脅威として在るならば……ユニバース25の終焉からは逃れられるだろう」
平和な世界はやがて行き詰まり崩壊すると考える銀静は、オブリビオンを必要悪だと認め、闘争心を植え付けられたエスパーを殴って正気に戻す。
「いってぇ……」
「ああ、こんなに痛いのなんて久し振りだ」
エスパーになってから感じたことの無かった痛みに、普通の人間だったころを思い出す。
「闘争もまた人には必要なものだ」
銀静はすぐに次の争いに介入し、加減しながらも無力化するべく顎を打ち抜き、もう片方の拳を引き込んで足を払い地面に叩きつける。
「がはっ!」
「な、俺たちはなにを……」
圧倒的な力にやられて地面を転がると闘争心が萎え冷静さが戻る。
「サイキックを振るえばエスパー同士でも戦い傷つけあえる。お前達はそれを思い出せたなら武を鍛えればいい。業大老は僕が叩き潰すがな」
争っていた人々にそう告げた銀静は、この戦いの舞台を眺めている業大老へと視線を向け闘気を叩きつけた!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ドーピングジャイアント』
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POW : 巨人撃
【全身】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD : 圧縮酸素カプセル
レベルm半径内に【体内に埋め込んだボンベから圧縮酸素】を放出し、味方に治癒を、敵に【意識混濁】の状態異常、全員に興奮作用を与える。
WIZ : ソウルオーバードライブ
【もっと大きく、もっと強くなりたい】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
👑11
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●巨人の群れ
「灼滅者が嗅ぎ付けてきたか」
業大老が現れた猟兵達を見て眼光を強める。
「想定よりも早いが、いずれは遣り合わねばならぬ相手。こうして出会ったならば戦うしかあるまい。ドーピングジャイアントよ! 灼滅者を打ち破り、その力を示せ!!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
!!!!!」」
業大老が門下生に命じると、大気を震わす大きな返事が返り、高い金網を越えて4mにもなる巨体を持つ『ドーピングジャイアント』達が、リングに入るように大地に立った!
「ひっ!!」
「で、でかい!!」
その衝撃に大地が揺れ、エスパー達は腰を抜かしたように座り込んだ。
「私たちの傍に集まってください!」
「安心するがいい、お前達は必ず守る」
聖理と銀静が呼び掛け、エスパー達を集めて守りやすくして、巨人の群れと対峙した――。
七草・聖理
全身を巨大化してくれるならこちらも助かるわね
それじゃあ、炎に包まれなさいな
ガトリングガン『屍の王を殲滅する千弾』を構え、引き金を引いて『あらゆる幻獣種の炎』を射出する
着弾地点から爆発すると同時に『指定した概念のみを燃やす炎の展開』を行う
今回焼却する概念は『白兵戦』の概念……
つまり白兵攻撃、肉弾戦、迫撃戦が一切無効化する
巨大な肉体を用いて殴ったり蹴ったりプレスしても、エスパーにも私にもダメージは与えられない
そして私はアルテミスガンナー、射撃戦の方が得意なのよ
再び『あらゆる幻獣種の炎』をアンブレイカブルを射出していく
爆炎に包まれ、焦がされていきなさい
●巨人殺し
「俺の一撃は大地をも砕く
!!!!」
ドーピングジャイアントがさらに巨大化し、その大地をも容易く砕きそうな筋肉を膨張させる。
「全身を巨大化してくれるならこちらも助かるわね」
そんな巨体を前にしても聖理は一歩も引かず、逆に大きな的だと見上げた。
「それじゃあ、炎に包まれなさいな」
ガトリングガン【屍の王を殲滅する千弾】を構え、ユーベルコード『
幻獣の炎は、種の意志と共に千弾となる』を発動して引き金を引き、束ねた銃身が回転すると『あらゆる幻獣種の炎』を射出する!
「そんな豆鉄砲が俺の肉体を貫けるものか!!」
避けもせずドーピングジャイアントはその圧倒的な肉体で受け止める。だがその弾丸はただの鉛玉ではない――着弾地点から爆発すると同時に『指定した概念のみを燃やす炎の展開』が始まる。
「少々焼けたところで!!!」
弾丸が身体を焼くがその程度では止まらずドーピングジャイアントが岩のような拳を叩き込む。だが直撃を受けた聖理は微動だにしない。
「なにっ!? どういうことだ!!」
「今回焼却する概念は『白兵戦』の概念……つまり白兵攻撃、肉弾戦、迫撃戦が一切無効化する。巨大な肉体を用いて殴ったり蹴ったりプレスしても、エスパーにも私にもダメージは与えられない」
驚くドーピングジャイアントに説明しながら聖理は銃口を向けた。
「そして私はアルテミスガンナー、射撃戦の方が得意なのよ」
「グァォオオオオオオオオオオオ
!!!!!」
再びあらゆる幻獣種の炎を大きな的に叩き込み、全身を撃ち抜かれたドーピングジャイアントが燃え上がって叫ぶ。それでもまだタフは身体は動き、巨大な足が聖理を踏み潰す。普通ならぺしゃんこに潰される重量が圧し掛かる。
「無効化すると言ったはず。肉体だけでなく頭も鍛えておくべきだったわね」
しかしダメージはなく、聖理が平然と足の下から出てきた。
「爆炎に包まれ、焦がされていきなさい」
「アヅッ! アギギァッ!! グアアアアアアアァァァ
…………」
連続した銃撃音が響き、無数の炎がドーピングジャイアントを飲み込み、動かぬ黒い焦げた塊へと変えた。
「何体居ようとも概念の前には無力。それを体に教えてあげるわ」
聖理は次の敵に向け、幻獣種の炎を浴びせた――。
大成功
🔵🔵🔵
ルドルフ・ヴァルザック(サポート)
「フゥーハハハ!(こ、この場は笑ってごまかすしか……)」
◆口調
・一人称は我輩、二人称はキサマ
・傲岸不遜にして大言壮語
◆性質・特技
・楽天家で虚栄心が強く、旗色次第で敵前逃亡も辞さない臆病な性格
・報復が怖いので他人を貶める発言は決してしない
◆行動傾向
・己の威信を世に広めるべく、無根拠の自信を頼りに戦地を渡り歩く無責任騎士(混沌/悪)
・何をやらせてもダメなヘタレ冒険者だが、類まれな「幸運」に恵まれている。矢が自ら彼を避け、剣先が届く前に毀れ、災難は紆余曲折で免れる
・臆病な性質も見方次第では生存本能と言えなくも……ないよね?
・コミックリリーフ役にお困りならば、彼が引き受けます(但し公序良俗の範囲内で)
「次は俺がやってやるぅううう
!!!!」
新たな『ドーピングジャイアント』が元より大きな体を薬を注入してさらに巨大化し、その圧倒的なフィジカルで全てを粉砕せんと拳を固めた。
「フゥーハハハ! 大きいだけで我輩に勝てると思っているのか!」
(で、でかすぎだろ……)
高笑いと共にルドルフ・ヴァルザック(自称・竜を屠る者・f35115)がマントを翻して巨人の前に立つ。内心はすぐにでも逃げ出したいほど不安だが、表向きは自信満々に見えた。
「逃げずに立ち向かうか!!! グガガガガガガガ
!!!!!」
「来るか!」
(ひぃっ
!!!!)
闘争心を燃やしたドーピングジャイアントが拳を打ち出す。岩が飛んで来るような一撃を、ルドルフは槍【ランツェ・デル・フライハイト】で受け止める。だがへっぴり腰で力が入らず、その結果偶然にも衝撃を受け流し、吹き飛ばされながらも致命的なダメージは負わなかった。
「手応えがない?」
「フ……フハハハハハ!! 力だけでは我輩は倒せんぞ!!」
(あ、危なかったーーーー!!)
不思議そうに拳を見下ろすドーピングジャイアントにルドルフが怯えを見せず笑みを見せた。
「次は確実に叩き潰す!!!」
(怒ってる!! ヤバイヤバイ!)
殺気を漲らせたドーピングジャイアントが跳躍し上から拳を落とす。それに対してルドルフは防御行動を取り、ユーベルコード『アリスナイト・イマジネイション』を発動した!
「死ねっ
!!!!!」
拳が叩きつけられるが、無敵の戦闘鎧を纏ったルドルフは無傷だった。そしてその手に持っていた槍が落下してくる敵の胸を貫いていた!
「がふぁっ
……!!!」
(え? え? 槍が刺さってる?)
「クソ……俺の、負けか………」
「……言ったはずだ。力だけでは倒せんとな!」
自分から一切攻めることなく、ルドルフは幸運にも勝利を掴み取った!
成功
🔵🔵🔴
グラン・ボーン
「灼滅者やエスパーがなんだか知らねえが、強い奴がいるんだって?」
高い金網をひょいっと超えて、入ってきたのは5.5メートルを超える巨人であった
肉の圧がすごく、体からはゆらりと覇気が立ち上っている
見た目以上に大きく見える男だ
「なんだ、チビばかりか、強い奴がいるって聞いたから来たんだがな」
巨人からしたら4mは子供の身長だ
「こいよ、てめえらの攻撃なんて俺の鋼の肉体には通じないぜ」
鉄壁とオーラ防御で相手の攻撃が来ても耐える
が、当たればの話
円の動きで相手の攻撃を払い、受け、躱し、受け流す
そしてカウンターで一撃いれる
「力任せで武術に勝とうなんて甘いんじゃないか?」
凶暴な笑みを浮かべて、グランが言い放つ
「灼滅者やエスパーがなんだか知らねえが、強い奴がいるんだって?」
まるで散歩でもするように、高い金網をひょいっと超えて入ってきたのは、5.5mを超える巨体を誇るグラン・ボーン(巨人の巨人拳伝承者・f34134)。
その身に付いた肉はただ分厚いだけでなく無駄がない程鍛え上げられ、体からはゆらりと覇気が立ち上り、その圧は見る者をただただ圧倒して、見た目以上に大きく見える男だった。
「なんだ、チビばかりか、強い奴がいるって聞いたから来たんだがな」
ぎろりと見渡し、4mもあるドーピングジャイアントを見下した。巨人からしたら4mは子供の身長に過ぎない。
「ぐっ、舐めるな!! お前よりも大きくなれる!!」
薬物を摂取したドーピングジャイアントがグランに匹敵するほど大きくなる。
「ほぉ、だがただ大きくなっただけじゃ意味がねえ。こいよ、てめえらの攻撃なんて俺の鋼の肉体には通じないぜ」
「舐めやがって!! 死ぃいいねえええええええええ
!!!!」
大振りの全力でドーピングジャイアントが拳をぶち込む。それはまるで巨大な岩が高速で飛んできたような迫力だった!
「直線的な動きだ。それじゃあ俺の円の動きについてこれねえな」
グランは一歩も動かずユーベルコード『双掌円転の構え』を発動して、すっと両手が宙に円を描くように動くと、巨大なドーピングジャイアントの拳を受け流した。そして反対の手がカウンターで掌底を腹に叩き込む!
「ぐはああっ!!!」
強烈な衝撃に腹が凹みドーピングジャイアントが大量の血を吐く。
「ま、だだぁああああアアアアア
!!!!!!」
ドーピングジャイアントが叫びながら拳を連打する。それをグランは円の動きで払い、受け、躱し、受け流す――。
「はっ、ぜぇっぜぇぜぇ
…………」
どれ程の連打が続いたのか、無呼吸による最速の連打。その全てが凌がれて大きく息を吸ったドーピングジャイアントの攻撃が止まる。
その瞬間、力が緩んだ隙を突いてグランの掌底が胸を捉え、衝撃が内部に浸透し心臓を破裂させた!
「がふっ……こんな、俺の力が通じないなんて………」
「力任せで武術に勝とうなんて甘いんじゃないか?」
凶暴な笑みを浮かべ、グランが崩れ落ちる巨人に言い放った。
「さあ、次はどいつだ!!」
一喝すると、次のドーピングジャイアントへと堂々と歩み寄った。
大成功
🔵🔵🔵
皇・銀静
…善い反応だ
怖いか
それでいい
さて…デカブツ共
薬を使ってでも強さを求める在り方は否定はしない
だが…僕はそれを超えるという事を示してやる
【リミットブレイク・切断】
UC発動
わざわざ的が大きくなってくれたならこれ程ありがたい事はないな?
己の肉体の限界を超え襲いかかり超連続攻撃を叩き込み粉砕する
命中率の低下を補填するように間近に接近し全攻撃を叩き込もうと
ミンチになったなら…
お前達も…この場に立つなら…こうなる覚悟はしているよなぁ?
尤も…僕はそうなる気はさらさらないがな?
デカければいいってのは多少は理解できるが…少しばかり…中途半端だったなぁ!
再び襲いかかり100の連撃を叩き込み蹂躙の限りを尽くす
「きょ、巨人同士が戦ってる!!」
「俺らがどれだけ鍛えたってあんなのに敵うはずがない」
グランとドーピングジャイアントの激突を見たエスパー達が怯えて、闘志を萎えさせていた。
「……善い反応だ。怖いか、それでいい」
それを見た銀静が闘争心を煽られる心配はなさそうだと、自らも敵の元に歩みだす。
「どうなってやがる! なぜこっちが負けてるんだ!? 俺たちは限界を超えた力を手に入れてるんだぞ!! 負けるはずがない!!」
ドーピングジャイアントが大量の錠剤を噛み砕き、身体をさらに巨大化してパワーを上げる。
「さて……デカブツ共。薬を使ってでも強さを求める在り方は否定はしない。だが……僕はそれを超えるという事を示してやる」
燃えるような闘気を燃やす相手とは正反対に、研ぎ澄ました殺気を放つ銀静がユーベルコード『裏白虎門開門』を発動する。
「わざわざ的が大きくなってくれたならこれ程ありがたい事はないな?」
風が吹き抜け、邪気を纏った風を纏うと一瞬にして懐に入る。
「なっ!?」
己の肉体の限界を超えた動きで、拳を腹に連打し、相手が前かがみになったところで上段回し蹴りで側頭部を打ち抜く。そして脚を下ろすことなく蹴りの連打へと続け、ガードしようと腕が上がったところに脇腹に拳を食い込ませた。一撃ごとに技の精度が落ちるが、距離を詰めることで確実に当てていく。
「がっ、と、止まらな――」
ドーピングジャイアントが膝をついても止まらず、超連続攻撃が全身を襲い肉が潰れ骨が砕けた。
「終わりだ――」
100撃目、最後に真空波を叩き込み、ドーピングジャイアントがミンチのようになってピクリとも動かなくなった……。
「巨人が一瞬でミンチになっちまった……」
「お前達も……この場に立つなら……こうなる覚悟はしているよなぁ?
「ひっ」
銀静が振り返ってエスパー達に語り掛けると、怯えるエスパー達はもう完全に戦う気力を喪失していた。
「尤も……僕はそうなる気はさらさらないがな?」
「よくもやってくれたなぁあああああ!!!」
銀静に新たなドーピングジャイアントが怒鳴りながら襲い掛かる。
「デカければいいってのは多少は理解できるが……少しばかり……中途半端だったなぁ!」
銀静も怒鳴り返して再び100の連撃を叩き込み、巨人を蹂躙して残りの全てを灼滅した――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『業大老』
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POW : 魔覇衝波
速度マッハ5.0以上の【拳からの衝撃波】で攻撃する。軌跡にはしばらく【漆黒の闘気】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
SPD : 極獄魔拳
【拳による超連打「極獄魔拳」】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 武神業気
【闘気の放出】によりレベル×100km/hで飛翔し、【加速時間】×【移動距離】に比例した激突ダメージを与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●武神
「我の再起を阻むか。やはり灼滅者を倒さねば我の未来は拓けぬ」
門下生を倒された業大老がゆらりと闘気を立ち上らせる。
「我は求道者なり。汝らを倒しさらなる強さを手に入れ、新たなる武の道を突き進もうぞ!!」
武を極めんとする業大老は灼滅者を己への試練として、堂々とそれを正面から破らんと大気が震えるほどに闘志を燃やす!
「我を倒したくば、死力を尽くして掛かって来い!!」
さきほど戦った巨人に比べればその体躯は小さい。だがその身から発する武威は巨人など比べようもないほど強大だった。それはまさに武神と呼ぶにふさわしいもの。
そんな強敵を前に、猟兵もまた闘志を燃やして戦いに挑む――。
七草・聖理
全く…オブリビオンダークネスになって求められても困るのよ
戦略級ダークネス
純粋な迫撃戦における戦闘能力で言えば最強格のアンブレイカブル
だけど、私も六番目の猟兵の灼滅者…対文明戦最強の灼滅者、と言っても過言でない私は射撃攻撃と文明基盤の二つ――人類が人類たる根幹を担うUCを持つ灼滅者なのよ
所持している射撃兵装から対象の時間質量を奪うサイキックエナジーを発射
自身の『元老級アンデッドを召喚する際の召喚人数』の削減量に応じ、威力・速度・発射数が増加
今回、元老級アンデッドは一名…喜びなさい、対応する人類文明は『格闘技』よ
格闘技を司る元老のUCを手に入れたアンデッドと二重攻撃でエナジー照射を行っていくわ
●激闘!
「全く……オブリビオンダークネスになって求められても困るのよ。戦略級ダークネス」
聖理が小さく溜息を吐きながら業大老の前に立つ。
「最初の相手は汝か。全力で来るがいい灼滅者よ! 我はそれを越え、さらに高みに登ろうぞ!!」
業大老が闘気を膨らませて構える。無手ではあるがその腕も拳も、岩を砕き鉄すらも引き裂く膂力を持つ凶器だった。
「純粋な迫撃戦における戦闘能力で言えば最強格のアンブレイカブル……だけど、私も六番目の猟兵の灼滅者……対文明戦最強の灼滅者、と言っても過言でない。私は射撃攻撃と文明基盤の二つ――人類が人類たる根幹を担うユーベルコードを持つ灼滅者なのよ」
そう宣言するとユーベルコード『
奪い去るは、時間という形あるもの』を発動する。その効果は自身の『元老級アンデッドを召喚する際の召喚人数』の削減量に応じ、射撃兵装の威力・速度・発射数を増加する能力。
「今回、元老級アンデッドは一名……喜びなさい、対応する人類文明は『格闘技』よ」
格闘技を司る元老のUCを手に入れたアンデッドが前に出て格闘に挑む。
「ほう、格闘に特化したノーライフキングか? 珍しいものだ。ならば骨を塵になるまで粉砕してやろうぞ!!」
凶暴な笑みを浮かべた業大老が迎え撃ち、拳と拳がぶつかり合い激しい衝撃波が起きる!
「こちらには私の援護があるわ!」
そこへ聖理が構える【魔弾術式『アルテミシア』】よりサイキックエナジーを照射する!
「ふんっ!!」
そのエナジーに向けて業大老が拳を叩き込んで打ち払う。しかし聖理は放出を続け、そこにアンデッドが蹴りを腹に叩き込んだ。二重攻撃によりダメージを重ねる。
「……よいぞ、この程度の苦難がなければ我も得るものがない!」
業大老はサイキックエナジーを躱しながらアンデッドに接近し、お返しと蹴りを叩き込んで肋骨を何本も砕く。だが痛みなどないアンデッドが構わず組み付いた。
「今――!」
そこへ聖理がサイキックエナジーを照射し、相手の時間質量を奪う――。
「むぅ、此れは……我が時を奪っている? だが悠久を生きる我が時を奪い切れると思うな!!」
力が抜け思わず膝をついた業大老は、そのまま大地に拳を打ち込んで吹き飛ばし、土の塊を盾にして照射を遮り、土塊が砕けたと思った瞬間にはアンデッドに拳の連打を浴びせて粉々に吹き飛ばしていた!
「これぞ極獄魔拳!!」
「流石は戦略級ダークネスね。簡単にはいかないわ」
業大老の視線が次の目標に向けられるが、危険を察知し大きく後退した聖理は敵の間合いから離れ難を逃れていた。
大成功
🔵🔵🔵
草柳・華穂(サポート)
草柳・華穂(くさやなぎ・かほ)、ウサギ等動物の能力を移植された強化改造人間。
悪の秘密結社から脳改造寸前で脱出し復讐のため戦っていたわ。
悪い奴らに容赦は要らない、特に邪神とか邪教団とか手加減をする理由がないわね
まあ、容赦しなさ過ぎてダークヒーロー扱いになったんだけどね、後悔は無いわ
戦闘では蹴り技を主体とした戦い方をすることが多いわ
色々な動物が入っているけど、メインはウサギだからね脚力はちょっとした自慢よ
「いいぞ! もっと我に闘争を!!」
「武神……相手にとって不足はないわ」
バニーガールのようなボディスーツを着込んだ草柳・華穂(クラッシュ・バニー・f18430)は、傷つきながらも闘志を猛らせる業大老の前に立つ。
「人々を無理矢理戦わせようなんて許されないわ。ここで倒してその企みを終わらせてあげる」
自身も悪の秘密結社から改造を受けた華穂は、望まぬ強さを強制することを嫌悪し、業大老へと攻撃を仕掛ける!
「行くわよ」
「来いっ!!」
堂々と業大老は隙なく構えて待ち受け、避けずに全てを受け止める気迫を見せる。
そこへ素早く接近した華穂が鋭く蹴りを放つ。それを業大老は腕でガードした。だが華穂は止まらずに連続してウサギの強力な脚力で蹴りを放ち、ガードを弾こうとする。
「速くはあるが、それだけでは我は砕けぬ!!」
業大老もまた蹴りを放ち、蹴りと蹴りがぶつかり合い、体勢を崩したのは威力に劣る華穂の方だった。
「やるわね!」
続いて放たれる蹴りを華穂は飛び退いて躱す。だがその衝撃で大きく吹き飛ばされた。
「我が必殺の魔拳を見よ!!」
一瞬にして距離を詰めた業大老が着地ポイントに踏み込み、拳の連打を浴びせる!
「……(緊急避難プログラム発動)」
絶体絶命のピンチに対して華穂のユーベルコード『
E・O・M』が自動的に発動し、相手の拳に合わせて蹴りを放つ! 拳と蹴りがぶつかり合って激しい衝撃波が辺りを粉砕していく。
「ぬぅん
!!!!!」
じりじりと激しい攻撃の隙間をこじ開け、業大老の拳が華穂に届く。ならばと華穂もまた蹴りを業大老に打ち込み、拳が腹を、蹴りが顔を捉えて両者が吹き飛んだ!
「むぅっ!!」
バク転して衝撃を逃した業大老が着地する。その額からは血が垂れている。
「ごほっ、強いわね」
華穂もまた宙で回転して着地し、咳き込み口の端から血を流して強敵だと業大老を睨みつけた。
成功
🔵🔵🔴
グラン・ボーン
俺は巨人拳のグラン・ボーン
尋常に勝負しよう
二人が構える
お互いに相手の間合いの円が見えている
その間合いの円が数ミリで触れ合う
そういうところで止まる
相手の出方を見ている
そして、ひらりと両者の間を木の葉が舞った
その瞬間に二人が動く
互いの拳、足、肘、膝、肩、指、ありとあらゆる部位が飛び交い、受け、流し、躱し、はじく
楽しいな、おい
グランが笑みを浮かべている
修行しても、その力を全力で出せる相手がいなければ空しいものだ
自分がどれだけ体を苛め抜き鍛えたのか
一番わかってくれるのは相手だ
俺もわかる
小さな爺さんが、巨人の俺とやりあうのだ
どれだけ武に費やしたか
長い打ち合い
ついに一発
一撃必殺の拳が業大老にぶち当たる
「次の相手は誰だ!!」
「俺は巨人拳のグラン・ボーン。尋常に勝負しよう」
まだまだ衰えぬ闘志を滾らせる業大老の前に、その鍛え抜かれた体躯を上回る肉体を持つグランが立った。
互いが歩み寄ると、一定の距離でピタリと足が止まる。そして両腕を上げて構えた――。
何もないはずのお互いの空間に、相手の間合いの円がはっきりと見えている。その間合いの円が数ミリで触れ合う――そんな距離で時が止まったように両者は静止していた。
じっと相手の動きを見極めるように互いに瞬き一つしない。僅かな隙でもあれば勝負は決する……。
そんな二人の間に風が吹き、ひらりと木の葉が舞った。
その瞬間、同時に二人は動き出す――。
打ち出される拳を弾き、流れるように放つ肘もまた防ぐ。お返しと膝蹴りを放つとガードされ、そこから蹴りに移行すると身を屈めて躱される。低い体勢から地面を蹴って肩からぶち当ててくる。だがそれを受け流し、すれ違いながら指突で目を狙う。だがそれもまた届かず、弾かれて決定打とならない。
「楽しいな、おい」
「然り、これこそ闘争なり!!」
対峙する二人が猛々しい笑みを浮かべ、手を、脚を、一時も休めずに攻防を繰り返す。
(修行しても、その力を全力で出せる相手がいなければ空しいものだ。自分がどれだけ体を苛め抜き鍛えたのか、一番わかってくれるのは相手だ)
激しく全力でぶつかり合いながら、グランは相手のことを理解していく。それは相手も同様。命を懸けた死闘は全てを曝け出すコミュニケーションでもあった。
(俺もわかる。小さな爺さんが、巨人の俺とやりあうのだ。どれだけ武に費やしたか)
互いの拳が肉を抉り骨を折る。両者ともに血塗れとなりながらも、一瞬も止まることなく全力で打ち合い続けた……。
その長い打ち合いの末、ほんの僅かな隙を見出しユーベルコード『一撃必殺』による拳が業大老の胸にぶち込まれる!
「がはっ
!!!!」
胸を大きく凹ませ血を吐きながら業大老の身体が大きく後退した。
「どうだ爺さん。俺の一撃は」
「見事、定命の者がよくこれだけ鍛えたものよ……ならば長き研鑽によって得た我が一撃を味わわせてやろう」
通常ならば致命傷となる一撃。だがそれでも業大老の身体は動き、音を置き去りにして拳を打ち出す。それに僅かに遅れて衝撃波が駆け抜け、グランに直撃すると圧倒的な巨体を吹き飛ばした!
「ぐっ、が……!」
そこで業大老がよろめき片膝をつく。限界を超えるような戦いに全身から汗が噴き出していた。
大成功
🔵🔵🔵
皇・銀静
…きひ…っ…(にたぁ
よぅ業大老…嬉しいだろうなぁ?
前のお前は…自分が「弱くなる事」に必死だったものなぁ?
そうしなければまともに動くなる事も出来なかった
オブビリオンってのはお前にとって救いになったか?
だが…それは灼滅者も同じだ
猟兵へと至り…僕もまた…氷河を砕き…大地を砕ける位には至れた
今の僕なら…嘗てのお前を叩き潰せる領域へと踏み込んで見せる!
【戦闘知識】
業大老の構えからどう動くかを解析
……業大老…武神業気を使え
お前と戦うならば…その技に挑みたい(どうするかはお任せ
【オーラ防御・切断・リミットブレイク】
UC発動
超絶高速戦闘開始!
己の魔剣!拳打!脚撃!あらゆる技!あらゆる技術を尽くし正面からぶつかり合う!
剣術!武術!灼滅者として戦い続けた頃からの経験!
己の限界を超え!邪気を纏い…エネルギーを!業大老のサイキックさえ使いぶつかり合う!
きひっ…きひひひひひひひひっ…げぁーはっはっはぁぁぁぁ!!!
楽しめよ!武を極める事を楽しんでないとは言わないよなぁ業大老ぉ!
己が壊れ…倒れるまで全霊を以て挑む!
「……これぞ死闘。この経験が血肉となり我はまた強くなる!!」
血塗れで疲労もダメージも大きい。それでも業大老が愉しそうに笑みを浮かべ、燃え尽きるない無尽の闘気を放つ!
「……きひ……っ………」
そんな敵を見て銀静がにたぁっと笑った――。
「よぅ業大老……嬉しいだろうなぁ? 前のお前は……自分が「弱くなる事」に必死だったものなぁ? そうしなければまともに動くなる事も出来なかった。オブビリオンってのはお前にとって救いになったか?」
かつての業大老の行動を思い出し、その喜々とした態度に納得する。
「だが……それは灼滅者も同じだ。猟兵へと至り……僕もまた……氷河を砕き……大地を砕ける位には至れた」
だが変わったのは自分も同じだと、新たに得た力を全身に漲らせる。
「今の僕なら……嘗てのお前を叩き潰せる領域へと踏み込んで見せる!」
今なら同じ高みで戦えると、堂々と正面に立つ。
「次の相手は汝か! さあ、我が糧となれ!!」
「………業大老……武神業気を使え。お前と戦うならば……その技に挑みたい」
「ほう、我が武神業気を知っているのか。よかろう、その身に味わってみよ!!!」
業大老が激しく闘気を放出し、その身がふわりと浮きあがった。
「四門……窮奇……饕餮……橈骨……渾沌……開門……!」
対して銀静がユーベルコード『
四門開門・凶』を発動し、己が身に邪気を纏い、湧き上がる苛烈な闘争心に笑みを浮かべる。
両者が笑い合い、一瞬にして間合いを詰めて拳を打ち合う!
勢いをつけた拳打の衝撃に同時に仰け反るが、すぐに前に踏み込みさらに拳を打ち合う。拳の連打に間合いがじりじりと開くと、両者が蹴りを放ち、脚と脚がぶつかり衝撃波が広がった。
銀静が押し切り業大老の体勢がぐらりと崩れたと思いきや、銀静の足首を掴んで放り回し地面に叩きつける!
がはっと血を吐きながらも、銀静は業大老の側頭部に蹴りを叩き込み、手が緩んだ隙に足を引き抜く。そして魔剣「Durandal MardyLord」を引き抜いて斬撃を放つと、業大老はその刃を鋼のような拳で弾く。
超絶高速戦闘。一つでも間違えば死に繋がる。そんな薄氷の攻防を数え切れぬほどに繰り返す――。
あらゆる技、あらゆる技術を尽くし、限界を超えて両者はぶつかり合う!
「きひっ……きひひひひひひひひっ……げぁーはっはっはぁぁぁぁ!!!」
激しい衝撃に両者の距離が離れ、血反吐を吐いたところで銀静が笑い出す。
「楽しめよ! 武を極める事を楽しんでないとは言わないよなぁ業大老ぉ!」
「フハハハハ
!!!!! 無論、此れほど楽しきことはない。我が身に傷が増える度に、我は武の頂に登っているのだと実感できる
!!!!」
銀静と同じように業大老も満身創痍で笑い、そして拳を強く固めた。
どちらかが倒れるまで終わらぬ――全霊を以て銀静は武神に挑み続ける!
永遠とも思える一瞬。だがそれも終わりの時を迎える――。
「がはっ
……!!」
全てを出し切るように瞬き一つの隙を突いて銀静の放った魔剣が業大老の胸を貫いた! 致命傷を受け大量の血を吐き業大老がよろめく。
「素晴らしいぞ……此れほどの死闘を味わえるとは……だが、まだ命の炎が消えるまで、あと一撃。最後の一撃を受けてみよ!!!」
「きひひひひ! いいぜ! 掛かって来いよ業大老ぉ!!!」
風前の灯火。それでもその命を燃やして業大老が右拳を構える。それに対して銀静も魔剣を構えた。
「此れぞ、我が至高の一撃なり
!!!!」
真っ直ぐに放たれる正拳突き。音の壁を突破し無音で拳が迫る――。
だがそこに銀静も魔剣を振り下ろし、音よりも速い斬撃が拳とぶつかる!
まるで隕石が衝突したような衝撃。腕が折れても構わず魔剣を押し込み、星すらも粉砕してしまうような拳に抗う。
そうして長く長く感じる一瞬が終わる。
「……………我が一撃に耐えたか。見事……この新武神大戦の勝者は汝らだ」
「きひっ、最高に楽しかったぜ」
全てを出し切り満足そうに、命が尽きた業大老が仰向けに倒れると、銀静も限界が来て大の字に倒れ込み空を眺めた……。
猟兵は激闘を勝ち抜き、新武神大戦の勝利を掴み業大老の再起を阻止することに成功した。
大成功
🔵🔵🔵